説明

電極組立体から表面の金属汚染を洗浄する方法

洗浄された電極が表面汚染仕様を満たし、かつ製造の歩留まりが向上するように、容量結合プラズマ反応器の電極を洗浄し表面粗さを減少させるための、体系化された効率的な方法。洗浄工程で使用される工具の予備洗浄が、洗浄される電極の汚染を防止するのに役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極組立体から表面の金属汚染を洗浄する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容量結合プラズマ(CCP)反応器又はチャンバの中で、パターン化されたマイクロエレクトロニクス層がその上に形成されるウエハ又は基板から集積回路が形成される。基板の処理において、プラズマが上部電極と下部電極との間に生成され、多くの場合、基板上に膜を堆積させるために、あるいは、膜の意図された部分をエッチングするために使用される。反応器は、電極を使用して、多くの高周波時間(radio frequency (RF) hours)運転された後に、エッチング速度の低下及びエッチングの均一性の変動を示す。エッチング性能の低下は、電極のシリコン表面の汚染に加えて、電極のシリコン表面の形態における変化に起因する。したがって、電極が表面汚染仕様を満たしかつ製造の歩留まりが向上するように、電極を洗浄し、表面粗さを減少させるための、体系化された効率的な方法が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2006/0141802号
【発明の概要】
【0004】
一実施形態において、プラズマ照射されるシリコン表面を含むプラズマチャンバの中にプラズマを生成するための電極組立体を洗浄する方法であって、電極組立体は、複数のガス出口を有するシャワーヘッド電極を含み、方法は、浴槽の内部ライナと、浴槽の中に電極組立体をつり下げるために使用される構成部品とを硝酸溶液で予備洗浄し、硝酸溶液が10%未満の硝酸を含む工程と;予備洗浄された構成部品を使用して浴槽の予備洗浄された内部ライナの内部に電極組立体をつり下げる工程と;浴槽の予備洗浄された内部ライナの中に入れられた超純水の中に電極組立体を浸漬する、又は、浴槽の予備洗浄された内部ライナの中に入れられた超純水で電極組立体を洗浄する工程と;浴槽の予備洗浄された内部ライナから電極組立体を取り除く工程と;シリコン表面をフッ化水素酸と硝酸と酢酸と水とを含む酸性溶液に接触させることによりシリコン表面から汚染物質を除去する工程とを含む、方法が提供される。電極組立体は、複数のガス出口を有するシャワーヘッド電極を含む。
【0005】
別の実施形態において、プラズマに曝されるシリコン表面を含むプラズマチャンバの中にプラズマを生成するための電極組立体を洗浄する方法であって、方法は、シリコン表面が下を向くように電極組立体を位置決めるために使用される固定具を硝酸溶液で予備洗浄し、硝酸溶液が10%未満の硝酸を含む工程と;シリコン表面が下を向くように電極組立体を固定具の上に設置する工程と;シリコン表面をフッ化水素酸と硝酸と酢酸と水とを含む酸性溶液に接触させることにより、下向きのシリコン表面から汚染物質を除去する工程とを含む方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】一実施形態による、電極を洗浄するための代表的な工程を示すフローチャートである。
【図2】別の実施形態による、電極組立体をワイピングするための固定具の概略断面図である。
【図3A】図2における固定具の斜視図である。
【図3B】図3AにおけるB領域の拡大された断面図である。
【図4】別の実施形態による、電極組立体をパワーフラッシングするための器具の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書で説明される洗浄方法の実施形態を実施するのに適する代表的なCCPチャンバは、チャンバ壁と;下部表面を有する上部電極組立体と;基板支持体と;基板処理中に支持体により支持され、基板又はウエハを保持するように働く静電チャックとを含むことができる。壁は、基板をチャンバの内外へ移送させるためのウエハ移送用のスロット又はゲートを含むことが好ましい。壁は、適切な耐摩耗性材料で覆われていてもよい。接地への電気的経路を提供するために、壁は、アルミニウムなどの金属で作製され、電気的に接地することができる。静電チャックは下部電極として働き、(通常は整合ネットワークを介して)高周波(RF)電源と結合されることが好ましい。上部電極組立体は、(通常は整合ネットワークを介して)RF電源、ならびにプロセスガス用の1本又は複数本のガスラインと結合することができる。他の種類の回路構成は、上部電極組立体及びチャックに給電するために使用することができる。例えば、上部電極組立体は、チャックに供給された電力の帰路をもたらすために接地することができる。代替として、チャックは、異なる周波数を有する2つ以上のRF電源に結合することができる。上部電極組立体は、チャックから離隔され、その間にプラズマを生成するための空間を形成する。動作中、上部電極組立体及び/又はチャックは、プロセスガスを電子的に励起してプラズマにする。
【0008】
上部電極組立体は、シングルピース電極又はマルチピース電極であってよい。例えば、上部電極組立体は、シャワーヘッド電極を含むシングルピース構成を含むことができ、あるいは、シャワーヘッド電極及び1つ又は複数の外部電極リングを含むことができる。そのような後者の実施形態において、シャワーヘッド電極及び外縁リングの両方は、エラストマー結合材などの接着剤によりそのリングに接着されたアルミニウムのバッキングプレートによってバッキングされていてもよい。
【0009】
上部電極組立体は、電極と、エラストマー結合材により電極に接着されたアルミニウムのバッキングプレートなどのバッキング部材を含むことが好ましい。エラストマー結合材は、上部電極組立体の温度サイクルの結果としての熱膨張を補償するために、電極とバッキング部材の間の移動を許容する。エラストマー結合材は、導電性及び/又は熱伝導性の充填剤を含むことができ、高温において安定な、触媒で硬化されるポリマーであることができる。例えば、エラストマー結合材はシリコンポリマーで形成することができ、充填剤はアルミニウム合金又はシリコンパウダーで形成することができる。電極は、電極汚染を最小にするために単結晶シリコンで形成されることが好ましい。バッキング部材、エラストマー結合材及び電極は、電極組立体を通してプロセスガスが通過することを許容する複数の穴又はガス出口を含むことができる。好ましくは、穴の直径は、それぞれ1000μm及び600μmである。
【0010】
上部電極組立体の性能は、チャンバの中で多くのRF時間運転された後に、1つには黒色シリコン及び金属汚染の形成により悪化する。「黒色シリコン」は、プラズマ処理動作の間に表面に堆積した汚染物質により表面が微小マスクされた結果として、上部電極組立体の下部表面上に、すなわちプラズマに面する電極上に形成する傾向がある。黒色シリコンの形成により影響を受ける特定のプラズマ処理条件は、低誘電率ビアのエッチング中に使用されるような、中程度のRF電力における高い窒素濃度ならびに低い酸素及びC濃度を含む。微小マスクされた表面領域は、約10nmから約10μmまでの規模でありうる。いかなる特定の理論にも拘束されることは望まないが、シリコンのプラズマに曝される表面上への黒色シリコンの形成は、プラズマ処理動作中に不連続にポリマーが堆積する結果として発生するものと思われる。
【0011】
不連続なポリマーの堆積は、酸化シリコン又は低誘電率の誘電体材料層など、半導体基板上の誘電体材料をエッチングするための主要なエッチング工程中に、プラズマに曝される表面上に形成しうる。ポリマーの堆積は、通常、下層の表面をエッチングから選択的に保護する、三次元の島状の形成物である。ひとたび針状の形成物が形成されると、ポリマーの堆積は、次いで、針の先端に選択的に形成し、それにより後続の基板に対する主要なエッチング工程中に、微小マスクのメカニズム及び黒色シリコンの増殖が加速される。微小マスクされた表面領域の不均一な異方性エッチングは、結果として、表面上に密集した、針状又はロッド状のフィーチャ(feature)の形成をもたらす。これらのフィーチャは、シリコン表面の改変された領域から光が反射することを妨げ、そのことが、それらの領域が黒い外観を有するようにさせる。針状のフィーチャは、通常、約10nmから約50,000nmまでの範囲の長さを有し、又はいくつかの場合にはそれより大きく、かつ約10nmから約50,000nmの幅を有する。
【0012】
黒色シリコンは、改変された表面のプラズマに曝される表面積を増加させるので、黒色シリコンが、プラズマに曝される表面上に形成することは望ましくない。黒色シリコンの程度が過度になる(すなわち、改変された表面領域の面積及び/又はフィーチャの寸法が望ましくないレベルに達する)と、黒色シリコンは、エッチングプラズマ特性の変化を生じさせ、その結果、プロセスシフトをもたらしうる。結果として、プロセスチャンバの中で、ウエハからウエハへ、及び/又は一群のウエハのうちの単一ウエハのプロセス中にウエハ表面にわたって、プラズマエッチング速度が変化しうる。例えば、黒色シリコンが位置する電極の領域に近接する半導体基板の表面領域においては、半導体基板のエッチング速度は著しく低下し、局部的なエッチングが、黒色シリコンの過度の形成により著しく劣化する傾向があることが見出されている。
【0013】
黒色シリコンに加えて、プラズマ放電により生成される高エネルギーのイオン、光子、ならびに種々の中性の原子及び分子の束(flux)により、また、半導体基板の処理の中で発生する種々の反応により、プラズマに曝される表面は、形態的に改変される。プラズマに曝される表面の「形態的変化」は、表面の幅にわたって材料が不均一に除去されることにより生じる、表面のトポグラフィーにおける変化により特徴づけられる。例えば、プラズマに曝される表面は、60〜100μインチ(1.52〜2.54μm)の深さを有する小孔を有する可能性がある。また、平均的な表面粗さは、通常は16μインチ(0.406μm)である。形態的に改変された表面は、結果的に、黒色シリコンの場合のようなプロセスシフトをもたらす。
【0014】
プラズマ処理の間、上部電極組立体は、金属成分により汚染される。汚染仕様に適合できないことが多い、最も一般的な金属イオンには、Al、Ca、Mg、Na及びKが含まれる。また、電極における一般的な汚染物質として見出される、Ni、Fe、Zn、及びTiなどの他の金属元素が存在する。金属成分は、小孔の中に、また形態的に改変された表面上に堆積する。また、金属成分は、電極内部に拡散し、それ故電極の中に堆積する。金属成分は、基板移送中に、又はプラズマ処理中に基板上に剥がれ落ち、それにより基板を汚染する傾向がある。
【0015】
黒色シリコン、小孔、表面粗さ及び金属汚染を除去するために、電極組立体は、チャンバから取り出されて洗浄される。代替として、本明細書で説明される洗浄を、新しい電極組立体の製造中の最終段階として適用することができる。図1は、一実施形態による、電極組立体を洗浄するための代表的工程を示すフローチャート100を示す。工程102において、電極組立体の目視検査が、欠け落ち、亀裂などの損傷をチェックするために実施される。工程104において、有機材料が電極組立体から除去されるように、電極組立体は、タンクの中に入れられた100%イソプロピルアルコールの中に浸漬される。
【0016】
異物を除去するための任意選択の工程として、上部電極組立体は、工程104の前に予備洗浄されてよい(図1に図示せず)。そのような予備洗浄は、ドライアイスの小片の流れを処理される表面に向けることを伴う、COスノー吹き付けを含むことができ、それにより、小片は、電極表面上の大きさが1μm未満の小さな粒子状汚染物質に衝突し、次いで昇華を経て気化して、汚染物質を電極の表面から浮き上がらせる。次いで、汚染物質及びCOガスは、通常は、高性能微粒子(HEPA)フィルタなどのフィルタを通り抜け、そこで、汚染物質は収集され、ガスは放出される。適切なスノー生成装置の一例は、Vatran System社(Chula Vista、CA)から商業的に入手可能なSnow Gun−II(商標)である。
【0017】
工程106において、電極、バッキング部材及びエラストマー結合材の厚さが測定される。次に工程108において、バッキング部材及びエラストマー結合材は、工程110における研磨中に、バッキング部材への損傷、及び粒子がエラストマー結合材中に閉じ込められる可能性を予防するためにマスクされる。
【0018】
工程110の研磨工程は、適切な粗さ等級数を有する砥石車を使用して旋盤の上で上部電極組立体の表面を研削する工程、及び別の砥石車を用いて所望の仕上げ(例えば、8μインチ(0.203μm))まで電極表面を研磨する工程を含むことが好ましい。好ましくは、シリコンの表面は、粗粒を除去し、電極を濡れた状態に保つために、連続流水のもとで研磨される。水が加えられると、研磨工程中に、電極表面から洗浄されるべきスラリが生成される可能性がある。電極は、最初にErgoScrub(商標)及びScrubDISKを使用して研磨することができる。研磨の手順(すなわち、使用される研磨紙の選択及び順序)は、洗浄される電極表面の損傷の程度によって決まる。
【0019】
電極表面に極度のピッチング又は損傷が認められる場合は、研磨は、均一な平面が得られるまで、例えば粒度140又は160のダイヤモンド研磨ディスクを用いて始めることができる。それに続く研磨は、例えば、粒度220、280、360、800、及び/又は1350のダイヤモンド研磨ディスクを用いて実施することができる。軽度のピッチング又は損傷が電極表面上に認められる場合は、研磨は、粒度280のダイヤモンド研磨ディスクを用いて始めることができる。それに続いて、粒度360、800、及び/又は1350のダイヤモンド研磨ディスクが、研磨を完成させるために使用することができる。
【0020】
研磨中、上部電極組立体はターンテーブルに取り付けられ、適度の回転速度を有する。強い力は、プラズマに曝される表面又はエラストマー結合材に損傷が生じる可能性があるので、均一であるが強すぎない力が、研磨中に加えられることが好ましい。研磨プロセスは、電極表面のピッチング又は損傷の程度に応じて、約75分以上かかる可能性がある。研磨後、研磨された表面の表面粗さは、工程112において、例えばSurfscan(商標)測定システムを使用して測定される。許容しうる表面粗さは、およそ8μインチ(0.203μm)以下であることが好ましい。次いで、工程114において、マスクが電極から取り除かれ、プロセスは工程116に進む。
【0021】
電極組立体を洗浄する工程を実行する中で、電極組立体の金属汚染が、いくつかの異なる源から生じる可能性がある。疑わしい汚染源の寄与を分析するために、徹底的な粒子分析を実施することが好ましい。分析は、洗浄プロセスの中で使用されるクリーンルーム(例えば、クラス10、100、及び1000クリーンルーム)及び非クリーンルーム、ならびに以下でさらに詳しく説明する、工程162において使用される真空オーブンの中の、空中浮遊粒子をモニタすることを含むことができる。クリーンルームの中の空中浮遊粒子の数及び組成をモニタするために、新しいシリコンウエハの表面が、空中浮遊量子がウエハの表面上に定着できるように、プリセットされた時間間隔の間、クリーンルームの雰囲気中に曝露される。次いで、シリコンウエハが、クリーンルームバッグの中に包装され、表面の粒子のカウントなど、集められた空中浮遊粒子の量的分析のために実験室に送られる。過去の分析に基づくと、クリーンルーム及び真空オーブンは、おそらく、金属成分の汚染に著しく寄与することはないと思われる。しかし、非クリーンルームの中で酸性溶液でワイピングされるシリコンウエハは、クリーンルームの中でワイピングされるものと比較すると、著しい金属汚染を示す可能性がある(例えば、クロム及び亜鉛の量は一桁分の違いを示す可能性がある)。そのため、好ましい一実施形態において、工程112〜132は、好ましくはクラス100以上のクリーンルームの中で実施される。
【0022】
粒子分析は、以下でさらに詳しく説明する工程160におけるブロー乾燥プロセスの中で使用される、N又はクリーンドライエアなどのガスの汚染測定をも含むことが好ましい。新しいウエハは、プリセットされた時間間隔、好ましくは15分間ブロー乾燥され、表面粒子カウントが、ガスの中の金属汚染を測定するために実施される。同様の分析が、ガスを濾過するためのガスフィルタを用いて実施される。過去の分析に基づき、好ましい一実施形態において、0.01μmガスフィルタが使用される。
【0023】
粒子分析は、汚染源を確認するのを助けるために、ウェット洗浄プロセスの中で使用される種々の工具/溶液の汚染レベルを測定することを、さらに含むことが好ましい。モニタされる工具/溶液は、例えば、超音波浴槽の内部ライナと;以下に説明する図2のワイピング工具200と;以下に説明する図3Aの固定具208と;図1での種々の工程の中で使用されるイソプロピルアルコール、酸性溶液及び超純水のサンプルとを含むことができる。超音波浴槽の内部ライナの寄与を測定するために、新しいウエハが、ライナの中の超純水の中に沈められ、乾燥され、そして表面の粒子をカウントすることにより分析される。過去の分析は、内部ライナが予備洗浄なしで使用される場合は、内部ライナはウエハを著しく汚染する可能性があることを示している。例えば、ウエハの表面上のアルミニウム及びマグネシウムの粒子の粒子数は、新しいウエハの表面上のものより2〜3桁分大きい可能性がある。したがって、好ましい一実施形態において、超音波浴槽の内部ライナは、硝酸溶液で、例えば10%未満の硝酸、より好ましくは約2%の硝酸を含む溶液でワイピングする工程と;超純水でリンスする工程と;イソプロピルアルコールでワイピングする工程と;超純水でリンスする工程とを実施することにより予備洗浄される。同様の試験が、工程128において使用される移送タンクの寄与を求めるために実施されることが好ましい(すなわち、新しいウエハが、移送タンクの中に入れられた超純水の中に沈められ、乾燥され、表面の粒子をカウントすることにより分析される)。過去の試験結果は、移送タンクが、ウエハ表面上のアルミニウム及びマグネシウムの粒子数を、1000〜2200倍に増加させる可能性があることを示す。そのため、移送タンクは、以下にさらに詳しく説明する工程128の前に、予備洗浄されることが好ましい。同様に、ワイピング工具200及び固定具208の表面上の粒子数が測定され、ワイピング工具200及び固定具208に対する同様の予備洗浄が、電極組立体の金属汚染を減少させるために必要であることを結論づけることができる。
【0024】
工程116において、電極組立体は、イソプロピルアルコールでワイピングされ、超純水でリンスされる。図2は、電極組立体300をワイピングするための固定具の概略断面図を示し、電極組立体300は、固定具208の上に搭載されている。図3Aは、電極組立体300を支持する固定具208の斜視図を示し、図3Bは、図3Aの領域Bの拡大された概略断面図を示す。図2におけるカスタム設計のワイピング工具200は、Teflon(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン)で形成され、取っ手部202及び円錐台形部203を含むことが好ましい。円錐台形部203は、ワイピング中に、この場合はイソプロピルアルコールである洗浄溶液で濡れているワイパー206で覆われる平面204を有する。ワイピング工具200のオペレータは、取っ手部202を保持し、ワイピング工具200の上向きの平面204を、電極組立体300の下向きのシリコン表面に接触させるために、上向きの力210を加えることが好ましい。さらに、固定具208は、洗浄中に回転することができる。
【0025】
図2、図3A及び図3Bに示すように、洗浄される電極組立体300の大きさに合わせて作られた固定具208は、頑丈な基部と、作業台の面の上に電極組立体300を支持する3つ以上の支持部材とを有し、電極組立体300の下向きのシリコン表面を洗浄することができる。各支持部材の頂部は、電極組立体300が載り、電極組立体が支持部材から滑り落ちるのを防ぐ段差を有することが好ましい。支持部材及び基部は、Teflon(登録商標)など、酸に対して化学的に抵抗力のある耐化学性材料で覆われ、かつ/又は作製されることが好ましい。
【0026】
電極組立体300(すなわち、バッキング部材及びシリコン表面の両方)は、イソプロピルアルコールでワイピングされる。ワイピングの後で、ワイパー206は、粒子除去品質、すなわち、ワイパー206の上に何らかの可視残留物が存在するかどうか、をチェックするために、目視検査される。オペレータは、ワイパーの上に可視残留物が無くなるまで、イソプロピルアルコールが染み込んだ新しいワイパーで、電極組立体をワイピングすることを繰り返すことができる。ワイピングを繰り返すことは、表面粗さを減少させるだけでなく、表面の汚染を一定限度減少させる。次に、プロセスは、工程118に進むことができる。
【0027】
工程118において、穴、あるいはガス出口及び小孔の中に閉じ込められる可能性のある粒子を除去するために、電極組立体は、マグナムウォーターガンを使用して超純水を噴射され、それにより、超純水が、穴又はガス出口を通り抜け、そこに閉じ込められる可能性のある粒子を、穴又はガス出口から取り除く。フラッシング工程中の水圧は、好ましくは40〜50psi(0.27〜0.34MPa)であり、フラッシング工程は約15分かかる。工程118において電極組立体をフラッシングする工程中、フラッシングシステムが金属/粒子フィルタを有する場合は、超純水は再利用することができる。そのような場合は、再利用される超純水中の汚染レベルがモニタされるように、超純水の電気抵抗率がフラッシング中に測定される。好ましい一実施形態において、超純水の電気抵抗率の許容限界は、約180MΩ・cmである。電極組立体をフラッシングする工程に続いて、電極組立体は、N又はクリーンドライエアでブロー乾燥され、かつ、工程120において、電極組立体の構成部品が製品仕様に適合するかどうかを決定するために、電極組立体の構成部品(すなわち、バッキング部材、電極など)の厚さが測定される。次いで、プロセスは、工程122に進む。
【0028】
工程122において、電極組立体は、ガス出口の中に閉じ込められた粒子、また電極表面に固着した粒子を解放するために、超音波浴槽の内部ライナの中に入れられた超純水の中に浸漬される。通常、超音波浴槽は、ステンレススチールなど、超音波洗浄中に、その中に入れられた超純水の中に金属汚染物質を取り込む金属で形成される。金属製の浴槽に超純水が直接接触するのを避け、それにより金属汚染物質の取り込みを防ぐために、超純水は超音波浴槽の内部ライナの中に入れられ、内部ライナは、ポリエチレン又は高密度ポリエチレンなど、酸、及びその上への汚染物質の堆積に対して抵抗力のある材料で形成することができる。電極組立体は、超純水に沈められている間に超音波洗浄される。電極組立体は、閉じ込められた粒子を除去するのを助けるために、超音波洗浄中に超音波浴槽の内部で上下に移動することができる。Teflon(登録商標)の棒又はTeflon(登録商標)で覆われた電極保持器が、超音波洗浄中にライナの中で電極組立体をつり下げるために使用される場合は、棒又は保持器は、超音波洗浄の前に予備洗浄される。予備洗浄工程は、硝酸溶液で、例えば10%未満の硝酸、より好ましくは約2%の硝酸を含む溶液でワイピングする工程と;超純水でリンスする工程と;イソプロピルアルコールでワイピングする工程と;超純水でリンスする工程とを含む。ライナの中の超純水の電気抵抗率は、超純水の汚染レベルがモニタされるように測定することができる。好ましい一実施形態において、超純水の電気抵抗率の許容限界は、約180MΩ・cmである。次いで、プロセスは、工程124に進む。
【0029】
工程124において、シリコン表面は、本願の権利者が所有する米国特許出願公開第2006/0141802号に開示されるように、フッ化水素酸、硝酸、酢酸、及び残りは水、好ましくは超純水を含む酸性溶液でワイピングされ、同特許の内容はその全体を参照により本明細書に組み込む。フッ化水素酸と硝酸と酢酸と水とを含む酸性溶液により洗浄することが、ピッチング又は表面粗さ、あるいはシリコン表面の変色など、表面の非清浄性ならびに酸化状態の変化を反映するシリコン表面の形態的損傷を引き起こさないことが好ましい。
【0030】
酸性溶液のフッ化水素酸及び硝酸の成分に関して、フッ化水素酸及び硝酸の溶液の、シリコン表面との化学反応は:
3Si+12HF+4HNO→3SiF+4NO+8H
である。
【0031】
フッ化水素酸の溶解速度は、フッ化水素酸の反応定数が低いため、遅い。フッ化水素酸を含む溶液による処置の後、赤外分光分析は、シリコン表面が、SiH、SiH、及びSiHで覆われていることを示すことができる。
【0032】
理論に拘束されることを望まないが、フッ化水素酸及び硝酸の酸性溶液によるシリコンのエッチングにおいて電気化学反応が発生し、そこにおいて、シリコンが硝酸により酸化され、続いて酸化シリコンがフッ化水素酸により溶解されるものと思われる。低濃度のフッ化水素酸を有する酸性溶液の中で、エッチング工程の活性化エネルギーは、0〜50℃の温度において4kcal/molである。この単純で低い値は、異なるシリコン材料のエッチング速度は、低濃度において本質的に同じであるという事実により説明される、拡散律速プロセスの特性である。対照的に、高濃度のフッ化水素酸を有する酸性溶液の中では、2つの異なる活性化エネルギーが認められる。高温において、活性化エネルギーは10〜14kcal/molであり、低温において、活性化エネルギーはおよそ20kcal/molである。これらの値は、シリコンのドーパント濃度、シリコンの結晶方位、及びシリコンの欠陥がエッチング工程の中で影響を及ぼす、表面制御プロセスの特性である。
【0033】
したがって、工程124において使用される酸性溶液は、シリコン表面の洗浄中に、エッチング速度がドーパント濃度、結晶方位に依存することを避けるために、低濃度のフッ化水素酸を含むことが好ましい。酸性溶液は、シリコンを異方性(一方向性)にエッチングすることとは反対に、シリコンを等方性(非方向性、すなわち、エッチング速度は全方向において相対的に一定である)にエッチングすることが好ましい。フッ化水素酸は、いくつかの金属不純物を、金属不純物との錯イオンを形成することにより除去することができるが、フッ化水素酸は、例えば、Cuを除去するには有効ではない。しかし、強力な酸化剤である硝酸は、例えば、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Li、Mg、Mo、Na、Ni、Ti、Zn、及びそれらの組合せなどの不純物と反応して、容易に除去されうるイオンを形成することができる。硝酸は、洗浄されたシリコン表面の変色を生じさせない量で存在することが好ましい。
【0034】
したがって、フッ化水素酸及び硝酸の酸性溶液は、0.1μm以下の小さなエッチングフィーチャ寸法に対する誘電性エッチングプロセスの必要条件に適合する、電極のシリコン表面の高い汚染除去効率を達成することができる。しかし、硝酸は強力な酸化剤であるので、汚染されたシリコン表面がフッ化水素酸及び硝酸の溶液に曝露されると、硝酸は、金属成分をも酸化してシリコンと反応し、それにより緑、青、茶、及び紫を含むシリコン表面の変色を引き起こす。実験は、水でリンスされた、研磨されたシリコン電極組立体に対してさえ、フッ化水素酸及び硝酸の溶液でシリコン表面をワイピングすることで、シリコン表面の色が、シリコン表面上に存在する金属汚染物に従って、明るい均一な色から緑、青、茶、又は紫がかった色まで変化したことを示した。
【0035】
酸化速度を制御して一定のpH値を維持するための緩衝溶液をもたらすために酢酸が加えられ、高い汚染除去効率及び表面清浄度を維持しながらシリコン表面の変色が避けられる。しかし、高濃度の酢酸は、シリコン表面の反応を遅くさせ、洗浄効率を低下させる可能性があるので、シリコン表面は変色を示す可能性がある。さらに、酢酸は、汚染物、例えば金属イオンと錯イオンを形成する可能性がある。したがって、酸性溶液は、0.25〜1容量%のフッ化水素酸、10〜40容量%の硝酸、10〜20容量%の酢酸及び残りは水を含むことができる。
【0036】
上部電極組立体のエラストマー結合材が、酸性溶液により化学的に攻撃されるリスクを低下させるために、電極組立体全体を酸性溶液の中に浸漬するのに反して、シリコン表面を、ワイピングにより酸性溶液に接触させることにより、金属汚染物質が除去される。シリコン表面が洗浄される間、シリコン表面だけが酸性溶液と接触することにより、また、図3Bに示すように、シリコン表面が下向きに支持されるようにする固定具208により、バッキング部材又はエラストマー結合材が酸性溶液と不用意に接触することが避けられる。シリコン表面308が下向きに支持された状態で、シリコン表面308に施された余分の酸性溶液は、バッキング部材330又はエラストマー結合材332に流れるのとは反対に、シリコン表面308から滴下した後で収集することができる。バッキング部材330及びエラストマー結合材332は、酸性溶液に接触した場合は、超純水で直ちに洗浄されることが好ましい。さらに、曝露されたエラストマー結合材332は、酸性溶液で洗浄される前に、マスキング材料及び/又は耐化学性テープで覆うことにより保護されることが好ましい。酸性溶液がバッキング部材330又はエラストマー結合材332と不用意に接触することを避けるための他の方法は、バッキング部材330から下方にシリコン表面308まで噴射される、圧縮された窒素ガス又はクリーンドライエアを使用して、ワイピングの後の電極組立体300を乾燥させること、及び、シリコン表面308からいかなる残留溶液をも吹き飛ばすことを含む。
【0037】
工程124において、シリコン表面は、好ましくは3回、それぞれ3分間ワイピングされる。繰り返しの回数及び各ワイピングプロセスの持続時間は、シリコン層の所望の深さ、例えば1.5〜2.0μmが除去されるように調節されることが好ましい。次いで、工程126において、電極組立体は、工程118と同様に、超純水でフラッシングされる。
【0038】
工程126が完了後、シリコン表面は、許容される粗さを有することができる。また、電極組立体の表面上に堆積した黒色シリコン及び有機材料が除去され、表面上に所望の仕上げを作り出すことができる。しかし、工程104〜126は、金属汚染を所望のレベルまで減少させるには十分であり得ず、典型的な金属汚染物質には、Al、Ca、Mg、Na、K、Ni、Fe、Zn、及びTiが含まれる。金属汚染物質をさらに除去するために、以下の工程が実施される。
【0039】
工程128において、電極組立体は、酸性溶液が電極組立体から除去されるように、好ましくはポリエチレンで形成される容器中の超純水の中に沈められる。また、電極組立体は、後続の工程がクリーンルーム内で実施されるように、すなわち、超純水容器が移送タンクとして使用されるように、超純水容器の中で、好ましくはクラス100以上のクリーンルームに移送することができる。工程102〜126は、クリーンルームの外側で実施することができるので、これらの工程は、汚染除去前工程と総称される。次いで、プロセスは工程130に進む。
【0040】
工程130において、電極組立体は、工程104と同様に、圧縮された超純水でフラッシングされる。残留酸性溶液によるエラストマー結合材又はバッキング部材の潜在的な損傷は、工程130の前に、バッキング部材を超純水でリンスすることによりさらに減少されうる。電極組立体が、シリコン表面が下を向いて固定具208の中に支持された状態で、電極組立体は、ガス穴を通り抜ける超純水で、バッキング部材から下方のシリコン表面までリンスされることが好ましい。
【0041】
上述の通り、固定具208は、電極組立体の汚染を減少させるために、予備洗浄することができる。固定具208を予備洗浄するための工程は、硝酸溶液で、例えば10%未満の硝酸、より好ましくは約2%の硝酸を含む溶液でワイピングする工程と;超純水でリンスする工程と;イソプロピルアルコールでワイピングする工程と;超純水でリンスする工程とを含む。同様に、ワイピング工具200、超音波浴槽の内部ライナ、工程128において電極組立体を移送するための容器、及び電極と直接又は間接に接触する可能性のある任意の他の工具が、予備洗浄することができる。
【0042】
工程132において、電極組立体は、工程116と同様に、イソプロピルアルコール及び超純水でワイピングされる。続いて、工程134〜140において、電極組立体は、4種類の異なる溶液、1)好ましくは圧力40〜50psi(0.27〜0.34MPa)及び流量6.0〜8.0ガロン/分(GPM)(22.7〜30.3リットル/分)で5分間の超純水;2)好ましくは圧力40〜50psi(0.27〜0.34MPa)及び温度120°F(48.9℃)で15分間の熱い超純水;3)好ましくは圧力40〜50psi(0.27〜0.34MPa)及び流量3.5〜4.5GPM(13.2〜17.0リットル/分)で30分間の2%イソプロピルアルコール;及び4)好ましくは圧力40〜50psi(0.27〜0.34MPa)及び温度120°F(48.9℃)ならびに流量3.5〜4.5GPM(13.2〜17.0リットル/分)で15分間の熱い超純水、を使用してパワーフラッシングされる。
【0043】
図4は、工程132、134、136、138、及び140のパワーフラッシングにおいて使用される器具400の概略断面図を示す。図示の通り、器具400は、おおむね円形の板であっていくつかの穴406が流れ管408に接続される上部カバー402を含み、超純水又は2%イソプロピルアルコール溶液などの洗浄液401、好ましくは圧縮された洗浄液401が、管408を通して供給される。器具400はまた、電極組立体が設置される下部容器404を含む。穴406を通して供給される洗浄液401は、電極組立体300の穴を通り抜け、それにより電極組立体300の穴及び表面が洗浄される。下部容器404は、複数のドレイン穴410を含み、そこを通して汚染された液体が抜け出る。汚染された液体は、再利用システムによって収集し、濾過することができる。器具400は、器具400による電極組立体300の潜在的な汚染を減少させるために、パワーフラッシングの前に予備洗浄することができる。パワーフラッシングの後、プロセスは工程142に進む。
【0044】
工程142〜158において、以前の工程のいくつかが、電極を洗浄するために繰り返される。工程142において、電極組立体は、工程118と同様に、超純水でフラッシングされる。工程144で、電極組立体は、工程132と同様に、イソプロピルアルコール及び超純水でワイピングされる。工程146において、シリコン表面は、工程124と同様に、酸性溶液でワイピングされる。工程148において、電極組立体は、工程118と同様に、フラッシングされる。工程150において、電極組立体は、工程132と同様に、イソプロピルアルコール及び超純水でワイピングされる。工程152において、電極組立体は、工程134と同様に、パワーフラッシングされる。工程154において、電極組立体は、工程122と同様に、超音波浴槽の中で洗浄される。工程156において、シリコン表面は、残留する金属汚染物質が電極から除去されることができるように、工程124と同様に酸性溶液でワイピングされる。工程158において、電極組立体は、工程118と同様に、超純水でフラッシングされる。次いで、プロセスは工程160に進む。
【0045】
工程160において、電極組立体は、0.01μmのガスフィルタを通り抜けたNガス又はクリーンドライエアでブロー乾燥される。後続の工程においてブロー乾燥されたシリコン表面に接触しないように、特別の注意が払われ、それにより、手で取り扱うことにより取り込まれる汚染が防止される。工程162において、電極組立体から水をさらに除去するために、電極組立体は、120℃の真空オーブンの中で、好ましくは約3時間ベーキングされる。ベーキング中、電極組立体とオーブンの内壁の間の直接的接触が防止され、それによりオーブンの内壁により電極組立体が汚染されることが防止されるように、Teflon(登録商標)の棒又は板などの分離具(すなわち、真空オーブンの中で電極組立体を支持するために使用される構成部品)が、電極組立体とオーブンの内壁の間に配置される。
【0046】
工程162に続いて、電極組立体が汚染仕様に適合することを保証するために、電極組立体を検査することが好ましい。工程164において、検査は、例えばQIII(登録商標)+Surace Particle Detector(Pentagon Technologies、Livermore、Calif.)により測定されるような、例えば表面粒子数を測定することを含むことができる。また、必要ならば、表面粗さ、誘導結合プラズマ質量分析法を使用するワイパーの表面清浄度、走査型電子顕微鏡を使用する表面形態、ならびに黒色シリコンの小孔及びエッチング深さなど、様々な次元の他の測定が、測定されてよい。電極組立体が汚染仕様に適合するならば、電極組立体は、工程166において、クラス100クリーンルームバッグの中に二重包装される。
【0047】
オペレータは、オペレータの手からの汚染を防止するために、図1の工程(特に、電極/電極組立体をワイピングする工程116、124、132、144、146、150、及び156)の実施の間、ならびに工程間で電極組立体を手で取り扱う間は、手袋をはめることが好ましい。また、必要な場合はいつでも、オペレータは、ある1つの工程の中で生成された汚染物質又は粒子が、後続の工程に移されるのを防止するために、新しい手袋をはめることができる。様々な種類の手袋材料が、最適な手袋材料を決定するために試験された。表1は、クラスM1.5のポリ塩化ビニル(PVC)の手袋(Oak Technical、Talbott、TNにより製造)及びクラス100のニトリルの手袋の2つの代表的な手袋に対する誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)による分析結果を提供している。分析において、各手袋は酸性溶液に接触され、その結果得られた手袋上の金属元素の量が測定された。その結果は下の表1に示され、それは、ナトリウムとニッケルを除くと、クラスM1.5のPVCの手袋が、クラス100のニトリルの手袋よりも金属元素の発生が少なかったことを示している。含まれてはいないが、同様の試験が、超純水及びイソプロピルアルコールが金属元素の形成に与える影響を明らかにするために実施された。その結果に基づいて、好ましい一実施形態において、オペレータは、内手袋がクラス100のニトリルの手袋であり、外手袋がPVCの手袋、例えばクラスM1.5のPVCの手袋である、内手袋及び外手袋をはめる。図2に示すように、クリーンルームワイパー206は、ワイピング工具200の上部を包む。ワイピング中に手袋が酸性溶液と直接接触することを避けるために、好ましくは、ワイパー206の、ワイピング工具200の上面204を覆う部分だけが、酸性溶液で濡らされる。
【0048】
【表1】

【0049】
同様に、様々な種類のクリーンルームワイパーが、材料及び繊維構造の観点から最適のワイパーを決定するために試験された。その試験において、各ワイパーは、イソプロピルアルコール、超純水、又は酸性溶液で濡らされた。次に、ICP−MS分析が、濡らされた領域上の金属元素の量を測定するために、濡らされたワイパー上で実施された。表1は、酸性溶液で濡らされた2つのワイパーに対する結果を含む。クラス100クリーンルームワイパーの方が、非クリーンルームワイパーよりも、金属元素の発生が少なかった、すなわち、酸性溶液に対してより抵抗力があった。その結果に基づいて、好ましい一実施形態において、VWR LabShop(BataVia、IL)で製作されたクラス100の耐酸性クリーンルームワイパーなど、密閉された縁部を有する編まれたポリエステルで作られ、洗濯されたクリーンルームワイパーが使用される。
【0050】
様々な実施形態を説明してきたが、当業者には明らかなように複数の変形及び変更を用いることができることを理解されたい。例えば、図1に示すいくつかの工程は、スキップされても繰り返されてもよい。そのような変形及び変更は、本明細書に添付される特許請求の範囲の中にあるものと考えられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマに曝されるシリコン表面を含むプラズマチャンバの中でプラズマを生成するための電極組立体を洗浄する方法であって、
浴槽の内部ライナ及び前記浴槽の中で前記電極組立体をつり下げるために使用される構成部品を、10%未満の硝酸を含む硝酸溶液で予備洗浄する工程と、
前記予備洗浄された構成部品を使用して前記浴槽の前記予備洗浄された内部ライナの内部に前記電極組立体をつり下げる工程と、
前記浴槽の前記予備洗浄された内部ライナの内部に入れられた超純水の中に前記電極組立体を浸漬するか、又は、前記浴槽の前記予備洗浄された内部ライナの内部に入れられた超純水で前記電極組立体を洗浄する工程と、
前記浴槽の前記予備洗浄された内部ライナから前記電極組立体を取り除く工程と、
前記シリコン表面を、フッ化水素酸と硝酸と酢酸と水とを含む酸性溶液に接触させることにより、前記シリコン表面から汚染物質を除去する工程と、
を含み、
前記電極組立体は、複数のガス出口を有するシャワーヘッド電極を含む、ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記浴槽は、超音波浴槽を含み、
前記方法は、前記超音波浴槽の前記予備洗浄された内部ライナの内部に入れられた超純水で前記電極組立体を超音波洗浄する工程を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記浴槽の前記内部ライナはポリエチレンを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記浴槽の中で前記電極組立体をつり下げるために使用される前記構成部品が、ポリテトラフルオロエチレンを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記硝酸溶液で予備洗浄する工程が、前記硝酸溶液でワイピングする工程と、超純水でリンスする工程と、イソプロピルアルコールでワイピングする工程と、超純水でリンスする工程とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記シリコン表面をイソプロピルアルコールで濡らされたワイパーと接触させる工程、又は、前記電極組立体をタンクの中に入れられたイソプロピルアルコールの中に浸漬する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記イソプロピルアルコールを入れている前記タンクを10%未満の硝酸を含む硝酸溶液で予備洗浄する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記シリコン表面を酸性溶液と接触させる工程は、前記シリコン表面を前記酸性溶液で濡らされたワイパーと接触させる工程を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
クラス100のニトリルの内手袋及びポリ塩化ビニルの外手袋をはめているオペレータが、前記シリコン表面を、前記酸性溶液で濡らされたクラス100の耐酸性ワイパーに接触させる、ことを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記電極組立体を超純水でフラッシングする工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記電極組立体をブロー乾燥する工程と、
前記電極組立体を真空オーブンの中でベーキングする工程と、
前記電極組立体を前記真空オーブンの中で支持するために使用される構成部品を10%未満の硝酸を含む硝酸溶液で予備洗浄する工程と、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記電極組立体をクリーンルームに移送するために使用されるタンクを10%未満の硝酸を含む硝酸溶液で予備洗浄する工程と、
前記予備洗浄されたタンクの中の前記電極組立体をクリーンルームに移送し、前記クリーンルームの中で前記シリコン表面が、フッ化水素酸と硝酸と酢酸と水とを含む前記酸性溶液に接触させられる工程と、
をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
パワーフラッシング工程中に前記電極組立体を含む器具を10%未満の硝酸を含む硝酸溶液で予備洗浄する工程と、
前記予備洗浄された器具の中で支持される前記電極組立体を、イソプロピルアルコール溶液又は超純水でパワーフラッシングする工程と、
をさらに含み、
前記器具は、
前記パワーフラッシングのための圧縮された洗浄液の少なくとも1つの供給源に接続される1つ以上の入口を有する上部カバーと、
排液路を有し、前記電極組立体が設置される下部と
を含み、
前記パワーフラッシング工程は、前記1つ以上の入口を通して圧縮された洗浄液を前記器具に供給する工程を含み、さらに、前記パワーフラッシング工程は、前記電極組立体のガス穴及び表面を洗浄する、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記電極組立体は、シリコン電極にエラストマー結合されたアルミニウムのバッキング部材を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記アルミニウムのバッキング部材は、プレート又はリングを含む、ことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
除去される汚染物質が、Al、Ca、Mg、Na、K、Ni、Fe、Zn、Ti、及びそれらの組合せから成る群から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記酸性溶液は、0.25〜1容量%のフッ化水素酸と10〜40容量%の硝酸と10〜20容量%の酢酸とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記予備洗浄において使用される前記硝酸溶液は、2%の硝酸と残部の水とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
黒色シリコンを前記シリコン表面から除去する工程をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
プラズマに曝されるシリコン表面を含むプラズマチャンバの中でプラズマを生成するための電極組立体を洗浄する方法であって、
前記シリコン表面が下を向くように前記電極組立体を位置決めするために使用される固定具を10%未満の硝酸を含む硝酸溶液で予備洗浄する工程と、
前記シリコン表面が下を向くように前記電極組立体を前記固定具の上に設置する工程と、
前記シリコン表面を、フッ化水素酸と硝酸と酢酸と水とを含む酸性溶液に接触させることにより、汚染物質を前記下向きのシリコン表面から除去する工程と、
を含む、ことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−523300(P2010−523300A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−500975(P2010−500975)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/003969
【国際公開番号】WO2008/121287
【国際公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【出願人】(592010081)ラム リサーチ コーポレーション (467)
【氏名又は名称原語表記】LAM RESEARCH CORPORATION
【Fターム(参考)】