説明

電気モータ操作方法

【課題】 荷を移動させるための油圧式ポンプに対応している電気モータ用オペレーティングシステムを提供する。
【解決手段】 このオペレーティングシステムは、電気モータに電気的に接続されている電源を備えており、このシステム内において、キャパシタ充放電回路はキャパシタに接続され、オペレーティングシステムが稼働中のとき、キャパシタにエネルギーを蓄積させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用材料を取り扱う荷役機械のための、電力を取り扱い、かつ蓄積するシステムに関する。より詳細には、本発明は、荷を移動させるための油圧式ポンプと連係された、電気モータ用オペレーティングシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用材料を取り扱う荷役機械は、多くの産業施設で使用されている。製品を移動させたり、運搬車両から荷を積み降ろしするために、また、産業用材料を取り扱う荷役機械は、製品を棚へ収容したり、他へ移動させたりするために、また当該技術分野で周知の他の目的のためにも用いられている。
【0003】
当該分野におけるこのような荷役機械は、施設の周辺で運転されたり走行させられたりし、また荷を持ち上げたり、積んだり、他の様々な作業をするために、エネルギーを消費する。特に、電動油圧式システムは、このような荷役機械における荷の積み降ろしのために利用されている。一定の高さにある積み荷は、一定の位置エネルギーを有しているので、荷を降ろすときに、このエネルギーを、バッテリの充電や、その他の利用価値のある目的のために、理論上は利用することができる。
【0004】
荷を降ろすときに、位置エネルギーを電気的エネルギーに変換させる電動油圧式方法は、すでに発明されている。しかし、従来技術における荷降ろし時のエネルギー変換方法では、変換されたエネルギーは、鉛蓄電池を効率良く蓄電できるよりも急速に充電してしまうため、良い方法ではなかった。この変換方法では、蓄電池は過度に充電されるため、往々にして蓄電池は破損され、かつ充電用電流の一部だけが、効率の良い充電に利用されることとなる。
【0005】
さらに、充電の際に、電流が蓄電池に流入するとき、及び、放電の際に、電流が蓄電池から流出するとき、蓄電池は比較的安定した電圧を維持する。従って、このような、短時間で急速な蓄電池の放電又は充電を行うと、通常の蓄電池は損傷させられ、その寿命は縮められることになる。
【0006】
従来の技術文献では、エネルギーを蓄電するためにキャパシタを利用することを提案しているが、効率的に蓄電を行わせるために、キャパシタへエネルギーを効率良く制御して供給することに関しては記載されていない。また、このようなキャパシタから、効率良く放電させる方法についても記載されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の主目的は、エネルギーの損失を最小限にとどめるようにした、電気モータ用オペレーティングシステムを提供することにある。
【0008】
本発明のもう1つの目的は、再生成されたエネルギー蓄積用キャパシタに電流を供給するための回路を利用して、効率を改善させることにある。
【0009】
本発明のこれらの目的と他の目的、特徴及び利点は、以下の説明と請求の範囲により、明らかになると思う。
【課題を解決するための手段】
【0010】
電気モータ用オペレーティングシステムを、荷を移動させるための油圧式ポンプに関連づけてある。このオペレーティングシステムは、電源を備えており、この電源は、電気モータと、キャパシタ充放電回路とに電気的に接続されている。キャパシタは、放電時、変圧するキャパシタに電流を供給するキャパシタ充放電回路に、電気的に接続されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1及び図2は、産業用材料を取り扱う荷役機械12のオペレーティングシステム10の概略図である。産業用材料を取り扱う荷役機械に関する使用を示してあるが、このシステムは、電動油圧式電源を用いるどのような装置にも、利用することができる。
【0012】
荷役機械12のリフトシステム14は、電気モータ16を備えている。この電気モータ16は、油圧式ポンプ18に接続された、電気的動力手段である。油圧式ポンプ18は、流体が流動できるように、油タンク20と接続され、油を油圧バルブ22及びリフトシリンダ24へ供給して、荷26を持ち上げさせるようになっている。
【0013】
好適実施例では、油圧バルブ22が用いられているが、別の実施例として、油圧バルブ22を使用せず、油圧式ポンプによって、リフトシリンダ24へ直接流体を流動させるようにもできる。図2に示す別の実施例では、ねじ式装置27を用いて、荷26を、荷役機械の外に落ちないようにして持ち上げるようになっている。
【0014】
オペレーティングシステム10は、電源30を利用する制御システム28を備えている。この電源30は、実施例では直流電源である。別の好適実施例として、電源30をバッテリとすることもある。電源30は、+側DCバス32、及び−側DCバス34を介して、システムの他のコンポーネントに電気的に接続されている。
【0015】
制御システム28の他のコンポーネントとして、キャパシタ充放電回路36が設けられ、この回路36は、電源30及びキャパシタ38に、電気的に接続されている。特にキャパシタ38は、充電することができ、システムに効率良く電力を再供給する。制御システム28は、システム制御回路40及びモータ制御回路42をも有し、この両回路40及び42は、制御システム28の他のコンポーネントと電気的に接続されている。
【0016】
好適実施例では、モータ制御回路42はインバータである。特に、この回路42は、電気モータ16に電気的に接続され、電動油圧式のリフトシステム14を制御するようになっている。
【0017】
稼働させる場合、リフトシリンダ24を作動させて、荷26を下げるとき、キャパシタ充放電回路36は、キャパシタ38に対する電圧を変化させて、キャパシタ38を充電する。同様に、キャパシタが放電するとき、変圧するキャパシタ38から電流が流れ出る。キャパシタは、充放電の間に大きく変圧するため、キャパシタ充放電回路36からの変化する入力電圧によって、キャパシタに効率的な充電が促進され達成される。
【0018】
関係技術者であれば、適宜のタイプのキャパシタを、本発明で用いることができることは、理解しうると思う。標準的なキャパシタ、電解コンデンサ、スーパーキャパシタ、電気化学キャパシタを、全て、本発明において適用しうることは明らかである。また本発明において、複数のキャパシタを、並列、又は直列、又は他の配置で設けることも可能である。
【0019】
本発明は、荷を上げ下げするために利用することができ、また、当該技術者であれば、あらゆる積み荷、すなわち荷役機械の減加速、又は、荷役機械すなわち積み荷の持ち上げの際の変化、又は、産業用の荷役機械で用いられるエネルギーの他の再供給源を含む、エネルギーの再供給源が何であっても、エネルギーを再生成する任意のシステムに対し、同様の手段で、本発明を適用できることは理解しうると思う。
【0020】
キャパシタに蓄えられるエネルギーEは、次の式の如くである。
E=0.5×C×V2
ここで、Eの単位はジュールである。Cは、キャパシタンスであって、その単位はファラッドである。Vは、キャパシタの極板の電位差である。この変圧という特徴により、キャパシタ充放電回路36は、キャパシタを充電するとき変圧して、キャパシタに電流を流すことができるように、かつ、キャパシタを放電するとき変圧して、キャパシタから電流を流させることができる。その結果、キャパシタは、バッテリより早くエネルギーを蓄積することができ、キャパシタ充放電回路36は、制御システム28内に最大限かつ効率的な蓄電を行うという機能を、確実に行うことができる。従って、本発明は、少なくとも上述した目的の全てを満たすことができる。
【0021】
本発明の範囲の精神から逸脱することなく、システムに対して、他の様々な変更例が可能であることは、当該者にとっては明らかであると思う。このような変形例や変更例は、全て特許請求の範囲に含まれ、包括されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電気モータ用オペレーティングシステムの概略図である。
【図2】電気モータ用オペレーティングシステムの概略図である。
【符号の説明】
【0023】
10 オペレーティングシステム
12 荷役機械
14 リフトシステム
16 電気モータ
18 油圧式ポンプ
20 油タンク
22 油圧バルブ
24 リフトシリンダ
26 荷
27 ねじ式装置
28 制御システム
30 電源
32 +側DCバス
34 −側DCバス
36 キャパシタ充放電回路
38 キャパシタ
40 システム制御回路
42 モータ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を移動させるための油圧式ポンプに関連づけられた電気モータの操作方法であって、
前記電気モータに電気的に接続されている電源を設け、
前記電源に電気的に接続されているキャパシタ充放電回路を設け、
エネルギーを蓄積するために、前記キャパシタ充放電回路に電気的に接続されているキャパシタを設け、
前記キャパシタ充放電回路を用いて、前記キャパシタが放電しているとき、変圧している前記キャパシタから、電流を取り出すことからなる方法。
【請求項2】
前記電源に電気的に接続されているシステム制御回路を設けるステップを備える、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電気モータに電気的に接続されているモータ制御回路を設けるステップを備える、請求項2記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−106148(P2009−106148A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−260479(P2008−260479)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(501004464)サウアー ダンフォス インコーポレイテッド (31)
【Fターム(参考)】