説明

電気光学装置及び電子機器

【課題】電気光学装置において、その積層構造を煩雑化させることなく、画素領域における開口率の向上を図る。
【解決手段】電気光学装置は、基板(10)上に、走査線(11)と、データ線(6)と、画素毎に設けられた画素電極(9)と、(i)ゲート電極(30b)、並びに(ii)データ線に接続されたソース領域(30a1)、画素電極に接続されたドレイン領域(30a3)、及び前記ゲート電極に対向するように配置されたチャネル領域(30a2)を有する半導体層(30a)を有する薄膜トランジスタ(30)と、半導体層及び画素電極間に積層された容量電極(5)と、半導体層及び容量電極間に積層され、第1保持容量(70a)を形成する第1中継層(7)と、容量電極及び画素電極間に積層され、第2保持容量(70b)を形成する第2中継層(8)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば素子基板上にスイッチング素子として薄膜トランジスタ(以下、適宜「TFT(Thin Film Transistor)」という)が画素毎に配置された液晶装置等の電気光学装置及びその製造方法、並びに電気光学装置を備えた、例えば液晶プロジェクタ等の電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
電気光学装置の一例である透過型液晶装置では、光源から出射された光源光を液晶で変調することによって画像表示領域に所望の画像が表示される。より具体的には、各々透明な画素電極と対向電極との間に挟持された液晶をこれら電極間に加わる電圧に応じて駆動することによって、光を変調し、光透過率の変化に応じて画像の輝度が調整される。このような液晶装置では、画素電極の電位を保持するための保持容量が、画素領域に複数配列された各画素の開口領域(即ち、各画素において不透明な配線或いは遮光膜によって囲まれ、且つ実質的に画像表示に寄与する領域)を避けるように設けられている。
【0003】
尚、本願では、「画素領域」とは複数の画素が配列された領域全体(典型的には画像表示領域)を意味し、個々の画素の領域における開口領域については特に断りがない限り「各画素の開口領域」として表現する。「画素領域の開口領域」といった場合、各画素の開口領域の集合を意味し、表示画像の明るさを直接的に示す指標となる。
【0004】
例えば特許文献1には、保持容量を構成する容量電極の形状を工夫することによって、画素領域における開口領域の占める割合、即ち、開口率を高めることによって、画素領域の開口率を向上させる技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2008−46187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記の背景技術によれば、保持容量を構成する容量電極の面積が小さくなるため、大きな容量値を有する保持容量を形成することができない。保持容量の容量値は、容量電極の面積に比例するため、保持容量の容量値を高めることを目的としてサイズを大きくしようとしても開口領域が狭められてしまい、画像表示領域の輝度を低下させてしまう。従って、画像表示領域の輝度を保つために、保持容量の容量値が制限されてしまう。逆に、開口率を高めることを目的として、画素間の距離を狭めた場合、液晶装置におけるディスクリネーション及びドメイン等の表示不良を発生させる一因となり、液晶装置等の電気光学装置が画像を表示する際の表示性能を低下させてしまう問題も生じる。
【0007】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、例えば、保持容量を確保しつつ、画素領域における開口率を高め得る液晶装置等の電気光学装置、及びそのような電気光学装置を備える電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、基板上に、第1の方向に延在する走査線と、前記走査線に交差する第2の方向に延在するデータ線と、前記走査線及び前記データ線の交差に対応して画素毎に設けられた画素電極と、(i)前記走査線に電気的に接続されたゲート電極、並びに(ii)前記データ線に電気的に接続されたソース領域、前記画素電極に電気的に接続されたドレイン領域、及び前記ゲート電極に対してゲート絶縁膜を介して対向するように配置されたチャネル領域を有する半導体層を有する薄膜トランジスタと、前記半導体層及び前記画素電極間に積層されており、所定電位に保持された容量電極と、前記半導体層及び前記容量電極間に積層されており、前記ドレイン領域に電気的に接続されると共に、第1容量絶縁膜を介して前記容量電極に対向するように配置されることにより第1保持容量を形成する第1中継層と、前記容量電極及び前記画素電極間に積層されており、前記第1中継層及び前記画素電極間を中継接続すると共に、第2容量絶縁膜を介して前記容量電極に対向するように配置されることにより第2保持容量を形成する第2中継層とを備える。
【0009】
本発明の電気光学装置によれば、基板上には走査線、データ線が夫々異なる方向に配置されており、走査線及びデータ線の交差に対応して画素毎に設けられた画素電極、薄膜トランジスタ(以下適宜単に「TFT」と称する)等を備えている。走査線から入力された走査信号に従って、スイッチング素子として機能するTFTによって各画素電極はオン/オフ駆動され、データ線を介して画像信号が画素電極に書き込まれる。画素電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電材料からなる透明電極である。
【0010】
本発明では特に、TFTを構成する、ソース領域とドレイン領域とは夫々、データ線及び画素電極と電気的に接続されている。また、ゲート電極はゲート絶縁膜を介して、半導体層のチャネル領域に対向するように設けられている。
【0011】
半導体層及び画素電極間には容量電極が積層されており、所定の電位に保持されている。容量電極の両面のうち第1中継層に臨む一方の面は、第1中継層との間に第1容量絶縁膜を挟持することにより、第1保持容量を形成している。また、第2中継層に臨む他方の面は、第2中継層との間に第2容量絶縁膜を挟持することにより、第2保持容量を形成している。このように容量電極は、第1保持容量及び第2保持容量に共通する容量電極であり、所定の電位が印加されている。ここで、所定の電位とは、例えば固定電位であってもよいし、時間的に変動する電位(例えば矩形波状の電位やパルス電位)であってもよい。尚、容量電極は導電性材料であるアルミニウムやポリシリコン等によって形成するとよい。
【0012】
このように保持容量を積層構造中に形成することによって、例えば、画素電極に印加される画像信号電位を保持し、画像表示領域の輝度を保つことができる。特に本発明では、基板上で平面的に見たときに、第1及び第2保持容量を上下に2段階に分けて重ねて形成することによって、保持容量が1段階に形成されている典型的な電気光学装置に比べて、大きな容量値を有する保持容量を形成することができる。即ち、基板上で平面的に見たときに、保持容量が形成されている面積は変わらなくても、形成可能な保持容量の容量値を飛躍的に増大させることができる。そのため、画像表示領域の輝度を比較的長時間保持することができ、明るく鮮明な画像表示が可能な電気光学装置を実現することができる。
【0013】
また、逆に言えば、2つの保持容量を上下に重ねて形成することによって、画像表示領域における保持容量を形成するために必要なスペースを節約することができる。例えば、保持容量が1段に形成されている典型的な電気光学装置に比べて、基板上で平面的に見て半分の面積で同様の容量値を有する保持容量を形成することができる。そのため、保持容量をコンパクトに形成できる分、積層構造中における他の配線や素子等のレイアウトの自由度を高めることができ、電気光学装置の高精細化にも貢献することができる。
【0014】
更に、電気光学装置の画像表示領域の開口率の観点から見ると、保持容量をコンパクトに形成できるので、保持容量が含まれる領域である非開口領域の面積を少なくすることができる。即ち、画像表示領域における開口領域の割合である開口率を向上させることができる。その結果、より表示光が明るく、鮮明な画像表示が可能な電気光学装置を実現することができる。
【0015】
特に本発明では、容量電極を第1保持容量及び第2保持容量に共通する容量電極として用いることによって、別々に2つの保持容量を形成する場合に比べて、基板上の積層構造を単純化することができる。その結果、電気光学装置の製造コストの削減や、電気光学装置の全体サイズを縮小することが可能となり、高精細な電気光学装置を実現することができる。
【0016】
尚、第1及び第2保持容量の容量値は、容量電極と、第1中継層及び第2中継層との間に形成する第1及び第2容量絶縁膜の膜厚及び相対向する容量電極の面積を適切に調整することによって増減すればよい。
【0017】
第1及び第2中継層は、半導体層及び画素電極間を電気的に中継接続している。即ち、本発明では、半導体層と画素電極とを電気的に中継接続するための中継層は、第1及び第2中継層を含んで形成されている。第1及び第2中継層は、夫々、半導体層のドレイン領域及び画素電極に電気的に接続されている。このように2つの中継層を用いてドレイン領域及び画素電極間を電気的に接続することによって、仮に画素電極及びドレイン領域が距離的に離れた層間に形成されていた場合(例えば、画素電極及びドレイン領域間に厚い層間絶縁膜が存在する場合)であっても、良好な導電性を有するコンタクトホールを用いて接続することができる。つまり、仮に画素電極及びドレイン領域間を、深く形成された1つのコンタクトホールを介して直接接続しようとすると、本来良好な導電性を有すべきコンタクトホールの内部に、その製造過程において欠陥等が生じ、導電性が低下してしまう。特に、画像表示信号が印加されるドレイン領域及び画素電極間の導電層にこのような欠陥が生じると、画像表示信号の信号電位が変化することによってノイズが混入したり、信号中にエラーが生じる原因となる。その点、本発明のように、2つの中継層を用いて中継接続することによって、比較的深さの浅いコンタクトホールを用いて画素電極及びドレイン領域間を電気的に接続することができるので、画素電極に印加される画像信号電位にノイズが混入したり、信号中にエラーが生じることを防止することができ、表示画像の質を向上させることができる。
【0018】
以上のように、本発明に係る電気光学装置によれば、高い容量値を有する保持容量を、開口率を低下させることなく形成することができる。その結果、表示光が明るく、鮮明で高品位な画像表示が可能な電気光学装置を実現することができる。
【0019】
本発明の一の態様では、前記第2中継層は、前記データ線と同一膜から成る部分を含む。
【0020】
この態様における「同一膜」とは、電気光学装置の製造工程における同一機会に成膜される膜を意味し、同一種類の膜である。即ち、第2中継層は、製造工程においてデータ線と同一機会に成膜される膜である。尚、本発明に係る「同一膜からなる」とは、一枚の膜として連続していることまでも要求する趣旨ではなく、基本的に、同一膜のうち相互に分断されている膜部分であれば足りる趣旨である。即ち、データ線と第2中継層とは、同一機会に形成されているが、互いに分断されていてもよい。更に、データ線及び第2中継層は必ずしも層状の構造を有している必要はなく、例えば、データ線が半導体層のソース領域に接続するためのコンタクトホールと一体的に三次元的な構造を有していてもよい。
【0021】
このように、製造工程における特定のプロセスでデータ線及び第2中継層を形成することによって、製造コストの削減に貢献できるだけでなく、配線レイアウトの簡素化又は効率化にも貢献することができる。
【0022】
上述の第2中継層がデータ線と同一膜で形成されている態様では、前記データ線は、前記基板上で平面的に見て、前記画素の開口領域を区画する非開口領域に重なる領域において、前記第2中継層に重なる領域を避けるように引き回されていてもよい。
【0023】
この態様によれば、第2保持容量の一方の電極である第2中継層は、保持容量の容量値を高めるべく、非開口領域内においてできるだけ大きく形成することが好ましい。この場合、第2中継層と同一膜で形成されるデータ線は、画像表示領域における開口率を低下することを防ぐために、非開口領域内において、第2中継層が形成されていない領域を引き回すように形成とよい。
【0024】
本発明の一の態様では、前記第1中継層及び前記第2中継層間に積層されていると共に、前記基板上で平面的に見て前記第2保持容量が形成された領域に、少なくとも部分的に積層されていない第1層間絶縁膜を更に備え、前記第1中継層及び前記第2中継層は、前記基板上で平面的に見て前記第2保持容量が形成されていない領域における前記第1層間絶縁膜に開孔された第1コンタクトホールを介して相互に電気的に接続されている。
【0025】
この態様によれば、第1層間絶縁膜は、基板上で平面的に見て、第2保持容量が形成された領域及び第1コンタクトホールが存在する領域を除いた領域において、第1中継層及び第2中継層間に積層されている。つまり、第1コンタクトホールは、第1中継層及び第2中継層間を、第2保持容量が形成されている領域を避けるように、形成されている。このように、第1層間絶縁膜及び第1コンタクトホールを形成することによって、第1及び第2保持容量を基板上の積層構造中にコンパクトに形成することができる。その結果、その他の配線等のレイアウトの自由度を向上させることができ、製造プロセスの技術的な困難性を解決したり、電気光学装置の高精細化にも貢献することができる。
【0026】
上述の第1層間絶縁膜及び第1コンタクトホールを有する態様では、前記画素電極及び前記第2中継層間に積層されている第2層間絶縁膜を更に備え、前記画素電極及び前記第2中継層は、前記基板上で平面的に見て前記第2保持容量が形成されておらず且つ前記第1層間絶縁膜が形成されている領域における前記第2層間絶縁膜に開孔された第2コンタクトホールを介して相互に電気的に接続されていてもよい。
【0027】
この態様によれば、第2層間絶縁膜は、基板上で平面的に見て、第2保持容量が形成されていない領域のうち、第1層間絶縁膜が形成された領域において、画素電極及び第2中継層間に積層されている。そして、第2コンタクトホールは、画素電極及び第2中継層間を電気的に接続するように、第2層間絶縁膜に形成されている。このように、第2層間絶縁膜及び第2コンタクトホールを形成することによって、第1及び第2保持容量を基板上の積層構造中にコンパクトに形成することができる。その結果、その他の配線等のレイアウトの自由度を向上させることができ、製造プロセスの技術的な困難性を解決したり、電気光学装置の高精細化にも貢献することができる。
【0028】
第1及び第2層間絶縁膜を備える態様では、前記データ線及び前記ソース領域は、(i)前記基板上で平面的に見て前記第1保持容量及び前記第2保持容量のいずれもが形成されていない領域における前記第1層間絶縁膜、(ii)前記薄膜トランジスタ及び前記第1中継層間に積層されている他の層間絶縁膜、並びに(iii)前記ゲート絶縁膜に、一連なりで開孔された他のコンタクトホールを介して相互に電気的に接続されていてもよい。
【0029】
この態様によれば、第1層間絶縁膜、その他の層間絶縁膜及びゲート絶縁膜にコンタクトホールを形成することによって、例えば、第2中継層と同一膜で、第1層間絶縁膜上に形成されたデータ線と、ゲート絶縁膜の下層側に形成されているソース領域とを電気的に接続することができる。
【0030】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を備える。
【0031】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明に係る電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像を表示することが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明の電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することも可能である。
【0032】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らか
にされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下では、本発明の実施形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0034】
<1.液晶装置>
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。
【0035】
図1は、TFTアレイ基板10を、その上に形成された各構成要素と共に、対向基板20の側から見た液晶装置の構成を示す概略的な平面図であり、図2は、図1のH−H´断面図である。
【0036】
図1及び図2において、本実施形態に係る液晶装置は、対向配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は例えば石英基板、ガラス基板等の透明基板又はシリコン基板である。対向基板20も例えばTFTアレイ基板10と同様の材料からなる基板である。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、電気光学動作の行われる画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0037】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。また、例えばシール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。
【0038】
シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0039】
TFTアレイ基板10上における、画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域には、データ線駆動回路101、サンプリング回路7、走査線駆動回路104及び外部回路接続端子102が夫々形成されている。
【0040】
TFTアレイ基板10上における周辺領域において、シール領域より外周側に、データ線駆動回路101及び複数の外部回路接続端子102が、TFTアレイ基板10の一辺に夫々沿って設けられている。
【0041】
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域のうちシール領域より内側に位置する領域には、TFTアレイ基板10の一辺に沿う画像表示領域10aの一辺に沿って且つ額縁遮光膜53に覆われるようにしてサンプリング回路7が配置されている。
【0042】
また、走査線駆動回路104は、TFTアレイ基板10の一辺に隣接する2辺に沿い、且つ、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。更に、このように画像表示領域10aの両側に設けられた二つの走査線駆動回路104間を電気的に接続するため、TFTアレイ基板10の残る一辺に沿い、且つ額縁遮光膜53に覆われるようにして複数の配線105が設けられている。
【0043】
また、TFTアレイ基板10上の周辺領域において、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、上下導通端子106が配置されると共に、このTFTアレイ基板10及び対向基板20間には上下導通材が上下導通端子106に対応して該端子106に電気的に接続されて設けられている。
【0044】
図2において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成されている。画像表示領域10aには、画素スイッチング用TFTや走査線、データ線等の配線の上層に画素電極9がマトリクス状に設けられている。画素電極9は、ITO膜からなる透明電極として形成されている。画素電極9上には、配向膜16が形成されている。
【0045】
他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば遮光性金属膜等から形成されており、対向基板20上の画像表示領域10a内で、例えば格子状等にパターニングされている。そして、遮光膜23上(図2中遮光膜23より下側)に、ITO膜からなる対向電極21が複数の画素電極9と対向して例えばベタ状に形成され、更に対向電極21上(図2中対向電極21より下側)には配向膜22が形成されている。
【0046】
液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。そして、液晶装置の駆動時、夫々に電圧が印加されることで、画素電極9と対向電極21との間には液晶保持容量が形成されている。
【0047】
尚、ここでは図示しないが、TFTアレイ基板10上には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104の他に、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該液晶装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等が形成されていてもよい。
【0048】
次に、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域の電気的な構成について、図3を参照して説明する。ここに図3は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0049】
図3において、画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素の
各々には、画素電極9及び画素スイッチング用のTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9に電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置の動作時に画素電極9をスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6は、TFT30のソース領域に電気的に接続されている。データ線6に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、互いに隣り合う複数のデータ線6同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0050】
TFT30のゲートには走査線11が電気的に接続されており、本実施形態に係る液晶装置は、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6から供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20(図2参照)に形成された対向電極21(図2参照)との間で一定期間保持される。
【0051】
液晶層50(図2参照)を構成する液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として液晶装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射される。
【0052】
ここで保持された画像信号がリークすることを防ぐために、画素電極9と対向電極21(図2参照)との間に形成される液晶容量に対して電気的に並列に、本発明における「第1及び第2保持容量」の一例である蓄積容量70が付加されている。
【0053】
次に、本実施形態に係る液晶装置において、画像表示領域10aにおける具体的な積層構造について詳しく説明する。
【0054】
図4は、本実施形態に係る液晶装置の画像表示領域10aにおける、電気光学動作を行うために配置された電極及び配線等の位置関係を透過的に示した模式図である。尚、図4では、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0055】
TFTアレイ基板10上には、走査線11及びデータ線6が、夫々X方向及びY方向に沿って配置されており、データ線6と走査線11の交差付近にTFT30(即ち、半導体層30a及びゲート電極30b)が形成されている。走査線11は、遮光性の導電材料、例えば、W(タングステン)、Ti(チタン)、TiN(窒化チタン)等から形成されており、TFT30の半導体層30aを含むように半導体層aより幅広に形成されている。ここで、後述するように、走査線11は半導体層30aより下層側に配置されているので、このように走査線11をTFT30の半導体層30aよりも幅広に形成することによって、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクタ等で他の液晶装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域30bを殆ど或いは完全に遮光できる。その結果、液晶装置の動作時に、TFT30における光リーク電流は低減され、コントラスト比を向上させることができ、高品位の画像表示が可能となる。
【0056】
TFT30は、半導体層30aと、ゲート電極30bとを有して構成されている。半導体層30aは、ソース領域30a1、チャネル領域30a2、ドレイン領域30a3含んで形成されている。ここで、 チャネル領域30a2とソース領域30a1、又は、チャネル領域30a2とドレイン領域30a3との界面にはLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成されていてもよい。
【0057】
尚、TFT30のゲート電極は図4においては図示を省略しているが、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、半導体層30aのチャネル領域に重なる領域にゲート絶縁膜を介して形成されている。尚、ゲート電極30bは、下層側に配置された走査線11にコンタクトホール35を介して電気的に接続されており、走査信号が印加されることによってTFT30をオン/オフ制御している。
【0058】
TFT30のソース領域30a1は、コンタクトホール31を介して上層側に形成されたデータ線6に電気的に接続されている。一方、ドレイン領域30a3は、コンタクトホール32を介して、半導体層30aの上層側に形成されている第1中継層7に電気的に接続されている。第1中継層7は、コンタクトホール33を介して、更に上層側に形成された第2中継層8を介して、画素毎に島状に配置されている画素電極9(図4において省略)に電気的に接続されている。
【0059】
続いて、図5を参照して、図4のA−A´線断面における積層構造について説明する。TFTアレイ基板10上には、上述した走査線11が、上層側に形成されたTFT30の半導体層30aよりも幅広に形成されている。走査線11は下地絶縁膜12によって覆われており、その表面が平坦化されている。尚、下地絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能も有している。
【0060】
TFT30は、半導体層30a(即ち、ソース領域30a1、チャネル領域30a2及びドレイン領域30a3)及びゲート電極30bから構成されている。特にゲート電極30bは、例えば導電性ポリシリコンから形成されており、ゲート絶縁膜13に開孔されたコンタクトホール(図5において図示省略)を介して、走査線11に電気的に接続されている。
【0061】
半導体層30aのうちソース領域30a1は、ゲート絶縁膜13及び第1層間絶縁膜14に開孔されたコンタクトホール31を介して、画像信号が供給されるデータ線6に電気的に接続されている。一方、ドレイン領域30a3は、上層側に形成された画素電極9に、第1中継層7及び第2中継層8を介して、電気的に接続されている。ここで、第1中継層7は、ゲート絶縁膜13及び第1層間絶縁膜14に開孔されたコンタクトホール32に形成されており、ドレイン領域30a3及び第2中継層8間を電気的に接続している。また、第2中継層8は、第2層間絶縁膜15に開孔されたコンタクトホール33に形成されており、第1中継層及び画素電極9間を電気的に接続している。
【0062】
第1中継層7及び第2中継層8間には、共通容量電極5が形成されており、第1中継層7及び共通容量電極5を一対の容量電極として第1蓄積容量70a、並びに第2中継層8及び共通容量電極5を一対の容量電極とする第2蓄積容量70bが形成されている。
【0063】
第1蓄積容量70aは、第1中継層7及び共通容量電極5間に第1容量絶縁膜1を挟持することによって構成されている。また、第2蓄積容量70bは、第2中継層8及び共通容量電極5間に第2容量絶縁膜2を挟持することによって構成されている。ここで、第1蓄積容量70a及び第2蓄積容量70bは、一方の容量電極を共通容量電極5としているため、互いに並列に接続されている。そのため、蓄積容量70の全体の容量値は、第1蓄積容量70a及び第2蓄積容量70bの夫々の容量値の和となる。このように蓄積容量70の容量値を、第1蓄積容量70a及び第2蓄積容量70bから形成することによって、高めることができる。
【0064】
ここで、図6は、本実施形態における二つの蓄積容量が積み重なっている構造に代えて、一対の容量電極から形成されている電気光学装置(以下、比較例という)における積層構造を示す断面図である。即ち、図6に示す比較例は、蓄積容量70が一対の容量電極(即ち、容量電極5及び中継層7)から形成されている点で、上述の本実施形態に係る液晶装置と異なっている。蓄積容量70の容量値は容量電極の面積に比例するが、図6のように一対の容量電極でのみ蓄積容量70を形成しようとすると、容量電極の面積は蓄積容量70以外の配線等によって制限されることから、蓄積容量70の容量値をある程度以上の値に高めることが難しい。
【0065】
一方、図5に示すように、TFTアレイ基板10の厚み方向に(即ち、図5において縦方向に)、第1蓄積容量70a及び第2蓄積容量70bを形成することによって、より大きな容量値を有する蓄積容量70を形成することが可能となる。特に本実施形態では、TFTアレイ基板10上で平面的に見たときに、第1蓄積容量70a及び第2蓄積容量70bが上下に2段に渡って形成されているので、比較例に比べて、例えば2倍の容量値を有する蓄積容量70を形成することができる。即ち、TFTアレイ基板10上で平面的に見たときに、蓄積容量70が占める面積自体は変わらなくても、形成可能な蓄積容量70の容量値を飛躍的に増大させることができる。
【0066】
このように、第1蓄積容量70a及び第2蓄積容量70bをTFTアレイ基板10上でみて重なるように形成することによって、コンパクトな領域内に容量値の大きな蓄積容量70を形成することが可能となる。逆に言えば、蓄積容量70をコンパクトに形成している分、積層構造中の他の配線や素子等のレイアウトの自由度を増大させることができ、液晶装置の製造プロセスにおける各工程の技術的な困難性を緩和したり、より微細な積層構造を有する液晶装置を実現することが可能となる。特に、液晶装置のような高精細化が要求される電気光学装置のように、狭い面積に蓄積容量を形成する必要がある場合であっても、本実施形態のように蓄積容量を形成することによって、狭い範囲内に大きな容量値を有する蓄積容量を形成することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態のように蓄積容量70をコンパクトな範囲内に形成することによって、蓄積容量70が占める面積を小さく抑えることができ、その結果、液晶装置の開口率を向上させることができる。つまり、画像表示領域10aにおいて表示光が透過しない非開口領域が占める割合を減少させることができるため、画像表示領域10aにおける開口率の向上に貢献することができる。即ち、より表示光が明るく、鮮明な画像表示が可能な液晶装置を実現することができる。
【0068】
また、共通容量電極5を第1蓄積容量70a及び第2蓄積容量70bに共通する容量電極として用いることによって、別々に2つの蓄積容量を形成する場合に比べて、TFTアレイ基板10上における積層構造を単純化することができる。その結果、液晶装置の製造コストの削減や、液晶装置の全体サイズを縮小することが可能となり、高精細な液晶装置を実現することができる。
【0069】
尚、第1蓄積容量70a及び第2蓄積容量70bの容量値は、第1容量絶縁膜1及び第2容量絶縁膜2の膜厚及び相対向する容量電極の面積を適切に調整することによって増減すればよい。
【0070】
また本実施形態では、第1中継層7及び第2中継層8をドレイン領域30a3及び画素電極9間に形成することによって2段階に渡って電気的に中継接続している。このように2つの中継層を用いてドレイン領域30a3及び画素電極9間を電気的に接続することによって、仮に画素電極9及びドレイン領域30aが夫々距離的に離れた層に形成されていた場合であっても、中継層が形成されているコンタクトホール(即ち、コンタクトホール32、33及び34)の導電性を良好に確保することができる。つまり、仮に画素電極9及びドレイン領域30a3間を、深く形成された1つのコンタクトホールを介して直接接続すると、本来良好な導電性を有すべきコンタクトホールの内部に、その製造過程において欠陥等が生じ、導電性が低下してしまう。特に、画像表示信号が印加されるドレイン領域30a3及び画素電極9間を接続する導電層にこのように欠陥が生じると、画像表示信号の信号電位にノイズが混入したり、エラーが生じる原因となる。また、このような深いコンタクトホールは形成する際には、技術的な困難性も伴う。その点、本実施形態のように、第1中継層7及び第2中継層8を用いて中継接続することによって、比較的深さの浅いコンタクトホール32、33及び34を用いて画素電極9及びドレイン領域30a3間を電気的に接続することができるので、画素電極9に印加される画像信号電位にノイズが混入したり、エラーが生じることを防止することができる。その結果、高品位な画像表示が可能な液晶装置を実現することができる。
【0071】
尚、本実施形態における第2中継層8及びデータ線6は、同一膜からなる。即ち、第2中継層8及びデータ線6は、後に詳述するように、本実施形態に係る液晶装置の製造工程における同一機会に成膜される同一種類の膜である。このように第2中継層8及びデータ線6を同一膜から形成することによって、製造工程における特定のプロセスで両者をまとめて形成することができるので、より製造コストの削減に貢献でき、配線レイアウトの簡素化又は効率化にも貢献することができる。
【0072】
尚、図5では図示を省略しているが、画素電極9上には液晶50の配向状態を規制する配向膜が積層されている。
【0073】
<変形例>
続いて、図7を参照して上述の実施形態の変形例について説明する。図4は、変形例に係る液晶装置の画像表示領域10aにおける、電気光学動作を行うために配置された電極及び配線等の位置関係を透過的に示した模式図である。変形例においては、図4に示した場合と異なって、データ線6は直線的な形状をしているのではなく、走査線11に重なる範囲内において、同一膜で形成された第2中継層8を避けるように迂回して、データ線6が配置されている。つまり、第2蓄積容量70bの容量値を高めるべく、容量電極の一方である第2中継層の面積を大きく形成した分、同層に形成されるデータ線の形状を図7に示すように形成している。
【0074】
<製造方法>
続いて、図8及び図9を参照して、以上で説明した実施形態における液晶装置の製造方法について、工程毎に説明する。
【0075】
まず、図8(a)に示すように、TFTアレイ基板10上に、スパッタリング等により、非透明な金属等で走査線11を形成する。例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo、Pd等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等の遮光性材料で形成すればよい。ここで、走査線11の幅が、後の工程で形成する半導体層30aの幅よりも広くなるように形成することが好ましい。このように走査線11を幅広に形成することで、走査線11は本発明における下側遮光膜として機能し、TFTアレイ基板10の下側から半導体層30aに入射しようとする光を効率的に遮光することが可能となる。
【0076】
続いて、図8(b)に示すように、走査線11上に、蒸着等により下地絶縁膜12を形成し、その上層にTFT30を形成する。TFT30は、半導体層30aを積層した後、ゲート絶縁膜13を介して、チャネル領域に対向するようにゲート電極30bを形成する。具体的には、半導体層30aは、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって、下地絶縁膜12上に形成した半導体層30aに不純物を打ち込めばよい。
【0077】
続いて、図8(c)に示すように、TFT30上に第1層間絶縁膜14を積層し、コンタクトホール32を開孔して、ドレイン領域30a3に電気的に接続されるように第1中継層7を形成する。そして、図9(d)に示すように、第1中継層7上に第1容量絶縁膜1を薄く形成し、その上に更に、共通容量電極5を形成することによって、第1蓄積容量70aを形成する。
【0078】
次に、図9(a)に示すように、第1蓄積容量70a上に第2層間絶縁膜15を積層し、共通容量電極5の表面が露出するように、第2層間絶縁膜15を部分的に除去する。そして、共通容量電極5及び第2層間絶縁膜15上に薄く第2容量絶縁膜2を形成する。更に、図9(b)のように、第2容量絶縁膜2上に形成した導電層をパターニングすることによって、データ線6及び第2中継層8を形成する。ここで、データ線6は、ゲート絶縁膜13、第1層間絶縁膜14及び第2層間絶縁膜15にコンタクトホール31を開孔することによって、ソース領域30a1に電気的に接続されるように形成される。一方、第2中継層8は、第2層間絶縁膜15にコンタクトホール33を開孔することによって、第1中継層7に電気的に接続されるように形成される。このように第2中継層8を形成することによって、第1蓄積容量70a上に、共通容量電極5を共通の容量電極として、第2蓄積容量70bを形成することができる。
【0079】
第2蓄積容量70b上には、第3層間絶縁膜16が積層され、その上層側に画素電極9を画素毎に島状に形成する(図9(g)参照)。尚、図9では図示を省略しているが、画素電極9上には、所定の方向にラビング処理が施された配向膜が形成される。
【0080】
このようにして完成されたTFTアレイ基板10は、対向電極や配向膜が積層されることによって完成された対向基板20と、液晶50を介して対向配置されることによって、液晶装置が完成する。
【0081】
尚、変形例に係る液晶装置については、図9(f)においてデータ線6を積層する範囲を変更することによって、同様に製造することができる。
【0082】
<電子機器>
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0083】
図10は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。以下では、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。
【0084】
図10に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110B及び1110Gに入射される。
【0085】
液晶パネル1110R、1110B及び1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、R及びBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。従って、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0086】
ここで、各液晶パネル1110R、1110B及び1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0087】
尚、液晶パネル1110R、1110B及び1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0088】
尚、図10を参照して説明した電子機器の他にも、モバイル型のパーソナルコンピュータや、携帯電話、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等が挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0089】
また、本発明は上述の各実施形態で説明した液晶装置以外にも反射型液晶装置(LCOS)、プラズマディスプレイ(PDP)、電界放出型ディスプレイ(FED、SED)、有機ELディスプレイ、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、電気泳動装置等にも適用可能である。
【0090】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、及び該電気光学装置を備えた電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´断面図である。
【図3】本実施形態に係る液晶装置の電気的な構成を示す回路図である。
【図4】本実施形態に係る液晶装置のTFT周辺の構成を示す平面図である。
【図5】図4のA−A´線断面図である。
【図6】比較例に係る液晶装置のTFT周辺の断面構造を示す断面図である。
【図7】変形例に係る液晶装置のTFT周辺の構成を示す平面図である。
【図8】本実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上の積層構造の製造方法を、工程毎に示す断面図である。
【図9】図10に続いて、本実施形態に係る液晶装置のTFTアレイ基板上の積層構造の製造方法を、工程毎に示す断面図である。
【図10】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0092】
1 第1容量絶縁膜、 2 第2容量絶縁膜、 5 共通容量電極、 6 データ線、 7 第1中継層、 8 第2中継層、 9 画素電極、 10 TFTアレイ基板、 10a 画像表示領域、 11 走査線、 20 対向基板、 21 対向電極、 30 TFT、 30a 半導体層、 30a1 ソース領域、 30a2 チャネル領域、 30a3 ドレイン領域、 30b ゲート電極、 50 液晶、 70 蓄積容量、 70a 第1蓄積容量、 70b 第2蓄積容量

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、
第1の方向に延在する走査線と、
前記走査線に交差する第2の方向に延在するデータ線と、
前記走査線及び前記データ線の交差に対応して画素毎に設けられた画素電極と、
(i)前記走査線に電気的に接続されたゲート電極、並びに(ii)前記データ線に電気的に接続されたソース領域、前記画素電極に電気的に接続されたドレイン領域、及び前記ゲート電極に対してゲート絶縁膜を介して対向するように配置されたチャネル領域を有する半導体層を有する薄膜トランジスタと、
前記半導体層及び前記画素電極間に積層されており、所定電位に保持された容量電極と、
前記半導体層及び前記容量電極間に積層されており、前記ドレイン領域に電気的に接続されると共に、第1容量絶縁膜を介して前記容量電極に対向するように配置されることにより第1保持容量を形成する第1中継層と、
前記容量電極及び前記画素電極間に積層されており、前記第1中継層及び前記画素電極間を中継接続すると共に、第2容量絶縁膜を介して前記容量電極に対向するように配置されることにより第2保持容量を形成する第2中継層と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記第2中継層は、前記データ線と同一膜から成る部分を含むことを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記データ線は、前記基板上で平面的に見て、前記画素の開口領域を区画する非開口領域に重なる領域において、前記第2中継層に重なる領域を避けるように引き回されていることを特徴とする請求項2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記第1中継層及び前記第2中継層間に積層されていると共に、前記基板上で平面的に見て前記第2保持容量が形成された領域に、少なくとも部分的に積層されていない第1層間絶縁膜を更に備え、
前記第1中継層及び前記第2中継層は、前記基板上で平面的に見て前記第2保持容量が形成されていない領域における前記第1層間絶縁膜に開孔された第1コンタクトホールを介して相互に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記画素電極及び前記第2中継層間に積層されている第2層間絶縁膜を更に備え、
前記画素電極及び前記第2中継層は、前記基板上で平面的に見て前記第2保持容量が形成されておらず且つ前記第1層間絶縁膜が形成されている領域における前記第2層間絶縁膜に開孔された第2コンタクトホールを介して相互に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項4に記載の電気光学装置。
【請求項6】
前記データ線及び前記ソース領域は、(i)前記基板上で平面的に見て前記第1保持容量及び前記第2保持容量のいずれもが形成されていない領域における前記第1層間絶縁膜、(ii)前記薄膜トランジスタ及び前記第1中継層間に積層されている他の層間絶縁膜、並びに(iii)前記ゲート絶縁膜に、一連なりで開孔された他のコンタクトホールを介して相互に電気的に接続されている
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の電気光学装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電気光学装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−91740(P2010−91740A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−260915(P2008−260915)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】