説明

電気接点の構成

本発明は、プリント回路基板の表面に構成されたハンダ面(16)と、ハンダ面(16)の上に構成される水平接触面(18)とを有するプリント回路基板(12)上のバネ接触部材(10)の電気接点構成であって、バネ接触部材(10)が接触面(18)上に構成される、電気接点構成を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント回路基板上のバネ接触部材の電気接点の構成に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、銅製の表面であるハンダ面は、プリント回路基板に導電パターンとして接着され、プリント回路基板上のバネ接触部材に直接接触させられる。銅製の表面は、導電性を有しており、ハンダ止め可能である。しかし、このタイプの接点では、プリント回路基板を上向きにしたときの上面および/または側面にしか、バネ接触部材を配置することができない。このタイプの製造方法では、接触および接触時のフォースによって(例えば振動によって)表面が大きく傷つく可能性がある。さらに、バネ接触部材は、接触させるために非常に大きな面積を必要とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って本発明の目的は、プリント回路基板上のバネ接触部材で利用され、損傷が少なく、空間要件も低減した電気接点構成の提供である。この目的は、請求項1に記載の特徴により解決可能である。本発明の好適な設計は、従属項で請求されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によるプリント回路基板上のバネ接触部材の電気接点構成は、プリント回路基板の表面上に設けられたハンダ領域と、ハンダ面に設けられた水平接触面とを有し、バネ接触部材は、接触面上に構成することができる。
【0005】
本発明の電気接点構成の特徴は、プリント回路基板の表面の少なくとも一部の領域に構成されるハンダ面と、このハンダ面に取り付けられる水平接触面とである。水平設計とは、接触面が平面に設計されていることを意味する。後にこの接触面の上には、バネ接触部材を配置することができる。ハンダ剤をハンダ面に塗布するとき、ハンダ面には、ハンダペーストの圧力が均等に分散されるよう、または、随意に部分的に分散されるようにして、ハンダ面が、接触面の全面積または一部の面積を覆うようにすると好適である。好適には、ハンダ面は、接触面の4つの端部被覆領域に設けられると良い。接触面は、例えばハンダ面と、ハンダ面に塗布されるハンダ剤とにより、プリント回路基板に固定することができる。水平接触面自身は、電気導電性を有する設計となっているので、プリント回路基板の一端にバネ接触部材を固定して、プリント回路基板の他端にバネ接触部材を電気的に接触させることができるような、機械的ストレージ(mechanical storage)の機能を果たすことができる。ハンダ面、および、その上の接触面の水平設計によって、バネ接触部材をプリント回路基板の底面に取り付けて、例えば、遮蔽部とバネ接触部材との間を接続することができ、および/または、バネ接触部材を遮蔽接続部として設計したりすることができるようになる。空間を節約する趣旨から、好適には、バネ接触部材はプリント回路基板の下側に構成するとよいだろう。従って、特に接触部材の設置空間の確保が難しい領域において、消耗を最小限に抑え、且つ空間の節約を可能とするような電気接点構成を設けることができる。水平接触面も、空間節約機能がある。加えて、本発明における接点構成は、従来知られている電気接点構成では未だかつて実現していない、プリント回路基板が損傷したときの補修を可能とする。
【0006】
本発明の有利な設計においては、水平接触面が、シート状金属部材からなる。シート金属部材は、その構成上、空間を節約しやすいという利点と、所望の仕様に合わせて大型にしたり厚くしたりしやすいという利点も有する。シート金属部材は、青銅材料(好適にはCuSn6)からなり、さらには腐蝕しにくい導電性表面(好適には錫(Sn)、銀(Ag)および/または金(Au))で設計されるとよい。こうすることで、接触面の導電性が特に良好になる。水平接触面をシート金属部材により設計することで、接触領域におけるプリント回路基板の損傷が防がれる。通常はベースコーティングが施される。一般的なベースコーティングは、いくらかの厚みのある銅が、プリント回路基板に塗布され、接着されたものである。このベースコーティング上に1以上の面(surfaces)を設けることもできる。シート金属部材を利用することで、特にコスト効率の高い接触面を設けることが可能となる。さらに、バネ接触部材を、プリント回路基板の長手方向と並行に水平接触面へと滑らせることができる構成にすると好適である。この構成により、プリント回路基板上にバネ接触部材を特に簡単に安全に取り付けることができるようになり、非常に狭い設置空間しかない場合にも接点を設置しやすくなる。公知の電気接点と構成と比べた場合、この電気接点構成は操作が格段にしやすい。
【0007】
好適には、ハンダペーストをプリント回路基板の表面に塗布して、マット状のハンダペースト表面を生成する。マット形状は、ハンダ剤をハンダペースト状でハンダ面に塗布してハンダペーストで湿らす際に有利な形状である。ハンダペーストはこのようにしてプリント表面基板上の接触面全体(according to the dimensions of the contact surface)に塗布することができるが、ハンダペーストの塗布面積は、接触面の大きさより小さくても大きくてもよい。一例では、ハンダペーストは、押圧により塗布することもできる。ハンダペーストは、全面塗布もできるし、数箇所に塗布することもできる。水平接触面をハンダ面に確実に接着するためには、ハンダペースト領域をマット形状に作ると好適である。ハンダ剤としてハンダペーストを利用するときには、リフロー式を採用すると、プリント表面基板に接触面が確実に取り付られるので好適である。こうするためには、先ずハンダペーストをプリント回路基板のハンダ面に塗布する。次に、水平接触面を、ハンダペーストおよび/またはハンダ面に取り付ける。ハンダペーストを利用すると、別途接着剤を必要とせずに接着ができ、ハンダペースト、および/または、ハンダ面に水平接触面を直接取り付けることができるので好適である。別途加熱すると、塗布したハンダペーストが溶融して、ハンダペーストおよび/またはハンダ剤の溶融に起因した表面張力のせいで、水平接触面が自動的にハンダ面の中央に位置合わせされる。ハンダペーストを利用することで、簡単な溶融で大面積にハンダプロセスを行うことが可能となる。
【0008】
さらに、プリント回路基板のハンダ面領域には、貫通ボア(through-flow bore)が形成されており、貫通ボアは、換気用に設計される、または、貫通接触(through-contacting)を行うために設けられる。貫通ボアを換気用に設計する場合には、ハンダ面のハンダ付けの際に空気を逃がして、ハンダプロセス中に生じた熱を排気することができるようになる。このようにすることで、ハンダ面と水平接触面との間の気泡および/または縮みの発生を防ぐことができ、特にせん断力および圧力に対する、接触面のハンダ面への接着の安定度が増す。さらに必要に応じて、この換気用ボアを通じてさらにハンダ剤を供給して、接触面に対向するプリント回路基板の面にさらにハンダプロセスを行うと、接触面とハンダ面との間のハンダ接合部の安定度がさらに高まる。貫通ボアを貫通接触のために設ける場合には、ハンダ面の上に塗布するハンダ剤を貫通ボア内で固着させて、ハンダ剤をハンダ面および/またはプリント回路基板に対して、安定して結合させることができ、特にせん断力に対して強固な結合とすることができる。貫通接触として貫通ボア内から既にハンダ面に塗布されているハンダ剤に加えて、さらにハンダ剤を塗布すると、せん断力に対する接触面のハンダ面に対する固着性(stability)はさらに向上する。貫通接触のための貫通ボアによるハンダ剤の供給は、リフローハンダプロセスおよび後続するウェーブハンダプロセスでも行うことができる。
【0009】
さらに、接触面の端部領域の少なくとも1つには、面取り部(bevel)および/または、チャンバー面取り部(chamber-bevel)を設けると好適である。面取り部および/またはチャンバー面取り部を設けると、バネ接触部材が接触面に固定さている際にバネ接触部材を偏向させることができるので、設置がより簡単になり、材料への応力が低減される。例えば、接触面に面取り部を設ける場合、接触面を、水平形状(straight shaped)の接触面および/または水平形状のシート金属部材の形状として設計して、面取り部を水平の接触面および/または水平のシート金属部材の端部のうちいずれかに設けることができる。チャンバー面取り部は、接触面および/またはシート金属部材に角度を持たせることで、または、接触面および/シート金属部材の厚みを修正することで設けることができる。面取り部および/またはチャンバー面取り部を設けることで、特にバネ接触部材を接触面に取り付ける際の、バネ接触部材に対する損傷が防がれる。さらに、面取り部および/またはチャンバー面取り部を設けると、バネ接触部材を、水平方向の角度、および、垂直方向の角度をもって挿入することができるようになり、バネ接触部材を接触面に挿入する処理が簡単になり、ひいては、バネ接触部材を接触面および/またはプリント回路基板に固定する処理が簡単になる。面取り部および/またはチャンバー面取り部は、前面に、および/または初めに接触面の上にバネ接触部材が挿入される方向および/または取り付けられる方向に設けられた接触領域の端部に設けられると好適である。
【0010】
以下に、基本設計に基づく添付図面を参照しながら本発明を詳述する。
【0011】
以下に簡単に図面を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電気接点構成の概略図である。
【図2】プリント回路基板の底部を上から見た、本発明におけるハンダ面を有するプリント回路基板の概略図である。
【図3】プリント回路基板の上面を上からみた、図2のプリント回路基板の概略図である。
【図4】本発明の接触面の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、本発明のプリント回路基板12上のバネ接触部材10の電気接点構成の概略図であり、この図では、プリント回路基板12の底部14を上から見た様子が示されている。プリント回路基板12の底部14の表面には、ハンダペーストをマット形状に塗布可能なハンダ面16が設けられている。水平接触面18はシート金属部材の形状をしており、ハンダ面16に設けられ、この上には、バネ接触部材10が取り付けられて、バネ接触部材10とプリント回路基板12とが接触することができる。バネ接触部材10は、このようにして遮蔽接続部(shielding connection)として機能することができる。バネ接触部材10は、好適には、プリント回路基板12の側面26を用いて接触面18へとバネ接触部材10を滑らせることで、接触面18に固定するとよい。バネ接触部材10を滑らせる好適な方向を、矢印30で示している。
【0014】
図2に示すように、ハンダ面16は、プリント回路基板12の底面14に平らに取り付けられており、ハンダペーストもハンダ面16およびプリント回路基板12の底面14の上に平らに塗布して、ある種のハンダパッドを詰める(crated)ことができるようにしてよい。または、ハンダ面16、接触面18、およびバネ接触部材10を、プリント回路基板12の上面18に取り付けるようにしてもよい。さらには、1以上のバネ接触部材10を、プリント回路基板12の底面14および上面18に取り付けるようにすることもできる。
【0015】
図3は、プリント回路基板12の上面28を上からみた形状を示しており、この設計ではプリント回路基板12に、貫通ボア20が設けられていることが分かる。貫通ボア20は、換気ボアとして、または、貫通接触用に設けることができ、これにより、ハンダプロセス中に生じる熱、および/または、ハンダ面16からの気体を逃がすことで、ハンダ面16と、ハンダ面16に取り付けられた接触面18との間に気泡および/または空洞が生じないようにする。図示されている例は貫通接触用であり、貫通ボア20の内表面には金属化リング32が設計され、ハンダ面16に塗布されるハンダ剤を固定することができる。図2に示す貫通ボア20のハンダ面16には、さらに、ハンダ剤を塗布してもよい。
【0016】
図4は、水平接触面18を示しており、接触面18は、シート金属部材であり、主に水平な形状をしており、接触面18の端部領域22はチャンバー面取り部24を有している。チャンバー面取り部24は、端部領域22上にシート金属部材として設計される、接触面18から角度オフセットされた形状として設計されている。チャンバー面取り部24は、図1のチャンバー面取り部24が、プリント回路基板12に構成されたときにプリント回路基板12の側面26に接触して、プリント回路基板12の側面領域26のこの領域を保護して、且つ同時に、バネ接触部材10をプリント回路基板12に固定するときのガイド部分としての役割も果たす。
【符号の説明】
【0017】
バネ接触部材10、プリント回路基板12、底部14、ハンダ面16、接触面18、貫通ボア20、端部22、チャンバー面取り部24、側面26、上面28、滑らせる方向30、金属化リング32

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント回路基板の表面に構成されたハンダ面と、前記ハンダ面の上に構成される水平接触面とを有する前記プリント回路基板上のバネ接触部材の電気接点構成であって、
前記バネ接触部材が前記接触面上に構成される、電気接点構成。
【請求項2】
前記水平接触面がシート金属部材である、請求項1に記載の電気接点構成。
【請求項3】
前記バネ接触部材が、前記プリント回路基板の長手方向の面に平行に前記水平接触面上へ滑動可能である請求項1または請求項2に記載の電気接点構成。
【請求項4】
ハンダペーストを前記ハンダ面に塗布して、前記プリント回路基板の前記表面にマット形状のハンダペースト面を生成する請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電気接点構成。
【請求項5】
前記プリント回路基板は、前記ハンダ面の領域に貫通ボアを有し、前記貫通ボア(20)は、換気ボアとして、または、貫通接触のための用途に設けられる請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電気接点構成。
【請求項6】
前記接触面の端部のうち少なくとも1つには、面取り部およびチャンバー面取り部の少なくとも一方が設けられる請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の電気接点構成。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521639(P2013−521639A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555427(P2012−555427)
【出願日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053193
【国際公開番号】WO2011/107547
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(594070612)フェニックス コンタクト ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (38)
【氏名又は名称原語表記】Phoenix Contact GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Flachsmarktstrasse 8, D−32825 Blomberg, Germany
【Fターム(参考)】