説明

電気機器の製造方法およびそれに用いられるターゲット設置用治具

【課題】電気機器を構成する構造物を精度良く3次元測定することにより、電気機器の組立を簡易にする。
【解決手段】構造部品の外形の寸法基準となる複数の位置にターゲットを設置する工程(S102)と、ターゲットの位置を画像解析することにより構造部品の形成寸法を3次元測定する工程(S103)とを備えている。また、構造部品の形成寸法の3次元測定結果に基づいて付設部品を形成する工程(S104)と、構造部品に付設部品を取付ける工程(S106)とを備えている。ターゲットを設置する工程(S102)は、上記複数の位置のうちターゲットを直接設置することができない設置不能箇所について、構造部品にターゲット設置用治具を取付けることにより上記設置不能箇所に対応した位置にターゲットを設置する工程を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器の製造方法およびそれに用いられるターゲット設置用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
変圧器などの大型の構造物の3次元形状を測定する方法および装置を開示した先行文献として、特許文献1から3がある。特許文献1に記載された3次元座標自動測定解析法においては、CCD(Charge Coupled Device)カメラを用いて撮影したターゲット画像を解析する画像処理装置と、測定条件の設定、座標変換および解析を行なう3次元測定システムとを用いて、構造物の3次元形状を測定している。
【0003】
特許文献2に記載された3次元配管組立装置においては、レーザ光を用いてフランジを配管に直角に取付けている。特許文献3に記載された三角測量方法においては、レーザ光を用いて被測量点の位置決めを行なっている。
【0004】
3次元モデルの作成方法を開示した先行文献として特許文献4がある。特許文献4に記載された3次元モデルの作成方法においては、写真に写せない隠れ部分を持つ機器の3次元モデルをエンジニアリング図面を利用して作成している。
【0005】
測定用ターゲット治具を開示した先行文献として、特許文献5,6がある。特許文献5に記載された距離測定用反射ターゲットにおいては、取付が困難な被測定点に所定の姿勢を持って取付けられた距離測定反射ターゲットの位置をトータルステーションで測定することにより、構造物の形状を測定している。
【0006】
特許文献6に記載された構造ブロック測定用ターゲット治具は、溶接構造特有の詳細形状の影響を回避して構造ブロックの測点に設置可能にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−136218号公報
【特許文献2】特開2000−9449号公報
【特許文献3】特開昭59−20810号公報
【特許文献4】特開2000−322599号公報
【特許文献5】特開2003−279353号公報
【特許文献6】実用新案登録第3128556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
構造物にターゲットを設置して撮影した写真を画像解析することにより構造物を3次元測定する際に、構造物の形状の基準となる位置にターゲットを直接設置することができない設置不能箇所が存在する場合がある。
【0009】
この場合、そのターゲット設置不能箇所の近傍にターゲットを直接設置して画像解析を行なう、または、設計図面などのエンジニアリング図面の情報を入力することにより、その解析データを補正している。このように、ターゲット設置不能箇所の仮定の位置が決定され、その仮定位置の情報を用いて構造物の3次元測定が行なわれている。
【0010】
上記のように3次元測定を行なった場合、ターゲット設置不能箇所の位置はデータ処理により決定された仮定位置であるため、現物の構造物における位置とは合致しない。このため、変圧器などの構造物の組立においては、構造物の3次元測定を行なった場合においても、現物合わせの寸法調整が必要であった。
【0011】
本発明は上記の問題点に鑑みなされたものであって、ターゲット設置不能箇所における位置を現物の構造物から決定することにより、構造物を精度良く3次元測定して変圧器などの電気機器の組立を簡易にすることができる、電気機器の製造方法およびそれに用いられるターゲット設置用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に基づく電気機器の製造方法は、構造部品に付設部品が取付けられて組立てられる電気機器の製造方法である。電気機器の製造方法は、構造部品の外形の寸法基準となる構造部品の複数の位置にターゲットを設置する工程と、ターゲットの位置を画像解析することにより構造部品の形成寸法を3次元測定する工程とを備えている。また、電気機器の製造方法は、構造部品の形成寸法の3次元測定結果に基づいて付設部品を形成する工程と、構造部品に付設部品を取付ける工程とを備えている。ターゲットを設置する工程は、上記複数の位置のうちターゲットを直接設置することができない設置不能箇所について、構造部品にターゲット設置用治具を取付けることにより上記設置不能箇所に対応した位置にターゲットを設置する工程を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、変圧器などの電気機器を構成する構造物を精度良く3次元測定することにより、電気機器の組立を簡易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施形態の一形態に係る変圧器の製造方法により製造された変圧器の外観を示す斜視図である。
【図2】上部タンクの外観を示す斜視図である。
【図3】中部タンクの外観を示す斜視図である。
【図4】下部タンクの外観を示す斜視図である。
【図5】MRタンクの外観を示す斜視図である。
【図6】構造部品を組立てる状態を示す斜視図である。
【図7】構造部品を組立てた状態を示す斜視図である。
【図8】付設部品を仮固定する状態を示す斜視図である。
【図9】付設部品を仮固定した状態を示す斜視図である。
【図10】フランジ部と配管とを溶接する状態を示す側面図である。
【図11】構造部品にターゲットを設置した状態を示す斜視図である。
【図12】写真撮影位置とターゲットとの位置関係を示す図である。
【図13】(A)は、タンクの画像解析データを示す図であり、(B)は、上部タンクの一側面の画像解析データを示す図である。
【図14】下部タンクの他の形態の外観を示す斜視図である。
【図15】図14のXV部の拡大図である。
【図16】下部タンクのフランジ部の面取部を示す斜視図である。
【図17】図16のフランジ部を矢印XVII方向から見た図である。
【図18】比較例の変圧器の製造方法を示すフロー図である。
【図19】同実施形態に係るターゲット設置用治具の外観を示す図である。
【図20】ターゲット設置用治具をフランジ部331に取付けた状態を示す斜視図である。
【図21】本実施形態に係る変圧器の製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に基づいた一実施形態における電気機器の製造方法およびそれに用いられるターゲット設置用治具について図を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。なお、本実施形態においては変圧器の製造方法について説明するが、本発明は、リアクトル、発電機および開閉装置などの電気機器の製造に適用することができる。
【0016】
図1は、本実施形態の一形態に係る変圧器の製造方法により製造された変圧器の外観を示す斜視図である。
【0017】
図1に示すように、変圧器100は、タンクを構成する構造部品である、上部タンク110、中部タンク120、下部タンク130およびMRタンク140を備えている。タンクの内部には、コイルおよび鉄心などが収容され、絶縁油が充填されている。
【0018】
中部タンク120は上下に貫通した開口部を有しており、下部タンク130はタンクの底部となり、上部タンク110はタンクの蓋部となる。上部タンク110には、絶縁油の流路となる複数の開口部111が設けられている。MRタンク140は、上部タンクの側面に組み付けられ、内部に負荷時タップ切換器が収容されている。
【0019】
また、変圧器100は、タンクに取付けられる絶縁油配管を構成する付設部品である、第1フランジ160、第2フランジ170、第1配管150および第2配管180を備えている。第1配管150は、第1フランジ160を間に挟んで上部タンク110の開口部111に取付けられている。第2配管180は、第2フランジ170を間に挟んで第1配管150に取付けられている。このように、絶縁油配管がタンクに連通するように取付けられる。
【0020】
以下、比較例の変圧器の製造方法について説明する。なお、比較例の変圧器の製造方法により製造される変圧器も図1に示す変圧器と同様の構成を有している。
【0021】
図2は、上部タンクの外観を示す斜視図である。図3は、中部タンクの外観を示す斜視図である。図4は、下部タンクの外観を示す斜視図である。図5は、MRタンクの外観を示す斜視図である。
【0022】
まず、図2に示すように、構造部品である上部タンク110を形成する。図3に示すように、構造部品である中部タンク120を形成する。図4に示すように、構造部品である下部タンク130を形成する。図5に示すように、構造部品であるMRタンク140を形成する。
【0023】
図6は、構造部品を組立てる状態を示す斜視図である。図7は、構造部品を組立てた状態を示す斜視図である。図6に示すように、下部タンク130の上に、中部タンク120を配置する。中部タンク120の上に、上部タンク110を配置する。上部タンク110の側面に、MRタンク140を取付ける。その結果、図7に示すように、構造部品で構成されるタンクが組立てられる。
【0024】
図8は、付設部品を仮固定する状態を示す斜視図である。図9は、付設部品を仮固定した状態を示す斜視図である。図8に示すように、組立てられたタンクに絶縁油配管が取付けられる。
【0025】
絶縁油配管の組立方法としては、まず、タンクの側方において、第2配管180を台座220上に配置する。次に、L字状の形状を有する第1配管150をクレーン200のフック210により持ち上げて、第1配管150の一端を上部タンク110の開口部111の近傍に、第1配管150の他端を第2配管180の近傍に移動させる。
【0026】
その後、第1配管150の一端と上部タンク110の開口部111とを第1フランジ160を間に挟んで図示しないボルトおよびナットを用いて仮接続する。第1配管150の他端と第2配管180とを第2フランジ170を間に挟んで図示しないボルトおよびナットを用いて仮接続する。その結果、図9に示すように、付設部品で構成される絶縁油配管がタンクに仮固定される。
【0027】
図10は、フランジ部と配管とを溶接する状態を示す側面図である。図10に示すように、第1フランジ160は、上部タンク110の開口部111にボルト230と図示しないナットにより締結固定されている。その状態において、第1配管150と第1フランジ160とを繋ぐように、溶接機250に取付けられた溶接棒240により第1フランジ160の内周の端部を全周に亘って溶接する。
【0028】
上記のように第1配管150は、上部タンク110の開口部111と第2配管180との間を接続するように取付けられるため、それぞれの寸法および形成位置が合致していなければ組立てることができない。具体的には、上部タンク110における開口部111の位置および形状と、第2配管180の配置される位置および形状と、第1配管150の配置される位置および形状とがそれぞれ対応していなければならない。
【0029】
そこで、構造部品に付設部品を取付ける前に構造部品の3次元測定を試みる。図11は、構造部品にターゲットを設置した状態を示す斜視図である。図11に示すように、3次元測定用の写真を撮影するために、タンクを構成する構造部品の外形の寸法基準となる複数の位置にターゲット190を設置する。3次元測定の方法は、写真を画像解析して行なう従来の方法を用いることができる。ターゲット190としては、その従来の方法に用いられる反射板などを使用することができる。なお、構造部品の一部にスケールを載置した状態において写真を撮影し、撮影されたスケールを画像解析の寸法基準の設定に用いる。
【0030】
図12は、写真撮影位置とターゲットとの位置関係を示す図である。図12に示すように、上部タンク110の開口部111A〜111Dなどの構造部品の3次元形状の情報を得るために、ターゲット190が設置されたタンクの周囲を位置をずらしながら3次元測定用カメラを用いて撮影する。図12においては、撮影者の位置をドット191で示している。3次元測定用カメラは、ターゲット190からの反射光を検出して算出した撮影位置の情報を記憶する機能を有している。
【0031】
図13(A)は、タンクの画像解析データを示す図であり、(B)は、上部タンクの一側面の画像解析データを示す図である。図13(A),(B)においては、データの一部のみを示している。
【0032】
図13(A)に示すように、ターゲット190を撮影した写真を画像解析したターゲットデータ192から構造部品の形成寸法を3次元測定する。図13(A)に示す長さLは、上記スケールの長さに対応している。高さh1およびh2は、タンクの一の角部および他の角部における下部タンク130の下面から中部タンク120の上面までのそれぞれの高さに対応している。また、長さd4は、開口部111Bの中心と開口部111Cの中心との距離に対応している。長さd5は、開口部111Aの中心と開口部111Bの中心との距離に対応している。
【0033】
同様に、図13(B)に示すように、長さd1は、開口部111Dの中心と開口部111Eの中心との距離に対応している。長さd2は、開口部111Eの中心と開口部111Fの中心との距離に対応している。長さd3は、開口部111Dの中心と開口部111Fの中心との距離に対応している。
【0034】
上記のように、開口部111の直径および開口部111同士の間のピッチなどのタンクの形成寸法の3次元測定を画像解析により行なうことができる。以下、他の形態の下部タンクの外形を3次元寸法測定する場合を例示して説明する。
【0035】
図14は、下部タンクの他の形態の外観を示す斜視図である。図14に示すように、下部タンク330は、開口337を取囲む周側面の上端に周方向に延在するフランジ部331を有している。フランジ部331は、上面に平面部を有している。またフランジ部331は、外縁を構成する4つの辺332〜335を有し、辺332と辺335とは対向し、辺333と辺334とは対向している。さらにフランジ部331は、4つの面取部336を有している。
【0036】
図15は、図14のXV部の拡大図である。図15に示すように、フランジ部331には面取部336が形成されている。そのため、下部タンク330の外形の寸法基準となる、フランジ部331の隣接する2つの辺334と辺335との交点の位置には、フランジ部331が存在しない。よって、辺334と辺335との交点の位置は、3次元測定のターゲット190を直接設置することができないため、ターゲット190の設置不能箇所340となる。
【0037】
図16は、下部タンクのフランジ部の面取部を示す斜視図である。図17は、図16のフランジ部を矢印XVII方向から見た図である。
【0038】
図16,17に示すように、フランジ部331の面取部336の近傍の端部338においては、面取部336の形成工程の影響により、反りまたはうねりなどの局所変形が発生している。
【0039】
上記設置不能箇所340にはターゲット190を直接設置することができないため、代わりに面取部336の近傍のフランジ部331の側面にターゲット190を直接設置して撮影した写真を画像解析した場合、得られた3次元測定結果は上記の局所変形の状態を反映していない。そのため、下部タンク330の3次元測定結果は、設置不能箇所340において現物の形状に合致しない測定結果となっていた。その結果、得られた3次元測定結果に基づいて付設部品の形状を修正した場合、構造部品と修正後の付設部品とを実際に取付けることができなかった。よって、比較例の変圧器の製造方法においては、以下の工程により変圧器を製造していた。
【0040】
図18は、比較例の変圧器の製造方法を示すフロー図である。図18に示すように、比較例の変圧器の製造方法においては、構造部品および付設部品を形成する(S201)。次に、構造部品および付設部品を実際に仮組立する(S202)。そこで、付設部品の形状を現物合わせにより修正する(S203)。その後、仮組立した構造部品および付設部品を分解して各部品を塗装する(S204)。最後に、構造部品および付設部品を本組立する(S205)。
【0041】
上記の比較例の変圧器の製造方法においては、仮組立工程(S202)および付設部品の修正工程(S203)が必要となるため作業工数が増加し、変圧器の製造リードタイムが長くなり好ましくない。また、付設部品を構造部品と同時期に形成する必要があるため、付設部品の管理時間が長くなり好ましくない。
【0042】
そこで、本実施形態の変圧器の製造方法においては、3次元測定において下記のターゲット設置用治具を用いることにより、変圧器の製造を簡易にした。
【0043】
図19は、本実施形態に係るターゲット設置用治具の外観を示す図である。図20は、ターゲット設置用治具をフランジ部331に取付けた状態を示す斜視図である。
【0044】
図19に示すように、本実施形態に係るターゲット設置用治具400は、外形が三角錐形状を有している。ターゲット設置用治具400は、底面に開口部を有し、内部が中空に形成されている。
【0045】
ターゲット設置用治具400の一の側面は、構造部品の平面部の一部に当接される基準面部420となる。図19においては、構造部品の平面部に当接される部分にハッチングを入れている。一の側面に隣接する2つの他の側面は、フランジ部331の側面に当接される外縁延長部440A,440Bとなる。また、ターゲット設置用治具400の他の側面においては、基準面部420と外縁延長部440A,440Bとの交点450を含む位置にターゲットが設置されたターゲット部410A,410Bが設けられている。
【0046】
図20に示すように、ターゲット設置用治具400をフランジ部331に取付ける。具体的には、平面部であるフランジ部331の面取部336の近傍の端部338に、ターゲット設置用治具400の基準面部420を当接させる。また、外縁延長部440Aを辺334を構成するフランジ部331の側面339Aに当接させ、外縁延長部440Bを辺335を構成するフランジ部331の側面339Bに当接させる。
【0047】
このようにすることにより、ターゲット設置用治具400のターゲット部410A,410Bを図15に示す設置不能箇所340に対応する位置に配置することができる。ターゲット部410A,410Bは、現物の下部タンク330の局所変形を反映した位置に配置されているため、正確に下部タンク330の形成寸法を3次元測定することができる。
【0048】
構造部品の各部品を正確に3次元測定することにより、比較例の変圧器の製造方法のような仮組立工程は不要となる。したがって、本実施形態の変圧器の製造方法は以下に示すようになる。
【0049】
図21は、本実施形態に係る変圧器の製造方法を示すフロー図である。図21に示すように、本実施形態に係る変圧器の製造方法においては、構造部品を形成する(S101)。次に、構造部品の外形の寸法基準となる複数の位置にターゲットを設置する(S102)。ターゲットの位置を画像解析することにより構造部品の形成寸法を3次元測定する(S103)。構造部品の形成寸法の3次元測定結果に基づいて付設部品を形成する(S104)。構造部品および付設部品を塗装する(S105)。最後に、構造部品に付設部品を取付けて本組立する(S106)。
【0050】
ターゲットを設置する工程(S102)には、構造部品の外形の寸法基準となる複数の位置のうちターゲット190の設置不能箇所340について、構造部品にターゲット設置用治具400を取付けることにより設置不能箇所340に対応した位置にターゲット190を設置する工程が含まれる。
【0051】
上記の本実施形態の変圧器の製造方法においては、ターゲット設置工程(S102)および3次元測定工程(S103)が必要になるが、比較例のような仮組立工程および付設部品の修正工程を不要とすることができる。仮組立工程(S202)および付設部品の修正工程(S203)に比較して、ターゲット設置工程(S102)および3次元測定工程(S103)は、必要とする作業工数が少なく所要時間も短い。
【0052】
そのため、本実施形態の変圧器の製造方法により変圧器の製造作業を簡易にすることができ、製造リードタイムを削減することができる。また、付設部品の形成から組立までの時間が短くなるため、付設部品の管理時間を短縮できる。
【0053】
なお、ターゲット設置用治具は、本実施形態の構造に限定されず、構造部品の平面部の一部に当接する基準面部と、構造部品の2つの辺の延長線上の交点を顕在させる外縁延長部と、基準面部と外縁延長部との交点の位置にターゲットが設置されたターゲット部とを有するものでもよい。よって、必ずしも構造部品の側面に外縁延長部が当接しなくてもよい。たとえば、構造部品の外縁のみに外縁延長部が接触する構造でもよい。
【0054】
また、ターゲット設置用治具は、平面部に当接される基準面部と、この基準面部を構造部品の平面部に当接させた状態において設置不能箇所に対応した位置にターゲットが設置されたターゲット部とを有するものでもよい。よって、必ずしも外縁延長部がターゲット設置用治具に形成されていなくてもよい。たとえば、基準面部を平面部に当接させた状態において、構造部品の側面に沿って光を照射して、その光の交点の位置にターゲット部を配置させるようにしてもよい。
【0055】
さらに、ターゲット設置用治具は、構造部品に取付けられた状態において設置不能箇所に対応した位置にターゲットが設置されたターゲット部を有するものでもよい。よって、必ずしもターゲット設置用治具に基準面部が形成されていなくてもよい。構造部品に取付けることにより、ターゲットの設置不能箇所に対応する位置にターゲット部を配置することができる構造を有するターゲット設置用治具であればよい。
【0056】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0057】
100 変圧器、110 上部タンク、111 開口部、120 中部タンク、130,330 下部タンク、140 MRタンク、150 第1配管、160 第1フランジ、170 第2フランジ、180 第2配管、190 ターゲット、191 ドット、192 ターゲットデータ、200 クレーン、210 フック、220 台座、230 ボルト、240 溶接棒、250 溶接機、331 フランジ部、332〜335 辺、336 面取部、337 開口、338 端部、339A,339B 側面、340 設置不能箇所、400 ターゲット設置用治具、410A,410B ターゲット部、420 基準面部、440A,440B 外縁延長部、450 交点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造部品に付設部品が取付けられて組立てられる電気機器の製造方法であって、
前記構造部品の外形の寸法基準となる、前記構造部品の複数の位置にターゲットを設置する工程と、
前記ターゲットの位置を画像解析することにより前記構造部品の形成寸法を3次元測定する工程と、
前記構造部品の形成寸法の3次元測定結果に基づいて前記付設部品を形成する工程と、
前記構造部品に前記付設部品を取付ける工程と
を備え、
前記ターゲットを設置する工程は、前記複数の位置のうち前記ターゲットを直接設置することができない設置不能箇所について、前記構造部品にターゲット設置用治具を取付けることにより前記設置不能箇所に対応した位置に前記ターゲットを設置する工程を含む、電気機器の製造方法。
【請求項2】
前記ターゲットを設置する工程において、前記構造部品の外形の一部を構成する平面部に前記ターゲット設置用治具の基準面部を当接させることにより、前記設置不能箇所に対応した位置に前記ターゲットを設置する、請求項1に記載の電気機器の製造方法。
【請求項3】
前記構造部品は、前記平面部に開口を有することにより、前記平面部において前記構造部品の外形である外縁を有し、
前記外縁は、複数の辺から構成され、
前記複数の辺のうち隣接する2つの辺の延長線上の交点に前記設置不能箇所が位置し、
前記平面部の一部に前記基準面部を当接させることにより、前記交点に対応する位置に前記ターゲットを設置する、請求項2に記載の電気機器の製造方法。
【請求項4】
前記構造部品は、前記開口を取囲む周側面の上端に周方向に延在する前記平面部であるフランジ部を有し、
前記フランジ部の上面に前記基準面部を当接させ、かつ、前記2つの辺を構成する前記フランジ部の側面に外縁延長部を当接させることにより、前記交点に対応する位置に前記ターゲットを設置する、請求項3に記載の電気機器の製造方法。
【請求項5】
請求項1に記載の電気機器の製造方法に用いられるターゲット設置用治具であって、
前記構造部品に取付けられた状態において前記設置不能箇所に対応した位置に前記ターゲットが設置されたターゲット部を有する、ターゲット設置用治具。
【請求項6】
請求項2に記載の電気機器の製造方法に用いられるターゲット設置用治具であって、
前記平面部に当接される前記基準面部と、該基準面部を前記平面部に当接させた状態において前記設置不能箇所に対応した位置に前記ターゲットが設置されたターゲット部とを有する、ターゲット設置用治具。
【請求項7】
請求項3に記載の電気機器の製造方法に用いられるターゲット設置用治具であって、
前記平面部の一部に当接する前記基準面部と、前記2つの辺の延長線上の交点を顕在させる外縁延長部と、前記基準面部と前記外縁延長部との交点の位置に前記ターゲットが設置されたターゲット部とを有する、ターゲット設置用治具。
【請求項8】
請求項4に記載の電気機器の製造方法に用いるターゲット設置用治具であって、
前記フランジ部の上面に当接される前記基準面部と、前記2つの辺を構成する前記フランジ部の側面に当接される外縁延長部と、前記基準面部と前記外縁延長部との交点の位置に前記ターゲットが設置されたターゲット部とを有する、ターゲット設置用治具。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2011−226818(P2011−226818A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−94240(P2010−94240)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】