説明

電気集塵装置の電気集塵方法、電気集塵装置及びボイラシステム

【課題】長期間に亙って連続運転性を向上させることができる電気集塵装置の電気集塵方法、電気集塵装置及びボイラシステムを提供する。
【解決手段】ボイラ11に供給する硫黄分量組成が異なる燃料23A、23Bを供給する燃料供給部22A、22Bと、燃料組成の異なる燃料を切り替える燃料切替部24と、ボイラ11からの排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置12と、窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器13と、熱回収後のガス中にアンモニウム14を添加しつつ煤塵を除去する電気集塵器15及び煤塵濃度計測部20を有する電気集塵装置と、除塵後のガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置17と、前記煤塵濃度計測部20の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料(主燃料)23Aよりも低い燃料(低S分燃料)23Bに切替える制御を実行する制御装置21とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粗悪燃料を用いたボイラ燃焼においても長期間に亙って連続運転ができる電気集塵装置の電気集塵方法、電気集塵装置及びボイラシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
高バナジウム、高硫黄分含有燃料等の粗悪燃料を燃焼するボイラでは、排ガス中のSO3の増加に伴い、付着性の高い酸性硫安((NH3)HSO4)を含む飛灰が電気集塵装置の電極に堆積していき、電気集塵装置の運転を阻害する。
図7は、従来における電極に飛灰が付着する様子を示す模式図である。図8は、電気集塵装置の運転期間(月)と、出口煤塵量との関係図である。
ここで、電気集塵装置では、定期的に槌打装置により、電極に付着した堆積物を払い落としているが、電気集塵装置自体の保護のため、槌打装置起動のインターバルは極端に短い間隔にはできず、付着性の高い飛灰が多い場合には、図7に示すように徐々に堆積が進んでいく。そして、図8に示すように、出口煤塵量の所定の基準値(例えば20mg/Nm3)を超えることとなる。この結果、いずれはプラントを停止し、集塵装置内部清掃を行なう必要がある。
【0003】
また、電気集塵装置の運転の延命化のために、運転初期では電気集塵装置の荷電を低く設定するいわゆる抑制荷電運転方法を順次実施し、運転当初においては、必要以上の集塵を行なわないようにしている。
【0004】
図9は、従来の抑制荷電運転を実施した電気集塵装置の運転期間(月)と、出口煤塵量との関係図である。
この抑制荷電運転方法とは、当初は定格(例えば900mA)の1/3荷電(300mA)で運転し、出口煤塵量の所定の基準値(例えば20mg/Nm3)となったら2/3荷電(600mA)で運転し、さらに出口煤塵量の所定の基準値(例えば20mg/Nm3)になったら、最後に1/1荷電(900mA)で運転する方法である。
そして、灰付着による性能低下とともに、出口煤塵量は増加するのに従い、図8に示すように、徐々に荷電を高めていき出口煤塵量の基準値(例えば20mg/Nm3)を遵守するようにしている(特許文献1、2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−38245号公報
【特許文献2】特開2009−192100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、荷電の抑制運転を行うにしても上限があり、さらに性能低下が進行した場合、いずれはプラントを停止し、集塵装置内部清掃を行なう必要があり、長期運転を阻害する、という問題がある。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑み、抑制荷電運転以外に、電気集塵器の性能を回復することができ、長期間に亙って連続運転性を向上させることができる電気集塵装置の電気集塵方法、電気集塵装置及びボイラシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、ボイラから排出される排ガス中の煤塵を電気集塵器で除去する電気集塵装置の電気集塵方法であって、前記電気集塵器の出口側の煤塵濃度を計測し、前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料よりも相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うことを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法にある。
【0009】
第2の発明は、ボイラから排出される排ガス中の煤塵を電気集塵器で除去する電気集塵装置の電気集塵方法であって、電気集塵器に対する荷電量を、運転開始当初は通常荷電量よりも荷電割合が低い抑制荷電で運転し、前記電気集塵器の出口側の煤塵濃度を計測し、前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇させて運転して、集塵を継続し、その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料よりも相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うことを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法にある。
【0010】
第3の発明は、ボイラから排出される排ガス中の煤塵を電気集塵器で除去する電気集塵装置の電気集塵方法であって、電気集塵器に対する荷電量を、運転開始当初は通常荷電量よりも荷電割合が低い抑制荷電で運転し、その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料よりも相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を継続し、その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇させて運転して、集塵を継続することを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法にある。
【0011】
第4の発明は、第1乃至3のいずれか一つの発明において、前記低S分燃料を所定時間供給した後、以前の硫黄含有量が高い燃料に切替えることを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法にある。
【0012】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか一つの発明において、前記低S分燃料は、燃料中の硫黄分が6%以下であることを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法にある。
【0013】
第6の発明は、第1乃至5のいずれか一つの発明において、燃料の切替運転を複数回繰り返すことを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法にある。
【0014】
第7の発明は、ボイラから排出される排ガス中の煤塵を除去する電気集塵器と、前記電気集塵器の出口側の煤塵濃度を計測する煤塵濃度計測装部と、前記煤塵濃度計測部の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成が現在使用している燃料よりも硫黄分が相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替える指示をする制御装置とを具備してなることを特徴とする電気集塵装置にある。
【0015】
第8の発明は、第7の発明において、さらに、前記制御装置は、電気集塵器に対する荷電量を、運転開始当初は通常荷電量よりも荷電割合が低い抑制荷電で運転する制御をすると共に、その後の煤塵濃度計測部の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇させて運転することを特徴とする電気集塵装置にある。
【0016】
第9の発明は、第7又は8の発明において、低S分燃料は、燃料中の硫黄分が6%以下であることを特徴とする電気集塵装置にある。
【0017】
第10の発明は、ボイラと、該ボイラに供給する硫黄分量組成が異なる燃料を供給する燃料供給部と、燃料組成の異なる燃料を切り替える燃料切替部と、ボイラからの排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器と、熱回収後のガス中にアンモニウムを添加しつつ煤塵を除去する請求項7乃至9のいずれか一つの電気集塵装置と、除塵後のガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、脱硫後のガスを外部に排出する煙突とを具備することを特徴とするボイラシステムにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電気集塵器での性能低下が見られてきたら一旦供給燃料を、現在使用している燃料(主燃料)よりも相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替え、酸性硫安((NH3)HSO4)の発生を低下させることで、電気集塵器の性能回復を図り、長期の安定運用を行なうようにしている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本実施例に係るボイラシステムの概略図である。
【図2】図2は、電極に飛灰が付着する様子を示す模式図である。
【図3】図3は実施例1に係る電気集塵装置の運転期間と、出口煤塵量との関係図である。
【図4】図4は、実施例2の運転方法に係る電気集塵装置の運転期間と、出口煤塵量との関係図である。
【図5】図5は、実施例3の運転方法に係る電気集塵装置の運転期間と、出口煤塵量との関係図である。
【図6】図6は、実施例4の運転方法に係る電気集塵装置の運転期間と、出口煤塵量との関係図である。
【図7】図7は、従来における電極に飛灰が付着する様子を示す模式図である。
【図8】図8は、電気集塵装置の運転期間(月)と、出口煤塵量との関係図である。
【図9】図9は、従来の抑制荷電運転を実施した電気集塵装置の運転期間(月)と、出口煤塵量との関係図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例1】
【0021】
本発明による実施例1に係るボイラシステムについて、図面を参照して説明する。図1は、本実施例に係るボイラシステムの概略図である。図2は、電極に飛灰が付着する様子を示す模式図である。図3は実施例1に係る電気集塵装置の運転期間と、出口煤塵量との関係図である。
図1に示すように、本実施例に係るボイラシステム10は、ボイラ11と、該ボイラ11に供給する硫黄分量組成が異なる燃料23A、23Bを供給する燃料供給部22A、22Bと、燃料組成の異なる燃料を切り替える燃料切替部24と、ボイラ11からの排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置12と、窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器13と、熱回収後のガス中にアンモニウム14を添加しつつ煤塵を除去する電気集塵器15及び煤塵濃度計測部20を有する電気集塵装置と、除塵後のガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置17と、脱硫後のガスを外部に排出する煙突18と、前記煤塵濃度計測部20の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、ボイラ11に供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料(主燃料)23Aよりも相対的に低い燃料(以下、「低S分燃料」ともいう。)23Bに切替える制御を実行する制御装置21とを具備するものである。
【0022】
本ボイラシステム10においては、ボイラ11からの排ガス中の煤塵を除去する前記電気集塵器15の出口側の煤塵濃度を煤塵濃度計測部20で計測し、前記煤塵濃度計測部20の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際(例えば所定の煤塵量閾値=20mg/Nm3)、ボイラ11に供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料(主燃料)23Aよりも相対的に低い燃料(低S分燃料)23Bに切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うようにしている。
【0023】
S分濃度が高い主燃料23Aから低S分燃料23Bへの切替は、例えば図3に示すように、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、制御装置21からの信号により燃料切替部24の流路を切り替えることで実施される。
【0024】
このように、電気集塵器15での性能低下が見られてきたら一旦供給燃料を主燃料23Aから低S分燃料23Bに切替え、酸性硫安((NH3)HSO4)の発生を低下させることで、電気集塵器15の性能回復を図り、長期の安定運用を行なうようにしている。
【0025】
すなわち、図2に示すように、電気集塵器15の電極15aへ付着性の強い酸性硫安が堆積し、定期的に実施する槌打により付着物である飛灰25を剥離させるが、長期運転に伴い、剥離できなかった付着物が徐々に堆積し成長する。
ここで、本実施例のように、一旦S分含有量が高い主燃料23Aから低S分燃料23Bを供給することにより付着性の強い灰成分が減少するため、付着量と剥離量バランスが変わり(剥離量が相対的に多くなり)、ある一定期間運転を続けることにより電気集塵器15の電極への堆積物を低減し電機集塵器での性能が回復する。
【0026】
ここで、低S分燃料の供給期間は、図3に示すように、出口煤塵量が低下し、ほぼ一定(本実施例では10mg/mN3)の煤塵量となるまで、低S分燃料23Bの供給を行う。これは、低S分燃料の硫黄分が含有しているので、酸性硫安((NH3)HSO4)の発生があり、ある程度で一定となり、それ以上の効果が発揮されないからである。
【0027】
本発明で、低S分燃料とは、燃料中の硫黄分が6%(より好ましくは3〜4%)以下である燃料をいう。これは硫黄分が6%を超えると酸性硫安((NH3)HSO4)の発生が多くなり、灰付着の影響が顕著となるからである。
【0028】
この結果、電気集塵器15の連続稼働に伴い、電気集塵器電極への灰付着が進み、連続運転を阻害するが、一旦低S分の燃料に切り替えることで、電気集塵器の性能が回復する結果、連続運転性を向上させることができる。
【実施例2】
【0029】
本発明による実施例2に係る運転方法について説明する。なお、ボイラシステム10の構成は同様である。
図4は、実施例2の運転方法に係る電気集塵装置の運転期間と、出口煤塵量との関係図である。
図4に示すように、実施例1と同様に、所定の煤塵量閾値となった際(例えば所定の煤塵量閾値=20mg/Nm3)、ボイラ11に供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料(主燃料)23Aよりも低い燃料(低S分燃料)23Bに切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行う運転を実施し、再度(本実施例では14ヵ月後)、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、制御装置21からの信号により燃料切替部24の流路を切り替え、低S分燃料23Bにより、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行う運転を実施するようにしている。
【0030】
この結果、一回目の切り替えよりは出口煤塵量は高いものの、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うことができる。
この操作を複数回繰り返し、定期点検まで、プラントを停止せずに、電気集塵器の運転を継続するようにしている。
【実施例3】
【0031】
本発明による実施例3に係る運転方法について説明する。なお、ボイラシステム10の構成は同様である。
図5は、実施例3の運転方法に係る電気集塵装置の運転期間と、出口煤塵量との関係図である。
図5に示すように、電気集塵器に対する荷電量を、運転開始当初は通常荷電量よりも荷電割合が低い抑制荷電(例えば低格の1/3の300mA)で運転し、前記電気集塵器14の出口側の煤塵濃度を煤塵濃度計測部20で計測し、前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇(例えば300mAを2/3荷電の600mAに上昇)させて運転して、集塵を継続するようにしている。
【0032】
その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している主燃料23Aよりも低い燃料(低S分燃料)23Bに切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うようにしている。
【0033】
本実施例では、低S分燃料の切り替え運転を実施した後、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇(例えば600mAを1/1荷電の900mAに上昇)させて運転して集塵を行うようにしている。
なお、抑制荷電運転の代わりに、再度低S分燃料の切り替え運転を実施するようにしてもよい。
【実施例4】
【0034】
本発明による実施例4に係る運転方法について説明する。なお、ボイラシステム10の構成は同様である。
図6は、実施例4の運転方法に係る電気集塵装置の運転期間と、出口煤塵量との関係図である。
図6に示すように、実施例1と同様に、一度低S分燃料23Bを用いて、運転を実施し、再度所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、制御装置21からの信号により燃料切替部24の流路を切り替えるようにしている。このときに運転は例えば1/3荷電(300mA)で集塵している。
【0035】
次に、前記電気集塵器15の出口側の煤塵濃度を煤塵濃度計測部20で計測し、前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇(例えば300mAを2/3荷電の600mAに上昇)させて運転して、集塵を継続し、その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料よりも低い燃料(低S分燃料)23Bに切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うようにしている。
【0036】
その後、前記電気集塵器15の出口側の煤塵濃度を煤塵濃度計測部20で計測し、前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇(例えば300mAを2/3荷電の600mAに上昇)させて運転して、集塵を継続するようにしている。
その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料よりも低い燃料(低S分燃料)23Bに切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うようにしている。
【0037】
その後、低S分燃料の切り替え運転を実施した後、所定の煤塵量閾値となった際(例えば20mg/Nm3)、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇(例えば600mAを1/1荷電の900mAに上昇)させて運転して集塵を行うようにしている。
なお、抑制荷電運転の代わりに、再度低S分燃料の切り替え運転を実施するようにしてもよい。
【0038】
以上、実施例と共に説明したように、電気集塵器の連続稼働に伴い、電気集塵器電極への灰付着が進み、連続運転を阻害するが、一旦低S分の燃料に切り替えることで、電気集塵器の性能が回復することから、低S分燃料と高S分燃料を交互に供給することで、連続運転性を向上させることができ、定期点検までプラントを停止せずに連続操業することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明に係る電気集塵装置の電気集塵方法、電気集塵装置及びボイラシステムによれば、粗悪燃料を用いたボイラ燃焼においても長期間に亙って連続運転ができる。
【符号の説明】
【0040】
10 ボイラシステム
11 ボイラ
15 電気集塵器
20 煤塵濃度計測部
21 制御装置
23A 主燃料
23B 低S分燃料
24 燃料切替部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラから排出される排ガス中の煤塵を電気集塵器で除去する電気集塵装置の電気集塵方法であって、
前記電気集塵器の出口側の煤塵濃度を計測し、
前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料よりも相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うことを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法。
【請求項2】
ボイラから排出される排ガス中の煤塵を電気集塵器で除去する電気集塵装置の電気集塵方法であって、
電気集塵器に対する荷電量を、運転開始当初は通常荷電量よりも荷電割合が低い抑制荷電で運転し、
前記電気集塵器の出口側の煤塵濃度を計測し、
前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇させて運転して、集塵を継続し、
その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料よりも相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を行うことを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法。
【請求項3】
ボイラから排出される排ガス中の煤塵を電気集塵器で除去する電気集塵装置の電気集塵方法であって、
電気集塵器に対する荷電量を、運転開始当初は通常荷電量よりも荷電割合が低い抑制荷電で運転し、
その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成中の硫黄分量が現在使用している燃料よりも相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替え、電極に付着する煤塵の付着量を低減しつつ集塵を継続し、
その後の前記煤塵濃度の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇させて運転して、集塵を継続することを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか一つにおいて、
前記低S分燃料を所定時間供給した後、以前の硫黄含有量が高い燃料に切替えることを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一つにおいて、
前記低S分燃料は、燃料中の硫黄分が6%以下であることを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一つにおいて、
燃料の切替運転を複数回繰り返すことを特徴とする電気集塵装置の電気集塵方法。
【請求項7】
ボイラから排出される排ガス中の煤塵を除去する電気集塵器と、
前記電気集塵器の出口側の煤塵濃度を計測する煤塵濃度計測装部と、
前記煤塵濃度計測部の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、ボイラに供給する燃料組成が現在使用している燃料よりも硫黄分が相対的に低い燃料(低S分燃料)に切替える指示をする制御装置とを具備してなることを特徴とする電気集塵装置。
【請求項8】
請求項7において、
さらに、前記制御装置は、電気集塵器に対する荷電量を、運転開始当初は通常荷電量よりも荷電割合が低い抑制荷電で運転する制御をすると共に、
その後の煤塵濃度計測部の計測の結果、所定の煤塵量閾値となった際、前記荷電量を通常荷電割合側に上昇させて運転することを特徴とする電気集塵装置。
【請求項9】
請求項7又は8において、
低S分燃料は、燃料中の硫黄分が6%以下であることを特徴とする電気集塵装置。
【請求項10】
ボイラと、
該ボイラに供給する硫黄分量組成が異なる燃料を供給する燃料供給部と、
燃料組成の異なる燃料を切り替える燃料切替部と、
ボイラからの排ガス中の窒素酸化物を除去する脱硝装置と、
窒素酸化物除去後のガス中の熱を回収する空気予熱器と、
熱回収後のガス中にアンモニウムを添加しつつ煤塵を除去する請求項7乃至9のいずれか一つの電気集塵装置と、
除塵後のガス中の硫黄酸化物を除去する脱硫装置と、
脱硫後のガスを外部に排出する煙突とを具備することを特徴とするボイラシステム。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−52721(P2012−52721A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−195010(P2010−195010)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】