説明

電池パック及びその製造方法

【課題】電極端子での電蝕の発生を抑制して電池パックの信頼性を高める。
【解決手段】正極と負極に異種金属の電極端子12を使用する複数の電池セル10と、電池セル10の端子電圧を測定するために電池セル10の電極端子12と電気的に接続するための接続面72を備える電圧検出用端子70と、隣接する電池セル10の電極端子12同士を固定状態に連結するための固定具FSとを備える。接続面72は、正極と負極の電極端子12を構成する金属とのイオン化傾向の差よりも、正極及び負極を構成する金属とのイオン化傾向の差が小さい金属で構成されており、板状の電極端子12は電池セル10の端面から上方に突出させ、先端を折曲して折曲面12aを有しており、隣接する電池セル10の正極及び負極の電極端子12の折曲面12aの間に、電圧検出用端子70の接続面72を介在させた状態でこれらを重ね合わせて、固定具FSで固定状態に連結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池セルを複数直列及び/又は並列に接続した電池パック及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車やハイブリッド自動車の電源として使用される電池パック(パック電池)あるいは組電池は、限られたスペースでの高出力化が求められており、円筒型電池よりもエネルギー密度に優れた角形電池が使用されることがある。特に、リチウムイオン電池は単位体積あたりのエネルギー密度が高く、高出力化が容易であるため、採用が求められている。しかしながら、リチウムイオン電池を電池セルとして複数直列又は並列に接続した電池パックにおいては、電池の制御のため電池セル間を接続する電極端子の電圧(中間電圧)を検出する必要がある。このため、各電極端子には中間電圧検出用の端子が接続されている。このような電圧検出用端子を接続した電池セルで構成される電池パック及びその電池セルを図22〜図28に示す。これらの図において、図22は電池パック300の斜視図、図23は電池パック300を構成する電池セル積層体の斜視図、図24は図23の電極端子部分の拡大斜視図、図25は平面図、図26は側面図、図27は正面図を、図28は電極端子に通電する様子を示す模式断面図を、それぞれ示している。これらの図に示すように、電池セル10の電極端子12同士をボルト52で螺合する際に、電圧検出用端子70も共締めすることで電圧検出用端子70を電極端子と電気的に接続している。
【特許文献1】特開平5−343105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この構造においてはリチウムイオン電池のように、正極と負極で電極端子を構成する金属が異なる電池セルを使用する場合、電極端子の腐蝕が発生し易いという問題があった。具体的には、締結作業の作業性の観点などから、図24の拡大図等に示すように、螺合による締結の際は、電圧検出用端子70を電極端子の上面に重ねた状態で、ボルトを挿通して固定される。ここで、リチウムイオン電池は一般に正極がAl、負極がCuで構成される。このため、AlとCuとのイオン化傾向の差により、水滴などが電極端子に付着すると電極端子間で電蝕が生じる。また、図28の断面図に示すように、通電時は直接接触するよう重ねた電極端子間で大電流が通電され、逆に上に重ねた電圧検出用端子70には大電流が流れない。このため、小電流あるいは微少電流が渦状に流れやすくなり、水滴が付着するとその位置に電子が移動し易い状態となり、このことも電蝕が発生しやすくなる要因となっていた。電蝕により電極端子の腐蝕が進行すると、接触抵抗が増したり、接触不良の原因となって、信頼性の低下に繋がる。
【0004】
本発明は、従来のこのような問題点を解決するためになされたものである。本発明の主な目的は、電極端子での電蝕の発生を抑制して信頼性を高めた電池パック及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明の電池パックは、複数の電池セルを隣接させ、互いに直列に接続した電池パックであって、正負の電極端子を一方の端面から突出させており、正極と負極でイオン化傾向の異なる金属を使用する複数の電池セルと、電池セルの端子電圧を測定するために電池セルの電極端子と電気的に接続するための接続面を備える電圧検出用端子と、電池セルを、電極端子を設けた端面を略同一平面に揃えて配列した状態にて、隣接する電池セルの正極及び負極を固定して連結するための固定具とを備え、電極端子は、板状に形成され、板状電極端子は電池セルの端面から上方に突出させ、先端を折曲して折曲面を有しており、隣接する電池セルの正極及び負極の電極端子の折曲面の間に、電圧検出用端子の接続面を介在させた状態でこれらを重ね合わせて、固定具で固定状態に連結している。これにより、電圧検出用端子を電極端子間に介在させて接続し、電極端子間に充放電電流を通電させることで、水滴などが付着しても電蝕の発生を抑制でき、電極端子の信頼性を向上できる。
【0006】
また他の電池パックは、複数の電池セルを隣接させ、互いに直列に接続した電池パックであって、正負の電極端子を一方の端面から突出させており、正極と負極でイオン化傾向の異なる金属を使用する複数の電池セルと、電池セルの端子電圧を測定するために電池セルの電極端子と電気的に接続するための接続面を備える電圧検出用端子と、電池セルを、電極端子を設けた端面を略同一平面に揃えて配列した状態にて、隣接する電池セルの正極及び負極を固定して連結するための固定具とを備え、電圧検出用端子の接続面は、正極の電極端子を構成する金属と負極の電極端子を構成する金属とのイオン化傾向の差よりも、正極及び負極を構成する金属とのイオン化傾向の差が小さい金属で構成されており、電極端子は、板状に形成され、板状電極端子は電池セルの端面から上方に突出させ、先端を折曲して折曲面を有しており、隣接する電池セルの正極及び負極の電極端子の折曲面の間に、電圧検出用端子の接続面を介在させた状態でこれらを重ね合わせて、固定具で固定状態に連結している。これにより、イオン化傾向の差が小さい金属からなる電圧検出用端子の接続面を電極端子間に介在させることで、水滴などが付着しても電蝕の発生を抑制でき、電極端子の信頼性を向上できる。
【0007】
電池セルは、好ましくはリチウムイオン電池とし、電圧検出用端子の接続面が、Ni又はNi−Crメッキを施したCuあるいはNiである。これにより、正極がAl等、負極がCu等の金属板で構成されるリチウムイオン電池を使用した電池パックの信頼性を簡素な構成で向上できる。
【0008】
また電極端子の折曲面には、連結穴が形成され、電圧検出用端子の接続面には、連結穴と略等しいかこれよりも大きい内径に検出端子穴が形成されており、固定具は、連結穴に挿通させる挿通体を備えており、正負の電極端子の折曲面とこの間に介在される接続面の検出端子穴を一致させた状態で、挿通体が電池セルの端面に対して略垂直な方向に貫通されるよう構成することもできる。これにより、固定具で電極端子同士を連結する際に、電圧検出用端子を共締めできる。また、電池パックの上面から連結作業を行うことができ、作業性に優れるという利点が得られる。
【0009】
さらに電池セルが角形電池であり、電極端子は電池セルの端面から斜め方向に突出するよう折曲され、かつ折曲面が電池セルの端面に対して略垂直な姿勢に折曲されると共に、角形電池セルの側面と略同一平面に位置させることもできる。これにより、隣接する電池セル同士の電極端子自体を折曲させて折曲面同士を当接でき、接続を容易にできる。
【0010】
さらにまた、電池セルの端面から電極端子が一対、離間されて突出されており、各電極端子は相互に異なる方向に斜め方向に突出するよう構成してもよい。これにより、隣接する電池セル同士の直列接続を容易に行える。
【0011】
あるいは、電池セルが角形電池であり、電極端子は電池セルの端面から略垂直方向に突出され、かつ先端を端面と平行になるように断面略L字状に折曲して水平折曲面としてなり、隣接する電池セル同士で水平折曲面を重ねて固定具で連結するよう構成することもできる。これにより、隣接する電池セル同士で、水平折曲面を重ねて固定具で連結でき、バスバー等の別部材を不要にできる。
【0012】
なお一対の電極端子は、一方の折曲方向が他方の折曲方向と逆向きに折曲させることができる。これにより、電池セルの両面で隣接する電池セルと各々電極端子を接続でき、直列接続が容易に実現できる。
【0013】
また好ましくは、一対の電極端子の一方の折曲位置が、他方の電極端子の折曲位置よりも、電極端子の厚さと、電圧検出用端子の厚さの和に相当する分だけ短くして折曲させる。これにより、隣接する電池セル同士の連結に際して、電極端子と電圧検出用端子の厚さ分だけオフセット配置された折曲面を重ね合わせることが容易となり、電池セルの配列を正確に行える。
【0014】
なお固定具は、ボルト及びナットを含み、隣接する電池セルの電極端子の折曲面同士を重ね合わせた折曲面の連結穴に一方からボルトを挿通して他方をナットに螺合させて固定することができる。これにより、ボルトとナットの螺合により確実に電池セルを電気接続できる。
【0015】
あるいは固定具が、ボルトと、一方の折曲面の連結穴にバーリング加工してネジ溝を形成したバーリング部を含み、隣接する電池セルの電極端子の折曲面同士を、バーリング部を有する折曲面が下方に位置するように重ね合わせ、連結穴の上方からボルトを挿通して、バーリング部のネジ溝に螺合させて固定することもできる。これにより、別途ナットを用意することなく螺合により確実に電池セルを電気接続できる。
【0016】
あるいはまた固定具が、ボルトと、一方の折曲面の連結穴に開口を一致させるようナットを固定したナット部を含み、隣接する電池セルの電極端子の折曲面同士を、ナット部を有する折曲面が下方に位置するように重ね合わせ、連結穴の上方からボルトを挿通して、ナット部に螺合させて固定することもできる。これにより、別途ナットを用意することなく螺合により確実に電池セルを電気接続できる。
【0017】
一方で電圧検出用端子の接続面に、弾性部材を備えさせ、弾性部材を電極端子同士の間に介在させるよう連結してもよい。これにより、接続面に弾性部材としての機能を持たせて、電極端子同士の間に介在させることで緩み止め防止を発揮でき、さらに作業性を向上できる。
【0018】
また一方で固定具に、電極端子との当接面に弾性部材を介在させることもできる。これにより、弾性部材で連結面を押圧して摩擦力を高め、緩み止め効果が得られる。この弾性部材には、スプリングワッシャが利用できる。これにより、安価に固定具の緩み止めを行うことができる。
【0019】
あるいは、各折曲面に、連結穴を2以上開口し、各連結穴に固定具を貫通させて固定すると共に、少なくとも一の連結穴に接続面の検出端子穴を一致させて固定具を貫通させて固定することもできる。これにより、固定具を二重又は三重以上にして電極端子の締結力をさらに増し、信頼性を向上させることができる。
【0020】
また一の連結穴に、弾性部材を配置して固定具と折曲面との間に挟み込み、他の連結穴に、電圧検出用端子を配置して固定具と折曲面との間に挟み込むこともできる。これにより、固定具を二重又は三重以上にして締結力を増すことに加え、一方に弾性部材を、他方に電圧検出用端子を配置して効率よくこれらを連結できる。
【0021】
更に一方で、電池パックの製造方法は、複数の電池セルを隣接させ、互いに直列に接続した電池パックの製造方法であって、正極と負極の電極端子でイオン化傾向の異なる金属を使用した複数の電池セルの、端面から上方に突出させた一対の電極端子の先端に連結穴を開口させると共に、該先端を折曲して折曲面を形成する工程と、電池セルの端子電圧を測定するための電圧検出用端子の、電池セルの電極端子と電気的に接続するための接続面が、正極の電極端子を構成する金属と負極の電極端子を構成する金属とのイオン化傾向の差よりも、正極及び負極を構成する金属とのイオン化傾向の差が小さい金属で構成されており、電池セルを、電極端子を設けた端面を略同一平面に揃えた状態で配列した状態にて、隣接する電池セルの正極及び負極の電極端子の折曲面の間に、電圧検出用端子の接続面を介在させた状態でこれらを重ね合わせて、固定具で固定状態に連結する工程とを含むことができる。これにより、イオン化傾向の差が小さい金属からなる電圧検出用端子の接続面を電極端子間に介在させることで、水滴などが付着しても電蝕の発生を抑制でき、電極端子の信頼性を向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施の形態は、本発明の技術思想を具体化するための電池パック及びその製造方法を例示するものであって、本発明は電池パック及びその製造方法を以下のものに特定しない。また特許請求の範囲に示される部材を、実施の形態の部材に特定するものでは決してない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
(実施の形態1)
【0023】
図1に、本発明の実施の形態1に係る電池パック100の外観斜視図を、図2にこの電池パック100を構成する電池セル積層体1の斜視図を、図3に図2の電極端子12部分の拡大斜視図を、図4に図3の分解斜視図を、図5に図2の電池セル積層体1の平面図を、図6に側面図を、図7に正面図を、また図8に電極端子12に通電する様子を示す模式断面図を、それぞれ示す。図1に示す電池パック100は、車載用の電池パックであって、複数の電池セル10とセパレータ20を交互に積層し、左右端面をエンドプレート30で被覆して構成される。具体的には、角形の電池セル10を枠状のセパレータ20で狭持し、電池セル10の上面及び側面を露出させた状態で多段に積層する。この例では、9つの電池セル10を主面で積層している。なお、図2〜図7の例ではセパレータを省略している。
(電池セル10)
【0024】
電池セル10は、角形の外装缶に被覆された略矩形の角形電池が利用される。角形電池セルは円筒型電池と比較して効率よく配置でき、単位体積当たりのエネルギー密度を高くできる。特に車載用途では省スペース化の要求が高く、好ましい。このような電池セルには、リチウムイオン二次電池等、角形の二次電池が利用できる。またニッケル電池等の他、一次電池としてもよい。電池セル10の電極端子12は、直列又は並列に結線される。さらに電池パック100の端部で制御回路(図示せず)に接続され、制御回路によって各電池セル10の電圧、電流、温度等を測定し、電池容量及び必要充放電量等を決定して、充放電等の制御が行われる。
【0025】
電池セル10は図2の斜視図に示すように、側面を面取りした角形の外装缶の上面から、正負の電極端子12を突出させている。電極端子12を突出させる位置は、正極と負極が外装缶の主面で、左右対称となる位置に設定される。これにより、電池セル10を裏返して重ねると、正極と負極とを重ね合わせることができ、直列接続を容易に行える。電極端子12はそれぞれ断面L字状に折曲され、さらに折曲した片である折曲面12aには各々、固定具FSの挿通体を挿通できる大きさに連結穴13を開口している。特に図2に示すように正負の電極端子12は互いに逆方向に折曲されており、隣接する電池セル10との間で電極端子12を直接接続可能な大きさ及び形状に形成される。これにより、隣接する電池セル10間で正極と負極を直接接続して、電池セル10を直列或いは並列に接続することが容易となる。またこの電池セル10は図2に示すように、電極端子12の周囲を囲むように直立された端子リブ14が形成されており、これにより外装缶内部の電解液が電極端子12の周囲から漏洩しても、不用意に拡散する事態が阻止される。
(セパレータ20)
【0026】
電池セル10は、図1に示すようにその両面からセパレータ20で挟み込むようにして外部を被覆される。セパレータ20は、電池セル10を被覆する大きさの枠体状に構成され、電池セル10を被覆した状態で電池セル10の両側面及び上下端面を露出させ、四隅部を被覆する。また隣接するセパレータ20との間で、隅部同士を当接させて積層される。セパレータ20は耐熱性、断熱性に優れた部材で構成され、好ましくは軽量で安価な樹脂により形成される。例えば熱伝導率の小さい(望ましくは0.5W/m以下)、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成樹脂が利用できる。これにより、セパレータ20で電池セル10を保護すると共に、隣接する電池セル10同士を絶縁し断熱する。またセパレータ20の底面は断面を凹凸状としたスリットが形成され、このスリットを経路として冷却媒体を通すことにより、電池セル10を側面から冷却する。なお、セパレータを使用しない構成とすることもできる。
(エンドプレート30)
【0027】
以上のようにしてセパレータ20と電池セル10を交互に重ねるようにして連結された状態で、端面をエンドプレート30で被覆して固定する。エンドプレート30は、端面で露出する電池セル10を被覆できる大きさに形成され、両側からこれを狭持する状態に固定する。この例では、エンドプレート30の側面に一対のネジ穴32を突出させ、電池セル10を積層した電池パック100側面に延長した延長ボルト34を通してエンドプレート30同士を螺合により固定している。エンドプレート30も好ましくは一体成形により成形可能な、金属製や樹脂製のものが使用できる。
(電極端子12)
【0028】
電極端子12は、図5や図7に示すように、正極及び負極を相互に逆向きに断面L字状に折曲する。この際、両電極端子12の折曲位置は同じとせず、正極又は負極のいずれか一方を、電極端子12の厚さと電圧検出用端子70の厚さの和に相当する分だけ、オフセットさせている。これにより、図7に示すように電池セル10を積層する際に、電池セル10の端面をほぼ同一平面に維持したまま、隣り合う電池セル10の折曲面12aを重ね合わせることができる。
(電圧検出用端子70)
【0029】
また、複数の電池セル10を直列に接続する際の中間電圧を検出するため、電圧検出用端子70を電池セル10に接続する。リチウムイオン電池を複数用いた電池パックでは、各電池セルの端子電圧を検出する必要があり、このため各折曲面に電圧検出用の端子を電気接続する。電圧検出用端子70は、図4に示すように電池電圧を検出して充放電を制御する制御回路(図示せず)と接続される。また電圧検出用端子70は、電極端子12と面接触させて電気接続するための接続面72を備える。電圧検出用端子70と電極端子12との接続は、折曲面12a同士の接続と共通にすることで、同一の固定具FSを使用して接続作業を省力化することができる。このため接続面72には、連結穴13とほぼ等しいか、これよりも大きい内径に検出端子穴71が形成される。これにより、正負の電極端子12の折曲面12aと接続面72の連結穴13を一致させた状態で、固定具FSの挿通体をこれらに挿通し、共締めできる。また、連結穴13及び検出端子穴71を電池パック100の上面側すなわち水平面に開口することで、固定具FSの挿通体を電池パック100の上面側からほぼ垂直な方向に貫通させることができ、電池パック100の上面側から各電極端子12の固定作業を一気に行えるので作業性にも優れる。
【0030】
固定具FSで電極端子12と電圧検出用端子70を固定する際は、図24に示すように電圧検出用端子70の接続面72を上側に重ねず、図3に示すように折曲面12a同士の間に挿入するように配置する。これにより、電極端子12での電蝕の発生を抑制できる。ここでは、電池セル10の電極端子12に、正極と負極でイオン化傾向の異なる金属を使用している。このような異種金属の電極端子12を直接重ねると、接触界面で電蝕が発生する。すなわち、電極端子12に水滴などが付着すると、水分を介してイオンが移動可能となるため、この部分で電池が形成されることになり化学反応(腐食)が生じる。特に、図28に示すように電極端子12を直接重ねると、電極端子12の折曲面12a同士の間には充放電電流が集中して流れる(図28における太線矢印)が、その一方で上面に重ねた電圧検出用端子70には大電流が流れない。このため、小電流が渦状に流れやすい状態となる。この状態で上述のように水滴が付着すると、イオン電流がループ状に流れて(図28における細線矢印)腐食の反応が進行する。
【0031】
このような問題を回避するため、本実施の形態では図3に示すように、電極端子12同士の間に電圧検出用端子70を介在させている。この結果、図8に示すように、電極端子12に挟まれた電圧検出用端子70にも大電流が流れるため、小電流(図8における波線矢印)が流れ難い状態となる。なぜなら、電子は大電流が流れる方向に移動しやすく、逆に電流経路を新たに形成するには、それなりのエネルギーが必要であることから、イオン電流も既に電流経路があるところに沿って流れる傾向があるからである。よって、局所的なイオン電流のループが形成され難くなって、電蝕を引き起こす反応が生じ難くなるため、腐食の発生が抑制され、電極端子12の接触不良を低減して信頼性を向上できる。
【0032】
この例では、電池セル10としてリチウムイオン電池を使用し、正極の電極端子12をAl、負極をCuの金属で構成している。また電圧検出用端子70として、ニッケルをメッキをした銅製の丸端子を使用した。ただ、ニッケル製の丸端子を使用することもできる。ニッケルのイオン化傾向は、電極端子を構成する銅とアルミニウムの中間であるため、この点においても電蝕の発生を抑制することが期待できる。さらに電圧検出用端子として、アルミニウムよりもイオン化傾向の高い他の材質、例えばマグネシウム等を使用することもできる。また、電圧検出用端子の全体をこのような金属その他の材質で構成する他、電極端子との接続面72のみをこれらの材質で構成したり、あるいは表面をこれらの材質でコーティングする構成も利用できる。コスト面や入手、加工や保存の容易さ、耐久性等の観点からは、電圧検出用端子の接続面の材質としてはニッケルが最も好ましい。
【0033】
また図3の例では、上側に重ねた電極端子を正極、下側に重ねた電極端子を負極としているが、逆に上側に負極、下側に正極を位置させても、電蝕防止については同様の結果が得られることは言うまでもない。
【0034】
さらに、電圧検出用端子を電極端子間に介在させることで、締結の際に電圧検出用端子を保護できるという効果も得られる。一般に電極端子に比べ電圧検出用端子は形状が薄い丸端子またはY端子を用いることが多い。このため電極端子の上に電圧検出用端子を重ねてボルト等の固定具で固定した場合、ボルトを締め付ける回転トルクによって電極端子が変形し、締め付け不良や端子外れを起こす虞がある。これに対し、電極端子間に電圧検出用端子を挟んで固定、ボルトからの回転トルクの影響を直接受けず、変形等の不具合の発生を回避できる。仮に電圧検出用端子を既存の丸端子とせず、強度を増すために接続面の厚みを増した特注品とすると、コストが高くなる。特にリチウムイオン電池の場合、中間電圧をすべての電極で検出するため、端子数が多くなりコストも無視できない。このような面からも、既存の安価な電圧検出用端子を使用できる上記構成は優位性がある。
【0035】
さらに丸端子の電圧検出用端子を電極端子の上に載せてボルト等の回転式の固定具を締結すると、ボルトの回転につられて回ってしまうおそれもあり、回転止めの機構等が必要となるが、電極端子の間に介在させることでこのような問題も生じず、締結作業も容易となる。
【0036】
このようにして重ね合わされた電極端子12は、固定具FSを用いて固定される。隣接する電池セル10の折曲面12aを重ね合わせる際、各々の折曲面12aに開口された連結穴13を少なくとも部分的に一致させ、ここに固定具FSの挿通体を挿入する。この際、重ね合わせる折曲面12aの内、上側の折曲面12aの連結穴13の内径を大きくすることで、寸法公差を吸収し位置合わせを容易にできる。
【0037】
また連結穴13は円形に限られず、長孔としてもよい。これにより、位置合わせの微調整が一層容易になり、溶接により完全に固定してしまう場合に比べ、端子部分への負荷を軽減できる。あるいは、連結穴は貫通穴に限られず、切り欠き状としてもよい。これにより、切り欠き状の形成や取り付け作業を容易にできる。
(固定具FS)
【0038】
図1〜図8の例では、固定具FSとしてボルト52を使用している。例えば折曲面12aの上面側から挿通体としてボルト52を連結穴13に挿通し、下側にナット53を配置して螺合する。ナット53は四角ナット、6角ナット等の角形ナットを使用することで螺合を容易にする。螺合によって、一旦連結した電池セル10の固定状態を解除し、再び分解することも可能となる。一方、螺合の際に折曲面12aの下側でナット53を保持する機構が必要となり、作業性が悪くなる。
【0039】
そこで、ナットを使用しない固定具を用いることでこの問題を解消できる。例えば、図9の例では、変形例に係る電池セル10Cの電極端子12Dの下側の折曲面12aの連結穴13にバーリング加工して、ネジ溝を形成したバーリング部13Dを設ける。これにより、別途ナットを用意することなく螺合により確実に電池セル10Cを電気接続できる。バーリング加工は比較的容易であるため、安価かつ簡単に固定具を実現できる。
【0040】
なお、バーリング部13Dは、アルミニウム製の電極端子12Dに設けることがより好ましい。銅等と比較して柔らかく加工が容易だからである。このため、バーリング加工で締結する際には、上側に重ねる電極端子を銅製の負極とし、下側に重ねる電極端子をアルミニウム製の正極とすることが好ましいといえる。
【0041】
また、別の変形例として図10に示すように、電池セル10Dの下側の電極端子12Eの折曲面12aの連結穴13と開口を一致させるようナットを固定したナット部13Eを設けてもよい。この構成は、バーリング部を使用する方法に比べ、強度的に強くできるという利点が得られる。ナットの固定は、折曲面12aにナットを溶接や接着で固定する方法や、プレスナットを用いる等の方法が利用できる。
(ブラインドリベット51)
【0042】
以上の例では、固定具をボルトで構成したが、固定具はこれに限らず他の構成、例えばリベットを使用することもできる。リベットは、金属の塑性変形を利用して締結を行う。リベットによる固定は、螺合のような回転が不要で緩みの心配もなく、信頼性に優れる。またリベットは、通常のリベットに限られず、好ましくはブラインドリベットが使用できる。ブラインドリベットは、折曲面の片側から締結できる特殊なリベットである。図11に、ブラインドリベット51の外観を示す。ブラインドリベット51は、フランジと、フランジに挿通されるシャフト(マンドレル)とを備え、このシャフトを引き上げることで、リベットの頭を団子状に潰して、図12のような状態とできる。この方法であれば、大がかりな設備が不要で、また折曲面12aの下側の受けも不要にでき、極めて簡単に折曲面12aを締結できる。
【0043】
また、ブラインドリベット51を使用する際は、下側に位置する折曲面12aが、上側よりも強度の高い電極端子12となるように、折曲位置を設定する。これにより、ブラインドリベット51で連結する際、シャフトの潜り込みを防止できる。例えば正極端子にAl、負極端子にCuを使用するリチウムイオン電池の場合、強度の高い負極端子の折曲面12aが下側となるように配置する。この場合、負極端子側の折曲位置が正極側よりも電極端子12の厚さ分及び電圧検出用端子70の厚さ分の和だけ電池セル端面からの距離が短くなるように(高さが低くなるように)調整する。
(弾性部材60)
【0044】
また、固定具FSの緩み止めのため、必要に応じてスプリングワッシャ等の弾性部材を介在させることもできる。固定具FSと折曲面12aとの間に弾性部材60を介在させることで、弾性部材60で連結面の押圧して摩擦力を高め、緩み止め効果が得られる。弾性部材60は、好ましくは電圧検出用端子の接続面72に形成する。この例を、図13〜図15に基づいて説明する。これらの図において、図13は、このような弾性部材60Bを備える電圧検出用端子70Bの連結部分を固定具FSで固定する様子を示す拡大分解斜視図、図14は図13の側面図、図15は図13の電圧検出用端子70Bを固定した状態での拡大斜視図を、それぞれ示している。この例では、電圧検出用端子70Bの検出端子穴71を設けた接続面72をスプリングワッシャ状に形成しており、スプリングワッシャの弾性力により摩擦力を生じさせ、固定具FSであるブラインドリベット51の緩み止めが図られる。スプリングワッシャ状は、電圧検出用端子70Bと一体に形成できる。これにより、部品点数を少なくしてコストを低減すると共に、組み立て時においてもスプリングワッシャを挿通する手間を省き作業を簡略化できる。
【0045】
また弾性部材60は、電圧検出用端子と別部材で構成することもできる。弾性部材としてスプリングワッシャを用いる場合、スプリングワッシャを電圧検出用端子と同じく折曲面の間に介在させることで、上述の通りスプリングワッシャに大電流を通電して電蝕の発生を抑制できる。また、電圧検出用端子を折曲面同士の間に挿入することなく、スプリングワッシャのみを折曲面同士の間に挿入することでも、同様に電蝕を防止できる。特にスプリングワッシャは安価で作製が容易であり、安価に固定具の緩み止めと電蝕防止を実現できる。
(実施の形態2)
【0046】
なお上記の例では、折曲面に一だけ連結穴を形成した例を説明したが、連結穴を2以上開口させることもできる。これにより、固定具FSによる締結構造を二重又は三重以上にして電極端子の締結力をさらに増し、信頼性を向上させることができる。図16〜図19に、このような構成を採用した実施の形態2に係る電池パック200の例を示す。これらの図において、図16は電池パック200の斜視図、図17は図16の側面図、図18は固定具FSによる連結部分を示す拡大分解斜視図、図19は締結状態を示す拡大斜視図を、それぞれ示している。これらの図に示す固定具FSの例では、電極端子12Bを平面図がL字状となるように形成して、折曲面12bを電池セル端面の長手方向に延長しており、ここに連結穴13、13Bを2つ開口している。また、図18に示すように一方の連結穴13には固定具FSとしてブラインドリベット51を、弾性部材60としてスプリングワッシャを介在させて挿通しており、他方の連結穴13Bには同じくブラインドリベット51を、弾性部材60Bとしてスプリングワッシャ状を一体化した電圧検出用端子70Bの検出端子穴71に挿通させて共締め状態に締結している。このように締結構造を二重にして信頼性を増すと共に、一方に電圧検出用端子70Bを配置することで中間電圧検出も併せて行うことができる。
【0047】
以上のように、電池セル同士の連結は、各々の電極端子12の先端に連結穴13を開口させた電池セルの先端を折曲して折曲面12aを形成し、電池セルを、電極端子12を設けた端面をほぼ同一平面に揃えた状態で配列した状態にて、隣接する電池セルの電極端子12同士を電圧検出用端子70を介在させた状態にて固定具FSを用いて締結する。これにより、バスバーのような別部材を使用することなく、隣接する電池セルの電極端子12同士を直接当接させて電気接続できる。また固定までの一連の生産工程を自動化又は半自動化することができ、電池パックの生産を効率化することができる。
(実施の形態3)
【0048】
一方で、これに限られず、電池セル端面と水平方向に固定具FSを挿入する構成も採用できる。実施の形態3に係る電池パックとして、このような電池パックの例を、図20及び図21に基づいて説明する。これらの図において、図20は電池セル10B同士を連結した状態を示す斜視図、図21は側面図を、それぞれ示している。これらの図に示す電池パックは、図21に示す電池セル10Bを積層して、電池セル10B同士の電極端子12Cをリベットで固定している。電池セル10Bは、図9等に示す電池セル10と同様に、正極と負極の電極端子12Cを上部の端面から、左右対称の位置に離間させて突出させている。ただ、電極端子12C端部の折曲面12cが電池セル10B端面と平行でなく、ほぼ垂直となるように電極端子12Cを折曲させている。具体的には、各電極端子12Cの折曲位置を2カ所として、第1の折曲により電極端子12Cが電池セル10Bの端面から斜め方向に突出するよう折曲される。この際、各電極端子12Cを各々反対の斜め方向に突出させる。さらに第2の折曲により折曲面12cが電池セル10Bの端面に対してほぼ垂直な姿勢に折曲される。このとき、折曲面12cが電池セル10Bの側面とほぼ同一平面に位置するように設定する。これにより、電池セル10B同士を積層すると、隣接する電池セル10Bの正極と負極の折曲面12c同士を当接できる。この構成においても、折曲面12c同士の間に電圧検出用端子70を介在させて、同様に電蝕を防止し、また電圧検出用端子70の変形を回避できる。
【0049】
この電池セル10Bは、電極端子12Cを板状に突出させたまま製造され、電池セル10Bの製造後に電極端子12Cを折曲加工し、それぞれ逆向きの斜め方向に伸びるように2カ所を折曲される。この電池セル10Bを順次積層して、連結穴13Cをリベット止めして固定していく。またリベット止めはリベッティングマシンで自動的に行われる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の電池パック及びその製造方法は、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両用電源装置として好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電池パックの外観斜視図である。
【図2】図1の電池パックを構成する電池セル積層体の斜視図である。
【図3】図2の電池セル積層体の電極端子部分を示す拡大斜視図である。
【図4】図3の電極端子部分の分解斜視図である。
【図5】図2の電池セル積層体1の平面図である。
【図6】図2の電池セル積層体1の側面図である。
【図7】図2の電池セル積層体1の正面図である。
【図8】図2の電池セル積層体の電極端子に通電する様子を示す模式断面図である。
【図9】変形例に係る電池セルの斜視図である。
【図10】他の変形例に係る電池セルの斜視図である。
【図11】ブラインドリベットの外観を示す斜視図である。
【図12】リベットで固定した電極端子の折曲面の断面図である。
【図13】弾性部材を備える電圧検出用端子と電極端子部分を示す拡大分解斜視図である。
【図14】図13の側面図である。
【図15】図13の電圧検出用端子を固定した状態を示す拡大斜視図である。
【図16】実施の形態2に係る電池パックの斜視図である。
【図17】図16の側面図である。
【図18】図16の連結部分を示す拡大分解斜視図である。
【図19】図18の締結状態を示す拡大斜視図である。
【図20】実施の形態3に係る電池セル同士を連結した状態を示す斜視図である。
【図21】図20の電池セル連結体の側面図である。
【図22】従来の電池パックの斜視図である。
【図23】図22の電池パックを構成する電池セル積層体の斜視図である。
【図24】図23の電池セル積層体の電極端子部分を示す拡大斜視図である。
【図25】図23の電池セル積層体の平面図である。
【図26】図23の電池セル積層体の側面図である。
【図27】図23の電池セル積層体の正面図である。
【図28】図23の電池セル積層体の電極端子に通電する様子を示す模式断面図である。
【符号の説明】
【0052】
100、200、300…電池パック
1…電池セル積層体
10、10B、10C、10D…電池セル
12、12B〜12E…電極端子
12a〜12c…折曲面
13、13B〜13C…連結穴
13D…バーリング部
13E…ナット部
14…端子リブ
20…セパレータ
30…エンドプレート
32…ネジ穴
34…延長ボルト
51…ブラインドリベット
52…ボルト
53…ナット
60、60B…弾性部材
70、70B…電圧検出用端子
71…検出端子穴
72…接続面
FS…固定具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを隣接させ、互いに直列に接続した電池パックであって、
正負の電極端子を一方の端面から突出させており、正極と負極でイオン化傾向の異なる金属を使用する複数の電池セルと、
電池セルの端子電圧を測定するために電池セルの電極端子と電気的に接続するための接続面を備える電圧検出用端子と、
前記電池セルを、電極端子を設けた端面を略同一平面に揃えて配列した状態にて、隣接する電池セルの正極及び負極を固定して連結するための固定具と、
を備え、
前記電極端子は、板状に形成され、板状電極端子は電池セルの端面から上方に突出させ、先端を折曲して折曲面を有しており、
隣接する電池セルの正極及び負極の電極端子の折曲面の間に、前記電圧検出用端子の接続面を介在させた状態でこれらを重ね合わせて、前記固定具で固定状態に連結してなることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
複数の電池セルを隣接させ、互いに直列に接続した電池パックであって、
正負の電極端子を一方の端面から突出させており、正極と負極でイオン化傾向の異なる金属を使用する複数の電池セルと、
電池セルの端子電圧を測定するために電池セルの電極端子と電気的に接続するための接続面を備える電圧検出用端子と、
前記電池セルを、電極端子を設けた端面を略同一平面に揃えて配列した状態にて、隣接する電池セルの正極及び負極を固定して連結するための固定具と、
を備え、
前記電圧検出用端子の接続面は、正極の電極端子を構成する金属と負極の電極端子を構成する金属とのイオン化傾向の差よりも、正極及び負極を構成する金属とのイオン化傾向の差が小さい金属で構成されており、
前記電極端子は、板状に形成され、板状電極端子は電池セルの端面から上方に突出させ、先端を折曲して折曲面を有しており、
隣接する電池セルの正極及び負極の電極端子の折曲面の間に、前記電圧検出用端子の接続面を介在させた状態でこれらを重ね合わせて、前記固定具で固定状態に連結してなることを特徴とする電池パック。
【請求項3】
請求項2に記載の電池パックであって、
前記電池セルがリチウムイオン電池であり、
前記電圧検出用端子の接続面が、Ni又はNi−Crメッキを施したCuあるいはNiであることを特徴とする電池パック。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記電極端子の折曲面には、連結穴が形成され、
前記電圧検出用端子の接続面には、前記連結穴と略等しいかこれよりも大きい内径に検出端子穴が形成されており、
前記固定具は、前記連結穴に挿通させる挿通体を備えており、
正負の電極端子の折曲面とこの間に介在される接続面の連結穴を一致させた状態で、前記挿通体が電池セルの端面に対して略垂直な方向に貫通されるよう構成されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記電池セルが角形電池であり、
前記電極端子は電池セルの端面から斜め方向に突出するよう折曲され、かつ折曲面が電池セルの端面に対して略垂直な姿勢に折曲されると共に、角形電池セルの側面と略同一平面に位置されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記電池セルの端面から電極端子が一対、離間されて突出されており、各電極端子は相互に異なる方向に斜め方向に突出するよう構成されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記電池セルが角形電池であり、
前記電極端子は電池セルの端面から略垂直方向に突出され、かつ先端を端面と平行になるように断面略L字状に折曲して水平折曲面としてなり、隣接する電池セル同士で水平折曲面を重ねて前記固定具で連結するよう構成されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記一対の電極端子は、一方の折曲方向が他方の折曲方向と逆向きに折曲されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記一対の電極端子の一方の折曲位置が、他方の電極端子の折曲位置よりも、前記電極端子の厚さと、前記電圧検出用端子の厚さの和に相当する分だけ短くして折曲されてなることを特徴とする電池パック。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記固定具が、ボルト及びナットを含み、
隣接する電池セルの電極端子の折曲面同士を重ね合わせた折曲面の連結穴に一方からボルトを挿通して他方をナットに螺合させて固定してなることを特徴とする電池パック。
【請求項11】
請求項1から9のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記固定具が、ボルトと、一方の折曲面の連結穴にバーリング加工してネジ溝を形成したバーリング部を含み、
隣接する電池セルの電極端子の折曲面同士を、バーリング部を有する折曲面が下方に位置するように重ね合わせ、連結穴の上方からボルトを挿通して、バーリング部のネジ溝に螺合させて固定してなることを特徴とする電池パック。
【請求項12】
請求項1から9のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記固定具が、ボルトと、一方の折曲面の連結穴に開口を一致させるようナットを固定したナット部を含み、
隣接する電池セルの電極端子の折曲面同士を、ナット部を有する折曲面が下方に位置するように重ね合わせ、連結穴の上方からボルトを挿通して、ナット部に螺合させて固定してなることを特徴とする電池パック。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記電圧検出用端子の接続面が、弾性部材を有しており、
前記弾性部材を前記電極端子同士の間に介在させるよう連結してなることを特徴とする電池パック。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一に記載の電池パックであって、
前記固定具が、電極端子との当接面に弾性部材を介在させてなることを特徴とする電池パック。
【請求項15】
請求項14に記載の電池パックであって、
前記弾性部材が、スプリングワッシャであることを特徴とする電池パック。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一に記載の電池パックであって、
各折曲面に、連結穴を2以上開口してなり、
各連結穴に固定具を貫通させて固定すると共に、少なくとも一の連結穴に前記接続面の検出端子穴を一致させて固定具を貫通させて固定してなることを特徴とする電池パック。
【請求項17】
請求項16に記載の電池パックであって、
一の連結穴に、弾性部材を配置して固定具と折曲面との間に挟み込み、
他の連結穴に、電圧検出用端子を配置して固定具と折曲面との間に挟み込むことを特徴とする電池パック。
【請求項18】
複数の電池セルを隣接させ、互いに直列に接続した電池パックの製造方法であって、
正極と負極の電極端子でイオン化傾向の異なる金属を使用した複数の電池セルの、端面から上方に突出させた一対の電極端子の先端に連結穴を開口させると共に、該先端を折曲して折曲面を形成する工程と、
電池セルの端子電圧を測定するための電圧検出用端子の、電池セルの電極端子と電気的に接続するための接続面が、正極の電極端子を構成する金属と負極の電極端子を構成する金属とのイオン化傾向の差よりも、正極及び負極を構成する金属とのイオン化傾向の差が小さい金属で構成されており、
前記電池セルを、電極端子を設けた端面を略同一平面に揃えた状態で配列した状態にて、隣接する電池セルの正極及び負極の電極端子の折曲面の間に、前記電圧検出用端子の接続面を介在させた状態でこれらを重ね合わせて、固定具で固定状態に連結する工程と、
を含むことを特徴とする電池パックの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2008−186725(P2008−186725A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−19453(P2007−19453)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】