説明

電池

【課題】耐衝撃性および耐振動性に優れた電池を提供する。
【解決手段】電池1は、正極板19Aと負極板19Bとをセパレータを介して積層または巻回してなる発電要素8と、電解液と、発電要素8を電解液に浸した状態で収容するケース2と、を備える。本発明は、発電要素8とケース2の内壁2Aとの間に電解液により膨張する材料からなる緩衝材10を配置したところに特徴を有する。緩衝材10を配置することにより耐衝撃性および耐振動性に優れた電池1を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、正極板と負極板とをセパレータを介して積層または巻回してなる発電要素と、電解液と、発電要素を電解液に浸した状態で収容するケースと、を備える電池としては、例えば特許文献1に記載の電池などが知られている。
この電池において、正極板は電池の側方に延出されて正極集電体に接合され、負極板は反対側の側方に延出されて負極集電体に接合された状態で、電解液に浸されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−14276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の電池においては、特許文献1の図3に示すように、ケースと発電要素との間に隙間があるため、電池が衝撃や振動を受けることで、発電要素が移動することがある。このように、発電要素が移動してケース内壁などに衝突すると、極板と集電体との接合部が切れたり、極板の破損や変形、極板からの活物質の脱落などによる抵抗の上昇や内部短絡の発生が懸念される。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、耐衝撃性および耐振動性に優れた電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するものとして、本発明は、正極板と負極板とをセパレータを介して積層または巻回してなる発電要素と、電解液と、前記発電要素を前記電解液に浸した状態で収容するケースと、を備える電池であって、前記発電要素と前記ケースの内壁との間に前記電解液により膨張する材料からなる緩衝材を配置するところに特徴を有する。
【0007】
本発明においては、例えば、発電要素の外面のうち、ケース内壁に対向する位置に緩衝材を取り付けてからケース内に収容し、電解液を注入すると、緩衝材が電解液により膨張して、発電要素とケースの内壁との間に配置される。そして、このようにして配置された緩衝材により、発電要素は、ケース内壁との間に間隔をあけた状態で保持され、電池が衝撃や振動を受けたとしても、極板と集電体との接合部が切れたり、極板の破損するなどの問題が発生しにくくなる。
その結果、本発明によれば、耐衝撃性および耐振動性に優れた電池を提供することができる。
【0008】
また、本発明において使用する緩衝材は、ケース内において、電解液に浸された状態となってから膨張するので、ケースに収容する前の体積は、ケース内で膨張した後の体積よりも小さい状態である。つまり、緩衝材の体積は、ケースに収容する作業を行うときには、ケース内における緩衝材の収容スペースの容積よりも小さい状態であるので、緩衝材をケース内に収容する作業を円滑に行うことができる。
【0009】
本発明は以下の構成であってもよい。
前記緩衝材は、前記発電要素の端面と前記ケースの内壁との間に配置されていてもよい。
【0010】
ケース内において、発電要素は、極板の積層方向あるいは極板の巻回方向においては電解液を吸収して膨張するので、ケース内に発電要素を収容し電解液を注液するだけで、発電要素の外周面とケース内壁とが接触状態となり、発電要素とケース内壁との衝突の問題は生じにくい。
しかしながら、発電要素は、極板の積層方向に垂直な方向や、巻回方向に垂直な方向(巻回軸方向)においては、電解液を吸収しても膨張しにくいため、ケース内に収容した発電要素に電解液を注液した後においても、発電要素の端面(極板の端面が配される面)とケース内壁との間には隙間が空いている。そこで、上記のような構成とすると、緩衝材が、発電要素の膨張しにくい方向に配される面とケース内壁面との間に配置されるから、電池が衝撃や振動を受けたとしても、緩衝材により衝撃や振動の影響を確実に緩和することができる。
【0011】
前記正極板および前記負極板の少なくとも一方は、端部に活物質が塗布されていない活物質未塗布部を有するとともに、前記活物質未塗布部が前記発電要素の端部に配され、前記緩衝材は、前記発電要素の端面と前記活物質未塗布部を覆うように配置されていてもよい。
活物質が塗布されている部分においてケースとの間に空間がなくても、活物質が塗布されていない未塗布部においては、ケースとの間に空間が生じる可能性があるが、上記のような構成とすると、このような空間にも緩衝材が配置されるので、耐衝撃性および耐振動性に優れる。
【0012】
前記緩衝材が、ポリフッ化ビニリデンまたはポリフッ化ビニリデンとポリスチレンとの混合樹脂からなる構成であってもよい。
このような構成とすると、緩衝材がリチウムイオン二次電池において用いられる非水電解液中で膨張しやすいものとなり、好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、耐衝撃性および耐振動性に優れた電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態1の電池を模式的に示した一部断面図
【図2】ケースに収容する前の発電要素を示した斜視図
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態1>
本発明をリチウムイオン電池1に適用した実施形態1を図1および図2によって説明する。
本実施の形態の電池1は、図1に示すように、上方に開口した略直方体状のケース2内に、発電要素8と図示しない電解液を備える。
【0016】
ケース2の開口部分2Bには、当該開口部分2Bをふさぐ平板状の蓋部3が取り付けられている。蓋部3は金属材料からなるともに、図1および図2に示すように、ケース2の開口部分2Bに対応した長方形状をなしている。蓋部3の上面には、2つの電極端子4A,4B(正極端子4A、負極端子4B)が樹脂製の支持部5に支持された状態で取り付けられており、2つの電極端子4A,4Bの間には電解液をケース2内に注液する注液口6が設けられている。
【0017】
各電極端子4A,4Bは図2に示すように、略U字状をなしており、その先端部には、隣り合う電池(図示せず)の電極端子4と電気的に接続するためのバスバーなどが取り付け可能とされる。
【0018】
各電極端子4A,4Bは蓋部3および支持部5を貫通してケース2内に配される集電体7A,7Bと連なっている。つまり、本実施形態において、正極端子4Aは正極集電体7Aと一体的に形成されており、負極端子4Bは負極集電体7Bと一体的に形成されている。本実施形態では、図1において左側に配されている電極端子4Aおよび集電体7Aをそれぞれ正極端子4Aおよび正極集電体7Aとし、図示右側に配されている電極端子4Bおよび集電体7Bをそれぞれ負極端子4Bおよび負極集電体7Bとする。正極端子4Aおよび負極端子4Bを総括する場合には電極端子4とし、正極集電体7Aおよび負極集電体7Bを総括する場合には集電体7とする。
【0019】
正極集電体7A及び正極端子4Aは、例えばアルミニウムなどの金属製材料からなり、負極集電体7B及び負極端子4Bは例えば銅などの金属製材料からなる。集電体7および電極端子4は金属板材を所定の形状に打ち抜き加工あるいは所定の形状に切削加工した後、集電体7部分及び電極端子4部分を図2に示す形状に折り曲げ加工することにより得られる。
【0020】
集電体7および電極端子4を一体的に備える部材は、例えば金属−樹脂接合により蓋部3に取り付けることができる。この金属−樹脂接合は、金属と樹脂とを強固に接合させる技術であり、例えば金属表面を表面処理して微少な凹部を形成し、その表面処理した金属を金型内に配置して樹脂を射出成形する。具体的には、集電体7および電極端子4を一体的に備える部材、及び、蓋部3に対して上述の表面処理を施した後、電極端子4を蓋部3の孔(図示せず)に通し、金型中に図2で示す姿勢で配置する。そして、前記金型に樹脂を射出成形することで、図2に示す構造の電極端子4が取り付けられた蓋部3が得られる。
【0021】
ケース2の内部には、発電要素8と集電体7が電解液に浸された状態で収容されている。発電要素8は、帯状の正極板19Aと帯状の負極板19Bとをセパレータ(図示せず)を介して巻回してなる。詳細は図示しないが、正極板19Aには正極活物質が塗布されており、負極板19Bには負極活物質が塗布されている。正極板19Aは図1に示すように、図示左側に延出され、その延出端は正極活物質の塗布されていない活物質未塗布部9A(図示帯状部分)であり、正極集電体7Aが溶接により接合されている。負極板19Bは図1に示すように、図示右側に延出され、その延出端は負極活物質の塗布されていない活物質未塗布部9B(図示帯状部分)であり、負極集電体7Bが溶接により接合されている。
【0022】
正極板19Aとしては、例えばアルミニウム箔などの金属箔を用いることができ、正極活物質としては、リチウムやマンガンなどを含むリチウム複合酸化物など、リチウムイオン電池の正極活物質として公知のものを用いることができる。
【0023】
負極板19Bとしては、例えば銅箔などの金属箔を用いることができ、負極活物質としては、リチウム金属、リチウムを吸臓・放出可能な物質であるリチウム−アルミニウム合金、リチウム−鉛合金、リチウム−錫合金などのリチウム合金、黒鉛、コークス、有機物焼成体、非晶質炭素などの炭素材料など、リチウムイオン電池の負極活物質として公知のものを用いることができる。
【0024】
電解液としては、リチウムイオン電池の電解液(非水電解液)として公知のものを用いることができる。
【0025】
非水電解液の非水溶媒としては、具体的には、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート等の環状カーボネート類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル類、酢酸メチル、プロピオン酸メチル等の鎖状エステル類、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン等の環状エーテル類、ジメトキシエタン、ジメトキシメタン等の鎖状エーテル類、リン酸エチレンメチル、リン酸エチルエチレン等の環状リン酸エステル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等の鎖状リン酸エステル、これらの化合物のハロゲン化物などを使用することができる。これらの有機溶媒は、一種類だけを選択して使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
非水電解液の溶質としては、LiClO、LiPF、LiBF等の無機リチウム塩や、LiCFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO 、LiN(CFCO)およびLiC(CFSO等の含フッ素有機リチウム塩等を挙げることができる。これらの溶質は、一種類だけを選択して使用してもよいし、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン製微多孔膜など、リチウムイオン電池のセパレータとして公知のものを用いることができる。
【0028】
本実施形態において、発電要素8は各極板19A,19Bの端面を図1に示す左右に配置した状態で配されている。極板19A,19Bの端面が配されている発電要素8の左端面8Aとケース2の内壁2Aとの間および発電要素8の右端面8Aとケース2の内壁2Aとの間には、それぞれ、電解液により膨張する材料からなる緩衝材10が配置されている。
本実施形態においては緩衝材10は、発電要素8の図1における左端部では、左側の端面8Aと活物質未塗布部9Aを覆うように配置され、かつ、発電要素8の図1における右端部では、右側の端面8Aと活物質未塗布部9Bを覆うように配置されている。
【0029】
緩衝材10としては、電解液により膨張する材料からなるものであればよく、その形状は、シート状であっても、繊維状などであっても構わない。緩衝材10の材料の具体例としては、アクリロニトリル系樹脂,メチルメタアクリレート系樹脂,ポリフッ化ビニリデン系樹脂,ポリエチレンオキサイド系樹脂,ポリスルホン系樹脂,エポキシ系樹脂,カルボキシメチルセルロース系樹脂等の樹脂、分子内に架橋構造を有する前記樹脂、ポリテトラフルオロエチレン,ポリイミド系樹脂,ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂などがあげられる。これらの材料は一種または二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの材料のうち、ポリフッ化ビニリデンまたはポリフッ化ビニリデンとポリスチレンとの混合樹脂は、リチウムイオン電池の電解液として用いられる非水電解液において膨張しやすいので好ましい。
【0030】
上記緩衝材10の材料には、例えば、ポリエステル系繊維、アクリル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリビニル系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維、ポリ塩化ビニリデン系繊維、セルロース系繊維などから選ばれる一種以上の繊維を混合してもよい。これらの繊維を混合すると、緩衝材10がより膨れやすくなるので、好ましい。
【0031】
緩衝材10を配置する際には、発電要素8の外面のうち、ケース2の内壁2Aと対向する位置(本実施形態では発電要素8の端面8A)に、緩衝材10を、例えば接着剤または接着テープなどにより貼りつけた状態としてケース2内に挿入する。緩衝材10を貼り付けた発電要素8をケース2内に収容した後に、電解液を注入すると、緩衝材10が電解液により膨張してケース2の内壁2Aと発電要素8の端面8Aとの間に配置される。このようにして本実施形態の電池1が得られる。
【0032】
そして、本実施形態の電池1においては、電解液の注入により、発電要素8が電解液を吸収して極板19A,19Bの巻回方向に膨張するので、発電要素8の面のうち、図1における手前側の広い面8Bと、この面に対向する奥側の広い面8Bは、ケース2の内壁2Aの一対の長側面(ケース2の側面のうち面積の広い面)と接触状態となる。
【0033】
次に、本実施形態の作用および効果について説明する。
本実施形態においては、発電要素8とケース2の内壁2Aとの間に、電解液により膨張する緩衝材10を配置するから、この緩衝材10により発電要素8が、ケース2の内壁2Aとの間に間隔をあけた状態で保持される。その結果、本実施形態によれば、電池1が衝撃や振動を受けたとしても、極板と集電体7との接合部が切れたり、極板の破損するなどの問題が発生しにくくなるので、耐衝撃性および耐振動性に優れた電池1を提供することができる。
【0034】
ところで、発電要素8とケース2の内壁2Aとの衝突を防止するために発電要素8とケース2の内壁2Aとの間に形成される隙間部分全体に緩衝材10を配置することも考えられる。上述したように、本実施形態の電池1においては、電解液の注入により、発電要素8が電解液を吸収して極板の巻回方向に膨張するので、発電要素8の面のうち、図1における手前側の広い面8Bと、この面に対向する奥側の広い面8Bとは、ケース2の内壁2Aの一対の長側面と接触状態となるので、緩衝材10を配置しなくても、衝突の問題は生じにくい。しかしながら、電解液を注入しても、発電要素8は巻回軸方向においては膨張しにくい。
【0035】
そこで、本実施形態では、電解液により膨張しにくい方向に配される発電要素8の端面8Aと、ケース2の内壁2Aとの間にのみ緩衝材10を配置している。その結果、本実施形態によれば、緩衝材10の使用量を少なくしつつ、衝撃や振動の影響を確実に緩和することができる。
【0036】
また、本実施形態において使用する緩衝材10は、ケース2内において、電解液に浸された状態となってから膨張するので、ケース2に収容する前の体積は、ケース2内で膨張した後の体積よりも小さい状態である。つまり、緩衝材10の体積は、ケース2に収容する作業を行うときには、ケース2内における緩衝材10の収容スペースの容積よりも小さい状態であるので、本実施形態によれば、緩衝材10をケース2内に収容する作業を円滑に行うことができるという効果も得られる。
【0037】
また、本実施形態によれば、活物質未塗布部9A,9Bが発電要素8の両端部に配され、緩衝材10は、発電要素8の右側の端面8Aと活物質未塗布部9Aおよび、発電要素8の左側の端面8Aと活物質未塗布部9Bを覆うように配置されているから、活物質未塗布部9A、9Bとケース2の内壁との間に空間があったとしてもその空間に緩衝材10が配置されるので、耐衝撃性および耐振動性に優れる。
【0038】
<実施例>
以下、実施例および比較例により本発明を詳しく説明する。
(実施例1の電池の作製)
実施形態1で説明した形態の電池を以下の手順により作製した。
アルミニウム製の蓋部に、アルミニウム製の金属板材を加工して得られた正極端子および正極集電体が一体化した部材と、銅製の金属板材を加工して得られた負極端子および負極集電体が一体化した部材とを取り付けた部材に支持部を設けて蓋部材を作製した。
【0039】
帯状のアルミニウム箔にコバルト酸リチウムおよびマンガン酸リチウムからなる正極活物質を塗布してなる正極板と、帯状の銅箔にグラファイトからなる負極活物質を塗布してなる負極板とを、ポリエチレン微多孔膜からなるセパレータを介して巻回して発電要素を作製した。
【0040】
蓋部材を構成する正極集電体と負極集電体に、発電要素を構成する正極板の端部と負極板の端部をそれぞれ溶接し接合した。
【0041】
発電要素の2つの端面にそれぞれ、シート状のポリスチレン樹脂が配置されるようにケース内に挿入し蓋部をケースの開口部分に接合し、非水電解液を注液口から注液することにより実施例1の電池を作製した。
非水電解液としては ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびエチレンカーボネートで構成された電解液を用いた。
【0042】
(比較例1の電池の作製)
ケースにポリスチレン樹脂を挿入しなかったこと以外は実施例1と同様にして、比較例1の電池を作製した。
【0043】
(評価試験)
実施例1の電池および比較例1の電池のそれぞれについて、予め電圧を測定しておき、下記の方法により、振動試験を行った。
各電池を振動が直接伝わるように振動試験機に固定し、振動試験をおこなった。振動試験の条件は以下とした。振動は正弦波形の対数掃引とし、振動数7Hz→200Hz→7Hzを15分で掃引、このセットをXYZの3方向に各12回繰り返した。対数掃引は7Hzから18Hzに達するまで、ピーク加速度を1gに維持した。その後振幅を0.8mmに保ちピーク加速度が8gとなるまで振動を増加した。その後振動が200Hzに上がるまで、8gのピーク加速度を維持した。
【0044】
(結果と考察)
実施例1の電池については、振動試験後に電圧の低下は生じなかったが比較例1の電池については、振動試験後に、電圧の低下が生じた。
実施例1の電池については、振動試験後において、集電体と発電要素の溶接部の接合状態が保持されており、極板の変形や粉落ちが認められなかった。
比較例1の電池については、振動試験後において、集電体と発電要素の溶接部が一部切れており、極板の変形および粉落ちが認められた。
【0045】
以上の結果から、本発明によれば、耐振動性に優れた電池が得られるということが確認された。
【0046】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態ではリチウムイオン電池に適用した例を示したが、本発明は、ニッケル水素電池などの二次電池や、各種一次電池に適用することが可能である。
(2)上記実施形態では、正極板と負極板とをセパレータを介して巻回してなる発電要素を示したが、正極板と負極板とをセパレータを介して積層してなる発電要素であってもよい。
(3)上記実施形態では緩衝材を発電要素の端面とケース内壁との間に配置した電池を示したが、緩衝材を、発電要素の端面以外の外面とケース内壁との間や、発電要素の外面とケース内壁との間に形成される隙間部分の全域に配置してもよい。また、緩衝材を発電要素の端面とケース内壁との間の空間に部分的に配置してもよい。
(4)上記実施例では、正極板としてアルミニウム箔を備えるものを示し負極板として銅箔を備えるものを示したが、本発明をリチウムイオン電池に適用する場合でっても、極板の材料はこれに限定されない。
(5)上記実施形態では、発電要素の両端部において、端面と活物質未塗布部を覆うように配置された緩衝材を示したが、緩衝材は活物質未塗布部を覆っていなくてもよい。また、緩衝材は、発電要素の一方の端部において、発電要素の端面と活物質未塗布部を覆うように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1...電池
2...ケース
2A...ケースの内壁
4...電極端子
4A...正極端子
4B...負極端子
8...発電要素
8A...発電要素の端面
9A...(正極板の)活物質未塗布部
9B...(負極板の)活物質未塗布部
10...緩衝材
19A...正極板
19B...負極板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極板と負極板とをセパレータを介して積層または巻回してなる発電要素と、電解液と、前記発電要素を前記電解液に浸した状態で収容するケースと、を備える電池であって、
前記発電要素と前記ケースの内壁との間に前記電解液により膨張する材料からなる緩衝材を配置したことを特徴とする電池。
【請求項2】
前記緩衝材は、前記発電要素の端面と前記ケースの内壁との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の電池。
【請求項3】
前記正極板および前記負極板の少なくとも一方は、端部に活物質が塗布されていない活物質未塗布部を有するとともに、前記活物質未塗布部が前記発電要素の端部に配され、
前記緩衝材は、前記発電要素の端面と前記活物質未塗布部を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電池。
【請求項4】
前記緩衝材が、ポリフッ化ビニリデンまたはポリフッ化ビニリデンとポリスチレンとの混合樹脂からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の電池。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−77465(P2013−77465A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217075(P2011−217075)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(507151526)株式会社GSユアサ (375)
【Fターム(参考)】