説明

電源システム

【課題】製造コスト増加を抑制しつつ直流電源の数を増やせる電源システムを提供する。
【解決手段】電源システム1は、直流電源20と、電圧コンバータ22,28と、複数の直流電源AB1〜ABnと、複数の直流電源AB1〜ABnのうちの1つを選択的に電圧コンバータ28に接続するための接続部41とを備える。接続部41は、各複数の直流電源AB1〜ABnを内部ノードN1に接続する複数のリレーASMR1G〜ASMRnGと、制限抵抗RCと、内部ノードN1と電圧コンバータ28とを制限抵抗RCを介在させて接続する状態と内部ノードN1と電圧コンバータ28との間の抵抗値が制限抵抗RCの抵抗値よりも小さくなる状態とを切替えるためのリレーASMRCとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は電源システムに関し、特に、複数の直流電源と複数の電圧コンバータとを備える電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車や電気自動車等の走行用モータを駆動するためのバッテリを搭載する車両において、走行距離を延ばすために複数のバッテリを搭載することが検討されている。
【0003】
図11は、3つのバッテリを搭載する電源システムの検討例を示した回路図である。
図11を参照して、この電源システム100は、通常時は、メイン直流電源20およびメインコンバータ22ならびにサブ直流電源24およびサブコンバータ28によって負荷200を駆動する。この場合において、サブ直流電源24に異常などが生じた場合には、サブ直流電源24からサブ直流電源26に切換えて用いることが望まれる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−4693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような場合に、補助側のサブ直流電源24とサブ直流電源26との間に短絡がないようにした上で、これらの電源をより早く切換えることができる電源システムとする必要がある。
【0006】
このために、図11に示した構成では、サブ直流電源24、26にそれぞれ制限抵抗R2,R3を設けている。たとえば、サブ直流電源24からサブ直流電源26へ切換える際には、まずサブ直流電源24を切り離し、そして制限抵抗を介してサブ直流電源26を接続しコンデンサCf2の両端電圧とサブ直流電源26との間の電位差がなくなってから制限抵抗R3を介在させない状態でリレーSMR3Gを接続させるようにしていた。
【0007】
図11に示した構成では、直流電源を追加する毎にリレーと制限抵抗とを増やす必要があるので、走行距離を延ばす等の要求によって電源を追加する毎にコストが高くなってしまう。
【0008】
この発明の目的は、製造コストが低減された電源システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、要約すると、電源システムであって、第1直流電源と、第1直流電源の電圧を変換し電気負荷に供給するための第1電圧コンバータと、複数の第2直流電源と、複数の第2直流電源のいずれかの電圧を変換し電気負荷に供給するための第2電圧コンバータと、複数の第2直流電源のうちの1つを選択的に第2電圧コンバータに接続するための接続部とを備える。接続部は、複数の第2直流電源にそれぞれ対応して設けられ、各複数の第2直流電源を内部ノードに接続する複数の第1のリレーと、制限抵抗と、内部ノードと第2電圧コンバータとを制限抵抗を介在させて接続する状態と内部ノードと第2電圧コンバータとの間の抵抗値が制限抵抗の抵抗値よりも小さくなる状態とを切り替えるための第2のリレーとを含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、使用可能時間を延ばすために電源容量を増やす場合においても、制限抵抗を追加する必要がないので製造コストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態における電源システム1の構成を示した回路図である。
【図2】電源システム1の制御について説明するための動作波形図である。
【図3】電源システム1において実行される電源システムの準備の処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】図3のステップS10の処理の詳細を説明するためのフローチャート(前半部)である。
【図5】図3のステップS10の処理の詳細を説明するためのフローチャート(後半部)である。
【図6】サブ直流電源の切換の処理を説明するためのフローチャート(前半部)である。
【図7】サブ直流電源の切換の処理を説明するためのフローチャート(後半部)である。
【図8】直流電源の切換の例および直流電源の遮断の例を示した動作波形図である。
【図9】直流電源の遮断の際の処理を説明するためのフローチャート(前半部)である。
【図10】直流電源の遮断の際の処理を説明するためのフローチャート(後半部)である。
【図11】3つのバッテリを搭載する電源システムの検討例を示した回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中同一または対応する要素には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態における電源システム1の構成を示した回路図である。
図1を参照して、電源システム1は、メイン直流電源20と、メインコンバータ22と、サブ直流電源AB1〜ABnと、サブコンバータ28と、制御装置30とを含んで構成される。メイン直流電源20、サブ直流電源AB1〜ABnとしては、ニッケル水素、リチウムイオン等の二次電池や、燃料電池を適用することができる。
【0014】
メイン直流電源20は、接続部40によってメインコンバータ22に選択的に接続される。接続部40は、リレーSMR1Bと、SMR1Gと、リレーSMRP、制限抵抗R1とを含む。
【0015】
メイン直流電源20の正極は、リレーSMR1Bを介してインダクタL1の一端およびコンデンサCf1の一端に接続される。インダクタL1の他端は、メインコンバータ22の入力端CT1に接続される。メイン直流電源20の負極は、リレーSMR1Gを介してコンデンサCf1の他端に接続されるとともに、メインコンバータ22の入力端CT2に接続される。直列接続されたリレーSMR1Pおよび抵抗R1は、リレーSMR1G対して並列に接続される。
【0016】
メインコンバータ22は、出力端CT3と出力端CT4との間に直列に接続される上アーム22aと下アーム22bとを含む。上アーム22aは、スイッチング素子TR1aと、スイッチング素子TR1aと並列に逆接続されたダイオードD1aとを含む。下アーム22bは、スイッチング素子TR1bと、スイッチング素子TR1bと並列に逆接続されたダイオードD1bとを含む。なお、メインコンバータ22の内部で、入力端CT2と出力端CT4とは接続されている。
【0017】
出力端CT3,CT4の間に負荷200が接続される。また、出力電圧を安定化させるために、出力端CT3,CT4の間には、平滑コンデンサCmが負荷200と並列に接続される。
【0018】
サブ直流電源AB1〜ABnは、接続部41によってサブコンバータ28に選択的に接続される。接続部41は、リレーASMR1B〜ASMRnBと、ASMR1G〜ASMRnGと、リレーASMRCと、制限抵抗RCとを含む。
【0019】
サブ直流電源AB1〜ABnの正極は、それぞれリレーASMR1B〜ASMRnBを介してインダクタL2の一端およびコンデンサCf2の一端に接続される。インダクタL2の他端は、サブコンバータ28の入力端CT5に接続される。サブ直流電源AB1〜ABnの負極は、それぞれリレーASMR1G〜ASMRnGを介してリレーASMRCの一端へ接続される。リレーASMRCの他端は、コンデンサCf2の他端に接続されるとともに、サブコンバータ28の入力端CT6に接続される。さらに、リレーASMRCには制限抵抗RCが並列に接続される。
【0020】
サブコンバータ28は、メインコンバータ22と同様な構成を有する。サブコンバータ28は、出力端CT7,CT8の間に直列に接続された上アーム28aと下アーム28bとを含む。上アーム28aは、スイッチング素子TR2aと、スイッチング素子TR2aと並列に逆接続されたダイオードD2aとを含む。下アーム28bは、スイッチング素子TR2bと、スイッチング素子TR2bと並列に逆接続されたダイオードD2bとを含む。なお、入力端CT6と出力端CT8はサブコンバータ28の内部で接続されている。
【0021】
出力端CT7,CT8の間には負荷200が接続される。制御装置30は、マイコンおよびメモリなどを内蔵した電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)である。制御装置30は、電圧センサからの電圧値V0,V1,V2を受けて、それらの電圧値信号に応じてリレーSMR1B,SMR1G,SMR1P,ASMR1B〜ASMRnB,ASMR1G〜ASMRnG,ASMRCの開閉を制御する。
【0022】
また、制御装置30は、メインコンバータ22およびサブコンバータ28のスイッチングを制御する。たとえば、負荷200がインバータを含む車両用のモータである場合、制御装置30は、イグニッションスイッチ(図示せず)、アクセルペダル(図示せず)、ブレーキペダル(図示せず)等の操作状況を受けて内蔵されたメモリに格納された制御プログラムを実行する。これにより、制御装置30は、モータのトルク指令値、モータ回転数、必要電力等に応じてメインコンバータ22およびサブコンバータ28に対して昇圧制御信号や降圧制御信号を出力する。
【0023】
具体的には、リレーSMR1Bが閉状態であり、かつリレーSMR1GまたはSMR1Pが閉状態になっている場合には、制御装置30は、スイッチング素子TR1a,TR1bをスイッチング制御することによって、メイン直流電源20から負荷200へ電力を供給させ、または、負荷200からメイン直流電源20へ電力を回生させることができる。
【0024】
同様に、リレーASMR1BとリレーASMR1GとリレーASMRCとが閉状態となっている場合には、制御装置30は、スイッチング素子TR2a,TR2bをスイッチング制御することによって、サブ直流電源AB1から負荷200へ電力を供給させ、または、負荷200からサブ直流電源ABへ電力を回生させることができる。
【0025】
また、リレーASMR2BとリレーASMR2GとリレーASMRCとが閉状態となっている場合には、制御装置30は、スイッチング素子TR2a,TR2bをスイッチング制御することによって、サブ直流電源AB2から負荷200へ電力を供給させ、または、負荷200からサブ直流電源AB2へ電力を回生させることができる。
【0026】
以下同様に、リレーASMRnBとリレーASMRnGとリレーASMRCとが閉状態となっている場合には、制御装置30は、スイッチング素子TR2a,TR2bをスイッチング制御することによって、サブ直流電源ABnから負荷200へ電力を供給させ、または、負荷200からサブ直流電源ABnへ電力を回生させることができる。
【0027】
但し、制御装置30は、その際に、サブ直流電源AB1〜ABnが同時にサブコンバータ28に接続されないように制御を行なう。
【0028】
[電源システムの起動準備]
図2は、電源システム1の制御について説明するための動作波形図である。
【0029】
図1、図2を参照して、電源システム1の起動準備の様子を説明する。イグニッションスイッチ(図示せず)がオンされるなどの操作に応じて、電源システム1が起動される。
【0030】
制御装置30は、電源システム1の各リレーを接続状態にする信号を出力する前に、リレーSMR1BおよびリレーSMR1GまたはSMR1Pが溶着していないかを調査する。また、リレーASMR1BおよびリレーASMR1Gか、リレーASMR2BおよびリレーASMR2Gか、…、リレーASMRnBおよびリレーASMRnGが溶着していないかも調査する。
【0031】
電圧センサの電圧値V1が高ければ、リレーSMR1BおよびリレーSMR1GまたはリレーSMR1Pが溶着していると判定される。また、電圧センサの電圧値V2が高ければ、リレーASMR1BおよびリレーASMR1Gか、リレーASMR2BおよびリレーASMR2Gか、…、リレーASMRnBおよびリレーASMRnGが溶着していると判定される。
【0032】
リレーに上記の両極溶着が発生していると判定された場合には、制御装置30は、エラー信号を外部へ出力して制御を終了する。制御を終了する際には、メインコンバータ22およびサブコンバータ28のスイッチング制御を停止させ、リレーSMR1B,SMR1P,SMR1G,ASMR1B,ASMR1G,ASMR2B,ASMR2G,…,ASMRnB,ASMRnGに非接続信号を出力する。また、エラー信号によって、車両のタブ分の制御を行なったり、ユーザに異常を知らせる処理を行なったりすることができる。なお、このようなエラー発生時の制御終了時の処理は、以下の説明においても同様である。
【0033】
リレーに両極溶着が発生していなかった場合には、時刻t1において、制御装置30はリレーASMR1Gへ接続信号を出力する。これにより、リレーASMR1Gが非接続状態で固着していなければリレーASMR1Gは正常に接続状態となる。この状態において、リレーASMR1Bが接続状態で溶着しているか否かが判定される。
【0034】
制御装置30は、リレーASMR1Gへの接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし、電圧値V2に上昇が見られるか否かを調べる。電圧値V2に上昇が見られる場合には、リレーASMR1Bが接続状態で溶着していると判定され、そうでない場合には、リレーASMR1Bは接続状態で溶着してはいないと判定される。
【0035】
リレーASMR1Bが溶着していると判定された場合には、制御装置30は、エラー信号を外部へ出力して制御を終了する。リレーASMR1Bが非接続状態であることが確認できた場合には、制御装置30は、時刻t2でリレーASMR1Gへ非接続信号を出力してリレーASMR1Gを非接続状態とする。
【0036】
図3は、電源システム1において実行される電源システムの準備の処理を説明するためのフローチャートである。
【0037】
図2、図3を参照して、時刻t1までの間にステップS1〜ステップS4の処理が実行される。時刻t1〜t2においてステップS5〜ステップS9の処理が実行される。そして時刻t3以降にステップS10の処理が実行される。
【0038】
図4、図5は、図3のステップS10の処理の詳細を説明するためのフローチャートである。
【0039】
図2、図4を参照して、時刻t3以降はメイン直流電源20およびサブ直流電源AB1を用いて負荷200を駆動する制御に移行する。制御装置30は、時刻t3において、リレーSMR1BおよびリレーASMR1Bへ接続信号を出力する(ステップS21)。この状態で、リレーSMR1BおよびリレーASMR1Bが非接続状態で固着していなければリレーSMR1BおよびリレーASMR1Bは接続状態となる。この状態において、リレーSMR1GまたはリレーSMR1Pが接続状態で溶着しているか否かおよびリレーASMR1Gが接続状態で溶着しているか否かが判定される。
【0040】
制御装置30は、リレーSMR1Bへの接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V1をモニタし、電圧値V1に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS22,S23)。電圧値V1に上昇が見られる場合にはリレーSMR1GまたはSMR1Pが接続状態で溶着していると判定される(ステップS24)。そうでない場合はリレーSMR1GおよびSMR1Pは接続状態では溶着していないと判定される(ステップS23でNO)。
【0041】
また、制御装置30は、リレーASMR1Bへの接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS22)、電圧値V2に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS25)。電圧値V2に上昇が見られる場合には、リレーASMR1Gが接続状態で溶着していると判定される(ステップS26)、そうでない場合には、リレーASMR1Gは接続状態では溶着していないと判定される(ステップS25でNO)。
【0042】
リレーSMR1G,SMR1P,ASMR1Gのいずれかが溶着していると判定された場合には、制御装置30はエラー信号を外部へ出力して制御を終了する。
【0043】
一方、リレーSMR1G,SMR1P,ASMR1Gがいずれも非接続状態であることが確認できた場合には、制御装置30は、時刻t4においてリレーSMR1PおよびASMR1Gへ接続信号を出力する(ステップS27)。リレーSMR1PおよびASMR1Gが非接続状態で固着していなければ、これらのリレーが接続状態となる。この状態で、リレーSMR1BおよびSMR1PならびにリレーASMR1BおよびASMR1Gが非接続状態で固着しているか否か、またリレーASMRCが接続状態で溶着しているか否かが判定される(ステップS28〜S34)。
【0044】
制御装置30は、リレーSMR1Pへの接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V1をモニタし(ステップS28)、電圧値V1に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS29)。電圧値V1に上昇が見られる場合にはリレーSMR1BおよびSMR1Pが正常に接続状態になっていると判定され、そうでない場合にはリレーSMR1BまたはSMR1Pが非接続状態で固着していると判定される(ステップS30)。
【0045】
また制御装置30は、リレーASMR1Gへの接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS28)、電圧値V2に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS31)。電圧値V2に上昇が見られる場合にはリレーASMR1BおよびASMR1Gが正常に接続状態となっていると判定される。そうでない場合にはリレーASMR1BまたはASMR1Gが非接続状態で固着していると判定される(ステップS32)。さらに、電圧値V2が急激に上昇すれば、リレーASMRCが接続状態で溶着していると判定され(ステップS34)、時間とともにゆっくりと上昇すればリレーASMRCが接続状態では溶着していないと判定される(ステップS35へ)。
【0046】
リレーSMR1B,SMR1P,ASMR1B,ASMR1Gのいずれかが非接続状態で固着していると判定された場合、または、リレーASMRCが接続状態で溶着していると判定された場合には、制御装置30は、エラー信号を外部へ出力して制御を終了する。
【0047】
以上説明したように、リレーSMR1BおよびリレーSMR1Pがいずれも正常であった場合には、メイン直流電源は抵抗R1を介してコンデンサCf1に接続される(ステップS27)。これにより、メイン直流電源20からコンデンサCf1への急激な充電が防止され、起動時の異常の発生を抑制することができる。
【0048】
また、リレーASMR1B,ASMR1G,ASMRCがいずれも正常であった場合には、サブ直流電源AB1は制限抵抗RCを介してコンデンサCf2に接続される(ステップS27)。これにより、サブ直流電源AB1からコンデンサCf2への急激な充電が防止され、起動時の異常の発生を抑制することができる。
【0049】
次に図2、図5を参照して、時刻t5において制御装置30は、リレーSMR1GおよびリレーASMRCへ接続信号を出力する(ステップS35)。さらに、時刻t6において、リレーSMR1Pへ非接続信号を出力する(ステップS36)。これにより、リレーSMR1Gが非接続状態で固着していなければリレーSMR1PからリレーSMR1Gへと接続が切換えられる。
【0050】
この状態において、制御装置30は、メインコンバータ22およびサブコンバータ28をスイッチング制御し(ステップS37)、電圧値V1に減少が見られるか否かを調べる(ステップS38,S39)。電圧値V1に減少が見られる場合には、リレーSMR1Gが正常に接続状態になっていないと判定され(ステップS40)、そうでない場合にはリレーSMR1Gが正常に接続状態となっていると判定される。
【0051】
また、制御装置30は、電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS38)、電圧値V2に減少が見られるか否かを調べる(ステップS41)。電圧値V2に減少が見られる場合にはリレーASMRCが正常に接続状態となっていないと判定され(ステップS42)、そうでない場合にはリレーASMR2Gが正常に接続状態となっていると判定される。
【0052】
メイン直流電源20とメインコンバータ22とが正常に接続され、サブ直流電源AB1とサブコンバータ28とが正常に接続されていると判定された場合(ステップS43)、制御装置30は、メインコンバータ22およびサブコンバータ28をスイッチング制御し、メイン直流電源20およびサブ直流電源AB1から負荷200へ電力を供給させる。また、必要に応じて、負荷200側からメイン直流電源20およびサブ直流電源AB2へ電力を回生させることもできる。
【0053】
[サブ直流電源の切換:AB1→AB2]
図2の時刻t7以降には直流電源切換(AB1→AB2)の様子が示されている。
【0054】
以下、サブ直流電源AB1からサブ直流電源AB2へ切換える際の処理について説明する。この処理は、サブ直流電源AB1に異常が生じ、サブ直流電源AB2を予備電源として利用する場合等に行なうことができる。以下の処理を開始する前にサブコンバータ28のスイッチング制御を停止させることが好適である。
【0055】
図6、図7は、サブ直流電源の切換の処理を説明するためのフローチャートである。
図2、図6を参照して、時刻t7において、制御装置30は、リレーASMRCへ非接続信号を出力する(ステップS61)。これにより、リレーASMRCが接続状態で溶着していなければ、リレーASMRCが非接続状態となる。
【0056】
この状態で、制御装置30は、サブコンバータ28の下アームをスイッチング制御してコンデンサCf2をディスチャージして(ステップS62)、リレーASMRCが接続状態で溶着しているか否かを判定する。
【0057】
制御装置30は、コンデンサCf2をディスチャージする処理を開始した前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS63)、電圧値V2に減少が見られるか否かを調べる(ステップS64)。電圧値V2に減少が見られない場合にはリレーASMRCが接続状態で溶着していると判定され(ステップS65)、そうでない場合にはリレーASMRCは接続状態では溶着していないと判定される。
【0058】
リレーASMRCが接続状態で溶着していると判定された場合には、制御装置30は、エラー信号を外部へ出力して制御を終了する。
【0059】
リレーASMRCが正常と判定された場合には、時刻t8において制御装置30は、サブコンバータ28のスイッチング制御を停止し、コンデンサCf2のディスチャージを止める(ステップS66)。さらに、リレーASMR1Bへ非接続信号を出力する(ステップS67)。これにより、リレーASMR1Bが接続状態で溶着していなければ、リレーASMR1Bは非接続状態となる。
【0060】
この状態で制御装置30は、リレーASMR1Bが接続状態で溶着しているか否かを判定する。
【0061】
まず制御装置30は、リレーASMR1Bへの非接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS68)、電圧値V2に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS69)。電圧値V2に上昇が見られる場合にはリレーASMR1Bが接続状態で溶着していると判定され(ステップS70)、そうでない場合にはリレーASMR1Bは接続状態では溶着していないと判定される。
【0062】
リレーASMR1Bが接続状態で溶着していると判定された場合には、制御装置30はエラー信号を外部へ出力して制御を終了する。
【0063】
リレーASMR1Bが正常と判定された場合には、時刻t9において制御装置30は、リレーASMR1Gへ非接続信号を出力するとともに(ステップS71)、リレーASMR2Gへ接続信号を出力して(ステップS72)リレーASMR2Bが接続状態で溶着しているか否かを判定する。
【0064】
制御装置30は、リレーASMR2Gへの接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS73)、電圧値V2に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS74)。電圧値V2に上昇が見られる場合にはリレーASMR2Bが接続状態で溶着していると判定され(ステップS75)、そうでない場合にはリレーASMR2Bは接続状態では溶着していないと判定される。
【0065】
リレーASMR2Bが溶着していると判定された場合には、制御装置30はエラー信号を外部へ出力して制御を終了する。
【0066】
図2、図7を参照して、リレーASMR2Bが非接続状態であることが確認できた場合、時刻t10で制御装置30はリレーASMR2Gへ非接続信号を出力してリレーASMR2Gを非接続状態とする(ステップS76)。
【0067】
またリレーASMR2Bが正常と判定された場合には、時刻t11においてリレーASMR2Bへ接続信号を出力する(ステップS77)。この状態でリレーASMR2Bが非接続状態で固着していなければリレーASMR2Bは接続状態になる。この状態において制御装置30は、リレーASMR2Gが接続状態で溶着しているか否かを判定する。
【0068】
制御装置30は、リレーASMR2Bへの接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS78)、電圧値V2に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS79)。電圧値V2に上昇が見られる場合にはリレーASMR2Gが接続状態で溶着していると判定され(ステップS80)、そうでない場合にはリレーASMR2Gは接続状態では溶着していないと判定される。
【0069】
リレーASMR2Gが溶着していると判定された場合には、制御装置30はエラー信号を外部へ出力して制御を終了する。
【0070】
リレーASMR2Gが非接続状態であることが確認できた場合には、制御装置30は、時刻t12においてリレーASMR2Gへ接続信号を出力する(ステップS81)。リレーASMR2Gが非接続状態で固着していなければこのリレーが接続状態となる。この状態で、リレーASMR2BおよびリレーASMR2Gが非接続状態で固着していないかおよびリレーASMRCが溶着しているか否かを判定する。
【0071】
制御装置30は、リレーASMR2Gへの接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS82)電圧値V2に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS83)。
【0072】
電圧値V2に上昇が見られる場合にはリレーASMR2BおよびリレーASMR2Gが正常に接続状態となっていると判定され、そうでない場合にはリレーASMR2BまたはASMR2Gが非接続状態で固着していると判定される(ステップS84)。
【0073】
リレーASMR2B,ASMR2Gのいずれかが非接続状態で固着していると判定された場合には制御装置30は、エラー信号を外部へ出力して制御を終了する。
【0074】
リレーASMR2BおよびリレーASMR2Gがいずれも正常であった場合には、サブ直流電源AB2は制限抵抗RCを介してコンデンサCf2に接続される(ステップS85)。これにより、サブ直流電源AB2からコンデンサCf2への急激な充電が防止され、起動時の異常の発生を抑制することができる。
【0075】
次に時刻t13において制御装置30は、リレーASMRCへ接続信号を出力する(ステップS85)。
【0076】
この状態で制御装置30はサブコンバータ28をスイッチング制御し(ステップS86)、サブ直流電源AB2とサブコンバータ28とが接続されているか否かを判定する。制御装置30は、電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS87)、電圧値V2に減少が見られるか否かを調べる(ステップS88)。電圧値V2に減少が見られる場合にはリレーASMRCが正常に接続状態になっていないと判定され(ステップS89)、そうでない場合にはリレーASMRCが正常に接続状態となっていると判定される。
【0077】
サブ直流電源AB2とサブコンバータ28とが正常に接続されていると判定された場合には(ステップS90)、制御装置30は、サブコンバータ28のスイッチング制御を再開し、メイン直流電源に加えてサブ直流電源AB2から負荷200へ電力を供給させることができる。また、必要に応じて負荷200側からメイン直流電源20およびサブ直流電源AB2へ電力を回生させることもできる。
【0078】
[サブ直流電源の切換:AB2→ABn]
図8は、直流電源の切換の例および直流電源の遮断の例を示した動作波形図である。
【0079】
図8の時刻t14〜t20において直流電源の切換(AB2→ABn)の様子が示されている。なお処理の流れは、サブ直流電源の切換:AB1→AB2とほぼ同様であるので説明は繰返さない。
【0080】
[直流電源の遮断]
図8の時刻t21以降に直流電源の遮断の様子が示される。
【0081】
図9、図10は、直流電源の遮断の際の処理を説明するためのフローチャートである。
図8、図9を参照して、電源システム1を停止させる場合の処理について説明する。制御装置30は、イグニッションスイッチ(図示せず)がオフされる等の操作に応じて電源システム1を停止させる。
【0082】
時刻t21において、制御装置30は、リレーSMR1GおよびリレーASMRCに非接続信号を接続する(ステップS101)。これにより、リレーSMR1GおよびリレーASMRCが接続状態で溶着していなければ、リレーSMR1GおよびリレーASMRCが非接続状態に切換えられる。
【0083】
この状態において、制御装置30は負荷200を駆動してコンデンサCf1およびコンデンサCf2をディスチャージし(ステップS102)、リレーSMR1GおよびリレーASMRCが接続状態で溶着しているか否かを判定する。
【0084】
制御装置30は、リレーSMR1Gへの非接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V1をモニタし(ステップS103)、電圧値V1に減少が見られるか否かを調べる(ステップS104)。電圧値V1に減少が見られない場合にはリレーSMR1Gが接続状態で溶着していると判定され(ステップS105)、そうでない場合にはリレーSMR1Gは接続状態で溶着していないと判定される。
【0085】
また、制御装置30は、リレーASMRCへの非接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS103)、電圧値V2に減少が見られるか否かを調べる(ステップS106)。電圧値V2に減少が見られない場合にはリレーASMRCが接続状態で溶着していると判定され(ステップS107)、そうでない場合にはリレーASMRCは接続状態では溶着していないと判定される。
【0086】
リレーSMR1G,ASMRCのいずれかが溶着していると判定された場合には、制御装置30は、エラー信号を外部へ出力して制御を終了する。
【0087】
リレーSMR1G,ASMRCが正常と判定された場合には、時刻t22において制御装置30は、負荷200の駆動を停止し(ステップS108)、コンデンサCf1およびコンデンサCf2のディスチャージを止める。さらにリレーSMR1BおよびリレーASMRnBに非接続信号を出力する(ステップS109)。これにより、リレーSMR1BおよびリレーASMRnBが接続状態で溶着していなければ、リレーSMR1BおよびリレーASMRnBが非接続状態となる。この状態で制御装置30はリレーASMRnBが正常に非接続状態になっているか否かを判定する。
【0088】
制御装置30は、リレーASMRnBへの非接続信号の出力前後における電圧センサの電圧値V2をモニタし(ステップS110)、電圧値V2に上昇が見られるか否かを調べる(ステップS111)。電圧値V2に上昇が見られる場合にはリレーASMRnBが接続状態で溶着していると判定され(ステップS112)、そうでない場合にはリレーASMRnBは接続状態では溶着していないと判定される。
【0089】
時刻t23において、制御装置30は、リレーASMRnGに非接続信号を出力して、リレーASMRnGを非接続状態にする(ステップS113)。
【0090】
図8、図10を参照して、さらに、時刻t24では、制御装置30は、リレーSMR1Pに接続信号を出力する(ステップS114)。この状態において、電圧センサの電圧値V1をモニタし(ステップS115)、リレーSMR1Pへの接続信号の出力前後で電圧値V1が上昇するか否かを調べる(ステップS116)。電圧値V1が上昇した場合にはリレーSMR1Bが接続状態で溶着していると判定され(ステップS117)、時刻t24においてリレーSMR1Bが非接続状態にならなかったと判定される。一方、電圧値V1が上昇しなかった場合には、リレーSMR1Bは正常に非接続状態になっていると判定される。
【0091】
時刻t25では、制御装置30は、リレーSMR1Pに非接続信号を出力して、リレーSMR1Pを非接続状態にする(ステップS118)。以上で直流電源の遮断の処理が完了する。
【0092】
最後に、再び図1を参照して本実施の形態について総括する。電源システム1は、メイン直流電源20と、メイン直流電源20の電圧を変換し電気負荷に供給するためのメインコンバータ22と、複数のサブ直流電源AB1〜ABnと、複数のサブ直流電源AB1〜ABnのいずれかの電圧を変換し電気負荷に供給するためのサブコンバータ28と、複数のサブ直流電源AB1〜ABnのうちの1つを選択的にサブコンバータ28に接続するための接続部41とを備える。接続部41は、複数のサブ直流電源AB1〜ABnにそれぞれ対応して設けられ、各複数のサブ直流電源AB1〜ABnを内部ノードN1に接続する複数のリレーASMR1G〜ASMRnGと、制限抵抗RCと、内部ノードN1とサブコンバータ28とを制限抵抗RCを介在させて接続する状態と内部ノードN1とサブコンバータ28との間の抵抗値が制限抵抗RCの抵抗値よりも小さくなる状態とを切替えるためのリレーASMRCとを含む。
【0093】
このような構成を採用することにより、複数のサブ電源側において制限抵抗およびリレーを共用できるので、サブ電源の数を増やす場合において制限抵抗やリレーの数を減らすことができコスト的に有利な電源システムを実現できる。
【0094】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
1,100 電源システム、20 メイン直流電源、22 メインコンバータ、22a,28a 上アーム、22b,28b 下アーム、24,26,AB1〜ABn サブ直流電源、28 サブコンバータ、30 制御装置、40,41 接続部、200 負荷、ASMR1B〜ASMRnB,ASMR1G〜ASMRnG,ASMRC,SMR1B,SMR1G,SMR1P リレー、Cf1,Cf2 コンデンサ、Cm 平滑コンデンサ、D1b,D1a,D2b,D2a ダイオード、L1,L2 インダクタ、N1 内部ノード、R1〜R3,RC 制限抵抗、TR1a,TR1b,TR1a,TR1b,TR2a,TR2b,TR2a,TR2b スイッチング素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直流電源と、
前記第1直流電源の電圧を変換し電気負荷に供給するための第1電圧コンバータと、
複数の第2直流電源と、
前記複数の第2直流電源のいずれかの電圧を変換し前記電気負荷に供給するための第2電圧コンバータと、
前記複数の第2直流電源のうちの1つを選択的に前記第2電圧コンバータに接続するための接続部とを備え、
前記接続部は、
前記複数の第2直流電源にそれぞれ対応して設けられ、各前記複数の第2直流電源を内部ノードに接続する複数の第1のリレーと、
制限抵抗と、
前記内部ノードと前記第2電圧コンバータとを前記制限抵抗を介在させて接続する状態と前記内部ノードと前記第2電圧コンバータとの間の抵抗値が前記制限抵抗の抵抗値よりも小さくなる状態とを切り替えるための第2のリレーとを含む、電源システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−90421(P2012−90421A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234616(P2010−234616)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】