説明

電界放出素子及びその製造方法

【課題】電界放出素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基板110と、基板110上に形成されるものであり、基板110を露出させるスロット状のカソードホール113を持つ複数のカソード電極112と、カソードホール113それぞれを通じて露出された基板110上に設けられるものであり、カソードホール113の両側から離隔してカソードホール113の長手方向に沿って形成されるエミッタ130と、カソード電極112を覆うように基板110上に形成されるものであり、カソードホール113と連通する絶縁層ホール115を持つ絶縁層114と、絶縁層114上に形成されるものであり、絶縁層ホール115と連通するゲートホール117を持つ複数のゲート電極116と、を備える電界放出素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電界放出素子に係り、詳細には、電子放出の均一度を向上させ、かつ駆動電圧を低めることができる改善された構造のエミッタを備えた電界放出素子及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電界放出素子は、カソード電極上に形成されたエミッタ周囲に強い電場を形成することによってエミッタから電子を放出させる素子である。このような電界放出素子の代表的な応用分野としては、平板表示装置である電界放出表示装置(FED;Field Emission Display)を挙げることができる。電界放出表示装置は、電界放出素子から放出された電子をアノード電極上に形成された蛍光体層に衝突させて画像を表示する装置である。このような電界放出表示装置は、薄型の表示素子であって全体厚さが数cmに過ぎず、広い視野角、低い消費電力、低コストなどの長所を持つために、液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイパネル(PDP;Plasma Display Panel)と共に次世代表示素子として注目されている。
【0003】
また、前記電界放出素子は、LCDのバックライトユニット(BLU;Back Light Unit)に応用できる。LCDは、背面に配置された光源から発生した光が透光率を調節する液晶を透過することによって前面に画像を表示する装置である。この時、背面に配置される光源としては、冷陰極蛍光灯(CCFL;Cold Cathode Fluorescence Lamp)、外部電極型蛍光灯(EEFL;External Electrode Fluorescence Lamp)、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)などが使われるが、それ以外にも電界放出型BLUが使われうる。電界放出型BLUは、電界放出表示素子と原理的に同じ駆動メカニズム及び発光メカニズムを持っているが、画像を表示せずに単に光源としての役割だけを行うという点でその差がある。このような電界放出型BLUは、全体厚さが薄くて低コストであり、位置選択的な輝度調節機能などがあってLCDの次世代BLUとして注目されている。それ以外にも前記電界放出素子は、X線チューブ、マイクロウェーブ増幅器、平板ランプのような電子放出を利用した多種のシステムに応用されうる。
【0004】
一方、電界放出素子から電子を放出させるエミッタとして、従来にはモリブデン(Mo)のような金属からなるマイクロチップが使われたが、最近には電子放出特性に優れた炭素ナノチューブ(CNT;carbon nanotubes)が主に使われている。CNTエミッタを利用した電界放出素子は、低コストであるだけでなく駆動電圧が低く、優秀な化学的、機械的安定性を持つという長所がある。このようなCNTエミッタを形成する方法としては、CNTをペースト形態にして形成する方法と、化学気相蒸着法(CVD;Chemical Vapor Deposition)によってCNTを直接成長させる方法とがある。CNT成長法は、高い成長温度及び複雑な合成条件によって量産技術に適用させ難いという短所があるために、現在は主にCNTペーストを利用する方法が使われている。
【0005】
図1は、従来の電界放出素子の一例を概略的に示す平面図であり、図2は、図1のII−II’線の断面図である。図1及び図2を参照すれば、従来の電界放出素子は、基板10上に複数のカソード電極12、絶縁層14及び複数のゲート電極16が順次に積層された構造を持つ。前記ゲート電極16は、カソード電極12と交差するように形成される。ここで、前記絶縁層14にはカソード電極12を露出させる複数の絶縁層ホール15が形成されており、前記ゲート電極16には前記絶縁層ホール15と連通するゲートホール17が形成されている。そして、前記各絶縁層ホール15の内部のカソード電極12上には電子放出のためのエミッタ30が設けられている。ここで、前記エミッタ30は、CNTから形成される。このような構造で、カソード電極12上に形成されたエミッタ30とゲート電極16との間に強い電場が印加されれば、エミッタ30から電子が放出される。
【0006】
前記のような従来の電界放出素子で、前記エミッタ30は、フォトレジストからなる犠牲層を利用してCNTペーストをパターニングすることによって、絶縁層ホール15の内部にほぼ6μm径を持つ小さなドット状に形成される。しかし、このようなドット状のエミッタ30を形成する工程では、CNTペーストを絶縁層ホール15の内部に注入して均一な形状のエミッタ30を形成し難く、またフォトレジストとCNTペーストとの間に発生する界面反応のために、エミッタ30の電子放出均一度が落ちるという問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、前記のような問題点に鑑みてなされたものであり、電子放出の均一度を向上させ、かつ駆動電圧を低めることができる改善された構造のエミッタを備えた電界放出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明の具現例による電界放出素子は、基板と、前記基板上に形成されるものであり、前記基板を露出させるスロット状のカソードホールを持つ複数のカソード電極と、前記カソードホールのそれぞれを通じて露出された前記基板上に設けられるものであり、前記カソードホールの両側から離隔して前記カソードホールの長手方向に沿って形成されるエミッタと、前記カソード電極を覆うように前記基板上に形成されるものであり、前記カソードホールと連通する絶縁層ホールを持つ絶縁層と、前記絶縁層上に形成されるものであり、前記絶縁層ホールと連通するゲートホールを持つ複数のゲート電極と、を備える。
【0009】
前記基板は絶縁物質からなることが望ましい。ここで、前記基板としては、ガラス基板またはプラスチック基板が使われる。
【0010】
前記絶縁層ホール及びゲートホールは、前記カソードホールの寸法に合致するように、絶縁層およびゲート電極にそれぞれ形成されている。そして、前記エミッタは、CNTからなる。
【0011】
前記エミッタの両端は、前記カソード電極に接触するか、または前記カソード電極から離隔する。
【0012】
本発明の他の具現例による電界放出素子の製造方法は、基板上に前記基板を露出させるスロット状のカソードホールを持つ複数のカソード電極を形成する工程と、前記カソード電極が形成された基板上に、前記カソードホールと連通する絶縁層ホールを持つ絶縁層及び前記絶縁層ホールと連通するゲートホールを持つ複数のゲート電極を順次に形成する工程と、前記ゲート電極の上面と、前記カソードホール、絶縁層ホール及びゲートホールの側壁とを覆うように形成されるものであり、前記カソードホール、絶縁層ホール及びゲートホールの内側には前記基板を露出させる犠牲層ホールを持つ犠牲層を形成する工程と、前記犠牲層ホール内の前記基板上にエミッタを形成する工程と、前記犠牲層を除去する工程と、を含む。
【0013】
ここで、前記犠牲層は、前記カソード電極及びゲート電極に対してエッチング選択性を持つ物質からなることが望ましい。前記犠牲層は、MoまたはAlからなりうる。
【0014】
前記犠牲層ホールは、前記カソードホールの両側から離隔して前記カソードホールの長手方向に沿って形成される。
【0015】
前記エミッタは、CNTからなる。ここで、前記エミッタを形成する工程は、前記犠牲層ホールを満たすように前記犠牲層上にCNTペーストを塗布する工程と、前記CNTペーストを露光現像して前記犠牲層ホールの内部に前記エミッタを形成する工程と、を含む。そして、前記CNTペーストは、前記犠牲層をフォトマスクとして背面露光法によって露光される。
【0016】
前記カソード電極を形成する工程は、前記基板上にカソード物質層を蒸着する工程と、前記カソード物質層をパターニングして前記カソード電極及びカソードホールを形成する工程と、を含む。
【0017】
前記犠牲層を形成する工程は、前記ゲート電極の上面と、前記カソードホール、絶縁層ホール及びゲートホールとを覆うように犠牲物質層を蒸着する工程と、前記犠牲物質層をパターニングして前記カソードホール、絶縁層ホール及びゲートホールの内側には前記犠牲層ホールを形成する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エミッタを絶縁物質からなる基板上に形成し、このエミッタの両側周囲にはカソードホールを通じて基板を露出させれば、エミッタのエッジ効果を極大化させることができ、その結果、駆動電圧を低めることができる。また、従来の小さなドット状のエミッタよりさらに均一な形状のエミッタを得ることができるので、エミッタの電子放出均一度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付された図面を参照して本発明による望ましい実施形態を詳細に説明する。図面で同じ参照符号は同じ構成要素を称する。図面で各構成要素の大きさは、説明の明瞭性のために誇張して図示されうる。また、ある層が基板や他の層上に存在すると説明される時、その層は基板や他の層に直接接しつつ存在してもよく、その間に第3の層が存在してもよい。
【0020】
図3は、本発明の実施形態による電界放出素子の平面を概略的に図示したものである。図4は、図3のIV−IV’線の断面図であり、図5は、図3のV−V’線の断面図である。そして、図6は、カソードホール113を通じて露出された基板110上にエミッタ130が形成された態様を図示した斜視図である。
【0021】
図3ないし図6を参照すれば、本発明の実施形態による電界放出素子は、基板110上に複数のカソード電極112、絶縁層114及び複数のゲート電極116が順次に積層された構造を持つ。ここで、前記ゲート電極116は、カソード電極112と交差するように形成され、この場合、ゲート電極116とカソード電極112とが交差する部分にピクセルが形成される。
【0022】
前記基板110は、絶縁物質からなることが望ましい。前記基板110としてはガラス基板が主に使われ、それ以外にプラスチック基板が使われうる。前記基板110の上面には、カソード電極112が所定形態、例えば、ストライプ状に形成されている。そして、前記カソード電極112には、図6に示したように基板110を露出させるスロット形状の複数のカソードホール113が形成されている。図3には、ピクセル当り2つのカソードホール113が形成された場合が図示されているが、本実施形態はこれに限定されず、ピクセルあたり一つのカソードホール113や3つ以上のカソードホール113が形成されてもよい。そして、図3には、スロット状のカソードホール113がカソード電極112に平行な方向に形成されているが、本実施形態はこれに限定されず、多様な方向に形成される。このようなカソード電極112は、クロム(Cr)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)または金(Au)のような金属やITO(Indium Tin Oxide)のような透明な導電性物質からなり、それ以外にも多様な物質からなりうる。
【0023】
前記絶縁層114は、前記カソード電極112を覆うように基板110上に形成されており、この絶縁層114には、前記カソードホール113と連通する複数の絶縁層ホール115が形成されている。ここで、前記絶縁層ホール115は、前記カソードホール113に対応する形状に形成される。このような絶縁層114は、例えば、シリコン酸化物からなり、それ以外にも多様な物質からなりうる。
【0024】
前記絶縁層114の上面には、前記ゲート電極116が所定形態、例えば、ストライプ状に形成されている。そして、前記ゲート電極116には、前記絶縁層ホール115と連通する複数のゲートホール117が形成されている。ここで、前記ゲートホール117は、絶縁層ホール115と同様にカソードホール113に対応する形状に形成される。このようなゲート電極116は、Cr、Ag、AlまたはAuのような金属やITOのような透明な導電性物質からなり、それ以外にも多様な物質からなりうる。
【0025】
前記カソードホール113を通じて露出された基板110上には、エミッタ130が所定高さで設けられている。ここで、前記エミッタ130は、前記カソードホール113の両側から離隔してカソードホール113の長手方向に沿って設けられる。そして、前記エミッタ130の両端はカソード電極112と接触するようになっている。このようなエミッタ130は、CNTからなりうる。前記のようなエミッタ130は、ほぼ6μm径を持つドット状の従来エミッタより大きいサイズを持つことができる。前記エミッタ130は例えば、長さ200μm、幅8μm程度の大きさを持つことができ、またこれに限定されず、前記エミッタ130は多様なサイズで形成される。このようにエミッタ130のサイズが増大するにつれて、一つのピクセル当り形成されるエミッタ130の数は従来より低減する。
【0026】
前記のような構造の電界放出素子で、カソード電極112とゲート電極116とにそれぞれ所定電圧が印加されれば、CNTからなるエミッタ130とゲート電極116との間に強い電場が形成されて、前記エミッタ130から電子が放出される。
【0027】
一般的に、電界放出素子ではエミッタのエッジ部分で電子放出が増大する特性がある。したがって、エミッタのサイズは従来より大きくなり、かつ数が低減すれば、エッジ比率の低減によって前述したエミッタのエッジ効果は低減し、その結果、駆動電圧が増大するという問題点が発生する。このような問題点を解決するために、本発明の実施形態による電界放出素子では、エミッタ130をスロット状のカソードホール113を通じて露出された基板110上に形成し、また前記エミッタ130を前記カソードホール113の両側から離隔して形成する。このように、エミッタ130を絶縁物質からなる基板110上に形成し、このエミッタ130の両側周囲にはカソードホール113を通じて基板110を露出させればエミッタ130のエッジ効果を極大化させることができ、これにより駆動電圧を低めることができる。
【0028】
図7は、本発明の実施形態による電界放出素子の変形例を図示したものである。図7を参照すれば、前述した実施形態とは異なってエミッタ130’は、その両端がカソード電極112に離隔して形成されている。前記のような構造の電界放出素子では、カソード電極112に電圧が印加されることによって絶縁物質からなる基板110上のエミッタ130’に所定電圧が誘起され、これによりエミッタ130’とゲート電極116との間に電場が形成されてエミッタ130’から電子が放出される。
【0029】
図8は、エミッタがエッジを持つ場合とエミッタがエッジを持っていない場合、電界放出素子の電子放出特性を比較して図示したものである。図8で、エミッタがエッジを持つ場合とは、前述した実施形態のようにエミッタがカソードホールを通じて露出された基板上に形成され、またエミッタがカソードホールの両側から離隔して形成される場合を意味し、エミッタがエッジを持っていない場合とは、エミッタがカソードホールを通じて露出された基板上に形成されているが、エミッタがカソードホールの両側から離隔していない場合を意味する。図8を参照すれば、エミッタがエッジを持つ場合がエミッタがエッジを持っていない場合に比べて駆動電圧が2倍程度低いということが分かる。
【0030】
一方、以上の実施形態では、電界放出素子が電子抽出のためのゲート電極のみを備える場合について説明されたが、本発明はこれに限定されず、電子抽出のためのゲート電極及びこのゲート電極の上部に設けられて抽出された電子をフォーカシングするためのフォーカス電極を備えた電界放出素子にも適用可能である。
【0031】
以下では、前述した本発明の実施形態による電界放出素子を製造する方法について説明する。図9Aないし図14Bは、本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【0032】
図9A及び図9Bは、基板110上にカソード電極112を形成した状態を図示した断面図及び平面図である。図9A及び図9Bを参照すれば、前記カソード電極112は、基板110上に導電性物質からなるカソード物質層(図示せず)を蒸着した後、これを所定形態にパターニングすることによって形成される。このようなパターニング工程によって前記カソード電極112は、基板110上に所定形態、例えば、ストライプ状に形成され、前記カソード電極112には、基板110を露出させるスロット状のカソードホール113が形成される。このようなカソード電極112は、Cr、Ag、AlまたはAuのような金属やITOのような透明な導電性物質からなり、それ以外にも多様な物質からなりうる。
【0033】
図10A及び図10Bは、カソード電極112が形成された基板110上に絶縁層114及びゲート電極116を形成した状態を図示したものである。図10A及び図10Bを参照すれば、まず、前記カソード電極112を覆うように前記基板110上に絶縁層114を所定高さに形成する。ここで、前記絶縁層114は、例えば、シリコン酸化物からなり、それ以外にも多様な物質からなりうる。次いで、前記絶縁層114の上面に導電性物質からなるゲート物質層(図示せず)を蒸着した後、これを所定形態にパターニングする。このようなパターニング工程によって絶縁層114の上面にゲート電極116が所定形態、例えば、ストライプ状に形成され、前記ゲート電極116には、前記カソードホール113に対応する形状のゲートホール117がカソードホール113の上部に形成される。この時、前記ゲート電極116は、カソード電極112と交差するように形成される。このようなゲート電極116は、Cr、Ag、AlまたはAuのような金属やITOのような透明な導電性物質からなり、それ以外にも多様な物質からなることができる。次いで、前記ゲートホール117を通じて露出された絶縁層114を基板110が露出されるまでエッチングすれば、前記絶縁層114には、カソードホール113に対応する形状の絶縁層ホール115が形成される。これにより、前記ゲートホール117、絶縁層ホール115及びカソードホール113を通じて基板110が露出される。
【0034】
図11A及び図11Bは、ゲート電極116の上面と、ゲートホール117、絶縁層ホール115及びカソードホール113の側壁とに犠牲層120を形成した状態を図示したものである。図11A及び図11Bを参照すれば、まず、ゲート電極116の上面とゲートホール117、絶縁層ホール115及びカソードホール113とを覆うように犠牲物質層(図示せず)を蒸着する。このような犠牲物質層の蒸着は、スパッタリングまたは電子ビーム蒸着法等によって行われる。次いで、前記犠牲物質層を所定形態にパターニングして犠牲層120を形成する。このようなパターニングによって、前記犠牲層120は、ゲート電極116の上面と、ゲートホール117、絶縁層ホール115及びカソードホール113の側壁とを覆うように形成され、ゲートホール117、絶縁層ホール115及びカソードホール113の内側には、基板110を露出させる犠牲層ホール121が形成される。ここで、前記犠牲層ホール121は、カソードホール113の両側から離隔してカソードホール113の長手方向に沿って形成される。前記犠牲層120は、カソード電極112及びゲート電極116に対してエッチング選択性を持つ物質からなることが望ましい。前記犠牲層120を例とすれば、Moからなり、それ以外にもAlからなることも可能である。しかし、これに限定されるものではなく、前記犠牲層120は、カソード電極112及びゲート電極116に対してエッチング選択性を持つ多様な物質からなりうる。
【0035】
図12は、前記犠牲層ホール121を覆うように前記犠牲層120上にCNTペースト140を塗布した状態を図示したものである。図12を参照すれば、CNTを感光剤、バインダーなどが混合された所定溶媒に分散させてCNTペースト140を作った後、これを犠牲層ホール121を覆うように犠牲層120上に塗布する。
【0036】
図13A及び図13Bは、前記CNTペースト140を露光現像した状態を図示した断面図及び平面図である。図13A及び図13Bを参照すれば、前記CNTペースト140は、背面露光法によって露光されうる。具体的に、前記犠牲層120をフォトマスクとして基板110の下部に紫外線を照射すれば、犠牲層ホール121の内部のCNTペースト140のみ露光される。次いで、露光されていないCNTペースト140を現像して除去した後、残っているCNTペースト140を一定温度で焼成すれば、図13A及び図13Bに示したように、犠牲層ホール121を通じて露出された基板110上にCNTからなるエミッタ130が所定高さで形成される。
【0037】
図14A及び図14Bは、前記犠牲層120を除去した状態を図示した断面図及び平面図である。図14A及び図14Bを参照すれば、前記ゲート電極116の上面とゲートホール117、絶縁層ホール115及びカソードホール113の側壁に残っている犠牲層120を除去すれば、本発明の実施形態による電界放出素子が完成される。これにより、ゲートホール117、絶縁層ホール115及びカソードホール113を通じて露出された基板110上には、エミッタ130がカソードホール113の両側から離隔してカソードホール113の長手方向に沿って形成される。
【0038】
一方、以上ではエミッタ130が、その両端がカソード電極112と接触するように形成されたが、それ以外にも図7に示したように、エミッタ130’が、その両端がカソード電極112と離隔して形成されることも可能である。
【0039】
以上で本発明の望ましい実施形態が詳細に説明されたが、本発明の範囲はこれに限定されず、多様な変形及び均等な他実施形態が可能である。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は特許請求の範囲によって定められねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、カソード電極上に形成されたエミッタ周囲に強い電場を形成することによってエミッタから電子を放出させる電界放出素子関連の技術分野に好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来の電界放出素子の一例を概略的に示す平面図である。
【図2】図1のII−II’線の断面図である。
【図3】本発明の実施形態による電界放出素子を概略的に示す平面図である。
【図4】図3のIV−IV’線の断面図である。
【図5】図3のV−V’線の断面図である。
【図6】本発明の実施形態による電界放出素子で、カソードホールを通じて露出された基板上にエミッタが形成された態様を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態による電界放出素子の変形例を示す図面である。
【図8】エミッタがエッジ持つ場合とエミッタがエッジを持っていない場合、電界放出素子の電子放出特性を比較して示す図面である。
【図9A】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図9B】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図10A】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図10B】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図11A】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図11B】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図12】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図13A】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図13B】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図14A】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【図14B】本発明の実施形態による電界放出素子の製造方法を説明するための図面である。
【符号の説明】
【0042】
110 基板
112 カソード電極
113 カソードホール
114 絶縁層
115 絶縁層ホール
116 ゲート電極
117 ゲートホール
130 エミッタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されるものであり、前記基板を露出させるスロット状のカソードホールを持つ複数のカソード電極と、
前記カソードホールのそれぞれを通じて露出された前記基板上に設けられるものであり、前記カソードホールの両側から離隔して前記カソードホールの長手方向に沿って形成されるエミッタと、
前記カソード電極を覆うように前記基板上に形成されるものであり、前記カソードホールと連通する絶縁層ホールを持つ絶縁層と、
前記絶縁層上に形成されるものであり、前記絶縁層ホールと連通するゲートホールを持つ複数のゲート電極と、を備えることを特徴とする電界放出素子。
【請求項2】
前記基板は絶縁物質からなることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子。
【請求項3】
前記基板としては、ガラス基板またはプラスチック基板が使われることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子。
【請求項4】
前記絶縁層ホール及びゲートホールは、前記カソードホールの寸法に合致するように、前記絶縁層および前記ゲート電極にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子。
【請求項5】
前記エミッタは、炭素ナノチューブからなることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子。
【請求項6】
前記エミッタの両端は、前記カソード電極に接触することを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子。
【請求項7】
前記エミッタの両端は、前記カソード電極から離隔することを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子。
【請求項8】
前記ゲート電極は、前記カソード電極と交差して形成されることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子。
【請求項9】
前記カソード電極及びゲート電極は、クロム、銀、アルミニウム、金またはITOからなることを特徴とする請求項1に記載の電界放出素子。
【請求項10】
基板上に前記基板を露出させるスロット状のカソードホールを持つ複数のカソード電極を形成する工程と、
前記カソード電極が形成された基板上に、前記カソードホールと連通する絶縁層ホールを持つ絶縁層及び前記絶縁層ホールと連通するゲートホールを持つ複数のゲート電極を順次に形成する工程と、
前記ゲート電極の上面と前記カソードホール、絶縁層ホール及びゲートホールの側壁とを覆うように形成されるものであり、前記カソードホール、絶縁層ホール及びゲートホールの内側には前記基板を露出させる犠牲層ホールを持つ犠牲層を形成する工程と、
前記犠牲層ホール内の前記基板上にエミッタを形成する工程と、
前記犠牲層を除去する工程と、を含むことを特徴とする電界放出素子の製造方法。
【請求項11】
前記基板は、絶縁物質からなることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項12】
前記基板としては、ガラス基板またはプラスチック基板が使われることを特徴とする請求項11に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項13】
前記絶縁層ホール及びゲートホールは、前記カソードホールの寸法に合致するように、前記絶縁層および前記ゲート電極にそれぞれ形成されることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項14】
前記カソード電極及びゲート電極は、クロム、銀、アルミニウム、金またはITOからなることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項15】
前記犠牲層は、前記カソード電極及びゲート電極に対してエッチング選択性を持つ物質からなることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項16】
前記犠牲層は、モリブデンまたはアルミニウムからなることを特徴とする請求項15に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項17】
前記犠牲層ホールは、前記カソードホールの両側から離隔して前記カソードホールの長手方向に沿って形成されることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項18】
前記エミッタは、炭素ナノチューブからなることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項19】
前記エミッタを形成する工程は、
前記犠牲層ホールを満たすように前記犠牲層上に炭素ナノチューブペーストを塗布する工程と、
前記炭素ナノチューブペーストを露光現像して前記犠牲層ホールの内部に前記エミッタを形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項18に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項20】
前記炭素ナノチューブペーストは、前記犠牲層をフォトマスクとして背面露光法によって露光されることを特徴とする請求項19に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項21】
前記エミッタは、その両端が前記カソード電極に接触するように形成されることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項22】
前記エミッタは、その両端が前記カソード電極から離隔して形成されることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項23】
前記ゲート電極は、前記カソード電極と交差するように形成されることを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項24】
前記カソード電極を形成する工程は、
前記基板上にカソード物質層を蒸着する工程と、
前記カソード物質層をパターニングして、前記カソード電極及びカソードホールを形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。
【請求項25】
前記犠牲層を形成する工程は、
前記ゲート電極の上面と、前記カソードホール、絶縁層ホール及びゲートホールとを覆うように犠牲物質層を蒸着する工程と、
前記犠牲物質層をパターニングして前記カソードホール、絶縁層ホール及びゲートホールの内側には前記犠牲層ホールを形成する工程と、を含むことを特徴とする請求項10に記載の電界放出素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図14A】
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【図14B】
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【公開番号】特開2008−123995(P2008−123995A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213975(P2007−213975)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】