説明

電磁制動装置

【課題】簡易な操作によりアーマチュアとフィールドコアとのギャップを調整することが可能な電磁制動装置を提供する。
【解決手段】ブレーキシュー60とアーマチュア61との間に形成された設置部41内に、これらに接触されるブロック体42を配置し、アーマチュア61に接触されるアーマチュア接触面42Bとブレーキシュー60に接触されるブレーキシュー接触面42Aとの間に位置するブロック体42の形状を、ブレーキドラム1の回転軸S方向に対して傾斜するテーパ形状とする。これにより締結手段43の締結ボルト50を操作して、ブレーキドラム1の回転軸Sの方向に沿ってブロック体42をスライドさせた場合に、ブロック体42のアーマチュア接触面42Bが、フィールドコア62に対して近接離間する方向にも移動し、アーマチュア61とフィールドコア62との間のギャップGを調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベータ用巻上機、産業用ロボット等のモータ用ブレーキとして使用される電磁制動装置において、アーマチュアとフィールドコアとのギャップを容易に調整することができるギャップ調整機構に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータ用巻上機等のモータ用ブレーキとして使用される電磁制動装置として、特開2005−113965号公報(特許文献1)に示される電磁ドラムブレーキが知られている。この電磁ドラムブレーキ90は、図5及び図6に示されるように、電動機の円筒状のブレーキドラム(被制動体)1内に組み込まれ、左右一対で使用される(図では1つのみが示される)。このブレーキドラム1は固定部材91に回転自在に設けられた回転軸Sに固定されているものであって、その回転軸Sは一点鎖線で示すように紙面と直交する方向に配置されている。
【0003】
電磁ドラムブレーキ90は、フィールドコア2、ブレーキシュー3、アーマチュア4、及びフィールドコア2とブレーキシュー3との間に配置された圧縮コイルからなる制動ばね5等を主な構成要素とする。フィールドコア2は、機械構造用炭素鋼鋼材からなり、かつ、ブレーキドラム1(被制動体)の回転軸Sを回転自在に支持する固定部材91に固定されているものであって、その表面のコイル収納部6には、フィールドコア2とともに電磁石を構成する励磁コイル7が収納されている。そして、この励磁コイル7に通電して励磁することにより、後述するアーマチュア4の磁気吸着面4Aを、制動ばね5に抗してフィールドコア2の磁極面2側に磁気吸引し、これによりアーマチュア4の磁気吸着面4Aをフィールドコア2の磁極面2Aに密着させ、ブレーキシュー3によるブレーキドラム1への制動を解除する。
【0004】
前記フィールドコア2とブレーキシュー3とが対向する面には、有底状のピン穴8とガイド穴9とがそれぞれ設けられ、これらピン穴8及びガイド穴9には、ブレーキシュー3の矢印A−B方向(ブレーキドラム1の回転軸Sの径方向)への移動をガイドするためのガイドピン10が挿入されている。また、同じく、フィールドコア2とブレーキシュー3とが対向する面には、段付き貫通孔11と凹部12とがそれぞれ設けられ、これら段付き貫通孔11と凹部12にはブレーキシュー3をブレーキドラム1側(つまり矢印A方向)に付勢する制動ばね5が設置されている。
【0005】
ブレーキシュー3は、ブレーキドラム1の制動面1aと対向する外側面に、ブレーキライニング13及びパッド14を設け、これらブレーキライニング13及びパッド14を2本のボルト15により着脱可能に取付けてなるものであって、前述したように貫通穴11及び凹部12内に配置された制動ばね5によって、ブレーキシュー3がフィールドコア2から離間する方向(つまり矢印A方向)に付勢され、ブレーキライニング13がブレーキドラム1の制動面1aに対して押し付けられる。
【0006】
アーマチュア4は、同じく機械構造用炭素鋼鋼材を機械加工することにより平面視略矩形状に形成され、かつフィールドコア2の磁極面2Aとブレーキシュー3の本体3Aとの間に形成された空間16内に収容されている。また、アーマチュア4の磁気吸着面4Aは、フィールドコア2の磁極面2Aと対向してエアギャップGを形成している。なお、このエアギャップGは、フィールドコア2の支持部2Bとブレーキシュー3の脚部3Bとの隙間より十分に小さい0.2mm程度とされ、後述する間隔調整手段20によって、励磁コイル7によるアーマチュア4の磁気吸着が最適に行われるように調整がなされる。
【0007】
この間隔調整手段20は、前記アーマチュア4の端部寄りに形成したねじ穴21と、このねじ穴21に対応してブレーキシュー3に形成したねじ穴22にねじ込まれる調整ボルト23と、この調整ボルト23に螺合する2つのナット24a・24bとから構成されている。調整ボルト23は、一端部側が右ねじ部23a、他端部側が左ねじ部23bであり、中央部に回転操作部23cが一体に設けられている。このような隙間調整手段20では、一対のナット24a,24bを緩めた後、調整ボルト23を回転させると、アーマチュア4がブレーキシュー3に対して接近または離間する方向に移動し、フィールドコア2とアーマチュア4とのエアギャップGを調整することができる。調整後は、2つのナット24a,24bを締め付けてブレーキシュー3とアーマチュア4にそれぞれ固定する。
【0008】
フィールドコア2とアーマチュア4との間には押圧力調整手段30が組み込まれている。押圧力調整手段30は、アーマチュア4に形成したねじ穴31に螺合する押圧ボルト32と、この押圧ボルト32に螺合するナット33と、フィールドコア2に形成したばね用孔34に弾装された押圧ばね35とを有するものであって、ナット33を緩めて押圧ボルト32を締め込み方向または緩み方向に回転させると押圧ばね35の弾発力が変化し、前述の制動ばね5によるブレーキライニング13のブレーキドラム1に対する押圧力を微調整することができる。なお、図6において符号36で示すものは、電磁ドラムブレーキ90をブレーキドラム1内に組込むまでの間、アーマチュア4をフィールドコア2に一時的に固定するための開放保持手段である。
【特許文献1】特開2005−113965号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記のように構成された電磁ドラムブレーキ90の間隔調整手段20では、励磁コイル7によるアーマチュア4の磁気吸着が最適に行われるように、フィールドコア2の磁極面2Aとアーマチュア4の磁気吸着面4AとのギャップGを調整する。そして、このようなギャップGの調整は、操作ボルト23の両側に位置する、フィールドコア2とブレーキシュー3との間の空間16にスパナを入れ、このスパナによって調整ボルト23の回転操作部23cを回転させることで行う。しかしながら、このようなスパナによる調整ボルト23の回転操作は限られた狭い空間16内で行う必要があり、その作業が困難で能率が悪いという問題があった。
【0010】
本発明は、従来の有していた問題を解決しようとするものであって、簡易な操作によりアーマチュアとフィールドコアとのギャップを調整することが可能な電磁制動装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、上記目的を達成するために本発明の課題解決手段では、被制動体を回転自在に支持する固定部材に固定されたフィールドコアと、このフィールドコアに、被制動体の回転軸の径方向に沿って移動自在に設けられ、かつ付勢手段により被制動体を制動する付勢力が加えられているブレーキシューと、これらブレーキシューとフィールドコアとの間にて、該ブレーキシューに固定されたアーマチュアとを有し、フィールドコアにて生じた電磁力により、当該フィールドコアの磁極面に、アーマチュアの電磁吸着面を吸着させることによって、ブレーキシューを付勢手段の付勢力に抗して内方側に移動させ、これにより被制動体に対するブレーキシューの制動力を調整する電磁制動装置において、前記ブレーキシューとアーマチュアとの間に、フィールドコア側の磁極面とアーマチュア側の磁気吸着面とのギャップを調整するギャップ調整機構を設け、このギャップ調整機構を、ブレーキシューとアーマチュアとの間にて被制動体の回転軸方向に向けて形成された設置部と、この設置部内に配置されて接触面を介してブレーキシューとアーマチュアとに接触されるブロック体と、被制動体の回転軸方向に沿って軸心が配置されてブロック体をブレーキシューに対して締結固定するための締結ボルトを有する締結手段と、から構成し、さらにアーマチュアに接触されるアーマチュア接触面と、ブレーキシューに接触されるブレーキシュー接触面との間に位置するブロック体の形状を、被制動体の回転軸方向に対して傾斜するテーパ状に形成するようにした。
【0012】
また、本発明の課題解決手段では、前記ギャップ調整機構を、被制動体の回転軸の円周方向に対して間隔をおいて二ヶ所配置するようにした。
【発明の効果】
【0013】
以上のように構成した本発明の電磁制動装置によれば、ブレーキシューとアーマチュアとの間に形成された設置部内に、これらブレーキシューとアーマチュアとに接触されるブロック体を配置し、アーマチュアに接触されるアーマチュア接触面とブレーキシューに接触されるブレーキシュー接触面との間に位置するブロック体の形状を、被制動体の回転軸方向に対して傾斜するテーパ状としたので、締結手段を操作して、回転軸方向に沿ってブロック体をスライドさせた場合に、ブロック体のアーマチュア接触面が、フィールドコアに近接する方向、又はフィールドコアから離間する方向にも移動し、これによりこれら接触面とともにアーマチュアがフィールドコアに対して近接離間する方向に移動して、アーマチュアとフィールドコアとの間のギャップを調整することができる。そして、このようなギャップ調整作業を行う締結ボルトは、被制動体の回転軸方向に沿って軸心が配置されるものであるので、その軸端にあるボルト頭部を、電磁制動装置本体の手前側(被制動体の回転軸方向に沿って手前側)に位置させることができ、これにより内部にスパナを挿入してギャップ調整操作を行う従来の電磁制動装置と比較して、格段にギャップ調整の作業性が向上し、その作業性を大幅に向上させることができる。
【0014】
また、本発明の電磁制動装置では、被制動体の回転軸の円周方向に対して間隔をおいて2ヶ所、ギャップ調整機構を配置したので、全体バランスを見ながらギャップを調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明の実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1は本発明に係わる電磁制動装置である電磁ドラムブレーキ100の全体を示す正面図であり、以下の説明において、本発明の電磁ドラムブレーキ100が、従来の電磁ドラムブレーキ90と構成を共通する箇所には同一符号を付し、詳細な説明を省略する。まず、図1において符号40で示すものは、ブレーキシュー60とアーマチュア61との間に設けられたギャップ調整機構であって、図示しない励磁コイルによって磁極を発生させるフィールドコア62の磁極面62Aと、アーマチュア61の磁気吸着面61AとのギャップGを調整する。
【0016】
このギャップ調整機構40は、図2の断面図に示されるように、ブレーキシュー60の本体60Aとアーマチュア61との間でありかつブレーキドラム1の回転軸Sに向けて形成された設置部41と、設置部41内に配置されたブロック体42と、ブレーキドラム1の回転軸S方向に沿って締結ボルト(後述する)の軸心43aが配置されてブロック体42をブレーキシュー60に対して締結固定するための締結手段43と、からなる。このギャップ調整機構40は、図1に示すようにブレーキドラム1の回転軸Sの円周方向に対して間隔をおいて二ヶ所配置されている。
【0017】
設置部41は、図2及び図3のアーマチュア61の詳細図に示されるように、ブレーキシュー本体60Aの下部に位置する上側ガイド面44、及びアーマチュア61の上部に位置する下側ガイド面45の間に配置されるものであって、設置部41の前方側(ブレーキドラム1の回転軸Sに沿った手前側:矢印(イ)で示す)に、ブロック体42が設置されるブロック体設置部46が設けられ、設置部41の後方側(ブレーキドラム1の回転軸Sに沿った後方側:矢印(ロ)で示す)に、締結手段43のナット(後述する)が設置されるナット設置部47が設けられている。上側ガイド面44はブレーキドラム1の回転軸Sに沿い平行となる位置関係に配置される。また、下側ガイド面45は、ブロック体設置部46内に位置するブロック体ガイド面48と、ナット設置部47内に位置するナットガイド面49とから構成されており、ブロック体ガイド面48はブレーキドラム1の回転軸S方向に対して傾斜するように、また、ナットガイド面49はブレーキドラム1の回転軸S方向に沿い平行となる位置関係に配置されている。なお、図3のアーマチュア61の詳細図において、符号36Aで示されるものは開放保持手段36の開放ボルトが挿入される挿入孔である。
【0018】
ブロック体42は、図2及び図4に示されるように、ブレーキドラム1の回転軸Sに沿うように配置された上部のブレーキシュー接触面42Aが、設置部41の上側ガイド面44に接触し、かつブレーキドラム1の回転軸Sに対して傾斜するように配置された下部のアーマチュア接触面42Bが、設置部41のブロック体ガイド面48に接触するように配置されるものであって、下部のアーマチュア接触面42Bが、ブレーキドラム1の回転軸S方向に対してブロック体ガイド面48と同じ角度で傾斜することで全体としてテーパ状に形成されている。また、ブロック体42にはブレーキドラム1の回転軸Sに沿う方向に貫通し、後述する締結ボルト50が挿入される貫通孔42Cが設けられている。
【0019】
締結手段43は締結ボルト50と締結ナット51とからなるものであって、締結ボルト50の軸心43aはブレーキドラム1の回転軸Sと平行となる位置関係にある。締結ボルト50は、ブロック体42の貫通孔42Cを貫通するように配置されるものであって、そのねじ部50Aに締結ナット51が螺合される。締結ボルト50のねじ部50A先端はブレーキシュー60に形成されたねじ穴52に螺合され、締結ボルト50の頭部50Bは、ブレーキドラム1の回転軸S方向に沿った手前側(矢印(イ)側)に配置されている。また、締結ナット51は、設置部41のナット設置部47内に配置されている。なお、上記アーマチュア61は上述した押圧力調整手段30によって常時、ブレーキシュー60側の矢印A方向に付勢され、ブレーキシュー60と一体化している。
【0020】
なお、図1において符号70で示すものは、背景技術で示した押圧力調整手段30と同じ機能を有する押圧力調整手段である。この押圧力調整手段70は、ブレーキシュー60の本体60Aを矢印A−B方向に貫通する貫通孔71と、この貫通孔71を貫通しかつその先端がアーマチュア61に螺合された六角ボルト72と、この六角ボルト72の頭部と貫通孔71の段部との間に介在された皿ばね73とを有するものであって、この皿ばね73により、アーマチュア61をブレーキシュー本体60A側(矢印A側)に常時付勢する。そして、このような押圧力調整手段70では、六角ボルト72を締め付けることによって皿ばね73を撓ませつつ、ブレーキシュー本体60Aがアーマチュア61側(矢印B側)に近接するように調整することができる。また、押圧力調整手段70では、励磁コイル7によるアーマチュア61の磁気吸着が行われた場合に、六角ボルト72を介してブレーキシュー本体60Aが矢印B方向に引き寄せられてブレーキを開放し、一方、励磁コイル7によるアーマチュア61の磁気吸着がなされない場合に、制動ばね5及び皿ばね73の付勢によって、六角ボルト72、ブレーキシュー本体60Aを介してブレーキライニング13がブレーキドラム1の制動面1aに対して押し付けられる。また、この押圧力調整手段70の皿ばね73は、励磁コイル7によるブレーキ開放時には撓まず、ギャップ調整機構40によりテーパ型のブロック体42を移動させるギャップGの調整時に撓みが生じるように、初期たわみ・特性が計算及び調整されている。なお、本実施形態では、押圧力調整手段70の付勢手段として4枚の皿ばね73を使用しかつこれら皿ばね73を互い違いに重ね合わせて配置したが、その皿ばね73の枚数は4枚に限定されず、2枚又は6枚であっても良い。また、この押圧力調整手段70の付勢手段は、皿ばねに限定されることなく、寸法及び要求される押付荷重を満たせば、コイルばねで代用しても良い。
【0021】
以上のように構成された電磁ドラムブレーキ100によれば、ブレーキシュー60とアーマチュア61との間に形成された設置部41内に、これらブレーキシュー60とアーマチュア61とに接触されるブロック体42を配置し、このブロック体42を、アーマチュア61に接触されるアーマチュア接触面42Bをブレーキドラム1の回転軸S方向に対して傾斜することでテーパ形状としたので、締結手段43の締結ボルト50を操作して、ブレーキドラム1の回転軸Sの方向に沿ってブロック体42をスライドさせた場合に、テーパ状に形成されたブロック体42のアーマチュア接触面42Bが、フィールドコア62に近接する方向(図2中、下方向)、又はフィールドコア62から離間する方向(図2中、上方向)にも移動させることができる。すなわち、締結ボルト50軸心43a方向と直交する方向にアーマチュア61を移動させることができ、これにより締結ボルト50を操作することによって、アーマチュア61とフィールドコア62との間のギャップGを調整することができる。そして、このようなギャップ調整作業を行う締結手段43の締結ボルト50は、ブレーキドラム1の回転軸S方向に沿って軸心43aが配置されるものであるので、その軸端にある締結ボルト50の頭部50Bを、図1に示すように電磁制動装置本体の手前側(ブレーキドラム1の回転軸S方向に沿って手前側:矢印(イ)側)に位置させることができ、これにより内部にスパナを挿入してギャップ調整操作を行う従来の電磁制動装置と比較して、格段にギャップ調整の作業性が向上し、その作業性を大幅に向上させることができる。
【0022】
なお、上記の電磁ドラムブレーキ100では、アーマチュア61に接触されるアーマチュア接触面42Bをブレーキドラム1の回転軸S方向に対して傾斜することにより、ブロック体42のテーパ形状を形成するようにしたが、これに限定されず、アーマチュア61に接触されるアーマチュア接触面42Bと、ブレーキシュー60に接触されるブレーキシュー接触面42Aとの間に位置するブロック体42の形状が、ブレーキドラム1の回転軸S方向に対して傾斜するテーパ状であれば良い。すなわち、アーマチュア61に接触されるアーマチュア接触面42Bをブレーキドラム1の回転軸Sと平行とし、かつブレーキシュー60に接触されるブレーキシュー接触面42Aをブレーキドラム1の回転軸S方向に対して傾斜させることで、ブロック体42をテーパ形状としても良い。或いは、アーマチュア61に接触されるアーマチュア接触面42B、ブレーキシュー60に接触されるブレーキシュー接触面42Aを共にブレーキドラム1の回転軸S方向に対して傾斜させることにより、ブロック体42をテーパ形状としても良い。
【0023】
また、上記の電磁ドラムブレーキ100では、ギャップ調整機構40は、ブレーキドラム1の回転軸Sの円周方向に対して間隔をおいて二ヶ所配置されているので、フィールドコア62の磁極面62Aと、アーマチュア61の磁気吸着面61Aとの平行の度合いを見ながらギャップGを調整することができる。なお、上記実施の形態では、図2に示すように締結ボルト50の頭部を六角穴とし、締結ボルト50を回転させる作業をTレンチ、六角レンチ等で行うようにしたが、どのような種類のボルトを使用するかは使用の状況に応じて適宜決定される。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係わる電磁ドラムブレーキ100の全体を示す正面図。
【図2】図1のII−IIに沿って切断したギャップ調整機構40の断面を示す斜視図であって、(a)及び(b)はブロック体42がスライドする様子を示す図。
【図3】アーマチュア61の構造を示す(a)平面図、(b)正面図、(c)側面図。
【図4】ブロック体42の構造を示す(a)側面図、(b)正面図
【図5】従来に係わる電磁ドラムブレーキ90の全体を示す正面図。
【図6】図5に対応した電磁ドラムブレーキ90の断面図。
【符号の説明】
【0025】
1 ブレーキドラム(被制動体)
5 制動ばね(付勢手段)
20 間隔調整手段(付勢手段)
40 ギャップ調整機構
41 設置部
42 ブロック体
42A ブレーキシュー接触面
42B アーマチュア接触面
42C 貫通孔
43 締結手段
43a 軸心
44 上側ガイド面(接触面)
45 下側ガイド面(接触面)
46 ブロック体設置部
47 ナット設置部
48 ブロック体ガイド面
49 ナットガイド面
50 締結ボルト
50A ねじ部
50B 頭部
51 締結ナット
60 ブレーキシュー
61 アーマチュア
61A 磁気吸着面
62 フィールドコア
62A 磁極面
70 押圧力調整手段
91 固定部材
100 電磁ドラムブレーキ(電磁制動装置)
G ギャップ
S 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被制動体を回転自在に支持する固定部材に固定されたフィールドコアと、
このフィールドコアに、被制動体の回転軸の径方向に沿って移動自在に設けられ、かつ付勢手段により被制動体を制動する付勢力が加えられているブレーキシューと、
これらブレーキシューとフィールドコアとの間にて、該ブレーキシューに固定されたアーマチュアとを有し、
フィールドコアにて生じた電磁力により、当該フィールドコアの磁極面に、アーマチュアの電磁吸着面を吸着させることによって、ブレーキシューを付勢手段の付勢力に抗して内方側に移動させ、これにより被制動体に対するブレーキシューの制動力を調整する電磁制動装置であって、
前記ブレーキシューとアーマチュアとの間に、フィールドコア側の磁極面と、アーマチュア側の磁気吸着面とのギャップを調整するギャップ調整機構を設け、
ギャップ調整機構は、ブレーキシューとアーマチュアとの間に被制動体の回転軸方向に向けて形成された設置部と、この設置部内にて接触面を介してブレーキシューとアーマチュアとに接触するように配置されるブロック体と、被制動体の回転軸方向に沿って軸心が配置されてブロック体をブレーキシューに対して締結固定するための締結ボルトを有する締結手段と、からなり、
前記アーマチュアに接触されるアーマチュア接触面と、ブレーキシューに接触されるブレーキシュー接触面との間に位置するブロック体の形状は、被制動体の回転軸方向に対して傾斜するテーパ状に形成されていることを特徴とする電磁制動装置。
【請求項2】
前記ギャップ調整機構は、被制動体の回転軸の円周方向に対して間隔をおいて二ヶ所配置されていることを特徴とする請求項1記載の電磁制動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−261355(P2008−261355A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−102526(P2007−102526)
【出願日】平成19年4月10日(2007.4.10)
【出願人】(000002059)神鋼電機株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】