説明

電磁弁の制御方法及び制御装置

【課題】車両におけるブレーキ系統の弁を、より精確に制御する方法および制御装置を提供する。
【解決手段】電気制御値(i)による、ブレーキ系統における少なくとも1つの弁の制御方法において、弁における圧力低下(Δp)と電気制御値(i)との関係を表す特性曲線が、電気制御値(i)の変化が圧力低下(Δp)の変化をもたらす領域を有し、また弁の制御中に、電気制御値の始動値は、これが前記領域内にまたは該領域の境界にあるように選択される。また、弁の制御装置において、弁の制御中に電気制御値の始動値を、弁制御領域内にまたは該弁制御領域の境界にあるように選択するための始動値選択手段を備え、弁制御領域内では、電気制御値(i)の変化が弁における圧力低下(Δp)の変化をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ブレーキ系統の弁を制御する方法および制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ドイツ特許明細書第19620037A1号には、コイルおよび可動接片とを含む電磁弁を制御する方法および装置が記載されている。接片を動かすために、コイルには電流および/または電圧がクロック式に印加される。種々異なる制御によって、電磁弁は、選択的に開閉弁としてまたは圧力調整弁として駆動させることができる。
【0003】
ドイツ特許明細書第19525538A1号において、吸込弁の作動によって生成されるブレーキ圧の脈動を最小限に抑制し、かつ騒音と振動を除去し、また、ブレーキペダルの応答感度が改善される、アンチロックブレーキシステム用の制御方法および制御装置が記載されている。この制御装置および制御方法の場合、吸込弁を開閉する信号波形は、緩やかに上昇および低下する傾斜を有し、ブレーキ管を完全に開かないことによって、ブレーキ圧の脈動を抑制する。
【0004】
従来技術の特徴は、ドイツ特許明細書第19525538A1号に基づくものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許明細書第19620037号(A1)
【特許文献2】ドイツ特許明細書第19525538号(A1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
車両におけるブレーキ系統の弁を、より精確に制御する方法および制御装置を提供することが、本発明の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、電気的制御値によってブレーキ系統の少なくとも1つの弁を制御する方法において、弁における圧力低下と電気的制御値との関係を特徴付ける特性曲線が、電気的制御値の変化が圧力低下の変化をもたらす少なくとも1つの領域を有すると共に、電気的制御値の始動値は、弁の制御中に、前記の領域内にあるか、または、該領域の境界にあるように選択される。
【0008】
それによって、弁の精密な制御が可能になる。この場合、圧力低下という用語は、弁の入口側での圧力と弁の出口側での圧力との差であるものと理解される。好適な実施形態の特徴は、少なくとも1つの調整サイクル中の電気的制御値の始動値が、先行する調整サイクルにおいて、弁の変数値、もしくは弁の制御値の関数として選択されることにある。
【0009】
それによって、1つの調整サイクル中に検出された、もしくは発生した主な制御値を次の調整サイクルで流用させることが可能になる。別の有利な実施形態の特徴は、先行する調整サイクルにおける前記弁の制御値が、ホイールのブレーキ滑りにより所定値を超えるような、バルブ・コイルを流れる電流であることにある。
【0010】
ホイールのブレーキ滑りが所定値を超える時点は、予め従来のABS制御装置(アンチロックブレーキ制御システム)によって検知される。有利な実施形態の特徴は、電気制御値の始動値が、弁に関連するホイールブレーキ・シリンダ内で圧力発生段階が開始されるような制御値であることにある。それによって、圧力発生の精密な制御が可能になる。すなわち、始動値とは圧力発生段階を開始する値である。
【0011】
別の有利な構成の特徴は、第1段階では電気的制御値が一定値を取ると共に、第1段階が時間的に圧力発生段階に先行することにある。1つの有利な実施形態では、圧力発生段階中のホイールブレーキ・シリンダ内のブレーキ圧は、ホイールのブレーキ滑りが所定値を超えるまで上昇される。それによって、ロックされたホイールによる自動車のスリップ現象が回避される。
【0012】
別の好適な実施形態の特徴は、電気的制御値が弁のコイルを流れる電流であることにある。電流の値は電気的に簡単に制御される値である。また、本発明によれば、電気的制御値によってブレーキ系統の少なくとも1つの弁を制御する装置において、弁の制御中に電気的制御値の始動値を、弁制御領域内にあるか、または、該弁制御領域の境界にあるように選択する手段を備えており、弁制御領域内では、電気的制御値の変化が弁における圧力低下の変化をもたらす。
【0013】
有利な構成では、上記装置が吸込弁を制御するために使用される。この吸込弁では、精密でかつ適正に計算された弁制御が特に重要である。有利な実施形態の特徴は、少なくとも1つの弁が圧力差調整弁であることにある。この弁には予め固有の特性として、コイル電流と、弁における圧力低下との間にほぼ直線的な関係がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、油圧系統図の形式のホイールブレーキ並びに吸込弁を示す。
【図2】図2は、吸込弁の周期的な制御を示す。
【図3】図3は、通常の形式の吸込弁の制御を示す。
【図4】図4は、制御電流が高すぎる、または低すぎる場合における、弁の制御時の、弁の状態と車輪の反応とを示す。
【図5】図5は、本発明による制御時の弁の状態と車輪の反応とを示す。
【図6】図6は、本発明による装置の構造と、自動車環境へのその組込みとを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
油圧式ブレーキ系統は、例えばドイツ特許明細書第19712889A1号(米国特許明細書第6,273,525号に対応)から既知である。
【0016】
図1は、油圧系統の断面図を示している。図1において、ブロック100は吸込弁を示し、ブロック102はホイールブレーキを示し、Δpは吸込弁における圧力低下を示している。その際に、吸込弁は電圧u(t)または電流i(t)を介して制御される。
【0017】
吸込弁とは、本発明では圧力差調整弁、もしくはリニア電磁弁(LMV)である。これは、吸込弁におけるコイル電流が、吸込弁における圧力低下Δpに比例するという特性を有している。その際に吸込弁は以下の双方の限界状態を有する。すなわち、コイル電流が小さい場合に、弁は開き、すなわちΔp=0である。
【0018】
コイル電流が大きい場合に、弁が閉じ、ブレーキ液もしくはブレーキ媒体が流れない。圧力を調整する吸込弁の特徴は、以下のような2つの基本的な特性にある。
【0019】
1.弁を流れる電流と調整される圧力低下との関係(i−Δpの特性曲線)が変化しない。
【0020】
2.動的な過渡的応答。このことは、一次の遅延素子で極めて的確に説明でき、時定数は接続されている油圧容積の関数である。
【0021】
このような弁の周期的な動作態様が図2に示されている。この図では、横軸方向には時間tが示され、縦軸方向には電流i(t)が示されている。ここで電流i(t)は小さい値と大きい値との間で交番し、それに対応して、吸込弁はノイズ発生や弁に対する高い機械的負荷のようなマイナスの結果を伴って「開」状態と「閉」状態との間で交代する。
【0022】
吸込弁の特徴的な、i−Δp特性曲線が図3に示されている。この図では、横軸に沿って吸込弁のコイルを流れる電流iが示され、縦軸に沿って吸込弁がその値で調整される圧力差Δpが示されている。電流が小さい場合(0<i<i1)、弁は開き、すなわちΔp=0である。電流がi1とi2との間では、ほぼ直線的に増加する。電流i2では、吸込弁によって最大限に調整可能な圧力差Δp(Δpmax)に達する。
【0023】
ここでホイールブレーキ・シリンダへのブレーキ媒体の充填、およびそれによるブレーキ圧の生成を、図3を参照して説明する。
−先ず、吸込弁が閉じられ、吸込弁への供給管とホイールブレーキ・シリンダとの間には、p0の圧力がかかるものとする。
−その際に、例えば、i>i2の電流が流れるものとする。
−次に、ホイールブレーキ・シリンダ内の圧力を上昇させる。これは、吸込弁を開くことによって行われる。
−加えて、電流iが時間と共にi2の値を基点に傾斜状に低減される。そこで、図3において、状態は点線に沿って左側へと移行する。
−点線が、実線で示された吸込弁の特性曲線と交わるような電流値に達するまで、吸込弁における圧力低下Δpが低下する。
−それから吸込弁の状態は、特性曲線に沿ってΔp=0 のポイントへと移行する。その際、このポイントに達することが絶対に必要というわけではない。それは明らかに、電流も圧力低下も時間と共に低減することを意味している。電流が充分に緩やかに戻ることによって、弁は静的な平衡状態で駆動される。このことは、弁が常に静的な定常状態にあり、かつ弁の状態は、図3に示した特性曲線に沿って移行することを意味している。
−その際に吸込弁が開き、ホイールブレーキ・シリンダ内の圧力は継続的に増大する。この開放プロセスは、例えば直線的に低下する電流傾斜によって達成可能である。
【0024】
特性曲線に沿った弁の状態の移行は、吸込弁がホイールブレーキ・シリンダ内での圧発生中に、静的な定常状態でのみ動作することを意味している。このような動作の態様は物理学では「断熱曲線」という見出し語でも知られている。開放プロセスは一連の静的な状態を経過する。
【0025】
その際に、弁への電流の供給が、電流設定、または電圧設定によって継続的に行われるのか、またはパルス/ポーズ駆動によって行われるかは重要ではない。しかし、パルス/ポーズ駆動は、圧力差調整弁が高頻度のスイッチング動作に追従し得ず、むしろ、パルス/ポーズ駆動の平均値にのみ追従し得るような十分高い周波数とする必要がある。そこで、コイル電流が急激に変化することはないという物理的な特性が活用される。
【0026】
本発明は、開閉状態の改善の他に、電流が判明している場合は、i−Δp特性曲線を介して補足的に圧力差Δpも判明する、という補足的な利点も有している。そこで、この補足情報Δpは、ABS(アンチロックブレーキシステム)/ESP(電子安定化プログラム)/ASR(駆動滑り制御)の調整用にも利用できる。
【0027】
i−Δp特性曲線を介した前述の調整を利用する際に、圧力発生の時点の他に、圧力発生の開始時に弁がどのような電流で制御されるかという問題が生ずる。それには、以下のような2つの可能性がある。
【0028】
1.(例えば、ESPのような)多くの走行動特性調整システムにおいては、ブレーキ系統内の吸気圧は自動車内にあるセンサ装置を介して分かる。吸気圧とホイールブレーキ・シリンダ内の実際のブレーキ圧とが判明することで、吸込弁における圧力低下を計算することができる。そこから、i−Δp特性曲線を介して必要な開放電流を算定できる。
【0029】
2.(例えば、多くのABSシステムのような)多くのシステムの場合、ブレーキ系統内の吸気圧は分からない。このような場合に備えられた、(同様に吸気圧が判明していない)吸込弁の圧力差調整特性を利用することによる補助手段を以下に説明する。
【0030】
当該のESPシステムおよびABSシステムでは、圧力発生は常に圧力保持段階から行われる。すなわちホイールブレーキ・シリンダ内に一定の圧力を有する段階は、(ホイールブレーキ・シリンダ内の)圧力発生段階に常に先行する。圧力保持段階では、弁を流れる電流は、これが吸込弁を遮断するのに充分である程度に留まる限り、重要ではない。圧力発生を直ぐに開始するためには、実際にかかる圧力差に相当するように弁電流が調整されなければならない。この電流値が間違っていると、以下の2つの事例が発生する。
【0031】
事例1:電流が小さすぎる場合(すなわち、吸込弁において低下する圧力差が過度に急速に低下する場合)は、不要に大きい発生勾配を伴う圧力発生が起きる。それによって調整が不安定になり、引き続いてホイールの滑りも大きくなり、また自動車のステアリングが困難となる。この事態は図4の上方の図に示されている。この図では、時間tが横軸方向に記載されており、縦軸方向には弁電流iと、ホイール周速vと、対応するホイールブレーキ・シリンダ内の圧力pとが記載されている。電流がスイッチオンされると直ちに、ポイント401で示されているように、急激な圧力発生が起きる。それによってホイールの周速が対応して急激に下落し(402)、その結果としてABS制御装置が応答する。ABS制御装置は、吸込弁を流れる電流を飛躍的に上昇させる(404)。それによって吸込弁が閉じられる。その結果、ホイールブレーキ・シリンダ内の圧力はそれ以上は増大しない。ホイールブレーキ・シリンダ内での(極めて緩やかな)圧力発生は、対応する吐出弁を開くことによって行われる。
【0032】
事例2:電流が大きすぎる場合は、弁電流(ひいては遮断可能な最大圧力低下)と圧力低下とが平衡状態になるまで圧力の発生は遅延される。この時点でブレーキ力は小さすぎ、自動車は最適には減速されない。このことは図4の下方の図に示されており、その軸と、記載された曲線とには上方の図と同様の符号が付されている。電流iは大きすぎ(矢印410)、したがって圧力低下Δpは過度に長く保持され、直ちには低減されない。したがって、ホイールブレーキ・シリンダ内でのブレーキ圧は極めて遅い時点でようやく上昇する(矢印411を参照)。
【0033】
吸込弁の可能な代替制御方法が図5に示されている。軸には図4と同様の符号が付されている。この場合、制御方法の経過は、以下に記載するステップをたどる。
【0034】
ステップ1:圧力保持段階から、電流値は当初は高すぎる値を基点に傾斜状に低下する。時間軸に(1)で示された時点で、弁における力の平衡に達し、ここで圧力発生が始まる。このことは、記載した最も下の曲線の、ホイールブレーキ・シリンダ内の圧力pの増大で分かる。
【0035】
ここで強調すべきは、ホイール圧力センサ装置がないシステムでは、上記の時点が検知され得ないことである。
【0036】
ステップ2:(i−Δp特性曲線を介して調整されて)ABS制御装置の圧力発生の要求には応じるが、吸込弁が(前述したように)常に静的な定常状態にあるようにゆっくりとしか応じないような勾配で、電流が再び低下される。この段階は、時間軸に沿って、記載された時点(1)と(3)との間で行われる。
【0037】
ステップ3:電流の低下によって、(前述したように)ホイールブレーキ・シリンダ内の圧力が上昇し(図5のpの増大を参照)、かつホイールの不安定さが高まる。このことは、vを付した曲線で図5に示されているように、ホイールの周速が急激に低下することを表している。それによって、ホイールの周速(v)曲線は、例えばポイント501に見られるように、(点線で示された直線である)車両の前進速度のカーブからますます遠ざかる。ホイールの周速vは車両の前進速度と比較してますます低くなり、このことは明らかに、ホイールのブレーキ滑りが増大することを意味している。時点(3)で前進力が最大のポイントに達し、ホイールブレーキ・シリンダにはロック圧p_blockが作用する。同時に吸込弁では圧力低下Δp_instabが低下する。ロック圧p_blockの値は分からないが、時点(3)での、吸込弁における圧力低下Δp_instabには以下の関係式が当てはまる。
【0038】
Δp_instab=p_hz− p_blockただし、p_hzは、主ブレーキ・シリンダ内の圧力である。圧力差Δp_instabに相当する電流が判明し、またそれによって、i−Δp特性曲線を介して圧力差Δp_instabが判明する。
【0039】
ステップ4:引き続いて、ホイールが不安定であるため、圧力の低減が行われる。この圧力低減は、観察されるホイール動特性によって、ホイールが再び安定状態になったこと、すなわちスリップの閾値を下回ったことが示されるまで継続する。圧力の低減は、(図5の急速な電流上昇504によって達成される大きい弁電流により)吸込弁が閉じられ、また、吐出弁が開かれることによって行われる。引き続いて、新たな圧力発生のための所望の時点に達するまで、時点(3)と(4)との間で、圧力保持段階(吸込弁と吐出弁とが閉じられる)が実行される。それは図5の時点(4)である。この時点で再び安定したホイール状態になる。
【0040】
ステップ5:新たな圧力発生のためには先ず、電流の始動値(図5の503)が決定されなければならない。この始動値の決定に際しては下記が仮定される。
【0041】
−道路の摩擦値、ひいてはロック圧が最後の調整サイクル内でほぼ一定であった。
【0042】
−最後の調整サイクル内の吸気圧がほぼ一定であった。
【0043】
−吸込弁における圧力低下をホイールの安定化に必要な数値Δp_abbauだけ低減させた値は、摩擦値に関わりなく常にほぼ一定である。数値Δp_abbauは(図5に示されるように)、吸込弁の静的な駆動が始まる時点と、吸込弁の静的な駆動が終わる時点との間の圧力差を表している。図5において、数値Δp_abbauは電流曲線iに関連している。このことは、吸込弁の駆動が静的である場合に、電流iと弁における圧力低下Δpとの直線的な関係が生ずることによって明らかになる。
【0044】
それによって、圧力発生の開始時の吸込弁における圧力低下は、以下の方程式によって算定することができる。
【0045】
Δp_start=Δp_instab+ Δp_abbau
この公式は明らかに、下記のコンセプトから理解される。すなわち、
−Δp_instabは、弁が不安定状態に入った際の圧力低下であり、かつ、
−Δp_abbauは、調整サイクルの開始時の弁における圧力低下を低減するための圧力差であり、弁の開放プロセスの結果として、圧力低下をその圧力差分だけ低減するためのものである。
【0046】
この場合も、圧力発生時の電流の始動値は、i−Δp特性曲線から明らかになる。それによって、記載している方法により、ホイールブレーキ・シリンダ内での圧力発生の開始時に、引き続いてその数値が減少すると、弁において低下する圧力差が直ぐに減少するような数値まで、非常に正確に電流を飛躍的に上昇させることが可能になる。
【0047】
本発明による装置の構造と、自動車環境へのその組込みは、図6に示されている。この図において、ブロック600は、例えばメインブレーキ・シリンダ内の圧力p_hz、またはホイール回転速度を検出するセンサ手段を含んでいる。ブロック602は、ブレーキ系統、特に制御される弁の起動手段を含んでいる。弁制御装置はブロック601に含まれている。ブロック601には始動値選択手段603が含まれている。
【0048】
センサ手段600の出力信号は弁制御装置601に送られる。弁制御装置601の出力信号は起動手段602に送られる。例えば弁のコイルを流れる電流が検知されることによって、起動手段602からセンサ手段600へのフィードバックが行われる。
【符号の説明】
【0049】
100 吸込弁
102 ホイールブレーキ
600 センサ手段
601 弁制御装置
602 起動手段
603 始動値選択手段
i 電気制御値
Δp 圧力差

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気制御値(i)による、ブレーキ系統における少なくとも1つの弁の制御方法において、前記弁における圧力低下(Δp)と前記電気制御値(i)との関係を表す特性曲線が、電気制御値(i)の変化が圧力低下(Δp)の変化をもたらす領域を有すること、および前記弁の制御中に、前記電気制御値の始動値は、これが前記領域内に、または該領域の境界にあるように選択されること、を特徴とする制御方法。
【請求項2】
少なくとも1つの調整サイクルにおける前記電気制御値の前記始動値は、先行する調整サイクル(Δp_instab)における前記弁の変数値もしくは該弁の制御値に依存して選択されることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
先行する調整サイクルにおける前記弁の制御値(i)は、該弁のコイルを流れるとホイールのブレーキ滑りが所定値を超えるような電流(i)であることを特徴とする請求項2に記載の制御方法。
【請求項4】
電気制御値(i)の前記始動値は、前記弁に関連するホイールブレーキ・シリンダ内で圧力発生段階が開始されるような制御値であることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項5】
第1段階では前記電気制御値が一定値をとること、および前記第1段階が、時間的に前記圧力発生段階に先行すること、を特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項6】
前記圧力発生段階において、前記ホイールブレーキ・シリンダ内のブレーキ圧(p)は、ホイールの前記ブレーキ滑りが所定値を超えるまで上昇されることを特徴とする請求項4に記載の制御方法。
【請求項7】
前記電気制御値は、前記弁のコイルを流れる電流(i)であることを特徴とする請求項1に記載の制御方法。
【請求項8】
電気制御値(i)による、ブレーキ系統における少なくとも1つの弁の制御装置において、前記弁の制御中に前記電気制御値の始動値を、弁制御領域内にまたは該弁制御領域の境界にあるように選択するための始動値選択手段を備えること、前記弁制御領域内では、電気制御値(i)の変化が前記弁において低下する圧力差(Δp)の変化をもたらすこと、を特徴とする制御装置。
【請求項9】
吸込弁を制御するために使用されることを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
制御される少なくとも1つの弁は、圧力差調整弁であることを特徴とする請求項8に記載の制御装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−184674(P2009−184674A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128426(P2009−128426)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【分割の表示】特願2003−59318(P2003−59318)の分割
【原出願日】平成15年3月6日(2003.3.6)
【出願人】(591245473)ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (591)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【Fターム(参考)】