説明

電磁誘導部品および電源装置

【課題】小型かつ薄型であって、面積当たりのターン数を大きく、しかも容易に製造することができる電磁誘導部品を提供する。
【解決手段】半導体基板からなるベース基板10の表裏の一面に集積回路を形成した回路形成領域30が設けられる。回路形成領域30を全周に亘って囲む形で設定した環状の仮想枠の上に平面型インダクタ20が形成される。平面型インダクタ20は、ベース基板10に形成された導電層からなる下パターンと、下パターンの上に膜形成技術により形成された磁性体層からなる環状コア22と、環状コア22の表面に形成された導電層であって下パターンに電気的に接続される上パターン23とにより形成される。下パターンと上パターン23とが接続されることにより環状コア22に巻回された巻線が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電磁誘導部品および電源装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、平面型インダクタと称する薄型のインダクタや平面型トランスと称する薄型のトランスが種々提案されている。この種の平面型の電磁誘導部品(インダクタ、トランス)の基板として半導体基板を用いることにより半導体製造プロセスを利用して小型化することも考えられている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された電磁誘導部品は、電源の小型軽量化のために半導体基板を用いており、磁気誘導型銅損を減少させるためにコイル導体の厚みを大きくすることが考えられており、コイル基板上にコイル導体を形成した2個の平面コイルをコイル面同士が電気的に接続されるように重ね合わせた構造を有している。また、コイル基板とコイル導体との間に磁性薄膜を配置した構成が記載されている。
【特許文献1】特開平11−176639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された電磁誘導部品では、コイル導体が一平面内でスパイラル状に形成されているものであるから、面積当たりのターン数を大きくとることができないという問題を有している。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、小型かつ薄型に形成することができるのはもちろんのこと、面積当たりのターン数を大きくとることができ、しかも容易に製造することができる電磁誘導部品および電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、半導体基板であって表裏の一面に集積回路を形成した回路形成領域を備えるベース基板と、ベース基板の前記一面において回路形成領域を全周に亘って囲む形で設定した環状の仮想枠の内外に跨る導電層である複数本の基本線パターンからなる下パターンと、前記仮想枠に膜形成技術により形成される磁性体層からなる環状コアと、環状コアの表面に形成された導電層であり下パターンにおける異なる一対の基本線パターン間であって一方の基本線パターンにおける前記仮想枠の内側の端部と他方の基本線パターンにおける前記仮想枠の外側の端部とを電気的に接続する複数本の接続線パターンからなる上パターンとを有し、下パターンと上パターンとにより環状コアに巻回された巻線が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、半導体製造プロセスによって製造することができるから、微細かつ薄肉の電磁誘導部品を形成することができる。また、半導体基板上に電磁誘導部品を用いる集積回路とともに形成することができるから、電磁誘導部品を用いる回路をワンチップに形成することができる。さらに、環状コアは回路形成領域を全周に亘って囲むように形成しているから、同面積であればターン数を多くとることができる。
【0008】
請求項2の発明では、 請求項1記載の電磁誘導部品とスイッチング素子とスイッチング素子のオンオフを制御する制御回路とを備える電源装置であって、スイッチング素子と制御回路とがベース基板の回路形成領域に形成されていることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電源装置を構成する部品のうち電磁誘導部品(インダクタ、トランス)を薄型かつ小型に形成することにより電源装置の薄型化および小型化が可能になる。また、半導体基板を用いているから、電源装置を構成する回路部品の少なくとも一部を形成することができ、電源装置の一層の小型化に寄与することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の構成によれば、環状コアに巻線を巻回した電磁誘導部品を集積回路とともに半導体基板からなるベース基板に形成しているから、電磁誘導部品を用いる電子回路とともに半導体製造プロセスにより製造することができ、微細かつ薄肉の電磁誘導部品を形成することができるという利点がある。しかも、電子回路と電磁誘導部品とをワンチップ化することができるから、電磁誘導部品を用いる電子回路を構成するにあたって、電磁誘導部品を外付する必要がなく、電子回路を全体として小型化することが可能になる。加えて、環状コアが回路形成領域を全周に亘って囲むように形成し、しかも環状コアの内外周を横断するように巻線を巻回しているから、同面積であればターン数を多くとることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(実施形態1)
本実施形態は、図1、図2に示すように、矩形状(図示例は正方形状)のベース基板10の厚み方向の一面に矩形環状の平面型インダクタ20(本発明で、平面型とは一平面内という意味ではなく薄型という意味で用いており、平面型インダクタは薄型インダクタと同義である)を形成するとともに、平面型インダクタにより囲まれた領域に集積回路を形成した回路形成領域30を設けている。言い換えると、回路形成領域30は、ベース基板10の中央部に形成してあり、ベース基板10において回路形成領域30を全周に亘って囲む形で設定した環状の仮想枠F(図3参照)の位置に平面型インダクタ20を形成してある。ここに、ベース基板10は、半導体基板であって、本実施形態ではシリコン基板を用いている。
【0012】
平面型インダクタ20は、ベース基板10の厚み方向の一面に形成した導電層からなる下パターン21と、仮想枠Fの上で下パターン21に積層される環状コア22と、環状コア22の表面に形成され下パターン21とともに環状コア22に巻回される巻線を形成する導電層からなる上パターン23とにより形成される。
【0013】
下パターン21は、仮想枠Fの内外に跨る複数本の基本線パターン21aからなり、金属(銅あるいはアルミニウムが望ましい)を用いて薄膜形成技術により形成される。各基本線パターン21aはそれぞれ同形状・同寸法に形成され、ベース基板10の表面と下パターン21との間には酸化膜あるいは窒化膜による絶縁層が形成される。図3に示すように、本実施形態では、仮想枠Fは矩形枠状であり、各基本線パターン21aは仮想枠Fの周方向に沿った中心線に対して斜めに交差するように形成されている。また、仮想枠Fの各辺に沿って配列されている各基本線パターン21aは互いに平行になるように形成されている。
【0014】
環状コア22は、フェライトのような磁性体からなる磁性体層であり、膜形成技術により矩形環状に形成される。膜形成技術としては、蒸着やスパッタリングのような薄膜形成技術を採用するが、印刷のような厚膜形成技術を採用してもよい。環状コア22は断面積を大きくするのが望ましいから、薄膜形成技術により環状コア22を形成する場合には必要に応じて多層膜とする。
【0015】
ベース基板10の上で各基本線パターン21aの両端部を除く領域に環状コア22を形成した後に、環状コア22の上に上パターン23が形成される。上パターン23は下パターン21と同様に仮想枠Fの内外に跨る複数本の接続線パターン23aからなり、金属(銅あるいはアルミニウムが望ましい)を用いて薄膜形成技術により形成される。各接続線パターン23aはそれぞれ同形状・同寸法に形成される。環状コア22がフェライトであれば、環状コア22と上パターン23との間はとくに絶縁しなくてもよいが、環状コア22の表面に適宜の絶縁膜を形成し、環状コア22と上パターン23との間を絶縁するのが望ましい。
【0016】
上パターン23は、下パターン21において隣り合う基本線パターン21aの内側端と外側端とを電気的に接続する複数本の接続線パターン23aを有しており、環状コア22の表面に跨る形で形成される。図示例では、各基本線パターン21aが仮想枠Fの周方向に沿った中心線に対して斜めに交差しているから、各接続線パターン23aは当該中心線に対して略直交するように形成することで、下パターン21と上パターン23とにより、環状コア22に巻回される巻線を形成することができる。
【0017】
ただし、仮想枠Fの周方向に沿った中心線に対して、基本線パターン21aと接続線パターン23aとの交差角度をどのように設定するかは、目的に応じて適宜に設定される。いずれにしても、上パターン23の各接続線パターン23aは、下パターン21における異なる一対の基本線パターン21a間であって一方の基本線パターン21aにおける仮想枠Fの内側の端部と他方の基本線パターン21aにおける仮想枠Fの外側の端部とを電気的に接続し、下パターン21と上パターン23とにより環状コア22に巻回された巻線が形成される。
【0018】
上述のように、下パターン21と環状コア22と上パターン23とにより電磁誘導部品を形成することができる。本実施形態では、環状コア22に1つの巻線を形成した平面型インダクタ20を想定しているが、環状コア22に複数の巻線を形成することにより平面型トランスを形成することもできる。また、上述した例では下パターン21の隣り合う基本線パターン21aの間を上パターン23の接続線パターン23aにより電気的に接続しているが、上パターン23における接続線パターン23aの配列を変更すれば、同じ下パターン21を用いて他の巻き方の巻線を形成することも可能である。また、環状コア22を矩形環状に形成した例を示したが、六角環状、八画環状、円環状などに形成することも可能である。
【0019】
上述したように、仮想枠Fに囲まれた領域は回路形成領域30であり、図4に示すように、回路形成領域30には集積回路からなる回路部31が形成される。回路部31としては、チョッパ回路のような電源装置を構成することができる。チョッパ回路には、降圧型、昇圧型、極性反転型などがあるが、本実施形態では、図5に示す降圧型のチョッパ回路を例示する。ここでは、電力利用効率の高い同期整流方式を採用している。
【0020】
図示する回路は、商用電源をダイオードブリッジで整流することなどにより得られる直流電源(図示せず)が接続される入力端子T1,T2と、平滑コンデンサCが接続される出力端子T3,T4とを備える。入力端子T1,T2の間には、スイッチング素子(MOSFETなど)Q1,Q2の直列回路が接続され、入力端子T1と出力端子T3との間には、高電位側のスイッチング素子Q1とインダクタLとの直列回路が接続される。さらに、出力端子T3,T4の間には2個の抵抗R1,R2の直列回路からなる電圧検出部が接続される。スイッチング素子Q1,Q2は交互にオンオフするように制御回路CNによって制御される。制御回路CNでは、抵抗R1,R2の接続点の電圧を一定に保つようにスイッチング素子Q1,Q2のオンオフを制御する。
【0021】
この種のチョッパ回路は周知のものであるが、簡単に動作を説明すると、スイッチング素子Q1のオン期間において直流電源からインダクタLを通して平滑コンデンサCが充電され、この間にインダクタLに電磁エネルギが蓄積される。また、インダクタLに蓄積された電磁エネルギは、スイッチング素子Q1のオフ期間において平滑コンデンサCとスイッチング素子Q2とを通るループ回路を通して流れ、平滑コンデンサCを充電する。スイッチング素子Q2はスイッチング素子Q1のオフ期間にオンになり、インダクタLに蓄積された電磁エネルギを環流する際の電圧降下を小さくすることで、エネルギの利用効率を高める機能を有している。
【0022】
図5に示した電源装置を構成する際に、インダクタLとして上述した平面型インダクタ20を採用すれば、小型かつ薄型の電源装置を構成することができる。ここに、平面型インダクタ20はごく小型であるから、蓄積できる電磁エネルギは比較的小さいものである。したがって、スイッチング素子Q1,Q2のオンオフの周波数(つまり、スイッチング周波数)は100kHz〜数MHz程度の高周波とするのが望ましい。
【0023】
また、電源装置を構成するにあたり、インダクタLを設けているベース基板10に設けた回路形成領域30に、スイッチング素子Q1,Q2と制御回路CNと抵抗R1,R2とを形成して集積回路化することができるから(図5の一点鎖線で囲んだ領域が集積回路)、平滑コンデンサCを外付するだけで電源装置を構成することが可能になる。また、上述したインダクタLを電源装置に用いることにより、電源装置の構成部品のうちの大型部品であったインダクタLを小型化することができる。しかも、スイッチング素子Q1,Q2とともにインダクタLを集積回路化することによりスイッチング素子Q1,Q2の近傍にインダクタLを設けることができ、結果的に、スイッチング素子Q1,Q2のオンオフを高周波で行う場合に問題となる寄生容量の影響を軽減することができる。しかも、インダクタLが回路形成領域30を囲んでいるから、ベース基板10の限られた面積内でインダクタンスを可及的に大きくすることが可能になる。
【0024】
上述した小型の電源装置を用いた配線システムの例を図6に示す。図示する配線システムでは、建物内の適所に埋込配置されたスイッチボックス3にゲート装置4と称する配線器具を収納する。ゲート装置4には壁内に先行配線された電力線Lpと情報線Liとが接続される。スイッチボックス3およびゲート装置4は1個ずつでもよいが、以下では複数個設ける場合について説明する。また、図示例では、ルータとハブとを内蔵したゲートウェイの機能を有している基本モジュール1と、メインブレーカMBおよび分岐ブレーカBBとを内蔵した配線盤5を用いている。
【0025】
基本モジュール1には、複数系統(図示例では3系統)の情報線Liが接続され、ゲートウェイとして各情報線Liを外部のインターネット網NTに接続する。基本モジュール1は、情報線Liを複数系統に分岐したり情報線Liをインターネット網NTに接続するだけでなく、情報線Liを通して後述する各機能モジュール2の動作状態を監視する機能も備えている。また、メインブレーカMBは商用電源ACに接続され、分岐ブレーカBBに電力線Lpが接続される。図示例では分岐ブレーカBBを1系統で代表して示しているが通常は複数系統の分岐ブレーカBBを設ける。
【0026】
図6に示す例では、機能モジュール2として、コンセントあるいはスイッチのように負荷制御を主な機能とするものと、スピーカあるいは表示器のように情報の授受を主な機能とするものとを示している。本実施形態の構成では、負荷制御を主な機能とする場合であっても、コンセントに接続した負荷で使用した電力量やスイッチを操作した回数などを情報として情報線Liを介して監視することが可能になる。
【0027】
各系統のゲート装置4の間は電力線Lpおよび情報線Liの送り配線によって接続される。また、各系統のゲート装置4のうちの1個は配線盤5との間で電力線Lpおよび情報線Liを介して接続される。つまり、各系統のゲート装置4は電力線Lpに並列接続され、また情報線Liに並列接続されることになる。
【0028】
ゲート装置4は、電力線Lpと情報線Liとに接続されたコネクタからなる接続口6(図7参照)を備える。したがって、後述する機能モジュール2のコネクタをゲート装置4の接続口6に接続するだけで、機能モジュール2に電力を供給する電力路と、機能モジュール2との間で通信するための情報路とを同時に確保することができる。しかも、ゲート装置4は電力線Lpと情報線Liとにそれぞれ並列接続されているだけであるから、機能モジュール2はどのゲート装置4にも接続することができる。つまり、機能モジュール2は、ゲート装置4の配置されている範囲内で自由に配置することができるから、レイアウトの自由度が高い施工性に優れた配線システムを提供することができる。
【0029】
スイッチボックス3は、たとえばJIS規格(C 8375)に規定する取付枠9(図7参照)を取り付けることができるものを用いる。図示する取付枠9は一連形と呼ばれており、JIS規格(C 8304)において大角連用形スイッチの1個モジュールとして規格化されている埋込形の配線器具を3個取り付けることができる。
【0030】
取付枠9は、図7に示すように、中央部に表裏に貫通した器具取付用の矩形状の窓孔9aを備える。取付枠9に取付対象である配線器具を取り付けるには、窓孔9aの後方から配線器具の前部を挿入し、取付枠9の左右両側の枠片9bに設けた器具係止部に配線器具の左右両側に設けた被係止部を結合させる。図示例では、配線器具に被係止部として爪を設け取付枠9の枠片9bに器具係止部として間隙を設けている。ただし、配線器具に被係止部として穴を設け取付枠9の枠片9bに器具係止部として爪を設けた構成もある。取付枠9の上下の枠片9cには挿入孔9dが貫設されている。取付枠9をスイッチボックス3に取り付けるには、取付枠9に配線器具を装着した状態で、図示しない取付ねじを挿入孔9dに前方から挿入してスイッチボックス3に設けたねじ受け(図示せず)に螺入させる。
【0031】
なお、取付枠9を壁パネルに取り付ける場合には、壁パネルに取付孔を貫設し、挿入孔9dに挿入される引締ねじを挟み金具(図示せず)と称する部材に螺合させ、壁パネルに貫設した取付孔の周部を取付枠9と挟み金具との間で挟持するように引締ねじを締め付けてもよい。あるいはまた、取付枠9を通して壁材に木ねじを螺合させることによって、取付枠9を壁に取り付けることも可能である。
【0032】
本実施形態では、各スイッチボックス3の上部からは、配電ボックス1または他のスイッチボックス3に接続された電力線Lpおよび情報線Liが導入され、各系統の末端に位置するスイッチボックス3を除いた各スイッチボックス3の下部からは他のスイッチボックス3への送り配線である電力線Lpおよび情報線Liが導出される。また、ゲート装置4を取り付けた取付枠9を各スイッチボックス3に取り付けることによって、上述したように、各スイッチボックス3にそれぞれゲート装置4が収納される。ここにおいて、ゲート装置4には、電力線Lpと情報線Liとが接続されるから、電力線Lpと情報線Liとの混触を防止するために、電力線Lpと情報線Liとのスイッチボックス3への導入口および導出口はそれぞれ個別に設けるのが望ましい。
【0033】
ゲート装置4は、板ばねのばね力を利用して電線を結線する、いわゆる速結端子構造の端子を器体に内蔵しており、器体の背面に開口する電線挿入口に電線を挿入することにより、電線の機械的保持と電気的接続とがなされる構成を採用している。電線挿入口は、電力線Lpと情報線Liとについて2対ずつ設けてある。各1対は送り配線を接続するために用いられる。ゲート装置4の器体の前面には、電力線Lpが接続される端子に電気的に接続されている接触部を設けた電力路接続口6aと、情報線Liが接続される端子に電気的に接続されている接触部を設けた情報路接続口6bとが配置される。
【0034】
電力路接続口6aと情報路接続口6bとは1個の接続口6としてモジュール化されている。配線システム内の各ゲート装置4において、各電力路接続口6aと各情報路接続口6bとはそれぞれ同仕様(接触部の配列や接続口のサイズなど)であり、また電力路接続口6aおよび情報路接続口6bの位置関係は統一されている。接続口6には、機能モジュール2の背面に設けた接続体7が着脱可能に結合される。すなわち、機能モジュール2の接続体7には、電力路接続口6aに着脱可能に結合される電力路接続体7aと、情報路接続口6bに着脱可能に結合される情報路接続体7bとをモジュール化した接続体7が設けられる。機能モジュール2の接続体7をゲート装置4の接続口6に接続した状態において、機能モジュール2はゲート装置4の前面を覆う。ここに、接続口6と接続体7とはコネクタを構成する。
【0035】
機能モジュール2は、図8に示すように、ゲート装置4に対して1台だけ接続することによって単独で用いることができる基本機能モジュール2aと、基本機能モジュール2aに対して壁面に沿う面内で配列され基本機能モジュール2aと組み合わせて用いることにより基本機能モジュール2aの機能を拡張する拡張機能モジュール2bとがある。拡張機能モジュール2aは、基本機能モジュール2aに対して1台接続するだけではなく、複数台を接続することも可能である。
【0036】
以下の説明においては、基本機能モジュール2aを単独で用いるか、基本機能モジュール2aに拡張機能モジュール2bを結合して用いるかにかかわらず、どちらの場合についても機能モジュール2として説明する。
【0037】
機能モジュール2は、図9、図10に示すように、合成樹脂製の扁平なハウジング8aを備える。すなわち、ゲート装置4に取り付けたときに壁面からの突出寸法が小さく、かつハウジング8aの前面側に露出する表示、報知、操作などの各種機能を持つ機能部に割り当てる面積を大きくとることができる薄型に形成されている。ハウジング8aの背面には接続体7が設けられ、接続体7をゲート装置4の接続口6に結合すれば、機能モジュール2が電力線Lpおよび情報線Liと電気的に接続される。ハウジング8aの上部および下部には取付用孔8cが開口しており、ハウジング8aをゲート装置4に結合した状態で、ハウジング8aの前面側から取付用孔8cに取付ねじ(図示せず)を挿入し、取付枠9の取付ねじ孔10eに取付ねじを螺入することにより、機能モジュール2が取付枠9に対して機械的に固定され、結果的に機能モジュール2のゲート装置4に対する結合強度を高めることができる。ハウジング8aの前面部には化粧カバー8bが着脱可能に被着され、化粧カバー8bをハウジング8aに装着した状態では、取付ねじの頭部が隠される。
【0038】
上述の構成から明らかなように、機能モジュール2には電力線Lpを通して商用電源ACから電力が供給されるから、機能モジュール2の内部回路の動作用の電源を生成するために商用電源ACから内部回路の動作用に用いる直流電圧を生成する電源装置が必要である。また、ハウジング8aは扁平で小型であるから、このようなハウジング8aに収納可能な薄型かつ小型の電源装置が必要である。したがって、実施形態1、実施形態2において説明した平面型インダクタを用いる電源装置は、この種の機能モジュール2に用いるのに適した電源装置になる。
【0039】
機能モジュール2が、基本機能モジュール2aだけではなく拡張機能モジュール2bも含んでいる場合には、電源装置は拡張機能モジュール2bにも電力を供給する。基本機能モジュール2aから拡張機能モジュール2bへの電力の供給は交流を用いる。また、基本機能モジュール2aと拡張機能モジュール2bとの内部においては、交流−直流変換を行って直流電力を内部回路に供給する。そのため、基本機能モジュール2aと拡張機能モジュール2bとには、それぞれ電源装置が設けられる。拡張機能モジュール2bに設けた電源装置においても実施形態1、実施形態2の平面型インダクタを用いることにより、拡張機能モジュール2bのハウジングに収納可能な薄型かつ小型の電源装置を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同上において環状コアを形成する前の分解斜視図である。
【図3】同上のベース基板を示す平面図である。
【図4】同上の断面図である。
【図5】平面型インダクタを用いた電源装置の構成例を示す回路図である。
【図6】平面型インダクタを用いる配線システムの全体構成を示す構成図である。
【図7】機能モジュールを取付枠に取り付けた状態の正面図である。
【図8】機能モジュールの他の構成例を示す構成図である。
【図9】ゲート装置と機能モジュールとを示す斜視図である。
【図10】機能モジュールを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 基本モジュール
2 機能モジュール
10 ベース基板
21 下パターン
21a 基本線パターン
22 環状コア
23 上パターン
23a 接続線パターン
30 回路形成領域
CN 制御回路
F 仮想枠
Li 情報線
Lp 電力線
Q1,Q2 スイッチング素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板であって表裏の一面に集積回路を形成した回路形成領域を備えるベース基板と、ベース基板の前記一面において回路形成領域を全周に亘って囲む形で設定した環状の仮想枠の内外に跨る導電層である複数本の基本線パターンからなる下パターンと、前記仮想枠に膜形成技術により形成される磁性体層からなる環状コアと、環状コアの表面に形成された導電層であり下パターンにおける異なる一対の基本線パターン間であって一方の基本線パターンにおける前記仮想枠の内側の端部と他方の基本線パターンにおける前記仮想枠の外側の端部とを電気的に接続する複数本の接続線パターンからなる上パターンとを有し、下パターンと上パターンとにより環状コアに巻回された巻線が形成されていることを特徴とする電磁誘導部品。
【請求項2】
請求項1記載の電磁誘導部品とスイッチング素子とスイッチング素子のオンオフを制御する制御回路とを備える電源装置であって、スイッチング素子と制御回路とがベース基板の回路形成領域に形成されていることを特徴とする電源装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−266321(P2007−266321A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−89607(P2006−89607)
【出願日】平成18年3月28日(2006.3.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】