露光方法、発光装置、および画像形成装置
【課題】 発光装置の寿命を伸ばす。
【解決手段】 電圧選択回路31は、制御信号CTLに従って電圧V0〜V4を各ラインに出力する。単位回路40はOLED素子を備えており、電源線を介して供給される電圧V0〜V4に応じた光量で発光する。即ち、各ラインのOLED素子の光量は電圧選択回路31によって重みが割り当てられる。制御信号CTLは5つの状態を指定する。電圧選択回路31は制御信号CTLによって指定される状態に応じて重みの割り当てを変更する。したがって、OLED素子の光量の重みが変更される。これによって、ある期間で見たとき、OLED素子の光量を均一にすることができ、OLED素子の寿命を伸ばすことが可能となる。
【解決手段】 電圧選択回路31は、制御信号CTLに従って電圧V0〜V4を各ラインに出力する。単位回路40はOLED素子を備えており、電源線を介して供給される電圧V0〜V4に応じた光量で発光する。即ち、各ラインのOLED素子の光量は電圧選択回路31によって重みが割り当てられる。制御信号CTLは5つの状態を指定する。電圧選択回路31は制御信号CTLによって指定される状態に応じて重みの割り当てを変更する。したがって、OLED素子の光量の重みが変更される。これによって、ある期間で見たとき、OLED素子の光量を均一にすることができ、OLED素子の寿命を伸ばすことが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料を利用した発光装置、及びこの発光装置を利用した画像形成装置ならびに露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としてのプリンタには、感光体ドラムなどの像担持体に静電潜像を形成するためのヘッド部として、多数の発光素子がアレイ状に配列された発光装置が用いられる。ヘッド部は、複数の発光素子を主走査方向に沿って配置した1本のラインで構成されることが多いが、ラインを副走査方向に複数配置したマルチラインタイプのものも知られている。マルチラインタイプのヘッド部では、副走査方向に沿った列に配置された複数の発光素子が感光体ドラムの回転と同期して発光することによって、感光体ドラムの所定位置に多重露光を行って一つの像を形成することがある。このような場合、各発光素子の光量に重みが割り当てられてられることがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−77188号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、各発光素子の寿命は、光量と時間の積に依存する。即ち、同じ時間だけ発光させた場合には、光量が大きい程、発光素子の寿命が短くなる。従って、大きな重みが割り当てられた発光素子の寿命は、小さな重みが割り当てられた発光素子の寿命よりも短くなる。
この結果、ヘッド部の寿命が大きな重みが割り当てられた発光素子の寿命によって定ってしまうといった問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発光装置の寿命を延ばすという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明に係る露光方法は、一列に配置された複数の出光部の各々からの出射光を像担持体の所定位置に順に照射することによって前記所定位置に画像データの示す階調に応じた像を多重露光する方法であって、前記複数の出光部の各々について前記出射光の光量に重みを割り当て、前記複数の出光部の各々に割り当てられた光量の重みと前記画像データに基づいて、前記複数の出光部の各々から光を出光するか否かを指定する複数のデータ信号をそれぞれ生成して、各データ信号を前記複数の出光部にそれぞれ供給し、所定の規則に従って、前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更することを特徴とする。
【0005】
この露光方法によれば、複数の出光部からの出射光によって多重露光がなされる。各出光部に割り当てられた光量の重みを固定にすると、重みが最も大きい出光部の負荷が過大となる。つまり、重みに応じて各出光部の負荷が相違する。一般に、出光部の寿命は負荷に応じて定まるので、重みが最も大きい出光部の寿命が最も短くなる。この場合、他の出光部は正常に動作しても発光装置全体の寿命は、重みが最大の発光部によって制約される。この発明によれば、出射光の光量の重みの割り当てを変更するので、発光装置の寿命を大幅に伸ばすことができる。また、光量の重みの割り当ての変更に応じて複数のデータ信号の供給先である複数の出光部を変更するので、正しく、階調を刻むことができる。
【0006】
ここで、前記複数の出光部の各々に割り当てる光量の重みを、2の累乗の比となるように設定し、前記複数のデータ信号を前記画像データの各ビットデータと対応するように生成し、前記記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部の変更を、前記画像データの各ビットデータを並べ替えることが好ましい。画像データの各ビットデータには2の累乗の重みが割り当てられているところ、光量の割り当てを2の累乗とすることによって、データ信号の出力先の変更を画像データを構成する各ビットデータの並べ替えで行うことができる。これにより、光量の変更に伴う出力先を変更する処理を簡易に実行することができる。
【0007】
上述した露光方法において、前記出光部は、電圧に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子に供給する前記電圧を前記出射光の光量に重みに応じて設定することが好ましい。この場合には、電圧に応じて発光素子の光量が定まるところ、この電圧を重みに応じて設定するので、重みに応じた光量を割り当てることができる。
【0008】
また、上述した露光方法において、前記出光部は、電流に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子に供給する前記電流を前記出射光の光量に重みに応じて設定することが好ましい。この場合には、電流に応じて発光素子の光量が定まるところ、この電流を重みに応じて設定するので、重みに応じた光量を割り当てることができる。
【0009】
また、上述した露光方法において、前記出光部は、発光時間に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子の前記発光時間を前記出射光の光量に重みに応じて設定することが好ましい。この場合には、発光時間に応じて発光素子の光量が定まるところ、この発光時間を重みに応じて設定するので、重みに応じた光量を割り当てることができる。
【0010】
次に、本発明に係る発光装置は、一列に配置された複数の出光部の各々からの出射光を像担持体の所定位置に順に照射することによって前記所定位置に画像データの示す階調に応じた像を多重露光する装置であって、前記複数の出光部の各々について前記出射光の光量に重みを割り当てる光量設定手段と、前記複数の出光部の各々に割り当てられた光量の重みと前記画像データに基づいて、前記複数の出光部の各々から光を出光するか否かを指定する複数のデータ信号をそれぞれ生成して、各データ信号を前記複数の出光部にそれぞれ供給するデータ信号供給手段と、前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更する変更手段とを備える。この発明によれば、出射光の光量の重みの割り当てを変更するので、発光装置の寿命を大幅に伸ばすことができる。また、光量の重みの割り当ての変更に応じて複数のデータ信号の供給先である複数の出光部を変更するので、正しく、階調を刻むことができる。なお、出光部は、光を射出するものであれば、いかなるものであってもよく、例えば、液晶素子のようなライトバルブも含まれ得る。
【0011】
ここで、前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々に割り当てる光量の重みを、2の累乗の比となるように設定し、前記データ信号供給手段は、前記複数のデータ信号を前記画像データの各ビットデータと対応するように生成し、前記変更手段は、記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部の変更を、前記画像データの各ビットデータを並べ替えることにより実行することが好ましい。画像データの各ビットデータには2の累乗の重みが割り当てられているところ、光量の割り当てを2の累乗とすることによって、データ信号の出力先の変更を画像データを構成する各ビットデータの並べ替えで行うことができる。これにより、光量の変更に伴う出力先を変更する構成を簡易にできる。
【0012】
また、前記変更手段は、前記複数の出光部の各々における前記出射光の光量の平均が同一となるように前記出射光の光量の重みの割り当てを変更することが好ましい。これにより、出光部の寿命をより一層、長くすることができる。
また、前記変更手段は、所定の周期で前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更することが好ましい。この場合、所定の周期とは、例えば、所定数の用紙を印刷するのに要する時間に設定してもよい。
【0013】
また、前記出光部は、電圧に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応した複数の電圧を生成する電圧発生手段と、前記複数の電圧を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する電圧選択手段とを備え、前記変更手段は、前記電圧選択手段の選択を制御することが好ましい。この場合には、発光素子は電圧で駆動されることになる。そのような発光素子としては、例えば、有機発光ダイオードや無機発光ダイオードなどの発光ダイオードが該当する。また、電圧に応じて発光素子の光量が定まるところ、この電圧を重みに応じて設定するので、重みに応じた光量を割り当てることができる。さらに、変更手段は、どの出光部にどのような重みを割り当てるかに応じてデータ信号の供給先を変更するので、正確に階調を刻むことができる。なお、実施形態の並び替え回路はデータ信号の供給先を変更する変更手段として機能する。
【0014】
また、前記出光部は、電流に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応した複数の電流を指定する電流指定信号を生成する信号発生手段と、前記複数の電流指定信号を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する信号選択手段とを備え、前記変更手段は、前記信号選択手段の選択を制御することが好ましい。この場合には、発光素子は電圧で駆動されることになる。そのような発光素子としては、例えば、有機発光ダイオードや無機発光ダイオードなどの発光ダイオードが該当する。また、実施形態の基準電圧は、発光素子に流れる電流を指定する電流指定信号として機能し、電流選択回路は、信号選択手段として機能する。
【0015】
また、前記出光部は、一定の電圧が供給された場合に発光時間に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応して一定の電圧をパルス幅変調した複数のパルス幅変調電圧を生成する電圧発生手段と、前記複数のパルス幅変調電圧を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する電圧選択手段とを備え、前記変更手段は、前記信号選択手段の選択を制御することが好ましい。この場合には、パルス幅を光量に重みを割り当てる要素とする。
【0016】
次に、本発明に係る画像形成装置は、上述した発光装置と、前記複数の出光部の各々からの出射光によって像が形成される像担持体とを備えたことを特徴とする。この発明よれば、発光装置の寿命を伸ばすことができるので、ひいては画像形成装置の寿命を伸ばすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照しながら本発明の様々な実施の形態を説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付す。
<1.第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る発光装置を利用した画像印刷装置の一部の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、この画像印刷装置は、発光装置10と集光性レンズアレイ15と感光体ドラム110とを有する。発光装置10は、アレイ状に配列された多数の発光素子を有する。これらの発光素子は、用紙などの記録材に印刷されるべき画像に応じて選択的に発光する。集光性レンズアレイ15は、発光装置10と感光体ドラム110との間に配置される。この集光性レンズアレイ15は、各々の光軸を発光装置10に向けた姿勢でアレイ状に配列された多数の屈折率分布型レンズを含む。このような集光性レンズアレイ15としては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。発光装置10の各発光素子から発せられた光は集光性レンズアレイ15の各屈折率分布型レンズを透過して感光体ドラム110の表面に到達する。この露光によって感光体ドラム110の表面には所望の画像に応じた潜像が形成される。
【0018】
図2に、発光装置10の発光素子の配置を模式的に示す。本実施形態では、発光素子として有機ELダイオード(OLED素子)400を用いる。OLED素子400は、主走査方向X(感光体ドラム110の回転軸方向)と平行な10本のラインL1〜L10に配置されている。また、副走査方向Yに平行なm列に配置されている。ここで、奇数ラインL1、L3、…L9のOLED素子400と偶数ラインL2、L4、…L10のOLED素子400とは、千鳥状に配置されている。これにより、解像度を高めることが可能となる。以下の説明においては、奇数ラインL1、L3、…L9を奇数ライン群Aと称し、偶数ラインL2、L4、…L10を偶数ライン群Bと称する。
【0019】
図3は、画像印刷装置の断面を模式的に示したものであり、図4は多重露光の概要を示したものである。図3において奇数ライン群Aから照射される光を実線で、偶数ライン群Bから照射される光を点線で表す。本実施形態では、感光体ドラム110の回転速度と複数の発光素子の各々が発光する時刻が同期している。図4に示すOLED素子400-1〜400-5は、奇数ライン群Aのある列に配置されている。これらのOLED素子400-1〜400-5を用いて、感光体ドラム110の単位描画領域Qにドット像を形成する。後述するようにOLED素子400-1〜400-5には重み付けがなされている。全てのOLED素子400-1〜400-5の光量の総和を「1」とすれば、OLED素子400-1〜400-5の光量は、1/31:2/31:4/31:8/31:16/31である。即ち、OLED素子400-1〜400-5の光量には、1:2:4:8:16の重みが割り当てられている。この場合、「0」から「31」までの32階調を刻むことができる。なお、光量は、発光パワーと時間の積で与えられる。
【0020】
図4に示す例では、単位描画領域Qに19階調の像を形成する。時刻t1において、OLED素子400-1の真下に単位描画領域Qが来ると、OLED素子400-1が発光して単位描画領域Qのドット像の階調が「1」となる。この後、感光体ドラム110が回転して、OLED素子400-2が階調「2」に相当する光量で発光すると(時刻t2)、単位描画領域Qのドット像の階調が「3」となる。時刻t3及び時刻t4では、OLED素子400-3及び400-4は発光しない。さらに、感光体ドラム110が回転して、時刻t5に至ると、OLED素子400-5が階調「16」に相当する光量で発光する。これにより、単位描画領域Qのドット像の階調が「19」となる。このように、本実施形態では、多重露光によって感光体ドラム110に潜像を形成している。
【0021】
感光体ドラム110は、後述する画像印刷装置において、帯電器により予め帯電されている。そして、発光装置10による露光により、均一に帯電された感光体ドラム110の面が選択的に除電され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器から供給されるトナーで現像され、そのトナー像が転写器で用紙に転写される。帯電された感光体ドラム110の除電量、すなわち、露光量は、各発光素子P1〜P5の発光量の和によって決定される。そして、露光量に対する除電量の変化は、感光体ドラム9に対する帯電量などによって変わるものの、これらを予め調整しておけば、露光量によって決定される。本実施形態では、露光量の最小値(階調「0」)から最大値(階調「31」)までの範囲で除電量が直線的に変化するように感光体ドラム110の感度が調整される。
【0022】
図5に、発光装置10とその周辺回路の電気的構成を示す。この例では、図5に示す構成のうち、制御回路11が発光装置10の周辺回路である。発光装置10は、データ線駆動回路20、電圧発生回路30、電圧選択回路31、および発光領域AAを備える。これらの電気的構成は、基板にTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等を形成することによって構成される。発光領域AAには上述したOLED素子400を含む単位回路40が千鳥状に配置されている。また、発光領域AAには5本で1組のデータ線21と、5組の電源線41A〜45Bが形成されている。電源線41A、42A、43A、44A、及び45Aは、上述した奇数ライン群Aの単位回路40に接続される一方、電源線41B、42B、43B、44B、及び45Bは、上述した偶数ライン群Bの単位回路40に接続される。さらに、電源線41A及び41Bは接続点41Wで、電源線42A及び42Bは接続点42Wで、電源線43A及び43Bは接続点43Wで、電源線44A及び44Bは接続点44Wで、電源線45A及び45Bは接続点45Wで各々接続されている。
【0023】
図6に、発光領域AAの左上隅に位置する単位回路40の回路図を示す。なお、他の単位回路40も同様に構成されている。この例の単位回路40は電源線41Aとグランドとの間にOLED素子400とトランジスタ410が直列に接続されて構成される。OLED素子400は、陽極、正孔注入層、発光層、及び陰極を積層した構造を有する。陽極および陰極は、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性を有する導電性の材料によって形成することが好ましい。発光層は、有機EL材料からなる膜体であり、陽極および陰極によって付与される電気エネルギに応じて発光する。なお、OLED素子の積層構造は、例えば、陰極と発光層との間に電子注入層や電子輸送層が介挿された構成や、陽極と発光層との間に正孔輸送層が介挿された構成であってもよい。
【0024】
トランジスタ410は、例えばNチャネル型MOS(金属酸化膜半導体)トランジスタであり、TFTで構成される。トランジスタ410は、本実施形態においてOLED素子400を駆動する駆動トランジスタとして機能する。駆動トランジスタ410のゲートはデータ線21と接続され、そのドレインは電源線41Aと接続され、そのソースはOLED素子400の陽極と接続される。ここで、駆動トランジスタ410のゲートにはオン・オフを指定するデータ信号がデータ線21を介して供給される。データ信号がハイレベルのとき駆動トランジスタ410はオンするが、このときのOLED素子400の光量は、電源線41から供給される電圧に依存する。つまり、この単位回路40は、いわゆる電圧駆動型のものであり、OLED素子400の陽極に電圧信号(駆動信号)を供給することによりOLED素子400を駆動する。なお、上述したことから明らかなように、駆動トランジスタ410は、OLED素子400の駆動を制御する制御トランジスタとしても機能する。
【0025】
説明を図5に戻す。データ線駆動回路20は、5ビットの入力画像データDinに基づいて、単位回路40に供給するデータ信号を各々生成し、各データ信号をデータ線21を介して単位回路40に供給する。電圧発生回路30は複数の定電圧源を備え、電圧V0、V1、V2、V3、及びV4を生成する。ここで、1列の単位回路40によって感光体ドラム110に与えることができる最大光量をLmaxとしたとき、電圧V0〜V4は、単位回路40に供給した場合、Lmax/31、2Lmax/31、4Lmax/31、8Lmax/31、16Lmax/31に相当する光量をOLED素子400が発光するように選定されている。換言すれば、多重露光に寄与するOLED素子400の数をn個としたとき、各OLED素子400の光量比が、1/(2n−1):2/(2n−1):4/(2n−1):…:2(n−1)/(2n−1)となるように、電圧V0、V1、…Vn-1を設定する。つまり、光量比が2の累乗となるように設定する。
【0026】
電圧選択回路31は制御信号CTLに基づいて、電圧V0〜V4を選択して接続点41W〜45Wに供給する。制御信号CTLは状態X0〜X4を指示し、電圧選択回路31は、後述する図9に示すように、状態X0〜X4に応じて電圧V0〜V4を出力することにより、ラインL1〜L10に対して重み付けを行う。例えば、状態X0の場合、電圧V0が接続点41Wに供給されラインL1及びL2の重みが「1」となる。また、電圧V1が接続点42Wに供給されラインL3及びL4の重みが「2」となる。また、電圧V2が接続点43Wに供給されラインL5及びL6の重みが「4」となる。また、電圧V3が接続点44Wに供給されラインL7及びL8の重みが「8」となる。また、電圧V4が接続点45Wに供給されラインL9及びL10の重みが「16」となる。すなわち、奇数ライン群Aに対する重み付けは、各ラインL1、L3、L5、L7及びL9の重みの比が1:2:4:8:16になるように行われ、偶数ライン群Bに対する重み付けは、各ラインL2、L4、L6、L8及びL10の重みの比が1:2:4:8:16になるように行われる。
【0027】
OLED素子400の寿命や経時変化の特性は、駆動電流の値と時間の積に応じて定まる。このため、仮に、ラインL1〜L10に対する重み付けを固定とすると、重みが最も大きいラインに属するOLED素子400の寿命が最も早く尽きる。また、OLED素子400は交換することができない。したがって、OLED素子400が1つでも寿命を迎えると発光装置10の寿命も尽きる。よって、重み付けを固定とすると、発光装置10の寿命は、重みが最も大きいラインに属するOLED素子400によって制約されてしまう。また、発光輝度の経時変化が重みによって異なるので、時間が経過するにつれ正確に階調を刻むことが困難になる。そこで、本実施形態では、ラインL1〜L10に対する重み付けを所定周期で変更している。具体的には、制御回路11は、所定周期で状態X0〜X4が変化するように制御信号CTLを生成する。これにより、発光装置10の寿命を伸ばすことできる共に、時間が経過しても正確に階調を刻むことが可能となる。また、本実施形態では、各ラインに割り当てる光量比(光量の重み)が2の累乗となるように設定する。各ラインの光量比を変更した場合には、それに伴って、単位回路40に供給するデータ信号を変更する必要がある。データ信号は後述するように2値で与えられるから、光量比を2の累乗となるように設定することによって、画像データの各ビットの並べ替えるだけでデータ信号の出力先を変更することができる。
【0028】
データ線駆動回路20は、入力画像データDinに基づいて、OLED素子400のオン・オフを指示するデータ信号を生成し、各データ線21に出力する。入力画像データDinはd0、d1、…、d4の5ビットの信号である。
図7にデータ線駆動回路20のブロック図を示す。並び替え回路210は、制御信号CTLの状態X0〜X4に基づいて、入力画像データDinの各ビットの並べ替えを実行して並び替え画像データDaを出力する。発光領域AAに配置される1列の5個のOLED素子400は、電圧V0〜V4によって1:2:4:8:16に重み付けされている。各OLED素子400の重みは、5ビットのデータの各ビットに対応している。このため、接続点41W〜45Wに供給される電圧V0〜V4が周期的に変更されると、これに応じて各単位回路40に供給するデータ信号に対する重み付けを変更する必要がある。並び替え回路210は、ラインL1〜L10に対する重み付けの変更に応じて、データ信号に対する重み付けを変更するために用いられる。
【0029】
図8に制御信号CTLの示す状態X0〜X4とビット変換及び電圧選択との関係を示す。奇数ライン群Aに着目すると、状態X0ではラインL1、L3、L5、L7、及びL9に電圧V0、V1、V2、V3、及びV4が各々供給される。このとき、ラインL1、L3、L5、L7、及びL9にビットb0、b1、b2、b3、及びb4が供給される。また、状態X1ではラインL1、L3、L5、L7、及びL9に電圧V4、V0、V1、V2、及びV3が各々供給される。このとき、ラインL1、L3、L5、L7、及びL9にビットb4、b0、b1、b2、及びb3、が供給される。例えば、ラインL3に着目すると、状態X0では重み「2」に対応する電圧V1及びビットb1が供給され、状態X1では重み「1」に対応する電圧V0及びビットb0が供給される。すなわち、重み付けに応じて単位回路40に供給される電圧とビットデータが定まる。
【0030】
図9に、制御信号CTLの内容を示す。制御信号CTLは、所定周期で状態をX0→X1→X2→X3→X4の順に変化させる。これにより、各OLED素子400に供給される電圧が所定周期で変化するので、長い時間で見たとき各OLED素子400に流れる駆動電流と時間の積を一定にすることができる。この結果、発光装置10の寿命を大幅に伸ばすことが可能となる。
【0031】
説明を図7に戻す。ラッチ回路220は並び替え画像データDaをクロック信号CKでラッチして5ビットの画像データDbを出力する。画像データDbの各ビットd0、d1、…d4は、遅延ユニット230に供給される。遅延ユニット230は10個の遅延回路231を備え、各遅延回路231は、入力信号をクロック信号CKの1周期の時間遅延して出力する。この結果、クロック信号CKの1周期をTdとしたとき、画像データDbのビットデータd0’、d1’、d2’、…d4’は、遅延時間「0」、「Td」、「2Td」、…「4Td」だけ遅れて遅延ユニット230から画像データDcとして出力される。遅延ユニット230に供給される画像データDaは一つの描画領域Qの階調を示している。しかし、本実施形態においては、図に示すように5個のOLED素子400-1〜400-5を所定の時間間隔で発光させることによって、一つの描画領域Qに階調を刻む。このため、各OLED素子400-1〜400-5に供給されるビットデータは、感光体ドラム110が距離2Wだけ進む時間だけずれる必要がある。遅延ユニット230は、ビットデータに時間のずれを与える。ここで、遅延回路231の遅延時間Tdは、感光体ドラム110が距離2Wだけ進む時間と一致する。この例の遅延回路231は、例えば、クロック信号CKによって動作するDフリップフロップによって構成される。
【0032】
次に、シフトレジスタ240は、主走査期間の開始でアクティブとなる開始パルスSPをクロック信号CK2に従って順次シフトして、m個のサンプリングパルスS1、S2、…Smを順次生成する。画像データDcはデータ供給線La〜Ldに供給される。各サンプリング回路250は、サンプリングパルスS1〜Smに従って画像データDaを各々サンプリングして、ラッチ回路260及び270に供給する。ラッチ回路260は、奇数ライン群Aに対応するものであり、ラッチ回路270は偶数ライン群Bに対応するものである。ラッチ回路260及び270はラッチパルスLPでサンプリング回路250の出力データをラッチする。ラッチ回路260及び270にはイネーブル信号ENが供給される。ラッチ回路260及び270はイネーブル信号ENがアクティブである期間にラッチしたデータを出力する一方、非アクティブの期間にはLレベルを出力する。
【0033】
図10、及び図11に、データ線駆動回路230のタイミングチャートを示す。この例では、ラッチ回路220から出力される画像データDbに添え字[a]を付して、画像データDbを構成するデータ列を表すものとする。例えば、画像データDb[n]は、時刻nにおける5ビットのデータ列を表している。画像データDbは遅延ユニット230に供給されることによって、各ビットd0〜d4が遅延され、画像データDcとして出力される。例えば、時刻nにおける画像データDb[n]に着目すると、画像データDb[n]を構成する各ビットデータd0[n]、d1[n]、…d4[n]は、図10に太線で示すように順次、遅延時間Tdだけ遅れて、ビットデータd1’、d2’、…d4’として出力される。この場合、一点鎖線で囲った時刻nの画像データDcは、d0[n]、d1[n-1]、d2[n-2]、d3[n-3]、及びd4[n-4]で構成される。
【0034】
サンプリングパルスS1、…、Sn、Sn+1、…、Sn+4、…Smは、アクティブ期間(Hレベル)がクロック信号CKの1周期だけ順次ずれたものとなる。これらのサンプリングパルスS1〜Smによって画像データDcが順次サンプリングされ、更に、ラッチ回路260及び270によってサンプリングされたデータがラッチパルスLPによってラッチされる。これにより、ラッチ回路260及び270からは、線順次のデータが出力される。加えて、イネーブル信号ENがアクティブである期間にラッチ回路260及び270はラッチしたデータを出力するのでラッチ回路260のデータ信号DAとラッチ回路260のデータ信号DBは同時にアクティブとなる。
【0035】
上述した発光装置10によって、600ドット/インチの線画像を形成する場合を想定する。この場合、奇数ライン群A又は偶数ライン群Bの各々は、一本間隔で間引いた300ドット/インチの線画像を描画する。感光体ドラム110上の1ドットは、1、3、5、7、9のラインまたは2、4、6、8、10のラインで書き込まれるので、最大感光量はこれらの5本のライン画素すべてで書き込まれた場合である。すなわち1/31+2/31+4/31+8/31+16/31=1であり、1画素での最大パワーで書き込まれた時の感光体上での感光量に等しくなる。上述したように、この最大感光量をもとに、OLED素子400の光パワーが決定される。例えば、通常の感光体感度は0.2μJ/cm2程度とし、集光性レンズアレイ15での透過率を6%とすれば、3.33μJ/cm2を1個のOLED素子400での最大パワーとすればよい。従って、この例では、5本のライン上の各OLED素子400のパワーは、0.11(3.33/31)、0.215(3.33*2/31)、0.43(3.33*4/31)、0.89(3.33*8/31)、1.72(3.33*16/31)μJ/Wとなる。この方式によれば、どのOLED素子400も画素内輝度は1ラインヘッドで描画する場合の半分以下になるため、寿命を伸ばすことができる。
【0036】
また、1ライン当たりの階調はON−OFF(2値)であり、主走査方向Xの走査信号は階調が2値である為に、印字スピードが、例えば40ppmである場合には、印刷1枚当たり1.5秒掛かる。A4用紙縦で印刷する場合、副走査方向Yに7100ライン描画することになる。従って、1ライン走査する時間は210μ秒である。2値表示であれば、クロック周波数4.76KHz(データ周波数2.4KHz)でも良いことになる。このため、従来の1ヘッドラインあたりの高周波駆動に比べれば、飛躍的にクロック信号CKの周波数を下げることができる。一般に、TFTは10KHzで動作するので、本実施形態によれば、TFTを用いて確実に動作させることが可能となる。
【0037】
<2.第2実施形態>
図12に、第2実施形態に係る発光装置50とその周辺回路の電気的構成を示す。この発光装置50は、いわゆる電流駆動型の単位回路を備えたものであり、OLED素子400の陽極に電流信号(駆動信号)を供給することによりOLED素子400を駆動する。発光装置50を利用した画像印刷装置の構成は、発光装置10を利用した画像印刷装置と同様である。つまり、図1において、発光装置10に代えて発光装置50を配置した構成となっている。発光装置50は、電圧発生回路30、電圧選択回路31及び単位回路40に代えて基準電圧発生回路51、電流選択回路52及び単位回路53を有する。
【0038】
図13に、発光領域AAの左隅部分に位置する単位回路53の回路図を示す。ただし、偶数ライン群Bに関する回路要素については図示を略す。この図に示すように、各単位回路53には、電流選択回路52からの電源線とデータ線駆動回路20からのデータ線のみならず、一定の電圧を供給する定電圧電源線54が接続されている。この図において、上隅の単位回路53の構成が示されている。以降、左上隅の単位回路53に着目し、単位回路53の構成について説明する。なお、他の単位回路53も同様に構成されている。
【0039】
左上隅の単位回路53は、電源線41Aとグランドとの間にOLED素子400とトランジスタ410とトランジスタ420が直列に接続されて構成される。トランジスタ410は、本実施形態においてOLED素子400の駆動を制御する制御トランジスタとして機能する。トランジスタ420は、例えばPチャネル型MOSトランジスタであり、本実施形態においてOLED素子400を駆動する駆動トランジスタとして機能する。
【0040】
駆動トランジスタ420のゲートは電源線41Aと接続され、そのソースは定電圧電源線54と接続され、そのドレインは制御トランジスタ410のドレインと接続される。駆動トランジスタ420のドレインから出力される電流は、駆動トランジスタ420のゲート−ソース間の電位差に応じたものとなる。ここで、駆動トランジスタ420のソースに供給される電圧は一定であるから、電源線41Aから供給される電圧に応じた電流がそのドレインから出力されることになる。
【0041】
制御トランジスタ410のゲートはデータ線21と接続され、そのドレインは駆動トランジスタ420のドレインと接続され、そのソースはOLED素子400の陽極と接続される。制御トランジスタ410のゲートにはオン・オフを指定するデータ信号がデータ線21を介して供給される。データ信号がハイレベルのとき制御トランジスタ410はオンするが、このときのOLED素子400の光量は、駆動トランジスタ420のドレインから出力されて制御トランジスタ410のドレインに入力される電流に依存する。すなわち、電源線41Aから供給される電圧に依存する。
【0042】
説明を図12に戻す。基準電圧発生回路51は複数の定電圧源を備え、基準電圧Vref0、Vref1、Vref2、Vref3、及びVref4を生成する。ここで、1列の単位回路53によって感光体ドラム110に与えることができる最大光量をLmaxとしたとき、基準電圧Vref0〜Vref4は、単位回路53に供給した場合、Lmax/31、2Lmax/31、4Lmax/31、8Lmax/31、16Lmax/31に相当する光量をOLED素子400が発光するように選定されている。換言すれば、多重露光に寄与するOLED素子400の数をn個としたとき、各OLED素子400の光量比が、1/(2n−1):2/(2n−1):4/(2n−1):…:2(n−1)/(2n−1)となるように、基準電圧Vref0、Vref1、…Vrefn-1を設定する。
【0043】
電流選択回路52は制御信号CTLに基づいて、基準電圧Vref0〜Vref4を選択して接続点41W〜45Wに供給する。つまり、ラインL1〜L10に対して重み付けを行う。各単位回路53では、当該単位回路53に接続しているラインの重み(電圧値)と定電圧電源線54から供給される定電圧との差に応じた電流がOLED素子400に供給される。つまり、単位回路53は重み付けされており、各単位回路53の重み(電流値)は接続しているラインの重み(電圧値)に応じたものとなる。OLED素子400からの光量は上記の電流に応じたものとなり、上記の光量比が実現される。
【0044】
<3.第3実施形態>
図14に、本実施形態に係る発光装置60とその周辺回路の電気的構成を示す。この発光装置60は発光装置10と同じく電圧駆動型の単位回路40を備えたものであり、パルス幅変調された電圧信号(駆動信号)によりOELD素子400を駆動することによってOLED素子400の発光時間を制御する点に特徴がある。発光装置60を利用した画像印刷装置の構成は、発光装置10を利用した画像印刷装置と同様である。
【0045】
発光装置60は、電圧発生回路30及び電圧選択回路31に代えてPWM制御信号発生回路61及びPWM制御信号選択回路62を有する。また、発光装置60において、接続点41W〜45W及び電源線41A〜45Bは存在せず、奇数ラインL1、L3、…L9の単位回路40はライン毎に電源線71A、72A、…75Aに接続されており、偶数ラインL2、L4、…L10の単位回路40はライン毎に電源線71B、72B、…75Bに接続されている。電源線71A〜75Bの各々にはスイッチ71S〜75Sが介挿されており、スイッチがオンの電源線に接続された単回路40のみに電圧VELが供給されるようなっている。スイッチ71S〜75Sのオン・オフは、PWM制御信号選択回路62により制御される。
【0046】
PWM制御信号発生回路61は定電圧源を備え、オン・オフを指定するPWM制御信号P0〜P4を生成する。PWM制御信号P0〜P4は、OLED素子400の駆動を制御するために用いられる同一周期のパルス信号であり、その生成方法は任意である。例えば、PWM制御信号発生回路61がクロック信号CKを入力して加工し、加工後のクロック信号を用いて生成するようにしてもよいし、PWM制御信号発生回路61がクロック信号CKに同期する他の信号を入力し、この信号を用いて生成するようにしてもよい。
【0047】
図15はPWM制御信号P0〜P4の波形の一例を示す図である。この図に示すように、PWM制御信号P0〜P4の周期はクロック信号CKの周期(Td)と同一であり、各々のパルス幅、すなわちデューティ比は相互に異なる。この図の例では、PWM制御信号P0のパルス幅はTd/31、PWM制御信号P1のパルス幅は2Td/31、PWM制御信号P2のパルス幅は4Td/31、PWM制御信号P3のパルス幅は8Td/31、PWM制御信号P4のパルス幅は16Td/31となっている。
【0048】
PWM制御信号P0〜P4のパルス幅は、1列の単位回路40によって感光体ドラム110に与えることができる最大光量をLmaxとしたとき、PWM制御信号P0〜P4を単位回路40に供給した場合、Lmax/31、2Lmax/31、4Lmax/31、8Lmax/31、16Lmax/31に相当する光量をOLED素子400が発光するように選定されている。換言すれば、多重露光に寄与するOLED素子400の数をn個としたとき、各OLED素子400の光量比が、1/(2n−1):2/(2n−1):4/(2n−1):…:2(n−1)/(2n−1)となるように、PWM制御信号P0〜P4を設定する。
【0049】
説明を図14に戻す。PWM制御信号選択回路62は、制御信号CTLに基づいて、PWM制御信号P0〜P4を選択してスイッチ71S〜75Sに供給する。スイッチ71S〜75Sの各々は、供給されたPWM制御信号がハイレベルの間だけオンとなる。スイッチがオンになれば、当該スイッチが接続されている電源線に電圧VELが供給される。例えば、スイッチ71SにPWM制御信号P0が供給された場合、電圧VELは、クロック信号CKの1周期においてはPWM制御信号P0のパルス幅(Td/31)の期間だけ、電源線71A及び71Bに接続されている単位回路40に供給される。つまり、PWM制御信号選択回路62は、PWM制御信号P0〜P4を選択して供給することにより電源線71A〜75Bに対して重み付けを行っている。
【0050】
各単位回路53では、当該単位回路53に接続している電源線の重み(時間)の分だけ、電圧VELがOLED素子400に供給される。つまり、単位回路53に対して、電源線71A〜75Bに対する重み付けと同じ重み付けが行われる。よって、OLED素子400からの光量は単位回路53の重み(時間)に応じたものとなり、上記の光量比が実現される。
【0051】
<4.第4実施形態>
図16に、本実施形態に係る発光装置80とその周辺回路の電気的構成を示す。発光装置80を利用した画像印刷装置の構成は、発光装置10を利用した画像印刷装置と同様である。発光装置80は発光装置60を変形して得られるものであり、単位回路40に代えて単位回路81を有する。詳しくは後述するが、単位回路81は、単位回路40内にスイッチを取り込んだ構成となっている。
【0052】
全ての単位回路81には定電圧電源線82が接続されており、定電圧電源線82を介して電圧VELが供給される。また、第1実施形態における電源線41A〜45Bに代えて制御線91A〜95Bが設けられている。制御線91A〜95Bは電源線41A〜45Bと異なり、例えばnチャネル型MOSトランジスタをオン・オフ可能な信号を供給できればよい。PWM制御信号選択回路62は制御信号CTLに基づいて、PWM制御信号P0〜P4を選択して接続点41W〜45Wに供給する。各接続点に供給されたPWM制御信号は、対応する2本の制御線に供給される。例えば、接続点41Wに供給されたPWM制御信号は、制御線91Aおよび制御線91Bに供給される。
【0053】
図17に、単位回路81の発光領域AAの左上隅に位置する単位回路81の回路図を示す。なお、他の単位回路81も同様に構成されている。この例の単位回路81は定電圧電源線81とグランドとの間にOLED素子400とトランジスタ410とトランジスタ430が直列に接続されて構成される。トランジスタ410は、本実施形態においてOLED素子400の駆動を制御する制御トランジスタとして機能する。トランジスタ430は、例えばnチャネル型MOSトランジスタであり、本実施形態においてOLED素子400を駆動する駆動トランジスタとして機能する。
【0054】
駆動トランジスタ430のゲートにはPWM制御信号(パルス信号)が制御線91Aを介して供給され、そのドレインは定電圧電源線82と接続され、そのソースは制御トランジスタ410のドレインと接続される。PWM制御信号がハイレベルのとき駆動トランジスタ430はオンし、そのソースから制御トランジスタ410のドレインに電圧VELが供給される。つまり、制御トランジスタ410を駆動トランジスタとして捉えると、駆動トランジスタ430は発光装置60におけるスイッチとして機能することになる。
【0055】
<5.変形例>
(1)上述した各実施形態では、OLED素子400を用いた発光装置10、50、60及び80を例示したが、これに限るものではない。例えば、駆動信号を受けて発光する任意の発光素子を用いてもよい。このような発光素子としては、無機EL素子を例示することができる。また、LED(Light Emitting Diode)を発光層として採用することもできる。すなわち、本発明における発光素子は、電気エネルギの付与によって発光する材料によって構成されれば足りる。また例えば、駆動信号を受けて光を出射する出光素子(出光部)を用いるようにしてもよい。このような出光素子としては、液晶素子等のライトバルブ素子を例示することができる。
【0056】
(2)上述した各実施形態では、OLED素子400の光量の割り当てを、所定周期で循環するように状態X0〜状態X4を設定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ランダムに光量の割り当てを変更し、これに合わせて、各ラインに供給する書き込みデータを入れ替えてもよい。要は、ある期間で見た場合、すべてのライン間で光量が平均されていれば良い。また、光量の割り当ておよび書き込みデータを入れ替えは、所定時間ごとに実行すればよく、例えば、所定数の用紙を印刷するたびに入れ替えてもよい。
【0057】
(3)上述した第3及び第4実施形態では、パルス幅変調された駆動信号によりOLED素子400を駆動する発光装置として、電圧駆動型の単位回路を備えた発光装置(発光装置60及び80)を例示したが、これに限るものではない。例えば、電流駆動型の単位回路を備えた発光装置を変形し、パルス幅変調された駆動信号(電流信号)によりOLED素子400を駆動するようにしてもよい。
【0058】
(4)また、第1実施形態においては駆動電圧によってOLED素子400の光量を割り当て、第3および第4実施形態ではパルス幅変調によってOLED素子400の光量を割り当たが、これらを組み合わせて光量を割り当ててもよい。また、第2実施形態においては駆動電流によってOLED素子の光量を割り当てたが、これと第3および第4実施形態のパルス幅変調を組み合わせてOLED素子400に光量を割り当ててもよい。
【0059】
<6.画像印刷装置>
図1に示したように、以上の各態様に係る発光装置10は、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして利用され得る。画像印刷装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。図18は、発光装置10をライン型の光ヘッドとして用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像印刷装置である。
【0060】
この画像印刷装置では、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C,10M,10Yは、以上に例示した何れかの態様に係る発光装置10である。
【0061】
図18に示すように、この画像印刷装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122とが設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0062】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0063】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数の発光素子400の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数の発光素子30によって感光体ドラムに光を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0064】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0065】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0066】
次に、本発明に係る画像印刷装置の他の実施の形態について説明する。
図19は、発光装置10をライン型の光ヘッドとして用いた他の画像印刷装置の縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像印刷装置である。図19に示す画像印刷装置において、感光体ドラム165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、有機ELアレイ露光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。
【0067】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。有機ELアレイ露光ヘッド167は、以上に例示した各態様の発光装置10であり、複数の発光素子30の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子30から感光体ドラム165に光を照射することにより行う。
【0068】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0069】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0070】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム165が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0071】
画像印刷装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0072】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0073】
図18および図19に例示した画像印刷装置は、発光素子400を露光手段として利用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像印刷装置にも本発明の発光装置を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像印刷装置や、モノクロの画像を形成する画像印刷装置にも本発明に係る発光装置を応用することが可能である。
【0074】
また、本発明に係る発光装置が適用される画像形成装置は画像印刷装置に限定されない。例えば、各種の電子機器における照明装置としても本発明の発光装置が採用される。このような電子機器としては、ファクシミリ、複写機、複合機、プリンタなどが挙げられる。これらの電子機器には、複数の発光素子を面状に配列した発光装置が好適に採用される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る発光装置を利用した画像印刷装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図2】OLED素子の配置を模式的に示す説明図である。
【図3】画像印刷装置の断面を模式的に示した説明図である。
【図4】多重露光の概要を示した説明図である。
【図5】第1実施形態に係る発光装置10とその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図6】同装置に用いられる単位回路40の回路図である。
【図7】同装置に用いられるデータ線駆動回路のブロック図である。
【図8】同装置の制御信号と並べ替え回路及び電圧選択回路の関係を示す説明図である。
【図9】同装置の制御信号の構成を示す説明図である。
【図10】同装置に用いられるデータ線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】同装置に用いられるデータ線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】第2実施形態に係る発光装置50とその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図13】同装置に用いられる発光領域AAの左隅部分に位置する単位回路53の回路図である。
【図14】第3実施形態に係る発光装置60とその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図15】PWM制御信号P0〜P4の波形の一例を示す波形図である。
【図16】第4実施形態に係る発光装置80とその周辺回路の構成を示すブロック図である。変形例3に係る他の発光装置のうち反射層の凹面の形状を示す斜視図である。
【図17】単位回路81の発光領域AAの左上隅に位置する単位回路81の回路図である。
【図18】本発明に係る発光装置を利用した画像印刷装置の構成を示す縦断面図である。
【図19】本発明に係る発光装置を利用した他の画像印刷装置の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0076】
10,50,60,80……発光装置、15……集光性レンズアレイ、20……データ線駆動回路、40……単位回路(出光部)、400……OLED素子、30……電圧発生回路、31……電圧選択回路、51……基準電圧発生回路、52……電流選択回路。110……感光体ドラム、210……並べ替え回路、A……奇数ライン群、B……偶数ライン群、V0〜V1……電圧、Vref0〜Vref1……基準電圧、
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(ElectroLuminescent)材料などの発光材料を利用した発光装置、及びこの発光装置を利用した画像形成装置ならびに露光方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置としてのプリンタには、感光体ドラムなどの像担持体に静電潜像を形成するためのヘッド部として、多数の発光素子がアレイ状に配列された発光装置が用いられる。ヘッド部は、複数の発光素子を主走査方向に沿って配置した1本のラインで構成されることが多いが、ラインを副走査方向に複数配置したマルチラインタイプのものも知られている。マルチラインタイプのヘッド部では、副走査方向に沿った列に配置された複数の発光素子が感光体ドラムの回転と同期して発光することによって、感光体ドラムの所定位置に多重露光を行って一つの像を形成することがある。このような場合、各発光素子の光量に重みが割り当てられてられることがある(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−77188号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、各発光素子の寿命は、光量と時間の積に依存する。即ち、同じ時間だけ発光させた場合には、光量が大きい程、発光素子の寿命が短くなる。従って、大きな重みが割り当てられた発光素子の寿命は、小さな重みが割り当てられた発光素子の寿命よりも短くなる。
この結果、ヘッド部の寿命が大きな重みが割り当てられた発光素子の寿命によって定ってしまうといった問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発光装置の寿命を延ばすという課題の解決を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するために、本発明に係る露光方法は、一列に配置された複数の出光部の各々からの出射光を像担持体の所定位置に順に照射することによって前記所定位置に画像データの示す階調に応じた像を多重露光する方法であって、前記複数の出光部の各々について前記出射光の光量に重みを割り当て、前記複数の出光部の各々に割り当てられた光量の重みと前記画像データに基づいて、前記複数の出光部の各々から光を出光するか否かを指定する複数のデータ信号をそれぞれ生成して、各データ信号を前記複数の出光部にそれぞれ供給し、所定の規則に従って、前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更することを特徴とする。
【0005】
この露光方法によれば、複数の出光部からの出射光によって多重露光がなされる。各出光部に割り当てられた光量の重みを固定にすると、重みが最も大きい出光部の負荷が過大となる。つまり、重みに応じて各出光部の負荷が相違する。一般に、出光部の寿命は負荷に応じて定まるので、重みが最も大きい出光部の寿命が最も短くなる。この場合、他の出光部は正常に動作しても発光装置全体の寿命は、重みが最大の発光部によって制約される。この発明によれば、出射光の光量の重みの割り当てを変更するので、発光装置の寿命を大幅に伸ばすことができる。また、光量の重みの割り当ての変更に応じて複数のデータ信号の供給先である複数の出光部を変更するので、正しく、階調を刻むことができる。
【0006】
ここで、前記複数の出光部の各々に割り当てる光量の重みを、2の累乗の比となるように設定し、前記複数のデータ信号を前記画像データの各ビットデータと対応するように生成し、前記記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部の変更を、前記画像データの各ビットデータを並べ替えることが好ましい。画像データの各ビットデータには2の累乗の重みが割り当てられているところ、光量の割り当てを2の累乗とすることによって、データ信号の出力先の変更を画像データを構成する各ビットデータの並べ替えで行うことができる。これにより、光量の変更に伴う出力先を変更する処理を簡易に実行することができる。
【0007】
上述した露光方法において、前記出光部は、電圧に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子に供給する前記電圧を前記出射光の光量に重みに応じて設定することが好ましい。この場合には、電圧に応じて発光素子の光量が定まるところ、この電圧を重みに応じて設定するので、重みに応じた光量を割り当てることができる。
【0008】
また、上述した露光方法において、前記出光部は、電流に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子に供給する前記電流を前記出射光の光量に重みに応じて設定することが好ましい。この場合には、電流に応じて発光素子の光量が定まるところ、この電流を重みに応じて設定するので、重みに応じた光量を割り当てることができる。
【0009】
また、上述した露光方法において、前記出光部は、発光時間に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子の前記発光時間を前記出射光の光量に重みに応じて設定することが好ましい。この場合には、発光時間に応じて発光素子の光量が定まるところ、この発光時間を重みに応じて設定するので、重みに応じた光量を割り当てることができる。
【0010】
次に、本発明に係る発光装置は、一列に配置された複数の出光部の各々からの出射光を像担持体の所定位置に順に照射することによって前記所定位置に画像データの示す階調に応じた像を多重露光する装置であって、前記複数の出光部の各々について前記出射光の光量に重みを割り当てる光量設定手段と、前記複数の出光部の各々に割り当てられた光量の重みと前記画像データに基づいて、前記複数の出光部の各々から光を出光するか否かを指定する複数のデータ信号をそれぞれ生成して、各データ信号を前記複数の出光部にそれぞれ供給するデータ信号供給手段と、前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更する変更手段とを備える。この発明によれば、出射光の光量の重みの割り当てを変更するので、発光装置の寿命を大幅に伸ばすことができる。また、光量の重みの割り当ての変更に応じて複数のデータ信号の供給先である複数の出光部を変更するので、正しく、階調を刻むことができる。なお、出光部は、光を射出するものであれば、いかなるものであってもよく、例えば、液晶素子のようなライトバルブも含まれ得る。
【0011】
ここで、前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々に割り当てる光量の重みを、2の累乗の比となるように設定し、前記データ信号供給手段は、前記複数のデータ信号を前記画像データの各ビットデータと対応するように生成し、前記変更手段は、記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部の変更を、前記画像データの各ビットデータを並べ替えることにより実行することが好ましい。画像データの各ビットデータには2の累乗の重みが割り当てられているところ、光量の割り当てを2の累乗とすることによって、データ信号の出力先の変更を画像データを構成する各ビットデータの並べ替えで行うことができる。これにより、光量の変更に伴う出力先を変更する構成を簡易にできる。
【0012】
また、前記変更手段は、前記複数の出光部の各々における前記出射光の光量の平均が同一となるように前記出射光の光量の重みの割り当てを変更することが好ましい。これにより、出光部の寿命をより一層、長くすることができる。
また、前記変更手段は、所定の周期で前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更することが好ましい。この場合、所定の周期とは、例えば、所定数の用紙を印刷するのに要する時間に設定してもよい。
【0013】
また、前記出光部は、電圧に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応した複数の電圧を生成する電圧発生手段と、前記複数の電圧を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する電圧選択手段とを備え、前記変更手段は、前記電圧選択手段の選択を制御することが好ましい。この場合には、発光素子は電圧で駆動されることになる。そのような発光素子としては、例えば、有機発光ダイオードや無機発光ダイオードなどの発光ダイオードが該当する。また、電圧に応じて発光素子の光量が定まるところ、この電圧を重みに応じて設定するので、重みに応じた光量を割り当てることができる。さらに、変更手段は、どの出光部にどのような重みを割り当てるかに応じてデータ信号の供給先を変更するので、正確に階調を刻むことができる。なお、実施形態の並び替え回路はデータ信号の供給先を変更する変更手段として機能する。
【0014】
また、前記出光部は、電流に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応した複数の電流を指定する電流指定信号を生成する信号発生手段と、前記複数の電流指定信号を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する信号選択手段とを備え、前記変更手段は、前記信号選択手段の選択を制御することが好ましい。この場合には、発光素子は電圧で駆動されることになる。そのような発光素子としては、例えば、有機発光ダイオードや無機発光ダイオードなどの発光ダイオードが該当する。また、実施形態の基準電圧は、発光素子に流れる電流を指定する電流指定信号として機能し、電流選択回路は、信号選択手段として機能する。
【0015】
また、前記出光部は、一定の電圧が供給された場合に発光時間に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応して一定の電圧をパルス幅変調した複数のパルス幅変調電圧を生成する電圧発生手段と、前記複数のパルス幅変調電圧を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する電圧選択手段とを備え、前記変更手段は、前記信号選択手段の選択を制御することが好ましい。この場合には、パルス幅を光量に重みを割り当てる要素とする。
【0016】
次に、本発明に係る画像形成装置は、上述した発光装置と、前記複数の出光部の各々からの出射光によって像が形成される像担持体とを備えたことを特徴とする。この発明よれば、発光装置の寿命を伸ばすことができるので、ひいては画像形成装置の寿命を伸ばすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図面を参照しながら本発明の様々な実施の形態を説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付す。
<1.第1実施形態>
図1は、本実施形態に係る発光装置を利用した画像印刷装置の一部の構成を示す斜視図である。同図に示されるように、この画像印刷装置は、発光装置10と集光性レンズアレイ15と感光体ドラム110とを有する。発光装置10は、アレイ状に配列された多数の発光素子を有する。これらの発光素子は、用紙などの記録材に印刷されるべき画像に応じて選択的に発光する。集光性レンズアレイ15は、発光装置10と感光体ドラム110との間に配置される。この集光性レンズアレイ15は、各々の光軸を発光装置10に向けた姿勢でアレイ状に配列された多数の屈折率分布型レンズを含む。このような集光性レンズアレイ15としては、例えば日本板硝子株式会社から入手可能なSLA(セルフォック・レンズ・アレイ)がある(セルフォック/SELFOCは日本板硝子株式会社の登録商標)。発光装置10の各発光素子から発せられた光は集光性レンズアレイ15の各屈折率分布型レンズを透過して感光体ドラム110の表面に到達する。この露光によって感光体ドラム110の表面には所望の画像に応じた潜像が形成される。
【0018】
図2に、発光装置10の発光素子の配置を模式的に示す。本実施形態では、発光素子として有機ELダイオード(OLED素子)400を用いる。OLED素子400は、主走査方向X(感光体ドラム110の回転軸方向)と平行な10本のラインL1〜L10に配置されている。また、副走査方向Yに平行なm列に配置されている。ここで、奇数ラインL1、L3、…L9のOLED素子400と偶数ラインL2、L4、…L10のOLED素子400とは、千鳥状に配置されている。これにより、解像度を高めることが可能となる。以下の説明においては、奇数ラインL1、L3、…L9を奇数ライン群Aと称し、偶数ラインL2、L4、…L10を偶数ライン群Bと称する。
【0019】
図3は、画像印刷装置の断面を模式的に示したものであり、図4は多重露光の概要を示したものである。図3において奇数ライン群Aから照射される光を実線で、偶数ライン群Bから照射される光を点線で表す。本実施形態では、感光体ドラム110の回転速度と複数の発光素子の各々が発光する時刻が同期している。図4に示すOLED素子400-1〜400-5は、奇数ライン群Aのある列に配置されている。これらのOLED素子400-1〜400-5を用いて、感光体ドラム110の単位描画領域Qにドット像を形成する。後述するようにOLED素子400-1〜400-5には重み付けがなされている。全てのOLED素子400-1〜400-5の光量の総和を「1」とすれば、OLED素子400-1〜400-5の光量は、1/31:2/31:4/31:8/31:16/31である。即ち、OLED素子400-1〜400-5の光量には、1:2:4:8:16の重みが割り当てられている。この場合、「0」から「31」までの32階調を刻むことができる。なお、光量は、発光パワーと時間の積で与えられる。
【0020】
図4に示す例では、単位描画領域Qに19階調の像を形成する。時刻t1において、OLED素子400-1の真下に単位描画領域Qが来ると、OLED素子400-1が発光して単位描画領域Qのドット像の階調が「1」となる。この後、感光体ドラム110が回転して、OLED素子400-2が階調「2」に相当する光量で発光すると(時刻t2)、単位描画領域Qのドット像の階調が「3」となる。時刻t3及び時刻t4では、OLED素子400-3及び400-4は発光しない。さらに、感光体ドラム110が回転して、時刻t5に至ると、OLED素子400-5が階調「16」に相当する光量で発光する。これにより、単位描画領域Qのドット像の階調が「19」となる。このように、本実施形態では、多重露光によって感光体ドラム110に潜像を形成している。
【0021】
感光体ドラム110は、後述する画像印刷装置において、帯電器により予め帯電されている。そして、発光装置10による露光により、均一に帯電された感光体ドラム110の面が選択的に除電され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器から供給されるトナーで現像され、そのトナー像が転写器で用紙に転写される。帯電された感光体ドラム110の除電量、すなわち、露光量は、各発光素子P1〜P5の発光量の和によって決定される。そして、露光量に対する除電量の変化は、感光体ドラム9に対する帯電量などによって変わるものの、これらを予め調整しておけば、露光量によって決定される。本実施形態では、露光量の最小値(階調「0」)から最大値(階調「31」)までの範囲で除電量が直線的に変化するように感光体ドラム110の感度が調整される。
【0022】
図5に、発光装置10とその周辺回路の電気的構成を示す。この例では、図5に示す構成のうち、制御回路11が発光装置10の周辺回路である。発光装置10は、データ線駆動回路20、電圧発生回路30、電圧選択回路31、および発光領域AAを備える。これらの電気的構成は、基板にTFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)等を形成することによって構成される。発光領域AAには上述したOLED素子400を含む単位回路40が千鳥状に配置されている。また、発光領域AAには5本で1組のデータ線21と、5組の電源線41A〜45Bが形成されている。電源線41A、42A、43A、44A、及び45Aは、上述した奇数ライン群Aの単位回路40に接続される一方、電源線41B、42B、43B、44B、及び45Bは、上述した偶数ライン群Bの単位回路40に接続される。さらに、電源線41A及び41Bは接続点41Wで、電源線42A及び42Bは接続点42Wで、電源線43A及び43Bは接続点43Wで、電源線44A及び44Bは接続点44Wで、電源線45A及び45Bは接続点45Wで各々接続されている。
【0023】
図6に、発光領域AAの左上隅に位置する単位回路40の回路図を示す。なお、他の単位回路40も同様に構成されている。この例の単位回路40は電源線41Aとグランドとの間にOLED素子400とトランジスタ410が直列に接続されて構成される。OLED素子400は、陽極、正孔注入層、発光層、及び陰極を積層した構造を有する。陽極および陰極は、ITO(Indium Tin Oxide)などの光透過性を有する導電性の材料によって形成することが好ましい。発光層は、有機EL材料からなる膜体であり、陽極および陰極によって付与される電気エネルギに応じて発光する。なお、OLED素子の積層構造は、例えば、陰極と発光層との間に電子注入層や電子輸送層が介挿された構成や、陽極と発光層との間に正孔輸送層が介挿された構成であってもよい。
【0024】
トランジスタ410は、例えばNチャネル型MOS(金属酸化膜半導体)トランジスタであり、TFTで構成される。トランジスタ410は、本実施形態においてOLED素子400を駆動する駆動トランジスタとして機能する。駆動トランジスタ410のゲートはデータ線21と接続され、そのドレインは電源線41Aと接続され、そのソースはOLED素子400の陽極と接続される。ここで、駆動トランジスタ410のゲートにはオン・オフを指定するデータ信号がデータ線21を介して供給される。データ信号がハイレベルのとき駆動トランジスタ410はオンするが、このときのOLED素子400の光量は、電源線41から供給される電圧に依存する。つまり、この単位回路40は、いわゆる電圧駆動型のものであり、OLED素子400の陽極に電圧信号(駆動信号)を供給することによりOLED素子400を駆動する。なお、上述したことから明らかなように、駆動トランジスタ410は、OLED素子400の駆動を制御する制御トランジスタとしても機能する。
【0025】
説明を図5に戻す。データ線駆動回路20は、5ビットの入力画像データDinに基づいて、単位回路40に供給するデータ信号を各々生成し、各データ信号をデータ線21を介して単位回路40に供給する。電圧発生回路30は複数の定電圧源を備え、電圧V0、V1、V2、V3、及びV4を生成する。ここで、1列の単位回路40によって感光体ドラム110に与えることができる最大光量をLmaxとしたとき、電圧V0〜V4は、単位回路40に供給した場合、Lmax/31、2Lmax/31、4Lmax/31、8Lmax/31、16Lmax/31に相当する光量をOLED素子400が発光するように選定されている。換言すれば、多重露光に寄与するOLED素子400の数をn個としたとき、各OLED素子400の光量比が、1/(2n−1):2/(2n−1):4/(2n−1):…:2(n−1)/(2n−1)となるように、電圧V0、V1、…Vn-1を設定する。つまり、光量比が2の累乗となるように設定する。
【0026】
電圧選択回路31は制御信号CTLに基づいて、電圧V0〜V4を選択して接続点41W〜45Wに供給する。制御信号CTLは状態X0〜X4を指示し、電圧選択回路31は、後述する図9に示すように、状態X0〜X4に応じて電圧V0〜V4を出力することにより、ラインL1〜L10に対して重み付けを行う。例えば、状態X0の場合、電圧V0が接続点41Wに供給されラインL1及びL2の重みが「1」となる。また、電圧V1が接続点42Wに供給されラインL3及びL4の重みが「2」となる。また、電圧V2が接続点43Wに供給されラインL5及びL6の重みが「4」となる。また、電圧V3が接続点44Wに供給されラインL7及びL8の重みが「8」となる。また、電圧V4が接続点45Wに供給されラインL9及びL10の重みが「16」となる。すなわち、奇数ライン群Aに対する重み付けは、各ラインL1、L3、L5、L7及びL9の重みの比が1:2:4:8:16になるように行われ、偶数ライン群Bに対する重み付けは、各ラインL2、L4、L6、L8及びL10の重みの比が1:2:4:8:16になるように行われる。
【0027】
OLED素子400の寿命や経時変化の特性は、駆動電流の値と時間の積に応じて定まる。このため、仮に、ラインL1〜L10に対する重み付けを固定とすると、重みが最も大きいラインに属するOLED素子400の寿命が最も早く尽きる。また、OLED素子400は交換することができない。したがって、OLED素子400が1つでも寿命を迎えると発光装置10の寿命も尽きる。よって、重み付けを固定とすると、発光装置10の寿命は、重みが最も大きいラインに属するOLED素子400によって制約されてしまう。また、発光輝度の経時変化が重みによって異なるので、時間が経過するにつれ正確に階調を刻むことが困難になる。そこで、本実施形態では、ラインL1〜L10に対する重み付けを所定周期で変更している。具体的には、制御回路11は、所定周期で状態X0〜X4が変化するように制御信号CTLを生成する。これにより、発光装置10の寿命を伸ばすことできる共に、時間が経過しても正確に階調を刻むことが可能となる。また、本実施形態では、各ラインに割り当てる光量比(光量の重み)が2の累乗となるように設定する。各ラインの光量比を変更した場合には、それに伴って、単位回路40に供給するデータ信号を変更する必要がある。データ信号は後述するように2値で与えられるから、光量比を2の累乗となるように設定することによって、画像データの各ビットの並べ替えるだけでデータ信号の出力先を変更することができる。
【0028】
データ線駆動回路20は、入力画像データDinに基づいて、OLED素子400のオン・オフを指示するデータ信号を生成し、各データ線21に出力する。入力画像データDinはd0、d1、…、d4の5ビットの信号である。
図7にデータ線駆動回路20のブロック図を示す。並び替え回路210は、制御信号CTLの状態X0〜X4に基づいて、入力画像データDinの各ビットの並べ替えを実行して並び替え画像データDaを出力する。発光領域AAに配置される1列の5個のOLED素子400は、電圧V0〜V4によって1:2:4:8:16に重み付けされている。各OLED素子400の重みは、5ビットのデータの各ビットに対応している。このため、接続点41W〜45Wに供給される電圧V0〜V4が周期的に変更されると、これに応じて各単位回路40に供給するデータ信号に対する重み付けを変更する必要がある。並び替え回路210は、ラインL1〜L10に対する重み付けの変更に応じて、データ信号に対する重み付けを変更するために用いられる。
【0029】
図8に制御信号CTLの示す状態X0〜X4とビット変換及び電圧選択との関係を示す。奇数ライン群Aに着目すると、状態X0ではラインL1、L3、L5、L7、及びL9に電圧V0、V1、V2、V3、及びV4が各々供給される。このとき、ラインL1、L3、L5、L7、及びL9にビットb0、b1、b2、b3、及びb4が供給される。また、状態X1ではラインL1、L3、L5、L7、及びL9に電圧V4、V0、V1、V2、及びV3が各々供給される。このとき、ラインL1、L3、L5、L7、及びL9にビットb4、b0、b1、b2、及びb3、が供給される。例えば、ラインL3に着目すると、状態X0では重み「2」に対応する電圧V1及びビットb1が供給され、状態X1では重み「1」に対応する電圧V0及びビットb0が供給される。すなわち、重み付けに応じて単位回路40に供給される電圧とビットデータが定まる。
【0030】
図9に、制御信号CTLの内容を示す。制御信号CTLは、所定周期で状態をX0→X1→X2→X3→X4の順に変化させる。これにより、各OLED素子400に供給される電圧が所定周期で変化するので、長い時間で見たとき各OLED素子400に流れる駆動電流と時間の積を一定にすることができる。この結果、発光装置10の寿命を大幅に伸ばすことが可能となる。
【0031】
説明を図7に戻す。ラッチ回路220は並び替え画像データDaをクロック信号CKでラッチして5ビットの画像データDbを出力する。画像データDbの各ビットd0、d1、…d4は、遅延ユニット230に供給される。遅延ユニット230は10個の遅延回路231を備え、各遅延回路231は、入力信号をクロック信号CKの1周期の時間遅延して出力する。この結果、クロック信号CKの1周期をTdとしたとき、画像データDbのビットデータd0’、d1’、d2’、…d4’は、遅延時間「0」、「Td」、「2Td」、…「4Td」だけ遅れて遅延ユニット230から画像データDcとして出力される。遅延ユニット230に供給される画像データDaは一つの描画領域Qの階調を示している。しかし、本実施形態においては、図に示すように5個のOLED素子400-1〜400-5を所定の時間間隔で発光させることによって、一つの描画領域Qに階調を刻む。このため、各OLED素子400-1〜400-5に供給されるビットデータは、感光体ドラム110が距離2Wだけ進む時間だけずれる必要がある。遅延ユニット230は、ビットデータに時間のずれを与える。ここで、遅延回路231の遅延時間Tdは、感光体ドラム110が距離2Wだけ進む時間と一致する。この例の遅延回路231は、例えば、クロック信号CKによって動作するDフリップフロップによって構成される。
【0032】
次に、シフトレジスタ240は、主走査期間の開始でアクティブとなる開始パルスSPをクロック信号CK2に従って順次シフトして、m個のサンプリングパルスS1、S2、…Smを順次生成する。画像データDcはデータ供給線La〜Ldに供給される。各サンプリング回路250は、サンプリングパルスS1〜Smに従って画像データDaを各々サンプリングして、ラッチ回路260及び270に供給する。ラッチ回路260は、奇数ライン群Aに対応するものであり、ラッチ回路270は偶数ライン群Bに対応するものである。ラッチ回路260及び270はラッチパルスLPでサンプリング回路250の出力データをラッチする。ラッチ回路260及び270にはイネーブル信号ENが供給される。ラッチ回路260及び270はイネーブル信号ENがアクティブである期間にラッチしたデータを出力する一方、非アクティブの期間にはLレベルを出力する。
【0033】
図10、及び図11に、データ線駆動回路230のタイミングチャートを示す。この例では、ラッチ回路220から出力される画像データDbに添え字[a]を付して、画像データDbを構成するデータ列を表すものとする。例えば、画像データDb[n]は、時刻nにおける5ビットのデータ列を表している。画像データDbは遅延ユニット230に供給されることによって、各ビットd0〜d4が遅延され、画像データDcとして出力される。例えば、時刻nにおける画像データDb[n]に着目すると、画像データDb[n]を構成する各ビットデータd0[n]、d1[n]、…d4[n]は、図10に太線で示すように順次、遅延時間Tdだけ遅れて、ビットデータd1’、d2’、…d4’として出力される。この場合、一点鎖線で囲った時刻nの画像データDcは、d0[n]、d1[n-1]、d2[n-2]、d3[n-3]、及びd4[n-4]で構成される。
【0034】
サンプリングパルスS1、…、Sn、Sn+1、…、Sn+4、…Smは、アクティブ期間(Hレベル)がクロック信号CKの1周期だけ順次ずれたものとなる。これらのサンプリングパルスS1〜Smによって画像データDcが順次サンプリングされ、更に、ラッチ回路260及び270によってサンプリングされたデータがラッチパルスLPによってラッチされる。これにより、ラッチ回路260及び270からは、線順次のデータが出力される。加えて、イネーブル信号ENがアクティブである期間にラッチ回路260及び270はラッチしたデータを出力するのでラッチ回路260のデータ信号DAとラッチ回路260のデータ信号DBは同時にアクティブとなる。
【0035】
上述した発光装置10によって、600ドット/インチの線画像を形成する場合を想定する。この場合、奇数ライン群A又は偶数ライン群Bの各々は、一本間隔で間引いた300ドット/インチの線画像を描画する。感光体ドラム110上の1ドットは、1、3、5、7、9のラインまたは2、4、6、8、10のラインで書き込まれるので、最大感光量はこれらの5本のライン画素すべてで書き込まれた場合である。すなわち1/31+2/31+4/31+8/31+16/31=1であり、1画素での最大パワーで書き込まれた時の感光体上での感光量に等しくなる。上述したように、この最大感光量をもとに、OLED素子400の光パワーが決定される。例えば、通常の感光体感度は0.2μJ/cm2程度とし、集光性レンズアレイ15での透過率を6%とすれば、3.33μJ/cm2を1個のOLED素子400での最大パワーとすればよい。従って、この例では、5本のライン上の各OLED素子400のパワーは、0.11(3.33/31)、0.215(3.33*2/31)、0.43(3.33*4/31)、0.89(3.33*8/31)、1.72(3.33*16/31)μJ/Wとなる。この方式によれば、どのOLED素子400も画素内輝度は1ラインヘッドで描画する場合の半分以下になるため、寿命を伸ばすことができる。
【0036】
また、1ライン当たりの階調はON−OFF(2値)であり、主走査方向Xの走査信号は階調が2値である為に、印字スピードが、例えば40ppmである場合には、印刷1枚当たり1.5秒掛かる。A4用紙縦で印刷する場合、副走査方向Yに7100ライン描画することになる。従って、1ライン走査する時間は210μ秒である。2値表示であれば、クロック周波数4.76KHz(データ周波数2.4KHz)でも良いことになる。このため、従来の1ヘッドラインあたりの高周波駆動に比べれば、飛躍的にクロック信号CKの周波数を下げることができる。一般に、TFTは10KHzで動作するので、本実施形態によれば、TFTを用いて確実に動作させることが可能となる。
【0037】
<2.第2実施形態>
図12に、第2実施形態に係る発光装置50とその周辺回路の電気的構成を示す。この発光装置50は、いわゆる電流駆動型の単位回路を備えたものであり、OLED素子400の陽極に電流信号(駆動信号)を供給することによりOLED素子400を駆動する。発光装置50を利用した画像印刷装置の構成は、発光装置10を利用した画像印刷装置と同様である。つまり、図1において、発光装置10に代えて発光装置50を配置した構成となっている。発光装置50は、電圧発生回路30、電圧選択回路31及び単位回路40に代えて基準電圧発生回路51、電流選択回路52及び単位回路53を有する。
【0038】
図13に、発光領域AAの左隅部分に位置する単位回路53の回路図を示す。ただし、偶数ライン群Bに関する回路要素については図示を略す。この図に示すように、各単位回路53には、電流選択回路52からの電源線とデータ線駆動回路20からのデータ線のみならず、一定の電圧を供給する定電圧電源線54が接続されている。この図において、上隅の単位回路53の構成が示されている。以降、左上隅の単位回路53に着目し、単位回路53の構成について説明する。なお、他の単位回路53も同様に構成されている。
【0039】
左上隅の単位回路53は、電源線41Aとグランドとの間にOLED素子400とトランジスタ410とトランジスタ420が直列に接続されて構成される。トランジスタ410は、本実施形態においてOLED素子400の駆動を制御する制御トランジスタとして機能する。トランジスタ420は、例えばPチャネル型MOSトランジスタであり、本実施形態においてOLED素子400を駆動する駆動トランジスタとして機能する。
【0040】
駆動トランジスタ420のゲートは電源線41Aと接続され、そのソースは定電圧電源線54と接続され、そのドレインは制御トランジスタ410のドレインと接続される。駆動トランジスタ420のドレインから出力される電流は、駆動トランジスタ420のゲート−ソース間の電位差に応じたものとなる。ここで、駆動トランジスタ420のソースに供給される電圧は一定であるから、電源線41Aから供給される電圧に応じた電流がそのドレインから出力されることになる。
【0041】
制御トランジスタ410のゲートはデータ線21と接続され、そのドレインは駆動トランジスタ420のドレインと接続され、そのソースはOLED素子400の陽極と接続される。制御トランジスタ410のゲートにはオン・オフを指定するデータ信号がデータ線21を介して供給される。データ信号がハイレベルのとき制御トランジスタ410はオンするが、このときのOLED素子400の光量は、駆動トランジスタ420のドレインから出力されて制御トランジスタ410のドレインに入力される電流に依存する。すなわち、電源線41Aから供給される電圧に依存する。
【0042】
説明を図12に戻す。基準電圧発生回路51は複数の定電圧源を備え、基準電圧Vref0、Vref1、Vref2、Vref3、及びVref4を生成する。ここで、1列の単位回路53によって感光体ドラム110に与えることができる最大光量をLmaxとしたとき、基準電圧Vref0〜Vref4は、単位回路53に供給した場合、Lmax/31、2Lmax/31、4Lmax/31、8Lmax/31、16Lmax/31に相当する光量をOLED素子400が発光するように選定されている。換言すれば、多重露光に寄与するOLED素子400の数をn個としたとき、各OLED素子400の光量比が、1/(2n−1):2/(2n−1):4/(2n−1):…:2(n−1)/(2n−1)となるように、基準電圧Vref0、Vref1、…Vrefn-1を設定する。
【0043】
電流選択回路52は制御信号CTLに基づいて、基準電圧Vref0〜Vref4を選択して接続点41W〜45Wに供給する。つまり、ラインL1〜L10に対して重み付けを行う。各単位回路53では、当該単位回路53に接続しているラインの重み(電圧値)と定電圧電源線54から供給される定電圧との差に応じた電流がOLED素子400に供給される。つまり、単位回路53は重み付けされており、各単位回路53の重み(電流値)は接続しているラインの重み(電圧値)に応じたものとなる。OLED素子400からの光量は上記の電流に応じたものとなり、上記の光量比が実現される。
【0044】
<3.第3実施形態>
図14に、本実施形態に係る発光装置60とその周辺回路の電気的構成を示す。この発光装置60は発光装置10と同じく電圧駆動型の単位回路40を備えたものであり、パルス幅変調された電圧信号(駆動信号)によりOELD素子400を駆動することによってOLED素子400の発光時間を制御する点に特徴がある。発光装置60を利用した画像印刷装置の構成は、発光装置10を利用した画像印刷装置と同様である。
【0045】
発光装置60は、電圧発生回路30及び電圧選択回路31に代えてPWM制御信号発生回路61及びPWM制御信号選択回路62を有する。また、発光装置60において、接続点41W〜45W及び電源線41A〜45Bは存在せず、奇数ラインL1、L3、…L9の単位回路40はライン毎に電源線71A、72A、…75Aに接続されており、偶数ラインL2、L4、…L10の単位回路40はライン毎に電源線71B、72B、…75Bに接続されている。電源線71A〜75Bの各々にはスイッチ71S〜75Sが介挿されており、スイッチがオンの電源線に接続された単回路40のみに電圧VELが供給されるようなっている。スイッチ71S〜75Sのオン・オフは、PWM制御信号選択回路62により制御される。
【0046】
PWM制御信号発生回路61は定電圧源を備え、オン・オフを指定するPWM制御信号P0〜P4を生成する。PWM制御信号P0〜P4は、OLED素子400の駆動を制御するために用いられる同一周期のパルス信号であり、その生成方法は任意である。例えば、PWM制御信号発生回路61がクロック信号CKを入力して加工し、加工後のクロック信号を用いて生成するようにしてもよいし、PWM制御信号発生回路61がクロック信号CKに同期する他の信号を入力し、この信号を用いて生成するようにしてもよい。
【0047】
図15はPWM制御信号P0〜P4の波形の一例を示す図である。この図に示すように、PWM制御信号P0〜P4の周期はクロック信号CKの周期(Td)と同一であり、各々のパルス幅、すなわちデューティ比は相互に異なる。この図の例では、PWM制御信号P0のパルス幅はTd/31、PWM制御信号P1のパルス幅は2Td/31、PWM制御信号P2のパルス幅は4Td/31、PWM制御信号P3のパルス幅は8Td/31、PWM制御信号P4のパルス幅は16Td/31となっている。
【0048】
PWM制御信号P0〜P4のパルス幅は、1列の単位回路40によって感光体ドラム110に与えることができる最大光量をLmaxとしたとき、PWM制御信号P0〜P4を単位回路40に供給した場合、Lmax/31、2Lmax/31、4Lmax/31、8Lmax/31、16Lmax/31に相当する光量をOLED素子400が発光するように選定されている。換言すれば、多重露光に寄与するOLED素子400の数をn個としたとき、各OLED素子400の光量比が、1/(2n−1):2/(2n−1):4/(2n−1):…:2(n−1)/(2n−1)となるように、PWM制御信号P0〜P4を設定する。
【0049】
説明を図14に戻す。PWM制御信号選択回路62は、制御信号CTLに基づいて、PWM制御信号P0〜P4を選択してスイッチ71S〜75Sに供給する。スイッチ71S〜75Sの各々は、供給されたPWM制御信号がハイレベルの間だけオンとなる。スイッチがオンになれば、当該スイッチが接続されている電源線に電圧VELが供給される。例えば、スイッチ71SにPWM制御信号P0が供給された場合、電圧VELは、クロック信号CKの1周期においてはPWM制御信号P0のパルス幅(Td/31)の期間だけ、電源線71A及び71Bに接続されている単位回路40に供給される。つまり、PWM制御信号選択回路62は、PWM制御信号P0〜P4を選択して供給することにより電源線71A〜75Bに対して重み付けを行っている。
【0050】
各単位回路53では、当該単位回路53に接続している電源線の重み(時間)の分だけ、電圧VELがOLED素子400に供給される。つまり、単位回路53に対して、電源線71A〜75Bに対する重み付けと同じ重み付けが行われる。よって、OLED素子400からの光量は単位回路53の重み(時間)に応じたものとなり、上記の光量比が実現される。
【0051】
<4.第4実施形態>
図16に、本実施形態に係る発光装置80とその周辺回路の電気的構成を示す。発光装置80を利用した画像印刷装置の構成は、発光装置10を利用した画像印刷装置と同様である。発光装置80は発光装置60を変形して得られるものであり、単位回路40に代えて単位回路81を有する。詳しくは後述するが、単位回路81は、単位回路40内にスイッチを取り込んだ構成となっている。
【0052】
全ての単位回路81には定電圧電源線82が接続されており、定電圧電源線82を介して電圧VELが供給される。また、第1実施形態における電源線41A〜45Bに代えて制御線91A〜95Bが設けられている。制御線91A〜95Bは電源線41A〜45Bと異なり、例えばnチャネル型MOSトランジスタをオン・オフ可能な信号を供給できればよい。PWM制御信号選択回路62は制御信号CTLに基づいて、PWM制御信号P0〜P4を選択して接続点41W〜45Wに供給する。各接続点に供給されたPWM制御信号は、対応する2本の制御線に供給される。例えば、接続点41Wに供給されたPWM制御信号は、制御線91Aおよび制御線91Bに供給される。
【0053】
図17に、単位回路81の発光領域AAの左上隅に位置する単位回路81の回路図を示す。なお、他の単位回路81も同様に構成されている。この例の単位回路81は定電圧電源線81とグランドとの間にOLED素子400とトランジスタ410とトランジスタ430が直列に接続されて構成される。トランジスタ410は、本実施形態においてOLED素子400の駆動を制御する制御トランジスタとして機能する。トランジスタ430は、例えばnチャネル型MOSトランジスタであり、本実施形態においてOLED素子400を駆動する駆動トランジスタとして機能する。
【0054】
駆動トランジスタ430のゲートにはPWM制御信号(パルス信号)が制御線91Aを介して供給され、そのドレインは定電圧電源線82と接続され、そのソースは制御トランジスタ410のドレインと接続される。PWM制御信号がハイレベルのとき駆動トランジスタ430はオンし、そのソースから制御トランジスタ410のドレインに電圧VELが供給される。つまり、制御トランジスタ410を駆動トランジスタとして捉えると、駆動トランジスタ430は発光装置60におけるスイッチとして機能することになる。
【0055】
<5.変形例>
(1)上述した各実施形態では、OLED素子400を用いた発光装置10、50、60及び80を例示したが、これに限るものではない。例えば、駆動信号を受けて発光する任意の発光素子を用いてもよい。このような発光素子としては、無機EL素子を例示することができる。また、LED(Light Emitting Diode)を発光層として採用することもできる。すなわち、本発明における発光素子は、電気エネルギの付与によって発光する材料によって構成されれば足りる。また例えば、駆動信号を受けて光を出射する出光素子(出光部)を用いるようにしてもよい。このような出光素子としては、液晶素子等のライトバルブ素子を例示することができる。
【0056】
(2)上述した各実施形態では、OLED素子400の光量の割り当てを、所定周期で循環するように状態X0〜状態X4を設定したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ランダムに光量の割り当てを変更し、これに合わせて、各ラインに供給する書き込みデータを入れ替えてもよい。要は、ある期間で見た場合、すべてのライン間で光量が平均されていれば良い。また、光量の割り当ておよび書き込みデータを入れ替えは、所定時間ごとに実行すればよく、例えば、所定数の用紙を印刷するたびに入れ替えてもよい。
【0057】
(3)上述した第3及び第4実施形態では、パルス幅変調された駆動信号によりOLED素子400を駆動する発光装置として、電圧駆動型の単位回路を備えた発光装置(発光装置60及び80)を例示したが、これに限るものではない。例えば、電流駆動型の単位回路を備えた発光装置を変形し、パルス幅変調された駆動信号(電流信号)によりOLED素子400を駆動するようにしてもよい。
【0058】
(4)また、第1実施形態においては駆動電圧によってOLED素子400の光量を割り当て、第3および第4実施形態ではパルス幅変調によってOLED素子400の光量を割り当たが、これらを組み合わせて光量を割り当ててもよい。また、第2実施形態においては駆動電流によってOLED素子の光量を割り当てたが、これと第3および第4実施形態のパルス幅変調を組み合わせてOLED素子400に光量を割り当ててもよい。
【0059】
<6.画像印刷装置>
図1に示したように、以上の各態様に係る発光装置10は、電子写真方式を利用した画像印刷装置における像担持体に潜像を書き込むためのライン型の光ヘッドとして利用され得る。画像印刷装置の例としては、プリンタ、複写機の印刷部分およびファクシミリの印刷部分がある。図18は、発光装置10をライン型の光ヘッドとして用いた画像印刷装置の一例を示す縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したタンデム型のフルカラー画像印刷装置である。
【0060】
この画像印刷装置では、同様な構成の4個の有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C,10M,10Yが、同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)110K,110C,110M,110Yの露光位置にそれぞれ配置されている。有機ELアレイ露光ヘッド10K,10C,10M,10Yは、以上に例示した何れかの態様に係る発光装置10である。
【0061】
図18に示すように、この画像印刷装置には、駆動ローラ121と従動ローラ122とが設けられており、これらのローラ121,122には無端の中間転写ベルト120が巻回されて、矢印に示すようにローラ121,122の周囲を回転させられる。図示しないが、中間転写ベルト120に張力を与えるテンションローラなどの張力付与手段を設けてもよい。
【0062】
この中間転写ベルト120の周囲には、外周面に感光層を有する4個の感光体ドラム110K,110C,110M,110Yが互いに所定の間隔をおいて配置される。添え字K,C,M,Yはそれぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローの顕像を形成するために使用されることを意味している。他の部材についても同様である。感光体ドラム110K,110C,110M,110Yは、中間転写ベルト120の駆動と同期して回転駆動される。
【0063】
各感光体ドラム110(K,C,M,Y)の周囲には、コロナ帯電器111(K,C,M,Y)と、有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)と、現像器114(K,C,M,Y)が配置されている。コロナ帯電器111(K,C,M,Y)は、対応する感光体ドラム110(K,C,M,Y)の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、感光体ドラムの帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。各有機ELアレイ露光ヘッド10(K,C,M,Y)は、複数の発光素子400の配列方向が感光体ドラム110(K,C,M,Y)の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、上記の複数の発光素子30によって感光体ドラムに光を照射することにより行う。現像器114(K,C,M,Y)は、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラムに顕像すなわち可視像を形成する。
【0064】
このような4色の単色顕像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各顕像は、中間転写ベルト120上に順次一次転写されることにより、中間転写ベルト120上で重ね合わされ、この結果としてフルカラーの顕像が得られる。中間転写ベルト120の内側には、4つの一次転写コロトロン(転写器)112(K,C,M,Y)が配置されている。一次転写コロトロン112(K,C,M,Y)は、感光体ドラム110(K,C,M,Y)の近傍にそれぞれ配置されており、感光体ドラム110(K,C,M,Y)から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写コロトロンの間を通過する中間転写ベルト120に顕像を転写する。
【0065】
最終的に画像を形成する対象としてのシート102は、ピックアップローラ103によって、給紙カセット101から1枚ずつ給送されて、駆動ローラ121に接した中間転写ベルト120と二次転写ローラ126の間のニップに送られる。中間転写ベルト120上のフルカラーの顕像は、二次転写ローラ126によってシート102の片面に一括して二次転写され、定着部である定着ローラ対127を通ることでシート102上に定着される。この後、シート102は、排紙ローラ対128によって、装置上部に形成された排紙カセット上へ排出される。
【0066】
次に、本発明に係る画像印刷装置の他の実施の形態について説明する。
図19は、発光装置10をライン型の光ヘッドとして用いた他の画像印刷装置の縦断面図である。この画像印刷装置は、ベルト中間転写体方式を利用したロータリ現像式のフルカラー画像印刷装置である。図19に示す画像印刷装置において、感光体ドラム165の周囲には、コロナ帯電器168、ロータリ式の現像ユニット161、有機ELアレイ露光ヘッド167、中間転写ベルト169が設けられている。
【0067】
コロナ帯電器168は、感光体ドラム165の外周面を一様に帯電させる。有機ELアレイ露光ヘッド167は、感光体ドラム165の帯電させられた外周面に静電潜像を書き込む。有機ELアレイ露光ヘッド167は、以上に例示した各態様の発光装置10であり、複数の発光素子30の配列方向が感光体ドラム165の母線(主走査方向)に沿うように設置される。静電潜像の書き込みは、これらの発光素子30から感光体ドラム165に光を照射することにより行う。
【0068】
現像ユニット161は、4つの現像器163Y,163C,163M,163Kが90°の角間隔をおいて配置されたドラムであり、軸161aを中心にして反時計回りに回転可能である。現像器163Y,163C,163M,163Kは、それぞれイエロー、シアン、マゼンタ、黒のトナーを感光体ドラム165に供給して、静電潜像に現像剤としてのトナーを付着させることにより感光体ドラム165に顕像すなわち可視像を形成する。
【0069】
無端の中間転写ベルト169は、駆動ローラ170a、従動ローラ170b、一次転写ローラ166およびテンションローラに巻回されて、これらのローラの周囲を矢印に示す向きに回転させられる。一次転写ローラ166は、感光体ドラム165から顕像を静電的に吸引することにより、感光体ドラムと一次転写ローラ166の間を通過する中間転写ベルト169に顕像を転写する。
【0070】
具体的には、感光体ドラム165の最初の1回転で、露光ヘッド167によりイエロー(Y)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Yにより同色の顕像が形成され、さらに中間転写ベルト169に転写される。また、次の1回転で、露光ヘッド167によりシアン(C)像のための静電潜像が書き込まれて現像器163Cにより同色の顕像が形成され、イエローの顕像に重なり合うように中間転写ベルト169に転写される。そして、このようにして感光体ドラム165が4回転する間に、イエロー、シアン、マゼンタ、黒の顕像が中間転写ベルト169に順次重ね合わせられ、この結果フルカラーの顕像が転写ベルト169上に形成される。最終的に画像を形成する対象としてのシートの両面に画像を形成する場合には、中間転写ベルト169に表面と裏面の同色の顕像を転写し、次に中間転写ベルト169に表面と裏面の次の色の顕像を転写する形式で、フルカラーの顕像を中間転写ベルト169上で得る。
【0071】
画像印刷装置には、シートが通過させられるシート搬送路174が設けられている。シートは、給紙カセット178から、ピックアップローラ179によって1枚ずつ取り出され、搬送ローラによってシート搬送路174を進行させられ、駆動ローラ170aに接した中間転写ベルト169と二次転写ローラ171の間のニップを通過する。二次転写ローラ171は、中間転写ベルト169からフルカラーの顕像を一括して静電的に吸引することにより、シートの片面に顕像を転写する。二次転写ローラ171は、図示しないクラッチにより中間転写ベルト169に接近および離間させられるようになっている。そして、シートにフルカラーの顕像を転写する時に二次転写ローラ171は中間転写ベルト169に当接させられ、中間転写ベルト169に顕像を重ねている間は二次転写ローラ171から離される。
【0072】
以上のようにして画像が転写されたシートは定着器172に搬送され、定着器172の加熱ローラ172aと加圧ローラ172bの間を通過させられることにより、シート上の顕像が定着する。定着処理後のシートは、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印Fの向きに進行する。両面印刷の場合には、シートの大部分が排紙ローラ対176を通過した後、排紙ローラ対176が逆方向に回転させられ、矢印Gで示すように両面印刷用搬送路175に導入される。そして、二次転写ローラ171により顕像がシートの他面に転写され、再び定着器172で定着処理が行われた後、排紙ローラ対176でシートが排出される。
【0073】
図18および図19に例示した画像印刷装置は、発光素子400を露光手段として利用しているので、レーザ走査光学系を用いた場合よりも、装置の小型化を図ることができる。なお、以上に例示した以外の電子写真方式の画像印刷装置にも本発明の発光装置を採用することができる。例えば、中間転写ベルトを使用せずに感光体ドラムから直接シートに顕像を転写するタイプの画像印刷装置や、モノクロの画像を形成する画像印刷装置にも本発明に係る発光装置を応用することが可能である。
【0074】
また、本発明に係る発光装置が適用される画像形成装置は画像印刷装置に限定されない。例えば、各種の電子機器における照明装置としても本発明の発光装置が採用される。このような電子機器としては、ファクシミリ、複写機、複合機、プリンタなどが挙げられる。これらの電子機器には、複数の発光素子を面状に配列した発光装置が好適に採用される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る発光装置を利用した画像印刷装置の一部の構成を示す斜視図である。
【図2】OLED素子の配置を模式的に示す説明図である。
【図3】画像印刷装置の断面を模式的に示した説明図である。
【図4】多重露光の概要を示した説明図である。
【図5】第1実施形態に係る発光装置10とその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図6】同装置に用いられる単位回路40の回路図である。
【図7】同装置に用いられるデータ線駆動回路のブロック図である。
【図8】同装置の制御信号と並べ替え回路及び電圧選択回路の関係を示す説明図である。
【図9】同装置の制御信号の構成を示す説明図である。
【図10】同装置に用いられるデータ線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】同装置に用いられるデータ線駆動回路の動作を示すタイミングチャートである。
【図12】第2実施形態に係る発光装置50とその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図13】同装置に用いられる発光領域AAの左隅部分に位置する単位回路53の回路図である。
【図14】第3実施形態に係る発光装置60とその周辺回路の構成を示すブロック図である。
【図15】PWM制御信号P0〜P4の波形の一例を示す波形図である。
【図16】第4実施形態に係る発光装置80とその周辺回路の構成を示すブロック図である。変形例3に係る他の発光装置のうち反射層の凹面の形状を示す斜視図である。
【図17】単位回路81の発光領域AAの左上隅に位置する単位回路81の回路図である。
【図18】本発明に係る発光装置を利用した画像印刷装置の構成を示す縦断面図である。
【図19】本発明に係る発光装置を利用した他の画像印刷装置の構成を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0076】
10,50,60,80……発光装置、15……集光性レンズアレイ、20……データ線駆動回路、40……単位回路(出光部)、400……OLED素子、30……電圧発生回路、31……電圧選択回路、51……基準電圧発生回路、52……電流選択回路。110……感光体ドラム、210……並べ替え回路、A……奇数ライン群、B……偶数ライン群、V0〜V1……電圧、Vref0〜Vref1……基準電圧、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一列に配置された複数の出光部の各々からの出射光を像担持体の所定位置に順に照射することによって前記所定位置に画像データの示す階調に応じた像を多重露光する露光方法であって、
前記複数の出光部の各々について前記出射光の光量に重みを割り当て、
前記複数の出光部の各々に割り当てられた光量の重みと前記画像データに基づいて、前記複数の出光部の各々から光を出光するか否かを指定する複数のデータ信号をそれぞれ生成して、各データ信号を前記複数の出光部にそれぞれ供給し、
所定の規則に従って、前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更する、
ことを特徴とする露光方法。
【請求項2】
前記複数の出光部の各々に割り当てる光量の重みを、2の累乗の比となるように設定し、
前記複数のデータ信号を前記画像データの各ビットデータと対応するように生成し、
前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部の変更を、前記画像データの各ビットデータを並べ替えることにより実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
【請求項3】
前記出光部は、電圧に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子に供給する前記電圧を前記出射光の光量に重みに応じて設定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の露光方法。
【請求項4】
前記出光部は、電流に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子に供給する前記電流を前記出射光の光量に重みに応じて設定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の露光方法。
【請求項5】
前記出光部は、発光時間に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子の前記発光時間を前記出射光の光量に重みに応じて設定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の露光方法。
【請求項6】
一列に配置された複数の出光部の各々からの出射光を像担持体の所定位置に順に照射することによって前記所定位置に画像データの示す階調に応じた像を多重露光する発光装置であって、
前記複数の出光部の各々について前記出射光の光量に重みを割り当てる光量設定手段と、
前記複数の出光部の各々に割り当てられた光量の重みと前記画像データに基づいて、前記複数の出光部の各々から光を出光するか否かを指定する複数のデータ信号をそれぞれ生成して、各データ信号を前記複数の出光部にそれぞれ供給するデータ信号供給手段と、
前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更する変更手段とを、
備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々に割り当てる光量の重みを、2の累乗の比となるように設定し、
前記データ信号供給手段は、前記複数のデータ信号を前記画像データの各ビットデータと対応するように生成し、
前記変更手段は、記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部の変更を、前記画像データの各ビットデータを並べ替えることにより実行する、
ことを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記変更手段は、前記複数の出光部の各々における前記出射光の光量の平均が同一となるように前記出射光の光量の重みの割り当てを変更することを特徴とする請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記変更手段は、所定の周期で前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更することを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記出光部は、電圧に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記光量設定手段は、
前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応した複数の電圧を生成する電圧発生手段と、
前記複数の電圧を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する電圧選択手段とを備え、
前記変更手段は、前記電圧選択手段の選択を制御する、
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記出光部は、電流に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記光量設定手段は、
前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応した複数の電流を指定する電流指定信号を生成する信号発生手段と、
前記複数の電流指定信号を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する信号選択手段とを備え、
前記変更手段は、前記信号選択手段の選択を制御する、
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記出光部は、一定の電圧が供給された場合に発光時間に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記光量設定手段は、
前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応して一定の電圧をパルス幅変調した複数のパルス幅変調電圧を生成する電圧発生手段と、
前記複数のパルス幅変調電圧を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する電圧選択手段とを備え、
前記変更手段は、前記信号選択手段の選択を制御する、
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
請求項6乃至12のうちいずれか1項に記載の発光装置と、
前記複数の出光部の各々からの出射光によって像が形成される像担持体と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
一列に配置された複数の出光部の各々からの出射光を像担持体の所定位置に順に照射することによって前記所定位置に画像データの示す階調に応じた像を多重露光する露光方法であって、
前記複数の出光部の各々について前記出射光の光量に重みを割り当て、
前記複数の出光部の各々に割り当てられた光量の重みと前記画像データに基づいて、前記複数の出光部の各々から光を出光するか否かを指定する複数のデータ信号をそれぞれ生成して、各データ信号を前記複数の出光部にそれぞれ供給し、
所定の規則に従って、前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更する、
ことを特徴とする露光方法。
【請求項2】
前記複数の出光部の各々に割り当てる光量の重みを、2の累乗の比となるように設定し、
前記複数のデータ信号を前記画像データの各ビットデータと対応するように生成し、
前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部の変更を、前記画像データの各ビットデータを並べ替えることにより実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の露光方法。
【請求項3】
前記出光部は、電圧に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子に供給する前記電圧を前記出射光の光量に重みに応じて設定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の露光方法。
【請求項4】
前記出光部は、電流に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子に供給する前記電流を前記出射光の光量に重みに応じて設定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の露光方法。
【請求項5】
前記出光部は、発光時間に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記出射光の光量に重みを割り当てる工程では、前記発光素子の前記発光時間を前記出射光の光量に重みに応じて設定する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の露光方法。
【請求項6】
一列に配置された複数の出光部の各々からの出射光を像担持体の所定位置に順に照射することによって前記所定位置に画像データの示す階調に応じた像を多重露光する発光装置であって、
前記複数の出光部の各々について前記出射光の光量に重みを割り当てる光量設定手段と、
前記複数の出光部の各々に割り当てられた光量の重みと前記画像データに基づいて、前記複数の出光部の各々から光を出光するか否かを指定する複数のデータ信号をそれぞれ生成して、各データ信号を前記複数の出光部にそれぞれ供給するデータ信号供給手段と、
前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更する変更手段とを、
備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項7】
前記光量設定手段は、前記複数の出光部の各々に割り当てる光量の重みを、2の累乗の比となるように設定し、
前記データ信号供給手段は、前記複数のデータ信号を前記画像データの各ビットデータと対応するように生成し、
前記変更手段は、記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部の変更を、前記画像データの各ビットデータを並べ替えることにより実行する、
ことを特徴とする請求項6に記載の発光装置。
【請求項8】
前記変更手段は、前記複数の出光部の各々における前記出射光の光量の平均が同一となるように前記出射光の光量の重みの割り当てを変更することを特徴とする請求項6または7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記変更手段は、所定の周期で前記出射光の光量の重みの割り当てを変更すると共に、当該変更に応じて前記複数のデータ信号の供給先である前記複数の出光部を変更することを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記出光部は、電圧に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記光量設定手段は、
前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応した複数の電圧を生成する電圧発生手段と、
前記複数の電圧を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する電圧選択手段とを備え、
前記変更手段は、前記電圧選択手段の選択を制御する、
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記出光部は、電流に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記光量設定手段は、
前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応した複数の電流を指定する電流指定信号を生成する信号発生手段と、
前記複数の電流指定信号を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する信号選択手段とを備え、
前記変更手段は、前記信号選択手段の選択を制御する、
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記出光部は、一定の電圧が供給された場合に発光時間に応じたパワーの前記出射光を発光する発光素子を備え、
前記光量設定手段は、
前記複数の出光部の各々の光量の重みに対応して一定の電圧をパルス幅変調した複数のパルス幅変調電圧を生成する電圧発生手段と、
前記複数のパルス幅変調電圧を設定すべき光量の重みに応じて選択して前記複数の前記出光部に供給する電圧選択手段とを備え、
前記変更手段は、前記信号選択手段の選択を制御する、
ことを特徴とする請求項6乃至9のうちいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項13】
請求項6乃至12のうちいずれか1項に記載の発光装置と、
前記複数の出光部の各々からの出射光によって像が形成される像担持体と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2007−30234(P2007−30234A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−213797(P2005−213797)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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