静電容量式接触検知装置、ドアハンドル、およびスマートエントリーシステム
【課題】ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置の提供。
【解決手段】車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、前記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の前記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、前記静電容量センサにおける静電容量の変化量が第1の閾値以上となった場合に、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量の変化量が所定の変化をした場合に、前記第1の閾値を変更する閾値変更部とを備える。
【解決手段】車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、前記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の前記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、前記静電容量センサにおける静電容量の変化量が第1の閾値以上となった場合に、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量の変化量が所定の変化をした場合に、前記第1の閾値を変更する閾値変更部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は静電容量式接触検知装置、ドアハンドル、およびスマートエントリーシステムに関し、より詳しくは、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を検知することができる静電容量式接触検知装置、この静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドルおよびスマートエントリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に例示されるように、車両の外側ドアハンドルに静電容量式接触検知装置を設け、当該接触検知装置による検知結果に応じてドアの施錠および開錠を行う技術が実現されている。この接触検知装置は、ドアハンドルに設けたセンサ電極が当該電極近傍の導体との間でコンデンサを形成し、このコンデンサの静電容量の変化に基づいてユーザのドアハンドルへの接触を検知するものである。
【0003】
しかしながら、降雨時には、外側ドアハンドルの表面に雨滴が付着することがある。外側ドアハンドルに雨滴が付着すると、導体である雨滴が電極を形成し、これによって上記コンデンサの静電容量が増加する。すると、接触検知装置は、雨滴による静電容量の増加をユーザの接触による静電容量の増加であると誤判断することがあった。このような誤判断があると、ユーザの意に反してドアが施錠または開錠されてしまうという問題があった。
【0004】
また、近年、車両用に開発が進められている静電容量式接触検知装置には以下の課題が存在した。
近年の静電容量式接触検知装置には、静電容量の変化量(ΔC)に基づいて、ユーザの接触を検知するものがある。
図17は、素手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量(ΔC)を示す正規分布図(順に、S1、S2、S3とする)である。この例では、ユーザが薄手の手袋を装着した場合を示している。
【0005】
図17に示されるように、通常、素手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)の正規分布、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)の正規分布、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量(ΔC)の正規分布は、この順に重心位置の値が小さくなる。また、正規分布図S1と正規分布図S2は裾の部分が重なり合い、正規分布図S2と正規分布図S3は裾の部分が重なり合う。
【0006】
このような状況において、雨滴付着時における接触誤検知の可能性を減ずるために、静電容量の変化量の閾値THC1を正規分布図S1の一端(静電容量が小さい側)に固定的に設定することが考えられる。静電容量式接触検知装置は、静電容量の変化量の測定値が閾値THC1を超えればユーザがドアハンドルに接触したと判断し、静電容量の変化量の測定値が閾値THC1未満であればユーザはドアハンドルに接触していないと判断する。この場合、静電容量式接触検知装置は、雨滴付着時における接触誤検知の可能性を減ずることはできる。しかしながら、正規分布図S2の半分程の部分が閾値THC1より低レベル側にあるため、静電容量の変化量の測定値がその部分に位置するときは、静電容量式接触検知装置は手袋を装着した手がドアハンドルに接触したことを検知することができない。
【0007】
また、手袋を装着した手の接触検知精度を高めるために、閾値THC2を正規分布図S2の一端(静電容量が小さい側)に固定的に設定することが考えられる。この場合、静電容量式接触検知装置は、手袋を装着した手の接触を高い精度で検知することができる。しかしながら、正規分布図S3の半分程の部分が閾値THC2より高レベル側にあるため、静電容量の変化量の測定値がその部分に位置するときは、静電容量式接触検知装置は、ユーザがドアハンドルに接触したと誤検知してしまう。
【0008】
このように、従来の静電容量式接触検知装置では、静電容量の変化量(ΔC)の閾値を固定的に設定している(一定値にしている)ため、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知の防止と、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触の正確な検知を両立させることが難しかった。
【特許文献1】特表2006−508283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置、および、降雨を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置、並びにこれらの静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドルおよびスマートエントリーシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、
車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の上記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
上記静電容量センサにおける静電容量の変化量が第1の閾値以上となった場合に、ユーザが上記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、上記第1の閾値を変更する閾値変更部とを備えた、静電容量式接触検知装置である。
【0011】
第1の発明によれば、閾値変更部は、少なくともいずれか2つのドアハンドルにおいて各静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、第1の閾値を変更する。つまり、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量の変化に基づき、第1の閾値が変更される。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドルにおいて互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量の変化に基づき第1の閾値を変更することで、閾値変更部は、第1の閾値を各天候に応じた適切な値に変更することが可能となる。これにより、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、
第1の発明において、
上記閾値変更部は、少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の増加をした場合に、上記第1の閾値を上げることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、晴天から雨天になった場合および雨天において雨量が増加した場合であっても、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0014】
第3の発明は、
第2の発明において、
上記接触検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第2の閾値以上となった場合に、上記閾値変更部は、上記第1の閾値を第1の状態用の値から第2の状態用の値に変更することを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、第1の状態(例えば晴天状態)から第2の状態(例えば雨天状態)に変化した場合に、第1の閾値が第1の状態用の値から第2の状態用の値に変更される。よって、第2の状態になってもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0016】
第4の発明は、
第2の発明において、
上記接触検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第3の閾値以上となった場合に、上記閾値変更部は、上記第1の閾値を第3の状態用の値から第4の状態用の値に変更し、または、上記第4の状態用の値から第5の状態用の値に変更することを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、第3の状態(例えば少量雨状態)から第4の状態(例えば中量雨状態)に変化した場合、または、第4の状態(例えば中量雨状態)から第5の状態(例えば大量雨状態)に変化した場合に、上記閾値変更部は、第1の閾値を第1の状態用の値から第2の状態用の値に変更し、または第4の状態用の値から第5の状態用の値に変更する。よって、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0018】
第5の発明は、
第1の発明において、
上記閾値変更部は、少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の減少をした場合に、上記第1の閾値を下げることを特徴とする。
【0019】
第5の発明によれば、雨天から晴天になった場合および雨天において雨量が減少した場合であっても、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0020】
第6の発明は、
第5の発明において、
上記接触検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第4の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、上記閾値変更部は、上記第1の閾値を第2の状態用の値から第1の状態用の値に変更することを特徴とする。
【0021】
第6の発明によれば、第2の状態(例えば雨天状態)から第1の状態(例えば晴天状態)に変化した場合に、第1の閾値が第2の状態用の値から第1の状態用の値に変更される。よって、第2の状態から第1の状態になってもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0022】
第7の発明は、
上記接触検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第5の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、上記閾値変更部は、上記第1の閾値を第4の状態用の値から第3の状態用の値に変更し、または、第5の状態用の値から第4の状態用の値に変更することを特徴とする。
【0023】
第7の発明によれば、第4の状態(例えば中量雨状態)から第3の状態(例えば少量雨状態)に変化した場合、または、第5の状態(例えば大量雨状態)から第4の状態(例えば中量雨状態)に変化した場合に、上記閾値変更部は、第1の閾値を第4の状態用の値から第3の状態用の値に変更し、または第5の状態用の値を第4の状態用の値に変更する。よって、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0024】
第8の発明は、
第3または第6の発明において、
上記第1の状態は晴天状態であり、上記第2の状態は雨天状態であることを特徴とする。
【0025】
第8の発明によれば、晴天から雨天または雨天から晴天になってもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0026】
第9の発明は、
第4または第7の発明において、
上記第3の状態は少量雨状態であり、上記第4の状態は中量雨状態であり、上記第5の状態は大量雨状態であることを特徴とする。
【0027】
第9の発明によれば、少量雨から中量雨、中量雨から大量雨、中量雨から少量雨、または大量雨から中量雨、のように雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0028】
第10の発明は、
車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の上記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
上記静電容量センサにおける静電容量が第6の閾値以上となった場合に、ユーザが上記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、上記第6の閾値を変更する閾値変更部とを備えた、静電容量式接触検知装置である。
【0029】
第10の発明によれば、閾値変更部は、少なくともいずれか2つのドアハンドルにおいて各静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、第6の閾値を変更する。つまり、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量の変化に基づき、第6の閾値が変更される。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドルにおいて互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量の変化に基づき第6の閾値を変更することで、閾値変更部は、第6の閾値を各天候に応じた適切な値に変更することが可能となる。これにより、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置を提供することができる。
【0030】
第11の発明は、
第1乃至第10の発明のいずれかの静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドルである。
【0031】
第11の発明によれば、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができるドアハンドルを提供することができる。
【0032】
第12の発明は、
車両ドアの施錠または開錠をドアハンドルへの接触で行うためのスマートエントリーシステムであって、
上記ドアハンドルとして、第11の発明のドアハンドルを備えることを特徴とする。
【0033】
第12の発明によれば、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができるドアハンドルを備えたスマートエントリーシステムを提供することができる。
【0034】
第13の発明は、
車両外側のドアハンドルへの雨の接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の上記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
上記静電容量センサの静電容量または静電容量の変化量を検知する検知部と、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する降雨判断部とを備える、静電容量式接触検知装置である。
【0035】
第13の発明によれば、降雨判断部は、少なくともいずれか2つのドアハンドルにおいて各静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する。つまり、降雨判断部は、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量変化に基づき、雨が降っていると判断する。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドルにおいて互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量変化に基づき雨が降っていると判断することで、降雨判断部は降雨を正確に検知することができる。
【0036】
第14の発明は、
第13の発明において、
上記検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が閾値以上となった場合に、上記降雨判断部は雨が降っていると判断することを特徴とする。
【0037】
第14の発明によれば、降雨判断部は各静電容量センサの静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が閾値以上となったかどうかを検知するだけで、雨が降っていると判断することができる。
【0038】
第15の発明は、
第13または第14の発明の静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドルである。
【0039】
第15の発明によれば、降雨を正確に検知することができるドアハンドルを提供することができる。
【0040】
第16の発明は、
車両ドアの施錠または開錠をドアハンドルへの接触で行うためのスマートエントリーシステムであって、
上記ドアハンドルとして、第15の発明のドアハンドルを備えることを特徴とする。
【0041】
第16の発明によれば、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができるドアハンドルを備えたスマートエントリーシステムを提供することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、雨滴等の外乱による接触誤検知を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルの配置例を示す図である。図2は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す上面図である。図3は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す側面図である。図4は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す図である。
【0044】
第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置1は、車両30(図1参照)の外側のドアハンドル2(図1〜3参照)の表面にユーザが接触するとその接触を検知する装置である。図1における符号31はドアを示している。ドアハンドル2の本体の材質は特に限定されるものではないが、例えば誘電体製である。誘電体としては、例えば、合成樹脂を挙げることができる。
【0045】
図4に示されるように、静電容量式接触検知装置1は、静電容量センサ3と、接触検知部4と、閾値変更部12とを備える。
【0046】
静電容量式接触検知装置1は、ドア施錠装置9に接続されている。静電容量式接触検知装置1は、ドアハンドル2の前部上面にユーザの手が接触したことを検知し、接触検知信号をドア施錠装置9に出力する。ドア施錠装置9は、接触検知信号を入力したらドア31を施錠する。
【0047】
静電容量センサ3は、ドアハンドル2の内部に設けられたセンサ電極5が当該センサ電極5付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。導体は、例えば、ドアハンドル2が取り付けられるドアパネル8やユーザの指である。センサ電極5は、ドアハンドル2の前部の上面側に設けられている。センサ電極5は、ユーザがドアハンドル2の前部上面に接触したことを検知するためのものである。静電容量センサ3は、少なくとも2つのドアハンドル2にそれぞれ設けられる。図1、4に示される例では、静電容量センサ3は、車両の運転席側ドアのドアハンドル2、助手席側ドアのドアハンドル2、右後部座席側ドアのドアハンドル2、および左後部座席側ドアのドアハンドル2にそれぞれ設けられる。
【0048】
接触検知部4は、静電容量センサ3における静電容量の変化量(ΔC)を測定し、静電容量の変化量(ΔC)が第1の閾値TH1以上となった場合に、対応するドアハンドル2の表面にユーザが接触したと判断する。静電容量の変化量(ΔC)の測定方法は、特に限定されない。
【0049】
閾値変更部12は、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量センサ3の静電容量が所定の変化をした場合に、第1の閾値TH1を変更する。
【0050】
閾値変更部12についてより詳しく説明する。図5は、素手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量(ΔC)の各正規分布(順に、S1、S2、S3とする)と、第1の状態(例えば晴天状態)における第1の閾値TH1との関係を示す図である。この例では、ユーザが薄手の手袋を装着した場合を示している。
【0051】
図5に示されるように、静電容量の変化量(ΔC)の正規分布の重心位置は、通常、大きいものから順に、素手が接触した時の静電容量(S1参照)、手袋を装着した手が接触した時の静電容量(S2参照)、および雨滴が付着した時の静電容量(S3参照)となる。また、正規分布図S1と正規分布図S2は裾の部分が重なり合い、正規分布図S2と正規分布図S3は裾の部分が重なり合う。
【0052】
閾値変更部12は、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量センサ3の静電容量が所定の増加をした場合に、雨が降り出したと判断し或いは雨量が増加したと判断し、第1の閾値TH1を上げる。
【0053】
具体的には、接触検知部4は、各静電容量センサ3について所定時間の周期で静電容量の変化量(ΔC)の検知を行う。この周期を周波数に換算した場合、例えば1MHz程度の周波数で検知が行われる。少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第2の閾値以上となった場合に、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を第1の状態(例えば晴天状態)用の値から第2の状態(例えば雨天状態)用の値に変更する。例えば、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴天時閾値A(図5参照)から降雨時閾値B(図6参照)に変更する。
【0054】
晴天時閾値Aは、例えば、図5に示されるように、正規分布図S2の一端(静電容量が小さい側)付近に設定される。接触検知部4は、静電容量の変化量(ΔC)の測定値が閾値Aを超えれば対応するドアハンドル2にユーザが接触したと判断し、静電容量の変化量(ΔC)の測定値が閾値A未満であれば対応するドアハンドル2にユーザが接触していないと判断する。この場合、接触検知部4は、晴天時において素手でのユーザ接触および手袋を装着した手でのユーザ接触の双方を精度良く検知することができる。
【0055】
降雨時閾値Bは、例えば、図6に示されるように、正規分布図S1の一端(静電容量が小さい側)付近に設定される。第1の閾値TH1が晴天時閾値Aから降雨時閾値Bに変更された後は、接触検知部4は、静電容量の変化量(ΔC)の測定値が閾値Bを超えればユーザがドアハンドル2に接触したと判断し、静電容量の変化量(ΔC)の測定値が閾値B未満であればユーザはドアハンドル2に接触していないと判断する。この場合、接触検知部4は、雨天時において素手でのユーザ接触および手袋を装着した手でのユーザ接触の双方を精度良く検知することができる。しかも、ドアハンドル2への雨滴付着による接触誤検知が防止される。
【0056】
雨天時における第1の閾値TH1を雨量に応じて変化させることも可能である。例えば、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第3の閾値以上となった場合に、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を第3の状態(例えば少量雨状態)用の値B1(図7参照)から第4の状態(例えば中量雨状態)用の値B2(図8参照)に変更し、または、第4の状態(例えば中量雨状態)用の値B2(図8参照)から第5の状態(例えば大量雨状態)用の値B3(図9参照)に変更する。B1,B2,B3は、図7〜9に示されるように、例えば、正規分布図S1の一端(静電容量が小さい側)と正規分布図S2の一端(静電容量が小さい側)の間でその順で次第に大きくなるように設定される。
【0057】
また、閾値変更部12は、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量センサ3の静電容量が所定の減少をした場合に、雨が止んだと判断し或いは雨量が減少したと判断し、第1の閾値TH1を下げる。
【0058】
具体的には、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第4の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を第2の状態(例えば雨天状態)用の値から第1の状態(例えば晴天状態)用の値に変更する。例えば、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を雨天時閾値B(図6参照)から晴天時閾値A(図5参照)に変更する。
【0059】
また、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第5の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を第4の状態(例えば中量雨状態)用の値B2(図8参照)から第3の状態(例えば少量雨状態)用の値B1(図7参照)に変更し、または、第5の状態(例えば大量雨状態)用の値B3(図9参照)から第4の状態(例えば中量雨状態)用の値B2(図8参照)に変更する。
【0060】
図10は、閾値変更部12の動作の一例を示すフローチャートである。
図10に示されるように、まず、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴天時閾値Aに設定する(ステップS1)。次いで、閾値変更部12は、接触検知部4で測定された静電容量の変化に基づき、少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の増加をしたかどうかを判断する(ステップS2)。少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の増加をした場合は、晴天から雨天に変化したと考えられる。よって、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴天時閾値Aから雨天時閾値Bに変更する(ステップS3)。一方、少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の増加をしなかった場合は、閾値変更部12は、少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の減少をしたかどうかを判断する(ステップS4)。少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の減少をした場合は、雨天から晴天に変化したと考えられる。よって、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴雨天時閾値Bから晴天時閾値Aに変更する(ステップS5)。なお、晴天が続いているときは静電容量は所定の減少をしないので、ステップS5には移行しない。一方、少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の減少をしなかった場合は、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴天時閾値Aのまま或いは雨天時閾値Bのまま維持し、ステップS2に戻る。つまり、晴天が続く場合は、第1の閾値TH1は晴天時閾値Aのまま維持される。また、雨天が続く場合は、第1の閾値TH1は雨天時閾値Bのまま維持される。
閾値変更部12は、ステップS2〜S5の処理を繰り返す。
【0061】
以上説明したように、静電容量式接触検知装置1によれば、閾値変更部12は、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量センサ3の静電容量が所定の変化をした場合に、第1の閾値TH1を変更する。つまり、2つ以上のドアハンドル2における各静電容量の変化に基づき、第1の閾値TH1が変更される。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドル2において互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドル2における各静電容量の変化に基づき第1の閾値TH1を変更することで、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を各天候に応じた適切な値に変更することが可能となる。これにより、ドアハンドル2への雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドル2への素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置1を得ることができる。
【0062】
静電容量式接触検知装置1は、例えば、車両ドア31の施錠または開錠をドアハンドル2への接触で行うためのスマートエントリーシステムにおいて、ユーザのドアハンドル2への接触を検知する手段として用いられる。
【0063】
なお、本実施形態においては、全ての静電容量センサ3の静電容量が所定の変化をした場合に、第1の閾値TH1を変更してもよい。
【0064】
また、第1実施形態を以下のように変更してもよい。すなわち、接触検知部(図示せず)は、静電容量センサ3における静電容量(C)を測定し、静電容量(C)が第6の閾値TH6以上となった場合に、対応するドアハンドル2の表面にユーザが接触したと判断してもよい。
【0065】
また、第1〜第5の状態は、上記した例(晴天状態、雨天状態、少量雨状態、中量雨状態、大量雨状態)に限定されるものではなく、適宜に変更可能である。
【0066】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図11は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルの配置例を示す図である。図12は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す上面図である。図13は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す側面図である。図14は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す図である。
【0067】
第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置20は、車両外側のドアハンドル22の表面に雨が接触するとその接触を検知する装置である。ドアハンドル22の本体の材質は特に限定されるものではないが、例えば誘電体製である。誘電体としては、例えば、合成樹脂を挙げることができる。静電容量式接触検知装置20は、ドアハンドル22の上面に雨が接触したことを検知し、接触検知信号をワイパ制御部23等に出力する。ワイパ制御部23は、接触検知信号を入力したらワイパ24を駆動する。
【0068】
静電容量式接触検知装置20は、静電容量センサ25と、検知部26と、降雨判断部27とを備える。
【0069】
静電容量センサ25は、ドアハンドル22の内部に設けられたセンサ電極28が当該センサ電極28付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。導体は、例えば、ドアハンドル22が取り付けられるドアパネル29やユーザの指である。センサ電極28は、ドアハンドル22の上面に設けられている。センサ電極28は、雨がドアハンドル22の上面に接触したことを検知するためのものである。静電容量センサ25は、少なくとも2つのドアハンドル22にそれぞれ設けられる。例えば、図11,14に示されるように、静電容量センサ25は、車両の運転席側ドアのドアハンドル22、助手席側ドアのドアハンドル22、右後部座席側ドアのドアハンドル22、および左後部座席側ドアのドアハンドル22にそれぞれ設けられる。
【0070】
検知部26は、静電容量センサ25の静電容量の変化量(ΔC)を検知する。静電容量の変化量(ΔC)の測定方法は、特に限定されない。
【0071】
降雨判断部27は、少なくともいずれか2つのドアハンドル22において各静電容量センサ25の静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する。
【0072】
降雨判断部27についてより詳しく説明する。図15は、雨滴が付着した時の静電容量の変化量(ΔC)の正規分布(SS1とする)と、静電容量の変化量(ΔC)の閾値THとの関係を示す図である。
【0073】
降雨判断部27の動作について具体的に説明する。検知部26は、所定時間の周期で静電容量の変化量(ΔC)の検知を行う。この周期を周波数に換算した場合、例えば1MHz程度の周波数で検知が行われる。降雨判断部27は、少なくともいずれか2つのドアハンドル22において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が閾値TH以上となった場合に、雨が降っていると判断する。閾値THは、例えば、図15に示されるように正規分布図SS1の一端(静電容量が小さい側)に設定される。
【0074】
図16は、降雨判断部27の動作の一例を示すフローチャートである。
図16に示されるように、まず、降雨判断部27は、検知部26で測定された静電容量の変化に基づき、少なくとも2つのドアハンドル22において静電容量が所定の増加をしたかどうかを判断する(ステップS1)。少なくとも2つのドアハンドル22において静電容量が所定の増加をした場合、降雨判断部27は雨が降っていると判断する(ステップS2)。一方、少なくとも2つのドアハンドル22において静電容量が所定の増加をしなかった場合、降雨判断部27は雨が降っていないと判断する(ステップS3)。降雨判断部27は、ステップS1〜3の処理を繰り返す。
【0075】
以上説明したように、静電容量式接触検知装置20によれば、降雨判断部27は、少なくともいずれか2つのドアハンドル22において各静電容量センサ25の静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する。つまり、降雨判断部27は、2つ以上のドアハンドル22における各静電容量変化に基づき、雨が降っていると判断する。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドル22において互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドル22における各静電容量変化に基づき雨が降っていると判断することで、降雨判断部27は降雨を正確に検知することができる。
【0076】
静電容量式接触検知装置20は、例えば、車両ドア31の施錠または開錠をドアハンドル22への接触で行うためのスマートエントリーシステムにおいて、ユーザのドアハンドル22への接触を検知する手段として用いられる。
【0077】
なお、本実施形態においては、全ての静電容量センサ25の静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断してもよい。
【0078】
また、第2実施形態を以下のように変更してもよい。すなわち、検知部(図示せず)は、静電容量センサ25における静電容量(C)を検知してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへのユーザの接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置、および、降雨を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルの配置例を示す図
【図2】本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す上面図
【図3】本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す側面図
【図4】本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す図
【図5】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、晴天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図6】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、雨天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図7】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、雨天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図8】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、雨天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図9】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、雨天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図10】本発明の第1実施形態における閾値変更部の動作の一例を示すフローチャート
【図11】本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルの配置例を示す図
【図12】本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す上面図
【図13】本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す側面図
【図14】本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す図
【図15】雨滴が付着した時の静電容量の変化量の正規分布と、静電容量の変化量の閾値の関係を示す図
【図16】本発明の第2実施形態における降雨判断部の動作の一例を示すフローチャート
【図17】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量を示す正規分布と、従来の静電容量の変化量の閾値との関係を示す図
【符号の説明】
【0081】
1、20 静電容量式接触検知装置
2、22 ドアハンドル
3、25 静電容量センサ
4 接触検知部
5、28 センサ電極
12 閾値変更部
26 検知部
27 降雨判断部
【技術分野】
【0001】
本発明は静電容量式接触検知装置、ドアハンドル、およびスマートエントリーシステムに関し、より詳しくは、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を検知することができる静電容量式接触検知装置、この静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドルおよびスマートエントリーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に例示されるように、車両の外側ドアハンドルに静電容量式接触検知装置を設け、当該接触検知装置による検知結果に応じてドアの施錠および開錠を行う技術が実現されている。この接触検知装置は、ドアハンドルに設けたセンサ電極が当該電極近傍の導体との間でコンデンサを形成し、このコンデンサの静電容量の変化に基づいてユーザのドアハンドルへの接触を検知するものである。
【0003】
しかしながら、降雨時には、外側ドアハンドルの表面に雨滴が付着することがある。外側ドアハンドルに雨滴が付着すると、導体である雨滴が電極を形成し、これによって上記コンデンサの静電容量が増加する。すると、接触検知装置は、雨滴による静電容量の増加をユーザの接触による静電容量の増加であると誤判断することがあった。このような誤判断があると、ユーザの意に反してドアが施錠または開錠されてしまうという問題があった。
【0004】
また、近年、車両用に開発が進められている静電容量式接触検知装置には以下の課題が存在した。
近年の静電容量式接触検知装置には、静電容量の変化量(ΔC)に基づいて、ユーザの接触を検知するものがある。
図17は、素手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量(ΔC)を示す正規分布図(順に、S1、S2、S3とする)である。この例では、ユーザが薄手の手袋を装着した場合を示している。
【0005】
図17に示されるように、通常、素手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)の正規分布、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)の正規分布、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量(ΔC)の正規分布は、この順に重心位置の値が小さくなる。また、正規分布図S1と正規分布図S2は裾の部分が重なり合い、正規分布図S2と正規分布図S3は裾の部分が重なり合う。
【0006】
このような状況において、雨滴付着時における接触誤検知の可能性を減ずるために、静電容量の変化量の閾値THC1を正規分布図S1の一端(静電容量が小さい側)に固定的に設定することが考えられる。静電容量式接触検知装置は、静電容量の変化量の測定値が閾値THC1を超えればユーザがドアハンドルに接触したと判断し、静電容量の変化量の測定値が閾値THC1未満であればユーザはドアハンドルに接触していないと判断する。この場合、静電容量式接触検知装置は、雨滴付着時における接触誤検知の可能性を減ずることはできる。しかしながら、正規分布図S2の半分程の部分が閾値THC1より低レベル側にあるため、静電容量の変化量の測定値がその部分に位置するときは、静電容量式接触検知装置は手袋を装着した手がドアハンドルに接触したことを検知することができない。
【0007】
また、手袋を装着した手の接触検知精度を高めるために、閾値THC2を正規分布図S2の一端(静電容量が小さい側)に固定的に設定することが考えられる。この場合、静電容量式接触検知装置は、手袋を装着した手の接触を高い精度で検知することができる。しかしながら、正規分布図S3の半分程の部分が閾値THC2より高レベル側にあるため、静電容量の変化量の測定値がその部分に位置するときは、静電容量式接触検知装置は、ユーザがドアハンドルに接触したと誤検知してしまう。
【0008】
このように、従来の静電容量式接触検知装置では、静電容量の変化量(ΔC)の閾値を固定的に設定している(一定値にしている)ため、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知の防止と、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触の正確な検知を両立させることが難しかった。
【特許文献1】特表2006−508283号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置、および、降雨を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置、並びにこれらの静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドルおよびスマートエントリーシステムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明は、
車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の上記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
上記静電容量センサにおける静電容量の変化量が第1の閾値以上となった場合に、ユーザが上記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、上記第1の閾値を変更する閾値変更部とを備えた、静電容量式接触検知装置である。
【0011】
第1の発明によれば、閾値変更部は、少なくともいずれか2つのドアハンドルにおいて各静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、第1の閾値を変更する。つまり、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量の変化に基づき、第1の閾値が変更される。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドルにおいて互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量の変化に基づき第1の閾値を変更することで、閾値変更部は、第1の閾値を各天候に応じた適切な値に変更することが可能となる。これにより、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置を提供することができる。
【0012】
第2の発明は、
第1の発明において、
上記閾値変更部は、少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の増加をした場合に、上記第1の閾値を上げることを特徴とする。
【0013】
第2の発明によれば、晴天から雨天になった場合および雨天において雨量が増加した場合であっても、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0014】
第3の発明は、
第2の発明において、
上記接触検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第2の閾値以上となった場合に、上記閾値変更部は、上記第1の閾値を第1の状態用の値から第2の状態用の値に変更することを特徴とする。
【0015】
第3の発明によれば、第1の状態(例えば晴天状態)から第2の状態(例えば雨天状態)に変化した場合に、第1の閾値が第1の状態用の値から第2の状態用の値に変更される。よって、第2の状態になってもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0016】
第4の発明は、
第2の発明において、
上記接触検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第3の閾値以上となった場合に、上記閾値変更部は、上記第1の閾値を第3の状態用の値から第4の状態用の値に変更し、または、上記第4の状態用の値から第5の状態用の値に変更することを特徴とする。
【0017】
第4の発明によれば、第3の状態(例えば少量雨状態)から第4の状態(例えば中量雨状態)に変化した場合、または、第4の状態(例えば中量雨状態)から第5の状態(例えば大量雨状態)に変化した場合に、上記閾値変更部は、第1の閾値を第1の状態用の値から第2の状態用の値に変更し、または第4の状態用の値から第5の状態用の値に変更する。よって、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0018】
第5の発明は、
第1の発明において、
上記閾値変更部は、少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の減少をした場合に、上記第1の閾値を下げることを特徴とする。
【0019】
第5の発明によれば、雨天から晴天になった場合および雨天において雨量が減少した場合であっても、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0020】
第6の発明は、
第5の発明において、
上記接触検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第4の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、上記閾値変更部は、上記第1の閾値を第2の状態用の値から第1の状態用の値に変更することを特徴とする。
【0021】
第6の発明によれば、第2の状態(例えば雨天状態)から第1の状態(例えば晴天状態)に変化した場合に、第1の閾値が第2の状態用の値から第1の状態用の値に変更される。よって、第2の状態から第1の状態になってもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0022】
第7の発明は、
上記接触検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第5の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、上記閾値変更部は、上記第1の閾値を第4の状態用の値から第3の状態用の値に変更し、または、第5の状態用の値から第4の状態用の値に変更することを特徴とする。
【0023】
第7の発明によれば、第4の状態(例えば中量雨状態)から第3の状態(例えば少量雨状態)に変化した場合、または、第5の状態(例えば大量雨状態)から第4の状態(例えば中量雨状態)に変化した場合に、上記閾値変更部は、第1の閾値を第4の状態用の値から第3の状態用の値に変更し、または第5の状態用の値を第4の状態用の値に変更する。よって、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0024】
第8の発明は、
第3または第6の発明において、
上記第1の状態は晴天状態であり、上記第2の状態は雨天状態であることを特徴とする。
【0025】
第8の発明によれば、晴天から雨天または雨天から晴天になってもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0026】
第9の発明は、
第4または第7の発明において、
上記第3の状態は少量雨状態であり、上記第4の状態は中量雨状態であり、上記第5の状態は大量雨状態であることを特徴とする。
【0027】
第9の発明によれば、少量雨から中量雨、中量雨から大量雨、中量雨から少量雨、または大量雨から中量雨、のように雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる。
【0028】
第10の発明は、
車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の上記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
上記静電容量センサにおける静電容量が第6の閾値以上となった場合に、ユーザが上記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、上記第6の閾値を変更する閾値変更部とを備えた、静電容量式接触検知装置である。
【0029】
第10の発明によれば、閾値変更部は、少なくともいずれか2つのドアハンドルにおいて各静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、第6の閾値を変更する。つまり、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量の変化に基づき、第6の閾値が変更される。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドルにおいて互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量の変化に基づき第6の閾値を変更することで、閾値変更部は、第6の閾値を各天候に応じた適切な値に変更することが可能となる。これにより、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置を提供することができる。
【0030】
第11の発明は、
第1乃至第10の発明のいずれかの静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドルである。
【0031】
第11の発明によれば、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができるドアハンドルを提供することができる。
【0032】
第12の発明は、
車両ドアの施錠または開錠をドアハンドルへの接触で行うためのスマートエントリーシステムであって、
上記ドアハンドルとして、第11の発明のドアハンドルを備えることを特徴とする。
【0033】
第12の発明によれば、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができるドアハンドルを備えたスマートエントリーシステムを提供することができる。
【0034】
第13の発明は、
車両外側のドアハンドルへの雨の接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
上記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の上記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
上記静電容量センサの静電容量または静電容量の変化量を検知する検知部と、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する降雨判断部とを備える、静電容量式接触検知装置である。
【0035】
第13の発明によれば、降雨判断部は、少なくともいずれか2つのドアハンドルにおいて各静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する。つまり、降雨判断部は、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量変化に基づき、雨が降っていると判断する。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドルにおいて互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドルにおける各静電容量変化に基づき雨が降っていると判断することで、降雨判断部は降雨を正確に検知することができる。
【0036】
第14の発明は、
第13の発明において、
上記検知部は、所定時間の周期で上記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの上記ドアハンドルにおいて各上記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が閾値以上となった場合に、上記降雨判断部は雨が降っていると判断することを特徴とする。
【0037】
第14の発明によれば、降雨判断部は各静電容量センサの静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が閾値以上となったかどうかを検知するだけで、雨が降っていると判断することができる。
【0038】
第15の発明は、
第13または第14の発明の静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドルである。
【0039】
第15の発明によれば、降雨を正確に検知することができるドアハンドルを提供することができる。
【0040】
第16の発明は、
車両ドアの施錠または開錠をドアハンドルへの接触で行うためのスマートエントリーシステムであって、
上記ドアハンドルとして、第15の発明のドアハンドルを備えることを特徴とする。
【0041】
第16の発明によれば、雨量が変化してもドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへの素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができるドアハンドルを備えたスマートエントリーシステムを提供することができる。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、雨滴等の外乱による接触誤検知を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルの配置例を示す図である。図2は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す上面図である。図3は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す側面図である。図4は、第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す図である。
【0044】
第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置1は、車両30(図1参照)の外側のドアハンドル2(図1〜3参照)の表面にユーザが接触するとその接触を検知する装置である。図1における符号31はドアを示している。ドアハンドル2の本体の材質は特に限定されるものではないが、例えば誘電体製である。誘電体としては、例えば、合成樹脂を挙げることができる。
【0045】
図4に示されるように、静電容量式接触検知装置1は、静電容量センサ3と、接触検知部4と、閾値変更部12とを備える。
【0046】
静電容量式接触検知装置1は、ドア施錠装置9に接続されている。静電容量式接触検知装置1は、ドアハンドル2の前部上面にユーザの手が接触したことを検知し、接触検知信号をドア施錠装置9に出力する。ドア施錠装置9は、接触検知信号を入力したらドア31を施錠する。
【0047】
静電容量センサ3は、ドアハンドル2の内部に設けられたセンサ電極5が当該センサ電極5付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。導体は、例えば、ドアハンドル2が取り付けられるドアパネル8やユーザの指である。センサ電極5は、ドアハンドル2の前部の上面側に設けられている。センサ電極5は、ユーザがドアハンドル2の前部上面に接触したことを検知するためのものである。静電容量センサ3は、少なくとも2つのドアハンドル2にそれぞれ設けられる。図1、4に示される例では、静電容量センサ3は、車両の運転席側ドアのドアハンドル2、助手席側ドアのドアハンドル2、右後部座席側ドアのドアハンドル2、および左後部座席側ドアのドアハンドル2にそれぞれ設けられる。
【0048】
接触検知部4は、静電容量センサ3における静電容量の変化量(ΔC)を測定し、静電容量の変化量(ΔC)が第1の閾値TH1以上となった場合に、対応するドアハンドル2の表面にユーザが接触したと判断する。静電容量の変化量(ΔC)の測定方法は、特に限定されない。
【0049】
閾値変更部12は、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量センサ3の静電容量が所定の変化をした場合に、第1の閾値TH1を変更する。
【0050】
閾値変更部12についてより詳しく説明する。図5は、素手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量(ΔC)、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量(ΔC)の各正規分布(順に、S1、S2、S3とする)と、第1の状態(例えば晴天状態)における第1の閾値TH1との関係を示す図である。この例では、ユーザが薄手の手袋を装着した場合を示している。
【0051】
図5に示されるように、静電容量の変化量(ΔC)の正規分布の重心位置は、通常、大きいものから順に、素手が接触した時の静電容量(S1参照)、手袋を装着した手が接触した時の静電容量(S2参照)、および雨滴が付着した時の静電容量(S3参照)となる。また、正規分布図S1と正規分布図S2は裾の部分が重なり合い、正規分布図S2と正規分布図S3は裾の部分が重なり合う。
【0052】
閾値変更部12は、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量センサ3の静電容量が所定の増加をした場合に、雨が降り出したと判断し或いは雨量が増加したと判断し、第1の閾値TH1を上げる。
【0053】
具体的には、接触検知部4は、各静電容量センサ3について所定時間の周期で静電容量の変化量(ΔC)の検知を行う。この周期を周波数に換算した場合、例えば1MHz程度の周波数で検知が行われる。少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第2の閾値以上となった場合に、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を第1の状態(例えば晴天状態)用の値から第2の状態(例えば雨天状態)用の値に変更する。例えば、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴天時閾値A(図5参照)から降雨時閾値B(図6参照)に変更する。
【0054】
晴天時閾値Aは、例えば、図5に示されるように、正規分布図S2の一端(静電容量が小さい側)付近に設定される。接触検知部4は、静電容量の変化量(ΔC)の測定値が閾値Aを超えれば対応するドアハンドル2にユーザが接触したと判断し、静電容量の変化量(ΔC)の測定値が閾値A未満であれば対応するドアハンドル2にユーザが接触していないと判断する。この場合、接触検知部4は、晴天時において素手でのユーザ接触および手袋を装着した手でのユーザ接触の双方を精度良く検知することができる。
【0055】
降雨時閾値Bは、例えば、図6に示されるように、正規分布図S1の一端(静電容量が小さい側)付近に設定される。第1の閾値TH1が晴天時閾値Aから降雨時閾値Bに変更された後は、接触検知部4は、静電容量の変化量(ΔC)の測定値が閾値Bを超えればユーザがドアハンドル2に接触したと判断し、静電容量の変化量(ΔC)の測定値が閾値B未満であればユーザはドアハンドル2に接触していないと判断する。この場合、接触検知部4は、雨天時において素手でのユーザ接触および手袋を装着した手でのユーザ接触の双方を精度良く検知することができる。しかも、ドアハンドル2への雨滴付着による接触誤検知が防止される。
【0056】
雨天時における第1の閾値TH1を雨量に応じて変化させることも可能である。例えば、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第3の閾値以上となった場合に、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を第3の状態(例えば少量雨状態)用の値B1(図7参照)から第4の状態(例えば中量雨状態)用の値B2(図8参照)に変更し、または、第4の状態(例えば中量雨状態)用の値B2(図8参照)から第5の状態(例えば大量雨状態)用の値B3(図9参照)に変更する。B1,B2,B3は、図7〜9に示されるように、例えば、正規分布図S1の一端(静電容量が小さい側)と正規分布図S2の一端(静電容量が小さい側)の間でその順で次第に大きくなるように設定される。
【0057】
また、閾値変更部12は、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量センサ3の静電容量が所定の減少をした場合に、雨が止んだと判断し或いは雨量が減少したと判断し、第1の閾値TH1を下げる。
【0058】
具体的には、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第4の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を第2の状態(例えば雨天状態)用の値から第1の状態(例えば晴天状態)用の値に変更する。例えば、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を雨天時閾値B(図6参照)から晴天時閾値A(図5参照)に変更する。
【0059】
また、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第5の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を第4の状態(例えば中量雨状態)用の値B2(図8参照)から第3の状態(例えば少量雨状態)用の値B1(図7参照)に変更し、または、第5の状態(例えば大量雨状態)用の値B3(図9参照)から第4の状態(例えば中量雨状態)用の値B2(図8参照)に変更する。
【0060】
図10は、閾値変更部12の動作の一例を示すフローチャートである。
図10に示されるように、まず、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴天時閾値Aに設定する(ステップS1)。次いで、閾値変更部12は、接触検知部4で測定された静電容量の変化に基づき、少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の増加をしたかどうかを判断する(ステップS2)。少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の増加をした場合は、晴天から雨天に変化したと考えられる。よって、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴天時閾値Aから雨天時閾値Bに変更する(ステップS3)。一方、少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の増加をしなかった場合は、閾値変更部12は、少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の減少をしたかどうかを判断する(ステップS4)。少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の減少をした場合は、雨天から晴天に変化したと考えられる。よって、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴雨天時閾値Bから晴天時閾値Aに変更する(ステップS5)。なお、晴天が続いているときは静電容量は所定の減少をしないので、ステップS5には移行しない。一方、少なくとも2つのドアハンドル2において静電容量が所定の減少をしなかった場合は、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を晴天時閾値Aのまま或いは雨天時閾値Bのまま維持し、ステップS2に戻る。つまり、晴天が続く場合は、第1の閾値TH1は晴天時閾値Aのまま維持される。また、雨天が続く場合は、第1の閾値TH1は雨天時閾値Bのまま維持される。
閾値変更部12は、ステップS2〜S5の処理を繰り返す。
【0061】
以上説明したように、静電容量式接触検知装置1によれば、閾値変更部12は、少なくともいずれか2つのドアハンドル2において各静電容量センサ3の静電容量が所定の変化をした場合に、第1の閾値TH1を変更する。つまり、2つ以上のドアハンドル2における各静電容量の変化に基づき、第1の閾値TH1が変更される。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドル2において互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドル2における各静電容量の変化に基づき第1の閾値TH1を変更することで、閾値変更部12は、第1の閾値TH1を各天候に応じた適切な値に変更することが可能となる。これにより、ドアハンドル2への雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドル2への素手の接触および手袋を装着した手の接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置1を得ることができる。
【0062】
静電容量式接触検知装置1は、例えば、車両ドア31の施錠または開錠をドアハンドル2への接触で行うためのスマートエントリーシステムにおいて、ユーザのドアハンドル2への接触を検知する手段として用いられる。
【0063】
なお、本実施形態においては、全ての静電容量センサ3の静電容量が所定の変化をした場合に、第1の閾値TH1を変更してもよい。
【0064】
また、第1実施形態を以下のように変更してもよい。すなわち、接触検知部(図示せず)は、静電容量センサ3における静電容量(C)を測定し、静電容量(C)が第6の閾値TH6以上となった場合に、対応するドアハンドル2の表面にユーザが接触したと判断してもよい。
【0065】
また、第1〜第5の状態は、上記した例(晴天状態、雨天状態、少量雨状態、中量雨状態、大量雨状態)に限定されるものではなく、適宜に変更可能である。
【0066】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図11は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルの配置例を示す図である。図12は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す上面図である。図13は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す側面図である。図14は、第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す図である。
【0067】
第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置20は、車両外側のドアハンドル22の表面に雨が接触するとその接触を検知する装置である。ドアハンドル22の本体の材質は特に限定されるものではないが、例えば誘電体製である。誘電体としては、例えば、合成樹脂を挙げることができる。静電容量式接触検知装置20は、ドアハンドル22の上面に雨が接触したことを検知し、接触検知信号をワイパ制御部23等に出力する。ワイパ制御部23は、接触検知信号を入力したらワイパ24を駆動する。
【0068】
静電容量式接触検知装置20は、静電容量センサ25と、検知部26と、降雨判断部27とを備える。
【0069】
静電容量センサ25は、ドアハンドル22の内部に設けられたセンサ電極28が当該センサ電極28付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成される。導体は、例えば、ドアハンドル22が取り付けられるドアパネル29やユーザの指である。センサ電極28は、ドアハンドル22の上面に設けられている。センサ電極28は、雨がドアハンドル22の上面に接触したことを検知するためのものである。静電容量センサ25は、少なくとも2つのドアハンドル22にそれぞれ設けられる。例えば、図11,14に示されるように、静電容量センサ25は、車両の運転席側ドアのドアハンドル22、助手席側ドアのドアハンドル22、右後部座席側ドアのドアハンドル22、および左後部座席側ドアのドアハンドル22にそれぞれ設けられる。
【0070】
検知部26は、静電容量センサ25の静電容量の変化量(ΔC)を検知する。静電容量の変化量(ΔC)の測定方法は、特に限定されない。
【0071】
降雨判断部27は、少なくともいずれか2つのドアハンドル22において各静電容量センサ25の静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する。
【0072】
降雨判断部27についてより詳しく説明する。図15は、雨滴が付着した時の静電容量の変化量(ΔC)の正規分布(SS1とする)と、静電容量の変化量(ΔC)の閾値THとの関係を示す図である。
【0073】
降雨判断部27の動作について具体的に説明する。検知部26は、所定時間の周期で静電容量の変化量(ΔC)の検知を行う。この周期を周波数に換算した場合、例えば1MHz程度の周波数で検知が行われる。降雨判断部27は、少なくともいずれか2つのドアハンドル22において各静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が閾値TH以上となった場合に、雨が降っていると判断する。閾値THは、例えば、図15に示されるように正規分布図SS1の一端(静電容量が小さい側)に設定される。
【0074】
図16は、降雨判断部27の動作の一例を示すフローチャートである。
図16に示されるように、まず、降雨判断部27は、検知部26で測定された静電容量の変化に基づき、少なくとも2つのドアハンドル22において静電容量が所定の増加をしたかどうかを判断する(ステップS1)。少なくとも2つのドアハンドル22において静電容量が所定の増加をした場合、降雨判断部27は雨が降っていると判断する(ステップS2)。一方、少なくとも2つのドアハンドル22において静電容量が所定の増加をしなかった場合、降雨判断部27は雨が降っていないと判断する(ステップS3)。降雨判断部27は、ステップS1〜3の処理を繰り返す。
【0075】
以上説明したように、静電容量式接触検知装置20によれば、降雨判断部27は、少なくともいずれか2つのドアハンドル22において各静電容量センサ25の静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する。つまり、降雨判断部27は、2つ以上のドアハンドル22における各静電容量変化に基づき、雨が降っていると判断する。晴天から雨天、雨天から晴天になる等、天候が変化した場合は、2つ以上のドアハンドル22において互いに同じような静電容量変化が起きると考えられる。よって、2つ以上のドアハンドル22における各静電容量変化に基づき雨が降っていると判断することで、降雨判断部27は降雨を正確に検知することができる。
【0076】
静電容量式接触検知装置20は、例えば、車両ドア31の施錠または開錠をドアハンドル22への接触で行うためのスマートエントリーシステムにおいて、ユーザのドアハンドル22への接触を検知する手段として用いられる。
【0077】
なお、本実施形態においては、全ての静電容量センサ25の静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断してもよい。
【0078】
また、第2実施形態を以下のように変更してもよい。すなわち、検知部(図示せず)は、静電容量センサ25における静電容量(C)を検知してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、ドアハンドルへの雨滴付着による接触誤検知を防止しつつ、ドアハンドルへのユーザの接触を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置、および、降雨を正確に検知することができる静電容量式接触検知装置等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルの配置例を示す図
【図2】本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す上面図
【図3】本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す側面図
【図4】本発明の第1実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す図
【図5】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、晴天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図6】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、雨天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図7】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、雨天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図8】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、雨天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図9】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量の各正規分布と、雨天時における第1の閾値との関係の一例を示す図
【図10】本発明の第1実施形態における閾値変更部の動作の一例を示すフローチャート
【図11】本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルの配置例を示す図
【図12】本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す上面図
【図13】本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置のセンサ電極が設けられたドアハンドルを示す側面図
【図14】本発明の第2実施形態に係る静電容量式接触検知装置を示す図
【図15】雨滴が付着した時の静電容量の変化量の正規分布と、静電容量の変化量の閾値の関係を示す図
【図16】本発明の第2実施形態における降雨判断部の動作の一例を示すフローチャート
【図17】素手が接触した時の静電容量の変化量、手袋を装着した手が接触した時の静電容量の変化量、および雨滴が付着した時の静電容量の変化量を示す正規分布と、従来の静電容量の変化量の閾値との関係を示す図
【符号の説明】
【0081】
1、20 静電容量式接触検知装置
2、22 ドアハンドル
3、25 静電容量センサ
4 接触検知部
5、28 センサ電極
12 閾値変更部
26 検知部
27 降雨判断部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の前記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
前記静電容量センサにおける静電容量の変化量が第1の閾値以上となった場合に、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、前記第1の閾値を変更する閾値変更部とを備える、静電容量式接触検知装置。
【請求項2】
前記閾値変更部は、少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量が所定の増加をした場合に、前記第1の閾値を上げることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項3】
前記接触検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第2の閾値以上となった場合に、前記閾値変更部は、前記第1の閾値を第1の状態用の値から第2の状態用の値に変更することを特徴とする請求項2に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項4】
前記接触検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第3の閾値以上となった場合に、前記閾値変更部は、前記第1の閾値を第3の状態用の値から第4の状態用の値に変更し、または、前記第4の状態用の値から第5の状態用の値に変更することを特徴とする請求項2に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項5】
前記閾値変更部は、少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量の変化量が所定の減少をした場合に、前記第1の閾値を下げることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項6】
前記接触検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第4の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、前記閾値変更部は、前記第1の閾値を第2の状態用の値から第1の状態用の値に変更することを特徴とする請求項5に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項7】
前記接触検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第5の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、前記閾値変更部は、前記第1の閾値を第4の状態用の値から第3の状態用の値に変更し、または、第5の状態用の値から前記第4の状態用の値に変更することを特徴とする請求項5に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項8】
前記第1の状態は晴天状態であり、前記第2の状態は雨天状態であることを特徴とする請求項3または6に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項9】
前記第3の状態は少量雨状態であり、前記第4の状態は中量雨状態であり、前記第5の状態は大量雨状態であることを特徴とする請求項4または7に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項10】
車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の前記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
前記静電容量センサにおける静電容量が第6の閾値以上となった場合に、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、前記第6の閾値を変更する閾値変更部とを備える、静電容量式接触検知装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか1項に記載の静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドル。
【請求項12】
車両ドアの施錠または開錠をドアハンドルへの接触で行うためのスマートエントリーシステムであって、
前記ドアハンドルとして、請求項11に記載のドアハンドルを備えることを特徴とするスマートエントリーシステム。
【請求項13】
車両外側のドアハンドルへの雨の接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の前記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
前記静電容量センサの静電容量または静電容量の変化量を検知する検知部と、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する降雨判断部とを備える、静電容量式接触検知装置。
【請求項14】
前記検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が閾値以上となった場合に、前記降雨判断部は雨が降っていると判断することを特徴とする請求項13に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドル。
【請求項16】
車両ドアの施錠または開錠をドアハンドルへの接触で行うためのスマートエントリーシステムであって、
前記ドアハンドルとして、請求項15に記載のドアハンドルを備えることを特徴とするスマートエントリーシステム。
【請求項1】
車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の前記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
前記静電容量センサにおける静電容量の変化量が第1の閾値以上となった場合に、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、前記第1の閾値を変更する閾値変更部とを備える、静電容量式接触検知装置。
【請求項2】
前記閾値変更部は、少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量が所定の増加をした場合に、前記第1の閾値を上げることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項3】
前記接触検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第2の閾値以上となった場合に、前記閾値変更部は、前記第1の閾値を第1の状態用の値から第2の状態用の値に変更することを特徴とする請求項2に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項4】
前記接触検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が第3の閾値以上となった場合に、前記閾値変更部は、前記第1の閾値を第3の状態用の値から第4の状態用の値に変更し、または、前記第4の状態用の値から第5の状態用の値に変更することを特徴とする請求項2に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項5】
前記閾値変更部は、少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量の変化量が所定の減少をした場合に、前記第1の閾値を下げることを特徴とする請求項1に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項6】
前記接触検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第4の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、前記閾値変更部は、前記第1の閾値を第2の状態用の値から第1の状態用の値に変更することを特徴とする請求項5に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項7】
前記接触検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の減少が第5の閾値未満である状態が所定時間継続した場合に、前記閾値変更部は、前記第1の閾値を第4の状態用の値から第3の状態用の値に変更し、または、第5の状態用の値から前記第4の状態用の値に変更することを特徴とする請求項5に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項8】
前記第1の状態は晴天状態であり、前記第2の状態は雨天状態であることを特徴とする請求項3または6に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項9】
前記第3の状態は少量雨状態であり、前記第4の状態は中量雨状態であり、前記第5の状態は大量雨状態であることを特徴とする請求項4または7に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項10】
車両外側のドアハンドルへのユーザの接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の前記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
前記静電容量センサにおける静電容量が第6の閾値以上となった場合に、ユーザが前記ドアハンドルの表面に接触したと判断する接触検知部と、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、前記第6の閾値を変更する閾値変更部とを備える、静電容量式接触検知装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか1項に記載の静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドル。
【請求項12】
車両ドアの施錠または開錠をドアハンドルへの接触で行うためのスマートエントリーシステムであって、
前記ドアハンドルとして、請求項11に記載のドアハンドルを備えることを特徴とするスマートエントリーシステム。
【請求項13】
車両外側のドアハンドルへの雨の接触を検知する静電容量式接触検知装置であって、
前記ドアハンドル内に設けられたセンサ電極が当該センサ電極付近の導体と協働してコンデンサを形成することにより構成され、2つ以上の前記ドアハンドルにそれぞれ設けられる静電容量センサと、
前記静電容量センサの静電容量または静電容量の変化量を検知する検知部と、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量センサの静電容量が所定の変化をした場合に、雨が降っていると判断する降雨判断部とを備える、静電容量式接触検知装置。
【請求項14】
前記検知部は、所定時間の周期で前記静電容量の検知を行い、
少なくともいずれか2つの前記ドアハンドルにおいて各前記静電容量のn周期分(nは任意の正数)の増加が閾値以上となった場合に、前記降雨判断部は雨が降っていると判断することを特徴とする請求項13に記載の静電容量式接触検知装置。
【請求項15】
請求項13または14に記載の静電容量式接触検知装置が設けられたドアハンドル。
【請求項16】
車両ドアの施錠または開錠をドアハンドルへの接触で行うためのスマートエントリーシステムであって、
前記ドアハンドルとして、請求項15に記載のドアハンドルを備えることを特徴とするスマートエントリーシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−139362(P2010−139362A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−315610(P2008−315610)
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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