説明

静電式液体状態検知センサ及び静電式液面レベルセンサ

【課題】エッチングにおける電極の形状変化や寸法の偏りによる影響を軽減する静電式液体状態検知センサ及び静電式液面レベルセンサの提供を目的とする。
【解決手段】センサ1は、互いが、一続きの基準ギャップを形成して対向する形態に配置された第1基準電極38及び第2基準電極39を有している。第1基準電極38及び第2基準電極39は、基準ギャップ60が、所定の基準ギャップ間隔W1を有して鉛直方向Vに直線状に延びる縦ギャップ部61aと、基準ギャップ間隔W1を有して、水平方向Hに直線状に延びる横ギャップ部63aと、縦ギャップ部61aと横ギャップ部63aとの間を、基準ギャップ間隔W1を保ちつつ、延び方向を鉛直方向Vから水平方向Hに徐々に方向変換して屈曲ギャップ部64aとを含む形態とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体の誘電率、液位等を検知する静電式液体状態検知センサ及び液体の液位を検知する静電式液面レベルセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
液体の誘電率、液位等を検知する静電式液体状態検知センサとしては、特許文献1で示される液位測定装置(センサ)が知られている。
特許文献1のセンサは、プリント基板の下端部に所定の間隔をおいてそれぞれが形成され、常時液中に浸漬される一対の基準電極と、プリント基板の長手方向上下に延び、所定の間隔をおいてそれぞれが形成されて途中が液面と交差する一対の検出電極を含み、これらの基準電極と検出電極との電極間容量の比を用いて液位を検知している。
【0003】
具体的には、基準電極は、特許文献1の第1図に示すように、水平方向に延びる一対のクシ歯状の電極が互いに所定の間隔をおいてプリント基板に形成されている。また、検出電極は、鉛直方向に延びる一対のクシ歯状の電極が互いに所定の間隔をおいてプリント基板に形成されている。また、これらの電極は、例えば、銅張プリント基板の銅箔層をエッチングを用いて所望のパターンとすることにより、形成されている。
(特許文献1)
【特許文献1】特開昭63−79016号公報 第1図
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、エッチングによって、クシ歯状の基準電極を形成する場合において、基準電極が角状に周縁が折れ曲がって窪んだ部分や、これとは逆に角状に周縁が折れ曲がって尖った部分を有する場合、エッチングの進行度合などにより、これらの部分の形状が大きく変わりやすく必ずしも、所望の形状で形成されるとは限らない。基準電極が所定の形状で形成されないと、基準電極の電極間ギャップが正しく形成されず、基準電極の電極間容量にも誤差を生ずる。上述のセンサでは、この基準電極の電極間容量をも用いて液位を検知しているため、液位の検知に対して誤差を生じる虞がある。
【0005】
また、エッチングの際、エッチングパターンの延びる方向とエッチングの進行度合(金属の腐食の程度)とに関係が生ずる場合がある。例えば、エッチングでギャップを形成する際、ギャップのうち特定方向に延びるギャップ部分のエッチングが、特定方向に直交する方向に延びるギャップ部分のエッチングより進みやすい場合がある。この場合、目標のギャップ寸法(ギャップの幅寸法)が同じであったとしても、特定方向に延びるギャップ部分の幅寸法の方が、特定方向に直交する方向に延びるギャップ部分の幅寸法よりも大きくなりがちである。
特許文献1に開示のセンサでは、基準電極の電極間ギャップ(基準ギャップ)は大半が水平方向に延びている。一方、検出電極の電極間ギャップ(検出ギャップ)は大半が鉛直方向に延びている。従って、この場合、上述のようにエッチングの進行度合に方向性を生じると、例えば、基準ギャップのギャップ寸法は目標寸法に出来上がっている、あるいは、目標寸法よりも小さ目にできているのに拘らず検出ギャップのギャップ寸法は目標寸法より大き目にできる場合が生じる。このように、基準ギャップの寸法の偏りと検出ギャップの寸法の偏りとが異なる場合、基準電極の電極間容量と検出電極の電極間容量との偏りも異なることになる。このセンサは、基準電極及び検出電極の電極間容量の比を用いて液位を検知しているので、液位の検知に誤差を生じる虞がある。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、センサの製造の際、特にエッチングの際に生じる電極の形状の変動による電極間容量への影響を軽減する静電式液体状態検知センサ及び静電式液面レベルセンサの提供を目的とする。さらには、エッチングの際に、エッチングの進行度合が方向性を持つことに伴う電極寸法の偏りによる液位検知への影響を軽減した静電式液面レベルセンサの提供を目的とする
【課題を解決するための手段】
【0007】
その解決手段は、液体の状態を検知する静電式液体状態検知センサであって、同一面上に配置された第1電極及び第2電極であって、互いが、一続きのギャップを形成して対向する形態に配置された第1電極及び第2電極を備え、上記第1電極及び第2電極は、上記ギャップが、所定のギャップ間隔を有して第1方向に直線状に延びる第1ギャップ部と、上記ギャップ間隔を有して、上記第1方向とは異なる第2方向に直線状に延びる第2ギャップ部と、上記第1ギャップ部と第2ギャップ部との間を、上記ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を上記第1方向から上記第2方向に徐々に方向変換して繋ぐ第3ギャップ部と、を含む形態とされてなる静電式液体状態検知センサである。
【0008】
この発明の静電式液体状態検知センサでは、第1,第2電極の形態が、これらで形成されるギャップが第1,第2ギャップ部のほか、所定のギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を徐々に方向変換をする第3ギャップ部を含むようにされている。このため、エッチング等で第1,第2電極を形成するに当たって、第1,第2電極のうち、第3ギャップ部をなす周縁部分の寸法や形状のバラツキを生じにくい。従って、ギャップを介して、第1電極と第2電極との間に生じるコンデンサの静電容量のバラツキを抑制することができる。
しかも第3ギャップ部においても、ギャップ間隔を保っているため、この第3ギャップ部を介して、第1,第2電極内に生じる局所的なコンデンサも、全体のコンデンサの静電容量の大きさに寄与する。従って、必要なコンデンサの静電容量を得るのに、総延長の短い、コンパクトなギャップを形成すれば足り、センサ全体の小型化にも資することができる。
【0009】
なお、例えば、第1,第2電極(ギャップ)を液体内に浸漬した状態で、コンデンサの静電容量を検知することで、液体の比誘電率を計測することができる。また、この比誘電率から液体の劣化・変質の程度や組成(例えば、比誘電率の異なる2つの液体成分の混合比など)を検知することもできる。
【0010】
また、第1方向と第2方向とは、異なる方向であればよく、角度を持って交差する関係にある場合のほか、第1方向と第2方向とが平行であるが、互いに逆向きに延びる場合も含まれる。後者の場合、ギャップとして、互いに平行な第1ギャップ部と第2ギャップ部との間を、例えば、徐々に方向変換してU字状の形態を有する第3ギャップ部で繋ぐ形態とするものが挙げられる。
また、第3ギャップ部は、徐々に方向変換して第1ギャップ部と第2ギャップ部を繋いだ形態であればよく、例えば、同心円弧形状や、波状にうねる形状が挙げられる。
【0011】
また、上記の静電式液体状態検知センサであって、前記第2ギャップ部が延びる前記第2方向は、前記第1方向と交差する方向であり、前記第1電極及び前記第2電極のうち一方の電極における、上記第1ギャップ部をなす直線状周縁部分と上記第2ギャップ部をなす直線状周縁部分とが頂点で繋がり、前記第1電極及び前記第2電極のうち他方の電極における、前記第3ギャップ部をなす周縁部分が、上記頂点を中心とする円弧の形態を有する静電式液体状態検知センサとするとよい。
【0012】
この発明の静電式液体状態検知センサでは、第1,第2電極の形態が、上述のようにされている。このため、第1,第2電極に、エッチング等でこの第3ギャップ部を形成するに当たって、第1,第2電極のうち、第3ギャップ部をなす円弧の形態を有する周縁部分について、寸法や形状のバラツキを生じにくい。従って、ギャップを介して、第1電極と第2電極との間に、生じるコンデンサの静電容量のバラツキを抑制することができる。
【0013】
また、請求項1に記載の静電式液体状態検知センサであって、前記第1電極及び前記第2電極のうち、前記第3ギャップ部をなして対向する周縁部分同士が、互いに同心円弧の形態を有する静電式液体状態検知センサとするとよい。
【0014】
この発明の静電式液体状態検知センサでは、第1,第2電極の形態が、上述のようにされている。このため、第1,第2電極に、エッチング等でこの第3ギャップ部を形成するに当たって、第1,第2電極のうち、第3ギャップ部をなす同心円弧の形態を有する周縁部分の寸法や形状のバラツキを生じにくい。従って、ギャップを介して、第1電極と第2電極との間に、生じるコンデンサの静電容量のバラツキを抑制することができる。特に、第3ギャップ部をなす周縁部分に角部を有さないので、エッチングの進行度合のわずかな違いで生じる形状のバラツキを抑えられて好ましい。
【0015】
他の解決手段は、液体の液位を検知する静電式液面レベルセンサであって、同一面上に配置された第1液位測定電極、第2液位測定電極であって、互いが、所定の検出ギャップ間隔を有して、水平方向に交差する延伸方向に直線状に延びる延伸ギャップ部及び上記延伸方向と逆の反延伸方向に直線状に延びる反延伸ギャップ部のうち少なくともいずれかを含む検出ギャップを形成して対向する形態となるように配置された第1液位測定電極及び第2液位測定電極と、上記第1液位測定電極及び第2液位測定電極と同一面上に配置された第1基準電極及び第2基準電極であって、上記第1液位測定電極及び第2液位測定電極よりも鉛直方向下方に配置され、互いが、一続きの基準ギャップを形成して対向する形態に配置された第1基準電極及び第2基準電極と、を備え、上記第1基準電極及び第2基準電極は、上記基準ギャップが、上記延伸方向または上記反延伸方向に延び、所定の基準ギャップ間隔を有し、上記延伸方向に直交する横方向に列設された複数の縦ギャップ部と、上記複数の縦ギャップ部のそれぞれについて、一の縦ギャップ部とこれと隣り合う他の一の縦ギャップ部との間を、上記基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を徐々に方向変換して繋ぐ複数の中間基準ギャップ部と、を含む形態とされてなる静電式液面レベルセンサである。
【0016】
この発明の静電式液面レベルセンサでは、第1,第2基準電極の形態が、基準ギャップが複数の縦ギャップ部のほか、所定の基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を徐々に方向変換をする中間基準ギャップ部を含むようにされている。このため、エッチング等で、第1,第2基準電極に、この中間基準ギャップ部を形成するに当たって、第1,第2基準電極のうち、中間基準ギャップ部をなす周縁部分の寸法や形状のバラツキを生じにくい。従って、基準ギャップを介して、第1基準電極と第2基準電極との間に生じる基準コンデンサの静電容量のバラツキを抑制することができる。
【0017】
さらに、本発明のセンサでは、基準ギャップには、検出ギャップと同じ延伸方向または反延伸方向に延び、複数列設された縦ギャップ部と、複数の中間基準ギャップ部とを含む。第1,第2液位測定電極、及び第1,第2基準電極を、同時にエッチングにより形成する場合、エッチング液の液流の方向と基準ギャップや検出ギャップとの方向の関係などのエッチング条件により、エッチングによる電極の寸法精度に方向性が生じる場合がある。例えば、エッチングの際、ギャップのうち延伸方向に延びる部分が、延伸方向に直交する横方向に延びる部分のエッチングよりも進みやすい場合を想定する。この場合には、目標のギャップ寸法(ギャップの幅寸法)が同じであったとしても、延伸方向に延びるギャップの幅寸法の方が、延伸方向に直交する方向に延びるギャップの幅寸法よりも大きくなりがちである。この場合、液面センサの検出ギャップは延伸方向に延びているので、第1,第2液位測定電極間に生じる液位コンデンサの静電容量は、検出ギャップの寸法がちょうど目標のギャップ寸法であった場合に比して相対的に小さな値に偏るため、これが液位測定の誤差要因となる。
【0018】
ところで、本発明の静電式液面レベルセンサは、液位測定に当たり、第1,第2液位測定電極のほかに、これらより鉛直方向下方に第1,第2基準電極を設けたものである。このものでは、第1,第2基準電極で基準ギャップを構成し、これらを液中に浸漬した状態で第1,第2基準電極間に形成される基準コンデンサの静電容量を測定する。そして、この基準コンデンサの静電容量と、第1,第2液位測定電極間に形成される液位コンデンサの静電容量とを比較することで、液体の劣化や液組成などによる比誘電率の変化の影響を除去し、より精度よく液位を測定できるようにしている。
【0019】
このタイプの液面レベルセンサにおいて、第1,第2基準電極で構成される基準ギャップに、検出ギャップと平行な延伸方向及び反延伸方向に延びる縦ギャップ部を設けた場合には、この縦ギャップ部においても、基準ギャップの幅寸法(基準ギャップ間隔)が検出ギャップの幅寸法(検出ギャップ間隔)と同じ方向に偏る(例えば同じく幅寸法が大きくなる)ため、少なくとも縦ギャップ部の存在する分だけ、基準コンデンサの静電容量も、液位コンデンサの静電容量と同じ方向に偏る(例えば小さくなる)こととなる。このため、基準コンデンサの静電容量と、液位コンデンサの静電容量の比較において、エッチングの方向性に起因する誤差要因は小さくできる。つまり、エッチングによる場合の電極の寸法精度に方向性が生じる場合でも、基準ギャップに検出ギャップと同じ延伸方向及び反延伸方向に延びる縦ギャップ部を形成しておくことで、この方向性が液面レベルの測定精度に与える影響を抑制することができる。
【0020】
また、上記の静電式液面レベルセンサであって、前記第1基準電極及び第2基準電極は、前記複数の縦ギャップの前記延伸方向及び反延伸方向の長さを足し合わせた縦ギャップ合計長が、前記基準ギャップの総延長の半分以上となる形態とされてなる静電式液面レベルセンサとするとよい。
【0021】
この発明の静電式液面レベルセンサでは、縦ギャップ部の縦ギャップ合計長が基準ギャップの総延長の半分以上となっている。このため、エッチングの方向性により、第1,第2基準電極の寸法に偏りが生じたとしても、基準コンデンサの静電容量のうち半分以上は、延伸方向に延びる検出ギャップと同じ方向に寸法が偏る縦ギャップ部における電極間容量が占めることとなる。従って、エッチングの方向性に起因する誤差要因はより確実に小さくなるため、液位測定精度の低下をより確実に抑制することができる。
【0022】
また、請求項4または5に記載の静電式液面レベルセンサであって、前記中間基準ギャップ部は、前記基準ギャップ間隔を有して、前記横方向に直線状に延びる横ギャップ部と、上記横ギャップ部の両側に位置し、前記縦ギャップ部と上記横ギャップ部との間を、上記基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を上記延伸方向または反延伸方向から上記横方向に徐々にもしくは上記横方向から上記延伸方向または反延伸方向に方向変換して繋ぐ屈曲ギャップ部とを含み、前記第1基準電極及び前記第2基準電極のうち一方の電極における、上記縦ギャップ部をなす直線状周縁部分と上記横ギャップ部をなす直線状周縁部分とが頂点で交差状に繋がり、前記第1基準電極及び前記第2基準電極のうち他方の電極における、上記屈曲ギャップ部をなす周縁部分は、上記頂点を中心とする円弧の形態を有する静電式液面レベルセンサとするとよい。
【0023】
この発明の静電式液面レベルセンサでは、第1,第2基準電極の形態が、上述のようにされている。このため、第1,第2基準電極に、エッチングでこの屈曲ギャップ部を形成するに当たって、第1,第2基準電極のうち、屈曲ギャップ部をなす円弧の形態を有する周縁部分について、寸法や形状のバラツキを生じにくい。従って、基準ギャップを介して、第1基準電極と第2基準電極との間に生じる基準コンデンサの静電容量のバラツキを抑制することができる。
【0024】
また、請求項4または5に記載の静電式液面レベルセンサであって、前記中間基準ギャップ部は、前記基準ギャップ間隔を有して、前記横方向に直線状に延びる横ギャップ部と、上記横ギャップ部の両側に位置し、前記縦ギャップ部と上記横ギャップ部との間を、上記基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を上記延伸方向または反延伸方向から上記横方向に徐々にもしくは上記横方向から上記延伸方向または反延伸方向に方向変換して繋ぐ屈曲ギャップ部とを含み、前記第1基準電極及び前記第2基準電極のうち、上記屈曲ギャップ部をなして対向する周縁部分同士は、互いに同心円弧の形態を有する静電式液面レベルセンサとするとよい。
【0025】
この発明の静電式液面レベルセンサでは、第1,第2基準電極の形態が、上述のようにされている。このため、第1,第2基準電極に、エッチング等でこの屈曲ギャップ部を形成するに当たって、第1,第2基準電極のうち、屈曲ギャップ部をなす同心円弧の形態を有する周縁部分の寸法や形状のバラツキを生じにくい。従って、基準ギャップを介して、第1基準電極と第2基準電極との間に、生じる基準コンデンサの静電容量のバラツキを抑制することができる。特に、屈曲ギャップ部をなす周縁部分に角部を有さないので、エッチングの進行度合のわずかな違いで生じる形状のバラツキを抑えられて好ましい。
【0026】
また、請求項4または5に記載の静電式液面レベルセンサであって、前記中間基準ギャップ部は、前記複数の縦ギャップ部のうち、一の縦ギャップ部とこれに隣り合う他の縦ギャップ部との間を、上記基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を前記延伸方向及び反延伸方向のうちの一方から他方に徐々に方向変換して繋ぐ半円弧屈曲ギャップ部であり、前記第1基準電極及び前記第2基準電極のうち、上記半円弧屈曲ギャップ部をなして対向する周縁部分同士は、互いに半円で同心円弧の形態を有する静電式液面レベルセンサとするとよい。
【0027】
この発明の静電式液面レベルセンサでは、第1,第2基準電極の形態が、上述のようにされている。このため、第1,第2基準電極に、エッチング等でこの半円弧屈曲ギャップ部を形成するに当たって、第1,第2基準電極のうち、半円弧屈曲ギャップ部をなす同心円弧の形態を有する周縁部分の寸法や形状のバラツキを生じにくい。従って、基準ギャップを介して、第1基準電極と第2基準電極との間に生じる基準コンデンサの静電容量のバラツキを抑制することができる。特に、半円弧屈曲ギャップ部をなす周縁部分に角部を有さないので、エッチングの進行度合のわずかな違いで生じる形状のバラツキを抑えられて好ましい。
【0028】
また、請求項4〜請求項8いずれか一項に記載の静電式液面レベルセンサであって、前記第1基準電極及び第2基準電極は、前記基準ギャップが占める領域の、前記延伸方向の寸法が、前記横方向の寸法よりも小さくなる形態を有する静電式液面レベルセンサとするとよい。
【0029】
静電式液面レベルセンサには、第1,第2液位測定電極間に生じる液位コンデンサの静電容量のみならず基準ギャップを介して、第1基準電極と第2基準電極との間に生じる基準コンデンサの静電容量を用いて、液面レベルの検知を行うものがある。このようなセンサにおいて、精度よく液面レベルの検知を行うため、あるいは液面レベル検知用の検知回路の回路構成部品をできるだけ共用化して検知回路を簡素化するために、液位コンデンサの静電容量と同程度の比較的大きな静電容量を有する基準コンデンサを形成したい場合がある。このように、比較的静電容量の大きい基準コンデンサを形成する場合は、基準ギャップが占める領域が大きくなる。ところで、この領域を大きくするため、例えば、基準ギャップが占める領域のうち延伸方向の寸法を大きくすると、センサの底部から第1,第2液位測定電極までの距離が長くなるため、測定可能な液面レベルの下限値が大きくなってしまうという問題が生じる。
【0030】
これに対し、この発明の静電式液面レベルセンサでは、第1,第2基準電極の形態が、上述のようにされているため、基準コンデンサとして大きな静電容量が必要な場合でも、測定可能な液面レベルの下限値を大きくすることなく、適切な静電容量の基準コンデンサを形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明の実施にかかる静電式液体状態検知センサについて図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0032】
本発明の第1の実施例にかかる液体レベルセンサ1を図1〜図7を参照して説明する。この液体レベルセンサ1は、液体に少なくとも自身の一部を浸漬して、液体または液体を含む空間について、電極とギャップで構成するコンデンサを用いて、液体の状態、例えば、液位、誘電率などを検知するセンサである。この液体レベルセンサ1は、例えば、図3に示すように、自動車エンジンのオイルタンク底部LTに、その軸線AXが鉛直方向Vと一致し、その先端1sが鉛直方向上向きになるように取り付けて使用され、オイルタンク内のオイルOLの液位や誘電率などを検知するのに用いられる。
【0033】
また、この液体レベルセンサ1は、図1及び図2に示すように、樹脂製のベース部材21と、このベース部材21から突出するように配置された略筒状のセンサキャップ11(電極包囲部材)とを含んでいる。中空の構造を有するこのセンサキャップ11は、液位コンデンサCP1及び基準コンデンサCP3をなす第1,第2液位測定電極32,33等を担持するフィルム電極基板31(図4(a)参照)と、このフィルム電極基板31を鉛直方向に保持する基板支持部材41(図7参照)とを包囲している。また、ベース部材21は、基板支持部材41及びセンサキャップ11を支持している。これらをオイルタンク内に挿入した状態でベース部材21をオイルタンク底部LTに固定することで、液体レベルセンサ1がオイルタンクに装着される(図3参照)。
【0034】
まず、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1のうち、フィルム電極基板31について、図4(a)、(b)を参照して説明する。このフィルム電極基板31は、図4(a)に示すように、基端31k(図中下端)から先端31s(図中上端)にかけて、長手方向(図中、上下方向)に順に、比較的幅広の幅広矩形部31h、先細の台形状のテーパ部31p及び比較的幅狭の細長矩形部31nがこの順で並ぶ形状を有している。
【0035】
このうち、樹脂製のフィルム31b、コンデンサの電極をなす導体層31d及び樹脂製のフィルム31cをこの順に積層して形成されている(図4(b)参照)。樹脂製のフィルム31b、31cは、共にポリイミドからなり、導体層31dを、所定の位置に保持すると共に、オイルOLを介した導通(リーク)やオイルOL及び大気による腐食を防止するため、オイルOLや大気から遮断している。
【0036】
また、導体層31dは、銅箔からなり、第1液位測定電極32、第2液位測定電極33、ガード電極37、第1基準電極38及び第2基準電極39を含む。このうち、フィルム電極基板31の鉛直方向Vに延びる形状の第1液位測定電極32は、フィルム電極基板31の細長矩形部31n及びテーパ部31pに配置されており、その電位の取り出し口であって四角形に形成された第1電極端子52tに、第1電極接続線52bを介して接続されている。また、U字状の第2液位測定電極33は、フィルム電極基板31の細長矩形部31n及びテーパ部31pに配置されている。この第2液位測定電極33も、その電位の取り出し口であって四角形に形成された第2電極端子53tと、第2電極接続線53eを介して接続されている。
【0037】
また、フィルム電極基板31の幅方向(図4(a)中、左右方向)において、第1液位測定電極32は、U字状の第2液位測定電極33における直線部分に挟まれた形態で配置されている。また、第1液位測定電極32と第2液位測定電極33とは、互いが、所定の検出ギャップ寸法を有して、水平方向Hに交差する鉛直方向V(上下方向)のうち下方から上方に向う延伸方向E1に直線状に延びる延伸ギャップ部35a及び上方から延伸方向E1とは逆の反延伸方向E2(下方)に直線状に延びる反延伸ギャップ部35bを含む検出ギャップ35を形成して対向する形態に配置されている。従って、第1液位測定電極32と、第2液位測定電極33とは、この検出ギャップ35を介して液位コンデンサCP1を形成している。
【0038】
また、フィルム電極基板31の周縁には、第1,第2液位測定電極32,33等を囲むようにガード電極37が配置され、フィルム電極基板31の基端31kに沿って四角形に形成されたガード電極端子57tに接続されている。
なお、第1電極端子52t、第2電極端子53t、第1基準電極端子58t、第2基準電極端子59t及びガード電極端子57tの中央には、それぞれ、リード端子接続用の円形の貫通孔が設けられている。
【0039】
また、このフィルム電極基板31の先端31s近傍で、幅方向(図中、左右方向)中央に位置する部分には、長手方向に長い楕円状の上部貫通孔31fが設けられている。この上部貫通孔31fは、このフィルム電極基板31を後述の基板支持部材41に組み付けるとき、このフィルム電極基板31の位置決めをし、フィルム電極基板31の先端31s側の部分を浮き上がらないように保持するためのものである。さらに、テーパ部31pにも、フィルム電極基板31の位置決めをするための円形の中央部貫通孔31eが同様に設けられている。
【0040】
また、フィルム電極基板31のうち、第1液位測定電極32及び第2液位測定電極33よりも基端31k側には、クシ歯状の第1基準電極38と第2基準電極39とが、互いに噛み合うようにして、一続きの基準ギャップ60を形成して対向する形態で配置されている。従って、第1基準電極38と、第2基準電極39とは、この基準ギャップ60を介して基準コンデンサCP3を形成している。
また、この第1基準電極38は、この電極の電位の取り出し口であり、四角形に形成された第1基準電極端子58tに、第1基準電極接続線58bを介して接続されている。同様に、第2基準電極39についても、この電極の電位の取り出し口であって四角形に形成された第2基準電極端子59tに、第2基準電極接続線59bを介して接続されている。
【0041】
さらに、第1基準電極38、第2基準電極39及び基準ギャップ60の形状について、具体的に説明する。基準ギャップ60は、図5に示すように、延伸方向E1に延び、所定の基準ギャップ間隔W1を有する縦ギャップ部61a,61c,61eと、反延伸方向E2に延び、所定の基準ギャップ間隔W1を有する縦ギャップ部61b,61d,61fとを含んでいる。さらに、縦ギャップ部61a,61b,61c,61d,61e,61fは、延伸方向E1に直交する横方向Yに、この順で列設されている。また、基準ギャップ60は、縦ギャップ部61a〜61fのうち隣り合う2つの縦ギャップ部の間に位置する中間基準ギャップ部62a〜62eを含んでいる。すなわち、図6に示すように、縦ギャップ部及び中間基準ギャップ部61a,62a,61b,62b,61c,62c,61d,62d,61e,62e,61fが、この順に延びて一連の基準ギャップ60を形成する形態で、第1基準電極38、第2基準電極39が配置されている。
【0042】
次いで、図5のD部分における縦ギャップ部61a,61b及び中間基準ギャップ部62aの関係について図6を参照して説明する。
図6で示される部分では、縦ギャップ部61a、中間基準ギャップ部62a及び縦ギャップ部61bがこの順に延びて繋がる構成となっている。
すなわち、縦ギャップ部61aは、延伸方向E1に延びて、中間基準ギャップ部62aに繋がっている。さらに、この中間基準ギャップ部62aは、基準ギャップ間隔W1を保ちつつ、延び方向を延伸方向E1から横方向Yに、横方向Yから反延伸方向E2に、徐々に方向変換して、縦ギャップ部61bに繋がっている。
【0043】
一方、見方を変えると、図6で示される部分では、縦ギャップ部61a、屈曲ギャップ部64a、横ギャップ部63a、屈曲ギャップ部64b及び縦ギャップ部61bが、この順に延びて繋がる構成となっている。
すなわち、縦ギャップ部61a(第1ギャップ部)は延伸方向E1(第1方向)に直線状に延びて、屈曲ギャップ部64a(第3ギャップ部)に繋がっている。この屈曲ギャップ部64aは、基準ギャップ間隔W1を保ちつつ、延び方向を延伸方向E1から横方向Yに徐々に方向変換して、横ギャップ部63a(第2ギャップ部)に繋がっている。さらに、基準ギャップ間隔W1を有して、延伸方向E1と直交する横方向Y(第2方向)に直線状に延びる横ギャップ部63aは、屈曲ギャップ部64bに繋がっている。またさらに、屈曲ギャップ部64bは、基準ギャップ間隔W1を保ちつつ、延び方向を横方向Yから反延伸方向E2に方向変換して、反延伸方向E2に延びる縦ギャップ部61bに繋がっている。
以上では、縦ギャップ部61a,61bの中間基準ギャップ部62aについて説明したが、図5に示す、他の中間基準ギャップ部62b,62c,62d,62eについても同様である。
【0044】
本実施例1にかかるセンサ1では、図6に示すように、第1基準電極38のうち縦ギャップ部61aをなす直線状周縁部分38bと、横ギャップ部63aをなす直線状周縁部分38cとが頂点38dで交差状に繋がっている。
一方、第2基準電極39のうち屈曲ギャップ部64aをなす周縁部分39sは、頂点38dを中心とする円弧の形態を有している。ところで、エッチングによって、このようなクシ歯状の第1,第2基準電極38,39を形成する際、エッチングの対象物に、角状に周縁が折れ曲がって窪んだ部分を含むと、エッチングの進行度合などにより、これらの部分の形状が大きく変わりやすい。従って、エッチングでこの屈曲ギャップ部64aを形成するに当って、第2基準電極39の周縁部分39sの形状が大きく変わることを抑制している。このため、基準ギャップ60を介して第1基準電極38と第2基準電極39との間に生じる基準コンデンサCP3の静電容量のバラツキを抑えることができ、ひいてはオイルOLの誘電率を検知する精度のバラツキを抑制することができる。
なお、以上では、屈曲ギャップ部64aについて説明したが、屈曲ギャップ部64bなど他の屈曲ギャップ部についても同様である。
【0045】
また、第1,第2基準電極38,39の電極間に形成される基準コンデンサCP3には、縦ギャップ部61a,61bに形成される縦ギャップ部コンデンサCP31a,CP31b、横ギャップ部63aに形成される横ギャップ部コンデンサCP33a等に加え、この屈曲ギャップ部64aにおいて形成される屈曲部コンデンサCP34a,CP34b等も含まれている。本例では、屈曲ギャップ部64a等においても、基準ギャップ間隔W1を保っているので、この屈曲部コンデンサCP34a,CP34bが大きくなり、これらも基準コンデンサCP3の静電容量の大きさに寄与している。従って、このセンサ1では、総延長が短いコンパクトな基準ギャップ60を形成して、必要な基準コンデンサCP3の静電容量を得ているため、より小型なセンサ1とすることができる。
【0046】
次いで、基準ギャップ60の寸法及び鉛直方向Vのギャップの長さについて、図5を参照して説明する。
基準ギャップ60が占める領域の寸法のうち、鉛直方向Vの長さを縦幅V1、水平方向Hの長さを横幅H1とすると、本例では図から判るとおり、縦幅V1と、横幅H1との大きさの関係は約1:2であり、縦幅V1は、横幅H1よりも小さくされている。
また、図から判るとおり、縦ギャップ部61a〜61fを全て足し合わせた縦ギャップ部の合計長は、基準ギャップ60の総延長の長さの約66%を占め、基準ギャップ60の総延長の半分以上の長さとされている。
これらの寸法の関係とした理由は後述する。
【0047】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1のうち基板支持部材41について図7を参照して説明する。この基板支持部材41は、66ナイロンからなり、フィルム電極基板31の周縁を支持可能なように、その平面形状に近似する枠の形状を有している。この基板支持部材41は、互いに内側に突出する一対の突起状の一面側支持部材41b、上部支持ピン41d、中央部支持ピン41e及び下部挟持部41cを含んでいる。
【0048】
また、この基板支持部材41は、フィルム電極基板31をこの基板支持部材41に装着したときに、第1液位測定電極32、第2液位測定電極33、第1基準電極38及び第2基準電極39を覆わない形状とされた内方突出部41fを含む。
この基板支持部材41は、フィルム電極基板31の他面側の一部を、内方突出部41fに当接させると共に、フィルム電極基板31の一面側の一部を、一面側支持部材41bに当接させて、交互に挟み込む形態でフィルム電極基板31を支持する。さらに、この基板支持部材41は、フィルム電極基板31の上部貫通孔31fに上部支持ピン41dを、中央部貫通孔31eに中央部支持ピン41eを、それぞれ貫通させたうえで、超音波溶着により加締め、下部挟持部41cでフィルム電極基板31の基端31kを挟み込むことにより、フィルム電極基板31全体を支持している。
【0049】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1のうち、基板支持部材41で支持されたフィルム電極基板31を包囲するセンサキャップ11について、図1〜図3を参照して説明する。誘電体である66ナイロンからなり、軸線AXが鉛直方向Vと一致するように配置されるセンサキャップ11は、ベース部材21側に位置する基端部11k(図3参照)が開き、先端11sが閉じた筒状の形態を有する。具体的には、このセンサキャップ11は、基端部11k側から先端11sに向けて、幅方向(図1中、左右方向)に比較的幅広い幅広筒部11h、先細形状のテーパ筒部11p及び幅方向に比較的幅狭の細長筒部11nが、この順で構成される形態を有している。
【0050】
また、このセンサキャップ11と、基板支持部材41とは、基板支持部材41の外枠部41gが、細長筒部11nの筒内部に形成された図示しないガイド溝に嵌合して結合している。
【0051】
また、図1に示すように、このセンサキャップ11の基端部11kには、周囲のオイルOLをセンサキャップ11の内外に流通が可能とする下部連通孔11cが形成されている。また、先端11s近傍には、空気抜き(空気流通)のための上部連通孔11bが形成されている。
【0052】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1のうちベース部材21について、図1〜図3を参照して説明する。センサキャップ11を保持すると共に、自身をオイルタンク底部LTに固定するベース部材21は、ベース本体部22と、図示しない外部機器と接続するためのコネクタ端子23cを含むコネクタ部23と、各電極端子53t,58t,57t,52t,59tとコネクタ部23との間に介在する配線基板24とを含んでいる。このうちベース本体部22は、図2に示すようにオイルタンク底部LTに取り付ける際にネジを挿通するための取付ネジ穴22bと、先端1s側(図1中、上方)に突出した形状を有し、センサキャップ11を保持するためのガイド溝22hが内側に形成された取付ガイド部22gを含んでいる。
【0053】
このベース部材21と、センサキャップ11とは、図2に示すように、取付ガイド部22gの内側に形成されたガイド溝22hに、センサキャップ11の外側に形成された突起部11jを嵌合した状態で結合されている。
また、図1及び図3に示すように、第1電極端子52t、第2電極端子53t、ガード電極端子57t、第1基準電極端子58t及び第2基準電極端子59tと、配線基板24とは配線部材24bを介して接続されている。
【0054】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1をオイルタンク底部LTに取り付けてオイルOLの誘電率を検知する方法について説明する。
この液体レベルセンサ1は、図3に示すとおり、軸線AXを鉛直方向Vに一致させ、その先端1sが鉛直方向上向きで、オイルタンク底部LTに、リングパッキン25を介して液密に取り付けられる。なお、この取り付けに当たっては、ベース部材21の取付ネジ穴22bに図示しないネジ部材を挿通し、オイルタンク底部LTに設けられた図示しない雌ネジ穴に締め付けて行う。
【0055】
このようにオイルタンク底部LTに液密に液体レベルセンサ1が取り付けられた状態で、配線基板24上に形成した電圧供給回路から配線部材24bを介して、第1電極端子52t及び第2電極端子53tに交流電圧を印加する。すると、第1液位測定電極32と第2液位測定電極33との間に、図示しない電気力線が発生する。第1液位測定電極32と第2液位測定電極33との間に形成される液位コンデンサCP1の静電容量は、このような電気力線が通る空間の誘電率によって変化する。例えば、液体レベルセンサ1がオイルOLに浸漬された場合、空気にさらされている部分に比して、第1,第2液位測定電極32,33のうちオイルOLに浸されている部分は、鉛直方向の単位長さ当りの静電容量が変化することとなる。このため、液位コンデンサCP1の静電容量は、第1,第2液位測定電極32,33が長手方向についてオイルOLに浸漬されている部分とそうでない部分との割合に応じて変化する。つまり、各電極間の静電容量と、各電極がオイルOLに浸漬されている部分の割合との間には相関関係があるため、各電極間の静電容量に基づいて、各電極がオイルOLに浸漬されている部分の割合(浸漬されている部分の深さ)を求めることができる。かくして、この液体レベルセンサ1では、第1液位測定電極32、第2液位測定電極33により構成された液位コンデンサCP1の静電容量の変化を用いてオイルOLの液位を検知することができる。
【0056】
なお、オイルOLは、経時変化(劣化)によりその特性が変化したり、種類の異なったオイルを混合したりして、当初から存在するオイルに比べると誘電率が変化する場合が多い。このようにオイルOLの誘電率が変化すると、液位コンデンサCP1の静電容量と、液位との間の相関関係も変化するため、オイルOLの液位の測定精度が低下することとなる。
【0057】
本実施例1にかかる液体レベルセンサ1では、上述の第1液位測定電極32、第2液位測定電極33に加えて、第1基準電極38及び第2基準電極39を含んでいる。これらの第1,第2基準電極38,39の電極間には、基準ギャップ60を介在して基準コンデンサCP3が構成される。この基準コンデンサCP3は、常時オイルOLに浸漬される位置に配置されるため、その静電容量を計測することで、この静電容量に基づいてオイルOLの誘電率を計測することができる。そして、これに基づいて、第1液位測定電極32等を用いて測定した液位コンデンサCP1の静電容量を補正し、正しい液位を得ることができる。
【0058】
なお、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1では、上述のように第1,第2基準電極38,39をオイルOL内に浸漬した状態で、基準コンデンサCP3の静電容量を検知することで、液体の誘電率を計測することができる。従って、この基準コンデンサCP3の部分だけを用いて、経時変化によりその特性の変化や、種類の異なったオイルが混合された場合の誘電率の変化を検知するための静電式液体状態検知センサとしても用いることもできる。
【0059】
本実施例1にかかるセンサ1では、第1,第2液位測定電極32,33及び第1,第2基準電極38,39を同時にエッチングにより形成する。この際、エッチング液の液流の方向と基準ギャップ60や検出ギャップ35との方向の関係などにより、エッチングによる電極の寸法精度に方向性が生じる場合がある。
本実施例1にかかるセンサ1では、基準ギャップ60は、検出ギャップ35と平行な延伸方向E1または反延伸方向E2に延びる縦ギャップ部61a〜61fを含んでいる。
例えば、エッチングの際、延伸方向E1(反延伸方向E2)に延びる部分が、横方向Yに延びる部分に比して、エッチングの進行度合が早い場合を想定する。この場合、延伸方向E1、反延伸方向E2に延びる延伸ギャップ部35a、反延伸ギャップ部35bを含む検出ギャップ35は、目標のギャップ寸法よりも大き目になり、液位コンデンサCP1は小さ目になる。また、基準ギャップ60のうち各縦ギャップ部61a〜61fは、基準ギャップ60の横ギャップ部63aなどに比して、目標の基準ギャップ間隔W1よりも大き目に出来上がりがちになる。このため、エッチングによる電極の寸法精度の方向性が生じる場合でも、少なくとも縦ギャップ部61a〜61fの存在する分だけ、基準コンデンサCP3の静電容量も、第1,第2液位測定電極32,33に生じる液位コンデンサCP1の静電容量と同じく小さくなる方向に偏ることとなる。
【0060】
従って、エッチングによる電極の寸法精度の方向性が生じる場合でも、基準コンデンサCP3の静電容量と、液位コンデンサCP1の静電容量との相対的な関係によって、液面レベルの測定精度に与える影響を抑制したセンサ1となっている。
さらに、本実施例1にかかるセンサ1では、前述したように、縦ギャップ部の縦ギャップ合計長が基準ギャップ60の総延長の半分以上とされている。このため、基準コンデンサCP3の静電容量のうち半分以上は、検出ギャップ35と同じ延伸方向E1及び反延伸方向E2に寸法が偏る縦ギャップ部61における電極間容量が占めることとなる。従って、エッチングによる電極の寸法精度の方向性が生じる場合の誤差要因はより確実に小さくなるため、液位測定精度の影響をさらに抑制したセンサ1となっている。
【0061】
また、本実施例1にかかるセンサ1は、精度よく液面レベルの検知を行うため、第1,第2液位測定電極32,33間に生じる液位コンデンサCP1の静電容量と同程度の比較的静電容量の大きな基準コンデンサCP3を形成している。このように、比較的静電容量の大きな基準コンデンサCP3を形成する場合は、基準ギャップ60が占める領域が大きくなる。ところで、この領域を大きくするに当り、例えば、基準ギャップ60が占める領域のうち延伸方向E1または反延伸方向E2(鉛直方向V)の寸法を大きくすると、センサ1の底部(言い換えればオイルタンク底部LT)から第1,第2液位測定電極32,33までの距離が長くなるため、測定可能な液面レベルの下限値が大きくなってしまうという問題が生じる。
【0062】
これに対し、本実施例1にかかるセンサ1では、第1,第2基準電極38,39の形態が、基準ギャップ60が占める領域の、鉛直方向Vの寸法である縦幅V1は、前述したように、水平方向Hの寸法である横幅H1よりも小さくしてある。このため、基準コンデンサCP3として精度を確保するために必要な静電容量の確保しつつ、鉛直方向Vの寸法の増大を抑えて、測定可能な液面レベルの下限値への影響を抑制したセンサ1となっている。
【0063】
次いで、本実施例1にかかる液体レベルセンサ1の製造方法について説明する。まず、液体レベルセンサ1の製造のうち、図4(a)に示すフィルム電極基板31の製造について図4(b)を参照して説明する。
まず、銅箔がその一面に貼り付けられたポリイミド製のフィルム31bに対して、公知のエッチング加工を行い、フィルム31b上に導体層31dが形成された状態とする(図4(b)中、下側部分)。次いで、このフィルム31b及び導体層31dの図中上方向から、他方の予めエポキシ樹脂ペーストEPが塗られたポリイミド製のフィルム31cを貼り付け、これらを接着する。この状態で乾燥した後、上部貫通孔31f、中央部貫通孔31e、第1電極端子52t、第2電極端子53t、ガード電極端子57t、第1基準電極端子58t及び第2基準電極端子59tを公知の方法を用いて、穴開け加工を行い、フィルム電極基板31が完成する。
【0064】
次いで、このフィルム電極基板31を、図7に示すように、基板支持部材41に組付ける。具体的には、フィルム電極基板31の細長矩形部31nを、基板支持部材41の一面側支持部材41bと内方突出部41fとの間に挟み込むと共に、フィルム電極基板31の上部貫通孔31fに、基板支持部材41の上部支持ピン41dを挿通する。また、フィルム電極基板31の幅広矩形部31hの基端31kを基板支持部材41の下部挟持部41cに挟み込むと共に、フィルム電極基板31の中央部貫通孔31eに基板支持部材41の中央部支持ピン41eを挿通し、超音波溶着法を用いて上部支持ピン41d及び中央部支持ピン41eを加締めて、組み付けが完成する。
【0065】
次いで、フィルム電極基板31が組み付けられた基板支持部材41を、図3に示すようにベース部材21に組付ける。具体的には、基板支持部材41の外枠部41gのうち底部(図7中、下方)に設けられた突出部41hと、ベース部材21の図示しない嵌合部とを嵌合させて、基板支持部材41とベース部材21とを結合する。さらに、配線基板24と、フィルム電極基板31の各電極端子53t,58t,57t,52t,59tとを、それぞれ配線部材24bを介して接続させる。なお、配線基板24あるいは電極端子53t,58t,57t,52t,59tと、配線部材24bとの接続は公知のハンダ付けで行う。さらに、配線基板24を覆うように、ベース部材21の下方側に金属蓋を取り付けた後、ベース部材21のうち、オイルタンク底部LTに当接する面に設けられたパッキン組付部21pにリングパッキン25の組付けを行って、液体レベルセンサ1が完成する。
【実施例2】
【0066】
次いで、本実施例2にかかるセンサ101の説明を図3、図4、図8及び図9を参照して行う。このセンサ101は、図4に示すフィルム電極基板131のみが異なり、他の部分は実施例1にかかるセンサ1と同様である。さらに、このフィルム電極基板131は、図8及び図9に示すように、実施例1のフィルム電極基板31と比較すると、Cで示される部分に含まれる第1,第2基準電極138,139の形状のみが異なる。従って、異なる部分のみを説明し、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化する。
【0067】
これらのクシ歯状の第1基準電極138と第2基準電極139とは、図4に示すように、互いに噛み合うようにして、一続きの基準ギャップ160を形成して対向する形態で配置されている。従って、第1基準電極138と、第2基準電極139とは、この基準ギャップ160を介して基準コンデンサCP13を形成している。
また、この第1基準電極138は、この電極の電位の取り出し口であり、四角形に形成された第1基準電極端子58tに、第1基準電極接続線58bを介して接続されている。同様に、第2基準電極139についても、この電極の電位の取り出し口であって四角形に形成された第2基準電極端子59tに、第2基準電極接続線59bを介して接続されている。
【0068】
さらに、第1基準電極138、第2基準電極139及び基準ギャップ160の形状について、具体的に説明する。基準ギャップ160は、図8に示すように、延伸方向E1に延び、所定の基準ギャップ間隔W11を有する縦ギャップ部161a,161c,161eと、反延伸方向E2に延び、所定の基準ギャップ間隔W11を有する縦ギャップ部161b,161d,161fとを含んでいる。さらに、縦ギャップ部161a,161b,161c,161d,161e,161fは、延伸方向E1に直交する横方向Yに、この順で列設されている。また、基準ギャップ160は、縦ギャップ部161a〜161fのうち隣り合う2つの縦ギャップ部の間に位置する中間基準ギャップ部162a〜162eを含んでいる。すなわち、図8に示すように、縦ギャップ部161aの下部(図中、左下)を起点とし、縦ギャップ部及び中間基準ギャップ部161a,162a,161b,162b,161c,162c,161d,162d,161e,162e,161fが、この順に延びて一連の基準ギャップ160を形成する形態で、第1基準電極138、第2基準電極139は配置されている。
【0069】
次いで、図8のE部分における縦ギャップ部161a,161b及び中間基準ギャップ部162aの関係について図9を参照して説明する。
図9で示される部分では、縦ギャップ部161a、中間基準ギャップ部162a及び縦ギャップ部161bがこの順に延びて繋がっている。
すなわち、縦ギャップ部161aは、延伸方向E1に延びて、中間基準ギャップ部162aに繋がっている。さらに、この中間基準ギャップ部162aは、基準ギャップ間隔W11を保ちつつ、延び方向を延伸方向E1から横方向Yに、横方向Yから反延伸方向E2に、徐々に方向変換して、縦ギャップ部161bに繋がっている。
【0070】
一方、見方を変えると、図9で示される部分では、縦ギャップ部161a、屈曲ギャップ部164a、横ギャップ部163a、屈曲ギャップ部164b及び縦ギャップ部161bが、この順に延びて繋がる構成となっている。
すなわち、縦ギャップ部161a(第1ギャップ部)は延伸方向E1(第1方向)に直線状に延びて、屈曲ギャップ部164a(第3ギャップ部)に繋がっている。この屈曲ギャップ部164aは、基準ギャップ間隔W11を保ちつつ、延び方向を延伸方向E1から横方向Yに徐々に方向変換して、横ギャップ部163a(第2ギャップ部)に繋がっている。さらに、基準ギャップ間隔W11を有して、延伸方向E1と直交する横方向Y(第2方向)に直線状に延びる横ギャップ部163aは、屈曲ギャップ部164bに繋がっている。またさらに、屈曲ギャップ部164bは、基準ギャップ間隔W11を保ちつつ、延び方向を横方向Yから反延伸方向E2に方向変換して、反延伸方向E2に延びる縦ギャップ部161bに繋がっている。
以上では、縦ギャップ部161a,161bの中間基準ギャップ部162aについて説明したが、図8に示す、他の中間基準ギャップ部162b,162c,162d,162eについても同様である。
【0071】
本実施例2にかかるセンサ101では、図9に示すように、第1基準電極138及び第2基準電極139のうち屈曲ギャップ部164aをなして対向する第1基準電極138側の周縁部分138sと第2基準電極139側の周縁部分139sとは、互いに同心円弧の形態を有している。このため、エッチングでこの屈曲ギャップ部164aを形成するに当って、第1基準電極138の周縁部分138s及び第2基準電極139の周縁部分139sの形状が大きく変わることが抑制されている。このため、基準ギャップ160を介して、第1基準電極138と第2基準電極139との間に、生じる基準コンデンサCP13の静電容量のバラツキを抑制することができ、ひいてはオイルOLの誘電率を検知する精度のバラツキを抑制することができる。特に、このセンサ101は、屈曲ギャップ部164aが周縁部分138s、139sで構成され、実施例1のセンサ1のように角部を含まないため、エッチングの進行度合のわずかな違いで生じる形状のバラツキがさらに抑えられて好ましい。
なお、以上では、屈曲ギャップ部164aについて説明したが、屈曲ギャップ部164bなど他の屈曲ギャップ部についても同様である。
【0072】
本実施例2にかかるセンサ101では、基準ギャップ160は、検出ギャップ35と平行な延伸方向E1または反延伸方向E2に延びる縦ギャップ部161a,161b,161c,161d,161e,161fを含んでいる。
従って、実施例1のセンサ1と同様に、エッチングによる電極の寸法精度の方向性が生じる場合でも、液面レベルの測定精度に与える影響を抑制したセンサ101となし得る。
【0073】
また、本例では、屈曲ギャップ部164a等においても、基準ギャップ間隔W11を保っているので、第1,第2基準電極138,139の電極間に形成される基準コンデンサCP13には、縦ギャップ部161a,161bに形成される縦ギャップ部コンデンサCP131a,CP131b、横ギャップ部163aに形成される横ギャップ部コンデンサCP133a等に加え、この屈曲ギャップ部164a,164bにおいて形成される屈曲部コンデンサCP134a,CP134b等を含んでいる。この屈曲部コンデンサCP134a,CP134bも基準コンデンサCP13の静電容量の大きさに寄与している。従って、このセンサ101では、総延長が短いコンパクトな基準ギャップ160を形成して、必要な基準コンデンサCP13の静電容量を得ているため、より小型なセンサ101となし得る。
【実施例3】
【0074】
次いで、本実施例3にかかるセンサ201の説明を図3、図4、図10及び図11を参照して行う。このセンサ201は、図4に示すフィルム電極基板231のみが異なり、他の部分は実施例1にかかるセンサ1と同様である。さらに、フィルム電極基板231は、図10及び図11に示すように、実施例1のフィルム電極基板31と比較すると、Cで示される部分に含まれる第1,第2基準電極238,239の形状のみが異なる。従って、異なる部分のみを説明し、同様な部分の説明は省略あるいは簡略化する。
【0075】
これらのクシ歯状の第1基準電極238と第2基準電極239とは、図4に示すように、互いに噛み合うようにして、一続きの基準ギャップ260を形成して対向する形態で配置されている。従って、第1基準電極238と、第2基準電極239とは、この基準ギャップ260を介して基準コンデンサCP23を形成している。
また、この第1基準電極238は、この電極の電位の取り出し口であり、四角形に形成された第1基準電極端子58tに、第1基準電極接続線58bを介して接続されている。同様に、第2基準電極239についても、この電極の電位の取り出し口であって四角形に形成された第2基準電極端子59tに、第2基準電極接続線59bを介して接続されている。
【0076】
このうち第1基準電極238、第2基準電極239及び基準ギャップ260の形状について、具体的に説明する。基準ギャップ260は、図10に示すように、延伸方向E1に延び、所定の基準ギャップ間隔W21を有する縦ギャップ部261a,261c,261eと、反延伸方向E2に延び、所定の基準ギャップ間隔W21を有する縦ギャップ部261b,261d,261fとを含んでいる。さらに、縦ギャップ部261a,261b,261c,261d,261e,261fは、延伸方向E1に直交する横方向Yに、この順で列設されている。また、基準ギャップ260は、縦ギャップ部261a〜261fのうち隣り合う2つの縦ギャップ部の間に位置する中間基準ギャップ部262a〜262eを含んでいる。すなわち、図10に示すように、縦ギャップ部及び中間基準ギャップ部261a,262a,261b,262b,261c,262c,261d,262d,261e,262e,261fが、この順に延びて一連の基準ギャップ260を形成する形態で、第1基準電極238、第2基準電極239が配置されている。
【0077】
次いで、図10のF部分における縦ギャップ部261a,261b及び中間基準ギャップ部262aの関係について図11を参照して説明する。
図11で示される部分では、縦ギャップ部261a、半円弧屈曲ギャップ部263a(中間基準ギャップ部262a)及び縦ギャップ部261bがこの順に延びて繋がる構成となっている。
すなわち、縦ギャップ部261aは、延伸方向E1に延びて、半円弧屈曲ギャップ部263aに繋がっている。さらに、この半円弧屈曲ギャップ部263aは、基準ギャップ間隔W21を保ちつつ、延び方向を延伸方向E1から反延伸方向E2に、徐々に方向変換して縦ギャップ部61bに繋がっている。
以上では、縦ギャップ部261a,261bの中間基準ギャップ部262aについて説明したが、図10に示す、他の中間基準ギャップ部262b,262c,262d,262eについても同様である。
【0078】
本実施例3にかかるセンサ201では、図11に示すように、第1基準電極238及び第2基準電極239のうち半円弧屈曲ギャップ部263a(中間基準ギャップ部262a)をなして対向する第1基準電極238側の周縁部分238s及び第2基準電極239側の周縁部分239sは、互いに同心円弧の形態を有している。このため、エッチングでこの半円弧屈曲ギャップ部263aを形成するに当って、第1基準電極238の周縁部分238s及び第2基準電極239の周縁部分239sの形状が大きく変わることを抑制している。このため、基準ギャップ260を介して、第1基準電極238と第2基準電極239との間に、生じる基準コンデンサCP23の静電容量のバラツキを抑制することができ、ひいてはオイルOLの誘電率を検知する精度のバラツキを抑制することができる。特に、このセンサ201は、半円弧屈曲ギャップ部263aが周縁部分238s、239sで構成され、実施例1のセンサ1のように角部を含まないため、エッチングの進行度合のわずかな違いで生じる形状のバラツキがさらに抑えられて好ましい。
なお、以上では、半円弧屈曲ギャップ部263aについて説明したが、他の屈曲ギャップ部についても同様である。
【0079】
本実施例3にかかるセンサ201では、基準ギャップ260は、検出ギャップ35と平行な延伸方向E1または反延伸方向E2に延びる縦ギャップ部261a,261b,261c,261d,261e,261fを含んでいる。
従って、実施例1のセンサ1と同様に、エッチングによる電極の寸法精度の方向性が生じる場合でも、液面レベルの測定精度に与える影響を抑制したセンサ201となし得る。
【0080】
また、本例では、半円弧屈曲ギャップ部263a等においても、基準ギャップ間隔W21を保っているので、第1,第2基準電極238,239の電極間に形成される基準コンデンサCP23には、縦ギャップ部261a,261bに形成される縦ギャップ部コンデンサCP231a,CP231b等に加え、この半円弧屈曲ギャップ部263aにおいて形成される半円弧屈曲部コンデンサCP233a等を含んでいる。この半円弧屈曲部コンデンサCP233aも基準コンデンサCP23の静電容量の大きさに寄与している。従って、このセンサ201では、総延長が短いコンパクトな基準ギャップ260を形成して、必要な基準コンデンサCP23の静電容量を得ているため、より小型なセンサ201となし得る。
【0081】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1〜3にかかるセンサは、オイルOLの液面レベルを測定するのに用いたが、基準電極部分を液体に浸漬することで、液体の誘電率を測定する液体状態検出センサとして使用してもよい。
また、実施例1〜3にかかるセンサでは、延伸方向E1、反延伸方向E2は鉛直方向Vにされているが、延伸方向E1、反延伸方向E2は、水平方向Hと交わる斜め方向に沿う方向としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】実施例1にかかる液体レベルセンサの正面図である。
【図2】実施例1にかかる液体レベルセンサの平面図である。
【図3】実施例1にかかる液体レベルセンサを自動車エンジンのオイルタンクに取り付けた状態の説明図であり、図2におけるAA縦断面図である。
【図4】実施例1にかかる液体レベルセンサのうちフィルム電極基板の説明図であり、(a)はフィルム電極基板の平面図、(b)はフィルム電極基板の製造を説明するBB断面図である。
【図5】実施例1にかかる液体レベルセンサのうち各基準電極を示す説明図であり、図4におけるC部分の拡大図である。
【図6】実施例1にかかる液体レベルセンサのうち各基準電極を示す説明図であり、各基準電極とギャップ部との関係を示す図5におけるD部分の拡大図である。
【図7】実施例1にかかる液体レベルセンサのうち電極支持部材にフィルム電極基板を組付けた状態を示す斜視図である。
【図8】実施例2にかかる液体レベルセンサのうち各基準電極を示す説明図であり、図4におけるC部分の拡大図である。
【図9】実施例2にかかる液体レベルセンサのうち各基準電極を示す説明図であり、各基準電極とギャップ部との関係を示す図8におけるE部分の拡大図である。
【図10】実施例3にかかる液体レベルセンサのうち各基準電極を示す説明図であり、図4におけるC部分の拡大図である。
【図11】実施例3にかかる液体レベルセンサのうち各基準電極を示す説明図であり、各基準電極とギャップ部との関係を示す図10におけるF部分の拡大図である。
【符号の説明】
【0083】
1,101,201 センサ
31,131,231 フィルム電極基板
32 第1液位測定電極
33 第2液位測定電極
35 検出ギャップ
38,138,238 第1基準電極(第1電極)
39,139,239 第2基準電極(第2電極)
60,160,260 基準ギャップ(ギャップ)
61a〜61f,161a〜161f,261a〜261f 縦ギャップ部
62a〜62e,162a〜162e,262a〜262e 中間基準ギャップ部
63a,163a 横ギャップ部
263a 半円弧屈曲ギャップ部
64a,64b,164a,164b 屈曲ギャップ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体の状態を検知する静電式液体状態検知センサであって、
同一面上に配置された第1電極及び第2電極であって、
互いが、一続きのギャップを形成して対向する形態に配置された第1電極及び第2電極を備え、
上記第1電極及び第2電極は、
上記ギャップが、
所定のギャップ間隔を有して、第1方向に直線状に延びる第1ギャップ部と、
上記ギャップ間隔を有して、上記第1方向とは異なる第2方向に直線状に延びる第2ギャップ部と、
上記第1ギャップ部と第2ギャップ部との間を、上記ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を上記第1方向から上記第2方向に徐々に方向変換して繋ぐ第3ギャップ部と、を含む
形態とされてなる
静電式液体状態検知センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記第2ギャップ部が延びる前記第2方向は、前記第1方向と交差する方向であり、
前記第1電極及び前記第2電極のうち一方の電極における、上記第1ギャップ部をなす直線状周縁部分と上記第2ギャップ部をなす直線状周縁部分とが頂点で繋がり、
前記第1電極及び前記第2電極のうち他方の電極における、前記第3ギャップ部をなす周縁部分が、上記頂点を中心とする円弧の形態を有する
静電式液体状態検知センサ。
【請求項3】
請求項1に記載の静電式液体状態検知センサであって、
前記第1電極及び前記第2電極のうち、前記第3ギャップ部をなして対向する周縁部分同士が、互いに同心円弧の形態を有する
静電式液体状態検知センサ。
【請求項4】
液体の液位を検知する静電式液面レベルセンサであって、
同一面上に配置された第1液位測定電極、第2液位測定電極であって、
互いが、所定の検出ギャップ間隔を有して、水平方向に交差する延伸方向に直線状に延びる延伸ギャップ部または上記延伸方向及びこれと逆の反延伸方向に直線状に延びる反延伸ギャップ部を含む検出ギャップを形成して対向する形態となるように配置された第1液位測定電極及び第2液位測定電極と、
上記第1液位測定電極及び第2液位測定電極と同一面上に配置された第1基準電極及び第2基準電極であって、
上記第1液位測定電極及び第2液位測定電極よりも鉛直方向下方に配置され、
互いが、一続きの基準ギャップを形成して対向する形態に配置された第1基準電極及び第2基準電極と、を備え、
上記第1基準電極及び第2基準電極は、
上記基準ギャップが、
上記延伸方向または上記反延伸方向に延び、所定の基準ギャップ間隔を有し、上記延伸方向に直交する横方向に列設された複数の縦ギャップ部と、
上記複数の縦ギャップ部のそれぞれについて、一の縦ギャップ部とこれと隣り合う他の一の縦ギャップ部との間を、上記基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を徐々に方向変換して繋ぐ複数の中間基準ギャップ部と、を含む
形態とされてなる
静電式液面レベルセンサ。
【請求項5】
請求項4に記載の静電式液面レベルセンサであって、
前記第1基準電極及び第2基準電極は、
前記複数の縦ギャップの前記延伸方向及び反延伸方向の長さを足し合わせた縦ギャップ合計長が、前記基準ギャップの総延長の半分以上となる
形態とされてなる
静電式液面レベルセンサ。
【請求項6】
請求項4または5に記載の静電式液面レベルセンサであって、
前記中間基準ギャップ部は、
前記基準ギャップ間隔を有して、前記横方向に直線状に延びる横ギャップ部と、
上記横ギャップ部の両側に位置し、前記縦ギャップ部と上記横ギャップ部との間を、上記基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を上記延伸方向または反延伸方向から上記横方向に徐々にもしくは上記横方向から上記延伸方向または反延伸方向に方向変換して繋ぐ屈曲ギャップ部とを含み、
前記第1基準電極及び前記第2基準電極のうち一方の電極における、
上記縦ギャップ部をなす直線状周縁部分と上記横ギャップ部をなす直線状周縁部分とが頂点で交差状に繋がり、
前記第1基準電極及び前記第2基準電極のうち他方の電極における、上記屈曲ギャップ部をなす周縁部分は、上記頂点を中心とする円弧の形態を有する
静電式液面レベルセンサ。
【請求項7】
請求項4または5に記載の静電式液面レベルセンサであって、
前記中間基準ギャップ部は、
前記基準ギャップ間隔を有して、前記横方向に直線状に延びる横ギャップ部と、
上記横ギャップ部の両側に位置し、前記縦ギャップ部と上記横ギャップ部との間を、上記基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を上記延伸方向または反延伸方向から上記横方向に徐々にもしくは上記横方向から上記延伸方向または反延伸方向に方向変換して繋ぐ屈曲ギャップ部とを含み、
前記第1基準電極及び前記第2基準電極のうち、上記屈曲ギャップ部をなして対向する周縁部分同士は、互いに同心円弧の形態を有する
静電式液面レベルセンサ。
【請求項8】
請求項4または5に記載の静電式液面レベルセンサであって、
前記中間基準ギャップ部は、
前記複数の縦ギャップ部のうち、一の縦ギャップ部とこれに隣り合う他の縦ギャップ部との間を、上記基準ギャップ間隔を保ちつつ、延び方向を前記延伸方向及び反延伸方向のうちの一方から他方に徐々に方向変換して繋ぐ半円弧屈曲ギャップ部であり、
前記第1基準電極及び前記第2基準電極のうち、上記半円弧屈曲ギャップ部をなして対向する周縁部分同士は、互いに半円で同心円弧の形態を有する
静電式液面レベルセンサ。
【請求項9】
請求項4〜請求項8いずれか一項に記載の静電式液面レベルセンサであって、
前記第1基準電極及び第2基準電極は、前記基準ギャップが占める領域の、前記延伸方向の寸法が、前記横方向の寸法よりも小さくなる形態を有する
静電式液面レベルセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−105923(P2006−105923A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−296565(P2004−296565)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000004547)日本特殊陶業株式会社 (2,912)
【Fターム(参考)】