説明

非接触型ICタグ及び非接触型ICタグの製造方法

【課題】折り畳むことにより、通信距離(長距離/近接距離)の性能を変えることを可能とする非接触型ICタグ等を提供する。
【解決手段】非接触型ICタグ1は、ベースフィルム2上に配設されたループアンテナ4と、ループアンテナ4に接続するICチップ3とで形成されるインレット10と、整合しない所定距離離れた位置に配置され、更に折り畳み位置8で折り畳むことにより、ループアンテナ4に近接する位置に配置される2次アンテナ5と、を備える。非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aは、2次アンテナ5が機能せずに、近接距離からの読み取り/書き込みを行う。非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)1bは、折り畳むことにより2次アンテナ5がループアンテナ4に近接する位置に配置され、長距離からの読み取り/書き込みを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非接触情報通信を行う非接触型IC(Integrated Circuit)タグに係り、特に、ループアンテナと2次アンテナから形成される非接触型ICタグ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、製造等の工場での工程管理、物流管理、流通分野等において、リーダライタと非接触で交信して、情報記憶、表示に使用する非接触型ICタグが、ICタグラベル、荷物、ケースに取り付ける荷札等として、広範囲な用途に利用されている。
【0003】
また、近年、従来からの13.56MHz帯もしくはマイクロ波帯(2.45GHz)の非接触ICタグに加えて、わが国でも法改正によりUHF帯(952M〜955MHz)を使用することが可能になり、UHF帯非接触ICタグの実用化が図られている。
UHF帯ICタグは、電磁誘導方式の13.56MHz帯の非接触ICタグに比べて遠距離(3〜5メートル)からの一括読み取りが可能である。また、マイクロ波帯ICタグも1〜1.5メートルの距離の通信が可能であり、今後、それらの特徴を活かした用途での普及が見込まれている。
【0004】
ところで、近年、外部リーダライタと無線通信によりデータの送受信を行なう商品の管理や情報表示に使用する非接触型ICタグが広く使用されている。
例えば、デパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストアなどの店舗の商品売場において、商品棚に陳列された商品の中から、買物客がどの商品を手に取ったのかを調査するマーケティングシステムや、商品の配送および在庫管理を行う在庫管理システム等が数多く存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、このような従来のマーケティングシステムや在庫管理システムにおいて、一般に、商品棚に陳列された商品の調査や、倉庫の商品の在庫管理では、据え置き型リーダを用いて複数の商品のICタグを一括読み取りする場合は、ICタグの通信距離がある程度長い(数メートル)ことが好ましい。また、商品購入時、レジカウンタで商品の値札のICタグを読み取る場合、ハンディ型リーダを用いて数cm程度の距離から読み取れればよい。すなわち、使用する用途に応じて、ICタグの通信距離の性能を切り替えられることが要望されていた。
【0006】
このような問題を解消する方法として、切断前においては、比較的広いアンテナ面積で動作し、ゲートでの一括読み取りに適し、切断後は小型半波長ダイポールアンテナとして動作し、値札等の用途としてハンディ型リーダで読み取るのに適した非接触型ICタグが存在する(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2005−92376号公報
【特許文献2】特願2006−354240号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
更に、非接触型ICタグを使用する用途に応じて、商品、荷物、パッケージ等の対象物に付与したタグに対して、ハンディ型リーダライタを用いて比較的小さい通信距離での読取り/書込みを行い、次のステップで、複数の対象物に対して、据え置き型リーダで長距離通信による一括読取りを行う場合がある。また、逆に、店舗等において、商品棚に陳列された複数の商品の値札のICタグを長距離通信による一括読取りを行い、消費者により商品が購入される際、レジカウンタでのハンディ型リーダを用いた当該ICタグを読み取る場合もある。このように、一連の運用の中で様々な使い方が想定され、用途に応じて通信距離の性能を切り替えることが要望されている。
【0009】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、折り畳むことにより、通信距離(長距離/近接距離)の性能を変えることを可能とする非接触型ICタグ等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために第1の発明は、ベースフィルム基材上に配設されたループアンテナと、前記ループアンテナに接続するICチップとで形成されるインレットと、前記ループアンテナと、整合しない所定距離離れた位置に配置された2次アンテナと、を備えた非接触型ICタグであって、前記非接触型ICタグを折り畳んでいない状態では近接距離からの読み取り/書き込みを行い、前記非接触型ICタグを折り畳むことにより、前記2次アンテナを前記ループアンテナに近接させ、通信距離を伸ばすことを特徴とする非接触型ICタグである。
【0011】
また、折り畳み位置で折り畳むことにより、前記2次アンテナが前記ループアンテナに近接する位置に平行に配置されるように当該折り畳み位置は設けられることが望ましい。
また、記2次アンテナは、前記インレットと並置する部分が直線形状であることが望ましい。
また、前記2次アンテナは、前記ループアンテナ側又は前記ループアンテナ反対側の面に、前記ループアンテナのいずれかの一辺に平行に配置することが望ましい。
【0012】
「ICチップ」は、制御部、情報記憶のためのメモリ部、非接触型IC無線通信部等を備えるものである。
「インレット」は、外装基材を配設する前の、一次加工部材である。
「整合」は、インピーダンスの整合であり、ループアンテナに接続するICチップのインピーダンスと2次アンテナのインピーダンスを合わせるにより、受信電力が最大になる。
【0013】
第1の発明による非接触型ICタグは、ベースフィルム基材上に配設されたループアンテナと、ループアンテナに接続するICチップとで形成されるインレットと、ループアンテナと、整合しない所定距離離れた位置に配置された2次アンテナと、を備えた非接触型ICタグであって、非接触型ICタグを折り畳んでいない状態では近接距離からの読み取り/書き込みを行い、非接触型ICタグを折り畳むことにより、2次アンテナを前記ループアンテナに近接させ、通信距離を伸ばす。
【0014】
第1の発明では、ICタグに折り畳み位置を設け、当該折り畳み位置から折り畳むと、ループアンテナと2次アンテナが近接した位置に配置され、2次アンテナとICチップとのインピーダンスの整合が得られ、ループアンテナの利得が向上して通信距離を伸ばすことができる。また、折り畳んでない状態では、ループアンテナと、整合しないよう所定距離離れた位置に配置された2次アンテナとが配置され、近接距離からリードライトし易いICタグとなる。
更に、紙基材にICチップ記録内容と共通の商品管理事項を記録が可能となる。
また、折り畳み位置が、基材を2つに折り畳んだ際に基材が重ならない位置に形成されているので、基材を折り畳む際でも、簡単に正確に折り畳むことができるという効果がある。
【0015】
また、第2の発明は、ベースフィルム基材上に配設された前記ループアンテナと、前記ループアンテナに接続するICチップとで形成されるインレットを形成する工程(a)と、前記ベースフィルム基材上のインレットと、整合しない所定距離離れた位置に前記2次アンテナを配置する工程(b)と、周りに表面保護基材を設ける工程(c)と、前記表面保護基材上に、折り畳むことにより前記2次アンテナを前記ループアンテナに近接させる折り畳み位置を印字する工程(d)と、を具備することを特徴とする非接触型ICタグの製造方法である。
【0016】
第2の発明は、第1の発明の非接触型ICタグの製造方法に関する発明である。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、折り畳むことにより通信距離(長距離/近接距離)の性能を変えることを可能とする非接触型ICタグ等を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、添付図面を参照しながら、本発明に係る非接触型ICタグの好適な実施形態について詳細に説明する。尚、以下の説明および添付図面において、略同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略することにする。
【0019】
図1は、第1の実施の形態に係る非接触型ICタグ1を示す図であり、図1(a)は、本実施の形態に係る非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aを示す平面図であり、図1(b)は非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)1bの平面図である。図2(a)は、非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aの平面図であり、図2(b)は、図2(a)のX1−X2側からみた非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aの概略断面図である。
【0020】
図1は、非接触型ICタグ1の一例であり、図1(a)に示すように、非接触型ICタグ1は、ベースフィルム2、ICチップ3、ループアンテナ4、2次アンテナ5、折り畳み位置8等を備える。
【0021】
非接触型ICタグ1は、ベースフィルム2の上に、略四角状に巻くループ形状のループアンテナ4を配設し、該ループアンテナ4に電気的に接続したICチップ3とから非接触型ICタグ1のインレット10を形成する。インレット10の上面のループアンテナ4から、所定距離離れた位置にインレット10と並置する部分が直線形状の2次アンテナ5を配置する。2次アンテナ5は、ループアンテナ4の外周のいずれかの一辺から整合しない所定距離離れた位置(3mm以上)に、更に、折り畳み位置8を介して、折り畳むことにより2次アンテナ5がループアンテナ4に近接する位置(1mm〜3mm)に平行に配置されるように配設する。
【0022】
例えば、図2(a)に示すように、非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aは、ループアンテナ4の外周から折り畳み位置8までの長さと折り畳み位置8から2次アンテナ5までの長さを等しくなる(Amm)位置に折り畳み位置8、2次アンテナ5が設けられ、折り畳むことにより、インレット10の裏面に2次アンテナ5が重ねられた状態で配置され、ベースフィルム2の厚み(1mm以下)が考慮され、2次アンテナ5がループアンテナ4に近接する位置(0mm〜2mm)に配置される。
【0023】
図2(b)に示すように、非接触型ICタグ1aは、ベースフィルム2、ICチップ3、ループアンテナ4等とで形成されるインレット10、2次アンテナ5、接着層6、表面保護フィルム7等の層構成となっている。ベースフィルム2、ICチップ3、ループアンテナ4等とで形成されたインレット10のベースフィルム2のループアンテナ4側の面の外周のいずれかの一辺から整合しない所定距離離れた位置に2次アンテナ5を配置し、接着層6を介して、白色フィルム/紙基材からなる表面保護フィルム7により被覆されている。
【0024】
非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aは、2次アンテナ5が機能せずに、近接距離からの読み取り/書き込みを行う。非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)1bは、折り畳むことにより、2次アンテナ5がループアンテナ4に近接する位置(0mm〜2mm)に配置され、2次アンテナ5とICチップ3とのインピーダンスが整合され、長距離からの読み取り/書き込みを行う。
【0025】
次に、図3、図4を参照しながら、本実施形態の非接触型ICタグ1の製造方法について説明する。
図3は、非接触型ICタグ1の製造方法を示すフローチャートである。
図4は、非接触型ICタグ1の製造過程の断面図であり、図4(a)は、非接触型ICタグ1のインレット10の断面図であり、図4(b)は、非接触型ICタグ1のインレット10に2次アンテナ5配置後の断面図であり、図4(c)は、表面保護フィルムラミネート後の非接触型ICタグ1の断面図である。図4(d)は、表面基材上に目視情報が印字された非接触型ICタグ1の断面図である。
【0026】
まず、図4(a)に示すように、ベースフィルム2上に、ループアンテナ4を配設し、ループアンテナ4に電気的に接続したICチップ3とから非接触ICタグ1のインレット10を形成する(ステップS301)。
【0027】
次に、図4(b)に示すように、ベースフィルム2上のループアンテナ4のいずれかの一辺から、所定距離離れた位置(3mm以上)に平行に、更に、折り畳み位置8を考慮しながら、折り畳んだ状態で2次アンテナ5がループアンテナ4に交わらず、近接する位置(1mm〜3mm)を配設する(ステップS302)。
【0028】
次に、図4(c)に示すように、白色フィルム/紙基材からなる表面保護フィルム7を、接着剤からなる接着層7を介して形成したインレット10のICチップ3側の上面全体にラミネートする(ステップS303)。
【0029】
次に、図4(d)に示すように、ラベルプリンタ等により目視情報13(例えば、商品管理情報)及び折り畳み位置8に相当する折り畳み線12を白色フィルム/紙基材からなる表示保護フィルム7の表面に印字し、印字層9を形成する(ステップS304)。
【0030】
図5(a)は、表面保護フィルム7上に目視情報13が印字された非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aの平面図であり、図5(b)は、表面保護フィルム7上に目視情報13が印字された非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)1bの平面図である。
【0031】
図5(a)に示すように、表面保護フィルム7上に目視情報13が印字された非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aは、形成したインレット10、2次アンテナ5を被覆した白色フィルム、紙基材等の表面保護フィルム7の表面に折り畳み線12とその両側に目視情報13、13´を印字する。目視情報13、13´は、ICチップ3のメモリに記録されている内容と少なくとも一部が共通な情報が印字されている。例えば、商品管理情報であって、品番、商品名、製造メーカ名、サイズ、形状、価格等やその他の効能書きの情報である。
【0032】
図5(b)に示すように、折り畳んだ状態の非接触型ICタグ1bは、2次アンテナ5をICチップ3に近接させ、ハンディ型リーダライタを用いて比較的小さい通信距離での読取り/書込みを行う。表面保護フィルム7上の折り畳み線12の片側に印字された目視情報13´は裏面に折り畳まれる。
【0033】
インレット10の基材であるベースフィルム2としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET−G(テレフタル酸−シクロヘキサンジメタノール−エチレングリコール共重合体)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)、PA(ポリアミド)、PPS(ポリフェニレンサルフイド)、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポリスチレン系、ABS、ポリアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリウレタン等の素材が使用される。
【0034】
ループアンテナ4、2次アンテナ5としては、導体線であり、アルミニウム、銀ペースト等の素材が使用される。
【0035】
また、表面保護フィルム7としては、白色フィルム、紙基材等が使用される。白色フィルムとしては、上記ベースフィルム2に挙げたものが使用でき、紙基材としては、上質紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、ラテックスやメラミン含浸紙等が使用できる。
【0036】
次に、非接触型ICタグ1を用いた運用形態として、店舗における商品管理システム60と配送センタにおける宅配管理システム70の一例を説明する。
【0037】
図6は、非接触型ICタグ1を用いた商品管理システム60の概略構成を示す図である。
図6に示すように、商品管理システム60は、商品31が商品棚33に陳列されてから販売されるまでの動向を管理し、購入する商品31の決済処理を行う。
店舗37内の各商品棚33に複数の商品31を陳列されており、各商品31に当該商品情報を記憶した非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)1bを値札として付けておく。各商品棚33に据付型のタグリーダ32を設置する。各商品棚33毎に備えられる据付型のタグリーダ32を用いて、当該商品棚33の複数の商品31に付した非接触型ICタグ1bを長距離からの一括読み取りを行い(ステップS61)、コンピュータ(図示せず)は、読み取った商品情報を受け取り、陳列されている商品31の管理を行う。
また、商品購入時、レジカウンタにおいて、購入される商品31に付された非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)1bを開き、非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aを、POS端末35に接続されるハンディ型タグリーダ34を用いて、近接距離からの読み取りを行い(ステップS62)、読み取った商品情報を基に商品31の決済処理を行う。
【0038】
図7は、非接触型ICタグ1を用いた宅配管理システム70の概略構成を示す図である。
図7に示すように、宅配管理システム70は、入力された荷主情報や送付先情報等の宅配伝票情報を非接触型ICタグ11に書き込み、荷物41に貼付する配送受付処理、及び配送センタ内の配送、回収する荷物の管理を行う。配送受付センタ49のコンピュータ43は、配送受付に対する伝票情報を入力、取得し、タグプリンタ44(又はタグリーダライタ)を用いて、配送ラベルの表面に取得した伝票情報を印字と共に、配送ラベルである非接触型ICタグ(折り畳まない状態)11aに近接距離からの書き込みを行う(ステップS71)。書き込まれた非接触型ICタグ11aを、折り畳み線12を介して折り畳み、非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)11bを配送する荷物41に貼り付ける。貼り付けられた荷物41を配送センタ48に送る。
配送センタ48に載置されている複数の荷物41に対して、据付型のタグリーダ32を用いて、複数の荷物41に付した非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)11bを長距離からの一括読み取りを行い(ステップS72)読み取った伝票情報を基に、配送管理を行う。
【0039】
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、非接触型ICタグ1は、ベースフィルム2上に配設されたループアンテナ4と、ループアンテナ4に接続するICチップ3とで形成されるインレット10と、所定距離離れた位置に配置された2次アンテナ5と、を備える。2次アンテナ5は、ループアンテナ4の外周のいずれかの一辺から整合しない所定距離離れた位置に、更に、折り畳み位置8で折り畳むことにより、2次アンテナ5がループアンテナ4に近接する位置に配置する。非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aは、2次アンテナ5が機能せずに、近接距離からの読み取り/書き込みを行う。非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)1bは、折り畳むことにより、2次アンテナ5がループアンテナ4に近接する位置に配置され、長距離からの読み取り/書き込みを行う。
【0040】
これにより、ICタグに折り畳み位置を設け、当該折り畳み位置から折り畳むと、ループアンテナと2次アンテナが近接した位置に配置され、2次アンテナとICチップとのインピーダンスの整合が得られ、ループアンテナの利得が向上して通信距離を伸ばすことができる。また、折り畳んでいない状態では、ループアンテナと、整合しないよう所定距離離れた位置に配置された2次アンテナとが配置され、近接距離からの読み取り/書き込みし易いICタグとなる。
更に、紙基材にICチップ記録内容と共通の商品管理事項を記録が可能となる。
また、折り畳み位置が、基材を2つに折り畳んだ際に基材が重ならない位置に形成されているので、基材を折り畳む際でも、簡単に正確に折り畳むことができるという効果がある。
尚、本実施の形態では、商品に付する値札や荷物に貼り付ける宅配伝票等に非接触型ICタグ1を用いた実施例を説明したが、これらに限らず、例えば、親展はがきに非接触型ICタグ1を貼り付け、使用用途に応じて、折り畳むことにより通信距離の性能を変化させてもよい。
【0041】
次に、第2の実施の形態の非接触型ICタグ21について説明する。
図6は、第2の実施の形態に係る非接触型ICタグ21を示す図である。図6(a)は、本実施の形態に係る非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)21aを示す平面図であり、図6(b)は非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)21bの平面図である。
【0042】
尚、以下では、前述した第1の実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。非接触型ICタグ21(折り畳んでいない状態)21aは、本体部14、折り返し部15、蓋部16からなる。本体部14にインレット10を形成し、折り畳み位置8を介して、蓋部16に2次アンテナ5を配設する。図6(b)に示すように、非接触型ICタグ21は、折り畳み位置8を介して、蓋部16を折り畳み可能とし、折り返し部14に係止される。第1の実施の形態の非接触型ICタグ1同様、非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)21aは、2次アンテナ5が機能せずに、近接距離からの読み取り/書き込みを行い、非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)21bは、折り畳むことにより、2次アンテナ5がループアンテナ4に近接する位置に配置され、長距離からの読み取り/書き込みを行う。
従って、蓋部16が折り重ねられて折り返し部14に係止されることによりインレット10及び2次アンテナ5を保護する。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら、本発明に係る非接触型ICタグ1、11、21の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、本願で開示した技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1の実施の形態に係る非接触型ICタグ1を示す図
【図2】非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)1aを示す図
【図3】非接触型ICタグ1の製造方法を示すフローチャート
【図4】非接触型ICタグ1の製造過程の断面図
【図5】表面保護フィルム7上に目視情報13が印字された非接触型ICタグ1の示す図
【図6】接触型ICタグ1を用いた商品管理システム60の概略構成を示す図
【図7】非接触型ICタグ1を用いた宅配管理システム70の概略構成を示す図
【図8】第2の実施の形態に係る非接触型ICタグ21を示す図
【符号の説明】
【0045】
1、11、21………非接触型ICタグ
1a、11a、21a………非接触型ICタグ(折り畳んでいない状態)
1b、11b、21b………非接触型ICタグ(折り畳んだ状態)
2………ベースフィルム
3………ICチップ
4………ループアンテナ
5………2次アンテナ
6………接着層
7………表面保護フィルム
8………折り畳み位置
9………印字層
10………インレット
12………折り畳み線
13、13´………目視情報
14………本体部
15………折り返し部
16………蓋部
31………商品
32………タグリーダ
33………商品棚
34………ハンディ型タグリーダ
35………POS端末
36………レジカウンタ
41………荷物
42………タグリーダ
43………コンピュータ
44………タグプリンタ
48………配送センタ
49………配送受付センタ
60………商品管理システム
70………宅配管理システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースフィルム基材上に配設されたループアンテナと、前記ループアンテナに接続するICチップとで形成されるインレットと、
前記ループアンテナと、整合しない所定距離離れた位置に配置された2次アンテナと、を備えた非接触型ICタグであって、
前記非接触型ICタグを折り畳んでいない状態で近接距離からの読み取り/書き込みを行い、前記非接触型ICタグを折り畳むことにより、前記2次アンテナを前記ループアンテナに近接させ、通信距離を伸ばすことを特徴とする非接触型ICタグ。
【請求項2】
折り畳み位置で折り畳むことにより、前記2次アンテナが前記ループアンテナに近接する位置に平行に配置されるように当該折り畳み位置は設けられることを特徴とする請求項1記載の非接触型ICタグ。
【請求項3】
前記2次アンテナは、前記インレットと並置する部分が直線形状であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の非接触型ICタグ。
【請求項4】
前記2次アンテナは、前記ループアンテナ側又は前記ループアンテナ反対側の面に、前記ループアンテナのいずれかの一辺に平行に配置することを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の非接触型ICタグ。
【請求項5】
ベースフィルム基材上に配設された前記ループアンテナと、前記ループアンテナに接続するICチップとで形成されるインレットを形成する工程(a)と、
前記ベースフィルム基材上のインレットと、整合しない所定距離離れた位置に前記2次アンテナを配置する工程(b)と、
周りに表面保護基材を設ける工程(c)と、
前記表面保護基材上に、折り畳むことにより前記2次アンテナを前記ループアンテナに近接させる折り畳み位置を印字する工程(d)と、
を具備することを特徴とする非接触型ICタグの製造方法。
【請求項6】
前記工程(d)は、
前記表面保護基材上に、前記ICチップのメモリに記録されている内容と少なくとも一部が共通な情報を、更に印字することを特徴とする請求項5記載の非接触型ICタグの製造方法。
【請求項7】
前記2次アンテナは、前記インレットと並置する部分が直線形状であることを特徴とする請求項5又は請求項6記載の非接触型ICタグの製造方法。
【請求項8】
前記2次アンテナは、前記ループアンテナ側の面又は前記ループアンテナ反対側の面に、前記ループアンテナのいずれかの一辺に平行に配置することを特徴とする請求項5乃至請求項7いずれかに記載の非接触型ICタグの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−123057(P2009−123057A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−297734(P2007−297734)
【出願日】平成19年11月16日(2007.11.16)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】