説明

非水電解質電池

【課題】電池の内圧が異常に上昇した場合に電池の内部のガスを外部に放出する経路を確保し、安全性に優れた非水電解質電池を提供する。
【解決手段】正極集電部104は、平面部121に正極タブ群405を電気的に接続してあり、かつ、正極端子109を電気的に接続してあり、負極集電部105は、平面部121に負極タブ群を電気的に接続してあり、かつ、負極端子110を電気的に接続してあり、正極集電部104及び負極集電部105のうち少なくとも一方の平面部121は、捲回群102の捲回軸方向に沿う方向に配置してあり、捲回軸方向に沿う方向に配置してある平面部121を有する正極集電部104又は負極集電部105を覆う部位にガス放出弁108を設けた非水電解質電池100を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水電解質電池に関する。
【背景技術】
【0002】
非水電解質電池において、瞬時に大電流を取り出す目的、すなわち、高出力を得る目的を達成するためには、電極から効率的に電流を取り出し、かつ、電極から端子部までの電流経路(パス)を短くして、放電時の電気抵抗を低減することが有効である。
【0003】
特許文献1には、捲回された扁平状の電極群の正極タブが、捲芯に固定された平板状の正極集電部材に接合され、捲回された扁平状の電極群の負極タブが、正極集電部材の反対側で捲芯に固定された平板状の負極集電部材に接合された構成を有する扁平形二次電池が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−146872号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非水電解質電池においては、正極と負極とが短絡する等、電池が異常な状態になった際に電池内部でガスが発生し、電池内圧が異常に上昇する場合がある。異常な内圧の上昇は、電池にとって好ましくないため、ガスを電池外部に放出するためのガス放出弁が設置される。
【0006】
特許文献1に記載された構成においては、集電部の平板状部分が電極捲回群の捲回軸と交わる方向に配置されるため、電池内部のガスを外部に放出する経路が狭められ、ガスの放出機能が低下する問題があった。
【0007】
本発明の目的は、電池の内圧が異常に上昇した場合に電池の内部のガスを外部に放出する経路を確保し、安全性に優れた非水電解質電池を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の非水電解質電池においては、前記正極及び前記負極は、それぞれ、それらの基板である金属箔の露出部を有し、正極集電部は、その平面部に前記露出部を電気的に接続してあり、かつ、正極外部端子を有し、負極集電部は、その平面部に前記露出部を電気的に接続してあり、かつ、負極外部端子を有し、前記正極集電部及び前記負極集電部のうち少なくとも一方の前記平面部は、電極捲回群の捲回軸方向に沿う方向に配置してあり、前記捲回軸方向に沿う方向に配置してある前記平面部を有する前記正極集電部又は前記負極集電部を覆う部位にガス放出弁が設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池の内圧が異常に上昇した場合に電池の内部のガスを外部に放出する経路を確保することができ、安全性に優れた非水電解質電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の非水電解質電池の捲回群を示す部分展開図である。
【図2】実施例の非水電解質電池における集電板及び捲芯の構成を示す部分斜視図である。
【図3】実施例の非水電解質電池の構成を示す透視図である。
【図4】実施例の非水電解質電池を示す外観斜視図である。
【図5A】比較例の非水電解質電池における集電板及び捲芯の組立手順を示す部分斜視図である。
【図5B】比較例の非水電解質電池における集電板及び捲芯の組立手順を示す部分斜視図である。
【図6】比較例の非水電解質電池の構成を示す透視図である。
【図7A】実施例の非水電解質電池における集電板及び捲芯の組立手順を示す部分斜視図である。
【図7B】実施例の非水電解質電池における集電板及び捲芯の組立手順を示す部分斜視図である。
【図8】実施例の非水電解質電池の構成を示す透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、車載用途等に使用される高出力、かつ、大容量の非水電解質電池に関し、特に、扁平形や角形の扁平捲回式リチウムイオン電池に関するものである。
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る非水電解質電池について説明する。
【0013】
前記非水電解質電池は、正極と負極との間にセパレータを挟んで捲回した電極捲回群と、正極集電部と、負極集電部と、これらを収納した電池ケースとを含み、正極及び負極は、それぞれ、それらの基板である金属箔の露出部を有し、正極集電部は、その平面部に露出部を電気的に接続してあり、かつ、正極外部端子を電気的に接続してあり、負極集電部は、その平面部に露出部を電気的に接続してあり、かつ、負極外部端子を電気的に接続してあり、正極集電部及び負極集電部のうち少なくとも一方の平面部は、電極捲回群の捲回軸方向に沿う方向に配置してあり、捲回軸方向に沿う方向に配置してある平面部を有する正極集電部又は負極集電部を覆う部位には、ガス放出弁が設けてあることを特徴とする。
【0014】
前記非水電解質電池において、露出部は、平面部に沿う方向に配置してある。
【0015】
前記非水電解質電池において、平面部と露出部との接合部は、捲回軸方向に沿う方向に配置してある。
【0016】
前記非水電解質電池において、電極捲回群は、捲芯を有し、正極集電部及び負極集電部は、捲芯に固定されている。
【0017】
前記非水電解質電池において、正極集電部及び負極集電部のうち少なくとも一方の、捲回軸方向に直交する断面の面積は、ガス放出弁の面積より小さいことが望ましい。
【0018】
前記非水電解質電池において、正極集電部及び負極集電部のうち少なくとも一方の平面部の厚さは、捲芯の厚さ以下であることが望ましい。
【0019】
前記非水電解質電池において、ガス放出弁は、電極捲回群の捲回軸方向の端部側に位置する電池ケースの少なくとも一方の底部に設けてある。
【0020】
前記非水電解質電池において、露出部は、タブ群を形成している。
【0021】
前記非水電解質電池において、正極外部端子及び負極外部端子のうち少なくとも一方は、平面部の端部に設置してある。
【0022】
前記非水電解質電池において、電池ケースは、扁平形である。
【0023】
以下、実施例について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0024】
図1は、非水電解質電池に適用される電極捲回群の構成を示したものである。
【0025】
本図において、捲回群102(電極捲回群)は、正極板401(正極)と負極板402(負極)との間にセパレータ403を挟んで捲芯404の周りに捲回した構成を有する。正極板401は、アルミニウム箔の両面に正極合剤を塗布したものである。負極板402は、銅箔の両面に負極合剤を塗布したものである。セパレータ403は、ポリオレフィン製である。
【0026】
正極板401の片方の端部は、正極合剤が塗布されずにアルミニウム箔が露出している。そして、その末端には、短冊状の正極タブ群405が形成されている。一方、負極板402の端部も、負極合剤が塗布されずに銅箔が露出している。そして、その末端には、短冊状の負極タブ群406が形成されている。正極タブ群405及び負極タブ群406の個々のタブの寸法は、幅2mm〜10mm、長さ15mm〜50mmが好適である。捲回群102の一方の端部から正極タブ群405が突出し、他方の端部から負極タブ群406が突出している。ここで、正極タブ群405及び負極タブ群406は、金属箔の露出部とも呼ぶ。
【0027】
図2は、電極(正極)と集電部との接合部の模式図を示したものである。
【0028】
本図において、正極集電部104は、平面部121を有する板状体であり、その平面部121に正極端子109(正極外部端子)が接続され、捲芯404の端部に設けられた開口部407(溝部)に嵌合するための二つの突起部106が配置されている。正極集電部104は、厚さ0.5〜5mmのアルミニウム製の板状部材である。正極集電部104の長さは、電池形状により任意に決定されて良いが、ガス放出弁の開口寸法よりも大きくすることにより、正極集電部104とともに内容物が外部に放出されることを防ぐ効果もある。また、正極集電部104は、捲回軸方向のいずれの位置においても、捲回軸方向に直交する断面の面積がガス放出弁の面積より小さいことが望ましい。さらに、正極集電部104の厚さは、突起部106を含めて捲回軸方向のいずれの位置においても、平面部121の厚さ以下であることが望ましい。さらにまた、正極集電部104の厚さは、捲芯404の厚さ以下であることが望ましい。
【0029】
正極集電部104には、正極タブ群405が溶接してある。溶接した部分(「溶接部」又は「接合部」と呼ぶ。)の面積が大きいほど望ましい。それは、大電流を流すときの内部抵抗の低減に寄与するからである。
【0030】
突起部106は、捲回群102を捲回した捲芯404の開口部407に嵌合して固定してある。負極側も同様にして集電部(負極集電部)を形成する。なお、正極集電部104及び負極集電部は、合わせて「電極集電部」とも呼ぶ。また、本実施例に示す正極集電部104の形状をI字型と呼ぶことにする。これは、捲芯404の平面部121に垂直な断面における正極集電部104の形状がI字型であることに由来する。
【0031】
なお、正極端子109は、正極集電部104の平面部121の端部、すなわち、捲回軸方向に直交する面に設置することが望ましい。負極端子も同様であり、負極集電部の平面部の端部、すなわち、捲回軸方向に直交する面に設置することが望ましい。
【0032】
図3は、組み立てた非水電解質電池の構成を示す透視図である。
【0033】
本図において、非水電解液電池100は、正極集電部104及び負極集電部105を取り付けた捲回群102(電極捲回群)を電池ケース101に密封した構成を有する。電池ケース101の両端部には、正極側の封口板116及び負極側の封口板103が配置されている。正極集電部104には、正極タブ群405が溶接してある。なお、本図において、電池ケース101は、側面部(胴部)のみで構成され、両方の底部が開放されているが、電池ケース101の一方の底部を閉じた面とし、封口板116又は封口板103のいずれかを用いない構成であってもよい。これらは、電子ビームまたはレーザーによって溶接して固定してある。
【0034】
正極端子109(正極外部端子)は、正極側の封口板103を貫通する形で設置してある。負極端子110(負極外部端子)は、負極側の封口板116を貫通する形で設置してある。封口板103、116には、ガス放出弁108(開裂弁)が設けてある。ガス放出弁108は、本図に示すように、捲回軸方向に直交する封口板103、116に設けることが望ましい。
【0035】
さらに、正極側の封口板103には、電解液注入用の注液孔が設けてあり、注液孔は、注液栓107で封止してある。正極端子109と封口板103との間には、樹脂成形によって作製された絶縁カバー111が設けてある。同様に、負極端子110と封口板116との間には、絶縁カバー111が設けてある。
【0036】
正極端子109及び負極端子110は、樹脂製のガスケット112、115及びナット113によって固定してある。なお、正極端子109及び負極端子110は、合わせて「外部端子」とも呼ぶ。
【0037】
本実施例の非水電解液電池を電池A1とした。
【0038】
なお、捲芯404は、樹脂成形によって作製される。熱可塑性樹脂であれば、ポリプロピレンやポリフェニレンスルフィド等が用いられ、熱硬化性樹脂であれば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル等が用いられるが、高熱耐久性の樹脂であれば特に限定されるものではない。また、絶縁カバー111および2種類のガスケット112、115は、樹脂成型によって作製されることが好ましい。熱可塑性樹脂であれば、ポリプロピレンやポリフェニレンスルフィド等が用いられ、熱硬化性樹脂であれば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル等が用いられるが、これも高熱耐久性の樹脂であれば特に限定されるものではない。
【0039】
また、セパレータ403は、実施例においてポリオレフィン製と記載したが、具体的には、ポリエチレン製やポリプロピレン製のものを単独または組み合わせて用いることができる。さらに、各種セラミックスや耐熱性の材料を追加して用いることもできる。
【0040】
図4は、組立後の電池の外観を示したものである。
【0041】
本図において、非水電解液電池100の電池ケース101に溶接された封口板103には、注液栓107およびガス放出弁108が設けてある。また、正極端子109は、封口板103から突出し、ナット113で固定されている。
【0042】
この非水電解液電池100の定格容量は、14Ahである。
【0043】
(比較例)
図5A及び5Bは、電極捲回群と正極集電部との接合部の従来の構成例を示したものである。これを比較例とした。
【0044】
図5Aは、正極集電部に正極タブ群を接合する際の配置を示したものであり、図5Bは、接合した後、捲芯に正極集電部を嵌合する際の配置を示したものである。
【0045】
この電池には、電池ケースの両方の端面にガス放出弁が設けてある。捲回群102は、実施例1と同様のものである。
【0046】
正極集電部204は、平面部221に集電板凸部603(突起部)を有する板状体であり、平面部221の形状が捲回軸に垂直な断面の形状と相似である。また、捲芯404も、平板状であり、捲回群102の端面部にその端部を露出している。
【0047】
正極集電部204は、平面部221の外形が捲回群102の長円形の端面部の外形より小さく、捲芯404の端面部の外形よりも大きい。正極集電部204は、厚さが0.5〜5mmであり、概略長円形の板である。正極集電部204には、正極端子109が設けてある。また、正極集電部204には、開口部602が設けてある。
【0048】
正極集電部204に正極タブ群405を接合する際には、図5Aに示すように、正極集電部204を捲回群102(捲芯404)の平面部と平行に配置し、正極タブ群405を正極集電部204の裏面のタブ溶接部601に押し付け、密着した状態で溶接する。
【0049】
次に、図5Bに示すように、正極集電部204を捲回群102(捲芯404)の平面部に対して垂直に配置し、正極集電部204の集電板凸部603を捲芯404の開口部407に嵌合する。これにより、正極集電部204は捲芯404に固定される。ここで、本比較例に示す正極集電部204の形状をT字型と呼ぶことにする。これは、捲芯404の平面部に垂直な断面における正極集電部204の形状が集電板凸部603を含めてT字型であることに由来する。
【0050】
なお、図5A及び5Bにおいては、説明のために正極タブ群405を実際よりも長いものとして描いているが、集電板凸部603を開口部407に嵌合する余裕があればよいので、図示したものよりも短くてよい。
【0051】
電極捲回群と負極集電部との接合部についても正極の場合と同様に構成してある。
【0052】
図6は、本比較例の電池の透視図を示したものである。図5A及び5Bに示す構成以外は、実施例1と同様であるため、詳しい説明は省略する。正極集電部204及び負極集電部205については、厚さ方向の断面が示されている。また、ガス放出弁108は、封口板103、116(両側)に設けてある。
【0053】
本比較例の非水電解液電池を電池B1とした。
【実施例2】
【0054】
実施例1と同様の捲回群を用い、実施例1の正極集電部と、比較例の負極集電部とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解液電池を組み立てた。この電池には、電池ケースの正極端子を配置した端面にのみガス放出弁を設置した。
【0055】
本実施例の非水電解液電池を電池A2とした。
【実施例3】
【0056】
実施例1と同様の捲回群を用い、比較例の正極集電部と、実施例1の負極集電部とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、非水電解液電池を組み立てた。この電池には、電池ケースの両方の端面にガス放出弁を設置した。
【0057】
本実施例の非水電解液電池を電池A3とした。
【実施例4】
【0058】
図7A及び7Bは、電極捲回群と正極集電部との接合部の変形実施例を示したものである。
【0059】
図7Aは、正極集電部に正極の金属箔露出部を接合する前(捲芯に正極集電部を嵌合する前)の配置を示したものであり、図7Bは、接合した後の配置を示したものである。
【0060】
図7Aにおいて、正極集電部104は、図2と同様の構成を有する。すなわち、正極集電部104は、平面部121を有する板状体であり、その平面部121に正極端子109(正極外部端子)が接続され、捲芯の端部に設けられた開口部407に嵌合するための二つの突起部106が配置されている。
【0061】
一方、捲回群202の正極集電部104側の端部には、正極の基板である金属箔(アルミニウム箔)を露出させた金属箔露出部1101が設けてある。短冊状の正極タブ群は設けていない。
【0062】
同様に、図示していないが、捲回群202の負極集電部側の端部には、負極の基板である金属箔(銅箔)を露出させた金属箔露出部が設けてある。短冊状の負極タブ群は設けていない。
【0063】
図7Bにおいて、正極集電部104は、図7Aに示す捲芯404の端部に設けられた開口部407に嵌合され、金属箔露出部1101の一部は、正極集電部104のタブ溶接部701に押し付けられ、密着した状態で溶接されている。
【0064】
これ以外の構成については、実施例1と同様にして、電池を組み立てた。
【0065】
なお、負極集電部においても実施例1と同様であるため、詳しい説明は省略する。
【0066】
図8は、本実施例の非水電解液電池の透視図を示したものである。全体の構成は、他の実施例と同様であるため、詳しい説明は省略する。なお、ガス放出弁108は、封口板103、116(両側)に設けてある。
【0067】
本実施例の非水電解液電池を電池A4とした。
【0068】
なお、本実施例においては、正極集電部104の片側に正極の金属箔露出部1101を溶接し、負極集電部105の片側に負極の金属箔露出部1102を溶接したが、正極集電部104及び負極集電部105の両側に金属箔露出部1101、1102を溶接しても良い。その場合、図7Aに示す金属箔露出部1101の溶接されていない部分を切り欠くなどして除去することにより、ガスの放出経路を拡大することができる。
【0069】
上記の電池A1〜A4及びB1を用いて、14Aの電流値で、セル電圧が4.2Vに達するまで充電し、引き続き、4.2Vの定電圧充電を合計充電時間で1.5時間行った。その後、電池からのガスの排出能を測定する目的で、直径が3mmの鋼鉄製の釘を、扁平型電池のほぼ中央部に、速度2〜80mm/秒で貫通させた。この際、鋼鉄製の釘が正極と負極とを短絡させることになるため、大電流が流れ、そのジュール熱によって電池の温度上昇、電解液の分解や蒸発等によるガスの発生が起こり、電池内圧が上昇する。これによりガス放出弁が作動した場合、ガスが放出される。
【0070】
表1は、この試験結果を示したものである。
【0071】
本表に記載した電池の構成は、電極集電部(正極集電部及び負極集電部)並びにガス放出弁に関するものであり、これが性能に影響する因子である。ここで、「I字型2個」及び「T字型2個」は、正極集電部及び負極集電部の形状が同一の場合である。「I字型1個、T字型1個」は、正極集電部及び負極集電部の形状が異なる場合である。また、「タブ群なし」は、図7A及び7Bに示すものである。さらに、ガス放出弁が「2個」の場合、両側の封口板にガス放出弁が設けてあり、ガス放出弁が「1個」の場合、片側の封口板にガス放出弁が設けてある。
【0072】
判定は、電池の温度上昇、ガス放出弁の解放によるガスの放出が起こった場合を「PASS」とし、それ以外の現象が起こった場合を「FAIL」とした。
【0073】
【表1】

【0074】
釘の貫通速度が2mm/秒の場合には、いずれの電池においても、電池の温度上昇、ガス放出弁の解放、及びガスの放出が起こった(PASS)。これに対し、釘の貫通速度を上昇させると、比較電池B1においては、異常現象が見られた(FAIL)。
【0075】
比較例のように電極捲回群の集電部側(電極捲回群の内部に発生するガスの放出流路)を塞ぐ面積が大きい集電部に比べて、実施例の集電部は、ガスの放出流路を塞ぐ割合が小さい。したがって、実施例の集電部においては、電極捲回群とガス放出弁との間のガスの抵抗部分が集電部、及び電極のタブ群又は金属箔露出部の溶接部のみである。
【0076】
また、実施例は、比較例に比べて溶接が容易であり、製造が容易である。
【0077】
さらに、円筒形電池の場合、従来、電池ケースの端部に配置するO字型の集電部が使われているが、O字型の集電部より実施例の集電部の方が溶接しやすく、かつ、軽量である。
【0078】
以上より、実施例の電池は、安全性に優れ、かつ、製造が容易で、かつ、軽量である。
【符号の説明】
【0079】
100:非水電解液電池、101:電池ケース、102:捲回群、103:封口板、104:正極集電部、105:負極集電部、106:突起部、107:注液栓、108:ガス放出弁、109:正極端子、110:負極端子、111:絶縁カバー、112:ガスケット、113:ナット、115:ガスケット、116:封口板、121:平面部、202:捲回群、204:正極集電部、205:負極集電部、221:平面部、301:注液孔、302:ガス放出用開口部、401:正極板、402:負極板、403:セパレータ、404:捲芯、405:正極タブ群、406:負極タブ群、407:開口部、601:タブ溶接部、602:開口部、603:集電板凸部、1101:金属箔露出部、1102:金属箔露出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極と負極との間にセパレータを挟んで捲回した電極捲回群と、正極集電部と、負極集電部と、これらを収納した電池ケースとを含み、前記正極及び前記負極は、それぞれ、それらの基板である金属箔の露出部を有し、前記正極集電部は、その平面部に前記露出部を電気的に接続してあり、かつ、正極外部端子を電気的に接続してあり、前記負極集電部は、その平面部に前記露出部を電気的に接続してあり、かつ、負極外部端子を電気的に接続してあり、前記正極集電部及び前記負極集電部のうち少なくとも一方の前記平面部は、前記電極捲回群の捲回軸方向に沿う方向に配置してあり、前記捲回軸方向に沿う方向に配置してある前記平面部を有する前記正極集電部又は前記負極集電部を覆う部位には、ガス放出弁が設けてあることを特徴とする非水電解質電池。
【請求項2】
前記露出部は、前記平面部に沿う方向に配置してあることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
【請求項3】
前記平面部と前記露出部との接合部は、前記捲回軸方向に沿う方向に配置してあることを特徴とする請求項1又は2に記載の非水電解質電池。
【請求項4】
前記電極捲回群は、捲芯を有し、前記正極集電部及び前記負極集電部は、前記捲芯に固定されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の非水電解質電池。
【請求項5】
前記正極集電部及び前記負極集電部のうち少なくとも一方の、前記捲回軸方向に直交する断面の面積は、前記ガス放出弁の面積より小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の非水電解質電池。
【請求項6】
前記正極集電部及び前記負極集電部のうち少なくとも一方の前記平面部の厚さは、前記捲芯の厚さ以下であることを特徴とする請求項4又は5に記載の非水電解質電池。
【請求項7】
前記ガス放出弁は、前記電極捲回群の捲回軸方向の端部側に位置する前記電池ケースの少なくとも一方の底部に設けてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の非水電解質電池。
【請求項8】
前記露出部は、タブ群を形成していることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の非水電解質電池。
【請求項9】
前記正極外部端子及び前記負極外部端子のうち少なくとも一方は、前記平面部の端部に設置してあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の非水電解質電池。
【請求項10】
前記電池ケースは、扁平形であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の非水電解質電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−243438(P2012−243438A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110072(P2011−110072)
【出願日】平成23年5月17日(2011.5.17)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構 次世代自動車用高性能蓄電システム技術開発 要素技術開発 高出力可能な高エネルギー密度型リチウムイオン電池の研究開発委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(505083999)日立ビークルエナジー株式会社 (438)
【Fターム(参考)】