面発光型半導体レーザ、面発光型半導体レーザ装置、光伝送装置および情報処理装置
【課題】基本横モード光の高出力化および偏光制御を可能にする面発光型半導体レーザを提供する。
【解決手段】面発光型半導体レーザ10は、基板100と、基板100上に形成された下部DBR102と、活性領域104と、上部DBR106と、基板上に形成されたメサMとを含む。メサMの頂部において、光出射部を覆う異方形状の出射保護膜112が形成され、さらにメサMの側壁および少なくとも周縁を覆う層間絶縁膜114が形成される。層間絶縁膜114は、出射保護膜112の長軸側の両端部を覆う周縁被覆部114Aと、出射保護膜112上に形成された基本横モード発振を制御するモード制御部114Bとを含む。
【解決手段】面発光型半導体レーザ10は、基板100と、基板100上に形成された下部DBR102と、活性領域104と、上部DBR106と、基板上に形成されたメサMとを含む。メサMの頂部において、光出射部を覆う異方形状の出射保護膜112が形成され、さらにメサMの側壁および少なくとも周縁を覆う層間絶縁膜114が形成される。層間絶縁膜114は、出射保護膜112の長軸側の両端部を覆う周縁被覆部114Aと、出射保護膜112上に形成された基本横モード発振を制御するモード制御部114Bとを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光型半導体レーザ、面発光型半導体レーザ装置、光伝送装置および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光型半導体レーザは、通信装置や画像形成装置の光源に利用されている。このような光源に利用される面発光型半導体レーザとっては、単一横モードであり、高出力、長寿命であることが望ましい。選択酸化型の面発光型半導体レーザでは、電流狭窄層の酸化アパーチャ径を約2〜3ミクロン程度にまで小さくすることで単一横モードを得ているが、このような小さな酸化アパーチャ径では、3mW以上の光出力を安定的に得ることが難しくなる。そこで、酸化アパーチャ径を大きくし、光出射口内に透明な層やレンズを形成することで高次横モードを抑制したり、偏光制御を行うために光出射口内に構造物やトレンチを形成した面発光型半導体レーザが提案されている(特許文献1ないし3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−153768号公報
【特許文献2】特開2007−201398号公報
【特許文献3】特開2008−98338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、基本横モード光の偏光制御を可能にする面発光型半導体レーザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1は、基板と、前記基板上に形成された第1導電型の第1の半導体多層膜反射鏡と、第1の半導体多層膜反射鏡上に形成された活性領域と、前記活性領域上に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型の第2の半導体多層膜反射鏡と、前記基板上に形成され、少なくとも第2の半導体多層膜反射鏡を含む柱状構造と、第2の半導体多層膜反射鏡上の光出射部を覆い、前記基板の主面と平行な面において長軸および短軸を有する異方形状を有し、発振波長を透過可能な材料から構成された出射保護膜と、前記柱状構造の側壁および少なくとも頂部の周縁を覆う第1の絶縁膜と、前記出射保護膜上に形成され、発振波長を透過可能な材料から構成され、基本横モード発振を制御するための第2の絶縁膜とを有し、前記出射保護膜の長軸側の両端部の少なくとも一方は前記第1の絶縁膜によって覆われ、前記出射保護膜の短軸側の両端部は前記第1の絶縁膜から離間されている、面発光型半導体レーザ。
請求項2は、前記第1の絶縁膜は、前記出射保護膜の長軸側の両端部を覆う、請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項3は、前記第1の絶縁膜は、前記出射保護膜の長軸方向に延在し、かつ前記光出射部の手前で終端する、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項4は、前記第1の絶縁膜は、前記柱状構造の頂部の周縁を被覆する周縁被覆部の対向する端部を連結するように延在し、かつ前記第1の絶縁膜には、前記光出射部と重複する位置に開口部が形成される、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項5は、前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜とは同一の膜であり、同時に形成される、請求項1ないし4いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項6は、前記柱状構造は、前記基板の主面と平行な面において円形であり、前記柱状構造内に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層には、酸化領域と当該酸化領域によって囲まれた導電領域とが形成される、請求項1ないし5いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項7は、前記第2の絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍であり、前記重複する領域の反射率は、前記第2の絶縁膜が重複しない領域の反射率よりも高い、請求項1ないし6いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項8は、前記出射保護膜の膜厚は、λ/4n1(λは発振波長)の奇数倍であり、前記第2の絶縁膜の膜厚は、λ/4n2の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記第2の絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項7に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項9は、前記第2の絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍から離れた領域であり、前記重複する領域の反射率は、前記第2の絶縁膜が重複しない光軸近傍の領域の反射率よりも低い、請求項1ないし6いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項10は、前記出射保護膜の膜厚は、λ/2n1の整数倍であり、前記第2の絶縁膜の膜厚は、λ/4n2の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記第2の絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項9に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項11は、基板と、前記基板上に形成された第1導電型の第1の半導体多層膜反射鏡と、第1の半導体多層膜反射鏡上に形成された活性領域と、前記活性領域上に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型の第2の半導体多層膜反射鏡と、前記基板上に形成され、少なくとも第2の半導体多層膜反射鏡を含む柱状構造と、第2の半導体多層膜反射鏡上の光出射部の少なくとも一部を覆い、発振波長を透過可能な材料から構成された出射保護膜と、前記柱状構造の側壁および少なくとも頂部の周縁を覆い、かつ発振波長を透過可能な材料から構成された絶縁膜とを有し、前記絶縁膜は、前記柱状構造の頂部の周縁を覆う周縁被覆部と当該周縁被覆部の対向する端部を連結する連結部とを有し、前記連結部は、基板の主面と平行な面において長軸および短軸を含む異方形状を有し、かつ前記出射保護膜を覆う、面発光型半導体レーザ。
請求項12は、第2の半導体多層膜反射鏡上に前記光出射部を規定する環状電極が形成され、前記連結部の短軸方向において前記連結部と前記周縁被覆部との間には、前記環状電極を露出するための開口部が形成される、請求項11に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項13は、前記絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍であり、前記重複する領域の反射率は、前記出射保護膜が存在しない光出射部の光軸近傍から離れた領域の反射率よりも高い、請求項11または12に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項14は、前記出射保護膜の膜厚は、λ/4n1の奇数倍であり、前記絶縁膜の膜厚は、λ/4n2(λは発振波長)の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項13に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項15は、前記柱状構造は、前記基板の主面と平行な面において円形であり、前記柱状構造内に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層には、酸化領域と当該酸化領域によって囲まれた導電領域とが形成される、請求項11ないし14いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項16は、請求項1ないし15いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザと、前記面発光型半導体レーザからの光を入射する光学部材と、を実装した面発光型半導体レーザ装置。
請求項17は、請求項16に記載された面発光型半導体レーザ装置と、前記面発光型半導体レーザ装置から発せられたレーザ光を光媒体を介して伝送する伝送手段と、を備えた光伝送装置。
請求項18は、請求項1ないし15いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザと、前記面発光型半導体レーザから出射されるレーザ光を記録媒体に集光する集光手段と、前記集光手段により集光されたレーザ光を前記記録媒体上で走査する機構と、を有する情報処理装置。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、11によれば、基本横モード光の偏光制御を行うことができる。
請求項2、3、4によれば、出射保護膜の異方性の歪を増加させることができる。
請求項5によれば、第2の絶縁膜を形成するための工程数を削減することができる。
請求項6、15によれば、導電領域が円形を持たない面発光型半導体レーザと比較して、基本横モード光の高出力化を図ることができる。
請求項7、8、9、10、13、14によれば、高次横モードを抑制し、基本横モードを促進することができる。
請求項11によれば、環状電極を露出するための開口部を形成するときに同時に絶縁膜の連結部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図2】図1のA1−A1線、B1−B1線の概略断面図である。
【図3】本発明の第2の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図4】図2のA2−A2線、B2−B2線の概略断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図6】図5のA3−A3線、B3−B3線の概略断面図である。
【図7】本発明の第4の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図8】図7のA4−A4線、B4−B4線の概略断面図である。
【図9】本発明の第5の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図10】図9のA5−A5線、B5−B5線の概略断面図である。
【図11】本発明の第6の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図12】図11のA6−A6線、B6−B6線の概略断面図である。
【図13】本実施例の面発光型半導体レーザに光学部材を実装した面発光型半導体レーザ装置の構成を示す概略断面図である。
【図14】本実施例の面発光型半導体レーザを使用した光源装置の構成例を示す図である。
【図15】図13に示す面発光型半導体レーザ装置を用いた光伝送装置の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
高速高画質プリンターで使用する面発光半導体レーザは、基本横モードまたはシングルモード動作が要求される。今後はさらなるプリント性能の改善に向けて、シングルモード光の出力をさらに高め、偏光が安定的な長寿命の面発光半導体レーザが求められる。プリンター光源に酸化狭窄型面発光半導体レーザを用いることで、電流狭窄径を楕円形状にして異方性を持たせ、偏光制御を行うことができる。しかし、シングルモード光出力をさらに高めて寿命を延ばすためには酸化径を広径化する必要があるが、楕円形状のような異方性を持つ酸化狭窄径にすると、シングルモードが得られる径は長軸で決まってしまう。そのため、楕円形状だと短軸はシングルモードが得られる最大径よりも小さくしなければならず、長軸のサイズで円を形成した電流狭窄面積よりも小さくなる。したがって、電流狭窄面積が小さい分抵抗が増加し、素子の自己発熱の影響が強まり光出力寿命としても円形状の狭窄径よりも不利となる。シングルモード光出力をさらに高めた偏光が安定な長寿命の面発光半導体レーザを実現するためには、電流狭窄径は異方性を持たずに別の方法で偏光を安定化させることが望ましい。
【0009】
本発明の好ましい態様では、シングルモード高出力化の手法の一つである出射面に誘電体を付加する構造を用い、長軸と短軸を有しない酸化アパーチャでも長寿命のシングルモード高出力で偏光制御が可能な面発光レーザを提供する。
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、選択酸化型の面発光型半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を例示し、面発光型半導体レーザをVCSELと称する。なお、図面のスケールは、発明の特徴を分かり易くするために強調しており、必ずしも実際のデバイスのスケールと同一ではないことに留意すべきである。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の第1の実施例に係るVCSELの概略平面図、図2は、そのA1−A1線断面図、およびB1−B1線断面図である。同図に示すように、本実施例のVCSEL10は、n型のGaAs基板100上に、Al組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたn型の下部分布ブラック型反射鏡(Distributed Bragg Reflector:以下、DBRという)102、下部DBR102上に形成された上部および下部スペーサ層に挟まれた量子井戸層を含む活性領域104、活性領域104上に形成されたAl組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたp型の上部DBR106を積層している。
【0012】
n型の下部DBR102は、例えば、Al0.9Ga0.1As層とAl0.3Ga0.7As層との対の複数の積層体で、各層の厚さはλ/4nr(但し、λは発振波長、nrは媒質の屈折率)であり、これらを交互に40周期で積層してある。n型不純物であるシリコンをドーピングした後のキャリア濃度は、例えば、3×1018cm-3である。活性領域104の下部スペーサ層は、例えば、アンドープのAl0.6Ga0.4As層であり、量子井戸活性層は、アンドープAl0.11Ga0.89As量子井戸層およびアンドープのAl0.3Ga0.7As障壁層であり、上部スペーサ層は、アンドープのAl0.6Ga0.4As層である。p型の上部DBR106は、例えば、Al0.9Ga0.1As層とAl0.3Ga0.7As層との対の複数の積層体で、各層の厚さはλ/4nrであり、これらを交互に24周期積層してある。p型不純物であるカーボンをドーピングした後のキャリア濃度は、例えば、3×1018cm-3である。上部DBR106の最下層もしくはその内部には、電流狭窄層108が形成される。また、好ましくは上部DBR106の最上層には、不純物濃度の高いp型GaAsからなるコンタクト層を形成することができる。
【0013】
上部DBR106から下部DBR102に至るまで半導体層をエッチングすることにより、基板100上に円筒状のメサ(柱状構造)Mが形成される。メサMのエッチングは、少なくとも電流狭窄層108を側面に露出させる深さであればよい。電流狭窄層108は、p型のAlAsまたはAl組成が非常に高いAlGaAs(例えば、Al0.98Ga0.02As)から構成される。電流狭窄層108は、メサMの側面で露出され、当該側面から選択的に酸化された酸化領域108Aと酸化領域108Aによって囲まれた導電領域(酸化アパーチャ)108Bとを有する。電流狭窄層108の酸化工程において、AlAs層の酸化速度は、他のDBRのAlGaAs層よりも速く、メサMの側面から内部に向けてほぼ一定の速度で酸化が進行する。導電領域108Bの基板100の主面と平行な面内の平面形状は、メサMの外形を反映した円形状となり、その中心は、メサMの軸方向の中心、すなわち光軸と一致する。導電領域108Bの径は、基本横モード発振であれば、約3ミクロン程度である。但し、後述するように、メサ頂部において基本横モードの制御を行う場合には、導電領域108Bの径は、高次横モード発振が生じる大きさであることができ、例えば、780nmの波長帯で、5ミクロンまたはそれ以上とすることができる。
【0014】
メサMの頂部の上部DBR106の最上層には、金属製の環状のp側電極110が形成される。p側電極110は、例えば、AuまたはTi/Auなどを積層した金属から構成され、上部DBR106に電気的に接続される。p側電極110の中央には、円形状の開口部が形成され、当該開口部は、光を出射する光出射口110Aを規定する。好ましくは、光出射口110Aの中心は、メサMの光軸に一致し、光出射口110Aの直径は、導電領域108Bの直径よりも大きい。図1に示す破線K1は、導電領域108Bの外径を示し、破線K2は、光出射口110Aの外径を表している。
【0015】
メサ頂部において、光出射口110Aの全体を覆うように出射保護膜112が形成される。出射保護膜112は、発振波長を透過可能な材料から構成され、その平面形状は、長軸および短軸を有する異方形状に加工される。好ましくは、異方形状の長軸と短軸とは直交し、図示する例では、出射保護膜112は楕円形状に加工されている。出射保護膜112の長軸と短軸の交点は、メサMの光軸に略一致し、出射保護膜112の長軸方向の端部112A、112Bは、メサMの頂部の周縁近傍にまで延びている。他方、出射保護膜112の短軸方向の端部は、光出射口110Aの外縁K2を若干超える程度に延在している。
【0016】
メサMの底部、側部および頂部の周縁を覆うように層間絶縁膜114が形成される。層間絶縁膜114は、発振波長を透過可能な材料から構成され、メサMの頂部の周縁を被覆する環状の周縁被覆部114Aと、出射保護膜112上の光軸近傍に形成されたモード制御部114Bとを有する。周縁被覆部114Aは、メサ頂部において、出射保護膜112の長軸方向の対向する端部112Aと112Bを覆うが、出射保護膜112の短軸方向の端部を覆うことなくそこからから離間されている。これにより、出射保護膜112の短軸方向の端部と層間絶縁膜114との間には、コンタクトホール116が形成され、p側電極110が露出される。ここには図示しない金属配線がコンタクトホール116を介してp側金属110に接続される。一方、モード制御部114Bは、円形状を有し、モード制御部114Bの中心はメサMの光軸に略一致する。モード制御部114の直径は、電流狭窄層108の導電領域108Bの径よりも小さい。モード制御部114Bは、後述するように出射保護膜112と相まって、光軸近傍の反射率を相対的に高め、基本横モード発振を促進させる。
【0017】
本実施例において、出射保護膜112は異方性形状を有し、その長軸方向の両端部112A、112Bのみが層間絶縁膜114の周縁被覆部114Aによって覆われている。出射保護膜112は、それ自身が異方形状を有することで長軸方向と短軸方向において応力または歪が異なる。さらに出射保護膜112の長軸方向の両端部112A、112Bは、材料の異なる層間絶縁膜114によって被覆されることで、すなわち、メサ側壁を覆う層間絶縁膜114のメサ頂部における被覆の態様に差がつけられ、2種類の異なる絶縁膜の熱膨張係数の差により、出射保護膜112に異方的な応力がかかるようにしている。層間絶縁膜114による応力または歪の付加は、出射保護膜自身が有する応力または歪を相殺しないように、言い換えれば、出射保護膜自身が有する応力または歪が増加されるようにすることが望ましい。例えば、出射保護膜112の長軸方向に圧縮応力が生じており、短軸方向に引張り応力が生じているとき、層間絶縁膜114が出射保護膜112の両端部112A、112Bを被覆することで、その圧縮応力または引張り応力が助長されるようにする。出射保護膜112に生じた異方性のある応力は、メサMの活性領域104に伝達され、その結果、活性領域104には特定の方向に歪み加えられ、利得に異方性が生じ、レーザ光の偏光制御を行うことができる。一般に、活性領域104に圧縮応力が付加されたとき、その方向の利得が増加することが知られている。
【0018】
さらに、出射保護膜112とモード制御部114Bの膜厚、屈折率を調整することで、高次横モードを抑制した基本横モードを得ることができる。好ましくは、出射保護膜112の膜厚は、発振波長のλ/4n1(n1は、媒質の屈折率)の奇数倍であり、モード制御部11BAの膜厚は、発振波長のλ/4n2(n2は、媒質の屈折率)の奇数倍であり、n1>n0、n1<n2の関係を満足する。ここで、n0は、上部DBR106の最上層の屈折率である。
【0019】
モード制御部114Bと出射保護膜112とが重複した領域の反射率は、モード制御部114Bが重複していない領域の反射率よりも高められる。このため、モード制御部114Bが存在する光軸近傍の発振が促進され、光軸周辺の発振が抑制される。高次横モードは、光軸近傍から離れた位置で発生するため、高次横モードが抑制された基本横モード光が光出射口110Aから出射される。
【0020】
好ましくは、出射保護膜112とモード制御部114Bの屈折率n1とn2の差が大きくなるような材料を選択することが望ましい。これにより、基本横モード発振が行われる領域と高次モード発振が行われる領域との反射率差を大きくすることができる。1つの好ましい例では、出射保護膜112は、SiONまたはSiO2から構成され、モード制御部114Bは、SiNから構成される。例えば、上部DBR106の最上層がGaAsコンタクト層であるとき、n0は、約3.5であり、出射保護膜112がSiO2であるとき、n1は、約1.5であり、モード制御部114BがSiNであるとき、n2は、約1.9である。
【0021】
例えば、上部DBR106がAl0.9Ga0.1As層とAl0.3Ga0.7As層の24周期であり、出射保護膜112がSiON(λ/4の膜厚)から構成され、モード制御部114BがSiN(λ/4の膜厚)から構成されたとき、モード制御部114Bが重複する基本モード領域の反射率は、約99.7%であり、モード制御部114Bが重複しない高次モード領域の反射率は、約99.2%である。典型的にレーザ発振に必要な反射率は、おおよそ99.5%であるため、基本モード領域の光軸上に発生する光の発振が促進され、他方、光軸から離れた高次モード領域における高次横モードの発振が抑制される。当業者であれば、上部DBR106の周期数や、出射保護膜112およびモード制御部114Bの材料を選択することで、反射率を適宜調整することが可能である。また、上記実施例では、モード制御部114Bは、層間絶縁膜114として形成されるものであるが、モード制御部114Bは、層間絶縁膜114と異なる材料により形成するようにしてもよい。
【0022】
さらに、本実施例では、メサMの平面形状は円形であるため、導電領域108Bもまた円形状であり、導電領域108Bは、異方性を持たないため、導電領域108Bに異方性を持たせて偏光制御を行う場合と比べて、導電領域108Bの面積を大きくすることができ、素子の低抵抗化を図ることができる。これにより、偏光制御をしつつ、基本横モード発振のレーザ光の高出力化を図ることができる。但し、本発明は、異方性のある導電領域108BをもつVCSELや、異方性のあるメサをもつVCSELにも適用することができる。
【0023】
次に、本発明の第2の実施例を図3および図4を参照して説明する。なお、第1の実施例と同一構成については、同一参照番号を付し重複した説明を省略する。第2の実施例に係るVCSEL10Aは、周縁被覆部114Aは、出射保護膜112の両端部112A、112Bとの重複する面積を増加させるように、出射保護膜112の長軸の半径方向に延在した延在部分114C、114Dとを含む。但し、延在部分114C、114Dは、光出射口110Aの外径を示す破線K2より手前で終端される。延在部分114C、114Dによる出射保護膜112の端部112A、112Bの接触面積が大きくなることで、出射保護膜112に対し、より大きな異方性の歪または応力を付加することができる。
【0024】
次に、本発明の第3の実施例を図5および図6を参照して説明する。第3の実施例に係るVCSEL10Bでは、第1および第2の実施例と異なり、周縁被覆部114Aが出射保護膜112の長軸方向の一方の端部のみを覆うものである。図に示す例では、周縁被覆部114Aは、出射保護膜112の端部112Aのみを覆い、他方の端部112Bは、周縁被覆部114Aから離間されている。このような態様であっても、出射保護膜112の長軸方向の端部112Aのみが周縁被覆部114Aによって覆われることで、出射保護膜112には異方性の歪または応力が付加される。
【0025】
次に、本発明の第4の実施例を図7および図8を参照して説明する。第4の実施例では、第1の実施例のときと、基本モードの制御の方法を異にし、それ以外の構成は同様である。第4の実施例では、出射保護膜112は、長軸および短軸をもつ異方形状に加工されるが、その膜厚は、λ/2n1の整数倍に設定される。一方、モード制御部114Bは、中央に円形の開口部114Eが形成された環状またはドーナツ状に加工される。開口部114Eは、メサMの光軸に略一致し、その直径は、電流狭窄層108の導電領域108Bの直径よりも小さい。モード制御部114Bが出射保護膜112と重複する領域は、光軸近傍から離れた高次モードが発生する領域であり、この領域の反射率は、モード制御部114Bの開口部114Eが存在する光軸近傍の領域の反射率よりも低下される。これにより、高次横モード発振が抑制され、基本横モード発振を得ることができる。
【0026】
次に、本発明の第5の実施例を図9および図10を参照して説明する。第5の実施例では、第4の実施例と異なり、モード制御部の構成を異にしている。すなわち、第5の実施例では、モード制御部114Fは、周縁被覆部114Aの対向する端部を連結するように構成され、かつ、光軸近傍に円形状の開口部114Eが形成される。モード制御部114Fは、層間絶縁膜114の周縁被覆部114Aに連結され、かつ出射保護膜112の長軸方向の沿うように連続的に延びることで、モード制御部114を含む層間絶縁膜114は、出射保護膜112に対し異方的なより大きな歪または応力を付加することができる。また、第5の実施例は、第4の実施例のときと同様に基本横モードの制御を行う。
【0027】
次に、本発明の第6の実施例を図11および図12を参照して説明する。第6の実施例では、出射保護膜112は、上部DBR106上に円形状に形成される。出射保護膜112の中心は、メサMの光軸に略一致し、その外径は、導電領域108Bの径よりも小さい。一方、層間絶縁膜114は、メサMの側壁を覆いかつメサMの頂部においてその周縁を被覆する周縁被覆部114Aと、周縁被覆部114Aの対向する端部から延在し、かつ出射保護膜112の全体を覆う連結部114Gとを有する。図示する例では、連結部114Gは、一定の幅Wで延在し、その幅Wは、出射保護膜112の外径D1よりも大きく、光出射口110Aの径(p側電極110の内径)D2と等しいかそれよりも大きく、p側電極110の外径D3よりも小さい。
【0028】
第6の実施例では、出射保護膜112は、異方形状を有していないが、連結部114GはメサMの頂部において異方形状を有し、かつ周縁被覆部114Aに連結されているため、連結部114Gにより、出射保護膜112およびメサMに異方性の応力または歪みが付加される。これにより、メサM内の活性領域104には特定の方向に歪み加えられ、利得に異方性が生じ、レーザ光の偏光制御が行われる。
【0029】
さらに連結部114Gは、第1の実施例のときと同様に、モード制御部としても機能する。すなわち、出射保護膜112の膜厚は、発振波長の1/4の奇数倍に設定され、連結部114Gの膜厚は、発振波長の1/4の奇数倍に設定される。こうして、連結部114Gと出射保護膜112とが重複する光軸近傍の領域の反射率は、出射保護膜112が存在しない連結部114Gのみの光軸から離れた領域の反射率よりも高くなり、その結果、高次モード発振が抑制される。
【0030】
第6の実施例では、メサ側壁を覆う層間絶縁膜114を着膜後、コンタクトホール116のエッチングにより連結部114Gが残される。周縁被覆部114Aを繋ぐ連結部114Gをエッチングにより形成することができるので、工程数を増加させることなく簡単に異方的な応力をかけることができる構造を提供することができる。
【0031】
上記した実施例では、長軸および短軸を有する異方形状として、楕円パターンを例示したが、これ以外の矩形パターン、半楕円パターンなどであってもよい。さらに、電流狭窄層108の導電領域(酸化アパーチャ)108Bの径は、要求される光出力などに応じて適宜変更することができる。さらにVCSELは、GaAs系のみならず、他のIII−V族の化合物半導体を用いたものであってもよい。n側電極120は、GaAs基板の裏面に形成したが、これ以外にも、n側電極120は、下部DBR102と電気的に接続されるようにメサ底部に形成してもよい。この場合、基板は、半絶縁性であってもよい。さらに上記実施例では、シングルスポットのVCSELを例示したが、基板上に多数のメサ(発光部)が形成されたマルチスポットのVCSELあるいはVCSELアレイであってもよい。
【0032】
次に、本実施例のVCSELを利用した面発光型半導体レーザ装置、光情報処理装置および光伝送装置について図面を参照して説明する。図13(A)は、VCSELと光学部材を実装(パッケージ)した面発光型半導体レーザ装置の構成を示す断面図である。面発光型半導体レーザ装置300は、VCSELが形成されたチップ310を、導電性接着剤320を介して円盤状の金属ステム330上に固定する。導電性のリード340、342は、ステム330に形成された貫通孔(図示省略)内に挿入され、一方のリード340は、VCSELのn側電極に電気的に接続され、他方のリード342は、p側電極に電気的に接続される。チップ310を含むステム330上に矩形状の中空のキャップ350が固定され、キャップ350の中央の開口352内に光学部材のボールレンズ360が固定されている。ボールレンズ360の光軸は、チップ310のほぼ中心と一致するように位置決めされる。リード340、342間に順方向の電圧が印加されると、チップ310から垂直方向にレーザ光が出射される。チップ310とボールレンズ360との距離は、チップ310からのレーザ光の広がり角θ内にボールレンズ360が含まれるように調整される。また、キャップ内に、VCSELの発光状態をモニターするための受光素子や温度センサを含ませるようにしてもよい。
【0033】
図13(B)は、他の面発光型半導体レーザ装置の構成を示す図であり、同図に示す面発光型半導体レーザ装置302は、ボールレンズ360を用いる代わりに、キャップ350の中央の開口352内に平板ガラス362を固定している。平板ガラス362の中心は、チップ310のほぼ中心と一致するように位置決めされる。チップ310と平板ガラス362との距離は、平板ガラス362の開口径がチップ310からのレーザ光の広がり角度θ以上になるように調整される。
【0034】
図14は、VCSELを光情報処理装置の光源に適用した例を示す図である。光情報処理装置370は、図13(A)または図13(B)のようにVCSELを実装した面発光型半導体レーザ装置300または302からのレーザ光を入射するコリメータレンズ372、一定の速度で回転し、コリメータレンズ372からの光線束を一定の広がり角で反射するポリゴンミラー374、ポリゴンミラー374からのレーザ光を入射し反射ミラー378を照射するfθレンズ376、ライン状の反射ミラー378、反射ミラー378からの反射光に基づき潜像を形成する感光体ドラム(記録媒体)380を備えている。このように、VCSELからのレーザ光を感光体ドラム上に集光する光学系と、集光されたレーザ光を光体ドラム上で走査する機構とを備えた複写機やプリンタなど、光情報処理装置の光源として利用することができる。
【0035】
図15は、図13(A)に示す面発光型半導体レーザ装置を光伝送装置に適用したときの構成を示す断面図である。光伝送装置400は、ステム330に固定された円筒状の筐体410、筐体410の端面に一体に形成されたスリーブ420、スリーブ420の開口422内に保持されるフェルール430、およびフェルール430によって保持される光ファイバ440を含んで構成される。ステム330の円周方向に形成されたフランジ332には、筐体410の端部が固定される。フェルール430は、スリーブ420の開口422に正確に位置決めされ、光ファイバ440の光軸がボールレンズ360の光軸に整合される。フェルール430の貫通孔432内に光ファイバ440の芯線が保持されている。チップ310の表面から出射されたレーザ光は、ボールレンズ360によって集光され、集光された光は、光ファイバ440の芯線に入射され、送信される。上記例ではボールレンズ360を用いているが、これ以外にも両凸レンズや平凸レンズ等の他のレンズを用いることができる。さらに、光伝送装置400は、リード340、342に電気信号を印加するための駆動回路を含むものであってもよい。さらに、光伝送装置400は、光ファイバ440を介して光信号を受信するための受信機能を含むものであってもよい。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
10、10A、10B、10C、10D、10E:VCSEL
100:基板
102:下部DBR
104:活性領域
106:上部DBR
106A:コンタクト層
108:電流狭窄層
108A:酸化領域
108B:導電領域(酸化アパーチャ)
110:p側電極
110A:光出射口
112:出射保護膜
112A、112B:端部
114:層間絶縁膜
114A:周縁被覆部
114B、114F:モード制御部
114C、114D:延在部
114E:開口部
114G:連結部
116:コンタクトホール
120:n側電極
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光型半導体レーザ、面発光型半導体レーザ装置、光伝送装置および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
面発光型半導体レーザは、通信装置や画像形成装置の光源に利用されている。このような光源に利用される面発光型半導体レーザとっては、単一横モードであり、高出力、長寿命であることが望ましい。選択酸化型の面発光型半導体レーザでは、電流狭窄層の酸化アパーチャ径を約2〜3ミクロン程度にまで小さくすることで単一横モードを得ているが、このような小さな酸化アパーチャ径では、3mW以上の光出力を安定的に得ることが難しくなる。そこで、酸化アパーチャ径を大きくし、光出射口内に透明な層やレンズを形成することで高次横モードを抑制したり、偏光制御を行うために光出射口内に構造物やトレンチを形成した面発光型半導体レーザが提案されている(特許文献1ないし3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−153768号公報
【特許文献2】特開2007−201398号公報
【特許文献3】特開2008−98338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、基本横モード光の偏光制御を可能にする面発光型半導体レーザを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1は、基板と、前記基板上に形成された第1導電型の第1の半導体多層膜反射鏡と、第1の半導体多層膜反射鏡上に形成された活性領域と、前記活性領域上に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型の第2の半導体多層膜反射鏡と、前記基板上に形成され、少なくとも第2の半導体多層膜反射鏡を含む柱状構造と、第2の半導体多層膜反射鏡上の光出射部を覆い、前記基板の主面と平行な面において長軸および短軸を有する異方形状を有し、発振波長を透過可能な材料から構成された出射保護膜と、前記柱状構造の側壁および少なくとも頂部の周縁を覆う第1の絶縁膜と、前記出射保護膜上に形成され、発振波長を透過可能な材料から構成され、基本横モード発振を制御するための第2の絶縁膜とを有し、前記出射保護膜の長軸側の両端部の少なくとも一方は前記第1の絶縁膜によって覆われ、前記出射保護膜の短軸側の両端部は前記第1の絶縁膜から離間されている、面発光型半導体レーザ。
請求項2は、前記第1の絶縁膜は、前記出射保護膜の長軸側の両端部を覆う、請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項3は、前記第1の絶縁膜は、前記出射保護膜の長軸方向に延在し、かつ前記光出射部の手前で終端する、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項4は、前記第1の絶縁膜は、前記柱状構造の頂部の周縁を被覆する周縁被覆部の対向する端部を連結するように延在し、かつ前記第1の絶縁膜には、前記光出射部と重複する位置に開口部が形成される、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項5は、前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜とは同一の膜であり、同時に形成される、請求項1ないし4いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項6は、前記柱状構造は、前記基板の主面と平行な面において円形であり、前記柱状構造内に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層には、酸化領域と当該酸化領域によって囲まれた導電領域とが形成される、請求項1ないし5いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項7は、前記第2の絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍であり、前記重複する領域の反射率は、前記第2の絶縁膜が重複しない領域の反射率よりも高い、請求項1ないし6いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項8は、前記出射保護膜の膜厚は、λ/4n1(λは発振波長)の奇数倍であり、前記第2の絶縁膜の膜厚は、λ/4n2の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記第2の絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項7に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項9は、前記第2の絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍から離れた領域であり、前記重複する領域の反射率は、前記第2の絶縁膜が重複しない光軸近傍の領域の反射率よりも低い、請求項1ないし6いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項10は、前記出射保護膜の膜厚は、λ/2n1の整数倍であり、前記第2の絶縁膜の膜厚は、λ/4n2の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記第2の絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項9に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項11は、基板と、前記基板上に形成された第1導電型の第1の半導体多層膜反射鏡と、第1の半導体多層膜反射鏡上に形成された活性領域と、前記活性領域上に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型の第2の半導体多層膜反射鏡と、前記基板上に形成され、少なくとも第2の半導体多層膜反射鏡を含む柱状構造と、第2の半導体多層膜反射鏡上の光出射部の少なくとも一部を覆い、発振波長を透過可能な材料から構成された出射保護膜と、前記柱状構造の側壁および少なくとも頂部の周縁を覆い、かつ発振波長を透過可能な材料から構成された絶縁膜とを有し、前記絶縁膜は、前記柱状構造の頂部の周縁を覆う周縁被覆部と当該周縁被覆部の対向する端部を連結する連結部とを有し、前記連結部は、基板の主面と平行な面において長軸および短軸を含む異方形状を有し、かつ前記出射保護膜を覆う、面発光型半導体レーザ。
請求項12は、第2の半導体多層膜反射鏡上に前記光出射部を規定する環状電極が形成され、前記連結部の短軸方向において前記連結部と前記周縁被覆部との間には、前記環状電極を露出するための開口部が形成される、請求項11に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項13は、前記絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍であり、前記重複する領域の反射率は、前記出射保護膜が存在しない光出射部の光軸近傍から離れた領域の反射率よりも高い、請求項11または12に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項14は、前記出射保護膜の膜厚は、λ/4n1の奇数倍であり、前記絶縁膜の膜厚は、λ/4n2(λは発振波長)の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項13に記載の面発光型半導体レーザ。
請求項15は、前記柱状構造は、前記基板の主面と平行な面において円形であり、前記柱状構造内に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層には、酸化領域と当該酸化領域によって囲まれた導電領域とが形成される、請求項11ないし14いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
請求項16は、請求項1ないし15いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザと、前記面発光型半導体レーザからの光を入射する光学部材と、を実装した面発光型半導体レーザ装置。
請求項17は、請求項16に記載された面発光型半導体レーザ装置と、前記面発光型半導体レーザ装置から発せられたレーザ光を光媒体を介して伝送する伝送手段と、を備えた光伝送装置。
請求項18は、請求項1ないし15いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザと、前記面発光型半導体レーザから出射されるレーザ光を記録媒体に集光する集光手段と、前記集光手段により集光されたレーザ光を前記記録媒体上で走査する機構と、を有する情報処理装置。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、11によれば、基本横モード光の偏光制御を行うことができる。
請求項2、3、4によれば、出射保護膜の異方性の歪を増加させることができる。
請求項5によれば、第2の絶縁膜を形成するための工程数を削減することができる。
請求項6、15によれば、導電領域が円形を持たない面発光型半導体レーザと比較して、基本横モード光の高出力化を図ることができる。
請求項7、8、9、10、13、14によれば、高次横モードを抑制し、基本横モードを促進することができる。
請求項11によれば、環状電極を露出するための開口部を形成するときに同時に絶縁膜の連結部を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の第1の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図2】図1のA1−A1線、B1−B1線の概略断面図である。
【図3】本発明の第2の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図4】図2のA2−A2線、B2−B2線の概略断面図である。
【図5】本発明の第3の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図6】図5のA3−A3線、B3−B3線の概略断面図である。
【図7】本発明の第4の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図8】図7のA4−A4線、B4−B4線の概略断面図である。
【図9】本発明の第5の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図10】図9のA5−A5線、B5−B5線の概略断面図である。
【図11】本発明の第6の実施例に面発光型半導体レーザの概略平面図である。
【図12】図11のA6−A6線、B6−B6線の概略断面図である。
【図13】本実施例の面発光型半導体レーザに光学部材を実装した面発光型半導体レーザ装置の構成を示す概略断面図である。
【図14】本実施例の面発光型半導体レーザを使用した光源装置の構成例を示す図である。
【図15】図13に示す面発光型半導体レーザ装置を用いた光伝送装置の構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
高速高画質プリンターで使用する面発光半導体レーザは、基本横モードまたはシングルモード動作が要求される。今後はさらなるプリント性能の改善に向けて、シングルモード光の出力をさらに高め、偏光が安定的な長寿命の面発光半導体レーザが求められる。プリンター光源に酸化狭窄型面発光半導体レーザを用いることで、電流狭窄径を楕円形状にして異方性を持たせ、偏光制御を行うことができる。しかし、シングルモード光出力をさらに高めて寿命を延ばすためには酸化径を広径化する必要があるが、楕円形状のような異方性を持つ酸化狭窄径にすると、シングルモードが得られる径は長軸で決まってしまう。そのため、楕円形状だと短軸はシングルモードが得られる最大径よりも小さくしなければならず、長軸のサイズで円を形成した電流狭窄面積よりも小さくなる。したがって、電流狭窄面積が小さい分抵抗が増加し、素子の自己発熱の影響が強まり光出力寿命としても円形状の狭窄径よりも不利となる。シングルモード光出力をさらに高めた偏光が安定な長寿命の面発光半導体レーザを実現するためには、電流狭窄径は異方性を持たずに別の方法で偏光を安定化させることが望ましい。
【0009】
本発明の好ましい態様では、シングルモード高出力化の手法の一つである出射面に誘電体を付加する構造を用い、長軸と短軸を有しない酸化アパーチャでも長寿命のシングルモード高出力で偏光制御が可能な面発光レーザを提供する。
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。ここでは、選択酸化型の面発光型半導体レーザ(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を例示し、面発光型半導体レーザをVCSELと称する。なお、図面のスケールは、発明の特徴を分かり易くするために強調しており、必ずしも実際のデバイスのスケールと同一ではないことに留意すべきである。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の第1の実施例に係るVCSELの概略平面図、図2は、そのA1−A1線断面図、およびB1−B1線断面図である。同図に示すように、本実施例のVCSEL10は、n型のGaAs基板100上に、Al組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたn型の下部分布ブラック型反射鏡(Distributed Bragg Reflector:以下、DBRという)102、下部DBR102上に形成された上部および下部スペーサ層に挟まれた量子井戸層を含む活性領域104、活性領域104上に形成されたAl組成の異なるAlGaAs層を交互に重ねたp型の上部DBR106を積層している。
【0012】
n型の下部DBR102は、例えば、Al0.9Ga0.1As層とAl0.3Ga0.7As層との対の複数の積層体で、各層の厚さはλ/4nr(但し、λは発振波長、nrは媒質の屈折率)であり、これらを交互に40周期で積層してある。n型不純物であるシリコンをドーピングした後のキャリア濃度は、例えば、3×1018cm-3である。活性領域104の下部スペーサ層は、例えば、アンドープのAl0.6Ga0.4As層であり、量子井戸活性層は、アンドープAl0.11Ga0.89As量子井戸層およびアンドープのAl0.3Ga0.7As障壁層であり、上部スペーサ層は、アンドープのAl0.6Ga0.4As層である。p型の上部DBR106は、例えば、Al0.9Ga0.1As層とAl0.3Ga0.7As層との対の複数の積層体で、各層の厚さはλ/4nrであり、これらを交互に24周期積層してある。p型不純物であるカーボンをドーピングした後のキャリア濃度は、例えば、3×1018cm-3である。上部DBR106の最下層もしくはその内部には、電流狭窄層108が形成される。また、好ましくは上部DBR106の最上層には、不純物濃度の高いp型GaAsからなるコンタクト層を形成することができる。
【0013】
上部DBR106から下部DBR102に至るまで半導体層をエッチングすることにより、基板100上に円筒状のメサ(柱状構造)Mが形成される。メサMのエッチングは、少なくとも電流狭窄層108を側面に露出させる深さであればよい。電流狭窄層108は、p型のAlAsまたはAl組成が非常に高いAlGaAs(例えば、Al0.98Ga0.02As)から構成される。電流狭窄層108は、メサMの側面で露出され、当該側面から選択的に酸化された酸化領域108Aと酸化領域108Aによって囲まれた導電領域(酸化アパーチャ)108Bとを有する。電流狭窄層108の酸化工程において、AlAs層の酸化速度は、他のDBRのAlGaAs層よりも速く、メサMの側面から内部に向けてほぼ一定の速度で酸化が進行する。導電領域108Bの基板100の主面と平行な面内の平面形状は、メサMの外形を反映した円形状となり、その中心は、メサMの軸方向の中心、すなわち光軸と一致する。導電領域108Bの径は、基本横モード発振であれば、約3ミクロン程度である。但し、後述するように、メサ頂部において基本横モードの制御を行う場合には、導電領域108Bの径は、高次横モード発振が生じる大きさであることができ、例えば、780nmの波長帯で、5ミクロンまたはそれ以上とすることができる。
【0014】
メサMの頂部の上部DBR106の最上層には、金属製の環状のp側電極110が形成される。p側電極110は、例えば、AuまたはTi/Auなどを積層した金属から構成され、上部DBR106に電気的に接続される。p側電極110の中央には、円形状の開口部が形成され、当該開口部は、光を出射する光出射口110Aを規定する。好ましくは、光出射口110Aの中心は、メサMの光軸に一致し、光出射口110Aの直径は、導電領域108Bの直径よりも大きい。図1に示す破線K1は、導電領域108Bの外径を示し、破線K2は、光出射口110Aの外径を表している。
【0015】
メサ頂部において、光出射口110Aの全体を覆うように出射保護膜112が形成される。出射保護膜112は、発振波長を透過可能な材料から構成され、その平面形状は、長軸および短軸を有する異方形状に加工される。好ましくは、異方形状の長軸と短軸とは直交し、図示する例では、出射保護膜112は楕円形状に加工されている。出射保護膜112の長軸と短軸の交点は、メサMの光軸に略一致し、出射保護膜112の長軸方向の端部112A、112Bは、メサMの頂部の周縁近傍にまで延びている。他方、出射保護膜112の短軸方向の端部は、光出射口110Aの外縁K2を若干超える程度に延在している。
【0016】
メサMの底部、側部および頂部の周縁を覆うように層間絶縁膜114が形成される。層間絶縁膜114は、発振波長を透過可能な材料から構成され、メサMの頂部の周縁を被覆する環状の周縁被覆部114Aと、出射保護膜112上の光軸近傍に形成されたモード制御部114Bとを有する。周縁被覆部114Aは、メサ頂部において、出射保護膜112の長軸方向の対向する端部112Aと112Bを覆うが、出射保護膜112の短軸方向の端部を覆うことなくそこからから離間されている。これにより、出射保護膜112の短軸方向の端部と層間絶縁膜114との間には、コンタクトホール116が形成され、p側電極110が露出される。ここには図示しない金属配線がコンタクトホール116を介してp側金属110に接続される。一方、モード制御部114Bは、円形状を有し、モード制御部114Bの中心はメサMの光軸に略一致する。モード制御部114の直径は、電流狭窄層108の導電領域108Bの径よりも小さい。モード制御部114Bは、後述するように出射保護膜112と相まって、光軸近傍の反射率を相対的に高め、基本横モード発振を促進させる。
【0017】
本実施例において、出射保護膜112は異方性形状を有し、その長軸方向の両端部112A、112Bのみが層間絶縁膜114の周縁被覆部114Aによって覆われている。出射保護膜112は、それ自身が異方形状を有することで長軸方向と短軸方向において応力または歪が異なる。さらに出射保護膜112の長軸方向の両端部112A、112Bは、材料の異なる層間絶縁膜114によって被覆されることで、すなわち、メサ側壁を覆う層間絶縁膜114のメサ頂部における被覆の態様に差がつけられ、2種類の異なる絶縁膜の熱膨張係数の差により、出射保護膜112に異方的な応力がかかるようにしている。層間絶縁膜114による応力または歪の付加は、出射保護膜自身が有する応力または歪を相殺しないように、言い換えれば、出射保護膜自身が有する応力または歪が増加されるようにすることが望ましい。例えば、出射保護膜112の長軸方向に圧縮応力が生じており、短軸方向に引張り応力が生じているとき、層間絶縁膜114が出射保護膜112の両端部112A、112Bを被覆することで、その圧縮応力または引張り応力が助長されるようにする。出射保護膜112に生じた異方性のある応力は、メサMの活性領域104に伝達され、その結果、活性領域104には特定の方向に歪み加えられ、利得に異方性が生じ、レーザ光の偏光制御を行うことができる。一般に、活性領域104に圧縮応力が付加されたとき、その方向の利得が増加することが知られている。
【0018】
さらに、出射保護膜112とモード制御部114Bの膜厚、屈折率を調整することで、高次横モードを抑制した基本横モードを得ることができる。好ましくは、出射保護膜112の膜厚は、発振波長のλ/4n1(n1は、媒質の屈折率)の奇数倍であり、モード制御部11BAの膜厚は、発振波長のλ/4n2(n2は、媒質の屈折率)の奇数倍であり、n1>n0、n1<n2の関係を満足する。ここで、n0は、上部DBR106の最上層の屈折率である。
【0019】
モード制御部114Bと出射保護膜112とが重複した領域の反射率は、モード制御部114Bが重複していない領域の反射率よりも高められる。このため、モード制御部114Bが存在する光軸近傍の発振が促進され、光軸周辺の発振が抑制される。高次横モードは、光軸近傍から離れた位置で発生するため、高次横モードが抑制された基本横モード光が光出射口110Aから出射される。
【0020】
好ましくは、出射保護膜112とモード制御部114Bの屈折率n1とn2の差が大きくなるような材料を選択することが望ましい。これにより、基本横モード発振が行われる領域と高次モード発振が行われる領域との反射率差を大きくすることができる。1つの好ましい例では、出射保護膜112は、SiONまたはSiO2から構成され、モード制御部114Bは、SiNから構成される。例えば、上部DBR106の最上層がGaAsコンタクト層であるとき、n0は、約3.5であり、出射保護膜112がSiO2であるとき、n1は、約1.5であり、モード制御部114BがSiNであるとき、n2は、約1.9である。
【0021】
例えば、上部DBR106がAl0.9Ga0.1As層とAl0.3Ga0.7As層の24周期であり、出射保護膜112がSiON(λ/4の膜厚)から構成され、モード制御部114BがSiN(λ/4の膜厚)から構成されたとき、モード制御部114Bが重複する基本モード領域の反射率は、約99.7%であり、モード制御部114Bが重複しない高次モード領域の反射率は、約99.2%である。典型的にレーザ発振に必要な反射率は、おおよそ99.5%であるため、基本モード領域の光軸上に発生する光の発振が促進され、他方、光軸から離れた高次モード領域における高次横モードの発振が抑制される。当業者であれば、上部DBR106の周期数や、出射保護膜112およびモード制御部114Bの材料を選択することで、反射率を適宜調整することが可能である。また、上記実施例では、モード制御部114Bは、層間絶縁膜114として形成されるものであるが、モード制御部114Bは、層間絶縁膜114と異なる材料により形成するようにしてもよい。
【0022】
さらに、本実施例では、メサMの平面形状は円形であるため、導電領域108Bもまた円形状であり、導電領域108Bは、異方性を持たないため、導電領域108Bに異方性を持たせて偏光制御を行う場合と比べて、導電領域108Bの面積を大きくすることができ、素子の低抵抗化を図ることができる。これにより、偏光制御をしつつ、基本横モード発振のレーザ光の高出力化を図ることができる。但し、本発明は、異方性のある導電領域108BをもつVCSELや、異方性のあるメサをもつVCSELにも適用することができる。
【0023】
次に、本発明の第2の実施例を図3および図4を参照して説明する。なお、第1の実施例と同一構成については、同一参照番号を付し重複した説明を省略する。第2の実施例に係るVCSEL10Aは、周縁被覆部114Aは、出射保護膜112の両端部112A、112Bとの重複する面積を増加させるように、出射保護膜112の長軸の半径方向に延在した延在部分114C、114Dとを含む。但し、延在部分114C、114Dは、光出射口110Aの外径を示す破線K2より手前で終端される。延在部分114C、114Dによる出射保護膜112の端部112A、112Bの接触面積が大きくなることで、出射保護膜112に対し、より大きな異方性の歪または応力を付加することができる。
【0024】
次に、本発明の第3の実施例を図5および図6を参照して説明する。第3の実施例に係るVCSEL10Bでは、第1および第2の実施例と異なり、周縁被覆部114Aが出射保護膜112の長軸方向の一方の端部のみを覆うものである。図に示す例では、周縁被覆部114Aは、出射保護膜112の端部112Aのみを覆い、他方の端部112Bは、周縁被覆部114Aから離間されている。このような態様であっても、出射保護膜112の長軸方向の端部112Aのみが周縁被覆部114Aによって覆われることで、出射保護膜112には異方性の歪または応力が付加される。
【0025】
次に、本発明の第4の実施例を図7および図8を参照して説明する。第4の実施例では、第1の実施例のときと、基本モードの制御の方法を異にし、それ以外の構成は同様である。第4の実施例では、出射保護膜112は、長軸および短軸をもつ異方形状に加工されるが、その膜厚は、λ/2n1の整数倍に設定される。一方、モード制御部114Bは、中央に円形の開口部114Eが形成された環状またはドーナツ状に加工される。開口部114Eは、メサMの光軸に略一致し、その直径は、電流狭窄層108の導電領域108Bの直径よりも小さい。モード制御部114Bが出射保護膜112と重複する領域は、光軸近傍から離れた高次モードが発生する領域であり、この領域の反射率は、モード制御部114Bの開口部114Eが存在する光軸近傍の領域の反射率よりも低下される。これにより、高次横モード発振が抑制され、基本横モード発振を得ることができる。
【0026】
次に、本発明の第5の実施例を図9および図10を参照して説明する。第5の実施例では、第4の実施例と異なり、モード制御部の構成を異にしている。すなわち、第5の実施例では、モード制御部114Fは、周縁被覆部114Aの対向する端部を連結するように構成され、かつ、光軸近傍に円形状の開口部114Eが形成される。モード制御部114Fは、層間絶縁膜114の周縁被覆部114Aに連結され、かつ出射保護膜112の長軸方向の沿うように連続的に延びることで、モード制御部114を含む層間絶縁膜114は、出射保護膜112に対し異方的なより大きな歪または応力を付加することができる。また、第5の実施例は、第4の実施例のときと同様に基本横モードの制御を行う。
【0027】
次に、本発明の第6の実施例を図11および図12を参照して説明する。第6の実施例では、出射保護膜112は、上部DBR106上に円形状に形成される。出射保護膜112の中心は、メサMの光軸に略一致し、その外径は、導電領域108Bの径よりも小さい。一方、層間絶縁膜114は、メサMの側壁を覆いかつメサMの頂部においてその周縁を被覆する周縁被覆部114Aと、周縁被覆部114Aの対向する端部から延在し、かつ出射保護膜112の全体を覆う連結部114Gとを有する。図示する例では、連結部114Gは、一定の幅Wで延在し、その幅Wは、出射保護膜112の外径D1よりも大きく、光出射口110Aの径(p側電極110の内径)D2と等しいかそれよりも大きく、p側電極110の外径D3よりも小さい。
【0028】
第6の実施例では、出射保護膜112は、異方形状を有していないが、連結部114GはメサMの頂部において異方形状を有し、かつ周縁被覆部114Aに連結されているため、連結部114Gにより、出射保護膜112およびメサMに異方性の応力または歪みが付加される。これにより、メサM内の活性領域104には特定の方向に歪み加えられ、利得に異方性が生じ、レーザ光の偏光制御が行われる。
【0029】
さらに連結部114Gは、第1の実施例のときと同様に、モード制御部としても機能する。すなわち、出射保護膜112の膜厚は、発振波長の1/4の奇数倍に設定され、連結部114Gの膜厚は、発振波長の1/4の奇数倍に設定される。こうして、連結部114Gと出射保護膜112とが重複する光軸近傍の領域の反射率は、出射保護膜112が存在しない連結部114Gのみの光軸から離れた領域の反射率よりも高くなり、その結果、高次モード発振が抑制される。
【0030】
第6の実施例では、メサ側壁を覆う層間絶縁膜114を着膜後、コンタクトホール116のエッチングにより連結部114Gが残される。周縁被覆部114Aを繋ぐ連結部114Gをエッチングにより形成することができるので、工程数を増加させることなく簡単に異方的な応力をかけることができる構造を提供することができる。
【0031】
上記した実施例では、長軸および短軸を有する異方形状として、楕円パターンを例示したが、これ以外の矩形パターン、半楕円パターンなどであってもよい。さらに、電流狭窄層108の導電領域(酸化アパーチャ)108Bの径は、要求される光出力などに応じて適宜変更することができる。さらにVCSELは、GaAs系のみならず、他のIII−V族の化合物半導体を用いたものであってもよい。n側電極120は、GaAs基板の裏面に形成したが、これ以外にも、n側電極120は、下部DBR102と電気的に接続されるようにメサ底部に形成してもよい。この場合、基板は、半絶縁性であってもよい。さらに上記実施例では、シングルスポットのVCSELを例示したが、基板上に多数のメサ(発光部)が形成されたマルチスポットのVCSELあるいはVCSELアレイであってもよい。
【0032】
次に、本実施例のVCSELを利用した面発光型半導体レーザ装置、光情報処理装置および光伝送装置について図面を参照して説明する。図13(A)は、VCSELと光学部材を実装(パッケージ)した面発光型半導体レーザ装置の構成を示す断面図である。面発光型半導体レーザ装置300は、VCSELが形成されたチップ310を、導電性接着剤320を介して円盤状の金属ステム330上に固定する。導電性のリード340、342は、ステム330に形成された貫通孔(図示省略)内に挿入され、一方のリード340は、VCSELのn側電極に電気的に接続され、他方のリード342は、p側電極に電気的に接続される。チップ310を含むステム330上に矩形状の中空のキャップ350が固定され、キャップ350の中央の開口352内に光学部材のボールレンズ360が固定されている。ボールレンズ360の光軸は、チップ310のほぼ中心と一致するように位置決めされる。リード340、342間に順方向の電圧が印加されると、チップ310から垂直方向にレーザ光が出射される。チップ310とボールレンズ360との距離は、チップ310からのレーザ光の広がり角θ内にボールレンズ360が含まれるように調整される。また、キャップ内に、VCSELの発光状態をモニターするための受光素子や温度センサを含ませるようにしてもよい。
【0033】
図13(B)は、他の面発光型半導体レーザ装置の構成を示す図であり、同図に示す面発光型半導体レーザ装置302は、ボールレンズ360を用いる代わりに、キャップ350の中央の開口352内に平板ガラス362を固定している。平板ガラス362の中心は、チップ310のほぼ中心と一致するように位置決めされる。チップ310と平板ガラス362との距離は、平板ガラス362の開口径がチップ310からのレーザ光の広がり角度θ以上になるように調整される。
【0034】
図14は、VCSELを光情報処理装置の光源に適用した例を示す図である。光情報処理装置370は、図13(A)または図13(B)のようにVCSELを実装した面発光型半導体レーザ装置300または302からのレーザ光を入射するコリメータレンズ372、一定の速度で回転し、コリメータレンズ372からの光線束を一定の広がり角で反射するポリゴンミラー374、ポリゴンミラー374からのレーザ光を入射し反射ミラー378を照射するfθレンズ376、ライン状の反射ミラー378、反射ミラー378からの反射光に基づき潜像を形成する感光体ドラム(記録媒体)380を備えている。このように、VCSELからのレーザ光を感光体ドラム上に集光する光学系と、集光されたレーザ光を光体ドラム上で走査する機構とを備えた複写機やプリンタなど、光情報処理装置の光源として利用することができる。
【0035】
図15は、図13(A)に示す面発光型半導体レーザ装置を光伝送装置に適用したときの構成を示す断面図である。光伝送装置400は、ステム330に固定された円筒状の筐体410、筐体410の端面に一体に形成されたスリーブ420、スリーブ420の開口422内に保持されるフェルール430、およびフェルール430によって保持される光ファイバ440を含んで構成される。ステム330の円周方向に形成されたフランジ332には、筐体410の端部が固定される。フェルール430は、スリーブ420の開口422に正確に位置決めされ、光ファイバ440の光軸がボールレンズ360の光軸に整合される。フェルール430の貫通孔432内に光ファイバ440の芯線が保持されている。チップ310の表面から出射されたレーザ光は、ボールレンズ360によって集光され、集光された光は、光ファイバ440の芯線に入射され、送信される。上記例ではボールレンズ360を用いているが、これ以外にも両凸レンズや平凸レンズ等の他のレンズを用いることができる。さらに、光伝送装置400は、リード340、342に電気信号を印加するための駆動回路を含むものであってもよい。さらに、光伝送装置400は、光ファイバ440を介して光信号を受信するための受信機能を含むものであってもよい。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0037】
10、10A、10B、10C、10D、10E:VCSEL
100:基板
102:下部DBR
104:活性領域
106:上部DBR
106A:コンタクト層
108:電流狭窄層
108A:酸化領域
108B:導電領域(酸化アパーチャ)
110:p側電極
110A:光出射口
112:出射保護膜
112A、112B:端部
114:層間絶縁膜
114A:周縁被覆部
114B、114F:モード制御部
114C、114D:延在部
114E:開口部
114G:連結部
116:コンタクトホール
120:n側電極
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1導電型の第1の半導体多層膜反射鏡と、
第1の半導体多層膜反射鏡上に形成された活性領域と、
前記活性領域上に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型の第2の半導体多層膜反射鏡と、
前記基板上に形成され、少なくとも第2の半導体多層膜反射鏡を含む柱状構造と、
第2の半導体多層膜反射鏡上の光出射部を覆い、前記基板の主面と平行な面において長軸および短軸を有する異方形状を有し、発振波長を透過可能な材料から構成された出射保護膜と、
前記柱状構造の側壁および少なくとも頂部の周縁を覆う第1の絶縁膜と、
前記出射保護膜上に形成され、発振波長を透過可能な材料から構成され、基本横モード発振を制御するための第2の絶縁膜とを有し、
前記出射保護膜の長軸側の両端部の少なくとも一方は前記第1の絶縁膜によって覆われ、前記出射保護膜の短軸側の両端部は前記第1の絶縁膜から離間されている、面発光型半導体レーザ。
【請求項2】
前記第1の絶縁膜は、前記出射保護膜の長軸側の両端部を覆う、請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜は、前記出射保護膜の長軸方向に延在し、かつ前記光出射部の手前で終端する、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜は、前記柱状構造の頂部の周縁を被覆する周縁被覆部の対向する端部を連結するように延在し、かつ前記第1の絶縁膜には、前記光出射部と重複する位置に開口部が形成される、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項5】
前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜とは同一の膜であり、同時に形成される、請求項1ないし4いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項6】
前記柱状構造は、前記基板の主面と平行な面において円形であり、前記柱状構造内に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層には、酸化領域と当該酸化領域によって囲まれた導電領域とが形成される、請求項1ないし5いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項7】
前記第2の絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍であり、前記重複する領域の反射率は、前記第2の絶縁膜が重複しない領域の反射率よりも高い、請求項1ないし6いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項8】
前記出射保護膜の膜厚は、λ/4n1(λは発振波長)の奇数倍であり、前記第2の絶縁膜の膜厚は、λ/4n2の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記第2の絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項7に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項9】
前記第2の絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍から離れた領域であり、前記重複する領域の反射率は、前記第2の絶縁膜が重複しない光軸近傍の領域の反射率よりも低い、請求項1ないし6いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項10】
前記出射保護膜の膜厚は、λ/2n1の整数倍であり、前記第2の絶縁膜の膜厚は、λ/4n2の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記第2の絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項9に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に形成された第1導電型の第1の半導体多層膜反射鏡と、
第1の半導体多層膜反射鏡上に形成された活性領域と、
前記活性領域上に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型の第2の半導体多層膜反射鏡と、
前記基板上に形成され、少なくとも第2の半導体多層膜反射鏡を含む柱状構造と、
第2の半導体多層膜反射鏡上の光出射部の少なくとも一部を覆い、発振波長を透過可能な材料から構成された出射保護膜と、
前記柱状構造の側壁および少なくとも頂部の周縁を覆い、かつ発振波長を透過可能な材料から構成された絶縁膜とを有し、
前記絶縁膜は、前記柱状構造の頂部の周縁を覆う周縁被覆部と当該周縁被覆部の対向する端部を連結する連結部とを有し、前記連結部は、基板の主面と平行な面において長軸および短軸を含む異方形状を有し、かつ前記出射保護膜を覆う、面発光型半導体レーザ。
【請求項12】
第2の半導体多層膜反射鏡上に前記光出射部を規定する環状電極が形成され、前記連結部の短軸方向において前記連結部と前記周縁被覆部との間には、前記環状電極を露出するための開口部が形成される、請求項11に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項13】
前記絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍であり、前記重複する領域の反射率は、前記出射保護膜が存在しない光出射部の光軸近傍から離れた領域の反射率よりも高い、請求項11または12に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項14】
前記出射保護膜の膜厚は、λ/4n1の奇数倍であり、前記絶縁膜の膜厚は、λ/4n2(λは発振波長)の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項13に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項15】
前記柱状構造は、前記基板の主面と平行な面において円形であり、前記柱状構造内に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層には、酸化領域と当該酸化領域によって囲まれた導電領域とが形成される、請求項11ないし14いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項16】
請求項1ないし15いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザと、
前記面発光型半導体レーザからの光を入射する光学部材と、
を実装した面発光型半導体レーザ装置。
【請求項17】
請求項16に記載された面発光型半導体レーザ装置と、
前記面発光型半導体レーザ装置から発せられたレーザ光を光媒体を介して伝送する伝送手段と、
を備えた光伝送装置。
【請求項18】
請求項1ないし15いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザと、
前記面発光型半導体レーザから出射されるレーザ光を記録媒体に集光する集光手段と、
前記集光手段により集光されたレーザ光を前記記録媒体上で走査する機構と、
を有する情報処理装置。
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1導電型の第1の半導体多層膜反射鏡と、
第1の半導体多層膜反射鏡上に形成された活性領域と、
前記活性領域上に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型の第2の半導体多層膜反射鏡と、
前記基板上に形成され、少なくとも第2の半導体多層膜反射鏡を含む柱状構造と、
第2の半導体多層膜反射鏡上の光出射部を覆い、前記基板の主面と平行な面において長軸および短軸を有する異方形状を有し、発振波長を透過可能な材料から構成された出射保護膜と、
前記柱状構造の側壁および少なくとも頂部の周縁を覆う第1の絶縁膜と、
前記出射保護膜上に形成され、発振波長を透過可能な材料から構成され、基本横モード発振を制御するための第2の絶縁膜とを有し、
前記出射保護膜の長軸側の両端部の少なくとも一方は前記第1の絶縁膜によって覆われ、前記出射保護膜の短軸側の両端部は前記第1の絶縁膜から離間されている、面発光型半導体レーザ。
【請求項2】
前記第1の絶縁膜は、前記出射保護膜の長軸側の両端部を覆う、請求項1に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項3】
前記第1の絶縁膜は、前記出射保護膜の長軸方向に延在し、かつ前記光出射部の手前で終端する、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項4】
前記第1の絶縁膜は、前記柱状構造の頂部の周縁を被覆する周縁被覆部の対向する端部を連結するように延在し、かつ前記第1の絶縁膜には、前記光出射部と重複する位置に開口部が形成される、請求項1または2に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項5】
前記第1の絶縁膜と前記第2の絶縁膜とは同一の膜であり、同時に形成される、請求項1ないし4いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項6】
前記柱状構造は、前記基板の主面と平行な面において円形であり、前記柱状構造内に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層には、酸化領域と当該酸化領域によって囲まれた導電領域とが形成される、請求項1ないし5いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項7】
前記第2の絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍であり、前記重複する領域の反射率は、前記第2の絶縁膜が重複しない領域の反射率よりも高い、請求項1ないし6いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項8】
前記出射保護膜の膜厚は、λ/4n1(λは発振波長)の奇数倍であり、前記第2の絶縁膜の膜厚は、λ/4n2の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記第2の絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項7に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項9】
前記第2の絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍から離れた領域であり、前記重複する領域の反射率は、前記第2の絶縁膜が重複しない光軸近傍の領域の反射率よりも低い、請求項1ないし6いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項10】
前記出射保護膜の膜厚は、λ/2n1の整数倍であり、前記第2の絶縁膜の膜厚は、λ/4n2の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記第2の絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項9に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項11】
基板と、
前記基板上に形成された第1導電型の第1の半導体多層膜反射鏡と、
第1の半導体多層膜反射鏡上に形成された活性領域と、
前記活性領域上に形成された前記第1導電型と異なる第2導電型の第2の半導体多層膜反射鏡と、
前記基板上に形成され、少なくとも第2の半導体多層膜反射鏡を含む柱状構造と、
第2の半導体多層膜反射鏡上の光出射部の少なくとも一部を覆い、発振波長を透過可能な材料から構成された出射保護膜と、
前記柱状構造の側壁および少なくとも頂部の周縁を覆い、かつ発振波長を透過可能な材料から構成された絶縁膜とを有し、
前記絶縁膜は、前記柱状構造の頂部の周縁を覆う周縁被覆部と当該周縁被覆部の対向する端部を連結する連結部とを有し、前記連結部は、基板の主面と平行な面において長軸および短軸を含む異方形状を有し、かつ前記出射保護膜を覆う、面発光型半導体レーザ。
【請求項12】
第2の半導体多層膜反射鏡上に前記光出射部を規定する環状電極が形成され、前記連結部の短軸方向において前記連結部と前記周縁被覆部との間には、前記環状電極を露出するための開口部が形成される、請求項11に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項13】
前記絶縁膜と前記出射保護膜の重複する領域は、前記光出射部の光軸近傍であり、前記重複する領域の反射率は、前記出射保護膜が存在しない光出射部の光軸近傍から離れた領域の反射率よりも高い、請求項11または12に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項14】
前記出射保護膜の膜厚は、λ/4n1の奇数倍であり、前記絶縁膜の膜厚は、λ/4n2(λは発振波長)の奇数倍であり、前記出射保護膜の屈折率n1は、前記絶縁膜の屈折率n2よりも小さい、請求項13に記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項15】
前記柱状構造は、前記基板の主面と平行な面において円形であり、前記柱状構造内に電流狭窄層が形成され、電流狭窄層には、酸化領域と当該酸化領域によって囲まれた導電領域とが形成される、請求項11ないし14いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザ。
【請求項16】
請求項1ないし15いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザと、
前記面発光型半導体レーザからの光を入射する光学部材と、
を実装した面発光型半導体レーザ装置。
【請求項17】
請求項16に記載された面発光型半導体レーザ装置と、
前記面発光型半導体レーザ装置から発せられたレーザ光を光媒体を介して伝送する伝送手段と、
を備えた光伝送装置。
【請求項18】
請求項1ないし15いずれか1つに記載の面発光型半導体レーザと、
前記面発光型半導体レーザから出射されるレーザ光を記録媒体に集光する集光手段と、
前記集光手段により集光されたレーザ光を前記記録媒体上で走査する機構と、
を有する情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−58687(P2013−58687A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197293(P2011−197293)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]