説明

音声処理システム

【課題】航空機内におけるデジタル信号処理システムにおいて、ノイズ耐性の高い音声処理システムを提供する。
以上のように本発明によると、
【解決手段】波形等化処理と、AFC/APCの機能を波形等化の機能と融合させることで、等化処理量を削減し、また、ノイズおよびエコーの問題とは別に、これまで、伝送路上で生じる誤りに対しては、リアルタイム処理として、誤り訂正符号処理を行なうシステムを実現できるため、伝送路上でのデータ通信のロバスト性の強化とノイズおよびエコーへの耐性を同時に高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機内におけるデジタル信号処理システムに関し、特に、ノイズ耐性の高い音声処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
航空機内では、これまで有線通信を用いることで、比較的外乱に強い環境が保たれているため、従来の音声通信処理では、パケット通信時には誤り検出処理のみを用いるシステム構成を用いてきた。
【0003】
また、航空機内の通常環境下におけるデジタル復調処理においては、一般的に、位相ノイズおよび周波数ノイズ除去処理を行なうことで、十分な特性が得られていた。
【0004】
しかしながら、CSSシステムのような高い安全性が求められるシステムにおいては、非常に外乱の強い悪環境下や緊急の状況変化においても、高いノイズ耐性を保持することで、クリアな音声を再生する必要がある。
【0005】
クリアな音声の再生を妨げる要因は、伝送路で発生する信号歪み等によるものやその影響による通信パケットロスや通信誤りがほとんどであり、正常な信号を受信側で保証する技術が益々重要となってきている。そこで、ノイズ耐性を高めるための具体的な手段として、誤り訂正処理の導入や受信側で伝送路の等化を行う自動適応型等化器の導入が提案されている。
【0006】
図6は伝送路及びその等化のモデルを表す図である。図6に示すように、送信機から送られた信号は伝送路の特性によって変化し、さらに雑音が加わった形で受信される。このため伝送信号は、反射波等により時間的に遅延したゴースト信号の影響を受けて歪みが生じたり、雑音等により位相誤差や周波数誤差が生じたりするので、様々な要因が複雑に絡まりあって、受信側では元の伝送信号と異なる波形の信号が観測される。
【0007】
そこで受信側では、一般に、受信機の前に直列に挿入した等化器によって、受信信号X0を受信機にとって望ましい信号Z0に等化し、さらにその後、搬送波再生処理として周波数誤差を除去するAFC(Auto matic Frequency Control)および位相誤差を除去するAPC(Automatic Phase Control)を行う。
【0008】
エコーキャンセル、すなわち、等化に関しては、雑音が非常に小さい場合は伝送路の伝達関数の逆特性を持つ等化器を用いればよいが、雑音がある程度大きい場合は雑音も考慮して等化器の設計を行う必要がある。実際には等化器はデジタルフィルタを用いて構成され、デジタルフィルタを用いて構成された等化器をデジタル等化器という。
【0009】
図7はデジタルフィルタの構成の一例を示すブロック図である。図7において、X0は伝送路を経て入力された受信信号、X1〜Xmは受信信号X0を各遅延素子によって遅延した信号、C0〜Cmは等化係数である。受信信号X0は乗算器によって等化係数C0と乗算される。同様に、信号X1〜Xmは乗算器によって等化係数C1〜Cmとそれぞれ乗算される。各乗算器の乗算結果は加算器によって加算され、等化信号Z0として出力される。
【0010】
デジタルフィルタにおいて、ある遅延信号と等化係数とを乗算する機構をタップという。各タップにおける乗算結果を加算することによって等化信号Z0が得られるが、このとき、信号を復元するのに最適な等化係数C0〜Cmを算出する必要がある。通常、等化係数を算出するためにLMS(Least Mean Square)アルゴリズムが用いられる。
【0011】
また、従来のAFC/APCとしては、位相誤差検出器、ループフィルタ、およびデジタルVCOによってその機能を実現したものがある(例えば特許文献1を参照)。
【特許文献1】特開平7−66843号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
等化器は前述したようにデジタルフィルタで構成されるため、複素乗算が必要であり、そのタップ数が増大するにつれて処理量は飛躍的に増大する。またAFC/APCにおいて、ループフィルタでは積和演算が必要であり、デジタルVCOは一般的にはデータを記憶する記憶手段を備えており、等化能力を高めるためには、処理量を増大することが必要となり、必然的に膨大な記憶容量も必要となる。このような点から、エコーキャンセル能力の高い音声処理システムを実現するためには、処理量の少ない等化処理を実現することが重要な課題である。
【0013】
一方、図6に示すように、波形等化およびAFC/APCは1回の処理で終わるものではなく、AFC/APCが行われた信号は再び波形等化のために帰還され、最終的に信号がある基準に達して収束するまで波形等化およびAFC/APCは繰り返し行われる。そして信号は、最終的にはほぼ同時に、等化され、かつ周波数誤差および位相誤差が除去される。言い換えると、まず波形等化によって等化信号になり、次にAFC/APCによって誤差が除去された信号になるというようにそれぞれの機能が単独で実現されるものではなく、等化およびAFC/APCの相乗効果によって、互いの処理の効果が高められる。ところがこのように、波形等化およびAFC/APCは元来相互関係の深い、単独で機能を果たすのが困難なものであるにもかかわらず、機能を共有するブロックが存在しない、それぞれ独立した構成により実現されていた。
【0014】
前記の問題に鑑み、本発明は、波形等化処理と、AFC/APCの機能を波形等化の機能と融合させることで、等化処理量を削減することを課題とする。
【0015】
他方、波形等化により改善可能な、ノイズおよびエコーの問題とは別に、これまで、伝送路上で生じる誤りに対しては、誤り検出を行なって、誤りが検出された場合は、データの再送を行なったり、無効データとしてデータ破棄という処理を行なってきたが、データ量の増大や、リアルタイム処理の必要性の高まりにより、伝送路上でのデータ通信のロバスト性がきわめて重要と課題となっている。
【0016】
本問題に鑑み、本発明は、誤り訂正処理を行なうことで、ロバスト性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の課題を解決するため、請求項1の発明が講じた解決手段は、音声データを含むデジタルデータをエンコードおよびデコードするシステムであり、エンコード処理部は、音声を含むデジタル信号を入力し、スクランブル処理を行なったデータを出力するスクランブラと、スクランブラから出力されたデータを入力し、リードソロモン符号化し、該符号化データを出力するリードソロモンエンコーダと、リードソロモンエンコードされたデータを入力し、インターリーブ処理を行ない出力するインターリーバと、インターリーバから出力されたデータを整形し、関連情報を含んだ同期バイトを挿入することでフォーマット化を行なう同期挿入部とからなる誤り訂正符号化部と、誤り訂正符号化部から出力されたデータを入力し、変調方式に対応したデジタルマッピングを行ない出力するデジタルマッピング部と、デジタルマッピングされたデータを入力し、周波数軸信号への変換を行なった後、適切な波形整形を行なって出力する波形整形部と、波形整形部から出力されたデジタル波形データに対して、適切な補間処理を行なうことでより正確な信号波形データを出力する補間フィルタと、補間フィルタから出力されたデータを、所望の周波数信号へと変換する周波数変換フィルタと、周波数変換フィルタにおいて所望の周波数へと変換されて出力されたデータを入力して、その他不要な周波数成分の信号を遮断し、所望の周波数信号のみを出力するバンドパスフィルタと、該バンドパスフィルタから出力されるデジタル波形データをアナログ信号データに変換するデジタルアナログコンバータからなる音声処理部とを有し、一方、デコード処理部は、伝送路を通って、送られてきた音声を含むアナログ変調信号データを入力し、アナログデジタル変換を行なうアナログデジタルコンバータと、デジタル変換された信号データを入力し、所望の変調方式に従い検波する検波部と、検波部から出力された、所望の変調方式に従って検波された信号データを入力し、該検波信号データからクロック成分を検出して、基準クロック信号データを再生し出力するクロック再生部と、前記検波部から出力された検波信号データを入力し、適切な波形データに整形し出力する、波形整形部と、該波形整形部から出力される信号波形データを入力して、信号のゲインを検出し、所望のゲインレベルの設定を行なうAGC部と、前記波形整形部から出力される信号波形データを入力して、信号の等化処理を行ない音声のエコーを除去した信号波形データ出力する等化部と、等化部から出力されたデータを所望の変調方式のマッピングにしたがって、デマッピング処理を行なうデジタルデマッピング部からなる音声復調処理部と、該音声復調処理部から出力される音声データを入力して、同期バイト検出を行ないデータパケットを検出する同期検出部と、該同期検出部から出力されるデジタルデータを入力してデインターリーブ処理を行なうデインターリーバと、デインターリーバから出力されたデータを入力し、リードソロモン復号処理を行ない該復号化データを出力するリードソロモンデコーダと、該リードソロモンデコーダから出力されたデータを入力し、デスクランブル処理を行ない、デジタル音声データを出力するデスクランブラからなる誤り訂正復号化部とを有するものである。
【0018】
請求項1の発明によると、等化部における、変調信号データの周波数誤差および位相誤差を除去するAFC/APCブロックを備え、しかもAFC/APCブロックは波形等化部と誤差評価部を共用する。このため、波形等化およびAFC/APCを実現する機能ブロックは互いに独立したものとはならず、等化部にAFC/APC機能を融合させることができる。またスクランブル、インターリーブ、リードソロモン符号化といった一連の誤り訂正処理を施すことで、伝送路上での通信の外乱に対するロバスト性を高めることができる。
【0019】
そして、請求項2の発明では、前記請求項1記載の音声処理システム中のデコード処理部における等化部は、所望の変調方式に従って変調された信号波形データを、伝送前の信号の波形に等化する処理を行なう機能を有し、入力された信号データを、LMS(Least Mean Square)アルゴリズムに基づいて 等化係数を更新するために必要となるエラーデータを生成する誤差評価部と、入力された変調信号の周波数誤差および位相誤差を除去するAFC(Auto Frequency Control)/APC(Auto Phase Control)ブロックと、前段と後段とに分かれて構成されている2つのフィルタブロックとを有し、該前段はFFE(Feed Forward Equalizer)ブロックであり、後段はDFE(Decision Feedback Equalizer)ブロックであり、また、前記AFC/APCブロックは、LMSアルゴリズムに基づいて前記入力された変調信号の周波数誤差および位相誤差の除去を行い、かつ、前記誤差評価部によって生成されたエラーデータを用いて係数の更新を行うものである。
【0020】
また、請求項3の発明では、請求項2記載の等化部における前記AFC/APCブロックは、入力された信号データと、周波数誤差および位相誤差の除去のための係数とを乗算する1個のタップと、前記係数をLMSアルゴリズムに基づいて更新するAFC/APC係数更新部とを備えているものとする。
【0021】
さらに、請求項4の発明では、請求項2記載の等化部において、各々フィルタロック部は、係数更新部を備えた前段と後段とに分かれて構成されており、前記AFC/APCブロックは、前記波形等化部の前段から出力された変調信号を入力とし、かつ、出力信号は前記波形等化部の後段に入力され、前記波形等化部の前段と後段のフィルタ部は、同数のタップを備えているものとする。
【0022】
請求項5の発明が講じた解決手段は、音声データを含むデジタルデータをエンコードおよびデコードする方法であり、エンコード処理手段は、音声を含むデジタル信号を入力し、スクランブル処理を行なったデータを出力するスクランブル手段と、スクランブル手段から出力されたデータを入力し、リードソロモン符号化し、該符号化データを出力するリードソロモンエンコード手段と、リードソロモンエンコードされたデータを入力し、インターリーブ処理を行ない出力するインターリーブ手段と、インターリーブ手段から出力されたデータを整形し、関連情報を含んだ同期バイトを挿入することでフォーマット化を行なう同期挿入プロセスとからなる誤り訂正符号化手段と、誤り訂正符号化手段から出力されたデータを入力し、変調方式に対応したデジタルマッピングを行ない出力するデジタルマッピング手段と、デジタルマッピングされたデータを入力し、周波数軸信号への変換を行なった後、適切な波形整形を行なって出力する波形整形手段と、波形整形手段から出力されたデジタル波形データに対して、適切な補間処理を行なうことでより正確な信号波形データを出力する補間フィルタリング手段と、補間フィルタリング手段から出力されたデータを、所望の周波数信号へと変換する周波数変換フィルタリング手段と、周波数変換フィルタリング手段において所望の周波数へと変換されて出力されたデータを入力して、その他不要な周波数成分の信号を遮断し、所望の周波数信号のみを出力するバンドパスフィルタリング手段と、該バンドパスフィルタリング手段から出力されるデジタル波形データをアナログ信号データに変換するデジタルアナログコンバート手段からなる音声処理手段とを有し、一方、デコード処理手段は、伝送路を通って、送られてきた音声を含むアナログ変調信号データを入力し、アナログデジタル変換を行なうアナログデジタルコンバート手段と、デジタル変換された信号データを入力し、所望の変調方式に従い検波する検波手段と、検波手段から出力された、所望の変調方式に従って検波された信号データを入力し、該検波信号データからクロック成分を検出して、基準クロック信号データを再生し出力するクロック再生手段と、前記検波手段から出力された検波信号データを入力し、適切な波形データに整形し出力する、波形整形手段と、該波形整形手段から出力される信号波形データを入力して、信号のゲインを検出し、所望のゲインレベルの設定を行なうAGC手段と、前記波形整形手段から出力される信号波形データを入力して、信号の等化処理を行ない音声のエコーを除去した信号波形データ出力する等化手段と、等化手段から出力されたデータを所望の変調方式のマッピングにしたがって、デマッピング処理を行なうデジタルデマッピング処理手段からなる音声復調処理手段と、該音声復調処理手段から出力される音声データを入力して、同期バイト検出を行ないデータパケットを検出する同期検出手段と、該同期検出手段から出力されるデジタルデータを入力してデインターリーブ処理を行なうデインターリーブ手段と、デインターリーブ手段から出力されたデータを入力し、リードソロモン復号処理を行ない該復号化データを出力するリードソロモンデコード手段と、該リードソロモンデコード手段から出力されたデータを入力し、デスクランブル処理を行ない、デジタル音声データを出力するデスクランブル手段からなる誤り訂正復号化手段とを有するものである。
【0023】
また、請求項6では、請求項5記載の音声処理システム中のデコード処理手段における等化手段は、所望の変調方式に従って変調された信号波形データを、伝送前の信号の波形に等化する処理を行なう機能を有し、入力された信号データを、LMS(Least Mean Square )アルゴリズムに基づいて 等化係数を更新するために必要となるエラーデータを生成する誤差評価処理手段と、入力された変調信号の周波数誤差および位相誤差を除去するAFC(Auto Frequency Control)/APC(Auto Phase Control)処理手段と、前段と後段とに分かれて構成されている2つのフィルタリング手段とを有し、この前段はFFE(Feed Forward Equalizer)であり、後段はDFE(Decision Feedback Equalizer)であり、また、前記AFC/APC処理手段は、LMSアルゴリズムに基づいて前記入力された変調信号の周波数誤差および位相誤差の除去を行い、かつ、前記誤差評価処理手段によって生成されたエラーデータを用いて係数の更新を行うものである。
【0024】
請求項7の発明においては、請求項6記載の等化手段における前記AFC/APC処理手段は、入力された信号データと、周波数誤差および位相誤差の除去のための係数とを乗算する1個のタップと、前記係数をLMSアルゴリズムに基づいて更新するAFC/APC係数更新手段とを備えているものである。
【0025】
さらに、請求項8のおいて講じた手段は、請求項6記載の等化手段において、各々フィルタリング手段は、係数更新手段を備えた前段と後段とに分かれて構成されており、前記AFC/APC処理手段は、前記波形等化手段の前段から出力された変調信号を入力とし、かつ、出力信号は前記波形等化手段の後段に入力され、前記波形等化手段の前段と後段のフィルタ手段は、同数のタップを備えたことである。
【発明の効果】
【0026】
以上のように本発明によると、波形等化処理と、AFC/APCの機能を波形等化の機能と融合させることで、等化処理量を削減し、また、ノイズおよびエコーの問題とは別に、これまで、伝送路上で生じる誤りに対しては、リアルタイム処理として、誤り訂正符号処理を行なうシステムを実現できるため、伝送路上でのデータ通信のロバスト性の強化とノイズおよびエコーへの耐性を同時に高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1は本発明のシステム構成図である。図1において、1はエンコード処理部、2は誤り訂正符号化部、3は音声変調処理部、4はスクランブラ、5はリードソロモンエンコーダ、6はインターリーバ、7は同期挿入部、8はデジタルマッピング部、9は波形整形フィルタ、10は補間フィルタ、11は周波数変換フィルタ、12はバンドパスフィルタ、13はデジタルアナログ変換器を示している。また、図1において、100はデコード処理部、101は音声復調処理部、102は誤り訂正復号化部、103はアナログデジタル変換器、104は検波部、105は波形整形部、106はクロック再生部、107はAGC部、108は等化部、109はFFE部、110はAFC/APC部、111はDFE部、112はデジタルデマッピング部、113は同期検出部、114はデインターリーバ、115はリードソロモンデコーダ、116はデスクランブラを示している。
【0029】
エンコード処理部1では、デジタル音声データの元データに対して、まず、4のスクランブラにおいて、スクランブル処理後に、5のリードソロモンエンコーダで、リードソロモン符号化し、さらに6のインターリーバでインターリーブ処理を行なった後、7の同期挿入部では、適切なフォーマットを生成するための同期バイトの埋め込み作業を行なう。こうして一連の誤り訂正符号化されたデジタルデータは音声変調処理部3中のマッピング部8に送られ、マッピング処理を行なった後、波形整形フィルタ9を通してスペクトラム整形後、10の補間フィルタにてデータ補間し、連続的に11の周波数変換フィルタを通して、所望周波数へと変換をかける。その後、最終的に、他の周波数成分が残らないように、バンドパスフィルタ12で、所望の信号データのみを抽出後、13のDA変換器にアナログデータへ変換して、伝送路へと送出する。
【0030】
一方のデコード処理部100においては、伝送路から送られてきたアナログデータが101の音声復調処理部に入力されると、まず、103のアナログデジタル変換器においてデジタルデータに変換後、使用されている変調方式に従って、104の検波部にて検波した信号データを106のクロック再生部と105の波形整形部に送る。クロック再生部106では、検波データからクロック成分を抽出することで、時間情報に関するデジタルデータの復調を実現する。一方105においては、検波されたデータのスペクトラム整形を行なう。105にて波形整形された信号データは、107のAGC処理部に入力されて、適切なレベルへとゲイン調整される。また、105にて波形整形されて出力された信号データは、等化部108に入力される。等化部108に入力されたデータは、まず、最初に109のFFEに入力され、等化処理が行なわれるが、その出力信号データは、同時に、110のAFC/APC部に入力されて周波数誤差および位相誤差除去が行なわれる。さらに、110のAFC/APC部から出力されたデータが111DEFに入力されて等化処理が実施される。109、110、111の3つの処理部で実施される処理は、時間的には、同時進行の処理が実施され、等化が実現する。このようにして、108からは等化処理を施された信号データが出力された後、112のデジタルデマッピング部へと送られ、適切なデジタルデータへと変換するデマッピング処理後に出力される。こうして一連の音声復調処理を施されたデータは、102の誤り訂正復号化部に入力されて、最初に、113の同期検出部にて、同期バイトの検出を行なうことで適切なパケット単位へのデータ整形を実施して出力し、次に、114のデインターリーバにて、デインターリーブ処理を行なった後、115のリードソロモン復号化し、さらに、116のデスクランブにてデスクランブル処理を施して、最終的に音声処理データを、正確に復調する。
【0031】
次に、図2は、等化部8の内部ブロック構成図である。図2において、108は等化部、109はFFE部、110はAFC/APC部、111はDEF部、201はFFE係数更新部、202はFFEフィルタ部、203は1つのタップを構成乗算器、204は誤差評価部、205はAFC/APC係数更新部、206はDFE係数更新部、207はDFEフィルタ部を示している。
【0032】
109は信号データの等化を行う等化部108の前段であるFFE(Feed Forward Equalizer)部、111は等化部10808の後段であるDFE(Decision Feedback Equalizer)部、204は誤差評価部、203は信号データの周波数誤差および位相誤差を除去するAFC(Auto Frequency Control)/APC(Auto Phase Control)部である。FFEブロック109はFFE係数更新部201およびFFEフィルタ部202を備え、DFEブロック111はDFE係数更新部206およびDFEフィルタ部207を備え、AFC/APCブロック110はAFC/APC係数更新部205およびタップ203を備えている。
【0033】
図2に示す本発明に係る等化部は、変調されて伝送されたエコーを含んだ音声信号データを受信し、等化信号に変換して出力する。受信された音声信号データは、まず等化部108の前段のFFEブロック109によって等化された後、AFC/APCブロック110に入力され、周波数誤差および位相誤差が除去される。AFC/APCブロック40から出力された変調信号は、等化部108の後段のDFEブロック111によって等化され、当該等化部から等化信号として出力される。
【0034】
本発明では、等化部108における等化処理自体およびAFC/APC処理ともに、LMSアルゴリズムに基づいて動作するものとする。そして、等化部108およびAFC/APC部110はともに、誤差評価部204によって生成されたエラーデータを用いて係数の更新を行うものとする。
【0035】
等化部108における等化係数を生成するためのアルゴリズムについて説明する。
【0036】
送信側から送られた信号データは伝送路の特性によって変化し、さらに雑音が加わった形で受信機に送られる。伝送路の特性が一定であるなら、伝送路の逆特性を算出し、算出した逆特性を実現する一定の等化係数を用いればよい。しかし、ノイズの影響や特性が刻々と変化する系では、受信信号データの状態に応じて等化係数を逐次更新していく必要がある。等化係数の更新に用いられるのが、自動適応型のアルゴリズムと呼ばれるものである。実際には、一つ前の状態の等化係数を基にして次の等化係数を算出するのだが、この場合、何らかの評価指標を設定しその値が最小になるように等化係数の更新を行っていく。このようなアルゴリズムの代表的なものとして、LMSアルゴリズムがある。
【0037】
LMS(Least Mean Square)アルゴリズムは、等化係数の評価指標として平均2乗誤差を用いるものである。具体的には、次式に示すように等化係数が決定される。
【0038】
Cn+1,m=Cn,m−α×Xm×e0...(1)
n:等化係数の更新回数
m:等化係数のタップ番号
e0:Z0−χ0(χ0は伝送前の信号)
α:ステップサイズ
ここで、信号Xm 及びエラーデータe0を、
Xm=Xm(r)−jXm(i)
e0=e0(r)+je0(i)
というように複素表現すると((r)は実数部データを、(i)は虚数部データを表す、以下同様)、
Xm×e0=(Xm(r)×e0(r)+Xm(i)×e0(i))+j(Xm(r)×e0(i)−Xm(i)×e0(r))
となり、式(1)は次のようになる。
【0039】
Cn+1,m(r)=Cn,m(r)−α×(Xm(r)×e0(r)+Xm(i)×e0(i))...(2)
Cn+1,m(i)=Cn,m(i)−α×(Xm(r)×e0(i)−Xm(i)×e0(r))...(3)
ところが、実際の伝送系の場合、受信側では伝送前の信号χ0はわからないのでエラーデータe0の算出に用いることはできない。そこで、受信側で伝送前の信号を推測し、その推測値を基準信号として用いて波形等化を行う。これをブラインドアルゴリズムという。ブラインドアルゴリズムを用いてある制約の下に数千回の更新を繰り返すと等化係数は収束し、信号波形の等化が実現される。
【0040】
STOP&GOアルゴリズムとは、LMSエラーとサトーエラーとのベクトルの向きによって複素乗算における係数の更新をするか否かを決める方法である。まず、LMSエラーは次のように定義される。LMSエラーをLMSER、基準信号をDとすると、
LMSER=Z0−D
となる。
【0041】
次に、サトーエラーは次のように定義される。サトーエラーの基準値をBとすると、Bは次のように定義される。
【0042】
B=E(|An|2)/E(|An|)
An:基準信号のベクトル
E():平均
サトーエラーをSATERとすると、
SATER=Z0−B
となる。
【0043】
図3は変調方式として64QAMを仮定した場合の、変調信号データにおける位相図の第1象限を示す図であり、LMSエラーとサトーエラーの関係を示すものである。図3において、黒丸は信号点位置、丸で囲んだ黒丸はサトーエラーの基準点である。等化信号Z0が図3の白丸の位置にあったとすると、LMSエラー及びサトーエラーは図3に示したベクトルになる。サトーエラーの基準点は各象限に一つずつすなわち全部で4つあり、LMSエラーの基準位置は各信号点であり、64QAMの場合全部で64点ある。
【0044】
STOP&GOアルゴリズムを用いると、等化係数の更新の式は次のようになる。
【0045】
Cn+1,m(r)=Cn,m(r)−α×(Xm(r)×e0(r)×fr+Xm(i)×e0(i)×fi)...(4)
Cn+1,m(i)=Cn,m(i)−α×(Xm(r)×e0(i)×fi−Xm(i)×e0(r)×fr)...(5)
ここで、fr、fiは、実軸、虚軸それぞれについて独立に算出されるフラグであり、以下の条件によって定義される。
【0046】
ここで、e0(r)×frをEI、e0(i)×fiをEQとすると、式(4)、(5)はそれぞれ、
Cn+1,m(r)=Cn,m(r)−α×(Xm(r)×EI+Xm(i)×EQ)...(6)
Cn+1,m(i)=Cn,m(r)−α×(Xm(r)×EQ−Xm(i)×EI)...(7)
となる。ここで、EI,EQをエラーデータという。
【0047】
本実施形態に係る波形等化装置は、式(6)及び(7)に従って等化係数の更新を行うものである。
【0048】
本発明のAFC/APCブロック40における周波数補正および位相補正も、LMSアルゴリズムによって実現している。補正係数の更新式を次式に表す。
【0049】
Hn+1=HnFn+μ(Dn−HnUn)Un*...(8)
Fn+1=Fn+μf(Hn+1−FnHn)Hn*...(9)
上式において、
Hn:位相補正係数
Fn:周波数補正係数
Dn:デシジョン信号
Un:入力信号
μ,μf:ステップサイズ
を表す。また*は共役複素数を表す。
【0050】
LMSアルゴリズムに基づく上式を用いることによって、周波数誤差および位相誤差を同時に補正することが可能である。式(8)における(Dn−HnUn)は、等化係数を求めるSTOP&GOアルゴリズムにおけるエラーデータに相当し、これは誤差評価部204から出力されるエラーデータを用いることができる。
【0051】
また、誤差を除去した信号はHnUnであり、本アルゴリズムにおいてはHnにFnの成分が含まれているため、HnUnが位相誤差および周波数誤差の両方を補正した信号となる。最終的にAFC/APCを行なった信号はHnUn*である。
【0052】
図4は本発明の実施形態に係る等化部の詳細構成を示す図である。図4において、FFEフィ」ルタ部202は(m+1)個(mは正の整数)のタップと、遅延素子および加算器によって構成されており、各タップにはFFE係数更新部201によって更新された等化係数Cf0〜Cfmがそれぞれ与えられる。
【0053】
また、DFEフィルタ部207はスライサ208と、(m+1)個のタップと、遅延素子および加算器によって構成されており、各タップにはDFE係数更新部206によって更新された等化係数Cd0〜Cdmがそれぞれ与えられる。スライサ208は、変調信号データが、例えば図5に示すような位相平面図(図5は64QAM変調)上において、点線で区切られるどの領域に属するかを判断して、その領域に存在する信号点位置に対応する信号(デシジョン信号)を出力する。例えば変調信号の実数成分(Iデータ)が13、虚数成分(Qデータ)が15であるとき、Iデータ=9、Qデータ=9というデシジョン信号を出力する。
【0054】
誤差評価部204によって生成されたエラーデータErrは、FFE係数更新部201、DFE係数更新部206、およびAFC/APC係数更新部205に入力され、係数更新のために用いられる。
【0055】
本実施形態では、AFC/APC部205を等化部108のちょうど真ん中に配置している。すなわち、等化部108の前段であるFFEフィルタ部202のタップの数と、後段のDFEフィルタ207のタップの数が等しくして、1タップのAFC/APC部を実現している。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明にかかる音声処理システムは、伝送路上でのデータ通信のロバスト性の強化とノイズおよびエコーへの耐性を同時に高めることができるものであり、航空機内における音声処理システム等において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る音声処理システムの構成の概略を表すブロック図
【図2】本発明の実施形態に係る等化部の構成を示す図
【図3】変調方式をQAMとした場合におけるLMSエラー及びサトーエラーを説明するための図
【図4】本発明の実施形態に係る等化部の詳細構成を示す図
【図5】64QAMの位相平面図におけるスライスレベルと信号点の位置を示す図
【図6】伝送路およびその等化のモデルを表す図
【図7】デジタル等化器の構成図
【符号の説明】
【0058】
1 エンコード処理部
2 誤り訂正符号化部
3 音声変調処理部
4 スクランブラ
5 リードソロモンエンコーダ
6 インターリーバ
7 同期挿入部
8 デジタルマッピング部
9 波形整形フィルタ
10 補間フィルタ
11 周波数変換フィルタ
12 バンドパスフィルタ
13 デジタルアナログ変換器
100 デコード処理部
101 音声復調処理部
102 誤り訂正復号化部
103 アナログデジタル変換器
104 検波部
105 波形整形部
106 クロック再生部
107 AGC部
108 等化部
109 FFE部
110 AFC/APC部
111 DEF部
112 デジタルデマッピング部
113 同期検出部
114 デインターリーバ
115 リードソロモンデコーダ部
116 デスクランブラ部
201 FFE係数更新部
202 FFEフィルタ部
203 タップ
204 誤差評価部
205 AFC/APC係数更新部
206 DEF係数更新部
207 DFEフィルタ部
208 スライサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声データを含むデジタルデータをエンコードおよびデコードするシステムであり、
エンコード処理部は、
音声を含むデジタル信号を入力し、スクランブル処理を行なったデータを出力するスクランブラと、
スクランブラから出力されたデータを入力し、リードソロモン符号化し、該符号化データを出力するリードソロモンエンコーダと、
リードソロモンエンコードされたデータを入力し、インターリーブ処理を行ない出力するインターリーバと、
インターリーバから出力されたデータを整形し、関連情報を含んだ同期バイトを挿入することでフォーマット化を行なう同期挿入部とからなる誤り訂正符号化部と、
誤り訂正符号化部から出力されたデータを入力し、変調方式に対応したデジタルマッピングを行ない出力するデジタルマッピング部と、
デジタルマッピングされたデータを入力し、周波数軸信号への変換を行なった後、適切な波形整形を行なって出力する波形整形部と、
波形整形部から出力されたデジタル波形データに対して、適切な補間処理を行なうことでより正確な信号波形データを出力する補間フィルタと、
補間フィルタから出力されたデータを、所望の周波数信号へと変換する周波数変換フィルタと、
周波数変換フィルタにおいて所望の周波数へと変換されて出力されたデータを入力して、その他不要な周波数成分の信号を遮断し、所望の周波数信号のみを出力するバンドパスフィルタと、
該バンドパスフィルタから出力されるデジタル波形データをアナログ信号データに変換するデジタルアナログコンバータからなる音声処理部とを有し、
一方、デコード処理部は、
伝送路を通って、送られてきた音声を含むアナログ変調信号データを入力し、アナログデジタル変換を行なうアナログデジタルコンバータと、
デジタル変換された信号データを入力し、所望の変調方式に従い検波する検波部と、
検波部から出力された、所望の変調方式に従って検波された信号データを入力し、該検波信号データからクロック成分を検出して、基準クロック信号データを再生し出力するクロック再生部と、
前記検波部から出力された検波信号データを入力し、適切な波形データに整形し出力する、波形整形部と、
該波形整形部から出力される信号波形データを入力して、信号のゲインを検出し、所望のゲインレベルの設定を行なうAGC部と、
前記波形整形部から出力される信号波形データを入力して、信号の等化処理を行ない音声のエコーを除去した信号波形データ出力する等化部と、
等化部から出力されたデータを所望の変調方式のマッピングにしたがって、デマッピング処理を行なうデジタルデマッピング部からなる音声復調処理部と、
該音声復調処理部から出力される音声データを入力して、同期バイト検出を行ないデータパケットを検出する同期検出部と、
該同期検出部から出力されるデジタルデータを入力してデインターリーブ処理を行なうデインターリーバと、デインターリーバから出力されたデータを入力し、リードソロモン復号処理を行ない該復号化データを出力するリードソロモンデコーダと、
該リードソロモンデコーダから出力されたデータを入力し、デスクランブル処理を行ない、デジタル音声データを出力するデスクランブラからなる誤り訂正復号化部とを有することを特徴とする音声処理システム。
【請求項2】
請求項1記載の音声処理システム中のデコード処理部における等化部は、
所望の変調方式に従って変調された信号波形データを、伝送前の信号の波形に等化する処理を行なう機能を有し、
入力された信号データを、LMS(Least Mean Square )アルゴリズムに基づいて等化係数を更新するために必要となるエラーデータを生成する誤差評価部と、
入力された変調信号の周波数誤差および位相誤差を除去するAFC(Auto Frequency Control)/APC(Auto Phase Control)ブロックと、
前段と後段とに分かれて構成されている2つのフィルタブロックとを有し、
該前段はFFE(Feed Forward Equalizer)ブロックであり、後段はDFE(Decision Feedback Equalizer)ブロックであり、
また、前記AFC/APCブロックは、LMSアルゴリズムに基づいて前記入力された変調信号の周波数誤差および位相誤差の除去を行い、かつ、前記誤差評価部によって生成されたエラーデータを用いて係数の更新を行うものであることを特徴とする音声処理システム。
【請求項3】
請求項2記載の等化部における前記AFC/APCブロックは、
入力された信号データと、周波数誤差および位相誤差の除去のための係数とを乗算する1個のタップと、
前記係数をLMSアルゴリズムに基づいて更新するAFC/APC係数更新部とを備えていることを特徴とする音声処理システム。
【請求項4】
請求項2記載の等化部において、
各々フィルタロック部は、係数更新部を備えた前段と後段とに分かれて構成されており、
前記AFC/APCブロックは、前記波形等化部の前段から出力された変調信号を入力とし、かつ、出力信号は前記波形等化部の後段に入力され、
前記波形等化部の前段と後段のフィルタ部は、同数のタップを備えていることを特徴とする音声処理システム。
【請求項5】
音声データを含むデジタルデータをエンコードおよびデコードする方法であり、
エンコード処理手段は、
音声を含むデジタル信号を入力し、スクランブル処理を行なったデータを出力するスクランブル手段と、
スクランブル手段から出力されたデータを入力し、リードソロモン符号化し、該符号化データを出力するリードソロモンエンコード手段と、
リードソロモンエンコードされたデータを入力し、インターリーブ処理を行ない出力するインターリーブ手段と、
インターリーブ手段から出力されたデータを整形し、関連情報を含んだ同期バイトを挿入することでフォーマット化を行なう同期挿入プロセスとからなる誤り訂正符号化手段と、
誤り訂正符号化手段から出力されたデータを入力し、変調方式に対応したデジタルマッピングを行ない出力するデジタルマッピング手段と、
デジタルマッピングされたデータを入力し、周波数軸信号への変換を行なった後、適切な波形整形を行なって出力する波形整形手段と、
波形整形手段から出力されたデジタル波形データに対して、適切な補間処理を行なうことでより正確な信号波形データを出力する補間フィルタリング手段と、
補間フィルタリング手段から出力されたデータを、所望の周波数信号へと変換する周波数変換フィルタリング手段と、
周波数変換フィルタリング手段において所望の周波数へと変換されて出力されたデータを入力して、その他不要な周波数成分の信号を遮断し、所望の周波数信号のみを出力するバンドパスフィルタリング手段と、
該バンドパスフィルタリング手段から出力されるデジタル波形データをアナログ信号データに変換するデジタルアナログコンバート手段からなる音声処理手段とを有し、
一方、デコード処理手段は、
伝送路を通って、送られてきた音声を含むアナログ変調信号データを入力し、アナログデジタル変換を行なうアナログデジタルコンバート手段と、
デジタル変換された信号データを入力し、所望の変調方式に従い検波する検波手段と、
検波手段から出力された、所望の変調方式に従って検波された信号データを入力し、該検波信号データからクロック成分を検出して、基準クロック信号データを再生し出力するクロック再生手段と、
前記検波手段から出力された検波信号データを入力し、適切な波形データに整形し出力する、波形整形手段と、
該波形整形手段から出力される信号波形データを入力して、信号のゲインを検出し、所望のゲインレベルの設定を行なうAGC手段と、
前記波形整形手段から出力される信号波形データを入力して、信号の等化処理を行ない音声のエコーを除去した信号波形データ出力する等化手段と、
等化手段から出力されたデータを所望の変調方式のマッピングにしたがって、デマッピング処理を行なうデジタルデマッピング処理手段からなる音声復調処理手段と、
該音声復調処理手段から出力される音声データを入力して、同期バイト検出を行ないデータパケットを検出する同期検出手段と、
該同期検出手段から出力されるデジタルデータを入力してデインターリーブ処理を行なうデインターリーブ手段と、デインターリーブ手段から出力されたデータを入力し、リードソロモン復号処理を行ない該復号化データを出力するリードソロモンデコード手段と、
該リードソロモンデコード手段から出力されたデータを入力し、デスクランブル処理を行ない、デジタル音声データを出力するデスクランブル手段からなる誤り訂正復号化手段とを有することを特徴とする音声処理システム。
【請求項6】
請求項5記載の音声処理方法中のデコード処理手段における等化手段は、
所望の変調方式に従って変調された信号波形データを、伝送前の信号の波形に等化する処理を行なう機能を有し、
入力された信号データを、LMS(Least Mean Square )アルゴリズムに基づいて等化係数を更新するために必要となるエラーデータを生成する誤差評価処理手段と、
入力された変調信号の周波数誤差および位相誤差を除去するAFC(Auto Frequency Control)/APC(Auto Phase Control)処理手段と、
前段と後段とに分かれて構成されている2つのフィルタリング手段とを有し、
該前段はFFE(Feed Forward Equalizer)であり、後段はDFE(Decision Feedback Equalizer)であり、
また、前記AFC/APC処理手段は、LMSアルゴリズムに基づいて前記入力された変調信号の周波数誤差および位相誤差の除去を行い、かつ、前記誤差評価処理手段によって生成されたエラーデータを用いて係数の更新を行うものであることを特徴とする音声処理システム。
【請求項7】
請求項6記載の等化手段における前記AFC/APC処理手段は、
入力された信号データと、周波数誤差および位相誤差の除去のための係数とを乗算する1個のタップと、
前記係数をLMSアルゴリズムに基づいて更新するAFC/APC係数更新手段とを備えていることを特徴とする音声処理システム。
【請求項8】
請求項6記載の等化手段において、
各々フィルタリング手段は、係数更新手段を備えた前段と後段とに分かれて構成されており、
前記AFC/APC処理手段は、前記波形等化手段の前段から出力された変調信号を入力とし、かつ、出力信号は前記波形等化手段の後段に入力され、
前記波形等化手段の前段と後段のフィルタ手段は、同数のタップを備えていることを特徴とする音声処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−296089(P2009−296089A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145307(P2008−145307)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】