説明

音楽関連データ処理装置および音楽関連データ処理方法

【課題】格別なアプリケーションソフトやスキルを要することなく、音楽音響信号から楽譜を起こしたり、楽譜から音楽音響信号を生成したりすることができる音楽関連データ処理装置および音楽関連データ処理方法を提供することを目的とする。
【解決手段】音楽関連データの入力を受け付ける入力部11と、受け付けた音楽関連データから一音の音程を決定する音程決定部13と、受け付けた音楽関連データから一音の長さを決定する音長決定部14と、受け付けた音楽関連データとは異なるデータ形式のサンプルデータであって、一音の音程と音長の複数の組み合わせ毎に用意されるサンプルデータを格納するサンプルデータ格納部17と、一音の音程、決定した一音の長さを基に、サンプルデータ格納部17が格納しているサンプルデータを順に抽出するサンプルデータ抽出部15と、サンプルデータを順に加工して、出力用データを生成する出力用データ生成部16とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音楽音響信号や楽譜画像を処理する音楽関連データ処理装置および音楽関連データ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パソコンに音源をつないで作曲や演奏を行う行為は、DTM(Desk Top Music)と呼ばれる。DTMは、様々な楽器の音を再現できるMIDI(Musical Instruments Digital Interface)音源を利用する。また、DTMは、シーケンスソフトと呼ばれるアプリケーションソフトを使って、音楽を作成したり、既存の音楽を編集したり、誰かが作ったデータを演奏させたりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−015641号公報
【特許文献2】特開2004−233432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなDTMは、MIDI等のインタフェースを有する電子楽器やシーケンサソフトを購入しなければならないという問題がある。また、DTMで使用される多くの電子楽器やシーケンサソフトは、高度な音楽知識を持つ音楽業界関係者や上級者を対象としており、初心者にとっては難解であるという問題がある。更に、初心者が、これらの電子楽器やシーケンサソフトを利用したとしても、上記のような採譜を容易に成し得ることは難しいという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、格別なアプリケーションソフトやスキルを要することなく、音楽音響信号から楽譜を起こしたり、楽譜から音楽音響信号を生成したりすることができる音楽関連データ処理装置および音楽関連データ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る音楽関連データ処理装置は、音楽関連データの入力を受け付ける入力部と、前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データから一音の音程を決定する音程決定部と、前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データから一音の長さを決定する音長決定部と、前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データとは異なるデータ形式のサンプルデータであって、一音の音程と音長との複数の組み合わせ毎に用意されるサンプルデータを格納するサンプルデータ格納部と、前記音程決定部が決定した前記一音の音程、および前記音長決定部が決定した前記一音の長さを基に、前記サンプルデータ格納部が格納している前記サンプルデータを順に抽出するサンプルデータ抽出部と、前記サンプルデータ抽出部が抽出した前記サンプルデータを順に加工して、出力用データを生成する出力用データ生成部とを備える。
【0007】
また、上記課題を解決するための本発明に係る音楽関連データ処理方法は、入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データとは異なるデータ形式のサンプルデータであって、一音の音程と音長の複数の組み合わせ毎に用意されるサンプルデータを格納するサンプルデータ格納部を備える音楽関連データ処理装置における音楽関連データ処理方法であって、前記音楽関連データ処理装置の入力部が、音楽関連データの入力を受け付け、前記音楽関連データ処理装置の音程決定部が、前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データから一音の音程を決定し、前記音楽関連データ処理装置の音長決定部が、前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データから一音の長さを決定し、前記音楽関連データ処理装置のサンプルデータ抽出部が、前記音程決定部が決定した前記一音の音程、および前記音長決定部が決定した前記一音の長さを基に、前記サンプルデータ格納部が格納している前記サンプルデータを順に抽出し、前記音楽関連データ処理装置の出力用データ生成部が、前記サンプルデータ抽出部が抽出した前記サンプルデータを順に加工して、出力用データを生成する。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、格別なアプリケーションソフトやスキルを要することなく、音楽音響信号から楽譜を起こしたり、楽譜から音楽音響信号を生成したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】音楽音響信号に基づいて楽譜データを生成する機能を有する携帯電話10の構成を示す。
【図2】音色決定部12における音楽音響信号と基本波形データとの比較処理を説明するための図である。
【図3】音楽音響信号から楽譜データを生成する手順を示すフローチャートである。
【図4】楽譜画像に基づいて音楽音響データを生成する機能を有する携帯電話20の構成を示す。
【図5】楽譜画像から音楽音響データを生成する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態はクレームにかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0011】
図1は音楽音響信号に基づいて楽譜データを生成する機能を有する携帯電話10(音楽関連データ処理装置)の構成を示す。本発明に特徴的な、音色決定の方法については、図2で詳述する。携帯電話10は、主に入力部11、音色決定部12、音程決定部13、音長決定部14、サンプルデータ抽出部15、出力用データ生成部16、およびサンプルデータ格納部17を含む。
【0012】
入力部11は、音色決定部12と接続する。入力部11は、携帯電話10のマイクロホンにて音楽音響信号の入力を受け付け、当該音楽音響信号を音色決定部12へ出力する。音色決定部12は、音程決定部13、音長決定部14、およびサンプルデータ格納部17とも接続する。音色決定部12は、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号に含まれる複数の音色がそれぞれ何の楽器の音色であるかを、サンプルデータ格納部17に格納された基本波形データ比較しながら決定し、音色毎の信号を音程決定部13、および音長決定部14へ出力する。
【0013】
音程決定部13は、サンプルデータ抽出部15とも接続する。音程決定部13は、音色決定部13から入力される音色毎の信号を構成する各音の音程を一音ずつ決定し、音程データとして順にサンプルデータ抽出部15へ出力する。音長決定部14は、サンプルデータ抽出部15とも接続する。音長決定部14は、音色決定部13から入力される音色毎の信号を構成する各音の音長を一音ずつ決定し、音長データとして順にサンプルデータ抽出部15へ出力する。
【0014】
サンプルデータ抽出部15は、出力用データ生成部16とも接続する。サンプルデータ抽出部15は、音程決定部13から入力される音程データが示す音程と、音長決定部14から入力される音長データが示す音長に適合するサンプルデータをサンプルデータ格納部17から抽出し、順に出力用データ生成部16へ出力する。本実施形態の場合、サンプルデータは、音程データが示す音程と音長データが示す音長に適合する音符を示す音符データである。
【0015】
出力用データ生成部16は、サンプルデータ抽出部15から入力されるサンプルデータを順に加工して出力用データを生成する。本実施形態の場合、出力用データは、楽譜データである。楽譜データは、携帯電話10の図示しないディスプレイに出力した際に、楽譜を表す内容のデータである。出力用データ生成部16は、生成する楽譜データをディスプレイに出力した際に、楽譜の五線を表す適宜位置に、音符データが示す音符の音程と音長の意味と適合するように当該音符データが表示されるべく加工して当該楽譜データを生成する。
【0016】
このように、本実施形態の携帯電話10は、音楽音響信号の入力を受け付ける入力部11と、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号から一音の音程を決定する音程決定部13と、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号から一音の長さを決定する音長決定部14と、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号とは異なるデータ形式のサンプルデータあって、一音の音程と音長の複数の組み合わせ毎に用意される音符データを格納するサンプルデータ格納部17と、音程決定部13が決定した一音の音程、および音長決定部14が決定した一音の長さを基に、サンプルデータ格納部17が格納している音符データを順に抽出するサンプルデータ抽出部15と、サンプルデータ抽出部15が抽出した音符データを順に加工して、楽譜データを生成する出力用データ生成部16とを備える。また、本実施形態の携帯電話10は、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号に含まれる音色を決定し、当該音色毎の音楽音響信号として出力する音色決定部12をさらに備える。
【0017】
図2は、音色決定部12における音楽音響信号と基本波形データとの比較処理を説明するための図である。図2を参照して、音色決定部11が、音色を決定する方法について説明する。図2の実線で示す波形は、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号の波形を示す。また、図2の一点鎖線で示す波形は、サンプルデータ格納部17に格納された基本波形データの波形である。基本波形データは、その波形の波長と周波数の組み合わせによって複数用意される。また、各基本波形データは、それぞれ異なる楽器の音の波形を示すデータとして格納される。
【0018】
音色決定部12は、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号から波長と周波数の組み合わせ毎に信号を抜き出し、各信号の波形と基本波形データの波形とを比較する。音色決定部12は、当該信号の波形の上方ピークP1と同一時間の基本波形データの波形部分の差ΔV1を算出する。また、音色決定部12は、当該信号の波形の下方ピークP2と同一時間の基本波形データの波形部分の差ΔV2を算出する。さらに、音色決定部12は、当該信号の上方ピークP1から下方ピークP2までの時間差ΔTを算出する。
【0019】
音色決定部12は、算出したΔV1、ΔV2、およびΔTの値が所定範囲内であれば、当該信号の波形と基本波形データの波形とが一致したものとみなし、当該信号の音色が何の楽器の音色であるのかを決定する。音色決定部12は、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号から抜き出された各信号に対して同様の処理を繰り返し実施し、各信号の音色が何の楽器の音色であるかを特定する。
【0020】
図3は、音楽音響信号から楽譜データを生成する手順を示すフローチャートである。以下、図3を参照して、音楽音響信号から楽譜データを生成する手順について説明する。まず、携帯電話10の入力部11は、マイクロホンによって音楽音響信号の入力を受け付ける(S101)。入力部11が入力を受け付ける音楽音響信号の基となる音は、携帯電話10の近傍で演奏されて流れてくる音楽の音、あるいは、携帯電話10の近傍で音楽の再生機によって再生されて流れてくる音楽の音である。
【0021】
次に、音色決定部12は、入力部11が入力を受け付けた音楽音響信号に含まれる複数の音色が何の楽器の音色であるかを決定する(S102)。この処理において、音色決定部12は、音楽音響信号を複数の信号成分に分解する。音響信号に含まれる各信号成分は、当該信号の波長と周波数の組み合わせの違いによって識別される。そして、音色決定部12は、サンプルデータ格納部17に格納された基本波形データを読み出し、各信号成分の波形と一致するか否かを個別に判定する。このようにして、音色決定部12は、信号成分の波形と一致する基本波形データの音源となった楽器の音色を、当該信号成分の音色であると決定する。
【0022】
次に、音程決定部13、音長決定部14は、それぞれ、音色決定部12によって音色が決定された信号成分毎に、当該信号成分に含まれる音の音程、音長を一音ずつ順次決定する(S103)。音程決定部13は、各音の音程を、当該音の周波数値によって決定する。音長決定部14は、有音部分の時間長を1つの音の長さとして決定し、無音部分の時間長を休符の長さとして決定する。この具体的な処理は、ユーザからの入力や、任意のプログラムによって1小節の時間を設定する。そして、音長決定部14は、有音部分の時間の1小節の時間に対する相対的な時間を、1つの音の音長として決定する。
【0023】
次に、サンプルデータ抽出部15は、音程決定部13、音長決定部14で決定された音色毎の音程、音長に一致するサンプルデータを、サンプルデータ格納部17から読み出す(S104)。本実施形態においては、サンプルデータは、音符データである。音符データは、少なくとも、音長決定部14で決定された音長を基に、当該音符データが示す音符の種類を識別することができる。
【0024】
また、音符データが、音程毎に用意される場合、即ち、五線の第1線に対し垂直方向の表示位置の異なる同一の絵柄の音符データが複数用意される場合には、音程決定部13で決定された音程によって、抽出される音符データが異なる。音程毎の音符データが複数用意されない場合には、当該音符データは、出力用データ生成部16で出力用データが生成される過程で、音程決定部13で決定された音程毎によって、五線上に表示される垂直方向の位置が決定される。
【0025】
次に、出力用データ生成部16は、サンプルデータ抽出部15で抽出された音符データを順に加工して、出力用データを生成する(S105)。出力用データは、携帯電話10の図示しないディスプレイに出力するためのデータである。また、出力用データは、ディスプレイに出力した際に、音符や休符を含む楽譜を表示する楽譜データである。出力用データ生成部16は、サンプルデータ抽出部15で抽出された音符データが入力されると、表示する楽譜の五線上の適切な位置に当該音符データが表示されるように加工する。音符データが、音程毎に用意されたものである場合、五線に対する水平方向の位置だけを調整する。音符データが、音程毎に用意されたものではない場合、音程決定部13で決定した音程に基づいて、五線に対する垂直方向の位置も調整する。具体的には、音符の符頭の垂直方向の位置が、音符の意味する五線の線上、または線間と合致するように、五線の第1線と第2線の間隔を基に垂直方向の位置が決定される。
【0026】
このような手順で音楽音響信号から生成された楽譜データは、適宜、携帯電話10の図示しない記憶装置に記憶され、ユーザの指示に従って当該記憶装置から読み出し、ディスプレイに基の音楽音響信号から起こした楽譜として表示される。
【0027】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。図4は楽譜画像に基づいて音楽音響信号データを生成する機能を有する携帯電話20(音楽関連データ処理装置)の構成を示す。携帯電話20は、主に入力部21、音程決定部22、音長決定部23、条件入力部24、サンプルデータ抽出部25、出力用データ生成部26、およびサンプルデータ格納部27を含む。
【0028】
入力部21は、音程決定部22、および音長決定部23と接続する。入力部21は、携帯電話20のカメラにて楽譜画像の入力を受け付け、当該楽譜画像を音程決定部22、および音長決定部23へ出力する。音程決定部22は、サンプルデータ抽出部25とも接続する。音程決定部22は、入力部21から入力される楽譜画像を構成する各音符や休符の音程を一音ずつ決定し、音程データとして順にサンプルデータ抽出部25へ出力する。音長決定部23は、サンプルデータ抽出部25とも接続する。音長決定部23は、入力部21から入力される楽譜画像を構成する各音符や休符の長さを1つずつ決定し、音長データとして順にサンプルデータ抽出部25へ出力する。
【0029】
条件入力部24は、サンプルデータ抽出部24と接続する。条件入力部24は、携帯電話20のボタンやタッチパネル等の入力手段を介して、サンプルデータ抽出に伴う条件の入力を受け付ける。音楽音響信号データに対する条件は、当該音楽音響信号データを再生する際に適用される楽器コードやテンポ等である。
【0030】
サンプルデータ抽出部25は、出力用データ生成部26とも接続する。サンプルデータ抽出部25は、音程決定部22から入力される音程データが示す音程データと、音長決定部23から入力される音長データが示す音長データと、条件入力部24から入力される条件に適合するサンプルデータをサンプルデータ格納部27から抽出し、順に出力用データ生成部26へ出力する。本実施形態の場合、サンプルデータは、音程データが示す音程と、音長データが示す音長と、条件入力部24から入力される条件に適合する一音の音響信号データである。
【0031】
出力用データ生成部26は、サンプルデータ抽出部25から入力されるサンプルデータを順に加工して出力用データを生成する。本実施形態の場合、出力用データは、音楽音響信号データである。音楽音響信号データは、携帯電話20の図示しないスピーカに出力した際に、音楽として再生される内容のデータである。出力用データ生成部26は、生成する音楽音響信号データをスピーカに出力した際に、基の楽譜の内容が再生されるように当該音楽音響信号データを生成する。
【0032】
このように、本実施形態の携帯電話20は、楽譜画像の入力を受け付ける入力部21と、入力部21が入力を受け付けた楽譜画像から一音の音程を決定する音程決定部22と、入力部21が入力を受け付けた楽譜画像から一音の長さを決定する音長決定部23と、入力部21が入力を受け付けた楽譜画像とは異なるデータ形式のサンプルデータであって、一音の音程と音長の複数の組み合わせ毎に用意される一音信号データを格納するサンプルデータ格納部27と、音程決定部22が決定した一音の音程、および音長決定部23が決定した一音の長さを基に、サンプルデータ格納部27が格納している一音信号データを順に抽出するサンプルデータ抽出部25と、サンプルデータ抽出部25が抽出した一音信号データを順に加工して、音楽音響信号データを生成する出力用データ生成部26とを備える。また、本実施形態の携帯電話20は、音楽音響信号データを再生するときの条件の入力を受け付ける条件入力部24をさらに備える。
【0033】
図5は、楽譜画像から音楽音響信号データを生成する手順を示すフローチャートである。以下、図5を参照して、楽譜画像から音楽音響信号データを生成する手順について説明する。まず、携帯電話20の入力部21は、カメラによって楽譜画像の入力を受け付ける(S201)。入力部21が入力を受け付ける楽譜画像の基となる楽譜は、音楽を記録するために演奏記号や符号を使って記号化したものである。
【0034】
次に、音程決定部22、音長決定部23は、それぞれ、入力部21によって入力が受け付けられた楽譜画像に含まれる各音符の音程、音長を1つずつ順次決定する(S203)。音程決定部22は、各音符の音程を、当該音符の楽譜の五線に対する垂直方向の位置によって決定する。音長決定部23は、各音符の音長を、当該音符の絵柄の種類によって決定する。
【0035】
次に、条件入力部24は、ユーザからのサンプルデータ抽出に伴う条件の入力を受け付ける(S203)。本条件入力処理は、携帯電話20の図示しないディスプレイに、楽譜を再生する場合の楽器の種類やテンポを選択させる旨の表示を行い、携帯電話20の図示しないボタンやタッチパネル等の入力手段を介して、ユーザからの選択指示を以て当該条件が入力されたものとみなす。
【0036】
次に、サンプルデータ抽出部25は、音程決定部22、音長決定部23で決定された音程、音長と、条件入力部24で入力された条件に一致するサンプルデータを、サンプルデータ格納部27から読み出す(S204)。本実施形態においては、サンプルデータは、条件に適合する楽器の音であって、音程決定部22、音長決定部23で決定された音程、音長に適合する一音の音響信号データである。
【0037】
次に、出力用データ生成部26は、サンプルデータ抽出部25で抽出された音響信号データを順に結合して、出力用データを生成する(S205)。出力用データは、携帯電話20の図示しないスピーカに出力するための音楽音響信号データである。また、出力用データは、スピーカに出力した際に、入力部11が入力を受け付けた楽譜画像の内容による音楽として再生されるデータである。出力用データ生成部26は、サンプルデータ抽出部25で抽出された音響信号データが入力されると、当該音響信号データを順に結合して出力用データとする。また、出力用データ生成部26は、サンプルデータ抽出部25で抽出された音響信号データが複数種類の楽器のデータであった場合、同じ楽器のデータである音響信号データ同士を順に合成して出力用データとする。
【0038】
このような手順で楽譜画像から生成された音楽音響信号データは、適宜、携帯電話20の図示しない記憶装置に記憶され、ユーザの指示に従って当該記憶装置から読み出し、スピーカに基の楽譜画像の内容の音楽として再生される。
【0039】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0040】
10 携帯電話
11 入力部
12 音色決定部
13 音程決定部
14 音長決定部
15 サンプルデータ抽出部
16 出力用データ生成部
17 サンプルデータ格納部
20 携帯電話
21 入力部
22 音程決定部
23 音長決定部
24 条件入力部
25 サンプルデータ抽出部
26 出力用データ生成部
27 サンプルデータ格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽関連データの入力を受け付ける入力部と、
前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データから一音の音程を決定する音程決定部と、
前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データから一音の長さを決定する音長決定部と、
前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データとは異なるデータ形式のサンプルデータであって、一音の音程と音長との複数の組み合わせ毎に用意されるサンプルデータを格納するサンプルデータ格納部と、
前記音程決定部が決定した前記一音の音程、および前記音長決定部が決定した前記一音の長さを基に、前記サンプルデータ格納部が格納している前記サンプルデータを順に抽出するサンプルデータ抽出部と、
前記サンプルデータ抽出部が抽出した前記サンプルデータを順に加工して、出力用データを生成する出力用データ生成部と
を備える音楽関連データ処理装置。
【請求項2】
前記入力部は、前記音楽関連データとして音楽音響信号の入力を受け付ける請求項1に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項3】
前記入力部が入力を受け付けた前記音楽音響信号に含まれる音色を決定し、当該音色毎の音響信号データを出力する音色決定部
をさらに備える請求項2に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項4】
前記音程決定部は、前記音色決定部が出力した前記音響信号データに含まれる周波数の変化によって一音毎の音程を決定し、
前記音長決定部は、前記音色決定部が出力した前記音響信号データに含まれる有音部分の長さによって一音毎の音長を決定する請求項3に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項5】
前記サンプルデータ格納部は、前記音響信号データに含まれる一音毎の音程と音長の組み合わせで識別されるサンプルデータであって、一音毎の音符を表示するための音符データをサンプルデータとして格納する請求項4に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項6】
前記サンプルデータ抽出部は、前記音程決定部が決定した前記音色毎の一音の音程、および前記音長決定部が決定した前記音色毎の一音の長さに対応する前記音符データを、前記サンプルデータ格納部から抽出する請求項5に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項7】
前記出力用データ生成部は、前記サンプルデータ抽出部が抽出した順に前記音符データを組み合わせ、出力用データとして楽譜データを生成する請求項5に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項8】
前記入力部は、前記音楽関連データとして楽譜画像の入力を受け付ける請求項1に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項9】
前記音程決定部は、前記入力部が入力を受け付けた前記楽譜画像における五線の第一線に対する各音符の符頭の相対位置によって一音の音程を決定し、
前記音長決定部は、前記入力部が入力を受け付けた前記楽譜画像に含まれる音符の形状によって一音の長さを決定する請求項8に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項10】
前記サンプルデータ格納部は、前記楽譜画像に含まれる一音符毎の音程と音長の組み合わせで識別されるサンプルデータであって、一音毎の音響信号を再生するための一音信号データをサンプルデータとして格納する請求項9に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項11】
前記サンプルデータ抽出部が前記一音信号データを抽出する際の条件の入力を受け付ける条件入力部
をさらに備える請求項10に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項12】
前記条件入力部は、前記音楽音響信号データを再生するときの条件として、前記音楽音響信号データを再生する楽器を指定させる請求項11に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項13】
前記再生条件入力部は、前記音楽音響信号データを再生するときの条件として、前記音楽音響信号データを再生するテンポを指定させる請求項11又は12に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項14】
前記サンプルデータ抽出部は、前記音程決定部が決定した前記一音の音程、前記音長決定部が決定した前記一音の音長、および前記条件入力部が入力を受け付けた前記条件に対応する前記一音信号データを、前記サンプルデータ格納部から抽出する請求項11乃至13に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項15】
前記出力用データ生成部は、前記サンプルデータ抽出部が抽出した前記一音信号データのサンプルデータを順に結合し、出力用データとして音楽音響信号データを生成する請求項14に記載の音楽関連データ処理装置。
【請求項16】
入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データとは異なるデータ形式のサンプルデータであって、一音の音程と音長の複数の組み合わせ毎に用意されるサンプルデータを格納するサンプルデータ格納部を備える音楽関連データ処理装置における音楽関連データ処理方法であって、
前記音楽関連データ処理装置の入力部が、音楽関連データの入力を受け付け、
前記音楽関連データ処理装置の音程決定部が、前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データから一音の音程を決定し、
前記音楽関連データ処理装置の音長決定部が、前記入力部が入力を受け付けた前記音楽関連データから一音の長さを決定し、
前記音楽関連データ処理装置のサンプルデータ抽出部が、前記音程決定部が決定した前記一音の音程、および前記音長決定部が決定した前記一音の長さを基に、前記サンプルデータ格納部が格納している前記サンプルデータを順に抽出し、
前記音楽関連データ処理装置の出力用データ生成部が、前記サンプルデータ抽出部が抽出した前記サンプルデータを順に加工して、出力用データを生成する
音楽関連データ処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−204463(P2010−204463A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−50862(P2009−50862)
【出願日】平成21年3月4日(2009.3.4)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】