説明

顔料分散体における光安定化ポリマー分散剤

本発明は、原子転移ラジカル重合法を用いて製造された新規重合体に関する。新規重合体は光、熱、又は酸化により誘導される劣化を受けやすい物質の組成物を安定化するのに有用である。新規重合体はまた分散性無機又は有機顔料粒子を含有する顔料分散体の分散剤としても有用である。さらに、本発明の実施形態は制御された又はリビング重合の方法を適用することによる新規重合体の製法、及びインキ、カラーフィルター、被覆、画像、ラッカーなどを調製するための顔料分散体の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光、熱若しくは酸化により誘導される劣化を受けやすい物質の組成物を安定化するのに有用であるか又は顔料分散体中の分散剤として有用である新規重合体、その新規重合体を含む組成物、その組成物を調製する方法、分散性無機又は有機顔料粒子及びその新規重合体を含有する顔料分散体、制御された又は「リビング」重合の方法を適用することによるその新規重合体の調製方法、並びに被覆、画像、ラッカー及び他を調製するための顔料分散体の使用に関する。
【0002】
顔料及びポリマー添加剤を含有する分散体は、ほぼ無限の数の異なる技術的な用途に使用され、例えば、被覆材料として、プリントインキのため、繊維などのプラスチック材料、ガラス、又はセラミック製品の着色のため、化粧品用配合物のため、あるいは塗料系、特に自動車用、工業用及び装飾用塗料の調製のために使用される。
【0003】
顔料分散体におけるポリマーの機能は多種多様である。これらは、特定のキャリア液体、例えば、水又は有機溶媒において可溶化剤として作用してもよい。また、沈殿又は凝集を防ぐために、可溶化剤として適切なポリマーが必要である。ポリマーは、また、顔料分散体の光沢を改良するか、又はレオロジーを向上してもよい。分散剤、例えば、水、有機溶媒又はその混合物の種類及び極性に応じて、種々の構造のポリマーが選択される。生態学的要件の観点から、ハイソリッド含有の有機溶媒に基づく分散体と同様に、水性顔料分散体の使用が特に好ましい。水性系において、疎水性及び親水性ポリマー、又は親水性及び疎水性ポリマーブロックを含有するブロックコポリマー、いわゆるA−Bブロックコポリマーの混合物を使用することができる。疎水性「A」ブロック((メタ)アクリラートモノマーのホモ−又はコポリマー)は、顔料若しくはエマルションポリマー表面のいずれか、又はその両方に関連する。親水性「B」ブロック(中和酸又はアミン含有ポリマー)により、これらのコポリマーは、水に基づく顔料分散体の調製において有用である(H. J. Spinelli, Progress in Organic Coatings 27 (1996), 255-260を参照)。
【0004】
十分に確立した多くの異なる方法を、顔料分散体に使用されるポリマーの調製に利用することができる。ほとんどの方法は、開始剤ラジカルの制御不能な再結合反応が、それらが形成された直後に、開始剤ラジカルと安定した遊離基との間に比率の変動が生じるような影響を伴って起こることがある、という不利な点を有する。したがっていくつかの場合において、重合プロセスの制御が非効率的になる。
【0005】
グループ転移重合(GTP)は、定義された構造のA−Bブロックコポリマーをメタクリラートモノマーから製造する、十分に確立した方法である。その広い適用性および有用性にもかかわらず、GTP法は依然としていくつかの欠点を有する。U.S.4,656,226に開示されているシリルケテンアセタールなどの、この方法に使用される重合開始剤、例えば1−トリメチルシリルオキシ−1−イソブトキシ−2−メチルプロペンは、反応性が高く、多工程合成で調製することが難しい。このことにより、注意深く乾燥および精製した反応体の使用が必要となり、それが大規模に実施される産業上の用途におけるこの方法の利用を制限している。
【0006】
ほぼ無限の異なる技術的な用途の範囲を考慮すると、練り顔料の所定の剪断速度での粘性及び表面被覆の改良された光沢により表されるとおりの、改良された顔料親和性及びレオロジーをもつ顔料分散体に対する高まる必要性が依然として存在する。
【0007】
WO96/30421は、原子転移ラジカル重合(ATRP)法を用いることによる、スチレン又は(メタ)アクリラートなどのエチレン性不飽和ポリマーの制御された又は「リビング」重合法を開示している。この方法は、ブロックコポリマーなどの、定義されたオリゴマーホモポリマー及びコポリマーを製造する。開始剤が使用され、それは、異なる酸化状態の遷移金属、例えば、Cu(I)及びCu(II)のレドックス系の存在下、・Clなどのラジカル原子を発生させて、「リビング」又は制御されたラジカル重合を提供する。
【0008】
WO00/40630は、ATRP法により調製された分散剤としてブロックコポリマーを含有する、顔料分散体を開示している。ブロックコポリマーは、定義された疎水性及び親水性ポリマーブロックからなる。極性の差は、アミノ又はアルキル化アミノ基などの親水性官能基を有するモノマー単位の異なる量が存在する、ポリマーブロックA及びBを共重合することにより得られる。これは、ブロックコポリマー分散剤の親水/疎水特性を変える。1つの実施態様において、メタクリラート又はアクリラートモノマーの非荷電ホモポリマー又はコポリマーに基づく個別の疎水性「A」ブロックは、溶媒に基づく被覆組成物中に立体安定剤ブロックを形成する。より親水性の「B」ブロック(例えば、アミノ官能アクリラート又はメタクリラート)の存在が、特定の有機又は無機顔料の顔料親和性の基礎である。p−トルエンスルホン酸などの種々の添加剤も開示されている。
【0009】
WO01/51534は、ATRPにより製造されるマクロモノマーを介して調製される、クシ型ポリマー分散剤を開示している。
【0010】
顔料、染料及び他の着色剤が光及び大気酸素の作用により分解することは、ほとんど自明の事実である。したがって、顔料組成物中に、特に被覆中に存在するポリマー分散剤及び顔料を、可視光に曝露された顔料組成物中の紫外線の強度を減少することにより、光の作用から保護することが望ましい。
【0011】
UV吸収剤などの光保護剤は、UV放射線の波長の放射エネルギーを吸収する物質である。好適なUV吸収剤は、2−(2′−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシベンゾフェノン又は2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジンである。顔料分散体に添加剤として使用される場合、これらは、電磁照射のUV成分を濾光し、その結果、分散体の変色及び劣化を起こし、感光性を減少させる。しかし、顔料分散体におけるこれらの光保護剤としての有効性は、特に低濃度のときは不十分なままである。より有効なレベルに濃度を上げることは、非現実的であり不利である。深刻な問題は、顔料粒子の凝集及び高濃度の添加剤の結果として生じる、分散体の低い安定性である。
【0012】
光及び大気酸素の作用が、光酸化又は光還元プロセスによる顔料の分解を、顔料結晶の表面で開始させると考えられている。したがって、特に顔料結晶の表面を保護する安定剤が望ましい。
【0013】
驚くべきことに、顔料分散体中のUV吸収剤及び他の光保護剤の有効性は、制御又は「リビング」重合法で得られたポリマー分散剤の構造にUV吸収剤分子が直接結合している場合には増加することが見出された。直接結合は、エーテル又はエステル結合などの化学的結合と、UV吸収剤分子及び他の光保護剤の活性構造部分とにより構築される。
【0014】
本発明は、下記式:
【0015】
【化7】

【0016】
〔式中、
A及びBが、ポリマー鎖末端基を表し;
1、R1′及びR1″は、互いに独立して、水素又はC1〜C4アルキルを表し;
2は、水素又はより高い極性のエステル基を表し;
3は、より低い極性のエステル基を表し;
Yは、直接結合又は二価基を表し;
Zは、光保護特性を有する作用物質の機能有効基を表し;
数字I、II、IIIは、任意の順序での個別のポリマーブロックを表し;
指数p、q及びrは、重合体におけるポリマーブロックI、II及びIIIの数を表し、ここで、指数p及びqのうちの一方は、互いに独立して、0、1、又は1を超える数字を表し、他方は1又は1を超える数字を表し、rは1又は1を超える数字を表し;そして
指数x、y及びzは、個別のポリマーブロックI、II及びIIIに存在するモノマー単位の数を規定する〕
で示される重合体に関する。
【0017】
本発明の特定の実施態様は、下記式:
【0018】
【化8】

【0019】
〔式中、
1は、重合開始剤のフラグメントを表し;
*は、重合性のエチレン性不飽和末端基を表し;そして
1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzは、上記と同義である〕
で示されるマクロモノマーに関する。
【0020】
更に、特定の実施態様は、下記式:
【0021】
【化9】

【0022】
〔式中、
1は、重合開始剤のフラグメントを表し;
1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzは、上記と同義であり;そして
2は、下記の部分式:
【0023】
【化10】

【0024】
(式中、
2は、ポリマー鎖末端基を表し;
1、R1′、R1″、R2、R3、Y及びZは、上記と同義であり;
数字I′、II′及びIII′は、任意の順序での個別のポリマーブロックを表し;
指数p、q及びrは、重合体におけるポリマーブロックI、II及びIIIの数を表し、ここで、
指数p、q及びrのうちの1つは、互いに独立して、1又は1を超える数字を表し;
他は、0、1、又は1を超える数字を表し;そして
指数x、y及びzは、個別のポリマーブロックI、II及びIIIに存在するモノマー単位の数を規定する)で示されるポリマー基を表す〕
で示されるクシ型ポリマーに関する。
【0025】
本発明の明細書で使用される用語および定義は、好ましくは下記の意味を有する。
【0026】
重合体という用語は、任意の順序の個別のブロックコポリマーI、II及びIIIにより構成されているあらゆるポリマー構造を含む。各ブロックコポリマーは、実質的にランダムブロック、マルチブロック、星形又は傾斜コポリマーからなる。ポリマーブロックI、II及びIIIは、エチレン性の不飽和重合性モノマー単位:
【0027】
【化11】

【0028】
の少なくとも2つの反復単位からなり、これは、慣用の又は制御された若しくは「リビング」重合などの既知の方法で重合されうる。制御された又は「リビング」重合は、溶媒へのラジカル移動、2分子停止、又はいわゆる不均化などの望ましくない副反応を抑制する条件下で、ラジカル重付加反応によりモノマーに付加する開始フラグメントから重合を開始させる方法として定義される。これらの副反応の抑制は、続く異なるモノマーの付加によるブロックコポリマーの形成を、又は末端基を官能化してマクロモノマーの形成を、可能にするような程度で実施される。リビング重合の方法は、米国特許第4,581,429号に記載されている。
【0029】
少なくとも3種の異なる型の重合体(I)が、上記で定義された組成物に存在する。
1)下記の部分式:
【0030】
【化12】

【0031】
(式中、A1は、重合開始剤のフラグメントを表す)で示される1個の基が、1個のポリマー鎖末端基B1と結合している:
【0032】
【化13】

【0033】
この場合、開始剤フラグメントA11個当たり、塩素又は臭素などのラジカル転移性基B1が1個存在する。転移性基B1を重合性の鎖末端基B*に代えたブロックコポリマーは、マクロモノマーとして知られている。
【0034】
2)下記:
【0035】
【化14】

【0036】
の基の1個以上が1個のポリマー鎖末端基Bと結合している。この型のコポリマーは、クシ型ポリマー又はグラフトコポリマーとして知られている。あらゆる既知の重合法により重合性の鎖末端基B1を更に重合又は共重合すると、下記構造のマクロモノマーを生成し、
【0037】
【化15】

【0038】
式中、B2は、下記の部分式:
【0039】
【化16】

【0040】
(式中、A2は、重合開始剤のフラグメントを表す)で示されるポリマー基を表す。
【0041】
3)下記式:
【0042】
【化17】

【0043】
の基の1個以上が、1個の開始剤フラグメントAと結合している。この場合、6個まで、好ましくは4個までの転移性基が、開始剤フラグメントA1に結合している。この型のコポリマーは、いわゆる星型又は分岐鎖状コポリマーを含む。
【0044】
重合体(I)において、数字I、II及びIIIは、任意の順序での個別のポリマーブロックを表す。
【0045】
指数p、q及びrは、重合体(I)におけるポリマーブロックI、II及びIIIの数を表す。p及びqのうちの一方は、互いに独立して、0、1、又は1を超える数字(p又はq≧0)を表し、他方は、1又は1を超える数字(p又はq≧1)を表す。指数rは、1を超える数字(r≧1)を表す。
【0046】
好ましい実施態様によると、ポリマーブロックII及びIIIが重合体(I)に存在する。その場合、pは0を表し、qは1又は1を超える数字を表す(p:0、q≧1)
【0047】
指数x、y及びzは、互いに独立して、ポリマーブロックI、II及びIIIに存在するモノマー単位の数を規定する。p及びqのうちの1つが0を表す場合、x又はyも0である。p及びqのうちの1つが1を表す場合、x又はyの最低値は少なくとも1である。2から1,000の範囲が、x、y及びzの合計に好ましい。ポリマーブロックI、II及びIIIの好ましい分子量の範囲は、約1000〜100000、好ましくは約1000〜50000である。特に好ましい分子量の範囲は、約1000〜15000である。
【0048】
コポリマー(I)において、基A又はBは、下記式:
【0049】
【化18】

【0050】
(式中、A及びBの一方は、原子転移ラジカル重合(ATRP)により、制御されたラジカル重合を活性化させることができる触媒の存在下で、ATRPによりエチレン性不飽和モノマーの重合を開始させることができる重合開始剤のフラグメントを表し、そして他方は、ラジカル移動性原子又は基を表す)で示される重合開始剤の重合開始剤フラグメントを表す。適切な重合開始剤は、フラグメントA又はBの原子転移ラジカル重合を開始することができる。重合は、続いて、用語ATRPで知られている反応機構、又は関連する方法により進行する。ラジカル移動性原子又は基・B(又は・A)を含有する適切な重合開始剤は、WO96/30421及びWO98/01480で記載されている。好ましいラジカル移動性原子又は基・Bは、・Cl又は・Brであり、開始剤分子からラジカルとして開裂され、続いて重合の後、離脱基として重合性の鎖末端基と置き換えられてもよい。代表的な開始剤分子は、下記式:
【0051】
【化19】

【0052】
(式中、Halは塩素又は臭素を表す)で示される化合物である。
【0053】
重合体(I′)において、基A1は重合開始剤のフラグメントを表し、B1は重合性のエチレン性不飽和末端基を表す。重合体(I′)は、ATRP法を式:A−Bの開始剤分子の存在下で適用し、鎖末端基を重合性のエチレン性不飽和基で置換することにより、入手可能である。
【0054】
重合体(II′)において、基A1は重合開始剤のフラグメントを表し、B2は下記部分式のポリマー基を表す。
【0055】
【化20】

【0056】
重合体(I″)は、下記式の「星型」又は「鳥型」開始剤分子の存在下でATRP法を適用することにより、入手可能である。
【0057】
【化21】

【0058】
上記式中、Halは塩素又は臭素を表す。これらの開始剤分子は、下記式:
【0059】
【化22】

【0060】
のα−ハロゲンカルボン酸の反応性官能誘導体、例えば、この化合物の酸塩化物又は臭化物と、式:HO−R2のアルコールとの反応により調製され、ここでR2は、HO−基と一緒になって、分岐鎖トリヒドロキシアルコール、例えば、1,1,1−(トリス−ヒドロキシメチル)プロパンを表すか、又は分岐鎖テトラヒドロキシアルコール、例えば、ペンタエリトリトールを表す。
【0061】
直鎖状ポリマー、ブロックコポリマー又はマクロモノマーを生成する好ましい重合開始剤は、C1〜C8ハロゲン化アルキル、C6〜C15ハロゲン化アラルキル、C2〜C8ハロアルキルエステル、アレーンスルホニルクロリド、α−ハロアルカンニトリル、α−ハロアクリラート及びハロラクトンからなる群より選択される。
【0062】
特定の開始剤は、α,α′−ジクロロ−又はα,α′−ジブロモキシレン、p−トルエンスルホニルクロリド(PTS)、ヘキサキス(α−クロロ−又はα−ブロモメチル)−ベンゼン、1−フェネチルクロリド若しくはブロミド、メチル若しくはエチル2−クロロ−若しくは2−ブロモプロピオナート、メチル若しくはエチル−2−ブロモ−若しくは2−クロロイソブチラート及び対応する2−クロロ−若しくは2−ブロモプロピオン酸、2−クロロ−若しくは2−ブロモイソ酪酸、クロロ−若しくはブロモアセトニトリル、2−クロロ−若しくは2−ブロモプロピオニトリル、α−ブロモベンズアセトニトリル、α−ブロモ−γ−ブチロラクトン(=2−ブロモ−ジヒドロ−2(3H)−フラノン)、及び1,1,1−(トリス−ヒドロキシメチル)プロパン由来開始剤、並びに上記式のペンタエリトリトールからなる群より選択される。
【0063】
代替的な実施態様によると、重合体(I)のA及びBは、下記式
【0064】
【化23】

【0065】
の基を含有する重合開始剤のフラグメントの鎖末端基を表し、式中、A′又はB′は、開始剤から、フリーラジカルA・又はB・として開裂可能であり、エチレン性不飽和モノマーの重合を開始することができる。適用される重合法は、>N−O−R化合物を用いるいわゆる制御された重合である。別の代替的な実施態様によると、A及びBの一方は、フリーラジカル開始剤のフラグメントを表し、他方は、フリーニトロキシルラジカル:
【0066】
【化24】

【0067】
の鎖末端基を表す。適用される重合法は、>N−O・化合物を用いるいわゆる制御された重合である。鎖末端基(A)を含有する適切な重合開始剤は、下記式:
【0068】
【化25】

【0069】
(式中、
A″は、化合物(II)からフリーラジカルA・として開裂可能であり、エチレン性不飽和モノマーの重合を開始することができ;
1及びR2の一方は、C1〜C7アルキル又はヒドロキシ−C1〜C7アルキルを表し、他方は、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキル(C1〜C4アルコキシカルボニル又はC1〜C4アルコキシで置換されている)、又はヒドロキシ−C1〜C4アルキルを表すか;あるいは
1及びR2は、隣接するC原子と一緒になって、両方でC3〜C7シクロアルキルを表し;
3及びR4は、互いに独立して、R1及びR2と同義であるか、又は水素を表し;
aは、水素、又はC1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C1〜C4アルキル、C5〜C10アリール、C5〜C10アリール−C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキル−C5〜C10アリール、シアノ、C1〜C4アルコキシカルボニル、C1〜C4アルカノイルオキシ、C1〜C4アルカノイルオキシ−C1〜C4アルキル、カルバモイル、モノ−又はジ−C1〜C4アルキルカルバモイル、モノ−又はジ−2−ヒドロキシエチルカルバモイル、アミジノ、2−イミダゾリル、1−ヒドロキシ−2−ヒドロキシメチル−2−プロピルカルバモイル、1,1−ジヒドロキシメチル−2−ヒドロキシカルバモイル、及び−P=O(O−C1〜C4アルキル)2からなる群より選択される置換基であり;そして
bは、Raと同義であるか;あるいは
a及びRbは、一緒になって二価基を表し、5員、6員、7員、又は8員の脂肪族又は芳香族の複素環基を形成し、これは窒素、酸素及び硫黄からなる群より選択される1〜3個のさらなるヘテロ原子を含有してもよい)により表される。
【0070】
化合物(II)から開裂されるフリーラジカル種は、下記式により例示される。
【0071】
【化26】

【0072】
フリーラジカルA・として化合物(II)から開裂可能な基A″は、少なくとも1個のC原子を有し、エチレン性不飽和モノマーの重合を開始することができる(>N−O−R重合)。あるいは、基A″は、フリーラジカル開始剤のフラグメントを表す(>N−O・重合)。
【0073】
フリーラジカルA・(>N−O−R重合)として化合物(II)から開裂可能な基として定義されるA″は、好ましくは、アリール−CH2−、(CH3)CH(−アリール)−、アリール−CH2−CH2−、(CH32C(−アリール)−、(C5〜C6シクロアルキル)2C(−CN)−、(C1〜C12アルキル)2C(−CN)−、CH=CH2CH2−、C1〜C12アルキル−C(−R)〔−C(=O)−C1〜C12アルキル〕−、C1〜C12アルキル−C(−R)〔−C(=O)−C6−C10アリール〕−、C1〜C12アルキル−C(−R)〔−C(=O)−C1〜C12アルコキシ〕−、C1〜C12アルキル−C(−R)〔−C(=O)−フェノキシ〕−、C1〜C12アルキル−C(−R)〔−C(=O)−N−ジ−C1〜C12アルキル〕−、C1〜C12アルキル−C(−R)〔−(C=O)−NH−C1〜C12アルキル〕−、C1〜C12アルキル−C(−R)〔−C(=O)−NH2〕−、CH3CH=CH−CH2−、CH2=C(CH3)CH2−、フェニル−CH=CH−CH2−、2−プロピニル、2−テトラヒドロピラニル又は2−テトラヒドロフリルからなる脂肪族及び脂環式置換基群から選択され、ここでRは、水素又はC1〜C12アルキルを表す。
【0074】
A″で定義されたこれらの基におけるアリール基は、C1〜C12アルキル、ハロゲン、C1〜C12アルコキシ、C1〜C12アルキルカルボニル、グリシジルオキシ、OH、−COOH及び−COOC1〜C12アルキルからなる群より選択される置換基でさらに置換されていてもよい。
【0075】
A″は、好ましくは、フェニル−CH2−、CH3CH(−フェニル)−、(CH32C(−フェニル)−、(C5〜C6シクロアルキル)2C(−CN)−、(CH32C(−CN)−、−CH2=CH−CH2−、CH3CH(−CH=CH2)−、C1〜C8アルキル−C(−R)〔−C(=O)−フェニル〕−、C1〜C8アルキル−C(−R)〔−C(=O)−C1〜C8アルコキシ〕−、C1〜C8アルキル−C(−R)〔−C(=O)−C1〜C8アルキル〕−、C1〜C8アルキル−C(−R)〔−C(=O)−N−ジ−C1〜C8アルキル〕−、C1〜C8アルキル−C(−R)〔−C(=O)−NH−C1〜C8アルキル〕−及びC1〜C8アルキル−C(−R)〔−C(=O)−NH2〕−からなる脂肪族及び脂環式置換基群より選択され、ここでRは、水素又はC1〜C8アルキルである。
【0076】
置換基A″の特に好ましい基は、フェニル−CH2−、CH3CH(−フェニル)−、(CH32C(−フェニル)−、(C5〜C6シクロアルキル)2C(−CN)−、(CH32C(−CN)−、−CH2=CH−CH2−、CH3CH(−CH=CH2)−、C1〜C4アルキル−C(−R)〔−C(=O)−フェニル−、C1〜C4アルキル−C(−R)〔−C(=O)−C1〜C4アルコキシ−、C1〜C4アルキル−C(−R)〔−C(=O)−C1〜C4アルキル−、C1〜C4アルキル−C(−R)〔−C(=O)−N−ジ−C1〜C4アルキル−、C1〜C4アルキル−C(−R)〔−C(=O)−NH−C1〜C4アルキル〕−及びC1〜C4アルキル−C(−R)〔−C(=O)−NH〕−からなる脂肪族及び脂環式置換基群より選択され、ここでRは、水素又はC1〜C4アルキルである。
【0077】
フリーニトロキシルラジカルが存在する化合物は式IIAで表される。フリーニトロキシルラジカルは、A″がフリーラジカル開始剤のフラグメントである化合物(II)から生成される。
【0078】
フリーラジカル開始剤(>N−O・重合)のフラグメントとして定義されるA″は、いわゆるリビング重合反応におけるフリーラジカルの源として使用される既知のフリーラジカル開始剤のフラグメントであり、例えば、適切なビスアゾ化合物、ペルオキシド又はヒドロペルオキシドである。
【0079】
適切なビスアゾ化合物は市販されており、例えば、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1′−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2′−アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、2−フェニルアゾ−2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル、2,2′−アゾビスイソ酪酸ジメチル、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、遊離塩基又は塩酸塩として2,2′−アゾビス(N,N′−ジメチレンイソブチルアミジン)、遊離塩基又は塩酸塩として2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル〕プロピオンアミド}又は2,2′−アゾビス{2−メチル−N−〔1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル〕プロピオンアミド}である。
【0080】
適切なペルオキシド及びヒドロペルオキシドは市販されており、例えば、アセチルシクロヘキサンスルホニルペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシジカルボネート、tert−アミルペルネオデカノエート、tert−ブチルペルネオデカノエート、tert−ブチルペルピバレート、tert−アミルペルピバレート、ビス(2,4−ジクロロベンゾイル)ペルオキシド、ジイソノナノイルペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、ビス(2−メチルベンゾイル)ペルオキシド、ジスクシノイルペルオキシド、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペル−2−エチルヘキサノエート、ビス(4−クロロベンゾイル)ペルオキシド、tert−ブチルペルイソブチレート、tert−ブチルペルマレエート、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、tert−ブチルペルイソノナノエート、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジベンゾエート、tert−ブチルペルアセテート、tert−アミルペルベンゾエート、tert−ブチルペルベンゾエート、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)プロパン、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキサン2,5−ジーtert−ブチルペルオキシド、3−tert−ブチルペルオキシ−3−フェニルフタリド、ジ−tert−アミルペルオキシド、α,α′―ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、3,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,5−ジメチル−1,2−ジオキソラン、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチルヘキシン2,5−ジ−tert−ブチルペルオキシド、3,3,6,6,9,9−ヘキサメチル−1,2,4,5−テトラオキサシクロノナン、p−メンタンヒドロペルオキシド、ピナンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンモノ−α−ヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド又はtert−ブチルヒドロペルオキシドである。
【0081】
化合物(II)において、置換基R1、R2及びRa、並びにR3、R4及びRbは、窒素原子上の隣接するC原子と一緒になって、好ましくは、下記の部分式の基を表す。
【0082】
【化27】

【0083】
好ましい実施態様において、R1及びR2の一方はメチルを表し、他方はメチル又はエチルを表し、R3及びR4の一方はメチルを表し、他方はメチル又はエチルを表し、Ra及びRbは、一緒になって下記部分式:
【0084】
【化28】

【0085】
(式中、R5、R6、R7、及びR8は、互いに独立して、水素、メチル又はエチルを表し、R9及びR10の一方は、他と独立して、水素又は置換基を表すか、あるいはR9及びR10は共に置換基を表す)の基を表す。
【0086】
本発明の好ましい実施態様において、末端基(A)又は(B)を含有する重合開始剤のフラグメントの鎖末端基、例えば、フリーニトロキシルラジカルは、下記部分式:
【0087】
【化29】

【0088】
(式中、R1〜R8は上記で定義されており、4位は1又は2個の置換基で置換されている)で示される基を表す。4位に置換基を含有する好ましい基B0は、下記の部分式により表され、
【0089】
【化30】

【0090】
式中、
1〜R6は、上記と同義であり;
mは、1〜4の数字を表し;
nは、1、2又は3を表し;
mが1を表す場合、
aは、水素、C1〜C18アルキル(非中断であるか、又は1個以上の酸素原子で中断されている)、2−シアノエチル、ベンゾイル、グリシジルを表すか、又は2〜18個のC原子を有する脂肪族カルボン酸の、7〜15個のC原子を有する脂環式カルボン酸の、3〜5個のC原子を有するa,b−不飽和カルボン酸の、若しくは7〜15個のC原子を有する芳香族カルボン酸の一価ラジカルを表し、ここで、各カルボン酸は、脂肪族、脂環式又は芳香族部分において1〜3個の−COOZ基で置換されていることができ、ここでZは、H、C1〜C20アルキル、C3〜C12アルケニル、C5〜C7シクロアルキル、フェニル又はベンジルを表すか;あるいは
aは、カルバミン酸若しくはリン含有酸の一価ラジカル、又は一価シリルラジカルを表し;あるいは
mが2を表す場合、
aは、C2〜C12アルキレン、C4〜C12アルケニレン、キシリレンを表すか、又は2〜36個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸の、8〜14個のC原子を有する脂環式若しくは芳香族ジカルボン酸の、又は8〜14個のC原子を有する脂肪族、脂環式若しくは芳香族ジカルバミン酸の二価ラジカルを表し、ここで、各ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式又は芳香族部分において1個若しくは2個の−COOZ基で置換されていてもよいか;あるいはRaは、リン含有酸の二価ラジカル、又は二価シリルラジカルであり;あるいは
mが3を表す場合、
aは、脂肪族、脂環式若しくは芳香族部分においてCOOZ基で置換されていてもよい脂肪族、脂環式若しくは芳香族トリカルボン酸の、芳香族カルバミン酸の、又はリン含有酸の三価ラジカルを表すか、あるいは三価シリルラジカルであり;あるいは
mが4を表す場合、
aは、脂肪族、脂環式又は芳香族テトラカルボン酸の四価ラジカルを表し;
nが1を表す場合、
bは、C1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C8アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルを表し;
cは、C1〜C18アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C2〜C8アルケニル(非置換であるか又はシアノ、カルボニル若しくはカルバミド基で置換されている)、グリシジルを表すか、又は式:CH2CH(OH)−Z、−CO−Z−若しくは−CONH−Zの基を表し、ここでZは、水素、メチル又はフェニルを表すか、あるいはRb及びRcは、一緒になって、脂肪族又は芳香族の1,2−又は1,3−ジカルボン酸の環状アシルラジカルを表し;
nが2を表す場合、
bは、上記と同義であり;
cは、C2〜C12アルキレン、C6〜C12アリーレン、キシリレン、−CH2CH(OH)CH2−O−B−O−CH2CH(OH)CH2−基を表し、ここでBは、C2〜C10アルキレン、C6〜C15アリーレン又はC6〜C12シクロアルキレンを表すか;あるいはRbが、アルカノイル、アルケノイル又はベンゾイルではない場合には、Rcは、脂肪族、脂環式又は芳香族ジカルボン酸若しくはジカルバミン酸の二価アシルラジカルを表すか、又は基−CO−を表すか;あるいは
cは、下記の部分式:
【0091】
【化31】

【0092】
(式中、
1及びT2は、互いに独立して、水素、C1〜C18アルキルを表すか、又はT1及びT2は、一緒になって、C4〜C6アルキレン若しくは3−オキサペンタメチレンを表す)で示される基を表し;あるいは
nが3を表す場合、
cは、2,4,6−トリアジニルを表す。
【0093】
4位に置換基を含有する極めて好ましい基B0は、部分式B1及びB2からなる群より選択され、ここで、
mが1を表す場合;
aは、水素、C1〜C18アルキル(非中断であるか、又は1個以上の酸素原子で中断されている)、2−シアノエチル、ベンゾイル、グリシジルを表すか、又は2〜12個のC原子を有する脂肪族カルボン酸の、7〜15個のC原子を有する脂環式カルボン酸の、3〜5個のC原子を有するa,b−不飽和カルボン酸の、若しくは7〜15個のC原子を有する芳香族カルボン酸の一価ラジカルを表し;
mが2を表す場合;
aは、2〜36個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸の二価ラジカルを表し;
nが1を表す場合;
bは、C1〜C12アルキル、C5〜C7シクロアルキル、C7〜C8アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルを表し;
cは、C1〜C18アルキル、C5〜C18シクロアルキル、C2〜C8アルケニル(非置換であるか又はシアノ、カルボニル若しくはカルバミド基で置換されている)、グリシジルを表すか、又は部分式:−CH2CH(OH)−Z、−CO−Z若しくは−CONH−Zの基を表し、ここでZは、水素、メチル又はフェニルを表す。
【0094】
4位に置換基を含有する別の極めて好ましい基B0は、部分式B1及びB2からなる群より選択され、ここで、
mが1を表す場合;
aは、水素、C1〜C18アルキル、2−シアノエチル、ベンゾイル、グリシジル、又は2〜12個のC原子を有する脂肪族カルボン酸の一価ラジカルを表し;
mが2を表す場合;
aは、2〜36個のC原子を有する脂肪族ジカルボン酸の二価ラジカルを表し;
nが1を表す場合;
bは、C1〜C12アルキル、C7〜C8アラルキル、C2〜C18アルカノイル、C3〜C5アルケノイル又はベンゾイルを表し;
cは、C1〜C18アルキル、グリシジル、式:−CH2CH(OH)−Z又は−CO−Zの基を表し、ここでZは、水素、メチル又はフェニルを表す。
【0095】
別の特に好ましい実施態様は、R9及びR10の一方が水素を表し、他方がC1〜C4アルカノイルアミノを表す基B0に関する。
【0096】
重合体(I)において、R1、R1′及びR1″は、互いに独立して、水素又はC1〜C4アルキルを表す。好ましい実施態様によると、R1、R1′及びR1″は、互いに独立して、水素又はメチルを表す。特に好ましい実施態様によると、R1、R1′及びR1″は、同一の意味を有して水素又はメチルを表す。R1、R1′及びR1″がそれぞれ水素を表す場合、重合体(I)は、アクリラートポリマーブロックI、II又はIIIから構成される。R1、R1′及びR1″がそれぞれメチルを表す場合、重合体(I)は、メタクリラートポリマーブロックI、II又はIIIから構成される。
【0097】
ポリマー基Iにおいて、より高い極性のエステル基R2は、例えば、親水性置換基、例えば1〜6個のヒドロキシ基、又は1〜2個の塩基、例えば1〜2個のアミノ、又は1〜2個の酸性基、例えばカルボキシ、スルホ若しくはホスホノ、又は1個のアミノ基と1個のカルボキシ基とで、置換されている不飽和又は飽和又は芳香族の炭化水素基である。
【0098】
好ましい実施態様において、R2がより高い極性のエステル基を表すポリマーブロックIは、アクリラート又はメタクリラート反復単位から構成される。代表的なモノマーは、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸、特にアクリル酸及びメタクリル酸からなる群より選択される。
【0099】
ポリマーブロックIにおいて、R2は、より高い極性のエステル基を表し、例えば、モノ−又はジヒドロキシ−C2〜C4アルキル、例は、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル又は4−ヒドロキシ−n−ブチル、トリヒドロキシ−C3〜C5アルキル、アミノ−C2〜C18アルキル、例は、2−アミノエチル又は3−アミノ−n−プロピル、アンモニオ−C2〜C18アルキル、例は、2−アンモニオエチル又は3−アンモニオ−n−プロピル、C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例は、2−N−メチルアミノエチル又は3−N−メチルアミノ−n−プロピル、ジ−C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例は、2−N,N−ジメチルアミノエチル又は3−N,N−ジメチルアミノ−n−プロピル、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ−C2〜C18アルキル、例は、2−トリメチルアンモニオエチル又は3−トリメチルアンモニオ−n−プロピル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例は、2−N−2−ヒドロキシエチルアミノエチル、C1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アミノ−C2〜C18アルキル、例は、2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ〕−エチル、ジ−C1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アンモニオ−C2〜C18アルキル、例は、2−〔N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アンモニオ〕−エチル、及びカルボキシ、スルホ若しくはホスホノで置換されているC1〜C4アルキル、例は、2−カルボキシエチル又は2−スルホエチルからなる群より選択されるエステル基を表す。
【0100】
特に好ましい実施態様において、R2がより高い極性のエステル基を表すポリマーブロックIは、アクリラート又はメタクリラート反復単位から構成される。エステル基は、アミノで置換されているC2〜C4アルキル、アンモニオ、C1〜C4アルキルアミノ、例えば、メチル−若しくはエチル−アミノ、ジ−C1〜C4アルキルアミノ、例えば、ジメチル−若しくはジエチルアミノ、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、トリメチル−若しくはトリエチルアンモニオ、又はジ−C1〜C4アルキル−2−ヒドロキシエチルアンモニオ、例えば、ジメチル−2−ヒドロキシアンモニオである。
【0101】
代表的なモノマーは、2−ジメチルアミノエチルアクリラート(DMAEA)、2−ジメチルアミノエチルメタクリラート(DMAEMA)、2−ジエチルアミノエチルアクリラート(DEAEA)、2−ジエチルアミノエチルメタクリラート(DEAEMA)、2−t−ブチルアミノエチルアクリラート(t−BAEA)及び2−t−ブチルアミノエチルメタクリラート(t−BAEMA)からなる群より選択される、アミノアルキル基でエステル化されている(メタ)アクリラートである。
【0102】
親水性置換基で置換されている適切な不飽和又は飽和又は芳香族の炭化水素基は、モノ−又はジヒドロキシ−C2〜C4アルキル、例えば、2−ヒドロキシエチル又は2,3−ジヒドロキシプロピル、トリヒドロキシ−C3〜C5アルキル、アミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−アミノエチル又は3−アミノ−n−プロピル、アンモニオ−C2〜C18アルキル、例えば、2−アンモニオエチル又は3−アンモニオ−n−プロピル、C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−N−メチルアミノエチル又は3−N−メチルアミノ−n−プロピル、ジ−C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−N,N−ジメチルアミノエチル又は3−N,N−ジメチルアミノ−n−プロピル、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ−C2〜C18アルキル、例えば、2−トリメチルアンモニオエチル又は3−トリメチルアンモニオ−n−プロピル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−N−2−ヒドロキシエチルアミノエチル、C1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ〕−エチル、ジ−C1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アンモニオ−C2〜C18アルキル、例えば、2−〔N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アンモニオ〕−エチル、及びカルボキシ、スルホ又はホスホノで置換されているC1〜C4アルキル、例えば、2−カルボキシエチル又は2−スルホエチルからなる群より選択される。
【0103】
ポリマーブロックIIにおいて、より低い極性のエステル基R3は、C1〜C24アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル又は2−エチルヘキシル、C6〜C11アリール−C1〜C4アルキル、例えば、ベンジル又は1−若しくは2−ベンズエチル、(C1〜C4アルキル)1-36〜C11アリール、例えば、クミル、(C1〜C4アルキル)1-36〜C11アリール−C1〜C4アルキル、例えば、2−又は4−メチル−ベンジル、C6〜C11アリールオキシ−C1〜C4アルキル、例えば、フェノキシメチル又は2−フェノキシエチル、C6〜C11アリール−C1-4アルコキシ−C1〜C4アルキル、例えば、ベンジルオキシメチル又は2−ベンジルオキシエチル、(C1〜C4アルキル)1-3シリル−C1〜C4アルキル、例えば、2−トリメチルシリルエチル、及び(C1〜C4アルキル)1-3シリルオキシ−C2〜C4アルキル、例えば、2−トリメチル−シリルオキシエチルからなる群より選択される、飽和又は芳香族の炭化水素基である。
【0104】
3が水素又はより低い極性のエステル基を表すポリマーブロックIIは、アクリラート又はC1〜C4アルキルアクリラート反復単位から構成される。代表的なモノマーは、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C1〜C24アルキルエステル、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリール−C1〜C4アルキルエステル、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリールオキシ−C1〜C4アルキルエステル、アクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)3シリルオキシ−C2〜C4アルキルエステル、並びにアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)3シリル−C1〜C4アルキルエステルからなる群より選択される。
【0105】
好ましい実施態様において、R3が水素又はより低い極性のエステル基を表すポリマーブロックIIは、アクリラート又はメタクリラート反復単位から構成される。代表的なモノマーは、アクリル酸及びメタクリル酸−C1〜C24アルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸−C6〜C11アリール−C1〜C4アルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸−C6〜C11アリールオキシ−C1〜C4アルキルエステル、アクリル酸及びメタクリル酸−トリメチルシリルオキシ−C2〜C4アルキルエステル、並びにアクリル酸及びメタクリル酸−トリメチルシリル−C1〜C4アルキルエステルからなる群より選択される。
【0106】
適切なアクリル酸又はメタクリル酸−C1〜C24アルキルエステルは、メチル、エチル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、2−エチルヘキシル、イソボルニル、イソデシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル又はn−オクタデシルでエステル化されているアクリル酸又はメタクリル酸エステルである。
【0107】
代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリール−C1〜C4アルキルエステルは、ベンジル、2−フェニルエチル、1−若しくは2−ナフチルメチル又は2−(1−若しくは2−ナフチル)−エチルでエステル化されているアクリル酸又はメタクリル酸エステルである。フェニル又はナフチル基は、ヒドロキシ、C1〜C4アルコキシ、例えば、メトキシ又はエトキシ、ハロゲン、例えばクロロ、及びC1〜C4アルキル、例えばメチル又はメチルからなる群より選択される1〜3個の更なる置換基でさらに置換されていてもよい。
【0108】
代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C6〜C11アリールオキシ−C1〜C4アルキルエステルは、2−フェノキシエチル又は2−ベンジルオキシエチルでエステル化されているアクリル酸又はメタクリル酸エステルである。
【0109】
代表的なアクリル酸及びC1〜C4アルキルアクリル酸ヒドロキシ−C2〜C4アルキルエステルは、アクリル酸−若しくはメタクリル酸−2−ヒドロキシエチルエステル(HEA、HEMA)、アクリル酸−若しくはメタクリル酸−2−ヒドロキシプロピルエステル、アクリル酸−若しくはメタクリル酸−3−ヒドロキシプロピルエステル(HPA、HPMA)、又はアクリル酸−若しくはメタクリル酸−4−ヒドロキシ−n−ブチルエステルである。
【0110】
代表的なアクリル酸−及びC1〜C4アルキルアクリル酸シリルオキシ−C2〜C4アルキルエステルは、アクリル酸−又はメタクリル酸−2−トリメチルシリルオキシエチルエステル(TMS−HEA、TMS−HEMA)である。
【0111】
代表的なアクリル酸−又はC1〜C4アルキルアクリル酸−(C1〜C4アルキル)3シリル−C2〜C4アルキルエステルは、アクリル酸−若しくはメタクリル酸−2−トリメチルシリルエチルエステル、又はアクリル酸−若しくはメタクリル酸−3−トリメチルシリル−n−プロピルエステルである。
【0112】
重合体(I)において、Yは、直接結合又は二価基、例えば、C1〜C8アルキレン、ヒドロキシで置換されているC3〜C8アルキレン、例えば、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、2(3)−ヒドロキシ−1,4−ブチレン又は2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、ジヒドロキシで置換されているC4〜C8アルキレン、例えば、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ブチレン、又はフェニレン、例えば、1,4−若しくは1,2−フェニレン、ポリ−C2〜C3アルコキシ−C2〜C3アルキル、例えば、ポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールに由来する二価誘導体(=ポリエチレンオキシド又はポリプロピレンオキシド)、あるいは下記の部分式:
【0113】
【化32】

【0114】
(式中、aは、1〜約10の数字である)で表されるような混合重合体、例えば、下記の部分式:
【0115】
【化33】

【0116】
で表されるようなポリエチレングリコールに由来するポリ−C2〜C3アルコキシ−C2〜C3アルキル、又は下記の部分式:
【0117】
【化34】

【0118】
で表されるようなポリプロピレングリコールに由来するポリ−C2〜C3アルコキシ−C2〜C3アルキル、
−O−、−NH−若しくは−N(C1〜C4アルキル)−で中断されているC3〜C8アルキレン、例えば、−C24−O−C24−若しくは−C24−NH−C24−、又はヒドロキシで置換され、かつ−O−、−NH−若しくは−N(C1〜C4アルキル)−で中断されているC3〜C8アルキレン、例えば、−(CH21-2−CH(−OH)−(CH21-2−NH−C24−を表す。そのような基は、下記の部分式で例示される。
【0119】
【化35】

【0120】
代替的実施態様によると、Yは、官能基を含有する置換基を表し、それは、酸塩基反応、酸付加又は四級化反応により、基Zに存在する塩形成基と塩を形成する。そのような塩「架橋」を形成する適切な置換基Yは、アンモニオで置換されているC2〜C8アルキル、C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、メチル−若しくはエチルアンモニオ、ジ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、ジメチル−若しくはジエチルアンモニオ、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、トリメチル−若しくはトリエチルアンモニオ、又はジ−C1〜C4アルキル−2−ヒドロキシエチルアンモニオ、例えば、ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニオである。この場合、酸性基、例えば、カルボキシ、スルホ又はホスホノは、そのカルボキシレート、スルホネート又はホスホネートアニオンの解離形態で基Zに存在する。
【0121】
更なる実施態様において、Yは二価基:
【0122】
【化36】

【0123】
を表し、ここでY1及びY2は、二価基Yのフラグメントを表すか、又はY1及びY2の一方は、官能基を含有する置換基を表し、それは、酸塩基反応、酸付加又は四級化反応により、他方の基に存在する塩形成基と塩を形成する。
【0124】
そのような塩「架橋」を形成する適切な置換基Y1又はY2は、アンモニオで置換されているC2〜C8アルキル、C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、メチル−若しくはエチルアンモニオ、ジ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、ジメチル−若しくはジエチルアンモニオ、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、トリメチル−若しくはトリエチルアンモニオ、又はジ−C1〜C4アルキル−2−ヒドロキシエチルアンモニオ、例えば、ジメチル−2−ヒドロキシエチルアンモニオである。この場合、酸性基、例えば、カルボキシ、スルホ又はホスホノは、そのカルボキシレート、スルホネート又はホスホネートアニオンの解離形態で基Y2又はY1の他方に存在し、Y2又はY1の一方は、カルボキシレート、スルホネート又はホスホネート基で置換されているC1〜C8アルキルを表す。
【0125】
これは、部分式:−Y1−Y2−を説明する下記の部分式で説明されるか、
【0126】
【化37】

【0127】
又は、ポリマーブロックIIIのフラクションを説明する部分式により説明される。
【0128】
【化38】

【0129】
更なる実施態様によると、Yは、酸性基、例えば、カルボキシ、スルホ又はホスホノで置換されているC1〜C8アルキルを表し、例えば、カルボキシメチル又は1−若しくは2−カルボキシエチルである。この場合、塩基性基、例えば、アミノ、C1〜C4アルキルアミノ、例えば、メチル−又はエチルアミノ、ジ−C1〜C4アルキルアミノ、例えば、ジメチル−又はジエチルアミノは、アンモニオ又はアルキル化アンモニオ基、例えば、C1〜C4アルキルアンモニオ、例は、メチル−若しくはエチルアンモニオ、ジ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例は、ジメチル−若しくはジエチルアンモニオ、又はトリ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例は、トリメチル−若しくはトリエチルアンモニオとして、そのカチオン形態で基Zに存在する。
【0130】
本発明の特に好ましい実施態様によると、Yは、直接結合又は二価基、例えば、C1〜C8アルキレン、ヒドロキシで置換されているC3〜C6アルキレン、例は、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、アンモニオで置換されているC2〜C8アルキル、又はジ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例は、ジメチル−又はジエチルアンモニオを表す(但しこれは、酸性基、例えば、カルボキシ、スルホ又はホスホノが、そのカルボキシレート、スルホネート又はホスホネートアニオンの解離形態で基Zに存在する場合である)か、あるいはYは、部分式:−Y1−Y2−を表し、式中、Y1及びY2の一方は、アンモニオで置換されているC2〜C8アルキル、又はジ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、ジメチル−又はジエチルアンモニオを表し、他方は、カルボキシ、スルホ又はホスホノで置換されているC1〜C8アルキルを表す。
【0131】
重合体(I)において、光保護特性を有する作用物質の機能有効基として定義されている基Zは、UV光吸収剤、ラジカルスカベンジャー、一重項酸素クエンチ剤、三重項クエンチ剤、光安定剤及びスーパーオキシドアニオンクエンチ剤からなる群より選択されるいわゆる光保護剤に由来する構造部分である。
【0132】
特定の実施態様によると、光保護特性を有する作用物質の機能有効基Zは、UV光吸収分子に由来する構造部分である。UV光吸収剤という用語は、光安定UVフィルタとして有効なあらゆる構造部分を含み、UV放射線、特に290〜450nm、とりわけ300〜400nmの範囲のUV放射線からポリマー又は被覆を保護するUV光吸収化合物に由来する。適切なUV光吸収剤部分の例は、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(HPT)、2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(HBZ)、2−ヒドロキシベンゾフェノン(HBP)及びオキサニリド(OA)からなる群より選択されるUV光吸収剤部分に由来する置換基である。
【0133】
2−ヒドロキシフェニル−4,6−ジアリールトリアジンラジカルからなる群からのUV光吸収剤部分に由来する置換基は、下記式により表され、
【0134】
【化39】

【0135】
式中、
a及びRcは、互いに独立して、水素、又はヒドロキシ、クロロ、シアノ、フェニル、C1〜C6アルキル、C1〜C18アルコキシ、C4〜C22アルコキシ(−O−で中断され、またヒドロキシで置換されている)、C4〜C22アルコキシ(ヒドロキシで置換されている)、及びC7〜C14フェニルアルコキシからなる群より選択される置換基を表し;そして
b及びRdは、互いに独立して、水素、又はヒドロキシ、クロロ、C1〜C6アルキル及びC1〜C18アルコキシからなる群より選択される置換基を表す。
【0136】
代表的な基は、下記式で例示され、
【0137】
【化40】

【0138】
式中、Raは、例えばC1〜C18アルキルを表す。
【0139】
2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール類からなる群からのUV光吸収剤部分に由来する置換基は、下記式により表され、
【0140】
【化41】

【0141】
式中、
eは、水素、又は塩素、C1〜C4アルキル及びC1〜C4アルコキシからなる群より選択される置換基を表し、そして
fは、C1〜C12アルキルを表す。
【0142】
2−ヒドロキシフェニルベンゾフェノン類からなる群からのUV光吸収剤部分に由来する置換基は、下記式により表され、
【0143】
【化42】

【0144】
式中、
gは、水素又はヒドロキシを表し;
hは、水素、又は塩素、ヒドロキシ及びC1〜C4アルコキシからなる群より選択される置換基を表し;
iは、水素、又は塩素、ヒドロキシ及びC1〜C4アルコキシからなる群より選択される置換基を表し;そして
kは、水素、又は塩素、ヒドロキシ及びC1〜C4アルキルからなる群より選択される置換基を表す。
【0145】
オキサニリド類からなる群からのUV光吸収剤部分から誘導される置換基は、下記式により表され、
【0146】
【化43】

【0147】
式中、Rl、Rm及びRnは、互いに独立して、水素、又はC1〜C4アルキル及びC1〜C4アルコキシからなる群より選択される置換基を表す。
【0148】
二価基−Y−の基Zへの多様な特定の結合点が上記の式で示されている。代替的実施態様のよると、二価基−Y−の基Zへの結合点は、示される芳香族基に適切な任意の位置によって異なっていてよい。
【0149】
特定の2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類は、例えば、2,4−ビス(ビフェニル−4−イル)−6−(2,6−ジヒドロキシ)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ジフェニルー1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−6−(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−4,6−ビス(4−メチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−トリデシルオキシフェニル)−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ブチルオキシプロピルオキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−オクチルオキシプロピルオキシ)−フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔4−(ドデシルオキシ/トリデシルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)−2−ヒドロキシフェニル〕―4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−〔2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−ドデシルオキシプロポキシ)フェニル〕−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシ)フェニル−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−4,6−ジフェニル−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス〔2−ヒドロキシ−4−(3−ブトキシ−2−ヒドロキシ−プロポキシ)フェニル〕−1,3,5−トリアジン、2−(2−ヒドロキシフェニル)−4−(4−メトキシフェニル)−6−フェニル−1,3,5−トリアジン、2−{2−ヒドロキシ−4−〔3−(2−エチルヘキシル−1−オキシ)−2−ヒドロキシプロピルオキシ〕フェニル}−4,6−ビス(2,4−ジメチルフェニル)−1,3,5−トリアジンである。
【0150】
特定の2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール類は、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(2′−4′−ジヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−〔3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシカルボニル−2−エチル)−フェニル〕−ベンゾトリアゾール、2−〔3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシカルボニル−2−エチル)−フェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(5′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−sec−ブチル−5′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクチルオキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ジ−tert−アミル−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′,5′−ビス(α,α−ジメチルベンジル)−2′−ヒドロキシフェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−5′−〔2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル〕−2′−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−メトキシカルボニルエチル)フェニル)−ベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−オクチルオキシカルボニルエチル)フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−5′−〔2−(2−エチルヘキシルオキシ)カルボニルエチル〕−2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−ドデシル−2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3′−tert−ブチル−2′−ヒドロキシ−5′−(2−イソオクチルオキシカルボニルエチル)フェニルベンゾトリアゾール、2,2′−メチレン−ビス〔4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−ベンゾトリアゾール−2−イルフェノール〕;2−〔3′−tert−ブチル−5′−(2−メトキシ−カルボニルエチル)−2′−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾールとポリエチレングリコール300とのエステル交換生成物;
【0151】
【化44】

【0152】
(式中、Rは、3′−tert−ブチル−4′−ヒドロキシ−5′−2H−ベンゾトリアゾール−2−イルフェニルを表す);2−〔2′−ヒドロキシ−3′−(α,α−ジメチルベンジル)−5′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル〕ベンゾトリアゾール及び2−〔2′−ヒドロキシ−3′−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−5′−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル〕ベンゾトリアゾールである。
【0153】
特定の2−ヒドロキシベンゾフェノン類は、例えば、4−ヒドロキシ、4−メトキシ、4−オクチルオキシ、4−デシルオキシ、4−ドデシルオキシ、4−ベンジルオキシ、2,4−ジヒドロキシ、4,2′,4′−トリヒドロキシ及び2′−ヒドロキシ−4,4′−ジメトキシ誘導体である。
【0154】
特定のオキサニリド類は、例えば、2−エチル−2′−ヒドロキシオキサニリド、4,4′−ジオクチルオキシオキサニリド、2,2′−ジエトキシオキサニリド、2,2′−ジオクチルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルオキサニリド、2,2′−ジドデシルオキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルオキサニリド、2−エトキシ−2′−エチルオキサニリド、N,N′−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)オキサラミド、2−エトキシ−5−tert−ブチル−2′−エチルオキサニリド及びそれと2−エトキシ−2′−エチル−5,4′−ジ−tert−ブチルオキサニリドとの混合物、並びにo−とp−メトキシ−二置換オキサニリドとの混合物、及びo−とp−エトキシ−二置換オキサニリドとの混合物である。
【0155】
代替的な実施態様において、光保護特性を有する作用物質の機能有効基として定義されている、重合体(I)の基Zは、ラジカルスカベンジャーの特性を有する分子に由来する構造部分である。
【0156】
ラジカルスカベンジャーとして有用な構造部分は、アルキル化モノフェノールの部分式:
【0157】
【化45】

【0158】
(式中、
a及びRbの一方は、水素、又はフェニル、ヒドロキシフェニル、(C1〜C4アルキル)1-2フェニル、例えば、3−メチル−5−tert−ブチルフェニル若しくは3,5−ジ−tert−ブチルフェニル、(C1〜C4アルキル)1-2ヒドロキシフェニル、例えば、3,5−ジ−tert−ブチル−ヒドロキシ−フェニル、及びC1〜C9アルキル、例えば、メチル、tert−ブチル、ネオペンチル若しくは2−エチルヘキシルからなる群より選択される置換基を表し;
他方は、C3〜C9アルキル、例えば、tert−ブチルを表す)により表される酸化防止剤分子の基に由来する。
【0159】
好ましい実施態様において、Ra及びRbの一方は、C3〜C4アルキル、例えば、tert−ブチルを表し、他方は、水素又はC1〜C4アルキル、例えば、メチル若しくはtert−ブチルを表す。
【0160】
代替的実施態様によると、ラジカルスカベンジャーとして有用な構造部分は、下記の部分式:
【0161】
【化46】

【0162】
{式中、
a及びRbは、互いに独立して、水素又はメチルを表し;
c及びRdは、互いに独立して、水素、C1-4アルキル又はC6〜C10アリールを表すか;又は
c及びRdは、一緒になって酸素を表し;そして
Rは、水素、C1-18アルキル、C1-18アルコキシ、C2〜C7アルキル若しくはC2〜C7アルコキシ〔ヒドロキシ、C2-18アルケニル、C2-18アルケニルオキシ、C3-18アルキニル、C3-18アルキニルオキシ、C5-12シクロアルキル、C5-12シクロアルコキシ、C6-10ビシクロアルキル、C6-10ビシクロアルコキシ、C5-8シクロアルケニル、C5-8シクロアルケニルオキシ、フェニル、フェノキシ、ナフチル、ナフチルオキシにより置換されているか、又はフェニル、フェノキシ、ナフチル及びナフチルオキシ(適切な置換基、例えば、C1〜C4アルキル、例はメチル、エチル若しくはtert−ブチル、C1〜C4アルコキシ、例はメトキシ若しくはエトキシ、又はハロゲン、例は塩素で、一置換又は二置換されている)により置換されている〕を表すか、あるいはアシル又はアシルオキシを表す}で表される、いわゆるヒンダードアミノ光安定剤分子(HALS)の基に由来する。
【0163】
アシルラジカルRは、例えば、Cラジカル及び酸性官能基を含む一塩基有機酸に由来し、例えば、部分式:−C(=O)−H、−C(=O)−C1〜C19アルキル、−C(=O)−C2〜C19アルケニル、−C(=O)−C2〜C4アルケニル−C6〜C10アリール、−C(=O)−C6〜C10アリール、−C(=O)−O−C1〜C6アルキル、−C(=O)−O−C6〜C10アリール、−C(=O)−NH−C1〜C6アルキル、−C(=O)−NH−C6〜C10アリール及び−C(=O)−N(C1〜C6アルキル)2で示されるアシルラジカルの1つである。好ましいアシル基は、ホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、アクリロイル、メタクリロイル、オレオイル、シンナモイル、ベンゾイル、2,5−キシロイル、tert−ブトキシカルボニル、エチルカルバモイル又はフェニルカルバモイルである。好ましいものは、C2〜C18アルカノイル又はC3〜C6アルケノイルである。
【0164】
アシルオキシラジカルRにおいて、アシル基は上記と同義であり、特に上記の部分式、例えば、−O−C(=O)−C1〜C19アルキル、−O−C(=O)−C2〜C19アルケニル、−O−C(=O)−C6〜C10アリールで示されるアシル基である。好ましいアシルオキシ基は、アセトキシ、トリフルオロアセトキシ、ピバロイルオキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ又はベンゾイルオキシである。
【0165】
代替的な実施態様において、光保護特性を有する作用物質の機能有効基として定義されている、重合体(I)の基Zは、一重項酸素クエンチ剤の特性を有する分子に由来する構造部分である。
【0166】
一重項酸素クエンチ剤は、エネルギー移転により一重項酸素を脱活性化させる。適切な一重項酸素クエンチ剤は、DABCO(2,2,2−ビシクロオクタンジアミン)及びその誘導体、NO−HALS化合物、フルフリルアルコール、並びに1,4−DBPF誘導体からなる群より選択される。
【0167】
DABCO及びその誘導体に由来する機能有効基Zは、下記の部分式
【0168】
【化47】

【0169】
(式中、Ra、Rb、Rc及びRdは、互いに独立して、水素、ハロゲン、例えばクロロ若しくはブロモ、C1〜C4アルキル、例えばメチル、又はC1〜C4アルコキシ、例えばメトキシを表す)により表される。
【0170】
架橋基Yは、上記部分式におけるフェニル部分に直接結合するか、あるいはまた、酸塩基反応、酸付加又は第四級化反応により、基Zに存在する塩形成基と塩を形成する。そのような塩「架橋」を形成する適切な置換基Yは、アンモニオで置換されているC2〜C8アルキル、又はジ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、ジメチル−又はジエチルアンモニオである。酸性基、例えば、カルボキシ、スルホ又はホスホノは、そのカルボキシレート、スルホネート又はホスホネートアニオンの解離形態で基Zに存在する。これは、下記の部分式で説明される。
【0171】
【化48】

【0172】
下記式:
【0173】
【化49】

【0174】
(式中、
Xは、カルボキシ、スルホ又はホスホノを表し;そして
a、Rb、Rc及びRdは、互いに独立して、水素、ハロゲン、例えば、クロロ若しくはブロモ、C1〜C4アルキル、例えば、メチル、又はC1〜C4アルコキシ、例えば、メトキシを表す)
で示される出発材料は、新規であり、本発明の主題でもある。
【0175】
好ましい実施態様によると、本発明は、また、下記式:
【0176】
【化50】

【0177】
(Ra、Rb、Rc及びRd=Hである)で示される出発材料に関する。
【0178】
代替的な実施態様によると、DABCO及びその誘導体に由来する機能有効基Zは、下記の部分式:
【0179】
【化51】

【0180】
(式中、指数aは、1又は0(=直接結合)を表し、そしてXは、二価官能基、例えば、Yに結合している、−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−CH2−O−、−O−、−NH−、又は−N(C1〜C4アルキル)−を表す)により表される。
【0181】
下記式:
【0182】
【化52】

【0183】
(式中、
Xは、−C(=O)−NH−、−CH2−O−、−O−、−NH−、及び−N(C1〜C4アルキル)−からなる群より選択される二価官能基を表し;そして、
Yは、C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、アミノ−C2〜C4アルキル、アクリロイル、又はメタクリロイルを表す)
で示される出発材料は、新規であり、本発明の主題でもある。
【0184】
好ましい実施態様によると、本発明は、また、下記式の出発材料に関する。
【0185】
【化53】

【0186】
代替的な実施態様によると、NO−HALS化合物に由来する機能有効基Zは、下記の部分式
【0187】
【化54】

【0188】
(式中、
a及びRbは、互いに独立して、水素又はメチルを表し;
c及びRdは、互いに独立して、水素、C1-4アルキル、例えばメチル、又はC6〜C10アリール、例えばフェニルを表すか;あるいは
c及びRdは、一緒になって酸素を表す)により表される。
【0189】
フルフリルアルコールに由来する機能有効基Zは、下記の部分式により表される。
【0190】
【化55】

【0191】
1,4−DBPF誘導体に由来する機能有効基Zは、下記の部分式
【0192】
【化56】

【0193】
(式中、芳香族部分は、ハロゲン、例えばクロロ若しくはブロモ、C1〜C4アルキル、例えばメチル、又はC1〜C4アルコキシ、例えばメトキシでさらに置換されていてもよい)により表される。
【0194】
代替的な実施態様において、光保護特性を有する作用物質の機能有効基として定義されている、重合体(I)の基Zは、三重項クエンチ剤の特性を有する分子、例えば、スチルベン及びその誘導体に由来する構造部分である。
【0195】
三重項クエンチ剤分子は、励起発色団(Ch*)よりもエネルギー的により低いT1準位を有する。そのため、エネルギー的により高いT1準位のクエンチ剤分子からの発熱無放射性エネルギー移動は、励起分子に極めて近接しているか、あるいはそれはさらにメチレン基などの短結合単位により分子的に結合されている。慣用の三重項クエンチ剤分子は、スチルベン誘導体、シクロオクタテトラエン又は重金属イオン(例えば、ニッケル錯体)である。Light Stabilisers, D. Leppard et al., Chimia 56 (2002), 216-224, v. 3.3.2 による定義。
【0196】
スチルベンに由来する機能有効基Zは、下記の部分式
【0197】
【化57】

【0198】
(式中、芳香族部分は、ハロゲン、例えばクロロ若しくはブロモ、C1〜C4アルキル、例えばメチル、又はC1〜C4アルコキシ、例えばメトキシでさらに置換されていてもよい)により表される。
【0199】
好ましい実施態様において、Raはメチルを表し、RbはC3〜C8アルキル、例えば、n−ブチルを表す。
【0200】
代替的な実施態様において、光保護特性を有する作用物質の機能有効基として定義されている、重合体(I)の基Zは、光安定剤の特性を有する分子に由来する構造部分である。
【0201】
光安定剤分子に由来する機能有効基Zは、下記の部分式
【0202】
【化58】

【0203】
(式中、
−X−は、−O−若しくは−S−のヘテロ原子、又は−S(=O)−、−S(=O)2−若しくは>N−Raの基を表し、
ここで、
aは、水素、C1〜C18アルキル、−CH2CH(OH)CH2O(C1〜C14アルキル)又はC1〜C18アルキル−C(=O)−を表し;
1、R2、R3及びR4は、互いに独立して、水素、C1〜C12アルキル、例えばメチル若しくはエチル、C1〜C8アルコキシ、例えばメトキシ若しくはエトキシ、C5〜C7シクロアルキル、例えばシクロペンチル若しくはシクロヘキシル、フェニル、フェニル−C1〜C4アルキル、例えばベンジル、又はハロゲン、例えばクロロ若しくはブロモを表す)により表される。
【0204】
代替的な実施態様によると、光安定剤分子に由来する機能有効基Zは、下記の部分式により表される。
【0205】
【化59】

【0206】
代替的な実施態様において、光保護特性を有する作用物質の機能有効基として定義されている、重合体(I)における機能有効基Zは、スーパーオキシドアニオンクエンチ剤の特性を有する分子に由来する構造部分である。
【0207】
スーパーオキシドアニオンクエンチ剤に由来する機能有効基Zは、下記の部分式により表される。
【0208】
【化60】

【0209】
代替的な実施態様において、光保護特性を有する作用物質の機能有効基として定義されている、重合体(I)の基Zは、ニッケルクエンチ剤の特性を有する分子に由来する構造部分である。
【0210】
本発明の特に好ましい実施態様は、
A及びBが、ポリマー鎖末端基を表し;
1、R1′及びR1″が、互いに独立して、水素又はメチルを表し;
2が、モノ−又はジヒドロキシ−C2〜C4アルキル、例えば、2−ヒドロキシエチル、2,3−ジヒドロキシプロピル又は4−ヒドロキシ−n−ブチル、トリヒドロキシ−C3〜C5アルキル、アミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−アミノエチル又は3−アミノ−n−プロピル、アンモニオ−C2〜C18アルキル、例えば、2−アンモニオエチル又は3−アンモニオ−n−プロピル、C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−N−メチルアミノエチル又は3−N−メチルアミノ−n−プロピル、ジ−C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−N,N−ジエメチルアミノエチル又は3−N,N−ジメチルアミノ−n−プロピル、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ−C2〜C18アルキル、例えば、2−トリメチルアンモニオエチル又は3−トリメチルアンモニオ−n−プロピル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−N−2−ヒドロキシエチルアミノエチル、C1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アミノ−C2〜C18アルキル、例えば、2−〔N−(2−ヒドロキシエチル)−N−メチルアミノ〕−エチル、ジ−C1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アンモニオ−C2〜C18アルキル、例えば、2−〔N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−アンモニオ〕−エチル、及びカルボキシ、スルホ又はホスホノで置換されているC1〜C4アルキル、例えば、2−カルボキシエチル又は2−スルホエチルからなる群より選択されるエステル基を表し;
3が、C1〜C8アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルを表し;
Yが、直接結合又は二価基を表し;
Zが、光保護特性を有する作用物質の機能有効基を表し;
指数p及びxが、0を表し;
数字II及びIII並びに指数q、r、y及びzが、上記と同義である
重合体(I)に関する
【0211】
本発明の極めて好ましい実施態様は、
A及びBが、ポリマー鎖末端基を表し;
1、R1′及びR1″が、互いに独立して、水素又はメチルを表し;
2が、アミノで置換されているC2〜C4アルキル、アンモニオ、C1〜C4アルキルアミノ、例えば、メチル−若しくはエチル−アミノ、ジ−C1〜C4アルキルアミノ、例えば、ジメチル−若しくはジエチルアミノ、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ、例えば、トリメチル−若しくはトリエチルアンモニオ、又はジ−C1〜C4アルキル−2−ヒドロキシエチルアンモニオ、例えば、ジメチル−2−ヒドロキシアンモニオからなる群より選択されるエステル基を表し;
3が、C1〜C8アルキルを表し;
Yが、直接結合又は二価基を表し;
Zが、光保護特性を有する作用物質の機能有効基を表し;
指数p及びxが、0を表し;
指数q及びrが、1を表し;
指数y及びzが、1を超える数字を表し;そして
数字II及びIIIが、上記と同義である
重合体(I)に関する。
【0212】
本発明の更なる実施態様は、重合体(I)の調製方法であって、
a)下記式:
【0213】
【化61】

【0214】
(式中、
A、B、R1、R1′、R1″、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzは、上記と同義である)で示される重合体又はその反応性官能誘導体を、
【0215】
【化62】

【0216】
によりエステル化すること、
b)個別のポリマーブロックI、II及びIII、又はその任意の複数個を制御された重合法により重合すること、及び
場合により、ポリマー鎖末端基Bを異なる鎖末端基に置き換えること
を含む方法に関する。
【0217】
方法a)の特定の実施態様によると、Yが二価基を表す重合体(I)は、下記式:
【0218】
【化63】

【0219】
(式中、
A、B、R1、R1′、R1″、数字I、II及びIII、指数p、q、r、x、y及びzは上記と同義であり、そしてYは二価基を表す)で示される重合体を、下記式
【0220】
【化64】

【0221】
と反応させることにより調製される。
この方法は、下記の反応シーケンスにより説明される。
【0222】
【化65】

【0223】
重合体(IV′)は、ポリマーブロックI及びIIを、制御された重合又は「リビング」重合する方法により、上記の適切な重合開始剤の存在下、モノマー単位:
【0224】
【化66】

【0225】
と重合することにより得られる。
下記の重合体:
【0226】
【化67】

【0227】
は、次に、同一の制御された重合法又は「リビング」重合法により、下記のモノマー単位:
【0228】
【化68】

【0229】
又はそのポリマーブロックと重合される。これはp=0である代表的な化合物の調製により説明される。
【0230】
【化69】

【0231】
代替的な変形された方法b)によると、ポリマーブロックI及びIIは、制御された重合又は「リビング」重合を適用し、モノマー単位(VII)及び(VII′)を上記の適切な重合開始剤の存在下で重合することにより、調製される。重合体(VIII)を、次に、同一の制御された重合又は「リビング」重合により、モノマー単位(VII″)又はそのポリマーブロックと更に重合させる。これは、以下のとおり、p=0でありYが直接結合である代表的な化合物(I)の調製により説明される。
【0232】
【化70】

【0233】
原子転移ラジカル重合(ATRP)などの、制御された重合、特に「リビング」重合の方法による重合法は、水若しくは有機溶媒又はその混合物の存在下で実施してもよい。グリコール又は脂肪酸のアンモニウム塩などの、追加の共溶媒又は界面活性剤を、反応混合物に加えてもよい。溶媒の量は、可能な限り少量に保つべきである。反応混合物は、上記モノマー単位又はポリマーブロックを重合体に存在するモノマーに基づき1.0〜99.9重量%、好ましくは5.0〜99.9重量%、特に好ましくは50.0〜99.9重量%の量で含んでもよい。
【0234】
有機溶媒が使用される場合、適切な溶媒又は溶媒の混合物は、典型的には、純粋なアルカン(ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン)、炭化水素(ベンゼン、トルエン、キシレン)、アルカノール(メタノール、エタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテル)、エステル(酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル又は酢酸n−ヘキシル)及びエーテル(ジエチル若しくはジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン)又はこれらの混合物である。
【0235】
溶媒として水が使用される場合、反応混合物に水混和性又は親水性共溶媒を補充することができる。次に反応混合物を、モノマー変換の間、均質な単一相として維持する。水性溶媒媒体が、重合が完全に終了するまで、反応体又はポリマー生成物の沈殿又は相の分離を防ぐ溶媒系の提供に効果的である限り、あらゆる水溶性又は水混和性共溶媒を用いてもよい。この方法に有用である共溶媒の例は、脂肪族アルコール類、グリコール類、エーテル類、グリコールエーテル類、ピロリジン類、N−アルキルピロリジノン類、N−アルキルピロリドン類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、カルボン酸及びその塩、エステル、有機スルフィド、スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、ブチルカルビトール又はセロソルブ類などのヒドロキシエーテル誘導体、アミノアルコール、ケトンなど、並びにこれらの誘導体及び混合物からなる群より選択してもよい。特定の例としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ジオキサン、エチレン、ジエチレン、プロピレン若しくはジプロピレングリコール、グリセリン、テトラヒドロフラン、及び他の水溶性又は水混和性物質、並びにこれらの混合物が挙げられる。水と水溶性又は水混和性有機溶媒との混合物がこの方法のために選択される場合、水の共溶媒に対する重量比は、典型的には約99:1〜約10:90の範囲である。
【0236】
モノマー混合物又はモノマー/ポリマー混合物が使用される場合、モル%の計算は、混合物の平均分子量に基づく。
【0237】
重合温度は、約50℃〜約180℃、好ましくは約80℃〜約150℃の範囲であってもよい。約180℃を超える温度では、モノマーのポリマーへの制御された変換が減少することがあり、熱開始ポリマーのような望ましくない副産物が形成されるか、又は成分の分解が起こることがある。
【0238】
制御された、特に「リビング」重合の方法による重合法は、ATRPを活性化することができる適切な触媒の存在下で実施される。そのような触媒は、レドックス系の低酸化状態で酸化されうる錯イオンとして存在する遷移金属錯体触媒塩である。そのようなレドックス系の好ましい例は、族V(B)、VI(B)、VII(B)、VIII、IB及びIIB元素からなる群より選択され、例えば、Cu+/Cu2+、Cu0/Cu+、Fe0/Fe2+、Fe2+/Fe3+、Cr2+/Cr3+、Co+/Co2+、Co2+/Co3+、Ni0/Ni+、Ni+/Ni2+、Ni2+/Ni3+、Mn0/Mn2+、Mn2+/Mn3+、Mn3+/Mn4+又はZn+/Zn2+である。
【0239】
イオン電荷は、水素化物イオン(H)又は無機若しくは有機酸に由来するアニオンのような、遷移金属の錯体化学において周知のアニオンリガンド、例えばハロゲン化物、例は、F、Cl、Br若しくはI、Cu+Br2-などの遷移金属とのハロゲン錯体、BF4-、PF6-、SbF6-若しくはAsF6-型のハロゲン錯イオン、酸素酸、アルコラート若しくはアセチリドのアニオン、又はシクロペンタジエンのアニオンにより平衡する。
【0240】
酸素酸のアニオンは、例えば、スルファート、ホスファート、ペルクロラート、ペルブロマート、ペルヨーダート、アンチモナート、アルセナート、ニトラート、カルボナート、C1〜C8カルボン酸のアニオン、例としてはホルマート、アセタート、プロピオナート、ブチラート、ベンゾアート、フェニルアセタート、モノ−、ジ−若しくはトリクロロ−又はフルオロアセタート、スルホナート、例えば、メタン−、エタン−、n−プロパン−若しくはn−ブタンスルホナート、トリフルオロメチルスルホナート(トリフラート)、非置換又はC1〜C4アルカン−、C1〜C4アルコキシ−若しくはハロ−、特にフルオロ−、クロロ−若しくはブロモ置換ベンゼンスルホナート又はフェニルメチルスルホナート、例えば、トシラート、メシラート、ブロシラート、p−メトキシ−若しくはp−エトキシベンゼンスルホナート又は2,4,6−トリイソプロパンスルホナート、ホスホナート、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、フェニル、p−メチルフェニル若しくはベンジルホスホナート、また直鎖状又は分岐鎖状C1〜C12アルコラートなどのC1〜C12アルコラート、例えば、メタノラート又はエタノラートである。
【0241】
アニオン及び中性リガンド形成剤は、また、錯カチオンの好ましい配位数、特に4、5又は6まで存在してもよい。更なる負電荷は、カチオン、特に、Na+、K+、NH+又は(C1〜C4アルキル)4+などの一価カチオンによって平衡する。
【0242】
適切な中性リガンド形成剤は、遷移金属の錯体化学において周知の無機又は有機中性リガンドを発生する。これらは、σ−、π−、μ−若しくはη−型結合又はこれらの任意の組み合わせを通して、錯カチオンの好ましい配位数まで金属イオンに配位する。適切な無機リガンドは、アクオ(H2O)、アミノ、窒素、一酸化炭素及びニトロシルからなる群より選択される。適切な有機リガンドは、ホスフィン、例えば、(C653P、(i−C373P、(C593P又は(C6113P、ジ−、トリ−、テトラ−及びヒドロキシアミン、例えば、エチレンジアミン、エチレンジアミノテトラアセタート(EDTA)、N,N−ジメチル−N′,N′−ビス(2−ジメチルアミノエチル)エチレンジアミン(Me6TREN)、カテコール、N,N′−ジメチル−1,2−ベンゼンジアミン、2−(メチルアミノ)フェノール、3−(メチルアミノ)−2−ブタノール又はN,N′−ビス(1,1−ジメチルエチル)−1,2−エタンジアミン、N,N,N′,N",N"−ペンタメチルジエチレントリアミン(PMDETA)、C1〜C8グリコール又はグリセリド、例えば、エチレン若しくはプロピレングリコール又はその誘導体、例えば、ジ−、トリ−若しくはテトラグリム、及び単座又は二座配位複素環e-供与体リガンドからなる群より選択されるリガンド形成剤に由来する。
【0243】
複素環式e-供与体リガンドは、例えば、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ビスピリジン、ピコリルイミン、γ−ピラン、γ−チオピラン、フェナントロリン、ピリミジン、ビスピリミジン、ピラジン、インドール、クマロン、チオナフテン、カルバゾール、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ビスチアゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、キノリン、ビスキノリン、イソキノリン、ビスイソキノリン、アクリジン、クロメン、フェナジン、フェノキサジン、フェノチアジン、トリアジン、チアントレン、プリン、ビスイミダゾール及びビスオキサゾールからなる群より選択される非置又は置換ヘテロアレーンに由来する。
【0244】
酸化されうる遷移金属錯体触媒は、そのリガンドから別個の予備反応工程で形成されうるか、又は好ましくはその遷移金属塩、例えば、Cu(I)Clからインシトゥ(in-situ)で形成され、次にそれは、錯体触媒に存在するリガンドに対応する化合物を加えること、例えば、エチレンジアミン、EDTA、Me6TREN又はPMDETAを加えることにより錯体化合物に変換される。
【0245】
酸化されうる遷移金属錯体触媒塩における遷移金属は、上記のレドックス系における低酸化状態から高酸化状態へ変換される。本方法の好ましい実施態様において、Cu(I)錯体触媒塩は、対応するCu(II)酸化状態へ変換される。
【0246】
ATRPによる本発明の重合は「リビング」重合なので、実質的に随意に開始及び終了させることができる。本方法で得られるコポリマー(I)は、低い多分散性を有する。好ましくは、多分散性は、1.01〜2.20、より好ましくは1.01〜1.90、最も好ましくは1.01〜1.50である。
【0247】
広範囲の重合反応を可能にするこの種の方法における様々な利点が、K. Matyjaszewski in ACS Symp. Ser. Vol. 685 (1998), pg. 2-30に記載されている。
【0248】
代替的な重合法によると、重合は、>N−O−R化合物を上記の適切な開始剤分子の存在下で用いる、いわゆる制御された重合の方法を適用して実施される。
【0249】
別の代替的な重合法によると、重合は、>N−O・化合物を上記の適切な開始剤分子の存在下で用いる、いわゆる制御された重合の方法を適用して実施される。
【0250】
この方法の条件は文献により既知であり、上記のATRPに関するものと同様である。
【0251】
重合体(I)において、A及びBのうちの1つはポリマー鎖末端基を表す。適切な鎖末端基は、ラジカル転移性基、水素、重合性鎖末端基又は飽和ポリマー鎖末端基であり、それは、重合性鎖末端基の重合又は共重合により形成される。
【0252】
ラジカル転移性基は、塩素又は臭素などの、上記の適切な開始剤を用いるATRPの結果生じる基である。
【0253】
代替的な実施態様は、A及びBのうちの1つが重合性鎖末端基を表す、重合体(I)、特にコポリマー、例えばマクロモノマーを含む組成物に関する。そのような基は、少なくとも1個の重合性のエチレン性不飽和モノマー単位を含有する。
【0254】
好ましい重合性の鎖末端基は、スチレン、アクリル酸、C1〜C4アルキルアクリル酸、アミド、アクリル酸又はC1〜C4アルキルアクリル酸の無水物及び塩、アクリル酸−C1〜C24アルキルエステル及びC1〜C4アルキルアクリル酸−C1〜C24アルキルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ビニル置換複素環化合物、スチレンスルホン酸及び塩、ビニル安息香酸及び塩、ビニルホルムアミド、並びにアミドスルホン酸誘導体からなる群より選択されるモノマーに対応するエチレン性不飽和基である。
【0255】
マクロモノマーは、WO01/51534で記載されているような既知の方法、例えば、ATRPで得られ得る重合体(I)、特に共重合体(ここで、A及びBのうちの1つは、ラジカル移動性原子又は基、例えば、ハロゲンである)を、上記で定義されたエチレン性不飽和モノマーと反応させることにより調製される。
【0256】
重合性の鎖末端基によるラジカル転移性基、例えばハロゲンの除去は、重合体を溶媒に溶解し、A又はBに対応するモノマー化合物を、ジアザビシクロウンデセン(DBU)などの強力であるが非求核性の塩基又は類似の塩基の存在下、高温で加えるようにして有利に実施される。反応は、室温から反応混合物の沸点まで、好ましくは室温から100℃までの温度範囲で行われる。
【0257】
重合体(I)、特にA又はBのどちらか1つが飽和ポリマー鎖末端基であるコポリマー、例えばクシ型ポリマーは、上記のマクロモノマーを、更に、ニトリル型開始剤、例えばAIBN、又は過酸化物、例えば過酸化ベンゾイル若しくはジ−tert−ブチルペルオキシドを用いるラジカル重合のようなあらゆる既知の重合の方法で、エチレン性不飽和モノマーと重合させることにより得られる。代替的には、マクロモノマーとコモノマーの共重合は、ATRP又はその他の任意の制御されたラジカル重合法、例えば、ニトロキシルで媒介される制御されたフリーラジカル重合により実施することもできる。
【0258】
使用されるモノマーの構造及び量に応じて、本発明の重合体(I)は異なる特性を有してもよい。重合体(I)は、あらゆるポリマー基材との優れた相溶性、及び熱作用により引き起こされる添加剤のどのような損失も回避する適切な分子量によって、長期間の持続性を示す。
【0259】
本発明の別の実施態様は、
a)光、熱又は酸化により誘導される劣化を受けやすい物質の組成物;及び
b)A、B、R1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzが、上記と同義である重合体(I)
を含む組成物に関する。
【0260】
本発明の特に好ましい実施態様は、
a)LDPE(=低密度ポリエチレン)、LLDPE(=直鎖状低密度ポリエチレン)、EVA(=エチレン酢酸ビニル)、PP(=ポリプロピレン)及びPET(=ポリエチレンテレフタレート)からなる群より選択される、光、熱又は酸化により誘導される劣化を受けやすい物質の組成物;及び
b)A、B、R1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzが、上記と同義である重合体(I)
を含む組成物に関する。
【0261】
酸化防止剤、UV吸収剤、光安定剤、金属不活性化剤、ホスファイト、ホスフィン、ホスホナイト、ヒドロキシルアミン、ニトロン、チオ相乗剤、過酸化物スカベンジャー、ポリアミド安定剤、塩基性共安定剤、核剤、充填剤、補強剤、ベンゾフラノン、インドリノン及び他の添加剤からなる群より選択される上記で提示された添加剤又は助剤が、任意成分として組成物に存在する。
【0262】
本発明により得られうるポリマー及び組成物は、UV放射から保護することが望ましい構造ポリマー、例えば、温室用保護箔、パッケージホイル、自動車用成形体、ボート、レジャー用品、パレット、パイプ、シートなどを製造するために特に適切である。
【0263】
したがって、本発明は、また、光、熱又は酸化により誘導される劣化に対して物質の組成物を安定化する方法であって、A、B、R1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、指数p、q、r、x、y及びzが上記と同義である重合体(I)を物質の組成物に組み込むことを含む方法に関する。
【0264】
本発明の特に好ましい実施態様は、
a′)0.1〜99.9重量%の分散性の有機又は無機顔料粒子;及び
b′)0.1〜99.9重量%の重合体(I)(A、B、R1、R1′、R2″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzは、上記と同義である)
を含む顔料組成物に関する。
【0265】
適切な分散性有機顔料は、アゾ、ジアゾ、ナフトール、ベンゾイミダゾロン、アゾ縮合、金属錯体、イソインドリノンからなる群より選択される顔料又は真珠光沢フレーク、及びイソインドリン顔料、キノフタロン顔料、ジオキサジン顔料、並びにインディゴ、チオインディゴ、キナクリドン、フタロシアニン、ペリレン、ペリオノン、アントラキノン、例えば、アミノアントラキノン又はヒドロキシアントラキノン、アントラピリミジン、インダントロン、フラバントロン、ピラントロン、アンタントロン、イソビオラントロン、ジケトピロロピロール、及びカルバゾール、例えば、カルバゾールバイオレットなどからなる多環顔料群である。有機顔料の更なる例は、モノグラフ W. Herbst, K. Hunger "Industrielle Organische Pigmente" 2nd Edition, 1995, VCH Verlagsgesellschaft, ISBN: 3-527-28744-2で見出すことができる。
【0266】
適切な分散性無機顔料は、アルミニウム、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素及びケイ酸塩などの金属フレーク、酸化鉄(III)、酸化クロム(III)、酸化チタン(IV)、酸化ジルコニウム(IV)、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リン酸亜鉛、金属酸化物リン酸塩混合物、硫化モリブデン、硫化カドミウム、カーボンブラック又はグラファイト、バナジン酸ビスマスなどのバナジン酸塩、クロム酸鉛(IV)などのクロム酸塩、及びモリブデン酸鉛(IV)などのモリブデン酸塩、並びにこれらの混合物、結晶形態又は変態、例えば、ルチル、アナターゼ、雲母、タルク又はカオリンからなる群より選択される。
【0267】
組成物は、成分a′)−顔料−及び成分b′)−重合体(I)−に加えて、追加の分散剤、被覆組成物を調製するための従来の結合剤材料、例えば、塗料、充填剤、並びに他の従来の添加剤、特に界面活性剤、光安定剤、UV吸収剤、消泡剤、分散安定剤、染料、可塑剤、チキソトロピー剤、乾燥触媒、皮張り防止剤、及び均染剤からなる群より選択される従来の添加剤を含有してもよい。組成物は、また、酸化防止剤、流れ調整剤、レオロジー制御剤、例えば、ヒュームドシリカ、ミクロゲル、遮断剤、クエンチ剤又は吸着剤などの従来の添加剤を含有してもよい。これらの添加剤は、いわゆる立体的障害アミン(HALS)を用いるか若しくは用いないで、個別に又は混合物で使用することができる。
【0268】
組成物は、上記の顔料成分a′)を、0.1〜99.9重量%、好ましくは0.1〜50.0重量%、特に好ましくは1.0〜30.0重量%の量で含有してもよい。
【0269】
本発明は、また、
a″)分散された有機又は無機顔料粒子;及び
b″)A、B、R1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzが、上記と同義である重合体(I)を少なくとも1種含有する分散剤;並びに
水、有機溶媒及びそれらの混合物を包含するキャリア液体
を含む顔料分散体に関する。
【0270】
分散剤という用語は、いわゆる固体/液体分散体の範囲内において、液体/液体(例えば、エマルション)又は固体/気体(例えば、煙霧)分散体などの他の種類の分散体と対照的なものとして定義されている。ここで適用される固体/液体分散体は、不溶性固体粒子又は液体中で溶解度が低い固体粒子を含有する、2相系からなる。分散剤(本発明の場合は上記で定義された重合体(I))は、固体粒子(本発明の場合は顔料粒子)を、液体相、例えば、水若しくは有機溶媒、又は両方の混合物、あるいは溶融重合体に均質に分布させることができる。均質な分布とは、液体相の任意の容量画分において、液体相中の固体粒子の濃度が同一又はほぼ同一である(固体粒子の均一分布)ことを意味する。
【0271】
本発明の更なる実施態様によると、上記で定義された顔料分散体の成分b″)は、さらに、酸塩基反応、酸付加又は四級化反応により重合体(I)と塩を形成する分散剤を含有する。
【0272】
特に、追加の分散剤は、スルホ、カルボキシ又はホスホノ基などの酸性基を含有し、それは、ポリマー成分(I)のポリマーブロックI、II若しくはIIIのうちの1つか又は鎖末端基A若しくはBのうちの1つに存在する遊離アミノ基又は第一級、第二級若しくは第三級アミノ基などの塩基性基と反応して塩を形成する。代替的実施態様において、スルホ、カルボキシ又はホスホノ基などの酸性基は、ポリマー成分(I)のポリマーブロックI、II若しくはIIIのうちの1つか又は鎖末端基A若しくはBのうちの1つに存在する。次に追加の分散剤は、遊離アミノ基又は第一級、第二級若しくは第三級アミノ基を含有する。
【0273】
スルホ、カルボキシ又はホスホノ基などの酸性基を含有する適切な追加の分散剤は、多環式スルホン酸、単環式若しくは多環式カルボン酸又はホスホン酸、単環式若しくは多環式基で置換されている脂肪族スルホン酸、カルボン酸又はホスホン酸、単環式若しくは多環式基で置換されているC1〜C4ハロゲン化アルキル、及び単環式若しくは多環式スルホン酸のC1〜C4アルキルエステル、例えば、p−トルエンスルホン酸、あるいは下記で提示される基から選択される他の任意のスルホン酸又はカルボン酸からなる群より選択される有機酸である。
【0274】
いくつかのスルホン酸が、非限定的な例として下記に提示される。
【0275】
【表1】







【0276】
顔料分散体は、多種多様な技術的用途に有用であり、例として、印刷工程、例えば、フレキソ、スクリーン、包装、セキュリティインキ、凹版若しくはオフセット印刷用のインキ又はプリントインキの調製用、予備プレス工程及び捺染用、オフィス用、家庭又はグラフィック用途、紙製品、ペン、フェルトチップ、ファイバーチップ、厚紙、木材、(木材)ステイン、金属、インクパッド又はインパクトプリント(インパクトプレッシャーインクリボン)用インキ用、あるいは着色剤の調製用、被覆用、例えば塗料用、織物装飾及び工業用マーク用、ローラー塗り又は粉末被覆用、又は自動車の仕上げ塗装用のハイソリッド用、低溶媒の含水又は金属被覆材料用、又は含水配合物用、含水塗料用、あるいは着色プラスチック、繊維、円盤又は金型担体の調製用、又は着色放射線硬化性被覆用、あるいは着色ゲルコート、積層体、複合体、接着剤及び注型用樹脂用、あるいは非インパクトプリント材料用、デジタルプリント、昇華型熱転写印刷、インクジェットプリント又は熱転写印刷用、あるいはカラーフィルタ、特に400〜700nmの範囲の可視光線用であり液晶ディスプレー(LCD)若しくは電荷結合素子(CCD)の製造に使用できるカラーフィルタの調製用、化粧品、トナー、又はトナーの調製用のポリマーインク粒子の調製用、例えば、乾燥若しくは液体コピートナー又は電子写真用トナーの調製において有用である。トナーはマスターバッチで調製することができ、次いで着色プラスチックの調製用のマスターバッチとして使用することができる。
【0277】
本発明の代替的実施態様によると、顔料分散体は、TVスクリーン、液晶ディスプレー、電荷結合素子、プラズマディスプレー又はエレクトロルミネセンスディスプレーなどの電気工学システムに有用であるカラーフィルタ系に有用である。
【0278】
これらのカラーフィルタを製造するいくつかの方法があり、下記の2つの主要な流れに従う:
・適用中に直接パターン加工する;
・顔料を適用した後にパターン加工する。
【0279】
直接パターン加工は、インパクト(オフセット、フレキソ印刷、スタンピング、活版印刷など)並びに非インパクト(インクジェット技術)などのいくつかの印刷技術により得ることができる。
【0280】
他の直接パターン加工技術は、積層プロセス、電着のような電子放出プロセス、いわゆるChromalin(登録商標)プロセス(DuPont)のような特殊なカラー校正刷り法に基づいている。
【0281】
本発明のカラーフィルタは、顔料着色層の総重量に基づき、1.0〜75.0重量%、好ましくは5.0〜50.0重量%、特に好ましくは25.0〜40.0重量%の濃度で本発明の顔料組成物を賢明に含有する。
【0282】
したがって本発明は、同様に、透明な基材と、層の総重量に基づき1.0〜75.0重量%、好ましくは5.0〜50.0重量%、特に好ましくは25.0〜40.0重量%の本発明の顔料組成物又は高分子量有機材料に分散された前記組成物の個別の成分を含む層とを含むカラーフィルタを提供する。基材は、好ましくは実質的に無色(可視領域の400〜700nmの全てにわたってT≧95%)である。
【0283】
本発明のプリントインキ又はカラーフィルタ製造用フォトレジストは、プリントインキ又はフォトレジストの総重量の基づき0.01〜40.0重量%、好ましくは1.0〜25.0重量%、特に好ましくは5.0〜10.0重量%の濃度で本発明の顔料組成物を賢明に含有する。
【0284】
したがって本発明は、同様に、顔料分散体の総重量に基づき0.01〜40.0重量%、好ましくは1.0〜25.0重量%、特に好ましくは5.0〜10.0重量%を含む、カラーフィルタ製造用の顔料分散体を提供する。
【0285】
本発明の別の実施態様は、上記記載の方法を適用してインキ組成物又はカラーフィルタを調製するための、上記で定義された顔料分散体の使用に関する。
【0286】
本発明の別の実施態様は、上記の顔料分散体の調製方法であって、ポリマーフラグメントI、II及びIIIを、制御された重合又は「リビング」重合により共重合して重合体(I)を調製し、場合により鎖末端基A又はBのうちの1つを更に置換又は重合し、重合体(I)を分散性顔料粒子、及び場合により結合剤材料、充填剤又は他の従来の添加剤に加えることを含む方法に関する。
【0287】
好ましい実施態様によると、本方法は、顔料及び重合体(I)、並びに場合により追加の従来の添加剤を、液体キャリア媒体を実質的に含有しない固体生成物の形態で単離する追加の工程を含む。
【0288】
上記で述べられた方法によると、重合体(I)を、純粋な形態で、場合により適切な添加剤、例えば上記の酸と組み合せて溶液又は分散体として、分散性顔料粒子及び場合により結合剤材料、充填剤又は他の従来の添加剤に加える。
【0289】
本方法の代替的な実施態様において、重合体(I)を、ほとんどの場合、更なる精製工程なしで更に加工及び使用することができる。工業的な規模拡大が意図される場合、これは重要な利点である。顔料を、重合体(I)分散剤の存在下、高速混合、ボールミル粉砕、砂粉砕、磨砕粉砕又は二本若しくは三本ロール練りなどの従来の技術を使用して分散させる。得られる顔料分散体は、顔料と分散剤結合剤の重量比の約0.1:100〜1500:100を有する。
【0290】
分散体に存在する有機溶媒は上記に記載されており(方法を参照)、好ましくは、被覆技術で慣用的に使用される溶媒である。水ベースの被覆用途には、水のほかに、好ましくはC1〜C4アコールなどの極性の水混和性溶媒、例えば、メタノール、エタノール若しくはイソプロパノール、ブチルグリコール若しくはメトキシプロピレングリコールのようなグリコールエーテル、ポリオール、例えば、グリセリン又はエチレン、ジエチレン、トリエチレン、トリエチレン若しくはプロピレングリコールが使用される。溶媒ベースの被覆系には、好ましくは、脂肪族炭化水素のような極性の低い溶媒、酢酸ブチルのようなエステル、又はメトキシプロピレングリコールのようなグリコールエーテル若しくはメトキシプロピレングリコールアセタートのようなグリコールエーテルエステルが使用される。
【0291】
本方法の別の好ましい実施態様において、微細顔料分散体は、顔料を、重合体(I)の溶液又は重合体(I)の水性エマルションと混合し、得られる混合物を、溶媒及び/又は水を留去して好ましくは乾固するまで濃縮し、場合により、得られる濃縮物を更に熱処理及び/又は機械的処理に付して、顔料と重合体(I)を含む混合物を調製し、それを次に続いて水性及び/又は有機溶媒に分散することにより調製される。この方法によると、顔料及び重合体(I)の固体組成物は、分散することが容易であり、例えば塗料配合物へ練り込むための時間及びエネルギー集約的な粉砕を必要としない。
【0292】
高速混合、ボールミル粉砕、砂粉砕、磨砕粉砕又は二本若しくは三本ロール練りなどの、組成物を調製する上記記載の方法を、分散体を調製する場合に代替的に使用してもよい。
【0293】
本発明は、また、被覆組成物、プリント、画像、インキ、ラッカー、着色プラスチック、接着剤、注型用樹脂、充填複合材料、ガラス繊維補強複合材料、積層物、プラスターのようなセメント製建築材料及びタイル用接着剤の調製のための、上記記載の顔料分散体の使用に関する。
【0294】
同様に特に興味深いものは、分散体を調製する上記方法の特定の実施態様であって、被覆組成物、例えば塗料が調製される。したがって本発明は、また、組成物であって、被覆用膜形成結合剤が上記成分a)及びb)を含む組成物に添加される組成物に関する。
【0295】
新規被覆組成物は、好ましくは、成分a)及びb)を合わせて、組成物中に固体結合剤100重量部当たり0.01〜100.0重量部、特に0.05〜50.0重量部、とりわけ0.1〜20.0重量部含む。
【0296】
適切な結合剤は、慣用的に使用されるものであり、例えば、Ullmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry, 5th edition, Vol. A18, pp. 368-426, VCH, Weinheim 1991, Germanyに記載されているものである。一般に、膜形成結合剤は、熱可塑性又は熱硬化性樹脂、主に熱硬化性樹脂に基づく。その例は、アルキド、アクリル、ポリエステル、フェノール、メラミン、エポキシ及びポリウレタン樹脂、並びにそれらの混合物である。また、放射線により硬化されうる樹脂又は自然乾燥樹脂を使用することができる。
【0297】
使用してよい結合剤は、あらゆる常温又は熱硬化性結合剤である。硬化触媒の添加が有利であることもある。結合剤の硬化を促進する適切な触媒は、例えば、Ullmann's, Vol. A18,(上記引用), p. 469に記載されている。
【0298】
好ましいものは、官能アクリラート樹脂と架橋剤を含む被覆組成物である。特定の結合剤を含有する被覆組成物の例は下記である:
・常温又は熱架橋性アルキド、アクリラート、ポリエステル、エポキシ若しくはメラミン樹脂又はそのような樹脂の混合物に基づき、所望であれば硬化触媒を加えた塗料;
・ヒドロキシル含有アクリラート、ポリエステル、又はポリエーテル樹脂と、脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート、又はポリイソシアネートとに基づく2成分ポリウレタン塗料;
・焼付けの間に脱ブロックする、ブロックされたイソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートに基づき、所望であればメラミン樹脂を加えた1成分ポリウレタン塗料;
・トリスアルコキシカルボニルトリアジン架橋剤と、アクリラート、ポリエステル又はポリエーテル樹脂などのヒドロキシル基含有樹脂とに基づく1成分ポリウレタン塗料;
・ウレタン構造内に遊離アミン基を有する脂肪族又は芳香族ウレタンアクリラート又はポリウレタンアクリラートと、メラミン樹脂又はポリエーテル樹脂とに基づき、所望であれば硬化触媒を有する1成分ポリウレタン塗料;
・(ポリ)ケチミンと、脂肪族又は芳香族イソシアネート、イソシアヌレート又はポリイソシアネートとに基づく2成分塗料;
・(ポリ)ケチミンと、不飽和アクリラート樹脂又はポリアセトアセテート樹脂又はメタクリルアミドグリコレートメチルエステルとに基づく2成分塗料;
・カルボキシル−又はアミノ含有ポリアクリラートと、ポリエポキシドとに基づく2成分塗料;
・無水物基を含むアクリル樹脂と、ポリヒドロキシ又はポリアミノ成分とに基づく2成分塗料;
・アクリラート含有無水物とポリエポキシドとに基づく2成分塗料;
・(ポリ)オキサゾリンと、無水物基を含むアクリラート樹脂、又は不飽和アクリラート樹脂、又は脂肪族若しくは芳香族イソシアネート、イソシアヌレート若しくはポリイソシアネートとに基づく2成分塗料;
・不飽和ポリアクリラートとポリマロネートとに基づく2成分塗料;
・熱可塑性アクリラート樹脂又は外面的に架橋されているアクリラート樹脂と、エーテル化メラミン樹脂との組み合わせに基づく熱可塑性ポリアクリラート塗料;及び
・シロキサン改質又はフッ素改質アクリラート樹脂に基づく塗料系。
【0299】
上記成分に加えて、本発明の被覆組成物は、立体的障害アミン類、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン及び/又は2−ヒドロキシフェニル−2H−ベンゾトリアゾール類の追加的な光安定剤を含む。有利に添加される2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン類の光安定剤の更なる例は、例えば、公開された特許文献、例えば、US−A−4,619,956、EP−A−434 608、US−A−5,198,498、US−A−5,322,868、US−A−5,369,140、US−A−5,298,067、WO−94/18278、EP−A−704 437、GB−A−2 297 091、WO−96/28431で見出すことができる。
【0300】
上記の成分以外に、被覆組成物は更なる成分を含むこともでき、例としては、溶媒、顔料、染料、可塑剤、安定剤、チキソトロピー剤、乾燥触媒及び/又は均染剤である。可能な成分の例は、Ullmann's, Vol. A18, pp. 429-471に記載されているものである。
【0301】
可能な乾燥触媒又は硬化触媒は、例えば、有機金属化合物、アミン、アミノ含有樹脂及び/又はホスフィンである。有機金属化合物の例は、金属カルボン酸塩、特に金属がPb、Mn、Co、Zn、Zr若しくはCuのもの、又は金属キレート、特に、金属がAl、Ti若しくはZrのもの、又は有機スズ化合物などの有機金属化合物である。
【0302】
金属カルボン酸塩の例は、Pb、Mn若しくはZnのステアリン酸塩、Co、Zn若しくはCuのオクタン酸塩、Mn及びCoのナフテン酸塩、又は対応するリノレン酸塩、樹脂酸塩若しくはトール油脂肪酸塩である。
【0303】
金属キレートの例は、アセチルアセトン、エチルアセチルアセテート、サリチルアルデヒド、サリチルアルドキシム、o−ヒドロキシアセトフェノン又はエチルトリフルオロアセチルアセテートのアルミニウム、チタン又はジルコニウムキレート及びこれらの金属のアルコキシドである。
【0304】
有機スズ化合物の例は、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジラウレート又はジブチルスズジオクタノエートである。
【0305】
アミンの例は、特に第三級アミンであり、例えば、トリ−n−ブチルアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−ジメチルエタノールアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン又はジアザビシクロオクタン(トリエチレンジアミン)及びその塩である。更なる例は、第四級アンモニウム塩、例えば、トリメチルベンジルアンモニウムクロリドである。
【0306】
アミノ含有樹脂は、結合剤と同時に硬化触媒として作用する。その例は、アミノ含有アクリラートコポリマーである。
【0307】
使用される硬化触媒は、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィンであることもできる。
【0308】
新規被覆組成物として、放射線硬化性被覆組成物が挙げられる。この場合、結合剤は、エチレン性不飽和結合を含有するモノマー又はオリゴマー化合物を実質的に含み、塗布後、化学線により硬化され、すなわち架橋された高分子量形態に変換される。系がUV硬化される場合、一般的に光開始剤も含有する。対応する系は、上記の文献、Ullmann's, Vol. A18, pp. 451-453に記載されている。放射線硬化性被覆組成物において、新規安定剤は、立体障害アミンを添加しないで使用することもできる。
【0309】
本発明の被覆組成物を、あらゆる所望の基材、例えば、金属、木材、プラスチック又はセラミック材料に塗布することができる。好ましくは自動車の仕上げにおける下塗りとして使用される。上塗りが2層を含み、そのうちの下層が顔料着色され、上層が顔料着色されていない場合、新規組成物を、好ましくは下層に使用することができる。
【0310】
新規被覆組成物は、慣用の方法、例えば、はけ塗り、噴霧、流し込み、浸漬又は電気泳動により基材に塗布することができる(Ullmann's, Vol. A18, pp. 491-500も参照すること)。
【0311】
結合剤系に応じて、被覆を室温又は加熱により硬化することができる。被覆は、好ましくは50〜150℃で硬化され、粉末被覆又はコイル被覆の場合はさらに高温で硬化される。
【0312】
被覆組成物は、結合剤が可溶性である有機溶媒又は溶媒混合物を包含することができる。そうでなければ被覆組成物は水溶液又は分散体であることができる。ビヒクルは、有機溶媒と水の混合物であることもできる。被覆組成物は、ハイソリッド塗料であってよいか、又は無溶媒(例えば、粉末被覆材料)であることができる。粉末被覆は、例えば、Ullmann's, A18, pp. 438-444に記載のものである。粉末被覆材料は、また、粉末スラリー(好ましくは水中の粉末分散体)の形態を有してもよい。
【0313】
上記の被覆組成物又は分散系は、追加的に、炭酸カルシウム、粘土、ベントナイト、ケイ酸塩、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、カオリン、雲母、硫酸バリウム、金属酸化物及び水酸化物、カーボンブラック、グラファイト、木粉、他の天然生成物の粉末及び繊維、合成繊維、可塑剤、滑剤、乳化剤、顔料、レオロジー添加剤、触媒、流動性助剤、蛍光増白剤、難燃剤、又は帯電防止剤若しくは発泡剤などの更なる添加剤を含有してもよい。
【0314】
下記の実施例は本発明を説明する。
1H−NMRスペクトル:CDCl3で400MHz;DOWANOL:Dowanol(登録商標)
【0315】
略語
1H−NMRスペクトル:CDCl3で400MHz
DOWANOL:Dowanol(登録商標)−PM=1−メトキシ−2−プロパノール
Amberlist:Amberlist(登録商標)15カチオン性イオン交換樹脂(CAS:9037−24−5)
【0316】
略語
GPC:ゲル浸透クロマトグラフィー;カラム:Polymer Laboratories:PL-Gel 5 u(300×75mm)、THF(溶媒)、ポリスチレン−標準、屈折率−検出器
Mn=数平均分子量:Mn=(ni.mi)/ni;定義は、J.M.G. Cowie ,, Chemie und Physik der Polymeren“pg 7-9 (Verlag Chemie Weinheim - New York 1976; ISBN 3-527-25666-0)も参照すること
D=PD:多分散性指数=Mw/Mn;Mw=(ni.mi2)/(ni.mi)定義は、J.M.G. Cowie ,, Chemie und Physik der Polymeren“(上記引用)を参照すること
P=重合度:DP=Pn=Mn/MMomoner=ポリマー鎖に組み込まれているモノマー単位の数。定義は、J.M.G. Cowie ,, Chemie und Physik der Polymeren“(上記引用)も参照すること
PMDETA:ペンタメチルジエチレントリアミン
RT:室温
BMA:メタクリル酸n−ブチルエステル
BA:n−ブチルアクリラート
DMAEA:2−ジメチルアミノエチルアクリラート
mp:融点
U.S.:米国特許明細書
【0317】
実施例1
1.1
【0318】
【化71】

【0319】
30〔10.08g(14.3mmol)〕及び1〔7.06g(14.3mmol)〕をジオキサン50mlに溶解した。N(Bu)4Br 0.5gをこの溶液に加え、反応混合物を、反応混合物のエポキシ値が約0に近づくまで、反応温度100℃まで加熱した。トルエンを加え、有機相を水(1%EDTA含有)で洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥し、溶媒を留去した。機能化顔料分散体35を僅かに黄色の樹脂として得た。
GPC: Mn: 10 800 g/mol, D: 1.36; 1H-NMR: Dp(BA): 41, Dp (BBT): 12.7; λmax(CHCl3): 317 nm, ε: 56 000 l mol-1.cm-1
【0320】
1.2出発材料の調製
1.2.1
【0321】
【化72】

【0322】
CuCl 5.93g(0.06mol)を、ジオキサン400mlに溶解した28〔600.0g(0.1mol)〕に懸濁した。グリシジルメタクリル酸エステル(GMA)170.6g(1.2mol)の溶液をゆっくりと加えた。氷浴で冷却して温度を20〜25℃に維持した。PMDETA 10.4g(0.06mol)を加えた後、緑色の懸濁液は、僅かに発熱反応を起こして直ちに暗緑色の溶液に変わった。発熱反応を回避するため、反応混合物を反応温度80〜90℃までゆっくりと加熱した。40分の反応時間の後、高粘度の混合物をRTに冷却し、更なるジオキサン1.0kgを加えた。Al23 200.0gを緑色の溶液に加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサン及び未反応GMAを留去した後、AB−ジブロックコポリマー30を得た。
GPC: Mn: 9000 g/mol, D: 1.23; 1H-NMR: Dp(BA): 41, Dp (GMA): 12.7
【0323】
1.2.2
【0324】
【化73】

【0325】
CuCl 8.9g(0.09mol)をBMA 700.0g(4.9mol)に懸濁した。PMDETA 15.6g(0.09mol)を加えた後、緑色の懸濁液は直ちに暗緑色の溶液に変わった。BMA 100.0gに溶解したトルエンスルホン酸クロリド28.6g(0.15mol)の溶液を、氷浴で冷却して温度を20〜25℃に維持しながら、ゆっくりと加えた。発熱反応を回避するため、反応混合物を反応温度70〜80℃までゆっくりと加熱した。50分の反応時間の後、高粘度の混合物をRTに冷却し、更なるのジオキサン1kgを加えた。Al23 200.0gを緑色の溶液に加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサン及び未反応BMAモノマーを留去した後、A−ブロックポリブチルメタクリラート28を得た。
GPC: Mn: 5700 g/mol, D: 1.23; 1H-NMR: Dp: 41
【0326】
1.2.3
出発材料1は、U.S.6,255,483で記載された方法に従って調製した。
【0327】
実施例2
2.1
【0328】
【化74】

【0329】
5〔7.08g(11.25mmol)〕をDOWANOL 26mlに溶解し、スルホン酸の清澄な溶液が得られるまで、還流温度まで加熱した。DOWANOL 14mlに溶解した32〔10.0g(1.39mmol)〕をスルホン酸溶液にゆっくりと加えた。反応混合物を、全ての5がポリマー32と反応するまで、反応温度100℃で維持した。3時間の反応温度の後、清澄な溶液を濾過し、生成物36を含有する溶液を冷却すると、安定した淡黄色の分散体に変わった。
GPC: Mn: 5900 g/mol, D: 1.38; 1H-NMR: Dp(BA): 41, Dp (DMAEA-LS): 8.1; λmax(CHCl3): 316 nm, ε: 48 300 l mol-1cm-1
【0330】
2.2出発材料の調製
【0331】
【化75】

【0332】
2.2.2
BA 150.0g(1.17mol)及び2,6−ジエチル−2,6−ジメチル−4−オキソ−1−(1−フェネトキシ)ピペリジン70.6g及びDOWANOL 150gを反応温度145℃で60分間撹拌した。BA 1.35kg(10.53mol)を25時間かけて反応混合物にゆっくりと加えた。次に反応混合物の温度を5時間維持した。過剰BAを留去して、ポリ−n−ブチルアクリラート31〔687.0g〕を僅かに黄色の粘性液体として得た。
GPC: Mn: 5600 g/mol, D: 1.19; 1H-NMR: Dp n(BA): 41
【0333】
2.2.3
ポリ−n−ブチルアクリラート678.0g(0.12mol)及びDMAEA 678.0g(4.76mol)を一緒に反応温度145℃で2時間加熱した。反応混合物をRTに冷却し、過剰の未反応ジメチルアミノエチルアクリラートを、反応温度60〜95℃で蒸留することにより除去した。冷却後、顔料分散体32〔838.0g〕を僅かに橙色の粘性油状物として得た。
GPC: Mn: 5800 g/mol, D: 1.38; 1H-NMR: Dp n(BA): 41, Dp m(DMAEA): 9
【0334】
2.2.4
【0335】
【化76】

【0336】
1〔40.0g(0.081mol)〕及びK2CO3 12.3g(0.09mol)の混合物をDMF 300mlに懸濁し、反応温度100℃まで加熱した。DMF 50mlに溶解したブタンスルトン12.14g(0.09mol)を1時間かけて赤色溶液にゆっくりと加えた。2時間撹拌した後、橙色の懸濁液を50℃に冷却し、沈殿したカリウム塩を母液から濾過した。固体生成物をエタノール/水(10:1)から再結晶した。THF/H2O(1:1)に溶解したカリウム塩をAmberlist(登録商標)15イオン交換樹脂で濾過して、カリウム塩を遊離酸5に変換した。mp:165〜170℃。
【0337】
実施例3
3.1
【0338】
【化77】

【0339】
5〔11.66g(18.52mmol)〕をDOWANOL 34mlに溶解し、スルホン酸の清澄な溶液が得られるまで、還流温度まで加熱した。DOWANOL 17mlに溶解した34〔10.0g(0.92mmol)〕をスルホン酸溶液にゆっくりと加えた。反応混合物を、全ての5がポリマー34と反応するまで、反応温度117℃で維持した。3時間の反応温度の後、清澄な溶液を濾過し、生成物52を含有する溶液を冷却すると、安定した淡黄色の分散体に変わった。
GPC: Mn: 7730 g/mol, D: 1.3; 1H-NMR: Dp(BA): 52, Dp (DMAEA-LS): 20; λmax(CHCl3): 317 nm, ε: 66 750 l mol-1cm-1
【0340】
3.2出発材料の調製
3.2.1
ポリマー分散体34の合成は下記実施例14で記載されている。
【0341】
実施例4
4.1
【0342】
【化78】

【0343】
54〔9.88g(18.52mmol)〕をDOWANOL 30mlに溶解し、スルホン酸の清澄な溶液が得られるまで、還流温度まで加熱した。DOWANOL 15mlに溶解した34〔10.0g(0.92mmol)〕をスルホン酸溶液にゆっくりと加えた。反応混合物を、全ての54がポリマー34と反応するまで、反応温度100℃で維持した。3時間の反応温度の後、清澄な溶液を濾過し、生成物55を含有する溶液を冷却すると、安定した淡黄色の分散体に変わった。
GPC: Mn: 5820 g/mol, D: 1.58; 1H-NMR: Dp(BA): 52, Dp (DMAEA-LS): 20; λmax(CHCl3): 291 nm, ε: 21 000 l mol-1cm-1
【0344】
4.2出発材料の調製
4.2.1
【0345】
【化79】

【0346】
53〔40.0g(0.1mol)〕及びK2CO3 15.3g(0.11mol)の混合物をDMF 300mlに懸濁し、反応温度100℃まで加熱した。DMF 50mlに溶解したブタンスルトン15.07g(0.11mol)を1時間かけて赤色溶液にゆっくりと加えた。2時間撹拌した後、橙色の懸濁液を50℃に冷却し、沈殿したカリウム塩を母液から濾過した。固体生成物をジオキサン/水(10:1)から再結晶した。THF/H2O(1:1)500mlに溶解したカリウム塩をAmberlist(登録商標)15イオン交換樹脂で濾過して、カリウム塩を遊離酸54に変換した。mp:157〜161℃。
【0347】
4.2.2
出発材料53は、EP779280で記載された方法に従って調製した。
【0348】
実施例5
5.1
【0349】
【化80】

【0350】
29〔6.3g(1.23mmol)〕及び2〔6.89g(12.3mmol)〕をジオキサン15mlに溶解した。CuCl 121.0mg(1.23mmol)を清澄な溶液に加え、反応混合物をRTで撹拌した。PMDETA 233.0mgを緑色の懸濁液に加えると、暗緑色の溶液になり、それを反応温度90℃までゆっくりと加熱した。4時間の反応時間の後、粘性混合物をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。Al23 15.0gを緑色の溶液に加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサンを留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー37を僅かに黄色の固体樹脂として得た。
GPC: Mn: 11000 g/mol, D: 1.35; 1H-NMR: Dp (BA): 35, Dp (BBT): 8.2; λmax: 318 nm, ε: 58300 l mol-1cm-1
【0351】
5.2出発材料の調製
5.2.1
【0352】
【化81】

【0353】
CuCl 11.14g(0.11mol)をBMA 1.0kg(7.03mol)に懸濁した。PMDETA 19.5g(0.11mol)を加えた後、緑色の懸濁液は直ちに暗緑色の溶液に変わった。ジオキサン100.0gに溶解したトルエンスルホン酸クロリド35.75g(0.19mol)の溶液を、氷浴で冷却して温度を20〜25℃に維持しながら、ゆっくりと加えた。発熱反応を回避するため、反応混合物を反応温度70〜80℃までゆっくりと加熱した。45分の反応時間の後、高粘度の混合物をRTに冷却し、更なるジオキサン500.0gを加えた。Al23 150.0gを緑色の溶液に加え、それをRTで1時間撹拌した。青色のAl23懸濁物質を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサン及び未反応BMAモノマーを留去した後、A−ブロックポリブチルアクリラート29を得た。
GPC: Mn: 6870 g/mol, D: 1.21; 1H-NMR: Dp: 35
【0354】
5.2.2
【0355】
【化82】

【0356】
1〔30.0g(0.061mol)〕をTHF 450mlに溶解し、トリエチルアミン6.74g(0.067mol)を加えた。反応混合物を反応温度15℃に冷却した。メタクリル酸クロリド7.0g(0.069mol)を70分間で滴加した。反応混合物を反応温度10〜15℃で更に1.5時間維持し、未溶解アンモニウム塩から濾取した。溶媒を残留清澄溶液からストリップし、残渣をトルエンから再結晶して、メタクリル酸エステル2を得た。
mp: 205℃; λmax(DMF): 325 nm, ε: 64 000 l mol-1cm-1
【0357】
実施例6
6.1
【0358】
【化83】

【0359】
29〔1.99g(0.38mmol)〕及び4〔4.7g(7.76mmol)〕をジオキサン15mlに溶解した。CuCl 38.0mg(0.38mmol)を清澄な溶液に加え、反応混合物をRTで撹拌した。PMDETA 67.0mgを清澄な溶液に加えると、暗緑色の溶液になり、それを反応温度90℃までゆっくりと加熱した。3時間の反応時間の後、粘性混合物をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。緑色の溶液にAl23 10.0gを加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサンを留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー38を僅かに黄色の固体樹脂として得た。
GPC: Mn: 12 200 g/mol, D: 1.68; 1H-NMR: Dp(BA): 35, Dp (4): 18; λmax(CHCl3): 315 nm, ε: 60 000 l mol-1cm-1
【0360】
6.2出発材料の調製
6.2.1
【0361】
【化84】

【0362】
3〔6.5g(0.012mol)〕をTHF 100mlに溶解し、ピリジン3.0g(0.038mol)を加えた。反応混合物を反応温度0℃に冷却し、メタクリル酸クロリド3.9g(0.037mol)を2時間で加えた。反応混合物をこの温度で更に17時間維持し、次に未溶解アンモニウム塩から濾取した。溶媒を残留清澄溶液からストリップし、油状残渣を、溶離剤としてトルエンを用いるシリカゲルカラムで濾過した。濾液を酢酸エチルから再結晶して、メタクリル酸エステル4を得た。
mp: 186℃; λmax(CHCl3): 340 nm, ε: 66 000 l mol-1cm-1
【0363】
6.2.2
出発材料3は、U.S.5,869,58で記載された方法に従って調製した。
【0364】
実施例7
7.1
【0365】
【化85】

【0366】
29〔10.0g(1.95mmol)〕及び27〔5.1g(15.6mmol)〕をジオキサン10mlに溶解した。CuCl 198.0mg(2mmol)をこの混合物に加え、懸濁液をRTで撹拌した。PMDETA 0.422g(2.5mmol)を僅かに緑色の懸濁液に加えた。懸濁液が暗緑色の溶液に変わり、それを反応温度85℃までゆっくりと加熱し、この温度で一晩(15時間)維持した。暗緑色の粘性溶液をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。緑色の溶液にAl23 10.0gを加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は僅かに黄色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサンを留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー49を黄色の樹脂として得た。
GPC: Mn: 8000 g/mol, D: 1.35; 1H-NMR: Dp (BA): 35, Dp (27): 6; λmax(CHCl3): 327 nm, ε: 8120 l mol-1cm-1
【0367】
7.2出発材料の調製
7.2.1
【0368】
【化86】

【0369】
26〔10.0g(0.04mol)〕をTHF 70mlにRTで溶解し、メタクリル酸クロリド5.2g(0.05mol)を50分間かけて加えた。反応混合物を反応温度40℃で24時間維持し、更なるメタクリル酸クロリド4.0g(0.038mol)を加えた。更に24時間後、反応を停止させた。反応混合物をCH2Cl2 200mlに注ぎ、水50mlで洗浄した。粗成生物をエタノールに溶解し、Al23−カラム(アルカリ性)で濾過して、形成された微量のメタクリル酸を除去した。生成物27を僅かに橙色の粘性油状物として得た。
【0370】
7.2.2
出発材料26は、U.S.3,086,988で記載された方法に従って調製した。
【0371】
実施例8
8.1
【0372】
【化87】

【0373】
29〔10.0g(1.95mmol)〕及びTINUVIN R-796(登録商標)3.15g(9.75mmol)をジオキサン10mlに溶解した。CuCl 198.0mg(2mmol)をこの混合物に加え、懸濁液をRTで撹拌した。PMDETA 0.422g(2.5mmol)を僅かに緑色の懸濁液に加えた。懸濁液が暗緑色の溶液に変わり、それを反応温度85℃までゆっくりと加熱し、この温度で2.5時間維持した。次に暗緑色の粘性溶液をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。緑色の溶液にAl23 10.0gを加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は僅かに橙色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサンを留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー50を橙色の樹脂として得た。
GPC: Mn: 8740 g/mol, D: 1.57; 1H-NMR: Dp(BA): 35, Dp (R-796(登録商標)): 5; λmax(CHCl3): 339 nm, ε: 14 700 l mol-1cm-1
【0374】
実施例9
9.1
【0375】
【化88】

【0376】
8〔4.3g(10mmol)〕及び32〔9.0g(1.25mmol)〕をDOWANOL 31mlに加え、清澄な溶液が得られるまで、反応温度80℃まで加熱した。反応混合物を、全ての8がポリマー32と反応するまで、80℃の反応温度で維持した。3時間の反応時間の後、清澄な溶液を濾過して、機能化分散体39を得た。
GPC: Mn: 5100 g/mol, D: 1.49; 1H-NMR: Dp (BA): 41, Dp (DMAEA-LS): 8.1
【0377】
9.2出発材料の調製
9.2.1
【0378】
【化89】

【0379】
6〔20.0g(0.081mol)〕及び2−スルホ安息香酸無水物13.65g(0.074mol)をジオキサン100mlに溶解し、反応温度70℃まで加熱した。反応温度70℃で3時間反応させた後、得られた懸濁液を反応温度100℃まで加熱し、更なる2−スルホ安息香酸無水物7.0g(0.038mol)を加えた。合計7時間の反応時間の後、褐色の懸濁液をRTに冷却し、固体生成物を母液から濾過した。固体を酢酸エチル200mlと水400mlに分配し、得られた懸濁液を撹拌し、反応温度80℃まで加熱した。30分後、残留固体不純物を2相混合物から濾取し、水相を酢酸エチルで2回抽出した。生成物を含有する水相(pH1〜2)を濃縮し、冷却して生成物を結晶化した。生成物8を無色の結晶(分解:284℃)として得た。
【0380】
9.2.2
出発材料6は、U.S.6,392,041で記載された方法に従って調製した。
【0381】
実施例10
10.1
【0382】
【化90】

【0383】
29〔8.0g(1.56mmol)〕及び7〔4.96g(15.8mmol)〕をジオキサン5mlに溶解した。CuCl 150.0mg(1.55mmol)を清澄な溶液に加え、反応混合物をRTで撹拌した。PMDETA 270.0mgを緑色の懸濁液に加えると、暗緑色の溶液になり、それを反応温度80℃までゆっくりと加熱した。2.5時間の反応時間の後、暗緑色の粘性混合物をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。Al23 12.0gを緑色の溶液に加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサン及び残留未反応モノアクリラート7を留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー40を無色の固体樹脂として得た。
GPC: Mn: 11500 g/mol, D: 1.4, 1H-NMR: Dp (BA): 35, Dp (7): 7.2
【0384】
10.2出発材料の調製
10.2.1
【0385】
【化91】

【0386】
6〔20.0g(0.081mol)〕及びメタクリル酸メチルエステル43.3g(0.43mol)をヘプタン100mlに懸濁した。この懸濁液にエステル化触媒テトライソプロピル−オルト−チタネート0.98gを加えた。無色の懸濁液を還流温度まで加熱し、メタノールを留去した。5時間の反応時間の後、メタノールはもはや留去されることはなく、反応混合物をRTに冷却した。酢酸エチル150mlを加え、黄色の液体を2つの20%HCl 15mlで処理し、最後にブライン溶液20mlで処理した。硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去し、得られた僅かに黄色の油状物を、溶媒混合物ヘキサン/酢酸エチル(比率4:1)を用いるシリカゲルカラムで溶離した。生成物7を僅かに黄色の油状物として得た。
【0387】
実施例11
11.1
【0388】
【化92】

【0389】
29〔10.0g(1.95mmol)〕及び58〔2.76g(9.75mmol)〕をDMF 10mlに溶解した。CuCl 198.0mg(2.0mmol)を清澄な溶液に加え、反応混合物をRTで撹拌した。PMDETA 422.0mgを緑色の懸濁液に加えると、暗緑色の溶液になり、それを反応温度85℃までゆっくりと加熱した。2.5時間の反応時間の後、暗緑色の粘性混合物をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。Al23 15.0gを緑色の溶液に加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサン及び残留未反応モノアクリラート58を留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー59を僅かに黄色を帯びた固体樹脂として得た。
GPC: Mn: 8250 g/mol, D: 1.3, 1H-NMR: Dp (BA): 35, Dp (58): 5.5
【0390】
11.2出発材料の調製
11.2.1
【0391】
【化93】

【0392】
57〔8.90g(41.3mmol)〕をTHF 70mlに溶解し、温度0℃に冷却した。トリエチルアミン5.02g(49.6mmol)をこの溶液に加えた。メタクリル酸クロリド8.18g(78mmol)を反応混合物に6時間かけて滴加した。反応混合物を温度0℃で一晩維持し、RTに温め、未溶解アンモニウム塩から濾過した。溶媒THFを残留した清澄な溶液からストリップした。油状残渣をCH2Cl2 100mlに溶解し、水及びブライン溶液で洗浄した。生成物58を僅かに黄色の油状物として得た。
【0393】
11.2.2
【0394】
【化94】

【0395】
56〔30g(0.14mol)〕をメタノール60mlに溶解した。水素化触媒(木炭に吸着した5%Pt)3gをこの溶液に加えた。黒色の懸濁液をオートクレーブ反応器に移し、水素ガス25バールの圧力下に置いた。室温で12時間後、反応を終了させ、圧力を解放し、生成物を水素化触媒から濾過した。生成物57を橙色の固体樹脂の形態で、定量収率で得た。
【0396】
11.2.3
【0397】
【化95】

【0398】
Prostab 5198(登録商標)34.45g(0.2mol)及びCuCl 20g(0.2mol)及び粉末銅2.52g(0.04mol)を、トルエン200mlに乾燥して不活性な反応条件下で分散した。PMDETA 41.6g(0.24mol)をこの懸濁液に滴加した。臭化アリル36.3g(0.3mol)をこの懸濁液に2時間かけて滴加した。室温で12時間後、反応を終了させ、反応混合物を水100mlで洗浄した。水中のEDTA(登録商標)1%溶液を加えて、銅残渣を除去した。生成物をMgSO4で乾燥して、56を無色の固体として、収率95%で得た(mp:63℃)。
【0399】
実施例12
12.1
【0400】
【化96】

【0401】
30〔10.08g(14.3mmol)〕をジオキサン50ml及びテトラブチルアンモニウムブロミド0.25gに溶解した。18〔3.54g(14.3mmol)〕を加えた。反応混合物を反応温度100℃まで加熱した。反応混合物のエポキシ値が、0に近づくまでモニターした。反応が終了した後、ポリマー生成物をトルエンに加えた。有機相を水で洗浄した後、MgSO4で乾燥し、溶媒を留去した。機能化顔料分散体41を赤色の不定形樹脂として得た。
GPC: Mn: 10900 g/mol; 1H-NMR: Dp (BA): 41, Dp (18): 12.7
【0402】
12.2出発材料の調製
12.2.1
【0403】
【化97】

【0404】
RTで17〔50.0g(0.19mol)〕をメタノール/水(1:1)の混合物700mlに溶解した。反応混合物を反応温度60℃まで加熱した。16時間後、メタノールを反応混合物から留去し、残留水相を酢酸エチルで洗浄して不純物を除去した。水相をHCl溶液(1%)でpH4になるまで酸性化した。水相を酢酸エチルで再び抽出し、生成物を有機相に移した。有機相を水で洗浄した後、溶媒を硫酸マグネシウムで乾燥し、留去した。生成物18を深赤色の油状物として得た。
【0405】
12.2.2
出発材料17は、U.S.6,057,321で記載された方法に従って調製した。
【0406】
実施例13
13.1
【0407】
【化98】

【0408】
29〔10.0g(1.95mmol)〕及び10〔4.86g(14.6mmol)〕をジオキサン8mlに溶解した。PMDETA 0.43g(2.5mmol)、次にCuCl 198.0mg(2mmol)を清澄な溶液に加えた。緑色の懸濁液をRTで撹拌すると、暗緑色溶液に変わり、それを反応温度75℃までゆっくりと加熱した。2時間の反応時間の後、暗緑色の粘性混合物をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。Al23 10.0gを緑色の溶液に加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサンを留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー42を僅かに黄色の樹脂として得た。
GPC: Mn: 9300 g/mol, D: 1.26; 1H-NMR: Dp (BA): 35, Dp (10): 5.5
【0409】
13.2出発材料の調製
13.2.1
【0410】
【化99】

【0411】
3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロパノール9〔13.22g(0.05mol)〕をTHF 100mlに溶解し、反応温度0℃に冷却した。トリエチルアミン6.07g(0.06mmol)をこの溶液に加えた。メタクリル酸クロリド6.27g(0.06mmol)を反応混合物に30分間かけて滴加した。反応混合物を温度0℃で一晩維持し、RTに温め、未溶解アンモニウム塩から濾過した。THFを残留した清澄な溶液からストリップした。油状残渣をCH2Cl2 100mlに溶解し、水及びブライン溶液で洗浄した。生成物10を僅かに橙色の樹脂、mp:56℃として得た。
【0412】
13.2.2
出発材料9は、英国特許出願第1,355,109号で載された方法に従って調製した。
【0413】
実施例14
14.1
【0414】
【化100】

【0415】
11〔8.31g(18.5mmol)〕をDOWANOL 31mlに溶解し、清澄な褐色溶液を反応温度90℃まで加熱した。ポリマー分散剤34 10.0g(0.92mmol)をDOWANOL 15.5mlに溶解し、反応混合物に75分間かけて加え、全ての11がポリマー34と反応するまで、それを反応温度90℃で維持した。3時間の反応時間の後、機能化顔料分散剤43を赤色の清澄な溶液として得た。
GPC: Mn: 7300 g/mol, D: 1.41; 1H-NMR: Dp (BA): 52, Dp (DMAEA-LS): 20
【0416】
14.2出発材料の調製
【0417】
【化101】

【0418】
14.2.1
4−tert−ブチル−2,6−ジエチル−2,6−ジメチル−3−オキソ−1−(1−フェネトキシ)−ピラジン75.71g(0.21mol)、BA 1.4mol及び4−tert−ブチル−2,6−ジエチル−2,6−ジメチル−3−オキソ−1−ピラジン5.1g(0.02mmol)をRTで混合した。混合物を3回脱ガスし、次に反応温度142℃までゆっくりと加熱した。この温度で5.5時間後に、反応を停止させた。過剰量のBAを留去し、33を僅かに黄色の液体として得た。
GPC: (PS-Standard): Mn: 6900 g/mol, Pd: 1.25
【0419】
14.2.2
33〔560.0g(0.08mol)〕及びDMAEA 560.0g(3.91mol)を一緒に反応温度145℃で2時間15分加熱した。反応混合物をRTに冷却し、過剰量の未反応DMAEAを反応温度60〜95℃で蒸留することにより除去した。冷却した後、34を僅かに褐色の粘性油状物として得た。
GPC: Mn: 9740 g/mol, D: 1.75; 1H-NMR: Dp n(BA): 52, Dp m(DMAEA): 25
【0420】
14.2.3
【0421】
【化102】

【0422】
3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパノール9〔10.57g(0.04mol)〕及び2−スルホ安息香酸無水物7.07g(0.04mol)をジオキサン70mlに溶解し、還流温度まで加熱した。合計9.5時間の反応時間の後、反応混合物をRTに冷却し、溶媒をストリップした。得られた褐色の油状物はRTで結晶化した。粗褐色生成物をヘキサン200ml中で還流し、得られたベージュ色の固体を母液から濾取した。生成物11を得て、それは融点90〜93℃を有した。
【0423】
実施例15
15.1
【0424】
【化103】

【0425】
16〔2.835g(14.3mmol)〕をジオキサン50mlに溶解し、反応温度90℃まで加熱した。ジオキサン10mlに溶解した30〔10.08g(14.3mmol)〕を1時間かけてゆっくりと加えた。反応混合物のエポキシ値が、0に近づくまでモニターした。緑色の溶液を更なるジオキサン50mlで希釈した。Al23 12.0gを加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は無色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。ジオキサンを留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー45を僅かに橙色の固体樹脂として得た。
GPC: Mn: 5600 g/mol, D: 1.3; 1H-NMR: Dp(BA): 41, Dp (16): 12.7
【0426】
15.2出発材料の調製
15.2.1
【0427】
【化104】

【0428】
15(トルエン15mlに溶解した)〔22.0g(0.12mol)〕をエチレンジアミン200mlの溶液に2時間かけてRTでゆっくりと加えた。得られた清澄な溶液を反応温度50℃まで加熱し、24時間撹拌した。大過剰のエチレンジアミンを、減圧下、反応温度40〜50℃で留去した。生成物16を無色の油状物として得た。
1H-NMR (Bruker 400MHz, CDCl3, d (ppm)): 7.38-7.32 (s, broad), 1H (NHCO); 3.35 (t), 1H (CH-DABCO-H); 3.3-3.0 (2m), 3.46-2.63 (2m), 14H (DABCO 環部分-H (10H)+, α−メチレン-H, アミドアミン 4H); 1.49 (s, broad), 2H (NH2); GC-MS: MH+: 199
【0429】
15.2.2
出発材料15は、U.S.6,057,321で記載された方法に従って調製した。
【0430】
実施例16
16.1
【0431】
【化105】

【0432】
14〔3.02g(9.26mmol)〕をDOWANOL 15ml及び水15mlの混合物に加えた。14が完全に溶解するまで、溶液を反応温度90℃まで加熱した。ポリマー分散剤34 5.0g(0.92mmol)をDOWANOL 6.5mlに溶解し、反応混合物に40分間かけて加え、全ての14がポリマー34と反応するまで、それを反応温度90℃で維持した。3時間の反応時間の後、機能化顔料分散剤44を無色の溶液として得た。溶媒を留去した後、44を無色の固体樹脂として得た。
GPC: Mn: 6600 g/mol, D: 1.44; 1H-NMR: Dp (BA): 52, Dp (DMAEA-LS): 20
【0433】
16.2出発材料の調製
【0434】
【化106】

【0435】
12〔4.6g(0.032mol)〕及び2−スルホ安息香酸無水物5.41g(0.03mol)をジオキサン30mlに溶解し、還流温度95℃まで加熱した。合計2.5時間の反応時間の後、反応混合物をRTに冷却した。生成物を濾過により単離し、H2O/EtOHに溶解し、イオン交換樹脂(AMBERLIST 15)で溶離した。トリエチルアミン/エタノール(1:3)混合物でスルホン酸をカラムから洗浄し、ベージュ色の固体をH2O/THF(1:1)から再結晶した。生成物14を無色の結晶、mp:310℃(分解)として得た。
1H-NMR (Bruker 400MHz, DMSO, δ (ppm)): 10.28 (s, broad), 1H (SO3H); 8.06, 8,04(d), 1H (芳香族-H); 7.8-7.69 (m+d), 4H (芳香族領域-H); 4,73, 4.71 (d), 2H (α−メチレン−エステル-H); 3.99 (m), 1H (CH-DABCO); 3.62-3.14 (m), 10H (DABCO-環部分-H)
LC-MS (0.17% in H2O, UV-検出器, 254nm): t(ret): 4.36 min: M+: 326
【0436】
実施例17
17.1
【0437】
【化107】

【0438】
29〔10.0g(1.95mmol)〕及び13〔3.07g(14.6mmol)〕をDMF 10mlに溶解した。CuCl 198.0mg(2mmol)をこの混合物に加え、懸濁液をRTで撹拌した。PMDETA 0.43g(2.5mmol)を僅かに緑色の懸濁液に加えた。緑色の懸濁液が暗緑色の溶液に変わり、それを反応温度90℃までゆっくりと加熱し、この温度で一晩(15時間)維持した。暗緑色の粘性溶液をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。Al23 10gを緑色の溶液に加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は僅かに黄色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを全て除去した。過剰量の13及びDMFを留去した後、機能化AB−ジブロックコポリマー51を褐色の樹脂として得た。
GPC: Mn: 7000 g/mol, D: 1.35; 1H-NMR: Dp(BA): 35, Dp (13): 2
【0439】
17.2出発材料の調製
17.2.1
【0440】
【化108】

【0441】
12〔6.9g(0.048mol)〕をTHF 50mlに溶解し、反応温度50℃まで加熱した。清澄な溶液にトリエチルアミン24gを加え、メタクリル酸クロリド6.1g(0.058mol)を30分間かけて加えた。反応混合物を反応温度50℃で4.5時間維持し、次にRTに冷却した。反応混合物を未溶解アンモニウム塩から濾取した。溶媒を残留した清澄な溶液からストリップした。油状残渣を、減圧下及び120℃の温度で短Vigreuxカラムにより蒸留した。生成物13をカラム温度99〜100℃で蒸留して、無色の油状物として得た。
1H-NMR (Bruker 400MHz, CDCl3, δ(ppm)): 6.17 (s), 5.63(s), 2H (オレフィン−アクリラート-H); 4.35 (dd), 4.15 (dd), 2H (α−メチレン−アクリラート-H); 3.15-2.3 (m): 10H: DABCO-環部分-H); 1.95 (s): 3H:CH3-メチル-アクリラート-H)
【0442】
17.2.2
出発材料12は、U.S.6,057,321で記載された方法に従って調製した。
【0443】
実施例18
18.1
【0444】
【化109】

【0445】
29〔10.0g(1.95mmol)〕をDMF 5mlに溶解した。20〔2.88g(9.75mmol)〕をジオキサン8mlに加えた。CuCl 198mg(2mmol)を清澄な黄色の溶液に加え、反応混合物をRTで撹拌した。PMDETA 0.422mg(2.44mmol)を加えると、緑色の懸濁液は暗緑色の溶液になり、それを反応温度90℃までゆっくりと加熱した。6.5時間の反応時間の後、暗緑色の粘性混合物をRTに冷却し、クロロホルム100mlで希釈した。緑色の溶液にAl23 10.0gを加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色Al23を濾取すると、生成物の溶液が無色になった。微量のCu−IIを全て除去するため、有機相をEDTA(H2O中1%)の溶液で2回洗浄した。有機相をMgSO4で乾燥した後、溶媒を留去した。機能化分散体46を僅かに黄色の樹脂として得た。
GPC: Mn: 7600 g/mol, D: 1.29; 1H-NMR: Dp (BA): 35, Dp (20): 7.2
【0446】
18.2出発材料の調製
18.2.1
【0447】
【化110】

【0448】
19〔10.0g(0.044mol)〕をTHF 70mlにRTで溶解し、トリエチルアミン5.34gを加えた。この褐色の清澄な溶液に、メタクリル酸クロリド6.1g(0.058mol)を30分間かけて加えた。反応混合物を周囲温度で更に6時間維持し、これによりベージュ色の懸濁物質が形成された。反応混合物を未溶解アンモニウム塩から濾取し、溶媒を残留した清澄な溶液からストリップした。油状残渣をシリカゲルカラム(溶離剤:ヘキサン/酢酸エチル 1:1)で溶離した。生成物20をベージュ色の固体、mp:102.5〜105℃の形態で得た。
【0449】
18.2.2
出発材料19は、U.S.5,780,625で記載された方法に従って調製した。
【0450】
実施例19
19.1
【0451】
【化111】

【0452】
21〔3.81g(9.26mmol)〕及びポリマー分散剤34〔5.0g(0.46mmol)〕をジメチルアセトアミド30mlに溶解した。21が完全に溶解するまで、反応混合物を反応温度120℃まで加熱した。3時間の反応時間の後、機能化顔料分散剤47を僅かに橙色の溶液として得た。溶媒を留去した後、47を橙色の固体樹脂として得た。
GPC: Mn: 8000 g/mol, D: 1.22; 1H-NMR: Dp (BA): 52, Dp (DMAEA-LS): 20
【0453】
19.2出発材料の調製
【0454】
【化112】

【0455】
19〔10.0g(0.044mol)〕及び2−スルホ安息香酸無水物10.4g(0.056mol)をジメチルアセトアミド50mlに溶解し、反応温度100℃まで加熱した。温度100℃で15時間反応させた後、得られた懸濁液をRTに冷却し、生成物を褐色の溶液から濾取した。固体をDMFに溶解し、シリカゲルカラム(溶離剤:エタノール/酢酸エチル 1:1)で溶離した。生成物21をベージュ色の固体、mp:275〜280℃(分解)として得た。
【0456】
実施例20
20.1
【0457】
【化113】

【0458】
29〔10.0g(1.95mmol)〕をジオキサン10mlに溶解した。CuCl 198.0mg(2mmol)を加えた後、懸濁液をRTで撹拌した。PMDETA 0.43g(2.5mmol)を僅かに緑色の懸濁液に加えた。懸濁液は暗緑色の溶液になり、それを反応温度80℃までゆっくりと加熱した。25〔4.47g(14.6mmol)〕を4時間かけて反応混合物にゆっくりと加えた。更なる15時間の反応時間の後、褐色を帯びた反応混合物をRTに冷却し、ジオキサン100mlで希釈した。Al23 10.0gを緑色の溶液に加え、生成物の混合物をRTで1時間撹拌した。青色のAl23を濾取すると、生成物の溶液は暗赤色になった。この手順を繰り返して、反応混合物に残る微量のCu−IIを除去した。ジオキサンを留去した後、機能化ABジブロックコポリマーを、暗赤色の樹脂として、ポリマー鎖1個当たり平均2.5個のベンゾキノン単位で得て、これは組み込まれたモノマー単位25の30%の変換に相当する。
GPC: Mn: 7300 g/mol, D: 1.35; 1H-NMR: Dp (BA): 35, Dp (25): 2.5
【0459】
20.2出発材料の調製
【0460】
【化114】

【0461】
20.2.1
LiAlH4 7.55gをTHF 300mlに懸濁し、反応温度0℃に冷却した。この懸濁液に、THF 150mlに溶解した22〔25.0g(0.1mol)〕をゆっくりと加えた。22時間反応させた後、反応混合物を20%NaOH水溶液10mlで加水分解し、続いて希HCl(15%)によりpHが1になるまで酸性化した。灰色の懸濁液をCH2Cl2で抽出し、中間体生成物23を赤色油状物の形態で得た。
【0462】
20.2.2
23〔15.0g(0.067mol)〕を無水THF 100mlに溶解した。反応混合物をRTで維持し、メタクリル酸クロリド8.81g(0.083mol)を滴加した。反応混合物を24時間撹拌し、更なるメタクリル酸クロリド1.45g(0.014mol)を加えた。反応混合物をRTで更に24時間維持した。溶媒を留去し、反応混合物をCH2Cl2に加え、8%NaHCO3水溶液及び水で洗浄した。MgSO4で乾燥した後、溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラム(トルエン/EtOH 4:1)で溶離した。24を赤色の粘性油状物として得た。
【0463】
20.2.3
3Fe(CN)6 43.0g(0.13mol)を水100mlに溶解し、KOH 7.33g(0.13mol)を加えた。この褐色の溶液に、CH2Cl2 200mlに溶解した24〔15.28g(0.052mol)〕を加えた。2相系をRTで70分間撹拌し、次にジエチルエーテル1lに注いだ。生成物を有機相中で単離した。有機相を水250mlで2回洗浄し、MgSO4で乾燥し、溶媒を留去した後、25を暗赤色の油状物として得た。
【0464】
20.2.4
出発材料19は、EP−A−098 241で記載された方法に従って調製した。
【0465】
実施例21
HDPE(塊)に対して;0.1%Irgalith(登録商標)Yellow BAW(C.I. Pigment Yellow 13);0.02%機能化分散剤(顔料PY13に対して20%);HDPE(非安定化)100g;二軸押出機により220℃で押出した。
【0466】
【表2】

【0467】
結果(HDPD、0.1%Pi(純色PY13)
【0468】
【表3】

【0469】
物理的混合:顔料分散剤及び顔料(PY13)の物理的混合であり、220℃の温度でHDPEに押し出された。
Scandex:DIN 532 38−13:(分散工程:顔料PY13をMEK中で顔料分散剤36/39及び37/40により分散し、その後溶媒を高真空条件下でストリップした(p=室温で0.1mbar)
【0470】
UVCON−グレースケールにより測定される光安定性
【0471】
【表4】

【0472】
実施例22
0.1% CIBA IRGALITH(登録商標)YELLOW BAW (C.I. Pigment Yellow 13);
0.1% CIBA PIGMENT ORANGE(登録商標)16A (C.I. Pigment Orange 73);
0.1% CIBA CROMOPHTAL(登録商標)RED BRN (C.I. Pigment Red 144);
0.1% CIBA CROMOPHTAL(登録商標)DPP RED BP (C.I. Pigment Red 254);
0.1% CIBA CROMOPHTAL(登録商標)DPP FlAME RED FP (C.I. Pigment Red 272);
をそれぞれHDPE(塊)に対して0.02%の機能化分散剤(顔料に対して20%)で分散する;HDPE1000g(非安定化);二軸押出機により220℃で押出した。
【0473】
結果(HDPD、0.1%Pi(純色))
【0474】
【表5】

【0475】
物理的混合:顔料分散剤及び顔料の物理的混合であり、220℃の温度でHDPEに押し出された。
【0476】
CAM119−1000時間WOM、グレースケールにより測定される光安定性
【0477】
【表6】

【0478】
CAM−119サイクル:「CIBA内部WOM規準」:Xe 6500W, Boro-S-/Boro-S-フィルタ組合せ、照射:0.35W/m2/340nm、サイクルは暗を40分間、光及び雨を20分間、光を160分間、光及び雨を20分間;
グレースケール:DIN EN 20105−A02
【0479】
実施例23
顔料 IRGALITH Yellow BAW (C.I. Pigment Yellow 13)
結合剤 2パックポリウレタン:Macrynal(登録商標)SM 510 N/Desmodu(登録商標)N 75
分散 ガラスビーズ(100g)を用いるScandex (DIN 53238-18)で60分間
塗布 コイル被覆パネル上に湿潤膜引き出し100mm
乾燥時間 5分間/RT、30分間/80℃で強制乾燥
WOM CAMサイクル7回:DIN EN ISO 1134/A
【0480】
純色1%顔料着色
【0481】
【表7】

【0482】
WOM−1758シリーズ
【0483】
【表8】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式:
【化1】


〔式中、
A及びBは、ポリマー鎖末端基を表し;
1、R1′及びR1″は、互いに独立して、水素又はC1〜C4アルキルを表し;
2は、水素又はより高い極性のエステル基を表し;
3は、より低い極性のエステル基を表し;
Yは、直接結合又は二価基を表し;
Zは、光保護特性を有する作用物質の機能有効基を表し;
数字I、II、IIIは、任意の順序での個別のポリマーブロックを表し;
指数p、q及びrは、重合体におけるポリマーブロックI、II及びIIIの数を表し、ここで、指数p及びqのうちの一方は、互いに独立して、0、1、又は1を超える数字を表し、他方は1又は1を超える数字を表し、rは1又は1を超える数字を表し;そして
指数x、y及びzは、個別のポリマーブロックI、II及びIIIに存在するモノマー単位の数を規定する〕
で示される重合体。
【請求項2】
下記式:
【化2】


〔式中、
1は、重合開始剤のフラグメントを表し;
*は、重合性のエチレン性不飽和末端基を表し;そして
1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzは、請求項1と同義である〕
で示される、請求項1に記載の重合体。
【請求項3】
下記式:
【化3】


〔式中、
1は、重合開始剤のフラグメントを表し;
1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzは、請求項1と同義であり;そして
2は、下記の部分式:
【化4】


(式中、
2は、ポリマー鎖末端基を表し;
1、R1′、R1″、R2、R3、Y及びZは、請求項1と同義であり;
数字I、II及びIIIは、任意の順序での個別のポリマーブロックを表し;
指数p、q及びrは、重合体におけるポリマーブロックI、II及びIIIの数を表し、ここで、
指数p、q及びrのうちの1つは、互いに独立して、1又は1を超える数字を表し;
他は、0、1又は1を超える数字を表し;そして
指数x、y及びzは、個別のポリマーブロックI、II及びIIIに存在するモノマー単位の数を規定する)で示されるポリマー基を表す〕
で示される、請求項1に記載のクシ型ポリマー。
【請求項4】
A及びBが、ポリマー鎖末端基を表し;
1、R1′及びR1″が、互いに独立して、水素又はメチルを表し;
2が、モノ−又はジヒドロキシ−C2〜C4アルキル、アミノ−C2〜C18アルキル、アンモニオ−C2〜C18アルキル、C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、ジ−C1〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ−C2〜C18アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキルアミノ−C2〜C18アルキル、C1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アミノ−C2〜C18アルキル、ジ−C1〜C4アルキル−(ヒドロキシ−C2〜C4アルキル)アンモニオ−C2〜C18アルキル、及びC1〜C4アルキル(カルボキシ、スルホ又はホスホノで置換されている)からなる群より選択されるエステル基を表し;
3が、C1〜C8アルキル、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル又は2−エチルヘキシルを表し;
Yが、直接結合又は二価基を表し;
Zが、光保護特性を有する作用物質の機能有効基を表し;
指数p及びxが、0を表し;そして
数字II及びIII、並びに指数q、r、y及びzが、請求項1と同義である
請求項1に記載の重合体(I)。
【請求項5】
A及びBが、ポリマー鎖末端基を表し;
1、R1′及びR1″が、互いに独立して、水素又はメチルを表し;
2が、アミノ、アンモニオ、C1〜C4アルキルアミノ、ジ−C1〜C4アルキルアミノ、トリ−C1〜C4アルキルアンモニオ又はジ−C1〜C4アルキル−2−ヒドロキシエチルアンモニオで置換されているC2〜C4アルキルからなる群より選択されるエステル基を表し;
3が、C1〜C8アルキルを表し;
Yが、直接結合又は二価基を表し;
Zが、光保護特性を有する作用物質の機能有効基を表し;
指数p及びxが、0を表し;
指数q及びrが、1を表し;
指数y及びzが、1を超える数字を表し;そして
数字II及びIIIが、請求項1と同義である、
請求項1に記載の重合体(I)。
【請求項6】
光保護特性を有する作用物質の機能有効基Zが、UV光吸収剤、ラジカルスカベンジャー、一重項酸素クエンチ剤、三重項クエンチ剤、光安定剤及びスーパーオキシドアニオンクエンチ剤からなる群より選択される光保護剤に由来する構造部分である、請求項1に記載の重合体(I)。
【請求項7】
UV光吸収剤部分Zが、2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(HPT)類、2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール(HBZ)類、2−ヒドロキシベンゾフェノン(HBP)類及びオキサニリド(OA)類からなる群より選択されるUV吸収剤に由来する置換基である、請求項1に記載の重合体(I)。
【請求項8】
下記式:
【化5】


〔式中、
Xは、カルボキシ、スルホ又はホスホノを表し;そして
a、Rb、Rc及びRdは、互いに独立して、水素、ハロゲン、C1〜C4アルキル又はC1〜C4アルコキシを表す〕
で示される化合物。
【請求項9】
下記式:
【化6】


〔式中、
Xは、−C(=O)−NH−、−CH2−O−、−O−、−NH−及び−N(C1〜C4アルキル)−からなる群より選択される二価官能基を表し;そして、
Yは、C1〜C4アルキル、ヒドロキシ−C2〜C4アルキル、アミノ−C2〜C4アルキル、アクリロイル又はメタクリロイルを表す〕
で示される化合物。
【請求項10】
下記:
a)光、熱又は酸化により誘導される劣化を受けやすい物質の組成物;及び
b)A、B、R1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzが、請求項1と同義である重合体(I)
を含有する組成物。
【請求項11】
下記:
a′)0.1〜99.9重量%の分散性の有機又は無機顔料粒子;及び
b′)0.1〜99.9重量%の重合体(I)(A、B、R1、R1′、R2″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzが、請求項1と同義である)
を含む顔料組成物。
【請求項12】
界面活性剤、光安定剤、UV吸収剤、消泡剤、分散安定剤、染料、可塑剤、チキソトロピー剤、乾燥触媒、皮張り防止剤及び均染剤からなる群より選択される添加剤をさらに含有する、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
下記:
a″)分散した有機又は無機顔料粒子;及び
b″)A、B、R1、R1′、R1″、R2、R3、Y、Z、数字I、II及びIII、並びに指数p、q、r、x、y及びzが、請求項1と同義である重合体(I)を少なくとも1種含有する分散剤;並びに
水、有機溶媒及びそれらの混合物を包含するキャリア液体
を含む顔料分散体。
【請求項14】
インキ組成物又はカラーフィルタを製造するための、請求項13に記載の顔料分散体の使用。
【請求項15】
被覆組成物、プリント、画像、インキ、ラッカー、着色プラスチック、接着剤、注型用樹脂、充填複合材料、ガラス繊維補強複合材料、積層物、プラスターのようなセメント製建築材料及びタイル用接着剤を製造するための、請求項13に記載の顔料分散体の使用。

【公表番号】特表2006−526670(P2006−526670A)
【公表日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505501(P2006−505501)
【出願日】平成16年3月29日(2004.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/050386
【国際公開番号】WO2004/090030
【国際公開日】平成16年10月21日(2004.10.21)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】