説明

顔料分散用樹脂の製造方法

【課題】優れた外観と耐水性を有する塗膜を形成し得る顔料分散用樹脂を提供すること。
【解決手段】一般式(I)


(式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表し、mは1〜30の整数であり、m個の特定の繰り返し単位は互いに同じであっても又は互いに異なっていてもよい)で示される2価の基と、リン酸基及び/又はスルホン酸基を含有する顔料分散用樹脂を製造する方法であって、重合性不飽和モノマー混合物を、水酸基を含有せず且つ20℃における水への溶解度が100質量%以上である有機溶剤を、反応溶媒の合計質量を基準として、30質量%以上含有する反応溶媒中で共重合せしめることを特徴とする顔料分散用樹脂の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔料分散用樹脂の新規な製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、塗料、インキ等には、美観、遮光、防錆等を目的として、有機顔料及び/または無機顔料が幅広く用いられている。しかしながら、これらの顔料を塗料に使用する場合、顔料が塗料中に均一に分散せず、得られる塗膜の外観や耐水性が劣る場合があり、課題とされていた。
【0003】
例えば、特許文献1には、炭素数が1〜4のアルキル基を有する(メタ)アクリレート、炭素数6〜30のアルキル基を有する(メタ)アクリレート及び特定の構造を有する重合性単量体の共重合体(A)からなる顔料分散用樹脂が、各種顔料に対する顔料分散性に優れ且つ各種塗料用樹脂と良好な相溶性を示す上、耐候性等の問題点を有していないことが記載されている。しかしながら、該顔料分散用樹脂を塗料に用いた場合、形成塗膜の耐水性が劣る場合がある。
【0004】
また、特許文献2には、アミノ基、第4級アンモニウム塩基及びスルホン酸基から選ばれる少なくとも1種の親水性官能基を含有する重合性不飽和モノマー、水酸基含有重合性不飽和モノマー、特定の構造を有する炭素原子数8〜24の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルモノマー及びその他の重合性不飽和モノマーのモノマー混合物を共重合してなる重量平均分子量が10,000〜100,000の範囲内にある顔料分散用アクリル樹脂を用いることによって、顔料分散性、レットダウン安定性等が大幅に向上した顔料分散ペースト組成物を得ることができることが記載されている。しかしながら、該顔料分散用樹脂を塗料に用いた場合、形成塗膜の耐水性が劣る場合がある。
【0005】
【特許文献1】特開平6−211944号公報
【特許文献2】特開2001−2736号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、優れた外観と耐水性を有する塗膜を形成し得る顔料分散用樹脂を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、今回、特定の重合性不飽和モノマー混合物を特定の反応溶媒中で共重合せしめることにより、優れた外観と耐水性を有する塗膜を形成し得る顔料分散用樹脂を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
かくして、本発明は、下記の重合性不飽和モノマー混合物(a−1)〜(a−4):
重合性不飽和モノマー混合物(a−1):下記一般式(I)
【0009】
【化1】

【0010】
[式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表し、mは1〜30の整数であり、m個の繰り返し単位
【0011】
【化2】

【0012】
は互いに同じであっても又は互いに異なっていてもよい]
で示される2価の基を含有する重合性不飽和モノマー(m−1)、リン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−2)、並びに該重合性不飽和モノマー(m−1)及び(m−2)以外の重合性不飽和モノマー(m−3)の混合物;
重合性不飽和モノマー混合物(a−2):上記一般式(I)で表される2価の基を含有する重合性不飽和モノマー(m−1)、スルホン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−4)、並びに該重合性不飽和モノマー(m−1)及び(m−4)以外の重合性不飽和モノマー(m−5)の混合物;
重合性不飽和モノマー混合物(a−3):上記一般式(I)で表される2価の基及びリン酸基を含有する重合性不飽和モノマー(m−6)、並びに該重合性不飽和モノマー(m−6)以外の重合性不飽和モノマー(m−7)の混合物;
重合性不飽和モノマー混合物(a−4):上記一般式(I)で表される2価の基及びスルホン酸基を含有する重合性不飽和モノマー(m−8)、並びに重合性不飽和モノマー(m−8)以外の重合性不飽和モノマー(m−9)の混合物;
から選ばれる重合性不飽和モノマー混合物(a)を、水酸基を含有せず且つ20℃における水への溶解度が100質量%以上である有機溶剤(b−1)を、反応溶媒の合計質量を基準として、少なくとも30質量%以上含んでなる反応溶媒(b)中で共重合せしめることを特徴とする、上記一般式(I)で表される2価の基とリン酸基及び/又はスルホン酸基とを含有する顔料分散用樹脂(A)の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の顔料分散用樹脂(A)は、顔料を含有する塗料において使用することにより、優れた外観と耐水性を有する塗膜を形成する塗料を得ることができる。
【0014】
以下、本発明の顔料分散用樹脂(A)の製造方法についてさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
重合性不飽和モノマー混合物(a−1)
重合性不飽和モノマー混合物(a−1)は、以下に述べる重合性不飽和モノマー(m−1)、リン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−2)、並びに該重合性不飽和モノマー(m−1)及び(m−2)以外の重合性不飽和モノマー(m−3)の混合物である。
【0016】
重合性不飽和モノマー(m−1)
重合性不飽和モノマー(m−1)は、下記一般式(I)
【0017】
【化3】

【0018】
[式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表し、mは1〜30の整数であり、m個の繰り返し単位
【0019】
【化4】

【0020】
は互いに同じであっても又は互いに異なっていてもよい]
で示される2価の基を含有する重合性不飽和モノマーであって、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート類、水酸基含有(メタ)アクリルアミド類等の水酸基含有重合性不飽和モノマーの水酸基に、それ自体既知の方法で、環状エステル化合物を開環付加させることにより合成することができる。
【0021】
上記水酸基含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが挙げられ、また、水酸基含有(メタ)アクリルアミド類としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
【0022】
上記環状エステル化合物としては、例えば、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、δ−ラウロラクトン等の炭素数3〜11のラクトン類を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、ε−カプロラクトンを用いることが好適である。
【0023】
また、上記重合性不飽和モノマー(m−1)としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート又は2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドにε−カプロラクトンを開環付加せしめることにより得られる重合性不飽和モノマー等を使用することもでき、なかでも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートにε−カプロラクトンを開環付加せしめることにより得られる重合性不飽和モノマーを使用することが好適である。なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は「アクリレート又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル又はメタクリロイル」を意味し、「(メタ)アクリルアミド」は「アクリルアミド又はメタクリルアミド」を意味する。
【0024】
重合性不飽和モノマー(m−1)としては、市販品を使用することができ、例えば、ダイセル化学工業社製の、プラクセルFM1(2−ヒドロキシエチルメタクリレートのε−カプロラクトン1mol付加物)、プラクセルFM2(2−ヒドロキシエチルメタクリレートのε−カプロラクトン2mol付加物)、プラクセルFM3(2−ヒドロキシエチルメタクリレートのε−カプロラクトン3mol付加物)、プラクセルFM5(2−ヒドロキシエチルメタクリレートのε−カプロラクトン5mol付加物)、プラクセルFA1(2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン1mol付加物)、プラクセルFA2(2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン2mol付加物)、プラクセルFA3(2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン3mol付加物)、プラクセルFA5(2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン5m
ol付加物)、プラクセルFA10(2−ヒドロキシエチルアクリレートのε−カプロラクトン10mol付加物)等を挙げることができる。
【0025】
上記重合性不飽和モノマー(m−1)はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0026】
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−2)
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−2)は、下記一般式(II)で示されるリン酸基及び重合性不飽和結合を、1分子中にそれぞれ少なくとも1個ずつ有する化合物である。
【0027】
【化5】

【0028】
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20、好ましくは1〜8の炭化水素基、好ましくは水素原子を表す]
上記炭素数1〜20の炭化水素基としては、例えば、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、イソデシル等の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基;フェニル基等が挙げられる。
【0029】
リン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−2)としては、例えば、アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシブチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシヘキシル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシデシル(メタ)アクリレート等のアシッドホスホオキシアルキル(メタ)アクリレート;アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアシッドホスホオキシポリオキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;モノブチルリン酸、モノデシルリン酸、モノラウリルリン酸、モノステアリルリン酸等のモノアルキルリン酸にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させて得た重合性不飽和モノマー;ベンジルリン酸にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させて得た重合性不飽和モノマー等を挙げることができる。
【0030】
上記重合性不飽和モノマー(m−2)としては、市販品を使用することができ、例えば、日本化薬社製のカヤマーPM−2;共栄社化学社製のライトエステルP−1M;ユニケミカル社製のPhosmer M、Phosmer CL、Phosmer PE、Phosmer PP等が挙げられる。
【0031】
上記重合性不飽和モノマー(m−2)はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0032】
重合性不飽和モノマー(m−1)及び(m−2)以外の重合性不飽和モノマー(m−3)
重合性不飽和モノマー(m−3)は、前記重合性不飽和モノマー(m−1)及びリン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−2)以外の重合性不飽和モノマーであって、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−
ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,
6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0033】
なかでも、得られる塗膜の耐水性の観点から、重合性不飽和モノマー(m−3)は、上記ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含んでなることが好ましく、スチレンを含有することが特に好ましい。
【0034】
上記炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数8〜13のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー、特に2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及び/又はラウリル(メタ)アクリレートを使用することが好適である。
【0035】
前記炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数8〜13のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマー、特にシクロヘキシル(メタ)アクリレートを使用することが好適である。
【0036】
また、上記重合性不飽和モノマー(m−3)が、前記ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含有する場合、該ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーの合計使用量は、前記重合性不飽和モノマー(m−1)〜(m−3)の合計量を基準として、一般に1〜96質量%、特に10〜70質量%、さらに特に20〜60質量%の範囲内であることが好適である。
【0037】
また、上記重合性不飽和モノマー(m−3)がスチレンを含有する場合、スチレンの使用量は、前記重合性不飽和モノマー(m−1)〜(m−3)の合計量を基準として、一般に5〜70質量%、特に10〜60質量%、さらに特に15〜50質量%の範囲内であることが好適である。
【0038】
重合性不飽和モノマー混合物(a−1)における上記重合性不飽和モノマー(m−1)〜(m−3)の混合割合は厳密に制限されるものではないが、一般には、該重合性不飽和
モノマー(m−1)〜(m−3)の合計量を基準にして下記の範囲内とすることができる。
重合性不飽和モノマー(m−1):2〜90質量%、好ましくは5〜70質量%、
さらに好ましくは10〜60質量%、
重合性不飽和モノマー(m−2):2〜90質量%、好ましくは5〜80質量%、
さらに好ましくは10〜70質量%、
重合性不飽和モノマー(m−3):1〜96質量%、好ましくは10〜90質量%、
さらに好ましくは20〜80質量%。
【0039】
重合性不飽和モノマー混合物(a−2)
重合性不飽和モノマー混合物(a−2)は、前記重合性不飽和モノマー(m−1)、スルホン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−4)、並びに該重合性不飽和モノマー(m−1)及び(m−4)以外の重合性不飽和モノマー(m−5)の混合物である。
【0040】
スルホン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−4)
スルホン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−4)は、1分子中にスルホン酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個ずつ有する化合物であって、例えば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0041】
重合性不飽和モノマー(m−1)及び(m−4)以外の重合性不飽和モノマー(m−5)
重合性不飽和モノマー(m−5)は、前記重合性不飽和モノマー(m−1)及びスルホン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−4)以外の重合性不飽和モノマーであって、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を
有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0042】
なかでも、形成塗膜の耐水性の観点から、重合性不飽和モノマー(m−5)は、前記ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含んでなることが好ましく、スチレンを含んでなることが特に好ましい。
【0043】
上記炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数8〜13のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー、特に2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及び/又はラウリル(メタ)アクリレートを使用することが好適である。
【0044】
前記炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数8〜13のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマー、特にシクロヘキシル(メタ)アクリレートを使用することが好適である。
【0045】
上記重合性不飽和モノマー(m−5)が、前記ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含有する場合、該ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーの合計使用量は、前記重合性不飽和モノマー(m−1)、重合性不飽和モノマー(m−4)及び重合性不飽和モノマー(m−5)の合計量を基準として、一般に1〜96質量%、特に10〜70質量%、さらに特に20〜60質量%の範囲内であることが好適である。
【0046】
また、上記重合性不飽和モノマー(m−5)がスチレンを含有する場合、該スチレンの使用量は、前記重合性不飽和モノマー(m−1)、重合性不飽和モノマー(m−4)及び重合性不飽和モノマー(m−5)の合計量を基準として、一般に5〜70質量%、特に10〜60質量%、さらに特に15〜50質量%の範囲内であることが好適である。
【0047】
前記重合性不飽和モノマー混合物(a−2)における前記重合性不飽和モノマー(m−1)、重合性不飽和モノマー(m−4)及び重合性不飽和モノマー(m−5)の使用割合は厳密に制限されるものではないが、一般には、該前記重合性不飽和モノマー(m−1)、重合性不飽和モノマー(m−4)及び重合性不飽和モノマー(m−5)の合計量を基準にして下記の範囲内とすることができる。
重合性不飽和モノマー(m−1):2〜90質量%、好ましくは5〜70質量%、
さらに好ましくは10〜60質量%、
重合性不飽和モノマー(m−4):2〜60質量%、好ましくは5〜50質量%、
さらに好ましくは10〜40質量%、
重合性不飽和モノマー(m−5):1〜96質量%、好ましくは10〜90質量%、
さらに好ましくは20〜80質量%。
【0048】
重合性不飽和モノマー混合物(a−3)
重合性不飽和モノマー混合物(a−3)は、下記重合性不飽和モノマー(m−6)、及び該重合性不飽和モノマー(m−6)以外の重合性不飽和モノマー(m−7)の混合物である。
【0049】
重合性不飽和モノマー(m−6)
重合性不飽和モノマー(m−6)は、下記一般式(I)
【0050】
【化6】

【0051】
[式中、Rは炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜6のアルキレン基を表し、mは1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の整数であり、m個の繰り返し単位
【0052】
【化7】

【0053】
は互いに同じであっても又は互いに異なっていてもよい]
で示される2価の基、下記一般式(II)で示されるリン酸基
【0054】
【化8】

【0055】
[式中、Rは水素原子又は炭素数1〜20、特に1〜8の炭化水素基、好ましくは水素原子を表す]
及び重合性不飽和結合を、1分子中にそれぞれ少なくとも1個ずつ有する化合物である。
【0056】
上記重合性不飽和モノマー(m−6)は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート類を、常法に従い、環状エステルで変性し、りん酸化剤を作用させた後、加水分解することにより容易に合成することができる。
【0057】
上記水酸基含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0058】
上記環状エステルとしては、例えば、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、δ−ラウロラクトン等の炭素数3〜11のラクトン類を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、ε−カプロラクトンが好適である。
【0059】
また、りん酸化剤としては、それ自体既知のもの、例えば、五酸化りん、オキシ塩化りん、ポリリン酸等を使用することができる。
【0060】
水酸基含有(メタ)アクリレート類の環状エステルによる変性は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート類の水酸基に、それ自体既知の方法で、環状エステルを開環付加させることにより行うことができ、得られる変性物中の例えば末端水酸基にりん酸化剤を反応させた後、加水分解することにより、重合性不飽和モノマー(m−6)を得ることができる。
【0061】
重合性不飽和モノマー(m−6)は、さらに、下記一般式(III)
【0062】
【化9】

【0063】
[式中、Rは炭素数1〜10、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2又は3、特に好ましくは3の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基を表し、iは1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の整数であり、i個のオキシアルキレン単位
【0064】
【化10】

【0065】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよい]
で示されるユニットを含有することができる。
【0066】
上記式(III)のユニットを含有する重合性不飽和モノマー(m−6)は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレ−ト類の水酸基に、それ自体既知の方法で、環状エステルを開環付加させ、得られる変性物中の例えば末端水酸基にアルキレンオキサイドを付加させ、さらにその付加生成物中の例えば末端水酸基に五酸化りんやオキシ塩化りん等の既知のりん酸化剤を作用させた後、加水分解することにより得ることができる。
【0067】
重合性不飽和モノマー(m−6)としては、具体的には、例えば、下記一般式(IV)、(V)、(VII)及び(VIII)で示されるものが挙げられる。
【0068】
【化11】

【0069】
[式中、Xは酸素原子又は下記一般式(VI)
【0070】
【化12】

【0071】
(ここで、Yは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基、好ましくは水素原子を示す)を表し、jは0〜30、好ましくは0〜20、さらに好ましくは0〜10の整数であり、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは炭素数1〜6、好ましくは2〜4、さらに好ましくは2もしくは3のアルキレン基を表し、m個の繰り返し単位
【0072】
【化13】

【0073】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよく、j個のオキシアルキレン単位
【0074】
【化14】

【0075】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよく、R、R及びmは前記と同じ意味を有する]
【0076】
【化15】

【0077】
[式中、X、R、R、R及びmは前記と同じ意味を有し、Rは炭素数1〜10、好ましくは2〜6のアルキレン基を表し、nは1〜30、好ましくは1〜20、さらに好ましくは1〜10の整数であり、m個の繰り返し単位
【0078】
【化16】

【0079】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよく、n個の繰り返し単位
【0080】
【化17】

【0081】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよく、m個の繰り返し単位
【0082】
【化18】

【0083】
とn個の繰り返し単位
【0084】
【化19】

【0085】
の配列順序はブロックであってもランダムであってもよい]
これらの重合性不飽和モノマー(m−6)はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0086】
重合性不飽和モノマー(m−6)以外の重合性不飽和モノマー(m−7)
重合性不飽和モノマー混合物(m−7)は、前記重合性不飽和モノマー(m−6)以外の重合性不飽和モノマーであって、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、
β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0087】
なかでも、得られる塗膜の耐水性の観点から、重合性不飽和モノマー(m−7)は、前記ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含んでなることが好ましく、スチレンを含んでなることが特に好ましい。
【0088】
上記炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数8〜13
のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー、特に2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及び/又はラウリル(メタ)アクリレートを使用することが好適である。
【0089】
前記炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数8〜13のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマー、特にシクロヘキシル(メタ)アクリレートを使用することが好適である。
【0090】
上記重合性不飽和モノマー(m−7)が、前記ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含有する場合、該ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーの合計使用量は、前記重合性不飽和モノマー(m−6)及び重合性不飽和モノマー(m−7)の合計量を基準として、一般に1〜96質量%、特に10〜70質量%、さらに特に20〜60質量%の範囲内であることが好適である。
【0091】
また、上記重合性不飽和モノマー(m−7)がスチレンを含有する場合、該スチレンの使用量は、前記重合性不飽和モノマー(m−6)及び重合性不飽和モノマー(m−7)の合計量を基準として、一般に5〜70質量%、特に10〜60質量%、さらに特に15〜50質量%の範囲内であることが好適である。
【0092】
前記重合性不飽和モノマー混合物(a−3)における前記重合性不飽和モノマー(m−6)及び重合性不飽和モノマー(m−7)の使用割合は厳密に制限されるものではないが、一般には、該前記重合性不飽和モノマー(m−6)及び重合性不飽和モノマー(m−7)の合計量を基準にして下記の範囲内とすることができる。
重合性不飽和モノマー(m−6):1〜90質量%、好ましくは5〜70質量%、
さらに好ましくは20〜60質量%、
重合性不飽和モノマー(m−7):10〜99質量%、好ましくは30〜95質量%、
さらに好ましくは40〜80質量%。
【0093】
重合性不飽和モノマー混合物(a−4)
重合性不飽和モノマー混合物(a−4)は、下記重合性不飽和モノマー(m−8)、及び該重合性不飽和モノマー(m−8)以外の重合性不飽和モノマー(m−9)の混合物である。
【0094】
重合性不飽和モノマー(m−8)
重合性不飽和モノマー(m−8)は、下記一般式(I)
【0095】
【化20】

【0096】
[式中、R及びmは前記と同じ意味を有し、m個の繰り返し単位
【0097】
【化21】

【0098】
は互いに同じであっても又は互いに異なっていてもよい]
で示される2価の基及びスルホン酸基を含有する重合性不飽和モノマーである。
【0099】
上記重合性不飽和モノマー(m−8)は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート類を環状エステルで変性した後、得られる変性物中の水酸基を、常法に従いスルホン化剤を用いてスルホン化することにより容易に合成することができる。
【0100】
上記水酸基含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−もしくは3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0101】
上記環状エステルとしては、例えば、β−プロピオラクトン、ジメチルプロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、δ−ラウロラクトン等の炭素数3〜11のラクトン類を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、ε−カプロラクトンが好適である。
【0102】
また、スルホン化剤としては、それ自体既知のもの、例えば、無水硫酸、発煙硫酸、クロルスルホン酸、硫酸、亜硫酸水素ナトリウム等を使用することができる。
【0103】
水酸基含有(メタ)アクリレート類の環状エステルによる変性は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレート類の水酸基に、それ自体既知の方法で、環状エステルを開環付加させることにより行うことができ、得られる変性物中の例えば末端水酸基にスルホン化剤を反応させ、スルホン化することにより、重合性不飽和モノマー(m−8)を得ることができる。
【0104】
重合性不飽和モノマー(m−8)は、さらに、下記一般式(III)
【0105】
【化22】

【0106】
[式中、R及びiは前記と同じ意味を有し、i個のオキシアルキレン単位
【0107】
【化23】

【0108】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよい]
で示されるユニットを含有することができる。
【0109】
上記一般式(III)のユニットを含有する重合性不飽和モノマー(m−8)は、例えば、水酸基含有(メタ)アクリレ−ト類の水酸基に、それ自体既知の方法で、環状エステルを開環付加させ、得られる変性物中の、例えば、末端水酸基にアルキレンオキサイドを付加させ、さらにその付加生成物中の例えば末端水酸基に濃硫酸、発煙硫酸、三酸化硫黄、クロロスルホン酸、亜硫酸ナトリウム等の既知のスルホン化剤を作用させることにより得ることができる。
【0110】
重合性不飽和モノマー(m−8)としては、具体的には、例えば、下記一般式(IX)、(X)、(XI)及び(XII)で示されるものが挙げられる。
【0111】
【化24】

【0112】
[式中、X、R、R、R、R、m及びjは前記と同じ意味を有し、m個の繰り返し単位
【0113】
【化25】

【0114】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよく、j個のオキシアルキレン単位
【0115】
【化26】

【0116】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよい]
【0117】
【化27】

【0118】
[式中、X、R、R、R、R、m及びnは前記と同じ意味を有し、m個の繰り返し単位
【0119】
【化28】

【0120】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよく、n個の繰り返し単位
【0121】
【化29】

【0122】
は互いに同じであってももしくは互いに異なっていてもよく、m個の繰り返し単位
【0123】
【化30】

【0124】
とn個の繰り返し単位
【0125】
【化31】

【0126】
の配列順序はブロックであってもランダムであってもよい]
これらの重合性不飽和モノマー(m−8)はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0127】
重合性不飽和モノマー(m−8)以外の重合性不飽和モノマー(m−9)
重合性不飽和モノマー混合物(m−9)は、前記重合性不飽和モノマー(m−8)以外の重合性不飽和モノマーであって、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−スルホエチル(メタ)アクリレート、アリルスルホン酸、4−スチレンスルホン酸及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;アシッドホスホオキシエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキ
シプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー化合物等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0128】
なかでも、得られる塗膜の耐水性の観点から、重合性不飽和モノマー(m−9)は、前記ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含んでなることが好ましく、スチレンを含んでなることが特に好ましい。
【0129】
上記炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数8〜13のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー、特に2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート及び/又はラウリル(メタ)アクリレートを使用することが好適である。
【0130】
前記炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーとしては、例えば、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト、イソボルニル(メタ)アクリレ−ト、アダマンチル(メタ)アクリレ−ト、トリシクロデカニル(メタ)アクリレ−ト等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。なかでも、炭素数8〜13のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマー、特にシクロヘキシル(メタ)アクリレートを使用することが好適である。
【0131】
上記重合性不飽和モノマー(m−9)が、前記ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーからなる群より選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含有する場合、該ビニル芳香族化合物、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び炭素数6〜18のシクロアルキル基を有する重合性不飽和モノマーの合計使用量は、前記重合性不飽和モノマー(m−8)及び重合性不飽和モノマー(m−9)
の合計量を基準として、一般に1〜96質量%、特に10〜70質量%、さらに特に20〜60質量%の範囲内であることが好適である。
【0132】
また、上記重合性不飽和モノマー(m−9)がスチレンを含有する場合、該スチレンの使用量は、前記重合性不飽和モノマー(m−8)及び重合性不飽和モノマー(m−9)の合計量を基準として、一般に5〜70質量%、特に10〜60質量%、さらに特に15〜50質量%の範囲内であることが好適である。
【0133】
前記重合性不飽和モノマー混合物(a−4)における前記重合性不飽和モノマー(m−8)及び重合性不飽和モノマー(m−9)の使用割合は厳密に制限されるものではないが、一般には、該前記重合性不飽和モノマー(m−8)及び重合性不飽和モノマー(m−9)の合計量を基準にして下記の範囲内とすることができる。
重合性不飽和モノマー(m−8):1〜90質量%、好ましくは5〜70質量%、
さらに好ましくは20〜60質量%、
重合性不飽和モノマー(m−9):10〜99質量%、好ましくは30〜95質量%、
さらに好ましくは40〜80質量%。
【0134】
顔料分散用樹脂(A)
本発明の方法に従えば、以上に述べた重合性不飽和モノマー混合物(a−1)〜(a−4)から選ばれるいずれかの重合性不飽和モノマー混合物(a)、好ましくは重合性不飽和モノマー混合物(a−1)又は(a−3)を、水酸基を含有せず且つ20℃における水への溶解度が100質量%以上の有機溶剤(b−1)を、反応溶媒の合計質量を基準として、30質量%以上含有する反応溶媒(b)中で共重合せしめることにより、下記一般式(I)
【0135】
【化32】

【0136】
[式中、R及びmは前記と同じ意味を有し、m個の繰り返し単位
【0137】
【化33】

【0138】
は互いに同じであっても又は互いに異なっていてもよい]
で示される2価の基と、リン酸基及び/又はスルホン酸基を含有する顔料分散用樹脂(A)を製造することができる。
【0139】
有機溶剤(b−1)
有機溶剤(b−1)は、水酸基を含有せず且つ20℃における水への溶解度が100質量%以上の有機溶剤である。本発明において、「20℃における水への溶解度が100質量%以上の有機溶剤」とは、有機溶剤5gと水5gとを攪拌容器に入れ、20℃で5分間振とうさせた後、得られる混合液の状態を肉眼で観察した際に、混合液に濁りや相分離がなく、均一の状態である有機溶剤をいう。
【0140】
有機溶剤(b−1)としては、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド等のアミド系溶剤;1,3−ジメチル−2−イミダゾーリジノン等のウレア系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤、テトラメチレンスルホン等のスルホン系溶剤等を挙げることができ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。有機溶剤(b−1)としては、なかでも、上記エーテル系溶剤、アミド系溶剤、ウレア系溶剤が好ましく、アミド系溶剤がさらに好ましい。
【0141】
反応溶媒(b)
反応溶媒(b)は、上記有機溶剤(b−1)を、該反応溶媒(b)の合計質量を基準として、30質量%以上、好ましくは50〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%、特に好ましくは95〜100質量%含有する反応溶媒である。
【0142】
反応溶媒(b)が含有し得る有機溶剤(b−1)以外の有機溶剤としては、例えば、ヘプタン、トルエン、キシレン、オクタン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル系溶剤;コスモ石油社製のスワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500等の芳香族石油系溶剤等を挙げることができ、これらの有機溶剤はそれぞれ単独でもしくは2種以上を組合せて使用することができる。
【0143】
共重合
重合性不飽和モノマー混合物(a)の共重合は、それ自体既知の方法により行なうことができるが、なかでも、有機溶剤中での溶液重合法が好適である。該溶液重合法による共重合法としては、例えば、重合性不飽和モノマー混合物(a)とラジカル重合開始剤の混合物を、反応溶媒(b)に溶解もしくは分散せしめ、通常、約80℃〜約200℃の温度で、1〜10時間程度撹拌しながら加熱することにより重合させる方法を挙げることができる。重合反応時において、反応溶媒(b)は、重合性不飽和モノマー混合物(a)100質量部を基準として、通常10〜300質量部、好ましくは30〜200質量部、さらに好ましくは50〜150質量部となる割合で使用することができる。
【0144】
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルパーオキシ)バレレート等のパーオキシケタール類;クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジイソプロピルベンゼンパーオキサイド、tert−ブチルクミルパーオキサイド等のジアルキルパーオキサイド類;デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ビス(tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカーボネート類;tert−ブチル
パーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類等の有機過酸化物系重合開始剤;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、アゾクメン2,2’−アゾビスメチルバレロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ系重合開始剤を挙げることができる。これらのラジカル重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、重合性不飽和モノマー混合物(a)100質量部を基準として、通常0.1〜15質量部、特に0.3〜10質量部の範囲内であることが望ましい。
【0145】
上記重合反応において、モノマー成分や重合開始剤の添加方法は特に制約されるものではないが、重合反応における温度制御、ゲル化物のような不良な架橋物の生成の抑制等の観点から、重合開始剤は重合初期に一括仕込みするよりも重合初期から重合後期にわたって数回に分けて分割滴下することが好適である。
【0146】
かくして得られる顔料分散用樹脂(A)は、得られる塗膜の耐水性の観点から、一般に30〜200mgKOH/g、特に45〜180mgKOH/g、さらに特に60〜150mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好適である。
【0147】
なお、本明細書において、「酸価」は、試料をプロピレングリコールモノメチルエーテルで溶解又は分散し、25℃において、フェノールフタレインを指示薬として、水酸化カリウムのエタノール溶液で滴定し、測定液が淡桃色を呈した点を終点として、下記式により算出される値である。

酸価(mgKOH/g)=56.1×V×C/m

V:滴定量(ml)、
C:滴定液の濃度(mol/l)、
m:試料の固形分重量(g)。
【0148】
また、上記顔料分散用樹脂(A)は、得られる塗膜の耐水性の観点から、一般に10〜200mgKOH/g、特に20〜180mgKOH/g、さらに特に30〜150mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好適である。
【0149】
さらに、上記顔料分散用樹脂(A)は、得られる塗膜の外観及び耐水性の観点から、一般に2,000〜200,000、特に4,000〜100,000、さらに特に10,000〜50,000の範囲内の数平均分子量を有することが好適である。
【0150】
なお、本明細書において、「数平均分子量」及び「重量平均分子量」は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフ(東ソー社製、「HLC8120GPC」)で測定した数平均分子量及び重量平均分子量を、標準ポリスチレンの分子量を基準にして換算した値である。この測定は、カラムとして「TSKgel G−4000HXL」、「TSKgel G−3000HXL」、「TSKgel G−2500HXL」、「TSKgel G−2000HXL」(いずれも商品名、東ソー社製)の4本を用い、移動相:テトラヒドロフラン、測定温度:40℃、流速:1mL/min、検出器:RIなる測定下で行ったものである。
【0151】
顔料分散用樹脂(A)は、下記一般式(I)
【0152】
【化34】

【0153】
[式中、R及びmは前記と同じ意味を表し、m個の繰り返し単位
【0154】
【化35】

【0155】
は互いに同じであっても又は互いに異なっていてもよい]
で示される2価の基を、顔料分散用樹脂(A)の質量を基準として、一般に1〜70質量%、特に5〜60質量%、さらに特に10〜50質量%の範囲内の質量割合で含有することが好適である。
【0156】
顔料分散体
上記の如くして製造される顔料分散用樹脂(A)は、顔料(B)、及び必要に応じて、溶媒、顔料分散剤、その他の添加剤等と混合することによって顔料分散体とすることができる。
【0157】
顔料(B)
顔料(B)としては、例えば、アルミニウム、銅、亜鉛、真ちゅう、ニッケル、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母、光輝性グラファイト等の光輝性顔料(B1);酸化チタン、亜鉛華、カーボンブラック、ベンガラ、モリブデンレッド、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等の着色顔料(B2);クレー、カオリン、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、シリカ、アルミナホワイト等の体質顔料(B3)等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。また、これらの顔料は、それ自体既知の表面処理、例えば酸処理、塩基処理、カップリング剤処理、プラズマ処理、酸化処理、還元処理等が施されたものであってもよい。
【0158】
顔料(B)としては、光輝性顔料(B1)及び/又は着色顔料(B2)を用いることが好ましく、光輝性顔料(B1)を用いることがさらに好ましい。
【0159】
光輝性顔料(B1)としては、例えば、アルミニウム、酸化アルミニウム、雲母、酸化チタンや酸化鉄で被覆された酸化アルミニウム、酸化チタンや酸化鉄で被覆された雲母を用いることが好ましく、アルミニウムを用いることがさらに好ましい。
【0160】
また、光輝性顔料(B1)はりん片状であることが好ましい。りん片状の光輝性顔料(B1)としては、長手方向寸法が1〜100μm程度、好ましくは5〜40μm程度、厚さが0.001〜5μm程度、好ましくは0.01〜2μm程度であるりん片状顔料が適している。
【0161】
また、顔料(B)の少なくとも一部として、光輝性顔料(B1)、特にアルミニウム顔
料を使用する場合、顔料分散用樹脂(A)は、得られる塗膜の外観に優れる観点から、重合性不飽和モノマー混合物(a−1)の共重合体及び/又は重合性不飽和モノマー混合物(a−3)の共重合体であることが好ましく、重合性不飽和モノマー混合物(a−3)の共重合体であることがさらに好ましい。
【0162】
顔料(B)の配合割合は、特に制限されるものではないが、顔料分散用樹脂(A)の樹脂固形分100質量部に対して、通常10〜3,000質量部、好ましくは15〜2,000質量部、さらに好ましくは20〜1,500質量部の範囲内にあることが好ましい。
【0163】
また、必要に応じて用いられる前記溶媒としては、水及び/又は有機溶剤が挙げられ、該有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶剤;メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、ジエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のアルコール系溶媒;エチルブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソブチルエーテル、1、4−ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等のエーテル系溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド等のアミド系溶剤;コスモ石油社製のスワゾール310、スワゾール1000、スワゾール1500等の芳香族石油系溶剤等を挙げることができ、これらの有機溶剤はそれぞれ単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0164】
顔料分散体が、上記溶媒を含有する場合、該溶媒の配合割合は、特に制限されるものではないが、顔料分散用樹脂(A)の樹脂固形分100質量部を基準として、通常50〜5,000質量部、特に100〜3,000質量部、さらに特に100〜2,000質量部の範囲内にあることが好ましい。
【0165】
上記顔料分散体は、以上に述べた各成分を、例えば、ペイントシェーカー、スキャンデックス、ディスパー等を用いて均一に混合、分散させることにより調製することができる。
【0166】
塗料組成物
上記の如くして調製される顔料分散体は、塗料用バインダ樹脂、及び必要に応じて、溶媒、硬化触媒、ポリマー微粒子、紫外線吸収剤、光安定剤、増粘剤、塩基性中和剤、塗面調整剤、酸化防止剤、シランカップリング剤等の塗料添加剤と混合することによって塗料組成物とすることができる。なかでも、該塗料組成物は水性塗料であることが好ましい。
【0167】
なお、水性塗料は、有機溶剤型塗料と対比される用語であって、一般に、水または水を主成分とする媒体(水性媒体)に、塗料用バインダ樹脂、顔料等を分散及び/又は溶解させてなる塗料を意味する。塗料組成物が水性塗料である場合、環境負荷を低減する観点から、塗料組成物100質量部を基準として、水を10〜90質量部、好ましくは20〜80質量部、さらに好ましくは30〜70質量部含有することが好適である。
【0168】
上記塗料用バインダ樹脂としては、塗料の分野で通常使用される基体樹脂と硬化剤(D)との組み合わせが包含される。該基体樹脂としては、従来から水性塗料に使用されているそれ自体既知のものを使用することができ、例えば、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等をベースとする水溶性又は水分散性の樹脂を使用することができる。また、これらの樹脂は、その分子中に、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基を有していることが好ましい。なかでも、基体樹脂は水酸基含有樹脂(C)であることが好ましく、水酸基含有アクリル樹脂(C1)及び/又は水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)であることがさらに好ましい。
【0169】
水酸基含有アクリル樹脂(C1)は、以下に述べる水酸基含有重合性不飽和モノマー(c−1)を含む重合性不飽和モノマー成分を、それ自体既知の方法、例えば、有機溶媒中での溶液重合法、水中でのエマルション重合法等の方法により、(共)重合せしめることによって製造することができる。
【0170】
水酸基含有重合性不飽和モノマー(c−1)は、1分子中に水酸基及び重合性不飽和結合をそれぞれ少なくとも1個ずつ有する化合物であり、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド;アリルアルコール、さらに、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等を挙げることができる。これらのモノマー(c−1)は、それぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0171】
また、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c−1)と共重合可能な他の重合性不飽和モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキルまたはシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のビニル芳香族化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートのアミン類付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレ−ト等の重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホエチルメタクリレート等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;これらスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマーのナトリウム塩やアンモニウム塩;2−アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、2−メタクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート等のリン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー;3級アミノ基、4級アンモニウム塩基等のカチオン性官能基を有する重合性不飽和モノマー等が挙げられる。これら重合性不飽和モノマー(a2−2)はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0172】
水酸基含有アクリル樹脂(C1)はまたアミド基を有することが好ましい。アミド基を有する水酸基含有アクリル樹脂は、例えば、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c−1)と共重合可能な他の重合性不飽和モノマーの少なくとも一部として、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有重合性不飽和モノマーを用いることにより製造することができる。
【0173】
水酸基含有アクリル樹脂(C1)は、貯蔵安定性や得られる塗膜の耐水性等の観点から、通常1〜200mgKOH/g、特に2〜80mgKOH/g、さらに特に5〜50mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することがさらに好ましい。
【0174】
また、水酸基含有アクリル樹脂(C1)がカルボキシル基等の酸基を有する場合、水酸基含有アクリル樹脂(C1)は、得られる塗膜の耐水性等の観点から、通常5〜150m
gKOH/g、特に10〜100mgKOH/g、さらに特に15〜70mgKOH/gの範囲内がの酸価を有することが好ましい。
【0175】
さらに、水酸基含有アクリル樹脂(C1)は、一般に2,000〜1,000,000、特に3,000〜200,000、さらに特に5,000〜100,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好適である。
【0176】
水酸基含有アクリル樹脂(C1)は、得られる塗膜の外観及び耐水性の観点から、重合性不飽和基を1分子中に2個以上有する重合性不飽和モノマー(c−2)0.1〜30質量%及び重合性不飽和基を1分子中に1個有する重合性不飽和モノマー(c−3)70〜99.9質量%のモノマー混合物から得られる共重合体(I)よりなるコア部と、水酸基含有重合性不飽和モノマー(c−1)1〜35質量%、疎水性重合性不飽和モノマー(c−4)5〜60質量%及びその他の重合性不飽和モノマー(c−5)5〜94質量%のモノマー混合物から得られる共重合体(II)よりなるシェル部とからなり、共重合体(I)/共重合体(II)の割合が、塗膜の外観向上の観点から、固形分質量比で10/90〜90/10、特に50/50〜85/15、さらに特に65/35〜80/20の範囲内にあるコア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)であることが好ましい。
【0177】
本明細書において、「重合性不飽和基」は、ラジカル重合しうる不飽和基を意味し、かかる重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
【0178】
モノマー(c−2)としては、例えば、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレート、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルテレフタレート、ジビニルベンゼン、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらのモノマーはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0179】
モノマー(c−2)は、コア部共重合体(I)に架橋構造を付与する機能を有するものであり、モノマー(c−2)の使用割合は、コア部共重合体(I)の架橋の程度に応じて適宜決定し得るが、上記モノマー(c−2)及び上記モノマー(c−3)の合計量を基準として、通常、0.1〜30質量%、特に0.5〜10質量%、さらに特に1〜7質量%の範囲内であることが好ましい。
【0180】
モノマー(c−2)としては、得られる塗膜の外観に優れる観点から、重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有し、且つアミド基を少なくとも1個有する重合性不飽和モノマー(c−2’)を使用することが好ましい。モノマー(c−2’)としては、例えば、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらのモノマーはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。モノマー(c−2’)を使用する場合、モノマー(c−2’)の使用量は、モノマー(c−2)及びモノマー(c−3)の合計量を基準として、通常0.1〜25質量%、特に0.5〜9質量%、さらに特に1〜4質量%の範囲内であることが好ましい。
【0181】
コア部共重合体(I)用モノマーとして用いられるモノマー(c−3)は、上記重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマー(c−2)と共重合可能な重合性不飽和モノマーであり、その具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;トリシクロデセニル(メタ)アクリレート等のトリシクロデセニル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環含有重合性不飽和モノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のフッ素化アルキル基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物、該(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコ−ル、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基含有重合性不飽和モノマー;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有重合性不飽和モノマー;分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、コア・シェル型水分散性水酸基含有アクリル樹脂に要求される性能に応じて、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0182】
また、モノマー(c−1)としては、前述したように、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物;該(メタ)アクリ
ル酸と炭素数2〜8の2価アルコールとのモノエステル化物のε−カプロラクトン変性体;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0183】
モノマー(c−1)の使用割合は、コア・シェル型水分散性アクリル樹脂の水性媒体中における安定性及び得られる塗膜の耐水性に優れる観点から、シェル部共重合体(II)を構成するモノマー合計質量を基準として、通常1〜40質量%、特に4〜25質量%、さらに特に7〜19質量%の範囲内であることが好ましい。
【0184】
シェル部共重合体(II)用モノマーとして用いられるモノマー(c−4)は、炭素数が6以上の直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマーであり、水酸基含有重合性不飽和モノマー等の親水性基を有するモノマーは除外される。モノマー(c−4)としては、例えば、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(商品名、大阪有機化学工業社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロドデシル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香環含有重合性不飽和モノマー等を挙げることができる。これらのモノマーはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0185】
また、モノマー(c−4)としては、得られる塗膜の外観を向上させる観点から、炭素数6〜18のアルキル基を有する重合性不飽和モノマー及び/又は芳香環含有重合性不飽和モノマーを用いることが好ましく、特に、スチレンを用いることが好ましい。
【0186】
モノマー(c−4)の使用割合は、コア・シェル型水分散性アクリル樹脂の水性媒体中における安定性及び得られる塗膜の耐水性に優れる観点から、シェル部共重合体(II)を構成するモノマーの合計質量を基準として、一般に5〜60質量%、特に7〜40質量%、さらに特に9〜30質量%の範囲内であることが好ましい。
【0187】
モノマー(c−4)としてスチレンを用いる場合、スチレンの使用割合は、シェル部共重合体(II)を構成するモノマーの合計質量を基準として、一般に5〜50質量%、特に7〜30質量%、さらに特に9〜20質量%の範囲内であることが好ましい。
【0188】
シェル部共重合体(II)用モノマーとして用いられるモノマー(c−5)は、モノマー(c−1)及びモノマー(c−4)以外の重合性不飽和モノマーであり、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;カルボキシル基含有重合性不飽和モノマー等を挙げることができる。これらのモノマーはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0189】
上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーの具体例としては、前記コア部共重合体(I)用モノマーとして例示したものが挙げられ、特に、アクリル酸及び/又はメタクリ
ル酸を用いることが好ましい。
【0190】
モノマー(c−5)の少なくとも一部として上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを使用することにより、得られるコア・シェル型水分散性アクリル樹脂の水性媒体中における安定性を確保することができる。
【0191】
上記カルボキシル基含有重合性不飽和モノマーを使用する場合のその使用割合は、塗料の安定性及び形成塗膜が耐水性に優れる等の観点から、シェル部共重合体(II)を構成するモノマー合計質量を基準として、通常1〜40質量%、特に6〜25質量%、さらに特に7〜19質量%の範囲内であることが好ましい。
【0192】
また、得られる塗膜の外観向上の観点から、シェル部共重合体(II)用モノマーとして用いられるモノマー(c−5)として、重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有する重合性不飽和モノマーを使用せず、共重合体(II)を未架橋型とすることが好ましい。
【0193】
コア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)は、形成塗膜が耐水性に優れる等の観点から、一般に1〜70mgKOH/g、特に2〜50mgKOH/g、さらに特に5〜30mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。
【0194】
また、コア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)は、塗料組成物の貯蔵安定性及び形成塗膜が耐水性に優れる等の観点から、一般に5〜90mgKOH/g、特に8〜50mgKOH/g、さらに特に10〜35mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。
【0195】
コア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)は、例えば、モノマー(c−2)0.1〜30質量%及びモノマー(c−3)70〜99.9質量%からなるモノマー混合物を乳化重合してコア部共重合体(I)のエマルションを生成せしめた後、このエマルション中に、モノマー(c−1)1〜35質量%、モノマー(c−4)5〜60質量%及びモノマー(c−5)5〜94質量%からなるモノマー混合物を添加し、さらに乳化重合させてシェル部共重合体(II)を生成せしめることによって調製することができる。
【0196】
コア部共重合体(I)のエマルションを調製するための乳化重合は、それ自体既知の方法により行うことができ、例えば、乳化剤の存在下で、重合開始剤を使用してモノマー混合物を乳化重合することにより行うことができる。
【0197】
上記乳化剤は、アニオン性乳化剤又はノニオン性乳化剤が好適であり、該アニオン性乳化剤としては、例えば、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸等のナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられ、また、ノニオン系乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等が挙げられる。
【0198】
乳化剤として、1分子中にアニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性乳化剤;1分子中にアニオン性基とラジカル重合性不飽和基とを有する反応性アニオン性乳化剤
を使用することもできる。これらの内、反応性アニオン性乳化剤を使用することが好ましい。
【0199】
上記反応性アニオン性乳化剤としては、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、プロペニル基、ブテニル基等のラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のナトリウム塩やアンモニウム塩を挙げることができる。得られる塗膜の耐水性に優れるため、これらのうち、ラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩が好ましい。該スルホン酸化合物のアンモニウム塩の市販品としては、例えば、「ラテムルS−180A」(商品名、花王(株)製)等を挙げることができる。
【0200】
また、上記ラジカル重合性不飽和基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩の中でも、ラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩がより好ましい。上記ラジカル重合性不飽和基とポリオキシアルキレン基を有するスルホン酸化合物のアンモニウム塩の市販品としては、例えば、「アクアロンKH−10」(商品名、第一工業製薬(株)製)、「SR−1025A」(商品名、(株)ADEKA製)等を挙げることができる。
【0201】
上記乳化剤の使用量は、使用される全モノマーの合計量を基準にして、通常0.1〜15質量%、特に0.5〜10質量%、さらに特に1〜5質量%の範囲内が好ましい。
【0202】
前記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4’−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられる。これらの重合開始剤はそれぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記重合開始剤に、必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体等の還元剤を併用してレドックス開始剤としてもよい。
【0203】
上記重合開始剤の使用量は、使用される全モノマーの合計質量を基準にして、一般に0.1〜5質量%、特に0.2〜3質量%の範囲内が好ましい。該重合開始剤の添加方法は、特に制限されるものではなく、その種類、量等に応じて適宜選択することができ、例えば、予めモノマー混合物又は水性媒体に含ませてもよく、或いは重合時に一括して添加してもよく又は滴下してもよい。
【0204】
コア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)は、上記で得られるコア部共重合体(I)のエマルションに、上記モノマー(c−1)、上記モノマー(c−4)及び上記モノマー(c−5)からなるモノマー混合物を添加し、さらに重合させてシェル部共重合体(II)を形成することによって得ることができる。
【0205】
上記シェル部共重合体(II)を形成するためのモノマー混合物は、必要に応じて、前記重合開始剤、連鎖移動剤、還元剤、乳化剤等の成分を適宜含有することができる。
【0206】
また、当該モノマー混合物は、そのまま滴下することもできるが、該モノマー混合物を
水性媒体に分散して得られるモノマー乳化物として滴下することが望ましい。この場合におけるモノマー乳化物の粒子径は特に制限されるものではない。
【0207】
シェル部共重合体(II)を形成するモノマー混合物の重合方法としては、例えば、該モノマー混合物又はその乳化物を、一括で又は徐々に滴下して、上記コア部共重合体(I)のエマルションに添加し、攪拌しながら適当な温度に加熱する方法が挙げられる。
【0208】
かくして得られるコア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)は、モノマー(c−2)及びモノマー(c−3)からなるモノマー混合物の共重合体(I)をコア部とし、モノマー(c−1)、上記モノマー(c−4)及び上記モノマー(c−5)からなるモノマー混合物の共重合体(II)をシェル部とする複層構造を有する。
【0209】
コア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)は、一般に10〜1000nm程度、特に20〜500nm程度の平均粒子径を有することができる。
【0210】
本明細書において、コア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)の平均粒子径は、サブミクロン粒度分布測定装置を用いて、常法により脱イオン水で希釈してから20℃で測定した値である。サブミクロン粒度分布測定装置としては、例えば、「COULTER
N4型」(商品名、ベックマン・コールター社製)を用いることができる。
【0211】
コア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)の粒子の機械的安定性を向上させるために、該水分散性アクリル樹脂(C1’)が有するカルボキシル基等の酸性基を中和剤により中和することが望ましい。該中和剤としては、酸性基を中和できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水等が挙げられる。これらの中和剤は、中和後の水分散性アクリル樹脂の水分散液のpHが6.5〜9.0程度となるような量で用いることが望ましい。
【0212】
本発明の塗料組成物において、水酸基含有樹脂(C)として、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)を使用することにより、得られる塗膜の平滑性を向上させることができる。
【0213】
水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)は、通常、酸成分とアルコ−ル成分とのエステル化反応又はエステル交換反応によって製造することができる。
【0214】
上記酸成分としては、ポリエステル樹脂の製造に際して、酸成分として通常使用される化合物を使用することができ、例えば、脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸、芳香族多塩基酸等を挙げることができる。
【0215】
上記脂肪族多塩基酸は、一般に、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する脂肪族化合物、該脂肪族化合物の酸無水物及び該脂肪族化合物のエステル化物を包含し、脂肪族多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、オクタデカン二酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;該脂肪族多価カルボン酸の無水物;該脂肪族多価カルボン酸の炭素数1〜4の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂肪族多塩基酸はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。上記脂肪族多塩基酸としては、形成塗膜の平滑性の観点から、アジピン酸及び/又はアジピン酸無水物を用いることが特に好ましい。
【0216】
上記脂環族多塩基酸は、一般に、1分子中に少なくとも1個の脂環式構造と少なくとも2個のカルボキシル基を有する化合物、該化合物の酸無水物及び該化合物のエステル化物
を包含し、脂環式構造は主として4〜6員環構造であることが好ましい。脂環族多塩基酸としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、3−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸等の脂環族多価カルボン酸;該脂環族多価カルボン酸の無水物;該脂環族多価カルボン酸の炭素数1〜4の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記脂環族多塩基酸はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。上記脂環族多塩基酸としては、形成塗膜の平滑性の観点から、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸、4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物を用いることが好ましく、なかでも、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物を用いることがより好ましい。
【0217】
上記芳香族多塩基酸には、一般に、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する芳香族化合物、該芳香族化合物の酸無水物及び該芳香族化合物のエステル化物が包含され、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;該芳香族多価カルボン酸の無水物;該芳香族多価カルボン酸の炭素数1〜4の低級アルキルのエステル化物等が挙げられる。上記芳香族多塩基酸はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。上記芳香族多塩基酸としては、フタル酸、無水フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸を使用することが好ましい。
【0218】
また、上記脂肪族多塩基酸、脂環族多塩基酸及び芳香族多塩基酸以外の酸成分を使用することもでき、かかる酸成分としては、特に制限はなく、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等の脂肪酸;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、シクロヘキサン酸、10−フェニルオクタデカン酸等のモノカルボン酸;乳酸、3−ヒドロキシブタン酸、3−ヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。これらの酸成分はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0219】
前記アルコール成分としては、1分子中に少なくとも2個の水酸基を有する多価アルコールを好適に使用することができ、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,3−ジメチルトリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、3−メチル−4,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等の2価アルコール;これらの2価アルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加したポリラクトンジオール;ビス(ヒドロキシ
エチル)テレフタレート等のエステルジオール類;ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等のポリエーテルジオール類;グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジグリセリン、トリグリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌル酸、ソルビトール、マンニット等の3価以上のアルコール;これらの3価以上のアルコールにε−カプロラクトン等のラクトン類を付加させたポリラクトンポリオール類等が挙げられる。
【0220】
また、上記多価アルコール以外のアルコール成分を使用することもでき、かかるアルコール成分としては、特に制限はなく、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ステアリルアルコール、2−フェノキシエタノール等のモノアルコール;プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)等のモノエポキシ化合物と酸とを反応させて得られるアルコール化合物等が挙げられる。
【0221】
水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)の製造方法は、特に限定されるものではなく、通常の方法に従って行なうことができる。例えば、前記酸成分とアルコール成分とを、窒素気流中、約150〜約250℃の温度で、5〜10時間程度加熱し、該酸成分とアルコール成分とのエステル化反応又はエステル交換反応を行なう方法により、水酸基含有ポリエステル樹脂を製造することができる。
【0222】
上記酸成分及びアルコール成分をエステル化反応又はエステル交換反応せしめる際には、反応容器中に、これらを一度に添加してもよいし、一方又は両者を、数回に分けて添加してもよい。また、先ず、水酸基含有ポリエステル樹脂を合成した後、得られた水酸基含有ポリエステル樹脂に酸無水物を反応させてハーフエステル化させることによりカルボキシル基及び水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。また、先ず、カルボキシル基含有ポリエステル樹脂を合成した後、上記アルコール成分を付加させることにより水酸基含有ポリエステル樹脂としてもよい。
【0223】
前記エステル化又はエステル交換反応の際には、反応を促進させるための触媒として、ジブチル錫オキサイド、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸カルシウム、酢酸鉛、テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のそれ自体既知の触媒を使用することができる。
【0224】
また、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)は、該樹脂の調製中又は調製後に、脂肪酸、モノエポキシ化合物、ポリイソシアネート化合物等で変性することができる。上記脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、麻実油脂肪酸、米ぬか油脂肪酸、魚油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、アマニ油脂肪酸、桐油脂肪酸、ナタネ油脂肪酸、ヒマシ油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸等が挙げられ、上記モノエポキシ化合物としては、例えば、「カージュラE10」(商品名、HEXION Specialty Chemicals社製、合成高分岐飽和脂肪酸のグリシジルエステル)を好適に用いることができ、上記ポリイソシアネート化合物としては、例えば、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート類;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3−(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート類;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソ
シアネート等の芳香族ジイソシアネート類;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体;これらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物;これらの各有機ポリイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビウレット型付加物等が挙げられる。これらのポリイソシアネート化合物はそれぞれ単独で又は2種以上混合して使用することができる。
【0225】
水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)としては、得られる塗膜の外観に優れる観点から、原料の酸成分中の脂環族多塩基酸の含有量が、該酸成分の合計量を基準として、一般に20〜100モル%、特に25〜95モル%、さらに特に30〜90モル%の範囲内であることが好ましい。特に、形成塗膜が平滑性に優れる等の観点から、上記脂環族多塩基酸は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸及び/又は1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物であることが好ましい。
【0226】
水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)は、一般に10〜200mgKOH/g、特に20〜180mgKOH/g、さらに特に30〜160mgKOH/gの範囲内の水酸基価を有することが好ましい。また、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)がカルボキシル基を有する場合には、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)は、一般に5〜150mgKOH/g、特に10〜100mgKOH/g、さらに特に20〜70mgKOH/gの範囲内の酸価を有することが好ましい。さらに、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)は、一般に500〜100,000、特に1,000〜50,000、さらに特に1,500〜20,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0227】
本発明の塗料組成物中における水酸基含有樹脂(C)の配合割合は、水酸基含有樹脂(C)及び後述する硬化剤(D)の合計量に基づいて、一般に30〜95質量%、特に50〜90質量%、さらに特に60〜80質量%の範囲内であることが好ましい。
【0228】
特に、本発明の塗料組成物が、水酸基含有樹脂(C)として水酸基含有アクリル樹脂(C1)を含有する場合、水酸基含有アクリル樹脂(C1)の配合割合は、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計量に基づいて、一般に2〜70質量%、特に10〜55質量%、さらに特に20〜45質量%の範囲内であることが好ましい。
【0229】
また、本発明の塗料組成物が、水酸基含有樹脂(C)として水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)を含有する場合、水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)の配合割合は、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計量に基づいて、一般に2〜70質量%、特に5〜55質量%、さらに特に10〜45質量%の範囲内であることが好ましい。
【0230】
硬化剤(D)としては、基体樹脂中の水酸基、カルボキシル基、エポキシ基等の架橋性官能基と反応し得る化合物を使用することができ、例えば、アミノ樹脂(D1)、ポリイソシアネート化合物(D2)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)、エポキシ基含有化合物、カルボキシル基含有化合物、カルボジイミド基含有化合物等が挙げられ、これらはそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。これらの内、水酸基と反応し得るアミノ樹脂(D1)、ポリイソシアネート化合物(D2)及びブロック化ポリイソシアネート化合物(D3);カルボキシル基と反応し得るカルボジイミド基含有化合物が好ましく、アミノ樹脂(D1)、ポリイソシアネート化合物(D2)、ブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)がさらに好ましい。
【0231】
また、本発明の塗料組成物が水性塗料である場合は、硬化剤(D)として、アミノ樹脂(D1)及び/又はブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)を含有することが好ましく、本発明の塗料組成物が有機溶剤型塗料である場合は、硬化剤(D)として、アミノ
樹脂(D1)及び/又はポリイソシアネート化合物(D2)を含有することが好ましい。
【0232】
アミノ樹脂(D1)としては、例えば、メラミン、尿素、ベンゾグアナミン、アセトグアナミン、ステログアナミン、スピログアナミン、ジシアンジアミド等のアミノ成分とアルデヒドとの反応によって得られる部分もしくは完全メチロール化アミノ樹脂が挙げられる。アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ベンツアルデヒド等が挙げられる。また、このメチロール化アミノ樹脂を適当なアルコールによってメチロール基を部分的にもしくは完全にエーテル化したものも使用することができ、エーテル化に用いられるアルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、2−エチルブタノール、2−エチルヘキサノール等が挙げられる。
【0233】
アミノ樹脂(D1)としては、メラミン樹脂が好ましく、なかでも、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチルエーテル化メラミン樹脂、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したブチルエーテル化メラミン樹脂、部分もしくは完全メチロール化メラミン樹脂のメチロール基をメチルアルコール及びブチルアルコールで部分的にもしくは完全にエーテル化したメチル−ブチル混合エーテル化メラミン樹脂が特に好ましい。
【0234】
また、メラミン樹脂(D1)は、通常400〜5,000、特に600〜4,000、さらに特に1,000〜3,000の範囲内の重量平均分子量を有することが好ましい。
【0235】
メラミン樹脂(D1)の市販品としては、例えば、「サイメル202」、「サイメル203」、「サイメル238」、「サイメル251」、「サイメル303」、「サイメル323」、「サイメル324」、「サイメル325」、「サイメル327」、「サイメル350」、「サイメル385」、「サイメル1156」、「サイメル1158」、「サイメル1116」、「サイメル1130」(以上、日本サイテックインダストリーズ社製)、「ユーバン120」、「ユーバン20HS」、「ユーバン20SE60」、「ユーバン2021」、「ユーバン2028」、「ユーバン28−60」(以上商品名、三井化学社製)等が挙げられる。
【0236】
メラミン樹脂(D1)はそれぞれ単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0237】
ポリイソシアネート化合物(D2)は、1分子中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する化合物であって、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、メチルシクロヘキサン−2,4−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン−2,6−ジイソシアネート、1,3−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−ジ(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,2−シクロヘキサンジイソシアネート等の脂環族ジイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;キシリレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−トルイジ
ンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルエーテルジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチル−4,4′−ビフェニレンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトフェニル)スルホン、イソプロピリデンビス(4−フェニルイソシアネート)等の芳香族ジイソシアネート化合物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート、1,3,5−トリイソシアナトベンゼン、2,4,6−トリイソシアナトトルエン、4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2′,5,5′−テトライソシアネート等の1分子中に3個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート類;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物;エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジメチロールプロピオン酸、ポリアルキレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のポリオールの水酸基にイソシアネート基が過剰量となる比率でポリイソシアネート化合物を反応させてなるウレタン化付加物;及びこれらのポリイソシアネートのビューレットタイプ付加物、イソシアヌレート環付加物等が挙げられる。
【0238】
ブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)は、通常、上記ポリイソシアネート化合物(D2)のイソシアネート基にブロック剤を付加することによって得られ、加熱により該ブロック剤が解離してイソシアネート基が再生して水酸基等と反応することができる。該ブロック剤の解離温度としては60〜160℃、好ましくは70〜140℃の範囲内であることが好適である。
【0239】
上記ブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、ニトロフェノール、エチルフェノール、ヒドロキシジフェニル、ブチルフェノール、イソプロピルフェノール、ノニルフェノール、オクチルフェノール、ヒドロキシ安息香酸メチル等のフェノール系;ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム、β−プロピオラクタム等のラクタム系;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコール、ラウリルアルコール等の脂肪族アルコール系;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、メトキシメタノール等のエーテル系;ベンジルアルコール、グリコール酸、グリコール酸メチル、グリコール酸エチル、グリコール酸ブチル、乳酸、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、メチロール尿素、メチロールメラミン、ジアセトンアルコール、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアルコール系;ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系;マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸メチル、アセチルアセトン等の活性メチレン系;ブチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系;アセトアニリド、アセトアニシジド、アセトトルイド、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸アミド、ステアリン酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系;コハク酸イミド、フタル酸イミド、マレイン酸イミド等のイミド系;ジフェニルアミン、フェニルナフチルアミン、キシリジン、N−フェニルキシリジン、カルバゾール、アニリン、ナフチルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ブチルフェニルアミン等アミン系;イミダゾール、2−エチルイミダゾール等のイミダゾール系;尿素、チオ尿素、エチレン尿素、エチレンチオ尿素、ジフェニル尿素等の尿素系;N−フェニルカルバミン酸フェニル等のカルバミン酸エステル系;エチレンイミン、プロピレンイミン等のイミン系;重亜硫酸ソーダ、重亜硫酸カリ等の亜硫酸塩系;アゾール系の化合物等が挙げられる。上記アゾール系の化合物としては、ピラゾー
ル、3,5−ジメチルピラゾール、3−メチルピラゾール、4−ベンジル−3,5−ジメチルピラゾール、4−ニトロ−3,5−ジメチルピラゾール、4−ブロモ−3,5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−フェニルピラゾール等のピラゾール又はピラゾール誘導体;イミダゾール、ベンズイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール等のイミダゾールまたはイミダゾール誘導体;2−メチルイミダゾリン、2−フェニルイミダゾリン等のイミダゾリン誘導体等が挙げられる。好ましいブロック剤としては、オキシム系のブロック剤、活性メチレン系のブロック剤、ピラゾール又はピラゾール誘導体が挙げられる。
【0240】
また、上記ブロック剤として、少なくとも1個のヒドロキシル基と少なくとも1個のカルボキシル基を有するヒドロキシカルボン酸、例えば、ヒドロキシピバリン酸、ジメチロールプロピオン酸等も使用できる。特に、本発明の塗料組成物が水性塗料である場合、上記ヒドロキシカルボン酸を用いてイソシアネート基をブロックした後、該ヒドロキシカルボン酸のカルボキシル基を中和して水分散性を付与したブロック化ポリイソシアネート化合物を好適に用いることができる。
【0241】
本発明の塗料組成物における顔料分散用樹脂(A)、顔料(B)、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の使用割合は厳密に制限されるものではないが、一般には、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準にして、下記の範囲内とすることができる。
顔料分散用樹脂(A):0.5〜30質量部、好ましくは1〜20質量部、さらに好まし
くは2〜10質量部、
顔料(B):2〜70質量部、好ましくは5〜50質量部、さらに好ましくは8〜40質
量部、
水酸基含有樹脂(C):40〜90質量部、好ましくは50〜85質量部、さらに好まし
くは60〜80質量部。
硬化剤(D):10〜60質量部、好ましくは15〜50質量部、さらに好ましくは20
〜40質量部。
【0242】
本発明の塗料組成物において、必要に応じて使用される溶媒としては、水及び/又は有機溶剤が挙げられ、該有機溶剤としては、例えば、前記顔料分散体を製造する際に必要に応じて使用される有機溶剤として説明したものを使用することができる。なかでも、本発明の塗料組成物が水性塗料である場合に、上記溶媒として、水及び疎水性溶剤(E)を含有せしめることが好ましい。
【0243】
本発明における疎水性溶媒(E)は、20℃において、100gの水に溶解する質量が10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下の有機溶媒である。例えば、ゴム揮発油、ミネラルスピリット、トルオール、キシロール、ソルベントナフサ等の炭化水素系溶媒;1−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、1−デカノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等のアルコール系溶媒;酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸メチルアミル、酢酸エチレングリコールモノブチルエーテル等のエステル系溶媒;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルn−アミルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン系溶媒を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0244】
なかでも、形成塗膜が外観に優れる等の観点から、疎水性溶媒(E)はアルコール系溶
媒であることが好ましく、炭素数7〜14のアルコール系溶媒であることがさらに好ましい。炭素数7〜14のアルコール系溶媒としては、例えば、1−オクタノール、2−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、エチレングリコールモノ2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノn−ブチルエーテルを好適に使用することができる。
【0245】
また、本発明の塗料組成物が疎水性溶剤(E)を含有する場合、疎水性溶剤(E)の配合量は、本発明の塗料組成物中の水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計固形分100質量部を基準として、通常2〜70質量部、特に11〜60質量部、さらに特に16〜50質量部の範囲内であることが好適である。
【0246】
前記硬化触媒としては、硬化剤(D)としてメラミン樹脂等のアミノ樹脂(D1)を用いる場合には、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸等のスルホン酸化合物やこれらのスルホン酸化合物のアミン中和物等を好適に使用することができ、硬化剤(D)として、ポリイソシアネート化合物(D2)及び/又はブロック化ポリイソシアネート化合物(D3)を用いる場合には、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、ジブチル錫ジラウレート等の有機金属触媒;トリエチルアミン、ジエタノールアミン等のアミン類等を好適に使用することができる。
【0247】
本発明の塗料組成物が、上記硬化触媒を含有する場合、該硬化触媒の配合量は、本発明の塗料組成物中の水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計固形分100質量部を基準として、通常0.001〜10質量部、特に0.01〜5質量部、さらに特に0.05〜2質量部の範囲内であることが好適である。
【0248】
また、前記ポリマー微粒子は、本発明の塗料組成物中で溶解せず微粒子として分散するポリマーであり、平均粒子径が通常0.01〜1μm、特に0.05〜0.8μmの範囲内のものが好適である。該ポリマー微粒子は、粒子内部が架橋されていても又はされていなくてもよいが、内部架橋されたものが望ましい。該ポリマー微粒子としては、例えば、塗料分野において、塗料の流動性調整剤としてそれ自体既知のものを使用することができる。
【0249】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、サリシレート系、蓚酸アニリド系等の化合物を挙げることができ、前記光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系化合物等を挙げることができる。
【0250】
前記増粘剤としては、例えば、ケイ酸塩、金属ケイ酸塩、モンモリロナイト、有機モンモリロナイト、コロイド状アルミナ等の無機系増粘剤;ポリアクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、ポリアクリル酸ソーダ等のポリアクリル酸系増粘剤;1分子中に親水性部分と疎水性部分を有し、該疎水性部分が組成物中の顔料やエマルション粒子の表面に吸着したり、該疎水性部分同士が会合したりすることにより効果的に増粘作用を示す会合型増粘剤;カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の繊維素誘導体系増粘剤;カゼイン、カゼイン酸ソーダ、カゼイン酸アンモニウム等のタンパク質系増粘剤;アルギン酸ソーダ等のアルギン酸系増粘剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルベンジルエーテル共重合体等のポリビニル系増粘剤;ポリエーテルジアルキルエステル、ポリエーテルジアルキルエーテル、ポリエーテルエポキシ変性物等のポリエーテル系増粘剤;ビニルメチルエーテル−無水マレイン酸共重合体の部分エステル等の無水マレイン酸共重合体系増粘剤;ポリアマイドアミン塩等のポリアマイド系増粘剤等が挙げられる。これらの増粘剤は、それぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0251】
前記ポリアクリル酸系増粘剤の市販品としては、例えば、「プライマルASE−60」、「プライマルTT−615」、「プライマルRM−5」(いずれもロームアンドハース社製、商品名)、「SNシックナー613」、「SNシックナー618」、「SNシックナー630」、「SNシックナー634」、「SNシックナー636」(いずれもサンノプコ社製、商品名)等が挙げられる。前記会合型増粘剤の市販品としては、例えば、「UH−420」、「UH−450」、「UH−462」、「UH−472」、「UH−540」、「UH−752」、「UH−756VF」、「UH−814N」(いずれも株式会社ADEKA製、商品名)、「プライマルRM−8W」、「プライマルRM−825」、「プライマルRM−2020NPR」、「プライマルRM−12W」、「プライマルSCT−275」(いずれもロームアンドハース社製、商品名)、「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」(いずれもサンノプコ社製の商品名)等が挙げられる。
【0252】
特に、本発明では、上記増粘剤として、前記ポリアクリル酸系増粘剤及び/または会合型増粘剤を使用することが好ましく、会合型増粘剤を使用することがより好ましく、末端に疎水基を有し、分子鎖中に1個以上のウレタン結合を含有するウレタン会合型増粘剤を使用することがさらに好ましい。上記ウレタン会合型増粘剤の市販品としては、例えば、前記「UH−420」、「UH−462」、「UH−472」、「UH−540」、「UH−756VF」、「UH−814N」、「SNシックナー612」、「SNシックナー621N」、「SNシックナー625N」、「SNシックナー627N」、「SNシックナー660T」(いずれも株式会社ADEKA製、商品名)等が挙げられる。
【0253】
本発明の塗料組成物が上記増粘剤を含有する場合、本発明の組成物中における該増粘剤の含有量は、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計100質量部に対して、通常0.01〜10質量部。特に0.05〜3質量部、さらに特に0.1〜2質量部の範囲内が好ましい。また、増粘剤として、上記会合型増粘剤を含有する場合、該組成物中における該会合型増粘剤の含有量は、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計100質量部に対して、通常0.01〜10質量部、特に0.05〜2質量部、さらに特に0.1〜1質量部の範囲内が好ましい。
【0254】
被塗物
本発明の塗料組成物を塗装することができる被塗物は、特に限定されるものではなく、例えば、乗用車、トラック、オートバイ、バス等の自動車車体の外板部;自動車部品;携帯電話、オーディオ機器等の家庭電気製品の外板部等を挙げることができ、なかでも、自動車車体の外板部及び自動車部品が好ましい。
【0255】
また、上記被塗物の素材としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、アルミニウム、真鍮、銅、ステンレス鋼、ブリキ、亜鉛メッキ鋼、合金化亜鉛(Zn−Al、Zn−Ni、Zn−Fe等)メッキ鋼等の金属材料;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂や各種のFRP等のプラスチック材料;ガラス、セメント、コンクリート等の無機材料;木材;繊維材料(紙、布等)等を挙げることができ、なかでも、金属材料及びプラスチック材料が好適である。
【0256】
上記被塗物は、上記金属材料やそれから成形された車体等の金属表面に、リン酸塩処理、クロメート処理、複合酸化物処理等の表面処理が施されたものであってもよく、さらに、その上に塗膜が形成されているものであってもよい。
【0257】
塗膜形成を施した被塗物としては、基材に必要に応じて表面処理を施し、その上に下塗り塗膜を形成したもの、該下塗り塗膜の上にさらに中塗り塗膜を形成したもの等を挙げることができる。
【0258】
本発明の塗料組成物は、優れた外観と耐水性を有する塗膜を形成できるため、自動車用上塗り塗料として好適に使用することができる。
【0259】
本発明の塗料組成物を自動車塗装用上塗り塗料として使用する場合、被塗物の代表例としては、化成処理した鋼板に電着塗装によって下塗り塗膜を形成し、得られた下塗り塗膜上に必要に応じて中塗り塗料を塗装したもの、各種プラスチック基材(必要に応じて、表面処理、プライマー塗装、中塗り塗装等を行ったもの)、これらのものが組み合わさった複合部材等が挙げられる。
【0260】
上記電着塗装に用いられる塗料としては、アニオン型電着塗料及びカチオン型電着塗料のいずれでもよいが、防食性の良好なカチオン型電着塗料が望ましい。カチオン型電着塗料としてはそれ自体既知のものを用いることができ、例えば、樹脂成分として水酸基及びカチオン性基を有する基体樹脂とブロックポリイソシアネート化合物等の硬化剤を含むもの等を好適に使用することができる。
【0261】
また、前記中塗り塗料としては、それ自体既知の熱硬化型中塗り塗料を使用することができ、具体的には、例えば、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂系等の基体樹脂に、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物、ブロックポリイソシアネート化合物等の、基体樹脂が含有する反応性官能基と反応性を有する基を有する硬化剤を適宜組み合わせてなる塗料を使用することができる。中塗り塗料としては、環境問題、省資源等の観点から、有機溶剤の使用量の少ないハイソリッド型塗料、水性塗料、粉体塗料等を好適に使用することが好ましい。
【0262】
塗装方法
上記の如き被塗物に対する本発明の塗料組成物の塗装方法は、特に限定されるものではなく、例えば、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、回転霧化塗装、カーテンコート塗装等が挙げられ、これらの塗装方法でウエット塗膜を形成せしめることができる。これらの塗装方法は、必要に応じて、静電印加されていてもよく、なかでも、回転霧化方式の静電塗装及びエアスプレー方式の静電塗装が好ましく、回転霧化方式の静電塗装が特に好ましい。本発明の塗料組成物の塗布量は、被塗物の用途等により変えることができるが、硬化膜厚として、通常5〜50μm、特に8〜40μm、さらに特に10〜30μm程度となる量が好ましい。
【0263】
ウエット塗膜の硬化は、被塗物に本発明の塗料組成物を塗装した後、加熱することにより行うことができる。加熱は、それ自体既知の加熱手段により行うことができ、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の乾燥炉を使用することができる。加熱温度は、通常80〜180℃、好ましくは100〜160℃の範囲内が適している。加熱時間は、特に制限されるものではないが、通常20〜40分間程度とすることができる。
【0264】
本発明の塗料組成物は、自動車用塗料として好適に用いることができ、特に、被塗物上に、光輝性顔料及び/又は着色顔料を含有するベースコート塗料を塗装し、次いでクリヤー塗料を塗装する塗装方法におけるベースコート塗料として好適に使用することができる。
【0265】
本発明の塗料組成物を上記ベースコート塗料として使用するにあたっては、例えば、電
着塗装及び/又は中塗り塗装が施された被塗物上に、本発明の塗料組成物を塗装し、形成される塗膜を硬化させることなく、該未硬化の塗膜上にクリヤー塗料を塗装した後、該未硬化塗膜とクリヤー塗膜を同時に加熱硬化させる2コート1ベーク方式を用いて、複層塗膜を形成せしめることができる。なお、上記未硬化塗膜には、指触乾燥状態の塗膜及び半硬化乾燥状態の塗膜が包含される。
【0266】
本発明の塗料組成物を、2コート1ベーク方式で塗装する場合、本発明の塗料組成物は、乾燥膜厚が通常5〜40μm、特に10〜30μm、さらに特に10〜20μmの範囲内となるように塗装することが好適であり、上記クリヤー塗料は、乾燥膜厚が通常10〜80μm、特に15〜60μmの範囲内となるように塗装することが好適である。また、本発明の塗料組成物が水性塗料である場合、ハジキ等の塗膜欠陥の発生を防止する観点から、本発明の塗料組成物の塗装後に、塗膜が実質的に硬化しない加熱条件でプレヒート(予備加熱)を行うことが好ましい。プレヒートの温度は通常室温〜100℃、好ましくは40〜90℃の範囲内とすることができ、プレヒートの時間は通常30秒間〜15分間、好ましくは1〜5分間とすることができる。さらに、上記クリヤー塗料の塗装後、必要に応じて、室温で通常1〜60分間、好ましくは3〜20分間のインターバルをおいたり、約40〜80℃程度で1〜60分間予備加熱することができる。
【0267】
本発明の塗料組成物及びクリヤー塗料の硬化は、前述したそれ自体既知の加熱手段により行うことができ、具体的には、例えば、通常約80〜約180℃、好ましくは約100〜約160℃の温度で10〜40分間程度加熱して両塗膜を同時に硬化させることが好適である。
【0268】
また、被塗物上に中塗り塗料を塗装し、形成される塗膜を硬化させることなく、その未硬化の中塗り塗膜上に本発明の塗料組成物をベースコート塗料として塗装し、形成される塗膜を硬化させることなく、その未硬化のベースコート塗膜上にクリヤー塗料を塗装してクリヤー塗膜を形成し、そして中塗り塗膜、ベースコート塗膜及びクリヤー塗膜の3層の塗膜を同時に加熱硬化させる3コート1ベーク方式によって複層塗膜を形成せしめることもできる。
【0269】
前記クリヤー塗料としては、例えば、自動車車体の塗装において通常使用されるそれ自体既知のものを使用することができる。具体的には、例えば、水酸基、カルボキシル基、エポキシ基、シラノール基等の架橋性官能基を有する、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂等の基体樹脂と、メラミン樹脂、尿素樹脂、ブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物、カルボキシル基含有化合物もしくは樹脂、エポキシ基含有化合物もしくは樹脂等の架橋剤を樹脂成分として含有する有機溶剤系熱硬化型塗料、水性熱硬化型塗料、熱硬化型粉体塗料、熱硬化型水分散液(スラリー)塗料等が挙げられる。なかでも、水酸基含有樹脂とメラミン樹脂を含む熱硬化型塗料、カルボキシル基含有樹脂とエポキシ基含有樹脂を含む熱硬化型塗料、及び水酸基含有樹脂とブロックされていてもよいポリイソシアネート化合物を含む熱硬化型塗料が好適である。
【0270】
上記基体樹脂と架橋剤との配合比率は、両者の合計に基づいて、基体樹脂成分が通常50〜90質量%、特に60〜80質量%、架橋剤成分が通常20〜40質量%であることが望ましい。
【0271】
上記クリヤー塗料は、一液型塗料であってもよく、二液型ウレタン樹脂塗料のような二液型塗料であってもよい。
【0272】
また、上記クリヤー塗料には、必要に応じて、透明性を阻害しない程度に着色顔料、光
輝性顔料、染料等を含有させることができ、さらに体質顔料、紫外線吸収剤、光安定化剤、消泡剤、増粘剤、防錆剤、表面調整剤等を適宜含有せしめることができる。
【実施例】
【0273】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、「部」及び「%」はいずれも質量基準によるものである。
【0274】
前記一般式(I)で表される2価の基及びリン酸基を含有する重合性不飽和モノマー(m−6)の製造
製造例1
反応容器に、「PLACCEL FM2D」(ダイセル化学工業社製、商品名、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1モルにε−カプロラクトン2モルを付加したモノマー)358部を入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化りん63.9部を少量ずつ加えた。全量添加後、60℃で5時間熟成し、脱イオン水9.0部を加え、さらに80℃にて5時間熟成を行い、重合性不飽和モノマー(m−6−1)を得た。
【0275】
製造例2
反応容器に、「PLACCEL FM1」(ダイセル化学工業社製、商品名、2−ヒドロキシエチルメタクリレ−ト1モルにε−カプロラクトン1モルを付加したモノマー)244部、塩化第二スズ1.44部及びハイドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ)0.18部を入れ、空間部分を窒素置換した後、40℃以下に保ちながらプロピレンオキサイド116部を圧入し、1時間熟成を行った。
【0276】
続いて、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化りん63.9部を少量ずつ加えた。全量添加後、60℃で5時間熟成し、脱イオン水9.0部を加え、さらに80℃にて5時間熟成を行い、重合性不飽和モノマー(m−6−2)を得た。
【0277】
製造例3
反応容器に、「ブレンマーPE−200」(日本油脂社製、商品名、ポリエチレングリコールモノメタクリレート)398部、ε−カプロラクトン114部、モノブチル錫オキサイド0.008部及びMEHQ 0.3部を入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、昇温を開始し、反応温度を120℃一定に保持した。内容物をサンプリングし、ガスクロマトグラフにより、未反応のε−カプロラクトン量を定量しながら、反応率95%を超えたところで冷却した。
【0278】
続いて、50〜60℃で五酸化りん63.9部を少量ずつ加えた。全量添加後、60℃で5時間熟成し、脱イオン水9.0部を加え、さらに80℃にて5時間熟成を行い、重合性不飽和モノマー(m−6−3)を得た。
【0279】
製造例4
反応容器に、「HEAA」(興人社製、商品名、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド)115部、ε−カプロラクトン228部、モノブチル錫オキサイド0.00686部及びMEHQ 0.258部を入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、昇温を開始する。反応温度を120℃一定に保つ。内容物をサンプリングし、ガスクロマトグラフにより、未反応のε−カプロラクトン量を定量しながら、反応率95%を超えたところで冷却した。
【0280】
続いて、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、50〜60℃で五酸化りん63
.9部を少量ずつ加えた。全量添加後、60℃で5時間熟成し、脱イオン水9.0部を加え、さらに80℃にて5時間熟成を行い、重合性不飽和モノマー(m−6−4)を得た。
【0281】
前記一般式(I)で表される2価の基及びスルホン酸基を含有する重合性不飽和モノマー(m−8)の製造
製造例5
反応容器に、「PLACCEL FM2D」(ダイセル化学工業社製、商品名、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1モルにε−カプロラクトン2モルを付加したモノマー)358部を入れ、反応液中に乾燥空気をバブリングさせながら、ピリジン共存下でメタンスルホニルクロリド115部と0℃で10時間反応させ、得られた混合物を水で洗浄した。次に、40%亜硫酸ナトリウム水溶液1000部を加えて激しく攪拌して反応させた後、硫酸で中和し、得られた混合物を水で洗浄して、重合性不飽和モノマー(m−8−1)を得た。
【0282】
顔料分散用樹脂(A)の製造
実施例1
温度計、サーモスタット、撹拌装置、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(水酸基を含有せず、20℃における水への溶解度が100質量%以上)120部を入れ、110℃に加熱し、同温度に保持しつつ、「PLACCEL FM2D」(ダイセル化学工業社製、商品名、ヒドロキシエチルメタクリレート1モルにε−カプロラクトン2モルを付加したモノマー)30部、「ライトエステルP−1M」(共栄社化学社製、商品名、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート)10部、スチレン30部、シクロヘキシルメタクリレート30部及びt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート6部からなるモノマー混合物106部を4時間を要して滴下し、滴下終了後1時間攪拌熟成を行なった。その後、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1部とジプロピレングリコールジメチルエーテル30部とからなる重合開始剤溶液を1時間かけて滴下し、滴下終了後1時間攪拌熟成して、固形分濃度39%の顔料分散用樹脂溶液(A−1)を得た。得られた顔料分散用樹脂の酸価は125mgKOH/g、水酸基価は45mgKOH/g、数平均分子量は20,000であった。
【0283】
実施例2〜19、比較例1〜4
実施例1において、配合割合を下記表1に示す配合割合とする以外は、実施例1と同様にして、固形分濃度39%の顔料分散用樹脂溶液(A−2)〜(A−23)を得た。得られた顔料分散用樹脂溶液(A−2)〜(A−23)の酸価、水酸基価及び数平均分子量を実施例1の顔料分散用樹脂溶液(A−1)と併せて下記表1に示す。なお、下記表1における各重合性不飽和モノマーの量は固形分量である。
【0284】
【表1】

【0285】
【表2】

【0286】
(注1)N−メチル−2−ピロリドン: 水酸基を含有せず、20℃における水への溶解度が100質量%以上。
(注2)N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド: 水酸基を含有せず、20℃における水への溶解度が100質量%以上。
(注3)N,N−ジメチル−β−オクトキシプロピオンアミド: 水酸基を含有せず、20℃における水への溶解度が100質量%未満。
(注4)ジブチルエーテル: 水酸基を含有せず、20℃における水への溶解度が100質量%未満。
(注5)プロピレングリコールモノメチルエーテル: 水酸基を含有し、20℃における水への溶解度が100質量%以上。
(注6)PLACCEL FM3: ダイセル化学工業社製、商品名、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1モルにε−カプロラクトン3モルを付加したモノマー。
(注7)Phosmer PE: ユニケミカル社製、商品名、アシッドホスホオキシポリオキシエチレングリコールモノメタクリレート。
(注8)Phosmer PP: ユニケミカル社製、商品名、アシッドホスホオキシポリオキシプロピレングリコールモノメタクリレート。
【0287】
水酸基含有アクリル樹脂(C1)の製造
製造例6
温度計、サーモスタット、撹拌器、還流冷却器、窒素導入管及び滴下装置を備えた反応容器に、脱イオン水130部及びアクアロンKH−10(注9)0.52部を仕込み、窒素気流中で撹拌混合し、80℃に昇温した。次いで下記のモノマー乳化物(1)のうちの全量の1%量及び6%過硫酸アンモニウム水溶液5.3部を反応容器内に導入し80℃で15分間保持した。その後、残りのモノマー乳化物(1)を3時間かけて、同温度に保持した反応容器内に滴下し、滴下終了後1時間熟成を行なった。その後、下記のモノマー乳化物(2)を1時間かけて滴下し、1時間熟成した後、5%ジメチルエタノールアミン水溶液40部を反応容器に徐々に加えながら30℃まで冷却し、100メッシュのナイロンクロスで濾過しながら排出し、平均粒子径100nm(サブミクロン粒度分布測定装置「COULTER N4型」(ベックマン・コールター社製、商品名)を用いて、脱イオン水で希釈し20℃で測定した)、固形分濃度30%の水分散性水酸基含有アクリル樹脂(C1−1)を得た。得られた水酸基含有アクリル樹脂は、酸価が33mgKOH/g、水酸基価が25mgKOH/gであった。
【0288】
(注9)アクアロンKH−10: ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩:第一工業製薬株式会社製、有効成分97%。
【0289】
モノマー乳化物(1): 脱イオン水42部、アクアロンKH−10 0.72部、メチレンビスアクリルアミド2.1部、スチレン2.8部、メチルメタクリレート16.1部、エチルアクリレート28部及びn−ブチルアクリレート21部を混合攪拌して、モノマー乳化物(1)を得た。
【0290】
モノマー乳化物(2): 脱イオン水18部、アクアロンKH−10 0.31部、過硫酸アンモニウム0.03部、スチレン3部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5.1部、メタクリル酸5.1部、メチルメタクリレート6部、エチルアクリレート1.8部及びn−ブチルアクリレート9部を混合攪拌して、モノマー乳化物(2)を得た。
【0291】
製造例7〜10
下記表2に示す配合とする以外、製造例6と同様に操作し、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(C1−2)〜(C1−5)を得た。
【0292】
表2に、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(C1−1)〜(C1−5)の原料組成(部)、固形分(%)、酸価(mgKOH/g)及び水酸基価(mgKOH/g)を示す。
【0293】
【表3】

【0294】
表2において、モノマー乳化物(1)中のメチレンビスアクリルアミド及びアリルメタクリレートは、重合性不飽和基を1分子中に2個有する重合性不飽和モノマー(c−2)である。このうち、メチレンビスアクリルアミドは、重合性不飽和基を1分子中に少なくとも2個有し且つアミド基を少なくとも1個有する重合性不飽和モノマー(c−2’)である。また、モノマー乳化物(2)中のスチレン及び2−エチルヘキシルアクリレートは、疎水性重合性不飽和モノマー(c−4)である。
【0295】
また、表2において、水分散性水酸基含有アクリル樹脂(C1−1)〜(C1−5)の内、(C1−1)〜(C1−3)は、コア・シェル型水分散性アクリル樹脂(C1’)に該当する。
【0296】
水酸基含有ポリエステル樹脂(C2)の製造
製造例11
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン109部、1,6−ヘキサンジオール141部、ヘキサヒドロ無水フタル酸126部及びアジピン酸120部を仕込み、160℃から230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38.3部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)で希釈し、固形分濃度70%である水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(C2−1)を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が150mgKOH/g、重量平均分子量が6,400であ
った。原料組成において、酸成分中の脂環族多塩基酸の合計含有量は、該酸成分の合計量を基準として46モル%であった。
【0297】
製造例12
温度計、サーモスタット、攪拌装置、還流冷却器及び水分離器を備えた反応容器に、トリメチロールプロパン111部、1,6−ヘキサンジオール143部、ヘキサヒドロ無水フタル酸50部、イソフタル酸100部及びアジピン酸106部を仕込み、160℃から230℃の間を3時間かけて昇温させた後、230℃で4時間縮合反応させた。次いで、得られた縮合反応生成物にカルボキシル基を付加するために、さらに無水トリメリット酸38部を加え、170℃で30分間反応させた後、2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)で希釈し、固形分濃度70%である水酸基含有ポリエステル樹脂溶液(C2−2)を得た。得られた水酸基含有ポリエステル樹脂は、酸価が46mgKOH/g、水酸基価が151mgKOH/g、重量平均分子量が6,100であった。原料組成において、酸成分中の脂環族多塩基酸の合計含有量は、該酸成分の合計量を基準として17モル%であった。
【0298】
製造例13
希釈溶剤の2−エチル−1−ヘキサノールを、エチレングリコールモノn−ブチルエーテル(20℃において100gの水に溶解する質量:無限)に変更する以外は、製造例11と同様にして、ポリエステル樹脂溶液(C2−3)を得た。
【0299】
塗料組成物の製造
実施例20
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(旭化成メタルズ社製、商品名、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)35部、実施例1で得た顔料分散用樹脂溶液(A−1)10部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、顔料分散体を得た。
【0300】
次に、製造例6で得たアクリル樹脂エマルション(C1−1)100部、製造例11で得たポリエステル樹脂溶液(C2−1)57部、上記の顔料分散体64部及び「サイメル325」(商品名、日本サイテックインダストリーズ社製、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、さらに、ポリアクリル酸系増粘剤(商品名「プライマルASE−60」、Rohm and Haas Company社製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、固形分23%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が40秒の水性塗料組成物(X−1)を得た。
【0301】
実施例21〜45及び比較例5〜8
実施例20において、配合組成を下記表3に示す通りとする以外は、実施例20と同様にして、pH8.0、固形分23%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が40秒の水性塗料組成物(X−2)〜(X−26)及び(X−28)〜(X−31)を得た。
【0302】
実施例46
攪拌混合容器内において、アルミニウム顔料ペースト「GX−180A」(旭化成メタルズ社製、商品名、金属含有量74%)19部、2−エチル−1−ヘキサノール(20℃において100gの水に溶解する質量:0.1g)35部、実施例9で得た顔料分散用樹脂溶液(A−9)10部及び2−(ジメチルアミノ)エタノール0.2部を均一に混合して、顔料分散体を得た。
【0303】
次に、製造例6で得たアクリル樹脂エマルション(C1−1)100部、製造例11で
得たポリエステル樹脂溶液(C2−1)57部、上記の顔料分散体64部及び「サイメル325」(日本サイテックインダストリーズ社製、商品名、メラミン樹脂、固形分80%)37.5部を均一に混合し、さらに、ウレタン会合型増粘剤(商品名「UH−752」、(株)ADEKA製)、2−(ジメチルアミノ)エタノール及び脱イオン水を加えてpH8.0、固形分23%、20℃におけるフォードカップNo.4による粘度が40秒の水性塗料組成物(X−27)を得た。
【0304】
【表4】

【0305】
【表5】

【0306】
【表6】

【0307】
(注10)エチレングリコールモノn−ブチルエーテル: 20℃において100gの水に溶解する質量は無限。
(注11)バイヒジュールVPLS2310: 商品名、住化バイエルウレタン株式会社製、ブロック化ポリイソシアネート化合物、固形分38%。
【0308】
塗膜形成方法(試験板の作製)
上記実施例20〜46及び比較例5〜8で得られた水性塗料組成物(X−1)〜(X−31)について、以下のようにしてそれぞれ試験板を作製し、評価試験を行なった。
(試験用被塗物の作製)
りん酸亜鉛処理された冷延鋼板に「エレクロンGT−10」(商品名、関西ペイント社製、熱硬化性エポキシ樹脂系カチオン電着塗料)を乾燥膜厚20μmになるように電着塗装し、170℃で30分間加熱して硬化させてから、その上に中塗り塗料「TP−65−2」(商品名、関西ペイント社製、ポリエステル樹脂・アミノ樹脂系有機溶剤型中塗り塗料)を乾燥膜厚35μmになるように塗装し、140℃で30分間加熱して硬化させて試験用被塗物とした。
【0309】
実施例47
上記試験用被塗物に上記実施例1で得た水性塗料組成物(X−1)を、回転霧化型のベル型静電塗装機を用いて、乾燥膜厚15μmとなるように塗装し、2分間放置後、80℃で3分間プレヒートを行なった。次いで、その未硬化の塗面上に「マジクロンKINO−1210」(商品名、関西ペイント社製、アクリル樹脂系有機溶剤型上塗りクリヤー塗料)を乾燥膜厚35μmとなるように塗装し、7分間放置した後、140℃で30分間加熱してこの両塗膜を同時に硬化させることにより試験板を作製した。
実施例48〜73、比較例9〜12
実施例47における水性塗料組成物(X−1)を、下記表4に示した水性塗料組成物とする以外は、実施例47と同様にして実施例48〜73及び比較例9〜12の試験板を作製した。
【0310】
評価試験
上記実施例47〜73及び比較例9〜12で得られた各試験板について、下記の試験方法により評価を行なった。評価結果を下記表4に示す。
(試験方法)
層間付着性: 試験板の複層塗膜を素地に達するようにカッターで格子状に切り込み、大きさ2mm×2mmのゴバン目を100個作る。続いて、その表面に粘着セロハンテープを貼着し、20℃においてそのテープを急激に剥離した後のゴバン目塗膜の残存状態を調べ、下記の基準で評価した。
◎: ゴバン目塗膜が100個残存し、カッターの切り込みの縁において塗膜の小さな
フチカケが生じていない。
○: ゴバン目塗膜が100個残存するが、カッターの切り込みの縁において塗膜の小
さなフチカケが生じている。
△: ゴバン目塗膜が90〜99個残存する。
×: ゴバン目塗膜の残存数が89個以下である。
耐水性: 試験板を40℃の温水に240時間浸潰し、引き上げ、室温で12時間乾燥してから、上記の層間付着性と同様にして試験を行なった。なお、評価基準も同じである。
外観: 多角度分光測色計「MA−68II」(商品名、X−Rite社製)を用いて、各試験板の塗膜面を測色し、光の入射角を45度としたときの、正反射光から15度及び110度の角度の各L値を測定した。次に、この受光角15度のL値と受光角110度のL値から、下記の式によってフリップフロップ値を求めた。

フリップフロップ値=受光角15度のL値/受光角110度のL値。

フリップフロップ値が大きいほど、観察角度(受光角)によるL値(明度)の変化が大きく、塗膜外観が優れていることを示す。
【0311】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の重合性不飽和モノマー混合物(a−1)〜(a−4):
重合性不飽和モノマー混合物(a−1):下記一般式(I)
【化1】

(式中、Rは炭素数1〜10のアルキレン基を表し、mは1〜30の整数であり、m個の繰り返し単位
【化2】

は互いに同じであっても又は互いに異なっていてもよい)
で示される2価の基を含有する重合性不飽和モノマー(m−1)、リン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−2)、並びに該重合性不飽和モノマー(m−1)及び(m−2)以外の重合性不飽和モノマー(m−3)の混合物;
重合性不飽和モノマー混合物(a−2):上記一般式(I)で表される2価の基を含有する重合性不飽和モノマー(m−1)、スルホン酸基含有重合性不飽和モノマー(m−4)、並びに該重合性不飽和モノマー(m−1)及び(m−4)以外の重合性不飽和モノマー(m−5)の混合物;
重合性不飽和モノマー混合物(a−3):上記一般式(I)で表される2価の基及びリン酸基を含有する重合性不飽和モノマー(m−6)、並びに該重合性不飽和モノマー(m−6)以外の重合性不飽和モノマー(m−7)の混合物;
重合性不飽和モノマー混合物(a−4):上記一般式(I)で表される2価の基及びスルホン酸基を含有する重合性不飽和モノマー(m−8)、並びに重合性不飽和モノマー(m−8)以外の重合性不飽和モノマー(m−9)の混合物;
から選ばれる重合性不飽和モノマー混合物(a)を、水酸基を含有せず且つ20℃における水への溶解度が100質量%以上である有機溶剤(b−1)を、反応溶媒の合計質量を基準として、少なくとも30質量%以上含んでなる反応溶媒(b)中で共重合せしめることを特徴とする、上記一般式(I)で表される2価の基とリン酸基及び/又はスルホン酸基とを含有する顔料分散用樹脂(A)の製造方法。
【請求項2】
顔料分散用樹脂(A)が、一般式(I)で表される2価の基を、顔料分散用樹脂(A)の質量を基準として、1〜70質量%の範囲内の割合で含有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
顔料分散用樹脂(A)が、30〜200mgKOH/gの範囲内の酸価を有する請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法によって製造される顔料分散用樹脂(A)。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法によって製造される顔料分散用樹脂(A)及び顔料(B)を含有することを特徴とする顔料分散体。
【請求項6】
請求項5に記載の顔料分散体、水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)を含有することを特徴とする水性塗料組成物。
【請求項7】
水酸基含有樹脂(C)及び硬化剤(D)の合計樹脂固形分100質量部を基準として、顔料分散用樹脂(A)0.5〜30質量部、顔料(B)2〜70質量部、水酸基含有樹脂(C)40〜90質量部、及び硬化剤(D)10〜60質量部を含有する請求項6記載の水性塗料組成物。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の水性塗料組成物が塗装された物品。
【請求項9】
被塗物上に、請求項6又は7に記載の水性塗料組成物を塗装し、得られる未硬化の塗膜上にクリヤー塗料を塗装した後、加熱して両塗膜を同時に硬化させることを特徴とする複層塗膜形成方法。
【請求項10】
請求項9に記載の複層塗膜形成方法により塗装された物品。

【公開番号】特開2008−291242(P2008−291242A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−114081(P2008−114081)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000001409)関西ペイント株式会社 (815)
【Fターム(参考)】