説明

風力、波力、潮力併用発電装置

【課題】風力、波力、潮力を利用して圧縮機を駆動し高圧空気を作り、一旦タンクに平準化して大量に貯める。この一定圧力の高圧空気でターボファンを安定して回転させ発電機を駆動し、安定した発電量を得る。
【解決手段】風力を受けると回転する風車2a,2bと、波力及び潮力を受けると回転する波車3a,3bと、風車と波車の回転エネルギーで駆動され高圧空気を作る圧縮機4と、前記高圧空気を蓄積するタンク5と、前記タンクからの一定圧力の高圧空気で回転するターボファン6と、前記ターボファンの回転力で回転して発電する発電機7とを少なくとも台船に備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上や河川、湖上が持つ自然エネルギーである風力や波力や潮力を併用して発電する風力、波力、潮力併用発電装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海上や河川、湖上が持つ自然エネルギーである風力や波力や潮力は、常時変化している。この常時変化している自然エネルギーを制御して利用可能なエネルギーに変換し、発電に利用することが望まれている。
【0003】
従来から風力、波力、潮力併用発電装置は、種々提案されている(例えば特許文献1参照)。この風力、波力、潮力併用発電装置は、単胴船の場合は甲板上に無指向性垂直軸風車を備し、双胴船の場合は2つの船体を結合した甲板上に無指向性垂直軸風車を、甲板下の喫水線下には無指向性垂直軸水車を備し、これらにより得られた電力により生産海上工場を稼働するものである。
【0004】
また、特許文献2には、水面上または水面下に半潜水状態におかれた浮子の上にフレームフロートを水平固定し、該フレームに、水面上にはダリウス形風車を、また水面下にはダリウス形水車をそれぞれの回転軸を垂直方向にして設置し、前記風車と水車の回転方向が同一方向になるように回転伝達機構により変換して発電機を駆動するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−331681号公報
【特許文献2】実開昭58−74867号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の風力、波力、潮力併用発電装置は、常時変化している自然エネルギーを制御して利用可能なエネルギーに変換し、発電に利用するようにはなっておらず、発電を効率良く行うことができないという問題点があった。

【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、風力を受けると回転する風車と、波力及び潮力を受けると回転する波車と、風車と波車の回転エネルギーで駆動され高圧空気を作る圧縮機と、前記高圧空気を蓄積するタンクと、前記タンクからの一定圧力の高圧空気で回転するターボファンと、前記ターボファンの回転力で回転して発電する発電機とを少なくとも台船に備えたことを特徴とする。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、風車は受ける風の方向を有指向とする有指向装置を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、タンクの圧力が所定の圧力になれば圧力調整弁を開けてターボファンに供給されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の発明によれば、台船に発電に必要な発電装置を設けているので、台船を発電する場所に移動するだけで発電することができるという効果がある。更に、圧縮機により作られた高圧空気を一旦タンクに平準化して大量に貯めることができるので、一定圧力の高圧空気でターボファンを安定して回転させることができ、発電量も安定するという効果がある。
【0011】
請求項2の発明によれば、風車の受ける風の方向は、有指向となるので、風を効率よく風車に受けることが可能となり、発電の効率が上がるという効果がある。
【0012】
請求項3の発明によれば、一定圧力の高圧空気でターボファンは回転するので、回転が安定し、発電量も安定するという効果があり、更に、簡単な構造でそれを達成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態1に係る風力、波力、潮力併用発電装置の概要を示す平面図。
【図2】同上に係る風車と波車との動力伝達を示す概要図。
【図3】同上に係る風の有指向装置の一部を断面した正面図
【図4】同上に係るターボファンの側面図
【図5】同上に係るターボファンの正面図
【図6】同上に係るターボファンの残圧の活用を示す概略図
【図7】同上に係る風力、波力、潮力併用発電装置のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の効果的な実施の形態を図1〜図7に基づいて説明する。
【実施例】
【0015】
実施形態に係る風力、波力、潮力併用発電装置1は、風力を受けると回転する風車2と、波力及び潮力を受けると回転する波車3と、風車2と波車3の回転エネルギーで駆動され高圧空気を作る圧縮機4と、前記高圧空気を蓄積するタンク5と、前記タンク5からの一定圧力の高圧空気で回転するターボファン6と、前記ターボファン6の回転力で回転して発電する発電機7とを少なくとも台船8に備えている。
【0016】
図1に示すように、台船8は、第1の台船8aと第2の台船8bとで構成されており、第1の台船8aには、圧縮機4と、ターボファン6と、発電機7等が設置されており、第2の台船8bにはタンク5が設置されており、重量バランスが均一になるようにして第1の台船8aと第2の台船8bの喫水線が略一致するようにしている。
【0017】
第1の台船8aと第2の台船8bは、連結部材9により連結されており、第1の台船8aと第2の台船8bの間には、第1の波車3a及び第2の波車3bを固定した主軸10が第1の軸受11を介して軸支されている。第1の風車2a及び第2の風車2b及び第1の波車3a及び第2の波車3bは第1の台船8aと第2の台船8bの間に配置されており、第1の波車3a及び第2の波車3bも一部が海面よりも突出させているとともに、水平に支持された主軸10も海面よりも突出させているので、これらのメンテナンスも容易にできるようになっている。第1の風車2a及び第2の風車2は上部に配設され、第1の波車3a及び第2の波車3bは下部に配設されている。
【0018】
主軸10の回転は、回転増幅器12及びクラッチ13、第1の軸馬力測定器14を介して、第1の圧縮機4a、第2の圧縮機4b、第3の圧縮機4cに伝達され、主軸10の回転は、第1の圧縮機4a、第2の圧縮機4b、第3の圧縮機4cによる3台の圧縮機により圧縮空気に変換される。回転増幅器12から出力された軸馬力を測定し、軸馬力に合った負荷で圧縮機4a、4b、4cを稼働させる。主軸10と回転増幅器12と各圧縮機4はプーリーとベルトにより連結されており、波車3を固定した主軸10の回転数は少ないため、回転増幅器12とプーリー比で圧縮機4の適正回転数に近づけている。第1の軸馬力測定器14は、小さい波力でも圧縮機4が回転できるように設けられるものであり、運転負荷を制御するものである。クラッチ13は、各車の保護の為、異常時の対応として設けられるものである。
【0019】
第1の圧縮機4aは、第1の配管15aによりタンク5に連結されている。第2の圧縮機4bは、第1の配管15aと、第1の配管15aとに連結される第2の配管15bによりタンク5に連結されている。第3の圧縮機4cは、第1の配管15aと、第1の配管15aとに連結される第3の配管15cによりタンク5に連結されている。
【0020】
第1の圧縮機4aは、第1の残圧配管16aによりターボファン6に連結されている。第2の圧縮機4bは、第1の残圧配管16aと、第1の残圧配管16aとに連結される第2の残圧配管16bによりターボファン6に連結されている。第3の圧縮機4cは、第1の残圧配管16aと、第1の残圧配管16aとに連結される第3の残圧配管16cによりターボファン6に連結されている。
【0021】
タンク5に設けられた圧力調整弁17に第1の配管18の一端が連結されており、第1の配管18の他端は、ターボファン6に連結されている。また、タンク5に設けられた2段吹き付け用圧力調整弁19に第2の配管20の一端が連結されており、第2の配管20の他端は、ターボファン6に連結されている。
【0022】
圧力調整弁17は、発電機7を回す原動力となる高圧空気を成り行きでターボファン6に供給してもターボファン6の回転が一定ならなければ、発電機7の出力も一定にならないので、平準化したエネルギーを得るために必要な機器である。タンク5には、タンク5内の圧力が異常に上昇した時にタンク5の保護に使用する安全弁Sが安全性を向上させるため、2個設けられている。
【0023】
2段吹き付け用圧力調整弁19は、第1の風車2a及び第2の風車2b及び第1の波車3a及び第2の波車3bの回転エネルギーが多い時、タンク5内の圧力が上がるが、安全弁Sにより大気に放出するのは無駄であるために、圧力調整弁17と異なる圧力で働くようにしており、小型の補助発電機7aが使用できるようにしている。
【0024】
ターボファン6には回転増幅機21、回転検知器22、第2の軸馬力測定器23を介して発電機7に連結されている。回転増幅機21は、発電機7を適正な回転数にするために設けられたものである。発電機7を適正な回転数にするために、回転制御器(図示せず)を設け、回転数が所定値をオーバーした際、ブレーキ機構によりブレーキをかけて適正な回転をすれば良いものであり、周波数が異なる場合は、プーリーにより調整すれば良いものである。
【0025】
ターボファン6の軸馬力を第2の軸馬力測定器23により測定した結果、余剰力があれば、その余剰力で補助の小型発電機7aを駆動し、充電器(図示せず)を充電するようにし、それを回転数検知器22や軸馬力測定器等23の電源として使用することができる。第2の軸馬力測定器23は、2段吹き付けで軸には力が残るため、余力で小型の補助発電機7aを運転することができる場所で発電する為の設備である。

【0026】
ターボファン6に吹き付ける空気量により発電機7が必要とする回転数は出るが、一度に高圧空気を放出すると、タンク5内の圧力が低下してしまい連続して発電機7を運転することは困難になるため、このため、回転増幅機21により回転数を上げるのである。自然のエネルギーにより得られるターボファン6の回転数は、250rpm程度であり、発電機7が効率良く発電する回転数は1700〜1800rpmであり、回転増幅機21により回転数を上げる必要がある。
【0027】
風車2は、図2に示すように、両端が垂直に支持された軸受24により軸支された回転軸25に固定されており、所定間隔開けて一対の第1の風車2a及び第2の風車2bが設けられている。回転軸25には、それぞれ第1の歯車26が設けられており、第1の風車2a及び第2の風車2bの回転は、第1の歯車26とチェーン27を介して第2の回転軸28に固定された第2の歯車29に伝達され、第2の回転軸28は第1の風車2a及び第2の風車2bの回転により、回転駆動される。
【0028】
第2の回転軸28は、一対の軸受30に軸支されている。第2の回転軸28には第1の傘歯車31が固定されており、第1の波車3a及び第2の波車3bが固定された主軸10に固定された第2の傘歯車32と第1の傘歯車31は噛合されており、第1の風車2a及び第2の風車2bの回転と第1の波車3a及び第2の波車3bの回転力は加算可能となっており、風、波、潮の流れを同時に回転エネルギーに変換することができる。
【0029】
第1の風車2a及び第2の風車2bの両側には第1の風車2a及び第2の風車2bの回転方向を強制的に規制して第1の風車2a及び第2の風車2bの回転と第1の波車3a及び第2の波車3bの回転力を加算可能とする回転方向規制手段33が設けられている。
【0030】
回転方向規制手段33は、第1の風車2a及び第2の風車2bの併設方向に対しそれぞれ平行に設けられており、第1の風車2a及び第2の風車2bの一方に設けられた第1のシャッター34と、第1の風車2a及び第2の風車2bの他方に設けられた第2のシャッター35と、第1のシャッター34及び第2のシャッター35をガイドするレール36と、第1のシャッター34及び第2のシャッター35を駆動するエアーシリンダーからなる駆動部37とで構成されている。第1のシャッター34及び第2のシャッター35には通風孔部38と非通風孔部39とがそれぞれ設けられている。
【0031】
第1の風車2aを左回転させる場合は、図3に示すように、第1のシャッター34の第1の通風孔部38aを第1の風車2aの内側に対面させ、第1のシャッター34の第1の非通風孔部39aを第1の風車2aの外側に対面させるとともに、第2のシャッター35の第1の通風孔部40aを第1の風車2aの外側に対面させ、第2のシャッター35の第1の非通風孔部41aを第1の風車2aの内側に対面させ、第1のシャッター34の第1の通風孔部38a及び第2のシャッター35の第1の通風孔部40aから導入した風により左回転させるのである。
【0032】
第2の風車2bを左回転させる場合は、図3に示すように、第1のシャッター34の第2の通風孔部38bを第2の風車2bの外側に対面させ、第1のシャッター34の第2の非通風孔部39bを第2の風車2bの内側に対面させるとともに、第2のシャッター35の第2の通風孔部40bを第2の風車2bの内側に対面させ、第2のシャッター35の第2の非通風孔部41bを第2の風車2bの外側に対面させ、第1のシャッター34の第2の通風孔部38b及び第2のシャッター35の第2の通風孔部40bから導入した風により左回転させるのである。
【0033】
第1の風車2a及び第2の風車2bを右回転させる場合は、駆動部37により第1のシャッター34を第1の風車2a又は第2の風車2bの半径分左側に移動させるとともに、第2のシャッター35を第1の風車2a又は第2の風車2bの半径分右側に移動させる移動させればよいのである。
【0034】
第1の波車3a及び第2の波車3bの回転方向に対応させて、第1のシャッター34及び第2のシャッター35を駆動部37により駆動することで、第1の波車3a及び第2の波車3bの回転と第1の風車2a及び第2の風車2bの回転とを同一方向にすることが可能であり、第1の風車2a及び第2の風車2bの回転と第1の波車3a及び第2の波車3bの回転力は加算可能となっており、第1の波車3a及び第2の波車3bの回転数に応じて第1のシャッター34及び第2のシャッター35の位置を調整し、第1の風車2a及び第2の風車2bの回転数を調整することで第1の風車2a及び第2の風車2bの回転と第1の波車3a及び第2の波車3bの加算した回転力に調整することも可能である。
【0035】
ターボファン6は、図4及び図5に示すように、高圧空気が供給される第1の配管18が最外周に設けられており、第1の配管18に設けられた複数本の吹付ノズル42がケーシング43に吹付ノズル42と対応して複数個設けられたガイドベーン44に挿入されている。吹付ノズル42は、羽根歯車45に複数本半径方向に配設された複数本の羽根46の外周に高圧空気を吹き付けられると軸受47に軸支された回転軸48が回転し、プーリー49及びベルト(図示せず)を介して回転増幅器21に回転力が伝達される。この時、羽根46の外周に高圧空気を吹き付けて回転トルクも活用して羽根歯車45がスムーズに高速回転するようにしている。
【0036】
ケーシング43は、高圧空気が供給される供給ゾーン43aと高圧空気が排気される排気ゾーン43bとを備えており、排気ゾーン43bには排気管50が設けられている。排気管50は、第1の風車2a及び第2の風車2bに回転駆動力を与えるように先端は第1の風車2a及び第2の風車2bと対面させている。
【0037】
排気管50は、運転初期において大気を導入する大気導入管部50aと、風車2に残圧を供給する風車供給管部50bと、圧縮機4に大部分の高圧空気を供給する圧縮機供給管部50cとを備えており、大気導入管部50aには第1のベロダンパー51aが設けられており、圧縮機供給管部50cには第2のベロダンパー51bが設けられている。ターボファン6には、第1の風車2a及び第2の風車2bに残圧を供給する排気管50が設けられている。
【0038】
風車供給管部50bに排気された高圧空気は、第1の風車2a及び第2の風車2bに供給され、残圧の有効利用を図っている。圧縮機供給管部50cに排気された高圧空気は、第1の残圧配管16a、第2の残圧配管16b、第3の残圧配管16cを介して各圧縮機4に供給され、残圧の有効利用を図っている。各圧縮機4で発生する高圧空気量は常時変化しており、この高圧空気を直接ターボファン6に供給しても発電できないため、一度、タンク5に蓄積し、前記タンク内の高圧空気の圧力が所定の圧力になれば圧力調整弁17が開となってターボファン6に定量で定圧の高圧空気が供給されるようになっている。
【0039】
この際ターボファン6に供給する高圧空気量に余裕があっても大気に放出することは無駄であるため、2段吹き付け用圧力調整弁19を開にしてターボファン6に供給されるのであり、ターボファン6に供給された高圧空気は、第1の残圧配管16a、第2の残圧配管16b、第3の残圧配管16cを介して各圧縮機4に供給されるとともに、風車2に残圧が供給され、残圧の有効利用を図っている。
【0040】
第1のベロダンパー51aは、回動自在に中央部が軸支されており、大気を導入できるように、ベロダンパー51aの一端が第1のスプリング52aにより付勢されている。第2のベロダンパー51bは、回動自在に中央部が軸支されており、第1の風車2a及び第2の風車2bに残圧を供給できるように、第2のベロダンパー51bの一端が第2のスプリング52bにより付勢されている。
【0041】
ターボファン6には架台53が設けられており、架台51には固定ボルト用のねじ穴54が設けられている。
【0042】
第1の台船8aと第2の台船8bの先端は、三角形状に突出しており、波を集め易くなるように集波板55をそれぞれ先端が広がるように固定されているが、第1の台船8aと第2の台船8bを移動させる場合は、走行の邪魔にならないように外すようになっている。
【0043】
第1の台船8aと第2の台船8bには、停船用のチェーン56がそれぞれ設けられており、テトラポット等(図示せず)に繋ぐようになっている。
【0044】
次に、図6を参照して本発明の風力、波力、潮力併用発電装置の実施態様の動作について説明する。第1の風車2a及び第2の風車2b及び第1の波車3a及び第2の波車3bの回転駆動力は、回転増幅器12、クラッチ13、を介して3台の圧縮機4に伝達されて、圧縮空気を発生させ順次タンク5に供給されてタンク5に高圧空気を蓄積する。タンク5内の高圧空気は、圧力調整弁17に設定された所定圧力になるとターボファン6に供給され、ターボファン6が回転する。ターボファン6には回転検出器22、軸馬力測定器23を介して発電機7、補助発電機7aが接続されており、交直低電圧切替手段57を介して送電される。
【0045】
1.
台船8と台船8を連結し、上部に垂直の回転軸を備えた風車、下部に水平の回転軸を備えた波車を配置し、これらの回転エネルギーを同一の回転方向に集結して自然エネルギーを取得する。
2.
風車は風の方向がどちらでも波車の方向に回転するよう、波又は潮流の方向を検知し、働くスライド式シャッターを設ける。
3.
波車の軸の回転数は少ないため、回転増幅器及びプーリーにより、圧縮機の適正回転数まで上げる。
4.
海上のエネルギーは変動しているから波車の軸馬力を測定し、圧縮機を負荷制御運転する。
5.
圧縮機で生まれた高圧空気も一定量発生しないので、そのまま発電機に供給しても装置として成り立たず、高圧空気もタンクに蓄積する。
6.
蓄積された高圧空気も無造作に発電機に送れないから発電機に送る力を一定にする必要から圧力調整弁を設け供給力を標準化する。
7.
タンクより送られた高圧空気でタービン又はファンを回転させるが通常は軸側から供給し外周から排出するのであるが、本願は、外周から供給し、軸側または外周の一部より放出し、トルク力を活用するようにした。ここで、放出される空気は、常にプラス圧で残圧があるため、この空気を圧縮機の吸込み空気に又それでも余剰が出るから風車の風に活用する。
8.
ターボファンの回転数は、空気の吹き付け量、圧力、空気の当たる面積等で決まるが、本願では250rpm分と、見込み発電機の適正回転数まで回転増幅器とプーリーで対応している。
【0046】
実施形態は、第1の台船8aには、圧縮機4と、ターボファン6と、発電機7等が設置されており、第2の台船8bにはタンク5が設置されており、重量バランスが均一になるようにして第1の台船8aと第2の台船8bの喫水線が略一致するようにしているが、大型の第1の台船8aに全ての部材を設置し、第2の台船8bを小型にしても構わないものである。また、台船8は自走しなくてもよいものであり、漁礁、釣り筏にも活用できるものである。
【0047】
タンク5は、取得エネルギーが大きい時を考慮して大きくしたり、複数個のタンク5を併設し、所定の圧力になれば、別のタンク5に高圧空気を蓄積するようにしても構わないものである。
【0048】
本発明の風力、波力、潮力併用発電装置により得られた電力は、一定距離トロリー方式の送電ケーブルを使用して陸に送電することが一般的ではあるが、蓄電池に蓄電し、船舶にその蓄電池を供給することで船舶が寄港することなく航行できるようにしても構わないものである。
【0049】
圧縮機の形式は、圧縮空気量の多いスクリュー式が好ましいが、自然エネルギーは一定化しないから回転数が変化しても対応可能なレシプロ方式とし、例えば、日立製のものであれば、3台使用(最高15KWまで)することで、自然の力の吸収の大小に関わらず、軸馬力により運転負荷制御に用いる。
【0050】
各部の仕様
台船
1 台船は片側ストレ−ジタンク、[使用圧力に耐える,停船しているから、補強の抵抗は考慮しなくてよい]片側は圧縮機、発電機等の設置用船とする・
2 船止めはテトラポットを必要数設け鎖が取り付けられる金具付きとする。波の方向に対し(帰り波の対応)双方にテトラポットが必要であるが鎖は波の状況に合う様余裕を設ける事
3 ドレンポンプはレベルSWで確認しエア−ポンプで排出する。
4 上部は機器側台船に機器搬入、搬出用ハッチをパッキン付きで設け、点検用も同様とする。
5 台船と波車の高さの関連について、台船はたえず喫水線を守れる様設計すること。
6 波の力を出来る限り多く集める為に台船の先頭に集波板を設ける。
7 双方のバランスはコンクリ−トのウエイトで調整する。ウエイトはずれない事。
風車
1 羽根胴の太さは最低500ミリ
2 羽根の寸法は 幅 600ミリ 高さ 2500ミリで取り換え可とする。
3 羽根の形状は風を受けやすい形状にする。
4 波車への伝達は傘歯車とチェーン方式・
5 耐風速は50メートル・
6 一部の海域での実証であるが波力のエネルギーは膨大であり風力波力と併用よりも単独利用も考慮する。
7 設置方向は垂直として少しでも高さを稼ぐ事、
波車
1 胴の太さ700ミリ[最低]
2 羽根の寸法は高さ 800ミリ 長さ 3000ミリで取り換え可とする。
3 補強の為リブを最低6枚設け、羽根の取り換えはリブ部で行う。
4 羽根の先端は波及び潮流力が最も受けやすい形状を付ける。
5 風、波車共通するが羽根内に入るエネルギーは軸方向に逃げない様羽根の先を
囲い半ハコ型として力の吸収力を高める
6 設置方向は水平方向とし波、潮流のエネルギーを最大吸収する。
軸、軸受
1 軸は台船側、羽根、中間、台船、羽根側、と5分割にする、(メンテ上)
2 継ぎ手はインロウ加工,またはスプライン加工として、双方とも芯ぶれのおきない 事。
3 波車は強大な力が掛る為、軸受は強度を重視すること。
4 波車の回転数は低回転である為ユニバーサル方式も一策とする
5 引き潮時波車を下げると軸が水中になるので軸受内はグリスを満杯にし軸受
両空室を作り少内圧を掛け海水の侵入を防ぐ等も考慮する事。
プ−リ−
1 全てB型4本掛けを基本としVベルト耐久性は最高の品種を使う事。
2 ベルトのテンションはスプリング式をシリンダ−[空気圧]で行う。
3 引き潮時波車全体を水面下にする場合は滑らない種類に部分的に変更するか又は 伝達方式を油圧ポンプを介して行う等を考慮する。
回転センサ−、軸馬力測定
1 回転センサの取り付け場所は波車プーリーと回転増幅器の間、回転増幅器と圧縮機の間、ターボフアンと発電機の間、の3箇所とする。
2 この場所にはベルトテンションを設けてセンサ−に依りテンションの働きを左右する。
3 1,2、の働き、[1]圧縮機に異常の時に羽根に負担をかけない。[2]羽根の回転の少ない時は圧縮機を廻さない。[3]ターボフアンの回転の少ない時は発電機に動力をかけない等の目的である
4 圧縮機の負荷制御の為の軸馬力測定器を設け発生している軸馬力で圧縮機を運転する。
圧縮機
1 形式 基本的にはレシプロ式で多段圧縮、もしくはスリユー方式、レシプロの場合圧縮機が傾いて給油不可とならない様安定した位置に設置する事。
2 アンローダー機能付き。
3 波車の軸出力を測定しレシプロ式の場合複数機の圧縮機を対抗に設置し(日立製15馬力が最高機)測定出力に依り運転機数を制御する為複数機設置も必要。
スクリュー式の場合は吸い込み空気の量を制御して負荷の調整をする。
4 回転数 少回転でも圧縮出来る事。基本的には1000回転毎秒とする。
スクリュー式の場合は2300回位に増幅する。但し満潮時と引き潮時の波車
の回転方向が異なる為スクリユー方式の採用が適正か検討を要す、空気容量を多くするにはこの型式が好ましい。基本的には設置等地の波の状況で設計する。
回転増幅器
1 回転増幅はプーリー等で対応を基本とするが、対応不可の場合は4倍程度の増幅が出来る事。
2 1次側の力を伝達出来る事。
3 増幅機は低速の位置で使う事。
ストレ−ジタンク
1 耐圧は15キロに耐える事、但し圧縮機にスクリュー式を採用する場合は低圧で可。
2 安全弁は異常の時を考慮しダブルで設ける、取り付けは船外とする。
高圧ガス法に抵触しない範囲で運用が好ましい。
3 空気蓄積量から台船全てを使う方が良いが強度的に補強に充分考慮すること。
タ−ボファン
@ 圧縮空気を使う為特殊になるが簡単には羽根の外周に力を掛けてトルク力を生み出す様にするが要件を記す。
1 圧縮空気が有効に動力と成る様にガイドベーンを設ける。
2 排気は全周の30パーセント位からか通常の吸気側からとする。
3 羽根の外周は最低800ミリ必要と判断する。
4 残圧は有効に使える事。
5 回転数は圧縮空気の供給圧、量にもよるが回転数の確保よりも回転力を得られる事が必要であるが最低250回毎分が望ましいと判断する。(多くを求めると
供給空気量が不足するためト−タル的に決め増幅器で考慮する。
発電機
1 特殊な機器を採用しない事。
2 発電容量はタ−ボフアンの出力で選定すること
3 発電機の選別は色々あるが得られたエネルギーを最大限有効に使える物とする。
4 発電機の回転数はファンの回転を増幅しその後の回転数は地方の必要回転数にプ−リ比で決める
5、回転数の元はフアン回転の力の圧縮空気の圧力と量であるが、発電機の回転数がオーバーし支障を来すと考えられ場合は回転数を検知してブレーキ制御も考慮する。
風車回転制御
1 波の方向を検知して風車に当たる風を制御する。方法は風車の半周を風の当たらない様にするシャッタ−を設ける。(スライド式)
2 シャッタ−はエア−シリンダ−で開閉する。
3 シャッタ−の上下は雨水を防ぐ傘を備える。
4 シャッタ−の上下方向の強度ガイドを最低2箇所設ける。
残圧活用
1 残圧活用は風車と圧縮機の吸気に使う。
2 風車側は風車の制御に合わせて吹き付け方向を変えるダンパ−を設ける
3 風車への吹き付けは供給ダクト(菅)をスライドさせシャッタ−と同時に動か
かせ吹き付けは広角に吹き付口を設ける。
3 圧縮機側は外気取り入れ菅にベロを付け圧縮空気の逃げを防止する、通常は残圧空気の方が多い。
圧力調整弁
1 ストレージタンクの圧縮空気に余裕がある場合は2段階の圧力でターボフアンに空気を供給する為2系統の調整弁を設けて、各系統ダブル設置とする。
【符号の説明】
【0051】
1 風力、波力、潮力併用発電装置
2 風車
2a 第1の風車
2b 第2の波車
3 波車
3a 第1の波車
3b 第2の波車
4 圧縮機
5 タンク
6 ターボファン
7 発電機
17 圧力調整弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力を受けると回転する風車と、波力及び潮力を受けると回転する波車と、風車と波車の回転エネルギーで駆動され高圧空気を作る圧縮機と、前記高圧空気を蓄積するタンクと、前記タンク内の高圧空気の圧力が所定の圧力になれば圧力調整弁が開となってターボファンに供給され、回転駆動されるターボファンと、前記ターボファンの回転力で回転して発電する発電機とを少なくとも台船に備えたことを特徴とする風力、波力、潮力併用発電装置。
【請求項2】
前記風車は受ける風の方向を有指向とする有指向装置を備えていることを特徴とする請求項1記載の風力、波力、潮力併用発電装置。
【請求項3】
前記ターボファンの排気残圧を前記圧縮機の吸気に導いたことを特徴とする請求項1記載の風力、波力、潮力併用発電装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57303(P2013−57303A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−197418(P2011−197418)
【出願日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【特許番号】特許第5120738号(P5120738)
【特許公報発行日】平成25年1月16日(2013.1.16)
【出願人】(510085272)
【Fターム(参考)】