説明

食塩組成物及びその製造方法

【課題】使用時及び保存時において防湿性、流動性、耐固結性に優れ、抗生活習慣病機能性成分の含量均一性に優れた、使い勝手の良い食塩組成物の提供。
【解決手段】塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を含有する食塩組成物であって、薄膜X線回折で2θ=5.3°〜5.5°(CuKα;λ=1.54058Å、入射角θ=1°)にピークを有する塩を含む被覆層で母粒子が覆われていることを特徴とする食塩組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を含有する食塩組成物に関し、詳しくは、特定の塩を含む被覆層で母粒子が覆われてなり、防湿性、流動性、耐固結性及び抗生活習慣病機能性成分の含量均一性に優れている食塩組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、消費者のグルメ志向と健康志向の中で、にがりを含んだ食塩の需要が増加しており、更に健康面においては、生活習慣病等による健康障害に不安を抱える人が増加しており、抗生活習慣病機能性成分又はそれを含む食用品が多数開発、上市されている。
【0003】
食塩において、適度なにがりの添加は、塩辛味にまろやかさなどを与えるものである。しかし、にがりは吸湿性や潮解性を有するマグネシウム塩及びカルシウム塩を主成分として含む為、市販されているにがり含有食塩は一般的に湿潤なものが多く、固結の要因となり、流動性も悪い為、使い勝手に問題がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、塩化マグネシウムを主成分とするにがりを2.5質量%以上含有する食塩に対し、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酒石酸及びこれらの有機酸のナトリウム塩、カリウム塩又はマグネシウム塩から選ばれる1種以上の化合物を1.0質量%以上添加する方法が開示されている。この方法によると、にがり特有の苦味を緩和することはできるが、その性状は湿潤であり、にがりに由来する吸湿や潮解により引き起こされる、固結や流動性の課題は解決できていない。
【0005】
また、特許文献2では、にがりの含有率が高い食塩の吸湿による固結や流動性の課題を解決する方法として、二酸化ケイ素などの内部に細孔を有し水に不溶性でかつ吸液能を有する食品又は食品添加物の粉末に、にがりを吸収保持させてなる粉末状固定化にがりを作成し、これを食塩に添加混合する方法が開示されている。しかし、この方法で得られる食塩は、溶解時に不溶物が存在するという問題があり調理等に使用する際において好ましくない。また、食塩とにがりが実質的に分離状態にある為、本来、食塩の表面ににがりが存在するにがり含有食塩の風味とは異なるものである。
【0006】
また、特許文献3では、食塩の表面をトレハロースでコーティングする食塩の固結防止方法が開示されている。この方法は食塩の固結防止に効果的であり、溶解時における不溶物も無いが、製造時に糖特有の高い粘性を有し、ハンドリングや付着によるロスが多い等、生産性の面で好ましくない。
【0007】
次に、抗生活習慣病機能性成分を含む食用品は、タブレットのようなサプリメント、ドリンク剤、食用油、マヨネーズ、調味料、乳製品など、その形態は様々である。抗生活習慣病機能性成分は、日常的に継続して摂取することが重要であるが、例えばサプリメントの場合、毎日摂ることの煩わしさや、飲み忘れなどの理由から煩雑になりがちである。一方、調味料の中で特に食塩は、日常的にほぼ毎日摂取するものであり、また人間にとって必要不可欠なものである。そこで、食塩に抗生活習慣病機能性成分を含有させることにより、煩わしさを感じることなく、日常の食事から自然とその成分を摂取することが可能となる。
【0008】
例えば、特許文献4では、食塩と鉄を含む食品添加物の含有成分(ヘム鉄等)を混合して得られる、通常の食生活の中で鉄分を日常的、継続的に摂取可能な食用塩が開示されている。一般的に混合物の含量均一性を保持するためには、各成分の比重や粒径を同等にする必要があるが、この方法で得られる食塩と例えばヘム鉄の混合物は、各成分の粒径差が大きい為(一般的な食塩の粒径は400μm程度で、ヘム鉄は微粉(250μm以下)である)、偏析を起こしやすい状態にある。また、ヘム鉄の添加量が塩に対して微量である為、更に含量均一性の保持が困難である。これにより、鉄分の摂取量や食塩の味に偏りを生じる恐れがある。含量均一性を保持する為には、食塩を粉砕し粒径を揃える等の煩雑な前処理が必要となり、製造コストの増加や、微粉状にすることにより使い勝手が悪くなる為好ましくない。その他、一般的な含量均一性保持の方法として、核粒子の表面を微量成分で被覆する方法があるが、抗生活習慣病機能性成分の溶解液又は懸濁液を、核粒子と混合後乾燥することにより得られる被覆造粒物は、核粒子と被覆成分との接着性が弱く、核粒子に付着した抗生活習慣病機能性成分が剥離してしまうという問題が生じる。また、スプレーコーティングの場合、抗生活習慣病機能性成分が不溶性のものはスプレーすることが困難である。更に、現状において、市販されているサプリメント等の機能性食品の中には、含量均一性にばらつきがあるものが多く存在し、主たる有効成分を所定量よりもはるかに少ない量しか含んでいない商品等、大きな課題となっている。
【特許文献1】特開平11−42064号公報
【特許文献2】特許第2635274号公報
【特許文献3】特開2000−233923号公報
【特許文献4】特開平11−346710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、塩化ナトリウム(食塩)、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を含有する食塩組成物において、使用時及び保存時において防湿性、流動性、耐固結性に優れ、抗生活習慣病機能性成分の含量均一性に優れた、グルメ志向と健康志向を満足することのできる、使い勝手の良い食塩組成物及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記の目的を達成する為、鋭意研究を重ね、カルシウム塩及びマグネシウム塩とクエン酸塩の反応により生成し得、特定のX線回折ピークを有する塩を含む被覆層で母粒子を覆い、更に抗生活習慣病機能性成分を含ませて食塩組成物とすることで、上記の課題が達成される事を見出した。
【0011】
即ち、本発明(1)は、塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を含有する食塩組成物であって、薄膜X線回折で2θ=5.3°〜5.5°(CuKα;λ=1.54058Å、入射角θ=1°)にピークを有する塩(以下「該塩」という場合がある)を含む被覆層で母粒子が覆われていることを特徴とする食塩組成物である。
【0012】
また、本発明(2)は、顆粒状及び/又は細粒状である、前記発明(1)の食塩組成物である。
【0013】
また、本発明(3)は、抗生活習慣病機能性成分が、天然ポリフェノール、タンパク質・アミノ酸類、糖類、不飽和脂肪酸、テルペン類、オクタコサノール、カプサイシン、セラミド、レシチン、ノビレチン、タンゲレチン、モナコリン及びスルフォラファンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、前記発明(1)又は(2)の食塩組成物である。
【0014】
更に、本発明(4)は、該塩がクエン酸塩とカルシウム塩とマグネシウム塩の反応により生成した高次化合物である、前記発明(1)〜(3)のいずれか一つの食塩組成物である。
【0015】
また、本発明(5)は、クエン酸塩がクエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウムである、前記発明(1)〜(4)のいずれか一つの食塩組成物である。
【0016】
更に、本発明(6)は、カルシウム塩及びマグネシウム塩としてにがりを含有する、前記発明(1)〜(5)のいずれか一つの食塩組成物である。
【0017】
また、本発明(7)は、食品用又は化粧品用である、前記発明(1)〜(6)のいずれか一つの食塩組成物である。
【0018】
更に、本発明(8)は、前記発明(1)〜(6)のいずれか一つの食塩組成物を含有する調味料又は食品である。
【0019】
また、本発明(9)は、前記発明(1)〜(6)のいずれか一つの食塩組成物を含有する化粧品である。
【0020】
更に、本発明(10)は、食塩組成物を構成する1以上の成分の少なくとも一部を含み、母粒子を形成し得る粉体及び/又は粒体と、食塩組成物を構成する、少なくとも一部のカルシウム塩、少なくとも一部のマグネシウム塩及び少なくとも一部のクエン酸塩を含む水溶液とを攪拌造粒して、母粒子に被覆層を形成することを含む、上記発明(1)〜(7)のいずれか一つの食塩組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る食塩組成物は、カルシウム塩とマグネシウム塩とクエン酸塩の反応により生成し得る特定のX線回折ピークを有する塩を含む被覆層で母粒子が覆われており、更に抗生活習慣病機能性成分を含んだ造粒物であり、防湿性、流動性、耐固結性、含量均一性が極めて良好であるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明に係る食塩組成物は、塩化ナトリウム(以下、単に「食塩」という場合もある)、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を必須成分として含むものである。本発明に係る食塩組成物は、好ましくは、塩化ナトリウムを主成分とする。ここで、「主成分」とは、食塩組成物の全質量に対して、塩化ナトリウムを50質量%以上、好適には60質量%以上、特に好適には70質量%以上含有することをいう。
【0023】
本発明に係る食塩組成物の最大の特徴は、特定の塩を含む被覆層で母粒子が覆われている点にある。
【0024】
まず、本発明に係る被覆層につき説明する。該被覆層は、薄膜X線回折において、2θ=5.3°〜5.5°(CuKα;λ=1.54058Å、入射角θ=1°)に特定のピークを有する塩を含む。薄膜X線回折は、後述の[試験例1]に記載の薄膜X線回折装置を用い、同試験例1に記載の分析条件及び試料作成条件で測定する。該塩の形成に必須の成分の特定を消去法により行った結果、該塩がクエン酸塩とカルシウム塩とマグネシウム塩との反応により生成した高次化合物であることが判明した。通常、原料である塩化マグネシウム等のマグネシウム塩や塩化カルシウム等のカルシウム塩は、高い吸湿性や潮解性を有しており、これらを含有した食塩組成物は、湿潤で流動性が悪く、吸湿して固結しやすくなるため、使い勝手の悪いものであるが、本発明に係る食塩組成物は、防湿性、流動性、耐固結性が極めて良好である。この理由は、クエン酸塩とカルシウム塩とマグネシウム塩とが特異的に反応して、該塩として被覆層に含まれるためと推定される。被覆層の厚みは、本発明の効果を奏する限り限定されないが、好ましくは1〜70μm、特に好ましくは3〜50μmである。
【0025】
また、該被覆層は、抗生活習慣病機能性成分や他の原料成分を含み得る。該塩の生成を伴う造粒時は、適度な粘性を有した状態となり、これにより、抗生活習慣病機能性成分などの微量成分を被覆層中に、強固に効率良く、均一に取り込むことができる為、含量均一性に優れている。したがって、抗生活習慣病機能性成分の少なくとも一部、特にほぼ全量が被覆層に含まれるのが好ましい。
【0026】
次に、「母粒子」とは、造粒の際に母核となる粒子のことをいい、食塩組成物の原料成分であれば特に限定されないが、好適には塩化ナトリウムである。母粒子の粒子径は特に限定されないが、使い勝手、造粒性、該被覆層の形成等の観点から、平均粒子径が200〜800μm程度のものが好ましい。また特に、複数の成分の母粒子が存在する場合は、それぞれの母粒子の平均粒子径の差が、全母粒子の平均粒子径の30%以内になるような組み合わせが含量均一性保持の観点から好ましい。
【0027】
本発明に係る食塩組成物は、前記の通り、塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を必須成分として含むものである。以下に、本発明に係る食塩組成物の各成分につき説明する。
【0028】
まず、塩化ナトリウムは、特に限定されず、例えば、イオン交換膜法、天日製塩、塩浜等の一般的な方法により得られる、通常市販されている塩化ナトリウムで目的を充分達成できる。また、塩化ナトリウムはにがりを含んでいてもよい。
【0029】
カルシウム塩及びマグネシウム塩は、水又は水性の溶媒(例えば、エタノール及び水の混合物)に溶解し得る塩であれば特に限定されない。例えば、カルシウム塩としては、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、リン酸三カルシウム等を挙げることができ、これらを単独で乃至は複数組み合わせて用いてもよい。マグネシウム塩としては、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、クエン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸三マグネシウム等を挙げることができ、これらを単独で乃至は複数組み合わせて用いてもよい。これらのカルシウム塩及びマグネシウム塩は、該塩の生成を促進させるという観点から、水への溶解度が高いものが好ましく、特に好ましくは、カルシウム塩が塩化カルシウムであり、マグネシウム塩が塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムである。また、上記カルシウム塩及びマグネシウム塩のうち、比較的水溶性の低い塩(例えば、硫酸カルシウムや炭酸カルシウム等のカルシウム塩、炭酸マグネシウム等のマグネシウム塩)は、クエン酸等の酸の水溶液を使用して、これらの塩の水への溶解性を強化して用いてもよい。
【0030】
また、カルシウム塩及びマグネシウム塩として、にがりを用いることができる。「にがり」とは、一般的に、海水からの製塩工程において副産物として分離されるもので、カルシウム塩(塩化カルシウム、硫酸カルシウム等)、マグネシウム塩(塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム等)、カリウム塩(塩化カリウム等)を含む液状物、その乾燥物、又は上記成分を人工的に配合する事によって調製されたものである。代表的なにがりの組成を表1に示す。製塩方法等によりその成分割合は若干異なるが、カルシウム塩やマグネシウム塩を含むものであれば、本発明に係る「にがり」であり、その成分割合は特に制限されるものではない。にがりは、上記のカルシウム塩及びマグネシウム塩と組み合わせて用いることも可能である。
【0031】
【表1】

【0032】
次に、「クエン酸塩」は、通常、食品や化粧品等に使用できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、クエン酸ナトリウム(クエン酸三ナトリウムともいう)、クエン酸一カリウム、クエン酸カリウム(クエン酸三カリウムともいう)、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、クエン酸鉄等を挙げることができるが、該塩の生成を促進させる為には水又は水性溶媒への溶解度が高いものが望ましく、また、呈味性において、食塩の風味を損なわないものが望ましい。好ましくは、クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウムであり、より好ましくはクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウムである。クエン酸塩としてのクエン酸カルシウム及びクエン酸マグネシウムは、それぞれ、上記のカルシウム塩及びマグネシウム塩を兼ねることもできる。クエン酸塩は、クエン酸水溶液を用いた中和反応等の反応により生成することもできる。例えば、クエン酸水溶液と炭酸塩とからの生成や、クエン酸水溶液と水酸化物とからの生成等を挙げることができる。
【0033】
次に、「抗生活習慣病機能性成分」につき説明する。食品には、第一次機能(栄養機能)、第二次機能(味覚・感覚機能)、第三次機能(体調調節機能)という3つの機能がある。本発明に係る「抗生活習慣病機能性成分」とは、これら食品の3つの機能のうち、第三次機能を有する成分をいう。食品の第三次機能とは、体調を整える機能で、病気の予防や健康の維持増進に果す機能である。
【0034】
抗生活習慣病機能性成分が有する効能・効果の例を挙げると、高血圧予防、糖尿病予防、高脂血症予防、動脈硬化予防、肥満予防、老化予防、抗酸化作用、抗アレルギー作用等である。本発明に係る抗生活習慣病機能性成分は、通常、食品や化粧品等に使用でき、前記の効能・効果を有する成分であれば、特に限定されないが、好適には、天然ポリフェノール類、タンパク質・アミノ酸類、糖類、不飽和脂肪酸、テルペン類、オクタコサノール、カプサイシン、セラミド、レシチン、ノビレチン、タンゲレチン、モナコリン、スルフォラファンを挙げることができ、これらを単独で乃至は複数組み合わせて用いてもよく、これらを含むエキスとして用いてもよい。
【0035】
ここで、天然ポリフェノール類は、特に限定されないが、例えば、イソフラボン(配糖体又はアグリコン)、茶カテキン、ルチン、ケルセチン、ロスマリン酸、ゴマリグナン、ルテオリン、ヘスペリジン、アントシアニン、プロアントシアニジン、ロイコアントシアニジン、ナリンゲニンカルコン、オイゲニン、クルクミン、クマリン、クロロゲン酸、没食子酸、エラグ酸、フキノール酸、フェルラ酸、イソクエルシトリン、オレウロペイン、ケンフェロール及びそれらの誘導体等を挙げることができる。
【0036】
また、タンパク質・アミノ酸類は、特に限定されないが、例えば、γ−アミノ酪酸、L−カルニチン及びその塩、L−オルニチン及びその塩、クレアチン及びその塩、テアニン、BCAA、タウリン、L−アルギニン、乳タンパク、大豆タンパク、乳清タンパク、小麦アルブミン、コラーゲン、大豆ペプチド、乳ペプチド、グロビン蛋白分解物、サーデンペプチド、カツオ節オリゴペプチド、ラクトトリペプチド、酒粕ペプチド、グルタチオン、システインペプチド、フィッシュペプチド、卵黄ペプチド等を挙げることができる。
【0037】
また、糖類は、特に限定されないが、例えば、イノシトール、アルギン酸及びその塩、フコイダン、寒天、ヒアルロン酸、ペクチン、キチン・キトサン、グルコマンナン、ガラクトマンナン、βグルカン、イヌリン、カラギーナン、コンドロイチン及びその塩、ポリデキストロース、グルコサミン及びその塩、乳果オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ニゲロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、アラビノース、D−リボース、キシリトール、エリスリトール等を挙げることができる。
【0038】
また、不飽和脂肪酸は、特に限定されないが、例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、オレイン酸、α−リノレン酸、γ−リノレン酸、リノール酸、ステアリドン酸、アラキドン酸等を挙げることができる。
【0039】
また、テルペン類は、特に限定されないが、例えば、コロソリン酸、リモノイド(配糖体又はアグリコン)、リモネン、サポニン、βカロテン、アスタキサンチン、ルテイン、リコピン、βクリプトキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、ギンコライド、γ−オリザノール、シネオール、ボルネオール、フラノジェノン、クルゼレノン、クルティオン、ゼデロン、デハイドロクルジオン、フラノゲルメノン、クルツェレノン、ターメロン、ギムネマ酸、シクロアルテノール、シクロアルタノール、シクロブラノール、24−メチレンシクロアルタノール、植物ステロールとその誘導体、植物スタノール等を挙げることができる。
【0040】
また、上記の他に、例えば、オクタコサノール、カプサイシン、セラミド、レシチン、ノビレチン、タンゲレチン、モナコリン、スルフォラファン、ラズベリーケトン、フィチン酸、カフェイン、テオブロミン、メチルスルフォニルメタン等の抗生活習慣病機能性成分を挙げることができる。
【0041】
これらの抗生活習慣病機能性成分は人体に対する安全性の観点から、天然物由来成分であることが好ましい。
【0042】
上記の抗生活習慣病機能性成分は、本発明に係る食塩組成物の母粒子として存在しても、被覆層中に存在しても、母粒子と被覆層の両方に存在してもよいが、含量均一性保持の観点から、ほぼ全量が被覆層中に含まれていることが好ましい。また、抗生活習慣病機能性成分は、水溶性、非水溶性、難水溶性、脂溶性の粉体又は液体のいずれでもよいが、水溶性以外の粉体を被覆層中に含ませる場合、その粒子径は10μm以下が好ましい。
【0043】
また、抗生活習慣病機能性成分の添加量については、各成分の1日の摂取目安量や性状により様々であるが、例えば、日本人の食塩の摂取量(醤油、味噌などの加工食品を除き、1g/日・人程度と言われている)、造粒性、呈味性等を考慮すると、食塩組成物1gあたり100mg以下が好ましく、より好ましくは50mg以下である。これにより、抗生活習慣病機能性成分の過剰摂取を防止できるという利点もある。
【0044】
本発明に係る食塩組成物は、顆粒状及び/又は細粒状の造粒物であり得る。従来、含量均一性を保持するためには、微粉砕混合又はそれをタブレット状にしたものが多かったが、本発明に係る食塩組成物は、前記のように、被覆層中に抗生活習慣病機能性成分等の微量成分を均一に含有することができるので、顆粒状及び/又は細粒状とすることが可能となった。そして、その造粒物の平均粒子径は250〜1000μm程度であることが好ましく、使い勝手の極めて良好な食塩組成物である。
【0045】
次に、本発明に係る食塩組成物の使用方法につき説明する。本発明に係る食塩組成物は、食品用及び化粧品用として用いることができる。ここで、「化粧品」とは、トイレタリー(例えば、石鹸、歯磨き粉、シャンプー、リンス、シェービングフォーム、口中清涼剤、制汗剤、エステティック用品)及びコスメティック(例えば、洗顔石鹸、化粧水、栄養クリーム、コールドクリーム、乳液、パック等の基礎化粧品、ファンデーション、口紅、頬紅、マスカラ、アイシャドウ、眉墨、マニキュア等の仕上げ化粧品、男性用化粧品、ボディ化粧品、薬用化粧品等の特殊用途化粧品、香水、オーデコロン等のフレグランス、ヘアートリートメント、ポマード、ヘアクリーム、シャンプー、リンス等の頭髪用化粧品、エステティック用品)等を意味する。
【0046】
好適な適用例としては、本発明に係る食塩組成物を、健康食品の加工用や健康食塩として、日常的に食卓塩や煮物等の調味料として使用することに加え、漬物、魚類の干物、味噌や醤油などの加工品における添加剤として使用することも可能である。また、エステなどで化粧品として用いる場合は、肌に直接適用してもよく、更には化粧品に添加する形で使用してもよい。尚、1日あたりの本発明に係る食塩組成物の好適な使用量は、年齢、体質、疾病の種類等に応じて変動するが、例えば、成人の場合には食塩の摂取目安が7〜10g(醤油、味噌などの加工食品や食事からの摂取も含む)であることから、0.5〜5gを一つの基準として例示できる。
【0047】
次に、本発明に係る食塩組成物の製造方法につき説明する。まず、抗生活習慣病機能性成分は、例えば、それらを含有する植物等を定法に従い抽出する方法や、定法に従い醗酵する方法により入手できる。
【0048】
本発明に係る食塩組成物は、塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を含む原料成分を、適量の水の存在下で混合、造粒して母粒子を被覆層で覆うことにより得られる。この被覆層の形成の際、少なくとも一部のクエン酸塩、少なくとも一部のカルシウム塩及び少なくとも一部のマグネシウム塩は、水に溶解していることが必要である。混合・造粒方法は、被覆層を形成し得る方法であれば特に限定されないが、好ましい方法として、例えば、攪拌混合造粒法、流動層造粒法、転動造粒法等が挙げられる。簡便で安価な製造方法として好適な方法は、食塩組成物を構成する1以上の成分の少なくとも一部を含み、母粒子を形成し得る粉体及び/又は粒体と、食塩組成物を構成する、少なくとも一部のカルシウム塩、少なくとも一部のマグネシウム塩及び少なくとも一部のクエン酸塩を含む水溶液とを攪拌造粒して、母粒子に被覆層を形成することを含む。以下にその具体例を示す。
【0049】
まず、母粒子としての粉体及び/又は粒体の塩化ナトリウムを投入する。この時、必要に応じてカルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を混合する。粉体及び/又は粒体のカルシウム塩、マグネシウム塩及びクエン酸塩を混合する場合、該塩の生成反応を促進させるため、それらは水への溶解度が高いものが好ましく、更に、それらの粒子径は300μm以下が好ましい。次に、必要に応じて、塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を含む水(水溶液又は水懸濁液であり得る)を添加し攪拌造粒を行い、母粒子に被覆層を形成する。この時、造粒温度は、抗生活習慣病機能性成分の劣化防止の観点から100℃以下が好ましく、より好ましくは30〜80℃である。食塩組成物の製造において、各成分は、粉体及び/又は粒体として加えても良いし、水溶液又は水懸濁液として加えても良い。ただし、母粒子に被覆層を形成する際には、カルシウム塩の少なくとも一部、マグネシウム塩の少なくとも一部及びクエン酸塩の少なくとも一部は、水に溶解した状態で存在する必要がある。例えば、これらの3成分は、予め水に溶解させて用いてもよいし、造粒中に系内に存在する水に溶解させてもよい。塩化ナトリウムは粉体及び/又は粒体として加えるのが好ましく、カルシウム塩は、粉体及び/又は粒体として加えても良いし、水溶液又は水懸濁液として加えても良く、マグネシウム塩及びクエン酸塩は、水溶液又は水懸濁液として加えるのが好ましい。また、カルシウム塩及びマグネシウム塩として、液体にがり又は粉末状のにがりを使用してもよい。抗生活習慣病機能性成分の添加方法はその性質や含ませる位置によって好適な方法が異なるが、母粒子として含ませる場合は、例えば、粉体の抗生活習慣病機能性成分を予め塩化ナトリウムと混合する方法等が挙げられる。また、被覆層中に含ませる場合は、例えば、該水溶液又は水懸濁液を添加後に粉体又は液体の抗生活習慣病機能性成分を添加する方法、粉体又は液体の抗生活習慣病機能性成分を該水溶液又は水懸濁液に溶解して添加する方法、粉体又は液体の抗生活習慣病機能性成分を該水溶液又は水懸濁液に懸濁して添加する方法、液体又は水溶液の抗生活習慣病機能性成分を予め塩化ナトリウムと混合する方法等が挙げられる。
【0050】
クエン酸塩、カルシウム塩、マグネシウム塩(にがりの場合、にがりに含まれるカルシウム塩、マグネシウム塩)の量は、呈味性及び人体に悪影響の無い範囲であれば特に制限は無いが、好適には、クエン酸塩の質量が、該食塩組成物の質量に対して0.5〜10.0質量%であり、更に、(カルシウム塩+マグネシウム塩)/クエン酸塩のモル比が0.1〜3.0且つカルシウム塩/マグネシウム塩のモル比が0.05〜20.0である。より好ましくは、クエン酸塩の質量が、該食塩組成物の質量に対して1.0〜3.0質量%であり、更に、(カルシウム塩+マグネシウム塩)/クエン酸塩のモル比が0.5〜1.5且つカルシウム塩/マグネシウム塩のモル比が0.2〜5.0である。
【0051】
攪拌造粒を更に続けると、徐々に系内の水分が放出され、適度な粘性を帯びた状態を経て次第に乾燥状態となり、被覆層を有した顆粒状及び/又は細粒状の造粒物となる。この方法によると、別途乾燥工程を必要とすること無く、簡便に本発明に係る食塩組成物を得ることができるので、乾燥工程での更なる加熱による抗生活習慣病機能性成分の変質等の劣化抑制や、製造コストの低減等の利点がある。また、これにより得られた造粒物は、サラサラとして流動性に優れたものである。攪拌造粒に要する時間は、特に制限されないが、好ましくは1分以上であり、より好ましくは5分以上である。また、抗生活習慣病機能性成分の劣化防止の観点から60分以下が好適である。更に、攪拌造粒時は、機器への付着防止、造粒物の吸湿防止、造粒時間の短縮のため、造粒機内の湿気を機外に強制排気するのが好ましい。
【0052】
混合、造粒に使用する装置は、上記した製造法に使用できる装置であれば特に限定されないが、攪拌型混合造粒装置が好適であり、より好ましくは高速攪拌型造粒装置である。また、操作条件は、通常造粒する一般的条件の範囲内で目的は充分達成される。
【実施例】
【0053】
以下に本発明の実施例を示して、更に具体的に説明する。
【0054】
[実施例1]
塩化ナトリウム4948.0g(平均粒子径約400μm)を高速攪拌型造粒装置(深江パウテック株式会社製 ハイスピードミキサー FS−GS−25J)に投入し、回転数70rpmで混合攪拌しながら、内温が70℃の時点で、予め調製しておいた液体にがり196.1g(組成:NaCl 7.2質量%、MgCl 15.0質量%、CaCl 5.1質量%、KCl 2.9質量%)とクエン酸ナトリウム2水塩104.0gとγ−アミノ酪酸159.2gと水100gの水溶液を添加した。添加直後に湿潤な粒子状であった内容物が、20分間混合攪拌すると、適度な粘性を帯びた状態を経て、サラサラした流動性の良い顆粒状又は細粒状となり、目的とする食塩組成物(平均粒子径約500μm)を得た。
【0055】
[実施例2]
塩化ナトリウム(平均粒子径約400μm)4948.0g、塩化カルシウム2水塩(粒子径300μm以下)54.0gを高速攪拌型造粒装置(深江パウテック株式会社製 ハイスピードミキサー FS−GS−25J)に投入し、混合攪拌した。回転数70rpmで混合攪拌しながら、内温が40℃の時点で、予め調製しておいた塩化マグネシウム6水塩26.0gとクエン酸カリウム1水塩113.5gとイソフラボン(平均粒子径約2μm)214.2gと水200gの混合懸濁液を添加した。添加直後に湿潤な粒子状であった内容物が、40分間混合攪拌すると、適度な粘性を帯びた状態を経て、サラサラした流動性の良い顆粒状又は細粒状となり、目的とする食塩組成物(平均粒子径約500μm)を得た。
【0056】
[比較例1]
塩化ナトリウム(平均粒子径約400μm)4948.0gとγ−アミノ酪酸(平均粒子径約100μm)159.2gを高速攪拌型造粒装置(深江パウテック株式会社製 ハイスピードミキサー FS−GS−25J)に投入し混合攪拌後、液体にがり196.1g(組成:NaCl 7.2質量%、MgCl 15.0質量%、CaCl 5.1質量%、KCl 2.9質量%)を添加し70℃で20分間混合攪拌した。得られた混合物を乾燥して食塩組成物(平均粒子径約500μm)を得た。
【0057】
[試験例1]
実施例1で得られた食塩組成物の薄膜X線回折の結果を図1に示す。
測定は、食塩組成物の被覆層構造をより明確にするために薄膜X線回折法を用い、薄膜X線回折装置(リガク社製)にて行った。分析条件を下記に示す。
X線;Cu K−ALPHA1/50kV/300mA
入射角;1°
発散スリット;1/2deg.
散乱スリット;open
受光スリット;open
走査モード;連続
スキャンスピード;2°/min.
スキャンステップ;0.01°
次に、試料作成方法について説明する。試料は、得られた食塩組成物から約0.5gを取り、打錠機を用いて厚みが一様な円盤状に圧縮成型した。打錠圧力は製剤の母粒子が破砕しない程度とし、試料の大きさは直径約20mm、厚さは約2mmとした。
図1より、2θ=5.4°付近にピークが検出されているのがわかる。実施例2で得られた食塩組成物についても上記と同様の試験を行い、5.4°付近に同様のピークを確認した。
【0058】
[試験例2]
実施例1で形成される被覆層について、そのモデル系による該塩生成の確認試験を行った。試験により得られた試料の粉末X線回折結果を図2に示す。
モデル系による該塩生成の確認試験は、下記の方法により行った。
まず、クエン酸ナトリウム水溶液(クエン酸ナトリウム2水塩10.4g、水30g)と塩化マグネシウム水溶液(塩化マグネシウム6水塩6.3g、水10g)を混合後、塩化カルシウム水溶液(塩化カルシウム2水塩1.3g、水10g)を混合した。この混合液を50℃で数日間乾燥して乾固させ、モデル系の試料とし測定を行った。
次に、測定は、粉末X線回折装置(島津製作所製)にて行った。分析条件を下記に示す。
X線;Cu K−ALPHA1/50kV/40mA
発散スリット;1deg.
散乱スリット;1deg.
受光スリット;0.3mm
走査モード;連続
スキャンスピード;2°/min.
スキャンステップ;0.02°
上記と同様にして、クエン酸カリウム1水塩と塩化カルシウム2水塩と塩化マグネシウム6水塩を用いた場合(実施例2の被覆層のモデル系)、クエン酸ナトリウム2水塩と塩化カルシウム2水塩と硫酸マグネシウム7水塩を用いた場合及び、無水クエン酸と無水炭酸カルシウムと炭酸マグネシウム(塩基性炭酸マグネシウム(4MgCO・Mg(OH)・4HO))を用いた場合についてのモデル系による該塩生成の確認試験を行った。結果を図3、図4、図5にそれぞれ示す。尚、無水クエン酸と無水炭酸カルシウムと塩基性炭酸マグネシウムを用いた場合は、無水クエン酸の水溶液に粉体の無水炭酸カルシウムと粉体の塩基性炭酸マグネシウムを添加した。
図2〜図5より、全てのモデル系において、5.4°付近に試験例1と同様のピークが検出されているのがわかる。
試験例1及び試験例2の結果より、本発明に係る食塩組成物は被覆層中に該塩を含み、更に、該塩は、クエン酸塩とカルシウム塩とマグネシウム塩の反応により生成した高次化合物を示すものであることが確認された。また、水への溶解度の低いカルシウム塩、マグネシウム塩を用いた場合も、クエン酸水溶液を用いることにより該塩を生成し得ることが確認された。
【0059】
[試験例3]
比較例1で得られた食塩組成物について、試験例1と同様に薄膜X線回折による測定を行った。結果を図6に示す。
図6より、2θ=5.4°付近には、ピークが検出されないことがわかる。
【0060】
[試験例4]
実施例1で得られた食塩組成物の顕微鏡写真(キーエンス社製)を図7に示す。この図より、実施例1で得た本食塩組成物が、顆粒状又は細粒状であることがわかる。また、同食塩組成物断面の走査型電子顕微鏡(日立製作所製)による写真を図8に示す。この図より、母粒子に被覆層が形成されていることがわかる。
【0061】
[試験例5]
実施例1と比較例1で得られた食塩組成物を、それぞれ1gずつシャーレに採り、25℃、60%RHの条件下で30分間放置し吸湿試験を行った。試料の試験前後の質量変化より吸湿度を求めた。尚、吸湿度は以下の式より算出した。
吸湿度[質量%]={(試験後質量[g]−試験前質量[g])/試験前質量[g]}×100
【0062】
【表2】

【0063】
表2に示すように、本実施例で得られた食塩組成物は、防湿性に優れていることがわかる。
【0064】
[試験例6]
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた食塩組成物と(財)塩事業センターの食塩を各100gずつ取り、それぞれガラス容器に入れて蓋をし、室温で1ヶ月間放置した時の、性状、流動状態及び固結状態の観察を行った。試験結果を表3に示す。尚、評価は目視で行い、◎:サラサラとして流動性が良く固結していないもの、○:やや流動性に劣る又は、一部固結しているが簡単に崩れるもの、×:湿潤でバサバサした状態で流動性が悪い又は、全体的に固結しているものとした。
【0065】
【表3】

【0066】
表3に示すように、本実施例で得られた食塩組成物は、保存時においても流動性が良く、耐固結性に優れていることがわかる。
【0067】
[試験例7]
実施例1、実施例2及び比較例1で得られた各食塩組成物から、ランダムに6箇所サンプリングを行い、それぞれの検体について、サンプル10.0gを水に溶かして正確に200mlとし、これを50倍希釈して各検体に含まれるMg2+、Ca2+の各電解質濃度をイオンクロマトグラフィー(東ソー社製)で測定した。同様に、各検体に含まれる、抗生活習慣病機能性成分濃度を測定した。測定結果を表4、表5にそれぞれ示す。尚、各抗生活習慣病機能性成分濃度の測定は以下の方法により行った。また測定結果は、それぞれ固体換算して質量%として示す。
実施例1及び比較例1の抗生活習慣病機能性成分濃度の測定方法:
蛍光誘導体化を組み合わせたHPLC法により、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(東ソー社製)で測定した。
実施例2の抗生活習慣病機能性成分濃度の測定方法:
(財)日本健康・栄養食品協会;健康補助食品規格基準集−その2− 大豆イソフラボン食品(平成15年5月1日 一部改正)に記載の、大豆イソフラボンの試験方法に準拠し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(東ソー社製)で測定した。
【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
表4に示すように、本実施例で得られた食塩組成物は、それぞれの成分において含量均一性が充分であることがわかる。また、表5に示すように、難水溶性の抗生活習慣病機能性成分であるイソフラボンを使用した場合も、それを被覆層中に含んでいるので含量均一性が充分である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の食塩組成物は、防湿性、流動性、耐固結性及び抗生活習慣病機能性成分の含量均一性に優れているので、食品用及び化粧品用等に好適に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、実施例1で得られた食塩組成物の薄膜X線回折結果を示す。
【図2】図2は、試験例2で得られた、クエン酸ナトリウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムを用いたモデル系の試料(実施例1の被覆層のモデル系)の粉末X線回折結果を示す。
【図3】図3は、試験例2で得られた、クエン酸カリウムと塩化カルシウムと塩化マグネシウムを用いたモデル系の試料(実施例2の被覆層のモデル系)の粉末X線回折結果を示す。
【図4】図4は、試験例2で得られた、クエン酸ナトリウムと塩化カルシウムと硫酸マグネシウムを用いたモデル系の試料の粉末X線回折結果を示す。
【図5】図5は、試験例2で得られた、クエン酸と炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムを用いたモデル系の試料の粉末X線回折結果を示す。
【図6】図6は、比較例1で得られた食塩組成物の薄膜X線回折結果を示す。
【図7】図7は、実施例1で得られた食塩組成物の顕微鏡写真である(デジタル写真)。
【図8】図8は、実施例1で得られた食塩組成物断面の走査型電子顕微鏡写真である(デジタル写真)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化ナトリウム、カルシウム塩、マグネシウム塩、クエン酸塩及び抗生活習慣病機能性成分を含有する食塩組成物であって、薄膜X線回折で2θ=5.3°〜5.5°(CuKα;λ=1.54058Å、入射角θ=1°)にピークを有する塩を含む被覆層で母粒子が覆われていることを特徴とする食塩組成物。
【請求項2】
顆粒状及び/又は細粒状である、請求項1記載の食塩組成物。
【請求項3】
抗生活習慣病機能性成分が、天然ポリフェノール、タンパク質・アミノ酸類、糖類、不飽和脂肪酸、テルペン類、オクタコサノール、カプサイシン、セラミド、レシチン、ノビレチン、タンゲレチン、モナコリン及びスルフォラファンからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である、請求項1又は2記載の食塩組成物。
【請求項4】
該塩がクエン酸塩とカルシウム塩とマグネシウム塩の反応により生成した高次化合物である、請求項1〜3のいずれか一項記載の食塩組成物。
【請求項5】
クエン酸塩がクエン酸ナトリウム又はクエン酸カリウムである、請求項1〜4のいずれか一項記載の食塩組成物。
【請求項6】
カルシウム塩及びマグネシウム塩としてにがりを含有する、請求項1〜5のいずれか一項記載の食塩組成物。
【請求項7】
食品用又は化粧品用である、請求項1〜6のいずれか一項記載の食塩組成物。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項記載の食塩組成物を含有する調味料又は食品。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか一項記載の食塩組成物を含有する化粧品。
【請求項10】
食塩組成物を構成する1以上の成分の少なくとも一部を含み、母粒子を形成し得る粉体及び/又は粒体と、食塩組成物を構成する、少なくとも一部のカルシウム塩、少なくとも一部のマグネシウム塩及び少なくとも一部のクエン酸塩を含む水溶液とを攪拌造粒して、母粒子に被覆層を形成することを含む、請求項1〜7のいずれか一項記載の食塩組成物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−129920(P2007−129920A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−324040(P2005−324040)
【出願日】平成17年11月8日(2005.11.8)
【出願人】(000113780)マナック株式会社 (40)
【Fターム(参考)】