説明

駆動機構及び画像形成装置

【課題】貫通軸を軸回りに回転させることで、駆動軸部から駆動ロール部を軸方向に引き抜きことを可能とする。
【解決手段】貫通軸330の引出側端部334の先端部336にソケットレンチ等の工具900をはめ込み、貫通軸330を回転させ、駆動軸部310のねじ部316のねじ固定を解除する。この解除に伴い引出方向Fに貫通軸330が移動する(ねじが進む)。つまり、貫通軸330の軸回りの回転変位が軸方向の直線変位に変換される。これより貫通軸330の引出側端面338が第一キャップ部材350の底部351を引出方向Fに押す。このとき、ねじのピッチ及び工具900を回転させる持手部902の直径Wを、工具900の持手部902の回転変位量よりも貫通軸330の直線変位量の方が小さくなるように設定することで、貫通軸330に軸方向(引出方向F)に大きな力がかかる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作像システムキットに設けられ、ベルト感光体と転写チャージャとを一体化したベルトマガジンを有する複写装置において、前記ベルトマガジンの複写装置本体に対する着脱を自動的に行う着脱手段を備える複写装置が提案されている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−114117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、貫通軸を軸回りに回転させることで、駆動軸部から駆動ロール部を軸方向に引き抜きことを可能とすることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、駆動ロール部と、前記駆動ロール部の一端部に嵌合する駆動軸部と、前記駆動ロール部に対する前記駆動軸部の回転を防止して前記駆動軸部から前記駆動ロール部に駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、外部から回転操作可能に前記駆動ロール部に挿入され、一端部が前記駆動軸部とねじによって固定される貫通軸と、前記駆動ロール部に設けられ、前記駆動ロール部に対する前記貫通軸の他端側の軸方向への移動を規制する規制部と、を備える。
【0006】
請求項2の発明は、前記規制部は、前記駆動ロール部の他端部に着脱可能に嵌め込められ、前記貫通軸の他端部が当たると共に、前記駆動ロール部の他端部が回転操作可能に貫通する開口部が形成された面を有する嵌込部材と、前記駆動ロール部に対する前記嵌込部材の軸方向の移動を防止す移動防止手段と、を備える。
【0007】
請求項3の発明は、前記規制部は、前記駆動ロール部に対する前記貫通軸の回転を防止する回転防止手段を有する。
【0008】
請求項4の発明は、前記駆動ロール部に対する前記貫通軸の回転を防止する回転防止手段を備える。
【0009】
請求項5の発明は、ベルトに形成された現像剤像が記録媒体に転写され定着されることによって前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、前記ベルトが巻きかけられ張架する複数のロールのうちの一つを構成し、前記ベルトを回転させる駆動ロールと、前記駆動ロールを含んで構成される前記駆動ロール部を駆動させる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の駆動機構と、を備える
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、貫通軸を軸回りに回転させることで、駆動ロール部を駆動軸部から引き抜くことができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、嵌込部材が別部材となっていない構成と比較し、組み立てが容易である。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、貫通軸と駆動軸部とのねじの緩みを防止することできる。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、貫通軸と駆動軸部とのねじの緩みを防止することできる。
【0014】
請求項5の記載の発明によれば、貫通軸を軸回りに回転させることで、ベルトが巻きかけられている駆動ロールを含んで構成されている駆動ロール部を駆動軸部から引き抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す模式図である。
【図2】画像形成部の構成を示す模式図である。
【図3】クリーニング装置を中間転写ユニットと共に画像形成装置本体から引き出す様子を示す斜視図である。
【図4】クリーニング装置を中間転写ユニットから離脱させた状態を示す斜視図である。
【図5】本発明の第一実施形態に係る駆動機構を示す(A)は分解斜視図であり、(B)は各部品を組み付けた状態の斜視図である。
【図6】本発明の第一実施形態に係る駆動機構の装置奥側端部を示す軸方向に沿った断面図である。
【図7】本発明の第一実施形態に係る駆動機構の引出側端部を示す第一キャップ部材と第二キャップ部材とが取り外された状態の斜視図である。
【図8】本発明の第一実施形態に係る駆動機構の引出側端部を示す斜視図である。
【図9】本発明の第一実施形態に係る駆動機構を示す断面図を示すと共に、駆動ロール部を駆動軸部から引き抜く工程を(A)〜(C)に順番に示す図である。
【図10】本発明の第二実施形態に係る駆動機構の引出側端部を示す第一キャップ部材と第二キャップ部材とが取り外された状態の斜視図である。
【図11】本発明の第二実施形態に係る駆動機構の引出側端部を示す斜視図である。
【図12】本発明の第二実施形態に係る駆動機構を示す断面図を示すと共に、駆動ロール部を駆動軸部から引き抜く工程を(A)〜(C)に順番に示す図である。
【図13】本発明の第三実施形態に係る駆動機構の引出側端部を示し、第一キャップ部材と第二キャップ部材とが取り外された状態の斜視図である。
【図14】本発明の第三実施形態に係る駆動機構の引出側端部を示す斜視図である。
【図15】本発明の第三実施形態に係る駆動機構を示す断面図を示すと共に、駆動ロール部を駆動軸部から引き抜く工程を(A)〜(C)に順番に示す図である。
【図16】本発明の第一実施形態及び第二実施形態において、駆動ロール部を駆動軸部から引き抜く通常の工程を(A)〜(B)に示し、(C)は工具の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第一実施形態>
以下、本発明に係る第一実施形態について図面を基に詳細に説明する。なお、図1において、矢印UPを画像形成装置10の上方向とし、矢印RIを画像形成装置10の右方向とする。そして、図1で示す紙面垂直方向手前側を画像形成装置10の前側とし、正面とする。また、本実施形態では、記録媒体の一例として記録用紙Pを採用し、記録用紙Pの搬送方向上流側を単に「上流側」、搬送方向下流側を単に「下流側」と言うこととする。
【0017】
[装置全体構成]
まず、装置の全体構成について説明する。
【0018】
図1で示すように、画像形成装置10は、記録用紙Pが収容される用紙収容部12と、用紙収容部12の上側に設けられ用紙収容部12から供給される記録用紙Pに画像を形成する画像形成部14と、画像形成部14の上側に設けられ原稿Gを読み取る原稿読取部16と、画像形成部14内に設けられ画像形成装置10の各部の動作を制御する制御部20と、を含んで構成されている。
【0019】
用紙収容部12には、それぞれサイズの異なる記録用紙Pが収容される第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26が設けられている。第1収容部22、第2収容部24、及び第3収容部26には、それぞれ収容された記録用紙Pを画像形成装置10内の搬送路28へ送り出す送出ロール32が設けられている。そして、各送出ロール32よりも下流側の搬送路28には、記録用紙Pを1枚ずつ搬送する一対の搬送ロール34、36がそれぞれ設けられている。
【0020】
更に、第3収容部26の搬送ロール36よりも下流側には、後述する反転搬送路29から送られて来た記録用紙Pが搬送路28に合流されて搬送されるように、一対の搬送ロール50が設けられている。そして、その搬送ロール50よりも下流側には、記録用紙Pを一旦停止させるとともに、予め決められたタイミングで、後述する二次転写位置へ送り出す位置合わせロール38が設けられている。
【0021】
なお、画像形成装置10の正面視において、搬送ロール50を含む上流側の搬送路28は、上下方向に直線状に形成されている。また、位置合わせロール38を含む下流側の搬送路28は、画像形成部14の左側から右側、即ち装置本体10Aの右側面に設けられた排紙部15まで略直線状に形成されている。更に、位置合わせロール38を含む下流側の搬送路28の下側には、記録用紙Pが反転されて搬送される反転搬送路29が設けられている。
【0022】
反転搬送路29には、搬送路28から反転搬送路29へ記録用紙Pを案内する第1案内部材31と、画像形成部14の右側下部から用紙収容部12の右側下部まで上下方向に直線状に設けられた反転部30と、反転部30に搬送された記録用紙Pを反転部30から後述する搬送部37へ案内する第2案内部材35と、第2案内部材35によって案内された記録用紙Pを搬送する搬送部37と、を有している。
【0023】
なお、この搬送部37の下流側は、第3収容部26の搬送ロール36と搬送ロール50との間における搬送路28に合流されるようになっている。そして、反転部30には、一対の搬送ロール42が予め決められた間隔を隔てて複数箇所に設けられており、搬送部37には、一対の搬送ロール44が予め決められた間隔を隔てて複数箇所に設けられている。
【0024】
第1案内部材31は、正面視略三角柱状とされており、図示しない駆動手段によって先端部が搬送路28又は反転搬送路29の何れか一方に移動されることで、記録用紙Pを搬送路28又は反転搬送路29へ案内するようになっている。同様に、第2案内部材35も、正面視略三角柱状とされており、図示しない駆動手段によって先端部が反転部30又は搬送部37の何れか一方に移動されることで、記録用紙Pを反転部30又は搬送部37へ案内するようになっている。
【0025】
また、装置本体10Aの左側面には、折り畳み式の手差給紙部46が設けられている。手差給紙部46から供給された記録用紙Pは、搬送ロール48によって搬送され、搬送ロール50よりも下流側で、かつ位置合わせロール38よりも上流側の搬送路28に合流されるようになっている。
【0026】
原稿読取部16は、原稿Gを1枚ずつ自動で搬送する原稿搬送装置52と、原稿搬送装置52の下側に配置され、1枚の原稿Gが載せられるプラテンガラス54と、原稿搬送装置52によって搬送された原稿G又はプラテンガラス54に載せられた原稿Gを読み取る原稿読取装置56と、を有している。
【0027】
原稿搬送装置52は、一対の搬送ロール58が複数配置された自動搬送路55を有しており、自動搬送路55の一部は、記録用紙Pがプラテンガラス54上を通るように配置されている。また、原稿読取装置56は、プラテンガラス54の左端部に静止した状態で原稿搬送装置52によって搬送された原稿Gを読み取るか、又は右方向に移動しながらプラテンガラス54に載せられた原稿Gを読み取るようになっている。
【0028】
画像形成部14は、装置本体10Aの略中央に、装置本体10Aの手前側から奥側に向かう方向が軸方向とされて配置された円筒状の感光体62を有している。この感光体62は、図示しない駆動手段によって矢印R方向(図示の時計回り方向)に回転駆動されるとともに、光照射によって形成される静電潜像を保持するようになっている。また、感光体62の上方で、かつ感光体62の表面(外周面)と対向する位置には、感光体62の表面を帯電するスコロトロン方式の帯電部材64が設けられている。
【0029】
帯電部材64よりも感光体62の回転方向下流側で、かつ感光体62の表面と対向する位置には、露光装置66が設けられている。露光装置66は、LED(Light Emitting Diode)で構成されており、帯電部材64によって帯電した感光体62の表面に、各トナー色に対応した画像信号に基づいて光を照射(露光)し、静電潜像を形成するようになっている。
【0030】
なお、露光装置66はLED方式に限らず、例えば、レーザー光をポリゴンミラーで走査するものであってもよい。また、露光装置66によって光が照射される部位よりも感光体62の回転方向下流側には、感光体62の表面に形成された静電潜像を、予め決められた各色のトナーで現像して可視化させる回転切替方式の現像装置70が設けられている。
【0031】
この現像装置70は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナー色にそれぞれ対応する現像器(図示省略)を有している。各現像器は、周方向に並んで配置されており、回転駆動源であるモーター(図示省略)によって中心角で60°ずつ回転することで切り替えられ、感光体62の表面と対向するようになっている。
【0032】
なお、第1特別色(E)及び第2特別色(F)とは、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)以外の特別色(透明を含む)から選択される色であり、第1特別色(E)及び第2特別色(F)を使用する場合には、Y、M、C、K、E、Fの6色で画像が形成されるようになっている。また、Y、M、C、Kの4色と第1特別色(E)又は第2特別色(F)の5色で画像を形成するようにしてもよいし、第1特別色(E)及び第2特別色(F)を除く4色で画像を形成するようにしてもよい。
【0033】
現像装置70よりも感光体62の回転方向下流側で、かつ感光体62の下側には、感光体62の表面に形成されたトナー画像が一次転写される転写装置の一例としての中間転写ユニット60が設けられている。中間転写ユニット60は、矢印A方向(図示の反時計回り方向)に周回移動する像保持体の一例としての無端状の中間転写ベルト(中間転写体)68を有している。
【0034】
この中間転写ベルト68は、制御部20により制御され回転駆動する駆動機構300の駆動ロール部302(図7参照、詳細は後述する)を構成する駆動ロール61と、中間転写ベルト68に張力を付与するための張力付与ロール63と、中間転写ベルト68の裏面(内周面)に接触して従動回転する複数の搬送ロール65と、後述する二次転写位置において中間転写ベルト68の裏面に接触して従動回転する補助ロール69に巻き掛けられている。
【0035】
また、中間転写ベルト68を挟んで感光体62の反対側には、感光体62の表面に形成されたトナー画像を中間転写ベルト68の表面(外周面)に一次転写させるための一次転写ロール67が設けられている。
【0036】
この一次転写ロール67は、感光体62と中間転写ベルト68とが接触する位置から中間転写ベルト68の移動方向下流側に離れた位置で、中間転写ベルト68の裏面に接触している。そして、一次転写ロール67は、図示しない電源から通電されることにより、接地されている感光体62との電位差で、感光体62のトナー画像を中間転写ベルト68の表面に一次転写するようになっている。
【0037】
また、一次転写ロール67よりも感光体62の回転方向下流側には、中間転写ベルト68の表面に一次転写されずに、感光体62の表面に残留している残留トナー等を除去するクリーニング装置74が設けられている。
【0038】
図2に示すように、クリーニング装置74は、感光体62の表面に接触するクリーニングブレード73及びブラシロール75により、残留トナー等を回収する構成となっている。また、クリーニング装置74よりも感光体62の回転方向上流側(一次転写ロール67よりも下流側)には、感光体62の表面に光を照射して除電を行う除電装置76が設けられている。
【0039】
この除電装置76は、クリーニング装置74による残留トナー等の回収前に感光体62の表面に光を照射して除電することで、感光体62の表面に対する、残留トナー等の静電気による付着力を低減し、その残留トナー等の回収率を高めるようにしている。なお、クリーニング装置74よりも感光体62の回転方向下流側で、かつ帯電部材64よりも上流側に、残留トナー等を回収した後の感光体62の表面に対する除電装置を設けてもよい。
【0040】
また、中間転写ベルト68の周囲で張力付与ロール63と対向する位置には、中間転写ベルト68の表面に付されたマーク(図示省略)を検知することで、中間転写ベルト68の表面の予め定めた基準位置を検出し、画像形成処理の開始タイミングの基準となる位置検出信号を出力する位置検出センサー83が設けられている。
【0041】
また、中間転写ベルト68を挟んで補助ロール69の反対側には、中間転写ベルト68の表面に一次転写されたトナー画像(現像剤像)を記録用紙Pに二次転写させる転写部材の一例としての二次転写ロール72が設けられている。この二次転写ロール72は、図示しないリトラクト機構により、中間転写ベルト68の表面に対して接離(接触、離隔)可能に構成されている。
【0042】
すなわち、この二次転写ロール72は、中間転写ベルト68の表面に各色のトナー画像が一次転写されるまで、その表面から離隔されるようになっており、中間転写ベルト68の表面に各色のトナー画像が一次転写されたら、その表面に接触し、図示しない電源から通電されることにより、接地されている補助ロール69との電位差で、中間転写ベルト68の表面のトナー画像を記録用紙Pに二次転写するようになっている。なお、この二次転写ロール72と補助ロール69との間が記録用紙Pへトナー画像を転写する二次転写位置である。
【0043】
また、図1で示すように、二次転写位置よりも下流側には、二次転写ロール72によってトナー画像が転写された記録用紙Pに、そのトナー画像を定着させる定着装置80が設けられている。定着装置80は、通電により発熱する熱源を有するとともに、記録用紙Pのトナー画像面側(上側)に配置される加熱ロール82と、加熱ロール82の下側に配置され、記録用紙Pを加熱ロール82の外周面に向けて加圧する加圧ロール84とで構成されている。
【0044】
なお、定着装置80の下流側には、排紙部15又は反転部30へ向けて記録用紙Pを搬送する搬送ロール40が設けられている。また、原稿読取装置56の下側で現像装置70よりも上側には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)、第1特別色(E)、第2特別色(F)の各トナーを収容するトナーカートリッジ78Y、78M、78C、78K、78E、78Fが水平方向に並んで交換可能に設けられている。
【0045】
一方、図2で示すように、中間転写ベルト68を挟んで駆動ロール61の反対側(二次転写位置よりも下流側で、かつ搬送路28よりも上方側)には、二次転写後に、記録用紙Pに転写されずに中間転写ベルト68の表面に残留している残留トナーを除去して回収する清掃装置の一例としてのクリーニング装置100が設けられている。
【0046】
このクリーニング装置100は、中間転写ベルト68と対向配置される矩形状の開口部104を備えた筐体102と、開口部104の上側に設けられ、中間転写ベルト68に接触して残留トナーを除去する除去部材の一例としてのクリーニングブレード106と、クリーニングブレード106とは反対側(下側)の位置で開口部104に設けられ、中間転写ベルト68に接触して筐体102と中間転写ベルト68との隙間を密閉する密閉部材の一例としてのシール部材(図示略)と、を有している。なお、このクリーニングブレード106とシール部材(図示略)は、中間転写ベルト68に対して接離(接触、離隔)可能になっている。
【0047】
更に、このクリーニング装置100は、筐体102内に貯留された残留トナーを、その長手方向の一端部側へ搬送する搬送部材128と、残留トナー等を筐体102内へ吸引する吸引ユニット(図示省略)と、筐体102内に設けられ、残留トナーを含む塵埃を捕捉するフィルター112と、クリーニングブレード106及びシール部材(図示略)を、中間転写ベルト68の表面に接触させた位置と中間転写ベルト68の表面から離隔させた位置との間で移動させる移動手段の一例としてのリトラクト機構130(図7及び図8参照)の一部と、を有している。
【0048】
図3に示すように、レール部材18(図2参照)等によって、中間転写ユニット60とクリーニング装置100は、一体として装置本体10Aから引出可能に構成されている。なお、中間転写ユニット60とクリーニング装置100は、装置奥側から手前側に引出され、図に示す矢印が引出方向Fである。
【0049】
また、図4に示すように中間転写ユニット60とクリーニング装置100とを一体として装置本体10Aから引き出した後、クリーニング装置100は、引出方向Fと交差(本実施形態では直交)する方向へ移動させることで、中間転写ユニット60から取り外せるように構成されている。
【0050】
また、図7及び図8で示すように、画像形成装置10を正面視したときの手前側から奥側に向かう方向を、つまり、引出方向と反対方向を、矢印D方向、矢印D方向と直交する筐体102の高さ方向を矢印H方向。また、中間転写ベルト68からクリーニングブレード106及びシール部材(図示略)が離隔された状態をリトラクト状態と言う場合がある。
【0051】
図7及び図8に示すように、中間転写ユニット60において、クリーニング装置100の引出側(手前側)と引出側とは反対側(奥側)には、それぞれ側板124が設けられている。なお、各側板124は、クリーニング装置100の長手方向両端部(手前側と奥側)に設けられている各側板114とは別体のものである。
【0052】
また、第1可動部材110よりも下流側で、かつ引出側及び引出側とは反対側の端部には、それぞれコイルバネ152の一端部が取り付けられており、各コイルバネ152の他端部は、それぞれ側板114の底部に取り付けられている。これにより、第1可動部材110には、+J方向に回転させる力が作用する構成である。
【0053】
リトラクト機構130は、中間転写ユニット60の側板124から外方側(手前側)に突出した軸部材132の一端部に固着された第1カム部材の一例としての第1偏心カム134と、クリーニング装置100の側板114の外面側に回転可能に設けられ、回転される第1偏心カム134に押圧されることにより移動(回転)して、第1可動部材110、更には第2可動部材120を中間転写ベルト68から離隔させる方向へ移動させる第1押圧部材の一例としての第1リンク部材142と、を含んで構成されている。
【0054】
回転軸の一例としての軸部材132は、中間転写ユニット60の側板124に回転可能に支持されており、クリーニング装置100の引出側とは反対側(奥側)の端部には、カップリング部材(図示略)。このカップリング部材(図示略)に、駆動装置(図示略)から引出側へ向けて突出された出力軸(図示略)に設けられているカップリング部材(図示略)が噛合することで、軸部材132に駆動装置90(図6参照)から回転駆動力が伝達されるようになっている。
【0055】
なお、駆動源の一例としての駆動装置90(図6参照)は、図示しないモーターやギア群を備え、制御部20(図1、図6参照)によって制御され駆動する。
【0056】
また、軸部材132を中心として偏心した第1偏心カム134の予め決められた部位には、側板124に一端部が取り付けられたコイルバネ138の他端部が取り付けられている。このコイルバネ138の引っ張り力(復元力)により、第1偏心カム134は、後述する第1アーム142Bのロール146から離隔する向きに回転させられる構成である。また、第1リンク部材142は、正面視略「V」字状とされた同じ形状の2枚の板材が、間隔を空けて一体化された構成となっている。すなわち、この第1リンク部材142は、本体部142Aと、本体部142Aの正面視で左上部から左斜め上方へ延びる第1アーム142Bと、本体部142Aの正面視で右上部から右斜め上方へ延びる第2アーム142Cと、を有しており、全体として正面視略「V」字状に形成されている。そして、本体部142Aの下端部には、支軸140に固定される円弧状の切欠部142Dが形成されており、支軸140は、側板114に設けられたベアリング(図示省略)によって回転可能に支持されている。更に、第1アーム142Bの上端部及び第2アーム142Cの上端部には、それぞれロール146、148が、支軸140と同じ軸方向に回転自在に軸架されている。
【0057】
ここで、第1リンク部材142は、支軸140を中心に(支軸140を支点として)+J方向(図6の時計回り方向)又は−J方向(図6の反時計回り方向)に移動(回転)可能となっており、第1アーム142B及び第2アーム142Cが、+J方向又は−J方向に移動するようになっている。この第1リンク部材142では、第2アーム142C側の本体部142Aの辺縁部にコイルバネ150の一端部が取り付けられており、そのコイルバネ150の他端部は側板114の底部に取り付けられている。これにより、第1リンク部材142には、+J方向に回転させる力が作用するようになっており、非リトラクト状態のときには、ロール146が第1偏心カム134に接触しない構成になっている。そして、第2アーム142Cのロール148は、第1可動部材110の引出側端部に形成された平面状の接触部110Bと常に接触される構成になっている。また、第1アーム142Bのロール146は、第1偏心カム134の+J方向の回転によって、その第1偏心カム134と接触し、第1偏心カム134の−J方向の回転によって、その第1偏心カム134から離隔されるようになっている。
【0058】
第2アーム142Cのロール148は、第1偏心カム134が第1アーム142Bのロール146と接触して第1リンク部材142を+J方向に移動させたときに、第1可動部材110の接触部110Bを下方へ向けて押圧して、第1可動部材110を−J方向に移動させるようになっている。なお、第1偏心カム134が第1アーム142Bのロール146から離隔されたときには、第1可動部材110が、コイルバネ152の引っ張り力(復元力)によって、+J方向に移動するようになっている。
【0059】
[中間転写ベルトの駆動機構]
つぎに中間転写ベルト68を駆動させる駆動機構300について説明する。
【0060】
図7と図8とに示すように、中間転写ベルト68(図1と図2も参照)は、駆動機構300の駆動ロール部302を構成する駆動ロール61が、回転駆動することによって回転する。また、図6に示すように、駆動機構300(駆動ロール61)は、装置奥側に配置された駆動源の一例としての駆動装置90によって駆動される。
【0061】
図5と図6とに示すように、駆動機構300は、駆動ロール部302と、駆動軸部310と、貫通軸330と、を含んで構成されている。
【0062】
図6に示すように、駆動軸部310は、駆動装置90から引出側に向けて突出し、駆動装置90によって回転駆動するように構成されている。なお、本実施形態においては、駆動軸部310にはフライホイール308が設けられている。なお、駆動装置90は、図示しないモーターやギア群を備え、制御部20(図1も参照)によって制御されている。
【0063】
駆動ロール部302は、中間転写ベルト68(図2、図8参照)が巻き掛けられたゴム製の駆動ロール61と、駆動ロール61の軸心となる中空の軸心部320と、を含んで構成されている。駆動ロール部302の軸心部320の奥側端部323の開口部には、引出側に凹んだV字状のV溝322が複数形成されている。
【0064】
また、前述した駆動軸部310の周面には、周方向に沿って並んだ複数の係合突起312が設けられている。
【0065】
図5と図6とに示すように、駆動ロール部302の軸心部320の奥側端部323に、駆動軸部310が挿入され嵌合されている。そして、軸心部320のV溝322に、駆動軸部310の係合突起312が係合することで回転が防止され、駆動軸部310から駆動ロール部302に、駆動装置90(図6参照)の回転駆動力が伝達される。なお、本実施形態においては、後述するように貫通軸330によっても駆動軸部310から駆動ロール部302に回転駆動力が伝達されるように構成されている。
【0066】
図5に示すように、駆動ロール部302の軸心部320の引出側端部の開口から貫通軸330が挿入されている。貫通軸330の奥側の先端部の外周面には雄ねじ溝が形成されたねじ部332が設けられている。また、駆動軸部310は、引出側(挿入側)の先端部314の内周面に雌ねじ溝が形成されたねじ部316が設けられている。
【0067】
そして、図6に示すように、貫通軸330のねじ部332が、駆動軸部310のねじ部316にねじ込まれることによって、貫通軸330と駆動軸部310とが結合されている。
【0068】
なお、図5(B)と図7とに示すように、貫通軸330の引出側端部334は、駆動ロール部302の軸心部320の引出側端部324の開口部から突出している。
【0069】
図7〜図9(A)に示すように、駆動ロール部302の軸心部320の引出側端部324には、第一キャップ部材350が嵌め込まれ、第一キャップ部材350の外側に第二キャップ部材360が嵌め込まれている。
【0070】
図7に示すように、駆動ロール部302の軸心部320の引出側端部334の外周面には、D面326が形成されている。第一キャップ部材350の内周面には、引出側端部324のD面326に対応するD面352が形成されている。また、第一キャップ部材350のD面352に対応する位置にいもねじ382(図9(B)参照)がねじ込まれるねじ孔356が、径方向に形成されている。なお、「いもねじ」は、頭が無くねじ部だけて構成されたねじとされている。また、以降の「いもねじ」も含め、「いもねじ」でなく頭のある通常のねじで固定してもよい。
【0071】
第一キャップ部材350の底部351には、軸孔358が形成され、この軸孔358から貫通軸330の引出側端部334の先端部336が、回端操作可能に突出(露出)する(図5を参照)。この貫通軸330の引出側端部334の先端部336は、後述する工具900の先端のソケット904が嵌め込まれるように六角形状と成している。また、この先端部336には、ねじ穴339が形成されている。第一キャップ部材350の外周面にはD面354が形成されている。そして、第二キャップ部材360の内周面には、第一キャップ部材350のD面354に対応するD面362が形成されている。
【0072】
図7〜図9(A)に示すように、第一キャップ部材350が駆動ロール部302の軸心部320の引出側端部324にはめ込まれ、引出側端部324のD面326と第一キャップ部材350のD面352とが係合する共に、第二キャップ部材360が第一キャップ部材350にはめ込まれ、第一キャップ部材350のD面352と第二キャップ部材360のD面362とが係合する。よって、第一キャップ部材350は駆動ロール部302に対する回転が防止され、第二キャップ部材360は第一キャップ部材350に対する回転が防止され、また、これらによって、第二キャップ部材360の駆動ロール部302に対する回転が防止される。
【0073】
そして、第二キャップ部材360の引出側端部の底面部368の孔369から固定ねじ386が挿入され、貫通軸330のねじ穴339にねじ込まれることで、第二キャップ部材360と貫通軸330とが固定される。よって、貫通軸330が駆動ロール部302に対する回転が防止される。
【0074】
また、このように第一キャップ部材350、第二キャップ部材360、固定ねじ386によって貫通軸330が駆動ロール部302の軸心部320に固定されることによって、駆動軸部310(図6参照)から貫通軸330を介して駆動ロール部302に回転駆動力が伝達される。
【0075】
[画像形成プロセスの概要]
つぎに、本装置における画像形成プロセスについて説明する。
【0076】
図1に示すように、露光装置66から画像データに応じて出射された光は、帯電部材64により帯電された感光体62の表面を露光し、感光体62の表面にはイエローの画像データに対応した静電潜像が形成される。更に、感光体62の表面に形成された静電潜像は、イエローの現像器によってイエローのトナー画像として現像される。そして、感光体62の表面のイエローのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68に転写される。
【0077】
続いて、現像装置70が、図1で示す矢印方向に60°回転され、マゼンタの現像器が感光体62の表面と対向する。そして、帯電、露光、現像の各工程が行われ、感光体62の表面のマゼンタのトナー画像は、一次転写ロール67によって中間転写ベルト68のイエローのトナー画像上に転写される。同様にして、シアン(C)、ブラック(K)、更に色設定に応じて、第1特別色(E)、第2特別色(F)のトナー画像が中間転写ベルト68上に順次多重転写される。
【0078】
一方、用紙収容部12から送り出され、搬送路28を搬送されてきた記録用紙Pは、位置合わせロール38により、中間転写ベルト68への各トナー画像の多重転写とタイミングを合わせて二次転写位置に搬送される。そして、中間転写ベルト68上に多重転写されたトナー画像は、二次転写位置に搬送されてきた記録用紙P上に、補助ロール69と、図示しないリトラクト機構の動作によって中間転写ベルト68の表面に接触させられた二次転写ロール72とによって二次転写される。
【0079】
二次転写位置においてトナー画像が転写された記録用紙Pは、定着装置80に向けて搬送される。定着装置80に搬送された記録用紙Pは、加熱ロール82及び加圧ロール84によって加熱、加圧されることで、表面に転写されたトナー画像が定着される。そして、トナー画像が定着された記録用紙Pは、搬送ロール40によって排紙部15に排出される。
【0080】
なお、二次転写開始後、クリーニング装置100のクリーニングブレード106及びシール部材108が、リトラクト機構130の動作が解除されることによって中間転写ベルト68の表面に接触する。すなわち、カップリング部材86をカップリング部材88から離隔させ、カップリング部材86とカップリング部材88との噛合を解除する。
【0081】
すると、コイルバネ138の引っ張り力(復元力)により、第1偏心カム134が逆方向(−J方向)に回転し、軸部材132を介して、第2偏心カム136が逆方向(−J方向)に回転するので、各偏心カム134、136が、第1リンク部材142及び第2リンク部材144の各第1アーム142B、144Bのロール146から離隔し、各第2アーム142C、144Cによる各接触部110B、110Cに対する押圧が解除される。
【0082】
これにより、第1可動部材110がコイルバネ152の引っ張り力(復元力)によって+J方向に回転し、第2可動部材120がコイルバネ94、98の引っ張り力(復元力)によって−J方向に回転するので、クリーニングブレード106及びシール部材108が中間転写ベルト68の表面に接触される。
【0083】
こうして、中間転写ベルト68の表面にクリーニングブレード106が接触したら、そのクリーニングブレード106により、記録用紙Pに転写されずに中間転写ベルト68の表面に残留している残留トナーが掻き取られて除去され、筐体102内に回収される。筐体102内に回収された残留トナーは、筐体102の底壁102A上に貯留され、搬送部材128によって回収路122を通って回収タンクへ排出される。
【0084】
また、記録用紙Pの裏面にも画像を形成する場合には、定着装置80によって表面の画像定着を行った後、記録用紙Pを反転部30に送り込むことで、記録用紙Pの先端と後端を入れ替える。そして、記録用紙Pを反転搬送路29によって矢印B方向(図1参照)に搬送し、更に搬送路28に送り込んで、記録用紙Pの裏面の画像形成及び定着を上記と同様にして行う。
【0085】
また、記録用紙Pの裏面に画像形成するために、リトラクト機構130の動作により、クリーニング装置100のクリーニングブレード106及びシール部材108を中間転写ベルト68の表面から離隔させたときには、図示しない吸引ユニットを作動させる。これにより、クリーニングブレード106及びシール部材108に付着していた残留トナーが、フィルター112に向かい、そのフィルター112で捕捉されるか、又は底壁102A上に落下して貯留され、搬送部材128によって回収タンクへ排出される。
【0086】
なお、この吸引ユニットは、記録用紙Pの裏面に画像を形成するときに限らず、クリーニングブレード106及びシール部材108が、中間転写ベルト68の表面から離隔しているリトラクト状態のときには、作動させる構成になっている。
【0087】
[作用及び効果]
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0088】
前述したように、中間転写ユニット60とクリーニング装置100とは、図4と図5とに示すように、メンテナンスや交換等において、レール部材18(図2参照)等によって、一体として装置本体10Aから引出可能に構成されている。
【0089】
このとき、図6に示す駆動機構300の駆動ロール部302(の軸心部320)を、駆動軸部310から引き抜く必要がある。よって、つぎに、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜く工程について説明する。
【0090】
まず、駆動ロール部302(の軸心部320)を駆動軸部310から引き抜く通常の工程について説明する。なお、通常とは、後述するように貫通軸330と駆動軸部310とのねじによる固定を解除し、駆動ロール部302を軸方向に引き抜けば、駆動ロール部302を容易に駆動軸部310から引き抜くことができる場合である。つまり、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くために、軸方向に大きな力が必要でない場合である。
【0091】
図7と図16とに示すように、固定ねじ386を外し、第二キャップ部材360と第一キャップ部材350との両方を外す。貫通軸330の引出側端部334の先端部336にソケットレンチ等の工具900(図16(C)を参照)をのソケット904をはめ込み、貫通軸330を回転させ、駆動軸部310のねじ部316へのねじ固定を解除し、貫通軸330を取り外す。そして、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜く。つまり、図5(A)の状態とする。
【0092】
ここで、駆動ロール部302(の軸心部320)が、駆動軸部310との勘合部分G(図6も参照)において、経時による錆びや異物の混入や若干斜めに嵌合していること等があると、勘合部分Gが所謂かじってしまうことがある(一例として、図16(B)の状態)。このような所謂かじった状態(スティック)となると、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くためには、軸方向に大きな力が必要となり、上述した通常の工程では、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くことが困難となる。
【0093】
よって、つぎに、このような所謂かじった状態となり、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くために、軸方向に大きな力が必要となった場合の、引き抜き工程について説明する。
【0094】
図9(A)と図9(B)とに示すように、固定ねじ386を外し、第二キャップ部材360を外す。いもねじ382を第一キャップ部材350のねじ孔356にねじ込み第一キャップ部材350を駆動ロール部302の軸心部320に固定する。
【0095】
図9(C)に示すように、貫通軸330の引出側端部334の先端部336にソケットレンチ等の工具900(図16(C)も参照)をはめ込み、貫通軸330を回転させ、駆動軸部310のねじ部316のねじ固定を解除する。この解除に伴い引出方向Fに貫通軸330が移動する(ねじが進む)。つまり、貫通軸330の軸回りの回転変位が軸方向の直線変位に変換される。これより貫通軸330の引出側端面338が第一キャップ部材350の底部351を引出方向Fに押す。
【0096】
このとき、ねじのピッチ及び工具900を回転させる持手部902の直径Wを、工具900の持手部902の回転変位量よりも貫通軸330の直線変位量の方が小さくなるように設定することで、「大きな変位量×小さな力=小さな変位量×大きな力」という関係から、貫通軸330に軸方向(引出方向F)に大きな力がかかる。言い換えると、持手部902を軸回りに回転させる小さな力が軸方向の大きな力に変換される。よって、貫通軸330の引出側端面338が第一キャップ部材350の底部351を引出方向Fに押す力が、上述した駆動ロール部302を軸方向に引き抜く通常の工程と比較し、大きくなる。したがって、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くために、軸方向に大きな力が必要であっても、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くことができる。なお、嵌合部GK(図6、図16を参照)のかじりを解消したあとは、通常の工程と同様に駆動ロール部302を軸方向に引き抜くことができる。
【0097】
なお、軸方向に大きな力が必要でない通常の場合であっても、このような抜き方をしてもよい。
【0098】
また、第一キャップ部材350と第二キャップ部材360とをはめ込み、固定ねじ386で固定することで組み立てられる。よって、組み立て時は、軸方向のアクセスだけて組み立てが可能であるので、軸方向以外の方向からのアクセスが必要な場合よりも組み立てが容易である。
【0099】
また、第二キャップ部材360を貫通軸330に固定ねじ386によって固定することで、貫通軸330と駆動軸部310とのねじの緩みを防止することできる。
【0100】
<第二実施形態>
つぎに本発明の第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0101】
[中間転写ベルトの駆動機構]
駆動機構の貫通軸330の引出方向側の端部のキャップ部材による固定部分以外は、第一実施形態と同様であるので、ここの部分のみを説明する。
【0102】
図10〜図12に示すように、第二実施形態の駆動機構303は、駆動ロール部302の軸心部320の引出側端部324には、第一キャップ部材450がはめ込まれている。第一キャップ部材450の内周面には、引出側端部324のD面326に対応するD面452が形成されている。また、第一キャップ部材450のD面452に対応する位置にいもねじ482がねじ込まれるねじ孔456、457が軸方向に並んで形成されている。第一キャップ部材450の底部451には、軸孔458が形成され、この軸孔458から貫通軸330の引出側端部334の先端部336が(図5も参照)が、回転操作可能に突出(露出)している。
【0103】
第一キャップ部材450が駆動ロール部302の軸心部320の引出側端部324にはめ込まれ、引出側端部324のD面326と第一キャップ部材450のD面452とが係合する。よって、第一キャップ部材450は駆動ロール部302に対して回転が防止される。
【0104】
また、第一キャップ部材450の引出方向側のねじ孔457にいもねじ482をねじ込むことで、第一キャップ部材450が貫通軸330の引出側端部334に固定される。
【0105】
[作用及び効果]
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0106】
まず、通常の駆動ロール部302(の軸心部320)を駆動軸部310から引き抜く工程について説明する。
【0107】
いもねじ482を外し、第一キャップ部材450を外す(図10の状態)。貫通軸330の引出側端部334の先端部336にソケットレンチ等の工具900(図16(C)を参照)をはめ込み、貫通軸330を回転させ、駆動軸部310のねじ部316のねじ固定を解除し、貫通軸330を取り外す。そして、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜く。
【0108】
つぎに、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くために、軸方向に大きな力が必要となった場合の、引き抜き工程について説明する。
【0109】
図12(A)と図12(B)とに示すように、いもねじ382をねじ孔457から外し、ねじ孔456にいもねじ482をねじ込み、第一キャップ部材450を駆動ロール部302の軸心部320に固定する。
【0110】
図12(C)に示すように、貫通軸330の引出側端部334の先端部336にソケットレンチ等の工具900(図16(C)を参照)をはめ込み、貫通軸330を回転させ、駆動軸部310のねじ部316のねじ固定を解除する。この解除に伴い引出方向Fに貫通軸330が移動する(ねじが進む)。つまり、貫通軸330の軸周りの回転変位が、軸方向の直線変位に変換される。これより貫通軸330の引出側端面338が第一キャップ部材450の底部451を引出方向Fに押す。
【0111】
第一実施形態と同様に、ねじのピッチ及び工具900を回転させる持手部902の直径Wを、工具900の持手部902の回転変位量よりも貫通軸330の直線変位量が小さくなるように設定することで、貫通軸330に軸方向(引出方向F)に大きな力がかかる(軸周りに回転させる小さな力が軸方向の大きな力に変換される)。よって、貫通軸330の引出側端面338が第一キャップ部材450の底部451を引出方向Fに押す力が大きくなり、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くために、軸方向に大きな力が必要であっても、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くことができる。
【0112】
なお、上述した軸方向に大きな力が必要でない通常の場合であっても、このような抜き方をしてもよい。
【0113】
また、本実施形態では、第一キャップ部材450が貫通軸330の軸回りの回転を防止する機能と、貫通軸330の他端側の軸方向への移動を規制する機能と、の両方の機能を有しているので、これらの機能をそれぞれ別の部品で機能させる構成(一例として、第一実施形態の構成)よりも、部品点数が少なくなる。
【0114】
また、第一キャップ部材450のねじ孔457にいもねじ382をねじ込むと共に、固定ねじ386で第一キャップ部材450を貫通軸330に固定することで、貫通軸330と駆動軸部310とのねじの緩みを防止することできる。
【0115】
<第三実施形態>
つぎに本発明の第三実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0116】
[中間転写ベルトの駆動機構]
駆動機構の貫通軸330の引出方向側の端部のキャップ部材による固定部分以外は、第一実施形態と同様であるので、ここの部分のみを説明する。
【0117】
図13〜図15に示すように、第三実施形態の駆動機構305は、駆動ロール部302の軸心部320の引出側端部324には、キャップ部550が設けられている。キャップ部550の底部551には、軸孔558が形成され、この軸孔358から貫通軸330の引出側端部334(図5参照)の先端部336が回転操作可能に突出(露出)している。キャップ部550の外周面にはD面554が形成されている。そして、このキャップ部550の引出方向Fの外側に第二キャップ部材560がはめ込まれる。第二キャップ部材560の内周面には、キャップ部550のD面554に対応するD面562が形成されている。
【0118】
第二キャップ部材560がキャップ部550にはめ込まれ、キャップ部550のD面352と第二キャップ部材560のD面562とが係合すると共に、第二キャップ部材560の底面部568の孔569から固定ねじ386が挿入され、貫通軸330のねじ穴339にねじ込まれることで、第二キャップ部材560と貫通軸330とが固定される。
【0119】
[作用及び効果]
つぎに本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0120】
本実施形態の場合は、第一実施形態及び第二実施形態で説明した駆動ロール部302(の軸心部320)を駆動軸部310から引き抜く通常の工程に相当する方法はない。
【0121】
図15(A)と図15(B)とに示すように、固定ねじ386を外し、第二キャップ部材560を外す。
【0122】
図15(C)に示すように、貫通軸330の引出側端部334の先端部336にソケットレンチ等の工具900(図16(C)を参照)をはめ込み、貫通軸330を回転させ、駆動軸部310のねじ部316のねじ固定を解除する。この解除に伴い引出方向Fに貫通軸330が移動する(ねじが進む)。つまり、貫通軸330の軸周りの回転変位が、軸方向の直線変位に変換される。これより貫通軸330の引出側端面338がキャップ部550の底部551を引出方向Fに押す。
【0123】
第一実施形態と同様に、ねじのピッチ及び工具900を回転させる持手部902の直径Wを、工具900の持手部902の回転変位量よりも貫通軸330の直線変位量が小さくなるように設定することで、貫通軸330に軸方向(引出方向F)に大きな力がかかる(軸周りに回転させる小さな力が軸方向の大きな力に変換される)。よって、貫通軸330の引出側端面338が第一キャップ部材450の底部451を引出方向Fに押す力が大きくなり、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くために、軸方向に大きな力が必要であっても、駆動ロール部302を駆動軸部310から引き抜くことができる。
【0124】
また、本実施形態では、他端側の軸方向への移動を規制する規制部の一例としてのキャップ部550の底部551が、駆動ロール部302の軸心部320と一体となっている。よって、駆動ロール部302の軸心部320と、規制部の一例としてのキャップ部550の底部551とが、別部材構成(例えば、第一実施形態や第二実施形態)と比較し、部品点数が少なくなる。
【0125】
また、第二キャップ部材560を貫通軸330に固定ねじ386によって固定することで、貫通軸330と駆動軸部310とのねじの緩みを防止することできる。
【0126】
<その他>
本発明は、上記実施形態に限定されない。
【0127】
例えば、上記実施形態では、中間転写ベルト68を張架する中間転写ベルト68を張架する駆動ロール61(駆動ロール部302)に本発明適用したがこれに限定されない。ベルト感光体を張架する駆動ロール部や記録用紙Pを搬送する搬送ベルトにも発明を適用することができる。或いは、感光体ドラムやその他の装置等を駆動させる駆動機構にも本発明を広く適用することができる。
【符号の説明】
【0128】
10 画像形成装置
14 画像形成部(画像形成手段の一例)
61 駆動ロール
68 中間転写ベルト(ベルトの一例)
300 駆動機構
302 駆動ロール部
303 駆動機構
305 駆動機構
310 駆動軸部
312 係合突起(回転防止手段の一例)
322 V溝(駆動力伝達手段の一例)
330 貫通軸
350 第一キャップ部材
360 第二キャップ部材(回転防止手段の一例)
351 底部(規制部の一例)
386 固定ねじ(回転防止手段の一例)
450 第一キャップ部材(嵌込部材と回転防止手段の一例)
451 底部(規制部の一例)
482 いもねじ(移動防止手段の一例)
550 第二キャップ部材(回転防止手段の一例)
551 底部(規制部の一例)
P 記録用紙(記録媒体の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動ロール部と、
前記駆動ロール部の一端部に嵌合する駆動軸部と、
前記駆動ロール部に対する前記駆動軸部の回転を防止して前記駆動軸部から前記駆動ロール部に駆動力を伝達する駆動力伝達手段と、
外部から回転操作可能に前記駆動ロール部に挿入され、一端部が前記駆動軸部とねじによって固定される貫通軸と、
前記駆動ロール部に設けられ、前記駆動ロール部に対する前記貫通軸の他端側の軸方向への移動を規制する規制部と、
を備える駆動機構。
【請求項2】
前記規制部は、
前記駆動ロール部の他端部に着脱可能に嵌め込められ、前記貫通軸の他端部が当たると共に、前記駆動ロール部の他端部が回転操作可能に貫通する開口部が形成された面を有する嵌込部材と、
前記駆動ロール部に対する前記嵌込部材の軸方向の移動を防止す移動防止手段と、
を備える請求項1に記載の駆動機構。
【請求項3】
前記規制部は、前記駆動ロール部に対する前記貫通軸の回転を防止する回転防止手段を有する請求項2に記載の駆動機構。
【請求項4】
前記駆動ロール部に対する前記貫通軸の回転を防止する回転防止手段を備える請求項1又は請求項2に記載の駆動機構。
【請求項5】
ベルトに形成された現像剤像が記録媒体に転写され定着されることによって、前記記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
前記ベルトが巻きかけられ張架する複数のロールのうちの一つを構成し、前記ベルトを回転させる駆動ロールと、
前記駆動ロールを含んで構成される前記駆動ロール部を駆動させる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の駆動機構と、
を備える画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−15660(P2013−15660A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148108(P2011−148108)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】