駆動装置、及び該駆動装置を備える画像形成装置
【課題】本発明は、新たな部品を追加することなく、クラッチの支持部材が回転することを抑制可能な駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】駆動装置は、電流の供給状態に応じて、入力ギア26から出力軸27Aへの回転力伝達を断続可能なクラッチ部28Aと、クラッチ部28Aを覆うように配置されると共に、出力軸27Aを回転可能に軸支する支持部材29Aと、支持部材29Aにおける入力ギア26側と反対側に軸方向に突出して配置されると共に、クラッチ部28へ供給される電流の入力を受け付け可能なコネクタ部30Aと、ハウジング22に形成され、支持部材29Aを収容可能である収容部31Aであって、出力軸27Aが挿通可能な挿通孔32Aと、コネクタ部30Aと係合して支持部材29Aの回転を規制する回り止め部33Aと、を備える。
【解決手段】駆動装置は、電流の供給状態に応じて、入力ギア26から出力軸27Aへの回転力伝達を断続可能なクラッチ部28Aと、クラッチ部28Aを覆うように配置されると共に、出力軸27Aを回転可能に軸支する支持部材29Aと、支持部材29Aにおける入力ギア26側と反対側に軸方向に突出して配置されると共に、クラッチ部28へ供給される電流の入力を受け付け可能なコネクタ部30Aと、ハウジング22に形成され、支持部材29Aを収容可能である収容部31Aであって、出力軸27Aが挿通可能な挿通孔32Aと、コネクタ部30Aと係合して支持部材29Aの回転を規制する回り止め部33Aと、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ部を有する駆動装置、及び該駆動装置を備えるプリンタやコピー機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタやコピー機等の画像形成装置において、用紙は、搬送路に配置される複数の給紙ローラにより搬送される。
ここで、これらの搬送ローラのうち所定エリアに配置される複数の搬送ローラは、一の駆動装置(駆動ユニット)に連結される。
この駆動装置は、モータ等の駆動源からの回転駆動力を搬送ローラの両端に配置される軸部材に伝達させる。これにより、搬送ローラは、回転駆動され用紙を所定の搬送方向に搬送する。
【0003】
ところで、画像形成装置において使用される駆動源は、定常的に回転駆動力を出力する構成(仕様)とすることが多く、この場合、画像形成装置における駆動装置には、例えば、軸部材に回転駆動力を伝達させる状態(連結状態)と、伝達させない状態(非連結状態)とに切り替え可能な電磁クラッチが配置される。
【0004】
ここで、駆動装置に組み込まれた電磁クラッチにおいて、出力軸を回転可能に軸支すると共に電磁クラッチを覆うよう配置される支持部材が出力軸と一緒に回転してしまう場合があった。
【0005】
これに対し、支持部材が出力軸と一緒に回転することを抑制する回り止め部を備える伝動装置(駆動装置)及び該伝動装置を備える画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−26472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の画像形成装置の場合、製造者は、支持部材の回転を抑制する回り止め部として新たな部品を追加する必要があった。
【0008】
本発明は、新たな部品を追加することなく、クラッチの支持部材が回転することを抑制可能な駆動装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記駆動装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ハウジングと、前記ハウジングにおける一方側に配置されるベース板部と、回転駆動力を出力する回転駆動源と、前記回転駆動源からの回転駆動力が伝達される伝達ギアと、前記ベース板部に第1回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記伝達ギアからの回転駆動力が伝達される入力ギアと、前記入力ギアの第1回転軸方向における前記ベース板部側と反対側に前記第1回転軸を中心に回転可能に配置され、前記入力ギアからの回転駆動力が伝達可能であると共に、前記入力ギアから伝達された回転駆動力を出力可能な出力軸と、電流の供給状態に応じて、前記入力ギアからの回転駆動力を前記出力軸に伝達する連結状態と、前記入力ギアからの回転駆動力を前記出力軸に伝達しない非連結状態とに前記入力ギアと前記出力軸との状態を変更可能なクラッチ部と、前記クラッチ部を覆うように配置されると共に、前記出力軸を回転可能に軸支する支持部材と、前記支持部材における前記入力ギア側と反対側に前記第1回転軸方向に突出して配置されると共に、前記クラッチ部へ供給される電流の入力を受け付けるコネクタ部と、前記ハウジングに形成され、前記支持部材を収容可能な収容部であって、前記出力軸が該収容部における内部側から外部側に挿通可能な挿通孔と、前記コネクタ部が係合可能な開口状の部分であって、前記コネクタが係合した状態において、前記コネクタを前記収容部の外部側に露出させると共に、前記支持部材の回転を規制する回り止め部とを有する収容部と、を備える駆動装置に関する。
【0010】
また、前記収容部は、前記回り止め部よりも開口領域が小さい通気部と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記回り止め部又は前記通気部のうちの一方は、垂直方向上側に配置されることが好ましい。
【0012】
また、前記回り止め部と前記通気部とは、垂直方向において互いに対向して形成されると共に、一方が前記収容部における垂直方向上側に形成され、他方が前記収容部における垂直方向下側に形成されることが好ましい。
【0013】
また、前記回り止め部における外縁には、前記コネクタ部の挿入をガイドする傾斜状のガイド部を有することが好ましい。
【0014】
また、前記収容部は、略有頭円筒状に形成され、前記回り止め部は、前記有頭円筒状における外周壁の一部と頭部となっている端壁の一部とを切り欠くようにして形成され、前記コネクタ部は、前記第1回転軸に直交する方向において、前記有頭円筒状における端壁が完全な円状であった場合における仮想外周の内側に配置されることが好ましい。
【0015】
また、前記クラッチ部を複数有する場合、互いに隣に並んで形成される2つの前記収容部において、2つの前記回り止め部は、互いに向かい合うような位置関係で形成され、2つの前記コネクタ部は、互いに向かい合うような位置関係で配置されることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、上記いずれかに記載の駆動装置と、前記駆動装置により回転される給紙ローラであって、前記出力軸に直接又は間接的に連結され前記出力軸からの回転駆動力が伝達される軸部材と、前記軸部材に連結される給紙ローラ本体と、を有する給紙ローラと、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、新たな部品を追加することなく、クラッチの支持部材が回転することを抑制可能な駆動装置を提供することができる。
また、本発明によれば、上記駆動装置を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】プリンタのカセット給紙部の前送りコロや給紙ローラ対を駆動する駆動装置21の斜視図である。
【図3】図2に示した駆動装置の複数本の出力軸を回転駆動する歯車列等の説明図である。
【図4】駆動装置の出力軸と入力ギアとの間に装備されているクラッチ部の外観斜視図である。
【図5】駆動装置のクラッチが組み付けられた入力ギアと、該入力ギアに回転力を入力する伝達ギアとの噛み合い状態を示す斜視図である。
【図6】駆動装置のハウジング内におけるクラッチの支持部材やコネクタの位置を示す縦断面図である。
【図7】駆動装置のクラッチに接続されるコネクタが挿入される回り止め部の形状の説明図である。
【図8】駆動装置の出力軸とカセット給紙部側の軸部とを連結するジョイント(軸結合)構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【0020】
以下の説明において、プリンタ1の前側に立ったユーザから見て、左右方向を矢印Xの方向とし、上下方向を矢印Zの方向とする。また、プリンタ1の前側に立ったユーザから見て、前後(奥行き)方向は、上記の矢印X及び矢印Zの双方に直交する方向である。このプリンタ1の前後(奥行き)方向は、後述の感光体ドラムの軸方向(図3に示す矢印Y方向)である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成されている。
【0022】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0023】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0024】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、画像形成時に感光体ドラム2a、2b、2c、2dが回転すると順に、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対して、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0025】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、図1に示した矢印の方向に回転可能に配置されている。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0026】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
【0027】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置されている。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成されている。
【0028】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0029】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像の帯電電荷が除去された箇所に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成されている。
【0030】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0031】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー搬送装置によって結ばれている。
【0032】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラとして機能する対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡されている。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0033】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置されている。
【0034】
中間転写ベルト7は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成されている。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0035】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0036】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0037】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に1次転写後に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0038】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0039】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0040】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置されている。中間転写ベルト7は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間に2次転写ニップN2が形成されている。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写されている。
【0041】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0042】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置されている。給紙カセット52は、装置本体Mのケース体BDから水平方向に引き出し可能に構成されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容されている。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52の用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されているカセット給紙部51により搬送路Lに送り出されている。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0043】
カセット給紙部51における給紙ローラ対81は、給紙ローラ81aと、分離ローラ81bとを備える。給紙ローラ81aは、前送りコロ61により給紙カセット52から繰り出された用紙Tの表面に当接するように配置されており、回転駆動されることで、用紙Tを搬送路Lに送り出す。分離ローラ81bは、前送りコロ61により給紙カセット52から繰り出された用紙Tを挟んで給紙ローラ81aとは反対側に設けられ、重ね送りされた下側の用紙Tを上側の用紙Tから分離する。
【0044】
カセット給紙部51は、前送りコロ61や給紙ローラ対81を専用の筐体により一体的に支持したユニットである。カセット給紙部51は、装置本体Mに対して、前送りコロ61や給紙ローラ対81の軸方向に沿って着脱可能に取り付けられる。カセット給紙部51は、装置本体Mに取り付けた状態では、前送りコロ61や給紙ローラ対81の一端側の軸部が、装置本体M側に配備されている後述する駆動装置21の出力軸に連結され、当該駆動装置21により、前送りコロ61や給紙ローラ対81が駆動可能になる。前送りコロ61や給紙ローラ対81を駆動する駆動装置21の詳細については、後述する。
【0045】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされている用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの右側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置されている。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0046】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0047】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0048】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ニップN2との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサ(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置されている。前記用紙検出センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置されている。レジストローラ対80は、前記用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0049】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、中間ローラ対82が配置されている。中間ローラ対82は、給紙ローラ対81に関して用紙搬送方向の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送されている用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。
【0050】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられた搬送路である。戻し搬送路Lbによって、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対してトナー画像が転写されている。
【0051】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0052】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成されている。排紙部50は、装置本体Mの上部に配置されている。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によって、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送されている用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0053】
排紙部50の開口側には、排紙集積部M1が形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面(外面)に形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mの上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサ(不図示)が配置されている。
【0054】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、中間ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0055】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0056】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0057】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0058】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0059】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0060】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0061】
更に、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0062】
次に、図2から図7により、カセット給紙部51の前送りコロ61や給紙ローラ対81を駆動する駆動装置21の詳細について説明する。
図2は、カセット給紙部51を構成する前送りコロ61や給紙ローラ対81を駆動する駆動装置21の斜視図である。図3は、図2に示した駆動装置21の複数本の出力軸を回転駆動する歯車列等の説明図である。図4は、駆動装置21の出力軸と入力ギアとの間に装備されているクラッチ部の外観斜視図である。図5は、駆動装置21のクラッチが組み付けられた入力ギアと、該入力ギアに回転力を入力する伝達ギアとの噛み合い状態を示す斜視図である。図6は、駆動装置21のハウジング内におけるクラッチの支持部材やコネクタの位置を示す縦断面図である。図7は、駆動装置21のクラッチに接続されるコネクタが挿入される回り止め部の形状の説明図である。図8は、駆動装置21の出力軸とカセット給紙部51側の軸部とを連結するジョイント(軸結合)構造の斜視図である。
【0063】
図2及、図3及び図6に示すように、駆動装置21は、ハウジング22と、ベース板部23と、回転駆動源としてのモータ24と、伝達ギア25と、入力ギア26と、出力軸27A、27Bと、クラッチ部28A、28Bと、支持部材29B、29Bと、コネクタ部30A、30Bと、収容部31A、31Bと、ジョイント部材34A、34B、34Cと、を備える。
【0064】
ハウジング22は、該ハウジング22に形成された後述する収容部31A、31Bがカセット給紙部51側に向くようにして装置本体Mの一側(図1において紙面垂直方向の奥側)に取り付けられる。ハウジング22は、樹脂製である。
図2に示すように、ハウジング22には、所定の間隔で並ぶ2つの収容部31A、31Bが一体形成される。収容部31A、31Bの詳細については、後述する。
【0065】
ベース板部23は、ハウジング22における一方側であって、装置本体Mの内部において、カセット給紙部51とは反対側に位置する側に配置される。図3に示すように、ベース板部23は、後述のモータ24や歯車列が組み付けられる構造基板である。
【0066】
モータ24は、カセット給紙部51の前送りコロ61や給紙ローラ対81を駆動するための回転駆動力を出力する回転駆動源である。図3に示すように、モータ24は、回転駆動力を出力する出力部24aがベース板部23の一方側に配置された歯車列GLに噛合するように、ベース板部23の他方側に固定される。モータ24は、プリンタ1の運転時において、不図示の給電手段からの給電により、常時駆動状態にされる。
【0067】
伝達ギア25は、ベース板部23における一方側(モータ24と反対側)に配置される歯車列GLを構成する歯車の1つであって、モータ24の出力部24aが噛合している第1中継歯車101を介して、モータ24からの回転駆動力が伝達される。
【0068】
図4から図6により、一方のクラッチ部28A(図2及び図3において下側に配置)及びその周辺構造(周り止め機構も含む)について説明する。ここで、他方のクラッチ部28B及びその周辺構造は、一方のクラッチ部28A及びその周辺構造と垂直方向において対称になるよう構成されているほか、同様の構成となっているので、一方のクラッチ部28Aの説明を援用できる。
【0069】
図6に示すように、入力ギア26は、第1回転軸C1を中心に回転可能にベース板部23に取り付けられる。第1回転軸C1は、入力ギア26の中心軸線である。具体的には、第1回転軸C1は、入力ギア26を回転自在に支持する軸部材102Aの中心軸線である。入力ギア26は、伝達ギア25からの回転駆動力が伝達される。
【0070】
出力軸27Aは、入力ギア26と同軸となるように、入力ギア26の第1回転軸C1方向におけるベース板部23側と反対側に配置される。また、出力軸27Aは、第1回転軸C1を中心に回転可能に配置される。出力軸27Aは、後述のクラッチ部28Aを介して入力ギア26に連結されることで、入力ギア26からの回転駆動力が伝達可能であると共に、入力ギア26から伝達された回転駆動力を出力可能な軸である。
【0071】
クラッチ部28Aは、本実施形態において電磁クラッチであって、電流の供給状態により、入力ギア26と出力軸27Aとの間に介在する不図示の電磁石をON/OFFすることで、入力ギア26と出力軸27とを連結状態又は非連結状態に切り替える。つまり、クラッチ部28Aは、入力ギア26と出力軸27Aとの状態を、電磁石のON/OFFにより、入力ギア26からの回転駆動力を出力軸27Aに伝達する連結状態と、入力ギア26からの回転駆動力を出力軸27Aに伝達しない非連結状態とに、変更可能である。
【0072】
支持部材29Aは、クラッチ部28Aを覆うように配置されると共に、出力軸27を回転可能に軸支する部材である。
図5に示すように、支持部材29Aは、入力ギア26側から出力軸27Aの先端側に向かって3段階的に径が縮小する多段筒部29aと、該多段筒部29aにおける出力軸27側の端面(図6において左側の端面)を覆う端壁部29bとを備えた有頭筒状に形成される。支持部材29Aは、クラッチ部28Aを覆うように配置される。
支持部材29Aの端壁部29bにおける中心には、出力軸27Aを挿通させる開口29cが形成されている。支持部材29Aは、開口29cに挿通された出力軸27Aを回転可能に軸支する。
支持部材29Aは、クラッチ部28Aを覆うように配置されると共に、出力軸27を回転可能に軸支する。
【0073】
コネクタ部30Aは、プリンタ1内の電源回路から供給される電流をクラッチ部28Aに入力させる(入力を受け付ける)ためのコネクタである。
コネクタ部30Aは、支持部材29Aにおける入力ギア26側と反対側に第1回転軸C1方向に突出して配置される。図5及び図6に示すように、支持部材29A上におけるコネクタ部30Aの配置箇所は、多段筒部29aの2段目の段差として第1回転軸C1に直交する方向に延在している中間側壁部29dである。
【0074】
また、コネクタ部30Aは、電流を供給するための配線に接続される端子が嵌合して接続される端子部30A1を有する。端子部30A1は、図4から図6において、垂直方向上側に配置される。また、端子部30A1は、垂直方向上側に開口した凹状に形成され、該凹状の部分に配線の端子が嵌合して電気的に接続される。端子部30A1には、垂直方向上側から下側に向けて配線の端子が挿入される。
【0075】
ここで、一方のクラッチ部28A側の端子部30A1(コネクタ部30A)と、他方側のクラッチ部28B側の端子部30B1(コネクタ部30B)とは、垂直方向において、互いに向かい合うように配置される(図2及び図3参照)。言い換えると、一方のクラッチ部28A側の端子部30A1(コネクタ部30A)と、他方側のクラッチ部28B側の端子部30B1(コネクタ部30B)とは、互いに近い位置に配置される。
【0076】
また、コネクタ部30Aは、支持部材29A上での上記のような配置、及び、突出方向の設定によって、収容部31Aの最大外径の枠からはみ出さないよう支持部材29Aに取り付けられる。
【0077】
収容部31Aは、ハウジング22に一体形成されている。図4に示すように、収容部31Aは、支持部材29Aの外周を囲う円筒状の外周壁31aと、外周壁31aの一端側に形成される端壁31bとを備えた略有頭円筒状に形成されている。収容部31Aは、支持部材29Aをカセット給紙部51側から覆うように配置されると共に、支持部材29Aを収容するように配置される。
【0078】
図4から図6に示すように、収容部31Aは、挿通孔32Aと、回り止め部33Aと、通気部331Aとを備える。
【0079】
挿通孔32Aは、出力軸27Aが収容部31Aにおける内部側から外部側に挿通可能に形成される。挿通孔32Aは、出力軸27Aが収容部31Aの支持部材29A側である内部側から、カセット給紙部51側である外側に挿通可能に形成された孔部である。挿通孔32Aは、端壁31bの中心部に貫通形成される。
【0080】
図4及び図5に示すように、回り止め部33Aは、収容部31Aの有頭円筒状における外周壁31aの一部と、収容部31Aの頭部となっている端壁31bの一部とを切り欠くようにして形成されている。
回り止め部33Aは、コネクタ部30Aの支持部材29Aとは逆側の端部を、収容部31Aから外部側に露出させる。また、回り止め部33Aは、コネクタ部30Aの外周を回り止め部33Aの開口の内縁に係合させることが可能になっており、コネクタ部30Aを介して支持部材29Aの回転を規制する回り止めとして機能する。
【0081】
通気部331Aは、回り止め部33Aと同様に、収容部31Aの外周壁31aと端壁31bとを切り欠くようにして形成された開口である。本実施形態の場合、通気部331Aは、回り止め部33Aよりも開口領域が小さく設定されている。通気部331Aは、回り止め部33Aと共に収容部31A内の通気に寄与する部分である。
【0082】
更に、回り止め部33A又は通気部331Aのうちの少なくとも一方は、垂直方向上側に配置される。この場合、垂直方向上側とは、駆動装置21を装置本体Mに取り付けた状態において、垂直上方側に位置することを意味する。駆動装置21を装置本体Mに取り付けた状態では、図6に示すように、ベース板部23や収容部31Aの端壁31bが、垂直方向に沿う面となる。垂直方向は、図1の矢印Zに沿う方向である。本実施形態において、図6に示すように、回り止め部33Aは、垂直上方側に配置された状態になっている。
【0083】
更に、本実施形態において、図4及び図5に示すように、回り止め部33Aと通気部331Aとは、垂直方向において互いに対向して形成されると共に、一方が前記収容部31Aにおける垂直方向上側に形成され、他方が前記収容部31Aにおける垂直方向下側に形成される。図4の矢印Zは、垂直方向を示している。具体的には、図6に示すように、クラッチ部28A側において、回り止め部33Aは、垂直方向上側に形成され、通気部331Aは、垂直方向下側に形成される。
【0084】
また、図7に示すように、回り止め部33Aとして端壁31bを切り欠いた開口の外縁(外面側の縁部)には、図中の矢印Y2に示すコネクタ部30Aの挿入をガイドする傾斜状のガイド部33aが形成される。ガイド部33aは、端壁31bにおける支持部材29A側から外表面側に向かって、徐々に回り止め部33Aの開口幅を狭める傾斜を有している。ガイド部33aは、コネクタ部30Aの挿入時に、コネクタ部30Aの挿入位置が矢印X2方向にずれているとき、コネクタ部30Aの側面に当接して、コネクタ部30Aのずれを解消するよう、回り止め部33Aの中心側にコネクタ部30Aをガイド(誘導)する。
【0085】
また、図4から図6に示すように、コネクタ部30Aは、第1回転軸C1に直交する方向において、収容部31Aの有頭円筒状における端壁31bが完全な円状であった場合における仮想外周(端壁31bに外周に重なる円周)の内側に配置される。
【0086】
また、図2に示すように、駆動装置21は、カセット給紙部51の給紙ローラ対81に回転力を伝達する第1回転出力部41Aと、カセット給紙部51の給紙ローラ81aに回転力を伝達する第2回転出力部41Bと、カセット給紙部51の分離ローラ81bに回転力を伝達する第3回転出力部41Cとの、3つの回転出力部を有している。
これらの3つの回転出力部のうち、第1回転出力部41Aと第2回転出力部41Bは、いずれも、クラッチ部28A、28Bと、クラッチ部28A、28Bを覆う支持部材29A、29Bと、支持部材29A、29Bを収容する収容部31A、31Bとを備えた構成である。
【0087】
本実施形態の駆動装置21は、複数のクラッチ部28A、28Bを有する。詳細には、図2に示すように、駆動装置21は、クラッチ部28A、28B及び支持部材29A、2Bを収容した収容部31A、31Bが、所定の間隔で並ぶようにして構成される。ここで、本実施形態において、図2及び図3に示すように、互いに隣に並んで形成される2つの収容部31A、31Bにおいて、2つの回り止め部33A、31Bは、互いに向かい合うような位置関係で形成される。また、2つのコネクタ部30A、30Bは、互いに向かい合うような位置関係で配置される。
【0088】
図6及び図8に示すように、ジョイント部材34Aは、クラッチ部28Aから延出する出力軸27Aの先端に固定装備される。図8に示すように、ジョイント部材34Aは、カセット給紙部51に装備されるローラに固定された軸部材45と連結される部材である。軸部材45は、先端外周に突設された係合ピン46を有する。一方、ジョイント部材34Aは、先端側が、軸部材45の先端が軸方向に嵌合するように形成される構造であって、係合ピン46が挿入されて係合可能な係合溝34aが形成されている。ジョイント部材34Aは、隣接する係合溝34a間における壁の先端に形成され、係合ピン46を係合溝34aに誘導するガイド面34bを有して構成される。
【0089】
図8に示す軸結合構造では、カセット給紙部51の装置本体Mへの装着によって、軸部材45が矢印X3方向に押し込まれると、係合ピン46の位置が係合溝34aの位置からずれていても、ガイド面34bが係合ピン46を係合溝34aに誘導するため、カセット給紙部51の装置本体Mへの装着操作によって、確実にローラの軸部材45を出力軸27Aに連結することができる。
【0090】
カセット給紙部51に装備される前送りコロ61、給紙ローラ81a、分離ローラ81bは、いずれも、ローラ本体と、ローラ本体に固定される軸部材45とを備える構成になっている。
【0091】
以上に説明した駆動装置21は、第1回転出力部41A、第2回転出力部41B、第3回転出力部41Cの中心軸が、それぞれ、カセット給紙部51の各ローラの中心軸と一致するように、プリンタ1におけるカセット給紙部51に取り付けられる。
そして、プリンタ1におけるカセット給紙部51に駆動装置21が装着されると、図8に示した軸結合構造によって、カセット給紙部51を構成するローラそれぞれの軸部材45が対応する各ジョイント部材34A、34B、34Cに結合される。これより、各ローラは、駆動装置21により回転駆動可能になる。
【0092】
駆動装置21は、プリンタ1の運転時には、図3に示すモータ24が回転駆動され、モータ24の出力する回転駆動力が、ベース板部23上の歯車列GLの伝達ギア25を介して、それぞれの回転出力部の入力ギア26に伝達される。
図6に示すように、クラッチ部28A、28Bを有する第1回転出力部41Aや第2回転出力部41Bは、電流の供給状態によるクラッチ部28のON/OFFによって、入力ギア26と出力軸27A、27Bとが接続/断続され、ローラに回転駆動力を出力する状態/ローラに回転駆動力を出力しない状態に状態変更(切り替え)される。
【0093】
駆動装置21において、運転時(モータ24が駆動時)、ハウジング22内では、各ギアやクラッチ部28A、28Bから熱が生じる。ここで、収容部31A,31Bには垂直方向における上下側に回り止め部33A、33B及び通気部331A、331Bが形成されるので、駆動装置21は、ハウジング22内での発熱を垂直方向上側に形成される回り止め部又は通気部から逃がし、外気を垂直方向下側に形成された回り止め部又は通気部から外気を吸気させる。これにより、駆動装置21は、内部における熱の籠もりを抑制できる。
【0094】
以上に説明した本実施形態のプリンタ1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態の駆動装置21では、ハウジング22と、ハウジング22における一方側に配置されるベース板部23と、回転駆動力を出力するモータ24と、モータ24からの回転駆動力が伝達される伝達ギア25と、ベース板部23に第1回転軸C1を中心に回転可能に取り付けられ、伝達ギア25からの回転駆動力が伝達される入力ギア26と、入力ギア26の第1回転軸C1方向におけるベース板部側と反対側に(入力ギア26と同軸となるよう)第1回転軸C1を中心に回転可能に配置され、入力ギア26からの回転駆動力が伝達可能であると共に、入力ギア26から伝達された回転駆動力を出力可能な出力軸27A、27Bと、電流の供給状態に応じて、入力ギア26からの回転駆動力を出力軸27A、27Bに伝達する連結状態と、入力ギア26からの回転駆動力を出力軸27A、27Bに伝達しない非連結状態とに入力ギア26と出力軸27A、27Bとの状態を変更可能なクラッチ部28A、28Bと、クラッチ部28A、28Bを覆うように配置されると共に、出力軸27A、27Bを回転可能に軸支する支持部材29A、29Bと、支持部材29A、29Bにおける入力ギア26側と反対側に第1回転軸C1方向に突出して配置されると共に、クラッチ部28A、28Bへ供給される電流を入力するためのコネクタ部30A、30Bと、ハウジング22に形成され、支持部材29A、29Bを収容可能である収容部31A、31Bであって、出力軸27A、27Bがハウジング22の一方側から他方側に挿通可能な挿通孔32A、32Bと、コネクタ部30A、30Bが係合可能な開口状の部分であって、コネクタ部30A、30Bが係合した状態において、コネクタ部30A、30Bをハウジング22の外部側に露出させると共に、支持部材29A、29Bの回転を規制する回り止め部33A、33Bと、を備える。
【0095】
そのため、支持部材29A、29Bは、該支持部材29A、29Bに装着されるコネクタ部30A、30Bと支持部材29A、29Bを収容しているハウジング22の収容部31A、31Bに形成された回り止め部33A、33Bとの係合により回り止めされるため、専用の回り止め部材を設ける必要がない。従って、新たな部品を追加することなく、クラッチ部28A、28Bの支持部材29A、29Bが回転することを抑制可能な駆動装置21を提供することができる。
また、ハウジング22を樹脂製とした場合に、回り止め部33A、33Bとコネクタ部30A、30Bとの係合が、樹脂製部品同士の係合となり、支持部材29A、29Bが回転しようとしたときに生じる衝突音が発生しにくく、駆動装置21は、静音性が向上される。
また、クラッチ部28A、28Bがハウジング22の収容部31A、31Bに収容されるため、クラッチ部28A、28Bの動作音が外部に漏れにくく、駆動装置21は、静音化が向上される。
【0096】
本実施形態の駆動装置21では、収容部31A、31Bは、回り止め部33A、33Bよりも開口領域が小さい通気部331A、331Bと、を備える。
そのため、回り止め部33A、33B及び通気部331A、331Bのうち一方が給気口、他方が排気口として機能して、収容部31A、31Bの内部、更にはハウジング22の内部における通気性を向上させることができる。
また、331A、331Bを回り止め部33よりも小さくしているため、組み立て時にコネクタ部30A、30Bを誤って通気部331A、331Bに挿入することを防止でき、組み立て作業性を向上させることができる。
【0097】
本実施形態の駆動装置21では、回り止め部33A、33B又は通気部331A、331Bのうち一方は、垂直方向上側に配置される。
そのため、暖気の上昇気流が垂直方向上側に配置される回り止め部33A、33B又は通気部331A、331Bから、収容部31A、31Bの外部に流れやすくなり、駆動装置21は、通気性やクラッチ部28A、28Bに対する冷却性能が更に向上される。
【0098】
本実施形態の駆動装置21では、回り止め部33A、33Bと通気部331A、331Bとは、垂直方向において互いに対向して形成されると共に、一方が収容部31A、31Bにおける垂直方向上側に形成され、他方が収容部31A、31Bにおける垂直方向下側に形成される。
そのため、収容部31A、31Bにおける通気が、垂直方向下側から垂直方向上側に流れる自然対流にすることができ、駆動装置21は、通気性が更に向上される。
【0099】
本実施形態の駆動装置21では、図7に示したように、回り止め部33A、33Bにおける外縁には、コネクタ部30A、30Bの挿入をガイドする傾斜状のガイド部33aが形成される。
そのため、コネクタ部30A、30Bの回り止め部33A、33Bへの挿入時に、コネクタ部30A、30Bの挿入位置がずれていても、コネクタ部30A、30Bとガイド部33aとの当接により、コネクタ部30A、30Bの位置を回り止め部33A、33Bの中央部に位置修正することができ、駆動装置21は、コネクタ部30A、30B、組み立て性が向上される。
【0100】
本実施形態の駆動装置21では、収容部31A、31Bは、略有頭円筒状に形成され、回り止め部33A、33Bは、有頭円筒状における外周壁31aの一部と頭部となっている端壁31bの一部とを切り欠くようにして形成され、コネクタ部30A、30Bは、第1回転軸C1に直交する方向において、有頭円筒状における端壁31bが完全な円状であった場合における仮想外周の内側に配置される。
そのため、コネクタ部30A、30Bは、収容部31A、31Bの端壁31bの外周に突出せずに、効率的な配置とすることができ、駆動装置21は、プリンタ1内でのスペース効率の向上や実装密度の向上に寄与する。
【0101】
本実施形態の駆動装置21では、クラッチ部28A、28Bを複数有する場合、互いに隣に並んで形成される2つの収容部31A、31Bにおいて、2つの回り止め部33A、33Bは、互いに向かい合うような位置関係で形成され、2つのコネクタ部30A、30Bは、互いに向かい合うような位置関係で配置される。
そのため、それぞれのクラッチ部28A、28Bに接続される配線(例えば、給電用のケーブル)は、互いに向かい合うコネクタ部30A、30B間まで一緒に引きまわし、それぞれのコネクタ部用に分岐させればよく、駆動装置21は、プリンタ1内における配線(ケーブル)の引きまわし形態を単純化することができる。
【0102】
本実施形態のプリンタ1では、上記の駆動装置21と、駆動装置21により回転される給紙ローラ81aであって、出力軸27A、27Bに直接又は間接的に連結され出力軸27A、27Bからの回転駆動力が伝達される軸部材45と、軸部材45に連結される給紙ローラ本体と、を有する給紙ローラ81aと、を備える。
そのため、上記の駆動装置21を備える画像形成装置を提供することができる。
【0103】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されていることなく、種々の形態を採用することができる。
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1……プリンタ21……駆動装置、22……ハウジング、23……ベース板部、24……モータ(回転駆動源)、25……伝達ギア、26……入力ギア、27A、27B……出力軸、28A、28B……クラッチ部、29A、29B……支持部材、30A、30B……コネクタ部、31A、31B……収容部、31a……外周壁、31b……端壁、32A、32B……挿通孔、33A、33B……回り止め部、33a……ガイド部、34A、34B、34C……ジョイント部材、51……カセット給紙部、61……前送りコロ、81……給紙ローラ対、81a……給紙ローラ、81b……分離ローラ、331A、331B……通気部、M……装置本体
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチ部を有する駆動装置、及び該駆動装置を備えるプリンタやコピー機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタやコピー機等の画像形成装置において、用紙は、搬送路に配置される複数の給紙ローラにより搬送される。
ここで、これらの搬送ローラのうち所定エリアに配置される複数の搬送ローラは、一の駆動装置(駆動ユニット)に連結される。
この駆動装置は、モータ等の駆動源からの回転駆動力を搬送ローラの両端に配置される軸部材に伝達させる。これにより、搬送ローラは、回転駆動され用紙を所定の搬送方向に搬送する。
【0003】
ところで、画像形成装置において使用される駆動源は、定常的に回転駆動力を出力する構成(仕様)とすることが多く、この場合、画像形成装置における駆動装置には、例えば、軸部材に回転駆動力を伝達させる状態(連結状態)と、伝達させない状態(非連結状態)とに切り替え可能な電磁クラッチが配置される。
【0004】
ここで、駆動装置に組み込まれた電磁クラッチにおいて、出力軸を回転可能に軸支すると共に電磁クラッチを覆うよう配置される支持部材が出力軸と一緒に回転してしまう場合があった。
【0005】
これに対し、支持部材が出力軸と一緒に回転することを抑制する回り止め部を備える伝動装置(駆動装置)及び該伝動装置を備える画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−26472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の画像形成装置の場合、製造者は、支持部材の回転を抑制する回り止め部として新たな部品を追加する必要があった。
【0008】
本発明は、新たな部品を追加することなく、クラッチの支持部材が回転することを抑制可能な駆動装置を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記駆動装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ハウジングと、前記ハウジングにおける一方側に配置されるベース板部と、回転駆動力を出力する回転駆動源と、前記回転駆動源からの回転駆動力が伝達される伝達ギアと、前記ベース板部に第1回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記伝達ギアからの回転駆動力が伝達される入力ギアと、前記入力ギアの第1回転軸方向における前記ベース板部側と反対側に前記第1回転軸を中心に回転可能に配置され、前記入力ギアからの回転駆動力が伝達可能であると共に、前記入力ギアから伝達された回転駆動力を出力可能な出力軸と、電流の供給状態に応じて、前記入力ギアからの回転駆動力を前記出力軸に伝達する連結状態と、前記入力ギアからの回転駆動力を前記出力軸に伝達しない非連結状態とに前記入力ギアと前記出力軸との状態を変更可能なクラッチ部と、前記クラッチ部を覆うように配置されると共に、前記出力軸を回転可能に軸支する支持部材と、前記支持部材における前記入力ギア側と反対側に前記第1回転軸方向に突出して配置されると共に、前記クラッチ部へ供給される電流の入力を受け付けるコネクタ部と、前記ハウジングに形成され、前記支持部材を収容可能な収容部であって、前記出力軸が該収容部における内部側から外部側に挿通可能な挿通孔と、前記コネクタ部が係合可能な開口状の部分であって、前記コネクタが係合した状態において、前記コネクタを前記収容部の外部側に露出させると共に、前記支持部材の回転を規制する回り止め部とを有する収容部と、を備える駆動装置に関する。
【0010】
また、前記収容部は、前記回り止め部よりも開口領域が小さい通気部と、を備えることが好ましい。
【0011】
また、前記回り止め部又は前記通気部のうちの一方は、垂直方向上側に配置されることが好ましい。
【0012】
また、前記回り止め部と前記通気部とは、垂直方向において互いに対向して形成されると共に、一方が前記収容部における垂直方向上側に形成され、他方が前記収容部における垂直方向下側に形成されることが好ましい。
【0013】
また、前記回り止め部における外縁には、前記コネクタ部の挿入をガイドする傾斜状のガイド部を有することが好ましい。
【0014】
また、前記収容部は、略有頭円筒状に形成され、前記回り止め部は、前記有頭円筒状における外周壁の一部と頭部となっている端壁の一部とを切り欠くようにして形成され、前記コネクタ部は、前記第1回転軸に直交する方向において、前記有頭円筒状における端壁が完全な円状であった場合における仮想外周の内側に配置されることが好ましい。
【0015】
また、前記クラッチ部を複数有する場合、互いに隣に並んで形成される2つの前記収容部において、2つの前記回り止め部は、互いに向かい合うような位置関係で形成され、2つの前記コネクタ部は、互いに向かい合うような位置関係で配置されることが好ましい。
【0016】
また、本発明は、上記いずれかに記載の駆動装置と、前記駆動装置により回転される給紙ローラであって、前記出力軸に直接又は間接的に連結され前記出力軸からの回転駆動力が伝達される軸部材と、前記軸部材に連結される給紙ローラ本体と、を有する給紙ローラと、を備える画像形成装置に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、新たな部品を追加することなく、クラッチの支持部材が回転することを抑制可能な駆動装置を提供することができる。
また、本発明によれば、上記駆動装置を備える画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【図2】プリンタのカセット給紙部の前送りコロや給紙ローラ対を駆動する駆動装置21の斜視図である。
【図3】図2に示した駆動装置の複数本の出力軸を回転駆動する歯車列等の説明図である。
【図4】駆動装置の出力軸と入力ギアとの間に装備されているクラッチ部の外観斜視図である。
【図5】駆動装置のクラッチが組み付けられた入力ギアと、該入力ギアに回転力を入力する伝達ギアとの噛み合い状態を示す斜視図である。
【図6】駆動装置のハウジング内におけるクラッチの支持部材やコネクタの位置を示す縦断面図である。
【図7】駆動装置のクラッチに接続されるコネクタが挿入される回り止め部の形状の説明図である。
【図8】駆動装置の出力軸とカセット給紙部側の軸部とを連結するジョイント(軸結合)構造の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態を説明する。
図1により、第1実施形態の画像形成装置としてのプリンタ1における全体構造を説明する。図1は、本発明の第1実施形態としてのプリンタ1における各構成要素の配置を説明するための正面図である。
【0020】
以下の説明において、プリンタ1の前側に立ったユーザから見て、左右方向を矢印Xの方向とし、上下方向を矢印Zの方向とする。また、プリンタ1の前側に立ったユーザから見て、前後(奥行き)方向は、上記の矢印X及び矢印Zの双方に直交する方向である。このプリンタ1の前後(奥行き)方向は、後述の感光体ドラムの軸方向(図3に示す矢印Y方向)である。
【0021】
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、装置本体Mと、所定の画像情報に基づいてシート状の被転写材としての用紙Tにトナー画像を形成する画像形成部GKと、用紙Tを画像形成部GKに給紙すると共にトナー画像が形成された用紙Tを排紙する給排紙部KHとを有する。
装置本体Mにおける外形は、筐体としてのケース体BDにより構成されている。
【0022】
図1に示すように、画像形成部GKは、像担持体(感光体)としての感光体ドラム2a、2b、2c、2dと、帯電部10a、10b、10c、10dと、露光ユニットとしてのレーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dと、現像器16a、16b、16c、16dと、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dと、トナー供給部6a、6b、6c、6dと、ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dと、除電器12a、12b、12c、12dと、中間転写ベルト7と、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dと、2次転写ローラ8と、対向ローラ18と、定着部9と、を備える。
【0023】
図1に示すように、給排紙部KHは、給紙カセット52と、手差し給紙部64と、用紙Tの搬送路Lと、レジストローラ対80と、複数のローラ又はローラ対と、排紙部50と、を備える。なお、搬送路Lは、後述するように、第1搬送路L1と、第2搬送路L2と、第3搬送路L3と、手差し搬送路Laと、戻り搬送路Lbとの集合体である。
【0024】
以下、画像形成部GK及び給排紙部KHの各構成について詳細に説明する。
まず、画像形成部GKについて説明する。
画像形成部GKにおいては、画像形成時に感光体ドラム2a、2b、2c、2dが回転すると順に、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対して、帯電部10a、10b、10c、10dによる帯電、レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dによる露光、現像器16a、16b、16c、16dによる現像、中間転写ベルト7及び1次転写ローラ37a、37b、37c、37dによる1次転写、除電器12a、12b、12c、12dによる除電、及びドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dによるクリーニングが行われる。
また、画像形成部GKにおいては、中間転写ベルト7、2次転写ローラ8及び対向ローラ18による2次転写、並びに定着部9による定着が行われる。
【0025】
感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、円筒形状の部材からなり、感光体又は像担持体として機能する。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれは、中間転写ベルト7の進行方向に対して直交する方向に延びる回転軸を中心に、図1に示した矢印の方向に回転可能に配置されている。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面には、静電潜像が形成され得る。
【0026】
帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。帯電部10a、10b、10c、10dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を一様に正(プラス極性)に帯電させる。
【0027】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dは、露光ユニットとして機能するものであり、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面から離間して配置されている。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、不図示のレーザ光源、ポリゴンミラー、ポリゴンミラー駆動用モータ等を有して構成されている。
【0028】
レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれは、PC(パーソナルコンピュータ)等の外部機器から入力された画像情報に基づいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を走査露光する。レーザスキャナユニット4a、4b、4c、4dそれぞれにより走査露光されることで、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面の露光された部分の電荷が除去される。これにより、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に静電潜像が形成される。
【0029】
現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dにそれぞれ対応して設けられ、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向して配置されている。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成された静電潜像の帯電電荷が除去された箇所に各色のトナーを付着させて、カラーのトナー画像を感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に形成する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4つの色に対応する。現像器16a、16b、16c、16dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dの表面に対向配置された現像ローラ、トナー攪拌用の攪拌ローラ等を有して構成されている。
【0030】
トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対応して設けられており、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給される各色のトナーを収容する。トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれは、イエローのトナー、シアンのトナー、マゼンタのトナー、ブラックのトナーを収容する。
【0031】
トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれは、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5d及び現像器16a、16b、16c、16dにそれぞれ対応して設けられており、トナーカートリッジ5a、5b、5c、5dそれぞれに収容された各色のトナーを、現像器16a、16b、16c、16dそれぞれに対して供給する。トナー供給部6a、6b、6c、6dそれぞれと現像器16a、16b、16c、16dそれぞれとは、不図示のトナー搬送装置によって結ばれている。
【0032】
中間転写ベルト7には、感光体ドラム2a、2b、2c、2dに形成された各色のトナー画像が順次1次転写される。中間転写ベルト7は、従動ローラ35、駆動ローラとして機能する対向ローラ18、テンションローラ36等に掛け渡されている。テンションローラ36が中間転写ベルト7を内側から外側に付勢するため、中間転写ベルト7には所定の張力が与えられる。
【0033】
中間転写ベルト7を挟んで感光体ドラム2a、2b、2c、2dと反対の側には、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれが対向して配置されている。
【0034】
中間転写ベルト7は、1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれと、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれとにより挟み込まれる。この挟み込まれた部分は、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれにおける表面に押し当てられる。感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれと1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれとの間で、それぞれ1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dが形成されている。1次転写ニップN1a、N1b、N1c、N1dそれぞれにおいて、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像が中間転写ベルト7に順次1次転写される。これにより、中間転写ベルト7には、フルカラーのトナー画像が形成される。
【0035】
1次転写ローラ37a、37b、37c、37dそれぞれには、不図示の1次転写バイアス印加部により、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれに形成された各色のトナー画像を中間転写ベルト7に転写させるための1次転写バイアスが印加される。
【0036】
除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。除電器12a、12b、12c、12dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に光を照射することにより、1次転写が行われた後の感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面を除電する(電荷を除去する)。
【0037】
ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に対向して配置されている。ドラムクリーニング部11a、11b、11c、11dそれぞれは、感光体ドラム2a、2b、2c、2dそれぞれの表面に1次転写後に残存したトナーや付着物を除去すると共に、除去されたトナー等を所定の回収機構へ搬送して、回収させる。
【0038】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる。2次転写ローラ8には、不図示の2次転写バイアス印加部により、中間転写ベルト7に形成されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに転写させるための2次転写バイアスが印加される。
【0039】
2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に対して当接したり離間したりする。具体的には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7に当接される当接位置と中間転写ベルト7から離間する離間位置とに移動可能に構成されている。詳細には、2次転写ローラ8は、中間転写ベルト7の表面に1次転写されたフルカラーのトナー画像を用紙Tに2次転写させる場合には当接位置に配置され、他の場合には離間位置に配置される。
【0040】
中間転写ベルト7における2次転写ローラ8とは反対側には、対向ローラ18が配置されている。中間転写ベルト7は、2次転写ローラ8と対向ローラ18とによって挟み込まれる。そして、用紙Tは中間転写ベルト7の外面(トナー画像が1次転写された面)に押し当てられる。中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間に2次転写ニップN2が形成されている。2次転写ニップN2において、中間転写ベルト7に1次転写されたフルカラーのトナー画像が用紙Tに2次転写されている。
【0041】
定着部9は、用紙Tに2次転写されたトナー画像を構成する各色のトナーを溶融及び加圧して、用紙Tに定着させる。定着部9は、ヒータにより加熱される加熱回転体9aと、加熱回転体9aに圧接される加圧回転体9bと、を備える。加熱回転体9aと加圧回転体9bとは、トナー画像が2次転写された用紙Tを挟み込んで加圧すると共に、搬送する。加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間に挟まれた状態で用紙Tが搬送されることによって、用紙Tに転写されたトナーは、溶融及び加圧をされることで用紙Tに定着される。
【0042】
次に、給排紙部KHについて説明する。
図1に示すように、装置本体Mの下部には、用紙Tを収容する給紙カセット52が配置されている。給紙カセット52は、装置本体Mのケース体BDから水平方向に引き出し可能に構成されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置される載置板60が配置されている。給紙カセット52には、用紙Tが載置板60の上に積層された状態で収容されている。載置板60に載置された用紙Tは、給紙カセット52の用紙送り出し側の端部(図1において右側の端部)に配置されているカセット給紙部51により搬送路Lに送り出されている。カセット給紙部51は、載置板60上の用紙Tを取り出すための前送りコロ61と、用紙Tを1枚ずつ搬送路Lに送り出すための給紙ローラ対81とからなる重送防止機構を備える。
【0043】
カセット給紙部51における給紙ローラ対81は、給紙ローラ81aと、分離ローラ81bとを備える。給紙ローラ81aは、前送りコロ61により給紙カセット52から繰り出された用紙Tの表面に当接するように配置されており、回転駆動されることで、用紙Tを搬送路Lに送り出す。分離ローラ81bは、前送りコロ61により給紙カセット52から繰り出された用紙Tを挟んで給紙ローラ81aとは反対側に設けられ、重ね送りされた下側の用紙Tを上側の用紙Tから分離する。
【0044】
カセット給紙部51は、前送りコロ61や給紙ローラ対81を専用の筐体により一体的に支持したユニットである。カセット給紙部51は、装置本体Mに対して、前送りコロ61や給紙ローラ対81の軸方向に沿って着脱可能に取り付けられる。カセット給紙部51は、装置本体Mに取り付けた状態では、前送りコロ61や給紙ローラ対81の一端側の軸部が、装置本体M側に配備されている後述する駆動装置21の出力軸に連結され、当該駆動装置21により、前送りコロ61や給紙ローラ対81が駆動可能になる。前送りコロ61や給紙ローラ対81を駆動する駆動装置21の詳細については、後述する。
【0045】
装置本体Mの右側面(図1において右側)には、手差し給紙部64が設けられる。手差し給紙部64は、給紙カセット52にセットされている用紙Tとは異なる大きさや種類の用紙Tを装置本体Mに供給することを主目的として設けられる。手差し給紙部64は、閉状態において装置本体Mの右側面の一部を構成する手差しトレイ65と、給紙コロ66とを備える。手差しトレイ65は、その下端が給紙コロ66の近傍に回動自在(開閉自在)に取り付けられる。開状態の手差しトレイ65には、用紙Tが載置されている。給紙コロ66は、開状態の手差しトレイ65に載置された用紙Tを手差し搬送路Laに給紙する。
【0046】
用紙Tを搬送する搬送路Lは、カセット給紙部51から2次転写ニップN2までの第1搬送路L1と、2次転写ニップN2から定着部9までの第2搬送路L2と、定着部9から排紙部50までの第3搬送路L3と、手差し給紙部64から供給される用紙を第1搬送路L1に合流させる手差し搬送路Laと、第3搬送路L3を下流側から上流側へ搬送する用紙を、表裏反転させて第1搬送路L1に戻す戻り搬送路Lbと、を備える。
【0047】
また、第1搬送路L1の途中には、第1合流部P1及び第2合流部P2が設けられている。第3搬送路L3の途中には、第1分岐部Q1が設けられている。
第1合流部P1は、手差し搬送路Laが第1搬送路L1に合流する合流部である。第2合流部P2は、戻り搬送路Lbが第1搬送路L1に合流する合流部である。
第1分岐部Q1は、戻し搬送路Lbが第3搬送路L3から分岐する分岐部である。
【0048】
第1搬送路L1の途中(詳細には、第2合流部P2と2次転写ニップN2との間)には、用紙Tを検出するための用紙検出センサ(図示せず)と、用紙Tのスキュー(斜め給紙)補正や画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とタイミングを合わせるためのレジストローラ対80とが配置されている。前記用紙検出センサは、用紙Tの搬送方向におけるレジストローラ対80の直前(搬送方向における上流側)に配置されている。レジストローラ対80は、前記用紙検出センサからの検出信号情報に基づいて上述の補正やタイミング調整をして用紙Tを搬送する。
【0049】
第1搬送路L1における第1合流部P1と第2合流部P2との間には、中間ローラ対82が配置されている。中間ローラ対82は、給紙ローラ対81に関して用紙搬送方向の下流側に配置され、給紙ローラ対81より搬送されている用紙Tを挟持して、レジストローラ対80へ搬送する。
【0050】
戻し搬送路Lbは、用紙Tに両面印刷を行う際に、既に印刷されている面とは反対面(未印刷面)を中間転写ベルト7に対向させるために設けられた搬送路である。戻し搬送路Lbによって、第1分岐部Q1から排紙部50側に搬送された用紙Tを表裏反転させて第1搬送路L1に戻して、2次転写ローラ8の上流側に配置されたレジストローラ対80の上流側に搬送させることができる。戻し搬送路Lbにより表裏反転された用紙Tには、2次転写ニップN2において未印刷面に対してトナー画像が転写されている。
【0051】
第1分岐部Q1には、整流部材58が設けられている。整流部材58は、定着部9から搬出され第3搬送路L3を上流側から下流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、排紙部50に向かう方向に整流すると共に、排紙部50から第3搬送路L3を下流側から上流側に向けて搬送する用紙Tの搬送方向を、戻し搬送路Lbに向かう方向に整流する。
【0052】
第3搬送路L3における端部には、排紙部50が形成されている。排紙部50は、装置本体Mの上部に配置されている。排紙部50は、装置本体Mの左側面側(図1において左側)に向けて開口している。排紙部50は、用紙Tを装置本体Mの外部に排紙する。排紙部50は、排出ローラ対53を有している。排出ローラ対53によって、第3搬送路L3を上流側から下流側に搬送されている用紙Tを装置本体Mの外部に排紙すると共に、排紙部50において用紙Tの搬送方向を反転させて用紙Tを第3搬送路L3の上流側に向けて搬送することができる。
【0053】
排紙部50の開口側には、排紙集積部M1が形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面(外面)に形成されている。排紙集積部M1は、装置本体Mの上面が下方に窪んで形成された部分である。排紙集積部M1の底面は、装置本体Mの上面の一部を構成する。排紙集積部M1には、所定のトナー画像が形成され排紙部50から排紙された用紙Tが積層して集積される。
なお、各搬送路の所定位置には用紙検出用のセンサ(不図示)が配置されている。
【0054】
次に、図1を参照して、第1実施形態のプリンタ1の動作について、簡単に説明する。
まず、給紙カセット52に収容された用紙Tに片面印刷を行う場合について説明する。
給紙カセット52に収容された用紙Tは、前送りコロ61及び給紙ローラ対81によって第1搬送路L1に送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、中間ローラ対82により、レジストローラ対80に搬送される。
レジストローラ対80においては、用紙Tのスキュー補正や、画像形成部GKにおけるトナー画像の形成とのタイミング調整が行われる。
【0055】
レジストローラ対80から排出された用紙Tは、第1搬送路L1を介して中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間(2次転写ニップN2)に導入される。そして、用紙Tには、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間において、トナー画像が転写される。
その後、用紙Tは、中間転写ベルト7と2次転写ローラ8との間から排出され、第2搬送路L2を介して、定着部9における加熱回転体9aと加圧回転体9bとの間の定着ニップに導入される。そして、定着ニップにおいてトナーが溶融し、トナーが用紙Tに定着される。
【0056】
次いで、用紙Tは、第3搬送路L3を通して排紙部50に搬送され、排出ローラ対53により排紙部50から排紙集積部M1に排出される。
このようにして、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷が完了する。
【0057】
手差しトレイ65に載置された用紙Tに片面印刷を行う場合には、手差しトレイ65に載置された用紙Tは、給紙コロ66によって手差し搬送路Laに送り出され、その後、第1合流部P1及び第1搬送路L1を介して、レジストローラ対80に搬送される。それ以降の動作は、前述した、給紙カセット52に収容された用紙Tの片面印刷の動作と同様であり、説明を省略する。
【0058】
次に、両面印刷を行う場合のプリンタ1の動作について説明する。
片面印刷の場合には、前述した通り、片面印刷がされた用紙Tが、排紙部50から排紙集積部M1に排出されて印刷動作が完了する。
これに対し、両面印刷を行う場合には、片面印刷がされた用紙Tが、戻し搬送路Lbを介して、片面印刷時とは表裏反転して、レジストローラ対80に再度搬送されることにより、用紙Tに両面印刷が施される。
【0059】
詳述すると、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により排紙部50から排出されるまでは、前述した片面印刷の動作と同様である。而して、両面印刷の場合には、片面印刷がされた用紙Tが排出ローラ対53により保持されている状態において、排出ローラ対53の回転を停止させ、逆方向に回転させる。このように排出ローラ対53を逆方向に回転させると、排出ローラ対53に保持されている用紙Tは、第3搬送路L3を逆方向(排紙部50から第1分岐部Q1に向かう方向)に搬送される。
【0060】
前述したように、用紙Tが、第3搬送路L3を逆方向に搬送されると、整流部材58により、用紙Tは、戻し搬送路Lbへ整流され、その後、第2合流部P2を介して、第1搬送路L1に合流する。ここで、用紙Tは、片面印刷時とは表裏反転している。
【0061】
更に、用紙Tは、レジストローラ対80により前記補正又は前記調整が行われ、第1搬送路L1を介して、2次転写ニップN2に導入される。用紙Tは、戻し搬送路Lbを経由することにより、未印刷面が中間転写ベルト7に対向するので、未印刷面にトナー画像が転写され、その結果、両面印刷が施される。
【0062】
次に、図2から図7により、カセット給紙部51の前送りコロ61や給紙ローラ対81を駆動する駆動装置21の詳細について説明する。
図2は、カセット給紙部51を構成する前送りコロ61や給紙ローラ対81を駆動する駆動装置21の斜視図である。図3は、図2に示した駆動装置21の複数本の出力軸を回転駆動する歯車列等の説明図である。図4は、駆動装置21の出力軸と入力ギアとの間に装備されているクラッチ部の外観斜視図である。図5は、駆動装置21のクラッチが組み付けられた入力ギアと、該入力ギアに回転力を入力する伝達ギアとの噛み合い状態を示す斜視図である。図6は、駆動装置21のハウジング内におけるクラッチの支持部材やコネクタの位置を示す縦断面図である。図7は、駆動装置21のクラッチに接続されるコネクタが挿入される回り止め部の形状の説明図である。図8は、駆動装置21の出力軸とカセット給紙部51側の軸部とを連結するジョイント(軸結合)構造の斜視図である。
【0063】
図2及、図3及び図6に示すように、駆動装置21は、ハウジング22と、ベース板部23と、回転駆動源としてのモータ24と、伝達ギア25と、入力ギア26と、出力軸27A、27Bと、クラッチ部28A、28Bと、支持部材29B、29Bと、コネクタ部30A、30Bと、収容部31A、31Bと、ジョイント部材34A、34B、34Cと、を備える。
【0064】
ハウジング22は、該ハウジング22に形成された後述する収容部31A、31Bがカセット給紙部51側に向くようにして装置本体Mの一側(図1において紙面垂直方向の奥側)に取り付けられる。ハウジング22は、樹脂製である。
図2に示すように、ハウジング22には、所定の間隔で並ぶ2つの収容部31A、31Bが一体形成される。収容部31A、31Bの詳細については、後述する。
【0065】
ベース板部23は、ハウジング22における一方側であって、装置本体Mの内部において、カセット給紙部51とは反対側に位置する側に配置される。図3に示すように、ベース板部23は、後述のモータ24や歯車列が組み付けられる構造基板である。
【0066】
モータ24は、カセット給紙部51の前送りコロ61や給紙ローラ対81を駆動するための回転駆動力を出力する回転駆動源である。図3に示すように、モータ24は、回転駆動力を出力する出力部24aがベース板部23の一方側に配置された歯車列GLに噛合するように、ベース板部23の他方側に固定される。モータ24は、プリンタ1の運転時において、不図示の給電手段からの給電により、常時駆動状態にされる。
【0067】
伝達ギア25は、ベース板部23における一方側(モータ24と反対側)に配置される歯車列GLを構成する歯車の1つであって、モータ24の出力部24aが噛合している第1中継歯車101を介して、モータ24からの回転駆動力が伝達される。
【0068】
図4から図6により、一方のクラッチ部28A(図2及び図3において下側に配置)及びその周辺構造(周り止め機構も含む)について説明する。ここで、他方のクラッチ部28B及びその周辺構造は、一方のクラッチ部28A及びその周辺構造と垂直方向において対称になるよう構成されているほか、同様の構成となっているので、一方のクラッチ部28Aの説明を援用できる。
【0069】
図6に示すように、入力ギア26は、第1回転軸C1を中心に回転可能にベース板部23に取り付けられる。第1回転軸C1は、入力ギア26の中心軸線である。具体的には、第1回転軸C1は、入力ギア26を回転自在に支持する軸部材102Aの中心軸線である。入力ギア26は、伝達ギア25からの回転駆動力が伝達される。
【0070】
出力軸27Aは、入力ギア26と同軸となるように、入力ギア26の第1回転軸C1方向におけるベース板部23側と反対側に配置される。また、出力軸27Aは、第1回転軸C1を中心に回転可能に配置される。出力軸27Aは、後述のクラッチ部28Aを介して入力ギア26に連結されることで、入力ギア26からの回転駆動力が伝達可能であると共に、入力ギア26から伝達された回転駆動力を出力可能な軸である。
【0071】
クラッチ部28Aは、本実施形態において電磁クラッチであって、電流の供給状態により、入力ギア26と出力軸27Aとの間に介在する不図示の電磁石をON/OFFすることで、入力ギア26と出力軸27とを連結状態又は非連結状態に切り替える。つまり、クラッチ部28Aは、入力ギア26と出力軸27Aとの状態を、電磁石のON/OFFにより、入力ギア26からの回転駆動力を出力軸27Aに伝達する連結状態と、入力ギア26からの回転駆動力を出力軸27Aに伝達しない非連結状態とに、変更可能である。
【0072】
支持部材29Aは、クラッチ部28Aを覆うように配置されると共に、出力軸27を回転可能に軸支する部材である。
図5に示すように、支持部材29Aは、入力ギア26側から出力軸27Aの先端側に向かって3段階的に径が縮小する多段筒部29aと、該多段筒部29aにおける出力軸27側の端面(図6において左側の端面)を覆う端壁部29bとを備えた有頭筒状に形成される。支持部材29Aは、クラッチ部28Aを覆うように配置される。
支持部材29Aの端壁部29bにおける中心には、出力軸27Aを挿通させる開口29cが形成されている。支持部材29Aは、開口29cに挿通された出力軸27Aを回転可能に軸支する。
支持部材29Aは、クラッチ部28Aを覆うように配置されると共に、出力軸27を回転可能に軸支する。
【0073】
コネクタ部30Aは、プリンタ1内の電源回路から供給される電流をクラッチ部28Aに入力させる(入力を受け付ける)ためのコネクタである。
コネクタ部30Aは、支持部材29Aにおける入力ギア26側と反対側に第1回転軸C1方向に突出して配置される。図5及び図6に示すように、支持部材29A上におけるコネクタ部30Aの配置箇所は、多段筒部29aの2段目の段差として第1回転軸C1に直交する方向に延在している中間側壁部29dである。
【0074】
また、コネクタ部30Aは、電流を供給するための配線に接続される端子が嵌合して接続される端子部30A1を有する。端子部30A1は、図4から図6において、垂直方向上側に配置される。また、端子部30A1は、垂直方向上側に開口した凹状に形成され、該凹状の部分に配線の端子が嵌合して電気的に接続される。端子部30A1には、垂直方向上側から下側に向けて配線の端子が挿入される。
【0075】
ここで、一方のクラッチ部28A側の端子部30A1(コネクタ部30A)と、他方側のクラッチ部28B側の端子部30B1(コネクタ部30B)とは、垂直方向において、互いに向かい合うように配置される(図2及び図3参照)。言い換えると、一方のクラッチ部28A側の端子部30A1(コネクタ部30A)と、他方側のクラッチ部28B側の端子部30B1(コネクタ部30B)とは、互いに近い位置に配置される。
【0076】
また、コネクタ部30Aは、支持部材29A上での上記のような配置、及び、突出方向の設定によって、収容部31Aの最大外径の枠からはみ出さないよう支持部材29Aに取り付けられる。
【0077】
収容部31Aは、ハウジング22に一体形成されている。図4に示すように、収容部31Aは、支持部材29Aの外周を囲う円筒状の外周壁31aと、外周壁31aの一端側に形成される端壁31bとを備えた略有頭円筒状に形成されている。収容部31Aは、支持部材29Aをカセット給紙部51側から覆うように配置されると共に、支持部材29Aを収容するように配置される。
【0078】
図4から図6に示すように、収容部31Aは、挿通孔32Aと、回り止め部33Aと、通気部331Aとを備える。
【0079】
挿通孔32Aは、出力軸27Aが収容部31Aにおける内部側から外部側に挿通可能に形成される。挿通孔32Aは、出力軸27Aが収容部31Aの支持部材29A側である内部側から、カセット給紙部51側である外側に挿通可能に形成された孔部である。挿通孔32Aは、端壁31bの中心部に貫通形成される。
【0080】
図4及び図5に示すように、回り止め部33Aは、収容部31Aの有頭円筒状における外周壁31aの一部と、収容部31Aの頭部となっている端壁31bの一部とを切り欠くようにして形成されている。
回り止め部33Aは、コネクタ部30Aの支持部材29Aとは逆側の端部を、収容部31Aから外部側に露出させる。また、回り止め部33Aは、コネクタ部30Aの外周を回り止め部33Aの開口の内縁に係合させることが可能になっており、コネクタ部30Aを介して支持部材29Aの回転を規制する回り止めとして機能する。
【0081】
通気部331Aは、回り止め部33Aと同様に、収容部31Aの外周壁31aと端壁31bとを切り欠くようにして形成された開口である。本実施形態の場合、通気部331Aは、回り止め部33Aよりも開口領域が小さく設定されている。通気部331Aは、回り止め部33Aと共に収容部31A内の通気に寄与する部分である。
【0082】
更に、回り止め部33A又は通気部331Aのうちの少なくとも一方は、垂直方向上側に配置される。この場合、垂直方向上側とは、駆動装置21を装置本体Mに取り付けた状態において、垂直上方側に位置することを意味する。駆動装置21を装置本体Mに取り付けた状態では、図6に示すように、ベース板部23や収容部31Aの端壁31bが、垂直方向に沿う面となる。垂直方向は、図1の矢印Zに沿う方向である。本実施形態において、図6に示すように、回り止め部33Aは、垂直上方側に配置された状態になっている。
【0083】
更に、本実施形態において、図4及び図5に示すように、回り止め部33Aと通気部331Aとは、垂直方向において互いに対向して形成されると共に、一方が前記収容部31Aにおける垂直方向上側に形成され、他方が前記収容部31Aにおける垂直方向下側に形成される。図4の矢印Zは、垂直方向を示している。具体的には、図6に示すように、クラッチ部28A側において、回り止め部33Aは、垂直方向上側に形成され、通気部331Aは、垂直方向下側に形成される。
【0084】
また、図7に示すように、回り止め部33Aとして端壁31bを切り欠いた開口の外縁(外面側の縁部)には、図中の矢印Y2に示すコネクタ部30Aの挿入をガイドする傾斜状のガイド部33aが形成される。ガイド部33aは、端壁31bにおける支持部材29A側から外表面側に向かって、徐々に回り止め部33Aの開口幅を狭める傾斜を有している。ガイド部33aは、コネクタ部30Aの挿入時に、コネクタ部30Aの挿入位置が矢印X2方向にずれているとき、コネクタ部30Aの側面に当接して、コネクタ部30Aのずれを解消するよう、回り止め部33Aの中心側にコネクタ部30Aをガイド(誘導)する。
【0085】
また、図4から図6に示すように、コネクタ部30Aは、第1回転軸C1に直交する方向において、収容部31Aの有頭円筒状における端壁31bが完全な円状であった場合における仮想外周(端壁31bに外周に重なる円周)の内側に配置される。
【0086】
また、図2に示すように、駆動装置21は、カセット給紙部51の給紙ローラ対81に回転力を伝達する第1回転出力部41Aと、カセット給紙部51の給紙ローラ81aに回転力を伝達する第2回転出力部41Bと、カセット給紙部51の分離ローラ81bに回転力を伝達する第3回転出力部41Cとの、3つの回転出力部を有している。
これらの3つの回転出力部のうち、第1回転出力部41Aと第2回転出力部41Bは、いずれも、クラッチ部28A、28Bと、クラッチ部28A、28Bを覆う支持部材29A、29Bと、支持部材29A、29Bを収容する収容部31A、31Bとを備えた構成である。
【0087】
本実施形態の駆動装置21は、複数のクラッチ部28A、28Bを有する。詳細には、図2に示すように、駆動装置21は、クラッチ部28A、28B及び支持部材29A、2Bを収容した収容部31A、31Bが、所定の間隔で並ぶようにして構成される。ここで、本実施形態において、図2及び図3に示すように、互いに隣に並んで形成される2つの収容部31A、31Bにおいて、2つの回り止め部33A、31Bは、互いに向かい合うような位置関係で形成される。また、2つのコネクタ部30A、30Bは、互いに向かい合うような位置関係で配置される。
【0088】
図6及び図8に示すように、ジョイント部材34Aは、クラッチ部28Aから延出する出力軸27Aの先端に固定装備される。図8に示すように、ジョイント部材34Aは、カセット給紙部51に装備されるローラに固定された軸部材45と連結される部材である。軸部材45は、先端外周に突設された係合ピン46を有する。一方、ジョイント部材34Aは、先端側が、軸部材45の先端が軸方向に嵌合するように形成される構造であって、係合ピン46が挿入されて係合可能な係合溝34aが形成されている。ジョイント部材34Aは、隣接する係合溝34a間における壁の先端に形成され、係合ピン46を係合溝34aに誘導するガイド面34bを有して構成される。
【0089】
図8に示す軸結合構造では、カセット給紙部51の装置本体Mへの装着によって、軸部材45が矢印X3方向に押し込まれると、係合ピン46の位置が係合溝34aの位置からずれていても、ガイド面34bが係合ピン46を係合溝34aに誘導するため、カセット給紙部51の装置本体Mへの装着操作によって、確実にローラの軸部材45を出力軸27Aに連結することができる。
【0090】
カセット給紙部51に装備される前送りコロ61、給紙ローラ81a、分離ローラ81bは、いずれも、ローラ本体と、ローラ本体に固定される軸部材45とを備える構成になっている。
【0091】
以上に説明した駆動装置21は、第1回転出力部41A、第2回転出力部41B、第3回転出力部41Cの中心軸が、それぞれ、カセット給紙部51の各ローラの中心軸と一致するように、プリンタ1におけるカセット給紙部51に取り付けられる。
そして、プリンタ1におけるカセット給紙部51に駆動装置21が装着されると、図8に示した軸結合構造によって、カセット給紙部51を構成するローラそれぞれの軸部材45が対応する各ジョイント部材34A、34B、34Cに結合される。これより、各ローラは、駆動装置21により回転駆動可能になる。
【0092】
駆動装置21は、プリンタ1の運転時には、図3に示すモータ24が回転駆動され、モータ24の出力する回転駆動力が、ベース板部23上の歯車列GLの伝達ギア25を介して、それぞれの回転出力部の入力ギア26に伝達される。
図6に示すように、クラッチ部28A、28Bを有する第1回転出力部41Aや第2回転出力部41Bは、電流の供給状態によるクラッチ部28のON/OFFによって、入力ギア26と出力軸27A、27Bとが接続/断続され、ローラに回転駆動力を出力する状態/ローラに回転駆動力を出力しない状態に状態変更(切り替え)される。
【0093】
駆動装置21において、運転時(モータ24が駆動時)、ハウジング22内では、各ギアやクラッチ部28A、28Bから熱が生じる。ここで、収容部31A,31Bには垂直方向における上下側に回り止め部33A、33B及び通気部331A、331Bが形成されるので、駆動装置21は、ハウジング22内での発熱を垂直方向上側に形成される回り止め部又は通気部から逃がし、外気を垂直方向下側に形成された回り止め部又は通気部から外気を吸気させる。これにより、駆動装置21は、内部における熱の籠もりを抑制できる。
【0094】
以上に説明した本実施形態のプリンタ1によれば、例えば、次のような効果が奏される。
本実施形態の駆動装置21では、ハウジング22と、ハウジング22における一方側に配置されるベース板部23と、回転駆動力を出力するモータ24と、モータ24からの回転駆動力が伝達される伝達ギア25と、ベース板部23に第1回転軸C1を中心に回転可能に取り付けられ、伝達ギア25からの回転駆動力が伝達される入力ギア26と、入力ギア26の第1回転軸C1方向におけるベース板部側と反対側に(入力ギア26と同軸となるよう)第1回転軸C1を中心に回転可能に配置され、入力ギア26からの回転駆動力が伝達可能であると共に、入力ギア26から伝達された回転駆動力を出力可能な出力軸27A、27Bと、電流の供給状態に応じて、入力ギア26からの回転駆動力を出力軸27A、27Bに伝達する連結状態と、入力ギア26からの回転駆動力を出力軸27A、27Bに伝達しない非連結状態とに入力ギア26と出力軸27A、27Bとの状態を変更可能なクラッチ部28A、28Bと、クラッチ部28A、28Bを覆うように配置されると共に、出力軸27A、27Bを回転可能に軸支する支持部材29A、29Bと、支持部材29A、29Bにおける入力ギア26側と反対側に第1回転軸C1方向に突出して配置されると共に、クラッチ部28A、28Bへ供給される電流を入力するためのコネクタ部30A、30Bと、ハウジング22に形成され、支持部材29A、29Bを収容可能である収容部31A、31Bであって、出力軸27A、27Bがハウジング22の一方側から他方側に挿通可能な挿通孔32A、32Bと、コネクタ部30A、30Bが係合可能な開口状の部分であって、コネクタ部30A、30Bが係合した状態において、コネクタ部30A、30Bをハウジング22の外部側に露出させると共に、支持部材29A、29Bの回転を規制する回り止め部33A、33Bと、を備える。
【0095】
そのため、支持部材29A、29Bは、該支持部材29A、29Bに装着されるコネクタ部30A、30Bと支持部材29A、29Bを収容しているハウジング22の収容部31A、31Bに形成された回り止め部33A、33Bとの係合により回り止めされるため、専用の回り止め部材を設ける必要がない。従って、新たな部品を追加することなく、クラッチ部28A、28Bの支持部材29A、29Bが回転することを抑制可能な駆動装置21を提供することができる。
また、ハウジング22を樹脂製とした場合に、回り止め部33A、33Bとコネクタ部30A、30Bとの係合が、樹脂製部品同士の係合となり、支持部材29A、29Bが回転しようとしたときに生じる衝突音が発生しにくく、駆動装置21は、静音性が向上される。
また、クラッチ部28A、28Bがハウジング22の収容部31A、31Bに収容されるため、クラッチ部28A、28Bの動作音が外部に漏れにくく、駆動装置21は、静音化が向上される。
【0096】
本実施形態の駆動装置21では、収容部31A、31Bは、回り止め部33A、33Bよりも開口領域が小さい通気部331A、331Bと、を備える。
そのため、回り止め部33A、33B及び通気部331A、331Bのうち一方が給気口、他方が排気口として機能して、収容部31A、31Bの内部、更にはハウジング22の内部における通気性を向上させることができる。
また、331A、331Bを回り止め部33よりも小さくしているため、組み立て時にコネクタ部30A、30Bを誤って通気部331A、331Bに挿入することを防止でき、組み立て作業性を向上させることができる。
【0097】
本実施形態の駆動装置21では、回り止め部33A、33B又は通気部331A、331Bのうち一方は、垂直方向上側に配置される。
そのため、暖気の上昇気流が垂直方向上側に配置される回り止め部33A、33B又は通気部331A、331Bから、収容部31A、31Bの外部に流れやすくなり、駆動装置21は、通気性やクラッチ部28A、28Bに対する冷却性能が更に向上される。
【0098】
本実施形態の駆動装置21では、回り止め部33A、33Bと通気部331A、331Bとは、垂直方向において互いに対向して形成されると共に、一方が収容部31A、31Bにおける垂直方向上側に形成され、他方が収容部31A、31Bにおける垂直方向下側に形成される。
そのため、収容部31A、31Bにおける通気が、垂直方向下側から垂直方向上側に流れる自然対流にすることができ、駆動装置21は、通気性が更に向上される。
【0099】
本実施形態の駆動装置21では、図7に示したように、回り止め部33A、33Bにおける外縁には、コネクタ部30A、30Bの挿入をガイドする傾斜状のガイド部33aが形成される。
そのため、コネクタ部30A、30Bの回り止め部33A、33Bへの挿入時に、コネクタ部30A、30Bの挿入位置がずれていても、コネクタ部30A、30Bとガイド部33aとの当接により、コネクタ部30A、30Bの位置を回り止め部33A、33Bの中央部に位置修正することができ、駆動装置21は、コネクタ部30A、30B、組み立て性が向上される。
【0100】
本実施形態の駆動装置21では、収容部31A、31Bは、略有頭円筒状に形成され、回り止め部33A、33Bは、有頭円筒状における外周壁31aの一部と頭部となっている端壁31bの一部とを切り欠くようにして形成され、コネクタ部30A、30Bは、第1回転軸C1に直交する方向において、有頭円筒状における端壁31bが完全な円状であった場合における仮想外周の内側に配置される。
そのため、コネクタ部30A、30Bは、収容部31A、31Bの端壁31bの外周に突出せずに、効率的な配置とすることができ、駆動装置21は、プリンタ1内でのスペース効率の向上や実装密度の向上に寄与する。
【0101】
本実施形態の駆動装置21では、クラッチ部28A、28Bを複数有する場合、互いに隣に並んで形成される2つの収容部31A、31Bにおいて、2つの回り止め部33A、33Bは、互いに向かい合うような位置関係で形成され、2つのコネクタ部30A、30Bは、互いに向かい合うような位置関係で配置される。
そのため、それぞれのクラッチ部28A、28Bに接続される配線(例えば、給電用のケーブル)は、互いに向かい合うコネクタ部30A、30B間まで一緒に引きまわし、それぞれのコネクタ部用に分岐させればよく、駆動装置21は、プリンタ1内における配線(ケーブル)の引きまわし形態を単純化することができる。
【0102】
本実施形態のプリンタ1では、上記の駆動装置21と、駆動装置21により回転される給紙ローラ81aであって、出力軸27A、27Bに直接又は間接的に連結され出力軸27A、27Bからの回転駆動力が伝達される軸部材45と、軸部材45に連結される給紙ローラ本体と、を有する給紙ローラ81aと、を備える。
そのため、上記の駆動装置21を備える画像形成装置を提供することができる。
【0103】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されていることなく、種々の形態を採用することができる。
本発明の画像形成装置の種類は、特に限定がなく、コピー機、プリンタ、ファクシミリ、又はこれらの複合機等であってもよい。
シート状の被転写材は、用紙に制限されず、例えば、フィルムシートであってもよい。
【符号の説明】
【0104】
1……プリンタ21……駆動装置、22……ハウジング、23……ベース板部、24……モータ(回転駆動源)、25……伝達ギア、26……入力ギア、27A、27B……出力軸、28A、28B……クラッチ部、29A、29B……支持部材、30A、30B……コネクタ部、31A、31B……収容部、31a……外周壁、31b……端壁、32A、32B……挿通孔、33A、33B……回り止め部、33a……ガイド部、34A、34B、34C……ジョイント部材、51……カセット給紙部、61……前送りコロ、81……給紙ローラ対、81a……給紙ローラ、81b……分離ローラ、331A、331B……通気部、M……装置本体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングにおける一方側に配置されるベース板部と、
回転駆動力を出力する回転駆動源と、
前記回転駆動源からの回転駆動力が伝達される伝達ギアと、
前記ベース板部に第1回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記伝達ギアからの回転駆動力が伝達される入力ギアと、
前記入力ギアの第1回転軸方向における前記ベース板部側と反対側に前記第1回転軸を中心に回転可能に配置され、前記入力ギアからの回転駆動力が伝達可能であると共に、前記入力ギアから伝達された回転駆動力を出力可能な出力軸と、
電流の供給状態に応じて、前記入力ギアからの回転駆動力を前記出力軸に伝達する連結状態と、前記入力ギアからの回転駆動力を前記出力軸に伝達しない非連結状態とに前記入力ギアと前記出力軸との状態を変更可能なクラッチ部と、
前記クラッチ部を覆うように配置されると共に、前記出力軸を回転可能に軸支する支持部材と、
前記支持部材における前記入力ギア側と反対側に前記第1回転軸方向に突出して配置されると共に、前記クラッチ部へ供給される電流の入力を受け付けるコネクタ部と、
前記ハウジングに形成され、前記支持部材を収容可能な収容部であって、
前記出力軸が該収容部における内部側から外部側に挿通可能な挿通孔と、
前記コネクタ部が係合可能な開口状の部分であって、前記コネクタ部が係合した状態において、前記コネクタ部を前記収容部の外部側に露出させると共に、前記支持部材の回転を規制する回り止め部とを有する収容部と、を備える
駆動装置。
【請求項2】
前記収容部は、前記回り止め部よりも開口領域が小さい通気部と、を備える
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記回り止め部又は前記通気部のうちの一方は、垂直方向上側に配置される
請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記回り止め部と前記通気部とは、
垂直方向において互いに対向して形成されると共に、一方が前記収容部における垂直方向上側に形成され、他方が前記収容部における垂直方向下側に形成される
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記回り止め部における外縁には、前記コネクタ部の挿入をガイドする傾斜状のガイド部を有する
請求項1から4のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項6】
前記収容部は、略有頭円筒状に形成され、
前記回り止め部は、前記有頭円筒状における外周壁の一部と頭部となっている端壁の一部とを切り欠くようにして形成され、
前記コネクタ部は、前記第1回転軸に直交する方向において、前記有頭円筒状における端壁が完全な円状であった場合における仮想外周の内側に配置される
請求項1から5のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項7】
前記クラッチ部を複数有する場合、
互いに隣に並んで形成される2つの前記収容部において、
2つの前記回り止め部は、互いに向かい合うような位置関係で形成され、
2つの前記コネクタ部は、互いに向かい合うような位置関係で配置される
請求項1から6のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の駆動装置と、
前記駆動装置により回転される給紙ローラであって、
前記出力軸に直接又は間接的に連結され前記出力軸からの回転駆動力が伝達される軸部材と、
前記軸部材に連結される給紙ローラ本体と、を有する給紙ローラと、を備える
画像形成装置。
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングにおける一方側に配置されるベース板部と、
回転駆動力を出力する回転駆動源と、
前記回転駆動源からの回転駆動力が伝達される伝達ギアと、
前記ベース板部に第1回転軸を中心に回転可能に取り付けられ、前記伝達ギアからの回転駆動力が伝達される入力ギアと、
前記入力ギアの第1回転軸方向における前記ベース板部側と反対側に前記第1回転軸を中心に回転可能に配置され、前記入力ギアからの回転駆動力が伝達可能であると共に、前記入力ギアから伝達された回転駆動力を出力可能な出力軸と、
電流の供給状態に応じて、前記入力ギアからの回転駆動力を前記出力軸に伝達する連結状態と、前記入力ギアからの回転駆動力を前記出力軸に伝達しない非連結状態とに前記入力ギアと前記出力軸との状態を変更可能なクラッチ部と、
前記クラッチ部を覆うように配置されると共に、前記出力軸を回転可能に軸支する支持部材と、
前記支持部材における前記入力ギア側と反対側に前記第1回転軸方向に突出して配置されると共に、前記クラッチ部へ供給される電流の入力を受け付けるコネクタ部と、
前記ハウジングに形成され、前記支持部材を収容可能な収容部であって、
前記出力軸が該収容部における内部側から外部側に挿通可能な挿通孔と、
前記コネクタ部が係合可能な開口状の部分であって、前記コネクタ部が係合した状態において、前記コネクタ部を前記収容部の外部側に露出させると共に、前記支持部材の回転を規制する回り止め部とを有する収容部と、を備える
駆動装置。
【請求項2】
前記収容部は、前記回り止め部よりも開口領域が小さい通気部と、を備える
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記回り止め部又は前記通気部のうちの一方は、垂直方向上側に配置される
請求項2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記回り止め部と前記通気部とは、
垂直方向において互いに対向して形成されると共に、一方が前記収容部における垂直方向上側に形成され、他方が前記収容部における垂直方向下側に形成される
請求項3に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記回り止め部における外縁には、前記コネクタ部の挿入をガイドする傾斜状のガイド部を有する
請求項1から4のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項6】
前記収容部は、略有頭円筒状に形成され、
前記回り止め部は、前記有頭円筒状における外周壁の一部と頭部となっている端壁の一部とを切り欠くようにして形成され、
前記コネクタ部は、前記第1回転軸に直交する方向において、前記有頭円筒状における端壁が完全な円状であった場合における仮想外周の内側に配置される
請求項1から5のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項7】
前記クラッチ部を複数有する場合、
互いに隣に並んで形成される2つの前記収容部において、
2つの前記回り止め部は、互いに向かい合うような位置関係で形成され、
2つの前記コネクタ部は、互いに向かい合うような位置関係で配置される
請求項1から6のいずれかに記載の駆動装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれかに記載の駆動装置と、
前記駆動装置により回転される給紙ローラであって、
前記出力軸に直接又は間接的に連結され前記出力軸からの回転駆動力が伝達される軸部材と、
前記軸部材に連結される給紙ローラ本体と、を有する給紙ローラと、を備える
画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2011−202795(P2011−202795A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−73327(P2010−73327)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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