説明

駆動装置

【課題】回転電機及び当該回転電機の制御を行う制御装置を一つのケース内に収容して駆動装置の小型化を図りつつ、制御装置が収容される空間の密封性を確保し、更に製造時の作業性も良い駆動装置を提供する。
【解決手段】回転電機MG1と、回転電機MG1の制御を行う制御装置4と、回転電機MG1及び制御装置4を収容するケース2とを備え、ケース2は、回転電機MG1が収容される機械室R1と、制御装置4が収容される電気室R2とを備え、機械室R1と電気室R2とは、隔壁21により互いに区画されているとともに、回転電機MG1と制御装置4とを電気的に接続する接続部材5が液密状態で隔壁21を貫通するように設けられ、機械室R1と電気室R2とは、回転電機MG1の軸方向一端側にそれぞれ開口部R1a、R2aを有し、これら2つの開口部を互いに区画する状態で覆うカバー3が取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータやジェネレータ等の回転電機を備えた駆動装置に関し、特に、例えばハイブリッド車両や電動車両等の各種車両に好適に用いられる駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータやジェネレータ等の回転電機と、この回転電機の制御を行う制御装置と、回転電機及び制御装置を収容するケースとを備えた駆動装置を、ハイブリッド車両や電動車両等の各種車両に適用することが既に行われている。このような車両用の駆動装置に関して、例えば下記の特許文献1には、以下のような駆動装置の構成が開示されている。この駆動装置は、回転電機、変速機構、及びディファレンシャル機構を一体的に収容する駆動装置ケースと、この駆動装置ケースの上部に取り付けられ、回転電機を制御するためのインバータ等の制御装置を収容する制御装置ケースとを備えている。
【0003】
そして、駆動装置ケースと制御装置ケースには、これらを連通する連通孔が設けられており、この連通孔に、回転電機と制御装置とを電気的に接続するための棒状の接続端子が上下方向に挿入され配置されている。この接続端子の上端部はバスバーを介して制御装置の端子に電気的に接続され、接続端子の下端部はバスバーを介して回転電機のコイルに電気的に接続されている。また、連通孔と接続端子との間は、駆動装置ケース内に存在する潤滑及び冷却用のオイル等が制御装置ケース内に入り込まないように、Oリング等により密封されている。これにより、制御装置にオイルが付着することを防止し、絶縁性を確保している。
【0004】
【特許文献1】特開2007−221962号公報(第7−9頁、第3−6図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような駆動装置では、回転電機等を収容する駆動装置ケースと、制御装置を収容する制御装置ケースとを分けたことにより、2つのケースを貫通するように配置された接続端子の周囲を密封するだけで、容易に、駆動装置ケース内のオイルが制御装置ケース内に入り込まないようにすることができる。しかし、このような構成では、駆動装置ケースに取り付けられる制御装置及び制御装置ケースが、駆動装置ケースから上方に大きく突出するように配置されることになる。したがって、駆動装置全体の外形が大型化し、車両への搭載性が悪くなるという課題がある。
【0006】
これに対して、駆動装置を小型化するために回転電機等と制御装置を一つのケース内に一体的に収容する構成とすることが考えられる。しかし、単に一つのケース内にこれらを収容する構成としただけでは、制御装置を、オイルや水等の液体が接しないように密封した空間に置くことができず、制御装置や当該制御装置と回転電機とを電気的に接続する接続部材の絶縁性を確保することが困難になるという課題がある。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、回転電機及び当該回転電機の制御を行う制御装置を一つのケース内に収容して駆動装置の小型化を図りつつ、制御装置が収容される空間の密封性を確保し、更に製造時の作業性も良い駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る、回転電機と、前記回転電機の制御を行う制御装置と、前記回転電機及び前記制御装置を収容するケースと、を備えた駆動装置の特徴構成は、前記ケースは、前記回転電機が収容される機械室と、前記制御装置が収容される電気室とを備え、前記機械室と前記電気室とは、隔壁により互いに区画されているとともに、前記回転電機と前記制御装置とを電気的に接続する接続部材が液密状態で前記隔壁を貫通するように設けられ、前記機械室と前記電気室とは、前記回転電機の軸方向一端側にそれぞれ開口部を有し、これら2つの開口部を互いに区画する状態で覆うカバーが取り付けられた点にある。
【0009】
なお、本願では、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
【0010】
この特徴構成によれば、ケースに設けられた機械室及び電気室に、回転電機及び制御装置をそれぞれ収容することにより、一つのケース内に回転電機と制御装置とを一体化できるので、駆動装置の小型化を図ることができる。この際、機械室と電気室とが隔壁により区画されているとともに、接続部材が液密状態で当該隔壁を貫通するように設けられているので、回転電機と制御装置とを電気的に接続した状態としながら、機械室内に存在するオイル等の液体が制御装置室に浸入することを防止でき、制御装置室の密封性を確保することができる。また、機械室及び電気室の双方が、回転電機の軸方向一端側にそれぞれ開口部を有していることにより、機械室又は電気室に収容する部材を同じ方向からケース内に組み付けることができるので、製造時の作業性を良くすることができる。更に、機械室及び電気室の2つの開口部に取り付けられるカバーにより、機械室と電気室とを区画するとともに、それぞれの開口部を覆うことができるので、製造時の作業性を良くしつつ、簡易な構成で機械室と電気室との間を区画し、電気室の密封性を確保した構成を実現することができる。
【0011】
ここで、前記2つの開口部は同一面上に位置する共通の開口端面を有し、前記2つの開口部は、前記開口端面に当接するように取り付けられた共通の前記カバーにより覆われていると好適である。
【0012】
この構成によれば、機械室及び電気室の2つの開口部を覆うカバーを一つに共通化することができるとともに、カバーとケースとの当接面を同一面上に位置する共通の開口端面とすることができるので、当該当接面の密封構造を簡略化することができ、機械室及び電気室の密封性を容易に確保することができる。
【0013】
また、前記機械室と前記電気室とは、前記回転電機の径方向に区画され、前記電気室は、前記機械室に対して前記回転電機の径方向外側に配置されていると好適である。
【0014】
この構成によれば、回転電機を収容する機械室の径方向外側に隣接するように、電気室及び制御装置が配置されることになるので、駆動装置が、回転電機の軸方向に拡大することを抑制できるとともに、回転電機の径方向の拡大も最小限に抑えることができる。したがって、駆動装置の小型化を図ることができる。
【0015】
また、前記接続部材は、前記回転電機の軸方向と略平行な方向に前記隔壁を貫通するとともに、前記機械室に対して前記回転電機の軸方向に重複する位置に配置されていると好適である。
【0016】
この構成によれば、回転電機と制御装置とを電気的に接続する接続部材が回転電機の軸方向と略平行な方向に隔壁を貫通するように配置されているので、接続部材の配置のために、駆動装置が回転電機の径方向に拡大することを抑制できる。更に、当該接続部材が回転電機の軸方向に機械室と重複するように配置されているため、接続部材の配置のために、駆動装置が回転電機の軸方向に拡大することも抑制できる。したがって、駆動装置の小型化を図ることができる。
【0017】
また、前記接続部材は、前記隔壁を貫通する部分に設けられた接続端子と、前記電気室内に配置されて前記制御装置と前記接続端子とを電気的に接続する接続配線とを含み、前記接続端子の前記開口部側の端部には、前記接続配線を固定するための配線固定部が設けられていると好適である。
【0018】
この構成によれば、隔壁を貫通するように配置された接続端子の配線固定部に接続配線を固定する際に、電気室の開口部から工具等を挿入して容易に作業を行うことができる。したがって、製造時の作業性を良くすることができるとともに、工具等を挿入するための空間を小さく抑えて駆動装置の小型化を図ることができる。
【0019】
また、前記制御装置と前記接続端子とが、前記回転電機の周方向に異なる位置に配置され、前記接続配線は、前記制御装置と前記接続端子とを結ぶように、前記回転電機の外周に沿って配置されていると好適である。
【0020】
この構成によれば、制御装置と接続端子とが、回転電機の周方向に異なる位置に配置されている場合においても、接続配線が回転電機の外周に沿って配置されているため、接続配線を配置するために、電気室が回転電機の径方向及び軸方向に拡大することを最小限に抑えることができる。したがって、駆動装置の小型化を図ることができる。
【0021】
また、前記接続端子は、前記機械室内に貯留されているオイルの液面より上方に配置されていると好適である。
【0022】
この構成によれば、隔壁を貫通する接続端子が、機械室内においてオイルに浸ることが抑制される。したがって、接続端子及びこの接続端子と回転電機とを電気的に接続する接続配線等の接続部材の絶縁性の確保を容易にすることができる。
【0023】
また、前記接続端子は、少なくとも前記隔壁を貫通する部分の外周に絶縁部材を有し、当該絶縁部材と前記隔壁との間にシール部材が配置されていると好適である。
【0024】
この構成によれば、接続端子と隔壁との間の電気的絶縁性を確保することができるとともに、接続端子が隔壁を貫通する部分における液密性も確保することができる。
【0025】
また、前記回転電機の回転を前記ケースの外部に出力する出力機構を更に備え、前記出力機構は、前記回転電機に隣接して配置されているとともに、その出力軸が前記回転電機の軸より下方に配置され、前記制御装置は、前記回転電機の下方であって、前記出力機構と上下方向に重複する位置に配置されていると好適である。
【0026】
この構成によれば、駆動装置が、回転電機に隣接して出力軸が回転電機の軸より下方に位置するように配置される出力機構を備える場合において、回転電機と出力機構との上下方向の位置の相違により生じる空間を利用して制御装置を効率的に配置することができるため、駆動装置の小型化を図ることができる。
【0027】
また、前記電気室は、下方に開口する第二開口部を有し、この第二開口部は第二カバーにより覆われていると好適である。
【0028】
この構成によれば、第二カバーを取り外した状態で、電気室内の回転電機の下方に配置される制御装置をケースに容易に組み付けることができ、駆動装置の製造時の作業性を良くすることができる。また、駆動装置を車両等に搭載した状態でも、第二カバーを取り外すことにより、第二開口部から制御装置に容易にアクセスすることができる。したがって、制御装置の保守点検等の際における作業性も良くすることができる。
【0029】
また、前記回転電機を第一回転電機とし、前記第一回転電機に隣接して前記機械室内に配置される第二回転電機を更に備え、前記第一回転電機と前記第二回転電機とは、軸方向に重複する位置に配置されていると好適である。
【0030】
この構成に係る駆動装置は、回転電機を2つ備えながら、当該2つの回転電機を軸方向に重複する位置に配置することにより、駆動装置の軸方向の全長を短く抑えた構成となっている。したがって、このような回転電機の配置を有する駆動装置に、上記の本発明に係る各構成を適用することにより、駆動装置が回転電機の軸方向及び径方向に拡大することを抑制でき、駆動装置のより一層の小型化を図ることができる。
【0031】
また、前記ケースは、エンジンに連結される連結部を前記回転電機の軸方向他端側に有し、前記連結部は、車両に横置きされるエンジンの軸方向に連結される構成とすると好適である。
【0032】
この構成によれば、回転電機の軸方向一端側に設けられた機械室及び電気室の開口部が、エンジンに連結される連結部に対して回転電機の軸方向における反対側に設けられていることになる。したがって、駆動装置が、エンジンに連結されるハイブリッド車両用の駆動装置等である場合においても、ケース内に収容される構造部材の整備等の際における作業性を良くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。ここでは、本発明を、ハイブリッド車両用の駆動装置1に適用した場合を例として説明する。図1は、本実施形態に係る駆動装置1のカバー3を外した状態の正面図である。図2は、カバー3を取り付けた状態での図1のII−II断面図である。図3は、この駆動装置1の内部構成の配置を概略的に示す模式図である。図4は、図2の要部拡大図である。図5は、本実施形態に係る車両C内での駆動装置1の配置を概略的に示す模式図である。これらの図に示すように、本実施形態に係る駆動装置1は、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の2つの回転電機と、ディファレンシャル装置DFとを一つのケース2の内部に収容して構成されている。更に、この駆動装置1では、これら2つの回転電機MG1、MG2の制御を行う制御装置4や、この制御装置4と2つの回転電機MG1、MG2とを電気的に接続するバスバー5等も、同じケース2の内部に収容されている。この際、ケース2は、回転電機MG1、MG2等が収容される機械室R1と、制御装置4等が収容される電気室R2とを備え、これらの室R1、R2を、隔壁21により互いに区画した構成を有している。以下、本実施形態に係る駆動装置の各部の構成について詳細に説明する。
【0034】
1.駆動装置の機構部の構成
まず、本実施形態に係る駆動装置1の機構部の構成について概略的に説明する。図1に示すように、この駆動装置1は、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の2つの回転電機と、ディファレンシャル装置DFとを備えている。なお、図1には、これらの外形のみを示し、詳細な形状は省略している。これらの第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、及びディファレンシャル装置DFは、径方向に互いに隣接して配置され、これらの軸を結ぶ線が三角形を形成するように配置されている。ここでは、第一回転電機MG1の軸(すなわち第一回転電機MG1のロータの回転軸)を第一軸A1、第二回転電機MG2の軸(すなわち第二回転電機MG2のロータの回転軸)を第二軸A2、ディファレンシャル装置DFの軸(ディファレンシャル装置DFの出力軸)を第三軸A3とする。これら第一軸A1、第二軸A2、及び第三軸A3は、互いに平行に配置されている。図示されるように、第一軸A1を基準とした場合、鉛直方向では、第二軸A2は第一軸A1に対して上方に配置され、第三軸A3は第一軸A1に対して下方に配置されている。また、水平方向では、第二軸A2及び第三軸A3は共に第一軸A1に対して一方側(図1における右側)に配置され、第二軸A2は第三軸A3に対してやや一方側(図1における右側)に配置されている。また、第一回転電機MG1と第二回転電機MG2とは、第一軸A1の軸方向(図1における紙面に垂直な方向)に重複する位置に配置されている。すなわち、第一回転電機MG1と第二回転電機MG2とは、側面視(図2に示す方向から見た状態)で互いに重なる位置に配置されている。これにより、駆動装置1の軸方向の全長を短く抑えた構成となっている。これらの第一回転電機MG1、第二回転電機MG、及びディファレンシャル装置DFは、ケース2の機械室R1内に収容されている。
【0035】
図2には、駆動装置1の第一軸A1を通る断面が示されている。この図に示すように、第一軸A1上には、第一回転電機MG1及びそのロータRo1の回転軸11と、ダンパ12を介してエンジンEの出力軸に連結される入力軸13と、第一回転電機MG1及び入力軸13の回転をディファレンシャル装置DF側へ伝達するためのギヤ機構14が配置されている。なお、図2には、ロータRo1の回転軸11、ギヤ機構14、入力軸13、及びダンパ12の外形のみを示し、これらの詳細な形状は省略している。この第一軸A1上において、第一回転電機MG1は軸方向一端側(カバー3側、図2における右側)に配置されている。この第一回転電機MG1のロータRo1の回転軸11は、カバー3に固定された軸受15により軸支される。また、第一軸A1上には、第一回転電機MG1から軸方向他端側(図2における左側)に向かって順に、ギヤ機構14と入力軸13とが配置されている。入力軸13は、ダンパ12を介してエンジンEの出力軸Eoに連結される。ここで、ダンパ12は、ケース2の軸方向他端側端面23に取り付けられたダンパケース8内収容されている。また、入力軸13は、ダンパケース8の隔壁81に固定された軸受16により軸支されている。ギヤ機構14は、その具体的構成についての説明は省略するが、第一回転電機MG1及び入力軸13の回転をディファレンシャル装置DF側へ伝達可能に構成されている。
【0036】
ダンパケース8は、軸方向一端側においてケース2の軸方向他端側端面23に当接して取り付けられ、軸方向他端側端面82においてエンジンEのケースに取り付けられる。すなわち、ケース2は、軸方向他端側において、ダンパケース8を介してエンジンEに連結される。したがって、ケース2の軸方向他端側端面23が、エンジンEに連結される連結部24に相当する。本実施形態においては、図5に示すように、連結部24は、車両Cに横置きされるエンジンEの出力軸Eoの軸方向に連結される。ここでは、ダンパケース8は、ボルト83によりケース2に締結固定される。また、この図に示すように、ディファレンシャル装置DFの出力軸DFoは、車輪Wに駆動連結されている。したがって、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の回転は、ディファレンシャル装置DFを介し、当該ディファレンシャル装置DFの出力軸DFoの回転としてケース2の外部に出力され、車輪Wに伝達される。したがって、本実施形態においては、ディファレンシャル装置DFが本発明における「出力機構」に相当する。また、第一回転電機MG1が本発明における「回転電機」に相当する。
【0037】
2.ケース及びカバーの構成
図1及び図2に示すように、ケース2は、回転電機MG1、MG2等が収容される機械室R1と、制御装置4等が収容される電気室R2とを備えている。本実施形態においては、上記のとおり、機械室R1には、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、ディファレンシャル装置DF、及びギヤ機構14が収容される。また、電気室R2には、制御装置4、及び接続部材5の一部を構成するバスバー7が収容される。機械室R1と電気室R2とは、隔壁21により互いに区画されている。この際、機械室R1と電気室R2とは、隔壁21によって第一回転電機MG1の径方向に区画されており、電気室R2は、機械室R1に対して第一回転電機MG1の径方向外側に配置されている。
【0038】
ここで、ケース2の外形を構成する外周壁25は、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、及びディファレンシャル装置DFの各軸(第一軸A1、第二軸A2、及び第三軸A3)に略平行な軸を有する異形筒状に形成されている。そして、このケース2における、第一回転電機MG1の軸方向の一部の領域には、外周壁25の径方向内側に、当該外周壁25と略平行に配置された隔壁21が設けられている。言い換えれば、ケース2は、軸方向の一部の領域において、外周壁25と、その径方向内側に配置された隔壁21の二重の周壁を有する構成となっている。また、図2に示すように、隔壁21は、当該隔壁21がない軸方向位置での外周壁25よりも、第一回転電機MG1の径方向内側に位置しており、その段差部に相当する、第一回転電機MG1の径方向に伸びる壁部分において、機械室R1と電気室R2とを、第一回転電機MG1の軸方向(第一軸A1に沿った方向)に区画している。すなわち、本例では、機械室R1と電気室R2とは、隔壁21により第一回転電機MG1の径方向及び軸方向の双方に区画されている。
【0039】
機械室R1は、第一回転電機MG1、第二回転電機MG2、ディファレンシャル装置DF、及びギヤ機構14等の軸(第一軸A1、第二軸A2、及び第三軸A3)に略平行な軸を有し、これらの外形を囲む形状の異形筒状に形成されている。電気室R2は、このような機械室R1の径方向外側の一部を囲むように形成されている。ここで、機械室R1と電気室R2とは、第一回転電機MG1の軸方向一端側にそれぞれ開口部R1a、R2aを有している。本実施形態においては、機械室R1の開口部R1aと、電気室R2の開口部R2aとは、同一面上に位置する共通の開口端面22を有している。この開口端面22は、図1に示すように、機械室R1の開口部R1a及び電気室R2の開口部R2aをそれぞれ囲む周状に形成されている。後述するように、この開口端面22に当接するように、カバー3が取り付けられる。そのため、開口端面22には、カバー3を取り付けるための締結部としてのボルト穴22aが複数形成されている。そして、カバー3に設けられたボルト挿通孔3aに挿通された締結部材としてのボルト31が締結されることにより、カバー3が開口端面22に固定される。
【0040】
図1〜図3に示すように、電気室R2は、開口部R2a側に面して設けられ、第一回転電機MG1の周方向に沿って形成された第一電気室R21と、この第一電気室R21に対して第一回転電機MG1の軸方向他端側に設けられ、第一回転電機MG1における下方及びディファレンシャル装置DFに隣接する側とは反対側の側方に形成された第二電気室R22とに分けられる。第一電気室R21は、開口部R2a側(図1に示す側)から見て略C字状に伸びる帯状となるように、第二回転電機MG2における第一回転電機MG1側の上方(図1における左上方)から第一回転電機MG1の下方までをつなぐように、第一回転電機MG1の周方向に沿って配置された平面形状を有している。この際、第一電気室R21は、第一回転電機MG1におけるディファレンシャル装置DFに隣接する側とは反対側の側方(図1における左側方)を回り込むように、第一回転電機MG1の外周に沿って配置されている。この第一電気室R21は、第一回転電機MG1の軸方向一端側に向けて開口しており、この開口部が電気室R2の開口部R2aとなる。また、第一電気室R21は、第一回転電機MG1の軸方向に一定の深さを有している。この第一電気室R21には、後述するように、主にバスバー7が収容される。
【0041】
第二電気室R22は、図1及び図3に示すように、開口部R2a側から見て、第一回転電機MG1におけるディファレンシャル装置DFに隣接する側とは反対側の側方及び下方に沿って配置された、略L字状の平面形状を有している。この第二電気室R22は、第一電気室R21に対して第一回転電機MG1の軸方向他端側に設けられている。また、第二電気室R22は、第一回転電機MG1の軸方向に第一電気室R21よりも大きい深さを有している。この第二電気室R22には、主に制御装置4及びコンデンサ17が収容される。具体的には、図2及び図3に示すように、制御装置4は、第二電気室R22における第一回転電機MG1の下方に収容される。これにより制御装置4は、第一回転電機MG1の下方であって、ディファレンシャル装置DFと上下方向に重複する位置に配置される。また、コンデンサ17は、第二電気室R22における第一回転電機MG1の側方(ディファレンシャル装置DFに隣接する側とは反対側の側方)に収容される。図1及び図3に示すように、このコンデンサ17の上方には、コネクタ18が配置される。このコネクタ18は、ケース2の外周壁25を貫通して配置され、電気室R2内とケース2の外部とを電気的に接続するための接続端子となっている。
【0042】
図2に示すように、機械室R1の開口部R1a及び電気室R2の開口部R2aには、これらの開口部R1a、R2aを互いに区画する状態で覆うカバー3が取り付けられる。上記のとおり、本実施形態においては、機械室R1の開口部R1a及び電気室R2の開口部R2aは、同一面上に位置する共通の開口端面22を有しており、2つの開口部R1a、R2aは、この開口端面22に当接するように取り付けられた共通のカバー3により覆われている。本実施形態においては、カバー3は、開口端面22に略平行に形成されて開口端面22を覆うカバー面33と、このカバー面33から第一回転電機MG1の軸方向他端側に向けて突出形成された周壁部34とを有している。この周壁部34の軸方向他端側端面が、ケース2の開口端面22に当接する当接面32とされている。この当接面32の平面形状は、当該当接面32が当接する対象である、ケース2の開口端面22の平面形状とほぼ同じとされている。すなわち、カバー3の当接面32は、図1に示されるケース2の開口端面22と同様に、機械室R1の開口部R1a及び電気室R2の開口部R2aをそれぞれ囲む周状に形成されている。このため、周壁部34は、ケース2の開口端面22の形状に合致するように、ケース2の外周壁25及び隔壁21とほぼ同様の配置形状とされている。すなわち、カバー3の周壁部34は、ケース2の外周壁25と第一回転電機MG1の軸方向に連続する外周壁34aと、ケース2の隔壁21と第一回転電機MG1の軸方向に連続する隔壁34bとを有している。そして、このような周壁部34の当接面32がケース2の開口端面22に当接した状態では、機械室R1の開口部R1aと電気室R2の開口部R2aとは、カバー3の周壁部34及びカバー面33により互いに区画される。すなわち、カバー3は、ケース2の外周壁25及び隔壁21と共にケース2内の空間を区画し、機械室R1及び電気室R2を形成している。
【0043】
カバー3のカバー面33は、第一回転電機MG1の軸方向一端側(図2における右側)から見て、ケース2の開口端面22の外形とほぼ同じ平面形状を有している。言い換えれば、カバー3は、図1に示される、機械室R1及び電気室R2を囲む開口端面22の外周縁の形状とほぼ同じ外形の平面形状を有している。また、カバー3と第一軸A1との交点には、ボス部35が設けられ、このボス部35の内周に、第一回転電機MG1のロータRo1の回転軸11を軸支する軸受15が固定されている。また、カバー3は、開口端面22に設けられたボルト穴22aに対応する位置に、被締結部としての複数のボルト挿通孔3aを有している。そして、このボルト挿通孔3aに挿通された締結部材としてのボルト31がボルト穴22aに締結されることにより、カバー3がケース2に固定される。この際、ケース2の開口端面22とカバー3の当接面32との間には、例えば液体ガスケット等が配置され、密封構造とされる。
【0044】
また、ケース2の電気室R2は、下方に開口する第二開口部R2bを有している。この第二開口部R2bは、ケース2の外周壁25に設けられている。第二開口部R2bは、電気室R2(第二電気室R22)における第一回転電機MG1の下方に配置される制御装置4のケース2への組み付け、及び保守点検等を容易にするための開口部である。したがって、第二開口部R2bは、ケース2の下方から見た平面形状が、制御装置4の下方から見た平面形状よりも広く形成されている。これにより、制御装置4を第二開口部R2bから電気室R2内に収容し、ケース2に固定することができる。制御装置4は、下方からケース2に固定される。具体的には、図2に示すように、ケース2の隔壁21の下面には、締結部としての複数のボルト穴21aが設けられており、制御装置4には、被締結部としての複数のボルト挿通孔(図示を省略)が設けられている。そして、制御装置4のボルト挿通孔に挿通された締結部材としてのボルト41がボルト穴21aに締結されることにより、制御装置4がケース2における隔壁21の下面に固定される。このようにすることにより、第一回転電機MG1の下方に配置される制御装置4を、電気室R2に容易に組み付けることができ、製造時の作業性を良くすることができる。また、駆動装置1を車両に搭載した状態でも、車両の下方から第二開口部R2bを介して制御装置4に容易にアクセスすることができる。したがって、制御装置4の保守点検等の際における作業性も良くすることができる。
【0045】
この第二開口部R2bは第二カバー9により覆われている。第二カバー9は、第二開口部R2bの全体を覆うように、ケース2の外周壁25に取り付けられる。第二カバー9は、ケース2の外周壁25に設けられたボルト穴に、第二カバー9を挿通したボルト91が締結することによりケース2に固定される。第二カバー9は、放熱フィン92を備えている。この放熱フィン92は、制御装置4が発生させた熱を外部に放出するためのものである。
【0046】
3.接続部材の構成
図1〜図3に示すように、ケース2の電気室R2内には、制御装置4及びコンデンサ17の他に、接続部材5が配置される。本実施形態においては、接続部材5は、隔壁21を貫通する部分に設けられた接続端子6と、電気室R2内に配置されて制御装置4と接続端子6とを電気的に接続する接続配線としてのバスバー7とを有して構成されている。ここで、接続端子6は、機械室R1と電気室R2との間での電気的接続を行う機能を果たすものであり、一端側が電気室R2(第一電気室R21)内に位置し、他端側が機械室R1内に位置するように、隔壁21を貫通して配置されている。ここで、接続端子6は、第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2のそれぞれに対応して複数本ずつ、具体的には、後述するように第一回転電機MG1に接続される3本と第二回転電機MG2に接続される3本の合計6本が設けられる。一方、バスバー7は、接続端子6と制御装置4との間での電気的接続を行う機能を果たすものであり、全体が電気室R2内に配置され、主に第一電気室R21内に配置されている。
【0047】
接続端子6は、第一回転電機MG1の軸方向と略平行な方向に隔壁21を貫通するとともに、機械室R1に対して第一回転電機MG1の軸方向に重複する位置に配置されている。そのため、図2及び接続端子6の周辺の拡大図である図4に示すように、接続端子6は、隔壁21における、機械室R1と電気室R2とを第一回転電機MG1の軸方向に区画する部分、すなわち第一回転電機MG1の径方向に伸びる壁部分を貫通するように設けられている。この接続端子6は、導電性部材により構成された棒状の端子本体61と、この端子本体61の外周を覆うように設けられた絶縁部材62とを有して構成されている。端子本体61は、ここでは、両端部が太く、中央部が細い段付き円柱状に形成されている。そして、端子本体61の電気室R2側には、バスバー7を固定するための第一バスバー固定部61aが設けられている。より詳しくは、第一バスバー固定部61aは、端子本体61における開口部R2a側(第一回転電機MG1の軸方向一端側、図2及び図4における右側)の端部に設けられている。ここでは、第一バスバー固定部61aは、バスバー7を固定する締結部材としてのボルト71が締結される締結部としてのボルト穴と、当該ボルト穴の周囲にあってバスバー7が当接する座面とを有して構成されている。本実施形態においては、この第一バスバー固定部61aが、本発明における配線固定部に相当する。
【0048】
また、端子本体61の機械室R1側には、接続端子6と第一回転電機MG1又は第二回転電機MG2の各相のコイルとを電気的に接続する接続配線としてのバスバー52を固定するための第二バスバー固定部61bが設けられている。より詳しくは、第二バスバー固定部61bは、端子本体61におけるケース2の軸方向他端側端面23側(第一回転電機MG1の軸方向他端側、図2及び図4における左側)の端部に設けられている。ここでは、第二バスバー固定部61bは、バスバー52を固定する締結部材としてのボルト53が締結される締結部としてのボルト穴と、当該ボルト穴の周囲にあってバスバー52が当接する座面とを有して構成されている。なお、図2及び図4には、接続端子6と第一回転電機MG1のコイルとを接続するバスバー52のみを示しているが、接続端子6と第二回転電機MG2とを接続するバスバー52も同様の構成とされている。
【0049】
絶縁部材62は、端子本体61における少なくとも隔壁21を貫通する部分の外周に設けられ、ここでは、端子本体61の外周全体を覆うように設けられている。そのため、絶縁部材62は、段付き円柱状の端子本体61に外嵌される円筒状に形成されている。この絶縁部材62は、電気的絶縁性の高い材質により構成される。そして、この絶縁部材62と隔壁21との間に、シール部材としてのOリング51が配置されている。より詳しくは、絶縁部材62の外周面における隔壁21の内周面と接する部分に、円周状の溝が形成されており、この溝に沿ってOリング51が嵌めこまれている。そして、このOリング51が、絶縁部材62の外周面と隔壁21の内周面との間で弾性変形することにより、接続端子6(絶縁部材62)と隔壁21との間が液密状態となるように密封する。これにより、接続部材5を構成する接続端子6が、液密状態で隔壁21を貫通するように設けられる。
【0050】
制御装置4は、第一回転電機MG1のU相、V相、及びW相の3相、及び第二回転電機MG2のU相、V相、及びW相の3相のそれぞれのコイルに接続される6個の端子42(図1参照)を備えている。制御装置4の各端子42は、バスバー7及び接続端子6を介して各回転電機MG1、MG2の各相のコイルに接続され、各回転電機MG1、MG2に交流電力を供給し、或いは各回転電機MG1、MG2が発電した電力の供給を受ける。本実施形態においては、図1及び図3から明らかなように、制御装置4の6個の端子42は、第一回転電機MG1の接線方向に沿って一列に配列されている。
【0051】
同様に、本実施形態においては、接続端子6は、図1及び図3に示すように、第一回転電機MG1のU相、V相、及びW相の3相、及び第二回転電機MG2のU相、V相、及びW相の3相のそれぞれに対応して6本設けられている。これらの内、第一回転電機MG1の各相に対応する3本の接続端子6は、第一回転電機MG1に対して上方に第一回転電機MG1の外周の接線方向に並べて配列され、第二回転電機MG2の各相に対応する3本の接続端子6は、第二回転電機MG2に対して第一回転電機MG1側の上方(図1における左上方)に第二回転電機MG2の外周の接線方向に並べて配列されている。いずれにしても、これらの接続端子6は、第一回転電機MG1の周方向に制御装置4とは異なる位置に配置されている。具体的には、制御装置4は、上記の通り第一回転電機MG1の下方に配置されている。これに対して、6本の接続端子6は、いずれも第一回転電機MG1よりも上方に配置されている。本例では、オイルの液面OLは、図1に示すように、ディファレンシャル装置DFの軸である第三軸A3よりもやや上方の位置であって、第一回転電機MG1の軸である第一軸A1よりも下方の位置に設定されている。したがって、接続端子6は、いずれも機械室R1内に貯留されているオイルの液面OLより上方に配置されることになる。接続端子6をこのように配置したことにより、接続端子6が、機械室R1内においてオイルに浸ることが抑制される。したがって、接続端子6及びこの接続端子6と第一回転電機MG1又は第二回転電機MG2の各相のコイルとを電気的に接続するバスバー52等の接続部材の絶縁性の確保を容易にすることができる。
【0052】
バスバー7は、制御装置4と接続端子6とを結ぶように、第一回転電機MG1の外周に沿って配置されている。すなわち、上記の通り、制御装置4は第一回転電機MG1の下方に配置され、接続端子6は第一回転電機MG1よりも上方に配置されている。そこで、図1及び図3に示すように、本実施形態においては、バスバー7は、開口部R2a側(図1に示す側)から見て略C字状となるように、第一回転電機MG1の側方を回り込んで第一回転電機MG1の上方に位置する各接続端子6から下方に位置する制御装置4の端子42までを結ぶように、第一回転電機MG1の周方向に沿って配置されている。この際、バスバー7は、第一回転電機MG1における、ディファレンシャル装置DFに隣接する側とは反対側の側方を通るように配置されている。上述したケース2の第一電気室R21は、このようなバスバー7の配置に合わせた形状を有するように形成されており、バスバー7はこの第一電気室R21内に配置される。このように、第一電気室R21内に配置されるバスバー7は、接続端子6と同様に、機械室R1に対して第一回転電機MG1の軸方向に重複する位置に配置されている。
【0053】
また、本実施形態においては、制御装置4の6個の端子42と6本の接続端子6とをそれぞれ接続すべく、バスバー7は6本設けられている。ここでは、図2によく示されているように、第一回転電機MG1の各相のコイルに接続される3本のバスバー7と、第一回転電機MG1の各相のコイルに接続される3本のバスバー7とが、それぞれバスバー結束部材73により束ねられた状態で配置されている。ここで、バスバー結束部材73は、3本のバスバー7を所定間隔で配列させるとともに、各バスバー7間の絶縁を行う部材である。したがって、このバスバー結束部材73は、絶縁性の高い材質により形成される。図示の例では、第一回転電機MG1に接続される3本のバスバー7が、第二回転電機MG2に接続される3本のバスバー7に対して、第一回転電機MG1の軸方向一端側(電気室R2の開口部R2a側、図2における右側)に配置されている。各バスバー7は、接続端子6との接続部近傍において断面L字状に折り曲げられている。そして、各バスバー7のケース2の開口端面22に略平行な部分が、接続端子6の第一バスバー固定部61aに固定され、第一回転電機MG1の軸方向に略平行な部分が、第一電気室R21内において第一回転電機MG1の外周に沿って配置されている。ここで、バスバー7と接続端子6とは、ボルト71により締結固定され、物理的にも電気的にも接続されている。また、各バスバー7は、制御装置4の端子42との接続部近傍において断面U字状に折り曲げられている。そして、各バスバー7における、第一回転電機MG1の外周に沿って配置されている部分よりも下方にあって第一回転電機MG1の軸方向に略平行な部分が、第一回転電機MG1の軸方向他端側(連結部24側、図2における右側)に第二電気室R22内まで延出され、その先端部が制御装置4の端子42に固定されている。ここで、バスバー7と制御装置4の端子42とは、ボルト72により締結固定され、物理的にも電気的にも接続されている。
【0054】
4.その他の実施形態
(1)上記の実施形態においては、機械室R1の開口部R1a及び電気室R2の開口部R2aが、同一面上に位置する共通の開口端面22を有し、当該開口端面22に当接するように取り付けられた共通のカバー3により覆われている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、機械室R1の開口部R1aの開口端面と電気室R2の開口部R2aの開口端面とが、異なる面上に位置する構成とされ、それぞれの開口部R1a、R2aの開口端面が、互いに異なるカバーにより覆われる構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。このような構成とした場合には、ケースの開口端面とカバーとの間の密封を2つの開口部についてそれぞれ行う必要があるが、機械室R1と電気室R2の配置形状の自由度を高く確保することが可能となる利点がある。
【0055】
(2)上記の実施形態においては、接続端子6が第一回転電機MG1の軸方向と略平行な方向に隔壁21を貫通する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、接続端子6が第一回転電機MG1の径方向に隔壁21を貫通するように配置することも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0056】
(3)上記の実施形態においては、接続配線としてバスバー7を用い、接続部材5が、このバスバー7と接続端子6とを有して構成される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、接続配線としてケーブルを用いても好適であり、更には、接続端子6を用いずに、ケーブルにより回転電機MG1、MG2と制御装置4とを接続する構成としても好適である。この場合においても、ケーブルが隔壁21を貫通する部分にはシール部材を設け、液密状態を確保する必要がある。
【0057】
(4)上記の実施形態において説明した機械室R1と電気室R2との位置関係は、一例に過ぎず、これ以外の位置関係を採用することも可能である。したがって、例えば、制御装置4の配置を第一回転電機MG1の側方や上方に変更し、当該制御装置4と接続端子6とを接続するようにバスバー7を配置する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、駆動装置1が第一回転電機MG1の側方にやや大きくなるが、バスバー7及び第一電気室R21を、第一回転電機MG1の下方まで回り込ませるように配置する必要がなくなり、バスバー7の長さを短くすとともに、第一電気室R21も小さくすることが可能となる。
【0058】
(5)上記の実施形態においては、駆動装置1が出力機構としてのディファレンシャル装置DFをケース2内に備える場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。したがって、例えば、ディファレンシャル装置DF以外のギヤ機構、伝動軸、伝動ベルト、チェーン等の駆動伝動機構を出力機構として備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0059】
(6)上記の実施形態においては、駆動装置1が第一回転電機MG1及び第二回転電機MG2の2つの回転電機を備える場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、回転電機を1つだけ備え、或いは回転電機を3つ以上備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【0060】
(7)上記の実施形態においては、駆動装置1がエンジンEに連結されるハイブリッド車両用の装置である場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、車両の動力源として回転電機のみを備える電動車両等の駆動装置とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、モータやジェネレータ等の回転電機を備えた駆動装置であって、例えばハイブリッド車両や電動車両等の各種車両に好適に用いられる駆動装置に好適に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る駆動装置のカバーを外した状態の正面図
【図2】カバーを取り付けた状態での図1のII−II断面図
【図3】駆動装置の内部構成の配置を概略的に示す模式図
【図4】図2の要部拡大図
【図5】車両内での駆動装置の配置を概略的に示す模式図
【符号の説明】
【0063】
1:駆動装置
2:ケース
3:カバー
4:制御装置
5:接続部材
6:接続端子
7:バスバー(接続配線)
9:第二カバー
21:隔壁
22:開口端面
24:連結部
51:Oリング(シール部材)
61:端子本体
61a:第一バスバー固定部(配線固定部)
62:絶縁部材
R1:機械室
R1a:機械室の開口部
R2:電気室
R2a:電気室の開口部
R2b:電気室の第二開口部
R21:第一電気室
R22:第二電気室
MG1:第一回転電機(回転電機)
DF:ディファレンシャル装置(出力機構)
DFo:出力軸(出力機構の出力軸)
E:エンジン
C:車両
OL:オイルの液面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機と、
前記回転電機の制御を行う制御装置と、
前記回転電機及び前記制御装置を収容するケースと、
を備えた駆動装置であって、
前記ケースは、前記回転電機が収容される機械室と、前記制御装置が収容される電気室とを備え、
前記機械室と前記電気室とは、隔壁により互いに区画されているとともに、前記回転電機と前記制御装置とを電気的に接続する接続部材が液密状態で前記隔壁を貫通するように設けられ、
前記機械室と前記電気室とは、前記回転電機の軸方向一端側にそれぞれ開口部を有し、これら2つの開口部を互いに区画する状態で覆うカバーが取り付けられた駆動装置。
【請求項2】
前記2つの開口部は同一面上に位置する共通の開口端面を有し、
前記2つの開口部は、前記開口端面に当接するように取り付けられた共通の前記カバーにより覆われている請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記機械室と前記電気室とは、前記回転電機の径方向に区画され、
前記電気室は、前記機械室に対して前記回転電機の径方向外側に配置されている請求項1又は2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記接続部材は、前記回転電機の軸方向と略平行な方向に前記隔壁を貫通するとともに、前記機械室に対して前記回転電機の軸方向に重複する位置に配置されている請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記接続部材は、前記隔壁を貫通する部分に設けられた接続端子と、前記電気室内に配置されて前記制御装置と前記接続端子とを電気的に接続する接続配線とを含み、
前記接続端子の前記開口部側の端部には、前記接続配線を固定するための配線固定部が設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記制御装置と前記接続端子とが、前記回転電機の周方向に異なる位置に配置され、
前記接続配線は、前記制御装置と前記接続端子とを結ぶように、前記回転電機の外周に沿って配置されている請求項5に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記接続端子は、前記機械室内に貯留されているオイルの液面より上方に配置されている請求項5又は6に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記接続端子は、少なくとも前記隔壁を貫通する部分の外周に絶縁部材を有し、当該絶縁部材と前記隔壁との間にシール部材が配置されている請求項5から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
前記回転電機の回転を前記ケースの外部に出力する出力機構を更に備え、
前記出力機構は、前記回転電機に隣接して配置されているとともに、その出力軸が前記回転電機の軸より下方に配置され、
前記制御装置は、前記回転電機の下方であって、前記出力機構と上下方向に重複する位置に配置されている請求項1から8のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項10】
前記電気室は、下方に開口する第二開口部を有し、この第二開口部は第二カバーにより覆われている請求項9に記載の駆動装置。
【請求項11】
前記回転電機を第一回転電機とし、
前記第一回転電機に隣接して前記機械室内に配置される第二回転電機を更に備え、
前記第一回転電機と前記第二回転電機とは、軸方向に重複する位置に配置されている請求項1から10のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項12】
前記ケースは、エンジンに連結される連結部を前記回転電機の軸方向他端側に有し、
前記連結部は、車両に横置きされるエンジンの軸方向に連結される請求項1から11のいずれか一項に記載の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−254144(P2009−254144A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99379(P2008−99379)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】