説明

高い初期強度を有する2成分形ポリウレタン組成物

本発明は、それ自体だけでも空気中の水分との反応によって硬化する第1成分A、および水および酸を含む第2成分Bからなる、高い初期強度を有する2成分形ポリウレタン組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い初期強度を有し、弾性接着剤、シーリング材またはコーティングとして適した2成分形ポリウレタン組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタン組成物は、種々の接着剤、シーリングおよびコーティングとして用いられる。この組成物は、接着接合部の弾性が要求される接着剤またはシーリング材に特に適している。特定の接着剤用途では、例えば、接着された部品を移動させる、または一部の固着を取り除くなどの理由のために、接着剤を適用したまさに短時間後に、機械的負荷に曝されることが必要となる。このような接着接合への早期の負荷を可能にするためには、接着剤が非常に高い「初期強度」を有すること、言い換えれば、接着剤が部分的にしか硬化されていない時点である程度まで負荷可能であることが要求される。実際の接着剤の初期強度への要求は、非常にさまざまであり、より特に、特定の製造の操作、接着された部品の重量、および機械的負荷の性質によって決まる。
【0003】
従来の2成分形ポリウレタン組成物をベースとする弾性接着剤は、特に、イソシアネート基を含む成分が、一級または二級アミノ基を含む第2成分と組み合わせて使用する場合に、比較的急速に高い初期強度を達成することができる。しかし、このような2成分形ポリウレタン組成物は、取り扱いが複雑である。2成分の間の規定された混合比に正確に従わなければならない。なぜなら、さもなければ、この接着剤は所望の通りに硬化せず、この結果、不完全な接着接合がもたらされて、必要な強度を達成しないからである。さらに、2成分の混合は、アミノ基とイソシアネート基との非常に高い反応性のために非常に迅速で効率的でなければならず、かつ、操作の中断は許されない。さもなければミキサーが詰まるからである。
【0004】
より取り扱いのは、1成分形ポリウレタン組成物である。これらは、末端イソシアネート基を有するポリウレタンポリマーを含み、イソシアネート基は、空気中の水分の形態の水と接触すると反応して架橋される。硬化は空気中の水分との接触によって起こるので、これらの接着剤は、外側から内部に硬化し、硬化に必要とされる水は、硬化された材料の次第により厚くなる層中を通って拡散してこなければならないために、硬化速度は内部に向かって低下する。比較的硬化が遅いために、このような1成分形ポリウレタン組成物で達成可能な初期強度は満足できるものではない。
【0005】
1成分形ポリウレタン組成物における、水の利用能が劣り、したがって硬化が遅い問題を解決するために、例えば、欧州特許第0678544B1号明細書に記載のように、水を、水和した第2成分の形態で、1成分形ポリウレタン組成物中に混合する系が開発された。これらの系は、より迅速に硬化するが、これらは、硬化する過程で気泡を発生する傾向にあり、この気泡が接着接合の強度および接着性に悪影響を及ぼすという欠点を有する。
【0006】
さらに、イソシアネート含有ポリウレタン組成物に対して水分で活性化可能な架橋剤としての機能を果たす、「潜在性硬化剤」または「潜在性ポリアミン」を、例えば、ポリアルジミンの形態で含む、1成分形ポリウレタン組成物が存在する。イソシアネート含有系に潜在性硬化剤を使用すると、硬化ポリマー中の望ましくないガス気泡の生成を回避することができるという利点を有する。なぜなら、潜在性硬化剤を介する硬化反応は、イソシアネートと水分との直接反応とは対照的に、二酸化炭素(CO2)の放出を伴わないからである。さらに、潜在性硬化剤は、硬化速度を増加し得る。
【0007】
硬化速度および初期強度を増加するために、1成分形ポリウレタン組成物中に、さらに、潜在性硬化剤の加水分解、またはイソシアネート基と水との間の反応を、促進する触媒を用いることが可能である。しかし、触媒を用いると、貯蔵中に反応性基の間、より特にイソシアネート基の間の望ましくない反応のきっかけが増大することによって、イソシアネート含有組成物の貯蔵安定性が低下する場合があるという欠点を有する。これは、特に、高い初期強度を得るために必要とされる急速な硬化を達成するために、大量の触媒が使用される場合に起こる。
【0008】
国際出願第03/059978A1号には、気泡を形成することなく硬化する、高い初期強度の2成分形ポリウレタン組成物が記載されている。第1成分は、アルジミンを含むポリウレタン組成物からなり、この組成物は、それ自体だけでも、即ち第2成分なしで、空気中の湿気で硬化することができる。第2成分は、担体材料に結合している水を含む。これらの組成物は、気泡を生成することなく硬化し、2成分の混合比を必ずしも正確に順守する必要がないという利点を有する。上述した通り、イソシアネート含有第1成分の触媒の使用可能性は、貯蔵安定性を根拠として制限されており、それゆえこのような組成物の硬化速度は、依然として制限されたままである。非常に早期の時点で高い初期強度が必要な用途のためには、これらのポリウレタン組成物は不適当である。
【特許文献1】EP0678544B1
【特許文献2】WO03/059978A1
【特許文献3】EP0749530B1
【非特許文献1】Houben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」、VIII巻、516〜528頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、弾性接着剤またはシーリング材として適した2成分形ポリウレタン組成物であって、気泡を伴わないで急速に硬化し、それによって、非常に高い初期強度を有する接着接合を可能にする組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、a)(i)イソシアネート基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーPおよび(ii)少なくとも1種の潜在性ポリアミンLAを含む第1成分A;ならびにb)(i)少なくとも1種の酸Kおよび(ii)水を含む第2成分Bからなる2成分形組成物によって達成される。成分Aは、それ自体だけでも空気中の水分で硬化する。
【0011】
このような2成分形組成物は、非常に高い初期強度を迅速に達成し、その適用が既存の系よりフレキシブルである、実用的な弾性接着剤またはシーリング材をもたらす。
【0012】
成分B中に存在する酸は、成分A中に含まれている潜在性ポリアミンLAの加水分解およびその遊離を触媒し、それによって、硬化の急速な促進をもたらし、したがって、非常に早期の時点で高い強度を示す接着接合を可能にする。この系では、同じ貯蔵安定性を有する成分Aを用いて、所望の硬化速度が得られるように成分Bの割合を調整することによって、あるいは所望の硬化速度に適合された酸Kの含有量を有する成分Bを用いることによって、硬化速度、より特に初期強度に関する厳しく異なる要求を満たすことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、
a)(i)イソシアネート基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーP、および(ii)少なくとも1種の潜在性ポリアミンLAを含む、それ自体だけでも水分で硬化する第1成分A、
ならびに
b)(i)少なくとも1種の酸Kおよび(ii)水を含む第2成分B
からなる2成分形組成物を提供する。
【0014】
本明細書において、ポリアルジミン、ポリアミン、ポリイソシアネート、またはポリオールなどの、「ポリ」で始まる物質名は、1分子当たり2つ以上の、その名称に現れる官能基を形式的に含む物質を指す。
【0015】
本明細書において、「ポリマー」という用語は、一方では、化学的に均一であるが、重合度、分子質量、および鎖長に関して異なり、重合反応(付加重合、重付加、または重縮合)によって調製された高分子の集合体を包含する。他方では、この用語は、重合反応からの高分子のこのような集合体の誘導体、言い換えれば、例えば、既存の高分子上の官能基の付加または置換などの反応によって得られ、化学的に均一であっても、化学的に不均一であってもよい化合物も包含する。この用語は、プレポリマーと呼ばれるもの、言い換えれば、その官能基が高分子の合成に関与する反応性オリゴマープレアダクトをさらに包含する。
【0016】
「ポリウレタンポリマー」という用語は、ジイソシアネート重付加法として知られている方法によって調製されるすべてのポリマーを包含する。これには、実質的にまたは完全にウレタン基を含まないポリマーも含まれる。ポリウレタンポリマーの例には、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレア、ポリウレア、ポリエステル-ポリウレア、ポリイソシアヌレート、およびポリカルボジイミドがある。
【0017】
本明細書では、「潜在性硬化剤」または「潜在性ポリアミン」という用語は、遊離のアミノ基を含まず、代わりに排他的にブロックされたアミノ基を含み、これによって少なくとも一定期間は、イソシアネートとの直接の反応は少しも開始しない、脂肪族一級および/または二級アミノ基を有するポリアミンの誘導体を区別なく指す。水との接触によって、潜在性ポリアミンのブロックされたアミノ基は、完全なまたは部分的な加水分解を受け、その後直ちに、このポリアミンはイソシアネートとの反応を開始する。イソシアネート基を含むポリウレタンポリマーの場合、この反応は架橋を引き起こす。
【0018】
「脂肪族アミノ基」とは、脂肪族基、脂環式基、またはアリール脂肪族基に結合しているアミノ基である。したがって、これは、例えば、アニリンまたは2-アミノピリジンにおけるように、芳香族またはヘテロ芳香族基に直接結合している「芳香族アミノ基」とは異なる。
【0019】
本明細書では、「第一級アミノ基」という用語は、有機基に結合しているNH2基を示し、一方、「二級アミノ基」という用語は、一緒に環の一部を形成していてもよい2つの有機基に結合しているNH基を示す。
【0020】
本2成分形組成物は、それ自体だけでも水分と硬化する第1成分A、および第2成分Bからなる。
【0021】
成分Aは、イソシアネート基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーPを含む。
【0022】
適したポリウレタンポリマーPは、例えば、少なくとも1種のポリイソシアネートと少なくとも1種のポリオールとの反応によって得られる。この反応は、ポリオールとポリイソシアネートとが、典型的な技術、例えば、50℃〜100℃の温度で反応することにより起こり、適切な場合には適した触媒を併用し、ポリイソシアネートを、そのイソシアネート基がポリオールのヒドロキシル基に対して化学量論的過剰で存在するように計量することによって実施することができる。有利には、1.2〜5のNCO/OH比、より特に1.5〜3のNCO/OH比に従うように、ポリイソシアネートを計量する。本明細書では、NCO/OH比とは、用いるヒドロキシル基の数に対する用いるイソシアネート基の数の比を意味する。好ましくは、ポリオールのすべてのヒドロキシル基が反応した後、ポリウレタンポリマーP全体に対して、遊離のイソシアネート基が0.5重量%〜5重量%の含有量で残存する。
【0023】
適切な場合には、ポリウレタンポリマーPは、可塑剤の使用を伴って調製することができる。使用するこの可塑剤は、イソシアネートと反応性である基を全く含まない。
【0024】
ポリウレタンポリマーPの調製に用いることができるポリオールの例には、以下の商業的に通例のポリオールまたはその混合物がある:
【0025】
− ポリオキシアルキレンポリオール。ポリエーテルポリオールまたはオリゴエーテルオールとも呼ばれ、これらは、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-もしくは2,3-ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、またはこれらの混合物の重合生成物である。これらは、水、アンモニアあるいは、2つ以上のOH基またはNH基を有する化合物(例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、異性体のジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコール、異性体のブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、水素化ビスフェノールA、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、アニリン、ならびにまた前述の化合物の混合物など)などの2個以上の活性水素原子を有する開始剤分子を用いて重合され得る。不飽和度(ASTM D-2849-69に従って測定され、ポリオール1g当たりの不飽和のミリ等量(ミリ当量/g)で報告されたもの)が低いポリオキシアルキレンポリオール〔例えば、二重金属シアニド錯体触媒(DMC触媒)として知られているものを用いて調製されるもの〕、および、不飽和度が高いポリオキシアルキレンポリオール〔例えば、NaOH、KOH、CsOH、またはアルカリ金属アルコキシドなどのアニオン性触媒を用いて調製されるもの〕の双方を使用することができる。
【0026】
ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、より特にポリオキシプロピレンジオールまたはポリオキシプロピレントリオールが特に適している。
【0027】
0.02ミリ当量/g未満の不飽和度を有し、1000〜30000 g/モルの範囲の分子量を有するポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオール、ならびに、400〜8000 g/モルの分子量を有するポリオキシプロピレンジオールおよび-トリオールは、特に適している。
【0028】
同様に、エチレンオキシド末端化(「EOでエンドキャップされた」、エチレンオキシドでエンドキャップされた)ポリオキシプロピレンポリオールとして知られているものが特に適している。後者は、特定のポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン-ポリオールであり、例えば、純粋なポリオキシプロピレンポリオール、より特にポリオキシプロピレンジオールおよび-トリオールを、ポリプロポキシ化反応の終点後に、エチレンオキシドでさらにアルコキシ化させることによって得られ、この結果、一級ヒドロキシル基を含んでいる。
【0029】
− スチレン-アクリロニトリル-またはアクリロニトリル-メチルメタクリレート-グラフト化ポリエーテルポリオール。
【0030】
− ポリエステルポリオール。オリゴエステルオールとも呼ばれ、例えば、二価から三価アルコール(例えば、1,2-エタンジオール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパンまたは前述のアルコールの混合物など)と、有機ジカルボン酸またはその無水物またはエステル(例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびヘキサヒドロフタル酸または前述の酸の混合物など)とから調製される。ラクトン(例えばε-カプロラクトンなど)から形成されるポリエステルポリオールも挙げることができる。
【0031】
− ポリカーボネートポリオール。例えば、上記アルコール(ポリエステルポリオールを合成するために使用されたもの)と、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはホスゲンとを反応させることによって得られる種類のもの。
【0032】
− ポリアクリレートポリオールおよびポリメタクリレートポリオール。
【0033】
− ポリヒドロカーボン-ポリオール。オリゴヒドロカーボンオールとも呼ばれる。例えば、ポリヒドロキシ官能性のエチレン-プロピレンコポリマー、エチレン-ブチレンコポリマー、もしくはエチレン-プロピレン-ジエンコポリマー(例えば、Kraton Polymers社によって調製される種類のもの)、またはジエン(例えば、1,3-ブタンジエンまたはジエン混合物など)とビニルモノマー(例えば、スチレン、アクリロニトリルまたはイソブチレンなど)とのポリヒドロキシ官能性コポリマー、またはポリヒドロキシ官能性ポリブタジエンポリオール(例えば、1,3-ブタジエンとアリルアルコールとの共重合によって調製され、水素化されていてもよいものなど)など。
【0034】
− ポリヒドロキシル官能性アクリロニトリル/ポリブタジエンコポリマーであって、例えば、エポキシドまたはアミノアルコールと、カルボキシル末端化されたアクリロニトリル/ポリブタジエンコポリマー(Noveon社から商品名Hycar(登録商標)CTBNとして市販されている)とから調製可能な種類のもの。
【0035】
上述したポリオールは、好ましくは、250〜30000 g/モル、より特に1000〜30000 g/モルの平均分子量を有し、好ましくは、1.6〜3個の範囲の平均OH官能基を有する。
【0036】
上述したポリオールに加えて、少量の低分子質量二価または多価アルコール、例えば、1,2-エタンジオール、1,2-および1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールの異性体類、ブタンジオールの異性体類、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、ウンデカンジオール、1,3-および1,4-シクロヘキサンジメタノール、水素化ビスフェノールA、二量体脂肪アルコール、1,1,1-トリメチロールエタン、1,1,1-トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、糖アルコール、(例えば、キシリトール、ソルビトールまたはマンニトールなど)、糖(例えば、ショ糖など)、他の多価アルコール、前述の二価および多価アルコール類の低分子質量アルコキシ化生成物、ならびに、前述のアルコール類の混合物などを、ポリウレタンポリマーPの調製に使用することが可能である。
【0037】
イソシアネート基を含むポリウレタンポリマーPを調製するためのポリイソシアネートとして、商業的に通例の脂肪族、脂環式、または芳香族ポリイソシアネート、より特にジイソシアネートを使用することが可能であり、例には以下のものがある:
1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2-メチルペンタメチレン1,5-ジイソシアネート、2,2,4-および2,4,4-トリメチル1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、リシンジイソシアネートおよびリシンエステルジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-および1,4-ジイソシアネートおよびその異性体の任意の所望の混合物、1-イソシアナト-3,3,5-トリメチル-5-イソシアナトメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジイソシアネートすなわち(IPDI)、ペルヒドロ-2,4'-および-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート(HMDI)、1,4-ジイソシアナト-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDI)、1,3-および1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m-およびp-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-XDI)、m-およびp-テトラメチル-1,3-および-1,4-キシリレンジイソシアネート(m-およびp-TMXDI)、ビス(1-イソシアナト-1-メチルエチル)ナフタレン、2,4-および2,6-トリレンジイソシアネートおよびその異性体の任意の所望の混合物(TDI)、4,4'-、2,4'-、および2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートおよびその異性体の任意の所望の混合物(MDI)、1,3-および1,4-フェニレンジイソシアネート、2,3,5,6-テトラメチル-1,4-ジイソシアナトベンゼン、ナフタレン1,5-ジイソシアネート(NDI)、3、3'-ジメチル-4,4'-ジイソシアナトビフェニル(TODI)、前述のイソシアネートのオリゴマーおよびポリマー、ならびに、前述のイソシアネートの任意の所望の混合物。MDI、TDI、HDI、およびIPDIが好ましい。
【0038】
典型的には、ポリウレタンポリマーPは、2成分形組成物全体に対して10重量%〜80重量%の量で、好ましくは15重量%〜50重量%の量で存在する。
【0039】
2成分形組成物の成分Aは、ポリウレタンポリマーPに加えて、少なくとも1種の潜在性ポリアミンLAを含む。
【0040】
適した潜在性ポリアミンLAの例は、ポリオキサゾリジン、ポリエナミン、ポリケチミン、およびポリアルジミンである。これらの潜在性ポリアミンLA中で、オキサゾリジノ基、エナミノ基、ケチミノ基、およびアルジミノ基は、ブロックアミノ基を表す。
【0041】
ポリオキサゾリジンは、2つ以上の式(VI)のオキサゾリジノ基を含む化合物である。
【0042】
【化1】

【0043】
[式中、G1は、炭化水素基を表し、G2は、水素原子または炭化水素基を表す]
【0044】
オキサゾリジノ基は、加水分解を受けて、2-ヒドロキシエチルアミノ基を形成する性質を有し、その過程でケトンまたはアルデヒドが脱離する。
【0045】
潜在性ポリアミンLAとして適したポリオキサゾリジンは、例えば、式(VII)のN-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジンと、例えば、ポリイソシアネートとの反応によって得られる。
【0046】
【化2】

【0047】
式(VII)において、G1およびG2は、式(VI)について上述した定義を有する。式(VII)のN-(2-ヒドロキシエチル)オキサゾリジンは、例えば、ジエタノールアミンと、ケトンまたはアルデヒドとの脱水を伴う反応によって得られる。
【0048】
市販されているポリオキサゾリジンの一例は、硬化剤Harter OZ(Bayer社から)がある。
【0049】
潜在性ポリアミンLAとして適したポリエナミンは、例えば、少なくとも2個の二級アミノ基を含むポリアミンと、カルボニル基に対してα位に位置する少なくとも1つのC-H部分を有する脂肪族もしくは脂環式のアルデヒドもしくはケトンとの、脱水を伴う反応によって得られる。
【0050】
この反応に適しており、少なくとも2個の二級アミノ基を有するポリアミンの例としては、ピペラジン、4,4'-ジピペリジルプロパン、N,N'-ジメチルヘキサメチレンジアミン、およびそのメチル基の代わりに高級アルキルまたはシクロアルキル基を有する同族体、およびさらに、2つの二級アミノ基を有する、例えば2成分形ポリウレタンに用いられる種類のポリアミンが挙げられる。
【0051】
カルボニル基に対してα位に位置する少なくとも1つのC-H部分を有する適したアルデヒドの例には、プロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、およびジフェニルアセトアルデヒドが含まれる。
【0052】
適したケトンは、より特に環状ケトンであり、例として、シクロペンタノン、およびシクロヘキサノン、ならびにその誘導体がある。
【0053】
さらに、潜在性ポリアミンLAとして適したものは、ポリケチミンおよびポリアルジミンである。適したポリケチミンまたはポリアルジミンは、第1の実施態様では、脂肪族第一級アミノ基を有するポリアミンPAと、ケトンまたはアルデヒドとの、既知の方法による、脱水を伴う反応によって得られる。
【0054】
脂肪族第一級アミノ基を有する適したポリアミンPAの例は、以下の通りである:
脂肪族ポリアミン〔例えば、エチレンジアミン、1,2-および1,3-プロパンジアミン、2-メチル-1,2-プロパンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン、1,3-および1,4-ブタンジアミン、1,3-および1,5-ペンタンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、2,2,4-および2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミンおよびこれらの混合物、1,7-ヘプタンジアミン、1,8-オクタンジアミン、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,9-ノナンジアミン、1,10-デカンジアミン、1,11-ウンデカンジアミン、1,12-ドデカンジアミン、メチルビス(3-アミノプロピル)アミン、1,5-ジアミノ-2-メチルペンタン(MPMD)、1,3-ジアミノペンタン(DAMP)、2,5-ジメチル-1,6-ヘキサメチレンジアミンなど〕、脂環式ポリアミン〔例えば、1,3-および1,4-ジアミノシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-エチルシクロ-ヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルシクロヘキシル)-メタン、1-アミノ-3-アミノメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン(すなわち、イソホロンジアミンすなわちIPDA)、2-および4-メチル-1,3-ジアミノシクロヘキサンおよびこれらの混合物、1,3-および1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1-シクロヘキシル-アミノ-3-アミノプロパン、2,5(2,6)-ビス(アミノメチル)ビシクロ-[2.2.1]ヘプタン(NBDA、Mitsui Chemicals製)、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチルシクロヘキサン(TMCDA)、3,9-ビス(3-アミノプロピル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンなど〕、1,3-および1,4-キシリレンジアミン、エーテル基を有する脂肪族ポリアミン〔例えば、ビス(2-アミノエチル)エーテル、4,7-ジオキサデカン-1,10-ジアミン、4,9-ジオキサドデカン-1,12-ジアミン、およびこれらの高級オリゴマーなど〕、理論的には2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレン-ポリアミンであって、例えば、商品名Jeffamine(登録商標)(Huntsman Chemicals社製)、商品名Polyetheramin(BASF製)、または商品名PC Amine(登録商標) (Nitroil製)として入手可能なもの、ならびに、前述のポリアミンの混合物。
【0055】
好ましいポリアミンPAには、1,6-ヘキサメチレンジアミン、MPMD、DAMP、IPDA、4-アミノメチル-1,8-オクタンジアミン、1,3-キシリレンジアミン、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチル-シクロヘキシル)メタン、3(4),8(9)-ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、1,4-ジアミノ-2,2,6-トリメチル-シクロヘキサン、理論的には2個または3個のアミノ基を有するポリオキシアルキレン-ポリアミン〔例えば、Huntsman社から商品名Jeffamine(登録商標)として入手可能な、製品EDR-148、D-230、D-400、D-2000、D-403、およびT-5000、ならびにBASFまたはNitroil製の類似化合物、ならびに特に、前述の2種以上のポリアミンの混合物がある。
【0056】
第2の実施態様では、適した潜在性ポリアミンLAは、1個または2個の脂肪族第一級アミノ基に加えて、活性水素を有するさらなる反応性基を有するアミンCから出発して得られるポリケチミンおよびポリアルジミンである。本明細書において、「活性水素」という用語は、窒素、酸素、または硫黄原子に結合している脱プロトン性水素原子を示す。この種類のアミンCを、ケトンまたはアルデヒドを用い、脱水を伴う既知の方法を用いて、活性水素を有するケチミンまたはアルジミンに変換し、次に、このケチミンまたはアルジミンを、例えば、ポリイソシアネートとの反応によって対応するポリケチミンまたはポリアルジミンに変換する。
【0057】
適したアミンCは、式(III)の化合物である。
【0058】
【化3】

【0059】
式中、
mは、1または2、好ましくは1を表し、
R1は、2〜12個のC原子を有する(m+1)価の炭化水素基を表し、場合により、少なくとも1個のヘテロ原子、より特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を含み、
Xは、O、SまたはN-R6を表す[式中、R6は、(i) 1〜20個のC原子を有する一価の炭化水素基(場合により、少なくとも1つのカーボネート、ニトリル、ニトロ、ホスホネート、スルホン、またはスルホネート基を含むもの)を表すか、あるいは(ii) R7-NH2 (式中、R7は、二価の炭化水素基を表し、この基は場合により、ヘテロ原子、より特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を含む)を表す]。
【0060】
アミンCとして、例えば、以下に特定された化合物が適している:
− 脂肪族ヒドロキシアミン、5-アミノ-1-ペンタノール、6-アミノ-1-ヘキサノール、7-アミノ-1-ヘプタノール、8-アミノ-1-オクタノール、10-アミノ-1-デカノール、12-アミノ-1-ドデカノールなど;
− 脂肪族メルカプトアミン、例えば、6-アミノ-1-ヘキサンチオール、8-アミノ-1-オクタンチオール、10-アミノ-1-デカンチオール、12-アミノ-1-ドデカンチオールなど;
− 1個または2個の第一級アミノ基に加えて二級アミノ基を有する二価またはより多価の脂肪族アミン、例えば、N-メチル-1,2-エタンジアミン、N-エチル-1,2-エタンジアミン、N-シクロヘキシル-1,2-エタンジアミン、N-メチル-1,3-プロパンジアミン、N-エチル-1,3-プロパンジアミン、N-ブチル-1,3-プロパンジアミン、N-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン、4-アミノメチルピペリジン、3-(4-アミノブチル)ピペリジン、ジエチレントリアミン(DETA)、ジプロピレントリアミン(DPTA)、ビスヘキサメチレントリアミン(BHMT)など、ならびに、脂肪ジアミン、例えば、N-ココアルキル-1,3-プロパンジアミン、N-オレイル-1,3-プロパンジアミン、N-大豆アルキル-1,3-プロパンジアミン、およびN-牛脂アルキル-1,3-プロパンジアミンなど。
【0061】
潜在性ポリアミンLAとして適したポリケチミンは、例えば、少なくとも1種のポリアミンPAと少なくとも1種のケトンとの、脱水を伴う反応によって、あるいは、少なくとも1種のアミンCと少なくとも1種のケトンとの脱水を伴う反応、およびこれに続く、得られたケチミンと例えばポリイソシアネートとの反応によって得られる。
【0062】
これらの反応に適したケトンの例には、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、およびアセトフェノンがある。
【0063】
潜在性ポリアミンLAとしてさらに適するのは、オキサゾリジノ基、エナミノ基、ケチミノ基、およびアルジミノ基を含む群から選択される2個または3個のブロックアミノ基を組み合わせて有する化合物であって、これらのブロックアミノ基の中の少なくとも2つが、互いに異なる化合物、言い換えれば、例えば、オキサゾリジン-アルジミン、ケチミン-エナミン、またはアルジミン-エナミンである化合物である。これらの化合物のオキサゾリジノ基、エナミノ基、ケチミノ基、およびアルジミノ基は、上述したポリオキサゾリジン、ポリエナミン、ポリケチミン、およびポリアルジミンにおける基に対応する。
【0064】
好ましい潜在性ポリアミンLAはポリアルジミンである。
【0065】
適したポリアルジミンは、第1の実施態様において、少なくとも1種のポリアミンPAと、少なくとも1種のアルデヒドとの反応によって得られる。
【0066】
第2の実施態様では、適したポリアルジミンは、式(III)のアミンCと、少なくとも1種のアルデヒドとの反応、およびこれに続く、得られたアルジミンとポリイソシアネートとの反応によって得られる。
【0067】
ポリアルジミンを調製するために、ジアルデヒドを用いることも可能であり、この場合、オリゴマー生成物が形成される。
【0068】
これらの反応に適したアルデヒドの例には、プロパナール、2-メチルプロパナール、ブタナール、2-メチルブタナール、2-エチルブタナール、ペンタナール、2-メチルペンタナール、3-メチルペンタナール、4-メチルペンタナール、2,3-ジメチルペンタナール、ヘキサナール、2-エチルヘキサナール、ヘプタナール、オクタナール、ノナナール、デカナール、ウンデカナール、2-メチルウンデカナール、ドデカナール、メトキシアセトアルデヒド、シクロプロパンカルボキシアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、およびジフェニルアセトアルデヒド、ならびに、以下に説明するアルデヒドALDが含まれる。
【0069】
これらの反応に好ましいアルデヒドは、アルデヒドALDである。これらのアルデヒドの特徴は、そのカルボニル基に対してα位に位置するC-H部分を有さず、したがって、エノール化可能ではないことである。アルデヒドALDから誘導されるポリアルジミンは、アルジミノ基のC原子に対してα位に位置する置換基としての水素を有さないので、互変異性体エナミンを形成しない特性を有する。このようなポリアルジミンは、イソシアネート基を含むポリウレタンポリマーPと一緒になって、格別に貯蔵性が良好な混合物、より特に、ポリウレタンポリマーPがTDIおよびMDIなどの極めて反応性の高い芳香族イソシアネート基を有する場合であっても貯蔵性が良好な混合物を形成する。
【0070】
適したアルデヒドALDは、式(I)および(II)の化合物である。
【0071】
【化4】

【0072】
式中、
Y1およびY2は、互いに独立に、それぞれ、1〜12個のC原子を有する一価の炭化水素基を表すか、あるいは、一緒になって、5〜8個、好ましくは6個のC原子を有する置換されていてもよい炭素環の一部である、4〜20個のC原子を有する二価の炭化水素基を形成し、
Y3は、一価の炭化水素基を表し、この基は場合により、少なくとも1個のヘテロ原子、より特に、エーテル、カルボニル、またはエステル基の形態の酸素を含み、
Y4は、5個から8個、好ましくは6個の原子の環の大きさを有する、置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基を表すか、あるいは
【0073】
【化5】

【0074】
[式中、R2は、水素原子またはアルコキシ基を表す]を表すか、あるいは
少なくとも6個のC原子を有する置換もしくは非置換のアルケニルもしくはアリールアルケニル基を表す。
【0075】
式(I)および(II)のアルデヒドALDの性質は、その基Y1、Y2、Y3、およびY4が、水の非存在下でイソシアネート基と反応性であるいかなる部分も有さないこと、より特に、Y1、Y2、Y3、およびY4が、ヒドロキシル基、二級アミノ基、尿素基または活性水素を有する他の基を全く有さないことである。
【0076】
式(I)の適したアルデヒドALDの例は、2,2-ジメチルプロパナール、2,2-ジメチルブタナール、2,2-ジエチルブタナール、1-メチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-メチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド;2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールと、アルコール〔例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、および2-エチルヘキサノールなど〕とから形成されるエーテル;2-ホルミル-2-メチルプロピオン酸または3-ホルミル-3-メチル酪酸と、アルコール〔例えば、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、および2-エチルヘキサノールなど〕とから形成されるエステル;2-ヒドロキシ-2-メチルプロパナールと、カルボン酸(例えば、酪酸、イソ酪酸、および2-エチルヘキサン酸など)から形成されるエステル、ならびに、特に適したものとして以下に説明する、2,2-二置換3-ヒドロキシプロパナール、-ブタナール、または類似の高級アルデヒドのエーテルおよびエステル、より特に2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールのエーテルおよびエステルである。
【0077】
より特に適する式(I)のアルデヒドALDは、式(Ia)の化合物である。
【0078】
【化6】

【0079】
式中、R3は、水素原子またはアルキルもしくはアリールアルキル基を表し、R4は、アルキル基またはアリールアルキル基を表し、Y1およびY2は、上述した定義を有する。
【0080】
式(Ia)の化合物は、脂肪族、芳香−脂肪族、または脂環式2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドのエーテルであって、一級または二級脂肪族アルデヒド(特に、ホルムアルデヒド)と、二級脂肪族、二級芳香−脂肪族、または二級脂環式アルデヒド〔例えば、2-メチルブチルアルデヒド、2-エチルブチルアルデヒド、2-メチルバレルアルデヒド、2-エチルカプロアルデヒド、シクロペンタンカルボキシアルデヒド、シクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1,2,3,6-テトラヒドロベンズアルデヒド、2-メチル-3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド(ヒドロトロープアルデヒド)、またはジフェニルアセトアルデヒドなど〕との間の、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、2-エチルヘキサノールまたは脂肪アルコールなど)を用いるアルドール反応、特に交差アルドール反応から形成される種類のものを表す。式(Ia)の化合物の例には、2,2-ジメチル-3-メトキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-エトキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-イソプロポキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ブトキシプロパナール、および2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキシルオキシ)プロパナールがある。
【0081】
より特に適する式(I)のさらなるアルデヒドALDは、式(Ib)の化合物である。
【0082】
【化7】

【0083】
式中、
R3は、水素原子またはアルキルもしくはアラルキル基を表し、
R5は、水素原子、または、アルキルもしくはアラルキルもしくはアリール基〔場合により、少なくとも1個のヘテロ原子(より特に少なくとも1個のエーテル酸素)を有し、場合により少なくとも1個のカルボキシル基を有し、かつ、場合により少なくとも1個のエステル基を有するもの〕を表すか、あるいは、モノ不飽和もしくは多不飽和の直鎖または分枝炭化水素鎖を表し、
Y1およびY2は、上述した定義を有する。
【0084】
式(Ib)の化合物は、上述した2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒド(例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルブタナール、2-ヒドロキシメチル-2-メチルペンタナール、2-ヒドロキシメチル-2-エチルヘキサナール、1-ヒドロキシメチルシクロペンタンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサンカルボキシアルデヒド、1-ヒドロキシメチルシクロヘキサ-3-エンカルボキシアルデヒド、2-ヒドロキシメチル-2-メチル-3-フェニルプロパナール、3-ヒドロキシ-2-メチル-2-フェニルプロパナール、および3-ヒドロキシ-2,2-ジヒドロキシプロパナールなど)と、脂肪族または芳香族カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、2-エチルカプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、および安息香酸など)とのエステルを表す。
【0085】
式(Ib)の好ましい化合物は、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナールと上述したカルボン酸とのエステル、例えば、2,2-ジメチル-3-ホルミルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-アセトキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-イソブチルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-(2-エチルヘキサノイルオキシ)プロパナール、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナール、および2,2-ジメチル-3-ベンゾイルオキシプロパナール、ならびに、他の2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドの類似のエステルである。
【0086】
式(Ib)のアルデヒドALDの1つの好ましい調製方法では、2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒド〔例えば、2,2-ジメチル-3-ヒドロキシプロパナール、これは好ましくは、例えばホルムアルデヒド(またはパラホルムアルデヒド)とイソブチルアルデヒドとから適切な場合には系内で調製可能である〕を、カルボン酸と反応させて、対応するエステルを形成する。このエステル化は、例えば、Houben-Weyl、「Methoden der organischen Chemie」、VIII巻、516〜528頁に記載のように、既知の方法によって、溶媒を使用することなく行うことができる。
【0087】
式(Ib)のアルデヒドALDを、脂肪族または脂環式ジカルボン酸(例えば、コハク酸、アジピン酸、またはセバシン酸など)を用いて、2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドのエステル化を実施することによって調製することも可能である。このようにして、対応する脂肪族第三級または脂環式第三級のジアルデヒドが得られる。
【0088】
1つの特に好ましい実施態様では、式(I)のアルデヒドALDは無臭である。「無臭」物質は、大部分の個人にとって臭気が極めて低く匂いを感じることができず、言い換えれば、鼻で知覚することができない物質を意味する。
【0089】
式(I)の無臭アルデヒドALDは、より特に、式(Ib)のアルデヒドALDである。ここで、基R5は、11〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル鎖(場合により、少なくとも1個のヘテロ原子、より特に少なくとも1個のエーテル酸素を有すもの)を表すか、あるいは、11〜30個の炭素原子を有するモノ不飽和もしくは多不飽和の直鎖または分枝炭化水素鎖を表す。
【0090】
式(Ib)の無臭アルデヒドALDの例は、前述の2,2-二置換3-ヒドロキシアルデヒドと、カルボン酸〔例えば、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキジン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレン酸、エリオステアリン酸、アラキドン酸、天然油の工業的加水分解からの脂肪酸(例えば、ナタネ油、ヒマワリ油、アマニ油、オリーブ油、ヤシ油、オイルパーム核油、およびオイルパーム油など)、ならびにこれらの酸を含む脂肪酸の工業用混合物など〕とから形成されるエステル化生成物である。式(Ib)の好ましいアルデヒドは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-ミリストイルオキシプロパナール、2,2-ジメチル-3-パルミトイルオキシプロパナール、および2,2-ジメチル-3-ステアロイルオキシプロパナールである。特に好ましいのは、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナールである。
【0091】
式(II)の適したアルデヒドALDの例には、ベンズアルデヒド、2-および3-および4-トルアルデヒド、4-エチル-および4-プロピル-および4-イソプロピル-および4-ブチルベンズアルデヒド、2,4-ジメチルベンズアルデヒド、2,4,5-トリ-メチルベンズアルデヒド、4-アセトキシベンズアルデヒド、4-アニスアルデヒド、4-エトキシベンズアルデヒド、ジ-およびトリアルコキシベンズアルデヒド異性体類、2-、3-および4-ニトロベンズアルデヒド、2-および3-および4-ホルミルピリジン、2-フルフルアルデヒド、2-チオフェンカルバルデヒド、1-および2-ナフチルアデヒド、3-および4-フェニルオキシベンズアデヒド;キノリン-2-カルバルデヒドおよびその3-、4-、5-、6-、7-、および8-位異性体、ならびに、アントラセン-9-カルバルデヒド、10-メチルアントラセン-9-カルバルデヒド、9-エチル-3-カルバゾールカルバルデヒド、ピレンカルバルデヒド、ニコチンアルデヒド、テレフタルアルデヒド、およびイソフタルアルデヒドが含まれる。
【0092】
式(II)の適したアルデヒドALDには、さらに、グリオキサール、グリオキサル酸エステル(例えば、グリオキサル酸メチルなど)、ならびにシンナムアルデヒドおよび置換シンナムアルデヒドがある。
【0093】
上述したように、2成分形組成物の第1成分A中の潜在性ポリアミンLAは、好ましくは、ポリアルジミンである。式(I)および(II)のアルデヒドALDから出発して得られる特に好ましいポリアルジミンは、式(IV)または(V)の化合物である。
【0094】
【化8】

【0095】
式中、Y1、Y2、Y3、およびY4は、式(I)および(II)について上述した定義を有し、
nは2または3を表し、
Zは、n個の第一級脂肪族アミノ基を除去した後のポリアミンの基を表す。
【0096】
Zは、(i) n個の第一級脂肪族アミノ基を除去した後のポリアミンPAの基を表すか、あるいは(ii) 少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のアミンCとの仮想的な直接反応生成物から、n個の一級脂肪族アミノ基を除去した後の基を表す。
【0097】
典型的には、2成分形組成物の成分A中には、ブロックアミノ基の数が、イソシアネート基より少ないか、または多くても同数となるために十分な潜在性ポリアミンLAが存在する。より詳細には、ブロックアミノ基の数とイソシアネート基の数との間の比率は、0.1〜1.0、好ましくは0.3〜0.9、より好ましくは0.4〜0.8の範囲に設定される。
【0098】
成分Aに加えて、本2成分形組成物は、少なくとも1種の酸Kと水とを含む第2成分Bからなる。
【0099】
酸Kは、任意の所望の有機ブレンステッド酸、例えば、塩酸、硫酸、亜硫酸、アミド硫酸、リン酸、モノ-およびジ-アルキルおよび-アリールホスフェート〔例えば、リン酸トリデシル、リン酸ジブチル、リン酸ジフェニル、およびリン酸ビス(2-エチルヘキシル)など]、亜リン酸、硝酸、亜硝酸、過塩素酸、亜塩素酸、ホウ酸、ならびに、前述のブレンステッド酸の混合物などである。
【0100】
酸Kとして、例えば、
− カルボン酸、例えば、飽和脂肪族モノカルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、ペンタデカン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など);飽和脂肪族ポリカルボン酸(例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酪酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸など);モノ-または多不飽和脂肪族モノカルボン酸およびポリカルボン酸(例えば、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、エリオステアリン酸、リシノール酸、リシネン酸、マレイン酸、フマル酸、ソルビン酸など);脂環式モノカルボン酸およびポリカルボン酸(例えば、シクロヘキサンカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、樹脂酸、ナフテン酸など);脂肪族ヒドロキシカルボン酸(例えば、グリコール酸、乳酸、マンデル酸、ヒドロキシ酪酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸など);水素化脂肪族カルボン酸(例えば、トリクロロ酢酸または2-クロロプロピオン酸など);芳香族モノカルボン酸およびポリカルボン酸(例えば、安息香酸、サリチル酸、没食子酸、トリル酸の位置異性体類、メトキシ安息香酸、クロロ安息香酸、ニトロ安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸など);工業的カルボン酸混合物(例えば、Versatic acidなど);アクリル酸およびメタクリル酸の重合または共重合からのポリカルボン酸;
− スルホン酸、例えば、メチルスルホン酸、ビニルスルホン酸、ブチルスルホン酸、3-ヒドロキシプロピルスルホン酸、スルホ酢酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、p-キシレンスルホン酸、4-ドデシルベンゼンスルホン酸、1-ナフタレンスルホン酸、ジノニルナフタレンスルホン酸、およびジノニルナフタレンジスルホン酸;
− 有機ホスホン酸およびモノアルキルホスホネート、例えば、メチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、ブチルホスホン酸、2-ヒドロキシエチルホスホン酸、フェニルホスホン酸、トリルホスホン酸、キシリルホスホン酸、ホスホノ酢酸、エチドロン酸、メチルホスホン酸エチル;
ならびに、前述のブレンステッド酸の混合物
などの有機ブレンステッド酸が好ましい。
【0101】
好ましい酸Kは、カルボン酸およびスルホン酸の形態の有機ブレンステッド酸、より特に、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸およびサリチル酸など)である。サリチル酸が特に好ましい。
【0102】
酸Kは、成分Aの潜在性ポリアミンLAの加水分解に触媒作用を有する。この結果、この酸Kは、濃度および酸強度に応じて、本2成分形組成物の硬化の急速な促進に程度の差はあるが効果を有する。
【0103】
この酸Kは、典型的には、成分Bに対して0.1重量%〜10重量%の量で成分B中に存在する。成分Bに対して0.3重量%〜5重量%の酸Kの量が好ましい。
【0104】
成分Bは、水をさらに含む。
【0105】
水は、遊離の形態で存在していても、担体材料に結合していてもよい。存在する任意の担体材料への結合は、可逆的である。言い換えれば、水は、第1成分Aの潜在性ポリアミンLAとの反応のために利用可能である。
【0106】
成分Bに適した担体材料は、空孔内に水を含む多孔質材料である。これらは、より特に、特殊なケイ酸塩およびゼオライトである。特に適したものは、珪藻土およびモレキュラーシーブである。この場合、空孔のサイズは、水を収容するのに最適であるように選択される。したがって、4Åの孔径を有するモレキュラーシーブが、特に適切であることが分かった。
【0107】
さらに適した担体材料は、水を非化学量論量で収容でき、ペースト状コンシステンシーを有するか、またはゲルを形成する材料である。このような担体材料は、有機であっても無機であってもよい。その例には、シリカゲル、粘土(例えば、モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトなど)、または多糖類(例えば、セルロースおよびデンプンなど)、または「高吸収体」としても知られており、例えば、衛生製品の製造に使用されるポリアクリル酸がある。さらなる適したものは、イオン性の基を有する担体材料(例えば、側鎖としてカルボキシル基またはスルホン酸基を有するポリウレタンポリマー、およびこれらの塩など)である。
【0108】
担体材料に結合している水の他の適した形態は、例えば、水和物およびアクア錯体、より特に、配位的結合形態でまたは結晶水として水を含む無機化合物である。水和物の例には、Na2SO4・10H2O、CaSO4・2H2O、CaSO4・1/2H2O、Na2B4O7・10H2O、MgSO4・7H20がある。アクア錯体の例には、鉄(II)、鉄(III)、コバルト(II)、コバルト(III)、およびニッケル(II)のヘキサクア錯体、ならびに、[(H2O)4Co(NH3)2]3+または[Cl(H2O)3Co(NH3)2]2+などの混合錯体がある。
【0109】
2つの成分AおよびBを混合すると、2成分形組成物全体において水の大部分が直接利用可能となり、その結果、前記組成物は、空気中の水分の外部から内部への拡散によってのみ水が利用可能な1成分形ポリウレタン組成物より迅速に硬化する。
【0110】
成分B中に含まれる水の量を、成分Aを完全に硬化するのに必要な水の量に適切に整合させる。成分Aを完全に硬化するのに必要な水の量(モル単位)は、以下の式に従って算出する:(ブロックアミノ基の当量)+ 1/2(イソシアネート基の当量−ブロックアミノ基の当量)。
【0111】
成分B中に含まれる水の量は、成分Bによって取り込まれている水の量の、成分Aを完全に硬化するのに必要な水の量に対する比率が、0.5〜10、好ましくは1〜7.5、より好ましくは1.5〜5の値を有するように選択する。
【0112】
同様に、成分Bが、ブロックアミノ基に対して少なくとも化学量論量の水を含むことが好ましい。
【0113】
この系の機能は、従来の2成分形ポリウレタン系の場合のように、2成分AおよびBの間の規定された混合比の遵守にはあまり依存しない。ブロックアミノ基に対して化学量論的な量を超える水が存在しても、この組成物の硬化を損なわない。なぜなら、加水分解によって遊離し、成分Aのイソシアネート基と反応することができるアミノ基の最大量は、成分A中に存在する潜在性ポリアミンLAによって固定されるからである。このブロックアミノ基の加水分解後に存在する過剰な水は、ポリウレタンポリマーP中に残っている任意のイソシアネート基と反応するか、あるいは硬化された組成物中に残存することができ、さらにそこから外に拡散または蒸発することができる。
【0114】
同様に、ブロックアミノ基に対して水の量が少ない場合も、この組成物の硬化を損なわない。なぜなら、この組成物の完全な硬化を完了するのに不足する水は、空気中の水分によって補われ得るからである。
【0115】
本2成分形組成物は、成分A中の少なくとも1種のポリウレタンポリマーPおよび少なくとも1種の潜在性ポリアミンLA、ならびに成分B中の少なくとも1種の酸Kおよび水に加えて、他の補助剤を含んでいてもよい。とりわけ、以下の助剤および添加剤を存在させることができ、当業者には、これらが2つの成分AおよびBの両方に適しているか、一方にのみに適しているかは明らかである。
− 可塑剤。例えば、カルボン酸エステル(例えば、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、またはフタル酸ジイソデシルなど)、フタレート(例えば、アジピン酸ジオクチルなど)、アゼレートおよびセバケート、ポリオール(例えば、ポリオキシアルキレンポリオールまたはポリエステルポリオールなど)、有機リン酸およびスルホン酸エステルまたはポリブテン;
− 溶媒;
− 有機および無機充填剤、例えば、粉砕または沈降炭酸カルシウム〔適切な場合、ステアレート、またはカーボンブラック、より特に工業的に製造されたカーボンブラック(以下、「カーボンブラック」と呼ぶ)でコーティングされたもの)〕、カオリン、酸化アルミニウム、シリカ(より特に、熱分解処理からの高分散シリカ)、PVC粉末または中空のビーズ;
− 繊維、例えば、ポリエチレン繊維;
− 顔料、例えば、二酸化チタンまたは酸化鉄;
− 潜在性ポリアミンの加水分解を促進する触媒、例えば、前述した酸K、およびその無水物またはシリルエステルなど;
− イソシアネート基と水との反応を促進する触媒、例えば、有機スズ化合物(例えば、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセチルアセトネート、およびジオクチルスズジラウレートなど)、ビスマス化合物(例えば、トリオクト酸ビスマスおよびトリス(ネオデカン酸)ビスマスなど)、および三級アミノ基を含む化合物(例えば、2,2'-ジモリホリノジエチルエーテルおよび1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタンなど);
− レオロジー調整剤(例えば、増粘剤など)、例えば、尿素化合物、ポリアミドワックス、ベントナイト、またはヒュームドシリカ;
− 反応性希釈剤および架橋剤、モノマーのポリイソシアネート(例えば、MDI、PMDI、TDI、HDI、1,12-ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン1,3-または1,4-ジイソシアネート、IPDI、ペルヒドロ-2,4'-および-4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-および1,4-テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど)、およびこれらのポリイソシアネートのオリゴマー(より特に、イソシアヌレート、カルボジイミド、ウレトンイミン、ビュウレット、アロファネート、またはイミノオキサジアジンジオンの形態のオリゴマー)、モノマー性ポリイソシアネートと短鎖ポリオールとの付加物、ならびにアジピン酸ジヒドラジドおよび他のジヒドラジド;
− 乾燥剤、例えば、モレキュラーシーブ、酸化カルシウム、高反応性イソシアネート(例えば、p-トシルイソシアネートなど)、オルトギ酸エステル、アルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシランなど)、有機アルコキシシラン(例えば、ビニルトリメトキシシランなど)、およびシラン基に対してα位に位置する官能基を有する有機アルコキシシラン;
− 接着促進剤、より特に、有機アルコキシシラン(例えば、エポキシシラン、ビニルシラン、(メタ)アクリロシラン、イソシアナトシラン、カルバマトシラン、S-(アルキルカルボニル)-メルカプトシラン、およびアルジミノシランなど)、およびこれらのシランのオリゴマー形態;
− 熱、光およびUV線に対する安定剤;
− 難燃剤;
− 界面活性物質、例えば、湿潤剤、フロー制御剤、脱気剤、または脱泡剤;
− 殺生物剤、例えば、殺藻剤、殺真菌剤、または真菌増殖阻害剤。
【0116】
成分Aの一部として使用される補助剤が、成分Aの貯蔵安定性に悪影響を及ぼさないことを確実にすることが有利である。言い換えれば、貯蔵中に、これらの補助剤は、有意に反応を開始させて、架橋(例えば、ブロックアミノ基の加水分解またはイソシアネート基の架橋など)を引き起こしてはならない。特に、これは、これらの補助剤がいずれも、水を含まないか、または多くとも微量の水しか含むべきでないことを意味する。成分A中に組み込む前に、特定の補助剤の化学的または物理的な乾燥を実施することが賢明であり得る。
【0117】
成分Aは、少なくとも1種のポリウレタンポリマーPおよび少なくとも1種の潜在性ポリアミンLAに加えて、好ましくは可塑剤、充填剤、および触媒を含む。
【0118】
成分Aのための好ましい充填剤は、カーボンブラック、炭酸カルシウム、焼成カオリン、熱分解処理からの高分散シリカ、およびこれらの充填剤の組合せである。
【0119】
成分A中の好ましい触媒は、潜在性ポリアミンLAの加水分解のための触媒、より特に、酸K、またはイソシアネート基と水との反応を促進する触媒、より特に、有機スズ化合物(例えば、ジブチルスズジラウレートなど)、または、酸Kとさらなる触媒(イソシアネート基と水との反応を促進する触媒)との混合物である。
【0120】
成分Bは、好ましくは、少なくとも1種の酸Kおよび水に加えて、充填剤、可塑剤、または充填剤および可塑剤を含む。
【0121】
成分Bにより、空気中の水分のみによっても硬化することができる成分Aの硬化を、急速に促進することが意図される。しかし、成分Bは、その存在によって、空気中の水分のみによって硬化された成分Aの、機械的特性(例えば、引張強度、引張せん断強度、および破断伸びなど)を実質的に変化させないことが意図される。これにより、特に、成分Bが、遊離のまたはブロックされた形態の一級または二級アミノ基を有するポリアミンを含有しない、言い換えれば、例えば、潜在性ポリアミンLAを全く含有しない、特に好ましくはポリアルジミンを全く含有しないことを意味する。
【0122】
2成分形組成物は、酸Kを成分A中および成分B中の両方に含むことが好ましい。
【0123】
上述したように、本2成分形組成物の成分Aは、空気中の水分のみでも同様に硬化することが意図されている。成分Aを、空気中の水分によって硬化する1成分形ポリウレタン組成物として、より特に、弾性接着剤またはシーリング材として、使用することができるように配合することが好ましい。このためには、成分Aを酸Kで触媒して、1成分用途に適した硬化速度(例えば、皮膜形成時間については、20分〜2時間の範囲)を達成することが有利である。
【0124】
しかし、成分Aを酸Kによって触媒することは、ある種の用途で望ましい初期の時点での高い初期強度を達成するのには十分ではない。WO03/059978A1に記載されているように、担体材料に結合している水を含むが、酸Kは含まない第2成分と共に用いる2成分形の適用では、初期の時点での高い初期強度が達成される。成分A中に酸Kを有意に高濃度で用いると、高い初期強度を達成することが可能であるが、これにより、成分Aは、1成分の形態でも同様に使用することができるという特性を失う。なぜなら、この場合には、その皮膜形成時間が許容されないほど短くなるからである。さらに、酸Kの含有量が非常に高いと、成分Aの貯蔵安定性が有意に低下する可能性が高い。
【0125】
成分Aを、水に加えて酸Kを含む第2成分Bと共に用いる上述した2成分を適用すると、この問題が的確に解決される。初期強度について厳しい要求を課す接着剤用途に、1成分の形態で使用することもできる貯蔵安定性を有する成分Aを使用することが可能であり、この場合、この2成分系の硬化速度は、成分B中の酸Kの量、または成分Aに混合される成分Bの量のいずれかによって、個々の用途の要求に適応させることができる。汎用的な成分Aの適用における高い柔軟性は、この種の2成分形組成物の商業的利用にとって非常に有利である。
【0126】
成分Aは、水分の非存在下で調製する。2つの成分AおよびBは、互いに分離された状態で貯蔵安定である;すなわち、ドラム缶、パウチ、またはカートリッジなどの適切な包装または配置により、これらは、その個々の特性にいかなる実用な変化を受けることもなく、その適用の前に、数ヵ月間から1年間以上の間貯蔵することができる。
【0127】
典型的には、成分Aの貯蔵安定性を、粘度または押出し力の測定によって判断する。
【0128】
一実施態様では、成分Bを、以下に後で説明するように、計量用付属装置と一体化された容器に貯蔵することができる。
【0129】
2つの成分を、隔壁で互いに分離された容器中に充填し、そこで貯蔵することも可能である。このような容器の例は、同軸カートリッジまたはツインカートリッジである。
【0130】
比較的大量を扱う工業用の用途では、典型的には、2つの成分を別々に、例えば、それぞれをドラム缶またはホボック(hobbock)などの水分機密な容器に貯蔵する。
【0131】
2つの成分AおよびBの適した混合比は、2つの成分の個々の組成により実質的に決まる。成分Aは、空気中の水分のみでも硬化する。第2成分、成分Bは、硬化された組成物の機械的特性に実質的に影響を与えることなく、組成物の硬化速度の急速な促進を引き起こす。この結果、当然、2つの成分AおよびBの混合比は、組成物中に成分Aが、成分Bより実質的に多量に存在するように選択される。0.5〜10重量部の成分Bに対して100重量部の成分Aの範囲の混合比が好ましい。
【0132】
2つの成分AおよびBの混合は、適用の間連続的に行うことが有利である。
【0133】
第1の実施態様では、2つの成分AおよびBの混合は、2個の相互連動計量回転子を含む計量付属装置を使って行う。この種の計量付属装置は、例えば、欧州特許第0749530B1号に記載されている。比較的少量を適用するためには、計量付属装置を、成分Aを入れた商業的に通例のカートリッジに取り付け、一方、この計量付属装置に一体化された容器中に成分Bを配置することが好ましい。計量および混合は、適用の際に、例えば通例の市販のカートリッジ圧縮機を使用して、カートリッジに圧力が加えられることによって受動的に作動するこの計量付属装置内で行わせる。混合を改良するために、この計量付属装置の出射孔にさらに、スタティックミキサーを取り付けることができる。
【0134】
第2の実施態様では、2つの成分AおよびBを、ドラム缶またはホボックから移送する。この場合、2つの成分AおよびBは、スタティックまたはダイナミックな混合操作で、計量付属装置内で混合することが有利である。
【0135】
好ましい一実施態様では、組成物の2つの成分AおよびBの混合を、実質的に均一に実施する。
【0136】
2成分形組成物の典型的な適用においては、組成物の2つの成分AおよびBを、先ず上述したように混合し、次いで混合した組成物を、典型的にはビードの形態で、少なくとも1方の固体表面に接触させて硬化させる。
【0137】
2つの成分AおよびBを混合すると、イソシアネート基と潜在性ポリアミンLAとを含むポリウレタンポリマーPが、水と接触する。潜在性ポリアミンLAのブロックアミノ基は、水分と接触すると加水分解を受ける性質を有する。組成物中に存在するイソシアネート基は、形式的に遊離されたポリアミンと反応し、ケトンまたはアルデヒドの形態でアミノ基をブロックするために用いた化合物を遊離する。過剰なイソシアネート基(言い換えれば、ブロックアミノ基と反応しないイソシアネート基)は、水と直接反応して、それゆえ、化学種の中でもとりわけ尿素基を生成する。これらの反応の結果、組成物は硬化する;この過程は架橋とも称される。イソシアネート基の、加水分解中の潜在性ポリアミンLAに対する反応は、必ずしも遊離のアミノ基によって起こるとは限らず、その代わりに加水分解の中間体を経由することによっても進行し得る。例えば、加水分解中の潜在性ポリアミンLAの前駆体であるアルジミノ基またはケチミノ基が、ヘミアミナール基の形態でイソシアネート基と反応することが考えられる。
【0138】
この組成物の硬化を完了させるのに追加の水が必要な場合は、水は、組成物を適用後に、周囲の環境から(特に、空気中の水分の形態で)適用された組成物に浸透することができる。
【0139】
本2成分形組成物は、2つの成分AおよびBが混合された後、非常に急速に硬化する。組成物は、非常に迅速に高い初期強度を有する。組成物は、硬化状態で弾性を、言い換えれば、高い機械的強度を高い伸張性と組み合わせて有し、さらに高い接着性も有する。これにより、組成物は、多様な用途、より特に、弾性の接着剤、弾性のシーリング材、または弾性のコーティングに適している。この組成物は、より特に、高い初期強度が非常に急速に要求される用途に適している。
【0140】
一方、組成物が硬化する際には、上述した無臭のアルデヒドALDのみが遊離するため、組成物の硬化によって、ひどい臭気を少しも生じない。これは大きな利点であり、多くの用途、特に密閉された空間における用途においてはまさに必要な条件である。
【0141】
適した用途の例には、建設または土木における、および工業製品または消費財(より特に、窓、家庭器具、またはウォータービークルもしくは陸上車両などの輸送手段、好ましくは、自動車、バス、トラック、列車または船舶)の製造または修理における、構成部品の接着剤;工業用製造または修理における、あるいは建設または土木における、接合部、継ぎ目、または空洞のシーリング;ならびに、例えば、ペイント、ワニス、プライマ、シーリング材、または保護コーティングの形態の、例えば、事務所、居住空間、病院、学校、倉庫、および車両駐車施設の床の被覆剤としての、様々な基材のコーティングが含まれる。
【0142】
臭気なしで硬化する特に好ましい実施態様は、例えば、建物内部の接合部のシーリングまたは車両の内装の構成部品の接着などの、密閉された空間における用途に特に適している。これらの場合、特に、接着剤またはシーリング材の適用中およびその直後に、無臭であるという性質に対して特別の要望が存在する。
【0143】
好ましい一実施態様では、上述した組成物を、弾性の接着剤またはシーリング材として使用する。
【0144】
接着剤としての用途においては、組成物を、基材S1および/または基材S2に適用する。したがって、この接着剤は、1つの基材に、他の基材に、あるいは両方の基材に適用することができる。その後、接着される部品を接合し、その直後に接着剤が硬化する。この場合、両方の被接着体が互いに確実に接着されることを確実にするために、オープンタイムとして知られている時間内に部品の接合を実施することを確実にするべきである。
【0145】
シーリング材としての用途においては、組成物を、基材S1とS2との間に適用する。適用後続いて硬化が起こる。典型的には、このシーリング材は、接合部に注入される。
【0146】
両方の用途において、基材S1は、基材S2と同じであっても、異なっていてもよい。
【0147】
適した基材S1またはS2の例には、無機基材(例えば、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、レンガ、タイル、プラスターなど)、および天然の石材(例えば、花崗岩または大理石など);金属または合金(例えば、アルミニウム、鋼、非鉄金属、亜鉛メッキした金属など);有機基材(例えば、木材)、プラスチック(例えば、PVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂など);コートされた基材(例えば、粉末でコートされた金属または合金など);ならびに、塗料および仕上げ、より特に自動車の上塗りがある。
【0148】
必要に応じて、基材を、接着剤またはシーリング材の適用に先立って前処理することができる。この種の前処理には、より特に、物理的および/または化学的清浄化技術(例えば、研磨、サンドブラスト、ブラシ研磨など);洗浄剤もしくは溶媒による処理;接着促進剤、接着促進剤溶液、またはプライマの適用;または、火炎またはプラズマ処理、より特に、大気圧での大気プラズマ処理による前処理が含まれる。
【0149】
基材S1およびS2が、本組成物を使って接着またはシールされた後、接着またはシールされた物品が得られる。この種の物品は、建造構造物、より特に建設もしくは土木における建造構造物であってよく、あるいは工業製品または消費財(例えば、窓、家庭器具、または、輸送手段、例えば、ウォータービークルもしくは陸上車両、例えば特に、自動車、バス、トラック、列車、もしくは船舶など、またはそれらの据付けのための構成部品など)であってもよい。
【0150】
本組成物の、例えば、建設または土木における接合のためのシーリング材としての用途、あるいは例えば、車両の組立におけるなどの弾性接着のための接着剤としての用途のためには、組成物は、構造粘性を有するペースト状コンシステンシーを有することが好ましい。この種のペースト状シーリング材または接着剤を、適した装置を用いて基材に適用する。適した適用法は、例えば、手動または圧縮空気によって作動する商業的に通例のカートリッジから、あるいは搬送ポンプまたは押出機によってドラム缶またはホブボックから、適切な場合にはアプリケーションロボットを用いて、適用する方法である。
【0151】
シーリング材または接着剤は、高い固さのコンシステンシーおよび短い糸引きを有することが好ましい。すなわち、適用後、適用された形態に留まり(言い換えれば、流れ出さず)、かつ、適用装置が設置された後、接着剤またはシーリング材が、非常に短い糸を形成するか、またはまったく形成しない結果、この基材と適用装置とは可能な限り付着しない。
【0152】
弾性接着のための接着剤は、車両組立において、例えば、実質的に円形または三角の横断面を有するビードの形態で適用することが好ましい。
【0153】
例えば、車両組立における弾性接着には、輸送手段の塗装された車体への部品(例えば、プラスチックカバー、トリムストリップ、フランジ、バンパー、運転台、または据付け用の他の構成部品など)の接着取付け、または車体内へのグレージングの接着据付がある。車両の例には、自動車、トラック、バス、列車車両、および船舶が含まれる。
【0154】
本発明の組成物は、室温または室温未満で適用することができる。あるいは、例えば、さらにより速い硬化速度を達成するために、あるいは、この成分の搬送、計量、または混合を容易にするために、成分Aおよび/または成分Bを混合に先立って高温に加熱することも可能である。
【0155】
a)(i)イソシアネート基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーPおよび(ii)少なくとも1種の潜在性ポリアミンLAを含む第1成分A;
ならびに
b)(i)少なくとも1種の酸Kおよび(ii)水を含む第2成分B
からなる上述した2成分形組成物は、2つの成分AおよびBを混合した後、非常に初期の時点で高い初期強度を有する。一例として、この種の組成物により、適用直後の30分で、室温で1MPaの初期強度を達成することが可能である。これは、例えば、国際公開第03/059978A1号に記載の種類の組成物では達成されていない。弾性を有するポリウレタン組成物のこのような急速な硬化は、これまで、イソシアネート基を含む第1成分が、適切な場合には潜在性の形態でポリアミンを含む第2成分と混合される従来の2成分形組成物であって、実質的にはより複雑な適用方法が必要な組成物でのみ達成可能であった。
【0156】
上述した2成分形組成物の成分Aは、空気中の水分のみでも硬化し、完全に硬化した成分Aは、両方の成分AおよびBからなる完全に硬化した2成分形組成物と、実質的に同じ機械的特性を有する。これは、これらの組成物の適用を大幅に単純化する。この組成物は、個々の成分Aおよび/またはBの計量における変動にほとんど敏感でない。なぜなら、成分Aに対して成分Bの割合が低過ぎるかまたは高過ぎると、おそらく硬化速度にある種の影響があるが、完全に硬化した組成物の機械的特性が実質的に変化しない。同様に、操作を短時間中断する場合に、操作を中断する前に成分Aのみでノズルをフラッシングすることによって、混合ノズルの詰まりを防止することが可能である。
【0157】
上述した2成分形組成物のさらなる利点は、硬化速度の設定に非常に大きな柔軟性があることである。したがって、例えば、1成分湿気硬化性接着剤またはシーリング材としても使用される標準化した成分Aの硬化速度を、少なくとも1種の酸Kおよび水を含む少量の第2成分Bを用いて、成分Aを再配合することなく大幅に促進することができる。この硬化速度の微調整は、所望の硬化速度が達成されるように成分Bの割合を変化させることによって、または所望の硬化速度に適合する酸Kの含有量を有する成分Bを使用することによって、その適用工程で直接可能である。
【0158】
成分A中に潜在性ポリアミンLAとして、カルボニル基に対してα位に位置するC-H部分を全く有さないアルデヒドALDから得られるポリアルジミンを含む、本2成分形組成物の好ましい実施態様は、たとえ成分AがTDIおよびMDIなどの高反応性芳香族イソシアネート基を含む場合でも、貯蔵安定な第1成分Aをもたらす。
【0159】
限定される式(Ib)の無臭アルデヒドALDを成分Aのポリアルジミンの調製に使用する、本2成分形組成物の特に好ましい実施態様は、無臭で硬化する組成物を生じさせる。このことは、多くの用途にとって非常に有利であり、あるいは極めて重要な必要条件である。
【0160】
成分A中の潜在性ポリアミンLAとして、カルボニル基に対してα位に位置するC-H部分を全く有さないアルデヒドALDから好ましくは得られるポリアルジミンを含み、さらに成分B中の酸Kとしてサリチル酸を含む、2成分形組成物が特に好ましい。
【0161】
(実施例)
試験方法の説明
成分Aの押出し力は、各場合において新しく開封した室温のカートリッジで測定し、組成物を、含水成分を添加することなく、5 mmの開口を通して23℃でカートリッジ先端部で圧縮する。押出しは、60 mm/分の定速で引張り試験機によって実施した。押出し力の変化は、ポリウレタン組成物の貯蔵安定性の尺度となる。
【0162】
初期強度を以下の通り測定した。第一に、各場合において、40×100×6 mmの寸法を有する2枚のガラスプレートの、接着を実施する面を、Sika(登録商標)Aktivator(Sika Schweiz AGから入手可能)で前処理した。10分のフラッシュオフ時間に続いて、接着剤を、三角のビードの形態で、ガラスプレートの長い端部に沿って適用する。約1分後、適用した接着剤を、第2のガラスプレートおよび引張り機(Zwick)を用いて、5mmの接着厚さ(ほぼ1cmの接着幅に対応する)まで圧縮し、次いで、このアセンブリを23℃、相対湿度50%で貯蔵した。規定の時間後(数分)、1バッチ当たり3個の接着したガラスプレートを、200 mm/分の引張速度で引き離し、この操作におけるMPa単位の最大力を記録し、3個の試料で平均した。この実験においては、以下の関係を適用する:1 MPaは、100 N/cmに対応する。
【0163】
オープンタイム(2成分形接着剤をその時間内に使用しなければならない時間)を以下の通り測定した:23℃、相対湿度50%で、接着剤をガラスプレートに、ほぼ1 cmの横断面を有する三角のビードの形態で適用した。接着剤のビードでコートしたガラスプレートを、規則的な間隔でそれぞれ第2のガラスプレートでカバーし、直ちに5mmの接着厚さまで圧縮した。この手順中に適用された力を記録した。圧縮力が0.04MPaを超える場合、接着剤のオープンタイムを過ぎている。
【0164】
硬化速度の尺度として、初期強度が増強する速度、および/またはオープンタイムの持続時間を取る。
【0165】
引張せん断強度は、DIN EN 1465に準拠した方法に従って測定した。Sika Cleaner 205であらかじめ清浄したフロートガラスプレートを使用した。このガラスプレートを、接着剤で満たされた重なりが、幅10〜12mm、長さ25mm、厚さ4〜5mmの寸法で形成されるように、規格に記載されている通りに配置した。このようにして作製した試験片を標準の条件(23±1℃、相対湿度50±5%)で硬化のために7日間貯蔵し、次いで、20mm/分のクロスヘッド速度で切断点に達するまで引き離した。
【0166】
引張強度および破断伸びは、DIN 53504(引張速度:200 mm/分)に従って、標準条件下(23±1℃、相対湿度50±5%)で14日間硬化させた厚さ2 mmを有するフィルムについて測定した。
【0167】
a)ポリウレタンポリマーPの調製
ポリマーP1
Acclaim(登録商標)4200 N Polyol(Bayer;低モノオールポリオキシプロピレンジオール、OH価28.0 mgKOH/g、含水量0.02重量%) 1300 g、Caradol(登録商標)MD34-02 Polyol(Shell;ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン-トリオール、エチレンオキシドで末端化されたもの、OH価 35.0 mgKOH/g、含水量0.03重量%) 2590 g、4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer) 610 g、およびフタル酸ジイソデシル(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF) 500 gを、80℃で既知の方法で反応させて、NCO末端化ポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は、滴定により測定して、2.05重量%の遊離のイソシアネート基含有量を有していた。
【0168】
ポリマーP2
Acclaim(登録商標)4200 N Polyol(Bayer;低モノオールポリオキシプロピレンジオール、OH価 28.0 mgKOH/g、含水量0.02重量%) 1230 g、Caradol(登録商標)MD34-02 Polyol(Shell;ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレン-トリオール、エチレンオキシドで末端化されたもの、OH価 35.0 mgKOH/g、含水量0.03重量%) 615 g、およびDesmodur(登録商標)T-80 P(Bayer;80:20の比の2,4-および2,6-トリレンジイソシアネート) 155 gを、80℃で既知の方法で反応させて、NCO末端化ポリウレタンポリマーを得た。この反応生成物は、滴定により測定して、1.55重量%の遊離のイソシアネート基含有量を有していた。
【0169】
b)ポリアルジミンの調製
丸底フラスコに、窒素下で、2,2-ジメチル-3-ラウロイルオキシプロパナール625 g(2.20モル)を投入した。激しく撹拌しながら、Jeffamine(登録商標)D-230(Huntsman;α,ω-ポリオキシ-プロピレンジアミン、アミン当量重量 119 g/当量)250 g(NH2 2.10モル)を滴下漏斗から徐々に添加した。その後、80℃で、揮発性成分を減圧下で完全に蒸留して除いた。これにより、室温で液体であり、アミン含有量として測定したアルジミン含有量2.5ミリモルNH2/gを有する、黄色がかった反応生成物837gを得た。
【0170】
c)尿素増粘剤ペーストの調製
真空ミキサーにフタル酸ジイソデシル(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF) 1000 gおよび4,4'-メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI;Desmodur(登録商標)44 MC L、Bayer) 160 gを投入し、この最初の投入物を緩やかに加熱した。次いで、モノブチルアミン90 gを激しく撹拌しながら徐々に滴下により添加した。形成された白色ペーストを真空下で冷却しながら1時間さらに撹拌し、その後、冷却された後にさらに次に使用した。
【0171】
d)成分A-1の調製
真空ミキサー中で、ポリマーP1 2900 g、ポリマーP2 550 g、尿素増粘剤ペースト2584 g、上述したポリアルジミン418 g、チョーク(Omya(登録商標)5 GU、Omya;乾燥したもの)3200 g、疎水化ヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)R972、Degussa-Huls AG)320 g、およびサリチル酸(5重量%)のアジピン酸ジオクチル溶液28 gを、水分の非存在下で処理して、塊が存在しない均一なペーストを形成させ、水分の非存在下で貯蔵した。
【0172】
調製の翌日、押出し力は500 Nであった;70℃で2日間貯蔵後、押出し力は685 Nであった。
【0173】
e)第2成分Bの調製
成分B-1(本発明)
真空ミキサー中で、サリチル酸54 g、脱イオン水785 g、フタル酸ジイソデシル(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF)2446 g、ヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200、Degussa-Huls AG)690 gおよびチョーク(Omya(登録商標)5 GU、Omya)1025 gを処理して、塊が存在しない均一なペーストを形成させ、不浸透性の容器中で貯蔵した。
【0174】
成分B-2(比較例、酸Kを有さない)
真空ミキサー中で、脱イオン水785 g、フタル酸ジイソデシル(DIDP;Palatinol(登録商標)Z、BASF)2500 g、ヒュームドシリカ(Aerosil(登録商標)200、Degussa-Huls AG)690 gおよびチョーク(Omya(登録商標)5 GU、Omya)1025 gを処理して、塊が存在しない均一なペーストを形成させ、不浸透性の容器中で貯蔵した。
【0175】
成分B-3(比較例、従来技術、国際公開第03/059978A1号)
イオン性基を含み、ほぼ20000の平均分子量を有する有機ポリマーを、イソホロンジイソシアネート(IPDI;Vestanat(登録商標)IPDI、Degussa)、Caradol(登録商標)ED56-11 Polyol(Shell)、アミノエチルエタノールアミン、および2,2-ビス-(ヒドロキシメチル)プロピオン酸のN-メチルピロリドン中の重付加によって調製し、続いてトリエチルアミンで中和し、含水量25重量%まで水を加えた。これは、たとえ長期の貯蔵によっても不変のままであり、水を放出しなかった。
【0176】
f)接着剤の混合および試験
(実施例1から4)(本発明)および
(実施例5および6)(比較例)
各場合において、成分A-1を、様々な量の成分B-1および/またはB-2と混合した。混合量を表1に示す。各成分を計量ポンプを用いて運搬し、適当なスタティックミキサーによって実質的に均一に混合した。初期強度の結果を表2に、他の試験結果を表3に示す。
【0177】
(実施例7)(比較例)
成分A-1を表1の数値に従って成分B-3と混合した。2つの成分A-1およびB-3を、Sika(登録商標)ブースター型計量付属装置(Sika Schweiz AGから入手可能)を用いて、適用中連続的に混合した。ここでは、装置に組み込まれた容器中に存在する物質を、成分B-3に置換した。このように改造したSika(登録商標)ブースターを、成分A-1を含むカートリッジに取り付け、商業的に通例のカートリッジ圧縮機を用いてこのカートリッジに圧力を加えることによって受動的に作動させた。70 mmの混合経路に対応する、直径16 mmおよび6個の混合要素を有するスタティックミキサーを、改造Sika(登録商標)ブースターの射出孔上にねじ込んだ。この混合装置は、2成分形組成物の2つの成分A-1およびB-3を実質的に層流の方法で混合した。
【0178】
初期強度の結果を表2に、他の試験結果を表3に示す。
【0179】
(実施例8)(比較例、参照)
成分A-1を、第2成分Bは混合せずに、1成分の湿気硬化型接着剤として試験した。初期強度結果を表2に示す;他の試験結果を表3に示す。
【0180】
【表1】

【0181】
【表2】

【0182】
【表3】

【0183】
表2および3から、水およびサリチル酸を含む成分B-1を含む実施例1から4は、急速に硬化し、この硬化速度は、成分B-1の割合が増加するにつれて有意に上昇することが分かる。このことは、初期強度の進行およびそれぞれのオープンタイムの両方から明らかである。
【0184】
100重量部の成分A-1当たり3および4重量部の成分B-1を含む実施例2および3は、30分後に0.6および0.9 MPaの初期強度を有し、5分および3分のオープンタイムを有する。一方、それぞれの量の成分B-2(サリチル酸を有さない)を含む比較例5および6は、30分後に0.1および0.2 MPaの初期強度を有するにすぎず、13分および10分のオープンタイムを有する。したがって、成分B-1中のサリチル酸は、硬化の急速な促進を引き起こす。
【0185】
比較例7は、実質的に層流の方法で混合することによって組み込まれている成分B-3を含む。この硬化速度は、例えば、成分B中に同等の含水量を含む実施例2の場合より有意に遅い。その初期強度の進行は、大幅に遅延し、オープンタイムも大幅により長い。
【0186】
比較例8は、成分Bを含まない。成分A-1は、1成分形接着剤として空気中の水分によって硬化する。この硬化速度は、2成分形接着剤に比較して相対的に低い。しかし、引張せん断強度、引張強度、および破断伸びの値は、2成分の形態で硬化された実施例の対応する値と、有意な程度の差異はない。
【0187】
実施例1から8のすべての接着剤に対して、硬化時または硬化後のいずれにおいても臭気は知覚できなかった。
【0188】
本発明は、説明し、示した例示的な実施態様に当然、制限されることはない。上述により特定した本発明の特徴は、示した特定の組合せにおいて使用することができるのみならず、本発明の範囲から逸脱することなく、他の変更、組合せおよび修正において、あるいは単独で使用することができることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(i)イソシアネート基を含む少なくとも1種のポリウレタンポリマーP、および
(ii)少なくとも1種の潜在性ポリアミンLA
を含む第1成分A、ならびに
b)(i)少なくとも1種の酸K、および
(ii)水
を含む第2成分B
からなる2成分形組成物。
【請求項2】
潜在性ポリアミンLAがポリアルジミンであることを特徴とする、請求項1に記載の2成分形組成物。
【請求項3】
潜在性ポリアミンLAが、脂肪族第一級アミノ基を有する少なくとも1種のポリアミンPAと、カルボニル基に対してα位に位置するC-H部分を有さない少なくとも1種のアルデヒドALDとから得られるポリアルジミンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の2成分形組成物。
【請求項4】
潜在性ポリアミンLAが、式(III):
【化1】

[式中、
mは、1または2、好ましくは1を表し、
R1は、2〜12個のC原子を有する(m+1)価の炭化水素基を表し、この基は場合により、少なくとも1個のヘテロ原子、より特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を含み、
Xは、O、SまたはN-R6を表す〔式中、R6は、1〜20個のC原子を有する一価の炭化水素基(場合により、少なくとも1個のカーボネート、ニトリル、ニトロ、ホスホネート、スルホンまたはスルホネート基を含むもの)を表すか、あるいは-R7-NH2(式中、R7は、二価の炭化水素基を表し、この基は場合により、ヘテロ原子、より特にエーテル酸素または三級アミン窒素の形態のヘテロ原子を含む)を表す〕]
のアミンCと、カルボニル基に対してα位に位置するC-H部分を有さないアルデヒドALDとの反応、および、
それに続く、得られたアルジミンとポリイソシアネートとの反応
から得られるポリアルジミンであることを特徴とする、請求項1または2に記載の2成分形組成物。
【請求項5】
アルデヒドALDが、式(I)または(II)
【化2】

[式中、
Y1およびY2は、互いに独立に、それぞれ、1〜12個のC原子を有する一価の炭化水素基を表すか、あるいは、一緒になって、5〜8個、好ましくは6個のC原子を有する置換されていてもよい炭素環の一部である4〜20個のC原子を有する二価の炭化水素基を形成し、
Y3は、一価の炭化水素基を表し、この基は場合により、少なくとも1個のヘテロ原子、より特に、エーテル、カルボニル、またはエステル基の形態で酸素を含み、
Y4は、5から8個、好ましくは6個の原子の環の大きさを有する置換もしくは非置換のアリールもしくはヘテロアリール基を表すか、あるいは
【化3】

(式中、R2は、水素原子またはアルコキシ基を表す)を表すか、あるいは
少なくとも6個のC原子を有する置換もしくは非置換のアルケニルもしくはアリールアルケニル基を表す]
を有することを特徴とする、請求項3または4に記載の2成分形組成物。
【請求項6】
アルデヒドALDが、式(Ia)
【化4】

[式中、
R3は、水素原子またはアルキルもしくはアリールアルキル基を表し、
R4は、アルキルまたはアリールアルキル基を表す]
を有することを特徴とする、請求項5に記載の2成分形組成物。
【請求項7】
アルデヒドALDが、式(Ib)
【化5】

[式中、
R3は、水素原子またはアルキルもしくはアリールアルキル基を表し、
R5は、水素原子、またはアルキルまたはアリールアルキルまたはアリール基(場合により少なくとも1個のヘテロ原子を有し、より特に少なくとも1個のエーテル酸素を有し、場合により少なくとも1つのカルボキシル基を有し、かつ、場合により少なくとも1つのエステル基を有するもの)を表すか、
あるいは、モノ不飽和もしくは多不飽和の直鎖または分枝炭化水素鎖を表す]
を有することを特徴とする、請求項5に記載の2成分形組成物。
【請求項8】
無臭で硬化し、
R5が、
11〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル鎖(場合により、少なくとも1個のヘテロ原子、より特に少なくとも1個のエーテル酸素を有するもの)を表すか、あるいは
11〜30個の炭素原子を有するモノ不飽和もしくは多不飽和の直鎖または分枝炭化水素鎖を表す
ことを特徴とする、請求項7に記載の2成分形組成物。
【請求項9】
ポリウレタンポリマーPが、少なくとも1種のポリイソシアネートと、少なくとも1種のポリオールとから調製されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の2成分形組成物。
【請求項10】
ポリオールが、1.6〜3個の平均OH官能基を有することを特徴とする、請求項9に記載の2成分形組成物。
【請求項11】
前記ポリオールが、ポリオキシアルキレンポリオール、より特に、ポリオキシアルキレンジオールまたは-トリオール、より特に、ポリオキシプロピレンジオールまたは-トリオールであるか、
あるいは、EOでエンドキャップされたポリオキシプロピレンジオールまたは-トリオールであることを特徴とする、請求項9または10に記載の2成分形組成物。
【請求項12】
前記ポリイソシアネートが、少なくとも1種の芳香族ポリイソシアネート、より特に
2,4-もしくは2,6-トリレンジイソシアネートまたはこれらの異性体の任意の所望の混合物(TDI)、あるいは、4,4'-、2,4'-、もしくは2,2'-ジフェニルメタンジイソシアネートまたはこれらの異性体の任意の所望の混合物(MDI)であることを特徴とする、請求項9から11のいずれか一項に記載の2成分形組成物。
【請求項13】
潜在性ポリアミンLAが、イソシアネート基1当量当たりブロックアミノ基が0.1〜1.0、好ましくは0.3〜0.9、より好ましくは0.4〜0.8当量の比で存在することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の2成分形組成物。
【請求項14】
酸Kが、成分Bに対して0.1重量%〜10重量%、好ましくは、0.3重量%〜5重量%の量で成分B中に存在することを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の2成分形組成物。
【請求項15】
酸Kが有機酸であることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の2成分形組成物。
【請求項16】
酸Kが、カルボン酸またはスルホン酸であることを特徴とする、請求項15に記載の2成分形組成物。
【請求項17】
酸Kが、安息香酸またはサリチル酸であることを特徴とする、請求項16に記載の2成分形組成物。
【請求項18】
成分Bによって取り込まれる水の量の、成分Aを完全に硬化するために必要な水の量に対する比が、0.5〜10、好ましくは1〜7.5、より好ましくは1.5〜5となる量で、水が成分B中に存在することを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の2成分形組成物。
【請求項19】
成分Bが、100重量部の成分A当たり0.5〜10重量部の量で存在することを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の2成分形組成物。
【請求項20】
接着剤、シーリング材、または被覆剤としての、より特に、接着剤またはシーリング材としての、請求項1から19のいずれか一項に記載の2成分形組成物の使用。
【請求項21】
建設または土木における、および工業製品または消費財、より特に輸送手段の製造または修理における、構成部品の接着のための、請求項20に記載の使用。
【請求項22】
工業的な製造または修理における、あるいは建設または土木における、接合部、継ぎ目または空洞のシーリングのための、請求項20に記載の使用。
【請求項23】
(i)請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物を、基材S1および/または基材S2に適用する工程と、
(ii)オープンタイム内に前記基材を接合する工程と、
(iii)組成物を硬化させる工程と
を含む接着方法であって、基材S1およびS2が、互いに同じであるかまたは異なる、方法。
【請求項24】
(i)請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物を、基材S1と基材S2の間に適用する工程と、
(ii)この組成物を硬化させる工程と
を含むシーリング方法であって、基材S1およびS2が、互いに同じであるかまたは異なる、方法。
【請求項25】
基材S1またはS2の少なくとも1つが、ガラス、ガラスセラミック、コンクリート、モルタル、レンガ、タイル、プラスター、花崗岩または大理石などの天然の石材;アルミニウム、鋼、非鉄金属、亜鉛メッキした金属などの金属または合金;木材;PVC、ポリカーボネート、PMMA、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂などのプラスチック;粉末コーティング、塗料または仕上げ、より特に自動車の仕上げであることを特徴とする、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
請求項23から25のいずれか一項に記載の接着方法またはシーリング方法によって製造された、接着またはシールされた物品。
【請求項27】
建造構造物、より特に建設もしくは土木における建造構造物、またはその部品、あるいは工業製品または消費財または輸送手段、より特に、ウォータービークルもしくは陸上車両、好ましくは、自動車、バス、トラック、列車、もしくは船舶、またはそれらの部品であることを特徴とする、請求項26に記載の接着またはシールされた物品。

【公表番号】特表2009−536238(P2009−536238A)
【公表日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508381(P2009−508381)
【出願日】平成19年5月9日(2007.5.9)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054467
【国際公開番号】WO2007/128824
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(504274505)シーカ・テクノロジー・アーゲー (227)
【Fターム(参考)】