説明

高分子重縮合物の調製法

本発明は、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル又はこれらの重縮合物の少なくとも2つの混合物を、式(I)(式中、nは3〜15の間の整数である)のカルボニルビスラクタム及びジエポキシドと溶融混合することにより、高分子重縮合物、すなわち、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステル−アミド、ポリカーボネート、ポリエーテル又はブロックコポリマーを調製する方法に関する。好ましくは、前記ジエポキシドは、式(II)のエポキシ基(この基は、炭素、酸素、窒素又は硫黄原子に直接結合し、式中、R及びRはどちらも水素であり、Rは水素又はメチルであり、m=0であるか、又はR及びRは一緒になって、−CH−CH−又はCH−CH−CH−であり、この場合、Rは水素であり、m=0又は1である)を含有する化合物である。本発明の結果、高分子量を有する重縮合物のさらに安定した製造法が得られる。さらに、本発明の方法で得られる重縮合物は、極端なプロセス条件下、例えば高温でも変色が少ない。本発明の方法で、重縮合物の分子量の恒久的な増加が、最先端の技術のプロセスよりもさらに速く得られる。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリカーボネート又はこれらの重縮合物の少なくとも2つの混合物をカルボニルビスラクタムと溶融混合することにより、高分子重縮合物、すなわち、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステル−アミド、ポリカーボネート、ポリエーテル又はブロックコポリマーを調製する方法に関する。
【0002】
このような方法は、例えば、国際公開第9847940号パンフレットから公知であり、この刊行物は、低分子量を有するポリアミド又はポリエステルをカルボニルビスラクタムと溶融混合することにより、高分子ポリアミド又はポリエステルを調製する方法を開示する。
【0003】
前記ポリマーをカルボニルビスカプロラクタムとブラベンダーミキサー中で溶融混合することによる、ポリアミド6及びPETの分子量の増大の例が開示されている。
【0004】
国際公開第9847940号パンフレットの方法の欠点は、例えば、一軸押出機中に適用される場合、前記溶融混合の間に押出機トルクに変動が起こり、その結果、最終的に高分子重縮合物の調製法が不安定になることである。
【0005】
本発明の目的は、この欠点が軽減された高分子重縮合物の調製法を提供することである。
【0006】
この目的は、前記溶融混合の間にジエポキシドも存在することを特徴とする本発明の方法により達成される。
【0007】
本発明の方法は、国際公開第9847940号パンフレットにおいて開示されている方法よりも安定した方法であり、その結果、トルクの変動が少なく、さらに例えば一軸押出機の出力がより一定になる。
【0008】
本発明の方法のさらなる利点は、溶融混合の間に押出機により製造されるストランドが、国際公開第9847940号パンフレットの方法に従って押出機により製造されるストランドよりも破断しにくいことである。
【0009】
本発明の方法のさらに別の利点は、本発明の方法で得られる重縮合物は、特にポリアミドの場合、例えば、厳しいプロセス条件下、例えば高温で、国際公開第9847940号パンフレットの方法で得られる重縮合物よりも変色が少ないことである。
【0010】
本発明の方法のさらに別の利点は、国際公開第9847940号パンフレットの方法の場合よりも高分子量の重縮合物を得ることができるか、又は本発明の方法では、より短い時間で同じ分子量を達成することができるということである。あるいは、本発明の方法では、より少ない量の、例えばカルボニルビスカプロラクタムを用いることができ、それでも国際公開第9847940号パンフレットの方法で得られるものに匹敵する分子量を得ることができることである。本発明の方法で、低分子量を有する重縮合物が高分子重縮合物に移行する。
【0011】
カルボニルビスラクタムは、式(I):
【化1】


を有する化合物であると理解され、この式において、nは3〜15の間の整数である。好ましくは、n=5〜12である。さらに好ましくは、n=5である。後者の化合物、カルボニルビスカプロラクタムは、本発明の方法で、さらに高分子量を得る際に最良の活性を示す。
【0012】
本出願においてはエポキシ樹脂とも称する、本発明のジエポキシドは、脂肪族、芳香族、脂環式、アルアリファティック又は複素環式構造を有し得る。これは、側鎖としてエポキシ基を含有するか、又はこれらの基は脂環式又は複素環式環系の一部を形成する。エポキシ基は、好ましくはエーテル又はエステル結合によりグリシジル基として残存分子と結合するか、又はこれらは複素環式アミン、アミド、尿素又はイミドのN−グリシジル誘導体である。これらの種類のエポキシ樹脂は、一般的に公知であり、かつ商業的に入手可能である。
【0013】
エポキシ樹脂は、2つのエポキシ基、典型的には式(II):
【化2】


の基を含有し、該基は、炭素、酸素、窒素又は硫黄原子に直接結合し、式中、R及びRはどちらも水素であり、Rは水素又はメチルであり、m=0であるか、又はR及びRは一緒になって、−CH−CH−又はCH−CH−CH−であり、この場合、Rは水素であり、m=0又は1である。
【0014】
エポキシ樹脂の例示的な例は次のとおりである:
I)分子中に2個のカルボキシル基を含有する化合物とエピクロロヒドリン又はグリセロールジクロロヒドリン又はβ−メチルエピクロロヒドリンを反応させることにより得られるジグリシジル及びジ(β−メチルグリシジル)エステル。反応は塩基の存在下で都合よく行われる。
【0015】
分子中に2個のカルボキシル基を含有する化合物は、好適には脂肪族ジカルボン酸であってもよい。これらのジカルボン酸の例は、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸あるいは二量化又は三量化リノール酸である。
【0016】
脂環式ジカルボン酸、例えば、テトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸又は4−メチルヘキサヒドロフタル酸も用いることができる。
【0017】
また、フタル酸又はイソフタル酸を含む芳香族ジカルボン酸も用いることができる。
【0018】
II)2個の遊離アルコール性ヒドロキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシル基を分子中に含有する化合物を、好適に置換されたエピクロロヒドリンとアルカリ性条件下又は酸触媒の存在下で反応させて、その後、アルカリで処理することにより得られるジグリシジル又はジ(β−メチルグリシジル)エーテル。
このタイプのエーテルは、典型的には非環式アルコール、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール及び高級ポリ(オキシエチレン)グリコール、1,2−プロパンジオール、又はポリ(オキシプロピレン)グリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ソルビトール、ならびにポリエピクロロヒドリンから誘導される。
【0019】
これらは、脂環式アルコール、例えば、1,3−又は1,4−ジヒドロキシシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン又は1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ−3−エンから誘導されるか、又はこれらは芳香核、例えば、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アニリン又はp,p’−ビス(2−ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンを含有する。
【0020】
エポキシ樹脂は、レゾルシノール、1,2−ベンゼンジオール又はヒドロキノンのような単環フェノールから誘導することもできるし、あるいは、多環フェノール、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、又は9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンベースであるか、又は酸条件下で得られる、例えばフェノールノボラックなどのフェノールのホルムアルデヒドとの縮合物ベースである。
【0021】
III)典型的には、エピクロロヒドリンと2個のアミノ水素原子を有するアミンとの反応生成物の脱塩化水素処理により得られるビス(N−グリシジル)化合物。これらのアミンは、典型的にはビス(4−アミノフェニル)メタン、m−キシリレンジアミン又はビス(4−メチルアミノフェニル)メタンである。しかしながら、ビス(N−グリシジル)化合物は、エチレン尿素又は1,3−プロピレン尿素などのシクロアルキレン尿素のN,N’−ジグリシジル誘導体、及びヒダントイン、典型的には5,5−ジメチルヒダントインのN,N’−ジグリシジル誘導体も包含する。
【0022】
IV)ビス(S−グリシジル)化合物、典型的には、1,2−エタンジチオール又はビス(4−メルカプトメチルフェニル)エーテルなどのジチオールから誘導されるビス(S−グリシジル)誘導体。
【0023】
V)式(II)の基を含有するエポキシ樹脂(式中、R及びRは一緒になって、−CH−CH−であり、mは0である)、典型的にはビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、2,3−エポキシシクロペンチルグリシジルエーテル又は、1,2−ビス(2,3−エポキシシクロペンチルオキシ)エタン。式(II)の基を含有するエポキシ樹脂(式中、R及びRは一緒になって、−CH−CH−であり、mは1である)は、典型的には、ユニオンカーバイド(Union Carbide)からERL4221として商業的に入手可能である3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシである。
【0024】
調製法の理由により、前記二官能性エポキシ樹脂は、少量の単官能基又は三官能基を含有してもよい。
【0025】
芳香族構造のジグリシジル化合物が主に使用される。
【0026】
異なる構造のエポキシ樹脂の混合物を使用することがさらに可能である。
【0027】
三官能性又は多官能性エポキシ樹脂をさらに添加して、分岐生成物を得ることができる。
【0028】
好適なエポキシ樹脂は典型的には次のものである:
a)ビスフェノールAの液体ジグリシジルエーテル、例えば、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GY240、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GY250、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GY260、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GY266、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GY2600、アラルダイト(Araldit)(登録商標)MY790、
b)ビスフェノールAの固体ジグリシジルエーテル、例えば、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6071、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT7071、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT7072、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6063、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT7203、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6064、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT7304、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT7004、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6084、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT1999、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT7077、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6097、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT7097、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT7008、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6099、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6608、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6609、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6610、
c)ビスフェノールFの液体ジグリシジルエーテル、例えば、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GY281、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GY282、アラルダイト(Araldit)(登録商標)PY302、アラルダイト(Araldit)(登録商標)PY306、
d)テトラフェニルエタンの固体ポリグリシジルエーテル、例えば、CGエポキシアラルダイト(Araldit)0163、
e)フェノールホルムアルデヒドノボラックの固体及び液体ポリグリシジルエーテル、例えば、EPN1138、EPN1139、GY1180、PY307、
f)o−クレゾールホルムアルデヒドノボラックの固体及び液体ポリグリシジルエーテル、例えば、ECN1235、ECN1273、ECN1280、ECN1299、
g)アルコールの液体グリシジルエーテル、例えば、Shell(登録商標)グリシジルエーテル162、アラルダイト(Araldit)(登録商標)DY0390、アラルダイト(Araldit)(登録商標)DY0391、
h)カルボン酸の液体グリシジルエーテル、例えば、Shell(登録商標)Cardura Eテレフタレート、アラルダイト(Araldit)(登録商標)PY284、
i)固体複素環式エポキシ樹脂(トリグリシジルイソシアヌレート)、例えば、アラルダイト(Araldit)(登録商標)PT810、
j)液体脂環式エポキシ樹脂、例えば、アラルダイト(Araldit)(登録商標)CY179、
k)p−アミノフェノールの液体N,N,O−トリグリシジルエーテル、例えば、アラルダイト(Araldit)(登録商標)MY0510、
l)テトラグリシジル−4−4’−メチレンベンズアミン又はN,N,N’,N’−テトラグリシジルジアミノフェニルメタン、例えば、アラルダイト(Araldit)MY720、アラルダイト(Araldit)(登録商標)MY721。
【0029】
好ましいエポキシ樹脂は、ビスフェノール類、典型的には2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン(ビスフェノールS)又はビス(オルト−/パラーヒドロキシフェニル)メタンの混合物(ビスフェノールF)のジグリシジルエーテル、又は3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンーカルボキシレートである。
【0030】
さらに好ましい二官能性エポキシ樹脂は、ビスフェノールAタイプの固体ジグリシジルエーテル、例えば、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GT6071、GT7071、GT7072、GT6097及びGT6099、ビスフェノールFタイプの液体エポキシ樹脂、例えば、アラルダイト(Araldit)(登録商標)GY281又はPY306、カルボン酸の液体グリシジルエーテル、例えば、シェル(Shell)(登録商標)Cardura Eテレフタレート、アラルダイト(Araldit)(登録商標)PY284及び液体脂環式エポキシ樹脂、例えばアラルダイト(Araldit)(登録商標)CY179である。
【0031】
重縮合物の量に対して、0.01〜5重量%、さらに好ましくは0.02〜2重量%のジエポキシドを使用するのが好ましい。
【0032】
原則として、本発明の方法は、−OH、−NH又はCOOH基を含む限り、あらゆる種類の前記重縮合物に関して用いることができる。
【0033】
ポリエステルは、少なくとも脂肪族ジカルボン酸及びジオールから誘導されるポリエステル、脂肪族ジオール及び芳香族ジカルボン酸からのポリエステル、部分的に脂肪族であり、部分的に芳香族であるコポリエステル、及び脂環式ジカルボン酸から誘導される単位を含有するポリエステルを含む。具体例は、ポリブチレンアジペート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリブチレンアジペートとポリブチレンテレフタレートのコポリエステル、ポリブチレンテレフタレートとポリエーテル、例えばポリテトラヒドロフランのコポリエステル、ブタンジオール及びシクロヘキサンジカルボン酸から誘導されるポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリピバロラクトン及びポリヒドロキシアルキル酸、例えば、ポリ乳酸を包含する。
【0034】
特に好適なポリエステルは、PET、PTT、PBT、PCT及び対応するコポリマー又はブレンド、例えば、PBT/PC、PBT/PS、PBT/ASA、PBT/ABS、PET/ABS、PET/PC又はPBT/PET/PC又は前記ポリエステル又は前記ブレンドのリサイクレートである。さらに好ましいのは、PET及びそのコポリマー、ならびにPBTブレンド及び/又はコポリマーである。最も好ましいのは、PET及び/又はPBTリサイクレートである。
【0035】
ポリアミドは、少なくとも1つの脂肪族ポリアミド、例えば、ポリアミド−4、ポリアミド−6、ポリアミド−8、ポリアミド−11、ポリアミド−12、ポリアミド−4,6、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6,9、ポリアミド−6,10、ポリアミド−6,12、脂肪族ジアミン及び芳香族ジカルボン酸由来のポリアミド、例えば、ポリアミド−4,T、ポリアミド−6,T、ポリアミド−4,Iなどを包含し、ここにおいて、Tはテレフタレートを表し、Iはイソフタレート、直鎖ポリアミドのコポリアミドならびに脂肪族及び部分的芳香族ポリアミドのコポリアミド、例えば、6/6,T、6/6,6/6,T、ならびにトロガミド(Trogamid)(登録商標)PA6−3−T及びグリルアミド(Grilamid)(登録商標)TR55型のアモルファスポリアミドを表す。ポリアミドに加えて、本発明は対応するコポリマー及びブレンド、例えば、PA/PP及びPA/ABS、ならびに未使用プラスチック及びリサイクレートの混合物も含む。さらに、ポリアミドはポリアミドのリサイクレートも含む。この方法は、一般に比較的長い重合時間を必要とする部分的芳香族ポリアミド及びコポリアミドの場合において特に有利である。
【0036】
ポリカーボネート(PC)は、未使用ポリカーボネートならびにポリカーボネートリサイクレートを意味する。PCは典型的には、ビスフェノールA及びホスゲン又はホスゲン類似体、例えば、トリクロロメチルクロロホルメート、トリホスゲン又はジフェニルカーボネートから、ジフェニルカーボネートの場合は縮合により、通常は適当なエステル交換触媒、例えば、水素化ホウ素、アミン、例えば、2−メチルイミダゾール又は第四アンモニウム塩を添加することにより得られる。ビスフェノールAに加えて、他の追加のビスフェノール成分、及びベンゼン核においてハロゲン化することができるモノマーも用いることができる。
【0037】
本発明は、製造廃棄物から回収される重縮合物リサイクレート、有用な収集物、又は特に包装産業、自動車産業又は電気部門から生じる強制リターナブル品に関して特に重要である。重縮合物リサイクレートは、様々な方法で熱及び/又は加水分解により損なわれる。さらに、これらのリサイクレートは、少量の異なる構造のプラスチック、例えば、ポリオレフィン、ポリウレタン、ABS又はPVCも含有し得る。加えて、これらのリサイクレートは、標準不純物、例えば、塗料残渣、接触材又は塗料系、微量の金属、微量の水、燃料残渣、又は無機塩も含有し得る。ブレンド又は混合物の場合、適合性は公知の適合剤の添加により向上させることができる。
【0038】
本発明の方法は、簡単な方法で、通常の溶融混合技術及び装置を用いて、例えば、低分子量を有する重縮合物、カルボニルビスラクタム及びジエポキシド及び任意に固体状態の他の添加剤を、例えば、回転式乾燥機中で乾式混合し、その後、得られた混合物を、例えば、ハーケ(Haake)混練機、ブラベンダーミキサー又は連続ミキサー、例えば、一軸又は二軸押出機などの通常の溶融混合装置中で溶融させることにより行うことができる。押出機は、バレル及び少なくとも1つのスクリューを含む機械であり、例えば、メルファー(Maillefer)、ブス(Buss)及びクルップ‐ヴェルナー&プファイデラー(Krup−Werner&Pfleiderer)などの数社から商業的に入手可能である。好ましくは、押出機が用いられる。これにより、高分子重縮合物を調製するための不活性条件を維持しつつ、高分子重縮合物の連続的製造が可能になる。さらに好ましく、一軸押出機が用いられる。これにより、高分子重縮合物を調製するためのさらに費用効果的な方法が得られる。
【0039】
異なる成分を別々に、例えば、シリカゲルなどの基体上、マスターバッチの形態において、又はポリマー粉末又はワックス、例えば、ポリエチレンワックスとともに、混合装置に供給することもできる。
【0040】
溶融混合前に低分子重縮合物が完全に乾燥されるならば、最良の結果が得られる。
【0041】
溶融混合に好適な温度は、例えば、次の通りである:
PA−6 230〜270℃
PA−6,6 260〜300℃、
PA−4,6 300〜330℃、
PBT 230〜280℃、
PET 260〜310℃、
PBT/PC 230〜280℃、及び
PC 260〜320℃。
【0042】
本発明のもう一つ別の実施形態は、重合プロセスにおいて、カルボニルビスラクタム及びジエポキシドを溶融した重縮合生成物流れに添加することを含む。これは、カルボニルビスラクタム及びジエポキシドを重合リアクター中、溶融した重縮合物に添加することにより行うことができる。さらなる実施形態は、カルボニルビスラクタム及びジエポキシドを、溶融した重縮合物に、これが重合リアクターから出る直前に、例えばリアクターの出口、又はリアクターの出口直前で供給することを含む。この場合において、出口において静的混合エレメントを好適に用いることができる。重合プロセスは、バッチ方式又は連続方式で行うことができる。最初の場合において、リアクター中の滞留時間を減少させ、かくして生産性を増大させることができ;連続プロセスを用いて、十分な分子量のポリアミド又はポリエステルを得るために通常必要な縮合後の工程を回避することができる。
【0043】
カルボニルビスラクタム及びジエポキシドに加えて、さらなる添加剤及び/又は安定剤を本発明の方法において重縮合物に添加することができる。これらのさらなる添加剤及び/又は安定剤は当業者に公知であり、最終生成物の特定の要求に従って選択される。特に、光安定剤又は酸化防止剤又は追加の酸化防止剤を添加することが可能である(「Plastics Additives Handbook」,R.ガハター(Gachter)及びH.ミュラー(Muller)編、ハンザーフェアラーク(Hanser Verlag)、第3版、1990年;特に、88/89、92、94、251/252及び258、259頁)。同様に、さらなる修飾剤、例えば、スリップ剤、離型剤、衝撃強度向上剤、充填剤又は強化剤、例えば、ガラス繊維、難燃剤、静電防止剤及び、特にPBT/PCリサイクレートについては、加工中のエステル交換を防止する修飾剤を添加することが可能である。
【0044】
特に好適な添加剤及び/又は安定剤には、次のものが含まれる:
・酸化防止剤、例えば、アルキル化モノフェノール;アルキルチオメチルフェノール;ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン;ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル;アルキリデンビスフェノール;O−、N−及びS−ベンジル化合物;1.8−ヒドロキシベンジル化マロネート;芳香族ヒドロキシベンジル化合物;トリアジン化合物;ベンジルホスホネート;アシルアミノフェノール;β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル;β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸と一価又は多価アルコールとのエステル;3,5−ジ−tert−ブチル−4ヒドロキシフェニル酢酸と一価又は多価アルコールとのエステル;β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド。
・UV吸収剤及び光安定剤、例えば、2−(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール;2−ヒドロキシベンゾフェノン;置換及び非置換安息香酸のエステル;アクリレート;ニッケル化合物;立体障害アミン;オキサミド;2−(2−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリアジン。
・金属不活性化剤。
・ホスファイト、ホスホナイト及びジホスホナイト。
・過酸化物スカベンジャー。
・ポリアミド安定剤、例えば、ヨージド及び/又はリン化合物と組み合わせられた銅塩及び二価マンガンの塩。
・塩基性補助安定剤、例えば、メラミン及びその誘導体及びポリビニルピロリドン。
・成核剤。
・充填剤及び強化剤、例えば、シリケート、ガラス繊維、ガラスビーズ、タルク、カオリン、マイカ、硫酸バリウム、金属酸化物及び水酸化物、カーボンブラック及びグラファイト。
・他の添加剤、例えば、可塑剤、滑剤、乳化剤、顔料、例えば、二酸化チタン、蛍光増白剤、難燃剤、静電防止剤、発泡剤及び、リサイクレートブレンドの場合、特に、適合剤、典型的にはコポリマー、さらに詳細にはスチレンとブタジエンとのブロックコポリマー、又はスチレン、ブタジエン及びアクリロニトリルのブロックコポリマー。
・エポキシ樹脂のさらなる添加剤は、エポキシ樹脂の硬化に通常用いられる化合物であり、例えば、無水カルボン酸、ポリアミン、ポリチオール、第三級アミンである。
・ベンゾフラノン及びインドリノン。
【0045】
前記充填剤及び強化剤は、一般に、重縮合物の総質量及び添加剤の総質量を基準にして、5〜50重量%の間で添加される。好ましくは、充填剤及び強化剤は重縮合物の総質量及び添加剤の総質量を基準にして10〜30重量%の間で添加される。
【0046】
前記の他の添加剤は、一般に、重縮合物の総質量及び添加剤の総量を基準にして0.01〜5重量%の間で添加される。好ましくは、前記の他の添加剤は重縮合物の総質量及び添加剤の総質量を基準にして0.1〜2重量%の間で添加される。
【0047】
テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジホスホナイト(イルガフォス(Irgafos)(登録商標)PEPQ)は特に非常に好ましいジホスホナイトである。重縮合物の量に対して0.01〜5重量%の前記ジホスホナイトを使用するのが好ましく、0.05〜2重量%を使用するのがさらに好ましい。
【0048】
本発明の方法による高分子重縮合物は、押出及び射出成形品をはじめとする成型品の製造において好適に用いることができる。好ましくは、本発明のプロセスによる高分子重縮合物は、繊維、単繊維、フィルム及びボトルの製造において用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】化学式を表す図である。
【図2】化学式を表す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエーテル又はこれらの重縮合物の少なくとも2つの混合物を式(I):
【化1】


(式中、nは3〜15の間の整数である)のカルボニルビスラクタムと溶融混合することにより、高分子重縮合物、すなわち、ポリエステル、ポリアミド、ポリエステル−アミド、ポリカーボネート、ポリエーテル又はブロックコポリマーを調製する方法であって、前記溶融混合の間にジエポキシドが存在することを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ジエポキシドが式(II):
【化2】


(基は、炭素、酸素、窒素又は硫黄原子に直接結合し、式中、R及びRはどちらも水素であり、Rは水素又はメチルであり、m=0であるか、又はR及びRは一緒になって、−CH−CH−又はCH−CH−CH−であり、この場合、Rは水素であり、m=0又は1である)のエポキシ基を含有する化合物である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)において、n=5である請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記重縮合物の量に対して0.1〜4重量%のビスラクタムが使用される請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記重縮合物の量に対して0.01〜5重量%のジエポキシドを使用する請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記融合混合の間、さらに添加剤及び/又は充填剤及び/又は強化剤及び/又は安定剤が添加される請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記溶融混合が押出機で行われる請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記溶融混合が一軸押出機で行われる請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物において、n=5である請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−522273(P2007−522273A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−548185(P2006−548185)
【出願日】平成16年12月29日(2004.12.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/014886
【国際公開番号】WO2005/068532
【国際公開日】平成17年7月28日(2005.7.28)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】