説明

高剛性面体の施工方法、及び、高剛性面体の施工に用いられる連結部材

【課題】本発明は、板材の滑り方向の耐力を向上させて面内剛性を高めることができる高剛性面体を形成し、ひいては構造体の剛性を高めるのに寄与することのできる高剛性面体の施工方法、及び、連結部材を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明に係る高剛性面体の施工方法は、対向する二つの板材20,20のうち一方の板材20の側面21に突入する一方側突入部2と、他方の板材20の側面22に突入する他方側突入部3と、前記一方側突入部2及び他方側突入部3に交差する方向に沿って設けられる交差部4とを備える連結部材1を用い、前記一方側突入部2を一方の板材20の側面21に突入させ、他方側突入部3を他方の板材20の側面22に突入させるとともに、前記交差部4を双方の板材20,20の間に挟んだ状態で、前記対向する板材20,20同士を連結して高剛性面体10を施工することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板材を側面同士を対向させて配置して高剛性面体を形成する高剛性面体の施工方法、及び、該高剛性面体の施工に用いられる連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
最近の木造建築においては、柱や梁等の骨組みに対して構造用合板と呼ばれる部材を用いて床や壁を構築し、この構造用合板の上に壁紙を施したりフローリング等の床材を施したりして壁や床が仕上られるのが主流である。かかる構造用合板は構造耐力に大変優れた特性を有するものであり、これを用いた現代建築は堅牢であるものの、構造用合板や壁紙、フローリング等の床材などが人工的なものであるため、このような木造建築は、天然素材の風合いには欠けるものである。
【0003】
ところで、日本古来の建築構法として、柱や梁等を覆うことなくそのまま露出させ、また、杉板などの板材を面状に並べて床や天井を構成してこれらをそのまま露出させるあらわし構法と呼ばれる構法が存在する。このあらわし構法は、天然素材ならではの風合いが豊かに醸し出され、室内環境の面でもデザイン的な面でも非常に優れたものである。
【0004】
このため、近年、建築物全体に対する問題の顕在化や付加価値の高い建築物に対する要望の高まりに伴って、このようなあらわし構法を積極的に取り入れた建築(特に、住宅)の人気が高まっている。
【0005】
ここで、あらわし構法の代表的な構造について説明すると、例えばあらわし構法の床は、図13に示すように、梁40の上に直接板材20を敷き詰めて構成される。かかるあらわし構法の床は、梁40の上に敷かれた板材20をそのまま床面として機能させることができる(図13(A)参照)とともに、下方から見た場合にはそのまま天井として機能させることができる(図13(B)参照)という特徴がある。
【0006】
また、あらわし構法の施工方法は、複数の板材20,20…を側面同士を対向させて配置するものであり、具体的には、板材20を梁40の上に載置し、板材20の側面から梁40に向かって斜めにビス等の固定部材を打ち込み、且つ、板材20の上面からも梁に向かって固定部材を打ち込むことで板材20を梁40に固定していくというものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述のようなあらわし構法による床は、各板材20,20…と梁40とはそれぞれ固定部材によって強固に固定されるものの、板材20,20同士を連結するものではない。ここで、床は、横方向から力が加わった際に床全体が変形することなく一体的に変位するもの(図14(A)参照)が構造的に好ましいが、あらわし構法による床は、床の横方向から力が加わると各板材20,20が別々に変位し、板材20,20同士が相対的に滑りつつ床が変形してしまうため(図14(B)参照)、板材20の滑り方向の耐力が低く、例えば構造用合板を用いて構成された床に比べると面内剛性が劣るきらいがあった。
【0008】
そこで、本発明は、板材の滑り方向の耐力を向上させて面内剛性を高めることができる高剛性面体を形成し、ひいては構造体の剛性を高めるのに寄与することのできる高剛性面体の施工方法、及び、そのような高剛性面体を形成するのに用いられる連結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る高剛性面体の施工方法は、複数の板材を側面同士を対向させて並べ、高剛性面体を形成する高剛性面体の施工方法であって、対向する二つの板材のうち一方の板材の側面に突入する一方側突入部と、該一方側突入部とは反対方向を向いて設けられ、他方の板材の側面に突入する他方側突入部と、前記一方側突入部及び他方側突入部に連続し且つそれらに交差する方向に沿って設けられる交差部とを備える連結部材を用い、前記一方側突入部を側面同士の対向方向に沿って一方の板材の側面に突入させ、他方側突入部を前記対向方向に沿って他方の板材の側面に突入させるとともに、前記交差部を双方の板材の間に挟んだ状態で、前記対向する板材同士を連結して高剛性面体を施工することを特徴とする。
【0010】
上記構成からなる高剛性面体の施工方法によれば、対向する板材同士が連結部材によって強固に連結される。そして、板材の滑り方向に力が作用した場合には、一方側突入部と他方側突入部とが互いに異なる方向から力を受ける状態となる。このとき、前記交差部は、双方の板材の間に挟まれた状態となっているため、対向する板材同士の間に位置する部分(即ち、交差部)を中心に連結部材が回転しようとしても、前記交差部が板材に干渉し、回転が規制されることとなる。
【0011】
また、前記連結部材が前記交差部まで側面に打ち込まれた前記一方の板材と前記他方の板材とを側面同士が当接するように接近させて、前記連結部材の他方側突入部を前記他方の板材に突入させる構成が好ましい。
【0012】
上記構成によれば、前記一方の板材には前記連結部材が前記交差部まで側面に打ち込まれ、前記他方側突入部は、一方の板材から突出した状態となっている。かかる二つの板材に側面同士が接近するように力を作用させると、前記他方側突入部が前記他方の板材に突入することとなる。この際、前記連結部材は、交差部が前記一方の板材に当接するため、一方の板材側にそれ以上没入するのを規制される。従って、対向する板材の側面同士が当接させると、前記交差部が前記双方の板材の間に挟まれた状態が実現される。
【0013】
さらに、対向する板材のうち一方の板材の側面には該側面の長手方向に沿って凸部が設けられるとともに、他方の板材の側面には前記凸部と接合する凹部が前記側面の長手方向に沿って設けられ、前記連結部材の一方側突入部を前記一方の板材の凸部に突入させるとともに、前記他方側突入部を前記他方の板材の凹部に突入させる構成が好ましい。
【0014】
上記構成によれば、対向する板材のうち一方の板材の側面には凸部が設けられるとともに、他方の板材の側面には前記凸部と嵌合する凹部が設けられることで、対向する板材同士を密接に接合することができる上に、板材同士が継ぎ目で重なり合う状態となるため、対向する板材同士を隙間なく接合することができる。また、前記板材の凸部に前記連結部材の一方側突入部を突入させるようにしているため、位置決めを容易に行うことができる。さらに、前記板材の凸部は本体部から外方に突出しているため、連結部材を前記交差部まで打ち込む場合の作業性が良い。
【0015】
また、前記連結部材は、前記一方側突入部及び他方側突入部が対をなして一直線上に設けられ、且つ、該一方側突入部及び他方側突入部の対が少なくとも二つ設けられ、前記連結部材の交差部における前記二つの他方側突入部の間の部分に対して打ち込み力を作用させることによって、前記一方側突入部を前記一方の板材の側面に突入させる構成が好ましい。
【0016】
上記構成によれば、一方側突入部が板材に突入する際に連結部材が板材と少なくとも二箇所で当たるため、安定性が増してぶれることがなく、作業性が良い。しかも、二つの他方側突入部の間の部分に対して打ち込み力を作用させることで二つの一方側突入部に対してバランス良く力が作用することとなり、さらに作業性を良くすることができる。
【0017】
ところで、前記滑り方向の力が加えられた場合、連結部材は突入部と交差部との連続部分を中心に回転しようとするが、板材と干渉する部位のうち回転中心となり得る位置から遠い箇所ほど回転のしにくさ(即ち、回転モーメント)に大きく寄与し、近い箇所ほど寄与する程度も小さいものである。この点、上記構成によれば、各板材に突入する突入部が複数となることで前記回転中心となり得る位置も複数になるため、交差部上のある特定の箇所が回転中心となり得る位置の一つから近かったとしても、該特定の箇所は別の回転中心となり得る位置からは所定間隔離れているため、結果として、交差部上の多くの箇所が回転モーメントに大きく寄与することとなる。
【0018】
あるいは、本発明に係る連結部材は、対向する二つの板材のうち一方の板材の側面に該側面の長手方向に沿って設けられた凸部と他方の板材の側面に該側面の長手方向に沿って設けられた凹部とを接合させて複数の板材を並べ高剛性面体を形成する際に、前記対向する板材同士を連結すべく用いられる連結部材であって、対向する板材同士の対向方向に沿って一方の板材の凸部に突入する一方側突入部と、該一方側突入部とは反対方向を向いて設けられ、他方の板材の凹部に突入する他方側突入部と、前記一方側突入部及び他方側突入部に連続し且つそれらに交差する方向に沿って設けられ、前記凸部及び凹部の間に挟まれる交差部とを備えることを特徴とする。
【0019】
上記構成からなる連結部材によれば、対向する板材同士を強固に連結することができる。そして、板材の滑り方向に力が作用した場合には、一方側突入部と他方側突入部とが互いに異なる方向から力を受ける状態となる。このとき、前記交差部は、双方の板材の間に挟まれた状態となっているため、対向する板材同士の間に位置する部分(即ち、交差部)を中心に連結部材が回転しようとしても、前記交差部が板材に干渉し、回転が規制されることとなる。また、前記板材の凸部に前記連結部材の一方側突入部を突入させるようにしているため、位置決めを容易に行うことができる。
【0020】
また、前記交差部まで前記一方の板材の側面に設けられる凸部に打ち込むと、前記一方側突入部の先端が前記凸部の基端部を超える位置まで前記一方の板材に突入するように寸法設定される構成が好ましい。
【0021】
上記構成によれば、前記連結部材を交差部まで一方の板材の凸部に没入させると、一方側突入部の先端が前記板材の凸部を超えて本体部まで突入する。ここで、一方側突入部の先端は板材の本体部まで及んでおり、該本体部は凸部よりも厚みがあることから、前記高剛性面体の前記滑り方向の力に対する耐力を高めることができる。さらに、前記板材の凸部は本体部から外方に突出しているため、連結部材を前記交差部まで打ち込む場合の作業性が良い。
【0022】
また、前記交差部まで前記一方の板材の側面に設けられる凸部に打ち込むと、前記一方側突入部の先端が前記凸部の基端部を超える位置まで前記一方の板材に突入するように寸法設定される構成が好ましい。
【0023】
上記構成によれば、一方側突入部が板材に突入する際に連結部材が板材と少なくとも二箇所で当たるため、安定性が増してぶれることがなく、作業性が良い。しかも、二つの他方側突入部の間の部分に対して打ち込み力を作用させることで二つの一方側突入部に対してバランス良く力が作用することとなり、さらに作業性を良くすることができる。
【0024】
また、前記一方側突入部、他方側突入部、及び交差部は、これら各部の長さ方向に直交する断面が湾曲して形成される構成が好ましい。
【0025】
上記構成によれば、前記一方側突入部、他方側突入部、及び交差部の各部が湾曲して形成されることにより、剛性を高めることができるとともに、各部を受圧部として有効に機能させることができる。従って、前記一方側突入部及び他方側突入部を板材に突入させる際や前記滑り方向の力が作用した際に、各部の変形が抑えられることにより、板材同士を確実に連結することができるとともに、高剛性面体の前記滑り方向の力に対する耐力を高めることができる。
【発明の効果】
【0026】
以上のように、本発明によれば、板材の滑り方向の耐力を向上させて面内剛性を高めることができ、ひいては構造体の剛性を高めるのに寄与することのできる高剛性面体を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
<第一実施形態>
以下に、本発明の第一実施形態について、図面に基づいて説明する。まず、第一実施形態に係る連結部材について説明する。
【0028】
第一実施形態に係る連結部材1は、図1に示すように、複数の板材20,20…を側面21,22同士を対向させて並べて図2に示すような高剛性面体10を形成する際に板材20,20同士を連結すべく用いられるものであり、対向する二つの板材20,20のうち一方の板材20の側面21に突入する一方側突入部2と、該一方側突入部2とは反対方向を向いて設けられ、他方の板材20の側面22に突入する他方側突入部3と、前記一方側突入部2及び他方側突入部3に連続し且つそれらに交差する方向に沿って設けられ、双方の板材20,20の間に挟まれる交差部4とを備える。
【0029】
まず、高剛性面体10を施工するのに用いられる板材20について説明する。該板材20は、所定の厚みを有する長尺体である。素材としては、デザイン的な観点や人体に与える影響の観点、及び、強度の観点から、例えば杉板等の天然木材を用いるのが好ましい。また、各板材20には、長手方向に沿う二つの側面21,22のうち一方の側面21(一般に「傍」と呼ばれる)に該側面21の長手方向に沿って本体部23から外方に突出する凸部24が形成されており、他方の側面22に該側面22の長手方向に沿って凹部25が形成されており、複数の板材20,20同士は、これら凸部24及び凹部25を嵌合させて隙間を設けずに接合される。なお、一般的に、この凸部24は「実」と呼ばれ、凹部25は「小穴」と呼ばれ、また、このような接合方法は「実矧ぎ」と呼ばれる。
【0030】
また、前記凸部24は、前記側面21における板材20の厚み方向の中間位置に設けられる。凹部25はこれに対応して形成されており、同様に前記側面22における板材20の厚み方向の中間位置に設けられる。板材20は、いわゆる厚板と呼ばれるものであり、具体的な寸法としては、本体部23の厚みが40mm、幅が160mm、凸部24の厚み(幅)及び凹部25の幅が10mm、凸部24の高さ(突出量)及び凹部25の深さが10mmであり、凸部24及び凹部25の幅方向の中心は板材20の厚み方向の中心と一致させて設けられる。
【0031】
次に、前記連結部材1は、図3に示すような形状を有し、前記一方側突入部2が前記対向する板材20,20同士の対向方向に沿って前記一方の板材20の凸部24に突入し、前記他方側突入部3が前記板材20,20同士の対向方向に沿って前記他方の板材20の凹部25に突入し、前記交差部4が前記凸部24及び凹部25の間に挟まれる。具体的には、前記交差部4は、前記一方側突入部2及び他方側突入部3の突出方向に直交する方向に沿って延びるように設けられ、即ち、交差部4は、前記一方側突入部2及び他方側突入部3と直交する。
【0032】
前記一方側突入部2、他方側突入部3、及び、交差部4は、打ち込みの際や板材20に突入する際に変形してしまうことのないよう高い剛性を有する。また、前記各部2,3,4は一体的に形成され、打ち込みの際や板材20に突入する際に、前記一方側突入部2と交差部4、及び、他方側突入部3と交差部4が互いに直交した状態を維持可能なように、その連続部分も高い剛性に設定される。
【0033】
また、前記連結部材1は、前記交差部4まで前記一方の板材20の側面21に設けられる凸部24に打ち込むと、前記一方側突入部2の先端が前記凸部24の基端部を超える位置まで(即ち、本体部23まで)前記一方の板材20に突入するように寸法設定される(図5参照)。
【0034】
そして、図3に示すように、前記一方側突入部2及び他方側突入部3は、先端側が尖鋭に形成される。また、これら各突入部2,3は、中実に形成される。具体的には、前記一方側突入部2は、側面視同一幅に形成される軸部位2aと尖鋭な形状を有する先端部位2bとを有する。そして、前記軸部位2aは、前記交差部4まで凸部24に打ち込まれた状態で、板材20の本体部23に届く長さを有する。即ち、前記交差部4の他端側を向く部位から軸部位2aと先端部位2bとの境界部分までの高さ方向長さが前記凸部24の高さ(突出量)よりも大きく寸法設定される。また、前記一方側突入部2は、他方側突入部3よりも長く形成される。
【0035】
また、前記一方側突入部2及び他方側突入部3は、対をなして一直線上に設けられる。また、該一方側突入部2及び他方側突入部3の対は、少なくとも二つ設けられる。
【0036】
前記一方側突入部2及び他方側突入部3は、一直線上に設けられることで、一つの突起5を形成する。即ち、前記連結部材1は、直線状に形成される突起5と、該突起5の中間位置から前記突起5に交差する方向に沿って延びる交差部4とを備えるものとして特定することもでき、前記突起5と交差部4とが接続する位置(前記中間位置)から一方側へ突出した部分が前記一方側突入部2に相当し、他方側へ突出した部分が前記他方側突入部3に相当する。また、前記交差部4の両端部から該交差部4に交差する方向に沿って突出する突起5を備えるものとして特定することもできる。
【0037】
前記交差部4は、連結部材1が打ち込まれる際に加えられる打ち込み力を直接受け止めるとともに、連結部材1が打ち込まれる際に板材20と当接して沈み込みを防止すべく機能する。具体的には、前記交差部4のうち前記他方側を向く部位が打ち込み力を直接受け止める部位であり、前記一方側を向く部位が沈み込みを防止すべく機能する部位である。
【0038】
なお、連結部材1は、好ましい剛性を実現可能と考えられる厚みの金属板を用意し、該金属板をプレスやレーザーカット等によって連結部材の形状に切り出して製造したものである。
【0039】
また、連結部材1は、前記板材20の凸部24の厚みよりも小さく設定されるものであり、具体的な寸法としては、幅が40mm、高さが30mm、厚みが4mmに設定される。また、前記一方側突入部2及び他方側突入部3の先端部位2b及び3bは、各先端から6mmの領域に設けられ、前記一方側突入部2及び他方側突入部3の軸部位2a及び3aは、幅が4mmに設定される。前記交差部4は、幅が4mmに設定され、該交差部4の中心線は、前記一方側突入部2の先端から18mm(他方側突入部3の先端から12mm)の位置に設けられる。
【0040】
次に、上述したような連結部材1を用いた高剛性面体の施工方法について説明する。該高剛性面体の施工方法は、図1及び図4に示すように、複数の板材20,20…を側面21,22同士を対向させて並べ、高剛性面体10を形成する高剛性面体の施工方法であって、前記連結部材1の一方側突入部2を側面同士の対向方向に沿って一方の板材20の側面21に突入させ、他方側突入部3を前記対向方向に沿って他方の板材20の側面22に突入させるとともに、前記交差部4を双方の板材20,20の間に挟んだ状態で、前記対向する板材20,20同士を連結して高剛性面体10(図2参照)を施工するものである。
【0041】
また、施工の際には、図4に示すように、前記連結部材1が前記交差部4まで側面に打ち込まれた前記一方の板材20と前記他方の板材20とを側面21,22同士が当接するように接近させて、前記連結部材1の他方側突入部3を前記他方の板材20に突入させる。
【0042】
ところで、高剛性面体の施工方法においては、現場において、まず連結部材1を前記交差部4まで打ち込んだ板材20を製作した後、高剛性面体10の施工が最終的に完成される。
【0043】
具体的には、まず、長手方向に沿う側面21に前記凸部24が形成された板材20を用意する。次に、該板材20の側面21(凸部24)に前記連結部材1の一方側突入部2を突入させて前記交差部4まで前記連結部材1を打ち込む。また、前記連結部材1は、交差部4の平坦部位4bが前記凸部24の端面と面一となるまで打ち込まれる(図5参照)。
【0044】
連結部材1の打ち込みに際しては、前記連結部材1の交差部4における前記二つの他方側突入部3,3の間の部分に対して、ハンマー若しくは打ち込み機等を用いて打ち込み力を作用させることによって、前記一方側突入部2を前記一方の板材20の側面21に突入させる。また、前記連結部材1は、910mm間隔で板材20の側面21に打ち込まれる。なお、このような打ち込み機としては、例えば、前記他方側突入部3に対応する形状の保持部によって前記他方側突入部3を遊びを有する状態で保持し、打ち込みの際に前記他方側突入部3をガイドするものが好ましく、連結部材1を前記板材20の側面21に対して直交する状態に位置決めし、真っ直ぐに打ち込めるよう構成されたものが好ましい。
【0045】
次に、凸部24及び凹部25の向きを揃えて複数の板材20,20…を配置していく。例えば、図2に示すような建物の2階の床11を施工する場合にあっては、床11を施工する領域の端から梁40(図4参照)の上に板材20を並べる。その際、先に配置された板材(一方の板材)20の凸部24に別の板材(他方の板材)20の凹部25を嵌合させることによって、板材20,20同士が接合される。
【0046】
具体的には、前記他方の板材20を一方の板材20の手前に並べて置き、該他方の板材20の側面21,22のうち一方の板材20とは反対側の側面(即ち、凹部25が形成されている側面)22を打撃する等により、側面21,22同士が当接するまで板材20,20同士を接近させる。これにより、前記連結部材1の他方側突入部3は、前記他方の板材20の凹部25に突入することとなる。板材20,20同士が連結部材1によって連結された状態を図5に示す。
【0047】
ところで、高剛性面体の施工に際しては、前記各板材20は、上面から垂直にビスや釘等の固定部材50を打ち込んで梁40に固定される。この板材20の固定は、各板材20を梁の上に配置するごとに行われるものであるが、これに限定されるものではなく、複数の板材20を面状に配置した後にまとめて行われるものであっても良い。さらに、固定部材50を打ち込んだ後、該固定部材50の頭を隠し、また、固定部材50の打ち込みによってできた穴を塞ぐために、ダボ埋めが行われる。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る連結部材1及び高剛性面体の施工方法によれば、板材20の滑り方向の耐力を向上させて面内剛性を高めることができ、ひいては構造体の剛性を高めるのに寄与することのできる高剛性面体10を形成することができる。
【0049】
即ち、前記連結部材1及び高剛性面体の施工方法によれば、対向する板材20,20同士が連結部材1によって強固に連結される。そして、板材20の滑り方向に力が作用した場合には、図6に概略的に示すように、一方側突入部2と他方側突入部3とが互いに異なる方向から力Fを受ける状態となる。このとき、前記交差部4は、一方の板材20に没入しつつも双方の板材20,20の間に挟まれた状態となっているため、対向する板材20,20同士の間に位置する部分(即ち、交差部4)を中心に連結部材1が回転しようとしても、前記交差部4が板材20に干渉して抗力Rを受け、回転が規制されることとなる。
【0050】
また、前記一方の板材20には前記連結部材1が前記交差部4まで側面21に打ち込まれ、前記他方側突入部3が一方の板材20から突出した状態となっている。かかる二つの板材20,20に側面21,22同士が接近するように力を作用させると、前記他方側突入部3が前記他方の板材20に突入することとなる。この際、前記連結部材1は、交差部4が前記一方の板材20に当接するため、一方の板材20側にそれ以上没入するのを規制される。従って、対向する板材20,20の側面21,22同士を当接させると、前記交差部4が前記双方の板材20,20の間に挟まれた状態が実現される。
【0051】
そして、対向する板材20,20のうち一方の板材20の側面21には凸部24が設けられるとともに、他方の板材20の側面22には前記凸部24と嵌合する凹部25が設けられることで、対向する板材20,20同士を密接に接合することができる上に、板材20,20同士が継ぎ目で重なり合う状態となるため、対向する板材20,20同士を隙間なく接合することができる。また、前記板材20の凸部24に前記連結部材1の一方側突入部2を突入させるようにしているため、位置決めを容易に行うことができる。さらに、前記板材20の凸部24は本体部23から外方に突出しているため、連結部材1を前記交差部4まで打ち込む場合の作業性が良い。
【0052】
さらに、連結部材1は、一方側突入部2が板材20に突入する際に該板材20と少なくとも二箇所で当たるため、安定性が増してぶれることがなく、作業性が良い。しかも、二つの他方側突入部3,3の間の部分に対して打ち込み力を作用させることで二つの一方側突入部2,2に対してバランス良く力が作用することとなり、さらに作業性を良くすることができる。
【0053】
ところで、前記滑り方向の力が加えられた場合、連結部材1は突入部2,3と交差部4との連続部分を中心に回転しようとするが、板材20と干渉する部位のうち回転中心となり得る位置から遠い箇所ほど回転のしにくさ(即ち、回転モーメント)に大きく寄与し、近い箇所ほど寄与する程度も小さいものである。この点、上記構成によれば、各板材20,20に突入する突入部2若しくは3が複数となることで前記回転中心となり得る位置も複数になるため、交差部4上のある特定の箇所が回転中心となり得る位置の一つから近かったとしても、該特定の箇所は別の回転中心となり得る位置からは所定間隔離れているため、結果として、交差部4上の多くの箇所が回転モーメントに大きく寄与することとなる。
【0054】
また、前記連結部材1を交差部4まで一方の板材20の凸部24に没入させると、一方側突入部2の先端が前記板材20の凸部24を超えて本体部23まで突入する。ここで、一方側突入部2の先端は板材20の本体部23まで及んでおり、該本体部23は凸部24よりも厚みがあることから、前記高剛性面体10の前記滑り方向の力に対する耐力を高めることができる。
【0055】
そして、前記連結部材1は、前記一方側突入部2、他方側突入部3、及び交差部4の各部が湾曲して形成されることにより、剛性を高めることができるとともに、各部2,3,4を受圧部として有効に機能させることができる。従って、前記一方側突入部2及び他方側突入部3を板材20に突入させる際や前記滑り方向の力が作用した際に、各部2,3,4の変形が抑えられることにより、板材20,20同士を確実に連結することができるとともに、高剛性面体10の前記滑り方向の力に対する耐力を高めることができる。
【0056】
ところで、上述のような連結部材1及び該連結部材1を用いて高剛性面体10を施工した場合、床の剛性を表す指標である床倍率が一般に「剛床」と呼ばれる値である3.0以上を理論的に達成可能であることが計算上確認できた。このように、連結部材1及び該連結部材1を用いて施工された高剛性面体10は、ビス等の固定部材のみを用いた従来のあらわし構法では実現し得ない床倍率を達成することができ、また、従来の構造用合板を用いて構築された床にも劣らない剛性を有するであろうことが理論的に確認できた。
【0057】
<第二実施形態>
第二実施形態に係る連結部材60は、図7に示すように、第一実施形態に係る連結部材1と基本的に共通する構成を有するが、特徴的な構成として、一方側突入部62及び他方側突入部63は、これら各部62,63の長さ方向に直交する断面が曲がった形状を有する。また、交差部64も、その長さ方向(即ち、前記各突入部に交差する方向)に直交する断面が曲がった形状を有する。具体的には、前記一方側突入部62、他方側突入部63、及び交差部64は、これら各部62,63,64の長さ方向に直交する断面が湾曲して形成される。なお、このような連結部材60は、金属板を用いて成形される。素材としては、SPHCと呼ばれる熱間圧延鋼板が用いられる。
【0058】
前記交差部64は、前記各突入部62,63に直交する方向に沿う平坦面を有して形成される。より具体的には、前記交差部64は、一対の突起65,65を接続する接続部位64aと該接続部位64aに連続して設けられる平坦部位64bとを備える。
【0059】
また、前記他方側突入部63と交差部64との接続部分には、補強部(若しくはリブ部)66が設けられる。該補強部66は、前記他方側突入部63と交差部64とで画される角部を埋める態様で、他方側突入部63の先端部位と交差部64とを接続する。具体的には、前記補強部66は、他方側突入部63及び交差部64の各長さ方向に傾斜する端縁を有する。そして、補強部66は、前記交差部64の長さ方向(即ち、交差部64の延びる方向)における前記平坦部位64bが設けられる位置に及ぶように設けられる。また、前記補強部66の端縁は、前記接続部位64aの前記一方側を向く端縁との連続部分が湾曲形状に形成され、前記端縁同士は滑らかに連続する。
【0060】
連結部材60の製法としては、まず、プレス等により、図7(D)に示すような一方側突入部62、他方側突入部63、及び交差部64となる部分72,73,74の全体形状を有する平坦な原材70を金属板から切り取る。次に、前記平坦な原材70の一方側突入部62及び他方側突入部63となる部分72,73をその長さ方向に沿ってその幅方向中間位置で曲げ、交差部64における接続部位64aとなる部分74aと平坦部位64bとなる部分74bとの境界をその長さ方向に沿って曲げる。また、一方側突入部62及び他方側突入部63となる部分72,73は、連結部材60の高さ方向に最も突出する位置において曲げられる。
【0061】
なお、曲げ加工が施される前段階の平坦な原材70は、全体形状を有する。この状態では、交差部64となる部分74の両側に前記各突入部62,63となる部分72,73が位置する。なお、前記交差部64の平坦部位64bとなる部分74bは、接続部位64aとなる部分74aの他方側に突出させて設けられる。また、前記接続部位64aとなる部分74aは、各突入部62,63となる部分72,73と連続して形成されるが、前記平坦部位64bとなる部分74bは、折り曲げ可能となるように、各突入部62,63となる部分72,73と分断して形成される。また、前記補強部66は、交差部64となる部分74の一方側に位置し、前記各突入部62,63となる部分72,73及び交差部64となる部分74と連続して設けられる。
【0062】
また、連結部材60は、前記板材20の凸部24の厚みよりも小さく設定されるものであり、具体的な寸法としては、幅が44mm、高さが30mm、各突入部62,63の湾曲部分及び平坦部位64bを含む厚み(側面視幅)が5mmに設定される。
【0063】
なお、本発明に係る連結部材及び高剛性面体の施工方法は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0064】
例えば、連結部材としては、様々な形状のものが考えられる。その例を挙げると、図8(A)に示すように、一方側突入部及82び他方側突入部83の先端部が尖鋭に形成されず、同一幅で形成される連結部材80であってもよい。また、図8(B)や(C)に示すような連結部材90,100であってもよい。さらに、図8(D)及び(E)に示すように、前記一方側突入部112,122と他方側突入部113,123の数が異なる連結部材110,120であってもよい。図8(F)に示すように、一方側突入部132と他方側突入部133とが交差部134の異なる位置から突出する連結部材130であってもよい。
【0065】
また、図9(A)及び(B)に示すように、一方側突入部142,152と他方側突入部143,153とが一つしか設けられない連結部材140,150であってもよい。この場合であっても、交差部144,154が双方の板材の間に挟まれることにより、該交差部144,154が板材に干渉して連結部材140,150の回転が規制されることとなる。
【0066】
さらに、図9(C)に示すように、交差部164が一方側突入部162及び他方側突入部163に交差する方向に沿って設けられるものであれば、交差部164が前記交差方向に沿う直線状を有しない連結部材160であってもよい。なお、図9(C)に示す連結部材160は、一方側突入部162及び他方側突入部163と交差部164とが明確な境界を有することなく連続的に形成されるものである。また、一方側突入部162若しくは他方側突入部163と交差部164との連続部分は、補強部166としても機能し得る。
【0067】
また、一方側突入部、他方側突入部、及び交差部の長さ方向に直交する断面が湾曲して形成されるものにあっても、様々な形状のものが考えられる。その例を挙げると、図10(A)に示すように、補強部176が大きく形成される連結部材170であってもよい。また、図10(B)に示すように、一方側突入部182及び他方側突入部183の曲げ位置が連結部材180の高さ方向に最も突出する位置と一致しないものであってもよい。図10(C)に示すように、補強部が設けられない連結部材190であってもよい。
【0068】
上記第一実施形態に係る連結部材1においては、前記一方側突入部2及び他方側突入部3が中実に形成されるものであったが、これに限定されるものではなく、各突入部が中空で且つ打ち込み方向の両端面が開口して形成されるものであってもよい。その一例としては、図11(A)に示すように、筒状を有する連結部材200が考えられ、該筒状の連結部材200の交差部204は、筒の高さ方向に沿う中間位置に内部空間を分断するように設けられる。好ましくは、連結部材200を打ち込む際に筒の内部の空気を逃がすことができるように構成され、例えば、筒の高さ方向に沿ってスリットが形成されるものであってもよい。
【0069】
ところで、かかる筒状の連結部材200を板材に打ち込む際には、前記一方側突入部202を板材20に宛がった後、他方側突入部203の開口から棒体を挿入し、該棒体を介して交差部204に対する打ち込み力を作用させることが考えられる。なお、該筒状の連結部材200は、各突入部が中空且つ開口させて形成されるものと特定することができるが、中実な突入部がそれぞれ環状に連続して形成されたものと特定することもできる。
【0070】
また、筒状の連結部材としては、円筒状のもの以外にも、図11(B)に示すような角筒状の連結部材210であってもよい。さらに、図11(C)に示すように、角筒が有する外周面のうち一面を取り除いた連結部材220であってもよい。
【0071】
前記連結部材は、前記交差部が一方側突入部及び他方側突入部と直交するものとして説明したが、交差部が双方の板材の間に挟まれるものであれば、突入部となす角が直角でなく、交差部が突入部に対して傾斜するものであってもよい。このような連結部材は、側面が長手方向に沿う板材同士を連結するのにも利用することができるが、特に、側面が長手方向に対して傾斜するテーパー状の板材同士を連結するのに特に好適である。かかる接合は、「ばち矧ぎ」とも呼ばれるものである。
【0072】
さらに、図12に示すように、一方側突入部及び他方側突入部の長さ方向に直交する断面が曲がった形状を有するものとしては、一方側突入部232及び他方側突入部233が波形の断面形状を有する連結部材230であってもよい。なお、該連結部材230は、平坦な板状を有する複数の突入部を互いに交差させて配置し且つ複数の突入部の端縁同士を連続させて形成されたものと特定することもできる。
【0073】
上記実施形態に係る高剛性面体の施工方法においては、側面21,22に凸部24及び凹部25を有する板材を連結するものであったが、これに限定されるものではなく、側面に凸部及び凹部を有しない板材同士を連結する、いわゆる「突合せ矧ぎ」と呼ばれる形態のものであってもよい。
【0074】
上記実施形態においては、板材20の側面21,22における厚み方向中間位置に凸部24や凹部25が設けられるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、厚み方向中間位置を挟んで側面の一方側に凸部が形成され他方側が凹部となる、「相互矧ぎ(いわゆる相じゃくり)」と呼ばれる形態のものであってもよい。また、「やとい実矧ぎ」と呼ばれる形態のものであってもよい。
【0075】
上記実施形態においては、一方側突入部2を凸部24としての実に突入させ、他方側突入部3を凹部25としての小穴に突入させるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、実の脇の部位を凹部とし、小穴の脇の部位を凸部として、かかる凹部及び凸部に各突入部を突入させるものであってもよい。
【0076】
上記実施形態においては、前記高剛性面体10として床11のような水平構面を施工する場合を例に説明したが、高剛性面体の施工方法は、床11に限定されるものではなく、図2に示すように、壁12のような鉛直構面や、屋根(野地板)13のような屋根水平構面を施工するのにも採用することができる。壁12を施工する場合には、板材を鉛直方向に並べることとなる。また、各板材は、固定部材を用いて柱に固定することが好ましい。このようにして構築された壁12は、高耐力壁として機能させることができる。また、屋根(野地板)13を施工する場合には、板材は屋根の骨組みとなる母屋垂木に交差させて並べられる。また、各板材は、固定部材を用いて母屋に固定することが好ましい。
【0077】
上記実施形態に係る高剛性面体の施工方法においては、連結部材1の一方側突入部2を板材20に打ち込む工程を現場で行うものとして説明したが、これに限定されるものではなく、前記連結部材1を打ち込む工程を例えば材木工場など現場とは異なる場所で行って板材を製作した後、かかる連結部材1が打ち込まれた板材を現場に搬入して高剛性面体が施工されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の第一実施形態に係る連結部材及び高剛性面体を示す分解斜視図。
【図2】同実施形態に係る高剛性面体の施工方法によって施工される高剛性面体を示す斜視図。
【図3】同実施形態に係る連結部材を示し、(A)は、正面図、(B)は、側面図、(C)は、平面図、(D)は、斜視図。
【図4】同実施形態に係る高剛性面体の施工方法を示す斜視図。
【図5】同実施形態に係る連結部材を用いて板材同士を連結した状態を示し、(A)は、正面図、(B)は、平面図。
【図6】同実施形態に係る連結部材の回転が規制される状態を示す概念図。
【図7】本発明の第二実施形態に係る連結部材を示し、(A)は、正面図、(B)は、側面図、(C)は、平面図、(D)は、連結部材を展開した展開図。
【図8】(A)〜(F)は、他の実施形態に係る連結部材をそれぞれ示す正面図。
【図9】(A)〜(C)は、他の実施形態に係る連結部材をそれぞれ示す正面図。
【図10】(A)〜(C)は、他の実施形態に係る連結部材をそれぞれ示す正面図。
【図11】(A)〜(C)は、他の実施形態に係る連結部材を示す斜視図。
【図12】他の実施形態に係る連結部材を示す斜視図。
【図13】あらわし構法による床の構造を示し、(A)は、板材と梁とを分解した斜視図、(B)は、あらわし構法による床の構造を下方から天井として見た場合の斜視図。
【図14】床に対して横方向から力が加わった際の床の変位状態を示し、(A)は、床全体が一体的に変位する構造上理想的な状態の平面図、(B)は、従来のあらわし構法において板材同士が相対的に滑りつつ床が変形する状態の平面図。
【符号の説明】
【0079】
1…連結部材、2…一方側突入部、2a…軸部位、2b…先端部位、3…他方側突入部、4…交差部、5…突起、10…高剛性面体、11…床、12…壁、13…屋根、20…板材、21…一方の側面、22…他方の側面、23…本体部、24…凸部、25…凹部、40…梁、50…固定部材、60…連結部材、62…一方側突入部、62a…軸部位、62b…先端部位、63…他方側突入部、64…交差部、64a…接続部位、64b…平坦部位、65…突起、66…補強部、70…原材、72…一方側突入部となる部分、73…他方側突入部となる部分、74…交差部となる部分、74a…接続部位となる部分、74b…平坦部位となる部分、80…連結部材、82…一方側突入部、83…他方側突入部、84…交差部、90…連結部材、92…一方側突入部、93…他方側突入部、94…交差部、100…連結部材、102…一方側突入部、103…他方側突入部、104…交差部、110…連結部材、112…一方側突入部、113…他方側突入部、114…交差部、120…連結部材、122…一方側突入部、123…他方側突入部、124…交差部、130…連結部材、132…一方側突入部、133…他方側突入部、134…交差部、140…連結部材、142…一方側突入部、143…他方側突入部、144…交差部、150…連結部材、152…一方側突入部、153…他方側突入部、154…交差部、160…連結部材、162…一方側突入部、163…他方側突入部、164…交差部、166…補強部、170…連結部材、172…一方側突入部、173…他方側突入部、174…交差部、176…補強部、180…連結部材、182…一方側突入部、183…他方側突入部、184…交差部、190…連結部材、192…一方側突入部、193…他方側突入部、194…交差部、200…連結部材、202…一方側突入部、203…他方側突入部、204…交差部、210…連結部材、212…一方側突入部、213…他方側突入部、214…交差部、220…連結部材、222…一方側突入部、223…他方側突入部、224…交差部、230…連結部材、232…一方側突入部、233…他方側突入部、234…交差部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の板材を側面同士を対向させて並べ、高剛性面体を形成する高剛性面体の施工方法であって、
対向する二つの板材のうち一方の板材の側面に突入する一方側突入部と、該一方側突入部とは反対方向を向いて設けられ、他方の板材の側面に突入する他方側突入部と、前記一方側突入部及び他方側突入部に連続し且つそれらに交差する方向に沿って設けられる交差部とを備える連結部材を用い、
前記一方側突入部を側面同士の対向方向に沿って一方の板材の側面に突入させ、他方側突入部を前記対向方向に沿って他方の板材の側面に突入させるとともに、前記交差部を双方の板材の間に挟んだ状態で、前記対向する板材同士を連結して高剛性面体を施工することを特徴とする高剛性面体の施工方法。
【請求項2】
前記連結部材が前記交差部まで側面に打ち込まれた前記一方の板材と前記他方の板材とを側面同士が当接するように接近させて、前記連結部材の他方側突入部を前記他方の板材に突入させることを特徴とする請求項1に記載の高剛性面体の施工方法。
【請求項3】
対向する板材のうち一方の板材の側面には該側面の長手方向に沿って凸部が設けられるとともに、他方の板材の側面には前記凸部と接合する凹部が前記側面の長手方向に沿って設けられ、
前記連結部材の一方側突入部を前記一方の板材の凸部に突入させるとともに、前記他方側突入部を前記他方の板材の凹部に突入させることを特徴とする請求項1又は2に記載の高剛性面体の施工方法。
【請求項4】
前記連結部材は、前記一方側突入部及び他方側突入部が対をなして一直線上に設けられ、且つ、該一方側突入部及び他方側突入部の対が少なくとも二つ設けられ、
前記連結部材の交差部における前記二つの他方側突入部の間の部分に対して打ち込み力を作用させることによって、前記一方側突入部を前記一方の板材の側面に突入させることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の高剛性面体の施工方法。
【請求項5】
対向する二つの板材のうち一方の板材の側面に該側面の長手方向に沿って設けられた凸部と他方の板材の側面に該側面の長手方向に沿って設けられた凹部とを接合させて複数の板材を並べ高剛性面体を形成する際に、前記対向する板材同士を連結すべく用いられる連結部材であって、
対向する板材同士の対向方向に沿って一方の板材の凸部に突入する一方側突入部と、該一方側突入部とは反対方向を向いて設けられ、他方の板材の凹部に突入する他方側突入部と、前記一方側突入部及び他方側突入部に連続し且つそれらに交差する方向に沿って設けられ、前記凸部及び凹部の間に挟まれる交差部とを備えることを特徴とする連結部材。
【請求項6】
前記交差部まで前記一方の板材の側面に設けられる凸部に打ち込むと、前記一方側突入部の先端が前記凸部の基端部を超える位置まで前記一方の板材に突入するように寸法設定されることを特徴とする請求項5に記載の連結部材。
【請求項7】
前記一方側突入部及び他方側突入部は、対をなして一直線上に設けられ、該一方側突入部及び他方側突入部の対は、少なくとも二つ設けられることを特徴とする請求項5又は6に記載の連結部材。
【請求項8】
前記一方側突入部、他方側突入部、及び交差部は、これら各部の長さ方向に直交する断面が湾曲して形成されることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の連結部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−202277(P2008−202277A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−38052(P2007−38052)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(507054179)
【Fターム(参考)】