説明

高圧ガスの定量供給装置および定量供給方法

【課題】射出成形機などに短時間の間に金型に樹脂を注入する際などに、この金型に炭酸ガスを精度よく注入でき、しかも成形機側の圧力変動に伴う炭酸ガスの注入量の変動を抑えて、発泡成形機への炭酸ガスを安定に定量供給する。
【解決手段】第1バッファータンク1と、第2バッファータンク2と、第2バッファータンクの下流側に設けられた流量調整弁5と、第1バッファータンクと第2バッファータンクの第1バルブ6と、第2バッファータンクと流量調整弁の間の第3バルブ7と、第2バッファータンクと第3バルブの間のガス供給経路から分岐した分岐経路の第2バルブ9と、制御部を備え、この制御部は、発泡成形機3にガスを供給する状態では、第1バルブと第2バルブを閉、第3バルブを開とするとともに、流量調整弁の下流側の圧力と第2バッファータンク内の圧力との差圧が低下することに基づいて流量調整弁の開度を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧の炭酸ガスなどの高圧ガスを定量供給する装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂の発泡成形方法として、炭酸ガスなどの気体からなる発泡剤を用い、これを樹脂発泡成形機の成形用金型に高圧で圧入し、金型内で樹脂を発泡させて、発泡合成樹脂成形品を製造する方法がある。
この樹脂発泡成形工程において、発泡剤は、樹脂発泡成形機に一定サイクルで間欠的に定量供給する必要があるが、炭酸ガス等の発泡剤は、高圧ガスであり状態変化が激しいため、樹脂発泡成形機への定量供給を安定且つ正確に行うことが困難であった。
特に、炭酸ガス等の発泡剤の供給は、バルブの開閉に伴い圧力変動が生じるため、発泡剤供給量を流量調整器によって一定に保持することが困難である。
【0003】
樹脂発泡成形工程においては発泡剤の供給が短時間サイクルで間欠的に行われることが多いが、樹脂発泡成形機へのガス供給ラインの閉止から開放までの時間及び/又は開放から閉止までの時間が短いことから、発泡剤の流量調整弁の開閉に伴って圧力が激しく変動して、樹脂発泡成形機への発泡剤供給量及び発泡剤圧力を安定させることができない現象が生じる。
特に、発泡剤として超臨界流体である炭酸ガスを使用する場合には、圧力変動により膨張,液化、凝固が生じるため定量供給は難しいという問題があった。
【0004】
このため、特開2000−218647号公報では、図7に示すように発泡剤51をガス状態で輸送,供給させず、液状態(液化ガス)で樹脂発泡成形機52に供給させるように工夫されたものが提案されている。
この装置は、液化ガス(液化二酸化炭素)である発泡剤51の充填タンク53から樹脂発泡成形機52に至る供給ライン54に、冷却器55(冷凍機56により冷却された冷媒との熱交換により冷却するもの)及び定量ポンプ57を配設して、発泡剤51を冷却器55により冷却保温させた液状態のまま定量ポンプ57により樹脂発泡成形機52に定量供給するように構成されている。
【0005】
さらに、特開2002−201110号公報においては、図8に示すように、ガス供給源61から導かれたガス流路62と、ガス流路62の下流端から分岐された2つの流路であって、下流端が高圧ガス使用部63に導かれたガス供給流路64及び下流端がガス流路の上流側部分に接続されたガス循環流路65と、ガス流路におけるガス循環流路65の下流端接続部より下流側に配設されており、ガス供給流路64とガス循環流路65とを交互に開閉する流路切り替え手段66と、ガス循環流路における流路切り替え手段66の下流側に配設されており、差圧調整手段67の下流側におけるガス圧を所定圧に保持する圧力調整手段68とを具備して、ガス供給流路を開放させることにより流量及び圧力を一定に保持されたガスが高圧ガス使用部63に供給されるように構成された高圧ガスの定量供給装置が開示されている。
図8に示す循環流路65に流れるガスを背圧調整器69により樹脂発泡成形機63の圧力への供給圧力と同等に設定し、成形機で必要なタイミングに成形機と同一圧力で発泡剤の供給を行うことが開示されている。
【0006】
また、特開2006−207925号公報に開示のように、流量をモニターすることで流量調整弁の開度を制御することで流量調整を行うものもある。このものでは、瞬時の圧力変動では制御が追いつかず、急激な成形機側の圧力変動が生じた際に樹脂成型体へ供給される発泡剤の量が大きく変動してしまう問題があった。
【0007】
このように、従来の定量供給装置によれば、押出成形機のように成形機側の緩やかな圧力変動においては精度の高い発泡剤の定量供給制御が可能であった。しかしながら、射出成形機のように短時間の間隔で金型に樹脂を注入する際に、精度良く発泡剤を注入する必要がある場合、成形機側の圧力変動に伴う瞬間的な発泡剤の注入量の変動が度々起こる問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−218647号公報
【特許文献2】特開2002−201110号公報
【特許文献3】特開2006−207925号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明における課題は、例えば射出成形機などに短時間の間に金型に樹脂を注入する際などに、この金型に気体発泡剤などの高圧ガスを精度よく注入することができ、しかも成形機側の圧力変動に伴う気体発泡剤などの高圧ガスの注入量の変動を抑えることができるようにして、高圧ガス使用部への高圧ガスの安定な定量供給ができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため、
請求項1に係る発明は、ガスを貯蔵する第1バッファータンクと、この第1バッファータンクより低圧に維持された第2バッファータンクと、前記第1バッファータンク、第2バッファータンクおよび高圧ガス使用部を順に接続するガス供給経路と、このガス供給経路の第2バッファータンクの下流側に設けられた流量調整弁と、前記ガス供給経路の第1バッファータンクと第2バッファータンクの間に設けた第1バルブと、第2バッファータンクと流量調整弁の間に設けた第3バルブと、第2バッファータンクと第3バルブの間のガス供給経路から分岐した分岐経路に設けた第2バルブと、制御部を備えてなり、
この制御部は、第2バッファータンクのガス圧力が低い待機状態では第1バルブを開、第2バルブと第3バルブを閉として第2バッファータンクのガスを所定の圧力まで加圧し、高圧ガス使用部にガスを供給するガス供給状態では、第1バルブと第2バルブを閉、第3バルブを開とするとともに、流量調整弁の下流側の圧力と第2バッファータンク内の圧力との差圧が低下することに基づいて流量調整弁の開度を制御するものであることを特徴とする高圧ガスの定量供給装置である。
【0011】
請求項2に係る発明は、前記差圧の低下を予め予測しておき、この予測に基づいて流量調整弁の開度を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の高圧ガスの定量供給装置である。
請求項3に係る発明は、ガスが炭酸ガスである場合において、一対の昇圧容器を用いて第1バッファータンクに炭酸ガスを連続的に供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の高圧ガスの定量供給装置である。
請求項4に係る発明は、ガスが炭酸ガスである場合において、サイフォンボンベに温水ジャケットを装着し、サイフォンボンベの加熱により第1バッファータンクに炭酸ガスを連続的に供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の高圧ガスの定量供給装置である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の定量供給装置を用いることを特徴とする高圧ガスの定量供給方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ガス供給状態では第2バッファータンク内の圧力が低下し、この圧力と流量調整弁下流側の圧力との差圧が小さくなって、ガス供給量が低下することが防止できる。このため、樹脂発泡成形等において短時間サイクルでガス供給を開始、停止させる必要のある場合においても、高精度でガスからなる発泡剤を定量供給できる。
また、第1ないし第2バルブに安価な開閉源を用いることができるので、高価な高圧ガス用圧力調整弁を用いなくとも、第2バッファータンクの圧力制御ができる。
さらに、請求項3または請求項4の発明によれば、ブースタポンプを用いなくとも、第1バッファータンクに高圧ガスを供給でき、設備費用、運転費用、メンテナンス費用を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の高圧ガスの定量供給装置の例を示す概略構成図である。
【図2】第1圧力計と第2圧力計の差圧の変化に伴う流量の変化と流量調整弁5の開度との関係を示すグラフである。
【図3】第1バッファータンクに高圧の炭酸ガスを供給するための装置の第1の形態を示す概略構成図である。
【図4】第1バッファータンクに高圧の炭酸ガスを供給するための装置の第2の形態を示す概略構成図である。
【図5】実施例の結果を示すグラフである。
【図6】比較例の結果を示すグラフである。
【図7】従来の定量供給装置の例を示す概略構成図である。
【図8】従来の定量供給装置の他の例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の高圧ガスの定量供給装置の一例を示すもので、樹脂発泡成形機を高圧ガス使用部とし、これに発泡剤である高圧の炭酸ガスを定量供給する形態を示すものである。
図1において、符号1は第1バッファータンクを示す。この第1バッファータンク1には、図示しない高圧炭酸ガス供給源から高圧炭酸ガスが供給され、その内部に貯えられるようになっている。
【0015】
この第1バッファータンク1の下流側には、第2バッファータンク2と、樹脂発泡成形機3が、ガス供給経路4で順に接続されている。
第1バッファータンク1は常に第2バッファータンクより高圧に維持されるようになっている。高圧炭酸ガス供給源がサイフォンボンベの場合、炭酸ガスはブースターポンプ等を利用して加圧され、第1バッファータンク1に供給される。
第2バッファータンク2は、1つのタンクで構成してもよいし、複数のタンクを直列及び/又は並列に接続して構成してもよい。
【0016】
ガス供給経路4の第2バッファータンク2の下流側には、樹脂発泡成形機3へのガス供給量を調整する流量調整手段として、ニードル弁などの流量調整弁5が設けられている。
ガス供給経路4の第1バッファータンク1と第2バッファータンク2の間には第1バルブ6が設けられている。第2バッファータンク2よりも第1バッファータンク1の圧力を高く設定してあるので、第1バルブ6を開くと常に第1バッファータンク1から第2バッファータンク2へ炭酸ガスが供給されることになる。
【0017】
第2バッファータンク2と流量調整弁5の間には第3バルブ7が設けられている。第2バッファータンク2と第3バルブ7の間のガス供給経路4から分岐経路8が分岐し、この分岐経路8に第2バルブ9が設けられている。
第2バッファータンク2内のガス圧力を測定する第1圧力計10と、ガス供給経路4の流量調整弁5の下流側のガス圧力を測定する第2圧力計11が設けられている。
【0018】
制御部12は、第1バルブ6、第2バルブ9、第3バルブ7の開閉を制御し、また第1、第2圧力計10、11の測定結果を所定の演算式にあてはめ、ガス供給量を一定量とするような流量調整弁5の開度を求め、流量調整弁5を制御するものである。
すなわち、図2に示すように、炭酸ガスの樹脂発泡成形機3への供給時間と共に樹脂発泡成形機3側の圧力(第2圧力計11の圧力)と第2バッファータンク2側の圧力(第1圧力計10の圧力)との差圧ΔPが小さくなる傾向を予測し(フィードフォワード)、この差圧の縮小に伴って流量調整弁5の開度を開く予測制御を行う。
【0019】
具体的には、樹脂発泡成形機3において必要とされるガス圧力が15MPaであり、設定差圧を3MPaとしてガス供給を開始した場合、なんら対策を講じないと、時間が経過し樹脂発泡成形機3側に炭酸ガスが供給されるのに伴って差圧は徐々に低下し、ガス流量も低下していく。ガス流量の低下の度合が大きいと、ガス供給量の変動につながる。
そこで、上述のような制御を行う。これにより高圧ガス使用部である樹脂発泡成形機3に一定流量のガスを供給することが可能となる。流量調整弁5の開度は、段階的に大としても連続的に大としてもよい。
【0020】
樹脂発泡成形機3への炭酸ガスの供給を開始する前は、樹脂発泡成形機3側の圧力(第2圧力計11の圧力)と第2バッファータンク2側の圧力(第1圧力計10の圧力)との差圧ΔPが常に一定になるように制御、調整する。
第2バッファータンク2の圧力制御は、第1バルブ6、第2バルブ9の開閉操作によって行う(待機工程)。
具体的には、流量調整弁5の下流側におけるガス圧力(高圧ガス使用部である樹脂発泡成形機3において要求される圧力)が設定圧力となり、かつ、樹脂発泡成形機3において必要なガス流量(設定流量)を得るための第2バッファータンク2と流量調整弁5の下流側との差圧(設定差圧)が得られるように、第1バルブ6と第2バルブ9を開閉する。
【0021】
樹脂発泡成形機3への炭酸ガスの供給を開始するときは第1バルブ6、第2バルブ9を閉止し、第3バルブ7を開とする。流量調整弁5は設定流量にあわせる際に、初期設定差圧で予め決めた開度にする。時間の経過とともに第2バッファータンク2内の炭酸ガスが樹脂発泡成形機3に流れるため、成形機側圧力(第2圧力計11の圧力)と蓄圧器である第2バッファータンク側圧力(第1圧力計10の圧力)との差圧ΔPは図2に示すように徐々に下がっていくことを予測し、流量調整弁5の開度を開くことで差圧ΔPが小さくなっても一定流量のガスが流れるように制御する。
【0022】
万一、樹脂発泡成形機3側の圧力が不意に変化した場合は、これを第2圧力計11にて検知し、その際にこの圧力が急激に下降した場合は第2バルブ9を開くことで樹脂発泡成形機3側の圧力(第2圧力計11の圧力)と第2バッファータンク2側の圧力(第1圧力計10の圧力)との差圧ΔPが一定になるように調整して炭酸ガスの流量が一定になるように調整する。
また第2圧力計11の圧力が急激に上昇した場合は第1バルブ6を開くことで第1バッファータンク1から炭酸ガスを第2バッファータンク2に供給し、樹脂発泡成形機3側圧力(第2圧力計11の圧力)と第2バッファータンク2側圧力(第1圧力計10の圧力)との差圧ΔPが一定になるように調整することで、炭酸ガスの流量が一定になるように調整する。
流量調整弁5の急激な開閉を行わないため、圧力変動が生じても樹脂発泡成形機3に一定量の炭酸ガスの供給ができ、樹脂発泡成形機3で成型された合成樹脂発泡成形体に一定量の炭酸ガスの添加ができる。
【0023】
図3は、第1バッファータンク1に高圧の炭酸ガスを供給するための装置の第1の形態を示すものである。
この装置は、熱交換可能なコイル15を備えた2基の昇圧用容器16、16を用い、これら2基の昇圧用容器16、16を交互に使用する。ガスとして炭酸ガスを使用する場合はサイホンボンベ17を用意し、サイフォンボンベ17によって一方の昇圧用容器16に液化炭酸を押し込み、弁18、19を閉じて液封状態する。
【0024】
ついで、ヒータ20によって昇圧用容器16を40℃程度まで昇温する。昇圧容器16の圧力が所定の圧力に到達した後、弁19を開き、第1バッファータンク1に炭酸ガスを流し始める。昇圧用容器16と第1バッファータンク1が同じ圧力になった時点で昇圧用容器16の前後の弁18、19を閉じ、昇圧用容器16の熱交換可能なコイル15に−20℃程度の液化炭酸を流し昇圧用容器16内の圧力を下げる。その後サイフォンボンベ17から再度液化炭酸を流しこみ液封状態にした後、ヒータ20により40℃程度まで昇温し昇圧する。
2基の昇圧用容器16、16を用いて交互に切り替えて、連続的に高圧の炭酸ガスを第1バッファータンク1に供給することが可能となる。この装置では、例えば20MPa程度の高圧が必要な場合に好適である。
【0025】
図4は、第1バッファータンク1に高圧の炭酸ガスを供給するための装置の第2の形態を示すものである。この例では、サイフォンボンベ17に温水ジャケット21を設置し、温水循環装置22から40℃程度の温水を温水ジャケット21を供給することにより、ブースターポンプを使わずに炭酸ガスを第1バッファータンク1に供給することが可能となる。このものでは、例えば7MPa程度の低圧が必要な場合に好適である。
図3または図4に示した装置構成とすれば、ブースターポンプを使わず第1バッファータンク1内を昇圧でき、設備費用、運転費用が削減でき、またブースターポンプの故障などに要する費用も削減できる。
【0026】
この例の高圧炭酸ガスの定量供給装置では、制御部12において、前記差圧(ΔP)を変化を予測しておき、これに基づいて流量調整弁5の開度を制御する予測制御のほかに、第1圧力計10および第2圧力計11での圧力を常時測定しておき、この測定圧力から差圧(ΔP)を算出し、この差圧に基づいて流量調整弁5の開度を制御することも可能である。
【0027】
本発明の高圧ガスの定量供給方法は、上述の定量供給装置を用いて、樹脂発泡成形機などの高圧使用部に高圧炭酸ガスなどの高圧ガスを供給するもので、供給流量を一定に保って、高圧ガスを供給できる。
【0028】
(実施例)
図1に示すガス定量供給装置を使って炭酸ガスの供給実験を行った。
第1バルブ6を開、第2バルブ9と第3バルブ7を閉とする待機工程、第1バルブ6と第2バルブ9を閉、第3バルブ7を開とする供給工程を、それぞれ20秒毎に切り替えた。設定差圧は0.7MPa、供給圧力は5.5MPa、目標流量は2.0kg/hとした。流量調整弁5の開度は、初期開度を75%とし、段階的に開度を上げていった。
【0029】
具体的には、供給工程開始時点から4.8秒経過時まで開度75%を維持、その後2.9秒経過時まで開度75.2%、その後2.9秒経過時まで75.4%、その後1.9秒経過時まで75.6%、その後1.9秒経過時まで75.8%、その後1.9秒経過時まで76.0%、その後3.5秒経過(供給工程終了)時まで開度76.2%とした。待機行程、供給工程を繰り返し、流量調整弁5の下流に設けた流量計にて炭酸ガスの供給流量を測定した。
【0030】
結果を図5に示す。図5のグラフは1回の供給工程における流量調整弁5の開度(ライン1で示す)、第1圧力計10の圧力(ライン2で示す)、第2圧力計11の圧力(ライン3で示す)および炭酸ガスの供給流量(ライン4で示す)の時間的変動を示すものである。
【0031】
一方、比較例として、供給工程における流量調整弁5の開度を固定して待機行程と供給工程を繰り返し、流量を測定した。なお、目標流量は1.8kg/hとしている。
結果を図6に示す。図6のグラフの各ラインは図5と同様であり、それらの時間的変動を示している。
図5、図6から明らかなように、比較例では供給工程における炭酸ガスの供給流量の最大値と最小値との差が約1000g/hだったのに対し、実施例では約500g/hまで縮小していた。
【符号の説明】
【0032】
1・・第1バッファータンク、2・・第2バッファータンク、3・・樹脂発泡成形機、4・・供給経路、5・・流量調整弁、6・・第1バルブ、7・・第3バルブ、8・・分岐経路、9・・第2バルブ、10・・第1圧力計、11・・第2圧力計、12・・制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスを貯蔵する第1バッファータンクと、この第1バッファータンクより低圧に維持された第2バッファータンクと、前記第1バッファータンク、第2バッファータンクおよび高圧ガス使用部を順に接続するガス供給経路と、このガス供給経路の第2バッファータンクの下流側に設けた流量調整弁と、前記ガス供給経路の第1バッファータンクと第2バッファータンクの間に設けた第1バルブと、第2バッファータンクと流量調整弁の間に設けた第3バルブと、第2バッファータンクと第3バルブの間のガス供給経路から分岐した分岐経路に設けた第2バルブと、制御部を備えてなり、
この制御部は、第2バッファータンクのガス圧力が低い待機状態では第1バルブを開、第2バルブと第3バルブを閉として第2バッファータンクのガスを所定の圧力まで加圧し、高圧ガス使用部にガスを供給するガス供給状態では、第1バルブと第2バルブを閉、第3バルブを開とするとともに、流量調整手段の下流側と第2バッファータンク内との差圧が低下することに基づいて流量調整弁の開度を制御するものであることを特徴とする高圧ガスの定量供給装置。
【請求項2】
前記差圧の低下を予め予測しておき、この予測に基づいて流量調整弁の開度を制御するものであることを特徴とする請求項1記載の高圧ガスの定量供給装置。
【請求項3】
ガスが炭酸ガスである場合において、一対の昇圧容器を用いて第1バッファータンクに炭酸ガスを連続的に供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の高圧ガスの定量供給装置。
【請求項4】
ガスが炭酸ガスである場合において、サイフォンボンベに温水ジャケットを装着し、サイフォンボンベの加熱により第1バッファータンクに炭酸ガスを連続的に供給するようにしたことを特徴とする請求項1記載の高圧ガスの定量供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の定量供給装置を用いることを特徴とする高圧ガスの定量供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−202685(P2011−202685A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67994(P2010−67994)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000231235)大陽日酸株式会社 (642)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】