説明

高圧ポンプ用の流出管片

本発明は、液体圧力管路(13)の流出管片(3)、特に燃料高圧管路の流出管片(3)であって、流出孔(4)と、該流出孔(4)内に配置された流出弁(5)とが設けられていて、該流出弁(5)の、流出孔(4)内において移動可能に案内された弁エレメント(7)が、圧力管路(13)内における圧力によって、ばねエレメント(8)の作用に抗して開放制御可能であり、流出孔(4)内に導入されかつ該流出孔(4)内において固定されたばねホルダ(10)が設けられていて、該ばねホルダ(10)にばねエレメント(8)が支持されており、さらに接続雄ねじ山(6)が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体圧力管路の流出管片、特に高圧ピストンポンプの燃料高圧管路の流出管片に関する。
【0002】
従来の技術
図4には、従来技術による高圧ピストンポンプ20が示されている。この高圧ポンプ20のシリンダヘッド21には、流出孔23と該流出孔内に組み込まれた流出弁24とを備えた流出管片22が設けられている。流出孔23の雌ねじ山25にはねじ山アダプタ26がねじ込まれており、このねじ山アダプタ26は他端に、特注仕様もしくは顧客固有の雄ねじ山27を有している。流出弁24は、流出孔23内において移動可能に案内された弁球28を有しており、この弁球28は、弁ばね29によって押圧されて、流出孔23の円錐形の弁座30に接触させられる。弁ばね29はねじ山アダプタ26に支持されており、このねじ山アダプタ26の端面31は弁球28の開放運動のためのストッパを形成している。流出弁24は、ピストン32によって画成された、高圧ポンプ20の高圧圧送室33を、もしくは該高圧圧送室33から延びていて弁座30において開口する圧力管路34をシールしており、そして、この高圧圧送室33もしくは圧力管路34における圧力が、弁ばね29の作用に抗して弁球28を開放制御するのに十分な高さになった時に、開放する。
【0003】
発明の利点
請求項1記載のように構成された本発明による流出管片、すなわち、液体圧力管路の流出管片、特に燃料高圧管路の流出管片であって、流出孔と、該流出孔内に配置された流出弁とが設けられていて、該流出弁の、流出孔内において移動可能に案内された弁エレメントが、圧力管路内における圧力によって、ばねエレメントの作用に抗して開放制御可能であり、流出孔内に導入されかつ該流出孔内において固定されたばねホルダが設けられていて、該ばねホルダにばねエレメントが支持されており、さらに接続雄ねじ山が設けられていることを特徴とする、高圧ポンプ用の流出管片には、従来技術に比べて次のような利点がある。
【0004】
すなわち本発明による流出管片では、
流出管片内にすべての弁部材が完全に組み込まれており、
特注仕様の接続ねじ山は流出管片に設けられているので、内圧負荷時における応力が小さく、ひいては部材強度が高まり、
構造長さを著しく短縮することができ、ひいてはエンジンにおける良好な取付け状況及び材料節約が達成され、
2つのねじ山を備えたねじ山アダプタが不要になり、
従来、ねじ山アダプタと流出管片との間に設けられていたシール箇所を省くことができ、
さらに、管路の取付け・取外し時及び保守点検に際しての再取付け時に、顧客の不注意によりねじ山アダプタが弛んだり、増締めされるといったおそれがなくなる。
【0005】
本発明による流出管片は特に高圧ポンプにおいて、高圧圧送室をシールするために使用することができる。
【0006】
本発明の別の有利な構成は、請求項2以下に記載されている。
【0007】
図面
次に図面を参照しながら本願発明による流出管片の実施例を説明する。
【0008】
図1は、高圧ピストンポンプにおける本発明による流出管片の第1実施例を示す図であり、
図2は、図1のIIで示された領域を拡大して本発明による流出管片の第2実施例を示す図であり、
図3は、図1のIIで示された領域を拡大して本発明による流出管片の第3実施例を示す図であり、
図4は、従来技術による高圧ピストンポンプの接続管片を示す図である。
【0009】
実施例の記載
図1には、内燃機関用の燃料噴射装置の液圧式の高圧ピストンポンプ1が示されている。ピストンポンプのシリンダヘッド2には流出管片3が設けられており、この流出管片3は、流出孔4と、該流出孔内に組み込まれた流出弁5と、特注仕様もしくは顧客固有の雄ねじ山6とを備えている。流出弁5は、流出孔4内を摺動可能に案内された弁球7を有しており、この弁球7は弁ばね8によって押圧されて、流出孔4の円錐形の弁座9への接触状態に保たれる。弁ばね8はスリーブ状のばねホルダ10に支持されており、このばねホルダ10は完全に流出孔4内に挿入されていて、該流出孔内に圧入されている。択一的にばねホルダ10は流出孔4内にねじ込まれていても、又は流出孔4内に溶接によって固定されていてもよい。
【0010】
流出弁5は、ピストン11によって画成された、高圧ポンプ1の高圧圧送室12を、ひいてはこの高圧圧送室12から延びていて弁座9において開口している高圧管路13をシールしており、高圧圧送室12もしくは高圧管路13における圧力が、弁ばね8の作用に抗して弁球7を開放制御するのに十分な高さになった場合に、開放する。
【0011】
図2に示された流出管片3が、図1に示された流出管片3に対して異なっているのは、次のことだけである。すなわち図2に示された流出管片3では、弁球の代わりに、円錐形もしくは球欠形の弁シール面を備えた弁ピストン7′が使用されており、ばねホルダ10は、流出孔4のリング溝に挿入された固定リング14を用いて、流出孔4内において固定されている。弁ピストン7′の流出孔4のガイド直径は、この場合同時にばねホルダ10のための挿入直径であり、これによって1回の作業工程において2つの精密直径を製造することができる。ガイド直径は弁座9と同じ固定状態で加工される。これによって、極めて良好な位置精度(軸方向位置、同軸性)が得られ、ひいては流出弁の高い品質が保証される。
【0012】
図3に示された流出管片3が図1に示された流出管片3と異なっているのは、ばねホルダ10′が導入方向で見て後端部に、例えば金属薄板曲げ舌片のような係止突起15を、有していることであり、これらの係止突起15は、流出孔4のリング段部16の後ろに係合して、形状結合(Formschluss)によって流出孔4内において固定されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】高圧ピストンポンプにおける本発明による流出管片の第1実施例を示す図である。
【図2】図1のIIで示された領域を拡大して本発明による流出管片の第2実施例を示す図である。
【図3】図1のIIで示された領域を拡大して本発明による流出管片の第3実施例を示す図である。
【図4】従来技術による高圧ピストンポンプの接続管片を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体圧力管路(13)の流出管片(3)、特に燃料高圧管路の流出管片(3)であって、流出孔(4)と、該流出孔(4)内に配置された流出弁(5)とが設けられていて、該流出弁(5)の、流出孔(4)内において移動可能に案内された弁エレメント(7;7′)が、圧力管路(13)内における圧力によって、ばねエレメント(8)の作用に抗して開放制御可能であり、流出孔(4)内に導入されかつ該流出孔(4)内において固定されたばねホルダ(10;10′)が設けられていて、該ばねホルダ(10;10′)にばねエレメント(8)が支持されており、さらに接続雄ねじ山(6)が設けられていることを特徴とする、高圧ポンプ用の流出管片。
【請求項2】
ばねホルダ(10;10′)が完全に流出孔(4)内に導入されている、請求項1記載の流出管片。
【請求項3】
ばねホルダ(10;10′)が流出孔(4)内に圧入又はねじ込まれている、請求項1又は2記載の流出管片。
【請求項4】
ばねホルダ(10;10′)が流出管片(3)と溶接されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の流出管片。
【請求項5】
ばねホルダ(10)が流出孔(4)内に、該流出孔(4)のリング溝に挿入された固定リング(14)を用いて固定されている、請求項1又は2記載の流出管片。
【請求項6】
ばねホルダ(10′)が、流出孔(4)内に形状結合によって固定されており、特に流出孔(4)のリング段部(16)の後ろに係合している、請求項1又は2記載の流出管片。
【請求項7】
ばねエレメント(8)が弁ばねとして形成されている、請求項1から6までのいずれか1項記載の流出管片。
【請求項8】
流出孔(4)が、弁エレメント(7;7′)と共働する弁座(9)を有している、請求項1から7までのいずれか1項記載の流出管片。
【請求項9】
弁エレメント(7;7′)が弁球、弁ピストン、弁円錐、弁プレート又は弁球欠である、請求項1から8までのいずれか1項記載の流出管片。
【請求項10】
弁エレメント(7;7′)のための流出孔(4)のガイド直径が同時に、ばねホルダ(10;10′)のための挿入直径である、請求項1から9までのいずれか1項記載の流出管片。
【請求項11】
ピストンポンプ(1)、特に内燃機関用の燃料噴射装置の高圧ピストンポンプであって、請求項1から10までのいずれか1項記載の流出管片(3)を備えているピストンポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−540934(P2008−540934A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512791(P2008−512791)
【出願日】平成18年4月3日(2006.4.3)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061266
【国際公開番号】WO2006/125690
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【Fターム(参考)】