説明

高圧洗浄機のポンプ空運転防止機構

【課題】 ストレーナに異物が詰まって高圧ポンプへの水の供給が不十分になっても,水源ゼロの状態で高圧ポンプを停止させるのを忘れても、停止装置が渇水信号を受けて駆動装置を停止させることにより高圧ポンプの空運転を防止でき、空運転による高圧ポンプの部分摩耗はては破損が防止できる高圧洗浄機のポンプ空運転防止機構を得る。
【解決手段】 高圧ガン1と、この高圧ガン1が高圧ホース3により接続される高圧ポンプ2と、この高圧ポンプ2を駆動するためのエンジン4と、高圧ポンプ2の吸水側にあってその吸水口2aの渇水状態をとらえるセンサー9と、このセンサー9からの渇水信号を受けてエンジン4を停止させる停止装置10と、この停止装置10にあって前記渇水信号を受けたときにエンジン4の始動時にはその始動を可能にするために前記渇水信号を数秒間キャンセルするためのタイマー12とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高圧洗浄機における高圧ポンプの空運転防止機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の高圧ポンプは、泥水等異物の混入された水を使用すると、高圧洗浄機の全般にわたって故障の原因となるために、清水使用を原則としている。
そのために、高圧ポンプの吸水側に網目の細かいストレーナを装着して、高圧ポンプへの異物混入を防いでいるのが、現状である。
また、高圧ポンプの水源がゼロ状態になると、いちいち手動操作により、高圧ポンプを停止させている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
解決しようとする問題は、ストレーナによって高圧ポンプへの異物混入が低減できるものの、網目の細かいストレーナに異物が詰まって高圧ポンプへの水の供給が不十分になったり,水源ゼロの状態で高圧ポンプを停止させるのを忘れたりすると、高圧ポンプの空運転が起こって高圧ポンプの部分摩耗はては破損につながるという点である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、高圧ガンと、この高圧ガンが高圧ホースにより接続される高圧ポンプと、この高圧ポンプを駆動するための駆動装置と、前記高圧ポンプの吸水側にあってその吸水口の渇水状態をとらえるセンサーと、このセンサーからの渇水信号を受けて前記駆動装置を停止させる停止装置と、この停止装置にあって前記渇水信号を受けたときに前記駆動装置の始動時にはその始動を可能にするために前記渇水信号を数秒間キャンセルするためのタイマーとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、高圧ポンプの吸水側に設けたセンサーにより吸水口の渇水状態をとらえて駆動装置を停止させることができるので、ストレーナに異物が詰まって高圧ポンプへの水の供給が不十分になっても,水源ゼロの状態で高圧ポンプを停止させるのを忘れても、停止装置が渇水信号を受けて駆動装置を停止させることにより高圧ポンプの空運転を防止でき、空運転による高圧ポンプの部分摩耗はては破損が防止できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
高圧ポンプの吸水側にセンサーを設け、このセンサーで吸水口の渇水状態をとらえて停止装置に渇水信号を送り、この停止装置によって駆動装置を停止させることにより、実現した。
【実施例1】
【0007】
本発明の一実施例を図1を用いて説明する。図1は機構全体を概略装置的に示す図である。
図1において、1は高圧ガン、2は高圧ガン1が高圧ホース3により接続される高圧ポンプ、4は高圧ポンプ2を駆動するためのエンジン、5は貯水槽、6は高圧ポンプ2の吸水口2aに接続した吸水ホース、7は吸水ホース6の網目の細かいストレーナー、8は高圧ポンプ2に接続した余水ホース、9は高圧ポンプ2の吸水側にあって吸水口2aの渇水状態をとらえるセンサー、10はエンジン4を停止させるための停止装置で、センサー9がコード11により接続されると共にエンジン4の始動時にはその始動を可能にするためにセンサー9からの渇水信号を数秒間キャンセルするタイマー12を備えている。
【0008】
なお、エンジン4は、点灯コイル仕様のもので、これにより供給される電気を利用して停止装置10を作動し停止すると共にセンサー9の電源としても利用できるようになっている。
【0009】
エンジン4を始動すると、すぐさまセンサー9から停止装置10に渇水信号が入るが、タイマー12が作動してこの渇水信号を数秒間(高圧ポンプ2のエア抜きの時間)キャンセルするので、エンジン4が駆動しつづけて高圧ポンプ2が回転する。後は、高圧ガン1を操作して洗浄作業を行う。
【0010】
ストレーナー7が詰まって高圧ポンプ2への水の供給が不十分になったり,貯水槽5が空になって高圧ポンプ2の吸水が止まったりすると、高圧ポンプ2の吸水口2aでの渇水状態をセンサー9がとらえて渇水信号を出すので、この渇水信号を受けて停止装置10が作動しエンジン4を停止させる。よって、高圧ポンプ2の空回転が防止される。
【0011】
上記実施例においてエンジン4を停止させる際には、センサー9が作動してからエンジン4が停止するまでのタイムラグをタイマー(図示せず)により数十秒(エンジン4が冷却しかつ高圧ポンプ2に空運転の悪影響のでない時間)設ける必要がある。その際、停止装置10により電気的にエンジン4を停止するために、瞬間的にエンジン停止スイッチがオフしてもエンジン4が停止しきらないため接点にオフ状態を数秒設ける必要がある。
【0012】
上記実施例において、水源は貯水槽5に限らないし、高圧洗浄機としては可搬式,設置式のいずれであっても良いは勿論である。
【実施例2】
【0013】
本発明の他の実施例を図2を用いて説明する。図2は機構全体を概略装置的に示す図で、図中前記した実施例1と同一または相当部分には同一符号を付して説明を省略する。
図2において、13は高圧ポンプ2を駆動するためのモータ、14はモータ13の電源で、タイマー12の付いた入切スイッチ(図示せず)を備えている。
【0014】
電源14をスイッチオンしてモータ13を始動すると、すぐさまセンサー9から電源14に渇水信号が入るが、タイマー12が作動してこの渇水信号を数秒間(高圧ポンプ2のエア抜きの時間)キャンセルするので、電源14がスイッチオフにならずモータ13が駆動しつづけて高圧ポンプ2が回転する。後は、高圧ガン1を操作して洗浄作業を行う。
【0015】
ストレーナー7が詰まって高圧ポンプ2への水の供給が不十分になったり,貯水槽5が空になって高圧ポンプ2の吸水が止まったりすると、高圧ポンプ2の吸水口2aでの渇水状態をセンサー9がとらえて渇水信号を出すので、この渇水信号を受けて電源14がスイッチオフしモータ13を停止させる。よって、高圧ポンプ2の空回転が防止される。
【実施例3】
【0016】
本実施例は、上記実施例2に対して本機に貯水タンク15を備えたもので、図3に示すように貯水タンク15に対して高圧ポンプ2及びモータ13がセットされている。なお、図示しないが、高圧ポンプ2の吸水口2aには水源切換部を備えている。
【0017】
このように貯水タンク15を備えていると、水源切換部の切換操作により水源を貯水タンク15と貯水槽5とに自在に切り換えることが可能になる。よって、当初は取り急ぎ貯水タンク15で始めることも,そして水源のないところでも作業が可能になる。
【0018】
いずれの場合もセンサー9の作動により、貯水タンク15,貯水槽5の空による高圧ポンプ2の空回転が防止されることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、高圧洗浄機における高圧ポンプの空運転防止機構に広く活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例1を示すもので、機構全体を概略装置的に示す図である。
【図2】本発明の実施例2を示すもので、機構全体を概略装置的に示す図である。
【図3】本発明の実施例3を示すもので、機構全体を概略装置的に示す図である。
【符号の説明】
【0021】
1:高圧ガン
2:高圧ポンプ
2a:吸水口
3:高圧ホース
4:エンジン
5:貯水槽
6:吸水ホース
7:ストレーナー
8:余水ホース
9:センサー
10:停止装置
11:コード
12:タイマー
13:モータ
14:電源
15:貯水タンク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧ガンと、この高圧ガンが高圧ホースにより接続される高圧ポンプと、この高圧ポンプを駆動するための駆動装置と、前記高圧ポンプの吸水側にあってその吸水口の渇水状態をとらえるセンサーと、このセンサーからの渇水信号を受けて前記駆動装置を停止させる停止装置と、この停止装置にあって前記渇水信号を受けたときに前記駆動装置の始動時にはその始動を可能にするために前記渇水信号を数秒間キャンセルするためのタイマーとを備えたことを特徴とする高圧洗浄機のポンプ空運転防止機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−263628(P2006−263628A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−87402(P2005−87402)
【出願日】平成17年3月25日(2005.3.25)
【出願人】(391033458)株式会社永田製作所 (3)
【Fターム(参考)】