説明

高度に精製されたN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む生理的清涼組成物

本発明は、1つの形態として、実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを提供する。別の形態として、実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの製造方法を開示する。さらに別の形態として、本明細書に開示した実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む各種消費者製品を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して生理的清涼特性を有する高度に精製された化合物を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生理的清涼剤(すなわちクーラント)は、製品の望ましい感覚特性を向上させる能力のため各種の消費者用途に変ることなく広く受け入れられている。望ましい感覚特性は、一般に冷たい感覚に関与する神経末端に対する上述化合物の化学作用によって説明される。これらの化合物の通常の使用ならびに用途としては、食品、飲料、香味料、薬剤、香水、および種々の化粧品が挙げられるが、これらに限定されない。
【0003】
最もよく知られている生理的清涼剤の1つは、下記に示す構造(1)
【0004】
【化1】

【0005】
を有するl−メントールであり、非常に長い間上述の幾つかの用途に用いられている。特に、l−メントールは優れた冷却力、低い感性閾値を有し、また比較的低価格である。
【0006】
しかしながら、メントールはまた強い刺激する臭い、多少の苦味などの若干の望ましくない性質を示し、そして比較的高い揮発性を有する。l−メントールのこれらの不利な点は各種の用途に対してその有用性に若干の制約を加えたので、揮発性が低く、においが比較的弱いかまたはにおいの全くない好適な生理的清涼剤への真摯な探索を鼓舞することとなった。
【0007】
生理的清涼剤化合物研究の第1の方向は、メントールと同様な炭化水素骨組みを有するが、さらにヒドロキシル官能基の代りにもっと重い官能基を含む分子の合成に焦点が合わされた。その結果、多数の合成メントール代用品が開発されて商業化されている。これらの代用品としては、乳酸メンチル(2)、メンチルオキシプロパンジオール(通常MPDと呼ばれる)(3)、こはく酸モノメンチル(4)、およびN−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(通常WS−3と呼ばれる)(5)が挙げられる。
【0008】
【化2】

【0009】
WS−3は上記の2〜5のうち最も強力な清涼剤であると広く考えられており、下に示す一般式6のN−モノ置換p−メンタン−3−カルボキサミドの大きなグループの代表物であり、またこのものは望ましい清涼剤特性を潜在的に備えている。
【0010】
【化3】

【0011】
特に構造6に関連して、置換基“X”は、通常低級の線状もしくは分岐アルキル置換基、官能基置換アルキル置換基またはアリール置換基から選ばれる。
【0012】
この目的のため、米国特許US4,060,091;4,136,163;4,150,052;4,178,459;4,193,936;および4,226,988は、あるN−モノ置換p−メンタン−3−カルボキサミドの冷却力を、感性閾値として数値的にμgで表わして比較している。ここで低い閾値は、強い清涼剤効果と相関している。比較した化合物中、商業上唯一使用されているN−モノ置換p−メンタン−3−カルボキサミド化合物は、0.3μgの感性閾値を有するWS−3清涼剤である。
【0013】
上述の特許文献によって、上掲の一般構造6の幾つかのN−モノ置換p−メンタン−3−カルボキサミドは、WS−3よりも強い清涼剤であることがわかった。たとえば、化合物7(式中、Xはm,p−ジメチルフェニル置換基を表わす)は0.1μgの感性閾値を有し;化合物8(式中、Xはm−ヒドロキシ−p−メチルフェニル−置換基を表わす)は0.1μgの感性閾値を有し;化合物9(式中、Xはp−メトキシフェニル置換基を表わす)は0.1μgの感性閾値を有し;および構造10のグリシン誘導体(式中、Xは−CH2COOC25を表わす)は0.2μgの感性閾値を有する。したがって化合物10はWS−3(化合物5)より1.5倍強い。
【0014】
【化4】

【0015】
化合物7、8および9に対して商業的関心がないのは、ベンゼン環の存在に関係する毒物学上の考慮のためと思われる。しかしながら、特に文献には、p−メンタン−3−カルボキサミド清涼剤の強さについての追加の補正データがあるのに、グリシン誘導体10が何故商業的関心を引かなかったのかは不明のままである。ちなみに上記文献は、グリシン誘導体10が実際に0.2μgの閾値を有する化合物5よりも凡そ1.5倍強い0.13μgの感性閾値を有していたと報告している(J. Soc. Cosmet. Chem, 1978, Vol.29, pp.185〜200)。これを受けて、その答は化合物10が、比較対象物と比べた場合、調味料組成物に対してより強い苦味のある味を与えることを教示しているドイツ特許DE2,503,555中に見出すことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
それ故、高い清涼特性を有する好適な生理的清涼剤に対する技術上のニーズが依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10が、商業上人気があるWS−3よりもおよそ2〜3倍強い生理的清涼剤であるという驚くべき発見に基いている。したがって、各種の形態において、この実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10は、商業上人気のあるWS−3よりも少くとも2.0倍、少くとも2.5倍、または少くとも3.0倍強い生理的清涼剤である。
【0018】
さらに驚いたことに、この実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルは、以前に考えられた苦い味または他の有害な感覚作用を示さない。それ故、実質上純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルは、生理的冷却作用が要望される多様な消費者製品中に使用するのに適していることが発見された。さらに、化合物10はメントールよりも揮発度が極めて低く、殆んど無臭であり、このことにより消費者製品中にこのものを使用する利点が加わる。
【0019】
最初の形態として、本発明は構造式10:
【0020】
【化5】

【0021】
のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む組成物を提供する。ここで該N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルは実質的に純粋な形で存在する。
【0022】
第2の形態として、本発明は構造式10:
【0023】
【化6】

【0024】
のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む組成物を提供する。ここで該組成物は実質的に苦味および/または酸味のあと味を生じさせる不純物がない。
【0025】
さらに第3の形態として、本発明は構造式10:
【0026】
【化7】

【0027】
の実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの製造方法であって、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを不純な形で供給する工程と、この不純なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを、結晶化、昇華、もしくは析出、またはこれらの組合せを含む1つ以上の精製方法によって精製する工程とを含む製造方法を提供する。ここで、該精製方法はN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを実質的に純粋な形で供給するのに有効なものである。
【0028】
さらに別の形態として、本発明は上述の方法によって製造された生成物を提供する。
【0029】
さらに他の形態として、本発明は構造式10:
【0030】
【化8】

【0031】
の実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む消費者製品を提供する。
【0032】
本発明のさらなる別の利点は、以降の説明に部分的に示されており、該説明から部分的に明らかであるか、または本発明の実施により習得できるであろう。本発明の利点は添付の特許請求の範囲に特に指摘した構成要素および組合せによって実現および達成されるであろう。前述の一般的説明と以下の詳細説明は両方とも単に代表的、説明的なものであり、特許請求の範囲に記載された本発明を限定するものでないことを理解されたい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明は、以下の詳細な説明、発明の好ましい実施態様およびそれに含まれる実施例を参照することによって容易に理解できるであろう。またここに使用する種々の用語は、特定の実施態様だけを説明する目的のためであって、限定する積りでないことも理解されたい。
【0034】
明細書および特許請求の範囲に使用されているように、単数形表現は、文脈がはっきり規定しない限り複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。したがって、例えば「溶媒」についての言及は、溶媒の混合物をも含んでいる。
【0035】
しばしば範囲は、本明細書では「おおよその」ある特定値から、および/または「おおよその」他の特定値までと表現される。そのような範囲が表現されたときは、別の態様として、特定値からおよび/または他の特定値までがある。同様に、先行詞の「約」を使用することによって数値が概数として表わされるときは、特定の値の表現は、別の態様を構成することが理解されるであろう。さらに、各範囲の両端点は、他の端点に関して有意であり、また他の端点と無関係にも有意であることも理解されるであろう。
【0036】
本明細書および特許請求の範囲中、次の意味を有すると定義される幾つかの用語に言及する。
【0037】
ある成分の重量%は、特に断らない限り、該成分が含まれる配合物または組成物の総重量をベース(基準)とする。「所望により」とは、後続して説明する事件または事情が起るかも知れないし、または起らないかも知れないことを意味し、さらにその説明は、その事件または事情が起る事例および起らない事例を含むことを意味する。
【0038】
本明細書中に使用するように、「不純な」なる用語は、苦味および/または酸味のあと味を与える不純物を含むN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルに関連している。通常、不純なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルは、純度95.0%以下である。苦味および/または酸味あと味を与えることが知られている不純物の非限定的な例としては、ネオメンタン−3−カルボン酸、p−メンタン−3−カルボン酸、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
本発明により、化合物10に伴う望ましくない苦味は、化合物10を製造するための公知の方法から生ずる不純物が原因となることが発見された。より詳しくは、DE2,205,255;GB1,351,761;US4,150,052;US4,178,459;US4,193,936;およびUS4,226,988(ワトソンら)が、エーテル中NaHCO3の存在でp−メンタン−3−カルボキシルクロロ無水物11とグリシンエチルエステル塩酸塩12との反応によって化合物10を得る方法を教示している。
【0040】
【化9】

【0041】
反応後、エーテル層をMgSO4で乾燥させて真空で蒸留すると、DE2,205,255にしたがって150〜162℃/0.1torr.で沸騰する生成物、またはUS4,193,936にしたがって150〜152℃/0.1torr.で沸騰する生成物が、急速に固化する液体として得られる。
【0042】
重要なことは、本発明の一つの形態にしたがうと、これらの方法は93%を超える純度を有する化合物を製造できないことが発見された。具体的には、本発明により、蒸留した最終生成物が微量副生物のネオメンタン−3−カルボン酸、p−メンタン−3−カルボン酸および幾つかの共沸する未知の不純物が見い出され、その幾つかまたはすべては苦味および/または酸味あと味を与え、そして清涼剤化合物の冷却力を減らす作用をする。そのうえ、本発明は追加の再蒸留工程の後でさえ、化合物10の純度が依然95%を超えないことをさらに発見した:このことが生成物の官能特性に悪い影響を及ぼし、構造10の化合物を商業使用するのを不適切にした。
【0043】
それ故、1つの形態として、本発明は一般構造式10
【0044】
【化10】

【0045】
を有するN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む組成物を提供し、ここでN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルは実質的に純粋な形で存在する。
【0046】
ここに使用するように、「実質的に純粋な」という用語は、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが苦味および/または酸味のあと味を与える不純物を実質的に含まない状態にあることをいう。通常、実質的に純粋というのは約96.0%以上の純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを指す。苦味および/または酸味あと味に影響を与えない不活性物質が高含量で存在する場合などのある条件下では、純度レベルは96.0%未満であってもよい。他の形態として、純度は97.0%以上、98.0%以上、99.0%以上、または99.5%以上とすることができる。純度の上限は、使用する精製の程度によって約100%にすることもできる。
【0047】
本明細書で定義する「実質的に純粋な」という用語は、1つの形態として、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの1つ以上の任意の立体異性体の合計を含むことができるということも理解する必要がある。適当な異性体にはl−メンチル立体配置を有する異性体10a、ネオメンチル立体配置を有する異性体10b、イソメンチル立体配置を有する異性体10c、およびネオイソメンチル立体配置を有する異性体10dが含まれる。
【0048】
【化11】

【0049】
また、「実質的に純粋な」の定義範囲に含まれるものは、上述の構造10a〜dの4つの鏡像(異性)体を表わす任意の1つ以上の異性体13a〜dである。
【0050】
【化12】

【0051】
したがって、各種の形態において、式10のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルは、立体異性体10a〜dおよび13a〜dの総計濃度が少くとも96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上に精製される。さらに別の形態において、式10のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルは、l−メンチル異性体10aのみの濃度が96%以上のレベルに精製される。さらに他の形態においてとして、実質的に純粋な式10のエチルエステルは、97%以上、98%以上、98.5%以上、99%以上、99.5%以上、または約100%の純粋な立体異性体10aである。
【0052】
別の形態として、本発明は一般構造式10:
【0053】
【化13】

【0054】
を有するN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む組成物を提供し、ここで該組成物は苦味および/または酸味のあと味をもたらす不純物を実質的に含まない。「不純物」という用語により、苦味および/または酸味のあと味をもたらす、単一タイプの不純物からであれ複合タイプの不純物からであれ、組成物に適切な、実質的にすべてのタイプの不純物が事実上存在しないことを意味させる積りであり、これによって不純な組成物に比べて、苦味および/または酸味のあと味が著しく減少して、あと味が僅かしかないかまたは全くない組成物をもたらす。「苦味および/または酸味」なる用語は、精製された組成物が、不純物を含む組成物と比べて苦味または酸味が非常に減少しているか、または僅かしか、あるいは事実上全く存在しないことを意図している。1つの形態では、該組成物はネオメンタン−3−カルボン酸を実質的に含まない。他の形態では、該組成物はp−メンタン−3−カルボン酸を実質上含まない。さらに他の形態では、組成物は、実質的にネオメンタン−3−カルボン酸およびp−メンタン−3−カルボン酸の混合物を含まない。
【0055】
さらに別の形態として、工程a)およびb)を含む、構造式10:
【0056】
【化14】

【0057】
の実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの製造方法であって、
a) N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを不純な形で供給する工程;および
b) 工程a)で供給された不純なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを結晶化、昇華、または析出、あるいはそれらの組合せを含む1つ以上の精製方法によって精製する工程を含む製造方法が提供され、ここで該精製方法はN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを実質的に純粋な形で供給するのに有効なものである。
【0058】
不純なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの各種製造方法は工業的に知られているので、このものを供給する反応機構はここでは詳細には検討しない。しかしながら、当然のことながら好適な方法として、特に不純な化合物10の製造用に、特に限定なくドイツ特許DE2,205,255;イギリス特許GB1,351,761;米国特許US4,150,052;US4,178,459;US4,193,936;およびUS4,226,998に開示されているような、エーテル中重炭酸ナトリウムの存在下にp−メンタン−3−カルボン酸クロロ無水物とグリシンエチルエステル塩酸塩の反応が挙げられる。
【0059】
不純なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル化合物の精製は、結晶化、再結晶化、析出、再蒸留、昇華、またはこれらの組合せを含むが、それらに限定はされない有機化合物の精製に関する技術上公知の一般的精製方法を用いて実施できる。一つの形態においては、精製工程には、適切な溶媒からのN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの結晶化または再結晶化が含まれる。
【0060】
好適な溶媒は、脂肪族炭化水素(たとえばヘプタン)、芳香族炭化水素(たとえばベンゼン、トルエン、またはキシレン)、アルコール(たとえばエタノール)、エステル(たとえば酢酸エチル)、エーテル(たとえばエチルエーテル)、ケトン(たとえばアセトン)、塩素化炭化水素(たとえばジクロロメタン)、またはアミド(たとえばジメチルホルムアミド)、あるいはそれらの混合物を含むが、これらのものに限定されない。
【0061】
別の形態として、精製工程には析出が含まれる。この形態にしたがって、析出工程は、不純な化合物を適切な溶媒(たとえばメタノール)中に完全に溶解させ、続いて化合物10の溶解度が低い第2の溶媒(たとえば水)を過剰に加えることによって実施される。別の例は、第1の溶媒としてエタノールまたはイソプロパノール;第2の溶媒としてはヘプタンである。
【0062】
さらに別の形態として、本発明は本明細書中で記載のように、実質的に純粋な構造10のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む消費者製品を提供する。本発明の精製した組成物は、清涼剤を使用可能なすべての消費者製品中に用いることができる。1つの形態として、構造10の実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む消費者製品は人間の消費用に適している。他の形態として、この消費者製品は人間と獣医用の用途を限定せずに含む、哺乳動物の皮膚への局所使用に適している。消費者製品の具体例としては、限定されるものではないが、香料ブレンド、食品、化粧製剤、菓子類、ソフト飲料およびアルコール飲料、チューインガム、練り歯磨、デンタルフロス、うがい薬、抗歯垢剤、抗歯肉炎組成物、シャンプー、抗ふけ症シャンプー、化粧水、脱臭剤、ひげそり後用ローション、ひげそり用ゼリー、ひげそり助剤複合物、芳香剤、皮膚消毒組成物、のど用トローチ、のど用飴、食べる制酸錠、または抗炎症性組成物、鼻の症状治療用、上部胃腸管系苦痛用、感冒症状治療用、咳の軽減用、体のほてりの苦痛軽減用、または足の治療用などを含む薬剤組成物または薬剤が挙げられる。
【0063】
実質的に純粋な式10の化合物を含む組成物は、また、上述の消費者製品中に実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの取り込みを容易にする補助化合物と組合せて使用できる。そのような補助化合物の例としては、エタノールまたはプロピレングリコールなどの溶媒、ヒドロキシアルキルセルロースまたは澱粉などの放出制御剤またはゼリー形成剤、および不定形シリカ、アルミナ、または活性炭などの各種担体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0064】
さらに別の形態として、式10の実質的に純粋な化合物を含む組成物は、噴霧乾燥して、共乾燥して、またはマイクロカプセル化した形態で使用できる。
【0065】
当然のことながら、当業者は本発明組成物の消費者物資中への混入方法を知っている筈である。
【0066】
[実験]
以下の実施例は、実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル、および関連する方法や手段の取得方法、使用方法、および/または評価方法についての完全な開示と説明を当業者に提供するため提出するものであり、その目的は本発明を単に例示するものであり、発明者が発明と考えている範囲を限定するものではない。数値(たとえば量、温度など)および味や冷却力の評価について精度を確実にするため多くの努力を払ったが、多少の誤差や偏差については配慮されねばならない。特に断らない限り、部は重量部であり、温度は℃(セルシウス)または室温であり、圧力は大気圧または大気圧近くである。
【0067】
以下の実施例において、すべての実施例における生成物のガスクロマトグラフ分析(GC)は、標準30−mのスタビルワックスキャピラリカラム、検出器FID、および次の条件:(出発温度100℃、240℃まで15℃/分のプログラム)で水素キャリアガスを使用して実施した。
【0068】
さらに、官能検査のための生成物の水溶液は、ジプロピレングリコールDPG中に適切な量の生成物を溶解させ、次いでDPG溶液を適切な量の水に加えることによって得た。
【0069】
[合成および官能 比較例1]
ドイツ特許DE2,205,255の実施例2にしたがったN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の製造と精製。
【0070】
250mlの水中、炭酸ソーダ(21g,0.25モル)およびグリシンエチルエステルの塩酸塩12(17.5g,0.125モル)の溶液に125mlのエーテル中p−塩化メントイル11(25g,0.125モル)の溶液を加え、得られた混合物を2時間激しく攪拌した。次いでエーテル層を分離して硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を分離して油性の固体物質31.7gを得た。これを減圧下で蒸留して、〜0.1torrで150℃〜162℃の沸点範囲を有するN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの25.4gを黄色液体として採取し、これは約1時間で固化した。この物質を粉砕して55〜58℃の融点を有する黄色の粉体を得た。GC法を使用したこの物質の分析により、純度はたった86.93%であり、86.34%の主異性体10aおよび0.59%のネオ異性体10bを含んでいることがわかった。検出した不純物は以下を含んでいた:ネオメンタン−3−カルボン酸0.76%、p−メンタン−3−カルボン酸5.91%、保持時間(r.t.)が13.9分の未知の化合物3.89%、r.t.が23.1分の未知化合物1.14%、残りの1.36%は11の未知化合物中に分布。
【0071】
この実施例で得られた生成物の25ppm水溶液についての視覚および官能検査により次の結果を得た:非常に淡い黄色、顕著なぞくぞく/冷却感覚、および非常に顕著な苦味と酸味およびあと味。
【0072】
[合成および官能 比較例2]
イギリス特許GB1,351,761の実施例2にしたがったN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の製造および精製(同じまたは類似の方法が米国特許US4,150,052;4,178,459;4,193,936;および4,226,988に示されている)。
【0073】
重炭酸ソーダ(21g,0.25モル)およびグリシンエチルエステル塩酸塩12(17.5g,0.125モル)を水(250ml)中に溶解し、エーテル(125ml)中p−メント−3−オイル塩化物(25g,0.125モル)の溶液を加え、混合物を室温で2時間激しく攪拌した。その後にエーテル層を分離して乾燥させた(MgSO4)。溶媒を除去すると油性の固体(30.8g)が残った。このものを減圧下で蒸留して、〜0.1torr.で150℃〜152℃の沸点範囲を有するN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル17.4gを淡い黄色液として採取し、これは約半時間で固化した。この物質を粉砕して75〜76℃の融点を有する淡黄色の粉末を得た。GC法を使用したこの物質の分析は、93.27%の純度で、92.63%の主異性体10aおよび0.64%のネオ異性体10bを含んでいた。検出した不純物は以下のものを含んでいた:ネオメンタン−3−カルボン酸0.09%、p−メンタン−3−カルボン酸0.83%、r.t.が13.9分の未知化合物3.79%、r.t.が23.1分の未知化合物1.03%、残り0.99%は9つの未知化合物中に分布。
【0074】
この実施例で得られた生成物の25ppm水溶液の視覚および官能検査は次の結果を与えた:非常に淡い黄色、強いぞくぞく/冷却感覚、および顕著な苦味と酸味およびあと味。
【0075】
同じ条件下でこの生成物を追加再蒸留することにより94.95%純度(94.30%の主異性体10aおよび0.65%のネオ異性体10bを含む)の非常に淡い黄色物質12.7gを得た。未知の不純物(r.t.13分)の濃度は実際上不変(3.81%)のままであった;このことは所望の生成物から蒸留によってこの不純物を分離することが不可能なことを示している。
【0076】
生成物の官能特性も実際上不変であった。追加再蒸留後に得られた生成物の25ppm水溶液の二次視覚および官能検査により次の結果を得た:非常に淡い黄色、強いぞくぞく/冷却感覚、および顕著な苦味と酸味およびあと味。
【0077】
[発明の実施例1]
本発明にしたがうN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の製造、結晶化による追加精製、および官能評価。
【0078】
合成部
この実施例の合成部は、本発明において得られた明確な効果が、本開示と先行技術において開示された方法との間の合成方法の違いによるものでないことを説明するため、イギリス特許GB1,351,761の実施例2に示された方法にしたがって実施した。具体的には、重炭酸ナトリウム(84g,1モル)およびグリシンエチルエステル塩酸塩12(70g,0.5モル)を水1L中に溶解し、エーテル(500ml)中のp−メント−3−オイル塩化物11(100g,0.5モル)溶液を加えてこの混合物を室温で2時間激しく攪拌した。この時間の終りにエーテル層を分離して乾燥(MgSO4)させた。溶媒を除去すると油性の固体(123.3g)が残った。このものを減圧下蒸留して、〜0.1torr.で150℃〜152℃の沸点範囲を有するN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル72.0gを淡い黄色液体として採取し、これは約半時間で固化した。GC法を使用した分析により、この物質は合成および官能比較実施例2の蒸留生成物に示した組成物および純度と非常に類似の組成物および純度であることがわかった。
【0079】
追加の精製工程 使用した機器装置:攪拌機を備えたガラス結晶化装置、温度調節用熱電堆、リフラックスコンデンサー、およびエチレングリコール/水混合物を熱交換媒体とする冷却器/加熱器システムに連結する冷却/加熱用ガラスジャケット。
【0080】
合成部で得られた物質を溶融し、結晶化装置に装入して145gのヘプタン中に45〜50℃で溶解させた。得られた澄明な淡黄色溶液を攪拌して約0℃まで徐々に冷却すると生成物の大量結晶化が起った。この混合物を急いでフリット多孔性ガラスフィルターに移し、結晶をすばやく母液から濾過し、フィルター上で空気乾燥させて、80.4〜80.6℃の融点範囲を有するN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の完全に白い結晶64.5gを得た。GC分析は、99.60%の純度で、98.38%の主異性体10aおよび1.22%のネオ異性体10bを含むことを示した。
【0081】
視覚および官能検査 この実施例で得られた生成物の25ppm水溶液のテストにより次の結果を得た:透明無色の溶液、非常に強いぞくぞく/冷却感覚、苦味と酸味またはあと味はない。
【0082】
[発明の実施例2]
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の製造、結晶化による精製、および官能評価。
【0083】
この実施例では、合成と追加精製は本発明の実施例1と同様にして実施したが、唯一の相違は結晶化用の溶媒としてヘプタンの代りに酢酸エチルを使用したことである。28.7gのN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10が80.9〜81.0℃の融点を有する完全に白色の結晶として得られた。GC分析は、99.68%の純度を示し、98.83%の主異性体10aと0.85%のネオ異性体10bを含んでいた。
【0084】
視覚および官能検査 この実施例で得られた生成物の25ppm水溶液のテストにより次の結果が得られた:透明な無色の溶液、非常に強いぞくぞく/冷却感覚、苦味および酸味またはあと味はない。
【0085】
[発明の実施例3]
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の製造、二重結晶化による精製、および官能評価。
【0086】
この実施例は修正した合成方法とそれに続くヘプタンから二重結晶化による追加の精製を使用した。
【0087】
合成工程
水500ml中、70g(0.66モル)の炭酸ソーダおよび100g(0.71モル)のグリシンエチルエステル塩酸塩12の溶液にヘプタン70g中p−メント−3−オイル塩化物11(101g,0.5モル)の溶液を滴下添加した。この混合物を室温で2時間攪拌し、さらに140gの酢酸エチルを添加後、層を分離した。この有機層を5%塩酸250gで、次いで、飽和した重炭酸ナトリウム水溶液250gと水で、洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒の回転蒸発後、残留物を減圧下で蒸留して(約0.5torr.で沸点158〜160℃)107.8gの粗蒸留N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10を得た。
【0088】
追加精製工程パートA
粗N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10を本発明の実施例1記載と同様の方法で1100gのヘプタンから結晶化させて、GCによって主異性体10a(99.24%)のみを含むが未知の不純物(r.t.13.9分)0.76%をも含むN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10を91.7g得た。
【0089】
視覚および官能検査(A) この生成物の25ppm水溶液のテストにより次の結果を得た:透明な無色の溶液、非常に強いぞくぞく/冷却感覚および弱い苦味あと味。
【0090】
追加精製工程パートB 上述と同様な方法で300gの熱ヘプタンから生成物を追加再結晶させて、主異性体10a(GCにより実際上100%)のみを含むN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の87.0gを得た。この物質の融点は80.9〜81.1℃であった。
【0091】
視覚および官能検査(B) 2重結晶化生成物の25ppm水溶液テストにより次の結果を得た:透明な無色溶液、極めて強い快適なぞくぞく/冷却感覚、苦味または酸味の味またはあと味がない。
【0092】
[発明の実施例4]
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の製造、析出による追加精製、および官能評価。
【0093】
この実施例の合成部分は発明の実施例3のように実施したが、追加精製部分は違ったふう(析出による)に実施した。粗蒸留物を十分量のエタノール中に溶解し、次いで過剰量の脱イオン水で析出させて濾過した。得られた生成物をフィルター上で空気乾燥させ、次いで真空乾燥させて、融点範囲78〜80℃を有する稍灰色がかった白色の細かい粒状固体106.9gを得た。GCによる純度:96.12%の主異性体10a、0.91%のネオ異性体10b、および0.98%の未知不純物(r.t.13.9分)、および残りの他の微量不純物。
【0094】
視覚および官能検査 この生成物の25ppm水溶液のテストにより次の結果を得た:透明で殆んど無色の溶液、非常に強いぞくぞく/冷却感覚。また幾らか苦味とあと味もしたが、従来技術の非精製生成物中のものより弱かった。
【0095】
[発明の実施例5]
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の製造、昇華による追加精製、および官能評価。
【0096】
この実施例の合成部は発明の実施例3と全く同様にして実施したが、追加精製部は真空−昇華によって実施した。昇華した物質(白色結晶)は79〜80℃の融点範囲を有し、GCによると98.37%の主異性体10a、1.09%のネオ異性体10b、および0.25%の未知不純物(r.t.13.9分)、残りの他の微量不純物を含んでいた。
【0097】
視覚および官能検査 この生成物の25ppm水溶液のテストにより次の結果を得た:透明無色溶液、非常に強いぞくぞく/冷却感覚、および非常に弱い苦味あと味(従来技術の非精製生成物中のものより極めて弱い)。
【0098】
[発明の実施例6]
高度に精製したN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の冷却力とWS−3の冷却力との比較。
【0099】
この実施例は発明の実施例1で得られた高度精製N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを使用した。
【0100】
10ppm濃度のWS−3を含むWS−3(化合物5)の比較基準水溶液を調製した。
【0101】
精製した化合物10の各種濃度を含む水溶液を調製した(2ppm、3ppm、4ppm、5ppm、およびそれ以上)。これらの水溶液を経口使用で10ppmのWS−3基準水溶液と比較して検査した。高度精製N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の5ppm水溶液が、WS−3の10ppm基準水溶液よりも強くて長続きする冷却作用を与えることがわかった。また高度精製N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の4ppm水溶液がWS−3の10ppm基準水溶液と概略等しい冷却作用を与えることもわかった。
【0102】
それ故、発明の実施例1の高度精製N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10は、WS−3化合物(化合物5)よりもおよそ2.5倍強い。
【0103】
[発明の実施例7]
高度精製N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の冷却力とWS−3の冷却力との比較。
【0104】
この実施例は、発明の実施例3で得られた高度精製(二重結晶化)N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを使用した。
【0105】
10ppm濃度のWS−3を含むWS−3(化合物5)の比較基準水溶液を調製した。
【0106】
各種濃度の精製した化合物10を含む水溶液を調製した:2ppm、3ppm、3.5ppm、4ppm、5ppm、およびそれ以上)。これらの水溶液を10ppmのWS−3基準水溶液と比較して経口使用でテストした。高度に精製したN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10の4ppm水溶液がWS−3の10ppm基準水溶液よりも強くて長続きする冷却作用を与えることがわかった。また、高度精製N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10aの3.5ppm溶液がWS−3の10ppm基準溶液と概略等しい冷却作用を与えることもわかった。
【0107】
それ故、本発明の実施例3の高度に精製したN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステル10は、WS−3化合物(化合物5)よりもおよそ3倍強い。
【0108】
本発明において発明の範囲または精神から逸脱することなく各種の修正や変更を行うことができることは当業者にとって明らかである。本発明の他の実施態様は、当業者にとって本明細書の考察とここに開示の発明の実施により明らかであろう。本発明の本当の範囲と精神は、特許請求の範囲によって示されており、明細書と実施例は単に典型例として考えることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが実質的に純粋な形で存在することを特徴とする、次の構造式のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む組成成物。
【化1】

【請求項2】
前記実質的に純粋な形が、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの複数の立体異性体を含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが少くとも96.0%純度である、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが少くとも97.0%純度である、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが少くとも98.0%純度である、請求項1記載の組成物。
【請求項6】
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが少くとも99.0%純度である、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが少くとも99.5%純度である、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが少くとも98%の次の立体配置の立体異性体を含む、請求項1記載の組成物。
【化2】

【請求項9】
N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが少くとも99.5%の次の立体配置の立体異性体を含む、請求項1記載の組成物。
【化3】

【請求項10】
次の構造式のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを含む組成物であって、苦味および/または酸味のあと味をもたらす不純物を実質的に含まない組成物。
【化4】

【請求項11】
前記不純物が、ネオメンタン−3−カルボン酸、p−メンタン−3−カルボン酸、またはそれらの混合物を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの複数の立体異性体を含む、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
請求項1記載の実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルの製造方法であって、
a) N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを不純な形で供給する工程;および
b) 工程a)で供給された不純なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを結晶化、昇華、または析出、あるいはそれらの組合せを含む1つ以上の精製方法によって精製する工程;
を含み、前記精製方法が、N−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを実質的に純粋な形で供給するのに効果的である製造方法。
【請求項14】
工程a)が蒸留工程を含む、請求項13記載の方法。
【請求項15】
工程b)が96.0%以上の純度のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを供給する、請求項13記載の方法。
【請求項16】
工程b)が97.0%以上の純度のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを供給する、請求項13記載の方法。
【請求項17】
工程b)が98.0%以上の純度のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを供給する、請求項13記載の方法。
【請求項18】
工程b)が99.0%以上の純度のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを供給する、請求項13記載の方法。
【請求項19】
工程b)が99.5%以上の純度のN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルを供給する、請求項13記載の方法。
【請求項20】
工程b)の実質的に純粋なN−[[5−メチル−2−(1−メチルエチル)シクロヘキシル]カルボニル]グリシンのエチルエステルが、ネオメンタン−3−カルボン酸、p−メンタン−3−カルボン酸、またはそれらの混合物を実質的に含まない状態で存在する、請求項13記載の方法。
【請求項21】
工程b)の精製方法が、結晶化を含む、請求項13記載の方法。
【請求項22】
工程b)の精製方法が、析出を含む、請求項13記載の方法。
【請求項23】
工程b)の精製方法が昇華を含む、請求項13記載の方法。
【請求項24】
請求項1記載の組成物を含むことを特徴とする、消費者製品。
【請求項25】
前記消費者製品が、調味料混合物、食料品、菓子類、飲料、チューインガム、デンタルフロス(塗ろう絹糸)、練り歯磨、口内洗浄剤、抗歯垢組成物、抗歯肉炎組成物、のどトローチ剤、のど飴(ドロップ)、制酸錠、あるいは医薬または医療組成物である、請求項24記載の消費者製品。
【請求項26】
前記消費者製品が人間の消費に適する、請求項24記載の消費者製品。
【請求項27】
請求項1記載の組成物を含むことを特徴とする、哺乳動物皮膚への局所使用に適する消費者製品。
【請求項28】
前記消費者製品が、化粧品、シャンプー、ローション、脱臭剤、ひげそりあと用ローション、ひげそり用ゼリー、ひげそり用クリーム、芳香剤、または石けんである、請求項27記載の消費者製品。
【請求項29】
請求項13記載の方法によって製造された製品。

【公表番号】特表2007−530689(P2007−530689A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506269(P2007−506269)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2005/009811
【国際公開番号】WO2005/097735
【国際公開日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(504000649)
【Fターム(参考)】