説明

高温超伝導体薄膜の製造方法

【課題】高いQ値の高温超伝導フィルタを実現可能とするNdBa2Cu37やLaBa2Cu37などの薄膜が、MgO基板の上に形成できるようにする。
【解決手段】酸化マグネシウム(MgO)基板101を用意する。MgO基板101は、主表面が(100)面とされたものであり、また、一辺が20mm程度の矩形の基板である。次に、MgO基板101を、分子線エピタキシー装置の処理室内に搬入し、MgO基板101が600℃〜640℃の範囲に加熱された状態とし、例えば、ネオジウム(Nd),バリウム(Ba),及び銅(Cu)を蒸発源(蒸着源)とする分子線エピタキシー法により、MgO基板101の主表面にNd1Ba2Cu37-d(0≦d≦0.3)からなる高温超伝導体薄膜102が膜厚500nm程度に形成された状態とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネオジウムもしくはランタンと、バリウムと銅とを含む酸化物からなる高温超伝導体薄膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、酸化物超伝導体が、電子デバイスの材料として様々な分野で研究開発され、マイクロ波フィルタをはじめとする高周波デバイスへの適用が研究されている。このような高周波デバイスに用いられる高温超伝導体薄膜は、一般に、高周波表面抵抗(Rs)が低く、超伝導臨界電流密度(Jc)の高いことが必要とされている。高周波表面抵抗と超伝導臨界電流密度とは、反比例の関係にあり、マイクロ波帯のデバイスで用いる場合、高周波表面抵抗が低い状態、すなわち高い超伝導臨界電流密度の状態が求められる。
【0003】
例えば、アメリカ合衆国「Superconductor Technologies」(STI)社では、YBa2Cu3y(YBCO)よりなる高温超伝導体薄膜を用いた高温超伝導フィルターを実用化している(非特許文献1参照)。STI社が用いているYBCO薄膜は、ドイツ「THEVA」社によって作製されたものであり、高周波デバイス用薄膜としては、3MA/cm2以上の高い超伝導臨界電流密度を有する高品質な薄膜である(非特許文献2参照)。また、YBCOより5K高い超伝導臨界温度を有し、より高性能で小型化された高温超伝導フィルターが期待される材料として、NdBa2Cu37やLaBa2Cu37などの高温超伝導体薄膜も研究されている。
【0004】
上述した酸化物からなる高温超伝導体薄膜の形成には、一般に、酸化マグネシウム(MgO)基板が用いられている。例えば、主表面が(100)面とされたMgO基板を用い、分子線エピタキシー(MBE)法により、原子状の酸素が基板近傍の圧力が6×10-3Pa程度で供給された状態で、Nd,Dy,EuのいずれかとBa及びCuよりなる酸化物の高温超伝導体薄膜を形成する技術が提案されている(非特許文献3参照)。このような、高い超伝導臨界電流密度を有する高温超伝導体薄膜には、高い結晶性が要求される。このため、高温超伝導体薄膜を形成するときの薄膜成長には、高温の条件が望ましいとされている。非特許文献3の技術では、Nd−123は、基板温度700℃で形成し、Dy−123は、基板温度670℃で形成している。これらの温度は、形成している酸化物が分解せず、最も高い超伝導臨界電流密度が得られる条件とされている。
【0005】
【非特許文献1】"A/B Band 850 MHz Systems SuperFilter II",SuperLink Rx Solutions, Superconductor Technologies, 460 Ward Drive, Santa Barbara, California 9311.
【非特許文献2】R.Semerad, et al, "RE-123 thin films for microwave applications", Physica C, 378-381, pp. 1411-1418, 2002.
【非特許文献3】J. Kurian, et al. ,"Large area RE-123 thin films for microwave application grown by molecular beam epitaxy",
【非特許文献4】Y.Lemaitre, et al., "Evidence of a 'notch effect' in microwave surface resistance versus deposition temperature for Y1Ba2Cu3O7-x thin film on MgO'100) substrate", Journal of Alloys and Compounds, Vol.251, pp.166-171, 1997.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、非特許文献3の技術により高い超伝導臨界電流密度が得られた高温超伝導体薄膜を用い、この薄膜を加工してフィルタ回路を作製しても、Q値の高い良好な回路特性の高温超伝導フィルターが得られないという問題があった。一般に、MgO基板の上に高温超伝導体薄膜を形成する場合、成長温度が高すぎると、形成している薄膜がMgO基板と反応することが知られている(非特許文献4参照)。このような反応が起こると、形成している高温超伝導体薄膜とMgO基板との界面に界面劣化層が形成され、Q値(Quality factor)の低下を招くものと考えられる。
【0007】
高温超伝導フィルターでは、第1に高いQ値が要求されため、形成される薄膜の超伝導臨界電流密度が高い薄膜が形成できても、界面劣化層が厚く形成されてQ値が著しく低下すると、得られる高温超伝導フィルターは実用性が低くなる。ここで、YBCOは、NdBa2Cu37やLaBa2Cu37に比較して成長温度が低く、界面劣化層があまり形成されない状態で高い超伝導臨界電流密度が得られる成長温度領域が広い。このように、Q値を下げる原因と考えられる界面劣化層が形成されることなく製造することが可能なため、YBCOは実用化されているものと考えられる。
【0008】
これに対し、NdBa2Cu37やLaBa2Cu37は、YBCOより50℃以上高い成長温度が必要となり、界面劣化層が形成されやすい状態となる。このため、MgO基板との間の界面劣化層の形成を抑制した状態で、高い超伝導臨界電流密度が得られる成長温度条件が、YBCOに比較して、NdBa2Cu37やLaBa2Cu37は狭いものと考えられる。実際に、NdBa2Cu37やLaBa2Cu37の薄膜を用いた高温超伝導フィルタの実用化は、報告されていない。
【0009】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、高いQ値の高温超伝導フィルタを実現可能とするNdBa2Cu37やLaBa2Cu37などの薄膜が、MgO基板の上に形成できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る高温超伝導体薄膜の製造方法は、MgOからなる基板の上に、ネオジウムもしくはランタンの一方とバリウムと銅とを含む酸化物からなる高温超伝導体薄膜を形成する高温超伝導体薄膜の製造方法において、基板の温度が600℃〜640℃の範囲とされた状態で、基板の上に高温超伝導体薄膜を形成するようにしたものである。
【0011】
上記高温超伝導体薄膜の製造方法において、基板が載置された処理室の内部を所定の圧力に減圧し、減圧された処理室の内部の基板が600℃〜640℃の範囲に加熱された状態とし、減圧された処理室の内部の加熱された基板の上に原子状の酸素が供給された状態とし、加熱されかつ原子状の酸素が供給されている基板の表面に、ネオジウムもしくはランタンの一方の原子とバリウムの原子と銅の原子とが供給された状態とし、基板の上に高温超伝導体薄膜が形成された状態とすればよい。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、基板の温度が600℃〜640℃の範囲とされた状態で、MgOからなる基板の上に、ネオジウムもしくはランタンの一方とバリウムと銅とを含む酸化物からなる高温超伝導体薄膜を形成するようにしたので、形成された高温超伝導体薄膜をもちいることで、高いQ値の高温超伝導フィルタが実現可能できるようになるという優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態における高温超伝導体薄膜の製造方法を説明するための工程図である。まず、図1(a)に示すように、酸化マグネシウム(MgO)基板101を用意する。MgO基板101は、主表面が(100)面とされたものであり、また、一辺が20mm程度の矩形の基板である。次に、MgO基板101を、分子線エピタキシー装置の処理室内に搬入し、MgO基板101が600℃〜640℃の範囲に加熱された状態とし、例えば、ネオジウム(Nd),バリウム(Ba),及び銅(Cu)を蒸発源(蒸着源)とする分子線エピタキシー法により、図1(b)に示すように、MgO基板101の主表面にNd1Ba2Cu37-d(0≦d≦0.3)からなる高温超伝導体薄膜102が膜厚500nm程度に形成された状態とする。
【0014】
例えば、MgO基板101が搬入された処理室内を1×10-7Pa程度にまで排気する。ついで、処理室内に酸素ラジカル(原子状の酸素)を導入し、MgO基板101の主表面に酸素ラジカルを含む反応ガスが供給された(吹き付けられた)状態とする。酸素ラジカルは、所定の酸素ラジカル生成装置を用いて供給すればよく、2sccmで供給すればよい。酸素ラジカルの代わりに、オゾンガスなどの他の酸化ガスを供給するようにしてもよい。このとき、基板近傍の圧力は、6×10-3Pa程度の圧力に制御された状態とする。なお、sccmは、流量の単位あり、0℃・1気圧の流体が1分間に1cm3流れることを示す。
【0015】
以上のように酸素ラジカルを含む反応ガスが供給された後、前述したように、MgO基板101が600℃〜640℃の範囲に加熱された状態とする。ついで、処理室内に配置されている各るつぼ内に収容されているNd,Ba,及びCuの各蒸着源を、電子ビーム照射により所定温度にまで加熱して蒸発させ、これらよりなる金属原料がMgO基板101の主表面に供給された状態とする。これらの結果、MgO基板101の主表面では、供給されている金属原料が酸素ラジカルにより酸化されるなどのことにより、Nd1Ba2Cu37-dからなる高温超伝導体薄膜102が形成された状態が得られる。この後、MgO基板101の温度が200℃程度にまで低下されるまで、基板の雰囲気に前述した反応ガス(原子状の酸素)が供給されている状態とする。
【0016】
次に、形成された高温超伝導体薄膜102を、公知のフォトリソグラフィ技術により形成されたマスクパターン(図示せず)をマスクとしたイオンミリングにより加工し、図1(c)に示すように、MgO基板101の上に、共振器103が形成された状態とする。共振器103は、図1(d)の平面図に示すように、線幅200μmとされた中央部のパターンと、この左右に配置された線幅980μmのパターンとから構成されている。
【0017】
なお、高温超伝導体薄膜102を形成する前に、酸素雰囲気における1000℃・12時間の加熱処理を、MgO基板101に行うようにしてもよい。よく知られているように、MgOには潮解性があるために基板の表面が劣化して劣化層が形成されるが、これが上述した高温処理により除去できる。
【0018】
次に、分子線エピタキシーにより高温超伝導体薄膜102を形成するときの、基板温度の条件について説明する。以下では、基板温度条件を580,600,620,640,660,680,700,720℃とした8個の試料を作製し、各試料の臨界電流密度(Jc)、Q値を測定し、また、MgO基板101と高温超伝導体薄膜102(共振器103)との界面に形成される界面劣化層の厚さを測定した結果を示す。なお、界面劣化層の厚さは、透過断面電子顕微鏡の観察により、MgO基板101と高温超伝導体薄膜102との界面に見られる結晶が乱れている領域の厚さを測定した結果である。
【0019】
以下の表1に示すように、成長温度が600〜640℃の範囲で高いQ値が得られている。なお、表中の「変化量」は、界面劣化層の厚さの差分を温度の差分で除したものである。
【0020】
【表1】

【0021】
また、表1から分かるように、高いQ値が得られている範囲では、界面劣化層も4〜6nmとあまり厚く形成されていない。一方、高いQ値が得られている温度範囲においては、高い臨界電流密度が得られているわけではない。臨界電流密度は、成長温度が高いほど高くなっている。また、成長温度が660℃を超えると、臨界電流密度は急激に上昇するが、これに対してQ値は極端に低下し、また、界面劣化層も急に厚くなる。
【0022】
表1に示した結果を個別に図示すると、まず、図2に示すように、界面劣化層の厚さが10nmより超えると、Q値が極端に低い値となることが分かる。また、図3に示すように、成長温度に対するQ値の変化と、成長温度に対する臨界電流密度の変化とは、640℃を境に全く相関のない状態となる。ここで、成長温度に対する変化量(界面劣化層差分/変化温度)を見ると、図4に示すように、600〜640℃の範囲で最も小さく、これ以外の領域で大きな値を示しており、特に640℃が臨界的な意味を有していることが明らかである。成長温度が640℃を超える高温の条件では、結晶性は良好になるため臨界電流密度は高くなるが、界面劣化層が厚くなるため、Q値が急激に減少するものと考えられる。一方、580℃より低い温度条件では、臨界電流密度があまり高くないため、界面劣化層が薄くても、高いQ値が得られない。
【0023】
以上のことから明らかなように、温度条件を600℃〜640℃の範囲とすることで、高いQ値の高温超伝導フィルタを実現可能とする、Nd1Ba2Cu37-d(0≦d≦0.3)からなる高温超伝導体薄膜102が、MgO基板101の上に形成できようになる。なお、上述では、Nd1Ba2Cu37-d(0≦d≦0.3)を例に説明したが、これに限るものではなく、Nd1-xBa2-yCu3-z7-d,Nd1+xBa2-yCu3-z7-d,Nd1+xBa2+yCu3-z7-d,Nd1+xBa2+yCu3+z7-d,Nd1+xBa2-yCu3+z7-d,Nd1-xBa2+yCu3+z7-d,Nd1-xBa2-yCu3+z7-d(0≦x≦0.2,0≦y≦0.2,0≦z≦0.2,0≦d≦0.3)であっても同様である。
【0024】
次に、本発明の実施の形態における、他の高温超伝導体薄膜の製造方法について説明する。以下では、MgO基板101の上に、La1Ba2Cu37-d(0≦d≦0.3)からなる高温超伝導体薄膜102を形成する場合について説明する。まず、MgO基板101を、分子線エピタキシー装置の処理室内に搬入し、MgO基板101が600℃〜640℃の範囲に加熱された状態とし、ランタン(La),Ba,及びCuを蒸着源とする分子線エピタキシー法により、図1(b)に示すように、MgO基板101の主表面にLa1Ba2Cu37-d(0≦d≦0.3)からなる高温超伝導体薄膜102が膜厚500nm程度に形成された状態とする。次に、形成された高温超伝導体薄膜102を、公知のフォトリソグラフィ技術により形成されたマスクパターン(図示せず)をマスクとしたイオンミリングにより加工し、図1(c)に示すように、MgO基板101の上に、共振器103が形成された状態とする。蒸着源にLaを用いる他は、前述したNd1Ba2Cu37-dの場合と同様である。
【0025】
次に、前述同様に、基板温度条件を580,600,620,640,660,680,700,720℃とした8個の試料を作製し、各試料の臨界電流密度(Jc)、Q値を測定し、また、MgO基板101と高温超伝導体薄膜102(共振器103)との界面に形成される界面劣化層の厚さを測定した結果を示す。以下の表2に示すように、成長温度が600〜640℃の範囲で高いQ値が得られている。なお、表中の「変化量」は、界面劣化層の厚さの差分を温度の差分で除したものである。
【0026】
【表2】

【0027】
また、表2から分かるように、高いQ値が得られている範囲では、界面劣化層も3〜7nmとあまり厚く形成されていない。一方、高いQ値が得られている温度範囲においては、高い臨界電流密度が得られているわけではない。臨界電流密度は、成長温度が高いほど高くなっている。また、成長温度が660℃を超えると、臨界電流密度は急激に上昇するが、これに対してQ値は極端に低下し、また、界面劣化層も急に厚くなる。
【0028】
表2に示した結果を個別に図示すると、まず、図5に示すように、界面劣化層の厚さが10nmより超えると、Q値が極端に低い値となることが分かる。また、図6に示すように、成長温度に対するQ値の変化と、成長温度に対する臨界電流密度の変化とは、640℃を境に全く相関のない状態となる。ここで、成長温度に対する変化量(界面劣化層差分/変化温度)を見ると、図7に示すように、580〜640℃の範囲で最も小さく、これ以外の領域で大きな値を示しており、640℃が臨界的な意味を有していることが明らかである。成長温度が640℃を超える高温の条件では、結晶性は良好になるため臨界電流密度は高くなるが、界面劣化層が厚くなるため、Q値が急激に減少するものと考えられる。一方、580℃より低い温度条件では、臨界電流密度があまり高くないため、界面劣化層が薄くても、高いQ値が得られない。
【0029】
以上のことから明らかなように、温度条件を600℃〜640℃の範囲とすることで、高いQ値の高温超伝導フィルタを実現可能とする、La1Ba2Cu37-d(0≦d≦0.3)からなる高温超伝導体薄膜102が、MgO基板101の上に形成できようになる。これらのことは、前述したNd1Ba2Cu37-dの場合と同様であり、高いQ値を得るためには、界面劣化層の厚さが10nmを超えないようにすることが重要であることが分かる。なお、上述では、La1Ba2Cu37-d(0≦d≦0.3)を例に説明したが、これに限るものではなく、La1-xBa2-yCu3-z7-d,La1+xBa2-yCu3-z7-d,La1+xBa2+yCu3-z7-d,La1+xBa2+yCu3+z7-d,La1+xBa2-yCu3+z7-d,La1-xBa2+yCu3+z7-d,La1-xBa2-yCu3+z7-d(0≦x≦0.2,0≦y≦0.2,0≦z≦0.2,0≦d≦0.3)であっても同様である。
【0030】
ところで、上述では、分子線エピタキシー法により成膜するようにしたが、これに限るものではなく、他の蒸着法を用いるようにしてもよい。例えば、抵抗加熱式の真空蒸着法を用いるようにしてもよい。この場合においても、原子状の酸素が処理対象の基板に供給されているようにすればよい。また、形成する高温超伝導体薄膜の各元素の組成が制御できるような組成とされたターゲットを用いた反応性スパッタ法により、高温超伝導体薄膜を形成するようにしてもよい。例えば、ECRプラズマを利用した反応性スパッタ法を用いればよい。加熱されかつ原子状の酸素が供給されているMgO基板101の表面に、ネオジウムもしくはランタンの一方の原子とバリウムの原子と銅の原子とが供給された状態が得られれば、どのような方法を用いてもよい。ただし、形成する高温超伝導体薄膜の各元素組成の制御性や、蒸着源容器からの不純物混入抑制などの観点からは、分子線エピタキシー法により成膜する方がよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態における高温超伝導体薄膜の製造方法を説明するための工程図である。
【図2】Nd1Ba2Cu37-dの場合の界面劣化層の厚さとQ値との関係を示す相関図である。
【図3】Nd1Ba2Cu37-dの場合の成長温度とQ値及び臨界電流密度の関係を示す特性図である。
【図4】Nd1Ba2Cu37-dの場合の成長温度とQ値及び界面劣化層差分/変化温度の関係を示す特性図である。
【図5】La1Ba2Cu37-dの場合の界面劣化層の厚さとQ値との関係を示す相関図である。
【図6】La1Ba2Cu37-dの場合の成長温度とQ値及び臨界電流密度の関係を示す特性図である。
【図7】La1Ba2Cu37-dの場合の成長温度とQ値及び界面劣化層差分/変化温度の関係を示す特性図である。
【符号の説明】
【0032】
101…酸化マグネシウム(MgO)基板、102…高温超伝導体薄膜、103…共振器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
MgOからなる基板の上に、ネオジウムもしくはランタンの一方とバリウムと銅とを含む酸化物からなる高温超伝導体薄膜を形成する高温超伝導体薄膜の製造方法において、
前記基板の温度が600℃〜640℃の範囲とされた状態で、前記基板の上に前記高温超伝導体薄膜を形成する
ことを特徴とする高温超伝導体薄膜の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の高温超伝導体薄膜の製造方法において、
前記基板が載置された処理室の内部を所定の圧力に減圧し、
減圧された前記処理室の内部の前記基板が600℃〜640℃の範囲に加熱された状態とし、
減圧された前記処理室の内部の加熱された前記基板の上に原子状の酸素が供給された状態とし、
加熱されかつ原子状の酸素が供給されている前記基板の表面に、ネオジウムもしくはランタンの一方の原子とバリウムの原子と銅の原子とが供給された状態とし、
前記基板の上に前記高温超伝導体薄膜が形成された状態とする
ことを特徴とする高温超伝導体薄膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−169128(P2007−169128A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372248(P2005−372248)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】