説明

高眼圧治療用眼科組成物

本発明は、式Iの強力なカリウムチャネル遮断薬化合物、または緑内障および患者の目の眼内圧上昇を導く他の状態を治療するためのそれらの調合物に関する。本発明は、哺乳類、特にヒトの目に神経保護作用をもたらすためのそうした化合物を使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
緑内障は、眼内圧が高すぎて目が正常に機能できない目の変性疾患である。結果として、視神経乳頭に障害が発生し、回復不能な視覚機能の欠損が生じる。治療しなければ、緑内障は、最終的に失明につながることもある。高眼圧症(すなわち、視神経乳頭の損傷または特徴的な緑内障性視野欠損を伴わない眼内圧上昇状態)は緑内障の発症の早期を表すものにすぎないと、大多数の眼科医が現在考えている。
【背景技術】
【0002】
緑内障および眼内圧上昇を治療するための治療法は幾つかあるが、これらの薬剤の有効度および副作用のプロフィールは、理想的ではない。最近、カリウムチャネル遮断薬が、
目の眼内圧を低下させ、そのため高眼圧およびそれに関連した眼部変性状態の治療へのアプローチをさらにもう一つ提供することが、判明した。カリウムチャネルを遮断することにより、体液の分泌を減少させることができ、また状況によっては、平滑筋収縮を増大させることができ、IOPの低下が期待され、目の神経保護作用を生じることができる(米国特許第5,573,758号および同第5,925,342号;Moore,ら,Invest.Ophthalmol.Vis.Sci 38,1997;国際公開公報第89/10757号、同第94/28900号および同第96/33719号参照)。
【発明の開示】
【0003】
(発明の要約)
本発明は、緑内障および患者の目の眼内圧上昇に関連する他の状態の治療における、強力なカリウムチャネル遮断薬またはその調合物の使用に関する。本発明は、哺乳類、特にヒトの目に神経保護作用をもたらすためのこうした化合物の使用にも関する。さらに詳細には、本発明は、下記構造式I:
【0004】
【化2】

(式中、
Rは、水素またはC1〜6アルキルを表し;
Xは、−(CHR−、または−(CHRCO−を表し;
Yは、−CO(CH−、CH、または−CH(OR)−を表し;
Qは、NまたはO表すが、Qが、Oである時には、Rは、不在であり;
は、H、C1〜6アルキル、−C(O)C1〜6アルキル、−C(O)OC1〜6アルキル、−SON(R)、−SO1〜6アルキル、−SO6〜10アリール、NO、CNまたは−CON(R)を表し;
は、水素、C1−10アルキル、OH、C2−6アルケニル、C1−6アルキルSR、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−N(R)、−COOR、または−(CH6−10アリール(前記アルキル、へテロシクリルまたはアリールは、Rから選択された1から3個の基で場合によっては置換されている。)を表し;
は、水素、C1−10アルキル、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CHCOOR、−(CH6−10アリール、−(CHNHR、−(CHN(R)、−(CHN(R、−(CHNHCOOR、−(CHN(R)COR、−(CHN(R)COR、−(CHNHCOR、−(CHCONH(R)、アリール、−(CH1−6アルコキシ、CF、−(CHSOR、−(CHSON(R)、−(CHCON(R)、−(CHCONHC(R)、−(CHCONHC(R)COR、−(CHCOR、ニトロ、シアノまたはハロゲン(前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルまたはアリールは、Rから選択された1から3個の基で場合によっては置換されている。)を表し;または
Qが、Nである時、RおよびとRは、介在N原子と一緒に、O、S、C(O)もしくはNRの1から2個の原子が場合によっては割り込んでいる、および1から4個の二重結合を場合によっては有する、およびRから選択された1から3個の基により場合によっては置換されている、4〜10員複素環式炭素環を形成しており;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルコキシ、OH、C1−6アルキル、SO1−6アルキル、COC1−6アルキル、COOR、SOH、−O(CHN(R)、−O(CHCOR、−OPO(OH)、CF、OCF、N(R)、ニトロ、シアノ、C1〜6アルキルアミノまたはハロゲンを表し;
は、水素1−10アルキル、−(CH6−10アリール、NR、−NR(CH6−10アリール、N((CH6−10アリール)、−(CH3−10ヘテロシクリル、−NR(CH3−10ヘテロシクリル、N((CH3−10ヘテロシクリル)、(C6−10アリール)O−、−(CH3−8シクロアルキル、−COOR、−C(O)COR(前記アリール、ヘテロシクリルおよびアルキルは、Rから選択された1から3個の基で場合によっては置換されている。)を表し、この場合、R(複数を含む)は、いずれの炭素原子に、またはNおよびSから選択されるいずれのヘテロ原子に結合していてもよく;
およびRは、独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルSR、−(CHO(CHOR、−(CH1〜6アルコキシ、−(CH3〜8シクロアルキルを表し;または
およびRは、介在N原子と一緒に、O、S、C(O)もしくはNRの1から2個の原子が場合によっては割り込んでいる、および1から4個の二重結合を場合によっては有する、およびRから選択された1から3個の基により場合によっては置換されている、4〜10員複素環式炭素環を形成しており;
は、水素、C1〜6アルキル、−(CHCOORまたは−(CHN(R)を表し、
は、−(CH3〜8シクロアルキル、−(CH3〜10ヘテロシクリル、C1〜6アルコキシまたは−(CH6〜10アリール(前記へテロシクリルまたはアリールは、Rから選択された1から3個の基により場合によっては置換されている。)を表し;
は、F、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−O−、−COR、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、CFCHOR、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−O(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−Z−C(=Z)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−Z−C(=Z)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、C3−10ヘテロシクリル、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキル(前記アルキル、アルケニル、アルコキシ、ヘテロシクリルおよびアリールは、C〜Cアルキル、ハロゲン、CN、NO、−(CHOH、CON(R)およびCOORから選択された1から3個の置換基で場合によっては置換されている。)を表し;
およびZは、独立して、NR、O、CHまたはSを表し;
mは、0〜3であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;および
qは、0〜2である。)
を有する新規イミダゾール化合物を使用する緑内障および/または高眼圧(眼内圧上昇)の治療に関する。
【0005】
本発明のこの局面及び他の局面は、全体として本発明を閲覧することにより、充分に理解されよう。
【0006】
(発明の詳細な説明)
本発明は、式Iの新規カリウムチャネル遮断薬に関する。上記式Iのカリウムチャネル遮断薬および医薬適合性の担体を含有する組成物を投与すること、好ましくは局所または眼房内投与することにより、上昇した眼内圧を低下させる方法または緑内障を治療する方法にも関する。
【0007】
本化合物の一つの実施態様において、前記化合物は、pが1〜3のものである。
【0008】
本発明の一つの実施態様は、Yが、−CO(CHであり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりである時、実現される。本発明の一つの副次的実施態様は、nが、0である時、実現される。
【0009】
本発明のもう一つの実施態様は、Yが、CH(OR)であり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりである時、実現される。
【0010】
本発明のさらにもう一つの実施態様は、Qが、Nであり、他のすべての可変項が、当初記載したとおりである時、実現される。
【0011】
本発明のさらにもう一つの実施態様は、Qが、Oであり(ここで、QがOである時には、Rは不在である。)、他のすべての可変項が、当初記載したとおりである時、実現される。
【0012】
もう一つの実施態様において、Rは、H、C1〜6アルキル、−C(O)C1〜6アルキルおよび−C(O)N(R)から選択され、他のすべての可変項は、当初記載したとおりである。
【0013】
もう一つの実施態様において、Xは、−(CHR−であり、pは、1〜3であり、他のすべての可変項は、当初記載したとおりである。
【0014】
もう一つの実施態様において、Xは、−(CHRCO−であり、pは、1〜3であり、他のすべての可変項は、当初記載したとおりである。
【0015】
本発明のさらにもう一つの実施態様は、Rが、(CH6〜10アリール、(CH3〜10ヘテロシクリル、NRまたは(CH3〜8シクロアルキル(前記アリール、ヘテロシクリルおよびシクロアルキルは、Rのうちの1から3個の基で場合によっては置換されており、他のすべての可変項は、当初記載したとおりである。)である時、実現される。
【0016】
本発明のなおもう一つの実施態様は、Rが、水素またはC1〜6アルキルであり、他のすべての可変項が、当初記載されているとおりである時、実現される。
【0017】
本発明のなおもう一つの実施態様は、Yが、−CO(CHであり、Qが、Nである時、実現される。本発明の一つの副次的実施態様は、nが0である時、実現される。
【0018】
本発明のさらにもう一つの実施態様は、Yが、−CO(CHであり、Qが、Nであり、Rが、水素、C1〜10アルキルまたはC1〜6アルキルOHであり、Rが、C1〜10アルキルまたは(CH3〜10へテロシクリル(前記へテロシクリルは、Rのうちの1から3個の基で場合によっては置換されている。)である時、実現される。
【0019】
本発明のさらにもう一つの実施態様は、Yが、−CO(CHであり、Qが、Nであり、RおよびRが、介在N原子と一緒に、O、S、C(O)もしくはNRの1から2個の原子が場合によっては割り込んでいる、および1から4個の二重結合を場合によっては有する、およびRから選択された1から3個の基により場合によっては置換されている、4〜10員複素環式炭素環を形成している時、実現される。
【0020】
本発明のもう一つの実施態様は、Rが、F、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−O−、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、CFCHOR、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−(CHO(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−(C−Cアルキル)C(O)−、−(CHPO(OR)、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキル(前記アルキルおよびアルケニルは、C〜CアルキルおよびCOORから選択された1から3個の置換基で場合によっては置換されている。)から選択される時、実現される。
【0021】
本発明において用いることができる化合物の例は、下記表1および4にあるものまたはその医薬適合性の塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物である:
【0022】
【表5】



【0023】
【表6】

【0024】
【表7】

【0025】
【表8】

【0026】
特に別様に記載されていない限り、下で定義する用語を用い、本発明を本明細書にて詳細に説明する。
【0027】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸およびキラル面を有することがあり、ラセミ体、ラセミ混合物および個々のジアステレオマーとして発生することがあり、また光学異性体を含むすべての可能な異性体が、本発明に包含される(E.L.Eliel and S.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds(John Wiley and Sons,New York 1994)、特に1119〜1190頁参照)。
【0028】
いずれかの可変項(例えば、アリール、ヘテロシクリル、R、Rなど)が、いずれかの成分において一度以上出現する時、各出現時のこの定義は、その他すべての出現時の定義と無関係である。また、置換基/または可変項の組合せは、こうした組み合わせが結果として安定な化合物を生じる場合にのみ許される。
【0029】
が、−O−であり、炭素に結合している時、それをカルボニル基と呼び、これが、窒素原子(例えば、ピリジル基上の窒素原子)または硫黄原子に結合している時、それをそれぞれN−オキシドおよびスルホニルオキシドと呼ぶ。
【0030】
用語「アルキル」は、別様に定義されていない限り、炭素原子1から10個を含有するラジカル由来の一価アルカン(炭化水素)を指す。これは、直鎖であってもよいし、分枝鎖であってもよいし、または環状であってもよい。好ましいアルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。アルキル基がアルキル基で置換されていると言われる時、これは、「分枝鎖アルキル基」と同義で用いられている。
【0031】
シクロアルキルは、別様に定義されていない限り、炭素原子3から15個を含有するアルキルの一種であり、炭素原子間の交互または共鳴二重結合を有さない。融合している環を1から4個含有していることもある。こうしたシクロアルキル要素の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
アルケニルは、C〜Cアルケニルである。
【0033】
アルコキシは、酸素架橋により結合されている、指示された炭素原子数のアルキル基であって、本明細書に記載されているように場合によっては置換されているアルキル基を指す。前記の基は、直鎖または分枝鎖いずれかの構造の指定長の基であり、炭素原子2個以上の長さの場合には、二重結合または三重結合を含むことがある。こうしたアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、イソヘキソキシ、アリルオキシ、プロパルギルオキシなどである。
【0034】
ハロゲン(ハロ)は、塩素、フッ素、ヨウ素または臭素を指す。
【0035】
アリールは、芳香族環、例えばフェニル、置換フェニルなど、ならびに融合している環、例えばナフチル、フェナントレニルなどを指す。従って、アリール基は、少なくとも6個の原子を有する環を少なくとも1個含有し、こうした環は5個以下存在し、これらの中に22個の原子が含まれ、また隣接する炭素原子間または適するヘテロ原子間には交互(共鳴)二重結合が存在する。アリール基の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、ビフェニル、フェナントレニル、アントリルまたはアセナフチルおよびフェナントレニル、好ましくは、フェニル、ナフチルまたはフェナントレニルである。アリール基は、同様に、定義されているとおり置換されていてもよい。好ましい置換アリールには、フェニルおよびナフチルが挙げられる。
【0036】
本明細書で用いられる場合、用語「ヘテロシクリル」または「複素環式」は、飽和されているか、不飽和であり、炭素原子およびN、OおよびSから成る群より選択される1から4個のヘテロ原子からなる安定な3〜7員単環式または安定な8〜11員二環式複素環を表し、上で定義した複素環のいずれかがベンゼン環に融合している二環式の基を包含する。複素環は、結果的に安定な構造を作るあらゆるヘテロ原子または炭素原子での結合が可能である。融合複素環構造は、炭素環を含むことができ、一つだけは複素環を含む必要がある。用語「複素環」または「複素環の」は、ヘテロアリール部分を包含する。こうした複素環要素の例には、アゼピニル、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、ジヒドロピロリル、1,3−ジオキソラニル、フリル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、2−オキソアゼピニル、オキサゾリル、2−オキソピペラジニル、2−オキソピペリジニル、2−オキソピロリジニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアゾリル、チアゾリニル、チエノフリル、チエノチエニルおよびチエニルが挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、複素環は、2−アゼピノニル、ベンズイミダゾリル、2−ジアザピノニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロピロリル、イミダゾリル、2−イミダゾリジノニル、インドリル、イソキノリニル、モルホリニル、ピペリジル、ピペラジニル、ピリジル、ピロリジニル、2−ピペリジノニル、2−ピリミジノニル、2−ピロリジノニル、キノリニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロイソキノリニルおよびチエニルから選択される。
【0037】
用語「ヘテロ原子」は、独立して選択されるO、SまたはNを意味する。
【0038】
用語「ヘテロアリール」は、少なくとも一個のヘテロ原子、O、SまたはNを含有する環原子数5もしくは6の単環式芳香族炭化水素基または原子数8から10の二環式芳香族基であって、炭素または窒素原子が、結合点であり、さらなる炭素原子1または2個が、OまたはSから選択されるヘテロ原子により場合によっては置換されており、さらなる炭素原子1から3個が、窒素へテロ原子により場合によっては置換されている基を指し、前記アリール基は、本明細書に記載されているように場合によっては置換されている。そうした複素環要素の例には、ベンズイミダゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾオキサゾリル、クロマニル、シノリニル、ジヒドロベンゾフリル、ジヒドロベンゾチエニル、ジヒドロベンゾチオピラニル、ジヒドロベンゾチオピラニルスルホン、フリル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、イソクロマニル、イソインドリニル、イソキノリニル、イソチアゾリル、ナフチリジニル、オキサジアゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリニル、キノキサリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、チアゾリル、チエノフリル、チエノチエニル、チエニルおよびトリアゾリルが挙げられるが、これらに限定されない。追加の窒素原子が、最初の窒素および酸素または硫黄とともに存在してもよい(例えば、チアジアゾールを生じる)。
【0039】
本発明は、その必要がある患者に、チモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロール、レボブノロールなどのβ−アドレナリン遮断薬;エピネフリン、イオピジン、ブリモニジン、クロニジン、p−アミノクロニジンなどの副交感神経作動模倣薬;ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミドまたはブリンゾラミドなどの炭酸脱水酵素阻害薬;EP4作動薬(国際公開公報第02/24647号、同第02/42268号、欧州特許第1114816号、国際公開公報第01/46140号、および同第01/72268号に記載されているものなど);ラタノプロスト、トラバプロスト、ウノプロストン、レスキュラ、S1033(米国特許第5,889,052号、同第5,296,504号、同第5,422,368号、および同第5,151,444号に記載の化合物)などのプロスタグランジン;ルミガンおよび米国特許第5,352,708号に記載されている化合物などの血圧降下性脂質;米国特許第4,690,931号に開示されている神経保護物質、メマンチンを含む、特に、国際公開公報第94/13275号に記載されているようなエリプロジルおよびR−エリプロジル;またはPCT/US00/31247に記載されているような5−HT2受容体作動薬、特に、フマル酸1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−イミダゾール−6−オールおよび2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンと併用で式Iの化合物の一つを投与することにより、高眼圧または緑内障を治療する組成物および方法にも関する。血圧降下性脂質(その基本プロスタグランジン構造のα鎖結合のカルボン酸基が、電気化学的に中性の置換基で置換されている)の一例は、そのカルボン酸基が、OCHなどのC1〜6アルコキシ基で置換されているもの(PGF2a1−OCH)、またはヒドロキシ基で置換されているもの(PGF2a1−OH)である。
【0040】
好ましいカリウムチャネル遮断薬は、カルシウム活性化カリウムチャネル遮断薬である。さらに好ましいカリウムチャネル遮断薬は、高コンダクタンスのカルシウム活性化カリウム(Maxi−K)チャネル遮断薬である。Maxi−Kチャネルは、ニューロン組織、平滑筋組織および上皮組織において優性である、ならびに膜電位および細胞内Ca2+に依存するイオンチャネルの一ファミリーである。
【0041】
本発明は、Maxi−Kチャネルが、遮断されると、正味の溶質およびHOの流出を抑制することにより眼房水の生産を抑制し、従ってIOPを低下させるという発見に基づくものである。この発見は、Maxi−Kチャネル遮断薬が、黄斑浮腫および黄斑変性などの他の眼科的機能不全の治療に有効であることを示唆している。IOPの低下が網膜および視神経への血流を促進することは、公知である。従って、本発明の化合物は、黄斑浮腫および/または黄斑変性の治療に有用である。
【0042】
IOPを低下させるMaxi−Kチャネル遮断薬は、神経保護作用の提供に有用であると考えられる。IOPを低下させることにより網膜および視神経乳頭の血流速度の上昇ならびに網膜および視神経の酸素の増加に有用であると考えられ、これらが組み合わさると視神経の健康に有益である。結果として、本発明は、さらに、網膜および視神経乳頭の血流速度の上昇、網膜および視神経の酸素張力の増加ならびに神経保護作用の提供またはそれらの組合せのための方法に関する。
【0043】
多数の市販薬が、カリウムチャネル拮抗薬として機能する。これらの中で最も重要なものには、化合物ギルブリド(Glyburide)、グリピジド(Glipizide)およびトルブタミド(Tolbutamide)が挙げられる。これらのカリウムチャネル拮抗薬は、抗糖尿病薬として有用である。本発明の化合物をこれらの化合物の一つ以上と併用して、糖尿病を治療することができる。
【0044】
カリウムチャネル拮抗薬は、人間では、クラス3抗不整脈剤としても、また急性梗塞の治療にも利用されている。アパミン(Apamin)、イベリオトキシン(Iberiotoxin)、カリブドトキシン(Charybdotoxin)、ノキシウストキシン(Noxiustoxin)、カリオトキシン(Kaliotoxin)、デントロトキシン類(Dendrotoxin(s))、肥満細胞脱顆粒(MCD)ペプチドおよびβ−ブンガロトキシン(β−Bungarotoxin;β−BTX)を含む多数の自然毒がカリウムチャネルを遮断することが、公知である。本発明の化合物をこれらの化合物の一つ以上と併用して、不整脈を治療することができる。
【0045】
うつ病は、神経伝達物質放出の減少に関係する。現行のうつ病治療には、神経伝達物質取込み遮断薬、および神経伝達物質の寿命を延長するように作用する神経伝達物質分解関与酵素の阻害剤が挙げられる。
【0046】
アルツハイマー病も神経伝達物質放出減少によって特徴付けられる。抗コリンエステラーゼ薬などのコリン作動性増強薬(例えば、フィゾスチグミン(エゼリン)およびタクリン(Tacrine、テトラヒドロアミノクリジン));ニューロンの代謝に作用するが他の場所には殆ど作用しない向知性薬(例えば、ピラセタム(Piracetam)、オキシラセタム(Oxiracetam));およびメシル酸エルゴロイドとニモジピン(Nimodipine)を含むカルシウムチャンネル遮断薬との混合物などの脳の脈管構造に作用する薬物といった三種類の薬物が、アルツハイマー病の治療のために調査されている。伝えられるところによると、セレジリン(Selegiline、脳のドーパミンおよびノルエピネフリンを増加させるモノアミンオキシダーゼB阻害剤)は、一部のアルツハイマー病患者において軽度の改善を生じた。アルミニウムキレート剤は、アルツハイマー病がアルミニウム毒に起因すると考えている者に関心を持たれている。行動に影響を及ぼす薬物(神経弛緩薬を含む)および抗不安薬が、用いられている。弱精神安定薬である抗不安薬は、神経弛緩薬より有効性が低い。本発明は、カリウムチャネル拮抗薬として有用である新規化合物に関する。
【0047】
本発明の範囲内の化合物は、カリウムチャネル拮抗活性を示し、故に、カリウムチャネル機能不全に随伴する疾患に有用である。アルツハイマー病、記憶喪失またはうつ病などの多数の認識障害には、セロトニン、ドーパミンまたはアセチルコリンなどの神経伝達物質の放出増進が有益であり得る。Maxi−Kチャネルの遮断は、細胞の脱分極を持続させ、従って、これらのウイルス活性神経伝達物質の分泌を増進する。
【0048】
本発明の化合物は、アルツハイマー病の治療の際、フィゾスチグミン(エセリン)およびタクリン(テトラヒドロアミノクリジン)などの抗コリンエステラーゼ薬、ピラセタム、オキシラセタム、メシル酸エルゴロイドなどの向知性薬、ニモジピンなどの選択的カルシウムチャネル遮断薬、またはセレジリンなどのモノアミンオキシダーゼB阻害剤と併用することができる。本発明の化合物は、不整脈の治療の際、アパミン、イベリオトキシン、カリブドトキシン、ノキシウストキシン、カリオトキシン、デンドロトキシン(類)、肥満細胞脱顆粒(MCD)ペプチドおよびβ−ブンガロトキシン(β−BTX)またはそれらの組合せと併用することもできる。さらに、本発明の化合物を、グリブリド、グリピジド、トルブタミドまたはそれらの組合せと併用して、糖尿病を治療することができる。
【0049】
本明細書の実施例は、特許請求の範囲に記載の本発明を説明するものであり、制限するものではない。特許請求の範囲に記載の各化合物は、カリウムチャネル拮抗薬であり、細胞を脱分極状態で維持して神経伝達物質の最大放出を達成することが望ましい、記載の神経疾患に有用である。本発明において生産される化合物は、安定な公知医薬適合性賦形剤と容易に組合されて、ヒトを含む哺乳動物に投与して有効なカリウムチャネル遮断を達成することができる組成物を生成する。
【0050】
薬物において使用するための式Iの化合物の塩は、医薬適合性の塩である。しかし、他の塩は、本発明の化合物またはそれらの医薬適合性の塩の調製の際に有用であり得る。本発明の化合物が、酸性である時、適する「医薬適合性の塩」は、無機塩基および有機塩基を含む医薬適合性非毒性塩基から調製された塩を指す。無機塩基から誘導される塩には、アルミニウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、亜鉛塩などが挙げられる。アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩およびナトリウム塩が、特に好ましい。医薬適合性有機非毒性塩基から誘導される塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テモブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの、第一、第二および第三アミン塩、天然置換アミンを含む置換アミン塩、環状アミン塩および塩基性イオン交換樹脂が挙げられる。
【0051】
本発明の化合物が、塩基性である時、塩は、無機酸および有機酸を含む医薬適合性非毒性酸から調製することができる。このような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、樟脳スルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。クエン酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸が、特に好ましい。
【0052】
上記の医薬適合性の塩および他の典型的な医薬適合性の塩の調製は、Bergら,「製薬学的塩(Pharmaceutical Salts)」,J.Pharm.Sci.,1977:66:1−19に、さらに充分に記載されている。
【0053】
本明細書で用いられる場合、用語「組成物」は、特定の量で特定の成分を含む生成物ならびに特定の量で特定の成分を併せることにより直接または間接的に得られるあらゆる生成物を包含するためのものである。
【0054】
本発明の化合物が、ヒト被験者に投与される時、その日用量は、通常はその処方医により決定され、その用量は、一般に、個々の患者の年齢、体重、性別および応答ならびにその患者の症状の重症度によって変わる。
【0055】
用いられるMaxi−Kチャネル遮断薬は、治療有効量で、静脈内的に、皮下的に、局所的に、経皮的に、非経口的に、または当業者には公知の他のあらゆる方法で投与することができる。
【0056】
眼科用医薬組成物は、好ましくは、溶液、懸濁液、軟膏、クリームの形態で、または固体挿入物として目への局所投与に適応させる。本化合物の眼科調合物は、0.01ppmから1%、とりわけ0.1ppmから1%の薬物を含有する。例えば約10%といったそれより高い用量、またはそれより低い用量を用いることができるが、但し、その用量が、眼内圧の低下、緑内障の治療、血流速度の上昇または酸素張力の増加に有効であることを条件とする。一回量については、0.001から5000ngの間、好ましくは0.1から500ng、とりわけ1から100ngの本化合物をヒトの目に適用することができる。
【0057】
本化合物を含有する製剤は、非毒性の製剤用担体または非毒性の製剤用無機担体と適便に混合することができる。典型的な医薬適合性担体は、例えば、水、水と水混和製溶媒(低級アルカノールまたはアラルカノールなど)の混合物、植物油、ポリアルキレングリコール、石油系ゼリー、エチルセルロース、エチルオレエート、カルボキシメチル−セルロース、ポリビニルピロリドン、イソプロピルミリステートおよび他の通常用いられている許容可能な担体である。上記製剤は、乳化剤、保存薬、湿潤剤、増粘剤など(例えば、ポリエチレングリコール200、300、400および600、カーボワックス1,000、1,500、4,000、6,000および10,000のようなもの)、抗菌成分(第四アンモニウム化合物、低温殺菌特性を有し、使用に際して有害でないフェニル水銀塩、チメロサール、メチルおよびプロピルパラベン、ベンジルアルコール、フェニルエタノールなど)、緩衝成分(ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、グルコネート緩衝剤など)、および他の通常成分(モノラウリン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、オレエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチレート、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、モノチオグリセロール、チオソルビトール、エチレンジアミン四酢酸など)などの非毒性補助物質も含有することができる。加えて、通常のリン酸緩衝ビヒクル系、等張ホウ酸ビヒクル、等張塩化ナトリウムビヒクル、等張ホウ酸ナトリウムビヒクルなどを含む適する眼科用ビヒクルを本目的のために担体媒体として用いることができる。上記製剤は、微粒子調合物の形態であることもできる。上記製剤は、固体挿入物の形態であることもできる。例えば、本薬物のための担体として固体水溶性ポリマーを用いることができる。前記挿入物を生成するために用いられるポリマーは、あらゆる水溶性非毒性ポリマー、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、(ヒドロキシ低級アルキルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、などのセルロース誘導体;ポリアクリル酸塩、エチルアクリレート、ポリアクリルアミドなどのアクリレート;ゼラチン、アルジネート、ペクチン、トラガカントゴム、インドゴム、ツノマタ、寒天、アラビアゴムなどの天然産物;酢酸デンプン、ヒドロキシメチルデンプンエーテル、ヒドロキシプロピルデンプンなどのデンプン;ならびにポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、中和カルボポールおよびキサンタンガム、ジェランガム、および前記ポリマーの混合物などの他の合成誘導体であることができる。
【0058】
本発明の調合物の投与に適する被験者には、霊長類、ヒトおよび他の動物、特にヒトおよび家庭の動物(ネコおよびイヌなど)が挙げられる。
【0059】
上記製剤は、使用に際して有害でない抗菌化合物、例えば、チメロサール、塩化ベンズアルコニウム、メチルおよびプロピルパラベン、臭化ベンジルドデシニウム、ベンジルアルコールまたはフェニルエタノール;塩化ナトリウム、ホウ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムまたはグルコネート緩衝液などの緩衝成分;ならびにモノオレイン酸ソルビタン、トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミチレート。エチレンジアミン四酢酸などの他の通常の成分など非毒性補助物質を含有することができる。
【0060】
眼科用溶液または懸濁液は、目において許容されるIPOレベルを維持するために必要な頻度で投与することができる。哺乳動物の目への投与は、一日に約一回または二回であろうと考えられる。
【0061】
眼への局所投与用の本発明の新規調合物は、単位用量が本活性成分の治療有効量または併用療法の場合にはその数倍を含むように調合された、溶液、ゲル、軟膏、懸濁液または固体挿入物の形態を取ることができる。
【0062】
例示として与える下記の実施例は、本発明を示すものである。
【0063】
下記の例の中で用いられる用語の定義は、次のとおりである:
SM − 出発原料、
DMSO − ジメチルスルホキシド、
TLC − 薄層クロマトグラフィー、
SGC − シリカゲルクロマトグラフィー、
PhMgBr − 臭化フェニルマグネシウム、
h=hr=時間、
THF − テトラヒドロフラン、
DMF − ジメチルホルムアミド、
min − 分、
LC/MS − 液体クロマトグラフィー/質量分析、
HPLC − 高速液体クロマトグラフィー、
PyBOP − ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス−(ジメチルアミノ)ホスホニウム、
equiv=eq=当量、
NBS − N−ブロモスクシンアミド、および
AIBN − 2,2’−アゾビスイソブチロニトリル。
【0064】
本発明の化合物は、適切な場合には修正しつつ、図式1および/または2に従って、一般には製造することができる。実施例1から17も、図式1および/または2に従って生成される。
【0065】
【化3】

【0066】
【化4】

【0067】
図式1では、ニトロアニソールを、NBS(N−ブロモスクシンイミド)、AIBNおよび過酸化ベンゾイルを用いて臭素化する。シアン化カリウムでのそのブロモニトロアニソールの処理によって、シアノニトロアニソールを生じる。そのニトロ基のアミンへの転化を水素化により達成する。その後、そのアミンを亜硝酸ナトリウムおよびHClで処理して、インダゾール環を生じる。この反応では、そのアニリン部分のニトロ化によってジアゾニウムが生じるとすぐに、それは、その酸性シアン化ベンジルにより分子内に捕捉される。得られた誘導体の互変異性化によって、インダゾール核を得る。グリニャール試薬でのニトリルの処理、得られたイミノ−マグネシウム錯体のその後の加水分解によって、所望のアルキル/アリールケトンを得る。その先端基の誘導は、そのイミダゾールをNaHで処理してその窒素を脱プロトン化し、その後、ブロモ酢酸メチルを付加させて必要なエステルを生成することによって達成する。LiOHでの加水分解によって、その酸を得る。
【0068】
【化5】

【0069】
図式2において、DMSO中のHaHでのシアノ酢酸メチルの処理により生じたシアノエステル塩で1−クロロ−3−ニトロアニソールを処理して、生成物2[(シアノ(4−メトキシ−2−ニトロフェニル)酢酸エチル]を生じる。加水分解および1N重炭酸ナトリウムでの脱カルボキシル化によって、3−(4−メトキシ−2−ニトロフェニルアセトニトリル)を生じる。その合成の残りの後続段階は、図式1と同じままである。この合成を用いて、例えば、R位にメトキシをおよびR位にイソプロピルを有するインダゾール(図1参照)を生じることができる。この化合物の酸を用いて、ペプチドカップリングにより一連の類似体を生じることができる。
【0070】
加えて、当業者には、上の図式において、アミンをアルコールで置換すると、対応するO−誘導体が続いて生じることは理解できよう。
【0071】
調製例1
【0072】
【化6】

【0073】
500mLフラスコに336mmol(13.44g;60%)のNaHを充填した。アルゴン下で150mLのDMSOを添加し、続いて5℃で32mLのシアノ酢酸エチル(2.2当量;352mmol)を一滴ずつ添加した。すべてを添加した後、反応を1時間かけて室温まで温めた。30gの出発ニトロベンゼン誘導体を粉末として添加した(160mmol)。その反応混合物を90℃で8時間、密閉系で加熱した。酸化および標準的な処理によって、濁った油性残留物を得、それをシリカゲルカラムで精製して、39gの所望の結晶質生成物を得、それを脱カルボキシル化して、次のとおりベンジルニトリルを得た。上で得られた出発原料の38gを400mLの1N炭酸ナトリウムに溶解した。その均質溶液を室温で二日間攪拌した。TLC分析は、反応の完了を示した。その反応混合物を酸性化し、酢酸エチル(100mLx4)で抽出した。併せた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、残留物をSGCに付して、所望の生成物を得た。
【0074】
H NMR CDCL3:7.72(1H,d,J=3Hz);7.61(1H,d,J=8.5Hz);7,25(1H,dd,J=3および8.5Hz);4.17(2H,s);3.94(3H,s)。LCMS[M+H]=193。
【0075】
調製例2
【0076】
【化7】

【0077】
10gのベンジルニトリル誘導体を20mLのTHFに溶解し、続いて50mLのメタノールで希釈した。その反応混合物を圧力管に入れ、Pd−C(10重量%/10mol%)を添加し、その反応混合物を40psiで水素化した。NO基の還元に必要な量の水素を消費した後、反応を停止させた。TLC分析は、スポット・ツー・スポット変換を示した。その反応混合物をセライトにパッドに通して濾過し、固体に濃縮して、次の段階で直接用いた。濁ったアニリン誘導体(52mmol)を、5℃に冷却した2NのHCl(150mL)に溶解/懸濁させ、続いて水10mL中の亜硝酸ナトリウム5.4gを添加した。その反応混合物を徐々に室温に温めながら1時間攪拌させた。TLC分析は、SM(出発原料)の完全消費および新しいスポットの生成を示した。その反応混合物を酢酸エチル(100mLx4)で抽出し、有機相を回収して、乾燥させ、濃縮した。残留物をSGCによって精製して、所望の生成物を得た。LCMS[M+H]=174
調製例3
【0078】
【化8】

【0079】
ニトリル(1.5g、調製例2からのもの)を20mLの乾燥THFに溶解し、アルゴン下、3当量のPhMgBr(THF中1M)を5℃で添加した。その反応混合物を室温で1時間攪拌した。水および1NのHCl(15mL)の添加により、反応を注意深く停止させた。その停止させた反応混合物を室温で1時間攪拌し、その後、酢酸エチル(20mLx3)で抽出し、有機相を併せて、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して固体残留物にし、それをトルエンと3回共沸させ、次の段階で直接用いた。LCMS[M+H]=253。
【実施例1】
【0080】
【化9】

【0081】
ベンゾイル誘導体(8.6mmol、調製例3から得たもの)を8mLのDMFに溶解し、続いて1.2当量のNaH(鉱物油中60%溶液)を添加した。室温で15分間攪拌した後、1.5当量のブロモ酢酸メチルを添加し、その反応混合物をさらに0.5時間攪拌した。TLC分析は、反応の完了を示した。その組成材料の標準的な水性処理、その後のSGC精製によって、2.2gの所望の酢酸誘導体を得た。そのメチルエステルの加水分解を、LiOHを用いて行った。エステル(2.2g;6.8mmol)を100mLのTHFに溶解し、続いて1MのLiOH(15mL)を添加した。TLCおよびLCMSによると、反応は0.5時間で完了した。15mLの1N HClの添加による酸性化、その後の酢酸エチルでの抽出および溶媒の蒸発によって、固体残留物を得、HPLCによるとそれは純度95%であり、カップリング段階での使用に適するものだった。LCMS[M+H]=311。
【実施例2】
【0082】
【化10】

【0083】
90℃でアセトニトリル(5mL)中のPyBOP(2.2当量)およびヒューニッヒ塩基(Hunigs base)(3当量)を用いて、酸(300mg、実施例1からのもの)をN−エチル−5−アミノチアゾール誘導体(1.2当量)とカップリングさせた。その反応は、45分で完了した。標準的な処理、その後のSGC精製によって、所望の生成物を白色の泡沫として得た。LCMS[M+H]=421。
【0084】
下に示すような実施例4から14は、多少の修正はあるものの、図式1および2ならびに実施例1から3に従ってNRを付加させることにより製造する。
【実施例3】
【0085】
【化11】

【実施例4】
【0086】
【化12】

【実施例5】
【0087】
【化13】

【実施例6】
【0088】
【化14】

【実施例7】
【0089】
【化15】

【実施例8】
【0090】
【化16】


【実施例9】
【0091】
【化17】

【実施例10】
【0092】
【化18】

【実施例11】
【0093】
【化19】

【0094】
4.15gのインダゾール(化合物e、調製例2)を計りとり、水をトルエン(100mL)と二回共沸させて、洗浄し、回転蒸発によりトルエン共沸混合物を除去した。高真空下で充分に乾燥させ、アルゴンパージを行った。アルゴン下、40mLの乾燥トルエンおよび92mLの乾燥エーテルに溶解した。氷水浴内で5℃に冷却した。3当量の塩化イソプロピルマグネシウム(THF中の2M溶液36mL)を充填し、0.5時間、室温で攪拌した。1NのHCl(240mL)を注意深く充填し、1時間攪拌した。TLCによって反応をモニターした。EtOAcで抽出し、回転蒸発させて、化合物fを生じた。LCMS[M+H]=219。
【0095】
出発原料(3.40g、化合物f)を計りとってフラスコに入れ、トルエン(100mL)で乾燥させて、回転蒸発および高真空により共沸混合物除去した。20mLのDMFおよび3当量のNaH(0.5761g)を充填し、15分間攪拌させた。冷却しながら、2.5当量のブロモ酢酸メチル(3.8mL)を充填した。添加が完了したら、LC/MSをランした。LC/MSによるモニターを継続した。化合物gが生成された。LCMS[M+H]=291。
【0096】
SMエーテル(化合物g、2.23g)を計りとって丸底フラスコに入れた。115mLのTHFおよび16mLのLiOHを充填し、一晩攪拌させた。LC/MSをランした。20mLの1N HClを充填した。EtOAcで抽出し、回転蒸発させた。添加が完了したら、LC/MSをランした。LC/MSによるモニターを継続した。カラムクロマトグラフィーによって精製して、その酸、化合物hを生成した。
【0097】
H NMR CDCL3:8.25(1H,d,J=8.5Hz);7.0(1H,dd,J=3および8.5Hz);6.65(1H,d,J=3Hz);5.21(2H,s);3.94(3H,s);3.8(2H,s);1.6(1H,m);1.25(6H,d,J=7Hz)。LCMS[M+H]=277。
【0098】
調製例4
【0099】
【化20】

【0100】
下の実施例12および13に記載の手順に従って、化合物h(実施例11)をpy−BOPおよび塩基(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下でアミンNH(R)と結合させる。
【実施例12】
【0101】
【化21】

【0102】
実施例11からの酸化合物h(100mg)、0.3204gのPy−BOP、0.19mLのジイソプロピルエチルアミン、0.07gの2−エチルアミノチアゾールおよび3.5mLのアセトニトリルを、オーブン乾燥した試験管に試験管で充填した。90℃に加熱し、放置して45分間反応させた。反応混合物を飽和NaClで処理し、酢酸エチルで抽出した。溶媒を回転蒸発させ、生成物をクロマトグラフィーによって精製して、所望の化合物i(式中、R=N−エチル−2−チアゾリル)を生じた。生成物をNMRおよびLC/MSによって分析した。LCMS[M+H]=387。
【実施例13】
【0103】
【化22】

【0104】
100gの酸(化合物h、実施例11からのもの)、0.3204gのPy−BOP、0.19mLのジイソプロピルエチルアミン、0.1mLのN−エチルシクロヘキシルアミンおよび3.5mLのアセトニトリルを、オーブン乾燥した試験管に試験管で充填した。90℃に加熱し、放置して45分間反応させた。反応混合物を飽和NaClで処理し、酢酸エチルで抽出した。溶媒を回転蒸発させ、生成物をクロマトグラフィーによって精製した。精製された生成物をNMRおよびLC/MSによって分析した。LCMS[M+H]=386。
【0105】
以下の実施例14から17は、調製例4および実施例12から13の方法を用い、また適切なアミン出発原料を取り換えて製造した。
【実施例14】
【0106】
【化23】

【実施例15】
【0107】
【化24】

【実施例16】
【0108】
【化25】

【実施例17】
【0109】
【化26】

【0110】
実施例18から実施例26は、調製例5から14に従って製造した。
【0111】
調製例5
【0112】
【化27】

【0113】
20mLのCHCl中の1.99g(10mmol)のブロモ酢酸臭化物の溶液を−78℃に冷却し、TEA(1.21g、12mmol)を一滴ずつ添加した。その反応混合物を20分間攪拌した後、ジブチルアミン(1.54g、12mmol)を一滴ずつ添加した。反応完了後、その混合物を1NのHCl、HO、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、褐色の油を生じた。この材料をさらなる精製を一切せずに用いた。
【0114】
H NMR(CDCl)δ:0.95(6H,m),1.35(4H,m),1.55(4H,m),3.30(4H,m),3.85(2H,s)。
【0115】
調製例6
【0116】
【化28】

【0117】
段階A:
酢酸中の二臭化物(23.2g、実施例1の段階3の副生成物)の溶液に酢酸ナトリウム(22.5g)を添加した。その混合物を油浴内に置き、反応が完了するまで2、3時間還流させた。その混合物を室温に冷却し、その後、氷/水に注入して、所望の化合物をオフホワイトの固体として得た。その固体を濾過によって単離し、窒素雰囲気で乾燥させた。
【0118】
H NMR(CDCl):δ10.23(1H,s);8.19(1H,d);7.02(1H,dd);6.96(1H,d);3.90(3H,s)。
【0119】
段階B:
段階Aからの中間体にオルトギ酸トリエチル(40mL)を添加し、2、3時間、130℃に加熱した。得られた混合物を濃縮乾固して、表題化合物を褐色の固体として得た(11.9g)。
【0120】
H NMR(DMSO):δ10.08(1H,s);7.98(1H,d);7.25(1H,d);7.02(1H,dd);6.81(1H,s);3.82(3H,s);3.52(4H,q);1.11(6H,t)。
【0121】
調製例7
【0122】
【化29】

【0123】
THF(10mL)中の5−ヨード−2−クロロピリジン(2.56g、10.78mmol)の溶液に、−78℃で、iPrMgBrを一滴ずつ添加した。その反応混合物を1時間攪拌した後、調製例6(1.71g、6.10mmol)をTHF中の溶液(5mL)として添加した。2時間後、反応を1NのNaOHで停止させ、EtOAcで抽出した。併せた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。トルエン(50mL)中のその粗製生成物の溶液にMnO(2.173g、25.0mmol)を添加し、その反応混合物を130℃に加熱した。1時間後、反応は完了し、それをセライトのパッドに通して濾過して、真空下で濃縮した。その粗製生成物をTHF(10mL)に溶解し、4mLの1N HClを一滴ずつ添加した。TLC分析が完了を示すまで、その反応混合物を室温で攪拌した。反応混合物を0℃に冷却し、固体沈殿物を回収した(1.131g、64%)。H NMR(CDOD)δ:3.900(3H,s),7.013(1H,d),7.062(1H,s),7.627(1H,d),8.672(1H,d),9.306(1H,s)。
【0124】
調製例8
【0125】
【化30】

【0126】
この中間体は、調製例5に記載のとおり調製したが、ジイソプロピルアミンをジブチルアミンの代わりに用いた。
【0127】
H NMR(CDCl)δ:0.95(6H,m),1.60(4H,m),3.25(4H,m),3.82(2H,s)。
【0128】
調製例9
【0129】
【化31】

【0130】
この中間体は、調製例5に記載のとおり合成したが、ジイソアミルアミンをジブチルアミンの代わりに用いた。
【0131】
H NMR(CDCl)δ:0.95(12H,m),1.40(2H,m),1.60(4H,m),3.30(4H,m),3.82(2H,s)。
【0132】
調製例10
【0133】
【化32】

【0134】
CHN中の調製例14(275mg、1.02mmol)の攪拌溶液に、TEA(0.169mL、1.22mmol)、DMAP(12mg、0.102mmol)および無水t−ブトキシカルボニル(265mg、1.22mmol)を添加した。30分後、反応混合物をEtOAcで希釈し、HO、ブラインで抽出して、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗製材料に、0℃で過酢酸(0.159mL、1.278mmol)を添加した。TLCは、1.5時間後に反応の完了を示し、その反応混合物を真空下で濃縮した。その粗製材料をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製した。そのN−オキシドをCHClに溶解し、TFAAを0℃で一滴ずつ添加した。反応を室温に温めて、一晩攪拌した。完了した反応をHOおよびEtOAcで希釈し、1NのNaOHでそのpHを13〜14にした。水性層をEtOAcで洗浄し、併せた有機相をHO、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、所望の生成物(52mg、18%)を生じた。H NMR(CDCl)δ:3.90(3H,s),4.95(2H,s),6.85(1H,s),7.05(1H,d),7.50(1H,d),8.30(1H,d),8.68(1H,d),9.64(1H,s)。
【0135】
調製例11
【0136】
【化33】

【0137】
この中間体は、調製例5に記載のとおり合成したが、N,N−エチルブチルアミンをジブチルアミンの代わりに用いた。
【0138】
H NMR(CDCl)δ:0.95−0.99(3H,m),1.15−1.26(3H,m),1.35(2H,m),3.59(2H,m),3.30−3.40(4H,m),3.86(2H,s)。
【0139】
調製例12
【0140】
【化34】

【0141】
段階A:
エタノール中の2−ピリジン酢酸、5−ブロモ−□□−ジフルオロ−、エチルエステル(13.4g;「Ero,H.;Haneko,Y.;Sakamoto,T.Chem Pharm.Bull.2000,48,982」に従って調製したもの)に0℃で水素化ホウ素ナトリウム(2.3g)を少しずつ添加した。0℃で1時間攪拌した後、その混合物を水に注入し、酢酸エチルで抽出した。有機層を1N NaOH水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、減圧下で濃縮して、粗製アルコールを生じた。塩化メチレン中のその粗製アルコールに、0℃でイミダゾール(4.1g)およびTBS−Cl(8.3g)を添加した。その混合物を1時間攪拌した。その反応混合物を0.1NのHCl水溶液に注入し、塩化メチレンで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、蒸発させた。残留物をシリカゲル(100%塩化メチレン)によって精製して、所望の化合物を無色の油として得た(13.5g)。
【0142】
H NMR(CDCl):δ8.75(1H,d);7.95(1H,dd);7.57(1H,d);4.20(2H,t);0.82(9H,s);0.02(6H,s)。
【0143】
段階B:
調製例14について記載したものと同様の手順により、所望の化合物を調製した。
【0144】
H NMR(DMSO):δ9.35(1H,d);8.65(1H,dd);8.14(1H,d);7.88(1H,d);7.10(1H,d);7.03(1H,dd);4.05(2H,t);3.85(3H,s)。
【0145】
LC−MS(M+H)=334.2。
【0146】
段階C:
DMF(4mL)中の段階Bからの中間体(200mg、0.602mmol)およびCsCO(586mg、1.806mmol)の溶液に、ブロモ酢酸エチル(0.134mL、1.204mmol)を添加した。40分後、その反応は完了し、HOで反応を停止させた。その反応混合物をEtOAcで抽出し、併せた有機層をHO、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その材料をさらに精製せずに用いた。
【0147】
H NMR(CDCl)δ:1.286(3H,m),3.915(3H,s),4.296(4H,m),5.209(2H,s),6.738(1H,s),7.063(1H,d),7.871(1H,d),8.310(1H,d),8.708(1H,d),9.527(1H,s)。
【0148】
段階D:
段階Cからの中間体の溶液に、12mLのTHF/EtOH/HO(1:1:1)を添加し、続いて150mgのNaOHを添加した。1時間後、その反応は完了し、THFおよびEtOAcを真空下で除去した。水性層をエーテルで抽出し、pH2に酸性化して、EtOAcで希釈し、HOで洗浄して、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗製生成物をさらに精製せずに用いた。
【0149】
H NMR(CDOD)δ:3.909(3H,s),4.157(2H,t),5.374(2H,s),7.027(1H,d),7.103(1H,s),7.881(1H,d),8.201(1H,d),8.764(1H,d),9.462(1H,s)。
【0150】
調製例13
【0151】
【化35】

【0152】
段階A:
トルエン中の2,5−ジブロモピリジン(2.4g)の溶液に、窒素雰囲気下でトリブチルアリル錫(3.4mL)およびジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.7g)を添加した。その混合物を2、3時間還流させ、減圧下で濃縮した。残留物を「湿性エーテル」に再び溶解し、DBU(3mL)をゆっくりと添加して、濁った溶液を得た。その混合物をシリカゲルのパッドで濾過し、濃縮した。残留物を塩化メチレン/メタノール=1/1溶液に溶解し、−78℃に冷却した。この溶液を、その反応混合物が青色になるまで、オゾンによりバブリングした。反応を0℃に温め、水素化ホウ素ナトリウム(0.5g)を少しずつ添加した。0℃で1時間攪拌した後、その混合物を水に注入し、酢酸エチルで抽出した。有機層を1NのNaOH水溶液、ブラインで洗浄して、乾燥させ(MgSO)、減圧下で濃縮して、濁ったアルコールを生じた。そのアルコールをシリカゲル(塩化メチレン/酢酸エチル=1/1)によって精製して、所望のアルコールを得た。塩化メチレン中のアルコールの溶液に、0℃で、イミダゾール(0.4g)およびTBS−Cl(0.8g)を添加した。その混合物を1時間攪拌した。その反応混合物を0.1NのHCl水溶液に注入し、塩化メチレンで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、乾燥させて(MgSO)、蒸発させた。残留物をシリカゲル(100%塩化メチレン)によって精製して、所望の化合物を得た(1.05g)。
【0153】
H NMR(CDCl):δ8.61(1H,d);7.73(1H,dd);7.14(1H,d);3.97(2H,t);2.96(2H,t);0.86(9H,s);−0.02(6H,s)。
【0154】
段階B:
調製例13は、調製例14について記載するものと同様の手順によって調製した。所望の調製例13gをpH>10で沈殿させた。
【0155】
H NMR(DMSO):δ9.23(1H,d);8.43(1H,dd);8.11(1H,d);7.46(1H,d);7.04(1H,dd);6.99(1H,d);4.85(2H,t);3.83(3H,s);2.97(2H,t)。
【0156】
調製例14
【0157】
【化36】

【0158】
THF(15mL)中の5−ブロモ−2−メチルピリジン(736mg、4.31mmol)の溶液に、−78℃でnBuLi(2.156mL、5.39mmol、ヘキサン中2.5M)を一滴ずつ添加した。その反応混合物を1時間攪拌した後、調製例6(1.00g、3.59mmol)をTHF中の溶液(5mL)として添加した。出発原料は、2時間後に消費され、1NのNaOHで反応を停止させて、EtOAcで抽出した。併せた有機層をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。トルエン(20mL)中のその粗製生成物の溶液にMnO(0.414g、4.77mmol)を添加し、その反応混合物を130℃に加熱した。1時間後、反応は完了し、それをセライトのパッドに通して濾過して、真空下で濃縮した。その粗製生成物をTHFに溶解し、4mLの1N HClを一滴ずつ添加した。1時間後、反応混合物を0℃に冷却し、固体沈殿物を回収した(380mg、40.0%)。H NMR(DMSO)δ:2.553(3H,s),3.832(3H,s),7.000(1H,d),7.089(1H,s),7.451(1H,d),8.100(1H,d),8.430(IH,d),9.220(1H,s)。
【0159】
調製例16
【0160】
【化37】

【0161】
段階A:
DMF(10mL)中の中間体5(500mg、2.048mmol)およびNaH(163mg、4.096mmol、ヘキサンで洗浄した油中の60%分散液)の溶液に、ブロモ酢酸エチル(0.272mL、2.457mmol)を添加した。40分後、その反応は完了し、HOで反応を停止させた。その反応混合物をEtOAcで抽出し、併せた有機層をHO、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その材料をさらに精製せずに用いた(597mg、収率88%)。H NMR(CDCl)δ:1.295(3H,t),1.684(2H,m),1.792(2H,m),2.000(4H,m),3.904(3H,s),4.047(1H,m),4.284(2H,q),5.167(2H,s),6.680(1H,s),6.991(1H,d),8.270(1H,d)。
【0162】
段階B:
メタノール(10mL)に溶解した段階Aからの中間体の溶液に、5NのNaOH(3.6mL)を添加した。2時間後、反応は完了し、メタノールを真空下で除去した。得られた水性層をエーテルで抽出し、pH2に酸性化して、EtOAcで希釈し、HOで洗浄して、MgSOで乾燥させ、真空下で濃縮した。その粗製生成物をさらに精製せずに用いた(409mg、収率75%)。H NMR(CDOD)δ:1.696(4H,m),1.887(2H,m),1.980(2H,m),3.885(3H,s),4.074(1H,m),5.303(2H,s),6.943(1H,d),7.033(1H,s),8.105(1H,d)。
【0163】
調製例17
【0164】
【化38】

【0165】
所望の化合物は、中間体5について記載したものと同様の手順で調製したが、臭化シクロヘキシルマグネシウムを臭化シクロペンチルマグネシウムの代わりに用いた。H NMR(CDCl)δ:1.327(1H,m),1.479(2H,m),1.604(2H,m),1.781(1H,m),1.861(2H,m),2.000(2H,m),3.641(1H,m),3.902(3H,s),6.923(1H,s),7.008(1H,d),8.259(1H,d)。
【0166】
調製例18
【0167】
【化39】

【0168】
段階A:
THF(10mL)中の5−ヨード−2−クロロピリジン(2.56g、10.78mmol)の溶液に、−78℃でiPrMgBrを一滴ずつ添加した。その反応混合物を1時間攪拌した後、中間体8(1.71g、6.10mmol)をTHF中の溶液(5mL)として添加した。2時間後、反応を1NのNaOHで停止させ、EtOAcで抽出した。併せた有機相をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。トルエン(50mL)中のその粗製生成物の溶液に、MnO(2.173g、25.0mmol)を添加し、その反応混合物を130℃に加熱した。1時間後、反応は完了し、それをセライトのパッドに通して濾過して、真空下で濃縮した。その粗製生成物をTHF(10mL)に溶解し、4mLの1N HClを一滴ずつ添加した。TLC分析が完了を示すまで、その反応混合物を室温で攪拌した。その反応混合物を0℃に冷却し、固体沈殿物を回収した(1.131g、64%)。H NMR(CDOD)δ:3.900(3H,s),7.013(1H,d),7.062(1H,s),7.627(1H,d),8.672(1H,d),9.306(1H,s)。
【0169】
段階B:
アセトニトリル(10mL)中の段階Aからの中間体(275mg、1.02mmol)、DMAP(12mg、0.102mmol)およびTEA(0.169mL、1.22mmol)の溶液に、無水t−ブトキシカルボニル(265mg、1.22mmol)を添加した。40分後、その反応は完了し、HOで反応を停止させた。その反応混合物をEtOAcで抽出し、併せた有機層をHO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮して、3.14mgの所望の生成物を生じた。H NMR(CDCl):δ1.771(9H,s),3.967(3H,s),7.113(1H,d),7.513(1H,d),7.717(1H,s),8.291(1H,d),8.724(1H,d),9.487(1H,s)。
【0170】
段階C:
500mg(12.5mmol)のNaH(鉱物油中60%分散液)をヘキサンで3回洗浄し、窒素下で乾燥させた。1,3−プロパン−ジ−オール(5mL)をその乾燥NaHに添加し、反応混合物を20分間、60℃で攪拌した。その反応混合物に段階Bからの中間体(487mg、1.25mmol)をTHF中の溶液(5ml)として添加した。60℃で3時間、その反応混合物を攪拌し続けた。完了したら、THFを真空下で除去し、EtOAcで希釈して、HO、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。その粗製材料を10mLのEtOAcに溶解し、0℃に冷却した。その後、HCl(ガス)を、その溶液を飽和させるまで、バブリングした。2時間後、LCMSによる分析は、すべての出発原料が消費されたことを示し、固体沈殿物を回収した。H NMR(DMSO):δ1.862(2H,m),3.555(2H,t),3.822(3H,s),4.391(2H,m),6.965(2H,m),7.073(1H,s),8.088(1H,d),8.466(1H,d),9.090(1H,s)。
【実施例18】
【0171】
【化40】

【0172】
段階A:
DMF(14mL)中の調製例6(600mg g、2.08mmol)およびCsCO(2.028g、6.24mmol)の溶液に調製例5(809mg、3.24mmol)を添加した。35分後、反応は完了し、それを氷水に注入した。固体沈殿物を回収して、950mgの所望の生成物を生じた(定量的)。
【0173】
H NMR(CDCl)δ:0.919(3H,t),0.975(3H,t),1.327(4H,m),1.596(4H,m),3.408(4H,m),3.926(3H,s),5.275(2H,s),6.864(1H,s),7.053(1H,d),7.491(1H,d),8.321(1H,d),8.563(1H,d),9.425(1H,d)。
【0174】
段階B:
800mg(20.0mmol)のNaH(鉱物油中60%分散液)をヘキサンで3回洗浄し、窒素下で乾燥させた。エチレングリコール(14mL)をその乾燥NaHに添加し、その反応混合物を20分間、50℃で攪拌した。反応混合物に前の段階からの中間体(916mg、2.0mmol)をTHF中の溶液(12mL)として添加した。反応混合物を一晩、50℃で攪拌した。その反応混合物を氷水に注入し、固体沈殿物を回収した。その粗製生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、所望の生成物(688mg、71.1%)を生じた。
【0175】
H NMR(CDCl)δ:0.903(3H,m),0.987(3H,m),1.372(4H,m),1.584(4H,m),3.405(4H,m),3.922(3H,s),4.028(2H,m),4.640(2H,m),5.288(2H,s),6.858(1H,s),6.953(1H,d),7.050(1H,d),8.302(1H,d),8.579(1H,d),9.360(1H,s)。
【実施例19】
【0176】
【化41】

【0177】
段階A:
この化合物は、実施例1の段階Aに記載したとおり調製したが、調製例9を調製例5の代わりに用いた。
【0178】
H NMR(CDCl)δ:0.857(6H,d),0.943(6H,d),1.380−1.604(6H,m),3.338(4H,m),3.834(3H,s),5.196(2H,s),6.748(1H,s),6.974(1H,d),7.400(1H,d),8.208(1H,d),8.503(1H,d),9.336(1H,s)。
【0179】
段階B:
この化合物は、実施例18の段階Bに記載したとおり調製した。SiO分取プレート(1:1 ヘキサン/EtOAc)によって精製した。
【0180】
H NMR(CDCl)δ:0.909(6H,d),0.975(6H,d),1.503−1.624(6H,m),3.441(4H,m),3.925(3H,s),4.032(2H,m),4.610(2H,m),5.282(2H,s),6.863(1H,s),6.954(1H,d),7.054(1H,d),8.324(1H,d),8.585(1H,d),9.354(1H,s)。
【実施例20】
【0181】
【化42】

【0182】
調製例10を用いて、この化合物を実施例1の段階Aに記載したとおり調製したが、調製例11を調製例5の代わりに用いた。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって精製した。
【0183】
H NMR(CDCl)δ:0.924(3H,m),1.158−1.440(7H,m),3.442(4H,m),3.932(3H,s),4.956(2H,s),5.310(2H,s),6.871(1H,s),7.081(1H,d),7.559(1H,d),8.314(1H,d),8.712(1H,d),9.673(1H,s)。
【実施例21】
【0184】
【化43】

【0185】
調製例10を用いて、この化合物を実施例18の段階Aに記載したとおり調製した。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって精製した。
【0186】
H NMR(CDCl)δ:0.916(3H,t),0.965(3H,t),1.379(4H,m),1.589(4H,m),3.414(4H,m),3.925(3H,s),4.896(2H,m),5.285(2H,s),6.865(1H,s),7.045(1H,d),7.443(1H,d),8.311(1H,d),8.615(1H,d),9.578(1H,s)。
【実施例22】
【0187】
【化44】

【0188】
調製例10を用いて、この化合物を実施例1の段階Aに記載したとおり調製したが、調製例9を調製例5の代わりに用いた。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって精製した。
【0189】
H NMR(CDCl)δ:0.910(6H,d),0.992(6H,d),1.450−1.700(6H,m),3.411(4H,m),3.933(3H,s),4.973(2H,s),5.297(2H,s),6.847(1H,s),7.082(1H,d),7.568(1H,bs),8.332(1H,d),8.744(1H,bs),9.701(1H,s)。
【実施例23】
【0190】
【化45】

【0191】
調製例12(21mg、0.053mmol)、HOBt(14.3mg、0.106mmol)およびEDC(30.3mg、0.159mmol)にNMP(1mL)およびDIPEA(0.027mL、0.159mmol)を添加した。10分後、ジブチルアミン(0.014mL、0.106mmol)を反応混合物に添加し、その混合物を一晩、室温で攪拌した。完了したら、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。併せた有機層を1NのHCl、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。最終生成物を逆相液体クロマトグラフィー(HO中25〜100%のアセトニトリル)によって精製した。その生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/1)によって精製した。
【0192】
H NMR(CHCl):δ9.55(1H,d);8.73(1H,dd);8.32(1H,d);7.88(1H,d);7.07(1H,dd);6.86(1H,d);5.29(2H,s);4.32(2H,t);3.93(3H,s);3.38(4H,m);1.60(4H,m);1.40−1.28(4H,m);0.97(3H,t);0.92(3H,t)。
【0193】
LC−MS(M+H)=503.7。
【実施例24】
【0194】
【化46】

【0195】
この化合物は、実施例23に記載したとおり製造したが、ジイソアミルアミンをジブチルアミンの代わりに用いた。その生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン=1/1)によって精製した。
【0196】
H NMR(CHCl):δ9.55(1H,d);8.73(1H,dd);8.33(1H,d);7.88(1H,d);7.07(1H,dd);6.87(1H,d);5.27(2H,s);4.32(2H,t);3.94(3H,s);3.40(4H,m);1.67−1.43(6H,m);0.97(6H,d);0.92(6H,d)。
【0197】
LC−MS(M+H)=531.3。
【実施例25】
【0198】
【化47】

【0199】
DMF中の調製例13(150mg)およびCsCO(500mg)の溶液に調製例5(150mg)を添加した。反応完了後、その混合物を氷/水に注入して、沈殿を得た。この化合物をシリカゲル(塩化メチレン/酢酸エチル=1:1)によって精製した。
【0200】
H NMR(CHCl):δ9.57(1H,d);8.57(1H,dd);8.32(1H,d);7.39(1H,d);7.06(1H,dd);6.86(1H,d);5.30(2H,s);4.11(2H,t);3.93(3H,s);3.42(2H,t);3.38(2H,t);3.20(2H,m);1.57(4H,m);1.40−1.28(4H,m);0.98(3H,t);0.92(3H,t)。
【0201】
LC−MS(M+H)=467.4。
【実施例26】
【0202】
【化48】

【0203】
調製例9を調製例5の代わりに用いて、実施例25に記載した手順により所望の化合物を調製した。この化合物をシリカゲル(塩化メチレン/酢酸エチル=1:1)によって精製した。
【0204】
H NMR(CHCl):δ9.58(1H,d);8.58(1H,dd);8.32(1H,d);7.41(1H,d);7.06(1H,dd);6.86(1H,d);5.29(2H,s);4.11(2H,t);3.93(3H,s);3.40(4H,m);3.22(2H,m);1.74−1.40(6H,m);0.98(6H,t);0.92(6H,t)。
【0205】
LC−MS(M+H)=495.4。
【0206】
本発明の化合物のもう一つの調製方法を図式3で略述する。市販のアニリン1をアミド2に転化させた。後者を公知の方法に基づき環化して、インドール3を得た(K.Smith,G.A.El−Hiti,G.J.Pritchard,A.Hamilton J.Chem.Soc.Perkin Trans.I 1999,2299−2303参照)。このインドールをF.PiozziおよびM.Dubini(Gazz Chim Ital 1959,89,638)の修正手順によりインダゾール4に転化させた。所望のアミド化合物8へのその後の転化は、上に記載したもの同様であった。
【0207】
【化49】

【0208】
一般実験条件: NMRスペクトルは、残留溶媒ピークを参照するVarian Instrumentsを用いて室温で記録した。LC−MSは、2.0x50mmのX−Terra C18カラムおよび3.75分にわたって10〜98%MeCNの傾斜、続いて1分間、98%MeCNを用いる電子スプレーイオン化でのAgient HPLCおよびMicromass ZQ検出器で測定した。その水性およびMeCN溶出物は、0.06および0.05%(v/v)のトリフルオロ酢酸をそれぞれ含有していた。分取HPLC分離は、YMC 20x150mm 5 □ ProC18カラムまたは9.4x250mm SB−C18 Zorbaxカラムを用いて行った。
【実施例27】
【0209】
【化50】

【0210】
N,N−ジブチル−2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]アセトアミド
段階A: N−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパンアミド
200mLのDCM中の10.44gの2−メチル−5−メトキシアニリンの溶液に、攪拌しながら10.82gのDIEA、続いて0.64gの塩化トリメチルアセチルを添加した。40時間後、殆どの溶媒を減圧下で除去した。残留物をエーテルで希釈し、0.25MのHCl(2x)、5%のNaHCO、および飽和ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、表題化合物を淡い黄褐色の固体として得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.74(d,J=2.5Hz,1H),7.29(br s,NH),7.08(d,J=8.5Hz,1H),6.64(dd,J=2.5および8.5Hz,1H),3.82(s,3H),2.22(s,3H),1.37(s,9H)。LC−MS:2.97分。(m/Z=222)。
【0211】
段階B: 2−t−ブチル−6−メトキシ−1H−インドール
−3℃の浴内、窒素下で、300mLの無水THF中の上記段階Aで調製した17.20gのN−(5−メトキシ−2−メチルフェニル)−2,2−ジメチルプロパンアミドの溶液に、ヘキサン中2.5Mのn−BuLiを62.2mL添加した。1時間攪拌した後、冷却浴を取外した。4日後、塩化アンモニウム飽和溶液の添加によって反応を停止させ、減圧下で濃縮して溶媒を除去した。残留物を1NのHClで希釈し、エーテルで抽出した。併せたエーテル抽出物を5%NaHCOおよび飽和ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗製生成物を得た。ヘキサン中10〜25%のEtOAcでのSGCによってそれを精製して、表題化合物を帯黄色の固体として得、その後、出発原料を回収した。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.85(br s,1NH),7.42(d,J=8.7Hz,1H),6.87(d,J=2.3Hz,1H),6.77(dd,J=2.3および8.4Hz,1H),6.19(d,J=2.2Hz,1H),3.86(s,3H),1.40(s,9H)。LC−MS:3.68分。(m/Z=204.1)。
【0212】
段階C: 1−(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オン
10mLの酢酸および0.5mLの水中の0.203gの2−t−ブチル−6−メトキシ−1H−インドールの磁気攪拌溶液に、0.138gの固体亜硝酸ナトリウムを添加した。その反応混合物を濾過して、帯黄色の固体を回収した。それを9:1のHOAcおよび水で洗浄し、乾燥させて、表題化合物を得た。濾液および洗液を室温で約2週間放置し、減圧下で蒸発させた。残留物をHOAcとMeCNと水の1:1:1混合物に溶解し、RP−HPLCで精製して、別収量の表題化合物を得た。ヘキサン中20〜40%のEtOAcでのSGCを用いて、それも精製した。この生成物は、6−メトキシ−3−シアノインダゾールから調製したものと同じNMRおよびLC−MSを有する。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.275(d,J=8.9Hz,1H),6.99(dd,J=2.3および8.9Hz,1H),6.90(d,J=2.1Hz,1H),3.90(s,3H),1.52(s,9H)。LC−MS:3.49分。(m/Z=215.1,233.1,190.1)。
【0213】
段階D: [3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸エチル
45mLの無水DMF中の上記段階Cからの1.43gの(6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オンの溶液に、1.13gのブロモ酢酸エチルおよび2.41gの炭酸セシウムを添加した。その混合物を窒素下、室温で、2.5日間攪拌した。それをエーテルと、15mLの1N HClを含有する冷水とで希釈した。水性層を分離し、エーテルで3回抽出した。併せたエーテル抽出物を水(5x)および飽和ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗製生成物を得た。ヘキサン中20〜40%のEtOAcでのSGCによってそれを精製して、表題化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.27(d,J=8.9Hz,1H),6.985(dd,J=2.1および8.9Hz,1H),6.68(d,J=2.0Hz,1H),5.15(s,2H),4.27(q,J=7.1Hz,2H),3.90(s,3H),1.50(s,9H),1.28(t,J=7.1Hz,3H)。LC−MS:3.93分。(m/Z=319.3)。
【0214】
段階E: [3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸
20mLのMeOHおよび2mLの水中の上記段階Dからの0.30gの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸エチルの溶液に、0.5mLの5N NaOH溶液を添加した。その溶液を室温で16時間攪拌した後、減圧下で溶媒を除去した。残留物を冷水と3mLの1N HClを含有するEtOAcとで分配した。層を分離した。水性層をEtOAcで抽出した(4回)。併せたEtOAc抽出物を飽和ブラインで洗浄して(2回)、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、表題化合物を帯黄色の固体として得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ8.27(d,J=8.9Hz,1H),7.00(dd,J=2.1および8.9Hz,1H),6.68(d,J=2.1Hz,1H),5.21(s,2H),3.90(s,3H),1.50(s,9H)。LC−MS:3.40分。(m/Z=245.1,291.1)。
【0215】
段階F: N,N−ジブチル−2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]アセトアミド
1mLのDMF中の上記段階Eからの28.3mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、19.4mgのジブチルアミン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で一晩攪拌し、65〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:4.33分(m/Z=402.3、424.3)。
【実施例28】
【0216】
【化51】

【0217】
2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N,N−ジイソブチルアセトアミド
1mLのDMF中の28.3mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、19.4mgのジイソブチルアミン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で一晩攪拌し、65〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:4.29分(m/Z=402.3、424.3)。
【実施例29】
【0218】
【化52】

【0219】
N−(シクロプロピルメチル)−2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−プロピルアセトアミド
1mLのDMF中の28.3mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、17.0mgのN−プロピルシクロプロパンメチルアミン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で一晩攪拌し、60〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:4.07分(m/Z=386.3、408.3)。
【実施例30】
【0220】
【化53】

【0221】
N−(シクロヘキシルメチル)−2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−エチルアセトアミド
1mLのDMF中の28.3mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、19.1mgのN−エチルシクロプロパンメチルアミン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で一晩攪拌し、65〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:4.20分(m/Z=318.2、400.3、422.2)。
【実施例31】
【0222】
【化54】

【0223】
2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−エチル−N−(3−メチルブチル)アセトアミド
1mLのDMF中の29.0mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、17.3mgのN−エチル−イソ−アミルアミン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で一晩攪拌し、60〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を得た。LC−MS:4.16分(m/Z=388.3、410.2)。
【実施例32】
【0224】
【化55】

【0225】
1−(6−メトキシ−1−{2−[トランス−オクタヒドロイソキノリン−2(1H)−イル]−2−オキソエチル}−1H−インダゾール−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オン
1mLのDMF中の29.0mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、20.9mgのトランス−デカヒドロイソキノリン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で一晩攪拌し、65〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を得た。LC−MS:4.29分(m/Z=412.3、434.3)。
【実施例33】
【0226】
【化56】

【0227】
1−(1−{2−[トランス−2,5−ジプロピルピロリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オン
段階A: N,N’−ジメトキシ−N,N’−ジメチルスクシンアミド
136.2gの二塩化スクシニルおよび180.0gの塩酸N,O−ジメチルヒドロキシルアミンを1.2Lのジクロロメタンに溶解し、氷浴でそれを冷却した。攪拌しながら1.5時間かけて添加漏斗から305.9gのピリジンを添加した。その反応混合物を一晩、室温に温めた。その反応混合物を氷水に注入し、層を分離した。有機層を2Nの冷HCl(2x)、水、5%NaHCO(2x)および飽和ブラインで洗浄した。無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗製生成物を得た。それを3:1のヘキサンとジクロロメタンで洗浄し、乾燥させて、表題化合物を淡い黄褐色の固体として得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ:3.70(s,6H),3.15(s,6H),2.74(s,4H)。
【0228】
段階B: デカン−4,7−ジオン
窒素下、氷浴で、1Lの無水エーテル中の上記段階Aからの20.42gのN,N’−ジメトキシ−N,N’−ジメチルスクシンアミドの懸濁液を冷却した。機械攪拌しながら、15分かけて、エーテル中2Mの塩化プロピルマグネシウムを300mL添加した。その反応混合物を冷却浴内で2.25時間攪拌し続けた。50mLのエーテル中の30mLのエタノールを30分かけて添加することにより、反応を停止させた。得られた懸濁液を、75mLの濃HClを含有する1Lの氷水に注入した。層を分離し、有機層を希HCl、5%NaHCOおよび飽和ブラインで希釈した。無水NaSOで乾燥させた。透明な帯黄色の溶液を蒸発させて、表題化合物を黄色の固体として得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ:2.69(s,4H),2.46(t,J=7.4Hz,4H),1.60−1.67(m,4H),0.935(t,J=7.5Hz,6H)。
【0229】
段階C: シス−およびトランス−1−ベンジル−2,5−ジイソプロピルピロリジン
上の段階Bからの11.92gのデカン−4,7−ジオンを4.62gの酢酸および100mLのメタノールに溶解した。1.16gの水酸化カリウムペレットを添加した。攪拌して、その水酸化カリウムを溶解した。その反応混合物を−15℃の氷アセトン浴で冷却した。7.50gのベンジルアミン、その直後に5.4gのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを数回で添加した。その反応混合物を2日間にわたって室温に温めた。45mLの4N HCLを一滴ずつ添加し、30分間攪拌した。減圧下でその反応混合物を蒸発させて、殆どの溶媒を除去した。残留物を水で希釈し、幾つかの白色固体を濾過して、水性層をエーテルで抽出した。このエーテル溶液は、2,5−ジプロピルピロールを含有していた。その水性層を氷浴で冷却し、pH〜13になるまで攪拌しながら少しずつ固体水酸化ナトリウムを添加した。上記白色固体をこの混合物に溶解した。エーテルで数回抽出した。併せたエーテル溶液を飽和ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗製1−ベンジル−2,5−ジプロピルピロリジンを得た。そのシスおよびトランス異性体をシリカゲル(1%EtNを含有するヘキサン中、5〜10%のEtOAc)で分離した。早く溶出する方の異性体が、トランス−1−ベンジル−2,5−ジイソプロピルピロリジンであった。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.38(d,J=7.6Hz,2H),7.29−7.33(m,2H),7.21−7.24(m,1H),3.83(d,J=13.9Hz,1H),3.66(d,J=14.0Hz,1H),2.86(br s,2H),1.85−1.94(m,2H),1.45−1.60(m,4H),1.27−1.37(m,2H),1.09−1.20(m,4H),0.875(t,J=7.2Hz,6H)。ゆっくりと溶出する方の異性体が、シス−1−ベンジル−2,5−ジイソプロピルピロリジンであった。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.29−7.35(m,4H),7.24−7.26(m,1H),3.77(s,2H),2.53−2.58(m,2H),1.77−1.84(m,2H),1.52−1.58(m,2H),1.27−1.44(m,4H),1.13−1.25(m,4H),0.865(t,J=7.2Hz,6H)。
【0230】
段階D: トランス−2,5−ジイソプロピルピロリジン
上の段階Cからの1.56gのトランス−1−ベンジル−2,5−ジイソプロピルピロリジンを100mLのメタノールに溶解し、4.01gのフマル酸アンモニウムおよび156mgのPd(OH)/Cを添加した。その反応混合物を窒素下で一晩攪拌させた。その反応混合物をCeliteに通して濾過して、触媒を除去した。減圧下で濾液を濃縮して、白色の固体残留物を得た。少量の水にそれを懸濁させ、5mLの5N NaOH溶液を添加して、エーテルで数回抽出し、併せたエーテル溶液を飽和ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、表題化合物を黄色の液体として得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ3.11−3.16(m,2H),1.91−1.98(m,2H),1.26−1.50(m,10H),0.93(t,J=7.1Hz,6H)。LC−MS:1.89分。(M+H=156.1)。
【0231】
段階E: 1−(1−{2−[トランス−2,5−ジプロピルピロリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オン
1mLのDMF中の28.3mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、上の段階Dからの23.3mgのトランス−2,5−ジプロピルピロリジン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で一晩攪拌し、70〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:4.48分(m/Z=428.4、450.3)。
【実施例34】
【0232】
【化57】

【0233】
1−(1−{2−[シス−2,5−ジプロピルピロリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オン
段階A: シス−2,5−ジプロピルピロリジン
表題化合物は、シス−1−ベンジル−2,5−ジプロピルピロリジンから調製した。11.92gのデカン−4,7−ジオンを4.62gの酢酸および100mLのメタノールに溶解した。1.16グラムの水酸化カリウムペレットを添加した。攪拌してその水酸化ナトリウムを溶解した。その反応混合物を−15℃の氷アセトン浴で冷却した。7.50gのベンジルアミン、直後に5.4gのシアノ水素化ホウ素ナトリウムを数回で添加した。その反応混合物を2日間にわたって室温に温めた。45mLの4N HCLを一滴ずつ添加し、30分間攪拌した。減圧下でその反応混合物を蒸発させて、殆どの溶媒を除去した。残留物を水で希釈し、幾つかの白色固体を濾過して、水性層をエーテルで抽出した。このエーテル溶液は、2,5−ジプロピルピロールを含有していた。その水性層を氷浴で冷却し、pH〜13になるまで攪拌しながら少しずつ固体水酸化ナトリウムを添加した。上記白色固体をこの混合物に溶解した。エーテルで数回抽出した。併せたエーテル溶液を飽和ブラインで洗浄して、無水NaSOで乾燥させ、蒸発させて、粗製1−ベンジル−2,5−ジプロピルピロリジンを得た。そのシスおよびトランス異性体をシリカゲル(1%EtNを含有するヘキサン中、5〜10%のEtOAc)で分離した。ゆっくりと溶出する方の異性体が、シス−1−ベンジル−2,5−ジイソプロピルピロリジンであった。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.29−7.35(m,4H),7.24−7.26(m,1H),3.77(s,2H),2.53−2.58(m,2H),1.77−1.84(m,2H),1.52−1.58(m,2H),1.27−1.44(m,4H),1.13−1.25(m,4H),0.865(t,J=7.2Hz,6H)。
【0234】
段階B: 1−(1−{2−[シス−2,5−ジプロピルピロリジン−1−イル]−2−オキソエチル}−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル)−2,2−ジメチルプロパン−1−オン
1mLのDMF中の実施例44の段階Eからの28.3mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、上の段階Aからの23.3mgのシス−2,5−ジプロピルピロリジン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で一晩攪拌し、70〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:4.50分(m/Z=428.4、450.3)。
【実施例35】
【0235】
【化58】

【0236】
N−(3,3−ジメチルブチル)−2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−エチルアセトアミド
段階A: 塩酸N−エチル−3,3−ジメチルブタン−1−アミン
表題化合物は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(Abdel−Magidら,J.Org.Chem.1996,61,3849)を利用し、その後、Pd(OH)およびギ酸アンモニウムを用いる加水分解を利用して、N−エチルベンジルアミンおよび3,3−ジメチルブチルアルデヒドから調製した。
【0237】
H NMR(CDOD,500MHz)δ3.07(q,7.1Hz,2H),2.97−3.02(m,2H),1.57−1.62(m,2H),1.32(t,7.2Hz,3H),0.98(s,9H)。
【0238】
段階B: N−(3,3−ジメチルブチル)−2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−エチルアセトアミド
1mLのDMF中の29.0mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、上の段階Aからの32.3mgの塩酸N−エチル−3,3−ジメチルブタン−1−アミン、38.3mgのEDCおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を室温で4時間攪拌し、45℃で一晩加熱して、70〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を得た。LC−MS:4.29分(m/Z=402.4、424.3)。
【実施例36】
【0239】
【化59】

【0240】
1−{2−[2−イソプロピルピロリジン−1−イル)−2−オキシエチル]−6−メトキシ−1H−インダゾール−3−イル}−2,2−ジメチルプロパン−1−オン
1mLのDMF中の29.0mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸の溶液に、23.0mgのHOBt、22.5mgの塩酸2−イソプロピルピロリジン、38.3mgのEDCおよび64.6mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を攪拌し、45℃で2時間加熱して、60〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を得た。LC−MS:4.05分(m/Z=386.4、408.3)。
【実施例37】
【0241】
【化60】

【0242】
N−ブチル−2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−プロピルアセトアミド
29.0mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸、23.0mgのHOBtおよび38.3mgのEDCを13x100mmスクリューキャップ付試験管に計り入れた。17.3mgのN−プロピルブチルアミン、続いて1mLのDMFおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を45℃で2時間攪拌し、65〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:4.20分(m/Z=388.3、410.3)。
【実施例38】
【0243】
【化61】

【0244】
2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−エチル−N−1,3−チアゾール−2−イルアセトアミド
段階A: N−エチル−1,3−チアゾール−2−アミン
エタノール中のN−エチルチオ尿素の懸濁液に1,1−ジメトキシ−2−ブロモエタンおよび濃HClを添加した。その反応混合物を還流させながら加熱して、シリカでのクロマトグラフィー後、表題化合物を得た。H NMR(CDCl,500MHz)δ7.14(d,J=3.6Hz,1H),6.51(d,J=3.7Hz,1H),5.47(v br s,1H),3.34(q,J=7.2Hz,2H),1.32(t,J=7.2Hz,3H)。
【0245】
段階B: 2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−エチル−N−1,3−チアゾール−2−イルアセトアミド
29.0mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸、23.0mgのHOBtおよび38.3mgのEDCを13x100mmスクリューキャップ付試験管に計り入れた。19.2mgのN−エチル−1,3−チアゾール−2−アミン、続いて1mLのDMFおよび45.2mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を45℃で2時間攪拌し、50〜90%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:3.96分(m/Z=423.2、245.1、273.1、401.2)。
【実施例39】
【0246】
【化62】

【0247】
2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−(2,2−ジメチルプロピル)−N−エチルアセトアミド
段階A: 塩酸N−エチル−2,2−ジメチルプロパン−1−アミン
表題化合物は、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム(Abdel−Magidら,J.Org.Chem.1996,61,3849)を利用し、その後、Pd(OH)およびギ酸アンモニウムを用いる加水分解を利用して、N−エチルベンジルアミンおよびトリメチルアセトアルデヒドから調製した。H NMR(CDOD,500MHz)δ3.095(q,J=7.3Hz,2H),2.85(s,2H),1.35(t,J=7.3Hz,3H),1.07(s,9H)。
【0248】
段階B: 2−[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]−N−(2,2−ジメチルプロピル)−N−エチルアセトアミド
8.7mgの[3−(2,2−ジメチルプロパノイル)−6−メトキシ−1H−インダゾール−1−イル]酢酸、7.7mgのHOBtおよび11.5mgのEDCを13x100mmスクリューキャップ付試験管に計り入れた。7.6mgの塩酸N−エチル−2,2−ジメチルプロパン−1−アミン、続いて0.5mLのDMFおよび13.6mgのDIEAをこの順番で添加した。その混合物を44℃で一晩攪拌し、50〜100%のMeCNの傾斜を用いるRP−HPLCによって精製した。純粋な生成物の画分をプールし、凍結乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得た。LC−MS:4.04分(m/Z=388.3、410.3)。
【実施例40】
【0249】
【化63】

【0250】
NMP(5mL)に溶解した調製例16(45mg、0.148mmol)に、HOBt(30.1mg、0.223mmol)およびEDC(56.5mg、0.296mmol)を添加した。10分後、ジプロピルアミン(0.014mL、0.106mmol)を反応混合物に添加し、その混合物を一晩、室温で攪拌した。完了したら、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。併せた有機層を1NのHCl、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。最終生成物をSiO分取プレートクロマトグラフィーによって精製した。H NMR(CDCl)δ:0.865(3H,t),0.980(3H,m),1.578(4H,m),1.607(m,2H),1.795(2H,m),1.987(4H,m),3.318(4H,m),3.894(3H,s),4.045(1H,m),5.239(2H,s),6.848(1H,s),6.985(1H,d),8.219(1H,d)。
【実施例41】
【0251】
【化64】

【0252】
NMP(5mL)に溶解した調製例16(45mg、0.148mmol)を用い、HOBt(30.1mg、0.223mmol)およびEDC(56.5mg、0.296mmol)を添加した。10分後、ジブチルアミン(0.014mL、0.106mmol)を反応混合物に添加し、その混合物を一晩、室温で攪拌した。完了したら、反応混合物を水で希釈し、EtOAcで抽出した。併せた有機層を1NのHCl、水、ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させて、真空下で濃縮した。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって表題化合物を精製した。H NMR(CDCl)δ:0.896(3H,m),0.979(3H,m),1.269−1.395(4H,m),1.551(4H,m),1.688(2H,m),1.797(2H,m),1.985(4H,m),3346(4H,m),3.897(3H,s),4.045(1H,m),5.228(2H,s),6.850(1H,s),6.986(1H,d),8.238(1H,d)。
【実施例42】
【0253】
【化65】

【0254】
調製例16を用い、この化合物を実施例41に記載したとおりに調製したが、ジイソアミルアミンをジプロピルアミンの代わりに用いた。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって表題化合物を精製した。H NMR(CDCl)δ:0.902(6H,d),0.915(6H,d),1.426(4H,m),1.475−1.684(4H,m),1.795(2H,m),1.982(4H,m),3.411(4H,m),3.891(3H,s),4.045(1H,m),5.210(2H,s),6.849(1H,s),6.985(1H,d),8.236(1H,d)。
【実施例43】
【0255】
【化66】

【0256】
DMF(2mL)中の調製例17(30mg、0.116mmol)およびCsCO(88mg、0.384mmol)の溶液に調製例9(51mg、0.232mmol)を添加した。30分後、反応は完了し、それをEtOAcおよびHOで希釈した。水性層をEtOAcで抽出し、併せた有機層をHO、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、油に濃縮した。その粗製残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。H NMR(CDCl)δ:0.900(6H,d),1.001(6H,d),1.292(12H,m),1.842(2H,d),1.986(2H,d),3.414(4H,m),3.623(1H,m),3.894(3H,s),5.209(2H,s),6.857(1H,s),6.975(1H,d),8.225(1H,d)。
【実施例44】
【0257】
【化67】

【0258】
調製例17を用い、この化合物を実施例43に記載したとおりに調製したが、調製例5を調製例9の代わりに用いた。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって表題化合物を精製した。H NMR(CDCl)δ:0.897(3H,t),0.992(3H,t),1.284−1.745(14H,m),1.870(2H,d),1.986(2H,d),3.363(4H,m),3.622(1H,m),3.886(3H,s),5.229(2H,s),6.850(1H,s),6.982(1H,d),8.227(1H,d)。
【実施例45】
【0259】
【化68】

【0260】
調製例17を用い、この化合物を実施例43に記載したとおりに調製したが、調製例8を調製例9の代わりに用いた。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって表題化合物を精製した。H NMR(CDCl)δ:0.875(3H,t),0.991(3H,t),1.318(8H,m),1.744(2H,m),1.875(2H,d),1.992(2H,d),3.374(4H,m),3.625(1H,m),3.890(3H,s),5.239(2H,s),6.847(1H,s),6.981(1H,d),8.225(1H,d)。
【0261】
【化69】

【実施例46】
【0262】
【化70】

【0263】
DMF(2mL)中の調製例18(50mg、0.152mmol)およびCsCO(148mg、0.456mmol)の溶液に調製例8(84.2mg、0.304mmol)を添加した。30分後、反応は完了し、それをEtOAcおよびHOで希釈した。水性層をEtOAcで抽出し、併せた有機層をHO、ブラインで洗浄して、MgSOで乾燥させ、油に濃縮した。その粗製残留物をカラムクロマトグラフィーによって精製した。H NMR(CDCl)δ:0.876(3H,t),0.991(3H,t),1.623(4H,m),2.073(2H,m),3.330(2H,t),3.3419(2H,t),3.771(2H,t),3.916(3H,s),4.666(2H,t),5.295(2H,s),6.862(2H,m),7.039(1H,d),8.285(1H,d),8.542(1H,d),9.354(1H,s)。
【実施例47】
【0264】
【化71】

【0265】
調製例18を用い、この化合物を実施例45に記載したとおりに調製したが、調製例5を調製例8の代わりに用いた。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって表題化合物を精製した。H NMR(CDCl)δ:0.895(3H,m),1.166(3H,m),1.347(2H,m),1.533(2H,m),2.031(2H,m),3.435(4H,m),3.755(2H,m),3.903(3H,s),4.626(2H,m),5.265(2H,s),6.853(2H,m),7.025(1H,d),8.034(1H,m),8.508(1H,m),9.325(1H,s)。
【実施例48】
【0266】
【化72】

【0267】
調製例18を用い、この化合物を実施例45に記載したとおりに調製したが、調製例5を調製例8の代わりに用いた。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって表題化合物を精製した。H NMR(CDCl)δ:0.896(3H,t),0.976(3H,t),1.361(4H,m),1.557(4H,m),2.066(2H,m),3.414(4H,m),3.777(2H,m),3.912(3H,s),4.652(2H,m),5.277(2H,s),6.862(2H,m),7.019(1H,d),8.312(1H,d),8.547(1H,d),9.336(1H,s)。
【実施例49】
【0268】
【化73】

【0269】
調製例18を用い、この化合物を実施例45に記載したとおりに調製したが、調製例9を調製例8の代わりに用いた。SiO分取プレートクロマトグラフィーによって表題化合物を精製した。H NMR(CDCl)δ:0.905(6H,d),0.973(6H,d),1.440−1.652(6H,m),2.057(2H,m),3.433(4H,m),3.769(2H,m),3.919(3H,s),4.656(2H,m),5.270(2H,s),6.865(2H,m),7.019(1H,d),8.318(1H,d),8.552(1H,d),9.343(1H,s)。
【0270】
機能分析
A.Maxi−Kチャネル
Maxi−Kチャネルの阻害剤の特定は、Aurora Biosciences法を用いて達成することができ、発現されたMaxi−Kチャネルが、TsA−201細胞においてそのチャネルの□および□両方のサブユニットの一過性トランスフェクション後に細胞の静止電位を設定する能力に基づく。阻害剤不在の状態では、細胞は、E(−80mV)に近い、細胞内が負の過分極化した膜電位を示し、これは、Maxi−Kチャネルの活性の結果である。Maxi−Kチャネルの遮断は、細胞の脱分極を生じさせる。膜電位の変化は、二つの成分、ドナーのクマリン(CCDMPE)およびアクセプタのオキサノール(DiSBAC(3))、を使用する電位感受性蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)色素ペアを用いて判定することができる。オキサノールは、親油性アニオンであり、膜電位に従って膜を横断して分布する。通常の条件下では、細胞の内部は、外部に対して負であり、オキサノールは、膜の外層に蓄積されており、クマリンの励起によってFRETが生じることとなる。膜の脱分極を導く条件は、そのオキサノールを細胞の内部に再び分布させ、結果としてFRETを低下させる。それ故、その比率変化(ドナー/アクセプタ)は、膜の脱分極後に増大する。
【0271】
TsA−201細胞におけるMaxi−Kチャネルの一過性トランスフェクションは、トランスフェクション試薬としてFUGENE6(商標)を用い、以前に記載された(Hannerら,(1998)J.Biol.Chem.273,16289−16296)とおり行うことができる。トランスフェクションから24時間後、細胞をCa2+−Mg2+非含有ダルベッコリン酸緩衝食塩水(D−PBS)中に回収し、遠心分離に付して、96ウエルのポリ−d−リシン被覆プレートに細胞数60,000/ウエルでプレーティングし、一晩インキュベートする。その後、細胞をD−PBSで1回洗浄し、D−PBS中4□MのCCDMPE−0.02%プルロニック−127を100□L負荷する。細胞を暗所、室温で30分間インキュベートする。その後、細胞をD−PBSで2回洗浄し、[140mM NaCl、0.1mM KCl、2mM CaCl、1mM MgCl、20mM Hepes−NaOH(pH7.4)、10mM グルコース]中6□MのDiSBAC(3)を100□L負荷する。試験化合物をこの溶液に入れて希釈し、同時に添加する。細胞を暗所、室温で30分間インキュベートする。
【0272】
プレートを電位/イオンプローブリーダー(voltage/ion probe reader;VIPR)装置に装填し、CCDMPEとDiSBAC(3)の両方の蛍光放出を10秒間記録する。この時点で、100μLの高カリウム溶液[140mM KCl、2mMCaCl、1mM MgCl、20mM Hepes−KOH(pH7.4)、10mM グルコース]を添加し、さらに10秒間、両方の色素の蛍光放出を記録する。高カリウム溶液添加前のCCDMPE/DiSBAC(3)比は、1である。阻害剤が一切存在しない場合、高カリウム溶液添加後のその比率は、1.65〜2.0の間で変化する。Maxi−Kチャネルが、既知標準物質または試験化合物のいずれかによって完全に阻害された時、この比率は、1のままである。従って、その蛍光比の濃度依存性変化をモニターすることによって、Maxi−Kチャネル阻害剤の活性を力価測定することができる。
【0273】
本発明の化合物は、20μM未満の範囲のIC50で前記蛍光比の濃度依存性阻害を生じることが判明した。
【0274】
B. 高コンダクタンスのカルシウム活性化カリウムチャネルに対する化合物の効果の電気生理学的アッセイ
ヒト非着色線毛上皮細胞
ヒト非着色線毛上皮細胞における高コンダクタンスのカルシウム活性化カリウム(Maxi−K)チャネルの活性を、電気生理学的方法を用いて判定した。Maxi−Kチャネルを通る電流は、ピペット溶液がそのチャネルの細胞外側に面し、バス溶液が細胞内側に面している、内側外側逆の配置のパッチクランプ法で記録した。摘出したパッチは、1から約50のMaxi−Kチャネルを含んでいた。Maxi−Kは、それらの大きな単一チャネルコンダクタンス(250〜300pS)、および膜電位および細胞内カルシウム濃度をゲートするチャネルの感度によって特定した。膜電流は、標準的な電気生理学的方法を用いて記録した。ガラスピペット(Garner 7052)は、Kopfプーラー(モデル750)を用いて二段階で抜き取り、電極抵抗は、食塩水を満たした時、1〜3メグオームであった。膜電流は、EPC9(HEKA Instruments)またはAxopatch 1D(Axon Instruments)増幅器で記録し、デジタル変換は、ITC−16インターフェース(Instrutech Corp.)で行った。ピペットを150mM KCl、10mM Hepes、1mM MgCl、0.01mM CaCl、3.65mM KOH(pH7.20)で満たした。カルシウムを除去し、1mM EGTAを添加し、20mM KClの代わりに20mMのKFを用いてカルシウムを排除して、チャネルのゲーティングのカルシウム感度について試験した幾つかの場合を除き、バス(細胞内)溶液は同じであった。薬物は、バス潅流によってチャネルの細胞内側に適用した。
【0275】
ヒト非着色線毛上皮細胞を、記載されている(Martin−Vasallo,P.,Ghosh,S.,and Coca−Prados,M.,1989,J.Cell.Physiol.141,243−252)とおりに組織培養で増殖させ、使用前にカバーガラスにプレーティングした。高抵抗シール(>1GΩ)をピペットと細胞表面の間に作り、内側外側逆のパッチを摘出した。パッチ内のMaxi−Kチャネルを、それらのゲーティング特性(膜脱分極に応じて増大したチャネル開放確率、および上昇した細胞内カルシウム)によって特定した。薬理分析に用いたパッチでは、細胞内カルシウムの除去により、電位型電流を削除した。Maxi−K電流は、チャネル開放に起因する電位脱分極段階またはランプの後、測定した。
【0276】
本発明の化合物を適切な濃度(0.001から10μM)でチャネルの細胞内側に適用した。本化合物は、チャネル開放確率を低下させ、この効果は、実験チャンバから化合物をウォッシュアウトすると逆転した。これらの条件下でMaxi−Kチャネルを遮断するための本発明の化合物のIC50は、約20μM未満からの範囲であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式I:
【化1】

(式中、
Rは、水素またはC1〜6アルキルを表し;
Xは、−(CHR−、または−(CHRCO−を表し;
Yは、−CO(CH−、CH、または−CH(OR)−を表し、
Qは、NまたはO表すが、Qが、Oである時には、Rは、不在であり;
は、H、C1〜6アルキル、−C(O)C1〜6アルキル、−C(O)OC1〜6アルキル、−SON(R)、−SO1〜6アルキル、−SO6〜10アリール、NO、CNまたは−CON(R)を表し;
は、水素、C1−10アルキル、OH、C2−6アルケニル、C1−6アルキルSR、−(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−N(R)、−COOR、または−(CH6−10アリール(前記アルキル、へテロシクリルまたはアリールは、Rから選択された1から3個の基で場合によっては置換されている。)を表し;
は、水素、C1−10アルキル、−(CH3−8シクロアルキル、−(CH3−10ヘテロシクリル、−(CHCOOR、−(CH6−10アリール、−(CHNHR、−(CHN(R)、−(CHN(R、−(CHNHCOOR、−(CHN(R)COR、−(CHN(R)COR、−(CHNHCOR、−(CHCONH(R)、アリール、−(CH1−6アルコキシ、CF、−(CHSOR、−(CHSON(R)、−(CHCON(R)、−(CHCONHC(R)、−(CHCONHC(R)COR、−(CHCOR、ニトロ、シアノまたはハロゲン(前記アルキル、アルコキシ、ヘテロシクリルまたはアリールは、Rから選択された1から3個の基で場合によっては置換されている。)を表し;または
Qが、Nである時、RおよびとRは、介在N原子と一緒に、O、S、C(O)もしくはNRの1から2個の原子が場合によっては割り込んでいる、および1から4個の二重結合を場合によっては有する、およびRから選択された1から3個の基により場合によっては置換されている、4〜10員複素環式炭素環を形成しており;
およびRは、独立して、水素、C1−6アルコキシ、OH、C1−6アルキル、SO1−6アルキル、COC1−6アルキル、COOR、SOH、−O(CHN(R)、−O(CHCOR、−OPO(OH)、CF、OCF、N(R)、ニトロ、シアノ、C1〜6アルキルアミノまたはハロゲンを表し;
は、水素、C1−10アルキル、−(CH6−10アリール、NR、−NR(CH6−10アリール、N((CH6−10アリール)、−(CH3−10ヘテロシクリル、−NR(CH3−10ヘテロシクリル、N((CH3−10ヘテロシクリル)、(C6−10アリール)O−、−(CH3−8シクロアルキル、−COOR、−C(O)COR(前記アリール、ヘテロシクリルおよびアルキルは、Rから選択された1から3個の基で場合によっては置換されている。)を表し、この場合、R(複数を含む)は、いずれの炭素原子に、またはNおよびSから選択されるいずれのヘテロ原子に結合していてもよく;
およびRは、独立して、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C1〜6アルキルSR、−(CHO(CHOR、−(CH1〜6アルコキシ、−(CH3〜8シクロアルキルを表し;または
およびRは、介在N原子と一緒に、O、S、C(O)もしくはNRの1から2個の原子が場合によっては割り込んでいる、および1から4個の二重結合を場合によっては有する、およびRから選択された1から3個の基により場合によっては置換されている、4〜10員複素環式炭素環を形成しており;
は、水素、C1〜6アルキル、−(CHCOORまたは−(CHN(R)を表し、
は、−(CH3〜8シクロアルキル、−(CH3〜10ヘテロシクリル、C1〜6アルコキシまたは−(CH6〜10アリール(前記へテロシクリルまたはアリールは、Rから選択された1から3個の基により場合によっては置換されている。)を表し;
は、F、Cl、Br、I、CF、N(R)、NO、CN、−O−、−COR、−CONHR、−CON(R、−O(CHCOOR、−NH(CHOR、−COOR、−OCF、CFCHOR、−NHCOR、−SOR、−SONR、−SR、(C−Cアルキル)O−、−(CHO(CHOR、−O(CHO(CHOR、−(CH1−6アルコキシ、(アリール)O−、−(CHOH、(C−Cアルキル)S(O)−、HN−C(NH)−、(C−Cアルキル)C(O)−、(C−Cアルキル)OC(O)NH−、−(C−Cアルキル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C−Cアルキル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(CH−Z−C(=Z)N(R)、−(C2−6アルケニル)NR(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)O(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)S(CH3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−C3−10ヘテロシクリル−R、−(C2−6アルケニル)−Z−C(=Z)N(R)、−(CHSOR、−(CHSOH、−(CHPO(OR)、C3−10シクロアルキル、C6−10アリール、C3−10ヘテロシクリル、C2−6アルケニル、およびC−C10アルキル(前記アルキル、アルケニル、アルコキシ、ヘテロシクリルおよびアリールは、C〜Cアルキル、ハロゲン、CN、NO、−(CHOH、CON(R)およびCOORから選択された1から3個の置換基で場合によっては置換されている。)を表し;
およびZは、独立して、NR、O、CHまたはSを表し;
mは、0〜3であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;および
qは、0〜2である。)
の化合物またはその医薬適合性の塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物。
【請求項2】
が、(CH6〜10アリール、(CH3〜10ヘテロシクリル、NRまたは(CH3〜8シクロアルキル(前記アリール、ヘテロシクリルおよびアルキルは、Rのうちの1から3個の基で場合によっては置換されている。)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが、−CO(CHであり、Qが、Nであり、Rが、水素、C1〜10アルキルまたはC1〜6アルキルOHであり、Rが、C1〜10アルキルまたは(CH3〜10ヘテロシクリルであり、Xが、−(CHRCO−であり、およびpが、1〜3である(この場合、前記へテロシクリルは、Rのうちの1から3個の基で場合によっては置換されている)、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
下記表1から4に記載の化合物:
【表1】



【表2】

【表3】

【表4】

またはその医薬適合性の塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物。
【請求項5】
高眼圧または緑内障の治療方法であって、このような治療が必要な患者に治療有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
黄斑浮腫、黄斑変性、網膜および視神経乳頭血流速度上昇、網膜および視神経乳頭酸素張力増加を治療する、ならびに/または神経保護作用を扱う方法であって、このような処置が必要な患者に医薬有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬適合性の塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物を投与することを含む前記方法。
【請求項7】
カリウムチャネルを有する哺乳動物細胞の再分極もしくは過分極を予防する、またはアルツハイマー病、うつ病、認識障害および/もしくは不整脈疾患を治療する方法であって、このような処置が必要な患者において、医薬有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬適合性の塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物を投与することを含む前記方法。
【請求項8】
医薬有効量の請求項1に記載の化合物またはその医薬適合性の塩、エナンチオマー、ジアステレオマーもしくは混合物を投与することを含む、糖尿病の治療の必要がある患者における糖尿病の治療方法。
【請求項9】
請求項1に記載の式Iの化合物および医薬適合性の担体を含む組成物。
【請求項10】
式Iの化合物が、局所調合剤として適用され、前記局所調合剤が、溶液または懸濁液として投与されおよび場合よりキサンタンガムまたはゲランガムを含む、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
β−アドレナリン遮断薬、副交感神経作動模倣薬、交感神経作動模倣薬、炭酸脱水酵素阻害薬、EP4作動薬、プロスタグランジンもしくはその誘導体、血圧降下性脂質、神経保護物質および/または5−HT2受容体作動薬から成る群に属する活性成分が、場合によって添加される、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記β−アドレナリン遮断薬がチモロール、ベタキソロール、レボベタキソロール、カルテオロールまたはレボブノロールであり、前記副交感神経作動模倣薬がピロカルピンであり、前記交感神経作動模倣薬がエピネフリン、ブリモニジン、イオピジン、クロニジンまたはp−アミノクロニジンであり、前記炭酸脱水酵素阻害薬が、ドルゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミドまたはブリンゾラミドであり、前記プロスタグランジンがラタノプロスト、トラバプロスト、ウノプロストン、レスキュラまたはS1033であり、前記血圧降下性脂質がルミガンであり、前記神経保護物質がエリプロジル、R−エリプロジルまたはメマンチンであり、前記5−HT2受容体作動薬がフマル酸1−(2−アミノプロピル)−3−メチル−1H−イミダゾール−6−オールまたは2−(3−クロロ−6−メトキシ−インダゾール−1−イル)−1−メチル−エチルアミンである、請求項11に記載の組成物。

【公表番号】特表2006−510742(P2006−510742A)
【公表日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507074(P2005−507074)
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/034959
【国際公開番号】WO2004/043354
【国際公開日】平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願人】(390023526)メルク エンド カムパニー インコーポレーテッド (924)
【氏名又は名称原語表記】MERCK & COMPANY INCOPORATED
【Fターム(参考)】