高空間分解能および多視点結像用の荷電粒子ビーム装置
【課題】検出方式が改善された荷電粒子装置を提供すること。
【解決手段】この装置は、1次荷電粒子ビームを提供する荷電粒子源(1)と、電位を提供する第1のユニット(5)と、電位を提供する第2のユニット(7)と、第1ユニット(5)と第2ユニット(7)の間に位置決めされた中央ユニット(6)とを備える。この中央ユニットは、1次荷電粒子を第1の低エネルギーに減速し、この1次荷電粒子を第2の高エネルギーに加速するために第1および第2のユニットの電位と異なる電位を提供することができる。第1ユニット(5)および/または第2ユニット(7)は、試料(4)のところで放出される2次電子を検出する検出器である。
【解決手段】この装置は、1次荷電粒子ビームを提供する荷電粒子源(1)と、電位を提供する第1のユニット(5)と、電位を提供する第2のユニット(7)と、第1ユニット(5)と第2ユニット(7)の間に位置決めされた中央ユニット(6)とを備える。この中央ユニットは、1次荷電粒子を第1の低エネルギーに減速し、この1次荷電粒子を第2の高エネルギーに加速するために第1および第2のユニットの電位と異なる電位を提供することができる。第1ユニット(5)および/または第2ユニット(7)は、試料(4)のところで放出される2次電子を検出する検出器である。
【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子光学系に関する。特に、本発明は、検査システム、試験システム、リソグラフィシステムなどに応用する荷電粒子ビーム装置に関する。さらに、本発明は、低電圧用途の走査電子顕微鏡に関する。より詳細には、本発明は、荷電粒子ビーム装置およびその動作方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
荷電粒子ビーム機器は、いくつかの産業分野で用いられる多くの機能を有する。これらの産業分野には、製造中の半導体デバイスの検査、リソグラフィ用の露光システム、検出装置、および試験システムが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのため、マイクロメートルおよびナノメートルの尺度で試料を構築し検査することが強く求められている。
【0003】
マイクロメートルおよびナノメートルの尺度のプロセス制御、検査、または構築はしばしば、電子ビームなどの荷電粒子ビームによって行われる。これらの荷電粒子ビームは、電子顕微鏡または電子ビームパターン生成器などの荷電粒子ビーム装置内で生成され集束される。荷電粒子ビームでは、それらの波長が短いために、例えば光子ビームよりも優れた空間分解能が得られる。
【0004】
この場合、検査中の試料が損傷を受けないように注意を払わなければならない。そのため、影響を受けやすい非導電性試料の結像では低電圧顕微法が重要である。1次荷電粒子のエネルギーが小さい(一般に、5keV未満)ために、エネルギーの放散が小さく、影響を受けやすい試料の損傷がない。さらに、絶縁試料の帯電挙動は低電圧で有利なことがある。というのは、試料の1次電子吸収に等しくなるように2次電子放出を制御することができるからである。そのため、低電圧顕微法は、半導体製作プロセスにおけるデバイス構造の寸法測定および検査に興味深いものである。
【0005】
現在、高分解能低電圧顕微鏡は、先に述べた応用例で使用されている。欧州特許EP−B−0333018号などに記載の先行技術の系では、最終対物レンズとして、静電気−磁気合成液浸レンズを使用する。液浸レンズにより、コラム内でのビームエネルギーを大きくし、試料に当たるビームエネルギーを小さくすることができる。それによって、ベルシュ(Boersch)効果の低減とビーム照射エネルギーの低減とを組み合わせることができる。
【0006】
試料に1次荷電粒子が当たった後で放出される後方散乱荷電粒子および/または2次荷電粒子は、対物レンズ内に、または対物レンズの上に配置された検出器によって検出することができる。このレンズ内検出器配置またはレンズ前検出器配置は、レンズに極めて近接して試料を配置することができ、その結果、作動距離が短くなるという利点を有する。作動距離が短いと、結像特性が改善され、特に分解能が向上する。
【0007】
例えば米国特許第5780859号に記載の従来技術の系は、2次電子検出効率の点で欠点を有する。というのは、液浸レンズにより、1次荷電粒子ビームの減速電位と同等の電位に2次荷電粒子が加速されるからである。2次荷電粒子のエネルギーが大きいことを考慮すると、これらの粒子の検出はより難しくなる。したがって、従来技術の解決策では、1次ビームを貫通させるための小さな穴を備えた同軸検出器(欧州特許EP−B−0333018号)、または1次電子ビームと2次電子ビームを分離する手段(米国特許第5422486号)のいずれかを使用する。
【0008】
本発明の目的は、従来技術の問題および欠点の少なくとも一部を克服する荷電粒子ビーム装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、従来技術の問題の少なくとも一部を克服する荷電粒子ビーム装置を動作させる方法を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の態様によれば、独立請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置、請求項25に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法、および請求項30に記載の試料を分析する方法が提供される。
【0010】
本発明のさらなる利点、特徴、態様、および細部は、従属請求項、説明、および添付の図面から明らかになる。
【0011】
本発明の一態様によれば、
−1次荷電粒子ビームを提供する荷電粒子源と、
−電位を提供する第1のユニットと、
−電位を提供する第2のユニットと、
−第1のユニットと第2のユニットの間に配され、1次荷電粒子を第1の低エネルギーに減速するために第1および第2のユニットの電位と異なる電位を提供し得る中央ユニットとを備え、第1のユニットおよび/または第2のユニットは、試料から放出される荷電粒子を検出する検出器である荷電粒子ビーム装置が提供される。
【0012】
荷電粒子は、他の荷電粒子に起因する斥力を受ける。したがって、1次荷電粒子ビームは途中で広がる。この問題は原理的に克服することができないので、放出源と試料の間の各荷電粒子の飛行時間を短くすることが望ましい。これは、コラムの長さを短くし、荷電粒子の平均運動エネルギーを大きくすることによって実施し得る。具体的には、荷電粒子の運動エネルギーが小さいコラム部分を最小限に抑えるべきである。本発明が提供する検出モジュールでは、2次粒子および/または後方散乱粒子を検出するための検出モジュールを通過し得る1次荷電粒子がある限定された区域内で減速される。1次荷電粒子ビームの減速は、第1ユニットと中央ユニットの間で実施され、1次荷電粒子ビームの加速は、中央ユニットと第2ユニットの間で実施される。典型的には、第1ユニットと第2ユニットの間隔は、30mm未満、さらには、25mmまたは20mm未満である。したがって、1次荷電粒子ビームが遅い区域は最小限に抑えられ、そのため、電子と電子の相互作用が減少する。
【0013】
別の態様によれば、第1ユニット、第2ユニット、および中央ユニットは検出モジュールを形成し、荷電粒子は、この検出モジュール内で加減速される。
【0014】
別の態様によれば、1次荷電粒子は、検出モジュール内で、1次荷電粒子ビームの生成後に第1の高エネルギーに加速され、次いで減速され、再度、第2の高エネルギーに加速され、試料に当たる前に再度減速される。
【0015】
1次ビーム経路の大部分が高エネルギーレベルにあるので、性能の向上が期待される。さらに、検出器の場所がレンズの前にあるので、焦点距離が短くなり、収差係数が小さくなる。検出器の領域内でエネルギーレベルを小さくすることによって、後方散乱電子および/または2次電子の検出効率を高くすることができ、本発明の機器は、試料の穴の底部(例えば、半導体技術におけるコンタクトホール)からの信号を捕らえるのに特に有用である。
【0016】
上記を考慮すると、電子と電子の相互作用が減少するために、分解能が向上し、この検出方式によって電子の検出効率が向上し得る。
【0017】
本発明の別の態様によれば、第1のユニットは検出器である。試料から到達する2次電子は、中央ユニットによって減速される。中央ユニットが、試料に対して相対的に負に帯電している場合、2次電子は電位障壁の影響を受ける。この障壁に打ち勝つことができる2次電子は、第1のユニットまで加速され、そこで検出される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、第2ユニットは検出器である。典型的には、少なくとも中央ユニットに面する第2ユニットの検出側は、検出感度を有する。したがって、電位障壁に打ち勝つのに必要なエネルギー未満の2次電子は、第2のユニットに向かって反転し、そこで検出される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、第1および第2のユニットはともに検出器である。
【0020】
別の態様によれば、円環または円筒の形態とし得る中央ユニットをセグメント化することができ、典型的には4つのセグメントに分ける。それによって、ビームの方向またはビームの位置に関してビームを調整することができる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、荷電粒子ビーム装置は、第2のユニットに隣接して配置される検出器である第3のユニットを備える。典型的には、第2のユニットの感受面は中央ユニットに向いており、第3のユニットの感受面は試料に向いている。
【0022】
本発明の別の態様によれば、第1ユニット、中央ユニット、第2ユニット、および任意選択の第3ユニットを組み合わせて1つのモジュールにする。
【0023】
本発明の一態様によれば、試料に当たるときの1次荷電粒子のエネルギー、すなわち最終ビームエネルギーは、1次荷電粒子が中央ユニットにあるときの第1の低エネルギーと桁が同じであり、最も典型的には、これらのエネルギーはほぼ同じである。試料に当たる最終ビームエネルギーは、5keV未満、典型的には1keV未満である。第1の高エネルギーと第2の高エネルギーは、典型的には桁が同じであり、最も典型的には、これらはほぼ同じである。これらの高エネルギーは、約5keV〜30keVである。典型的には、第1および/または第2の高エネルギーは、最終ビームエネルギーの少なくとも3倍であり、例えば10倍である。
【0024】
中央ユニットは、グリッド、チューブ、円環、円筒、穴形状の電極などとし得る。電位を提供し、荷電粒子を通過させることができるあらゆる手段が可能である。典型的には、1次荷電粒子が貫通する1つまたは複数の追加の穴を含み得るグリッド電極を適用し得る。このグリッド電極は、平面形状、凸形状、または凹形状に曲げることができる。
【0025】
典型的には、第1ユニットおよび第2ユニットは、1次荷電粒子ビームのクロスオーバ近傍に配置する。それによって、1次ビームに対する検出器の影響を最小限に抑えることができる。
【0026】
一般に、第1ユニット、第2ユニット、および/または、存在する場合には第3ユニットは、環状検出器とし得る。これらの検出器は、任意選択でセグメント化することができ、典型的には、1次荷電粒子が貫通する穴を有する。これらの検出器は、シンチレーション検出器、チャネル検出器、ピンダイオードなどとし得る。これらの検出器は、環状セグメント、方位セグメント、例えば4分円セグメント、または環状−方位合成セグメントとし得る。第2ユニットは、両面が感受性の検出器とし得る。第3ユニットを適用する場合、第2ユニットは典型的には、中央ユニットに面する側が感受性の検出器であり、第3ユニットは、試料に向いた側が感受性の検出器である。
【0027】
この装置に含まれる検出モジュール(検出方式)では、高効率と角度分解能ならびにエネルギー分解能を組み合わせることができる。そのため、液浸レンズ技術によって、依然として、ナノメートルの範囲またはナノメートル未満の範囲の分解能を得ることができる。
【0028】
本発明の別の態様によれば、荷電粒子ビーム装置はコンデンサレンズを備える。このレンズは、静電気レンズ、磁気レンズ、または静電気−磁気合成レンズとし得る。このコンデンサレンズは、荷電粒子ビーム源の後に配設される加速コンポーネントと組み合わせて1つのモジュールにすることができる。さらに、第1ユニットおよび中央ユニットは、コンデンサレンズの一体部分として働くことができる。
【0029】
本発明の別の態様は、本明細書で説明する荷電粒子ビーム装置を、低電圧用途の走査型電子顕微鏡として使用することである。この場合、1次荷電粒子は電子であり、2次荷電粒子は、2次電子および/または後方散乱電子である。
【0030】
本発明の別の態様では、荷電粒子ビーム装置を動作させる方法が提供される。この方法は、
a)2次荷電粒子ビームを生成するために、1次荷電粒子ビームを試料に送るステップと、
b)1次荷電粒子を第1の高エネルギーに加速するステップと、
c)1次荷電粒子を第1の低エネルギーに減速するステップと、
d)1次荷電粒子を第2の高エネルギーに加速するステップと、
e)2次荷電粒子ビームを生成するステップと、
f)2次荷電粒子を第1のユニットおよび/または第2のユニットに送る電位を提供するステップと、
g)第1のユニットおよび/または第2のユニットで2次荷電粒子を検出するステップとを含み、上記の2次荷電粒子を第1のユニットおよび/または第2のユニットに送る電位により、1次荷電粒子が第1の低エネルギーに減速され、1次荷電粒子が第2の高エネルギーに加速される。
【0031】
本発明の別の態様によれば、試料を分析する方法が提供される。この方法はさらに、試料を提供するステップと、この試料に1次荷電粒子ビームを送り、それによって2次荷電粒子ビームを生成するステップとを含む。
【0032】
本発明はさらに、ここで開示する方法を動作させ、またそれを作成する方法を対象とする。さらに、本発明は、ここで説明する各方法ステップを実施する機器部分を含めて、ここで開示する方法を実施する機器も対象とする。これらの方法ステップは、ハードウエアコンポーネント、適切なソフトウエアによってプログラムされたコンピュータ、これら2つの任意の組合せ、または他の任意のやり方によって実施し得る。
【0033】
以下の説明では、本発明の上記で示した態様および他のより詳細な態様の一部を説明し、図を参照して部分的に例示する。
【発明の詳細説明】
【0034】
以下の図面の説明では、同じ参照数字は、同じ構成要素を指す。概ね、個々の実施形態に関する差異のみを説明する。これらの図面には、本発明の理解の助けとなる要素のみを示すことを理解されたい。
【0035】
本願の保護範囲を限定することなく、以下では、荷電粒子ビーム装置またはその構成要素は、特に電子顕微鏡による検査またはリソグラフィに利用することができる。本発明はさらに、イオンなどの荷電粒子、および/または他の2次および/または後方散乱による荷電粒子の他の放出源を使用して試料の像を取得する機器及び構成要素に適用し得る。
【0036】
特別に説明を設けないが、本願で言及する電位および電圧は、試料の電位に対する相対電位として理解されたい。
【0037】
典型的には、本発明による荷電粒子ビーム装置は、試料から放出される2次電子および/または後方散乱電子とともに働くように用いられる。
【0038】
2次電子は、1次電子と試料原子の外郭電子との非弾性衝突に起因する。その結果、これらの電子は、それぞれの殻から出るのに十分なエネルギーを得る。これらの電子の運動エネルギーは一般に小さい。反射電子または後方散乱電子は、試料の原子との衝突によって偏向された1次ビームの電子である。これらの電子の典型的なエネルギー範囲は、全1次電子エネルギーから2次電子エネルギーのレベルまで及ぶものである。以下の考察では、2次電子と後方散乱電子を区別する必要はない。したがって、区別が不要なときには、簡単にするために、2次電子および後方散乱電子を「2次電子」と称する。そのため、2次荷電粒子および後方散乱荷電粒子を「2次荷電粒子」と称する。
【0039】
図1aに、本発明の第1実施形態を示す。電子源1は、1次電子ビーム8を生成する。次いで、1次電子ビーム8は、加速器2で高エネルギーに加速される。その後、このビームは、磁気レンズユニット3で取り囲まれたコラム部分12内を伝播する。レンズユニット3は、第1のユニット5、すなわち検出器と、第2のユニット7、すなわち電極の近くの領域にビーム8のクロスオーバを生成する。図1aに示すように、第1実施形態のクロスオーバは、中央ユニット6内に配置される。一般に、この実施形態を限定することなく、クロスオーバは、第1ユニット5、第2ユニット7、および中央ユニット6によって形成される検出モジュール内に位置する。コラム部分12は、第1の検出器である第1ユニット5に連結され、第1の検出器の検出面は、コラム部分12に面する側の反対側である。加速ユニット2の下部電極、コラム部分12、および第1ユニット5の電位は同じである。この電位は、例えば、5kV、10kV、または20kVである。これらの例の間の値、またはこれらの例よりも大きい値も可能である。
【0040】
円筒電極として示す中央ユニット6は、正の電位に接続される。この電位は、この実施形態では検出器である第1ユニット5の電位よりも低い。したがって、1次荷電粒子ビーム8は、検出器と円筒電極の間で減速される。その後に配置された第2ユニット7、例えば電極または第2の検出器は、中央ユニット6よりも電位が高い。荷電粒子8は、円筒電極と第2ユニット7の間の領域で加速され、試料に向かう途中、電極9の下端に達するまで、このエネルギーを維持する。電極9および第2ユニット7を形成する電極の電位は同じである。第1ユニットおよび第2ユニットは、検出能力があることに加えて、加減速用の手段として働く。電極11は遅延電極として働く。低電圧応用例を実現するために、1次電子が減速される。電極9および電極11は、これらの間の電位差のために減速ユニットを形成する。この荷電粒子ビーム装置は、集束用の対物レンズ10を含む。
【0041】
一般に、図1aの実施形態に限定されることなく、粒子ビーム源は、典型的には、電子ビーム源様の熱放出器、冷電界または熱電界型の放出器、ショットキ型放出器、あるいは光電陰極である。1次荷電粒子ビームのビーム増強を含む系では、加速器後のエネルギーおよび第2検出器後のエネルギーは、遅延場電極後に試料に照射される最終エネルギーよりもかなり大きい。典型的には、加速器後の1次荷電粒子のエネルギーは、第2検出器後の1次荷電粒子のエネルギーと同等または全く同じであるが、必ずしもそうではない。さらに、中央ユニットでの1次荷電粒子のエネルギーは、加速器後のエネルギーよりも小さい。このエネルギーは、最終照射エネルギーと同等または全く同じになるように選択し得る。
【0042】
一般に、図1aの実施形態に限定されることなく、中央ユニット6として、円筒電極の代わりに、穴形状の電極、リング電極、またはグリッド電極を適用し得る。図1bに、グリッド電極の一例を示す。このようなグリッドは、1次荷電粒子をより良好に貫通させるための中央の穴を含み得る。
【0043】
一般に、この場合も図1aの実施形態に限定されることなく、本明細書で説明する検出器は、シンチレーション検出器、チャネル検出器、ピンダイオード、または、試料のところで放出される2次粒子の検出に適した他の検出器とし得る。
【0044】
第2ユニット7も検出器として扱うことができる。中央ユニット6が負にバイアスされている場合、反転した2次電子は、下側の検出器によって検出し得る。例えば、図2aおよび図2bに関して、これらの実施形態の例を示す。
【0045】
図1bは、中央ユニット6がグリッド電極として示されている点で図1aと異なる。さらに、この図面の右側に、放出源1から試料に向かう途中の1次荷電粒子の典型的なエネルギーを視覚化したエネルギー線図を示す。
【0046】
これらの粒子は、コラムのほとんどの部分に向かう経路において、ビーム増強電位に加速される。典型的には、このエネルギーは、5keVよりも大きく、例えば、12keVである。これらの電子は、第1ユニット5、すなわち検出器の下側の面までこのエネルギーを維持する。この面の電位は、加速ユニット2の下部電極と同じ電位とし得る。ただし、加速ユニット2の下部電極、コラム部分12、および検出器の電位が必ずしも同じである必要はないことを付け加えておく。例えば、コラム部分12が、加速ユニット2にも検出器にも接触しない場合、コラム部分12のエネルギーは、加速ユニット2および検出器のエネルギーよりも大きくし得るはずである。
【0047】
中央ユニット6の電位はより低い。その結果、電子8は遅くなる。グリッドのところで、これらの電子の運動エネルギーはその最下点に達する。グリッドの後で、あるいは、図1aに示す円筒の場合にはこの円筒電極の後で、これらの電子は再度、中央ユニット6の電位よりも本質的に電位が高い第2ユニット7に向かって加速される。図1bのエネルギー線図では、電極7の後の粒子の運動エネルギーは、加速器2の下部電極と、第1検出器である第1ユニット5との間のエネルギーと同じである。ただし、これは、単なる例と理解されたい。それぞれの装置2、12、5、7、9に異なる電位を適用することができ、そのため一般に、異なる運動エネルギーが可能である。
【0048】
これらの電子は、コラム部分9の下端までこの運動エネルギーを維持する。この端部と遅延電極11の間では、これらの電子はそれらの電子の最終エネルギーに減速され、このエネルギーで、試料4に当たるはずである。
【0049】
図1aおよび図1bに示す実施形態も、コンデンサレンズ、ウィーンフィルタなどの静電気、磁気、または静電気−磁気合成タイプの偏向器、静電気、磁気、または静電気−磁気合成タイプの走査型偏向器、静電気、磁気、または静電気−磁気合成タイプの非点補正装置、静電気、磁気、または静電気−磁気合成タイプの別のレンズ、および/または、偏向器または開口などの1次および/または2次の荷電粒子ビームに影響を及ぼし、かつ/または補正する他の光学コンポーネントなど、(図示しない)追加のコンポーネントを含み得る。実際、例として、以下の図面の一部に、これらのコンポーネントの一部を示す。これらは、他の実施形態でも適用し得るはずであることを理解されたい。
【0050】
図2aに、図1bと類似の実施形態を示す。ただし、ここでは、グリットとして示す中央ユニット6には、負のバイアスがかかっている。したがって、放出源1で放出される1次荷電粒子ビームは、図1bの減速よりも大きく減速される。しかし、1次荷電粒子ビームは、グリッドの後で、検出器である第1ユニット5、または図1bの実施形態では検出器である第2ユニット7に向かって直接加速されるので、電子と電子の相互作用が分解能に及ぼす悪影響はわずかである。
【0051】
試料4のところで放出される2次電子は、それらのエネルギーに応じて、中央ユニット6によってもたらされる電位障壁に打ち勝つこともできるし、打ち勝つことができないこともある。2次電子のエネルギーが電位障壁よりも大きい場合、これらの2次電子は、グリッドを通過し、第1ユニット5に向かって再度加速され、そこで検出される。図2aでは、これらの電子を参照数字14で標示する。他の2次電子は、グリッドに起因する電位に打ち勝つには遅すぎる。これらの2次電子は、上方向に移動し続ける代わりに、方向変更され、第2ユニット7に向かって移動し、そこで検出される。図2aに、2つの異なる粒子経路の例を示す。経路13aに従う粒子は、電位障壁に打ち勝つにほぼ充分な大きさのエネルギーをもっている。この経路は、グリッド近傍またはグリッドのところで反転する。経路13bに従う粒子のエネルギーはより小さく、グリッドに向かう途中のより早い時点で反転する。これらの粒子は、第2ユニット7に戻るように加速され、そこで検出される。
【0052】
図2bは、減速電極11がない点で図2aと異なる。1次荷電粒子を減速する遅延場は、集束レンズ10の電極9と試料4の間で生成される。円筒形状の電極9は、例えば、7〜10kVとすることができ、試料は、例えば、接地電位とし得るはずである。そのため、減速ユニットは、電極9および試料によって画定される。
【0053】
中央ユニットの電圧を調整することによって、第1および第2のユニットで検出される電子の割合および角度分布を制御することができる。これは、それぞれの測定タスクおよび/または試料の組成に応じて、情報収集プロセスを制御し得ることを意味する。第1および第2のユニットがともに検出器である場合、信号電子はすべて情報入力として使用されることになり、すなわち、電子の損失がない。そのため、情報の損失もない。中央ユニット6の電位に応じて、第1または第2の検出器上での2次電子の分布が変化することになる。
【0054】
これまで述べた実施形態で示したように、中央ユニットに適切な電圧を印加することによって、2次荷電粒子の流れに影響を及ぼし、方向づけることができる。先にすでに述べたように、下記の表における中央ユニット内の電位は、試料の電圧に対して相対的に理解しなければならない。中央ユニットがグリッドの場合、このグリッドに印加する電圧は、中央ユニット内の電位と同じである。中央ユニットが円筒などの場合、中央ユニット内の電位は一般に、印加される電圧と異なる。一般に、ここで考察する実施形態に限定されることなく、以下の可能性がある。より深く理解するために、以下に、後方散乱電子および2次電子を個々に列挙する。
【表1】
【0055】
この表ならびに以下では、第1および第2のユニットがともに検出器である本発明を説明する。したがって、「第1検出器」という用語を「第1ユニット」という用語と同義に用い、「第2検出器」という用語を「第2ユニット」という用語と同義に用い、「第3検出器」という用語を「第3ユニット」という用語と同義に用いる。
【0056】
図3に、セグメント化された第1、第2、および/または第3の検出器を示す。1次荷電粒子を通過させ、第2または第3の検出器の場合には2次荷電粒子も通過させる穴15を有する検出器は、4つの異なるセグメント16a〜16dを備える。したがって、上記で説明した情報は、試料から放出される2次電子の開始角度に関する追加の方向感度とともに収集することができる。一般に、この検出器のセグメント数は、2、4、8、またはそれよりも多くし得る。これらの検出器は、典型的には、環状、方位、または環状−方位を組み合わせてセグメント化される。
【0057】
図4に、本発明の別の実施形態を示す。図2aおよび図2bと比較すると、2つの違いがある。第1に、磁気コンデンサレンズの代わりに静電コンデンサレンズ3が示されている。第2に、大きな軸外運動量を伴う、2次電子のビーム経路の例15が示されている。大角度で進行する電子は、第2検出器内の穴に到達せず、第2検出器の下面に当たる。第2検出器は、上面から下面まで感知性(感受性)があるので、これらの電子も検出することができる。この場合、本発明による荷電粒子ビーム装置では、下から極めて大きな角度で検出が行われる。
【0058】
図5に、下からの電子を検出することができる別の大角度検出ユニットを示す。第2検出器7に隣接する第3検出器17が含まれる。この第3検出器は、試料に向かう側に感受性を有する。図5では、これは、第3検出器17の下面である。したがって、軸外運動量が大きい粒子15は、この検出器で別に検出される。一般に、図5の実施形態に限定されることなく、典型的には、第2および/または第3の検出器は、典型的には、環状、方位、または環状−方位を組み合わせてセグメント化される。
【0059】
図6aおよび図6bに、本発明による荷電粒子ビーム装置の別の実施形態の一部を示す。この荷電粒子ビーム装置の上部に注目されたい。図6aには、加速ユニット2の陽極、コンデンサレンズ3、および第1ユニットが1つのコンポーネントに統合された実施形態を示す。加速ユニット2の陽極は、同時に、コンデンサレンズ3の上部電極でもある。検出器である第1ユニット5は、コンデンサレンズ3の下部電極として働く。コラム長さが短くなることにより、有効ビーム経路がさらに短くなる。
【0060】
図6bに、穴18を有するグリッドとして中央ユニット6を示す。この穴形状のグリッドは、本明細書で示す他の実施形態の中央ユニットとして使用することもできるはずである。
【0061】
さらに、図6bには、静電コンデンサ3の上部電極が、同時に、加速ユニット2の抽出電極としても働くところを示す。さらに、この上部検出器は、コンデンサレンズの集束電極として働く。穴付きグリッド6は、コンデンサレンズ3の第3電極として働く。
【0062】
図6aおよび図6bに示す系の部分は、他の実施形態で、それらに対応する部分の代わりに使用することもできる。
【0063】
図7に、図6bに示すコンデンサレンズを有する本発明の別の実施形態を示す。さらに、中央ユニット6を湾曲グリッドとして示す。それによって、この中央ユニットおよび周囲の検出器によってもたらされる電界が整形される。図7の実施形態はさらに、第3検出器17を備える。ただし、この検出器は割愛することもできるはずである。
【0064】
図8に、径方向に隙間がある液浸レンズ10を有する本発明の別の実施形態を示す。この種の対物レンズにより、試料4の表面で磁界および電界が許容し得る大きさの応用例で高分解能が得られる。一般に、図8の実施形態に限定されることなく、あらゆる対物レンズのタイプを上記で示した検出器系と組み合わせることができる。そのため、ビーム増強電位を考慮すると、典型的には、ビーム照射エネルギーを小さくする液浸レンズを使用し得る。
【0065】
図9に、本発明の別の実施形態を示す。コンデンサレンズ3なしの荷電粒子ビーム装置を示す。さらに、この荷電粒子ビーム装置は、1次粒子ビームを最終ビームエネルギーに減速する液浸レンズ11’を有する。この液浸レンズを静電レンズとして示す。この静電液浸レンズは、典型的には、2つまたは3つの電極からなる。集束レンズ10は、試料4の下に配置される単極磁気レンズとして示す。ただし、この磁気レンズは任意に設けられるものであり、動作には液浸レンズ11’だけでも十分である。一般に、あらゆる実施形態で、試料と対物レンズの間に、あるいは、対物レンズ内に(図示しない)走査コンポーネントを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1a】本発明による荷電粒子ビーム装置の第1実施形態の概略図である。
【図1b】本発明による荷電粒子ビーム装置の第2実施形態の概略図である。
【図2a】本発明による荷電粒子ビーム装置の第3実施形態の概略図である。
【図2b】本発明による荷電粒子ビーム装置の第4実施形態の概略図である。
【図3】他の実施形態で使用可能なセグメント化された検出器の概略図である。
【図4】本発明による荷電粒子ビーム装置の第5実施形態の概略図である。
【図5】第3の検出器を有する本発明による荷電粒子ビーム装置の第6実施形態の概略図である。
【図6a】本発明による荷電粒子ビーム装置の第7実施形態の一部の概略図であり、荷電粒子ビーム源と中央ユニットの間の部分のみを示す。
【図6b】本発明による荷電粒子ビーム装置の第8実施形態の一部の概略図であり、荷電粒子ビーム源と中央ユニットの間の部分のみを示す。
【図7】本発明による荷電粒子ビーム装置の第9実施形態の概略図である
【図8】本発明による荷電粒子ビーム装置の第10実施形態の概略図である。
【図9】本発明による荷電粒子ビーム装置の第11実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0067】
1 電子源
2 加速器
3 磁気レンズユニット、コンデンサレンズ
4 試料
5 第1ユニット
6 中央ユニット
7 第2ユニット
8 1次電子ビーム
9 電極
10 対物レンズ
11 電極
11’ 液浸レンズ
12 コラム部分
13a 経路
13b 経路
14 電子
15 穴、ビーム経路、粒子
16a セグメント
16b セグメント
16c セグメント
16d セグメント
17 第3検出器
18 穴
【発明の分野】
【0001】
本発明は、荷電粒子光学系に関する。特に、本発明は、検査システム、試験システム、リソグラフィシステムなどに応用する荷電粒子ビーム装置に関する。さらに、本発明は、低電圧用途の走査電子顕微鏡に関する。より詳細には、本発明は、荷電粒子ビーム装置およびその動作方法に関する。
【発明の背景】
【0002】
荷電粒子ビーム機器は、いくつかの産業分野で用いられる多くの機能を有する。これらの産業分野には、製造中の半導体デバイスの検査、リソグラフィ用の露光システム、検出装置、および試験システムが含まれるが、これらに限定されるものではない。そのため、マイクロメートルおよびナノメートルの尺度で試料を構築し検査することが強く求められている。
【0003】
マイクロメートルおよびナノメートルの尺度のプロセス制御、検査、または構築はしばしば、電子ビームなどの荷電粒子ビームによって行われる。これらの荷電粒子ビームは、電子顕微鏡または電子ビームパターン生成器などの荷電粒子ビーム装置内で生成され集束される。荷電粒子ビームでは、それらの波長が短いために、例えば光子ビームよりも優れた空間分解能が得られる。
【0004】
この場合、検査中の試料が損傷を受けないように注意を払わなければならない。そのため、影響を受けやすい非導電性試料の結像では低電圧顕微法が重要である。1次荷電粒子のエネルギーが小さい(一般に、5keV未満)ために、エネルギーの放散が小さく、影響を受けやすい試料の損傷がない。さらに、絶縁試料の帯電挙動は低電圧で有利なことがある。というのは、試料の1次電子吸収に等しくなるように2次電子放出を制御することができるからである。そのため、低電圧顕微法は、半導体製作プロセスにおけるデバイス構造の寸法測定および検査に興味深いものである。
【0005】
現在、高分解能低電圧顕微鏡は、先に述べた応用例で使用されている。欧州特許EP−B−0333018号などに記載の先行技術の系では、最終対物レンズとして、静電気−磁気合成液浸レンズを使用する。液浸レンズにより、コラム内でのビームエネルギーを大きくし、試料に当たるビームエネルギーを小さくすることができる。それによって、ベルシュ(Boersch)効果の低減とビーム照射エネルギーの低減とを組み合わせることができる。
【0006】
試料に1次荷電粒子が当たった後で放出される後方散乱荷電粒子および/または2次荷電粒子は、対物レンズ内に、または対物レンズの上に配置された検出器によって検出することができる。このレンズ内検出器配置またはレンズ前検出器配置は、レンズに極めて近接して試料を配置することができ、その結果、作動距離が短くなるという利点を有する。作動距離が短いと、結像特性が改善され、特に分解能が向上する。
【0007】
例えば米国特許第5780859号に記載の従来技術の系は、2次電子検出効率の点で欠点を有する。というのは、液浸レンズにより、1次荷電粒子ビームの減速電位と同等の電位に2次荷電粒子が加速されるからである。2次荷電粒子のエネルギーが大きいことを考慮すると、これらの粒子の検出はより難しくなる。したがって、従来技術の解決策では、1次ビームを貫通させるための小さな穴を備えた同軸検出器(欧州特許EP−B−0333018号)、または1次電子ビームと2次電子ビームを分離する手段(米国特許第5422486号)のいずれかを使用する。
【0008】
本発明の目的は、従来技術の問題および欠点の少なくとも一部を克服する荷電粒子ビーム装置を提供することである。さらに、本発明の目的は、従来技術の問題の少なくとも一部を克服する荷電粒子ビーム装置を動作させる方法を提供することである。
【発明の概要】
【0009】
本発明の態様によれば、独立請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置、請求項25に記載の荷電粒子ビーム装置を動作させる方法、および請求項30に記載の試料を分析する方法が提供される。
【0010】
本発明のさらなる利点、特徴、態様、および細部は、従属請求項、説明、および添付の図面から明らかになる。
【0011】
本発明の一態様によれば、
−1次荷電粒子ビームを提供する荷電粒子源と、
−電位を提供する第1のユニットと、
−電位を提供する第2のユニットと、
−第1のユニットと第2のユニットの間に配され、1次荷電粒子を第1の低エネルギーに減速するために第1および第2のユニットの電位と異なる電位を提供し得る中央ユニットとを備え、第1のユニットおよび/または第2のユニットは、試料から放出される荷電粒子を検出する検出器である荷電粒子ビーム装置が提供される。
【0012】
荷電粒子は、他の荷電粒子に起因する斥力を受ける。したがって、1次荷電粒子ビームは途中で広がる。この問題は原理的に克服することができないので、放出源と試料の間の各荷電粒子の飛行時間を短くすることが望ましい。これは、コラムの長さを短くし、荷電粒子の平均運動エネルギーを大きくすることによって実施し得る。具体的には、荷電粒子の運動エネルギーが小さいコラム部分を最小限に抑えるべきである。本発明が提供する検出モジュールでは、2次粒子および/または後方散乱粒子を検出するための検出モジュールを通過し得る1次荷電粒子がある限定された区域内で減速される。1次荷電粒子ビームの減速は、第1ユニットと中央ユニットの間で実施され、1次荷電粒子ビームの加速は、中央ユニットと第2ユニットの間で実施される。典型的には、第1ユニットと第2ユニットの間隔は、30mm未満、さらには、25mmまたは20mm未満である。したがって、1次荷電粒子ビームが遅い区域は最小限に抑えられ、そのため、電子と電子の相互作用が減少する。
【0013】
別の態様によれば、第1ユニット、第2ユニット、および中央ユニットは検出モジュールを形成し、荷電粒子は、この検出モジュール内で加減速される。
【0014】
別の態様によれば、1次荷電粒子は、検出モジュール内で、1次荷電粒子ビームの生成後に第1の高エネルギーに加速され、次いで減速され、再度、第2の高エネルギーに加速され、試料に当たる前に再度減速される。
【0015】
1次ビーム経路の大部分が高エネルギーレベルにあるので、性能の向上が期待される。さらに、検出器の場所がレンズの前にあるので、焦点距離が短くなり、収差係数が小さくなる。検出器の領域内でエネルギーレベルを小さくすることによって、後方散乱電子および/または2次電子の検出効率を高くすることができ、本発明の機器は、試料の穴の底部(例えば、半導体技術におけるコンタクトホール)からの信号を捕らえるのに特に有用である。
【0016】
上記を考慮すると、電子と電子の相互作用が減少するために、分解能が向上し、この検出方式によって電子の検出効率が向上し得る。
【0017】
本発明の別の態様によれば、第1のユニットは検出器である。試料から到達する2次電子は、中央ユニットによって減速される。中央ユニットが、試料に対して相対的に負に帯電している場合、2次電子は電位障壁の影響を受ける。この障壁に打ち勝つことができる2次電子は、第1のユニットまで加速され、そこで検出される。
【0018】
本発明の別の態様によれば、第2ユニットは検出器である。典型的には、少なくとも中央ユニットに面する第2ユニットの検出側は、検出感度を有する。したがって、電位障壁に打ち勝つのに必要なエネルギー未満の2次電子は、第2のユニットに向かって反転し、そこで検出される。
【0019】
本発明の別の態様によれば、第1および第2のユニットはともに検出器である。
【0020】
別の態様によれば、円環または円筒の形態とし得る中央ユニットをセグメント化することができ、典型的には4つのセグメントに分ける。それによって、ビームの方向またはビームの位置に関してビームを調整することができる。
【0021】
本発明の別の態様によれば、荷電粒子ビーム装置は、第2のユニットに隣接して配置される検出器である第3のユニットを備える。典型的には、第2のユニットの感受面は中央ユニットに向いており、第3のユニットの感受面は試料に向いている。
【0022】
本発明の別の態様によれば、第1ユニット、中央ユニット、第2ユニット、および任意選択の第3ユニットを組み合わせて1つのモジュールにする。
【0023】
本発明の一態様によれば、試料に当たるときの1次荷電粒子のエネルギー、すなわち最終ビームエネルギーは、1次荷電粒子が中央ユニットにあるときの第1の低エネルギーと桁が同じであり、最も典型的には、これらのエネルギーはほぼ同じである。試料に当たる最終ビームエネルギーは、5keV未満、典型的には1keV未満である。第1の高エネルギーと第2の高エネルギーは、典型的には桁が同じであり、最も典型的には、これらはほぼ同じである。これらの高エネルギーは、約5keV〜30keVである。典型的には、第1および/または第2の高エネルギーは、最終ビームエネルギーの少なくとも3倍であり、例えば10倍である。
【0024】
中央ユニットは、グリッド、チューブ、円環、円筒、穴形状の電極などとし得る。電位を提供し、荷電粒子を通過させることができるあらゆる手段が可能である。典型的には、1次荷電粒子が貫通する1つまたは複数の追加の穴を含み得るグリッド電極を適用し得る。このグリッド電極は、平面形状、凸形状、または凹形状に曲げることができる。
【0025】
典型的には、第1ユニットおよび第2ユニットは、1次荷電粒子ビームのクロスオーバ近傍に配置する。それによって、1次ビームに対する検出器の影響を最小限に抑えることができる。
【0026】
一般に、第1ユニット、第2ユニット、および/または、存在する場合には第3ユニットは、環状検出器とし得る。これらの検出器は、任意選択でセグメント化することができ、典型的には、1次荷電粒子が貫通する穴を有する。これらの検出器は、シンチレーション検出器、チャネル検出器、ピンダイオードなどとし得る。これらの検出器は、環状セグメント、方位セグメント、例えば4分円セグメント、または環状−方位合成セグメントとし得る。第2ユニットは、両面が感受性の検出器とし得る。第3ユニットを適用する場合、第2ユニットは典型的には、中央ユニットに面する側が感受性の検出器であり、第3ユニットは、試料に向いた側が感受性の検出器である。
【0027】
この装置に含まれる検出モジュール(検出方式)では、高効率と角度分解能ならびにエネルギー分解能を組み合わせることができる。そのため、液浸レンズ技術によって、依然として、ナノメートルの範囲またはナノメートル未満の範囲の分解能を得ることができる。
【0028】
本発明の別の態様によれば、荷電粒子ビーム装置はコンデンサレンズを備える。このレンズは、静電気レンズ、磁気レンズ、または静電気−磁気合成レンズとし得る。このコンデンサレンズは、荷電粒子ビーム源の後に配設される加速コンポーネントと組み合わせて1つのモジュールにすることができる。さらに、第1ユニットおよび中央ユニットは、コンデンサレンズの一体部分として働くことができる。
【0029】
本発明の別の態様は、本明細書で説明する荷電粒子ビーム装置を、低電圧用途の走査型電子顕微鏡として使用することである。この場合、1次荷電粒子は電子であり、2次荷電粒子は、2次電子および/または後方散乱電子である。
【0030】
本発明の別の態様では、荷電粒子ビーム装置を動作させる方法が提供される。この方法は、
a)2次荷電粒子ビームを生成するために、1次荷電粒子ビームを試料に送るステップと、
b)1次荷電粒子を第1の高エネルギーに加速するステップと、
c)1次荷電粒子を第1の低エネルギーに減速するステップと、
d)1次荷電粒子を第2の高エネルギーに加速するステップと、
e)2次荷電粒子ビームを生成するステップと、
f)2次荷電粒子を第1のユニットおよび/または第2のユニットに送る電位を提供するステップと、
g)第1のユニットおよび/または第2のユニットで2次荷電粒子を検出するステップとを含み、上記の2次荷電粒子を第1のユニットおよび/または第2のユニットに送る電位により、1次荷電粒子が第1の低エネルギーに減速され、1次荷電粒子が第2の高エネルギーに加速される。
【0031】
本発明の別の態様によれば、試料を分析する方法が提供される。この方法はさらに、試料を提供するステップと、この試料に1次荷電粒子ビームを送り、それによって2次荷電粒子ビームを生成するステップとを含む。
【0032】
本発明はさらに、ここで開示する方法を動作させ、またそれを作成する方法を対象とする。さらに、本発明は、ここで説明する各方法ステップを実施する機器部分を含めて、ここで開示する方法を実施する機器も対象とする。これらの方法ステップは、ハードウエアコンポーネント、適切なソフトウエアによってプログラムされたコンピュータ、これら2つの任意の組合せ、または他の任意のやり方によって実施し得る。
【0033】
以下の説明では、本発明の上記で示した態様および他のより詳細な態様の一部を説明し、図を参照して部分的に例示する。
【発明の詳細説明】
【0034】
以下の図面の説明では、同じ参照数字は、同じ構成要素を指す。概ね、個々の実施形態に関する差異のみを説明する。これらの図面には、本発明の理解の助けとなる要素のみを示すことを理解されたい。
【0035】
本願の保護範囲を限定することなく、以下では、荷電粒子ビーム装置またはその構成要素は、特に電子顕微鏡による検査またはリソグラフィに利用することができる。本発明はさらに、イオンなどの荷電粒子、および/または他の2次および/または後方散乱による荷電粒子の他の放出源を使用して試料の像を取得する機器及び構成要素に適用し得る。
【0036】
特別に説明を設けないが、本願で言及する電位および電圧は、試料の電位に対する相対電位として理解されたい。
【0037】
典型的には、本発明による荷電粒子ビーム装置は、試料から放出される2次電子および/または後方散乱電子とともに働くように用いられる。
【0038】
2次電子は、1次電子と試料原子の外郭電子との非弾性衝突に起因する。その結果、これらの電子は、それぞれの殻から出るのに十分なエネルギーを得る。これらの電子の運動エネルギーは一般に小さい。反射電子または後方散乱電子は、試料の原子との衝突によって偏向された1次ビームの電子である。これらの電子の典型的なエネルギー範囲は、全1次電子エネルギーから2次電子エネルギーのレベルまで及ぶものである。以下の考察では、2次電子と後方散乱電子を区別する必要はない。したがって、区別が不要なときには、簡単にするために、2次電子および後方散乱電子を「2次電子」と称する。そのため、2次荷電粒子および後方散乱荷電粒子を「2次荷電粒子」と称する。
【0039】
図1aに、本発明の第1実施形態を示す。電子源1は、1次電子ビーム8を生成する。次いで、1次電子ビーム8は、加速器2で高エネルギーに加速される。その後、このビームは、磁気レンズユニット3で取り囲まれたコラム部分12内を伝播する。レンズユニット3は、第1のユニット5、すなわち検出器と、第2のユニット7、すなわち電極の近くの領域にビーム8のクロスオーバを生成する。図1aに示すように、第1実施形態のクロスオーバは、中央ユニット6内に配置される。一般に、この実施形態を限定することなく、クロスオーバは、第1ユニット5、第2ユニット7、および中央ユニット6によって形成される検出モジュール内に位置する。コラム部分12は、第1の検出器である第1ユニット5に連結され、第1の検出器の検出面は、コラム部分12に面する側の反対側である。加速ユニット2の下部電極、コラム部分12、および第1ユニット5の電位は同じである。この電位は、例えば、5kV、10kV、または20kVである。これらの例の間の値、またはこれらの例よりも大きい値も可能である。
【0040】
円筒電極として示す中央ユニット6は、正の電位に接続される。この電位は、この実施形態では検出器である第1ユニット5の電位よりも低い。したがって、1次荷電粒子ビーム8は、検出器と円筒電極の間で減速される。その後に配置された第2ユニット7、例えば電極または第2の検出器は、中央ユニット6よりも電位が高い。荷電粒子8は、円筒電極と第2ユニット7の間の領域で加速され、試料に向かう途中、電極9の下端に達するまで、このエネルギーを維持する。電極9および第2ユニット7を形成する電極の電位は同じである。第1ユニットおよび第2ユニットは、検出能力があることに加えて、加減速用の手段として働く。電極11は遅延電極として働く。低電圧応用例を実現するために、1次電子が減速される。電極9および電極11は、これらの間の電位差のために減速ユニットを形成する。この荷電粒子ビーム装置は、集束用の対物レンズ10を含む。
【0041】
一般に、図1aの実施形態に限定されることなく、粒子ビーム源は、典型的には、電子ビーム源様の熱放出器、冷電界または熱電界型の放出器、ショットキ型放出器、あるいは光電陰極である。1次荷電粒子ビームのビーム増強を含む系では、加速器後のエネルギーおよび第2検出器後のエネルギーは、遅延場電極後に試料に照射される最終エネルギーよりもかなり大きい。典型的には、加速器後の1次荷電粒子のエネルギーは、第2検出器後の1次荷電粒子のエネルギーと同等または全く同じであるが、必ずしもそうではない。さらに、中央ユニットでの1次荷電粒子のエネルギーは、加速器後のエネルギーよりも小さい。このエネルギーは、最終照射エネルギーと同等または全く同じになるように選択し得る。
【0042】
一般に、図1aの実施形態に限定されることなく、中央ユニット6として、円筒電極の代わりに、穴形状の電極、リング電極、またはグリッド電極を適用し得る。図1bに、グリッド電極の一例を示す。このようなグリッドは、1次荷電粒子をより良好に貫通させるための中央の穴を含み得る。
【0043】
一般に、この場合も図1aの実施形態に限定されることなく、本明細書で説明する検出器は、シンチレーション検出器、チャネル検出器、ピンダイオード、または、試料のところで放出される2次粒子の検出に適した他の検出器とし得る。
【0044】
第2ユニット7も検出器として扱うことができる。中央ユニット6が負にバイアスされている場合、反転した2次電子は、下側の検出器によって検出し得る。例えば、図2aおよび図2bに関して、これらの実施形態の例を示す。
【0045】
図1bは、中央ユニット6がグリッド電極として示されている点で図1aと異なる。さらに、この図面の右側に、放出源1から試料に向かう途中の1次荷電粒子の典型的なエネルギーを視覚化したエネルギー線図を示す。
【0046】
これらの粒子は、コラムのほとんどの部分に向かう経路において、ビーム増強電位に加速される。典型的には、このエネルギーは、5keVよりも大きく、例えば、12keVである。これらの電子は、第1ユニット5、すなわち検出器の下側の面までこのエネルギーを維持する。この面の電位は、加速ユニット2の下部電極と同じ電位とし得る。ただし、加速ユニット2の下部電極、コラム部分12、および検出器の電位が必ずしも同じである必要はないことを付け加えておく。例えば、コラム部分12が、加速ユニット2にも検出器にも接触しない場合、コラム部分12のエネルギーは、加速ユニット2および検出器のエネルギーよりも大きくし得るはずである。
【0047】
中央ユニット6の電位はより低い。その結果、電子8は遅くなる。グリッドのところで、これらの電子の運動エネルギーはその最下点に達する。グリッドの後で、あるいは、図1aに示す円筒の場合にはこの円筒電極の後で、これらの電子は再度、中央ユニット6の電位よりも本質的に電位が高い第2ユニット7に向かって加速される。図1bのエネルギー線図では、電極7の後の粒子の運動エネルギーは、加速器2の下部電極と、第1検出器である第1ユニット5との間のエネルギーと同じである。ただし、これは、単なる例と理解されたい。それぞれの装置2、12、5、7、9に異なる電位を適用することができ、そのため一般に、異なる運動エネルギーが可能である。
【0048】
これらの電子は、コラム部分9の下端までこの運動エネルギーを維持する。この端部と遅延電極11の間では、これらの電子はそれらの電子の最終エネルギーに減速され、このエネルギーで、試料4に当たるはずである。
【0049】
図1aおよび図1bに示す実施形態も、コンデンサレンズ、ウィーンフィルタなどの静電気、磁気、または静電気−磁気合成タイプの偏向器、静電気、磁気、または静電気−磁気合成タイプの走査型偏向器、静電気、磁気、または静電気−磁気合成タイプの非点補正装置、静電気、磁気、または静電気−磁気合成タイプの別のレンズ、および/または、偏向器または開口などの1次および/または2次の荷電粒子ビームに影響を及ぼし、かつ/または補正する他の光学コンポーネントなど、(図示しない)追加のコンポーネントを含み得る。実際、例として、以下の図面の一部に、これらのコンポーネントの一部を示す。これらは、他の実施形態でも適用し得るはずであることを理解されたい。
【0050】
図2aに、図1bと類似の実施形態を示す。ただし、ここでは、グリットとして示す中央ユニット6には、負のバイアスがかかっている。したがって、放出源1で放出される1次荷電粒子ビームは、図1bの減速よりも大きく減速される。しかし、1次荷電粒子ビームは、グリッドの後で、検出器である第1ユニット5、または図1bの実施形態では検出器である第2ユニット7に向かって直接加速されるので、電子と電子の相互作用が分解能に及ぼす悪影響はわずかである。
【0051】
試料4のところで放出される2次電子は、それらのエネルギーに応じて、中央ユニット6によってもたらされる電位障壁に打ち勝つこともできるし、打ち勝つことができないこともある。2次電子のエネルギーが電位障壁よりも大きい場合、これらの2次電子は、グリッドを通過し、第1ユニット5に向かって再度加速され、そこで検出される。図2aでは、これらの電子を参照数字14で標示する。他の2次電子は、グリッドに起因する電位に打ち勝つには遅すぎる。これらの2次電子は、上方向に移動し続ける代わりに、方向変更され、第2ユニット7に向かって移動し、そこで検出される。図2aに、2つの異なる粒子経路の例を示す。経路13aに従う粒子は、電位障壁に打ち勝つにほぼ充分な大きさのエネルギーをもっている。この経路は、グリッド近傍またはグリッドのところで反転する。経路13bに従う粒子のエネルギーはより小さく、グリッドに向かう途中のより早い時点で反転する。これらの粒子は、第2ユニット7に戻るように加速され、そこで検出される。
【0052】
図2bは、減速電極11がない点で図2aと異なる。1次荷電粒子を減速する遅延場は、集束レンズ10の電極9と試料4の間で生成される。円筒形状の電極9は、例えば、7〜10kVとすることができ、試料は、例えば、接地電位とし得るはずである。そのため、減速ユニットは、電極9および試料によって画定される。
【0053】
中央ユニットの電圧を調整することによって、第1および第2のユニットで検出される電子の割合および角度分布を制御することができる。これは、それぞれの測定タスクおよび/または試料の組成に応じて、情報収集プロセスを制御し得ることを意味する。第1および第2のユニットがともに検出器である場合、信号電子はすべて情報入力として使用されることになり、すなわち、電子の損失がない。そのため、情報の損失もない。中央ユニット6の電位に応じて、第1または第2の検出器上での2次電子の分布が変化することになる。
【0054】
これまで述べた実施形態で示したように、中央ユニットに適切な電圧を印加することによって、2次荷電粒子の流れに影響を及ぼし、方向づけることができる。先にすでに述べたように、下記の表における中央ユニット内の電位は、試料の電圧に対して相対的に理解しなければならない。中央ユニットがグリッドの場合、このグリッドに印加する電圧は、中央ユニット内の電位と同じである。中央ユニットが円筒などの場合、中央ユニット内の電位は一般に、印加される電圧と異なる。一般に、ここで考察する実施形態に限定されることなく、以下の可能性がある。より深く理解するために、以下に、後方散乱電子および2次電子を個々に列挙する。
【表1】
【0055】
この表ならびに以下では、第1および第2のユニットがともに検出器である本発明を説明する。したがって、「第1検出器」という用語を「第1ユニット」という用語と同義に用い、「第2検出器」という用語を「第2ユニット」という用語と同義に用い、「第3検出器」という用語を「第3ユニット」という用語と同義に用いる。
【0056】
図3に、セグメント化された第1、第2、および/または第3の検出器を示す。1次荷電粒子を通過させ、第2または第3の検出器の場合には2次荷電粒子も通過させる穴15を有する検出器は、4つの異なるセグメント16a〜16dを備える。したがって、上記で説明した情報は、試料から放出される2次電子の開始角度に関する追加の方向感度とともに収集することができる。一般に、この検出器のセグメント数は、2、4、8、またはそれよりも多くし得る。これらの検出器は、典型的には、環状、方位、または環状−方位を組み合わせてセグメント化される。
【0057】
図4に、本発明の別の実施形態を示す。図2aおよび図2bと比較すると、2つの違いがある。第1に、磁気コンデンサレンズの代わりに静電コンデンサレンズ3が示されている。第2に、大きな軸外運動量を伴う、2次電子のビーム経路の例15が示されている。大角度で進行する電子は、第2検出器内の穴に到達せず、第2検出器の下面に当たる。第2検出器は、上面から下面まで感知性(感受性)があるので、これらの電子も検出することができる。この場合、本発明による荷電粒子ビーム装置では、下から極めて大きな角度で検出が行われる。
【0058】
図5に、下からの電子を検出することができる別の大角度検出ユニットを示す。第2検出器7に隣接する第3検出器17が含まれる。この第3検出器は、試料に向かう側に感受性を有する。図5では、これは、第3検出器17の下面である。したがって、軸外運動量が大きい粒子15は、この検出器で別に検出される。一般に、図5の実施形態に限定されることなく、典型的には、第2および/または第3の検出器は、典型的には、環状、方位、または環状−方位を組み合わせてセグメント化される。
【0059】
図6aおよび図6bに、本発明による荷電粒子ビーム装置の別の実施形態の一部を示す。この荷電粒子ビーム装置の上部に注目されたい。図6aには、加速ユニット2の陽極、コンデンサレンズ3、および第1ユニットが1つのコンポーネントに統合された実施形態を示す。加速ユニット2の陽極は、同時に、コンデンサレンズ3の上部電極でもある。検出器である第1ユニット5は、コンデンサレンズ3の下部電極として働く。コラム長さが短くなることにより、有効ビーム経路がさらに短くなる。
【0060】
図6bに、穴18を有するグリッドとして中央ユニット6を示す。この穴形状のグリッドは、本明細書で示す他の実施形態の中央ユニットとして使用することもできるはずである。
【0061】
さらに、図6bには、静電コンデンサ3の上部電極が、同時に、加速ユニット2の抽出電極としても働くところを示す。さらに、この上部検出器は、コンデンサレンズの集束電極として働く。穴付きグリッド6は、コンデンサレンズ3の第3電極として働く。
【0062】
図6aおよび図6bに示す系の部分は、他の実施形態で、それらに対応する部分の代わりに使用することもできる。
【0063】
図7に、図6bに示すコンデンサレンズを有する本発明の別の実施形態を示す。さらに、中央ユニット6を湾曲グリッドとして示す。それによって、この中央ユニットおよび周囲の検出器によってもたらされる電界が整形される。図7の実施形態はさらに、第3検出器17を備える。ただし、この検出器は割愛することもできるはずである。
【0064】
図8に、径方向に隙間がある液浸レンズ10を有する本発明の別の実施形態を示す。この種の対物レンズにより、試料4の表面で磁界および電界が許容し得る大きさの応用例で高分解能が得られる。一般に、図8の実施形態に限定されることなく、あらゆる対物レンズのタイプを上記で示した検出器系と組み合わせることができる。そのため、ビーム増強電位を考慮すると、典型的には、ビーム照射エネルギーを小さくする液浸レンズを使用し得る。
【0065】
図9に、本発明の別の実施形態を示す。コンデンサレンズ3なしの荷電粒子ビーム装置を示す。さらに、この荷電粒子ビーム装置は、1次粒子ビームを最終ビームエネルギーに減速する液浸レンズ11’を有する。この液浸レンズを静電レンズとして示す。この静電液浸レンズは、典型的には、2つまたは3つの電極からなる。集束レンズ10は、試料4の下に配置される単極磁気レンズとして示す。ただし、この磁気レンズは任意に設けられるものであり、動作には液浸レンズ11’だけでも十分である。一般に、あらゆる実施形態で、試料と対物レンズの間に、あるいは、対物レンズ内に(図示しない)走査コンポーネントを設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1a】本発明による荷電粒子ビーム装置の第1実施形態の概略図である。
【図1b】本発明による荷電粒子ビーム装置の第2実施形態の概略図である。
【図2a】本発明による荷電粒子ビーム装置の第3実施形態の概略図である。
【図2b】本発明による荷電粒子ビーム装置の第4実施形態の概略図である。
【図3】他の実施形態で使用可能なセグメント化された検出器の概略図である。
【図4】本発明による荷電粒子ビーム装置の第5実施形態の概略図である。
【図5】第3の検出器を有する本発明による荷電粒子ビーム装置の第6実施形態の概略図である。
【図6a】本発明による荷電粒子ビーム装置の第7実施形態の一部の概略図であり、荷電粒子ビーム源と中央ユニットの間の部分のみを示す。
【図6b】本発明による荷電粒子ビーム装置の第8実施形態の一部の概略図であり、荷電粒子ビーム源と中央ユニットの間の部分のみを示す。
【図7】本発明による荷電粒子ビーム装置の第9実施形態の概略図である
【図8】本発明による荷電粒子ビーム装置の第10実施形態の概略図である。
【図9】本発明による荷電粒子ビーム装置の第11実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0067】
1 電子源
2 加速器
3 磁気レンズユニット、コンデンサレンズ
4 試料
5 第1ユニット
6 中央ユニット
7 第2ユニット
8 1次電子ビーム
9 電極
10 対物レンズ
11 電極
11’ 液浸レンズ
12 コラム部分
13a 経路
13b 経路
14 電子
15 穴、ビーム経路、粒子
16a セグメント
16b セグメント
16c セグメント
16d セグメント
17 第3検出器
18 穴
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次荷電粒子ビームを提供する荷電粒子源(1)と、
第1の電位を提供する第1のユニット(5)と、
第2の電位を提供する第2のユニット(7)と、
前記第1ユニット(5)と前記第2ユニット(7)の間に配され、前記第1ユニットの方向から到達する1次荷電粒子を第1の低エネルギーに減速し、前記第2ユニットに向かって伝播する前記1次荷電粒子を第2の高エネルギーに加速するために前記第1および第2の電位と異なる第3の電位を提供し得る中央ユニット(6)とを備え、
前記第1ユニット(5)および/または前記第2ユニット(7)は、試料(4)で放出される荷電粒子を検出する検出器である、荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記1次荷電粒子を第1の高エネルギーに加速する加速ユニット(2)をさらに備え、前記加速ユニットは、前記荷電粒子源(1)と前記第1ユニットの間に位置決めされる、請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
前記1次荷電粒子ビームを最終ビームエネルギーに減速する減速ユニットをさらに備える、請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
試料との間の電位差を提供する電極(9)を備え、それによって減速ユニットが形成される、請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
前記第1の低エネルギーは、最終ビーム照射エネルギーとほぼ同じである、請求項1〜4のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記中央ユニット(6)はリングまたは円筒である、請求項1〜5のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記リングまたは円筒はセグメント化される、請求項6に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
前記中央ユニット(6)はグリッドである、請求項1〜4のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
前記グリッドの形状は、平面、凸面、または凹面である、請求項8に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
前記第1ユニット(5)および/または前記第2ユニット(7)は、前記1次荷電粒子ビームのクロスオーバ近傍に配置される、請求項1〜9のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
前記第1の高エネルギーおよび/または前記第2の高エネルギーは、最終ビーム照射エネルギーの少なくとも3倍である、請求項1〜10のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
前記第1ユニットと前記第2ユニットの間隔は40mm未満である、請求項1〜11のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項13】
前記1次荷電粒子ビームを前記試料(4)上で集束させる集束ユニット(10)をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項14】
前記集束ユニットは、静電気−磁気合成型遅延場対物レンズ(9、10、11)を備える、請求項13に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項15】
前記第1ユニットおよび/または前記第2ユニットは環状検出器である、請求項1〜14のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項16】
前記第1の高エネルギーおよび/または前記第2の高エネルギーは、少なくとも5keVである、請求項1〜15のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項17】
第3のユニット(17)を備え、前記第3ユニットは、荷電粒子を検出する検出器である、請求項1〜16のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項18】
前記第2ユニットは検出器であり、前記第2ユニット(7)の検出面は、前記中央ユニット(6)に向いている、請求項1〜17のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項19】
前記第3ユニット(17)の検出面は、前記試料(4)に向いている、請求項17または18に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項20】
前記第1ユニット、前記第2ユニット、および前記中央ユニットは、検出モジュールを形成し、検出対象の荷電粒子は、前記検出モジュール内で減速される、請求項1〜19のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項21】
少なくとも1つの検出器はセグメント化された検出器である、請求項1〜20のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項22】
前記第2ユニットは、上面から下面まで感知性を有する検出器である、請求項1〜21のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項23】
コンデンサレンズ(3)をさらに備える、請求項1〜22のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項24】
低電圧用途の走査型電子顕微鏡としての請求項1〜23のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置の使用。
【請求項25】
荷電粒子ビーム装置を動作させる方法であって、
a.第1のユニットで第1の電位を提供するステップと、
b.第2のユニットで第2の電位を提供するステップと、
c.中央のユニットで第3の電位を提供するステップと、
d.1次荷電粒子ビームを生成するステップと、
e.2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子のビームを生成するステップとを含み、
前記第3の電位は、前記第1ユニットから到達する前記1次荷電粒子を減速し、前記第2ユニットに向かう前記1次荷電粒子を加速するために提供され、
前記第3の電位は、前記第1の電位を提供する位置と前記第2の電位を提供する位置の間の位置で提供され、さらに、
f.前記第1ユニットおよび/または第2ユニットで、前記2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子を検出するステップを含む、方法。
【請求項26】
前記2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子のビームは、前記1次荷電粒子ビームを試料に送ることによって生成される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第3のユニットのところで、前記2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子を検出するステップをさらに含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記1次荷電粒子を最終ビーム照射エネルギーに減速するステップをさらに含む、請求項25〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記第1の電位を提供するステップ、前記第2の電位を提供するステップ、および前記第3の電位を提供するステップは、前記1次荷電粒子のエネルギーが、前記第1ユニットを通過する前と、前記第2ユニットを通過した後でほぼ同じであり、かつ/または、前記中央ユニットを通過するとき、前記1次荷電粒子のエネルギーが、前記最終ビーム照射エネルギーとほぼ同じであるように実施される、請求項25〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
請求項25〜29のいずれかに記載の方法の各ステップを含む試料を分析する方法であって、
試料を提供するステップと、
前記1次荷電粒子ビームを前記試料に送り、それによって、前記2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子を生成するステップとをさらに含む、方法。
【請求項1】
1次荷電粒子ビームを提供する荷電粒子源(1)と、
第1の電位を提供する第1のユニット(5)と、
第2の電位を提供する第2のユニット(7)と、
前記第1ユニット(5)と前記第2ユニット(7)の間に配され、前記第1ユニットの方向から到達する1次荷電粒子を第1の低エネルギーに減速し、前記第2ユニットに向かって伝播する前記1次荷電粒子を第2の高エネルギーに加速するために前記第1および第2の電位と異なる第3の電位を提供し得る中央ユニット(6)とを備え、
前記第1ユニット(5)および/または前記第2ユニット(7)は、試料(4)で放出される荷電粒子を検出する検出器である、荷電粒子ビーム装置。
【請求項2】
前記1次荷電粒子を第1の高エネルギーに加速する加速ユニット(2)をさらに備え、前記加速ユニットは、前記荷電粒子源(1)と前記第1ユニットの間に位置決めされる、請求項1に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項3】
前記1次荷電粒子ビームを最終ビームエネルギーに減速する減速ユニットをさらに備える、請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項4】
試料との間の電位差を提供する電極(9)を備え、それによって減速ユニットが形成される、請求項1または2に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項5】
前記第1の低エネルギーは、最終ビーム照射エネルギーとほぼ同じである、請求項1〜4のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項6】
前記中央ユニット(6)はリングまたは円筒である、請求項1〜5のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項7】
前記リングまたは円筒はセグメント化される、請求項6に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項8】
前記中央ユニット(6)はグリッドである、請求項1〜4のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項9】
前記グリッドの形状は、平面、凸面、または凹面である、請求項8に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項10】
前記第1ユニット(5)および/または前記第2ユニット(7)は、前記1次荷電粒子ビームのクロスオーバ近傍に配置される、請求項1〜9のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項11】
前記第1の高エネルギーおよび/または前記第2の高エネルギーは、最終ビーム照射エネルギーの少なくとも3倍である、請求項1〜10のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項12】
前記第1ユニットと前記第2ユニットの間隔は40mm未満である、請求項1〜11のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項13】
前記1次荷電粒子ビームを前記試料(4)上で集束させる集束ユニット(10)をさらに備える、請求項1〜12のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項14】
前記集束ユニットは、静電気−磁気合成型遅延場対物レンズ(9、10、11)を備える、請求項13に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項15】
前記第1ユニットおよび/または前記第2ユニットは環状検出器である、請求項1〜14のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項16】
前記第1の高エネルギーおよび/または前記第2の高エネルギーは、少なくとも5keVである、請求項1〜15のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項17】
第3のユニット(17)を備え、前記第3ユニットは、荷電粒子を検出する検出器である、請求項1〜16のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項18】
前記第2ユニットは検出器であり、前記第2ユニット(7)の検出面は、前記中央ユニット(6)に向いている、請求項1〜17のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項19】
前記第3ユニット(17)の検出面は、前記試料(4)に向いている、請求項17または18に記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項20】
前記第1ユニット、前記第2ユニット、および前記中央ユニットは、検出モジュールを形成し、検出対象の荷電粒子は、前記検出モジュール内で減速される、請求項1〜19のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項21】
少なくとも1つの検出器はセグメント化された検出器である、請求項1〜20のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項22】
前記第2ユニットは、上面から下面まで感知性を有する検出器である、請求項1〜21のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項23】
コンデンサレンズ(3)をさらに備える、請求項1〜22のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置。
【請求項24】
低電圧用途の走査型電子顕微鏡としての請求項1〜23のいずれかに記載の荷電粒子ビーム装置の使用。
【請求項25】
荷電粒子ビーム装置を動作させる方法であって、
a.第1のユニットで第1の電位を提供するステップと、
b.第2のユニットで第2の電位を提供するステップと、
c.中央のユニットで第3の電位を提供するステップと、
d.1次荷電粒子ビームを生成するステップと、
e.2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子のビームを生成するステップとを含み、
前記第3の電位は、前記第1ユニットから到達する前記1次荷電粒子を減速し、前記第2ユニットに向かう前記1次荷電粒子を加速するために提供され、
前記第3の電位は、前記第1の電位を提供する位置と前記第2の電位を提供する位置の間の位置で提供され、さらに、
f.前記第1ユニットおよび/または第2ユニットで、前記2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子を検出するステップを含む、方法。
【請求項26】
前記2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子のビームは、前記1次荷電粒子ビームを試料に送ることによって生成される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
第3のユニットのところで、前記2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子を検出するステップをさらに含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記1次荷電粒子を最終ビーム照射エネルギーに減速するステップをさらに含む、請求項25〜27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記第1の電位を提供するステップ、前記第2の電位を提供するステップ、および前記第3の電位を提供するステップは、前記1次荷電粒子のエネルギーが、前記第1ユニットを通過する前と、前記第2ユニットを通過した後でほぼ同じであり、かつ/または、前記中央ユニットを通過するとき、前記1次荷電粒子のエネルギーが、前記最終ビーム照射エネルギーとほぼ同じであるように実施される、請求項25〜28のいずれかに記載の方法。
【請求項30】
請求項25〜29のいずれかに記載の方法の各ステップを含む試料を分析する方法であって、
試料を提供するステップと、
前記1次荷電粒子ビームを前記試料に送り、それによって、前記2次荷電粒子および/または後方散乱荷電粒子を生成するステップとをさらに含む、方法。
【図1a】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1b】
【図2a】
【図2b】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6a】
【図6b】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2006−278329(P2006−278329A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−75452(P2006−75452)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(501493587)アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー (25)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75452(P2006−75452)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(501493587)アイシーティー インテグレーテッド サーキット テスティング ゲゼルシャフト フィーア ハルプライタープリーフテヒニック エム ベー ハー (25)
【Fターム(参考)】
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