説明

高耐熱性ポリイミド樹脂組成物

【課題】
ガラス転移温度が350℃を超えるとともに、溶剤可溶性、保存安定性に優れ、かつ高温イミド化工程を必要とせず、塗布乾燥のみで高耐熱性の絶縁材料、耐熱性塗膜、耐熱性コーティングを行うことを可能とし、さらにそれを利用したプリント配線板等の耐熱性の向上を図れる溶剤可溶性ポリイミドを提供する。
【解決手段】
酸成分が、スルホン基を含有するテ芳香族テトラカルボン酸二無水物であり、ジアミン成分が、(A)フルオレン骨格を有するジアミンと(B)エーテル基を含有するジアミンとを用いてポリイミドであって、且つ、(A)と(B)とのモル比が、50:50〜99:1であるポリイミド樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶剤可溶性を有する極めて耐熱性の高いポリイミド樹脂組成物に関し、更に詳しくは、溶剤可溶性を有しながら、ガラス転移温度が350℃以上と極めて高い耐熱性を兼ね備え、保存安定性、塗膜形成性、密着性、樹脂加工性に優れる高耐熱性ポリイミド樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、耐熱絶縁材料、特にFCCLと称されるフレキシブルプリント基板に代表される電子材料用のボリイミド系のベースフィルムとしては、ピロメリット酸とジアミノジフェニルエーテルの縮合物(商品名カプトン)に代表される耐熱温度400℃超のポリイミド樹脂が使用されてきた。しかし、この種の耐熱性の高いポリイミドは溶剤に不溶のケースが多く、実際の使用に関しては、その前駆体であるアミド酸ワニスを用い、その塗膜を例えば350℃以上の温度に加熱して、イミド化を行う方法が取られてきた。また、このようなアミド酸型は保存安定性が悪く、室温保管では経日的な粘度減少を伴う為、冷蔵又は冷凍保管を必要とするなど保存上の問題があった。
【0003】
また、従来のアミド酸ワニスから、ポリイミド成形体を得るには、特殊な溶媒に溶解したアミド酸を高温下で、脱水イミド化させる必要があり、特殊な製造設備が必要であった。
【0004】
ポリアミド酸ワニスに代えて、溶剤可溶性ポリイミド樹脂が多く提案され、例えば、フルオレン骨格を有するジアミンを構成成分とするポリイミドが開示されている(特許文献1−6)。例えば、特許文献1には、版材用樹脂組成物として、フルオレン骨格を有するジアミンをその成分とする、有機溶媒に可溶で、250℃以上のガラス転移点を有するポリイミド樹脂が開示されている。特許文献2−5にも、特許文献1と同様にフルオレン系ジアミンを有するポリイミドの耐熱性と溶剤可溶性とに着目した用途特許が提出されている。
【0005】
しかながら、これらの特許文献に記載のポリイミド樹脂であっても、従来のポリアミド酸ワニスに比較するとガラス転移温度は低い上、ポリイミド樹脂溶液の保存安定性も必ずしも満足できるものではない。このように、一般的には耐熱性と溶剤可溶性とは相反する性質であり、350℃を超えるガラス転移温度を有し、且つ、溶剤可溶性及び保存安定性に優れたポリイミド樹脂組成物は知られていない。
【0006】
【特許文献1】特開2005−289034
【特許文献2】特開2000−8020
【特許文献3】特開2003−51210
【特許文献4】特開2005−262529
【特許文献5】特開平11−212097
【特許文献6】特開2005−325332
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来困難とされていた350℃を超えるガラス転移温度を有しながら、保存安定性に優れるポリイミド樹脂組成物を提供することを目的とする。さらには、塗膜形成性、樹脂加工性に優れたポリイミドワニス、及び当該ポリイミドワニスから得られる、強度、弾性率、密着性に優れたポリイミド樹脂成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、以下の知見を得た。
(1)特定のテトラカルボン酸二無水物と、特定の2種のジアミン成分とから得られるポリイミドが、ガラス転移温度が350℃を超え、かつ溶剤可溶性、保存安定性に優れること。
(2)上記ポリイミドと有機溶剤とを含有するポリイミドワニスは、粘度安定性に優れ、塗膜形成性、密着性、樹脂加工性に優れていること。
(3)特に、特定の分子量分布を有することにより、及び/又はポリマー末端の種類によって、密着性や耐熱性が向上すること。
本発明、係る知見に基づいて完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下のポリイミド樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
(項1) (A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位、及び、(B)下記一般式(2)で表される繰り返し単位からなるポリイミド樹脂組成物であって、(A)と(B)とのモル比が、(A):(B)=50:50〜99:1であるポリイミド樹脂組成物。
【化1】

【化2】

[式中、Xは、−O−又は下記式(3)
【化3】

を表す。]
【0011】
(項2) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の分子量分布測定において、少なくとも2つの分子量ピークを有し、一つのピークが、分子量1,000以上40,000未満であり、他のピークが分子量40,000以上500,000未満である上記項1に記載のポリイミド樹脂組成物。
【0012】
(項3) (N)重量平均分子量が1,000以上40,000未満の請求項1に記載のポリイミド樹脂組成物、及び、(M)重量平均分子量が40,000以上500,000未満の請求項1に記載のポリイミド樹脂組成物を混合して得られる上記項2に記載のポリイミド樹脂組成物。
【0013】
(項4) (N)成分が、アミン末端のポリイミド樹脂組成物であり、(M)成分が、酸末端のポリイミド樹脂組成物である上記項3に記載のポリイミド樹脂組成物。
【0014】
(項5) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の分子量分布測定において、分子量1,000以上40,000未満の成分が50〜1重量%であり、分子量40,000以上500,000未満の成分が50〜99重量%である上記項2〜4のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【0015】
(項6) 上記項1〜5のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物及び有機溶剤を含有するポリイミドワニス。
【0016】
(項7) 絶縁材料用、耐熱塗料用、耐熱コーティング材料用、耐熱接着剤用、又は耐熱バインダー用である上記項6に記載のポリイミドワニス。
【0017】
(項8) 上記項6又は7に記載のポリイミドワニスを加熱、乾燥して得られるポリイミド樹脂成形体。
【0018】
(項9) 皮膜状又はフィルム状の形態にある上記項8に記載のポリイミド樹脂成形体。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、溶剤可溶性でありながら、ガラス転移温度が350℃を超える極めて高い耐熱性を有するポリイミド樹脂組成物が得られる。さらに、成形時に、加熱イミド化を必要としないため、加工性に優れるうえ、得られるポリイミド成形体は、耐熱性、密着性等に優れているので、絶縁材料、耐熱塗料、耐熱コーティング材料、耐熱接着剤、耐熱バインダー等の用途に好適に用いられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[ポリイミド樹脂組成物]
本発明のポリイミド樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される繰り返し単位及び、下記一般式(2)で表される繰り返し単位を、規定の比率の範囲で含むポリイミド樹脂組成物であり、(A)一般式(1)で表される繰り返し単位と、(B)一般式(2)で表される繰り返し単位とのモル比が、(A):(B)=50:50〜99:1、好ましくは60:40〜90:10、特に70:30〜80:20の範囲にあるポリイミド樹脂組成物である。
【0021】
本発明のポリイミド樹脂組成物は、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸又はその二無水物を酸成分とし、9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンと、ビス(4−アミノフェニルエーテル)及びビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンからなる群から選ばれる芳香族ジアミンとをジアミン成分として公知の方法に従って容易に製造することができる。
【0022】
[酸成分]
酸成分として、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸又はその二無水物に加えて、他のテトラカルボン酸二無水物を用いることもできるが、耐熱性、密着性、溶剤溶解性など本発明の効果を損ねる虞があるため好ましくない。他の酸成分を用いる場合、その使用量は、酸成分の5モル%以下、特に1モル%以下が例示される。係る酸成分として具体的には、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、エチレングリコール−ビス−アンヒドロトリメリテート、1,2−プロピレングリコール−ビス−アンヒドロトリメリテート、1,3−プロピレングリコール−ビス−アンヒドロトリメリテート、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−ヘキサフロロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族又は脂環族テトラカルボン酸に無水物が例示される。これらの酸成分は単独で又は2種以上を混合してイミド化反応に供することができる。
【0023】
[ジアミン成分]
また、ジアミン成分としては、(A1)9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンと、(B1)ビス(4−アミノフェニルエーテル)及びビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホンから選ばれる少なくとも1種であり、(A1)成分と(B1)成分とを、モル比で(A1):(B1)=50:50〜99:1の範囲で、好ましくは60:40〜95:5、特に好ましくは70:30〜90:10の範囲で含有する。
【0024】
ジアミン成分として、上記以外の他のジアミンを使用することもできるが、本願発明の効果を損ねる虞があるため好ましくない。他のジアミンを併用する場合、その使用量は、全ジアミン成分中の5モル%以下、特に1モル%以下が好ましい。これら他のジアミン成分として、具体的には、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル等の芳香族ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ジアミノジシクロヘキシルメタン、ジアミノジシクロヘキシルプロパン、ジアミノビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビス(アミノメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン等の脂肪族又は脂環族ジアミンが例示される。これらのジアミンは、単独で又は2種以上組み合わせてイミド化反応に使用することもできる。
【0025】
イミド化反応の方法としては、(1)少量の共沸溶剤の存在下で加熱し、生成水を共沸により系外に留去させる熱イミド化方法、(2)ポリイミド前駆体のポリアミド酸を製造後、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物の酸無水物、ジシクロヘキシルカルボジイミド等のカルボジイミド化合物等の脱水作用のある化合物を用いる化学イミド化方法等が挙げられる
【0026】
上記ポリイミドの製造方法のうち熱イミド化方法が工業的に好ましく、例えば、有機溶媒中に酸成分及びジアミン成分全量を溶解させるか、又は酸成分及び/又はジアミン成分の一部を段階的に溶解後、100〜250℃、好ましくは150〜200℃に加熱し、水同伴剤を用いて系中の生成水を留去して重縮合反応する方法が挙げられ、この方法により溶剤可溶性ランダム共重合体或いはブロック共重合体を得ることができる。
【0027】
イミド化反応開始時における酸成分に対するジアミン成分[(A1)成分と(B1)成分との合計]のモル比は、所望するポリイミド樹脂組成物の分子量、ポリイミド樹脂組成物の末端、粘度等に応じて適宜選択することができる。例えば、イミド化反応開始時の酸成分とジアミン成分とのモル比が当量に近いほど高分子量のポリイミド樹脂組成物が得られやすい傾向がある。また酸成分とジアミン成分とのモル比が当量比から外れるに従い、低分子量のポリイミド樹脂が得られやすくなる。さらに、過剰に用いた成分によって酸末端或いはアミン末端のポリイミド樹脂組成物が得られる。例えば、酸成分とジアミン成分とをモル比で、酸成分:ジアミン成分=100:90〜100:99、好ましくは、100:95〜100:99の範囲でイミド化反応を行うと、酸末端でかつ高分子量のポリイミド樹脂組成物を得ることができる。また、酸成分:ジアミン成分=100:101〜100:110、好ましくは100:101〜100:105の範囲でイミド化反応を行うと、アミン末端でかつ高分子量のポリイミ樹脂組成物を得ることができる。また、例えば、酸成分:ジアミン成分=100:80〜100:90、好ましくは、100:85〜100:90の範囲でイミド化すれば、比較的低分子量の酸末端のポリイミド樹脂組成物が得られ、酸成分:ジアミン成分=100:110〜100:120、好ましくは、100:110〜100:115の範囲でイミド化反応を行えば、アミン末端のポリイミド樹脂組成物が得られやすい。
【0028】
また、イミド化反応開始時における(A1)成分と(B1)成分とのモル比は、所望するモル比に応じて適宜選択すればよく、イミド化反応開始時におけるモル比に相当するモル比でポリイミド樹脂組成物が得られる。
【0029】
本発明に係る有機溶媒としては、非プロトン性極性溶剤が好適に用いられ、具体的にはN、N−ジメチルホルムアミド、N、N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、メチルジグライム、メチルトリグライム、ジオキサン、テトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン等が例示され、これらは単独で又は混合系として用いることもできる。これらのうち特に、重合性、溶解性等の点からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0030】
また、生成水を系外に留去するための水同伴剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、シクロヘキサン、メチルシクロセキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素等が例示され、これらは単独で又は混合系として用いることができる。その使用量としては、全溶剤量に対して通常1〜30重量%程度、好ましくは5〜10重量%程度である。
【0031】
この時の反応基質濃度としては、特に限定されないが作業性と反応効率の点から10〜80重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲である。
【0032】
反応時間としては、通常0.5〜24時間行うことが好ましい。
【0033】
本発明のポリイミド樹脂組成物の分子量としては、特に制限はないが、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量で、1,000以上500,000未満が例示される。特に、GPC測定により、少なくとも2つのピーク(極大点)を有するポリイミドは、接着強度、密着性が向上する点で好ましい。具体的には、分子量1,000以上40,000未満、好ましくは3,000以上30,000以下であり、特に5,000以上20,000以下の範囲に少なくとも1つのピークを有し、さらに、分子量40,000以上500,000未満、好ましくは40,000以上200,000以下、特に40,000以上100,000以下の範囲に少なくとも1つのピークを有するポリイミド樹脂組成物が好ましい。
【0034】
さらに、GPC測定において、分子量1,000以上40,000未満の成分(N)と、分子量40,000以上500,000未満の成分(M)とが、重量比で、(N):(M)=1:99〜50:50、特に10:90〜30:70の範囲である場合に、密着性や耐熱性が向上する傾向があり好ましい。
【0035】
なお、本願特許請求の範囲、明細書においてポリイミド樹脂組成物の分子量は、後記実施例の項に記載の方法で測定される分子量である。
【0036】
上記の2つのピークを有するポリイミド樹脂組成物を得る方法としては、例えば、重量平均分子量1,000以上40,000未満の低分子量のポリイミド樹脂組成物(N)と、重量平均分子量が40,000以上500,000未満の高分子量のポリイミド樹脂組成物(M)を別途調製しておき、これらを混合することにより製造できる。前記(N)成分と(M)成分とを重量比で、1:99〜50:50の範囲で適宜選択することにより、上記の2つの分子量ピークを有するポリイミド樹脂組成物を容易に得ることができる。なお、このように、2つのポリイミド樹脂組成物を混合する場合、本発明に規定されるポリイミド樹脂組成物である限り限定されず、同一でも異なっていてもよい。また、各ポリイミド樹脂組成物の末端も、同一でも異なっていてもよいが、低分子量成分のポリイミド樹脂組成物がアミン末端である場合に、接着強度、密着性向上の効果に優れる点で好ましく、さらに、高分子量成分のポリイミド樹脂組成物が酸末端である場合には、その効果に特に優れる傾向にある。
【0037】
上記イミド化反応により得られた重合溶液は、本発明のポリイミド樹脂組成物が有機溶媒に溶解したポリイミド樹脂溶液である。当該ポリイミド樹脂溶液は、ポリイミドワニスとしてそのまま用いることができる他、メタノール、イソプロパノール等の貧溶媒と混合し、一旦粉末状のポリイミド樹脂組成物を再沈析出させて単離し、単離されたポリイミド樹脂組成物の粉末とすることもできる。
【0038】
本発明のポリイミド樹脂組成物のガラス転移温度は、分子量にもよるが通常350℃以上であり、好ましくは360℃以上、特に380℃以上が好ましい。
【0039】
[ポリイミドワニス]
本発明のポリイミドワニスは、通常、本発明のポリイミド樹脂組成物100重量部に対して、有機溶剤80〜10000重量部を含有している。ポリイミドワニスの粘度安定性及び取り扱いの容易さの点から、ポリイミド共重合体100重量部に対して、有機溶剤が100〜2000重量部が好ましく、更に好ましくは110〜500重量部、特に好ましくは、120〜300重量部の範囲が推奨される。
【0040】
ポリイミドワニスの製造方法としては、特に制限がなく、例えば、イミド化反応終了後の反応液をそのままポリイミドワニスとして用いることができる他、イミド化反応に用いた溶剤を低沸点の溶剤に置換したり、或いは、該ポリイミド樹脂溶液を加熱乾燥又は貧溶剤を添加するなどして本発明のポリイミド共重合体を単離した後、所望の有機溶剤に溶解してポリイミドワニスとすることができる。また、前記のように、分子量の異なる2つのポリイミド樹脂組成物の粉体、溶液を混合、溶解する等によっても得ることができる。
【0041】
上記有機溶剤としては、原則としては、前記イミド化反応の際に使用した有機溶剤であるが、これに限らず、各種のものが使用でき、なかでも、非プロトン性極性溶剤が好適に用いられる。非プロトン性有機溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ヘキサメチルリン酸トリアミド、1,3−ジメチルイミダゾリドン、ジグライム、トリグライム、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン等が例示される。これらは単独で又は混合系として用いることもできる。これらのうち特に、ポリイミドワニスの粘度安定性、吸湿性の点からN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0042】
また、ポリイミドワニスからポリイミド成形体を得る際に、乾燥工程を効率よく行う目的で、有機溶剤の一部を低沸点溶剤に代えることができる。係る低沸点溶剤としては、トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素や、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、プロピレングリコールモノメチルエーテル、又はアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類が例示される。これらの低沸点溶剤を使用する場合、その使用量は、全有機溶剤量に対して、1〜30重量%、好ましくは、5〜20重量%の範囲が推奨される。
【0043】
ポリイミドワニスの粘度として所望の用途により適宜選択することができるが、通常、0.1〜500Pa・s、好ましくは1〜100Pa・sである。なお、ポリイミドワニスの粘度は、後記実施例の項に記載の方法で測定された値である。
【0044】
また、本発明のポリイミドワニスには、表面平滑性を出すための平滑剤、レベリング剤、脱泡剤などの各種添加剤を必要に応じて添加することができる。
【0045】
[ポリイミド形成体]
本発明のポリイミドワニスは、絶縁塗料、金属、プラスチック等のポリイミド系コーティング材料として用いることができ、ポリイミドワニスを基材に塗布した後、乾燥することにより本発明のポリイミドの塗膜を得ることができる。さらに、該ポリイミドワニスを従来公知の方法に従ってキャスト、加熱脱溶剤することによりポリイミドフィルムを得ることもできる。さらに、本発明のポリイミド共重合体は、FPCやTABのベースフィルム又は接着剤、接着フィルムとして、或いは電線の被覆材料などとして用いることができる。
【0046】
ポリイミド成形体を得る方法としては従来公知の方法が広く使用できる。例えば、本発明のポリイミドワニスを基材上に塗布し、加熱、乾燥することによって、本発明のポリイミド成形体を皮膜として得ることができる。また、基材上から皮膜状の本発明のポリイミド成形体を剥離することによりフィルム状のポリイミド成形体を得ることができる。
【0047】
基材状に塗布する方法としては、得られる皮膜又はフィルムの厚み、ポリイミドワニスの粘度に応じて、ダイコーター、コンマコーター、ロールコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、スプレーコーター等の公知の方法から適宜選択することができる。
【0048】
塗布したポリイミドワニスの加熱、乾燥方法としては、従来公知の方法が使用できる。例えば熱風式乾燥炉、赤外式加熱乾燥炉等が適宜使用でき、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下で、例えば60〜400℃の範囲で乾燥することができる。乾燥時間としては、ポリイミド成形体の厚み、ポリイミドワニスの溶媒等により異なるが、通常1〜500分程度が好ましい。
【0049】
本発明のポリイミドワニスを接着剤、例えば銅張り積層板等の接着剤として使用する場合には、従来公知の方法が使用でき、例えば熱圧着法が挙げられる。上記記載の方法で、ポリイミド等のベースフィルム上/又は銅箔上に本発明のポリイミドワニスを塗布、乾燥することにより、本発明のポリイミド成形体を皮膜として有する二層フィルムを得る。なお、ポリイミドワニスに溶解されているポリイミド樹脂としては、GPC測定により、少なくとも2つのピーク(極大点)を有するポリイミド樹脂が好ましい。具体的には、(N)分子量1,000以上40,000未満、好ましくは3,000以上30,000以下であり、特に5,000以上20,000以下の範囲に少なくとも1つのピークを有し、さらに、(M)分子量40,000以上500,000未満、好ましくは40,000以上200,000以下、特に40,000以上100,000以下の範囲に少なくとも1つのピークを有するポリイミド樹脂組成物が好ましく、さらに、(N)成分と(M)成分とが重量比で、(N):(M)=1:99〜50:50、特に10:90〜30:70の範囲であるものが、接着性の点から好ましい。
【0050】
続いて、上記の方法で得られた二層フィルムの本発明のポリイミド成形体が形成された面に、銅箔又はベースフィルムを貼り合わせ、加熱プレス、熱ラミネートすることにより、銅張り積層板を得ることができる。加熱温度としては、150℃〜400℃、好ましくは250℃〜350℃の温度範囲が好ましい。また、圧力としては特に制限がなく、広い範囲から選択することができるが、1〜500kg/cmが例示される。
【0051】
本発明により提供される銅張り積層板は、そのまま或いはロール巻き、エッチング、及び必要に応じてカール戻し等の処理を行ったあと、所定の大きさに切断して、電子部品用の基板、特にフレキシブル基板として好適に使用することができる。
【実施例】
【0052】
以下に実施例を示し、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。尚、実施例及び比較例中の各特性の測定方法、化合物の略称は以下の通りである。
【0053】
〔測定方法〕
(1)分子量
イミド化反応終了後の反応生成物であるポリイミド樹脂溶液(ポリイミドワニス)約1gをジメチルホルムアミド30mlに希釈溶解して測定用試料を調製した。該試料溶液について、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件により、標準ポリエチレングリコール換算の重量平均分子量(Mw)を求めた。
装置:島津製作所 RID−6A
カラム:ShodexGPC AD802−S、AD803−S、AD−804S及びAD805S
カラム温度:40℃
溶離液:(10mmol/L−臭化リチウム+10mmol/L−リン酸)/ジメチルホルムアミド
流速:1.0mL/min
検出器:RI
【0054】
(2)イミドワニス粘度(Pa・s)
イミド化反応終了後の反応生成物であるポリイミド樹脂溶液(ポリイミドワニス)を、トキメック社製B8H型粘度計を用いて、25℃で測定した。
【0055】
(3)ガラス転移温度(Tg)(℃)
イミド化反応終了後の反応生成物であるポリイミド樹脂溶液(ポリイミドワニス)を、ガラス上に塗布した後、窒素気流下、200℃、30分間、常圧で熱風乾燥し、ガラス上から剥離して、ポリイミド樹脂組成物からなる厚み約25μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムを裁断して、Tg測定用の試料を得た。この測定試料についてパーキンエルマー社製の示差熱走査熱量計(DSC−7)を使用し、毎分10℃の昇温速度で昇温したときの変曲点をガラス転移温度とした。
【0056】
(4)ハンダ耐熱温度
・ポリイミド銅張り積層板の作成
イミド化反応終了後の反応生成物であるポリイミド樹脂溶液(ポリイミドワニス)を、ポリイミドベースフィルム(商品名「カプトン100EN」、東レ・デュポン社製、厚み25μm)上に塗布した後、窒素気流下、200℃、30分、常圧で熱風乾燥した。乾燥後、ポリイミドワニスを塗布した面に、一般圧延銅箔(厚さ18μm)を重ね合わせ、410℃で15分間、50kgf/cmの圧力下で加熱圧着し、ポリイミド銅張積層板を得た。
・ハンダ耐熱温度(℃)
このポリイミド銅張積層板を1cm×8cmに切断し、ハンダ耐熱用の測定試料を得た。この測定試料を各温度に設定した溶融ハンダ上に30秒浮かべて、銅箔とポリイミドベースフィルムがはがれるかを目視で確認した。銅箔とポリイミドベースフィルムとが剥離する最低温度をハンダ耐熱温度とした。
【0057】
(5)破断強度(MPa)
イミド化反応終了後の反応生成物であるポリイミド樹脂溶液(ポリイミドワニス)を、ガラス上に塗布した後、窒素気流下、200℃、30分間、常圧で熱風乾燥し、ガラス上から剥離して、ポリイミド樹脂組成物からなる厚み約25μmのポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムを裁断して、破断強度用の試料を得た。この測定試料について、インストロン(5565)を用いて50mm/minの引張速度で破断強度を測定した。
【0058】
(6)接着強度(N/cm)
(4)のポリイミド銅張り積層板の作成に従って得られた銅張り積層板を、25℃、60%RHで24時間保管した後、積層板の一端の銅箔と、反対側の一端のベースフィルムとを治具で挿み、50mm/minの引張速度で180度ピール剥離試験を行い、最大の剥離強度を接着強度とした。
【0059】
[化合物の略号]
以下の実施例及び比較例において用いた化合物の略号は以下のとおりである。
(テトラカルボン酸二無水物)
DSDA:3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物
PMDA:無水ピロメリット酸
ODPA:オキシジフタル酸無水物
(ジアミン)
BAPS:ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン
FDA:9、9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン
(溶媒)
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
【0060】
[実施例1]
攪拌装置、冷却管、温度計及び窒素ガス導入管を備えた4つ口フラスコに、DSDA 53.249g(0.149mol)、BAPS 6.302g(0.015mol)とFDA 45.695g(0.131mol)、反応溶剤として、NMP 360g、水同伴剤としてキシレン40gを仕込み、反応系内を窒素置換した後、窒素気流下、180℃で攪拌し、生成水を系外に除去しながら5時間脱水イミド化反応を行い、ポリイミド樹脂組成物を20重量%溶解してなるポリイミドワニスを得た。得られたポリイミドワニスの粘度は、15Pa・sであった。また、得られたポリイミド樹脂組成物は酸末端であり、その重量平均分子量は、45,000であった。このポリイミドワニスを室温で1ヶ月保存したところ、ポリマーの析出やゲル化現象は見られず、保存安定性に優れていた。また、このポリイミドワニスから得られたポリイミド成形体のガラス転移温度は374℃、破断強度は61MPaであった。また、このポリイミドワニスから銅張り積層板を作成したところ、ハンダ耐熱温度は400℃であり、接着強度は2N/cmであった。
【0061】
[実施例2]
DSDA 51.976g(0.145mol)、BAPS 18.454g(0.043mol)及びFDA 34.691g(0.100mol)を用いた以外は、実施例1と同様にしてイミド化反応を行い、ポリイミド樹脂組成物を20重量%溶解してなるポリイミドワニスを得た。このポリイミドワニスの粘度は18Pa・sであった。得られたポリイミド樹脂組成物は、酸末端でありその重量平均分子量は、48,000であった。このポリイミドワニスを室温で1ヶ月間保存して様子を観察したが、ポリマーの析出やゲル化現象は見られず、保存安定性に優れていた。
【0062】
[実施例3]
DSDA 54.304g(0.152mol)、BAPS 17.559g(0.041mol)及びFDA 33.009g(0.095mol)を用いた以外は、実施例1と同様にしていイミド化反応を行い、ポリイミド樹脂組成物を20重量%溶解してなるポリイミドワニスを得た。このポリイミドワニスの粘度は、0.3Pa・sであった。得られたポリイミド樹脂組成物の重量平均分子量は、11,000であった。なお、このポリイミドワニスを室温で1ヶ月間保存して様子を確認したが、ポリマーの析出やゲル化現象は見られず、保存安定性に優れていた。
【0063】
[比較例1]
DSDAに代えてPMDA 39.719g(0.182mol)、BAPS 23.164g(0.054mol)及びFDA 43.545g(0.125mol)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でイミド化反応を行ったところ、反応系がゲル化したため、溶剤可溶性のポリイミド樹脂組成物を得ることができなかった。
【0064】
[比較例2]
DSDAに代えて、ODPA 46.041g(0.149mol)を用いた以外は、実施例1と同様にしてイミド化反応を行い、ポリイミド樹脂組成物を20重量%溶解してなるポリイミドワニスを得た。得られたポリイミドワニスの粘度は、0.3Pa・sであり、ポリイミド樹脂組成物の平均重量分子量は、12,000であった。このポリイミドワニスから得られたガラス転移温度は272℃と低く、また、成形性が悪く、破断強度の測定試料を作成するためのフィルムが得られず、測定できなかった。また、このポリイミドワニスを用いて、銅張り積層板を作成しハンダ耐熱温度を測定したところ、310℃と低い耐熱温度であった。
【0065】
[比較例3]
DSDA 47.962g(0.134mol)、BAPS 56.762g(0.131mol)を用いた以外は、実施例1と同様にしてイミド化反応を行い、ポリイミド樹脂組成物20重量%を溶解してなるポリイミドワニスを得た。得られたポリイミドワニスの粘度は12Pa・sであった。このポリイミドワニスから得られたガラス転移温度は、290℃であった。また、このポリイミドワニスを用いて銅張り積層板を作成しハンダ耐熱温度を測定したところ、300℃と低い耐熱温度であった。
【0066】
[実施例4]
実施例2で得られたポリイミドワニス(酸末端、重量平均分子量48,000) 70gと、実施例3で得られたポリイミドワニス(アミン末端、重量平均分子量11,000) 30gとを窒素気流下、60℃で1時間撹拌し、分子量10,000以上40,000未満が30重量%、40,000以上500,000未満が70重量%のポリイミド樹脂組成物を含有するポリイミド樹脂濃度20重量%のポリイミドワニスを調製した。このポリイミドワニスの粘度は、2Pa・sであった。このポリイミドワニスから得られたポリイミド成形体のガラス転移温度は360℃であり、破断強度は83MPaであった。また、このポリイミドワニスを用いて作成した銅張り積層板の接着強度は、7N/cmであった。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明により、ガラス転移温度が350℃以上と極めて高く、かつ溶剤可溶性、保存安定性に優れたポリイミドワニスが得られ、高温での加熱イミド化工程を必要とせず、塗布乾燥のみで高耐熱性の絶縁膜、耐熱性塗膜、耐熱性コーティング等を行える。さらに、本発明のポリイミドを接着剤としたプリント配線板は350℃以上のハンダ耐熱性を有し、極めて高耐熱性のものとなる。即ち本発明のポリイミドにより、従来の溶剤可溶型ポリイミドの限界であった300℃前後の耐熱性を50℃以上も高めることが可能になり、これを利用した絶縁体、耐熱性塗膜、耐熱性コーティングを簡便に製造できることのみならず、例えばそれを利用したプリント配線板等の応用製品の高耐熱化、高性能化、製造効率改善などを行うことができ、工業的に極めて利用価値が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される繰り返し単位、及び、(B)下記一般式(2)で表される繰り返し単位からなるポリイミド樹脂組成物であって、(A)と(B)とのモル比が、(A):(B)=50:50〜99:1であるポリイミド樹脂組成物。
【化1】

【化2】

[式中、Xは、−O−又は下記式(3)
【化3】

を表す。]
【請求項2】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の分子量分布測定において、少なくとも2つの分子量ピークを有し、一つのピークが、分子量1,000以上40,000未満であり、他のピークが分子量40,000以上500,000未満である請求項1に記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項3】
(N)重量平均分子量が1,000以上40,000未満の請求項1に記載のポリイミド樹脂組成物、及び、(M)重量平均分子量が40,000以上500,000未満の請求項1に記載のポリイミド樹脂組成物を混合して得られる請求項2に記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項4】
(N)成分が、アミン末端のポリイミド樹脂組成物であり、(M)成分が、酸末端のポリイミド樹脂組成物である請求項3に記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項5】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の分子量分布測定において、分子量1,000以上40,000未満の成分が50〜1重量%であり、分子量40,000以上500,000未満の成分が50〜99重量%である請求項2〜4のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド樹脂組成物及び有機溶剤を含有するポリイミドワニス。
【請求項7】
絶縁材料用、耐熱塗料用、耐熱コーティング材料用、耐熱接着剤用、又は耐熱バインダー用である請求項6に記載のポリイミドワニス。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のポリイミドワニスを加熱、乾燥して得られるポリイミド樹脂成形体。
【請求項9】
皮膜状又はフィルム状の形態にある請求項8に記載のポリイミド樹脂成形体。

【公開番号】特開2008−201861(P2008−201861A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−37400(P2007−37400)
【出願日】平成19年2月19日(2007.2.19)
【出願人】(000191250)新日本理化株式会社 (90)
【Fターム(参考)】