説明

高耐熱性透明ポリイミド前駆体及びそれの感光性ポリイミド組成物

本発明は液晶ディスプレイ装置用高耐熱性透明保護膜及び絶縁膜に適当であるアルカリ現像可能な感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物に関する。本発明は、(a−1)炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から選択される1種以上のテトラカルボン酸二無水物と、(a−2)測鎖に、架橋されていてもよいエチレン性不飽和結合を1つ以上有する炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族環系ジアミンから選択される1種以上のジアミンとから透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を調製する工程、こうして得られた前記の透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を、1分子内にエポキシ基を含んだエチレン性不飽和化合物(B)とエステル化させる工程によって調製される化学式1の反応性透明ポリイミド前駆体及び、これを主成分として使用して調製される水性アルカリ現像可能なネガ型感光性透明ポリイミド前駆体樹脂組成物に関するものである。本発明による感光性透明ポリイミド前駆体樹脂組成物は、優れた感光性を有し、然るに優れた耐熱性、耐薬品性、機械強度、及び絶縁性を有する液晶ディスプレイ装置用の透明保護膜及び絶縁膜に使用してよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液晶ディスプレイ装置用高耐熱性透明保護膜及び絶縁膜に適当であるアルカリ現像可能な感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物に関する。より詳しくは、本発明は、(a−1)炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から選択される1種以上のテトラカルボン酸二無水物と、(a−2)測鎖に、架橋されていてもよいエチレン性不飽和結合を1つ以上有する炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族環系ジアミンから選択される1種以上のジアミンとから透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を調製する工程、こうして得られた前記の透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を、1分子内にエポキシ基を含んだエチレン性不飽和化合物(B)とエステル化させる工程によって調製される下記化学式1の透明ポリイミド前駆体及び、これを主成分として使用して調製されるネガ型感光性透明ポリイミド前駆体樹脂組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にポリイミド樹脂は芳香族テトラカルボン酸またはその誘導体と芳香族ジアミンまたは芳香族ジイソシアネートとの縮合重合により調製され、こうして得られたポリイミド樹脂は、優れた耐熱性、耐薬品性、機械的特性及び電気的特性を有する。このような優れた特性を有する感光性芳香族ポリイミドは、半導体封止材など電子材料用として広く用いられている。
【0003】
しかし、芳香族ポリイミドは可視光線領域における透過度が低く、黄色または茶色であり、且つ比較的に高い誘電率を有するため、液晶ディスプレイ装置用の透明保護膜または絶縁膜の用途としては適当ではない。液晶ディスプレイ装置用の透明保護膜または絶縁膜として、エポキシ樹脂或いはアクリル樹脂組成物が広く使われている。材料本来の耐熱性に鑑みて、230℃以下の温度で使われるのが好ましい。しかしながら、250℃以上で処理される場合、ひどい変色及び膜収縮が発生しうる。したがって、後続の処理が制限されうる。
【0004】
従って、耐熱性と透明性を同時に満たすためにポリイミド材料が考慮されており、透明なポリイミド被膜またはフィルムを得るために、脂肪族環状酸無水物の使用によるポリイミドの調製方法が報告されている(Macromolecules、1994.27,1117 and 1993.26,4961、日本国特開平9−95533号、日本国特開第2001−330721号)。
【0005】
しかし、このような透明なポリイミド樹脂を実際に液晶ディスプレイ装置用透明保護膜または絶縁膜用に使うためには、ガラスなどからなる基板の上にポリイミド被膜を形成した後に、別途フォトレジストを用いるリソグラフィー方法により微細パターンを形成する処理を加えなければならない。
【0006】
感光性透明ポリイミド樹脂組成物を使用すれば前記の方法を単純化することができて費用が節減されるという利点があるため、日本国特開2002−161136号に報告されるトランス1,4−ジアミノシクロヘキサンを利用した感光性透明ポリイミド樹脂組成物は、感光が遅すぎて実用には応用不可である。
【0007】
本発明者らは感光性透明ポリイミド樹脂組成物について大韓民国特許出願番号 10−2002−074070に報告しているが、現像マージンと感光性についてはさらに改善する余地がある。
【非特許文献1】Macromolecules、1994.27,1117 and 1993.26,4961
【特許文献1】日本国特開平9−95533号
【特許文献2】日本国特開2001−330721号
【特許文献3】日本国特開2002−161136号
【特許文献4】大韓民国特許出願番号 10−2002−074070
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記の問題点を解決するために、本発明の目的は、十分な感光性を有するネガ型感光性透明ポリイミド前駆体組成物及びその調製方法を提供すること、並びに耐熱性、耐薬品性、機械的強度、電気絶縁性に優れた液晶ディスプレイ装置用の透明保護膜及び絶縁膜として使用しうる組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の前記目的、態様、並びに利点は、下記の本発明の好ましい実施態様の詳細な説明により、よりよく理解されるであろう。
【0010】
前記の目的を達成するために本発明は、下記化学式1:
【化1】

(式中、Xは、側鎖が1つ以上のエチレン性不飽和結合を有する、炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から誘導された4価の有機基であり;Yは炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族系ジアミンから誘導された2価の有機基であり;R、Rは互いに独立に水素原子、またはエチレン性不飽和結合を1つ以上含んだ炭素数1乃至20の有機基である(R、Rは同時に水素原子にならないことを条件とする)。
【0011】
前記反応性透明ポリイミド前駆体は酸価が30乃至200mgKOH/gの範囲であり得る。また、前記反応性透明ポリイミド前駆体の分子量は2,000乃至200,000の範囲であり得る。
【0012】
更に、本発明は、(a−1)炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から選択される1種以上のテトラカルボン酸二無水物と、(a−2)測鎖に、エチレン性不飽和結合を1つ以上有する炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族環系ジアミンから選択される1種以上のジアミンとから透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を調製する工程、こうして得られた前記の透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を、1分子内にエポキシ基を含んだエチレン性不飽和化合物(B)とエステル化させる工程によって調製される下記化学式1の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法を提供する。
【0013】
前記テトラカルボン酸二無水物は1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、ビシクロオクテン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BODA)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3イル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOCDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)から選択される1種以上であってよく、前記ジアミンは、下記化学式7乃至9:
【化2】

【化3】

【化4】

(式中、Zはエステル、アミド、イミド、エーテル、カルボニル基中の1つであり;R、R、Rは互いに別個に水素原子または炭素数1乃至20のアルキルもしくはアリール基であり;そしてnは1乃至20の整数である)
の一般式を有するものから選択される1種以上であってよい。
【0014】
前記ジアミンは2−(メタクリロイルオキシ)エチル=3,5−ジアミノベンゾエート、3,5−ジアミノフェニルシンナメート及びクマロニル=3,5−ジアミノベンゾエートからなる群から選ばれる1種以上であってよい。
【0015】
前記の1分子内にエポキシ基を含むエチレン性不飽和化合物(B)は、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、グリシジル=5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(エンド型とエキソ型との混合物)、グリシジル=5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボキシレート(エンド型とエキソ型との混合物)、1,2−エポキシ−5−ヘキセン及び1,2−エポキシ−9−デセンからなる群から選ばれる1種以上であってよい。
【0016】
また、本発明は前記透明ポリイミド前駆体及び1種以上の光開始剤を必須成分として使用し、光増減剤、多機能性モノマー及び通常のコーティング添加剤とからなる群から選ばれる1種以上を必要に応じて添加して調製される、感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物を提供する。
【0017】
前記反応性透明ポリイミド前駆体は全体の固形分に基づいて10乃至99重量%の割合であってよく、光開始剤が全体の固形分に基づいて0.1乃至90重量%の割合であってよい。
【0018】
前記組成物をコーティングした後にポストベーキングして得られたポリイミド被膜の厚さは0.5乃至100μmであってよく、前記ポリイミド被膜の熱分解温度は300乃至500μmの範囲であってよく、前記ポリイミド被膜の400乃至700nmの間における光透過度は90%以上であってよく、前記ポリイミド被膜の1kHzで測定した誘電率は2.5乃至4.0の範囲であってよい。
【0019】
また、本発明は前記において得られる感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて得られる、透明保護膜または絶縁膜を提供する。
【0020】
また、本発明は、感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物がその透明保護膜または絶縁膜に応用される液晶ディスプレイ装置を提供する。
【0021】
なお、本発明は、感光性ポリイミド前駆体組成物を液晶ディスプレイ装置用有機絶縁材として応用することにより製造される液晶ディスプレイ装置を提供する。
【0022】
以下、 本発明に対して詳しく説明する。
(a−1)は炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から選択される1種以上のテトラカルボン酸二無水物であり、その具体的な例としては1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA、化学式2)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA、化学式3)、ビシクロオクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BODA、化学式4)5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOCDA、化学式5)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA、化学式6)などがあげられるが、これらに限られるものではない。
【0023】
また、前記ポリイミドの透明性を害しない範囲内で必要によってピロメリト酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ヘキサフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物などからなる群より選択される芳香族テトラカルボン酸二無水物をさらに使用してよい。
【化5】

【化6】

【化7】

【化8】

【化9】

【0024】
(a−2)は測鎖に架橋されていてよい、エチレン性不飽和結合を1つ以上有する炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族系ジアミンから選択される1種以上のジアミンであり、その具体的な例としては2−(メタクリロイルオキシ)エチル 3,5−ジアミノベンゾエート(化学式7、 R=CH、R=H、Z=COO、n=2)、3,5−ジアミノフェニルシンナメート(化学式8、R=H、Z=OCO)、クマロニル=3,5−ジアミノベンゾエート(化学式9、Z=COO)などがあげられる(ここで、Zはエステル、アミド、イミド、エーテル、カルボニル基などの1つである。R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素数1乃至20のアルキル或いはアリール基であり、nは1乃至20の整数である)。また、前記ポリイミドの透明性及び耐薬品性を害しない範囲内で必要によって測鎖にエチレン性不飽和結合を含まないジアミンを共に使用してもよい。
【0025】
その具体的な例としては、1,2−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、パラ−フェニレンジアミン(p−PDA)、メタ−フェニレンジアミン(m−PDA)、4,4−オキシジアニリン(ODA)、4,4−メチレンジアニリン(MDA)、2,2−ビス(アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFDA)、メタ−ビス(アミノフェノキシジフェニル)スルホン(m−BAPS)、パラ−ビス(アミノフェノキシジフェニル)スルホン(p−BAPS)、1,4−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−Q)、1,3−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン(TPE−R)、2,2−ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン(BAPP)、2,2−ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(HFBAPP)、5−ジアミノ安息香酸、2,4−ジアミノベンゼンスルホン酸、2,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、ビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキ酸などからなる群より選択される1種以上を使うことができるが、特にこれらに限られるものではない。
【化10】

【化11】

【化12】

【0026】
以下では、本発明による反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法を説明する。
【0027】
<第1工程:透明な直鎖状ポリアミド酸(A)の調製>
第1工程では、(a−1)のテトラカルボン酸二無水物と(a−2)のジアミンとから、従来のポリアミド酸の調製方法により透明な直鎖状ポリアミド酸(A)が調製される。換言すれば、温度調節が可能な反応器でテトラカルボン酸二無水物をジアミンに徐々に加えながら室温以下で温度を保持し、24時間反応させて直鎖状ポリアミド酸(A)を定量的に得ることができる。
【0028】
重合に使われる溶媒はメタクレゾール、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)、γ-ブチロラクトン、2−ブトキシエタノール、2−エトキシエタノールからなる群より選択される1つ以上の溶媒である。パラ−トルエンスルホン酸、ヒドロキシ安息香酸、クロトン酸などの有機酸または有機アミン誘導体を、前記反応混合物の全体量を基準に0.1乃至5重量%の量で添加することができる。また、熱重合抑制剤としてヒドロキノンもしくは類似化合物などを重合体に対して30乃至500ppmの範囲で使うことができる。更に、必要によってシロキサンジアミン誘導体をジアミン全量に対して0.5乃至50重量%の範囲内で添加することにより接着力向上を図ることができる。
【0029】
このようにして得られた直鎖状ポリアミド酸の重量平均分子量(Mw)は2,000乃至200,000の範囲内にあることを特徴とする。分子量が 2,000より小さければ以後塗膜を形成しにくく、200,000より大きければ粘度が高すぎて扱いにくく、以後形成される塗膜の平坦度が低下するという問題がある。得られた直鎖状ポリアミド酸はその高分子測鎖にエチレン性不飽和結合を持っているため、適切な光開始剤とカップリングすると、多機能性モノマーなしに感光性を示す。またポリアミド酸をポストベーキングした後には耐薬品性に優れた塗膜を得ることができるという長所がある。しかし、直鎖状ポリアミド酸は後処理をしないとアルカリ現像液に対する可溶性が非常に良いため、現像マージンが少ないという問題点がある。
【0030】
<第2工程:エチレン性不飽和化合物(B)とのエステル化反応>
直鎖状ポリアミド酸のアルカリ現像液に対する溶解性を調節し、更なる反応性部位を与えるために、第2工程では、前記アルカリ可溶性の直鎖状ポリアミド酸(A)を同一分子内にエポキシ基を含んだエチレン性不飽和化合物(B)でエステル化する。化合物(B)はアリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル (メタ)アクリレート、グリシジル=5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(エンド型とエキソ型との混合物)、グリシジル=5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボキシレート(エンド型とエキソ型との混合物)、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−9−デセンなどがあり、エステル化反応時に単独または2種以上使用することができる。 化合物(B)は、直鎖状ポリアミド酸(A)中の全カルボン酸基に対して10乃至400%の等量で使われることが望ましい。この範囲を外れると現像液に対する溶解性を調節しにくく、または以後形成される塗膜の耐熱性が低下するという問題がある。
【0031】
このようにして得られた反応性透明ポリイミド前駆体は、酸価が30乃至200mgKOH/g程度であり、重量平均分子量は2,000乃至200,000であり、より望ましくは5,000乃至100,000の範囲である。
【0032】
前記の方法によって得られた化学式1の反応性透明ポリイミド前駆体は、直鎖状ポリアミド酸(A)に比べて構造単位当りのエチレン性不飽和結合の数が多くなるため、付加的な多機能性モノマーを使わなくても十分な現像マージンを有するネガ型感光性樹脂組成物を調製することができ、光開始剤の使用量を減らすことができ、感光性の向上も図ることができる。
【0033】
以下では、前記において得られた反応性透明ポリイミド前駆体を用いてネガ型感光性透明ポリイミド前駆体樹脂組成物を調製する方法を説明する。
【0034】
アルカリ現像可能なネガ型感光性透明ポリイミド前駆体樹脂組成物を調製するためには、適切な光開始剤(C)を使うべきであり、必要によって光増減剤(D)、多機能性モノマー(E)、その他の添加剤(F)を併用してよい。
【0035】
前記のアルカリ可溶性である反応性透明ポリイミド前駆体(化学式1)は、単独または2種以上を組み合わせて使っても良い。感光性透明ポリイミド前駆体は、感光性透明ポリイミド前駆体樹脂組成物の全固形分の10%乃至99%の量で使用されることが望ましい。10%未満では形成されたフィルムの接着性が落ち、99%以上では感光性が低くて問題になる。
【0036】
光開始剤(C)は、例えばベンゾフェノン、4,4'−ビス(N,N−ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、フェニルビフェニルケトン、1−ヒドロキシ−1−ベンゾイルシクロヘキサン、ベンジル、ベンジルジメチルケタル、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4'−モルホリノブチロフェノン、2−メチル−4'−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン、チオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、エチルアントラキノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド、ベンゾイルブチルエーテル、2−ヒドロキシ−2−ベンゾイルプロパン、2−ヒドロキシ−2−(4'−イソプロピル)ベンゾイルプロパン、4−ブチルベンゾイルトリクロロメタン、4−フェノキシベンゾイルジクロロメタン、ベンゾイル蟻酸メチル、1,7−ビス(9'−アクリジニル)ヘプタン、9−n−ブチル−3,6−ビス(2'−モルホリノイソブチロイル)カルバゾール、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどがある。
【0037】
光開始剤はポリマーに対して0.1乃至90重量%、望ましくは 0.2乃至50重量%の範囲内で使用されることが好ましい。この範囲を外れると光重合が進行されず、または現像性が落ちるという問題点がある。
【0038】
光増減剤(D)としては3,3'−カルボニルビス(ジメチルアミノクマリン) などのクマリン誘導体、フルオレノンなどの芳香族カルボニル化合物、トリエチルアミンなどのアミン誘導体、1,2−ジヒドロナフト[1,2,d] チアゾールなどのメチレンチアゾール誘導体などを使用してよい。
【0039】
多機能性モノマー(E)は一分子中に、付加重合が可能な少なくとも1つ以上の不飽和基を有し、沸点が100℃以上である化合物であってよい。その例としては、フェノキシエチルメタクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、 トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなどがある。
【0040】
また、 官能性モノマーには、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールの形態で、KAYARAD DPCA−20、KAYARAD DPCA−30、KAYARAD DPCA−60、KAYARAD DPCA−120などがあり、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレートの形態でKAYARAD TC−110S、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートなどの形態でKAYARAD HX−220、KAYARAD HK−620などがある。
【0041】
それ以外の官能性モノマーとしてはエポキシアクリレート、ビスフェノールA誘導体であるノボラック−エポキシアクリレート;ウレタン系の多官能性アクリレートであるU−324A、U15HA、U−4HAなどがある。エチレン性不飽和二重結合を有する官能性モノマーは単独または2種以上を混合して使っても良い。
【0042】
必要に応じて、コーティング剤に一般に使用される他の添加剤(F)を含有可能である。Fの例は、ヒドロキノン、4−メトキシフェノール、キノン、ピロカテコール、t-ブチルカテコール、フェノチアジンなどの熱重合抑制剤;可塑剤;シリコーン系接着促進剤;充填剤;界面活性剤などである。
【0043】
以下では、本発明のネガ型感光性透明ポリイミド前駆体樹脂組成物を使用し、耐熱性透明ポリイミド被膜を形成することによってパターンを形成する方法を説明する。
【0044】
<工程1>
感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物を基板上にコーティングする。基板としては液晶ディスプレイ装置の特性上、ガラスまたは透明プラスチック樹脂が主に使われるが、ディスプレイの目的を満たす限り特別に制限されない。基板表面に本発明の感光性樹脂組成物をコーティングする方法はスプレー法、ロールコーティング法、スリットノズルを用いたコーティング法、回転コーティング法、押出コーティング法、バーコーティング法などの様々な方法があり、2つ以上のコーティング法を組み合わせてコーティングすることもできる。 コーティングされた膜厚さはコーティング方法、組成物の固形分濃度、粘度などによって異なるが、通常は乾燥後に0.5乃至100μmである。
【0045】
<工程2>
コーティング後に非流動性の塗膜を形成するために、真空中、赤外線下、及び/または熱を加えて溶媒を揮発させるプレベーキングを行っている。加熱条件は各成分の種類または配合の割合によって異なるが、ホットプレート上で60乃至130℃にて5乃至500秒間、あるいは熱オーブン中で60乃至140℃にて20乃至1000秒間加熱する。
【0046】
<工程3>
その後、工程2で得られた薄膜に、所定のパターンを有するマスクを用いて光線を照射する。露光はエキシマレーザ、紫外線、可視光線、電子線、X線などによって実行可能であるが、本発明では水銀燈のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)を用いることが望ましい。露光は接触法、近接法、投影法、露光法などで施行可能である。
【0047】
<工程4>
露光後、アルカリ現像前に露光後加熱(postexposure bake(PEB))を実施するか否かは任意である。PEB工程は必要に応じて導入してよい。PEBの温度は150℃以下であり、PEB時間は0.1乃至10分程度である。
【0048】
<工程5>
現像処理では、アルカリ現像液で非露光部位を除去する。現像液としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、メタ珪酸ナトリウム、アンモニア、水などの無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミンなどの第1級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミンなどの第2級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、n−メチルピロリドンなどの第3級アミン類;ジメチルエチルアルコールアミン、トリエチルアルコールアミンなどのアルコールアミン類、テトラメチルアンモニウム水酸化物、テトラエチルアンモニウム水酸化物、コリンなどの第4級アンモニウム塩;ピロ−ル、ピペリジンなどのアミン類からなるアルカリ水溶液を使うことができる。
【0049】
また、前記アルカリ水溶液にメチルアルコール、エチルアルコールプロピルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルなどの水溶性有機溶媒、 界面活性剤などを適量添加した水溶液を現像液として使うこともできる。現像時間は通常10乃至200秒程度である。現像方法としてはディッピング法、スプレー法、パドル法が応用可能である。現像後、脱塩水を用いて20乃至200秒間すすぎ、スピンドライあるいは圧縮空気や窒素でブローすることにより、基板上の水分を除去し、基板上に所望のパターンを形成する。
【0050】
<工程6>
現像後、ポリイミド前駆体被膜は、ホットプレート上またはオーブン中でポストベーキング(もしくはハードベーキング)を経て耐熱性ポリイミド被膜に変換される。熱処理は、ホットプレート上150℃乃至300℃にて1乃至120分間、オーブン中同様の温度範囲にて10乃至120分間行う。熱処理後には完全に架橋硬化されたポリイミドパターンが得られる。
【0051】
こうして形成された耐熱性ポリイミド被膜の熱分解温度は300乃至500℃の範囲であり、400乃至700nmの間における光透過度は、90%より高い。また、1kHzで測定した誘電率は2.5乃至4.0の範囲である。
【0052】
本発明のネガ型感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物から形成された耐熱性ポリイミド被膜は液晶ディスプレイ装置用保護膜、絶縁膜などの用途に使われる。
【0053】
本発明の付加的な特徴及び利点を以下に記す。詳細な説明の記載により明らかになる部分もあるであろうし、本発明の実施によって理解されるのでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
先ず、下記の合成例で、好ましい実施態様及び比較例に使われるポリイミド前駆体を合成するが、下記の合成例で使われる直鎖状ポリアミド酸は既知の方法によって合成される。これはまた本発明者らの発明による大韓民国特許出願番号 10−2002−074070に詳しく記述されている。即ち、攪拌機、温度調節装置、窒素注入装置、冷却機が取り付けられた反応器で窒素ガスを通気しながらジアミンを溶媒に溶解させた後、テトラカルボン酸二無水物を徐々に添加しながら攪拌する。この時、反応温度は室温以下に保持する。12〜24時間反応させた場合の重合反応の収率は定量的である。
【0055】
<合成例1>
1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)及び2−(メタクリロイルオキシ)エチル3,5−ジアミノベンゾエート(DA−HEMA)をN−メチル−2−ピロリジノン(NMP)/γ-ブチロラクトン(体積比=1/1)共溶媒で反応させて合成した直鎖状ポリアミド酸溶液(固体含量20%、酸価220mg KOH/g、Mw=18,000)100gを250ml丸低フラスコに入れて攪拌しながら窒素雰囲気下で110℃に加熱する。
【0056】
グリシジルメタクリレート20gを1時間かけて前記フラスコに徐々に加え、以後2時間反応させて反応性ポリイミド前駆体1を合成する。得られる反応性ポリイミド前駆体の酸価は120mg KOH/gである。
【0057】
<合成例2>
前記合成例1における2−(メタクリロイルオキシ)エチル3,5−ジアミノベンゾエートの代わりに3,5−ジアミノフェニルシンナメートを使って直鎖状ポリアミド酸(固体含量20%、酸価240mg/g、Mw=22,000)を合成したこと以外は合成例1と同様の方法で反応性ポリイミド前駆体2を合成する。得られたポリイミド前駆体の酸価は160mg KOH/gである。
【0058】
<合成例3>
前記合成例1における2−(メタクリロイルオキシ)エチル3,5−ジアミノベンゾエートの代わりにクマロニル=3,5−ジアミノ安息香酸を使って直鎖状ポリアミド酸(固体含量20%、酸価240mg/g、Mw=22,000)を合成したこと以外は合成例1と同様の方法で反応性ポリイミド前駆体3を合成する。得られたポリイミド前駆体の酸価は130mg KOH/gである 。
【0059】
<合成例4>
前記合成例1における2−(メタクリロイルオキシ)エチル3,5−ジアミノベンゾエートの代わりに4,4−オキシジアニリン(ODA)を使って直鎖状ポリアミド酸(固体含量20%、酸価200mg /g、Mw=26,000)を合成したこと以外は合成例1と同様の方法で反応性ポリイミド前駆体4を合成する。得られたポリイミド前駆体の酸価は140mg KOH/gである。
【0060】
<合成例5>
前記合成例1における1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)及び2−(メタクリロイルオキシ)エチル3,5−ジアミノベンゾエートの代わりにピロメリト酸二無水物(PMDA)及び4,4−オキシジアニリンを使って直鎖状ポリアミド酸(固体含量20%、酸価230mg/g、 Mw=28,000)を合成したこと以外は合成例1と同様の方法で反応性ポリイミド前駆体5を合成する。得られたポリイミド前駆体の酸価は、140mgKOH/gである。
【0061】
前記合成例で調製された反応性ポリイミド前駆体を用いて下記の比較例及び好ましい実施態様の感光性樹脂組成物を調製する。
【0062】
<好ましい実施態様1>
合成例1で調製される反応性ポリイミド前駆体溶液1の50g中に光重合開始剤としてCGI124を0.5g、界面活性剤としてBYK307を0.01g溶解させ、該混合物を0.2μmのフィルターで濾過して感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物1を調製する。前記組成物1をガラス基板にスピンコーティングし、100℃のホットプレート上で90秒間プレベーキング処理してコーティングを形成する。 得られたコーティング上にフォトマスクを乗せた後、水銀ランプを用いて365nmで 20mW/cmである紫外線を10秒間照射する。2.38重量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液によって室温で20秒間現像した後、脱塩水で10秒間洗浄してパターンを形成する。続いて250℃のオーブン中にて1時間のポストベーキング処理により硬化させる。得られた膜の最小線幅は25μmであり(line/spaceパターン1:1について)、厚さは1.2μmである。
【0063】
<好ましい実施態様2>
合成例2で調製された反応性ポリイミド前駆体溶液2を使ったこと以外には好ましい実施態様1と同様の方法により、得られた膜の最小線幅は25μmであり、厚さは1.2μmであった。
【0064】
<好ましい実施態様3>
合成例3で調製された反応性ポリイミド前駆体溶液3を使ったこと以外には好ましい実施態様1と同様の方法により、得られた膜の最小線幅は30μmであり、厚さは1.2μmである。
【0065】
<比較例1>
合成例4で調製された反応性ポリイミド前駆体4溶液を使ったこと以外には好ましい実施態様1と同様の方法により、得られた膜の最小線幅は50μmであり、厚さは1.2μmである。
【0066】
<比較例2>
合成例5で調製された反応性ポリイミド前駆体5溶液を使ったこと以外には好ましい実施態様1と同様の方法により、得られた膜の最小線幅は50μmであり、厚さは1.2μである。
【0067】
<比較例3>
合成例1でグリシジルメタクリルレートと反応させたものではない直鎖状ポリアミド酸(固体含量20%、酸価220mg KOH/g、Mw = 18,000)を反応性ポリイミド前駆体溶液1の代わりに用いて好ましい実施態様1と同様の方法を遂行する。ここで、現像の過程でパターン遺失が発生するため、適切な形状を有する所望のパターンを得ることが不可能である。パターン遺失を防止するためには、160℃にて10分間の露光後熱処理工程を、現像前に行うべきである。その後、所望のパターンを形成することが可能になり、こうして得られるパターンの最小線幅は40μmであり、厚さは1.2μmである。
【0068】
<試験例>
前記好ましい実施態様の感光性ポリイミド組成物から得られたポリイミド被膜の物性をカキの方法で測定し、その結果を表1に示す。
【0069】
<耐熱性の評価>
最終的にポリイミドパターンを形成した後、熱的な衝撃による厚さの変化をモニターする。高温での厚さの変化が少ないほど耐熱性が良好であると言える。プレベーキング処理した膜厚さに対するポストベーキングした膜厚さの割合を残膜率と定義する。250℃にて1時間処理した後に残膜率が95%より高ければ良好、これ未満であれば不良であると評価する。
【0070】
<透過度の評価>
ポリイミドパターンを形成した後400nm乃至700nmの透過度を測定する。透過度が90%より高いならば良好、これ未満の場合を不良であると定義する。
【0071】
<耐薬品性の評価>
薬品(10% NaOH水溶液、10% HCl水溶液、及びNMP)中に浸した場合の厚さの変化を観察することによって耐薬品性検査を実施する。(処理前の膜厚さ−処理後の膜厚さ)/(処理前の膜厚さ)×100(%)を厚さの変化率と定義する。化学物質に曝露した場合の厚さの変化率が小なるほど耐薬品性に優れていると言える。室温で1時間化学物質に浸しておいた場合の厚さの変化率が±3%以内であれば良好、この範囲外であれば不良であると判定する。
【0072】
<平坦度の評価>
液晶ディスプレイ装置用透明保護膜として使用する被膜としては、段差のある基板上の被膜の平坦化程度が重要である。平坦度は(1−(コーティング後の段差)/(コーティング前の段差))×100(%)と定義する。平坦度評価用パターンはコーティング前の段差が1.0μmである10μmLine/10μmSpace(1:1)繰返しパターンを使用する。平坦度が70%以上の場合を良好、その未満の場合を不良であると判定する。
【表1】

【0073】
前記表1から分かるように本発明による好ましい実施態様1乃至3のポリイミド被膜は比較例1乃至2に比べて透過度、耐薬品性、平坦度に優れている。該ポリイミド被膜は、従来の方法である比較例3と比べて別途の追加工程なしに優れた物性を示す。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明は、耐熱性、透過度、耐薬品性及び平坦度に優れたネガ型感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物を提供することができ、これを液晶ディスプレイ装置用透明保護膜または絶縁膜の用途に応用できる点で有用である。本発明を幾つかの好ましい実施態様について詳説したが、当業者であれば、添付の本発明の特許請求の範囲及び技術思想の範囲内で変形を伴って実施可能であることを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】

[式中、
Xは、炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から誘導される4価の有機基であり;
Yは、炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族環系ジアミンから誘導される2価の有機基であり;
、Rは、水素原子、または1つ以上のエチレン性不飽和結合を含む炭素数1乃至20の有機基である(R、Rは同時に水素原子にならないことを条件とする)]
によって表される構造を有する反応性透明ポリイミド前駆体。
【請求項2】
酸価が30乃至200mgKOH/gの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の反応性透明ポリイミド前駆体。
【請求項3】
分子量が2,000乃至200,000の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の反応性透明ポリイミド前駆体。
【請求項4】
(a−1)炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から選択される1種以上のテトラカルボン酸二無水物と、(a−2)炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族系ジアミンから選択される1種以上のジアミンから透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を調製する工程;及び
かくして調製された透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を、同一分子内にエポキシ基を含むエチレン性不飽和化合物(B)でエステル化する工程;
とを含むことを特徴とする、請求項1の化学式1を有する反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項5】
前記テトラカルボン酸二無水物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、ビシクロオクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BODA)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOCDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)とからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項6】
前記ジアミンが、下記化学式7乃至9:
【化2】

【化3】

【化4】

(式中、
Zはエステル、アミド、イミド、エーテル、カルボニル基中の1つであり;
、R、Rは水素原子または炭素数1乃至20のアルキルもしくはアリール基であり;
nは1乃至20の整数である)
の一般式を有するジアミンからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項7】
前記ジアミンが、2−(メタクリロイルオキシ)エチル=3,5−ジアミノベンゾエート、3,5−ジアミノフェニルシンナメート及びクマロニル=3,5−ジアミノベンゾエートからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項8】
同一分子内にエポキシ基を含むエチレン性不飽和化合物(B)が、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、グリシジル=5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(エンド型とエキソ型との混合物)、グリシジル=5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボキシレート(エンド型とエキソ型との混合物)、1,2−エポキシ−5−ヘキセン及び1,2−エポキシ−9−デセンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項9】
請求項1の反応性透明ポリイミド前駆体及び1種以上の光開始剤を必須成分として使用し、光増減剤、多機能性モノマー及び通常のコーティング添加剤とからなる群から選ばれる1種以上を添加して調製されることを特徴とする、感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項10】
前記反応性透明ポリイミド前駆体が全体の固形分の重量に対して10乃至99重量%、光開始剤が全固形分の重量に対して0.1乃至90重量%であることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項11】
得られるポリイミド被膜の厚さが0.5乃至100μmであることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項12】
得られるポリイミド被膜の熱分解温度が300乃至500℃の範囲であることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項13】
得られるポリイミド被膜の、400乃至700nmの間における光透過度が90%以上であることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項14】
得られるポリイミド被膜の、1kHzで測定した誘電率が2.5乃至4.0の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項15】
請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物を用いて調製されることを特徴とする感光性透明保護膜または絶縁膜。
【請求項16】
請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物が、透明保護膜または絶縁膜に適用されることを特徴とする液晶ディスプレイ装置。
【請求項17】
請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体組成物が、液晶ディスプレイ装置用有機絶縁材用として適用されることを特徴とする、液晶ディスプレイ装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1:
【化1】

[式中、
Xは、炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から誘導される4価の有機基であり;
Yは、側鎖に1つ以上の架橋されていてよいエチレン性不飽和結合を有する炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族環系ジアミンから誘導される2価の有機基であり;
、Rは、互いに独立に水素原子、または1つ以上のエチレン性不飽和結合を含む炭素数1乃至20の有機基である(R、Rは同時に水素原子にならないことを条件とする)]
によって表される構造を有する反応性透明ポリイミド前駆体。
【請求項2】
酸価が30乃至200mgKOH/gの範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の反応性透明ポリイミド前駆体。
【請求項3】
分子量が2,000乃至200,000の範囲内であることを特徴とする、請求項1に記載の反応性透明ポリイミド前駆体。
【請求項4】
(a−1)炭素数3乃至30の脂環族テトラカルボン酸二無水物から選択される1種以上のテトラカルボン酸二無水物と、(a−2)測鎖に1つ以上の架橋されていてよいエチレン性不飽和結合を有する炭素数3乃至30の脂肪族、脂環族または非縮合芳香族系ジアミンから選択される1種以上のジアミンから透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を調製する工程;及び
かくして調製された透明な直鎖状ポリアミド酸(A)を、同一分子内にエポキシ基を含むエチレン性不飽和化合物(B)でエステル化する工程;
とを含むことを特徴とする、請求項1の化学式1を有する反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項5】
前記テトラカルボン酸二無水物が、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物(CBDA)、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物(CPDA)、ビシクロオクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物(BODA)、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−3−メチルシクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOCDA)、4−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラン−3−イル)−テトラリン−1,2−ジカルボン酸無水物(DOTDA)とからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項6】
前記ジアミンが、下記化学式7乃至9:
【化2】

【化3】

【化4】

(式中、
Zはエステル、アミド、イミド、エーテル、カルボニル基中の1つであり;
、R、R互いに別個に水素原子または炭素数1乃至20のアルキルもしくはアリール基であり;
nは1乃至20の整数である)
の一般式を有するジアミンからなる群より選択される1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項7】
前記ジアミンが、2−(メタクリロイルオキシ)エチル=3,5−ジアミノベンゾエート、3,5−ジアミノフェニルシンナメート及びクマロニル=3,5−ジアミノベンゾエートからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項4に記載の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項8】
同一分子内にエポキシ基を含むエチレン性不飽和化合物(B)が、アリルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルアクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、グリシジル=5−ノルボルネン−2−カルボキシレート(エンド型とエキソ型との混合物)、グリシジル=5−ノルボルネン−2−メチル−2−カルボキシレート(エンド型とエキソ型との混合物)、1,2−エポキシ−5−ヘキセン及び1,2−エポキシ−9−デセンからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項4に記載の反応性透明ポリイミド前駆体の調製方法。
【請求項9】
請求項1の反応性透明ポリイミド前駆体及び1種以上の光開始剤を必須成分として使用し、光増減剤、多機能性モノマー及び通常のコーティング添加剤とからなる群から選ばれる1種以上を必要に応じて添加して調製されることを特徴とする、感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項10】
前記反応性透明ポリイミド前駆体が全体の固形分の重量に対して10乃至99重量%、光開始剤が全固形分の重量に対して0.1乃至90重量%の範囲であることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項11】
前記感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物から得られるポリイミド被膜の厚さが0.5乃至100μmの範囲内であることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項12】
前記感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物から得られるポリイミド被膜の熱分解温度が300乃至500℃の範囲であることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項13】
前記感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物から得られるポリイミド被膜の、400乃至700nmの間における光透過度が90%以上であることを特徴とする、請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項14】
前記感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物から得られるポリイミド被膜の、1kHzで測定した誘電率が2.5乃至4.0の範囲内であることを特徴とする請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物。
【請求項15】
請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物を用いて調製されることを特徴とする感光性透明保護膜または絶縁膜。
【請求項16】
請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物が、透明保護膜または絶縁膜に適用されることを特徴とする液晶ディスプレイ装置。
【請求項17】
請求項9に記載の感光性ポリイミド前駆体樹脂組成物が、液晶ディスプレイ装置用有機絶縁材用として適用されることを特徴とする、液晶ディスプレイ装置。

【公表番号】特表2006−521452(P2006−521452A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507769(P2006−507769)
【出願日】平成16年3月24日(2004.3.24)
【国際出願番号】PCT/KR2004/000640
【国際公開番号】WO2004/086146
【国際公開日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド  (1,221)
【Fターム(参考)】