説明

高脂血症および関連疾患の治療のための複素環式誘導体

本発明は、哺乳動物における逆コレステロール輸送を増強するように適合させた組成物を提供する。前記組成物は経口送達に適し、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症および関連心臓血管疾患の治療および/または予防において有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、35 U.S.C.§119(e)の下に、参照してここに組み込まれる、2004年6月9日出願の米国特許仮出願第60/578,227号の優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
技術分野
本発明は、高コレステロール血症および関連する心臓血管疾患および他の疾患を治療するための逆コレステロール輸送(RCT)の低分子メディエイタに関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
高い血清コレステロール(「高コレステロール血症」)が、動脈壁内のコレステロールの進行性蓄積であるアテローム性動脈硬化症発症の原因因子であることは今や広く確立されている。高コレステロール血症およびアテローム性動脈硬化症は、高血圧、冠状動脈疾患、心臓発作および卒中を含む心臓血管疾患の主要原因である。米国だけで毎年約110万人が心臓発作を発症しており、その費用は1,170億ドルを超えると推定される。血液中のコレステロールレベルを低下させるための数多くの医薬戦略が存在するが、これらの多くは望ましくない副作用が有しており、安全性の懸念を生じさせてきた。さらに、市販されている薬剤治療のいずれもが、体内からコレステロールを除去する重要な代謝経路である逆コレステロール輸送を十分に刺激しない。
【0004】
循環コレステロールは血漿リポタンパク質−血液中の脂質を輸送する複雑な脂質とタンパク質組成物の粒子−によって運搬される。低密度リポタンパク質(LDL)および高密度リポタンパク質(HDL)は主要なコレステロール運搬体である。LDLは、肝(ここでコレステロールが合成されるかまたは食事ソースから得られる)から体内の肝外組織へのコレステロールの供給送達の役割を担うと考えられる。「逆コレステロール輸送」という用語は、肝外組織から、コレステロールが異化されて排泄される肝への、コレステロールの輸送を表わす。血漿HDL粒子は逆輸送工程において主要な役割を果たし、組織コレステロールのスカベンジャーとして働くと考えられる。
【0005】
有力な証拠が、アテローム性動脈硬化症病変において沈着する脂質は主として血漿LDLに由来するという概念を裏付けている:それ故、LDLは一般に「悪玉」コレステロールとして知られるようになってきた。これに対し、血漿HDLレベルは冠状動脈心臓病と逆相関する−実際に、HDLの高い血漿レベルは負の危険因子とみなされている。血漿HDLの高レベルは冠状動脈疾患に対して防護的であるのみならず、実際にアテローム斑の後退を誘導し得ると仮定される(例えばBadimon et al.,1992,Circulation 86(Suppl. III):86−94参照)。そこで、HDLは一般に「善玉」コレステロールとして知られるようになってきた。
【0006】
LDLから放出される細胞内コレステロールの量が細胞コレステロール代謝を制御する。LDLに由来する細胞コレステロールの蓄積は3つの工程を制御する:(1)コレステロール生合成経路において鍵となる酵素、HMGCoAレダクターゼの合成を停止させることによって細胞コレステロール合成を低下させる;(2)入ってきたLDL由来のコレステロールは、コレステロールを、貯蔵小滴中に沈積するコレステリルエステルへと変換する細胞酵素、LCATを活性化することによってコレステロールの貯蔵を促進する;お
よび(3)細胞内のコレステロールの蓄積は、新しいLDL受容体の細胞合成を抑制するフィードバック機構を駆動する。細胞は、それ故、過負荷を伴わずに、代謝要求に応じるために十分なコレステロールが持ち込まれるようにLDL受容体の補充を調節する。(総説については、Brown & Goldstein,In:The Pharmacological Basis Of Therapeutics,8th Ed.,Goodman & Gilman,Pergamon Press,NY,1990,Ch.36,pp.874−896参照)。
【0007】
逆コレステロール輸送(RCT)は、末梢細胞コレステロールを、肝外組織に再循環させるために肝に戻すまたは胆汁として腸に排泄することができる経路である。RCT経路は、大部分の肝外組織からコレステロールを排泄する唯一の手段である。RCTは主として3つの段階から成る:(1)末梢細胞からのコレステロールの初期除去である、コレステロール流出;(2)流出したコレステロールの末梢細胞への再流入を防ぐ、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の作用によるコレステロールエステル化;および(3)HDLコレステリルエステルの肝細胞への取り込み/送達。LCATはRCT経路における鍵となる酵素であり、主として肝で生産され、HDL分画に結合して血漿中を循環する。LCATは細胞由来コレステロールをコレステリルエステルに変換し、それらは除去を運命付けられたHDL中で分離される。RCT経路はHDLによって媒介される。
【0008】
HDLは、高密度を特徴とするリポタンパク質粒子の一般名である。HDL複合体の主要脂質成分は、様々なリン脂質、コレステロール(エステル)およびトリグリセリドである。最も顕著なアポリポタンパク質成分は、HDLの機能特徴を決定するA−IおよびA−IIである。
【0009】
各々のHDL粒子は、少なくとも1コピー(および通常は2−4コピー)のアポリポタンパク質A−1(アポA−I)を含む。アポA−Iは、肝および小腸によってプレプロアポリポタンパク質として合成され、それがプロタンパク質として分泌され、速やかに切断されて243アミノ酸残基を有する成熟ポリペプチドを生成する。アポA−Iは、主として、しばしばプロリンであるリンカー成分によって間隔をあけた6−8個の異なる22アミノ酸反復配列から成り、一部の場合は、いくつかの残基で構成された一続きから成る。アポA−Iは脂質と3つのタイプの安定な複合体を形成する:プレ−β−1 HDLと称される小さな脂質欠乏複合体;プレ−β−2 HDLと称される、極性脂質(リン脂質およびコレステロール)を含む扁平な盤状粒子;および球状または成熟HDL(HDLおよびHDL)と称される、極性と非極性の両方の脂質を含む球状粒子。循環中の大部分のHDLはアポA−IおよびアポA−IIを含むが、アポA−Iだけを含むHDLの分画(AI−HDL)はRCTにおいてより効率的であると思われる。疫学的試験は、AI−HDLが抗アテローム形成性であるという仮説を裏付ける。(Parra et al.,1992,Arterioscler.Thromb.12:701−707;Decossin et al.,1997,Eur.J.Clin.Invest.27:299−307)。
【0010】
インビボで得られたデータに基づくいくつかの系列の証拠が、HDLおよびその主要タンパク質成分、アポA−Iを、アテローム性動脈硬化症病変の予防、および潜在的に、プラークの後退に関係付けており、これらを治療介入のための魅力的な標的にしている。第1に、ヒトにおいて血清アポA−I(HDL)濃度とアテローム発生の間には逆相関が存在する(Gordon & Rifkind,1989,N.Eng.J.Med.321: 1311−1316;Gordon et al.,1989,Circulation 79:8−15)。実際に、HDLの特定小個体群はヒトにおけるアテローム性動脈硬化症の危険度低下に結び付けられてきた(Miller,1987,Amer.H
eart 113:589−597;Cheung et al.,1991,Lipid Res.32:383−394);Fruchart & Ailhaud,1992,Clin.Chem.38:79)。
【0011】
第2に、動物試験はアポA−I(HDL)の防護的役割を裏付ける。コレステロールを給餌したウサギのアポA−IまたはHDLによる処置は、コレステロール給餌ウサギにおけるプラーク(脂肪線条)の発現と進行を低下させた(Koizumi et al.,
1988,J.Lipid Res.29:1405−1415;Badimon et al.,1989,Lab.Invest.60:455−461;Badimon
et al.,1990,J.Clin.Invest.85:1234−1241)。しかし、効果はHDLのソースに依存して異なった(Beitz et al.,1992,Prostaglandins,Leukotrienes and Essential Fatty Acids 47:149−152;Mezdour et al.,1995,Atherosclerosis 113:237−246)。
【0012】
第3に、アポA−Iの役割についての直接の証拠が、トランスジェニック動物を含む実験から得られた。食餌誘発性アテローム性動脈硬化症への遺伝的素因があるマウスに移入したアポA−Iについてのヒト遺伝子の発現は、大動脈病変の発現から保護した(Rubin et al.,1991,Nature 353:265−267)。アポA−I導入遺伝子はまた、アポE欠損マウスおよびアポ(a)トランスジェニックマウスにおいてアテローム性動脈硬化症を抑制することが示された(Paszty et al.,1994, J.Clin.Invest.94:899−903;Plump et al.,1994,PNAS.USA 91:9607−9611;Liu et al.,1994,J. Lipid Res.35:2263−2266)。同様の結果が、ヒトアポA−Iを発現するトランスジェニックウサギにおいて(Duverger,1996,Circulation 94:713−717;Duverger et al.,1996,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.16:1424−1429)、および高レベルのヒトアポA−Iがアテローム性動脈硬化症に対して保護し、バルーン血管形成術後の再狭窄を抑制したトランスジェニックラットにおいて認められた(Burkey et al.,1992,Circulation, Supplement I,86:1−472,Abstract No.1876;Burkey et al.,1995,J.Lipid Res.36:1463−1473)。
【0013】
高コレステロール血症および他の異常脂質血症のための現在の治療
過去20年ほどの間に、コレステロール性化合物がHDLとLDL調節剤に分離されたことおよびLDLの血中レベルを低下させることの望ましさが認識されたことは、多くの薬剤の開発へと導いた。しかし、これらの薬剤の多くは望ましくない副作用を有しておりおよび/またはある種の患者では、特に他の薬剤と併用投与されるとき、禁忌である。これらの薬剤および治療戦略は以下を含む:
(1)胆汁酸結合樹脂、腸から肝への胆汁酸の再循環を妨げる[例えばコレスチラミン(QUESTRAN LIGHT,Bristol−Myers Squibb)および塩酸コレスチポール(COLESTID,Pharmacia & Upjohn Company)];
(2)スタチン、コレステロール生合成に関与するキー酵素であるHMGCoAレダクターゼをブロックすることによってコレステロール合成を阻害する[例えばアスペルギルス菌株から誘導される天然産物、ロバスタチン(MEVACOR,Merck & Co.,Inc.)、プラバスタチン(PRAVACHOL,Bristol−Myers Squibb Co.)、およびアトルバスタチン(LIPITOR,Warner Lambert)];
(3)ナイアシンは、VLDLの産生を低減する水溶性ビタミンB複合体であり、LDLを低下させるのに有効である;
(4)フィブレートは、VLDL分画を低減することによって血清トリグリセリドを低下させるために使用され、一部の患者母集団では、同じ機序によって血漿コレステロールの軽度の低下も生じさせ得る[例えばクロフィブレート(ATROMID−S,Wyeth−Ayerst Laboratories)、およびゲンフィブロジル(LOPID,Parke−Davis)];
(5)エストロゲン補充療法は、閉経後女性においてコレステロールレベルを低下させ得る;
(6)長鎖α、ω−ジカルボン酸は、血清トリグリセリドおよびコレステロールを低下させることが報告されている(例えばBisgaier et al.,1998,J.Lipid Res.39:17−30;WO98/30530号;米国特許第4,689,344号;WO99/00116号;米国特許第5,756,344号;米国特許第3,773,946号;米国特許第4,689,344号; 米国特許第4,689,344号;米国特許第4,689,344号;および米国特許第3,930,024号参照);
(7)エーテル(例えば米国特許第4,711,896号;米国特許第5,756,544号;米国特許第6,506,799号参照)、ドリコールのリン酸塩(米国特許第4,613,593号)、およびアゾリジンジオン誘導体(米国特許第4,287,200号)を含む他の化合物は、血清トリグリセリドおよびコレステロールレベルを低下させると開示されている。
【0014】
コレステロールを低下させるためのこれらの現在使用可能な薬剤のいずれもが、HDLレベルを安全に上昇させず、またRCTを刺激しない。実際に、これらの現行治療戦略の大部分は、コレステロールの食事摂取、再循環、合成を調節する、コレステロール輸送経路、およびVLDL個体群に作用すると思われる。
【0015】
高コレステロール血症の治療のためのアポA−Iアゴニスト
HDL、すなわちアポA−Iとその関連リン脂質の両方の、アテローム性動脈硬化性疾患に対する保護における潜在的役割を考慮して、組換え生産されたアポA−Iを使用したヒト臨床試験が、UCB Belgiumによって開始され、中断され、おそらく再開されており(Pharmaprojects,1995年10月27日;IMS R&D Focus,1997年6月30日;Drug Status Update,1997,Atherosclerosis 2(6):261−265);M.Eriksson at Congress,“The Role of HDL in Disease Prevention,”1996年11月7−9日、Fort Worth;Lacko & Miller,1997,J.Lip.Res.38:1267−1273;およびWO94/13819号も参照のこと)、またBio−Techによって開始され、中止された(Pharmaprojects,1989年4月7日)。敗血症性ショックを治療するためにアポA−Iを使用する治験も試みられた(Opal,“Reconstituted HDL as a Treatment Strategy for
Sepsis,”IBC’s 7th International Conference on Sepsis,1997年4月28−30日、Washington,D.C.;Gouni et al.,1993,J.Lipid Res.94:139−146;Levine,WO96/04916号)。しかし、アポA−Iの生産と使用に関連する多くの落とし穴があり、この物質を薬剤としてあまり理想的でないものにしており:例えばアポA−Iは生産が難しく、費用のかかる大型タンパク質であり;保存中の安定性、活性産物の供給送達およびインビボでの半減期に関して重要な製造上および再現性の問題が克服されねばならない。
【0016】
これらの難点を考慮して、アポA−Iを模倣するペプチドを作製する試みが為されてきた。アポA−Iの鍵となる活性は、このタンパク質における独自の二次構造特徴−クラスA両親媒性αヘリックス(Segrest, 1974, FEBS Lett. 38: 247−253; Segrest et al., 1990, PROTEINS: Structure, Function and Genetics 8:103−117)−の多数の反復配列の存在に帰せられるため、アポA−Iの活性を模倣するペプチドを設計するための努力の大半は、クラスA型両親媒性αヘリックスを形成するペプチドを設計することに集中してきた(例えばその全体が参照してここに組み込まれる、米国特許第6,376,464号および同第6,506,799号の中の背景技術の考察参照)。
【0017】
ある研究において、Fukushimaらは、等しい親水性および疎水性面を有する両親媒性αヘリックスを形成するように周期的に配置された、もっぱらGlu、LysおよびLeuから成る22残基のペプチド(「ELKペプチド」)を合成した(Fukushima et al.,1979,J.Amer.Chem.Soc.101(13):3703−3704;Fukushima et al.,1980,J.Biol.Chem.255:10651−10657)。ELKペプチドはアポA−Iの198−219フラグメントと41%の配列相同性を共有する。ELKペプチドは、リン脂質と有効に結合し、アポA−Iの物理的および化学的性質の一部を模倣することが示された(Kaiser et al.,1983,PNAS USA 80:1137−1140;Kaiser et al.,1984,Science 223:249−255;Fukushima et al.,1980,前出;Nakagawa et al.,1985,J.Am.Chem.Soc.107:7087−7092)。その後、この22残基ペプチドの2量体は単量体よりも一層密接にアポA−Iを模倣することが認められた;これらの結果に基づき、ヘリックスブレーカ(GlyまたはProのいずれか)によって中央で中断されている44量体がアポA−Iの最小機能ドメインであることが示唆された(Nakagawa et al.,1985,前出)。
【0018】
もう1つの研究は、「LAPペプチド」と呼ばれるモデル両親媒性ペプチドを含んだ(Pownall et al.,1980,PNAS USA 77(6):3154−3158;Sparrow et al.,1981,In:Peptides:Synthesis−Structure−Function,Roch and Gross,Eds.,Pierce Chem.Co.,Rockford,IL,253−256)。天然アポリポタンパク質のフラグメントに関する脂質結合研究に基づき、いくつかのLAPペプチドが設計され、LAP−16、LAP−20およびLAP−24(それぞれ16、20および24アミノ酸残基を含む)と命名された。これらのモデル両親媒性ペプチドはアポリポタンパク質と配列相同性を共有せず、アポリポタンパク質と結合するクラスA型両親媒性ヘリックスドメインとは異なって構成された親水性面を有するように設計された(Segrest et al.,1992,J.Lipid Res.33:141−166)。これらの研究から、著者は、モデル両親媒性ペプチドに脂質結合特性を付与するためには20残基の最小長が必要であると結論した。
【0019】
配列内の異なる位置にプロリン残基を含むLAP20の突然変異体に関する研究は、脂質結合とLCAT活性化の間には直接関係が存在するが、ペプチド単独のヘリックス電位(helical potential)はLCAT活性化を導かないことを指示した(Ponsin et al.,1986,J.Biol.Chem.261(20):9202−9205)。さらに、ペプチドの中央に近いこのヘリックスブレーカ(Pro)の存在は、リン脂質表面に対するその親和性並びにLCATを活性化するその能力を低下させた。ある種のLAPペプチドはリン脂質に結合することが示されたが(Sparrow et al.,前出)、LAPペプチドが脂質の存在下でどの程度らせん状であるか
に関しては論議がある(Buchko et al.,1996,J.Biol.Chem.271(6):3039−3045;Zhong et al.,1994,Peptide Research 7(2):99−106)。
【0020】
Segrestらは、アポA−Iのヘリックスと配列相同性を共有しない18−24アミノ酸残基から成るペプチドを合成した(Kannelis et al.,1980,J. Biol.Chem.255(3):11464−11472;Segrest et al.,1983,J.Biol.Chem.258:2290−2295)。配列は、特に疎水性モーメント(Eisenberg et al.,1982, Nature 299:371−374)および電荷分布(Segrest et al.,1990,Proteins 8:103−117;米国特許第4,643,988号)の見地からクラスAの交換可能なアポリポタンパク質の両親媒性ヘリックスドメインを模倣するように設計された。1つの18残基ペプチド、「18A」ペプチドは、モデルクラス−Aαヘリックスであるように設計された(Segrest et al.,1990,前出)。これらのペプチドおよび「18R」ペプチドのような電荷逆転分布を有する他のペプチドに関する試験は、電荷分布が活性のために決定的に重要であることを一貫して示した;電荷逆転分布を有するペプチドは、18Aクラス−Aミミックに対する脂質親和性の低下および脂質の存在下でのより低いらせん含量を示した(Kanellis et al.,1980,J.Biol.Chem.255:11464−11472;Anantharamaiah et al.,1985,J.Biol.Chem.260:10248−10255;Chung et al.,1985,J.Biol.Chem.260:10256−10262;Epand et al.,1987,J.Biol.Chem.262:9389−9396;Anantharamaiah et al.,1991,Adv.Exp.Med.Biol.285:131−140)。
【0021】
ヒトアポA−Iのヘリックスの配列に基づく22アミノ酸残基を含む「コンセンサス」ペプチドも設計されている(Anantharamaiah et al.,1990,Arteriosclerosis 10(1):95−105;Venkatachalapathi et al.,1991,Mol.Conformation and
Biol.Interactions,Indian Acad.Sci.B:585−596)。配列は、ヒトアポA−Iの仮定上のヘリックスの各々の位置で最も頻度の高い残基を特定することによって構築された。上述したペプチドと同様に、このペプチドによって形成されるヘリックスは、親水性−疎水性界面にクラスタ形成する正に荷電したアミノ酸残基、疎水性面の中心に集まる負電荷を有するアミノ酸残基および180°未満の疎水性角度(hydrophobic angle)を有する。このペプチドの2量体はLCATを活性化する上である程度有効であるが、単量体は低い脂質結合特性を示した(Venkatachalapathi et al.,1991,前出)。
【0022】
主として上述したペプチドに関するインビトロ研究に基づき、アポA−Iの機能を模倣するペプチドを設計するための一組の「規則」が明らかになった。重要な点として、親水性−疎水性界面にクラスタ形成する正に荷電したアミノ酸残基および疎水性面の中心にクラスタ形成する負に荷電したアミノ酸残基を有する両親媒性αヘリックスが、脂質親和性およびLCAT活性化のために必要であると思われる(Venkatachalapathi et al.,1991,前出)。Anantharamaiahらも、αヘリックスの疎水性面内に位置する、コンセンサス22量体ペプチドの13位の負電荷を有するGlu残基がLCAT活性化において重要な役割を果たすことを指示した(Anantharamaiah et al.,1991,前出)。さらに、Brasseurは、180°未満の疎水性角度(pho角度)が最適の脂質−アポリポタンパク質複合体安定性のために必要であり、同時に脂質二重層の辺縁付近にペプチドを有する盤状粒子の形成も説明すると指示した(Brasseur,1991,J.Biol.Chem.66(2
4):16120−16127)。Rosseneuらも、180°未満の疎水性角度がLCAT活性化のために必要であると主張した(WO93/25581号)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
しかし、アポA−Iアゴニストを設計するための「規則」を明らかにする上での進歩にもかかわらず、現在までのところ、最良のアポA−Iアゴニストは無傷アポA−Iの活性の40%未満を有すると報告されている。文献に述べられているペプチドアゴニストのいずれもが、薬剤として有用であることは明らかにされなかった。それ故、アポA−Iの活性を模倣し、生産が比較的簡単で、費用効率の高い安定な分子の開発が求められている。好ましくは、候補分子は間接および直接RCTを媒介する。そのような分子は、既存のペプチドアゴニストよりも低分子量であり、より広い機能スペクトルを有する。しかし、RCTの有効なメディエイタを設計するための「規則」は十分には解明されておらず、アポA−Iの機能を備える有機分子を設計するための原理は不明である。
【課題を解決するための手段】
【0024】
発明の要旨
構造:
【0025】
【化1】

【0026】
を含む、逆コレステロール輸送のメディエイタを開示する。
[式中、A、BおよびCはいかなる順序であってもよく、および
Aは、酸性基またはその生物学的等価体を含む、酸性部分を含み;
Bは、HMG CoAレダクターゼ阻害剤またはその類似体の少なくとも一部を含む芳香族または親油性部分を含み;および
Cは、塩基性基またはその生物学的等価体を含む、塩基性部分を含む。
【0027】
好ましくは、αアミノまたはαカルボキシ基の少なくとも1個は、それらのそれぞれのアミノまたはカルボキシ末端部分から除去されている。
【0028】
除去されていない場合、αアミノ基は、好ましくはアセチル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ピボリル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、2−ナフチル酸、ニコチン酸、CH−(CH−CO−[式中、nは3−20の範囲である]、ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル、ナフチル、置換ナフチル、Fmoc、ビフェニル、置換フェニル、置換ヘテロ環、アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、縮合シクロアルキル、飽和へテロアリールおよび置換飽和へテロアリールから成る群より選択される保護基でキャップされている。
【0029】
除去されていない場合、αカルボキシ基は、好ましくはRNH[式中、R=H、ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル、ナフチル、置換ナフチル、Fmoc、ビフェニル、置換フェニル、置換ヘテロ環、アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、縮合シクロアルキル、飽和へテロアリールおよび置換飽和へテロアリール]などのアミンから成る群より選択される保護基でキャップされている。
【0030】
酸性基の生物学的等価体は、
【0031】
【化2】

【0032】
から成る群より選択され得る。
塩基性基の生物学的等価体は、
【0033】
【化3】

【0034】
から成る群より選択され得る。
以下のメディエイタが、好ましい実施形態に従って開示される:
【0035】
【化4】

【0036】
【化5】

【0037】
【化6】

【0038】
【化7】

【0039】
式中、n=1-10
【0040】
【化8】

【0041】
好ましい実施形態では、以下の化合物が開示される:4−アグマチン−3−アミドGABAキノリン、4−(1−(4−アミノブチルカルバモイル)−2−(2−メチル−4−フェニルキノリン−3−イル)エチルカルバモイル)ブタン酸、および4−(5−グアニジノペンチルアミノ)キノリン−3−カルボン酸。好ましい化合物の上記リスト中の非誘導体化アミノおよび/またはカルボキシ末端アミノ酸残基は、保護基でキャップされている。もう1つの好ましい実施形態では、メディエイタは、構造:
【0042】
【化9】

【0043】
を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
好ましい実施形態の詳細な説明
本発明の好ましい実施形態におけるRCTのメディエイタは、アポA−Iの機能および活性を模倣する。広い態様では、これらのメディエイタは、3つの領域、すなわち酸性領域、親油性(例えば芳香族)領域および塩基性領域を含む分子である。前記分子は、好ましくは正電荷を有する領域、負電荷を有する領域および無電荷の親油性領域を含む。互いに対する領域の位置は分子の間で異なり得る;そこで、好ましい実施形態では、前記分子は、各々の分子内の3つの領域の相対位置に関わりなくRCTを媒介する。一部の好ましい実施形態では、分子鋳型またはモデルは、RCTのメディエイタを形成するように何らかの順序で連結された、「酸性」アミノ酸由来残基、親油性部分、および塩基性アミノ酸由来残基を含むが、他の好ましい実施形態では、分子モデルは、例えばアミノ酸、フェニルアラニンのような、酸性、親油性および塩基性領域を有する単一残基によって具現され得る。
【0045】
一部の好ましい実施形態では、RCTの分子メディエイタは、天然L−またはD−アミノ酸、アミノ酸類似体(合成または半合成)およびアミノ酸誘導体の3量体を含む。
【0046】
一部の好ましい実施形態では、RCTの分子メディエイタは、天然L−またはD−アミノ酸、アミノ酸類似体(合成または半合成)およびアミノ酸誘導体を含む。例えばメディエイタは、残基がペプチドまたはアミド結合または何らかの他の結合によって連結されている、「酸性」アミノ酸残基またはその類似体、芳香族または親油性骨格、および塩基性アミノ酸残基またはその類似体を含み得る。RCTの分子メディエイタは、直接および/
または間接RCT経路を増強すること(すなわちコレステロール流出を上昇させること)、LCATを活性化する能力、および血清HDL濃度を上昇させる能力を通して血清コレステロールを低下させるという共通の態様を共有する。
【0047】
好ましい実施形態では、逆コレステロール輸送のメディエイタは、好ましくは酸性基、親油性基および塩基性基を含み、配列:X1−X2−X3、X1−X2−Y3、Y1−X2−X3またはY1−X2−Y3[式中、X1は酸性アミノ酸またはその類似体であり;X2はHMG CoAレダクターゼ阻害剤の芳香族または親油性部分(例えば骨格または薬理作用団)であり;X3は塩基性アミノ酸またはその類似体であり;Y1は、αアミノ基を持たない酸性アミノ酸類似体であり;およびY3は、αカルボキシ基を持たない塩基性アミノ酸類似体である]を含む。アミノ末端αアミノ基が存在するとき(例えばX1)は、第1保護基をさらに含み、カルボキシ末端αカルボキシ基が存在するとき(例えばX3)は、第2保護基をさらに含む。第1(アミノ末端)保護基は、好ましくはアセチル、フェニルアセチル、ピボリル、2−ナフチル酸、ニコチン酸、CH−(CH−CO−[式中、nは1−20の範囲である]、およびアセチル、フェニルアセチル、ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル、ナフチル、置換ナフチル、Fmoc、ビフェニル、置換フェニル、置換ヘテロ環、アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、縮合シクロアルキル、飽和へテロアリールおよび置換飽和へテロアリール等のアミドから成る群より選択される。第2(カルボキシ末端)保護基は、好ましくはRNH[式中、R=ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル、ナフチル、置換ナフチル、Fmoc、ビフェニル、置換フェニル、置換ヘテロ環、アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、縮合シクロアルキル、飽和へテロアリールおよび置換飽和へテロアリール等]などのアミンから成る群より選択される。酸性、親油性および塩基性基の順序は、分子モデルの基本特徴を保持する化合物を提供するようにありとあらゆる可能な方法で配置され得る。一部の好ましい実施形態では、X1およびX3の類似体は、酸性および塩基性R基の生物学的等価体を含み得る。他の実施形態では、X1、X2またはX3の1またはそれ以上は、Dまたは代謝的に安定な分子を提供する他の修飾合成アミノ酸残基である。これはまた、ペプチドミメティックアプローチ、すなわち骨格または類似基内のペプチド結合を逆転させることによっても達成し得る。
【0048】
もう1つの実施形態では、メディエイタは、約1−10アミノ酸のペプチドまたは分子のような、より大きな実体に組み込まれ得る。
【0049】
骨格は、ここでは、リガンド(候補薬剤分子)とタンパク質の間の相互作用工程を単純化するためのモデルである薬理作用団を表わすために使用される。骨格は、タンパク質の活性部位に固定された天然分子のある種の特徴を有し得る。これらの特徴は、タンパク質の腔における一部の相補的特徴と相互作用すると推測できる。骨格に官能基を結合することによって変異を誘導することができる。骨格は以下のヒューリスティックスのように定義するのが好ましい;骨格は、親油性または芳香族であるHMG CoAレダクターゼ阻害剤の少なくとも一部の模倣体である。
【0050】
ここで使用する「生物学的等価体」、「生物学的等価性置換」、「生物学的等価性」という用語および密接に関連する用語は、当技術分野で一般的に認識されているのと同じ意味を有する。生物学的等価体は、電子の周辺層が実質的に類似するとみなし得る原子、イオンまたは分子である。生物学的等価体という用語は通常、全体的分子そのものに対して、全体的分子の部分を意味するために使用される。生物学的等価性置換は、最初の生物学的等価体の生物活性を維持するまたはわずかに改変することを予想して、1個の生物学的等価体を、もう1つ別の生物学的等価体を置換するために使用することを含む。この場合の生物学的等価体は、それ故、類似の大きさ、形状および電子密度を有する原子または原子の群である。生物学的等価性は、提案される生物学的等価性置換が類似の生物学的性質
の維持をもたらすという妥当な予想から生じる。そのような妥当な予想は、構造的類似性だけに基づき得る。これは、生物学的等価体が結合しているまたは何らかの方法で生物学的等価体に作用する、関与する受容体の特徴的ドメイン等に関して多くの詳細が公知である場合に特に当てはまる。
【0051】
酸性および塩基性基についての生物学的等価体の例を以下に示す。
カルボン酸生物学的等価体(R=H/アルキル)
【0052】
【化10】

【0053】
グアニジン生物学的等価体(R=H/アルキル)
【0054】
【化11】

【0055】
本発明においては、「アミノ酸」という用語はまた、一般式NH−CHR−COOHの分子またはその親アミノ酸を担持するペプチド内の残基[式中、「R」は多くの異なる側鎖の1つである]も表わすことができる。「R」は、20個の遺伝的にコード化されたアミノ酸の1個を指す置換基であり得る。「R」はまた、20個の遺伝的にコード化されたアミノ酸ではないものを指す置換基であり得る。本発明においては、「アミノ酸残基」という用語は、もう1つ別のアミノ酸に連結されたとき水分子を喪失した後に残存するアミノ酸の部分を指す。本発明においては、「アミノ酸類似体」という用語は、例えば酸性R基がその生物学的等価体で置換されたαアミノ基または酸性アミノ酸などの、少なくとも1個のエレメントによってアミノ酸親化合物と異なる、アミノ酸親化合物の構造誘導体を指す。本発明の「半裸出」および「裸出」実施形態は、それ自体、これらの形態がαアミノまたはカルボキシ基などの少なくとも1個のエレメントを喪失しているという点で従来のアミノ酸構造とは異なるため、アミノ酸類似体を包含する。「修飾アミノ酸」という用語は、より特定すると、20個の遺伝的にコード化されたアミノ酸の1個に対応しない「R」置換基を担持するアミノ酸を指し、修飾アミノ酸はそれ自体、より広いクラスのアミノ酸類似体に属する。
【0056】
本発明においては、「完全に保護された」という用語は、アミノおよびカルボキシル末端の両方が保護基を含む好ましい実施形態を指す。
【0057】
本発明においては、「半裸出された」という用語は、αアミノ基またはαカルボキシ基の1個がそれぞれのアミノまたはカルボキシ末端アミノ酸残基またはその類似体から失われている好ましい実施形態を指す。残りのαアミノまたはαカルボキシ基は保護基でキャップされている。
【0058】
本発明においては、「裸出された」または「完全に裸出された」という用語は、αアミノおよびαカルボキシ基の両方がそれぞれのアミノまたはカルボキシ末端アミノ酸残基またはその類似体から除去されている好ましい実施形態を指す。
【0059】
ある種の化合物は互変異性体として存在し得る。ジアステレオマーおよび鏡像異性体を含むそのような全ての異性体は、本発明の実施形態によって包含される。ある種の化合物は互変異性体またはその混合物のいずれかとして存在すると推測される。
【0060】
ある種の化合物は多形形態で存在し得る。多形は、少なくとも2つの異なる形態での化合物の結晶化から生じる。そのような全ての多形は本発明の実施形態によって包含される。ある種の化合物はある1つの多形としてまたはその混合物として存在すると推測される。
【0061】
HMG−CoAレダクターゼ阻害
上述したように、骨格は、親油性または芳香族であるHMG CoAレダクターゼ阻害剤の少なくとも一部の模倣体である。
【0062】
HMG CoAレダクターゼ阻害剤は、HMG様部分に結合する剛性の疎水性基を共有する。HMG CoAレダクターゼ阻害剤は、基質HMG CoAの結合に関してHMGRの競合阻害剤である。HMG CoAレダクターゼ阻害剤の構造的に多様な剛性疎水性基は、HMGRの浅い非極性溝に収容される。
【0063】
HMGRの阻害はコレステロール低下治療における有効で安全な方法である。HMG CoAレダクターゼ阻害剤は、コレステロールを低下させることに加えて他の作用を有する。それらは、酸化窒素を介した新しい血管増殖の促進、骨形成の刺激、低密度リポタンパク質の酸化的修飾に対する防護、抗炎症作用、およびC反応性タンパク質レベルの低下を含む。
【0064】
RCT媒介
現在まで、アポA−Iアゴニストを設計する努力は、脂質の存在下で両親媒性αヘリックスを形成することができる、22量体単位構造、例えばAnantharamaiah
et al.,1990,Arteriosclerosis 10(1):95−105;Venkatachalapathi et al.,1991,Mol.Conformation and Biol.Interactions, Indian Acad.Sci.B:585−596の「コンセンサス22量体」に集中してきた。(例えばコンセンサス22量体の修飾から誘導されるペプチドミメティックを対象とする米国特許第6,376,464号参照)。より長い22量体に比べてそのような比較的短いペプチドを使用することにはいくつかの利点がある。例えば、RCTのより短いメディエイタは、生産が容易でコストもかからず、化学的および立体配座的により安定であって、好ましい立体配座が比較的堅固なままであり、ペプチド鎖内でほとんどあるいは全く分子内相互作用が起こらず、そしてより短いペプチドはより高い度合の経口アベイラビリティ
を示す。これらの短いペプチドの多数のコピーがHDLまたはLDLに結合して、より抑制された大型ペプチドと同じ作用を生じ得る。アポA−Iの多機能性はその多数のαヘリックスドメインの寄与に基づくと考えられるが、アポA−Iの単一機能でも、例えばLCAT活性化でさえも、2つ以上のαヘリックスドメインによって冗長に媒介され得ることも可能である。それ故、本発明の実施形態の好ましい態様では、アポA−Iの多数の機能が、単一サブドメインを対象とするRCTの開示メディエイタによって模倣され得る。
【0065】
アポA−Iの3つの機能特徴は、アポA−Iアゴニスト設計のための主要判定基準として広く認められている:(1)リン脂質と結合する能力;(2)LCATを活性化する能力;および(3)細胞からのコレステロールの流出を促進する能力。好ましい実施形態の一部の様式に従ったRCTの分子メディエイタは、最後の機能特徴−RCTを上昇させる能力−だけを示し得る。しかし、しばしば見過ごされる、アポA−Iのかなりの数の他の特徴は、アポA−Iを治療介入のための特に魅力的な標的にする。例えばアポA−Iは、受容体を介した工程によって肝へのコレステロール流入を指令し、PLTPが駆動する反応によってプレβ−HDL(末梢組織からのコレステロールの一次受容体)産生を調節する。しかし、これらの特徴は、アポA−Iミメティック分子の潜在的有用性の拡大を可能にする。アポA−Iミメティック機能を考慮することへのこの全く新しいアプローチは、直接RCT(HDL経路による)並びに間接RCT(すなわち肝への流入を再指令することによってLDLを循環から捕捉し、清掃する)を促進するための、ここで開示するペプチドまたはアミノ酸由来低分子の使用を可能にする。間接RCTを増強することを可能にするに、好ましい実施形態の分子メディエイタは、好ましくはリン脂質と会合して、肝に結合する(すなわち肝リポタンパク質結合部位のためのリガンドとして働く)ことができる。
【0066】
そこで、好ましい実施形態へと導く研究努力のゴールは、選択的脂質結合立体配座を示し、直接および/または間接的逆コレステロール輸送を促進することによって肝へのコレステロール流入を上昇させ、血漿リポタンパク質プロフィールを改善し、その後アテローム性動脈硬化症病変の進行を防ぐまたは/および後退を促進する、RCTの短い安定な低分子メディエイタを特定し、設計し、合成することであった。
【0067】
好ましい実施形態のRCTのメディエイタは、インビボでの使用の前に再溶解できるまたは再製剤できる、安定なバルクまたは単位投与形態、例えば凍結乾燥生成物として製造することができる。本発明の好ましい実施形態は、医薬製剤および高脂血症、高コレステロール血症、冠状動脈心臓病、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、肥満、アルツハイマー病、多発性硬化症、炎症などの高脂血症に関連する状態、および敗血症性ショックを引き起こす内毒素症のような他の状態の治療におけるそのような製剤の使用を含む。
【0068】
好ましい実施形態のRCTのメディエイタが、血漿のHDLおよびLDL成分と結合して、HDLおよびプレβ−HDL粒子の濃度を上昇させ、LDLの血漿レベルを低下させることができ、それ故直接および間接RCTを促進することを明らかにする実施例によって、好ましい実施形態を説明する。RCTのメディエイタは、ヒト肝細胞(HepG2細胞)におけるヒトLDL媒介性コレステロール蓄積を上昇させる。RCTのメディエイタはまた、PLTPを活性化する上で効率的であり、それ故プレβ−HDL粒子の形成を促進する。HDLコレステロールの上昇は、RCTへのLCATの関与の間接的証拠であった(LCAT活性化は直接には(インビトロでは)示さなかった)。動物モデルにおけるインビボでの好ましい実施形態のRCTのメディエイタの使用は、血清HDL濃度の上昇を生じさせる。
【0069】
好ましい実施形態を以下の章でより詳細に述べるが、それらは、その保護形態、半裸出形態および裸出形態を含む、HMG CoAレダクターゼ阻害剤から誘導される親油性骨
格;構造および機能特徴;バルクおよび単位投与製剤の製造の方法;および使用方法を含む、RCTのメディエイタの組成物および構造を説明する。
【0070】
メディエイタの構造と機能
一部の好ましい実施形態では、RCTのメディエイタは一般に、アポA−Iの活性を模倣するペプチドまたはその類似体である。一部の実施形態では、ペプチド内の少なくとも1つのアミド結合が、置換アミド、アミドの等価体またはアミドミメティックで置換されている。加えて、1またはそれ以上のアミド結合が、ペプチドの構造または活性に有意に干渉しないペプチドミメティックまたはアミドミメティック成分で置換され得る。適切なアミドミメティック成分は、例えばOlson et al.,1993,J.Med.Chem.36:3039−3049に述べられている。
【0071】
本発明においては、遺伝的にコード化されたL−鏡像異性体アミノ酸についての略語は従来通りであり、以下の通りである:D−アミノ酸は小文字で表わす、例えばD−アラニン=a等。
【0072】
【表1】

【0073】
RCTのメディエイタにおけるある種のアミノ酸残基は、ペプチドの活性に有意に有害な影響を及ぼさずに、さらには多くの場合活性を増強して、他のアミノ酸残基で置換することができる。それ故、構造内の少なくとも1個の規定アミノ酸残基がもう1つ別のアミノ酸残基またはその誘導体および/または類似体で置換されている、RCTのメディエイタの変化した形態または突然変異形態も、好ましい実施形態によって考慮される。好ましい実施形態では、アミノ酸置換は保存的である、すなわち置換するアミノ酸残基は、置換されるアミノ酸残基と類似の物理的および化学的性質を有する。
【0074】
保存的アミノ酸置換を決定するために、主としてアミノ酸側鎖の物理−化学的性質に依
存して、アミノ酸を2つの主要カテゴリ−親水性と疎水性−に好都合に分類することができる。これら2つの主要カテゴリは、アミノ酸側鎖の性質をより明白に定義する小カテゴリにさらに分類することができる。例えば親水性アミノ酸のクラスは、酸性、塩基性および極性アミノ酸にさらに細分することができる。疎水性アミノ酸のクラスは、非極性および芳香族アミノ酸にさらに細分することができる。アポA−Iを定義するアミノ酸の様々なカテゴリの定義は以下の通りである:
「親水性アミノ酸」という用語は、Eisenberg et al.,1984,J. Mol.Biol.179:125−142の正常化コンセンサス疎水性スケールに従ってゼロ未満の疎水性を示すアミノ酸を指す。遺伝的にコード化された親水性アミノ酸は、Thr(T)、Ser(S)、His(H)、Glu(E)、Asn(N)、Gln(Q)、Asp(D)、Lys(K)およびArg(R)を含む。
【0075】
「疎水性アミノ酸」という用語は、Eisenberg et al.,1984,J. Mol.Biol.179:125−142の正常化コンセンサス疎水性スケールに従ってゼロより大きい疎水性を示すアミノ酸を指す。遺伝的にコード化された疎水性アミノ酸は、Pro(P)、Ile(I)、Phe(F)、Val(V)、Leu(L)、Trp(W)、 Met(M)、Ala(A)、Gly(G)およびTyr(Y)を含む。
【0076】
「酸性アミノ酸」という用語は、7未満の側鎖pK値を有する親水性アミノ酸を指す。酸性アミノ酸は、典型的には水素イオンの喪失の故に生理的pHで負に荷電した側鎖を有する。遺伝的にコード化された酸性アミノ酸は、Glu(E)およびAsp(D)を含む。
【0077】
「塩基性アミノ酸」という用語は、7より大きい側鎖pK値を有する親水性アミノ酸を指す。塩基性アミノ酸は、典型的にはヒドロニウムイオンとの会合の故に生理的pHで正に荷電した側鎖を有する。遺伝的にコード化された塩基性アミノ酸は、His(H)、Arg(R)およびLys(K)を含む。
【0078】
「極性アミノ酸」という用語は、生理的pHで無電荷であるが、2個の原子によって共有される電子対が一方の原子により近接して保持される少なくとも1つの結合を持つ側鎖を有する、親水性アミノ酸を指す。遺伝的にコード化された極性アミノ酸は、Asn(N)、Gln(Q)、Ser(S)およびThr(T)を含む。
【0079】
「非極性アミノ酸」という用語は、生理的pHで無電荷であるが、2個の原子によって共有される電子対が一般に2個の原子の各々によって等しく保持される結合を持つ側鎖を有する(すなわち側鎖は極性ではない)、疎水性アミノ酸を指す。遺伝的にコード化された非極性アミノ酸は、Leu(L)、Val(V)、Ile(I)、Met(M)、Gly(G)およびAla(A)を含む。
【0080】
「芳香族アミノ酸」という用語は、少なくとも1つの芳香環またはヘテロ芳香環を有する側鎖を持つ疎水性アミノ酸を指す。芳香環またはヘテロ芳香環は、−OH、−SH、−CN、−F、−Cl、−Br、−I、−NO、−NO、−NH、−NHR、−NRR、−C(O)R、−C(O)OH、−C(O)OR、−C(O)NH、−C(O)NHR、−C(O)NRR等[式中、各々のRは独立して、(C−C)アルキル、置換(C−C)アルキル、(C−C)アルケニル、置換(C−C)アルケニル、(C−C)アルキニル、置換(C−C)アルキニル、(C−C20)アリール、置換(C−C20)アリール、(C−C26)アルクアリール、置換(C−C26)アルクアリール、5−20員へテロアリール、置換5−20員へテロアリール、6−26員アルクヘテロアリールまたは置換6−26員アルクヘテロアリールである]のような1またはそれ以上の置換基を含み得る。遺伝的にコード化された芳香族アミノ酸は、Ph
e(F)、Tyr(Y)およびTrp(W)を含む。
【0081】
「脂肪族アミノ酸」という用語は、脂肪族炭化水素側鎖を有する疎水性アミノ酸を指す。遺伝的にコード化された脂肪族アミノ酸は、Ala(A)、Val(V)、Leu(L)およびIle(I)を含む。
【0082】
アミノ酸残基Cys(C)は、他のCys(C)または他のスルファニル含有アミノ酸とジスルフィド架橋を形成することができるという点で特異である。Cys(C)残基(および−SH含有側鎖を有する他のアミノ酸)が、低い遊離−SHまたは酸化ジスルフィド架橋形態のいずれかのペプチドとして存在し得ることは、Cys(C)残基がペプチドに正味の疎水性または親水性特徴を与えるかどうかに影響を及ぼす。Cys(C)は、Eisenbergの正規化コンセンサススケール(Eisenberg,1984,前出)によれば0.29の疎水性を示すが、好ましい実施形態のためには、Cys(C)は、上記で定義した一般的分類にもかかわらず、極性親水性アミノ酸として分類されることが理解されねばならない。
【0083】
当業者に認識されるように、上記で定義したカテゴリは相互に排他的ではない。それ故、2またはそれ以上の物理−化学的性質を示す側鎖を有するアミノ酸は多数のカテゴリに含まれ得る。例えばTyr(Y)などの極性置換基でさらに置換された芳香族部分を有するアミノ酸側鎖は、芳香族疎水特性と極性または親水特性の両方を示すことがあり、それ故芳香族と極性カテゴリの両方に含まれ得る。アミノ酸の適切な分類は、特にここで提供する詳細な開示に照らして、当業者に明白である。
【0084】
上記で定義したカテゴリを遺伝的にコード化されたアミノ酸によって例示したが、アミノ酸置換は遺伝的にコード化されたアミノ酸に限定される必要はなく、ある種の実施形態では、好ましくは遺伝的にコード化されたアミノ酸に限定されない。実際に、RCTの好ましいメディエイタの多くは遺伝的にコード化されないアミノ酸を含む。それ故、天然に生じる遺伝的にコード化されたアミノ酸に加えて、RCTのメディエイタ内のアミノ酸残基は、天然に生じる非コード化アミノ酸および合成アミノ酸で置換され得る。
【0085】
RCTのメディエイタのために有用な置換を提供する、一部の一般的に遭遇されるアミノ酸は、β−アラニン(β−Ala)および3−アミノプロピオン酸、2,3−ジアミノプロピオン酸(Dpr)、4−アミノ酪酸等のような他のω−アミノ酸;α−アミノイソ酪酸(Aib);ε−アミノヘキサン酸(Aha);δ−アミノ吉草酸(Ava);N−メチルグリシンまたはサルコシン(MeGly);オルニチン(Orn);シトルリン(Cit);t−ブチルアラニン(t−BuA);t−ブチルグリシン(t−BuG);N−メチルイソロイシン(MeIle);フェニルグリシン(Phg);シクロヘキシルアラニン(Cha);ノルロイシン(Nle);ナフチルアラニン(Nal);4−フェニルフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン(Phe(4−Cl))、2−フルオロフェニルアラニン(Phe(2−F));3−フルオロフェニルアラニン(Phe(3−F));4−フルオロフェニルアラニン(Phe(4−F));ペニシラミン(Pen);1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸(Tic);β−2−チエニルアラニン(Thi);メチオニンスルホキシド(MSO);ホモアルギニン(hArg);N−アセチルリシン(AcLys);2,4−ジアミノ酪酸(Dbu);2,3−ジアミノ酪酸(Dab);p−アミノフェニルアラニン(Phe(pNH));N−メチルバリン(MeVal);ホモシステイン(hCys);ホモフェニルアラニン(hPhe)およびホモセリン(hSer);ヒドロキシプロリン(Hyp)、ホモプロリン(hPro)、N−メチル化アミノ酸およびペプトイド(N−置換グリシン)を含むが、これらに限定されない。
【0086】
ここで特に言及しない他のアミノ酸残基は、ここで提供する定義に照らして、それらの観察される物理的および化学的性質に基づいて容易に分類することができる。
【0087】
上記で定義したカテゴリに従った遺伝的にコード化されたおよび一般的な非コード化アミノ酸の分類を以下の表2に要約する。表2は、例示だけを目的とするものであり、ここで述べるRCTのメディエイタを置換するために使用できるアミノ酸残基および誘導体の網羅的リストを意味しないことは理解されるべきである。
【0088】
【表2】

【0089】
ここで特に言及しない他のアミノ酸残基は、ここで提供する定義に照らして、それらの観察される物理的および化学的性質に基づいて容易に分類することができる。
【0090】
ほとんどの場合、RCTのメディエイタのアミノ酸はD−鏡像異性体アミノ酸で置換されるが、置換はD−鏡像異性体アミノ酸に限定されない。それ故、D−アミノ酸が同一のL−アミノ酸(例えばD−Arg→L−Arg)または同じカテゴリまたは小カテゴリのL−アミノ酸(例えばD−Arg→D−Lys)で置換されている状態、およびその逆の状態も、「突然変異した」または「変化した」形態の定義に包含される。メディエイタは、好都合には少なくとも1個のD−鏡像異性体アミノ酸から成り得る。そのようなD−アミノ酸を含むメディエイタは、もっぱらL−アミノ酸からなるペプチドよりも口腔、腸または血清中での分解に対してより安定であると思われる。
【0091】
リンカー
RCTのメディエイタは、頭部−尾部様式(すなわちN末端−C末端)、頭部−頭部様式(すなわちN末端−N末端)、尾部−尾部様式(すなわちC末端−C末端)、またはそれらの組合せで、結合または連結され得る。リンカーは、2個のペプチドを互いに共有結合することができる二官能性分子であり得る。そこで、適切なリンカーは、官能基がペプチドのNおよび/またはC末端に共有結合することができる二官能性分子である。ペプチドのNまたはC末端への結合に適する官能基は、そのような共有結合形成を生じさせるための適切な化学と同様に、当技術分野において周知である。
【0092】
十分な長さと柔軟性のリンカーは、Pro(P)、Gly(G)、Cys−Cys、Gly−Gly、HN−(CH−COOH[式中、nは1−12、好ましくは4−6である];HN−アリール−COOHおよび炭水化物を含むが、これらに限定されな
い。しかし、一部の実施形態では、本来別々のリンカーを使用しない。その代わりに、酸性、親油性および塩基性成分が全て単一分子の部分である。
【0093】
HMG CoAレダクターゼ阻害剤骨格
好ましい実施形態では、疎水性または芳香族骨格はHMG CoAレダクターゼ阻害剤に基づく。HMG CoAレダクターゼ阻害剤の例を以下に示す:
【0094】
【化12】

【0095】
【化13】

【0096】
それ故、HMG CoAレダクターゼ阻害剤に基づく親油性または芳香族骨格の例を、親HMG CoAレダクターゼ阻害剤と共に以下に示す:
【0097】
【化14】

【0098】
【化15】

【0099】
ニスバスタチンなどのHMG CoAレダクターゼ阻害剤に基づく親油性骨格を含むRCTメディエイタの例を以下に示す。
【0100】
【化16】

【0101】
上述したように、好ましくは、骨格は、親油性または芳香族であるHMG CoAレダクターゼ阻害剤の少なくとも一部の模倣体である。HMG CoAレダクターゼ阻害剤は、HMG様部分に結合する剛性の疎水性基を共有する。HMG CoAレダクターゼ阻害剤は、基質HMG CoAの結合に関してHMGRの競合阻害剤である。HMG CoAレダクターゼ阻害剤の構造的に多様な剛性疎水性基は、HMGRの浅い非極性溝に収容される。
【0102】
HMG CoAレダクターゼ阻害剤骨格で置換されたアラニン誘導体はX1−X2−X3、X1−X2−Y3、Y1−X2−X3またはY1−X2−Y3分子モデルにおける中央アミノ酸(X)の置換体であるが、分子はいかなる順序でも再配列され得る。アミノ酸誘導体は、以下に示すように、対応するアリールアルデヒド(J−CHO[式中、Jはスタチン骨格のいずれかである])から製造することができる。アミノ酸誘導体は、鏡像異性的に純粋な形態(キラル触媒に依存して、DまたはL)またはラセミ形態で製造することができる。
【0103】
スキーム:スタチン骨格連結アラニン誘導体の一般的合成
【0104】
【化17】

【0105】
上記アリールアルデヒド(J−CHO、n=1−4)は以下のスキームに従って製造することができる。
【0106】
スキーム:フルバスタチン骨格アルデヒドの合成
【0107】
【化18】

【0108】
スキーム:アトルバスタチン骨格アルデヒドの合成(Rはアルキルまたはアルキルスルホニル基である)
【0109】
【化19】

【0110】
スキーム:ロスバスタチン骨格アルデヒドの合成(Xは水素またはハロゲンである)
【0111】
【化20】

【0112】
スキーム:ニスバスタチン骨格アルデヒドの合成(Xは水素またはハロゲンであり、Rはアルキルである)
【0113】
【化21】

【0114】
これらのスタチン置換アラニン誘導体を、次に、他のアミノ酸誘導体(例えばGluまたはArg)とカップリングすることができる。さらに、EFRまたはefrの場合に述べたように、これらの誘導体を部分的にまたは完全に裸出させることができる。
【0115】
HMG CoAレダクターゼ阻害剤骨格を使用したRCTメディエイタの1つの実施形態は、アトルバスタチンに基づく。
【0116】
【化22】

【0117】
アトルバスタチンに基づくD−およびL−アミノ酸誘導体を合成することができる。これらの誘導体は、さらに部分的にまたは完全に裸出させることができる。アミノ酸残基の一方でまたは両方で生物学的等価性置換を行うことができる。グルタミン酸部分を、例えば3−アミノ安息香酸またはPABAによって置換することができる。これらの誘導体を以下の図表およびスキームに示す。
【0118】
A:3−アミノ−ピロール−2−カルボン酸より
【0119】
【化23】

【0120】
B:2−アミノ−ピロール−3−カルボン酸より
【0121】
【化24】

【0122】
C:4−アミノ−ピロール−3−カルボン酸より
【0123】
【化25】

【0124】
D:4−アミノ−ピラゾール−3−カルボン酸より
【0125】
【化26】

【0126】
E:3−アミノ−ピロール−2−カルボン酸(フェニルについてのピリジン環)より
【0127】
【化27】

【0128】
F:3−アミノ−ピロール−2−カルボン酸(生物学的等価体)より
【0129】
【化28】

【0130】
G:2−アミノ−ピロール−3−カルボン酸(生物学的等価体)より
【0131】
【化29】

【0132】
H:4−アミノ−ピロール−3−カルボン酸(生物学的等価体)より
【0133】
【化30】

【0134】
I:4−アミノ−ピラゾール−3−カルボン酸(生物学的等価体)より
【0135】
【化31】

【0136】
J:選択的実施形態
【0137】
【化32】

【0138】
K:生物学的等価体を含む選択的実施形態
【0139】
【化33】

【0140】
スキーム−1:溶液相での合成のための一般的経路
【0141】
【化34】

【0142】
溶液相ペプチド合成におけるN−Boc保護アミノ酸のための一般的経路をスキーム1に示す。最初に、酸を標準条件下で(例えばEDCI、HOBt、EtN)アミンと反応させ、生じた生成物を脱保護して(TFA)対応するアミンを得る。そのアミンを標準条件下でもう1つ別の適切に保護されたアミノ酸とカップリングする。N−Bocを除去して(TFA)、酸塩化物(例えばAcCl)でキャップし、その他の保護基を除去して所望生成物を得る。
【0143】
スキーム−2:溶液相での合成のための一般的経路
【0144】
【化35】

【0145】
溶液相ペプチド合成におけるN−Boc保護アミノ酸のための一般的経路をスキーム2に示す。最初に、樹脂(リンク)のN−Fmocを脱保護し(ピペリジン、DMF)、次に標準条件下で(例えばDIC、HOBt、EtN)N−Fmoc保護アミノ酸とカップリングして、生じた生成物を上記のように脱保護して樹脂結合アミド−アミンを得る。
後者を標準条件下でもう1つ別の適切に保護されたアミノ酸とカップリングし、もう一度反復する。N−Fmocを除去して(ピペリジン、DMF)、酸塩化物(例えばAcCl)でキャップし、その他の保護基を除去して所望生成物を得る。
【0146】
骨格中間体:
【0147】
【化36】

【0148】
骨格置換を上記に示す。N−FmocおよびN−Cbz誘導体は示していないが、同様に製造される。後者の中間体の合成はスキームに示していないが、それらのN−Boc誘導体と同様にして(FmocClを使用する)製造される。以下のスキームはこれらの有用な中間体の合成を説明する。
【0149】
2−アミノ−ピロール−3−カルボン酸誘導体の合成をスキーム3に示す。ベンゾインをSOClと反応させて対応する塩化物を得、次にアミンと反応させてα−ケトアミンを得る。あるいは、後者を直接ベンゾインから調製し、そのときアルコール溶媒中でより弱い酸(例えばAcOH)の存在下にアミンを加熱する。アミンは単量体ではなく、実際にはオリゴマーである(質量および陽子NMRより)。α−ケトアミンをMeOH中のアセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)と反応させ、良好な収率でピロール生成物を得る。2位のエステルを1当量のMeOH中NaOH水溶液で選択的に加水分解し、希塩酸で酸性にする。生じた酸をクルチウス転位(ジフェニルリン酸アジド(DPPA)、tert−BuOH、加熱)に供する。N−Boc保護エステルを加水分解して(NaOH水溶液、加熱、その後希塩酸)、対応する酸を得る。
【0150】
あるいは、α−ケトアミンをシアノ酢酸エチルと反応させて2−アミノ−ピロールを得(スキーム−3)、後者を加水分解し、標準条件下でN−Boc保護する。
【0151】
スキーム−3:2−アミノ−ピロール−3−カルボン酸誘導体の合成
【0152】
【化37】

【0153】
3−アミノ−ピロール−2−カルボン酸誘導体の合成をスキーム4およびスキーム5に
示す。アミンをα−ブロモ−フェニル酢酸と反応させ、次に酸塩化物で処理する。生じたアミド−酸を無水酢酸中の親双極子(アリール−アセチレン)で処理して、ピロールを得る。そのピロールを連続的にニトロ化し(HNOまたはニトロニウム塩)、還元して(ラネー‐ニッケル、H、EtOH/THF)、加水分解し(NaOH水溶液、加熱)、N保護して(BocO、ジオキサン)、所望生成物を得る(スキーム4)。
【0154】
スキーム−4:3−アミノ−ピロール−2−カルボン酸誘導体の合成
【0155】
【化38】

【0156】
スキーム5は、ヘテロアリール連結ピロール核の合成を示す。アミド−酸を先に示した(スキーム4)のと同様にして調製する。ピロール核をニトロ化する(HNOまたはニトロニウム塩)。次にそれを還元し、加水分解して、スキーム5に示すようにN−Boc保護する。
【0157】
スキーム5:4−(2−ピリジル)−3−アミノ−ピロール−2−カルボン酸誘導体の合成
【0158】
【化39】

【0159】
4−アミノ−ピロール−3−カルボン酸誘導体の合成に関して、スキーム5およびスキーム6に示すように2つの経路を提示する。α−アミノ酸をピリジン中の酸塩化物と反応させてN−アシル化合物を得、それを無水酢酸中のアセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD)と共に加熱して、予想される対称ピロールを得る。二酸を選択的に加水分解して(1.0当量のNaOH水溶液;希塩酸)、一酸を得る。その一酸をジフェニルリン酸アジド(DPPA)[ベンゼン、tert−BuOH、加熱]およびNaOH水溶液[加熱、希塩酸]で処理して、所望化合物を得る(スキーム6)。
【0160】
あるいは、アミド−酸を無水酢酸中のプロパルギルエステルと反応させ、次いでニトロ化して、ニトロ−酸を得る(スキーム6)。その後ニトロ基をアミンに還元し(ラネー‐
ニッケル、H、EtOH/THF)、エステルを加水分解して(NaOH水溶液)、スキーム4に従ってアミンを保護する(BocO、ジオキサン)。
【0161】
スキーム6:4−アミノ−ピロール−3−カルボン酸誘導体の合成
【0162】
【化40】

【0163】
4−アミノ−ピロール−3−カルボン酸誘導体の合成のための全く異なるアプローチをスキーム7に示す。最初に、β−ケトエステルをα位置でアルキル化し、生じたジケトエステルをアミンで処理してピロール−3−カルボン酸塩を得る。後者をスキーム6に示すように変換して所望生成物を得る。
【0164】
スキーム7:4−アミノ−ピロール−3−カルボン酸の合成(続き)
【0165】
【化41】

【0166】
ピラゾール核の合成をスキーム8に概略する。塩基の存在下で、アリールケトンをシュウ酸エステルと反応させ、次いで1,3−ジケト化合物に酸性化する。後者を置換ヒドラジンと反応させてピラゾール−3−カルボン酸誘導体を得る。その後ニトロ化し(HNOまたはニトロニウム塩)、還元して(ラネー‐ニッケル、H)、エステル加水分解し(NaOH水溶液)、アミン保護して(BocO)、所望生成物を得る。
【0167】
スキーム−8:4−アミノ−ピラゾール−3−カルボン酸誘導体の合成
【0168】
【化42】

【0169】
HMG CoAレダクターゼ骨格を用いたRCTメディエイタのもう1つの実施形態は、以下に示すようにニスバスタチンに基づく。これらの化合物の合成への一般的スキームも示す。
【0170】
【化43】

【0171】
【化44】

【0172】
RCTのメディエイタの構造内で使用される生物学的等価体
好ましいRCTメディエイタ内で使用できる好ましい生物学的等価体の例を以下に示す。グアニジウムまたはアミジノ基を含む生物学的等価体は、アルギニンなどのアミノ酸を置換するのに役立つ。カルボン酸を含む生物学的等価体は、グルタミン酸などのアミノ酸を置換するのに役立つ。塩基性アミノ酸、アルギニン、リシンまたはヒスチジン、および酸性アミノ酸、グルタミン酸およびアスパラギン酸を置換するために使用できるいかなる他の生物学的等価体も考慮される。円は、非芳香族および芳香族構造を含む、環状構造を表わす。
【0173】
【化45】

【0174】
以下の合成スキームは、生物学的等価体を担持するRCTメディエイタを合成するために使用できる方法の例を示す。スキームにおいて、「AA」という用語は親油性骨格を表わし得る。
【0175】
スキーム9
【0176】
【化46】

【0177】
スキーム10
【0178】
【化47】

【0179】
スキーム11
【0180】
【化48】

【0181】
スキーム12
【0182】
【化49】

【0183】
カルボン酸およびグアニジン基についての生物学的等価体の例を以下に示す。
カルボン酸生物学的等価体(R=H/アルキル)
【0184】
【化50】

【0185】
グアニジン生物学的等価体(R=H/アルキル)
【0186】
【化51】

【0187】
好ましいメディエイタ
好ましい実施形態では、メディエイタは、4−アグマチン−3−アミドGABAキノリン、4−(1−(4−アミノブチルカルバモイル)−2−(2−メチル−4−フェニルキノリン−3−イル)エチルカルバモイル)ブタン酸、および4−(5−グアニジノペンチルアミノ)キノリン−3−カルボン酸から成る群より選択し得る。好ましい化合物の上記リスト中の非誘導体化アミノおよび/またはカルボキシ末端アミノ酸残基は、保護基でキャップされている。もう1つの好ましい実施形態では、メディエイタは、構造:
【0188】
【化52】

【0189】
を有する。
構造と機能の分析
活性化合物を選択するために、上述した多量体を含む、好ましい実施形態のRCTのメディエイタの構造および機能を検定することができる。例えばメディエイタを、α−ヘリックスを形成する、脂質に結合する、脂質と複合体を形成する、LCATを活性化する、およびコレステロール流出を促進する等の能力に関して検定することができる。
【0190】
メディエイタの構造および/または機能を分析するための方法およびアッセイは当技術分野において周知である。好ましい方法を以下の実施例で提供する。例えば以下で述べる円偏光ニ色性(CD)および核磁気共鳴(NMR)アッセイは、メディエイタの構造、特に脂質の存在下でのらせん度を分析するために使用できる。脂質に結合する能力は、以下で述べる蛍光分光測定法を用いて判定することができる。LCATを活性化するメディエイタの能力は、以下で述べるLCAT活性化を用いて容易に測定できる。以下で述べるインビトロおよびインビボアッセイは、半減期、分布、コレステロール流出およびRCTへの作用を評価するために使用できる。
【0191】
合成方法
好ましい実施形態は、化合物の製造のための実質的にいかなる技術分野で公知の手法を用いても製造し得る。例えば化合物は、従来の段階的溶解法または固相ペプチド合成法を用いて製造し得る。
【0192】
RCTのメディエイタは、従来の段階的溶解法または固相ペプチド合成法を用いて製造し得る(例えばChemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins,Williams et
al.,Eds.,1997,CRC Press,Boca Raton Fla.、およびその中で引用される参考文献;Solid Phase Peptide Synthesis:A Practical Approach,Atherton & Sheppard,Eds.,1989,IRL Press,Oxford,England、およびその中で引用される参考文献参照)。
【0193】
従来の固相合成法では、第一アミノ酸またはその類似体の結合は、オリゴペプチドのカルボキシル末端を形成するためにそのカルボキシル末端(C末端)を誘導体化樹脂と化学反応させることを必要とする。アミノ酸のαアミノ末端は、典型的には、さもなければ反応し得るアミノ基がカップリング反応に加わるのを防ぐためにt−ブトキシ−カルボニル基(Boc)または9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基でブロックされる。アミノ酸または類似体の側鎖基も、反応性である場合は、エーテル、チオエーテ
ル、エステルおよびカルバメートの形態の様々なベンジル由来の保護基によってブロック(または保護)される。
【0194】
次の工程およびその後の反復サイクルは、αアミノ保護基を除去するためにアミノ末端(N末端)樹脂結合アミノ酸(またはペプチド鎖の末端残基)を脱保護し、その後、次のブロックされたアミノ酸を化学的に付加(カップリング)することを含む。この工程を反復するが、対象とする分子全体を合成するためには多くのサイクルが必要である。各々のカップリングおよび脱保護工程の後、残留反応物を除去するために樹脂結合分子を十分に洗浄した後、次の工程に進む。固体支持体粒子は、樹脂および樹脂結合ペプチドを多孔性開口部を有するカラムまたは装置内に保持しながら容易にろ過および洗浄することができるため、所与の工程での試薬の除去を容易にする。
【0195】
合成分子は、そのC末端上にアミドまたはカルボキシル基を残して樹脂から分子を開裂する、酸触媒作用(典型的にはフッ化水素酸またはトリフルオロ酢酸による)によって樹脂から放出し得る。酸分解切断はまた、合成ペプチド内のアミノ酸の側鎖から保護基を除去するためにも役立つ。完成したペプチドは、その後様々なクロマトグラフィ法のいずれかによって精製することができる。
【0196】
好ましい実施形態に従って、RCTのペプチドおよびペプチド誘導体メディエイタを、N−Fmoc化学を用いた固相合成法によって合成した。N−Fmoc保護アミノ酸およびリンクアミドMBHA樹脂およびワン(Wang)樹脂は、Novabiochem(San Diego,CA)またはChem−Impex Intl(Wood Dale,IL)より購入した。他の化学物質および溶媒は以下のソースから購入した:トリフルオロ酢酸(TFA)、アニソール、1,2−エタンジチオール、チオアニソール、ピペリジン、無水酢酸、2−ナフトエ酸およびピバル酸(pivaloic acid)(Aldrich, Milwaukee, WI)、HOBtおよびNMP(Chem−Impex Intl,Wood Dale,IL)、ジクロロメタン、メタノールおよびHPLCグレードの溶媒はFischer Scientific,Pittsburgh,PAより。ペプチドの純度はLC/MSによって検査した。ペプチドの精製は、C18結合シリカカラム(Tosoh Biospec分取カラム、ODS−80TM、寸法:21.5mmx30cm)での分取HPLCシステム(Agilent technologies, 1100 Series)を用いて実施した。ペプチドを勾配系[B溶媒(アセトニトリル:0.1%TFAを含む水 60:40、)50%−90%]で溶出した。
【0197】
全てのペプチドおよびその類似体を、リンクアミドMBHA樹脂(0.5−0.66mmol/g)またはワン樹脂(1.2mmol/g)を用いて、固相法によって段階的に合成した。側鎖の保護基は、Arg(Pbf)、Glu(OtBu)およびAsp(OtBu)であった。各々のFmoc保護アミノ酸を、1.5−3倍過剰の保護アミノ酸を用いてこの樹脂に結合した。カップリング試薬はN−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)およびジイソプロピルカルボジイミド(DIC)であり、カップリングをニンヒドリン試験によって観測した。Fmoc基を、NMP中20%ピペリジンによる30−60分間の処理、次にCHCl、CHCl中10%TEA、メタノールおよびCHClでの連続洗浄によって除去した。カップリング工程の後に、必要に応じてアセチル化または他のキャッピング基による処理を実施した。
【0198】
ペプチドをペプチド樹脂から開裂し、側鎖保護基を全て除去するために、TFA、チオアニソール、エタンジオールおよびアニソール(90:5:3:2、v/v)の混合物を使用した(室温で4−5時間)。粗ペプチド混合物を半融ガラス漏斗からろ過し、TFAで洗った(2−3回)。ろ液を濃厚シロップに濃縮し、低温エーテルに添加した。一晩冷
蔵庫内に保持し、遠心分離した後、ペプチドが白色固体として沈殿した。溶液を傾瀉し、固体をエーテルで十分に洗った。生じた粗ペプチドを緩衝液(0.1%TFAを含む、アセトニトリル:水 60:40)に溶解し、乾燥した。粗ペプチドを、40分間で50%−90%Bの勾配系[緩衝液A:0.1%(v/v)TFAを含む水、緩衝液B:0.1%(v/v)TFAを含む、アセトニトリル:水(60:40)]で分取C−18カラム(逆相)を用いるHPLCによって精製した。純粋な分画をSpeedvacで濃縮した。収率は5%−20%の範囲であった。
【0199】
あるいは、好ましい実施形態のペプチドは、例えばその開示全体が参照してここに組み込まれる、Liu et al.,1996,Tetrahedron Lett.37(7):933−936;Baca,et al.,1995,J.Am.Chem.Soc.117:1881−1887;Tam et al.,1995,Int.J.Peptide Protein Res.45:209−216;Schnolzer and Kent,1992,Science 256:221−225;Liu and Tam,1994,J.Am.Chem.Soc.116(10):4149−4153;and Tam,1994,PNAS.USA 91:6584−6588;Yamashiro and Li,1988,Int.J Peptide Protein Res.31:322−334;Nakagawa et al.,1985,J.Am Chem.Soc.107:7087−7083;Nokihara et al.,1989,Peptides 1988:166−168;Kneib−Cordonnier et al.,1990,Int.J.Pept.Protein Res.35:527−538に述べられているように、セグメント縮合、すなわちより大きなペプチド鎖を形成するように小さな成分ペプチド鎖を連結することによって製造し得る。好ましい実施形態のペプチドを合成するために有用な他の方法は、Nakagawa et al.,1985,J.Am.Chem.Soc.107:7087−7092に述べられている。
【0200】
セグメント縮合によって生産されるペプチドに関して、カップリング時間を上昇させることによって縮合工程のカップリング効率を有意に高めることができる。典型的には、カップリング時間を上昇させることは、生成物のラセミ化の上昇をもたらす(Sieber
et al.,1970,Helv.Chim.Acta 53:2135−2150)。Nおよび/またはC末端保護基を含むRCTのメディエイタは、有機化学の標準手法を用いて製造し得る。例えば、ペプチドのN末端をアシル化するまたはペプチドのC末端をアミド化またはエステル化するための方法は、当技術分野において周知である。Nおよび/またはC末端における他の修飾を実施する様式は、末端保護基を結合するために必要に応じて何らかの側鎖官能基を保護する様式と同様に、当業者には明白である。
【0201】
同様に、例えばペプチドのN末端またはペプチドのC末端上の保護基の脱保護のための方法は当技術分野において周知である。Nおよび/またはC末端における他の修飾を実施する様式は、末端保護基を除去するために必要に応じて何らかの側鎖官能基を脱保護する様式と同様に、当業者には明白である。
【0202】
医薬上許容される塩(対イオン)は、イオン交換クロマトグラフィまたは当技術分野において周知の他の方法によって好都合に製造できる。
【0203】
医薬製剤および治療の方法
好ましい実施形態のRCTのメディエイタは、限定を伴わずに、血清HDL濃度を上昇させること、LCATを活性化することおよびコレステロール流出を促進することが有益である状態を含む、血清コレステロールを低下させることが有益である、動物、特にヒトを含む哺乳動物における何らかの疾患を治療するために使用することができる。そのよう
な状態は、高脂血症、特に高コレステロール血症、およびアテローム性動脈硬化症(アテローム性動脈硬化症の治療および予防を含む)および冠状動脈疾患などの心臓血管疾患;再狭窄(例えばバルーン血管形成術などの医学的処置の結果として発現するアテローム硬化性プラークを予防するまたは治療する);および虚血、およびしばしば敗血症性ショックを生じさせる内毒素症のような他の疾患を含むが、これらに限定されない。RCTのメディエイタは、単独でまたは前記状態を治療するために用いられる他の薬剤との併用療法において使用することができる。そのような療法は、関係薬剤の同時または連続投与を含むが、これらに限定されない。
【0204】
例えば高コレステロール血症またはアテローム性動脈硬化症の治療において、RCTの分子メディエイタの製剤は、現在使用されているコレステロール低下治療、例えば胆汁酸樹脂、ナイアシンおよび/またはスタチン、のいずれか1つまたはそれ以上と共に投与することができる。そのような併用治療レジメンは、各々の薬剤がコレステロール合成および輸送における異なる標的に作用するため、特に有益な治療効果を生じ得る;すなわち胆汁酸樹脂はコレステロール再循環、カイロミクロンおよびLDL個体群に作用を及ぼす;ナイアシンは主としてVLDLおよびLDL個体群に作用する;スタチンは、コレステロール合成を阻害し、LDL個体群を低下させる(およびおそらくLDL受容体発現を上昇させる);一方RCTのメディエイタはRCTに影響を及ぼし、HDLを上昇させ、LCAT活性を上昇させ、コレステロール流出を促進する。
【0205】
RCTのメディエイタは、高脂血症、高コレステロール血症および/またはアテローム性動脈硬化症などの心臓血管疾患を治療するためにフィブレートと組み合わせて使用し得る。
【0206】
RCTのメディエイタは、内毒素によって誘発される敗血症性ショックを治療するために現在使用される抗菌薬および抗炎症薬と組み合わせて使用することができる。
【0207】
RCTのメディエイタは、RCTのメディエイタを循環中に送達するために様々な方法で、好ましくは経口投与によって、被験者に投与することができる、分子ベースの組成物としてまたは分子−脂質複合体として製剤することができる。例示的な製剤および治療レジメンを以下で述べる。
【0208】
もう1つの好ましい実施形態では、高コレステロール血症および/またはアテローム性動脈硬化症の1またはそれ以上の症状を改善するおよび/または予防するための方法を提供する。前記方法は、好ましくは生物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトに、好ましい実施形態の化合物(またはそのような化合物のミメティック)の1またはそれ以上を投与することを含む。化合物は、ここで述べるように、注射、坐薬、鼻内噴霧、徐放性薬剤移植、経皮パッチ等を含むが、これらに限定されない、多くの標準方法のいずれかに従って投与することができる。1つの特に好ましい実施形態では、化合物を経口的に(例えばシロップ、カプセルまたは錠剤として)投与する。
【0209】
前記方法は、好ましい実施形態の単一化合物の投与あるいは2またはそれ以上の異なる化合物の投与を含む。化合物は、単量体としてあるいは二量体、オリゴマーまたはポリマー形態で提供され得る。ある種の実施形態では、多量体は会合した単量体(例えばイオンによってまたは疎水結合によって)を含み得るが、ある種の他の多量体は共有結合した単量体(直接結合またはリンカーを通して)を含む。
【0210】
好ましい実施形態をヒトにおける使用に関して述べるが、動物用、例えば獣医学的使用にも適する。それ故好ましい生物は、ヒト、非ヒト霊長動物、イヌ、ウマ、ネコ、ブタ、有蹄動物、largomorphs等を含むが、これらに限定されない。
【0211】
好ましい実施形態の方法は、高コレステロール血症および/またはアテローム性動脈硬化症の1またはそれ以上の症状(例えば高血圧、プラークの形成および断裂、心臓発作、狭心症または卒中などの臨床事象の低減、高レベルの低密度リポタンパク質、高レベルの超低密度リポタンパク質、または炎症性タンパク質等)を示すヒトまたは非ヒト動物に限定されず、予防に関して有用である。そこで、好ましい実施形態の化合物(またはそのミメティック)は、高コレステロール血症および/またはアテローム性動脈硬化症の1またはそれ以上の症状の発症/発現を予防するために生物に投与し得る。これに関して特に好ましい被験者は、アテローム性動脈硬化症についての1またはそれ以上の危険因子(例えば家族歴、高血圧、肥満、高いアルコール消費量、喫煙、高い血中コレステロール、高い血中トリグリセリド、高い血中LDL、VLDL、IDLまたは低いHDL、糖尿病、または糖尿病の家族歴、高い血中脂質、心臓発作、狭心症または卒中等)を示す被験者である。好ましい実施形態は、医薬製剤および高脂血症、高コレステロール血症、冠状動脈心臓病、アテローム性動脈硬化症、糖尿病、肥満、アルツハイマー病、多発性硬化症、炎症などの高脂血症に関連する状態、および敗血症性ショックを引き起こす内毒素症のような他の状態の治療におけるそのような製剤の使用を含む。
【0212】
1つの好ましい実施形態では、RCTの分子メディエイタは、RCTのメディエイタの合成と精製に関してここで述べる何らかの手法を用いて合成または製造することができる。長い貯蔵寿命を有する安定な製剤は、再製剤のためのバルクを製造するため、あるいは被験者への投与の前に滅菌水または適切な滅菌緩衝液での再水和によって再溶解できる個別アリコートまたは投与単位を製造するために、化合物を凍結乾燥することによって作製し得る。
【0213】
もう1つの好ましい実施形態では、RCTのメディエイタは、分子−脂質複合体として製剤し、投与し得る。特に複合体がHDL、特にプレβ−1またはプレβ−2 HDL個体群と類似の大きさおよび密度を備えるとき、複合体は循環中で長い半減期を有するはずであるため、このアプローチにはいくつかの利点がある。分子−脂質複合体は、以下で述べる多くの方法のいずれかによって好都合に製造できる。長い貯蔵寿命を有する安定な製剤は、凍結乾燥−好ましいアプローチである、以下に述べる共凍結乾燥手順−によって作製し得る。凍結乾燥した分子−脂質複合体は、医薬再製剤のためのバルクを製造するため、あるいは被験者への投与の前に滅菌水または適切な緩衝液での再水和によって再溶解できる個別アリコートまたは投与単位を製造するために使用することができる。
【0214】
当業者に周知の様々な方法が、分子−脂質小胞または複合体を製造するために使用できる。このために、リポソームまたはプロテオリポソームを製造するための多くの使用可能な手法を利用し得る。例えば複合体を形成するためにメディエイタを適切な脂質と共超音波処理することができる(浴またはプローブ超音波処理器を使用して)。あるいは、ペプチドをあらかじめ形成した脂質小胞と組み合わせて、分子−脂質複合体の自然形成を生じさせることができる。さらにもう1つの選択的方法では、界面活性剤透析法によって分子−脂質複合体を形成することができる;例えば化合物、脂質および界面活性剤の混合物を透析して界面活性剤を除去し、分子−脂質複合体を再溶解するまたは形成する(例えばJonas et al.,1986,Methods in Enzymol.128:553−582参照)。
【0215】
前記アプローチは実施可能であるが、各々の方法は、コスト、収率、再現性および安全性の見地からそれ自体固有の生産上の問題を提起する。1つの好ましい方法に従って、化合物と脂質を、各々の成分を共可溶化する溶媒系において組み合わせ、凍結乾燥によって完全に除去することができる。このためには、両親媒性化合物と脂質の両方の共溶解性を確保するように溶媒対を慎重に選択すべきである。1つの実施形態では、粒子に組み込む
化合物またはその誘導体/類似体を、水性または有機溶媒あるいは溶媒の混合物(溶媒1)に溶解することができる。(リン)脂質成分を、溶媒1と混和性である水性または有機溶媒あるいは溶媒の混合物(溶媒2)に溶解する。あるいは、化合物と脂質を共溶媒系、すなわち混和性溶媒の混合物に組み込むことができる。化合物対脂質の適切な比率は、最初に、生じる複合体が適切な物理的および化学的性質を有するように、すなわち通常は(しかし必ずではない)HDLと類似の大きさであるように、経験的に決定される。生じた混合物を冷凍し、凍結乾燥して乾固する。時として凍結乾燥を容易にするために付加的な溶媒を混合物に添加しなければならない。この凍結乾燥生成物は長期間保存することができ、安定なままである。
【0216】
凍結乾燥生成物は、分子−脂質複合体の溶液または懸濁液を得るために再溶解することができる。このために、凍結乾燥粉末を水溶液で適切な容量(しばしば静脈内注射のために好都合な5mg化合物/mL)に再水和し得る。好ましい実施形態では、リン酸緩衝食塩水または生理食塩水で凍結乾燥粉末を再水和する。再水和を促進するために混合物を攪拌またはボルテックスしなければならないことがあるが、ほとんどの場合、再溶解工程は、複合体の脂質成分の相転移温度に等しいかまたはそれより高い温度で実施すべきである。数分以内に、再溶解されたペプチド−脂質複合体の透明な製剤が生じる。
【0217】
製剤中の複合体が所望サイズ分布を、例えばHDLのサイズ分布を有することを確認するために生じた再溶解製剤のアリコートを特徴づけることができる。ゲルろ過クロマトグラフィがこのために使用できる。例えばPharmacia Superose 6 FPLCゲルろ過クロマトグラフィシステムが使用できる。使用する緩衝液は、50mMリン酸緩衝液、pH7.4中150mM NaClを含む。典型的な試料容量は、5mg化合物/mLを含む複合体20−200μLである。カラム流速は0.5mL/分である。公知の分子量およびストークス径の一連のタンパク質並びにヒトHDLが、カラムを検定するための標準品として好ましく使用される。波長254または280nmの光の吸光度または散乱によってタンパク質およびリポタンパク質複合体を観測する。
【0218】
好ましい実施形態のRCTのメディエイタは、飽和、不飽和、天然および合成脂質および/またはリン脂質を含む、様々な脂質と複合することができる。適切な脂質は、小さなアルキル鎖のリン脂質、卵ホスファチジルコリン、ダイズホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、1−ミリストイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ミリストイルホスファチジルコリン、1−パルミトイル−2−ステアロイルホスファチジルコリン、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリンジオレオホスファチジルエタノールアミン、ジラウロイルホスファチジルグリセロールホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン、スフィンゴ脂質、ホスファチジルグリセロール、ジホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジオレオイルホスファチジルグリセロール、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジミリストイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリン、脳ホスファチジルセリン、脳スフィンゴミエリン、ジパルミトイルスフィンゴミエリン、ジステアロイルスフィンゴミエリン、ホスファチジン酸、ガラクトセレブロシド、ガングリオシド、セレブロシド、ジラウリルホスファチジルコリン、(1,3)−D−マンノシル−(1,3)ジグリセリド、アミノフェニルグリコシド、3−コレステリル−6’−(グリコシルチオ)ヘキシルエーテル糖脂質、およびコレステロールおよびその誘導体を含むが、これらに限定されない。
【0219】
好ましい実施形態の医薬製剤は、インビボでの投与および送達に適した製薬上許容される担体中に、RCTの分子メディエイタまたは分子−脂質複合体を有効成分として含有する。化合物は酸性および/または塩基性末端および/または側鎖を含み得るため、化合物は、遊離酸または塩基の形態で、あるいは製薬上許容される塩の形態で、製剤中に含まれ得る。
【0220】
注射用製剤は、水性または油性媒質中に有効成分の滅菌懸濁液、溶液または乳剤を含む。組成物はまた、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの配合剤も含み得る。注射用製剤は、単位投与形態、例えばアンプルまたは多回投与用容器の体裁であってもよく、添加防腐剤を含み得る。
【0221】
あるいは、注射用製剤は、使用前に、滅菌発熱物質不含水、緩衝液、デキストロース溶液等を含むがこれらに限定されない適切な媒質で再溶解するための粉末形態で提供され得る。このために、RCTのメディエイタを凍結乾燥し得るか、または共凍結乾燥した分子−脂質複合体を製造し得る。保存製剤は、単位投与形態で供給し、インビボでの使用の前に再溶解することができる。
【0222】
持続的な送達のために、有効成分を移植による投与、例えば皮下、皮内または筋肉内注射による投与のためのデポー製剤として製剤することができる。そこで、例えば有効成分は、適切なポリマーまたは疎水性材料(例えば許容される油中の乳剤として)またはイオン交換樹脂と共に;または難溶性誘導体として、例えばRCTのメディエイタの難溶性塩形態として、製剤し得る。
【0223】
あるいは、経皮吸収のために有効成分を緩やかに放出する接着ディスクまたはパッチとして製造される経皮送達システムを使用し得る。このために、有効成分の経皮浸透を促進するために透過促進剤を使用し得る。好ましい実施形態のRCTのメディエイタまたは分子−脂質複合体を、虚血性心臓病および高コレステロール血症の患者における使用のためのニトログリセリンパッチに組み込むことにより、特別な恩恵を達成し得る。
【0224】
経口投与に関しては、医薬組成物は、例えば、結合剤(例えばプレゼラチン化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えばラクトース、微結晶性セルロースまたはリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム、滑石またはシリカ);崩壊剤(例えばジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム);または湿潤剤(例えばラウリル硫酸ナトリウム)などの医薬上許容される賦形剤と共に従来の手段によって製造される錠剤またはカプセルの形態をとりうる。錠剤は、当技術分野で周知の方法によって被覆し得る。経口投与用の液体製剤は、例えば溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとり得るか、または使用前に水または他の適切な媒質で溶解するための乾燥生成物として提供され得る。そのような液体製剤は、懸濁化剤(例えばソルビトールシロップ、セルロース誘導体または硬化食用脂);乳化剤(例えばレシチンまたはアカシア);非水性媒質(例えばアーモンド油、油性エステル、エチルアルコールまたは分画植物油);および防腐剤(例えばメチルまたはプロピル−p−ヒドロキシベンゾエートまたはソルビン酸)などの医薬上許容される添加物と共に従来の手段によって製造され得る。製剤はまた、適宜に緩衝剤塩、着香料、着色料および甘味料を含み得る。経口投与用の製剤は、活性化合物の制御放出を与えるために適切に製剤され得る。
【0225】
口腔投与に関しては、組成物は、従来のように製剤される錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。直腸または膣経路の投与に関しては、有効成分は、溶液(停留浣腸用)、坐薬または軟膏として製剤され得る。
【0226】
吸入による投与に関しては、有効成分は、適切な推進薬、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適切なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザからのエーロゾル噴霧の形態で好都合に送達することができる。加圧エーロゾルの場合、投与単位は、定量を送達するための弁を備えることによって決定され得る。化合物の粉末混合物およびラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤を含む、例えば吸入器またはガス注入器における使用のためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを製剤し得る。
【0227】
組成物は、所望する場合は、有効成分を含有する1またはそれ以上の単位投与形態を含み得るパックまたは配薬装置中で提供され得る。パックは、例えばブリスターパックのような金属またはプラスチック箔を含み得る。パックまたは配薬装置は、投与のための指示書を伴い得る。
【0228】
好ましい実施形態のRCTの分子メディエイタおよび/または分子−脂質複合体は、循環中でのバイオアベイラビリティを確実にする何らかの適切な経路によって投与し得る。これは、静脈内(IV)、筋肉内(IM)、皮内、皮下(SC)および腹腔内(IP)注射を含む、非経口経路の投与によって達成できる。しかし、他の投与経路も使用し得る。例えば胃腸管を通しての吸収は、例えば口腔粘膜、胃および小腸の過酷な環境における、有効成分の分解を回避するまたは最小限に抑えるために適切な製剤(例えば腸溶剤皮)を使用することを条件として、経口経路の投与(経口摂取、口腔および舌下経路を含むがこれらに限定されない)によって達成できる。経口投与は、使用の容易さ、そしてそれ故高いコンプライアンスという利点を有する。あるいは、膣または直腸様式の投与のような粘膜組織を通しての投与は、胃腸管における分解を回避するまたは最小限に抑えるために使用し得る。さらにもう1つの選択的実施形態では、好ましい実施形態の製剤は、経皮的に(例えば経真皮的に)または吸入によって投与することができる。好ましい経路は、受容者の状態、年齢およびコンプライアンスによって異なりうることは認識される。
【0229】
使用するRCTの分子メディエイタまたは分子−脂質複合体の実際の用量は投与経路によって異なり、1.0mg/L−2g/Lの循環血漿濃度を達成するように調節すべきである。ここで述べる動物モデル系で得られたデータは、好ましい実施形態のアポA−IアゴニストがHDL成分と結合すること、および約5日間のヒトにおける推定半減期を有することを示す。そこで、1つの実施形態では、RCTのメディエイタは、週に1回0.5mg/kg−100mg/kgの用量で注射によって投与することができる。もう1つの実施形態では、望ましい血清レベルは、0.1mg/kg/時−100mg/kg/時を提供する持続注入または間欠注入によって維持し得る。
【0230】
RCTのメディエイタの毒性および治療効果は、LD50(母集団の50%に対する致死用量)およびED50(母集団の50%において治療上有効な用量)を決定するための細胞培養または実験動物において標準製薬手順を用いて測定することができる。
毒性作用と治療効果の間の用量比が治療指数であり、LD50/ED50比として表わすことができる。大きな治療指数を示すアポA−I分子アゴニストが好ましい。
【0231】
他の用途
好ましい実施形態のRCTアゴニストのメディエイタは、例えば診断を目的として、血清HDLを測定するためにインビトロでのアッセイにおいて使用することができる。RCTのメディエイタは血清のHDLおよびLDL成分と結合するため、アゴニストはHDLおよびLDL個体群のための「マーカ」として使用できる。さらに、アゴニストは、RCTにおいて有効なHDLのサブ個体群のためのマーカとして使用できる。このために、アゴニストを患者血清試料に添加するまたは患者血清試料と混合することができる;適切な
インキュベーション時間後、組み込まれたRCTのメディエイタを検出することによってHDL成分を検定することができる。これは、標識アゴニスト(例えば放射能標識、蛍光標識、酵素標識、染料等)を用いて、またはアゴニストに特異的な抗体(または抗体フラグメント)を使用する免疫測定法によって達成できる。
【0232】
あるいは、循環系を視覚化するため、またはRCTを観測するため、または脂肪線条、アテローム性動脈硬化症病変等(HDLがコレステロール流出において活性であるはずの部位)におけるHDLの蓄積を視覚化するために、標識アゴニストを画像化処理(例えばCATスキャン、MRIスキャン)において使用することができる。
【0233】
逆コレステロール輸送のメディエイタの分析のためのアッセイ
LCAT活性化アッセイ
好ましい実施形態に従ったRCTのメディエイタは、様々なインビトロアッセイによって、例えばインビトロでLCATを活性化するそれらの能力によって、潜在的臨床効果に関して評価することができる。LCATアッセイでは、卵ホスファチジルコリン(EPC)または1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン(POPC)および放射能標識コレステロールから成る基質小胞(小さな1枚膜リポソームまたは「SUV」)を、等価質量のペプチドまたはアポA−I(ヒト血漿から単離した)のいずれかと共にプレインキュベートする。LCAT(ヒト血漿から精製した)の添加によって反応を開始させる。陽性対照として使用した天然アポA−Iは、100%の活性化作用を示す。分子メディエイタの「比活性」(すなわち活性(LCAT活性)単位/質量単位)は、最大のLCAT活性化を達成するメディエイタの濃度として算定することができる。例えば化合物についての「比活性」−アッセイの特定時点(例えば1時間)で最大のLCAT活性化(すなわちコレステロールからコレステロールエステルへの変換パーセンテージ)を達成する濃度−を測定するために、一連の濃度の化合物(例えば限界希釈)を検定することができる。使用した化合物の濃度に対して、例えば1時間目のコレステロールの変換パーセンテージをプロットしたとき、描画した曲線上でプラトーを達成する化合物の濃度として「比活性」を特定することができる。
【0234】
基質小胞の作製
LCATアッセイにおいて使用する小胞は、20:1のモル比の、卵ホスファチジルコリン(EPC)または1−パルミトイル−2−オレイル−ホスファチジルコリン(POPC)およびコレステロールから成るSUVである。40回のアッセイに十分な小胞原液を調製するために、EPC7.7mg(またはPOPC7.6mg;10μmol)、4−14C−コレステロール78μg(0.2μmol)コレステロール116μg(0.3μmol)をキシレン5mLに溶解し、凍結乾燥する。その後アッセイ緩衝液4mLを乾燥粉末に添加し、窒素雰囲気下に4℃で超音波処理する。超音波処理条件:Branson 250超音波処理装置、10mmチップ、6×5分間;アッセイ緩衝液:10mMトリス、0.14M NaCl、1mM EDTA、pH7.4。超音波処理した混合物を、チタン粒子を除去するために14,000rpm(16,000×g)で各々5分間ずつ6回遠心分離する。生じた透明溶液を酵素アッセイのために使用する。
【0235】
LCATの精製
LCAT精製のために、ヒト血漿の硫酸デキストラン/Mg2+処理を用いてリポタンパク質欠損血清(LPDS)を得、それをフェニルセファロース、アフィゲルブルー、コンカナバリンAセファロースおよび抗アポA−Iアフィニティクロマトグラフィで連続的にクロマトグラフィを行う。
【0236】
LPDSの作製
LPDSを作製するために、血漿500mLを硫酸デキストラン(分子量=500,0
00)溶液50mLに添加する。20分間攪拌する。4℃、3000rpm(16,000×g)で30分間遠心分離する。上清(LPDS)をさらなる精製のために使用する(約500mL)。
【0237】
フェニルセファロースクロマトグラフィ
フェニルセファロースクロマトグラフィのために以下の材料および条件を使用した。固相:フェニルセファロース高速流、高物質グレード、Pharmaciacolumn:XK26/40、ゲル床高:33cm、容積=約175mL、流速:200mL/時、(試料)洗浄:200mL/時、(緩衝液)溶出:80mL/時、(蒸留水)緩衝液:10mMトリス、140mM NaCl、1mM EDTA、pH7.4、0.01%アジ化ナトリウム。
【0238】
トリス緩衝液中でカラムを平衡させ、LPDS 500mLにNaCl 29gを添加してカラムに適用する。280nm波長での吸収がほぼ基線値になるまで多量のトリス緩衝液で数回洗浄し、その後蒸留水での溶出を開始する。タンパク質を含む分画をプールし(プールサイズ:180mL)、アフィゲルブルークロマトグラフィのために使用する。
【0239】
アフィゲルブルークロマトグラフィ
フェニルセファロースプールを、20mMトリス−HCl、pH7.4、0.01%アジ化ナトリウムに対して4℃で一晩透析する。限外ろ過(Amicon YM30)によってプール容量を50−60mLに低減し、アフィゲルブルーカラムに負荷する。固相:アフィゲルブルー、Biorad、153−7301カラム、XK26/20、ゲル床高:約13cm;カラム容積=約70mL。流速:負荷:15mL/時、洗浄:50mL/時。トリス緩衝液中でカラムを平衡させる。フェニルセファロースプールをカラムに適用する。並行して分画の収集を開始する。トリス緩衝液で洗浄する。プールした分画(170mL)をConAクロマトグラフィのために使用した。
【0240】
ConAクロマトグラフィ
アフィゲルブループールをAmicon(YM30)によって30−40mLに低減し、ConA開始緩衝液(1mMトリスHCl、pH7.4;1mM MgCl、1mM
MnCl、1mM CaCl、0.01%アジ化ナトリウム)に対して4℃で一晩透析した。固相:ConAセファロース(Pharmacia)カラム:XK26/20、ゲル床高:14cm(75mL)。流速:負荷:40mL/時、洗浄(開始緩衝液による):90mL/時、溶出:50mL/時、1mMトリス、pH7.4中0.2Mメチル−α−D−マンノシド。マンノシド溶出のタンパク質分画を収集し(110mL)、容量を限外ろ過(YM30)によって44mLに低減した。ConAプールを2mLアリコートに分け、それを−20℃で保存する。
【0241】
抗アポA−Iアフィニティクロマトグラフィ
抗アポA−I抗体を共有結合させたアフィゲル−Hz材料(Biorad)に関して抗アポA−Iアフィニティクロマトグラフィを実施した。カラム:XK 16/20、容量=16mL。カラムをPBS、pH7.4で平衡させた。ConAプール2mLをPBSに対して2時間透析した後、カラムに負荷した。流速:負荷:15mL/時、洗浄(PBS):40mL/時。プールしたタンパク質分画(容量=14mL)をLCATアッセイのために使用する。カラムを0.1Mクエン酸緩衝液(pH4.5)で再生して結合A−I(100mL)を溶出し、この手順の直後にPBSで再平衡させる。
【0242】
RCTのメディエイタの薬物動態
RCTのメディエイタが循環中で安定であり、血漿のHDL成分と結合することを明らかにするために、以下の実験プロトコールを使用することができる。
【0243】
化合物アゴニストの合成および/または放射能標識
125I標識LDLを、一塩化ヨウ素法によって500−900cpm/ngの比活性に作製した(Goldstein and Brown 1974 J.Biol.Chem.249:5153−5162)。培養ヒト線維芽細胞による低密度リポタンパク質の結合と分解を、記述されているように(Goldstein and Brown 1974 J.Biol.Chem.249:5153−5162)500−900cpm/ngの最終比活性で測定した。いずれの場合も、10%(w/v)トリクロロ酢酸(TCA)と共に4℃でのリポタンパク質のインキュベーションによって>99%の放射能が沈殿可能であった。Tyr残基を、その放射性ヨウ素化を可能にするために各々の化合物のN末端に結合した。化合物を、Iodo−Beads(Pierce Chemicals)を使用し、製造者のプロトコールに従って、Na125I(ICN)で800−1000cpm/ngの比活性に放射性ヨウ素化した。透析後、化合物の沈殿可能な放射能(10% TCA)は常に>97%であった。
【0244】
あるいは、14C標識Fmoc−ProをN末端アミノ酸として結合することによって放射能標識化合物を合成することができた。L−[U−14C]X、比活性9.25GBq/mmolを、Xを含む標識アゴニストの合成のために使用することができる。合成は、Lapatsanis,Synthesis,1983,671−173に従って実施し得る。簡単に述べると、非標識L−X250μM(29.6mg)を9%NaCO溶液225μLに溶解し、14C標識L−X 9.25MBq(250μM)の溶液(9%NaCO)に添加する。この液体を0℃に冷却し、DMF0.75mL中の9−フルオレニルメチル−N−スクシニミジルカルボネート(Fmoc−OSu)600μM(202mg)と混合して、室温で4時間振とうする。その後、混合物をジエチルエーテル(2×5mL)およびクロロホルム(1×5mL)で抽出し、残りの水相を30%HClで酸性にして、クロロホルム(5×8mL)で抽出する。有機相をNaSOで乾燥し、ろ取して、容積を窒素流下で5mLに低減する。純度を、紫外吸収検出を伴うTLC(CHCl:MeOH:Hac、9:1:0.1v/v/v、定常相HPTLCシリカゲル60、Merck,Germany)によって、例えば放射性化学物質純度:Linear Analyzer,Berthold,Germany;によって評価し、反応収率は約90%(LSCによって測定したとき)であり得る。
【0245】
14C−化合物Xを含むクロロホルム溶液を合成のための直接使用する。アミノ酸2−22を含むペプチド樹脂を上述したように自動合成し、前記合成のために使用することができる。ペプチドの配列をエドマン分解によって決定する。カップリングを、TBTUの代わりにHATU(O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)1−,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェートを好ましく使用することを除いて、先に述べたように実施する。非標識Fmoc−L−Xとの二次カップリングは手操作で実施する。
【0246】
マウスにおける薬物動態
各々の実験において、放射能標識化合物300−500μg/kg(0.3−0.5mg/kg)[または2.5mg/kgのようにそれ以上]を、標準マウス飼料またはアテローム発生性Thomas−Harcroft改変飼料(著しく高いVLDLおよびIDLコレステロールを生じさせる)を給餌したマウスに腹腔内注射し得る。血漿中の放射能の評価のために時間間隔をおいて多数回血液試料を採取する。
【0247】
ヒト血清中での安定性
標識化合物100μgを新鮮ヒト血漿(37℃)2mLと混合し、直ちに(対照試料)または37℃で8日間のインキュベーション後(被験試料)に脱脂し得る。脱脂は、等容
量の2:1(v/v)クロロホルム:メタノールで脂質を抽出することによって実施する。試料を逆相C18HPLCカラムに負荷し、アセトニトリル(0.1%w TFAを含む)の直線勾配(33分間で25−58%)で溶出する。溶出プロフィールを吸光度(220nm)および放射能によって追跡する。
【0248】
プレβ様粒子の形成
ヒトHDLを、上部分画を得るために密度d=1.21g/mLでのKBr密度超遠心分離によって単離し、次にSuperose 6ゲルろ過クロマトグラフィによって他のリポタンパク質からHDLを分離し得る。単離したHDLを、ブラッドフォードタンパク質アッセイによって決定したタンパク質含量に基づき生理食塩水で1.0mg/mLの最終濃度に調整する。300μLのアリコートを単離HDL試料から取り、標識化合物100μL(0.2−1.0μg/μL)と共に37℃で2時間インキュベートする。生理食塩水100μLを含有するブランクおよび4つの希釈の標識化合物を含む、多数の別々のインキュベーション試料を分析する。例えば:(i)0.20μg/μL化合物:HDL比=1:15;(ii)0.30μg/μL化合物:HDL比=1:10;(iii)0.60μg/μL化合物:HDL比=1:5;および(iv)1.00μg/μL化合物:HDL比=1:3。2時間のインキュベーション後、試料(総容量=400μL)の200μLアリコートをリポタンパク質の分離と分析のためにSuperose 6ゲルろ過カラムに負荷し、100μLを、負荷した総標識放射能を測定するために使用する。
【0249】
ヒトリポタンパク質とメディタの結合
ヒトリポタンパク質分画と分子メディエイタの結合を、標識化合物を各々のリポタンパク質クラス(HDL、LDLおよびVLDL)および種々のリポタンパク質クラスの混合物と共にインキュベートすることによって測定できる。HDL、LDLおよびVLDLを、d=1.21g/mLでのKBr密度勾配超遠心分離によって単離し、Superose 6Bカラムサイズ排除カラムでのFPLCによって精製する(クロマトグラフィは、0.7mL/分の流速、および1mMトリス(pH8)、115mM NaCl、2mM
EDTAおよび0.0%NaN)のランニング緩衝液で実施する)。標識化合物を、1:5(質量比)の化合物:リン脂質比でHDL、LDLおよびVLDLと共に37℃で2時間インキュベートする。必要量のリポタンパク質(1000μgを生成するために必要な量に基づく容量)を化合物原液(1mg/mL)0.2mLと混合し、その溶液を、0.9%NaClを用いて2.2mLにする。
【0250】
37℃で2時間インキュベートした後、総放射能の測定のために(例えば標識同位体に依存して液体シンチレーション計数またはγ線計数によって)アリコート(0.1mL)を取り、残りのインキュベーション混合物の密度をKBrで1.21g/mLに調整して、試料を、Beckman小型超遠心機を用いてTLA 100.3ローターにおいて4℃で24時間、100,000rpm(300,000g)で遠心分離する。生じた上清を、各々の試料の上部から0.3mLアリコートを取って分画し、合計5分画として、各々の分画0.05mLを計数のために使用する。上部の2分画は浮遊リポタンパク質を含み、その他の分画(3−5)は、溶液中の化合物に対応する。
【0251】
HDL脂質への選択的結合
ヒト血漿(2mL)を、37℃で2時間、標識化合物20、40、60、80および100μgと共にインキュベートする。リポタンパク質を、密度を1.21g/mLに調整し、TLA 100.3ローターにおいて4℃で36時間、100,000rpm(300,000g)で遠心分離することによって分離する。上部900μL(300μL分画中)を分析のために採取する。各々の300μL分画から50μLを放射能に関して計数し、各々の分画から200μLをFPLC(Superose 6/Superose 12組合せカラム)によって分析する。
【0252】
動物モデル系における逆コレステロール輸送のメディエイタの使用
好ましい実施形態のRCTのメディエイタの効果を、ウサギまたは他の適切な動物モデルにおいて明らかにすることができる。
【0253】
リン脂質/化合物複合体の作製
リン脂質(DPPC)と化合物から成る小さな円盤状粒子をコール酸透析法に従って作製する。リン脂質をクロロホルムに溶解し、窒素流の下で乾燥する。化合物を1−2mg/mLの濃度で緩衝液(食塩水)に溶解する。脂質膜を、コール酸を含む緩衝液(43℃)に再溶解し、化合物溶液を3:1のリン脂質/化合物重量比で添加する。その混合物を43℃で一晩インキュベートし、43℃(24時間)、室温(24時間)および4℃(24時間)で、温度変化点で緩衝液(大容量)を3回交換して、透析する。複合体は、注射および4℃での保存のためにろ過滅菌(0.22μm)し得る。
【0254】
化合物/リン脂質粒子の単離および特徴づけ
粒子をゲルろ過カラム(Superose 6 HR)で分離し得る。粒子を含むピークの位置を、各々の分画中のリン脂質濃度を測定することによって特定する。溶出容量から、ストークス半径を決定することができる。複合体中の化合物の濃度を、16時間の酸加水分解後にフェニルアラニン含量を測定することによって(HPLCによって)決定する。
【0255】
ウサギにおける注射
雄性ニュージーランド白色ウサギ(2.5−3kg)に、10−15mLを超えない単回ボーラス注射で一定用量のリン脂質/化合物複合体(ペプチドとして表わすと、5または10mg/kg体重)を静脈内注射する。操作の前に動物を少しだけ鎮静させる。注射の前および5、15、30、60、240および1440分後に血液試料(EDTAで収集)を採取する。各々の試料についてヘマトクリット値(Hct)を測定する。試料をアリコートに分け、分析まで−20℃で保存する。
【0256】
ウサギ血清の分析
総血漿コレステロール、血漿トリグリセリドおよび血漿リン脂質を、市販のアッセイを用いて、例えば製造者のプロトコールに従って(Boehringer Mannheim,Mannheim,GermanyおよびBiomerieux,69280,Marcy−L’etoile,France)、酵素的に測定する。
【0257】
血漿をそのリポタンパク質分画に分離した後に得られた分画の血漿リポタンパク質プロフィールは、スクロース密度勾配で遠心することによって決定し得る。例えば分画を収集し、VLDL、ILDL、LDLおよびHDLリポタンパク質密度に対応する分画における従来の酵素分析によってリン脂質およびコレステロールのレベルを測定することができる。
【0258】
修飾アミノ酸または分子基生物学的等価体または官能基生物学的等価体を担持するRCTメディエイタの合成
アトルバスタチンに基づく親油性基修飾ペプチド配列の合成
一般的分析方法
全ての試薬は市販品質のものであった。溶媒は、標準方法によって乾燥し、精製した。アミノ酸誘導体は市販のソースから入手した。分析TLCは、シリカゲル60F254、Merckの0.2mm層で被覆したアルミニウムシートで実施し、分取TLCは、シリカゲルPF254、Merckの2mm層で被覆した20cm×20cmガラスプレートで実施した。シリカゲル60(230−400メッシュ)、Merckをフラッシュクロ
マトグラフィのために使用した。融点はミクロホットステージ装置で読み取り、補正していない。H NMRスペクトルは、TMSまたは溶媒を標準品として使用して、400MHzで操作するBrucker 400スペクトロメータで記録した。元素分析は、NuMega Resonance Laboratories,San Diegoにおいて実施した。最終生成物の分取逆相HPLC(Glison)は、流速15mL/分で、254nmに設定した波長可変紫外吸収検出器を用いて、Phenomenex Luna 5μ C18(2)(60mm×21.2mm)カラムで実施した。CHCNとHOの混合物を勾配モードでの移動相として使用した(CHCN=5%−95%)。LC/UV/ELSD/MSによる分析は、PE SciexからのAPI 150 EX装置を用いて実施した。ESI−MS実験は正イオンモードで実施した。
【0259】
スキーム12
【0260】
【化53】

【0261】
2−(イソプロピルアミノ)−1,2−ジフェニルエタノン(2)
EtOH(150mL)中のベンゾイン(8.0g、37.7mmol)の溶液に、イソプロピルアミン(2.45g、41.5mmol)、次で氷AcOH(数滴)を添加した。反応物を45℃で5日間加熱した。揮発性物質を回転蒸発器で除去し、真空中で乾燥した。粗生成物を次の反応において使用した。
【0262】
ジメチル1−イソプロピル−4,5−ジフェニル−1H−ピロール−2,3−ジカルボン酸塩(3)
アセチレンジカルボン酸ジメチル(DMAD、7.0g、57mmol)をMeOH(100mL)中の上記アミン2(8.0g、32mmol)に添加し、反応物をアルゴン下に還流で一晩加熱した。反応混合物を氷浴で冷却し、ろ過した。固体を低温MeOH(20mL)で洗い、乾燥して、ピロール3を白色粉末として得た(9.8g、82%)。
【0263】
3−(メトキシカルボニル)−1−イソプロピル−4,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−ジカルボン酸(4)
ジエステル2(6.12g、16.1mmol)にMeOH(100mL)および1M
NaOH(水溶液、17.05mmol)を添加した。混合物を還流で18時間加熱した。揮発性物質を回転蒸発器で除去した。残留物を水(100mL)中に取り、エーテル(2×50mL)で抽出して、非反応出発物質を得るために取りおいた。水相を4M HClでpH〜3に酸性化し、エーテル(3×60mL)で抽出して、水(50mL)で洗い、乾燥した(NaSO)。蒸発および乾燥後、一酸4を白色固体として得た(5.02g、85%)。
【0264】
ベンジル3−(メトキシカルボニル)−1−イソプロピル−4,5−ジフェニル−1H−ピロール−2−イルカルバミン酸塩(5)
ベンゼン(3mL)中の上記一酸4(0.1g、0.27mmol)の溶液に、トリエチルアミン(45μL、0.33mmol)およびジフェニルリン酸アジド(DPPA、0.091g、0.33mmol)を添加し、室温で4時間攪拌した。次にベンジルアルコール(35μL、33mmol)を添加し、反応混合物を還流で15時間加熱した。反応物を室温に放置冷却し、5%NaHCO(5mL)を添加して、エーテル(2×10mL)で抽出した。濃縮後、カルバミン酸塩5を得た。
【0265】
メチル2−(4−(N,N’−ジ(Boc)グアニジニル)ブチルカルバモイル)−1−イソプロピル−4,5−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸塩(6)
CHCl(3mL)中の酸4(0.1g、0.27mmol)の溶液に、EDCI(0.053g、0.27mmol)、HOBt(0.037g、0.27mmol)、EtN(38μL、0.27mmol)およびアミン11(0.086g、0.26mmol)をこの順序で添加し、室温で一晩攪拌した。反応物をCHCl(10mL)で希釈し、飽和NaHCO(5mL)、ブライン(5mL)で洗って、乾燥し(NaSO)、アミド6(0.165g、88.8%)を白色固体として得た。
【0266】
2−(4−(N(Boc)グアニジニル)ブチルカルバモイル)−1−イソプロピル−4,5−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸(7)
エステル6(0.16g、0.237mmol)にMeOH(10mL)および1M NaOH(水溶液、1.0mL)を添加した。混合物を還流で18時間加熱した。揮発性物質を回転蒸発器で除去した。残留物を水(10mL)中に取り、4M HClでpH〜3に酸性化して、エーテル(3×10mL)で抽出し、水(10mL)で洗って、乾燥した(NaSO)。蒸発および乾燥後、酸7を得た(0.121g、91%)。
【0267】
2−(4−グアニジニル)ブチルカルバモイル)−1−イソプロピル−4,5−ジフェニル−1H−ピロール−3−カルボン酸.TFA(8)
CHCl(3mL)中の上記Boc保護化合物7(0.10g、0.178mmol)の溶液にトリフルオロ酢酸(3mL)を添加し、室温で4時間攪拌した。揮発性物質を回転蒸発器で除去した。粗生成物の逆相クロマトグラフィ(CHCN−HO/0.1%TFA)によって所望生成物8(0.075g、91%)をトリフルオロ酢酸塩とし
て得た。
【0268】
(S)−(4−(N3−(1−カルバモイル−3−カルボベンジルオキシプロピル)−1−イソプロピル−4,5−ジフェニル−1H−ピロール−2,3−ジカルボキサミド)ブチル)−N−(Boc)グアニジン(9)
CHCl(10mL)中の酸7(0.132g、0.23mmol)の溶液に、EDCI(0.051g、0.23mmol)、HOBt(0.032g、0.23mmol)、EtN(65μL、0.23mmol)およびアミン12(0.061g、0.22mmol)をこの順序で添加し、室温で一晩攪拌した。反応物をCHCl(10mL)で希釈し、飽和NaHCO(5mL)、ブライン(5mL)で洗って、乾燥し(NaSO)、白色固体アミド6(0.127g、69%)を得た。
【0269】
(S)−(4−(N3−(1−カルバモイル−3−カルボキシプロピル)−1−イソプロピル−4,5−ジフェニル−1H−ピロール−2,3−ジカルボキサミド)ブチル)グアニジン.TFA(10)
EtOH(10mL)中のベンジルエステル9(0.02g、0.025mmol)の溶液に、酢酸(0.1mL)および10%Pd(OH)/C(0.01g)を添加し、水素(バルーン)下に室温で攪拌した。一晩攪拌した後、反応物をろ過し、EtOHで洗って、蒸発させ、粗生成物を得て、それをTFA(2mL)中に取り、室温で4時間攪拌した。蒸発および逆相クロマトグラフィ(CHCN−HO/0.1%TFA)による精製後、所望生成物をトリフルオロ酢酸塩として得た。
【0270】
ニスバスタチンに基づく親油性基修飾ペプチド配列の合成
スキームA
【0271】
【化54】

【0272】
スキームA
エチル4−ヒドロキシキノリン−3−カルボン酸塩(A1)
アニリン(2.15g、23mmol)およびエトキシメチレンマロン酸ジエチル(5g、23mmol)をそのまま混合し、110℃で2時間加熱して、その後冷却し、15時間室温で放置した。この時間中に反応混合物は結晶化した。
【0273】
ダウサムA(70mL)を255℃に加熱し、溶融結晶を添加して、混合物を255℃で20分間加熱した。その後混合物を、氷浴で0℃に冷却したステンレス鋼容器に注ぎ入れた。低温溶液にヘキサンを添加して生成物を沈殿させ、それをろ過によって収集し、別の分量のヘキサンで洗浄した。生成物をEtOHから再結晶化させ、生成物を白色固体(1.6g、7.3mmol、32%、融点309℃)として得、それを、さらなる精製を行わずに次の工程で使用した。
【0274】
エチル4−クロロキノリン−3−カルボン酸塩(A2)
固体、エチル4−ヒドロキシキノリン−3−カルボン酸塩(A1)(1.5g、7mmol)に、POCl(2.2g、1.3mL、14mmol)を添加し、混合物を110℃で20分間加熱した。混合物をNH(水溶液、28−30%)および氷に注ぎ入れ、その後顆粒状になるまで攪拌した。溶融氷混合物をエーテル(3×40mL)で抽出し、併合有機相を乾燥して(MgSO)、ろ過し、濃縮して、生成物を油として得、それを放置して結晶化させ(1.44g、6mmol、87%)、さらなる精製を行わずに使用した。
【0275】
エチル4−(4−アミノブチルアミノ)キノリン−3−カルボン酸塩(A3)
トルエン(10mL)中のエチル4−クロロキノリン−3−カルボン酸塩(A2)(0.5g、2.1mmol)の溶液にジアミノブタン(10x、1.85g、21mmol)を添加し、混合物を110℃で1.5時間加熱した。この時間中に塩が形成し、それを高温の間にろ過によって除去し、ろ液を減圧下で濃縮して油を得た。水を添加し、混合物をDCM(2×25mL)で抽出した。併合有機相を乾燥して(MgSO)、ろ過し、濃縮して、生成物を油として得、それを放置して結晶化させ(476mg、1.66mmol、79%)、さらなる精製を行わずにその後の工程で使用した。
【0276】
tert−ブチル4−(3−エトキシカルボニル)キノリン−4−イルアミノ)ブチルカルバミン酸塩(A4)
DCM(60mL)中のエチル4−(4−アミノブチルアミノ)キノリン−3−カルボン酸塩(A3)の溶液に、ジ−tert−ブチルジカルボン酸塩を添加し、混合物を室温で8時間攪拌した。混合物を2M NaCO(20mL)、水(20mL)、飽和NaCl(20mL)で洗い、乾燥して(MgSO)、ろ過し、濃縮して、生成物を黄色油(4g)として得、そのままその後の工程で使用した。
【0277】
4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミン−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸(A5)
KOHエタノール溶液(5%、100mL)中のtert−ブチル4−(3−エトキシカルボニル)キノリン−4−イルアミノ)ブチルカルバミン酸塩(A4)の溶液を2時間還流し、その後減圧下で濃縮した。残留物を水(25mL)に溶解し、生じた混合物を、HCl(20%)を用いてpH8に調整した。固体が出現し、それをろ過によって収集して、生じたケークを水で洗い、真空下で乾燥して、生成物を白色粉末(2.763g)として得、それを次の工程で使用した。
【0278】
4−{[4−(4−アミノブチルアミノ)−キノリン−3−カルボニル]−アミノ}−4−酪酸(A6)
リンクアミドMBHA樹脂に結合したD−グルタミン酸tert−ブチルエステル(2g、1.32mmol)、4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミン−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸(A5)(2当量、950mg、2.64mmol)、およびPyBop(1.4g、2.64mmol)を、フレーム乾燥した50mL丸底フラスコに添加した。NMP(25mL)を加え、その溶液を室温で18時間攪拌した。混合物をろ過し、DCM、MeOHで交互に各々3回ずつ連続的に洗浄し、空気乾燥した。生じたビーズをTFA(10mL)に懸濁し、アニソール(0.2mL)を添加して、室温で1時間攪拌した。固体をろ取し、ろ液を減圧下で濃縮して油を得た。ACN/HO/0.1%TFA(5%−95%ACN勾配)を使用する逆相HPLCを用いた精製により、凍結乾燥後に生成物を白色固体として得た(127mg、0.33mmol、13%)。融点108℃:lH NMR (400MHz) δ8.96 (d, J=7.6Hz, 1H), 8.72 (br s, 1H), 8.58 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.94 (m, 2H), 7.71 (m, 4H), 7.63 (s, 1H), 7.18 (s, 1H), 4.35 (m,
1H), 2.81 (br s, 2H), 2.37 (m, 2H), 2.07-2.00 (series of m, 2H), 1.75 (m, 2H), 1.60 (m, 2H) EIMS m/z M+1 388.7. Anal. C19H25N5O4 + 2 TFA +2 H2O
スキームB
【0279】
【化55】

【0280】
スキームB
4−(4−ビス−boc−グアニジノ−ブチルアミン)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(B2)
無水DCM(4mL)中の1,3−ジ−boc−2−(トリフルオロメチルスルホニル)グアニジン(391mg、1mmol)の溶液に、エチル4−(4−アミノブチルアミノ)キノリン−3−カルボン酸塩(A3)(0.3g、1.05mmol)をそのまま添加し、混合物を室温で15時間攪拌した。混合物をDCMで希釈し、2M NaHSO(20mL)、飽和NaHCO(20mL)、飽和NaCl(20mL)で洗って、乾燥し(MgSO)、ろ過して、濃縮し、生成物を白色泡(225mg)として得、それをそのままその後の工程で使用した。
【0281】
4−(4−グアニジノ−ブチルアミン)−キノリン−3−カルボン酸(B3)
DME(2mL)中の4−(4−ビス−boc−グアニジノ−ブチルアミン)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(B2)(255mg、0.43mmol)の溶液に1M NaOH(2mL)を添加し、その溶液を室温で6時間攪拌した。この溶液に20%KOH溶液2滴を添加し、15時間攪拌を続けた。溶液を1/3容量に濃縮し、1M HClでpH6に調整して、生じた白色pptをろ過によって収集し、乾燥して、生成物を白色固体として得た(0.132g、0.26mmol、61%)。
【0282】
DCM(2mL)中の前記白色固体(152mg、0.27mmol)の溶液にTFA(2mL)を添加し、混合物を室温で2時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮し、生じた残留物を逆相HPLC、HO/ACN/0.1%TFA(5%−95%ACN)によって精製して、生じた分画を凍結乾燥によって濃縮して、生成物を白色固体として得た(43mg、0.1mmol、34%)。融点-98℃, 1H NMR (400MHz) δ8.82 (s, 1H), 8.49 (d, J=8.4Hz, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.86 (m, 2H), 7.56 (t, J=7.6, 7.2Hz, 4H), 7.31 (br s, 4H), 3.98 (s, 2H), 3.20 (d, J=5.6Hz, 3H), 1.75 (dd, J=6.4,36. 4Hz, EIMS m/z M+1 302.3. Anal. C15H19N5O2+ 1 TFA +2 H2O
スキームC
【0283】
【化56】

【0284】
スキームC
4−{[4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボニル]−アミノ}−酪酸ベンジルエステル(C3)
DCM(20mL)中の4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミン−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸(A5)(0.5g、1.4mmol)の懸濁液にTBTU(1.1当量、1.53mmol、482mg)を添加し、その溶液を攪拌して、DMF(20mL)を8時間添加した。28時間攪拌を続けた後、溶液は透明になり、TEA(155mg、0.213mL、1.53mmol)、次いでベンジル4−アミノブタン酸塩(C2)(1.1当量、0.559g、1.53mmol)を添加し、混合物を15時間攪拌した。DCMを減圧下で除去し、残りを水で希釈した。この水溶液をエーテル(3×50mL)、次にDCM(3×50mL)で抽出した。有機相を併合し、乾燥して(MgSO)、ろ過し、濃縮した。残留物を、DCM/MeOH(9:1)を用いたシリカでのフラッシュクロマトグラフィによって精製し、生成物を次の工程で使用するために十分な純度の油(0.484g)として得た。
【0285】
4−{[4−(4−アミノ−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボニル]−アミノ}−酪酸ベンジルエステル(C4)
DCM(10mL)中の4−{[4−(4−tert−ブトキシカルボニルアミノ−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボニル]−アミノ}−酪酸ベンジルエステル(C3)(0.454mg、0.9mmol)の溶液にTFA(4mL)を添加し、混合物を1時間攪拌した。溶液を濃縮し、飽和NaHCOで中和して、DCMで抽出した。有機相を
併合し、乾燥して(MgSO)、ろ過し、減圧下で濃縮して、生成物を透明な油(227mg、0.52mmol)として得た。
【0286】
4−{[4−(4−ビス−Boc−グアニジノ−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボニル]−アミノ}−酪酸ベンジルエステル(C5)
DCM(7mL)中の4−{[4−(4−アミノ−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボニル]−アミノ}−酪酸ベンジルエステル(C4)(227mg、0.52mmol)の溶液に、TEA(53mg、0.72mL)、次いで1,3−ジ−boc−2−(トリフルオロメチルスルホニル)グアニジン(204mg、0.52mmol)を添加し、混合物を室温で5時間攪拌した。有機溶液をさらなるDCMで希釈し、2M NaHSO(25mL)、NaHCO(25mL)で洗って、乾燥し(MgSO)、ろ過して、減圧下で濃縮し、生成物を白色泡(305mg)として得、それをそのまま使用した。
【0287】
4−{[4−(4−グアニジノ−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボニル]−アミノ}−酪酸(C6)
MeOH(10mL)中の4−{[4−(4−ビス−Boc−グアニジノ−ブチルアミノ)−キノリン−3−カルボニル]−アミノ}−酪酸ベンジルエステル(C5)(305mg)の溶液にPd/C(10重量%、10%w/w、30mg)を添加し、混合物をHガスで5回真空パージして、H下で18時間攪拌した。Pd/Cをセライトを通したろ過によって除去し、ろ液を減圧下で濃縮して、白色泡残留物を得た。
【0288】
上記残留物をDCM(5mL)に溶解し、TFA(5mL)を添加して、混合物を室温で4時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をエーテルで粉砕した。生じた油を、ACN/HO/TFA(0.1%)を溶離液として用いる(5%−95%ACN勾配)逆相HPLCによって精製し、生成物を白色吸湿性固体(70mg、0.018mmol)として得た。融点は測定しなかった。1H NMR (400MHz) δ9.86 (br s, 1H), 8.92 (t, J=5.2, 5.6Hz, 1H), 8.56 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.91 (m, 2H), 7.76 (t, J=5.6, 5.6Hz, 1H), 7.68 (m, 1H), 7.37-7.06 (br m, 4H), 3.29 (m, 6H), 3.12 (q, J=6.4, 12.8Hz), 2.33 (t, J=7.2, 7.2Hz, 2H), 1.76 (m, 4H), 1.54 (m, 2). EIMS m/z M+1 387.5. Anal. 測定せず。
【0289】
スキームD
【0290】
【化57】

【0291】
スキームD
エチル2−メチル−4−フェニルキノリン−3−カルボン酸塩(D1)
トルエン(100mL)中の2−アミノベンゾフェノン(10g、51mmol)およびアセト酢酸エチル(5.3g、63.8mmol、8mL)の溶液にPTSA(0.3g)を添加し、反応混合物を、ディーン‐スターク装置を用いて還流で1.5時間、水分が見えなくなるまで加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOHから再結晶化して、生成物を明黄色結晶として得た(8.14g、28mmol)。
【0292】
(2−メチル−4−フェニルキノリン−3−イル)メタノール(D2)
−78℃のDCM(50mL)中のエチル2−メチル−4−フェニルキノリン−3−カルボン酸塩(D1)(5g、17.2mmol)の溶液に、DCM中の1M Dibal−H(2.5当量、43mmol、43mL)を滴下し、この温度で1.5時間攪拌を続けた。水(10mL)中のNaSO(6.1g、43mmol)の溶液を−78℃で慎重に添加し、混合物を放置して室温に温め、1時間攪拌した。固体をろ取し、高温EtOAcで洗浄した。ろ液を併合し、減圧下で濃縮して、生成物を黄色固体残留物として得た(3.62g、14.5mmol)。
【0293】
3−(クロロメチル)−2−メチル−4−フェニルキノリン(D3)
DCM(50mL)中の(2−メチル−4−フェニルキノリン−3−イル)メタノール(D2)の溶液にSOCl(10.4mL、17g、140mmol)を添加し、混合物を室温で4時間攪拌した。混合物を減圧下で濃縮して、塩化物のHCl塩を黄色固体として得た(2.266g)。生成物をHCl塩として保存して、飽和NaHCOで処理し、エーテルで抽出することによって遊離塩基に変換した。
【0294】
tert−ブチル1,1−ジ(エトキシカルボニル)−2−(2−メチル−4−フェニルキノリン−3−イル)エチルカルバミン酸塩(D4)
DMF(12mL)中の遊離塩基としての3−(クロロメチル)−2−メチル−4−フェニルキノリン(D3)(0.958g、3.6mmol)の溶液に、NaH(4.32mmol、104mg)で15分間処理することによって脱保護しておいたtert−ブチルジ(エトキシカルボニル)メチルカルバミン酸塩(4.32mmol、1.19g)のDMF(40mL)溶液を添加した。この混合物を一晩攪拌し、その後減圧下で濃縮して、HOに溶解し、その溶液をエーテル(3×50mL)で抽出した。抽出物を併合し、乾燥して(MgSO)、ろ過し、減圧下で濃縮して、生成物を褐色油として得、それをそのまま使用した。
【0295】
2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−プロピオン酸(D5)
MeOH(10mL)中のtert−ブチル1,1−ジ(エトキシカルボニル)−2−(2−メチル−4−フェニルキノリン−3−イル)エチルカルバミン酸塩(D4)(0.85g、1.7mmol)の溶液に2M NaOH(2.1当量、1.8mL)を添加し、混合物を90℃で7時間加熱した。溶媒を減圧下で除去し、残留物を水で希釈した。生じた混合物を、20%HCl水溶液を用いてpH5.5に調整し、乳白色溶液をEtOAc(3×50mL)で抽出し、乾燥して(MgSO)、ろ過し、濃縮して、生成物を褐色泡固体(0.404g、1mmol)として得、それをそのまま使用した。
【0296】
{3−[2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−プロピオニルアミノ]−プロピル}−カルバミン酸フェニルエステル(D6)
DCM(15mL)中の2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−プロピオン酸(D5)(200mg、0.5mmmol)の溶液に、TBTU(1.1当量、174mg、0.54mmol)およびTEA(2当量、1.08mmol、110mg、150μL)を添加し、混合物を室温で10分間攪拌した。この混合物にフェニル4−アミノブチルカルバミン酸塩(1.1当量、0.54mmol、140mg)を添加し、混合物を室温で4時間攪拌した。水を添加し、有機相を分離して、乾燥し(MgSO)、ろ過して、濃縮し、黄色残留物を得た。この残留物を、最初に2%DCM/MeOH、次に4%DCM/MeOH、次に8%DCM/MeOH、各々250mLを用いてシリカで精製し、生成物を黄色油として得た(228mg)。
【0297】
{3−[アミノ−3−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチル}−カルバミン酸フェニルエステル(D7)
DCM(5mL)中の{3−[2−tert−ブトキシカルボニルアミノ−3−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−プロピオニルアミノ]−プロピル}−カルバミン酸フェニルエステル(D6)(220mg、0.36mmol)の溶液にTFA/DCM(3.5mL/5mL)の混合物を添加し、この混合物を室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(50mL)中に取って、飽和NaHCO(35mL)、水(2×25mL)で洗い、乾燥して(MgSO)、ろ過し、濃縮して、生成物を透明な黄色油として得た(161mg、0.32mmol、88%)。
【0298】
4−[2−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−1−(4−フェノキシカルボニルアミノ−ブチルカルバモイル)−エチルカルバモイル]−酪酸(D8)
THF中の{3−[アミノ−3−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−プロピオニルアミノ]−ブチル}−カルバミン酸フェニルエステル(D7)(161mg、0.32mmol)の溶液に無水グルタル酸(1.5当量、0.5mmol、57mg)を添加し、この溶液を室温で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、残留物をEtOAc(25mL)中に取って、水で洗い、乾燥して(MgSO)、ろ過し、濃縮して、生成物を、緩やかに凝固する透明な橙色油として得(213mg)、それを、さらなる特徴づけを行わずにそのまま使用した。
【0299】
4−[1−(4−アミノ−ブチルカルバモイル)−2−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−エチルカルバモイル]−酪酸(D9)
MeOH(10mL)およびTHF(5mL)中の4−[2−(2−メチル−4−フェニル−キノリン−3−イル)−1−(4−フェノキシカルボニルアミノ−ブチルカルバモイル)−エチルカルバモイル]−酪酸(D8)(213mg、0.34mmol)の溶液にPd/Cを添加し、80psi HガスのParr振とう機上に5時間置いた。Pd/Cを、セライトを通したろ過によって除去し、濃縮した。生じた残留物を、HO/ACN(5−95%ACN)を用いる逆相HPLCによって精製し、凍結乾燥後、生成物を白色固体として得た(13.3mg)。融点 129℃, 1H NMR (400MHz) δ7.91 (m, 2H), 7.64 (m, 2H), 7.54 (m, 4H), 7.36 (m, 2H), 7.26 (d, J=6.4Hz, 1H), 7.08 (d, J=8Hz,
1H), 4.352 (m, 1H), 3.1-2.6 (series of m, 8H), 2.03 (m, 4H), 1.55 (m, 2H), 1.22
(m, 4H). EIMS m/z M+1 491.7. Anal. C28H34N4O4+ 3H2O
スキームE
【0300】
【化58】

【0301】
スキームE
4−(5−ベンジルオキシカルボニルアミノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E2、n=4)
DMA(20mL)中のエチル4−クロロキノリン−3−カルボン酸塩(A2)(1g、4.26mmol)の溶液に、N−CBz−ジアミノペンタン(1.4g、5.1mmol)およびDABCO(1.4g、13mmol)を添加し、その溶液を115℃で2.5時間加熱した。DMAを減圧下で除去し、残留物を水に懸濁して、エーテル(3×2
5mL)で抽出し、乾燥して(MgSO)、ろ過し、濃縮して、生成物を透明な褐色油(1.88g、4.3mmol)として得、それをそのまま使用した。
【0302】
【化59】

【0303】
4−(5−アミノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E3、n=4)
EtOH(30mL)中の4−(5−ベンジルオキシカルボニルアミノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E2、n=4)(1.88g、4.3mmol)の溶液にPd/C(180mg、10%w/w Pd)を添加し、混合物をHガス下で、必要に応じてバルーンを再充填しながら3日間攪拌した。セライトを通してろ過することによって触媒を除去し、濃縮して、生成物を蜂蜜色の油(1.3g、4.2mmol)として得、それを、さらなる精製を行わずに使用した。
【0304】
4−(5−ビス−Boc−グアニジノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E4、n=4)
無水DCM(10mL)中の4−(5−アミノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E3、n=4)(0.64g、2.1mmol)の溶液に、TEA(322μL、233mg)および1,3−ジ−boc−2−(トリフルオロメチルスルホニル)グアニジン(1.1当量、0.9g、2.31mmol)を添加し、混合物を室温で2.5時間攪拌した。溶液をさらなるDCMで希釈し、2M NaHSO(20mL)、飽和NaHCO(20mL)、飽和NaClで洗って、乾燥し(NaSO)、ろ過して、濃縮し、生成物を白色泡(1.2g、2.1mmol)として得、それをそのまま使用した。
【0305】
4−(5−グアニジノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸(E5、n=4)
DME(20mL)中の4−(5−ビス−Boc−グアニジノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E4、n=4)(1.2g、2.1mmol)の溶液に1M NaOH(15mL)を添加し、混合物を室温で2日間攪拌した。混合物を濃縮してDMEを除去し、残りの水性混合物をHCl(20%水溶液)でpH〜5−6に調整した。生じた固体をろ過によって収集し、空気乾燥した。
【0306】
前記粗固体をDCM(15mL)に懸濁し、TFA(3.5mL)を添加して、混合物を室温で2.5時間攪拌した。さらなるTFAを添加し、溶液を3.5時間攪拌して、その後濃縮した。残留物を水に懸濁し、pHを〜7−8に調整するために2M NaCOを添加して、生じた固体をろ過によって収集し、真空下で乾燥した。粗生成物を、HO/ACN/0.5%TFAを用いたC18でのHPLCによって精製し、凍結乾燥後に白色固体としての化合物(40mg、0.09mmol)をモノTFA塩として得た。融
点 72℃, 1H NMR (400MHz) δ8.79 (s, 1H), 8.48 (d, J=8.8Hz, 1H), 7.86 (m, 2H), 7.78 (m, 1H), 7.55 (m, 1H), 7.24 (br s, 4H), 3.94 (m, 3H), 3.14 (d, J=6.4, 6.8Hz, 2H), 1.77 (m, 2H), 1.55 (m, 4H) EIMS m/z M+l316.3. Anal. C16H21N5O2 + 2H2O + 1TFA。
【0307】
4−(3−グアニジノ−プロピルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸(E5、n=2)
この化合物は、n−(3−アミノプロピル)−カルバミン酸t−ブチルエステルを使用し、TFAで脱保護して、4−(5−グアニジノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸(E5、n=4)と同様にして製造した。融点 231℃, 1H NMR (400MHz) δ10.48 (m, 1H), 9.52(br s, 1H), 9.00 (s, 1H), 8.20 (d, J=8.4Hz, lH), 7.75 (d, J=8.4Hz, 1H) , 7.60 (t, J=6.8,8.4Hz, 2H), 7.35 (t, J=7.6, 8Hz, 2H), 3.75 (m, 3H), 3.22 (t, J=7.2, 7.2Hz, 2H), 1.90 (m, 2H) EIMS m/z M+1 288.4. Anal. C14H17N5O2 + 2H2O。
【0308】
4−(2−グアニジノ−エチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸(E5、n=1)
この化合物は、n−Boc−エチレンジアミンを使用し、TFAで脱保護して、4−(5−グアニジノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸(E5、n=4)と同様にして製造した。融点 267℃, 1H NMR (400MHz) δ8.77 (s, 1H), 8.42 (d, J=8.4Hz, lH), 7.84 (m, 3H), 7.57 (t, J=8.4Hz, 7.2Hz 1H), 7.28 (br s, 3H), 4.08 (br s, 2H). EIMS m/z M+1 274.5. Anal. C13H15N5O2+ 2H2O + ITFA。
【0309】
ピリミジン
4−[3−(ピリミジン−2−イル−アミノ)−プロピルアミノ]−キノリン−3−カルボン酸(E6、n=2、R=H)
EtOH(35mL)中の4−(3−アミノ−プロピルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E3、n=2、177mg、0.65mmol)の溶液に、DIPEA(1mmol、129mg、173μL)および2−クロロピリミジン(90mg、0.78mmol)を添加し、混合物を還流で15時間加熱した。溶液を濃縮し、EtOH(15mL)中に取り、1M NaOH(5mL)を添加して、溶液を15時間攪拌した。混合物を濃縮し、20%HClを用いて残留物をpH〜5に調整した。生じた固体を収集し、逆相HPLC、C18でACN/HO 5−95%によって精製し、凍結乾燥後、生成物を白色固体として得た(135mg)。融点269℃ 1H NMR (400MHz) 68.47 (d, J=8.8Hz, 1H), 8.19 (d, J=4.8Hz, 2H), 7.80 (m, 2H), 7.50 (m, lH), 7.26(m,
1H), 6.52 (t, J=4.4, 5.2Hz, 1H), 3.99 (m, 2H) 2.00 (m, 2H). EIMS m/z M+1 324.5.
Anal. C17H17N5O2 + lH20 + 1 TFA。
【0310】
4−[5−(ピリミジン−2−イルアミノ)−ペンチルアミノ]−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E6、n=4、R=CHCH
EtOH(20mL)中の4−(5−アミノ−ペンチルアミノ)−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(E3、n=4、505mg、1.7mmol)の溶液に、DIPEA(323mg、2.5mmol、435μL)および2−クロロピリミジン(231mg、2mmol)を添加し、混合物を還流で15時間加熱した。混合物を濃縮し、逆相HPLC、C18、ACN/HO 5−95%によって精製して、生成物をオフホワイト色の黄色がかった固体として得た(135mg、0.36mmol、21%)。融点108℃ 1H NMR (400MHz) δ8.92 (m, 1H), 8.83 (s, 1H), 8.34 (d, J=8.4Hz, 1H) , 8.19 (d, J=4. 8Hz, 2H), 7.8 (m, 1H), 7.71 (m, 1H), 7.44 (m, 1H), 7.09 (t, J=6, 5.6Hz, 1H), 6.50 (t, J=4.8, 4.8Hz, 1H), 3.68 (m, 2H), 3.22 (q, J=6.8, 12.8Hz, 2H) , 1.68 (m, 2H), 1.52 (m, 2H), 1.41 (m, 2H). EIMS m/z M+1 380.5. Anal. C21H25N5O2。
【0311】
スキームF
【0312】
【化60】

【0313】
スキームF
4−アミノ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(F2)
トルエン(10mL)中のエチル4−クロロキノリン−3−カルボン酸塩(A2、1.44g、0.6mmol)の溶液に濃縮NHを添加し、混合物をスチールボンベ中に密封して、125℃で4時間加熱した。ボンベを冷却し、生じた白色固体を真空ろ過によって収集して、乾燥し、生成物(1.5g)を得た。
【0314】
4−アミノ−キノリン−3−カルボン酸(F3)
EtOH(5mL)中の4−アミノ−キノリン−3−カルボン酸エチルエステル(F2)(250mg、1.2mmol)の溶液に20%KOH(10mL)を添加し、混合物を還流で1時間加熱した。EtOHを減圧下で除去し、20%HClを用いて水溶液をpH〜6.5−7に調整した。白色固体を収集し、乾燥して、生成物(161mg)を得た。生成物をEtOHから結晶化し、乾燥した。融点305℃。1H NMR (400MHz) δ8.89 (s, 1H), 8.42 (d, J=8.4Hz, 1H), 7.83 (m, 2H), 7.60 (m, 1H). EIMS m/z M+1189.4. Anal. C10H8N2O2+ 0.5 H2O。
【0315】
当業者には明白であるように、ここで述べる実施形態の多くの修正および変法をその範囲から逸脱することなく実施し得る。ここで述べる特定実施形態は単に例として提供するものである。
【0316】
引用した(および参照してここに組み込まれる)参考文献:
【0317】
【表3】

【0318】
【表4】

【0319】
【表5】

【0320】
【表6】

【0321】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造:
【化1】

[式中、A、BおよびCはいかなる順序であってもよく、および
Aは、酸性基またはその生物学的等価体を含む、酸性部分を含み;
Bは、HMG CoAレダクターゼ阻害剤またはその類似体の少なくとも一部を含む芳香族または親油性部分を含み;および
Cは、塩基性基またはその生物学的等価体を含む、塩基性部分を含む]
を含む、逆コレステロール輸送のメディエイタ。
【請求項2】
αアミノまたはαカルボキシ基の少なくとも1個が、それらのそれぞれのアミノまたはカルボキシ末端部分から除去されている、請求項1に記載のメディエイタ。
【請求項3】
除去されていない場合、αアミノ基が、ホルミル、アセチル、フェニルアセチル、ベンゾイル、ピボリル、9−フルオレニルメチルオキシカルボニル、2−ナフチル酸、ニコチン酸、CH−(CH−CO−[式中、nは1−20の範囲である]、ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル、ナフチル、置換ナフチル、Fmoc、ビフェニル、置換フェニル、置換ヘテロ環、アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、縮合シクロアルキル、飽和へテロアリールおよび置換飽和へテロアリールから成る群より選択される保護基でキャップされている、請求項1または2に記載のメディエイタ。
【請求項4】
除去されていない場合、αカルボキシ基が、RNH[式中、R=H、ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル、ナフチル、置換ナフチル、Fmoc、ビフェニル、置換フェニル、置換ヘテロ環、アルキル、アリール、置換アリール、シクロアルキル、縮合シクロアルキル、飽和へテロアリールおよび置換飽和へテロアリール]などのアミンから成る群より選択される保護基でキャップされている、請求項1または2に記載のメディエイタ。
【請求項5】
酸性基の生物学的等価体が、
【化2】

から成る群より選択される、請求項1に記載のメディエイタ。
【請求項6】
塩基性基の生物学的等価体が、
【化3】

から成る群より選択される、請求項1に記載のメディエイタ。
【請求項7】
メディエイタが、
【化4】

【化5】

【化6】

【化7】

から成る群より選択される、請求項1に記載のメディエイタ。
【請求項8】
化合物4−アグマチン−3−アミドGABAキノリン。
【請求項9】
化合物4−(1−(4−アミノブチルカルバモイル)−2−(2−メチル−4−フェニルキノリン−3−イル)エチルカルバモイル)ブタン酸。
【請求項10】
化合物:
【化8】

【請求項11】
化合物4−(5−グアニジノペンチルアミノ)キノリン−3−カルボン酸。

【公表番号】特表2008−502736(P2008−502736A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527787(P2007−527787)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/020660
【国際公開番号】WO2005/123686
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(500539033)アバニール・ファーマシューティカルズ (15)
【Fターム(参考)】