説明

2層円形位置ずれ測定装置

【課題】2層円形の位置ずれ量を測定する際に、安定して2層の円形重心を検出し、検出した2つの円形の重心から2層円形のずれ量を算出し2層円形の位置ずれを測定可能にする2層円形位置ずれ測定装置を提供する。
【解決手段】全体として2以上の層を有する円形の物体を上方から撮像する撮像手段と、検査エリアと検査エリアの中心を設定する手段と、外側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段と、外側円の複数のエッジを検出する手段と、外側円の仮重心を求める手段と、外側円の重心を求める手段と、内側円の複数のエッジ検出範囲を求める手段と、内側円の複数のエッジを検出する手段と、内側円の仮重心を求める手段と、内側円の重心を求める手段と、外側円の重心と内側円の重心から外側円と内側円の位置ずれ量を算出する手段とを備えたことを特徴とする2層円形位置ずれ測定装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカラーフィルタ基板等に形成された2以上の層を有する円形物体の2層の円形の位置ずれ測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
2以上の層を有する円形物体として、カラーフィルタ基板に形成されたパターンを例として説明する。
【0003】
図1はカラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を断面で示した図であり、ガラス基板10上にブラックマトリックス(以下、BM)11、レッドRの着色画素(以下、R画素)12a、グリーンGの着色画素(以下、G画素)12b、ブルーBの着色画素(以下、B画素)12c、透明電極13、及びフォトスペーサー(Photo Spacer)(以下、PS)14aが順次形成されたものである。
【0004】
図2は図1の破線15で示される部分を拡大した図を示し、図3は図2を上面から見た図を拡大した図を示す。図2における14bの部分は例えば16はレッドの着色フォトレジストで形成される層(以下、R層)、17はグリーンの着色フォトレジストで形成される層(以下、G層)、18はブルーの着色フォトレジストで形成される層(以下、B層)であって、R画素12a、G画素12b、B画素12cを形成する時に同時に形成されるもので、円錐の形状をなすものである。更に、透明電極13が成膜された後、セル組みの際に対向する駆動電極との接触を避けるためのPSの一部14aが形成される。
【0005】
上記構造のカラーフィルタの製造方法は、フォトリソグラフィー法、印刷法、インクジェット法が知られている。
【0006】
図4は一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示すフロー図である。
【0007】
カラーフィルタは、先ず、ガラス基板上にBMを形成処理する工程(C−1)、ガラス基板を洗浄処理する工程(C−2)、着色フォトレジストを塗布および予備乾燥処理する工程(C−3)、着色フォトレジストを乾燥、硬化処理するプリベーク工程(C−4)、露光処理する工程(C−5)、現像処理する工程(C−6)、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C−7)、透明電極を成膜処理する工程(C−8)、PSを形成処理する工程(C−9)がこの順に行われ製造される。
【0008】
例えば、R画素、G画素、B画素の順に画素を形成する場合には、カラーフィルタ用ガラス基板を洗浄処理する工程(C−2)から、着色フォトレジストを硬化処理する工程(C−7)間ではレッドR、グリーンG、ブルーBの順に着色レジストを変更して3回繰り返されてR画素、G画素、B画素が形成される。
【0009】
前記カラーフィルタの製造途中では種々の規格管理項目があるが、カラーフィルタ製造途中にて形成されるPS(図2の14)の高さ、位置は最終製品へ影響を与えるため厳しい品質管理を求められる。そこで、PS高さ、位置を測定し管理することで製品保証を行っている。特に、PSを形成する図2、図3に示されるR層16、G層17、B層18及びPSの一部14aの1層にでも位置ずれがあるとその形状に悪影響を及ぼすため、PSを形成する各層間の位置ずれは品質管理上、厳しく管理される。
【0010】
従って、カラーフィルタ製造途中のPSを形成する場合の各層の位置は図5(a)に示
すように2層の下の層20の中央に位置するように順次、2層の上の層21を形成しなければならない。図5(b)のようにどちらかの層が片側に寄ると位置不良の原因となり、結果として、形状不良となる。
【0011】
従来から行われている2層円形位置ずれ測定方法では、オペレータによって円形の境界部分を判断し手動で測定する方法がある。しかしながら手動測定の場合、撮像画像からオペレータが上下左右の間隔を測定しているため人的誤差が大きくなってしまうなどの問題点もある。
【0012】
また、2層円形の位置ずれを規格管理するために測定部位の撮像画像から図6に示す画素間隔を測定する方法も採用されている。即ち、図6に示される例えばPS22の外円周24と、PS22と着色層23の境界25までの寸法を左右上下の計4箇所測定し│H−G│及び│E−F│が設定値以下であればPS22の位置は良と判断するものである。しかしこの測定方法では、測定部位を撮像した際に境界部分24や境界部分25が不明瞭であったりするため、境界部分の検出が不安定になる。そのため測定結果にバラつきが生じるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開平11−288463号公報
【特許文献2】特願2008−330027号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、これら上記の問題を鑑みてなされたもので、2層円形の位置ずれ量を測定する際に、安定して2層の円形重心を検出し、検出した2つの円形の重心から2層円形のずれ量を算出し2層円形の位置ずれを測定可能にする2層円形位置ずれ測定装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の請求項1に係る発明は、全体として2以上の層を有する円形の物体を上方から撮像する撮像手段と、撮像手段によって得られた画像から検査エリアと検査エリアの中心を設定する手段と、検査エリア内に外側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段と、外側円の複数のエッジ検出範囲から外側円の複数のエッジを検出する手段と、外側円の複数のエッジから外側円の仮重心を求める手段と、外側円の仮重心から外側円の重心を求める手段と、外側円と外側円の重心から内側円の複数のエッジ検出範囲を求める手段と、内側円の複数のエッジ検出範囲から内側円の複数のエッジを検出する手段と、内側円の複数のエッジから内側円の仮重心を求める手段と、内側円の仮重心から内側円の重心を求める手段と、外側円の重心と内側円の重心から外側円と内側円の位置ずれ量を算出する手段とを備えたことを特徴とする2層円形位置ずれ測定装置である。
【0016】
本発明の請求項2に係る発明は、検査エリアと検査エリアの中心を設定する手段は、予め登録されたマッチングと撮像手段によって撮像された画像をパターンマッチングによって検査エリアと検査エリアの中心を設定することを特徴とする請求項1記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0017】
本発明の請求項3に係る発明は、外側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段は、検査エリアの外側から検査エリアの中心に向かって複数の線分を設け、検査エリアの外側と、検査エリアの中心に向かって設けられた複数の線分によって囲まれた範囲をエッジ検出範囲とすることを特徴とする請求項1または2に記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0018】
本発明の請求項4に係る発明は、外側円の複数のエッジを検出する手段は、エッジ検出範囲中の外側からN番目に検出したエッジを外側円のエッジとし、検出エリアの外側の一部の点から検査エリアの中心に向かってエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の2層円形位置測定装置である。
【0019】
本発明の請求項5に係る発明は、外側円の仮重心を求める手段は、求められた外側円の複数のエッジから3個のエッジのグループを設け、グループの数と同じ数の外側円の仮重心を求めることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0020】
本発明の請求項6に係る発明は、外側円の重心を求める手段は、外側円の求められた複数の仮重心から規格外の仮重心を削除し、残りの仮重心から3個の仮重心のグループを作り、グループの数と同じ数の新たな仮重心を求め、求められた新たな仮重心とグループに入らない仮重心の合計が3個以下になるまで更に新たな仮重心を求め、求められた更に新たな仮重心とグループに入らない仮重心の合計が2個の場合は2個の仮重心を平均して外側円の重心とし、合計が1個の場合はその仮重心を外側円の重心とすることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0021】
本発明の請求項7に係る発明は、内側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段は、外側円の重心から外側円に向かって複数の線分を設け、複数の線分と外側円よって囲まれた範囲を内側円のエッジ検出範囲とすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0022】
本発明の請求項8に係る発明は、内側円の複数のエッジを検出する手段は、内側円のエッジ検出範囲中の外側円からN番目に検出したエッジを内側円のエッジとし、外側円の一部の点から外側円の重心に向かってエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0023】
本発明の請求項9に係る発明は、内側円の仮重心を求める手段は、求められた複数の内側円のエッジから3個のエッジのグループを作り、グループの数と同じ数の内側円の仮重心を求めることを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0024】
本発明の請求項10に係る発明は、内側円の重心を求める手段は、内側円の求められた複数の仮重心から規格外の仮重心を削除し、残りの仮重心から3個の仮重心のグループを設け、グループの数と同じ数の新たな仮重心を求め、求められた新たな仮重心とグループに入らない仮重心の合計が3個以下になるまで更に新たな仮重心を求め、求められた更に新たな仮重心とグループに入らない仮重心の合計が2個の場合は2個の仮重心を平均して外側円の重心とし、合計が1個の場合はその仮重心を内側円の重心とすることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0025】
本発明の請求項11に係る発明は、位置ずれ量を算出する手段は、求められた外側円の重心座標(Xout、Yout)と求められた内側円の重心座標(Xin、Yin)から│Xout−Xin│、│Yout−Yin│を算出することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【0026】
本発明の請求項12に係る発明は、予め外側円と内側円の位置ずれ量の閾値を設定し、算出された位置ずれ量が閾値を超えた場合は、警報信号を発生し、製造工程にフィードバ
ックすることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置である。
【発明の効果】
【0027】
従来方法では安定して2層円形のエッジの境界部を検出することができなかったため、2層の円形の位置ずれ測定にはバラつきがあった。しかし、本発明の2層円形位置ずれ測定装置によれば、2層円形の各々の重心を安定して求めることができるためバラつきのない測定が可能となる。また、算出した2層円形の位置ずれ量が予め設定した閾値を超えた場合は、警報信号を発生し製造工程にフィードバックすることによって、不良品の発生の抑制が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】カラー液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を断面で示した図
【図2】図1の破線15で示される部分を拡大した図
【図3】図2を上面から見た拡大図
【図4】一般的に用いられているフォトリソグラフィー法の工程を示す概略ブロック図
【図5】PSと他の層の位置を示す図 図5(a)は2つの層の位置があっている場合を示す図 図5(b)はどちらかの層が片側に寄った場合を示す図
【図6】従来法の2層間の位置ずれを測定する方法を示す図
【図7】本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置を用いて2層円形位置ずれ測定を実施す るために用いられるカラーフィルタ基板のPSを断面で示した図
【図8】本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置の一例の概略図
【図9】本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置を用いて、2層円形位置ずれ測定を行う 場合に使用するカラーフィルタ基板の一部を模式的に示した上面図
【図10】本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置の撮像部で撮像したPSの画像を模式 的に示した図
【図11】本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置を用いて2層円形位置ずれ量を測定す る方法を説明するための図
【図12】本発明に係る外側円の重心を求める場合のフロー図
【図13】本発明に係る外側円の検査エリアと検査エリア中心を設定する手段を説明する ための図 図13(a)はパターンマッチングのために事前に登録されたマッチング画像 の模式図 図13(b)は、撮像部によって撮像された撮像画像の模式図 図13(c)は、検査エリアと検査エリアの中心を示す図
【図14】本発明に係る外側円の複数のエッジを検出する手段を説明するための図
【図15】本発明に係る外側円の複数のエッジ検出範囲のうちの1個のエッジ検出範囲を 示す図
【図16】本発明に係る検出された外側円の複数のエッジの模式図
【図17】本発明に係る外側円の仮重心を示す図
【図18】本発明に係る規格外の仮重心の規格を求める方法を説明するための図
【図19】本発明に係る残った仮重心から再度、新たな仮重心と更に重心を求める方法を 説明するための図
【図20】本発明に係る仮重心及び重心を求める一例を示すフロー図 図20(a)は検出エッジが16個の場合 図20(b)は検出エッジが100個の場合
【図21】本発明に係る内側円の重心を求める手段を示すフロー図
【図22】本発明に係る内側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段を説明するための 図
【図23】本発明に係る内側円の複数のエッジ検出範囲のうちの1個の内側円のエッジ検 出範囲を示す図
【図24】本発明に係る内側円の複数のエッジの模式図
【図25】本発明に係る内側円の仮重心を示す図
【図26】本発明に係る規格外の仮重心を削除することを説明する図
【図27】本発明に係る残った内側円の仮重心から新たな仮重心と最終の重心を求める方 法を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照して本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置を実施するための形態を説明する。
【0030】
図7は本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置を用いて2層円形の位置ずれ測定を行う場合に使用されるカラーフィルタ基板のPSの断面を示した図である。ガラス基板30上にはBM31、R画素32、B画素33の着色画素が形成されており、更にBM31上にはR層36とG層37とB層38の3層を有するPSの一部35と更にその上にPSの一部39が形成されPS40を構成している。各着色層36と37と38は各着色画素が形成される時に同時に形成される。
【0031】
円形としてR層36、G層37、B層38、及びPSの一部35があるが、本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置を用いて2層円形の位置ずれ測定を実施するための形態では、2層円形としてPSの一部39とR層36の場合を例として説明する。
【0032】
図8は本発明に係るカラーフィルタ基板に形成された2層円形位置ずれ測定を行う場合に使用する2層円形位置ずれ測定装置の一例の概略図を示す。
【0033】
カラーフィルタ基板41は測定ステージ42に載置される。測定ステージ42はX軸駆動部45、Y軸駆動部46によって駆動される。撮像手段である撮像部43は光源、レンズ、ハーフミラー、カメラを有しており、Z軸駆動部47によって駆動される。光源から発せられた照明光はレンズ、ハーフミラー等を介してカラーフィルタ基板41を照明し、照明されたカラーフィルタ基板41はレンズ、ハーフミラーを介してカメラによって上方から撮像される。制御ユニット44は画像を記憶する記憶部、測定結果等を表示する表示部、測定ステージ42を駆動するX軸駆動部45、Y軸駆動部46、撮像部43を駆動するZ軸駆動部47、撮像部43等の制御を行う制御部、オペレータ操作用の操作部、画像情報を演算する演算部を有している。カラーフィルタ基板41を載置する測定ステージ42はカラーフィルタ基板41を吸着して基板の位置ずれを防止する機構を備えている。
【0034】
前記2層円形位置ずれを測定するタイミングは、例えばカラーフィルタの着色画素の形成が、R画素、G画素、B画素の順に行われる場合は、R層36、G層37が形成された後にR層36とG層37の位置ずれを測定するか、R層36、G層37、B層38が形成された後にB層38と、R層36またはG層37との位置ずれを測定するか、あるいはPSの一部39が形成された後にPSの一部39と、R層36またはG層37またはB層38との位置ずれ測定を行うかは適宜選択される。
【0035】
図9は本発明に係る2層円形位置ずれ測定装置を用いて、2層円形位置を測定する場合に使用するカラーフィルタ基板の一部を模式的に示した上面図である。40はBM51上に形成されたPS、52はR画素、53はG画素、54はB画素を示す。
【0036】
図10は撮像手段である撮像部43で撮像したPSの画像を模式的に示した図である。PS40は、BS31上に形成されたR層36、G層37、B層38の着色層からなるP
Sの一部35とPSの一部39からなり、各層はいずれも円形状を有している。
【0037】
図11は本発明に係る2層円形位置ずれを測定する方法を説明するための図である。2層円形の位置ずれ量測定は、先ず、外側円55と内側円56の重心位置をそれぞれ求め、次に求めた外側円の重心座標(Xout、Yout)57と内側円の重心座標(Xin、Yin)58から│Xout−Xin│=X、及び│Yout−Yin│=Yを求めX、Yを位置ずれ量とするものである。
【0038】
撮像部43に3000画素×3000画素を有する2次元カメラを用い3mm×3mmの撮像画像を1画素あたり1μmの分解能で得た場合、座標の中心(任意で良い)からX軸の+方向に1画素離れた点X1とY軸方向の+方向に1画素離れた点Y1の座標(X1、Y1)は、座標の中心からX軸方向の+方向に1μm、Y軸方向の+方向に1μm離れた位置を示すものとなる。
【0039】
本発明における外側円の重心と内側円の重心を求める手順は、先ず外側円の重心を求め、次に内側円の重心を求めるものである。
【0040】
図12は外側円の重心を求める場合のフロー図である。開始後(S−1)、パターンマッチング(S−2)によって検査エリアと検査エリアの中心を設定する。検査エリアと検査エリアの中心を設定する手段を図13に示す。
【0041】
図13(a)はパターンマッチングのために事前に登録されたマッチング画像の模式図であって、図13(b)は、図8に示された2層円形位置ずれ測定装置の撮像部43によって撮像された撮像画像の模式図を示す。図13(a)のパターンマッチングのために事前に登録されたマッチング画像と、図13(b)に示された撮像画像から図13(c)に示される検査エリア59と検査エリアの中心61を求める。マッチング画像と撮像画像から検査エリアと検査エリアの中心は一般的に用いられるパターンマッチングによって求めるられる。
【0042】
次に求められた検査エリアの外から内に向かってエッジの検出を行い(S−3)、外側円の複数のエッジを検出する(S−4)。図14及び図15はエッジを検出する方法を説明するための図であってエッジを強調して示している。エッジを検出するには、先ず、外側円の複数のエッジ検出範囲を設定する。外側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段を説明する。検査エリアの外側60から検査エリアの中心61に向かって線分62a、62b、62c・・・を設け(図14の場合、線分は合計16本)、検査エリアの外側60と線分によって囲まれた三角形のエッジ検出範囲63−1、63−2、63−3〜63−16を設定する(図14の場合、16個のエッジ検出範囲が設定される)。
【0043】
検査エリアの外側60から検査エリアの中心61に向かって設けられる線分は16本に限定するものではなく、同様にエッジの検出範囲は16個に限定するものではない。
【0044】
図15は、図14で示される設定された16個のエッジ検出範囲の内の1個のエッジ検出範囲63−1を示す。エッジ検出範囲63−1中の64はBM、65はPSの一部、66はR層、67はG層、68はB層、61は検査エリアの中心を示している。69はBM64とPSの一部65の境界、70はPSの一部65とR層66の境界、71はR層66とG層67の境界、72はG層67とB層68の境界であって強調して示されたものである。
【0045】
外側円の複数のエッジを検出する手段を説明する。検査エリアにおいて予め外側からN番目に検出したエッジを外側円のエッジとして使用する。本発明の実施形態では、N=1
として2層円形としてPSの一部とR層の場合を例としており、従って、外側から1番目に検出したエッジ(BM64とPSの一部65の境界70)を外側円のエッジとして使用する。図15のエッジ検出範囲63−1の中で、例えば60aで示される検査エリアの外側60の一部の点60aから検査エリアの中心61に向かって線分75に沿ってエッジ検出を行う。
【0046】
本発明の実施の形態では、1個のエッジ検出範囲63−1の中で線分75に沿った1点のエッジを検出する場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、1個のエッジ検出範囲の中から、複数の線分を設けてその線分に相当する数のエッジを検出しても良い。
【0047】
エッジ検出には一般的に行われている二値化法、即ち、画像を二値化して白から黒、あるいは黒から白に変化する部分を検出する方法や、濃淡法、即ち、濃淡値の変化を微分して閾値以上又は以下になる部分をエッジと検出する方法を用いることによって、エッジを検出することが出来る。
【0048】
エッジの検出は、図14に示す63−1、63−2、63−3〜63−16の16個のエッジ検出範囲全てに対し行う。図16は検出されたエッジの模式図を示すもので、83−1は図14のエッジ検出範囲63−1から求められたエッジ、同様に83−2はエッジ検出範囲63−2から求められたエッジ、83−3はエッジ検出範囲63−3から求められたエッジ、83−16はエッジ検出範囲63−16から求められたエッジを示す。61は検査エリアの中心を示す。
【0049】
外側円の複数のエッジが検出された後、検出されたエッジ16個のうちの3個のエッジのグループを作る(S−5)。外側円の仮重心を求める手段を説明する。外側円の仮重心を求めるには、先ず、エッジの選択を行う。求められた複数のエッジ3個毎のエッジのグループを決め、全エッジをいずれかのグループにあてはめるようにエッジの選択を行う。即ち、図16に示される求められた16個のエッジから3個のエッジのグループを作る。3個のエッジで作る3角形は、鈍角を持たない3角形となるように3個のエッジを選択する。例えば本実施形態の例のように16分割の場合、(1番目、6番目、11番目)、(2番目、7番目、12番目)のようにエッジ3個をグループにあてはめてエッジのグループを設け、各グループ毎に3個のエッジから仮重心を求める。
【0050】
前記(1番目、6番目、11番目)のエッジは、図16に示される求められたエッジ83−1、83−6、83−11を指す。(2番目、7番目、12番目)のエッジは、図16に示される求められたエッジ83−2、83−7、83−12を指す。同様に(3番目、8番目、13番目)、(4番目、9番目、14番目)、(5番目、10番目、15番目)のグループを作成して、計5個のグループを作成する。本実施形態の例では検出されたエッジは16個であるので上記5つのグループが作成され、残りの1個の検出エッジ83−16は選択されないエッジとなる。
【0051】
次に、選択したエッジ3点の全てのグループ毎に仮重心を求める(S−6)。仮重心は、幾何学的手法を用いて求めることが出来、図17に示す5つの重心座標(Xout1、Yout1)、(Xout2、Yout2)、(Xout3、Yout3)、(Xout4、Yout4)、(Xout5、Yout5)が求められる。(Xa、Ya)はこの場合、検査エリアの中心61を示す座標であって(Xa、Ya)=(0、0)とみなして良く、例えば座標(Xout1、Yout1)が(Xa、Ya)からX軸のプラスの方向に撮像したカメラの1画素、Y軸のプラスの方向に同じく撮像したカメラの2画素の位置であった場合は、(1、2)と示される。
【0052】
求められた仮重心座標を持つ5つの仮重心から規格外の仮重心を削除する(S−7)。
ここでいう規格外の仮重心とは、検出したすべての仮重心の値から規格を求め、その規格から外れた仮重心を指す。
【0053】
規格を求める方法を図18で求めた5つの重心座標を例として説明する。規格外仮重心とは許容範囲の外にある仮重心を規格外仮重心とする。許容範囲は次の方法で求める。先ず、検出した仮重心の重心位置(Xout1、Yout1)〜(Xout5、Yout5)の5つのX座標の絶対値を平均して(Xave)を求め、同様に、検出した重心位置の5つのY座標の絶対値をY座標方向で平均して(Yave)を求める。更に、求めた(Xave、Yave)からX、Y方向にそれぞれ予め定めた値(±○μm)以上離れている範囲を許容範囲84とし、許容範囲の外にある仮重心を規格外重心とする予め定めた値(±○μm)は求めた(Xave、Yave)の±○倍以上のずれ量と決める。例えば、(Xout1、Yout1)=(1、2)、(Xout2、Yout2)=(−3、−3)、(Xout3、Yout3)=(9、5)、(Xout4、Yout4)=(−6、2)、(Xout5、Yout5)=(3、−4)であった場合はXave=4.4、Yave=3.2となり更に求めたXave=4.4、Yave=3.2の1.5倍、即ち(Xa、Ya)からX軸方向に6.6μm、Y軸方向に4.8μm以上離れた位置にある重心を規格外重心とする。図19では、(Xout3、Yout3)が規格外仮重心となる。
【0054】
検出した全エッジより求めた複数の仮重心から規格外仮重心の削除を行った後、残った仮重心から再度、新たな仮重心を求める(S−8)。図17に示される例では(Xout3、Yout3)が規格外重心として削除され、残った仮重心(Xout1、Yout1)、(Xout2、Yout2)、(Xout4、Yout4)、(Xout5、Yout5)から再度、仮重心を求める。
【0055】
外側円の重心を求める手段を図19を用いて説明する。先ず、検出エッジより求めた仮重心から規格外を削除した残りの仮重心から再度、新たな仮重心を求める。図19において規格外の仮重心(Xout3、Yout3)を削除した残りの仮重心(Xout1、Yout1)、(Xout2、Yout2)、(Xout4、Yout4)、(Xout5、Yout5)から新たな仮重心を求めるには、仮重心3個毎に1グループとして仮重心のグループを作る。1グループ3個の仮重心の選択方法は、例えば仮重心を求めた順に番号をつけ、番号1つおきに3個の仮重心で1グループを作成する。但し仮重心が3つの場合は3つで1グループとする。この時、3個の仮重心で作る3角形は、鈍角を持たない3角形となるように3個の仮重心を選択する。図19の場合は例えば、番号1、番号2、番号3で1グループとし、番号4は選択されない仮重心となる。
【0056】
番号1、番号2、番号3の3個の仮重心から新たな仮重心を求める。この場合の新たな仮重心の求め方は、(S−6)で求めた3個のエッジから仮重心を求めた方法と同様にして、幾何学的手法を用いて求めることが出来、エッジ3点を通る円の重心座標(Xout11、Yout11)が求められる。
【0057】
図19の例では、新たな仮重心として求められた重心座標(Xout11、Yout11)で示される仮重心と選択されない番号4の仮重心の計2つの仮重心が残り((S−10)の2つ)、2つの仮重心が平均され(S−12)、外側円の重心86(Xout21、Yout21)が求められ(S−13)、その後に終了する(S−24)。(S−11)で仮重心の数が1つの場合は、その仮重心の重心が外側円の重心とされ(S−11)、その後終了する。
【0058】
(S−10)で仮重心の数が1つまたは2つでない場合は((S−10)のNOの場合)、仮重心の数が1つまたは2つになるまで(S−8)、(S−9)が繰り返し行われる。
【0059】
図20(a)を用いて本発明の実施の形態の例における、16個の検出された外側円のエッジから仮重心を求め、更に仮重心から外側円の重心を求めるフローを詳しく説明する
。図20(a)は16個のエッジを検出した上記の場合であって、図20(b)は100個のエッジを検出した場合の例である。図20(a)の場合は、16個のエッジを検出した後(A−1)、16個のエッジのうち15個のエッジから5つのエッジのグループを作り(残りの1個のエッジはグループには選択されない)、5個の仮重心を求める(A−2)。求められた5個の仮重心から1個の規格外仮重心を除く4個の仮重心(A−3)を求め、1つの仮重心のグループから得た新たな仮重心1個と残りの1個の仮重心の計2個の仮重心(A−4)から、2個の仮重心を平均して重心を求める。(A−5)。
【0060】
図20(b)の外側円のエッジが100個の場合の重心を求める場合は、100個のエッジを検出した後(B−1)、100個のエッジのうち99個のエッジから33のエッジのグループを作り(残りの1個のエッジはグループには選択されない)、33個の仮重心を求める(B−2)。求められた33個の仮重心から例えば4個の規格外仮重心を除く29個の仮重心を残す(B−3)。29個の仮重心から9つの仮重心のグループを作り、9つの仮重心のグループから得られた9個の新たな仮重心と残りの2個の仮重心の計11個の仮重心(B−4)を求める。11個の仮重心から3個の仮重心のグループを3つ作り、3個の仮重心のグループから得られた3個の新たな仮重心と残りの仮重心2個の計5個の仮重心を求める(B−5)。5つの仮重心から1つの仮重心のグループを作り、1つの仮重心のグループから得られた1個の新たな仮重心と残りの仮重心2個の計3個の仮重心から(B−6)、1つの仮重心のグループを作り、1個の更に新たな仮重心を得て(B−7)、その1個の求められた仮重心を重心とする(B−8)。
【0061】
このように外側円の複数のエッジの中から選択した3個のエッジのグループを作り、そのグループ毎に仮重心を求め、求めた仮重心の中から規格外の仮重心を削除し、更に残った仮重心の中から3個の仮重心のグループを作り、そのグループ毎に新たな仮重心を求め、これを繰り返し行うことにより外側円の重心を求めることによって、従来から用いられているオペレータによって円形の境界部分を判断し手動で測定したり、また測定部位の撮像した境界部分の検出が不正確であるといった問題が無くなり、正確に重心を求めることが可能となる。
【0062】
上記のようにして外側円の重心を求めた後に、次に内側円の重心を求める。図21に内側円の重心を求めるフローを示す。開始後(U−1)、外側円を形成する(U−2)。外側円は上記外側円のエッジを検出する際に用いられた図13(c)に示される画像から形成される。外側円を形成した後、外側円の重心から外側円の方向に向かってエッジ検出範囲を設定する(U−3)。この場合のエッジ検出範囲の設定方法を図22に示す。
【0063】
図22はエッジを強調して示した図であって、内側円のエッジ検出範囲の設定は、上記求めた外側円の重心86から外側円69に向かって線分87a、87b、87cを放射状に設け(図22の場合、線分は合計16本)、外側円85と線分87a、87b、87c・・・で囲まれた扇形のエッジ検出範囲88−1、88−2、88−3・・・を設定する(図22の場合、16個のエッジ検出範囲が設定される)。エッジ検出範囲は16個に限定するものではなく、線分の数を変えることによって適宜設けることが望ましい。
【0064】
図23は、図22で示される、設定された16個のエッジ検出範囲の内の1個のエッジ検出範囲88−1の例を示す。エッジ検出範囲88−1中の65はPSの一部、66はR層、67はG層、68はB層、86は外側円の重心を示している。69はBM(図示せず)とPSの一部65の境界でこの場合は外側円を示す。70はPSの一部65とR層66の境界、71はR層66とG層67の境界、72はG層67とB層68の境界であって強調して示されたものである。
【0065】
内側円の重心を求めるために使われるエッジは、エッジ検出範囲において予め外側円か
ら外側円の重心86に向かってN番目に検出したエッジを使用する。本発明の実施の形態では、N=1とし、従って、外側円69から1番目のエッジ70を使用する。エッジ検出範囲88−1から例えば88−1で示される外側円69の一部の点69aから外側円の重心86に向かって線分89に沿ってエッジ検出を行う(U−4)。本発明の実施の形態では、1個のエッジ検出範囲88−1の中で線分89に沿った1点のエッジを検出する場合を例として説明するが、これに限定されるものではなく、複数の線分を設け、1個のエッジ検出範囲の中から複数のエッジを検出してもよい。
【0066】
外側円より内側に向かってエッジを検出するには上記外側円のエッジ検出の場合と同様に、一般的に行われている二値化法や濃淡法を用いることによって、エッジを検出することが出来る。
【0067】
エッジの検出は、図22に示す88−1、88−2、88−3〜88−16の16個のエッジ検出範囲全てに対し行う。図24は得られたエッジを模式的に示す図である。図23に示されるエッジは、エッジ検出範囲88−1から求められたエッジ90−1、同様にエッジ検出範囲88−2〜エッジ検出範囲88−16から求められたエッジ90−2〜エッジ90−16を示す。
【0068】
内側円のエッジが検出された後、検出されたエッジ16個から内側円の仮重心を求める手段を説明する。内側円の仮重心を求めるには、先ず、3個のエッジのグループを作る(U−5)。グループを作るには、先ず、エッジの選択を行う。エッジの選択には、外側円のエッジを求めた時と同様にエッジ検出範囲の数に応じて予めエッジ検出範囲3個ごとのエッジのグループを決めておく。即ち、図24に示される16個のエッジ検出範囲から求められた16個のエッジの内の3個のエッジのグループを作る。3個のエッジで作る3角形は、鈍角を持たない3角形となるように3個のエッジを選択する。例えば発明の実施の形態の例のように16分割の場合、(1番目、6番目、11番目)、(2番目、7番目、12番目)のようにエッジ3個毎にグループを作成して、各グループ毎の3個のエッジから仮重心を求める。(1番目、6番目、11番目)のエッジは、図24に示される求められたエッジ90−1、90−6、90−11を指す。(2番目、7番目、12番目)のエッジは、図24に示される求められたエッジ90−2、90−7、90−12を指す。同様に(3番目、8番目、13番目)、(4番目、9番目、14番目)、(5番目、10番目、15番目)のグループを作成して、計5つのグループを作成する。
【0069】
本実施形態の例では検出されたエッジは16個であるので上記5つのグループが作成され、エッジ90−16はエッジ選択されない。検出エッジが19個の場合は、18個のエッジから6つのグループが作成され、残りの1個のエッジは選択されない。
【0070】
選択したエッジ3点の全てのグループ毎に仮重心を求める(U−6)。仮重心は、外側円の仮重心を求める場合と同じように幾何学的手法を用いて求めることが出来、図25に示される5つの重心座標(Xin1、Yin1)、(Xin2、Yin2)、(Xin3、Yin3)、(Xin4、Yin4)、(Xin5、Yin5)が求められる。(Xout21、Yout21)は、上記求めた外側円の重心で(0.0)とみなして良い。
【0071】
求められた重心座標Xin1、Yin1)、(Xin2、Yin2)、(Xin3、Yin3)、(Xin4、Yin4)、(Xin5、Yin5)を持つ5つの仮重心から規格外の仮重心を削除する(U−7)。図26に5つの仮重心から規格外の仮重心(Xin2、Yin2)を削除する場合を示す(ここでいう規格外の仮重心とは、上記外側円の仮重心の場合と同様、検出したすべての仮重心の値から規格を求め、その規格から外れた仮重心を指す。
【0072】
規格外の仮重心の規格を求める方法は、上記外側円の仮重心の規格を求める場合と同様
に行う。規格外の仮重心を削除して残った仮重心から再度新たな仮重心を求める(U−8)。規格外の仮重心を削除して残った仮重心から再度新たな仮重心求める方法は、上記外側円の仮重心から再度新たな仮重心を求めた場合(S−8)と同様に行う。このようにして、全てのグループ毎の仮重心から仮重心を求める(U−9)。全てのグループ毎の仮重心から新たな仮重心を求めるには、上記全てのグループ毎の仮重心から新たな仮重心を求める(S−9)と同様に行う。仮重心の数が1つまたは2つになるまで((U−10)のNOの場合)、残った仮重心から更に新たな仮重心を求め、最終的に仮重心が1つまたは2つになった場合、例えば仮重心が1つの場合((U−10)の1つの場合)は、その仮重心が内側円の重心とされ(U−11)、終了する(U−14)。
【0073】
また、仮重心が2つの場合((U−10)の2つの場合)は2つの仮重心を平均して(U−12)、内側円の重心とし(U−13)、終了する(U−24)。図27に求められた新たな仮重心(Xin11、Yin11)92と求められた内側円の重心(Xin21、Yin21)93を示す。
【0074】
上記、求められた外側円重心の座標(Xout21、Yout21)と内側円重心の座標(Xin21、Yin21)から│Xout21−Xin21│=X、及び│Yout21−Yin21│=Yを求めX、Yを位置ずれ量とするものである。
【0075】
このように、外側円の重心を求めた場合と同様に内側円の複数のエッジの中から選択した3個のエッジのグループを作り、そのグループ毎に仮重心を求め、求めた仮重心の中から規格外の仮重心を削除し、更に残った仮重心の中から3個の仮重心のグループを作り、そのグループ毎に新たな仮重心を求め、これを繰り返し行うことにより内側円の重心を求めることによって、正確に重心を求めることが可能となる。
【0076】
求められた外側円と内側円の位置ずれ量X、Yが、予め設けられた閾値Xs、Ysに対しX≧Xs、Y≧Ysのいずれかの場合には、外側円と内側円は位置ずれ不良とみなし警報信号を発生し、製造工程にフィードバックして不良発生の原因と見られる製造装置の調整やメンテナンスを行う。
【0077】
なお、上記発明の実施の形態では、2層円形としてPSの一部とR層を例としたが、これに限定されずPSの一部、R層、G層、B層間のいずれか2層間の位置ずれを測定する場合に適用することが出来る。また、カラーフィルタ基板に限定されずに、全体として2以上の層を有する円形の位置ずれを測定する場合にも適用できる。
【0078】
従来方法では安定してエッジの境界部を検出することができなかったため、2層の円形の位置ずれ測定にはバラつきがあった。しかし、本発明の2層円形位置ずれ測定装置によれば、2層円形の各々の重心を安定して求めることができるためバラつきのない測定が可能となる。また、算出した2層円形の位置ずれ量が閾値を超えた場合は、警報を発すると同時に製造工程にフィードバックすることによって、不良品の発生の抑制が期待できる。
【符号の説明】
【0079】
10・・・ガラス基板
11・・・ブラックマトリックス(BM)
12a・・・レッドRの着色層
12b・・・グリーンGの着色層
12c・・・ブルーBの着色層
13・・・透明電極
14・・・フォトスペーサー(PS)
14a・・・PSの一部
14b・・・PSの一部
15・・・破線で囲まれた部分
16・・・レッドの着色フォトレジストの層(R層)
17・・・グリーンの着色フォトレジストの層(G層)
18・・・ブルーの着色フォトレジストの層(B層)
20・・・2層の下の層
21・・・2層の上の層
22・・・PS
23・・・着色層
24・・・PSの外円周
25・・・PSと着色層の境界
30・・・ガラス基板
31・・・BM
32・・・R画素
33・・・B画素
35・・・PSの一部
36・・・R層
37・・・G層
38・・・B層
39・・・PSの一部
40・・・PS
41・・・カラーフィルタ基板
42・・・測定ステージ
43・・・撮像部
44・・・制御ユニット
45・・・X軸駆動部
46・・・Y軸駆動部
47・・・Z軸駆動部
51・・・BM
52・・・R画素
53・・・G画素
54・・・B画素
55・・・外側円
56・・・内側円
57・・・外側円の重心の位置(Xout,Yout)
58・・・内側円の重心の位置(Xin,Yin)
59・・・検査エリア
60・・・検査エリアの外側
61・・・検査エリアの中心
62a、62b、62c・・・線分
63−1、63−2、63−3〜63−16・・・エッジ検出範囲
64・・・BM
65・・・PSの一部
66・・・R層
67・・・G層
68・・・B層
69・・・BM64とPSの一部65の境界(外側円)
69a・・・外側円の一部の点
70・・・PSの一部65とR層66の境界
71・・・R層66とG層67の境界
72・・・G層67とB層68の境界
83−1、83−2、83−3〜83−16・・・エッジ検出範囲から求めたエッジ
84・・・外側円の仮重心の規格の許容範囲
85・・・新たに求められた外側円の仮重心
86・・・求められた外側円の重心
87a、87b、87c・・・放射状に設けられた線分
88−1、88−2、88−3〜88−16・・・エッジ検出範囲
89・・・線分
90−1、90−2〜90−16・・・内側円の検出されたエッジ
91・・・内側円の仮重心の規格の許容範囲
92・・・新たの求められた内側円の仮重心
93・・・求められた内側円の重心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体として2以上の層を有する円形状の物体を上方から撮像する撮像手段と、撮像手段によって得られた画像から検査エリアと検査エリアの中心を設定する手段と、検査エリア内に外側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段と、外側円の複数のエッジ検出範囲から外側円の複数のエッジを検出する手段と、外側円の複数のエッジから外側円の仮重心を求める手段と、外側円の仮重心から外側円の重心を求める手段と、外側円と外側円の重心から内側円の複数のエッジ検出範囲を求める手段と、内側円の複数のエッジ検出範囲から内側円の複数のエッジを検出する手段と、内側円の複数のエッジから内側円の仮重心を求める手段と、内側円の仮重心から内側円の重心を求める手段と、外側円の重心と内側円の重心から外側円と内側円の位置ずれ量を算出する手段とを備えたことを特徴とする2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項2】
検査エリアと検査エリアの中心を設定する手段は、予め登録されたマッチングと撮像手段によって撮像された画像をパターンマッチングによって検査エリアと検査エリアの中心を設定することを特徴とする請求項1記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項3】
外側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段は、検査エリアの外側から検査エリアの中心に向かって複数の線分を設け、検査エリアの外側と、検査エリアの中心に向かって設けられた複数の線分によって囲まれた範囲をエッジ検出範囲とすることを特徴とする請求項1または2に記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項4】
外側円の複数のエッジを検出する手段は、エッジ検出範囲中の外側からN番目に検出したエッジを外側円のエッジとし、検出エリアの外側の一部の点から検査エリアの中心に向かってエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の2層円形位置測定装置。
【請求項5】
外側円の仮重心を求める手段は、求められた外側円の複数のエッジから3個のエッジのグループを設け、グループの数と同じ数の外側円の仮重心を求めることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項6】
外側円の重心を求める手段は、外側円の求められた複数の仮重心から規格外の仮重心を削除し、残りの仮重心から3個の仮重心のグループを作り、グループの数と同じ数の新たな仮重心を求め、求められた新たな仮重心とグループに入らない仮重心の合計が3個以下になるまで更に新たな仮重心を求め、求められた更に新たな仮重心とグループに入らない仮重心の合計が2個の場合は2個の仮重心を平均して外側円の重心とし、合計が1個の場合はその仮重心を外側円の重心とすることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項7】
内側円の複数のエッジ検出範囲を設定する手段は、外側円の重心から外側円に向かって複数の線分を設け、複数の線分と外側円よって囲まれた範囲を内側円のエッジ検出範囲とすることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項8】
内側円の複数のエッジを検出する手段は、内側円のエッジ検出範囲中の外側円からN番目に検出したエッジを内側円のエッジとし、外側円のの一部の点から外側円の重心に向かってエッジ検出を行うことを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項9】
内側円の仮重心を求める手段は、求められた複数の内側円のエッジから3個のエッジのグループを作り、グループの数と同じ数の内側円の仮重心を求めることを特徴とする請求
項1から8のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項10】
内側円の重心を求める手段は、内側円の求められた複数の仮重心から規格外の仮重心を削除し、残りの仮重心から3個の仮重心のグループを設け、グループの数と同じ数の新たな仮重心を求め、求められた新たな仮重心とグループに入らない仮重心の合計が3個以下になるまで更に新たな仮重心を求め、求められた更に新たな仮重心とグループに入らない仮重心の合計が2個の場合は2個の仮重心を平均して外側円の重心とし、合計が1個の場合はその仮重心を内側円の重心とすることを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項11】
位置ずれ量を算出する手段は、求められた外側円の重心座標(Xout、Yout)と求められた内側円の重心座標(Xin、Yin)から│Xout−Xin│、│Yout−Yin│を算出することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置。
【請求項12】
予め外側円と内側円の位置ずれ量の閾値を設定し、算出された位置ずれ量が閾値を超えた場合は、警報信号を発生し、製造工程にフィードバックすることを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載の2層円形位置ずれ測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−7621(P2011−7621A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151242(P2009−151242)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】