説明

2速切換式減速歯車装置

【課題】クラッチギヤのギヤ抜けを防止する。
【解決手段】入力軸52に固定された低速側ピニオン53と高速側ピニオン54と、外周に外歯を備え、内周に内はすばを備え、出力軸55に空転自在に装着され、当該外歯によって低速側ピニオン53と噛合する低速側ギヤ60と、外周に外歯を備え、内周に内はすばを備え、出力軸55に空転自在に装着され、当該外歯によって高速側ピニオン54と噛合する高速側ギヤ70と、出力軸55にスプライン連結され、かつ、低速側ギヤ60の内はすばと噛合可能な外はすばが外周に形成された低速側外はすば部91と高速側ギヤ70の内はすばと噛合可能な外はすばが外周に形成された高速側外はすば部92とを持つクラッチギヤ90を有する回転速度切換装置80と、を備えている2速切換式減速歯車装置である。運転中にクラッチギヤ90がギヤ抜けを起こすことを確実に防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混練押出機などの減速機として用いられる2速切換式減速歯車装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
混練押出機は、駆動用電動モータ(原動機)の回転を減速機によって減速してトルクを高め、そのロータ、あるいはスクリュ軸を回転させて、樹脂やゴムなどを混練、押出しするものである。この混練押出機では、ロータ、スクリュ軸の回転速度を変えることにより、混練物の処理量、混練温度、混練品質の調整を行う場合、可変速の駆動装置が必要となる。
【0003】
この場合、電動モータの一次周波数制御による可変速運転方式は高価であるため、一般的に、入力軸の一定な回転速度をクラッチにより高速と低速のいずれかに切り換え、2通りの回転速度に減速する2速切換式減速歯車装置(2速切換式減速機)が使用されている。
【0004】
従来、この種の2速切換式減速歯車装置として、例えば特開平10−110791号公報に開示されているようなものがあり、これを図6を用いて説明する。図6は従来の2速切換式減速歯車装置(2段切換減速機)の構成を示す平面断面図である。
【0005】
まず、低速側ピニオン(低速用小歯車)11と高速側ピニオン(高速用小歯車)12について説明する。1は減速機ハウジング、10は入力軸、20は出力軸である。減速機ハウジング1内には、低速側ピニオン11が軸受13,14にて回転自在に支持されている。また、高速側ピニオン12が軸受13,14にて回転自在に支持されている。
【0006】
前記低速側ピニオン11と前記高速側ピニオン12との間には、入力軸10の回転を、これら低速側ピニオン11又は高速側ピニオン12に伝達し、かつ回転の伝達を解除する回転伝達切換装置40が設けられている。
【0007】
この回転伝達切換装置40は、内周面に雌スプラインが刻設され、外周面の長手方向の各端部側に雄スプライン42b,42bを有し、かつ長手方向の中央位置における外周部に溝42aが周設されてなる切換環42を備えている。そして、前記切換環42は、その雌スプラインが入力軸10の雄スプライン10aの位置に外嵌され、その雄スプライン42b,42bが前記低速側ピニオン11と前記高速側ピニオン12の内周面に刻設されている雌スプライン11a,12aに嵌合されている。また、前記溝42aには、Uの字状部材43と相対する側に設けられている滑子43a,43aが摺動自在に嵌合される。なお、前記Uの字状部材43は切換レバー44の操作によって入力軸10の軸線方向に移動されるように構成されている。
【0008】
次に、低速側ギヤ(低速用大歯車)21と高速側ギヤ(高速用大歯車)22について説明する。減速機ハウジング1内には、前記低速側ピニオン11と噛合する低速側ギヤ21が軸受23,24にて出力軸20に回転自在に支持されている。また、前記高速側ピニオン12と噛合する高速側ギヤ22が軸受23,24にて出力軸20に回転自在に支持されている。
【0009】
そして、出力軸20は、これら低速側ギヤ21と高速側ギヤ22との間に、出力軸外周に形成された雄スプライン(外歯スプライン)20aが位置するように設けられると共に、減速機ハウジング1に対して、その軸受ケージ1cに配された軸受4と、軸受ケージ1dに配された軸受5とを介して回転自在に支持されている。なお、低速側ギヤ21の内周面における高速側ギヤ22側の部分には、雌スプライン(内歯スプライン)21aが形成されている。また、高速側ギヤ22の内周面における低速側ギヤ21側の部分には、雌スプライン(内歯スプライン)22aが形成されている。
【0010】
また、これら低速側ギヤ21と高速側ギヤ22との間には、これら低速側ギヤ21又は高速側ギヤ22の回転を出力軸20に伝達し、かつ回転の伝達を解除する回転速度切換装置30が設けられている。
【0011】
この回転速度切換装置30は、出力軸20の前記雄スプライン20aの部分に外嵌され、出力軸20の軸線方向(長手方向)に摺動可能にスプライン連結されたクラッチギヤ(切換環)32を有している。
【0012】
このクラッチギヤ32の内周面には雌スプラインが形成されている。また、クラッチギヤ32の長手方向の一端側の外周面には、低速側ギヤ21の前記雌スプライン21aに嵌合する雄スプライン32bが形成され、他端側の外周面には、高速側ギヤ22の前記雌スプライン22aに嵌合するスプライン32bが形成されている。さらに、クラッチギヤ32の長手方向の中央位置における外周部に溝32aが周設されており、Uの字状部材33の相対する側に設けられている滑子33a,33aがこの溝32aに摺動自在に嵌合されている。クラッチギヤ32は、切換レバー34の操作によって出力軸20の長手方向に摺動されるように構成されている。
【0013】
このように構成される2速切換式減速歯車装置では、回転伝達切換装置40の切換環42が中央位置にあるときは、入力軸10を回転させても、この入力軸10の回転は低速側ピニオン11、高速側ピニオン12の何れにも伝達されることがなく、入力軸10が回転(空転)し続けるだけである。
【0014】
そこで、入力軸10の回転停止状態において切換レバー34を操作し、例えばクラッチギヤ32を図6における左側方向に摺動させて、クラッチギヤ32の左端側の雄スプライン32bを高速側ギヤ22の雌スプライン22aと噛合させる。次いで、切換レバー44を操作することにより切換環42を左側方向に摺動させて、左端側の雄スプライン42bを高速側ピニオン12の雌スプライン12aに噛合させるとともに、図示しない駆動装置により入力軸10を回転させると、高速側ピニオン12が回転し、この高速側ピニオン12に噛合している高速側ギヤ22も回転する。そして、この高速側ギヤ22の回転がクラッチギヤ32を介して出力軸20に伝達されて、出力軸20は高速側ピニオン12と高速側ギヤ22との減速比で決定される回転速度で回転することとなる。
【0015】
前述した従来の2速切換式減速歯車装置では、クラッチギヤ32の位置は、切換レバー34の位置固定ピンA(不図示)によって固定される。運転中は、クラッチギヤ32には該クラッチギヤ32の雌スプラインと出力軸20の雄スプライン20aとのトルク伝達による荷重が作用しており、この荷重はクラッチギヤ32の歯面(内歯スプライン)に対して直角方向となる。
【0016】
しかしながら、前記従来の2速切換式減速歯車装置では、実際には、各部品の隙間や、出力軸の撓み、変形、振動などで、クラッチギヤ32の歯面に対して平行な方向、すなわち出力軸20のスラスト方向(軸線方向)への荷重が発生する場合がある。なお、近年の装置大型化の要求の高まりからして、大型化に伴う前記荷重のさらなる増大が予想される。
【0017】
このように、クラッチギヤ32へ作用するスラスト方向の荷重が高くなると、クラッチギヤ32を位置固定ピンAで拘束することが困難であり、さらに、クラッチギヤ32を支持するための滑子(すべり軸受)33aにも高い荷重が作用し、クラッチギヤ32が出力軸20の雄スプライン(外歯スプライン)20aを滑って高速側ギヤ22(あるいは低速側ギヤ21)から抜け出してしまうという可能性があった。このクラッチギヤ32のギヤ抜けが発生すると、クラッチギヤ32が反対側の低速側ギヤ21(あるいは高速側ギヤ22)と接触し、それらを損傷させる事故を引き起こすことになってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開平10−110791号公報(第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
そこで、本発明の課題は、出力軸に摺動可能にスプライン連結されたクラッチギヤと高速側ギヤ又は低速側ギヤとを噛み合わせることにより、入力軸の回転速度を2通りの回転速度に減速するに際し、運転中にクラッチギヤと高速側ギヤ又は低速側ギヤとの噛み合わせがはずれてクラッチギヤがギヤ抜けを起こすことを確実に防止することができる2速切換式減速歯車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記の課題を解決するため、本願発明では、次の技術的手段を講じている。
【0021】
請求項1の発明は、入力軸と、前記入力軸と平行に設けられ、軸方向に所定長さの外歯スプラインが形成された出力軸と、前記入力軸の軸方向に互いに所定間隔を隔てて該入力軸に固定された低速側ピニオンと高速側ピニオンと、外周に外歯を備える一方、内周に歯が軸線に対して傾斜している内はすばを備え、前記出力軸に空転自在に装着され、当該外歯によって前記低速側ピニオンと噛合する低速側ギヤと、外周に外歯を備える一方、内周に歯が軸線に対して傾斜している内はすばを備え、前記出力軸に空転自在に装着され、当該外歯によって前記高速側ピニオンと噛合する高速側ギヤと、前記低速側ギヤと前記高速側ギヤとの間に位置して前記出力軸の前記外歯スプライン部分に外嵌されて該出力軸の軸方向に摺動可能にスプライン連結され、かつ、前記低速側ギヤの前記内はすばと噛合可能な外はすばが外周に形成された低速側外はすば部と前記高速側ギヤの前記内はすばと噛合可能な外はすばが外周に形成された高速側外はすば部とを持つクラッチギヤを有し、前記低速側ギヤ又は前記高速側ギヤの回転を前記出力軸に伝達し、かつ回転の伝達を解除する回転速度切換装置と、を備えていることを特徴とする2速切換式減速歯車装置である。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1記載の2速切換式減速歯車装置において、前記回転速度切換装置が、前記クラッチギヤと、切換レバーと、前記切換レバーを拘束するための位置固定ピンと、前記切換レバーに一端側が連結され、前記入力軸及び前記出力軸と直交する方向に延び、回動可能に支持された回動軸と、前記クラッチギヤを挟むようにして対向配置された状態で基端側が前記回動軸に固定され、前記回動軸を中心として回動する一対のアームと、前記一対のアームの先端部に回転自在に取り付けられ、ギヤ切換えに際し、前記クラッチギヤと係合して該クラッチギヤを前記出力軸の軸方向に摺動させるための一対のクラッチギヤ用係合部材と、を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の2速切換式減速歯車装置は、高速側ギヤ(あるいは低速側ギヤ)の内周に形成された内はすばとクラッチギヤの外周に形成された外はすばとを噛み合わせ、運転中に、クラッチギヤの前記外はすばに働くスラスト方向の力によって該クラッチギヤを高速側ギヤ(あるいは低速側ギヤ)の方向に押すようにしたので、クラッチギヤが出力軸の外歯スプライン部を高速側ギヤ(あるいは低速側ギヤ)とは反対方向へすべって次第に移動するようなことがなくて、クラッチギヤがギヤ抜けを起こすことを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態による2速切換式減速歯車装置の構成を概略的に示す平面断面図である。
【図2】図1におけるクラッチギヤを概略的に示す斜視図である。
【図3】図1に示す2速切換式減速歯車装置の構成を説明するための斜視図である。
【図4】図1のA−A線断面図である。
【図5】図1における回転速度切換装置を説明するための図であって、その(a)は横断面図、その(b)は縦断面図である。
【図6】従来の2速切換式減速歯車装置(2段切換減速機)の構成を示す平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
【0026】
図1は本発明の一実施形態による2速切換式減速歯車装置の構成を概略的に示す平面断面図、図2は図1におけるクラッチギヤを概略的に示す斜視図、図3は図1に示す2速切換式減速歯車装置の構成を説明するための斜視図、図4は図1のA−A線断面図、図5は図1における回転速度切換装置を説明するための図であって、その(a)は横断面図、その(b)は縦断面図である。
【0027】
図1において、51はハウジングである。52は図示しない電動モータ(原動機)からの回転動力が与えられる入力軸であり、入力軸52は軸受を介してハウジング51に回転自在に支持されている。この入力軸52には、該軸方向に互いに所定間隔を隔てて低速側ピニオン53と、この低速側ピニオン53よりもピッチ円径が大径の高速側ピニオン54とが固定されている。
【0028】
55は図示しない混練押出機のロータ、あるいはスクリュ軸に前記回転動力を与える出力軸である。出力軸55は、入力軸52と平行に設けられ、軸方向における所定長さ部分の外周全周に外歯スプライン55aが形成されており、軸受を介してハウジング51に回転自在に支持されている。
【0029】
この出力軸55には、外周全周に外歯61aが形成された大径部61と内周全周に歯が軸線に対して傾斜している内はすば62aが形成され小径部62とを有し、前記外歯61aによって前記低速側ピニオン53と噛合する低速側ギヤ60(図3参照)が、軸受63にて空転自在に装着されている。また、出力軸55には、外周全周に外歯71aが形成された大径部71と内周全周に歯が軸線に対して傾斜している内はすば72aが形成された小径部72とを有し、前記外歯71aによって前記高速側ピニオン54と噛合する高速側ギヤ70が、軸受73にて空転自在に装着されている。この低速側ギヤ60と高速側ギヤ70は、出力軸55の前記外歯スプライン55aの部分を挟むようにして位置されている。
【0030】
90はクラッチギヤである。クラッチギヤ90は、その内周全周に内歯スプライン90aが形成されており、出力軸55の前記外歯スプライン55a部分に外嵌されて該出力軸55の軸方向に摺動可能にスプライン連結されている。また、このクラッチギヤ90は、低速側ギヤ60の前記内はすば62aと噛合可能な外はすば91aが外周全周に形成された低速側外はすば部91と、高速側ギヤ70の前記内はすば72aと噛合可能な外はすば92aが外周全周に形成された高速側外はすば部92とを有している(図2,図3参照)。
【0031】
80は、クラッチギヤ90を有し、低速側ギヤ60又は高速側ギヤ70の回転を出力軸55に伝達し、かつ回転の伝達を解除する回転速度切換装置である。
【0032】
この回転速度切換装置80は、クラッチギヤ90と、上下方向に延びる切換レバー101と、切換レバー101を拘束するための位置固定ピン102と、切換レバー101の下端部に一端側が連結され、入力軸52及び出力軸55と直交する方向に延び、ハウジング51に回動可能に支持された回動軸103と、クラッチギヤ90を挟むようにして対向配置された状態で基端側が回動軸103に固定され、上下方向に延び、回動軸103を中心として回動する一対のアーム104,104と、この一対のアーム104,104の先端部にクラッチギヤ90の幅方向中央の外周溝部93内に位置された状態で取り付けられ、ギヤ切換えに際し、前記外周溝部93の溝側面と係合してクラッチギヤ90を出力軸55の軸方向に摺動させるための一対のクラッチギヤ用係合部材としての一対のカムフォロア105,105と、を備えている(図3,図4参照)。
【0033】
このように構成される2速切換式減速歯車装置の動作を説明する。入力軸52の回転停止状態において、切換レバー101を操作して、例えば、一対のアーム104,104を低速側ギヤ60側へ回動させると、クラッチギヤ90が、一対のカムフォロア105,105によって押されて、出力軸55上を中立位置から低速側ギヤ60側に摺動して移動し、低速側ギヤ60の前記小径部62内にはまり込む(図5参照)。これにより、低速側ギヤ60の前記内はすば62aとクラッチギヤ90の前記低速側外はすば部91の前記外はすば91aとが噛み合わされる。なお、前記の中立位置とは、クラッチギヤ90が低速側ギヤ60及び高速側ギヤ70のいずれにも回転を伝達することのない位置である。
【0034】
そして、入力軸52を回転させることにより、低速側ギヤ60が回転し、この低速側ギヤ60に噛合しているクラッチギヤ90が出力軸55と一体に回転する。この運転中、クラッチギヤ90の前記外はすば91aに働くスラスト方向の力が該クラッチギヤ90を低速側ギヤ60の方向に押すように作用するので、言い換えると、前記内はすば62aと前記外はすば91aの歯のねじれ方向が、運転中の回転により低速側ギヤ60の方向にクラッチギヤ90を移動させる力(押し付ける力)を生じるように設定されているので、従来装置とは違って、クラッチギヤ90が出力軸55の外歯スプライン55a上を低速側ギヤ60とは反対方向へすべって次第に移動するようなことがなくて、クラッチギヤ90がギヤ抜けを起こすことを確実に防止することができる。
【0035】
なお、前記運転中、一対のカムフォロア105,105は、クラッチギヤ90の前記外周溝部93の溝側面に当接したり、非当接状態となったりするが、当接状態ではクラッチギヤ90の回転に伴って回転するようになっている。
【0036】
また、入力軸52の回転停止状態において、逆方向に切換レバー101を操作して、一対のアーム104,104を高速側ギヤ70側へ回動させると、クラッチギヤ90が、一対のカムフォロア105,105によって押されて、出力軸55上を中立位置から高速側ギヤ70側に摺動して移動し、高速側ギヤ70の前記小径部72内にはまり込む。これにより、高速側ギヤ70の前記内はすば72aとクラッチギヤ90の前記高速側外はすば部92の前記外はすば92aとが噛み合わされる。
【0037】
そして、入力軸52を回転させることにより、高速側ギヤ70が回転し、この高速側ギヤ70に噛合しているクラッチギヤ90が出力軸55と一体に回転する。この運転中、クラッチギヤ90の前記外はすば92aに働くスラスト方向の力が該クラッチギヤ90を高速側ギヤ70の方向に押すように作用する。つまり、前記内はすば72aと前記外はすば92aの歯のねじれ方向が、運転中の回転により高速側ギヤ70の方向にクラッチギヤ90を移動させる力(押し付ける力)を生じるように設定されているので、従来装置とは違って、クラッチギヤ90が出力軸55の外歯スプライン55a上を高速側ギヤ70とは反対方向へすべって次第に移動するようなことがなくて、クラッチギヤ90がギヤ抜けを起こすことを確実に防止することができる。
【0038】
なお、低速側ギヤ60と高速側ギヤ70については、外周全周に外歯が形成された大径部と、内周全周に内はすばが形成され小径部とを別々に製作し、これらを一体化するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
51…ハウジング
52…入力軸
53…低速側ピニオン 54…高速側ピニオン
55…出力軸
55a…外歯スプライン
60…低速側ギヤ
61…大径部 61a…外歯
62…小径部 62a…内はすば
63…軸受
70…高速側ギヤ
71…大径部 71a…外歯
72…小径部 72a…内はすば
73…軸受
80…回転速度切換装置
90…クラッチギヤ 90a…内歯スプライン
91…低速側外はすば部 91a…外はすば
92…高速側外はすば部 92a…外はすば
93…外周溝部
101…切換レバー 102…位置固定ピン 103…回動軸
104…アーム 105…カムフォロア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸と、前記入力軸と平行に設けられ、軸方向に所定長さの外歯スプラインが形成された出力軸と、前記入力軸の軸方向に互いに所定間隔を隔てて該入力軸に固定された低速側ピニオンと高速側ピニオンと、外周に外歯を備える一方、内周に歯が軸線に対して傾斜している内はすばを備え、前記出力軸に空転自在に装着され、当該外歯によって前記低速側ピニオンと噛合する低速側ギヤと、外周に外歯を備える一方、内周に歯が軸線に対して傾斜している内はすばを備え、前記出力軸に空転自在に装着され、当該外歯によって前記高速側ピニオンと噛合する高速側ギヤと、前記低速側ギヤと前記高速側ギヤとの間に位置して前記出力軸の前記外歯スプライン部分に外嵌されて該出力軸の軸方向に摺動可能にスプライン連結され、かつ、前記低速側ギヤの前記内はすばと噛合可能な外はすばが外周に形成された低速側外はすば部と前記高速側ギヤの前記内はすばと噛合可能な外はすばが外周に形成された高速側外はすば部とを持つクラッチギヤを有し、前記低速側ギヤ又は前記高速側ギヤの回転を前記出力軸に伝達し、かつ回転の伝達を解除する回転速度切換装置と、を備えていることを特徴とする2速切換式減速歯車装置。
【請求項2】
前記回転速度切換装置が、前記クラッチギヤと、切換レバーと、前記切換レバーを拘束するための位置固定ピンと、前記切換レバーに一端側が連結され、前記入力軸及び前記出力軸と直交する方向に延び、回動可能に支持された回動軸と、前記クラッチギヤを挟むようにして対向配置された状態で基端側が前記回動軸に固定され、前記回動軸を中心として回動する一対のアームと、前記一対のアームの先端部に回転自在に取り付けられ、ギヤ切換えに際し、前記クラッチギヤと係合して該クラッチギヤを前記出力軸の軸方向に摺動させるための一対のクラッチギヤ用係合部材と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の2速切換式減速歯車装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−159826(P2010−159826A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2651(P2009−2651)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】