説明

3次元マイクロ電池

電気エネルギー貯蔵装置(10)は、外部表面を持ち前記外部表面と連絡している複数のキャビティ(22)を有する基板(20)を含む。キャビティは内部キャビティ表面を有する。第1電極層(24)は少なくとも内部キャビティ表面上に堆積している。電解質セパレータ層(28)は、キャビティを満たし平面基板の外部表面上に延びるように第1電極層上に形成されている。第2電極層(30)は、平面基板の外部表面の電解質セパレータ層上に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的に電気エネルギー源に、詳細には3次元(3−D)マイクロ電池に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの3−Dマイクロ電池構成およびそのような電池を製造する方法は当業界に公知である。例えば、米国特許第6,197,450号は、その開示が参照により本願に取り込まれるが、マイクロ電池および二重層キャパシタ(DLC)などの薄膜マイクロエレクトロケミカルエネルギー貯蔵セル(MEESC)を記載している。エネルギー貯蔵セルは、2つの薄層電極、固体電解質の中間薄層および任意の第4の薄い電流コレクタ層を含んでいる。これらの層は、基板の表面上に順番に堆積される。基板は、アスペクト比が高い任意の形状のスルーキャビティ(through cavity)を多数含み、これが体積当たりの全電極面積率を増加させている。
【0003】
他の3−Dマイクロ電池構成はLongらにより、“Three-Dimensional Battery Architectures”、Chemical Review、10巻、104号、10月、2004年、4463-4492ページに記載されており、これを参照によって本願に組み込む。
【0004】
参照により本願に組み込まれる、2004年10月14日に出願のPCT特許出願PCT/IL2004/000945は、マイクロチャネルプレート(MCP)構造上に多数の薄膜層を形成することにより製造される、3−Dマイクロ電池などの3−D貯蔵セルを記載している。参照により本願に組み込まれる、2005年4月20日に出願のPCT特許出願PCT/IL2005/000414は、基板中に形成された2組の高アスペクト比マイクロコンテナを含んでなる3−Dマイクロ電池を記載している。マイクロコンテナには適切なアノードおよびカソード材料が満たされており、マイクロ電池の電極として使用される。アノードおよびカソードはインターレースパターンに配置されており、基板材料の壁により分離されている。マイクロコンテナを分離する基板の壁はイオン伝導性および電気絶縁性を高めるように処理されている。
【発明の開示】
【0005】
本発明の実施形態は、3−Dマイクロ電池などの小型の3次元(3−D)電気エネルギー貯蔵装置およびそのようなセルを製造する方法を提供する。
【0006】
公知の3−Dマイクロ電池構成において、エネルギーセルは、基板中に多数の小さなキャビティが形成されている基板中に製造されている。カソード、セパレータ層およびアノードが3−D構造中に形成されている。詳細には、異なる層がキャビティの内部に挿入されている。
【0007】
これらの公知の構成とは異なり、本発明の実施形態において、電極の片方のみ、電解質セパレータ層および任意に1つの電流コレクタがキャビティ内に形成されている。電解質セパレータ層はキャビティ内部を満たし、基板の外部表面の上に延びている。第2の電極は、基板表面上の電解質セパレータ層に取り付けられている。キャビティ内部に形成する必要があるのは層のいくつかのみなので、本願記載の3−Dセル構成は、従来の製造プロセスを利用して製造するのにより簡単であろう。
【0008】
さらに、以下に記載の構成は、公知の構成に比べ厚いカソードの堆積が可能であり、エネルギー容量および密度を著しく増加させる。開示される方法を利用して製造される典型的な3−Dマイクロ電池を以下に記載する。
【0009】
したがって、本発明の実施形態により、電気エネルギー貯蔵装置であって、
外部表面を有し前記外部表面と連絡している複数のキャビティを有する基板であって、前記キャビティが内部キャビティ表面を有する基板;
少なくとも前記内部キャビティ表面上に堆積している第1電極層;
前記キャビティを満たし前記平面基板の外部表面上に延びるよう第1電極層上に形成される電解質セパレータ層;および
前記平面基板の外部表面上の電解質セパレータ層上に形成される第2電極層
を含む、電気エネルギー貯蔵装置が提供される。
【0010】
1実施形態において、基板は平面および球形の少なくとも片方を有する。基板は、有孔板(perforated plate)およびマイクロチャネルプレート(MCP)の少なくとも片方を含んでよい。他の実施形態において、基板は2つの逆向きの外部表面を有し、キャビティは前記2つの外部表面と連絡するスルーキャビティを含み、電解質セパレータ層は前記2つの外部表面上に延び、第2電極層は前記の2つの逆向きの外部表面上の電解質セパレータ層上に形成されている。さらに、またはその代わりに、基板は、半導体、ガラス、プラスティック、金属、合金、炭素および複合材料の少なくとも1つを含むことがある。さらに他の実施形態において、キャビティの高さをキャビティの幅で割った比は1より大きい。
【0011】
1実施形態において、前記装置は、基板の少なくとも一部を被覆し、基板の内部キャビティ表面と第1電極層の間に堆積する第1の中空電流コレクタ層をさらに含む。さらに、またはその代わりに、前記装置は第2電極層の上に形成される第2電流コレクタ層を含むこともある。
【0012】
他の実施形態において、第1電極層と第2電極層の一方は装置のカソードを含み、第1電極層と第2電極層の他方は装置のアノードを含む。1実施形態において、カソードは、オキシ硫化モリブデン(MoS2)、FeS、FeS2、WS2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、CuS、CuS2、TiS2、V25、V38、Li1+xMn2-y4、MoO2、MoO3、CoOおよびFexMoySOの少なくとも1つを含む。さらに他の実施形態において、カソードはポリマーが添加されている複合カソードを含む。さらに他の実施形態において、アノードは、グラファイト、アルカリ金属およびアルカリ金属合金の少なくとも1つを含む。1実施形態において、電解質セパレータ層は、ハイブリッドポリマー電解質(HPE)メンブレン、ゲル電解質、固体セラミック電解質および固体ポリマー電解質の少なくとも1つを含む。
【0013】
本発明の実施形態により、電気エネルギー貯蔵装置を製造する方法であって、
外部表面を有し前記外部表面と連絡している複数のキャビティを有する基板であって、前記キャビティが内部キャビティ表面を有する基板を提供する工程;
少なくとも前記内部キャビティ表面上に第1電極層を堆積させる工程;
前記キャビティを満たし前記平面基板の外部表面上に延びるように第1電極層上に電解質セパレータ層を形成する工程;および
前記平面基板の外部表面上の電解質セパレータ層上に第2電極層を形成する工程
を含む、電気エネルギー貯蔵装置を製造する方法が提供される。
【0014】
1実施形態において、第1電極層の堆積は、電気化学堆積法、無電解析出法および化学蒸着法の少なくとも1つの利用を含む。さらに、または代わりに、電解質セパレータ層の形成は、スピンコート法、真空支援引き法(vacuum-assisted pulling process)、ペースト法、圧力充填法(pressure-filling process)およびキャスト法の少なくとも1つを利用する電解質層のキャビティ内への挿入を含む。
【0015】
本発明は、以下の図面とともに以下の実施形態の詳細な説明からより良く理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
マイクロ電池構造および製造方法
図1は、本発明の実施形態による、マイクロ電池10を製造するベースとして使用される有孔基板20の略図である。図1の典型的な実施形態において、基板20は2つの反対面を有する平面構造を含んでなるが、球形基板など他の形状および形態を有する基板も使用できる。多数のスルーキャビティ22が基板20に穴を開けており、1面から他の面へ基板の厚さ全体を貫いている。
【0017】
ある実施形態において、基板20は、キャビティ22が好適な電気化学エッチングまたはリソグラフィプロセスを利用して形成されている、ウェハまたは他のプレートを含んでなる。キャビティを作る典型的な方法は、上記で引用したPCT特許出願PCT/IL2005/000414に記載されているが、前記特許は本発明出願の譲受人に譲渡されている。基板材料は、シリコンなどの半導体、プラスティック、金属、合金、炭素、複合材料または他の好適な材料を含んでよい。
【0018】
あるいは、基板20は、マイクロチャネルプレート(MCP)構造、すなわち、互いに融合しスライスされて薄板を形成している非常に小さい直径の管の2次元アレイを含んでいてもよい。MCPは通常ガラスでできているが、カーボンファイバーなど他の材料でできていてもよい。MCPは、Del Mar Ventures(カリフォルニア州、サンディエゴ)およびBurle Electro-Optics,Inc.(マサチューセッツ州、スターブリッジ)など多くの源から市販されている。MCPの製造方法は、例えば、米国特許第6,300,709号、第6,260,388号および第6,270,714号に記載されており、その開示を参照により本願に組み込む。MCPを利用してマイクロ電池を製造するいくつかの態様は、上記に引用したPCT特許出願PCT/IL2004/000945に記載されており、前記特許は本発明出願の譲受人に譲渡されている。
【0019】
他の実施形態において、基板20は、好適な電気化学エッチングまたはリソグラフィプロセスを利用してキャビティ22が形成されているウェハを含んでもよい。キャビティを製造する典型的な方法は、上記に引用したPCT特許出願PCT/IL2005/000414に記載されており、前記特許は本発明出願の譲受人に譲渡されている。
【0020】
基板20の厚さ(およびキャビティ22の高さ)は好ましくは100−800ミクロンの範囲であるが、以下に記載する方法を利用して、どのような厚さの基板中にもマイクロ電池を製造することもできる。キャビティの特徴的な幅または直径は、典型的には数十ミクロン程度である。典型的には、キャビティは1を超えるアスペクト比(すなわち高さ対幅の比)を有する。キャビティは、典型的には1ミクロンから数十ミクロンの範囲の厚さを有する基板壁により分離されている。典型的なマイクロ電池中のマイクロコンテナの総数は、キャビティの直径、壁の厚さおよび電池の電気的特性により、数百から数万になることがある。典型的には、キャビティは高アスペクト比を有し、すなわち高さがその直径よりもはるかに大きい。以下の例は丸い断面を有する円筒状キャビティを示すが、他の形状および断面も利用可能である。ある実施形態において、キャビティは必ずしもスルーキャビティを含まないことがあり、すなわちキャビティが基板の表面の片方のみを貫通している。
【0021】
図2は、本発明の実施形態によるマイクロ電池10の断面略図である。ある実施形態において、第1電流コレクタ層24が基板20の表面積上に形成されている。層24は、典型的には金属層を含んでなり、当業界に公知の好適な薄膜堆積プロセスを利用して基板20上に堆積している。典型的には、層24は、キャビティ22の内部および外部の両方で、有孔基板の表面積全体を被覆する中空構造または外皮を形成する。特に、層24はキャビティ22の内部表面を被覆する。層24が2−4ミクロンのニッケル層を含んでなる典型的なマイクロ電池を以下に記載する。別法としては、より薄い(例えば1ミクロン)またはより厚い電流コレクタ層も使用できる。
【0022】
電流コレクタ層24は、マイクロ電池の端子の一方を形成している。別の実施形態において、例えば基板20が導電性材料を含んでなる場合、電流コレクタ24を省略できる。層24の使用を不要にするほど、炭素または金属基板が十分に導電性である場合もある。例えば、有孔金属シート、炭素(例えばグラファイト)メッシュまたは高ドープシリコンウェハは導電性基板として機能する。
【0023】
カソード層26は第1電流コレクタ層の上に(あるいは、第1電流コレクタ層が省略されている場合、有孔基板の直接上に)形成されている。層26は、キャビティ22の内部および外部の両方で、第1電流コレクタの表面積全体を実質的に被覆している。第1電流コレクタ層24が省略される場合、カソード層は基板を被覆し、基板自体がマイクロ電池10の端子の一方を形成している。
【0024】
以下の実施例において、層26はオキシ硫化モリブデン(MoS2)を含んでなる。使用できる別なカソード材料は、上記に引用した米国特許第6,197,450号ならびにPCT特許出願PCT/IL2004/000945およびPCT/IL2005/000414に記載されている。例えば、別なカソード材料は、FeS、FeS2、WS2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、CuS、CuS2、TiS2、V25、V38、Li1+xMn2-y4、MoO2、MoO3、CoOおよびFexMoySOを含んでよい。
【0025】
ある実施形態において、追加のポリマーをカソード材料に加えてより厚い複合カソードが形成される。複合カソードは、例えば、参照により本願に組み込む、Golodnitskyらの“Progress in Three-Dimensional(3D)Li-Ion Microbatteries,”The 15th International Conference on Solid State Ionics(SSI-15)、Baden-Baden、Germany、July 17-22、2005に記載されている。二次電池に使用される複合負極構成は、米国特許第5,162,178号に記載されており、その開示を参照により本願に組み込む。
【0026】
本願に記載のマイクロ電池構成に使用される複合カソードの厚さは、およそ20nmから10ミクロン超まで変わることがあるが、元のカソードの厚さは典型的には10nmと2ミクロンの間である。より厚いカソードは、典型的には電池のエネルギー密度を増加させる。複合カソードを含む典型的な電池構成および関連するエネルギー密度(容量)試験結果を以下に示す。本願記載のマイクロ電池構成は複合カソードを配置するのに特に好適であるが、キャビティの内部に利用される電池層がより少ないからである。したがって、より大きいキャビティ容積がより厚いカソードを支持するのに利用できる。
【0027】
カソード層は、電気化学堆積法を利用して、あるいは無電解析出および化学蒸着などの他の好適な方法を利用して形成できる。カソード層の特徴的な厚さは、0.2から5ミクロンの範囲であるが、他の厚さも利用できる。典型的には、層26は、第1電流コレクタまたは基板の表面全体を被覆するように形成される。
【0028】
当業界に公知であるとおり、電解質セパレータ層はカソード層26上に塗布されてマイクロ電池のセパレータ層を形成する。ある実施形態において、電解質セパレータ層は、イオン伝導性電解質メンブレン28を含んでなる。メンブレン28は、カソード層を被覆しキャビティ22の残りの内部容積を満たすように堆積する。メンブレン28は基板20の外部表面(または複数の表面)を越えて延びる。典型的には、図2の実施例など、メンブレンは基板の反対面両方を越えて延び、2つの逆向きの平面外部表面を有する。理解できるとおり、メンブレン28は、カソードメッキキャビティの内部およびカソードメッキ基板の外部面上の両方で、広い表面積にわたりカソード層26と接触している。
【0029】
以下に記載の実施例において、メンブレン28はハイブリッドポリマー電解質(HPE)を含んでなる。あるいは、メンブレン28はセラミックまたは他の固体電解質、ポリマー電解質またはゲル電解質を含むこともある。典型的には、メンブレン28は電気絶縁性およびイオン伝導性である。メンブレン材料は、スピンコーティング、真空支援引き法、ペースト法、圧力充填法およびキャスト法などの当業界に公知の好適なプロセスを利用してキャビティ中に挿入できる。
【0030】
基板20、カソード層26および電解質メンブレン28が、互いに化学的に適合性があるように、すなわち互いに反応せず、腐食を起こさないように選択されなければならないことに留意されたい。
【0031】
アノード層30は、イオン伝導性メンブレンの外部表面または複数の表面上に形成され、または他の方法で取り付けられている。以下に記載の実施例において、アノード層30はグラファイトを含んでなる。あるいは、アノードは、リチウムと可逆的にインターカレートすると知られている種々のリチウム合金などの他の好適な材料を含んでよく、Si、Sn、Sb、Al、Mg、Cu、NiおよびCoから選択される1種または複数の元素を含む。あるいは、アノードは他の好適なアルカリ金属またはアルカリ金属合金を含んでよい。
【0032】
アノード層は実質的に平坦な層または膜を含む。アノードは、薄膜または厚膜堆積法を利用してメンブレンの外部表面に堆積できる。あるいは、アノードは、アノード材料でできていてメンブレンの表面に取り付けられた薄い箔を含むことがある。アノード層はメンブレン28の外部表面の一方または両方に取り付けられる。
【0033】
第2電流コレクタ層32は任意にアノード層に取り付けられ、電池10の他の端子に接続している。アノードが導電性材料(グラファイトなど)を含んでなる実施形態において、第2電流コレクタを省略でき、電池端子は直接アノードに接続する。公知のいくつかの3−Dマイクロ電池構成と違い、アノードおよび第2電流コレクタは、キャビティ22に貫通していない実質的に平坦な2−D層である。
【0034】
アノード、カソードおよび電解質層の種々の別な材料組成物ならびにこれらの層を堆積させる好適なプロセスは、上記で引用した背景参照文献に記載されている。
【0035】
34Aおよび34Bと表示されるマイクロ電池の2つの端子は、それぞれ第1および第2電流コレクタ層と接続している。端子34Aは、マイクロ電池構造中の好適な開口部を通って層24に接続している。端子34Bは層32に接続している。上述のとおり、層24が省略される実施形態において、端子34Aは基板20に直接接続している。同様に、層32が省略される場合、端子34Bはアノード層30に直接接続している。
【0036】
図3は、本発明の実施形態による上記図2のマイクロ電池の平面断面略図である。図は、キャビティ22のある基板20を示す、上記図2でIIIと印の付いた水平面の平面断面図を示す。キャビティの内部表面は第1電流コレクタ層24によりメッキされており、次いでカソード層26によりメッキされている。キャビティ内部の残りの容積はメンブレン28により満たされている。
【0037】
公知のいくつかの3−Dマイクロ電池構成と比較して、図2および3に示すマイクロ電池10の構造は製造するのがより簡単である。アノード層がキャビティの外側に塗布されているので、イオン伝導性メンブレンは、追加のアノード層を収容する必要なく、キャビティの残りの容積全体を満たすことができる。したがって、メンブレンは、種々の充填、ペーストおよび/またはキャスト法を利用して、必ずしも共形堆積(conformal deposition)法を利用せずに塗布することができる。さらに、カソード層をより厚くでき、それにより電池のエネルギー容量を高めることができる。
【0038】
図2および3の典型的な実施形態において基板はカソード層に被覆されアノード層は外部の平坦層であるが、2つの電極の役割は反対にできる。言い換えると、別な実施形態において、マイクロ電池は基板を被覆するアノード層および平坦な外部カソードを含んでよい。
【0039】
図4は、本発明の実施形態によるマイクロ電池10の製造方法を図式的に示すフローチャートである。図4の方法を利用して製造される特定のマイクロ電池のいくつかの例を以下にさらに説明する。前記方法は、基板供給工程40で有孔基板20を製造または他の方法で得る工程により始まる。ある実施形態において、有孔基板はマイクロ電池製造プロセスの一部として製造されることもある。あるいは、好適な有孔基板を事前に提供してもよい。
【0040】
任意に、第1電流コレクタ24を、第1電流コレクタ形成工程42で、基板上に堆積させる。次いで、第1電極層(本例においてカソード層)を、第1電極形成工程44で形成し第1電流コレクタ層を被覆する。第1電流コレクタを省略する場合、第1電極層は基板を被覆する。
【0041】
次いで、メンブレン形成工程46でメンブレン28を塗布する。上述のとおり、メンブレン材料はキャビティ22の残りの容積を満たし、基板の3−D構造を越えて延び、1つまたは2つの外部表面を形成する。次いで、第2電極形成工程48で、第2電極層(本例においてアノード層)をメンブレンの外部表面の少なくとも一方に塗布する。任意に、第2電流コレクタ形成工程50で、第2電流コレクタ層32をアノード層に塗布する。次いで、端子をマイクロ電池に接続し、組み立てられたマイクロ電池を、好適な手段を利用して包装および/または密封できる。
【0042】
典型的なマイクロ電池
以下の実施例は、開示された構造および方法を利用する可能性のある3−Dマイクロ電池装置をいくつか示す。
【0043】
実施例1
3−Dマイクロ電池を、上記の図1−3の配置により組み立てる。マイクロ電池は、MoS2カソード、ハイブリッドポリマー電解質(HPE)メンブレンおよびリチウムイオングラファイトアノードを含んでなる。カソード電流コレクタとしてニッケル層を使用する。
【0044】
本実施例に使用する基板は、円形ソーダライムMCP基板(BURLE Electro-Optics,Inc.製造、部品番号C13S05M50)を含んでなる。基板は、外径13mm、厚さ0.5mmであり、直径50ミクロンの円形スルーキャビティを多数有する。MCP基板は、以下の組成(w/w%)を有するソーダライムガラスでできている:SiO2(72.8)、Na2O(13.7)、CaO(8.8)、MgO(4.0)、Fe23(0.12)、Al23(0.1)。
【0045】
最初に、基板を処理してニッケル電流コレクタの接着を高める。処理は、室温で超音波浴中で実施される、洗剤溶液およびエタノール中での連続した浸漬および脱脂を含む。その後、基板を沸騰シクロヘキサンおよび濃(98%)硫酸に浸漬する。脱脂された表面を、フッ化水素酸(40%)と硫酸(98%)の1:4混合物でエッチングする。
【0046】
共形被覆を与えると当業界に公知の無電解法を使用して、MCP基板の露出した表面全体にニッケル電流コレクタを堆積させる。ニッケルの無電解析出は、SnCl2、HCl:H2O溶液中での増感、PdCl2、HCl:H2O溶液での活性化およびニッケル還元の数回の連続的な繰り返しを含んでなる。活性化されたニッケルメッキ基板を、錯形成剤としてのクエン酸3ナトリウムおよび還元成分としての次亜リン酸ナトリウムとともにアルカリ性Ni−無電解浴に浸漬する。自己触媒プロセスは、65−70℃で5−15分実施する。析出したニッケル層の厚さは析出時間により変わる。例えば、15分の析出は、およそ2ミクロンの層の厚さを生み出す。
【0047】
無電解溶液の組成は以下のとおりである:スルファミン酸ニッケル:0.100M、クエン酸ナトリウム:0.125M、酢酸ナトリウム:0.100M、次亜リン酸ナトリウム:0.314M、チオ尿素:0.1md/L、ドデシル硫酸ナトリウム:10mg/L、pH 9。得られた電流コレクタ層は共形であり、粘着性が高く、完全にキャビティを被覆する。上述の無電解プロセスは、キャビティ内部および基板の外部面上の両方に均一な2−4ミクロンのニッケル層を作り出す。
【0048】
ニッケルメッキ基板を脱イオン水で洗浄し、次いで電気化学カソード堆積を行う。電気化学堆積法は、テトラチオモリブデート(MoS42-)アニオンを電気活性種として含んでなる電解浴中で実施する。浴は、Na2SおよびNa2MoO4の水溶液を混合し、HClまたはKH2PO4を加えて溶液のpHを7.5−8.0の範囲の値に調整して調製する。
【0049】
流量制御装置を使用し、高アスペクト比のキャビティ内部に共形堆積を確実にする。この装置において、ニッケルメッキ基板を対電極として働く2つのグラファイトプレート間に置く。蠕動ポンプは、電解浴中に最大0.4L/分の一定流速を与える。薄膜MoS2層は、ニッケルメッキ基板に一定負電位/電流を印加することによりテトラチオモリブデートアニオンの電解還元から得られる。
【0050】
本実施例において、HPEイオン伝導性メンブレンは、市販のPVDF−2801コポリマー(Kynar)を含んでなる。SiO2(Aerosil 130)をポリマーマトリックスに加えて、イオン伝導性および電解質取り込みを増加させる。PVDFパウダーを高純度シクロペンタノン(Aldrich)またはDMSOに溶かす。次いで、ヒュームドシリカ130(Degussa)およびプロピレンカーボネート(PC、Merck)を加え、混合物を室温でおよそ24時間攪拌し、均質なスラリーを作る。
【0051】
あるいは、PEGDMEをポア形成剤(pore former)として使用できる。メンブレンの厚さおよびそのモルフォロジーは、キャスティングスラリー中の固体の量ならびに使用する溶媒およびポア形成剤の種類による。メンブレンスラリーを、数回の連続的なスピンコーティングおよび真空引き工程を利用して、キャビティ中に挿入する。
【0052】
次に、アノード材料を準備する。MCMB 6−28(メソカーボンマイクロビーズ、大阪ガス株式会社)を、アノードリチウムインターカレーションホスト材料として使用する。MCMBを、200℃でおよそ8時間乾燥する。適当量のMCMB、ポリマーバインダーおよび溶媒を混合してアノードスラリーを準備する。次いで、アノードスラリーをHPEメンブレンの外部表面にペーストする。メンブレンと密接にかみあうように、リチウム薄膜をグラファイトアノードの表面に緩やかな圧力をかけてあてがう。グラファイトアノードのリチウム化は、電池製造の10時間以内に実施されることが好ましい。マイクロ電池の総電極面積は0.2cm2である。
【0053】
次いで、材料の完全な濡れを確実にするため、真空下で1M LiBF4 1EC:9DEC電解質にマイクロ電池を浸す。マイクロ電池を、2324コイン電池中に密封する。
【0054】
LiC6-x/HPE/MoS2電池を、Maccorシリーズ2000電池試験システムを利用して室温でサイクルさせた。カットオフ電圧は1.3−2.4Vの範囲であった。充電/放電電流密度は、10μA/cm2であった。電池は、0.05%/サイクルの容量減退率で、100を超える可逆サイクルでサイクル当たり1.5mAh/cm2の容量をもたらした。ファラデー効率は100%に近かった。
【0055】
実施例2
3−Dマイクロ電池を上記実施例1と同様に組み立てる。しかし、本実施例において、カソード層はより厚い複合カソードを含んでいる。異なる分子量および濃度のPEGDMEおよびPEO付加物を電解浴に加えることにより、電気化学堆積法を利用して、複合MoS2系カソードを製造する。
【0056】
図5は、本発明の実施形態による複合カソードと元のカソードを有する2−Dおよび3−Dマイクロ電池の可逆容量の間の比較を示すグラフである。グラフは、いくつかの典型的なマイクロ電池のサイクル数の関数として容量(mAh/cm2で表したエネルギー密度)を示す。
【0057】
データポイント54は、元のカソードを有する、実施例2により組み立てた3−Dマイクロ電池の容量を示す。この電池の容量は、およそ1.5mAh/cm2で始まることが示されている。データポイント58は、複合カソードを有する同等な大きさの電池の容量を示す。この電池の容量はおよそ3.5mAh/cm2で始まることが示されている。添加剤対テトラチオモリブデートの比および複合カソードの電気化学堆積中の電流密度は、リチウムおよびリチウムイオン電池の可逆容量に著しく影響を与える。データポイント58は、1:1のポリマー対塩の比を示す。
【0058】
複合カソードを製造する場合、カソード堆積に利用する電流密度は倍になる。カソード堆積時間も増加し、典型的には0.5から2時間である。複合カソード膜は基板に対する粘着性が高い。
【0059】
3−Dマイクロ電池により得られる容量は、同等の2−D(平面)電池により得られるものより著しく大きい。データポイント62は、元のカソードを持ち上述の3−Dマイクロ電池と同じ面積を有する2−D薄膜電池の容量を示す。データポイント66は、複合カソードを有する同等の2−D電池の容量を示す。図から分かるように、3−Dマイクロ電池の容量は、同等の2−D電池の容量より一桁大きい。
【0060】
実施例3
3−Dマイクロ電池を実施例2と同様に組み立てる。しかし、本実施例において、1:6のポリマー対塩の比を有する電解質を電流密度20mA/cm2で1時間使用し、複合カソードを堆積させる。
【0061】
図6は、本発明の実施形態による、複合カソードおよび元のカソードを有する2−Dおよび3−Dマイクロ電池の可逆容量の比較を示すグラフである。データポイント62および66は、それぞれ元のカソードおよび複合カソードを有する2−D電池の容量を示す。データポイント70は実施例3の3−Dマイクロ電池の容量を示し、その複合カソードは、ポリマー対塩の比が1:6の電解質を使用して堆積している。図から分かるように、3−Dマイクロ電池の可逆放電容量は10mAh/cm2に近づいており、同等の2−D電池の容量よりほとんど2桁大きい。
【0062】
実施例4
3−Dマイクロ電池を実施例1および2と同様に組み立てる。しかし、本実施例において、HPEメンブレンを基板の1表面にのみキャストする。得られたマイクロ電池は、容量損失が0.1%/サイクル未満で、40の可逆サイクルにわたり運転する。この実施例は、元のカソードおよび複合カソードの両方に当てはまる。
【0063】
実施例5
3−Dマイクロ電池を実施例1および2と同様に組み立てるが、HPEメンブレンをMCP基板の両面にキャストする。この実施例のカソードは、複合カソードを含んでなる。マイクロ電池は室温でおよそ5mAh/cm2の可逆容量を有する。
【0064】
実施例7
アノードとカソードの間に起こりうる短絡を防ぐため、基板にニッケル電流コレクタおよびオキシ硫化モリブデンカソードを被覆した後、LiBF4:P(EO)20ポリマー電解質の10ミクロンの追加層をスピンコーティングによりMCP基板の2つの外部表面に塗布できる。ポリ(エチレンオキシド)(P(EO))(Aldrich、平均分子量5×106)を、45−50℃でおよそ24時間真空乾燥する。平均径がおよそ150ÅのAl23(Buehler)などの必要な量の無機フィラーとともに、既知量のP(EO)およびLiBF4を分析グレードのアセトニトリルに分散してポリマースラリーを調製する。均一な懸濁液の形成を確実にするため、超音波浴または高速ホモジナイザーを使用できる。懸濁液をおよそ24時間攪拌してから、精密研磨したテフロン(登録商標)支持体(面積64cm2)上にPEフィルムをキャストする。溶媒をゆっくりと蒸発させる。溶媒のないPEフィルムの最終的な厚さは10−15ミクロンである。
【0065】
上記実施例1と同様にキャスト法および真空充填工程を利用して、PVDF−SiO2メンブレン挿入を実施する。得られた電池では、Li/PEO−PVDF/MoOxy電池が電流密度40μA/cm2および1.3−2.2Vの範囲のカットオフ電圧でサイクルされる場合、容量劣化の程度が0.5%/サイクル(100%DOD)以下である。
【0066】
実施例8
3−Dマイクロ電池を、実施例1、2または4と同様に組み立てる。Celgard 2400セパレータをポリマーメンブレンとして使用する。得られるカットオフ電圧は1.3−2.4Aの範囲である。充電/放電電流密度は40μA/cm2である。電池は、0.06%/サイクルの容量減退率で、20を超える可逆サイクルでサイクル当たり4.5mAhの容量をもたらす。ファラデー効率は100%に近い。
【0067】
実施例9
3−Dマイクロ電池をシリコン基板上に組み立てる。電池は、リチウムイオンアノード、HPEメンブレンおよびMoS2カソードを含んでなる。有機残渣を除去するため、シリコン基板をアセトンと弱塩基溶液に5分間浸漬し、次いで脱イオン水で洗浄し、H22:HCl混合物に5分間続いて浸漬する。脱イオン水ですすいだ後、シリコン表面を粗くし表面への電流コレクタの接着を高めるために、基板をNH4F:HF溶液で2分間エッチングする。
【0068】
オキシ硫化モリブデンを上記の実施例2と同様に基板に堆積させる。市販のPVDF−2801コポリマー(Kynar)をバインダーとして使用し、ヒュームドシリカをポリマーメンブレンのフィラーとして使用する。
【0069】
電池に、液体リチウムイミド−エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC)1:1(v/v)電解質を充填する。得られる3−Dリチウムイオン/ハイブリッドポリマー電解質/MoS2電池を、Maccorシリーズ2000電池試験システムを使用して室温でサイクルさせる。カットオフ電圧は1.2−2.3Vの範囲である。充電/放電電流密度は10−100μA/cm2である。電池は、0.1%/サイクルの容量減退率で、40μA/cm2において30を超える可逆サイクルでサイクル当たり2mAhを超える容量をもたらす。ファラデー効率は100%に近い。
【0070】
リチウム化の程度を制御するため、残されたグラファイトフレークを濾過し、乾燥ヘキサンで洗浄する。蒸留水をゆっくりと溶液に加える。既知量のLiOH(水層中)をHClで滴定する。計算したLiOHのモル数を、初期のLi−NMモル数から引き、インターカレーションしたリチウムの実際のモル数を得る。
【0071】
実施例10
異なる電気化学堆積カソード(CoOxy、FeOx2-x、V25-xxおよびCu2S)を有するいくつかの3−Dマイクロ電池を組み立て試験する。1ミクロンの厚さのフィルムカソードを有するLi/HPE/Cu2S 3−Dマイクロ電池を、以下の材料、33mgのLiI、216mgのP(EO)、41mgのEC、100mgのAl23で出発して、上記の実施例1と同様に組み立てる。無電解ニッケル(または金)に電着させた金属銅層の陽極酸化により、密度100%のCu2Sカソードを調製する。鋼の電着のための電解質は、200−250(g/L)のCuSO4x5H2Oおよび50−60(g/L)のH2SO4を含む。電着は、室温で、電流密度50mA/cm2で8分間実施する。銅層を、0.1−0.5mA/cm2の一定電流でポリスルフィド(10mMのNa2S、0.1MのNaOHおよび元素状硫黄)の水溶液中で数秒間電解酸化する。得られたリチウムイオン/HPE/Cu2Sマイクロ電池の容量劣化の程度は、1.5%/サイクル以下である。
【0072】
本願に記載する方法および装置は主に3−Dマイクロ電池の組み立てを扱っているが、本発明の原理は、二重層キャパシタ(DLC)および他のキャパシタタイプなどの他のエネルギー貯蔵装置の組み立てにも利用できる。
【0073】
したがって、上述の実施形態が例示のために引用され、本発明が上記に詳細に示され説明されてきたものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は上述の種々の特徴の組み合わせおよび副組み合わせの両方を含み、さらに従来技術には開示されておらず、先行の説明を読めば当業者には思い浮かぶであろうその変形物および修正物も含む。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】図1は、本発明の実施形態による有孔基板(perforated substrate)の略図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態によるマイクロ電池の略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態によるマイクロ電池の平面断面略図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態によるマイクロ電池を製造する方法を大まかに示すフローチャートである。
【図5】図5は、本発明の実施形態によるマイクロ電池の容量を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の実施形態によるマイクロ電池の容量を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エネルギー貯蔵装置であって、
外部表面を有し前記外部表面と連絡している複数のキャビティを有する基板であって、前記キャビティが内部キャビティ表面を有する基板;
少なくとも前記内部キャビティ表面上に堆積している第1電極層;
前記キャビティを満たし前記平面基板の外部表面上に延びるよう第1電極層上に形成される電解質セパレータ層;および
前記平面基板の外部表面上の電解質セパレータ層上に形成される第2電極層
を含んでなる、電気エネルギー貯蔵装置。
【請求項2】
前記基板が平面および球形の少なくとも一方を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記基板が有孔板およびマイクロチャネルプレート(MCP)の少なくとも一方を含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記基板が2つの逆向きの外部表面を持ち、前記キャビティが前記2つの外部表面と連絡するスルーキャビティを含み、前記電解質セパレータ層が前記2つの外部表面上に延び、前記第2電極層が前記の2つの逆向きの外部表面上の電解質セパレータ層上に形成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記基板が、半導体、ガラス、プラスティック、金属、合金、炭素および複合材料の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記キャビティの高さをキャビティの幅で割った比が1より大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記基板の少なくとも1部分を被覆し、前記基板の内部キャビティ表面と第1電極層の間に堆積する第1の中空電流コレクタ層をさらに含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記第2電極層の上に形成される第2電流コレクタ層をさらに含んでなる、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記第1電極層と第2電極層の一方が装置のカソードを含み、第1電極層と第2電極層の他方が装置のアノードを含む、請求項1−8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記カソードが、オキシ硫化モリブデン(MoS2)、FeS、FeS2、WS2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、CuS、CuS2、TiS2、V25、V38、Li1+xMn2-y4、MoO2、MoO3、CoOおよびFexMoySOの少なくとも1つを含む、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記カソードが、ポリマーが添加されている複合カソードを含んでなる、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記アノードが、グラファイト、アルカリ金属およびアルカリ金属合金の少なくとも1つを含んでなる、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記電解質セパレータ層が、ハイブリッドポリマー電解質(HPE)メンブレン、ゲル電解質、固体セラミック電解質および固体ポリマー電解質の少なくとも1つを含む、請求項1−8のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
電気エネルギー貯蔵装置を製造する方法であって、
外部表面を有し前記外部表面と連絡している複数のキャビティを有する基板であって、前記キャビティが内部キャビティ表面を有する基板を提供する工程;
少なくとも前記内部キャビティ表面上に第1電極層を堆積させる工程;
前記キャビティを満たし前記平面基板の外部表面上に延びるように第1電極層上に電解質セパレータ層を形成する工程;および
前記平面基板の外部表面上の電解質セパレータ層上に第2電極層を形成する工程
を含む、電気エネルギー貯蔵装置を製造する方法。
【請求項15】
前記基板が、平面および球形の少なくとも一方を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記基板の提供が、有孔板の提供およびマイクロチャネルプレート(MCP)の提供の少なくとも一方を含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記基板が2つの逆向きの外部表面を持ち、前記キャビティが前記2つの外部表面と連絡するスルーキャビティを含み、前記電解質セパレータ層の形成が前記2つの外部表面上に前記電解質層を延ばすことを含み、前記第2電極層の形成が前記の2つの逆向きの外部表面上の電解質セパレータ層上に第2電極層を塗布することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記基板が、半導体、ガラス、プラスティック、金属、合金、炭素および複合材料の少なくとも1つを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記キャビティの高さをキャビティの幅で割った比が1より大きい、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
前記基板の内部キャビティ表面と第1電極層の間で前記基板の少なくとも1部分を被覆するように第1の中空電流コレクタ層を堆積させることをさらに含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記第2電極層の上での第2電流コレクタ層の形成をさらに含んでなる、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
前記第1電極層と第2電極層の一方が装置のカソードを含み、第1電極層と第2電極層の他方が装置のアノードを含む、請求項14−21のいずれかに記載の方法。
【請求項23】
前記カソードが、オキシ硫化モリブデン(MoS2)、FeS、FeS2、WS2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、CuS、CuS2、TiS2、V25、V38、Li1+xMn2-y4、MoO2、MoO3、CoOおよびFexMoySOの少なくとも1つを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
複合カソードを製造するようにカソードにポリマーを添加することをさらに含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記アノードが、グラファイト、アルカリ金属およびアルカリ金属合金の少なくとも1つを含んでなる、請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記電解質セパレータ層が、ハイブリッドポリマー電解質(HPE)メンブレン、ゲル電解質、固体セラミック電解質および固体ポリマー電解質の少なくとも1つを含む、請求項14−21のいずれかに記載の方法。
【請求項27】
前記の第1電極層の堆積が、電気化学堆積法、無電解析出法および化学蒸着法の少なくとも1つの利用を含んでなる、請求項14−21のいずれかに記載の方法。
【請求項28】
前記の電解質セパレータ層の形成が、スピンコート法、真空支援引き法、ペースト法、圧力充填法およびキャスト法の少なくとも1つを利用する電解質層のキャビティ内への挿入を含んでなる、請求項14−21のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−530765(P2009−530765A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−558976(P2008−558976)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【国際出願番号】PCT/IL2007/000167
【国際公開番号】WO2007/105196
【国際公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(506362004)テル アビブ ユニバーシティ フューチャー テクノロジー ディベロップメント リミティド パートナーシップ (2)
【Fターム(参考)】