説明

3Dナビゲーション装置

【課題】 車両が低速状態や停止状態であれば仮想カメラの視野角を広くした上で地図描画対象領域を計算することにより運転者の視界範囲に対応した広い視野角の3D地図データを作成可能であり、車両の走行速度に応じて運転者の視界範囲に常に一致した3D地図を表示可能な3Dナビゲーション装置を提供することにある。
【解決手段】 対象領域計算部12は、走行状態判断部11が停車状態にあると判断する時は、仮想カメラ14の視野角を広角に設定して地図描画対象領域を計算する。また、走行状態判断部11が走行状態にあると判断する時は、仮想カメラ14の視野角を狭角に設定して地図描画対象領域を計算する。3DCGデータ作成部13はこの地図描画対象領域に相当する地図データをディスク4から抽出して3DCGデータを作成し、このデータを描画するための描画コマンドをグラフィックIC8に発行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用のナビゲーション装置に係り、特に、運転者の視界に近い3D地図を表示する3Dナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、目的地までの経路探索を行って誘導案内を実施するナビゲーション装置が普及している。中でも、運転者の視界を3D地図でリアルに再現するドライバーズビュー3Dナビゲーション装置は、複雑な交差点等でも運転者に誘導経路を理解させ易いといった利点があり、注目を集めている。この装置では、まず、運転者の視界範囲に当たるように仮想カメラの視野角を設定しておき、車両の現在位置と向きから地図描画対象領域を計算する。続いて、計算した地図描画対象領域に基づいてCD−ROM等のディスクから必要な地図データを読み出し、3DCGデータを作成する。そして、3DCGデータを元に3D地図を描画して、これをディスプレイ部に表示する。以上のようなナビゲーション装置によれば、平面的な地図表示ではなく、3D地図を提示できるため、ユーザに経路状況を容易に把握させることができ、確実な誘導案内を実現可能である。
【0003】
また、車載機器分野では3Dナビゲーション装置にて用いられるような仮想カメラではなく、実際のカメラを車両に搭載したものも知られている。例えば、赤外線カメラを用いたナイトビジョン(暗視)機構を車両に搭載した特許文献1では、カメラの「視野の角度限界が自動車の速度に関連」させる、つまり車両の走行速度に応じて赤外線カメラの視野角度を調整するといった技術も提案されている。
【特許文献1】特開2004−513541号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、3Dナビゲーション装置においては、地図描画対象領域を計算する際、運転者の視界範囲に相当するように仮想カメラの視野角を設定している。ナビゲーション装置は車両の走行時に使用することを前提としているので、仮想カメラの視野角は通常、走行中の運転者の視界を基準として設定されている。しかし、車両が交差点に徐行しながら進入する場合や交差点手前で停車している場合では、運転者の視野は高速走行時に比べて格段に広くなる。ちなみに、視野角度と走行速度との関係は、時速100km/hでは40°、時速70km/hで65°であるが、時速40km/hでは100°、停止時では200°程度となる。
【0005】
ところが、従来の3Dナビゲーション装置では、仮想カメラの視野角は固定されたままであり、走行速度による運転者の視野角度の変化は無視されていた。上記特許文献1に示したように、車両の走行速度に応じて赤外線カメラの視野角度を変える技術はあったが、あくまでも実際のカメラに関してであり、仮想カメラを構成要素としたナビゲーション装置の分野においては、車両走行速度の変化に応じて、仮想カメラの視野角が変わることはなかった。
【0006】
したがって、徐行運転時や停車時に際しても、ディスプレイ部に表示される3D地図は、走行時を基準とした視野のままで表示されていた。この結果、広い視野角を持つ低速走行中の運転者から見て、3D地図の表示範囲は実際の視界よりも狭いと感じることになる。しかも、低速走行時あるいは停車時では、運転者はディスプレイ部の表示を注意深く見ることができるので、運転者の視界範囲と3D地図の表示範囲とのずれは運転者に違和感を覚えさせてストレスの原因となり、問題となっていた。
【0007】
以上述べたように、従来技術においては、ある程度の速さで走行している車両の運転者の視界を基準として仮想カメラの視野角が設定されており、この設定は車両の走行速度に関わらず常時一定であった。このため、低速及び停止状態では実際の運転者の視界範囲よりも狭い範囲の3D地図が表示されることになり、これを改善することが望まれていた。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、車両が低速状態や停止状態であれば仮想カメラの視野角を広くした上で地図描画対象領域を計算することにより運転者の視界範囲に対応した広い視野角の3D地図データを作成可能であり、車両の走行速度に応じて運転者の視界範囲に常に一致した3D地図を表示可能な3Dナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、自車の現在位置と向きを判別する位置センサと、地図データを格納するデータ格納部と、前記位置センサから自車の現在位置と向きを取得して運転者の視界範囲に当たるように仮想カメラの視野角を設定して地図描画対象領域を計算する対象領域計算部と、前記データ格納部から前記地図描画対象領域に相当する地図データを抽出して3DCGデータを作成する3DCGデータ作成部と、前記3DCGデータを元に3D地図を描画する3D地図描画部と、前記3D地図を表示するディスプレイ部とが備えられた3Dナビゲーション装置において、次のような構成上の特徴を有している。
【0010】
請求項1の発明は、自車の走行速度を測定する速度センサと、前記速度センサが測定した自車の走行速度を受け取り、該走行速度が所定の基準値を超える高速走行状態なのか、前記走行速度が前記基準値に満たない低速走行状態なのかを判断する走行状態判断部とが設けられ、前記対象領域計算部は、前記走行状態判断部が低速走行状態にあると判断する時、仮想カメラの視野角を広角に設定して地図描画対象領域を計算し、前記走行状態判断部が高速走行状態にあると判断する時、仮想カメラの視野角を狭角に設定して地図描画対象領域を計算するように構成されたことを特徴としている。
【0011】
このような構成を有する請求項1の発明によれば、走行状態判断部が速度センサから自車の走行速度を受け取り、自車の走行状態を判断する。この時、走行状態判断部が自車は高速走行状態にあると判断すれば、仮想カメラの視野角を狭角に設定した上で地図描画対象領域を計算するため、ディスプレイ部に表示される3D地図は視野角の狭い画像となり、運転者の視界範囲と一致する。一方、走行状態判断部が自車は低速走行状態にあると判断すれば、仮想カメラの視野角を広角に設定した上で地図描画対象領域を計算するので、ディスプレイ部に表示される3D地図は視野角の広い画像となる。その結果、走行速度の低下に応じて視野角が広くなった運転者の視界範囲と一致させることができる。
【0012】
このように、自車の走行状態に合わせて仮想カメラの視野角を変えて地図描画対象領域を計算することにより、車両の走行速度が大きければディスプレイ部に映し出される3D地図の表示範囲を狭くし、反対に、車両の走行速度が小さければディスプレイ部に映し出される3D地図の表示範囲を広くすることができる。これにより、車両の走行状態に見合った表示範囲の3D地図を提示することができ、常に運転者の視界範囲に一致するので、運転者はストレスを感じることなく、高品質な誘導案内を受けることが可能である。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1に記載の3Dナビゲーション装置において、前記対象領域計算部は、計算した地図描画対象領域とは異なる新たな地図描画対象領域を計算しようとする時、2つの領域の差分を計算するように構成されており、前記3DCGデータ作成部は、新たな地図描画対象領域からは外れた地図データを削除し、新たに地図描画対象領域に入った地図データだけを前記データ格納部から抽出するように構成されたことを特徴としている。
【0014】
このような構成を有する請求項2の発明によれば、前回の地図描画対象領域と今回の地図描画対象領域の差分を計算し、新たな地図描画対象領域からは外れた地図データを削除し、新たに地図描画対象領域に入った地図データだけをデータ格納部から抽出するので、データ格納部から抽出する地図データのデータサイズを最小限に抑えることができる。このため、車両の低速走行状態時に仮想カメラの視野角を広げて地図描画対象領域を大きくしたとしても、データ格納部へのアクセス時間は短くて済み、視野角の広い3D地図を迅速に表示することができる。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の3Dナビゲーション装置において、前記ディスプレイ部は、前記地図描画対象領域に対応したサイズで前記3D地図を表示するように構成されたことを特徴としている。
【0016】
このような請求項3の発明では、車両の高速走行状態時に仮想カメラの視野角を狭くして地図描画対象領域を小さくした場合に、地図描画対象領域に対応したサイズで3D地図を表示するので、狭い範囲の3D地図を表示した分だけ、その周囲に表示スペースを残すことができる。したがって、この残したスペースを利用して、走行経路に関する情報、具体的には走行中の道路名や次の交差点名、次の交差点までの距離等を表示することが可能となる。これにより、運転者に与える情報をさらに充実させることができる。
【0017】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の3Dナビゲーション装置において、前記3D地図描画部は前記ディスプレイ部の表示部分に対応したサイズで3D地図を描画するように構成されたことを特徴としている。
【0018】
このような請求項4の発明によれば、車両の高速走行状態時に仮想カメラの視野角を狭くして地図描画対象領域を小さくした場合には、ディスプレイ部の表示部に対応したサイズで3D地図を描画するので、対象領域が小さい分だけ倍率を大きくして3D地図を描くことができる。
【発明の効果】
【0019】
以上述べたように、本発明の3Dナビゲーション装置によれば、車両の走行状態に応じて仮想カメラの視野角の設定を変更し、それに伴って地図描画対象領域を変えて3D地図を描くことにより、車両が高速走行中であっても、あるいは徐行中・停車中といった低速走行中であっても、運転者の視界範囲に常に一致した3D地図を表示することが可能となり、運転者の実感に近いリアルで高品質な3D地図を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
[1.構成]
以下、本発明を実施するための最良な形態(以下、実施形態)の一例を図面を参照して具体的に説明する。本実施形態は3D地図を表示可能な車載用の3Dナビゲーション装置に適用されてものであって、図1は本実施形態の構成を示す機能ブロック図、図2は仮想カメラの視野角を広角に取る場合と狭角に取る場合のイメージを示した説明図である。
【0021】
図1において、CPU1は本実施形態を制御する制御回路の役割を果たす部分であり、本装置が動作するのに必要な各種メモリやICと相互に信号のやり取りをするようになっている。ROM2はBIOSやブートアッププログラムなどを格納する記憶領域であり、ワークエリアに使うRAM5は地図データを展開する領域となっている。
【0022】
グラフィックIC8は描画コマンドを受け取ってVideoRAM9上に3D地図の表示イメージを作成する部分であり、ディスプレイ装置10は3D地図の表示イメージを表示するものである。ASIC3はCPU1と外部デバイスとのインターフェース機能に特化した特定用途向け回路であり、外部デバイスとして地図データを格納したHDD,DVD,CD等のディスク4、位置センサ6及び速度センサ7が接続されている。
【0023】
ASIC3はディスク4から地図データを受け取り、RAM5に送るようになっている。また、ASIC3は位置センサ6からは自車の現在位置と向きを、速度センサ7からは車両の速度データを、それぞれ受け取り、これらのデータをCPU1に組み込まれた走行状態判断部11及び対象領域計算部12(共に後述)に送るようになっている。位置センサ6はGPS衛星から送られてくるGPS電波をアンテナやレシーバなどで受信することで、自車位置について地表での絶対的な位置座標や方位を計算すると共に、ジャイロなどを使って自車の相対的な方位を検出するものである。また、速度センサ7は自動車より得られる車速パルスを処理することで自車の速度を計算する部分である。
【0024】
CPU1には走行状態判断部11、対象領域計算部12、3DCGデータ作成部13が組み込まれている。このうち、走行状態判断部11は、速度センサ7が測定した自車の走行速度を受け取り、この走行速度が所定の基準値として設定した時速0km/hを超えた走行状態なのか、走行速度が基準値時速0km/hに満たない停車状態なのかを判断する部分である。ここでは、走行速度の基準値を時速0km/hと設定したので、請求項でいうところの高速走行状態は単に走行状態を示すことになり、低速走行状態は停車状態を示すことになる。
【0025】
また、対象領域計算部12は、位置センサ6から自車の現在位置と向きを取得して運転者の視界範囲に当たるように仮想カメラ14(図2参照)の視野角を設定し、その上で地図描画対象領域を計算する部分である。本実施形態の特徴は、この対象領域計算部12に前記走行状態判断部11を組み合わせた点にある。
【0026】
すなわち、対象領域計算部12は、走行状態判断部11が停車状態にあると判断すると、仮想カメラ14の視野角を広角に設定して地図描画対象領域を計算するようになっている。また、走行状態判断部11が走行状態にあると判断する時は、仮想カメラ14の視野角を狭角に設定して地図描画対象領域を計算するようになっている。そして、対象領域計算部12は設定した仮想カメラ14の視野角に関する命令をグラフィックIC8に発行するようになっている。3DCGデータ作成部13はこの地図描画対象領域に相当する地図データをディスク4から抽出して3DCGデータを作成し、このデータを描画するための描画コマンドをグラフィックIC8に発行する部分である。
【0027】
なお、記対象領域計算部12は、計算した地図描画対象領域とは異なる地図描画対象領域を新たに計算しようとする時、2つの領域の差分だけを計算するように構成されている。これに対応して、3DCGデータ作成部13では、新たな地図描画対象領域から外れた地図データを削除し、新たに地図描画対象領域に入った地図データだけを前記データ格納部から抽出するように構成されている。
【0028】
[2.作用]
次に、本発明の作用について図3及び図4のフローチャートに従って説明する。図3のフローチャートに示すように、まず、位置センサ6から自車の現在位置と向きを取得する(ステップ1)。そして、速度センサ7から自車の走行速度を取得する(ステップ2)。続いて、走行状態判断部11において、自車が「走行状態」にあるか否かを判断し(ステップ3)、「走行状態」に無い、つまり停車状態に在ると判断した場合は(ステップ3のNo)、対象領域計算部12が仮想カメラ14の視野角を広角に設定した上で、位置センサ6から取得した自車の現在位置と向きに基づいて地図描画対象領域を計算する(ステップ4、図2参照)。さらに、仮想カメラ14の視野角を広角に設定する命令をグラフィックIC8に発行する(ステップ5)。
【0029】
一方、走行状態判断部11において、自車が「走行状態」に在ると判断した場合は(ステップ3のYes)、対象領域計算部12が仮想カメラ14の視野角を狭角に設定した上で、位置センサ6から取得した自車の現在位置と向きに基づいて地図描画対象領域を計算する(ステップ6、図2参照)さらに、仮想カメラ14の視野角を狭角に設定する命令をグラフィックIC8に発行する(ステップ7)
【0030】
前述したステップ4またはステップ6にて計算した地図描画対象領域に基づいて、3DCGデータ作成部13が必要な地図データをディスク4からRAM5上に読み込む。なお、記対象領域計算部12は、前回計算した地図描画対象領域とは異なる地図描画対象領域を新たに計算しようとする時、2つの領域の差分だけを計算する(ステップ8)。そして、3DCGデータ作成部13は、新たな地図描画対象領域から外れた範囲の地図データを削除し(ステップ9)、新たに地図描画対象領域に入った範囲の地図データを検索してディスク4からRAM5上に読み込む(ステップ10)。
【0031】
ステップ10に続いて、図4に示したフローチャートに移行する。すなわち、ディスク4からRAM5上に読み込んだ地図データに関して、3DCGデータ作成部13が自車の現在位置および向きから3DCGデータを作成し(ステップ11)、該3DCGデータを描画するための描画コマンドをグラフィックIC8に発行する(ステップ12)。描画コマンド1を受け取ったグラフィックIC8は、VideoRAM9上に3D地図の画像データとして3D地図の表示イメージを作成し、ディスプレイ装置10にこの画像データ、つまり3D地図を表示する(ステップ13)。
【0032】
[3.効果]
以上のような本発明の効果は次の通りである。すなわち、走行状態判断部11は速度センサ7からの自車の走行速度から、自車が走行状態か、停車常態化を判断する。そして、走行状態と判断した場合には、対象領域計算部12は仮想カメラ14の視野角を狭角に設定して地図描画対象領域を計算する。このため、ディスプレイ装置10に表示される3D地図は視野角の狭い画像となり、表示範囲は狭くなる。この時、走行する車両に乗る運転者の視界範囲も狭いため、3D地図の表示範囲と運転者の視界範囲とは一致することになる。
【0033】
一方、走行状態判断部11が自車を停車状態と判断すれば、対象領域計算部12は仮想カメラ14の視野角を広角に設定して地図描画対象領域を計算し、ディスプレイ装置10に表示される3D地図は視野角の広い画像となり、表示範囲は広くなる。この時、停車する車両に乗る運転者の視界範囲も広いため、この場合も3D地図の表示範囲と運転者の視界範囲とは一致することになる。したがって、本実施形態では、自車の走行状態に応じて仮想カメラ14の視野角を切り替えて地図描画対象領域を変え、常に運転者の視界範囲に一致したリアルな3D地図を表示することが可能である。
【0034】
しかも、本実施形態では、新たな地図描画対象領域を計算する際、前回の領域との差分だけを計算し、新たな地図描画対象領域から外れた範囲の地図データを削除し、新たに追加した地図データだけをディスク4から読み込んでいる。したがって、ディスク4から抽出する地図データのデータサイズを最小限に抑制可能であり、仮想カメラ14の視野角を広げて地図描画対象領域を大きくした場合でも、ディスク4へのアクセス時間が膨らむおそれがない。それゆえ、描画タイミングが遅くなることを回避でき、広い表示範囲の3D地図でも迅速に表示することができる。
【0035】
[4.他の実施形態]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、上記実施形態では、走行速度の基準値を時速0km/hとして、低速走行状態を停車状態だけに絞ったが、基準値は適宜変更可能であり、走行速度の基準値を時速10km/h程度の徐行速度として、基準値未満である低速走行状態に停車状態と徐行状態の両方を含ませても良い。
【0036】
また、走行速度の基準値を複数設定して仮想カメラの視野角を多段階に調節してもよい。例えば、走行速度の基準値を2つ用意し、走行状態判断部に停車状態と徐行状態と高速走行状態という3つの状態を判断させる。そして、3つのモードに対応して3D地図を表示する際の視野角も3段階とする。すなわち、停車状態では最も広い視野角で表示し、高速走行状態では最も狭い視野角で表示し、徐行状態では両者の中間の視野角で表示する。、このような実施形態によれば、運転者の実感に即した、いっそうリアルな3D地図表示が可能となる。
【0037】
さらに、他の実施形態としては具体的には次のようなものがある。まず、請求項3の発明に対応する実施形態として、地図描画対象領域に対応したサイズで3D地図を表示するディスプレイ部を備えたものも包含する。この実施形態によれば、地図描画対象領域に対応したサイズで3D地図を表示するので、仮想カメラの視野角を狭角にして地図描画対象領域を小さくした時、3D地図の表示部分は小さくて済み、ディスプレイ部の表示スペースを余らせることになる。この余ったスペースを利用して運転者にとって重要な情報、すなわち走行中の道路名や次の交差点名、次の交差点までの距離等といった走行経路に関する有益な情報を表示することができる。
【0038】
また、請求項4の発明に対応する実施形態として、ディスプレイ部の表示部分に対応したサイズで3D地図を描画するグラフィックICを備えたものも包含する。この実施形態では、仮想カメラの視野角を狭角にして地図描画対象領域を小さくした場合には、ディスプレイ部の表示部分に対応したサイズで3D地図を描画するので、対象領域が小さい分だけ倍率を大きくして、つまり走行中の画面だけを横幅方向に拡大して表示することが可能である。なお、このようなディスプレイ部の表示部の方に3D地図のサイズを合わせた表示方式と、前段の実施形態のように地図描画対象領域の方に3D地図のサイズを合わせた表示方式あをユーザ選択により切替えることも可能である。
【0039】
なお、本発明は、周辺装置を備えたコンピュータをプログラムで制御することで実現されるものなので、各種のセンサや記憶媒体を含むハードウェア、さらにはハードウェアを制御するためのプログラム等の実現態様、あるいは誘導経路や描画対象領域を計算するためのアルゴリズム等は適宜選択自由である。また、仮想カメラの視野角は主に水平方向に変更することを前提して説明したが、車高の違いや運転者の座高の違いなども考慮して垂直方向の視野角を変えることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る3Dナビゲーション装置の構成を示す機能ブロック図。
【図2】仮想カメラの視野角を広角に取る場合と狭角に取る場合のイメージを示した説明図。
【図3】本実施形態におけるフローチャート。
【図4】本実施形態におけるフローチャート。
【符号の説明】
【0041】
1…CPU
2…ROM
3…ASIC
4…ディスク
5…RAM
6…位置センサ
7…速度センサ
8…グラフィックIC
9…VideoRAM
10…ティスプレイ装置
11…走行状態判断部
12…対象領域計算部
13…3DCGデータ作成部
14…仮想カメラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車の現在位置と向きを判別する位置センサと、地図データを格納するデータ格納部と、前記位置センサから自車の現在位置と向きを取得して運転者の視界範囲に当たるように仮想カメラの視野角を設定して地図描画対象領域を計算する対象領域計算部と、前記データ格納部から前記地図描画対象領域に相当する地図データを抽出して3DCGデータを作成する3DCGデータ作成部と、前記3DCGデータを元に3D地図を描画する3D地図描画部と、前記3D地図を表示するディスプレイ部とが備えられた3Dナビゲーション装置において、
自車の走行速度を測定する速度センサと、
前記速度センサが測定した自車の走行速度を受け取り、該走行速度が所定の基準値を超える高速走行状態なのか、前記走行速度が前記基準値に満たない低速走行状態なのかを判断する走行状態判断部とが設けられ、
前記対象領域計算部は、前記走行状態判断部が低速走行状態にあると判断する時、仮想カメラの視野角を広角に設定して地図描画対象領域を計算し、前記走行状態判断部が高速走行状態にあると判断する時、仮想カメラの視野角を狭角に設定して地図描画対象領域を計算するように構成されたことを特徴とする3Dナビゲーション装置。
【請求項2】
前記対象領域計算部は、前回計算した地図描画対象領域とは異なる新たな地図描画対象領域を計算しようとする時、2つの領域の差分を計算するように構成されており、
前記3DCGデータ作成部は、新たな地図描画対象領域からは外れた地図データを削除し、新たに地図描画対象領域に入った地図データだけを前記データ格納部から抽出するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の3Dナビゲーション装置。
【請求項3】
前記ディスプレイ部は、前記地図描画対象領域に対応したサイズで前記3D地図を表示するように構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の3Dナビゲーション装置。
【請求項4】
前記ディスプレイ部は、前記3D地図描画部は前記ディスプレイ部の表示部分に対応したサイズで3D地図を描画するように構成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の3Dナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−98924(P2006−98924A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286884(P2004−286884)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】