説明

4−ヒドロキシイソロイシン及びその誘導体の製造方法

【課題】 4−ヒドロキシイソロイシン及びその誘導体のジアステレオ異性体及びエナンチオマーを高収率で得る。
【解決手段】 直接的に式Iの誘導体、又はラせミ型又はエナンチオマー過剰の混合物である式IIIのラクトンのうちの少なくとも1つのラクトンを製造する条件下で、式IIのイソオキサゾール誘導体を還元し、次いで、プロトン性又は非プロトン性溶媒中、塩基性条件下、所望する1又は複数のラクトンを開環し、必要であれば、所望する型を分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4−ヒドロキシイソロイシン及びその誘導体の製造方法に関するものであり、この誘導体という用語には、本発明方法によって得られる類似体が含まれる。本発明は、特に(2S、3R、4S)−4−ヒドロキシイソロイシン(4−OH−iLeuと略す)及びその誘導体の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
4−OH−iLeuは天然物であり、コロハの種子から単離され、式Aに該当するものである。

【0003】
この産物は、特にII型糖尿病に対して活性があるものの、抽出によって得られる量は、II型糖尿病患者の需要を満たすには不十分である。
【0004】
しかしながら、それを合成して得ようとすると、それに関係するコストの問題に直面する。
本発明者の研究は、具体的には、少ない数の工程からなり、工業的規模でそれを利用可能にする方法の開発に関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明は、OH基で異なる上記αアミノ酸の2つの異性体の単一物又は混合物、
又は一般式B、

一般式B中、
4の位置にある炭素のC−O結合(波線で表現されている)は、異性体III及びIVのいずれか又はそれらの混合物を表し、
R1及びR2は、水素原子又は、
R1又はR2の1つは、水素原子であり、他方の置換基は、Ra基、アシル基−CORa、特にアセチル基、又は官能基−COORa、−SO2Ra、又は−N(Ra、Rb)であり、Ra及びRbは同一であっても異なっていてもよく、それらは、置換されていてもよい直鎖又は分枝した炭素数1〜12のアルキル基、置換されていてもよい炭素数5〜8の芳香族環又は複素環を1又はそれ以上もつアリール基、又は上記したとおりのアルキル置換基及びアリール基をもつアラルキルであり、又は
R1及びR2の両方が上記した置換基であり、
R3は水素原子又はRaであり、
R4はRaを意味する、
で表されるその誘導体の製造方法であり、以下を含むことを特徴とする製造方法である。
R1、R2、R3及びR4は、上記したとおりである式Iの化合物の異性化による式IIの化合物の調製、


式IIの化合物のカルボニル基の還元により、使用する触媒系及び使用する式Iの化合物に基づき、一般式III又はVIの異性体のうちの1つ、又は上記したRa及びR1からR4の置換基を有する式Bで表される、それらの混合物の調製。


【0006】
純粋なエナンチオメリックな関係にあるジアステレオ異性体Iからジアステレオ異性体IIへの上記変換は、化合物IIの特異的な結晶化により、IからIIへ完全に平衡を移動させて、所望により、純粋な化合物IIの単離を可能とする力学的な異性化である。
【0007】
本発明の1つの態様においては、該製造方法は、異性化工程の後に、アミノ基の全体又は一部を脱保護して、化合物XXIIIを形成し、その後、カルボニル基の還元工程により、主要又は単一の化合物として、式VIIのラクトンとし、該化合物の開環により、主として、式Cの化合物が形成されるという点に特徴付けられる。



【0008】
化合物Cは、必要であれば、再結晶して精製する。
【0009】
本発明のもう1つの態様においては、該製造工程は、化合物Iの異性化及び化合物IIの還元によって得られた異性体IIIのエステル基を加水分解して、式Vの化合物とし、所望により、窒素を保護している基のうちの少なくとも1つを脱離して、一般式Cの化合物とする点に特徴がある。


【0010】
もう1つの態様においては、IIIの保護基R1を、標準方法を用いて脱離することができる。これにより、式VIの化合物となる。このエステル基は、加水分解して、化合物Cとする。

【0011】
他の態様としては、式VIの化合物を環化して、式VIIのラクトンを形成する。次いで、その開環により、上記式Cの化合物とする。

【0012】
式IVの異性体に対して同様の操作を行うことができ、それにより、一般式Dで表される生成物を得ることができる。

【0013】
さらに、本発明のもう1つの態様においては、異性体IIIは異性体IVは、環化することにより、式VIII又はIXで表されるラクトンとする。これらは、例えば、クロマトグラフィー又は結晶化により分離することができる。


【0014】
ラクトンVIIIは、アミノ基の全体的又は部分的な脱保護により、ラクトンVIIに変換することができ、ラクトンIXはラクトンXに変換することができる。

【0015】
次いで、ラクトンVII及びXを加水分解して、それぞれ上記一般式C、Dで表される化合物とする。
【0016】
化合物IIが沈殿して該化合物に平衡が移動する条件となるように、溶媒と共に又は溶媒なしで、塩基の存在下とし、異性化工程を行う。
適当な溶媒としては、エタノール、ベンゼン、トルエンが挙げられ、好ましくは、ヘキサン、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテルのような非プロトン性溶媒である。
【0017】
上記塩基としては、例えば、ホスファゼン又はトリエチルアミン、DBN(1,4−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]5−ノネン)又はDBU(1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]7−ウンデセン)のようなアミノ塩基が挙げられる。
【0018】
また、有機金属系、高分子上に固定された塩基、例えば、ポリスチレンにグラフト化したアミン、固定化された水酸化アンモニウム、ケイ酸アルミニウム、あるいは、他の態様として、炭酸カリウムようなアルカリ金属塩を使用することも可能である。
【0019】
沈殿した化合物IIをろ別した後、異性体IIをメタノール、ヘキサンのような適当な溶媒、好ましくは、エタノール中で、−60℃〜30℃の範囲の温度にて再結晶化する。
【0020】
上記したように、異性体IIに対して、全体的又は部分的なアミノ基の脱保護の工程を行うことができる。この脱保護は従来の方法で行う。R1がp−メトキシフェニル基のような酸化しうる保護基である場合、例えば、硝酸セリウムアンモニウムで、又は電気化学的に行うか、アンモニウム、ナトリウム、カリウム等の過硫酸塩、過ホウ酸塩、二酸化マンガン、過マンガン酸カリウム、H2O2、FeCl3の試薬又はセリウム化合物と酸化剤の組み合わせを使用する。
【0021】
この工程の後には、精製を行わない。簡単な抽出を行って、水性溶媒中、例えば、触媒量のCeCl3を含む水性溶媒中でホウ酸水素カリウムを使用して、カルボニル基の還元に進むことができる。この工程により、2つの可能なジアステレオ異性体の混合物となる。本明細書において、大部分を占めると記述した化合物VIIは、式VIの開環した中間体(単離されない)を経たものである。
【0022】
他の態様として、異性化工程の最後に得られる異性体IIに対して、カルボニル基の還元処理を行う。
【0023】
実施する操作の条件により、化合物III、IV、VIII及びIXのうちの1つの形成を優先させることができる。
【0024】
上記還元は、例えば、エタノール系の溶媒中で行う。還元触媒、必要であれば、反応調整剤及び異性体IIを該溶媒に添加する。その後、それらの混合物を水素でパージする。次いで、該反応混合物を、環境温度下で水素圧1〜50バールの範囲で撹拌する。
【0025】
化合物III、IVの形成を優先させるためには、50バールの水素圧下で還元を行う。
【0026】
化合物VIII、IXの形成を優先させるためには、大気圧の水素圧下で還元を行う。
【0027】
本発明の1例は、使用する触媒及び添加剤の特性を変えることによって、2つのジアステレオ異性体VIII及びIXのうちの1つの単離を優先して行うことである。
【0028】
特に、1気圧下、ルテニウム黒の存在下、IIを還元することにより、化合物IXが優先的に形成され、ラネーニッケルの存在下、IIを還元することにより、化合物VIIIが優先的に形成される。
【0029】
使用する添加剤の例としては、ラネーニッケルの選択性を逆に変えるDABCO(1,4−ジアゾビシクロ[2.2.0]オクタン)が挙げられる。
【0030】
したがって、例えば、1気圧の水素圧下、エタノールに懸濁させたラネーニッケル、DABCO及び異性体IIをエタノール系の溶媒中に添加して還元を行うと、化合物IXが優先的に形成される。
【0031】
どのような順序であれ、生成物III及びIVのエステル基は、アルカリ溶媒中、好ましくはLiOH、又は水性アルコール溶媒中で、公知の方法により加水分解する。
【0032】
また、式VIII及びIXで表されるラクトンは、例えば、THF中、LiOHを使用して加水分解する。
【0033】
どのような順序であれ、R1基は標準方法を用いて脱離することが好ましい。例えば、p−メトキシフェニル基を硝酸セリウムアンモニウム(CAN)で処理するか、電気化学的に脱離する。
【0034】
本発明に従い、一般式XIIIで表されるキラル触媒の存在下、式XIで表されるケトンを式XIIで表されるイミンと縮合することにより、式Iで表される化合物が効果的に得られる。該キラル触媒は、2の位置の炭素がR又はSの立体配置である。



【0035】
2つの置換基Raは、同一又は異なり、上記したとおりであり、さらに、環、特に5〜8員環を形成することができる。
【0036】
他のエナンチオ特異的縮合触媒も使用することができる。
【0037】
縮合工程は、好ましくは極性又はイオン性溶媒中で、再利用可能な触媒の存在下で行う。該触媒の立体化学に応じて、1又はそれ以上の一般式I、又はその鏡像体XIVが得られる。化合物XIVに対しては、式Iの化合物と同様の工程を行うことができる。

【0038】
上記縮合の後、式Iの化合物中のR2は、水素原子を表す。水素とは異なるR2を所望するのであれば、標準的な方法により導入することができる。そのため、アルキル基、カルバミル基、スルホニル基又はアシル基、特にアセチル基を導入するため、例えば、適当なアルキル化剤、カルバミル化剤、スルホニル化剤又はアシル化剤、好ましくは、アセチル化誘導体を合成するために、酢酸無水物を使用する。
【0039】
適当な溶媒としては、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール(EtOH)、あるいは、ジメチルホルムアミド(DMF)が挙げられる。特に好ましい触媒としては、L−プロリン、trans−ヒドロキシプロリン誘導体が挙げられる。
【0040】
式XIIで表されるイミンは、グリオキサレートXVとアミンR1NH2を縮合することにより効果的に得ることができる。

【0041】
本発明は、特には、以下を含む方法に従い、上記式Aで表される4−ヒドロキシイソロイシンを製造する方法に関するものである。
L−プロリンの存在下、式XVIで表される化合物と2−ブタノンを縮合して、化合物XVIIとする、


次いで、XVIIとDBU又はDBNとの処理により異性化/結晶化を行い、化合物XVIIIとする、

p−メトキシフェニル保護基を過硫酸塩と処理して脱離する、
脱保護された上記化合物を、エタノール又は水中でKBH4/CeCl3を用いて還元して、ラクトンXXとする、これをLiOH/THF中で加水分解することにより、化合物Aが得られる。この化合物を単離し、結晶化する。

【0042】
4−ヒドロキシイソロイシンを製造するもう1つの方法は、化合物XVIIIを脱保護する前に還元することである。
【0043】
また、本発明は、新規な生成物として、上記した操作工程における中間化合物である。
したがって、本発明は、特に、一般式IIに相当する化合物に関する。より具体的には、好ましい生成物は、化合物XVIIIである。
【0044】
また、本発明は、一般式XXIIIで表される中間化合物である。この式に該当する化合物のうち、特に好ましい化合物は、化合物XXIVである。
【0045】
さらに、同様に、本発明は、一般式VIIIで表される中間化合物である。特に、生成物XIXに関する。
【実施例】
【0046】
上記工程を実施している実施例を、本発明を説明するために以下に記載する。実施される反応の一般スキームは1つの式で記載する。
【0047】
実施例I:イミンの調製

一般操作方法
1gのエチルグリオキサレート(V=2ml)を含む20mlの無水溶媒(形成するイミンの安定性に応じて、トルエン又はジクロロメタンとする)を、分子ふるい6gを含む二つ首丸底フラスコ内に入れ、アルゴン下、加熱する。その後、アミン1当量と該混合物を、環境温度で2時間激しく撹拌する。
該粗生成物をセライト(商品名)でろ別し、次いで、減圧下で蒸発させる。該生成物は、そのまま精製することなく、以下の縮合工程に使用する。

【0048】
実施例II:以下のスキームによる異性体E、F、及びGの混合物の調製

R=−PMP(p−メトキシフェニル)
【0049】
操作Aの方法
2.8mlの溶媒、2mlのブタノン及び0.35当量のL−プロリンを二つ首丸底フラスコ内に入れ、その後、前記イミン(1mmol)を加える。該反応溶液を2時間撹拌し、次いで、10mlの酢酸エチル及び10mlのリン酸バッファー、pH=7.4で希釈する。有機相を集め、MgSO4で乾燥し、次いで、セライト(登録商標)でろ別する。粗反応生成物を蒸発させ、シリカカラムによりクロマトグラフィーを行う。
操作条件及び得られた結果を、以下の表1にまとめる。
【0050】
【表1】

【0051】
他の縮合の実施例
【表2】

【0052】
実施例III:異性体Fの異性化

【0053】
【表3】

R=−PMP
【0054】
操作Bの方法
実施例IV:カルボニル基の還元とラクトン化

得られた結果を表4に記す。
【0055】
【表4】

R=−PMP
【0056】
操作方法
エタノール(1ml)、ラネーニッケルのエタノール溶液(100μl)、及びG(20mg、1当量、0.71・10-4mol)を5mlの単一首丸底フラスコに入れる。全体を0℃とし、次いで、水素でパージする。該溶液を水素圧(1気圧)下、環境温度で24時間撹拌する。
粗反応生成物をシリカカラムによるクロマトグラフィーで精製し、化合物H及びIを90%の収率で単離する。各ジアステレオ異性体の比率は、1H
NMRで特定する。
【0057】
ラクトン化しないカルボニル基の還元

【0058】
【表5】

【0059】
操作方法
エタノール(3ml)、ラネーニッケルのエタノール溶液(300μl)、及びG(60mg、1当量、2.1・10-3mol)を100mlのオートクレーブに入れる。全体を水素で3回パージする。該溶液を水素圧(50バール)下、環境温度で24時間撹拌する。
粗反応生成物をシリカカラムクロマトグラフィーで精製し、化合物J及びKを90%以上の収率で単離する。各ジアステレオ異性体の比率は、1H
NMRで特定する。
【0060】
実施例V:以下のスキームによるR1基の脱離

【0061】
操作方法
出発物質であるラクトン(1mmol)を含むCH3CN(4.9ml)を0℃で二つ首丸底フラスコに入れ、CAN(30g)を含む水1mlを加える。該混合物を40分間撹拌し、その後、水10mlをジクロロメタン20mlと共に加える。該水相を3回、ジクロロメタン10mlで抽出し、その後、炭酸ナトリウムを添加してpH9のアルカリ性とする。
次いで、アルカリ水相を、3回、ジクロロメタンで抽出する。有機相を集め、MgSO4で乾燥し、その後、蒸発させる。所望する生成物を38%の収率で得る。
【0062】
他の態様としては、白金ワーキング電極、白金カウンター及びAg/AgClリファレンス電極を使用して、脱保護を電気化学的に行う。電気分解は0.7V、5時間行う。該処理は標準的方法と同じである。所望するラクトンが収率21%で得られる。
同様の方法が、化合物XXIから化合物XXIIを調製するのに適用される。

【0063】
加水分解及び精製
ラクトン(90/10)の混合物を96mlの水に溶解し(0.3M)、環境温度で水酸化リチウム(1.1g、43.3mmol、1.5当量)を加える。2時間撹拌後、反応溶液を酢酸(43.3mmol、2.4ml)で酸性化し、次いで、全体を減圧して、水、溶媒、及び酸を完全に除去する。
得られた粘性沈殿物をエタノールに溶解し、1.56gの純粋な(2S、3R、4S)−4−ヒドロキシイソロイシンを選択的に再結晶する(収率80%)。
【0064】
分析
GC/MS解析は全て同じ材料で行う。
GC/MS(島津 GCMS−QP5050A)
SGEキャピラリーシリカカラム、25m×0.22mm、BPX5 0.25
【0065】
プログラム
インターフェイス:260℃
カラム:80℃
検出器:320℃
80℃で2分間、その後、10℃/分で温度上昇
【0066】
HPLC解析は全て同じ材料で行う。
HPLC(Gymkotek Gina 50)及びZORBAX SILコラム4.6MM ID×25cm
溶離液:ヘキサン/エタノール、95/05
流速:6ml/分
【0067】
化合物XX

1H NMR(CDCl3、200MHz)δ(ppm):1.10(d)、1.40(d)、1.82(s)、2.30(m)、3.80(d)、4.32(m)
MS(IC)m/z:[M+H]+=130
GC/MS tR=6.22分
【0068】
化合物XXII

1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):0.91(d)、1.36(d)、1.82(s)、2.59(m)、3.85(d)、4.53(m)
MS(IC)m/z:[M+H]+=130
GC/MS tR=6.69分
【0069】
化合物XIX

1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):0.99(d)、1.48(d)、2.65(m)、3.74(s)、3.98(s)、4.24(m)、4.40(q)、6.71(2*d)
13C NMR(CDCl3、75MHz)δ(ppm):13.36;20.31;40.25;55.60;55.95;81.82;114.15;114.85;128.21;140.75;152.72;175.78
MS(IC)m/z:[M+H]+=236
HPLC tR=5.053分
【0070】
化合物XXI

1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):0.82(d)、1.39(d)、2.89(m)、3.74(s)、4.13(s)、4.19(m)、4.68(m)、6.71(2*d)
13C NMR(CDCl3、75MHz)δ(ppm):6.9;15.31;39.33;55.60;59.39;76.86;113.99;114.88;140.88;140.58;152.65;175.84
MS(IC)m/z:[M+H]+=236
HPLC tR=5.382分
【0071】
化合物XVII

1H NMR(CDCl3、200MHz)δ(ppm):1.21(t)、1.23(d)、2.21(s)、3.01(m)、3.72(s)、3.90(s)、4.15(q)、4.35(d)、6.70(2*d)
13C NMR(CDCl3、200MHz)δ(ppm):209.58;173.20;153.50;141.19;116.18;115.20;61.72;59.98;56.05;49.62;28.89;14.54;12.64
MS(IC)m/z:[M+H]+=280
GC/MS tR=17.33分
【0072】
化合物XVIII

キラリティー
HPLCカラム:Chiralpak AS
溶離液:ヘキサン/エタノール、90/10
流速:1ml/分
UV:220nm
温度:30℃
保持時間:6.67分
αD:−35.5(CH2CH2 C=1.0)
m.p.:98.8〜99.1℃
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):1.19(d)、1.22(t)、2.23(s)、3.02(m)、3.73(s)、4.15(q、d、s)、6.74(2*d)
13C NMR(CDCl3、50MHz)δ(ppm):12.85;14.00;28.47;49.19;55.48;60.30;61.09;114.67;115.60;140.60;152.90;172.38;209.35
MS(IC)m/z:[M+H]+=280
GC/MS tR=17.27分
IR:ν(NH)=3357cm-1
ν(CO)=1733cm-1及び1715cm-1
【0073】
化合物XVI

1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):1.38(d)、3.82(s)、4.39(q)、6.91(d)、7.35(d)、7.92(s)
13C NMR(CDCl3、75MHz)δ(ppm):14.13;55.20;59.81;118.28;122.01;142.1;143.61;157;165.23
MS(IC)m/z:[M+H]+=208
GC/MS tR=8.47分(25℃/分の上昇)
【0074】
化合物XXIV

粘性沈殿物
1H NMR(CDCl3、300MHz)δ(ppm):0.94(d)、1.03(t)、1.50(s)、1.98(s)、2.71(m)、3.33(d)、3.94(m)
13C NMR(CDCl3、50MHz)δ(ppm):12.69;13.50;28.22;49.78;56.26;60.30;173.76;209.45
αD:−52.9(CH2CH2 C=1.0)
MS(IC)m/z:[M+H]+=174
IR:ν(CO)=1734cm-1及び1716cm-1

【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
OH基で異なる式Aのαアミノ酸の2つの異性体の単一物又は混合物、

又は一般式B、

一般式B中、
4の位置にある炭素のC−O結合(波線で表現されている)は、異性体III及びIVのいずれか又はそれらの混合物を表し、
R1及びR2は、水素原子又は、
R1又はR2の1つは、水素原子であり、他方の置換基は、Ra基、アシル基−CORa、特にアセチル基、又は官能基−COORa、−SO2Ra、又は−N(Ra、Rb)であり、Ra及びRbは同一であっても異なっていてもよく、それらは、置換されていてもよい直鎖又は分枝した炭素数1〜12のアルキル基、置換されていてもよい炭素数5〜8の芳香族環又は複素環を1又はそれ以上もつアリール基、又は上記したとおりのアルキル基及びアリール基をもつアラルキルであり、又は、
R1及びR2の両方が上記した置換基であり、
R3は水素原子又はRaであり、
R4はRaを意味する、
で表されるその誘導体の、以下を含むことを特徴とする製造方法。
R1、R2、R3及びR4は、上記したとおりである式Iの化合物の異性化による式IIの化合物の調製、


式IIの化合物のカルボニル基の還元により、使用する触媒系及び使用する式Iの化合物に基づき、一般式III又はIVの異性体のうちの1つ、又は上記したRa及びR1からR4の置換基を有する式Bで表される、それらの混合物の調製。


【請求項2】
異性化工程の後に、アミノ基の全体又は一部を脱保護し、その後、カルボニル基の還元工程により、主要又は単一の化合物として、式VIIのラクトンとし、該化合物の開環により、主として、式Cの化合物を形成することを特徴とする請求項1記載の製造方法。


【請求項3】
化合物Iの異性化及び化合物IIの還元によって得られた異性体IIIのエステル基を加水分解して、式Vの化合物とし、所望により、窒素を保護している基のうちの少なくとも1つを脱離して、一般式Cの化合物とすることを特徴とする請求項1記載の製造方法。


【請求項4】
化合物IIIの保護基R1を脱離して、式VIの化合物とし、このエステル基を加水分解して、化合物Cとすることを特徴とする請求項3記載の製造方法。

【請求項5】
式VIの化合物を環化して、式VIIのラクトンを形成し、次いで、その開環により、式Cの化合物とするか、又は、異性体IIを還元し、次いで、式VIIIの化合物を形成し、その後、脱保護して式VIIの化合物を形成し、その後、式Cの化合物とすることを特徴とする請求項3記載の製造方法。


【請求項6】
式IVの異性体に対して、請求項2又は3に記載された一連の処理を行って、一般式Dの生成物とすることを特徴とする請求項1記載の製造方法。

【請求項7】
異性体IIを還元し、環化して、式VIII又はIXで表されるラクトンとし、これらはクロマトグラフィー又は結晶化等の方法により分離可能であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。


【請求項8】
アミノ基の全体的又は部分的な脱保護により、ラクトンVIIIをラクトンVIIに変換し、ラクトンIXはラクトンXに変換し、次いで、請求項2に記載されたように、ラクトンVII及びXを加水分解して、それぞれ一般式C、Dで表される化合物とすることを特徴とする請求項6記載の製造方法。

【請求項9】
化合物IIが沈殿して該化合物に平衡が移動する条件となるように、溶媒と共に又は溶媒なしで、塩基の存在下とし、異性化工程を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項10】
異性体IIに対して、全体的又は部分的なアミノ基の脱保護の工程を行い、この工程を、R1がp−メトキシフェニル基のような酸化しうる保護基である場合、例えば、硝酸セリウムアンモニウムで、又は電気化学的に行うか、アンモニウム、ナトリウム、カリウム等の過硫酸塩、過ホウ酸塩、二酸化マンガン、過マンガン酸カリウム、H2O2、FeCl3の試薬又はセリウム化合物と酸化剤の組み合わせを使用して行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項11】
脱保護した生成物である化合物XXIIIに対して、水性溶媒中で、カルボニル基の還元を行い、主として、式VIIのラクトンとすることを特徴とする請求項10記載の製造方法。
【請求項12】
異性化工程の最後で得られた異性体IIに対して、カルボニル基の還元処理を行うことを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項13】
生成物III及びIVのエステル基の加水分解を、アルカリ溶媒中、好ましくはLiOH、又は水性アルコール溶媒中で行うことを特徴とする請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
式VIII及びIXで表されるラクトンを、THF中、LiOHを使用して加水分解することを特徴とする請求項4、6又は7のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項15】
2の位置の炭素がR又はSの立体配置であり、かつ、2つの置換基Raは、同一又は異なり、上記したとおりであり、さらに、環、特に5〜8員環を付加的に形成することができる一般式XIIIで表されるキラル触媒の存在下、式XIで表されるケトンを式XIIで表されるイミンと縮合することにより、式Iで表される化合物を得ることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の製造方法。



【請求項16】
縮合工程を極性又はイオン性溶媒中で、再利用可能な触媒の存在下で行い、該触媒の立体化学に応じて、1又はそれ以上の一般式I又はその鏡像体XIVを形成し、化合物XIVに対しては、式Iの化合物と同様の工程を行うことが可能であることを特徴とする請求項15記載の製造方法。

【請求項17】
式Iの化合物に、水素原子とは異なるR2基を導入することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項18】
グリオキサレートXVとアミンR1NH2を縮合することにより、式XIIのイミンを得ることを特徴とする請求項15記載の製造方法。

【請求項19】
以下を含むことを特徴とする請求項1に記載した式Aの2S、3R、4S、4−ヒドロキシイソロイシンの製造方法。
L−プロリンの存在下、2−ブタノンと式XVIで表される化合物を縮合して、主として、化合物XVIIを形成する、


次いで、XVIIとDBU又はDBNとの処理により異性化/結晶化を行い、化合物XVIIIとする、

p−メトキシフェニル保護基を過硫酸塩と処理して脱離する、
脱保護された上記化合物を、エタノール又は水中でKBH4/CeCl3を用いて還元して、ラクトンXXとする、これをLiOH/THF中で加水分解することにより、主として、化合物Aとする。


【公表番号】特表2006−525294(P2006−525294A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505837(P2006−505837)
【出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001128
【国際公開番号】WO2004/099120
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(502071218)サーントル ナシオナル ドゥ ラ ルシェルシェ シャーンティフィク(セーエンヌエールエス) (8)
【出願人】(594197850)ユニヴェルシテ ルイ パスツール (3)
【Fターム(参考)】