説明

4−[(アリールメチル)アミノメチル]ピペリジン誘導体、これらの調製、および治療におけるこれらの適用

本発明は、塩基、酸付加塩、水和物、もしくは溶媒和物の形態における、一般式(I)を有する4−[(アリールメチル)アミノメチル]ピペリジン誘導体に関する。本発明はまた、これの調製方法、および治療へのこれの適用にも関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、置換4−[(アリールメチル)アミノメチル]ピペリジン誘導体、これらの調製、およびこれらの治療への適用に関する。
【0002】
本発明による化合物は、ニューロトロフィン受容体p75NTRへの親和性を示す。
【背景技術】
【0003】
ニューロトロフィンは、同様な構造および同様な機能を有するタンパク質の1つの族に属し、神経成長因子(NGF)、BDNF(大脳由来神経栄養因子)、ニューロトロフィン−3(NT−3)、ニューロトロフィン−4/5(NT−4/5)、およびニューロトロフィン−6(NT−6)を包含する。これらのタンパク質の生物学的作用(生存および分化)は、チロシンキナーゼ活性(trk−A、trk−B、およびtrk−C)を有する膜受容体との相互作用を通して行使される(H.THOENEN、サイエンス、1995年、270巻、593−598;G.R.LEWINおよびY.A.BARDE,Annu.Rev.Neurosci.、1996年、19巻、289−317;M.V.CHAO,J.,Neurobiol.、1994年、25巻、1373−1385;M.BOTHWELL,Annu.Rev.Neurosci.、1995年、18巻、223−253;G.DECHANTおよびY.A.BARDE、Curr.Opin.Neurobiol.、1997年、7巻、413−418)。しかしながら多くの研究は、ニューロトロフィンの活性におけるp75NTR受容体の優勢な役割を証明している。
【0004】
p75NTR受容体、すなわちすべてのニューロトロフィンに対する受容体は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体族の膜貫通型糖タンパク質である(W.J.FRIEDMANおよびL.A.GREENE,Exp.Cell.Res.、1999年、253巻、131−142;J.MELDOSISら、Trends Pharmacol.Sci.、2000年、21巻、242−243)。多くの生物学的機能が、p75NTR受容体に帰される。すなわち、一方で、trk受容体へのニューロトロフィンの親和性のモジュレーション;他方で、trkの不存在下における、この受容体のホモ二量化およびセラミド経路の活性化を通して発生するアポトーシスによる細胞死についてのシグナルの誘発である。
【0005】
アポトーシスまたはプログラムされた細胞死は、多数の組織における細胞の除去のための生理的メカニズムである。特にアポトーシスは、胚形成、形態形成、および細胞再生において優勢な役割を果たす。アポトーシスは、細胞損傷の進行した不可逆段階においてのみ発生する、遺伝的に制御された現象である。
【0006】
多くの研究は、アポトーシスが、中枢神経系のいくつかの病気、例えば筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病、およびプリオン病において発生することを証明している。さらには、アポトーシスを通した神経細胞の死はまた、大脳および心臓虚血後、非常に早期に発生する。細胞死はまた、アテローム性動脈硬化症における優勢な現象でもある;実際、ヒトにおける原発性アテローム硬化性損傷における壊死帯域は、80%と評価される(M.L.BOCHATON−PIALATら、Am.J.Pathol.、1995年、146巻、1−6;H.PERLMAN,Circulation、1997年、95巻、981−987)。アポトーシスはまた、心臓虚血−再灌流後の細胞死につながるメカニズムにも関与する(H.YAOITAら、Cardiovasc.Res.、2000年、45巻、630−641)。
【0007】
いくつかの研究は、p75NTR依存性アポトーシス促進性(pro−apoptotic)シグナルが、ニューロン細胞、希突起膠細胞、シュワン細胞、および同様に肝臓、心臓、および平滑筋細胞を包含する様々な細胞型において観察されることを証明している(J.M.FRADEら、Nature、1996年、383巻、166−168;P.LASACCIA−BONNEFILら、Nature、1996年、383巻、716−719;M.SOILU−HANNINENら、J.Neurosci.、1999年、19巻、4828−4838;N.TRIMら、Am.J.Pathol.、2000年、156巻、1235−1243;S.Y.WANGら、Am.J.Pathol.、2000年、157巻、1247−1258)。さらには生体内で実施されたいくつかの実験は、大規模なアポトーシスが記録されている大脳および心臓の部位における虚血後のp75NTRの発現の増加を証明している。したがってこれらの結果は、p75NTRが、虚血後アポトーシスを通した神経細胞の死につながるメカニズムにおいて優勢な役割を果たしうることを示唆している(P.P.ROUXら、J.Neurosci.、1999年、19巻、6887−6896;J.A.PARKら、J.Neurosci.、2000年、20巻、9096−9103)。
【0008】
p75NTR受容体は、プリオンペプチド(V.DELLA−BIANCAら、J.Biol.Chem.、2001年、印刷中)、およびβ−アミロイドペプチド(S.RABIZADEHら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、1994年、91巻、10703−10706)に対する細胞標的として記載され、したがってこれは、これらの化合物によって誘発されたアポトーシス現象に関与しているであろう。これらの結果は、感染性プリオンタンパク質によって(伝染性海綿状脳症)、またはベータ−アミロイドタンパク質(アルツハイマー病)によって誘発された神経細胞の死においてp75NTRが重要な役割を果たすであろうという仮説を裏付ける。
【0009】
最近の研究は、p75NTR受容体がまた、軸策再生においても、ノゴ(Nogo)受容体に対する共受容体(co−receptor)としてのこの機能を介して、重要な役割を果たしうるであろうことを示唆している(WONGら、Nature Neurosci.、2002年、5巻、1302−1308;KerracherおよびWinton、Neuron,2002年、36巻、345−348)。実際、いくつかのミエリン関連タンパク質(ミエリン関連糖タンパク質、MAG、ノゴ−A、および希突起膠細胞ミエリン糖タンパク質OMgp)は、髄または頭蓋外傷の間、中枢レベルにおいて神経再生を阻害する。これらのタンパク質は、軸策に直接隣接した希突起膠細胞の膜中に位置し、軸策膜に位置するノゴ受容体への高い親和性をともなう結合によって神経(neuritic)成長を阻害する。p75NTR受容体は、ノゴ受容体と関連しており、軸策成長に関連したこれらのミエリンタンパク質の阻害作用のシグナル伝達に関与している。この結果、p75NTR受容体は、ニューロン可塑性の調節において、およびニューロン−グリア相互作用において大きい役割を果たし、神経再生を促進するための最適な治療標的を代表する。
【0010】
末梢レベルにおいて、最近の研究は、p75NTR、およびニューロトロフィンの発現の増加、およびアテローム硬化性損傷における大規模なアポトーシスを証明している。さらには、NGFの脈管形成促進性および血管拡張効果も記録されている。最後に、細胞外部分において先端が切り取られたp75NTRの新規形態、ならびに確立された脈管形成におけるこの主要な役割が確認されている(D.VON SHACKら、Nature Neuroscience、2001年、4巻、977−978)。これらの最近のデータはすべて、この全体または先端が切り取られた形態におけるp75NTRはまた、血管病理学においても優勢な役割を果たしうるであろうことを示唆している。
【0011】
多くの化合物が、trkA/NGF/p75NTR系と相互作用するか、またはNGF型活性を有することが知られている。このようにして、特許出願第WO00/59893号は、NGF型活性を示し、および/またはPC12細胞へのNGFの活性を高める置換ピリミジン誘導体について記載している。特許出願第WO00/69828号および第WO00/69829号は、trkA受容体を発現しない細胞中のp75NTR受容体へのNGFの結合を阻害する多環式化合物について記載している。出願第WO94/11373号は、ニューロトロフィン受容体p75NTRへ結合するピリダジノ−キナゾロン誘導体について記載している。出願第WO94/22866号は、NGFに特異的に結合して、p75NTR受容体へのこの付着を避けるが、これがtrk受容体と相互作用するのを可能にするピラゾロキナゾロン誘導体について記載している。出願第WO01/49684号は、TNF−アルファのモジュレーションに対する活性を有する置換テトラヒドロピリジン誘導体について記載している。
【0012】
受容体p75NTRへの親和性を示す、新しい4−[(アリールメチル)アミノメチル]ピペリジン誘導体が今や発見された。
【発明の開示】
【0013】
本発明は、式(I)の化合物を提供する:
【0014】
【化5】

(式中:
− nは1または2であり;
− Rは、トリフルオロメチル基を表わし;
− Rは、水素原子または(C−C)アルキルを表わし;
− Rは、次のもの:
【0015】
【化6】

から選択された芳香族基を表わし;
前記芳香族基は、非置換であるか、またはハロゲン原子;(C−C)アルキルもしくは(C−C)アルコキシから独立して選択された置換基によって一または二置換され;
− Rは、水素原子または(C−C)アルキルを表わす)。
【0016】
式(I)の化合物は、塩基もしくは酸付加塩の形態で存在してもよい。このような付加塩は、本発明に含まれる。
【0017】
これらの塩は有利には、医薬として許容される酸とともに調製される。ただし、式(I)の化合物の精製または単離に有用なほかの酸の塩も、本発明に含まれる。
【0018】
式(I)の化合物はまた、水和物もしくは溶媒和物の形態、特に水の1つまたはそれ以上の分子または溶媒との会合または組合わせの形態でも存在しうる。このような水和物および溶媒和物もまた、本発明に含まれる。
【0019】
ハロゲン原子は、臭素、塩素、フッ素、またはヨウ素原子である。
【0020】
(C−C)アルキルは、1から3個の炭素原子の線状または枝分かれアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、またはイソプロピル基である。
【0021】
(C−C)アルコキシは、1から3個の炭素原子の線状または枝分かれアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、またはイソプロポキシ基である。
【0022】
本発明によって提供される式(I)の化合物のうち、次のように規定される好ましい化合物を挙げることができる:
− nは1であり;
− および/またはRは、フェニルの3位にあり、トリフルオロメチル基を表わし;
− および/またはRは、水素原子またはメチル基を表わし;
− および/またはRは、1−メチル−1H−ピロール−2−イル;1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル;1,3−チアゾール−2−イル;2−フリル;3−フリル;5−メチル−2−フリル;4,5−ジメチル−2−フリル;5−クロロ−2−フリル;2−チエニル;3−チエニル;フェニル;ピリジン−2−イル;ピリジン−3−イル;ピリジン−4−イル;ピラジン−2−イル;6−メチルピリジン−2−イル;3−メチル−2−チエニル;5−メチル−2−チエニル;ピリミジン−5−イル;1H−イミダゾール−2−イル;1H−イミダゾール−5−イル;または4−メチル−1H−イミダゾール−5−イル基を表わす。
【0023】
これらの後者の好ましい化合物のうち、特に好ましくは、次のような式(I)の化合物である:
− nは1であり;
− Rは、フェニルの3位にあり、トリフルオロメチル基を表わし;
− Rは、水素原子またはメチル基を表わし;
− Rは、1−メチル−1H−ピロール−2−イル;1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル;1,3−チアゾール−2−イル;2−フリル;3−フリル;5−メチル−2−フリル;4,5−ジメチル−2−フリル;5−クロロ−2−フリル;2−チエニル;3−チエニル;フェニル;ピリジン−2−イル;ピリジン−3−イル;ピリジン−4−イル;ピラジン−2−イル;6−メチルピリジン−2−イル;3−メチル−2−チエニル;5−メチル−2−チエニル;ピリミジン−5−イル;1H−イミダゾール−2−イル;1H−イミダゾール−5−イル;または4−メチル−1H−イミダゾール−5−イル基を表わす、塩基もしくは酸付加塩の形態、または水和物もしくは溶媒和物の形態にあるもの。
【0024】
本発明によって提供される式(I)の化合物のうち、特に次の化合物を挙げることができる:
− [(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチル][[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)−フェニル]ピペリド−4−イル]メチル]アミン;
− N−メチル−1−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−N−[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]−メタンアミン;
− N−メチル−1−[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]−N−(1,3−チアゾール−2−イルメチル)メタンアミン;
− (2−フリルメチル)[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− (3−フリルメチル)[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− [(5−メチル−2−フリル)メチル][[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− [(4,5−ジメチル−2−フリル)メチル]メチル[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− [(5−クロロ−2−フリル)メチル]メチル[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− [[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]−(2−チエニルメチル)アミン;
− [[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]−(3−チエニルメチル)アミン;
− 1−フェニル−N−[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]メタンアミン;
− [[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]−(ピリジン−2−イルメチル)アミン;
− N−メチル−1−[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]−N−(ピリジン−2−イルメチル)メタンアミン;
− N−メチル−1−[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]−N−(ピリジン−3−イルメチル)メタンアミン;
− N−メチル−1−[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]−N−(ピリジン−4−イルメチル)メタンアミン;
− N−メチル−1−ピラジン−2−イル−N−[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]メタンアミン;
− [(6−メチルピリジン−2−イル)メチル][[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− [(3−メチル−2−チエニル)メチル][[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− N−メチル−1−(5−メチル−2−チエニル)−N−[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]メタンアミン;
− N−メチル−1−[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]−N−(ピリミジン−5−イルメチル)メタンアミン;
− (1H−イミダゾール−2−イルメチル)メチル[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− (1H−イミダゾール−5−イルメチル)メチル[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]アミン;
− N−メチル−1−(4−メチル−1H−イミダゾール−5−イル)−N−[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]メタンアミン
であって、塩基もしくは酸付加塩の形態、および水和物もしくは溶媒和物の形態にあるもの。
【0025】
下の文章において、保護基Pgは、一方で、反応性官能基、例えばアミンが合成の間に保護されること、他方で、この反応性官能基を、合成の終了時に無傷で再生することを可能にする基であると理解される。保護基の例、および同様に保護および脱保護の方法の例は、「有機合成における保護基(Protective Groups in Organic Synthesis)」、Greenら、第二版(John Wiley & Sons,Inc.,New York)に示されている。
【0026】
下記の文章中の脱離基は、電子対の出発をともなった、不均一結合(heterolytic bond)の破壊によって分子から容易に切断されうる基として理解される。この基はしたがって、例えば置換反応の間に別の基によって容易に置換されうる。このような脱離基は例えば、ハロゲン、または活性化ヒドロキシル基、例えばメシル、トシル、トリフレート、アセチルなどである。脱離基の例、およびこれらの調製のための文献の例は、「有機化学における進歩(Advances in Organic Chemistry)」、J.March,第三版、Wiley Interscience、310−316ページに示されている。
【0027】
本発明によれば、式(I)の化合物は、
【0028】
【化7】

(式中、n、R、およびRは、式(I)の化合物について規定されているものと同じである)の化合物と、式:
【0029】
【化8】

(式中、Rは、式(I)の化合物について規定されているものと同じである)の化合物とを、酸の存在下、溶媒中で反応させ、ついで中間的に形成されたイミニウム塩を、還元剤を用いて還元することを特徴とする方法によって調製することができる。
【0030】
適切な場合には、式(I)の化合物は、この酸付加塩の1つに転換される。
【0031】
この反応は、酸、例えば酢酸の存在下、溶媒、例えばジクロロメタンまたはテトラヒドロフラン中で、周囲温度と溶媒の還流温度との間の温度で行なわれ、化学的には例えばナトリウムシアノボロハイドライド、またはナトリウムトリアセトキシボロハイドライドを用いて、または触媒的には水素、および触媒、例えば炭素上のパラジウムまたはラネー(Raney)(登録商標)ニッケルを用いて還元される中間体イミンを現場で形成する。
【0032】
このようにして得られた式(I)の化合物は最終的に、反応混合物から分離され、従来の方法にしたがって、例えば結晶化またはクロマトグラフィーによって精製されてもよい。
【0033】
このようにして得られた式(I)の化合物は、遊離塩基の形態で、または塩の形態で、従来技術にしたがって単離される。
【0034】
式(II)の化合物は、式:
【0035】
【化9】

(式中、n、R、およびRは、式(I)の化合物について規定されたものと同じであり、Pgは、従来のN−保護基、例えば第三ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、またはベンジル基を表わす)の化合物の脱保護反応によって調製される。この脱保護反応は、上記の方法にしたがって行なわれる。
【0036】
式(III)の化合物は、市販されているか、または文献に記載されているか、また、この中に記載されている方法にしたがって調製されてもよい。例えば、J.Org.Chem.、1961年、26巻、2976;Chim.Ind.(ミラノ)、1968年、50巻、264;J.Med.Chem.、1970年、13巻、1208−1212;J.Heterocycl.Chem.、1990年、27巻(1)、1−12;Synth.Commun.、1995年、25巻(9)、1383−1390;Bioorg.Med.Chem.Lett.、2003年、13巻(3)、463−466である。
【0037】
式(IV)の化合物は、次のように調製される:
目的が式(IV)(式中、n=1である)の化合物を得ることであるときは、
− 式:
【0038】
【化10】

(式中、R、R、およびPgは、上に規定されたものと同じであり、Halは、ハロゲン原子、好ましくは塩素または臭素を表わす)の化合物と;または
目的が式(IV)(式中、n=2である)の化合物を得ることであるときは、
− 式:
【0039】
【化11】

(式中、R、R、およびPgは、上に規定されたものと同じである)の化合物を
1−(2−ピラジニル)ピペラジンと、反応させる。
【0040】
式(Va)または(Vb)の化合物が、1−(2−ピラジニル)ピペラジンと反応させられるとき、この反応は、有機塩基(例えばトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、またはN−メチルモルホリン)またはアルカリ金属炭酸塩もしくは重炭酸塩(例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、または重炭酸ナトリウム)から選択された塩基の存在下、およびアルカリ金属ヨウ化物、例えばヨウ化カリウムまたはヨウ化ナトリウムの不存在下または存在下に行なわれる。この反応は、溶媒、例えばアセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、またはプロパン−2−オール中で、周囲温度と溶媒の還流温度との間の温度で行なわれる。
【0041】
式(Va)の化合物は、式:
【0042】
【化12】

(式中、R、R、およびPgは、上に規定されたものと同じである)のピペリジン誘導体と、式:
【0043】
【化13】

(式中、HalおよびHal’は、各々独立してハロゲン原子、好ましくは塩素または臭素を表わす)の化合物とを反応させることによって調製される。この反応は、塩基、例えばトリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、またはN−メチルモルホリンの存在下、溶媒、例えばジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、またはこれらの溶媒の混合物中で、0℃と周囲温度との間の温度で実施される。
【0044】
式(Vb)の化合物は、式(VI)の化合物と、式:
【0045】
【化14】

(式中、HalおよびHal’は、上に規定されたものと同じである)の化合物とを上記の操作条件下で反応させることによって調製される。
【0046】
式(VI)の化合物は、下記の図式1(式中、RおよびRは、式(I)の化合物について規定されたものと同じであり、PgおよびPgは、互いに異なり、当業者に周知の従来のN−保護基から選択されたN−保護基を表わす)にしたがって調製される。
【0047】
【化15】

【0048】
工程a1において、式(IX)の化合物のシアノ基が還元されて、式(X)(式中、R=Hである)の化合物を生じる。この還元は例えば、触媒、例えばラネー(登録商標)ニッケルまたはアルミナ上のロジウムの存在下、溶媒、例えばメタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、もしくはテトラヒドロフラン、またはこれらの溶媒の混合物中でアンモニアの存在下または不存在下、周囲温度と60℃との間の温度の水素化反応で行なわれる。
【0049】
式(X)(式中、R=(C−C)アルキルである)の化合物は、工程b1において、式(X)(式中、R=Hである)の化合物から出発して、従来のアルキル化反応によって、またはアシル化反応によって、ついで還元によって調製される。このように、例えば目的が、式(X)(式中、R=−CHである)の化合物を調製することであるときには、式(X)(式中、R=Hである)の化合物とエチルホルメートとを、周囲温度と60℃との間の温度で反応させ、ついで対応する中間体化合物(式中、R=−CHOである)を、溶媒、例えばジエチルエーテルまたはテトラヒドロフラン中で、還元剤、例えばリチウムアルミニウム水素化物を用いて、周囲温度と溶媒の還流温度との間の温度で還元する。
【0050】
工程c1または工程d1において、式(X)の化合物のアミン官能基は、Pgとは異なるN−保護基Pgを、従来の方法にしたがって導入することによって保護し、ついで工程e1において、N−保護基Pgを、従来の方法にしたがって除去して、式(VI)の予想された化合物を生じる。
【0051】
式(VII)または式(VIII)の化合物は、市販されており、公知であるか、または公知の方法によって調製される。
【0052】
式(IX)の化合物は、公知の方法、例えばBioorg.Med.Chem.Lett.、1999年、9巻、3273−3276、またはJ.Med.Chem.、1999年、42巻(23)、4778−4793に記載されている方法によって調製される。
【0053】
1−(2−ピラジニル)ピペラジンは、商品である。またはこれは、ピペラジンと2−クロロピラジンとを、塩基、例えばアルキル金属炭酸塩、例えば炭酸カリウムの存在下、溶媒、例えばエタノール、プロパン−2−オールまたはn−ブタノール中で、周囲温度と溶媒の還流温度との間の温度で反応させることによって調製される。
【0054】
次の実施例は、本発明によるあるいくつかの化合物の調製について記載する。これらの実施例は限定的ではなく、単に本発明を例証するだけである。例示された化合物の数字は、下記の表Iに示された数字のことである。これらは、本発明によるいくつかの化合物の化学構造および物理的性質を例証する。
【0055】
これらの調製および実施例において、次の省略形が用いられる:
エーテル:ジエチルエーテル
イソエーテル:ジイソプロピルエーテル
DMSO:ジメチルスルホキシド
DMF:N,N−ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
DCM:ジクロロメタン
AcOEt:酢酸エチル
DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン
TFA:トリフルオロ酢酸
2N塩酸エーテル:ジエチルエーテル中の塩酸の2N溶液
m.p.:融点
AT:周囲温度
b.p.:沸点
HPLC:高性能液体クロマトグラフィー
シリカH:メルク(Merck)(ダルムシュタット)によって販売されているシリカゲル60H
緩衝液pH=2:水1リットル中の16.66gのKHSOおよび32.32gのKSOの溶液。
【0056】
プロトン磁気共鳴(H NMR)スペクトルは、200MHzで、DMSO−d中で、DMSO−dピークを対照として用いて記録される。化学シフトδは、ppmで表示される。観察されたシグナルは、次のように表示される:s:一重項;bs:広幅一重項;d:二重項;sd:分割二重項;t:三重項;st:分割三重項;q:四重項:unres.comp:未解像錯体;mt:多重項。
【0057】
NMRスペクトルは、これらの化合物の構造を確認する。
【0058】
本発明による化合物は、LC/UV/MS(液体クロマトグラフィー/UV検出/マススペクトロメトリー)によって分析される。
【0059】
これらの化合物に対して、プラスのエレクトロスプレーモード(ESI+)において得られたこれらのマススペクトルは、計算されたモル質量と矛盾がないかのチェックがなされる。
【0060】
本発明によるこれらの化合物のマススペクトルは一般に、これらの基本ピークとして分子イオンMHを有する。
【0061】
調製
1.式(VI)の化合物の調製
調製1.1
第三ブチル[4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチルカルバメート
(VI):R=3−CF;R=H;Pg=−COOC(CH
A)2−(2,2−ジエトキシエチル)−4,4−ジエトキシ−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ブタンニトリル
トルエン400ml中の3−(トリフルオロメチル)−フェニルアセトニトリル30gとナトリウムアミド14.4gとの混合物を、周囲温度で5分間攪拌しつつ放置し、ブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール66mlを添加し、ついでこの混合物を60℃で3時間加熱する。これを真空下に濃縮し、残渣を水に取り、エーテルで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲルH上のクロマトグラフィーによりDCM/AcOEt(100/5;v/v)混合物で溶離する。これは、予想された生成物26gを生じる。
【0062】
B)4−オキソ−2−(2−オキソエチル)−2−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ブタンニトリル
蟻酸90ml中の先行工程において得られた化合物23.9gの混合物を、50℃で1時間、攪拌しつつ放置した。水を反応混合物へ添加し、ついでこれをAcOEtで抽出し、有機相を、水で、および10%NaHCO溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。これは、予想された生成物16gを生じ、これを直ちに次の工程において用いる。
【0063】
C)1−ベンジル−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジンカルボニトリル塩酸塩
150mlのDCM中の、先行工程において得られた化合物16g、ベンジルアミン6.25ml、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド48.6g、および酢酸5滴の混合物を、周囲温度で一晩、攪拌しつつ放置する。この後40mlのMeOHを一滴ずつ添加し、ついで混合物を60℃で1時間加熱する。反応混合物を真空下に濃縮し、残渣をAcOEtで抽出し、有機相を、10%NaHCO溶液で、および水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、エーテル中のHClガスの飽和溶液中に取り、形成された沈殿物を、吸引で単離した。これは、予想された生成物18gを生じる。
【0064】
D)[1−ベンジル−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチルアミン
20mlのMeOH中の、調製1.4の工程Cで得られた化合物1.5g、ラネー(登録商標)ニッケル0.15g、およびアンモニア5mlの混合物を、周囲温度で大気圧下一晩水素化する。触媒を濾去し、濾過物を真空下に濃縮する。これは、予想された生成物1.45gを生じる。
【0065】
E)第三ブチル[1−ベンジル−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチルカルバメート
20mlのAcOEt中の、先行工程において得られた化合物1.45gの混合物を、40℃に加熱し、ジ第三ブチルジカーボネート0.9gを添加し、ついで混合物を、還流下30分間加熱する。周囲温度に冷却した後、水を添加し、AcOEtで抽出を実施し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。これは、予想された生成物1.86gを生じる。
【0066】
F)第三ブチル[4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチルカルバメート
20mlのMeOH中の、先行工程において得られた化合物1.8gと炭素上10%パラジウム0.18gとの混合物を、周囲温度で大気圧下一晩水素化する。触媒を濾去し、濾過物を真空下に濃縮する。これは、油の形態において予想された生成物1.3gを生じる。
【0067】
調製1.2
第三ブチルメチル[[4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン−4−イル]メチル]カルバメート
(VI):R=3−CF;R=−CH;Pg=−COOC(CH
A)N,N−ビス(2−クロロエチル)ベンジルアミン
氷浴を用いて、1,000mlのDMF中の、N,N−ビス(2−クロロエチル)アミン塩酸塩150gと臭化ベンジル100mlとの混合物を冷却し、ついでトリエチルアミン120mlを一滴ずつ添加し、混合物を、周囲温度で攪拌しつつ一晩放置する。反応混合物を真空下に濃縮し、残渣を水とともに取り、エーテルで3回抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。これは、予想された生成物113gを生じる。
【0068】
B)1−ベンジル−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジンカルボニトリル塩酸塩
100mlのDMSOおよび100mlのTHF中の、油中60%水素化ナトリウム23.24gの懸濁液を、不活性雰囲気下、周囲温度で、150mlのDMSO中の3−(トリフルオロメチル)フェニルアセトニトリル50gの溶液と一滴ずつ混合し、この系を、15分間攪拌しつつ放置する。この後1時間にわたって、150mlのDMSO中の、先行工程において得られた化合物62.43gの溶液を添加し、この系を、周囲温度で攪拌しつつ一晩放置する。氷/水混合物を添加し、混合物をエーテルで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を1,000mlの温EtOH中に取り、周囲温度で48時間攪拌しつつ放置し、形成された結晶質生成物を、吸引で濾去する。これは、予想された生成物50gを生じる。
【0069】
C)[1−ベンジル−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチルアミン
先行工程において得られた化合物30gを、10%NaOH溶液中に溶解し、エーテルで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。遊離塩基の形態の生成物を、500mlのMeOHおよび20%アンモニア溶液30ml中に取り、ラネー(登録商標)ニッケル3gを添加し、混合物を、周囲温度および大気圧下で一晩水素化する。触媒を濾去し、濾過物を真空下に濃縮する。残渣を水中に取り、AcOEtで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。これは、予想された生成物27gを生じる。
【0070】
D)[[1−ベンジル−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチル]ホルムアミド
先行工程において得られた化合物27gと蟻酸エチル300mlとの混合物を、周囲温度で攪拌しつつ一晩放置し、ついで6時間60℃に加熱し、周囲温度で48時間攪拌しつつ放置する。これを真空下に濃縮し、残渣を10%HCl溶液中に取り、酸性水相をエーテルで洗浄し、氷を添加し、混合物を、10%NaOH溶液を添加することによってアルカリ性にし、ついでエーテルで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲルH上のクロマトグラフィーにより、DCMで、ついでDCM/MeOH(100/4;v/v)混合物で溶離する。これは、予想された生成物20gを生じる。
【0071】
E)[[1−ベンジル−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチル]メチルアミン
エーテル400ml中のリチウムアルミニウム水素化物4gの懸濁液を、先行工程において得られた化合物20gと周囲温度で混合し、ついで周囲温度で攪拌しつつ16時間放置する。この後連続的に、水3ml、3mlの30%NaOH、および水1mlを添加し、混合物を攪拌しつつ放置する。無機塩基をセライト上で濾去し、濾過物をデカントし、水相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。これは、予想された生成物18gを生じる。
【0072】
F)第三ブチル[[1−ベンジル−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチル]メチルカルバメート
300mlのDCM中の、先行工程において得られた化合物18gとジ第三ブチルジカーボネート9.6gとの混合物を、周囲温度で1時間攪拌しつつ放置する。水を反応混合物へ添加し、これをDCMで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲルH上のクロマトグラフィーにより、DCM/MeOH(100/2;v/v)混合物で溶離する。これは、予想された生成物21gを生じる。
【0073】
G)第三ブチルメチル[4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジン−4−イル]メチル]カルバメート
300mlのMeOH中の、先行工程において得られた化合物21gと炭素上の10%パラジウム2gとの混合物を、周囲温度で大気圧下に12時間水素化する。触媒を濾去し、濾過物を真空下に濃縮する。これは、予想された生成物16gを生じる。
【0074】
2.式(V)の化合物の調製
調製2.1
第三ブチル[1−(2−クロロアセチル)−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチルカルバメート
(Va):R=3−CF;R=H;Pg=−COOC(CH;Hal=Cl
氷浴を用いて、50mlのDCM中の、調製1.1で得られた化合物4.95gとトリエチルアミン6.8mlとの混合物を冷却し、2−クロロアセチル塩化物1.65mlを一滴ずつ添加し、混合物を攪拌しつつ放置し、温度を周囲温度に戻させる。混合物を真空下に濃縮し、残渣を飽和KCO溶液中に取り、AcOEtで抽出し、有機相を、飽和KCO溶液で、pH=2緩衝液で、および飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥し、この系を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより、DCM/AcOEt(80/20;v/v)混合物で溶離する。これは、予想された生成物1.8gを生じ、これはこのまま用いられる。
【0075】
調製2.2
第三ブチル[[1−(2−クロロアセチル)−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチル]メチルカルバメート
(Va):R=3−CF;R=−CH;Pg=−COOC(CH;Hal=Cl
300mlのDCM中の、調製1.2で得られた化合物14gおよびトリエチルアミン5.5mlの溶液を、−40℃に冷却し、2−クロロアセチル塩化物3.1mlをゆっくりと添加し、混合物を攪拌しつつ放置し、温度を周囲温度に戻させる。混合物を真空下に濃縮し、残渣を水中に取り、AcOEtで抽出し、有機相を、pH=2緩衝液で、および水で洗浄し、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。これは、予想された生成物15.33gを生じる。
【0076】
3.式(IV)の化合物の調製
調製3.1
第三ブチル[1−[2−[4−(2−ピラジニル)−1−ピペラジニル]アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチルカルバメート
(IV):R=3−CF;R=H;Pg=−COOC(CH;n=1
アセトニトリル30ml中の、調製2.1で得られた化合物2.8g、1−(2−ピラジニル)ピペラジン1.25g、ヨウ化カリウム1.1g、および1.8gのKCOの混合物を、周囲温度で3時間攪拌しつつ放置する。飽和KCO溶液を添加し、抽出をAcOEtで実施し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより、DCM/MeOH(97/3;v/v)混合物で溶離する。これは、予想された生成物1.75gを生じる。
【0077】
調製3.2
第三ブチルメチル[[1−[2−[4−(2−ピラジニル)−1−ピペラジニル]アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−ピペリジニル]メチル]カルバメート
(IV):R=3−CF;R=−CH;Pg=−COOC(CH;n=1
アセトニトリル200ml中の、調製2.2において得られた化合物10g、1−(2−ピラジニル)ピペラジン3.7g、ヨウ化カリウム3.7g、および6.2gのKCOの混合物を、周囲温度で5時間攪拌しつつ放置する。混合物を真空下に濃縮し、残渣を水中に取り、AcOEtで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲルH上のクロマトグラフィーにより、DCMで、ついでDCM/MeOH(100/2;v/v)混合物で溶離する。これは、予想された生成物10.7gを生じる。
【0078】
4.式(II)の化合物の調製
調製4.1
1−[4−(アミノメチル)−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ピペリジニル]−2−[4−(2−ピラジニル)−1−ピペラジニル]−1−エタノン
(II):R=3−CF;R=H;n=1
エーテルおよび30mlのMeOH中の、調製3.1において得られた化合物1.7g、2N HCl溶液50mlの混合物を、周囲温度で4時間攪拌しつつ放置する。混合物を真空下に濃縮し、残渣を水中に取り、水相をAcOEtで洗浄し、水相を、KCOを添加することによってアルカリ性にし、抽出を、AcOEtで実施し、有機相を、飽和NaCl溶液で洗浄し、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。生成物は、AcOEt中での蒸発時に結晶化し、形成された結晶を、吸引で濾去する。これは、予想された生成物1.05gを生じる。m.p.=152から153℃。
【0079】
質量スペクトル:MH=463.3。
【0080】
調製4.2
1−[4−[(メチルアミノ)メチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−ピペリジニル]−2−[4−(2−ピラジニル)−1−ピペラジニル]−1−エタノン
(II):R=3−CF;R=−CH;n=1
調製3.2において得られた化合物8gおよび100mlのMeOHの溶液を、2N塩酸エーテル溶液300mlと混合し、周囲温度で一晩攪拌しつつ放置する。混合物を真空下に濃縮し、残渣を10%NaOH溶液中に取り、AcOEtで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲルH上のクロマトグラフィーにより、DCM/MeOH(100/2;v/v)混合物で、ついでDCM/MeOH/水(100/5/0.5;v/v)混合物で溶離する。これは、イソエーテルからの再結晶後に、予想された生成物4.5gを生じる。m.p.=137から139℃。
【0081】
質量スペクトルMH=477.4。
【0082】
H NMR:DMSO−d:δ(ppm):1.10:s:1H;1.6−2.3:m:7H:2.4−3.8:m:16H;7.4−7.75:m:4H;7.8:d:1H;8.15:dd:1H;8.3:d:1H。
【実施例1】
【0083】
化合物1
[(1−メチル−1H−ピロール−2−イル)メチル][[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン―4−イル]メチル]アミン
【0084】
【化16】

【0085】
15mlのTHF中の、調製4.1において得られた化合物1g、1−メチル−2−ピロールカルボキシアルデヒド0.235ml、および酢酸5滴の混合物を、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド0.5gと少量ずつ混合し、周囲温度で一晩攪拌しつつ放置する。ついで20mlのMeOHを添加し、混合物を60℃で2時間加熱する。これを真空下に濃縮し、残渣を30%NaOH溶液中に取り、DCMで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲル上のクロマトグラフィーにより、DCM/MeOH(94/6;v/v)混合物で溶離する。これは、イソエーテル/DCM/エーテル混合物からの再結晶後に、予想された生成物0.271gを生じる。m.p.=104から105℃。
【0086】
質量スペクトル:MH=556.3。
【実施例2】
【0087】
化合物2
N−メチル−1−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)−N−[[1−[(4−ピラジン−2−イルピペラジン−1−イル)アセチル]−4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル]ピペリジン―4−イル]メチル]メタンアミンオキサレート、二水和物
【0088】
【化17】

【0089】
10mlのTHF中の、調製4.2において得られた化合物0.5g、1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボアルデヒド0.115g、および酢酸3滴の混合物を、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド0.445gと少しずつ混合し、周囲温度で一晩攪拌しつつ放置する。混合物を真空下に濃縮し、残渣を10mlのMeOH中に取り、70℃で30分間加熱する。混合物を真空下に濃縮し、残渣を30%NaOH溶液中に取り、DCMで抽出し、有機相を、NaSO上で乾燥し、溶媒を真空下に蒸発させる。残渣を、シリカゲルH上のクロマトグラフィーにより、DCM/NaOH混合物(100/1;v/v)から(100/5;v/v)で溶離する。得られた生成物をエーテル中に取り、蓚酸0.082gを添加し、混合物を攪拌しつつ放置し、形成された沈殿物を、吸引で濾去する。これは、予想された生成物0.23gを生じる。m.p.=80から100℃。
【0090】
質量スペクトル:MH=571.6。
【0091】
下記の表は、本発明による化合物のいくつかの例の化学構造および物理的性質を例証する。この表においては、次のとおりである:
− 「塩」列において、「−」は、遊離塩基の形態の化合物を表わし、一方、「HCl」は、塩酸塩形態の化合物を表わし、「C」は、オキサレート形態の化合物を表わす。
【0092】
【表1】





(a)調製4.2の化合物および式(III)の対応化合物から、実施例2に記載された手順によって調製された化合物。
(b)調製4.1の化合物および式(III)の対応化合物から、実施例1に記載された手順によって調製された化合物。
【0093】
本発明による化合物を、生化学調査に付した。
【0094】
細胞培養:
SH−SY−5Y株(ヒト神経芽細胞腫)を、コラーゲンコーティングされた培養フラスコ(フランス国ベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson))において、FCS(5%)(胎仔ウシ血清)(ドイツ国ベーリンガー・マンハイム(Boehringer Mannheim))、ナトリウムピルベート(1mM)、抗−PPLO(5ml)(抗マイコプラズマ剤:正常食塩溶液中で調製されたチロシン(Tylocine)(登録商標)、6,000μg/ml)、ゲンタマイシン(0.1mg/ml)、およびグルタミン(4mM)を含有するDMEM培養培地(ダルベッコ変法イーグル培地)(フランス国ジブコ(Gibco)BRL)中で従来の方法で培養する。
【0095】
保存株SK−N−BE(ヒト神経芽細胞腫)、およびヒトp75NTR受容体(SK−N−BE Bep75)を発現するクローンBep75を、FCS(5%)、ナトリウムピルベート(1mM)、抗−PPLO(5ml)、ゲンタマイシン(0.1mg/ml)、およびグルタミン(4mM)を含有するDMEM培養培地中で従来の方法で培養する。
【0096】
p75NTR受容体への125I−NGFの結合の調査
125I−NGF(ヨウ素−125で放射能標識されたニューロン成長因子)の結合の調査を、Weskamp(ニューロン、1991年、6巻、649−663)によって記載された方法にしたがって、2つの株SH−SY−5YおよびSK−N−BE Bep75の細胞懸濁液に対して実施する。非特異的結合は、非放射能標識NGF(1μM)の存在下、37℃でこれらの細胞での1時間のプレインキュベーション後、総結合を測定することによって決定する。特異的結合は、総結合の測定値と非特異的結合の測定値との間の差によって計算する。競合実験は、0.3nMの125I−NGF濃度を用いて実施する。本発明による化合物のp75NTR受容体への125I−NGFの結合を50%阻害する濃度(IC50)は低く、10−6から10−11Mの間である。
【0097】
アポトーシスの測定:
これらの細胞(ヒト神経芽細胞腫株SH−SY−5YおよびSK−N−BE Bep75)を、5%FCSを含有するDMEM培養培地中で24時間、直径35mmのペトリ皿(バイオコート・コラーゲン(Biocoat Collagen)I)(10細胞/ウエル)で確立する。ついで細胞培地を除去し、これらの細胞を、PBS(ダルベッコリン酸塩緩衝食塩水)で濯ぎ洗いし、5%FCSを含有する新鮮培地か、またはNGFを10ng/mlの濃度で含有する培地のどちらかを、本発明による化合物の存在下または不存在下に添加する。アポトーシスのレベルを、株SH−SY−5Yの場合は処理の48時間後、および株SK−N−BE Bep75の場合は24時間後、DNA断片に関連した細胞質ヒストンを定量化することによって測定する(細胞死検出ELISA、ドイツ国ベーリンガー・マンハイム)。アポトーシスのレベルは、オリゴヌクレオソーム/105細胞±SDの量として表示する。各値は、3つの独立した実験にわたって分布した9つの実験点の平均に相当する。式(I)の化合物は、10−6から10−11Mの様々なIC50値を有するNGF−誘発アポトーシス阻害活性を示す。
【0098】
このようにして、p75NTR受容体への本発明による化合物の結合は結果として、一方で、生化学的レベルにおいて、ニューロトロフィンによって誘発された受容体の二量化の阻害を生じ、他方で、細胞レベルにおいて、p75NTR受容体によって仲介されたアポトーシス促進性作用の阻害を生じる。
【0099】
したがって本発明による化合物は、薬剤、特にp75NTR受容体が関与しているあらゆる病気の予防または治療のために意図されている薬剤の調製に用いることができる。
【0100】
このようにして、この側面のもう1つにおいて、本発明は、式(I)の化合物、または医薬として許容される酸でのこの付加塩、また式(I)の化合物の溶媒和物もしくは水和物を含んでいる薬剤を提供する。
【0101】
このようにして、本発明による化合物は、ヒトまたは動物において、様々なp75NTR−依存性状態、例えば中枢および末梢神経変性症、例えば老人性痴呆症、癲癇、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ダウン症候群、プリオン病、記憶喪失、統合失調症;筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症;心臓血管疾患、例えば虚血後心臓損傷、心筋症、心筋梗塞、心不全、心臓虚血、脳梗塞;末梢ニューロパシー(糖尿病性、外傷性、または医原性のもの);視神経および網膜への損傷;脊髄外傷および頭蓋外傷;アテローム性動脈硬化症;狭窄;瘢痕形成;脱毛症の治療または予防に用いられてもよい。
【0102】
本発明による化合物はまた、癌、例えば肺癌、甲状腺癌、膵臓癌、前立腺癌、小腸癌、および結腸癌、乳癌の治療、腫瘍、転移、および白血病の治療にも用いることができる。
【0103】
本発明による化合物はまた、慢性神経障害性疼痛、および炎症性疼痛の治療、および自己免疫疾患、例えば慢性関節リウマチの治療にも用いることができる。
【0104】
本発明による化合物はまた、骨折の治療、および骨の病気、例えば骨粗鬆症の治療または予防にも用いることができる。
【0105】
この側面のもう1つにおいて、本発明は、活性成分として本発明による化合物を含んでいる医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、少なくとも1つの本発明による化合物、または前記化合物の医薬として許容される塩、溶媒和物、もしくは水和物の有効用量、および少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含有する。
【0106】
前記賦形剤は、医薬形態および所望の投与方法にしたがって、当業者に公知の慣例的賦形剤から選択される。
【0107】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、局所、局部、気管内、鼻腔内、経皮、または直腸投与のための本発明の医薬組成物において、上記の式(I)の活性成分、またはこの塩、溶媒和物、もしくは水和物は、適切な場合には、投与用の単位形態で、従来の製薬賦形剤との混合物として、上記障害または病気の予防または治療のために、動物およびヒトへ投与することができる。
【0108】
投与に適した単位形態は、経口投与用形態、例えばタブレット、ソフトもしくはハードゼラチンカプセル、粉末、グラニュール、および経口溶液もしくは懸濁液、舌下、口内、気管内、眼内、または鼻腔内投与用形態、吸入による投与のための形態、局所、経皮、皮下、筋肉内、または静脈内投与用形態、直腸投与用形態、およびインプラントを含む。局所適用のために、本発明による化合物は、クリーム、ジェル、軟膏、またはローションとして用いられてもよい。
【0109】
例として、タブレット形態における本発明による化合物の投与用単位形態は、次の成分を含んでいてもよい:
本発明の化合物:50.0mg
マンニトール:223.75mg
クロスカラメローズナトリウム:6.0mg
コーンスターチ:15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース:2.25mg
ステアリン酸マグネシウム:3.0mg
経口投与のために、一日あたり投与される活性成分の用量は、単一または分割用量として、0.01から100mg/kg、好ましくは0.02から50mg/kgまでであってもよい。
【0110】
より高い、またはより低い投薬量が適切である特別なケースがありうる。このような投薬量は、本発明の範囲外ではない。慣例的な実施によれば、各患者に適した投薬量は、投与方法、前記患者の体重および応答にしたがって、医師によって決定される。
【0111】
本発明はまた、この側面のもう1つにおいて、上に示されている病気の治療方法であって、本発明による化合物、またはこの医薬として許容される塩、またはこの水和物もしくは溶媒和物の1つの有効用量の患者への投与を含む方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

(式中:
− nは1または2であり;
− Rは、トリフルオロメチル基を表わし;
− Rは、水素原子または(C−C)アルキルを表わし;
− Rは、次のもの:
【化2】

から選択された芳香族基を表わし;
前記芳香族基は、非置換であるか、またはハロゲン原子;(C−C)アルキルもしくは(C−C)アルコキシから独立して選択された置換基によって一または二置換され;
− Rは、水素原子または(C−C)アルキルを表わす)
であって、塩基もしくは酸付加塩の形態、または水和物もしくは溶媒和物の形態にある前記化合物。
【請求項2】
− nは1である
ことを特徴とする、塩基もしくは酸付加塩の形態、または水和物もしくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
− Rは、フェニルの3位にあり、トリフルオロメチル基を表わす
ことを特徴とする、塩基もしくは酸付加塩の形態、または水和物もしくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
− Rは、水素原子またはメチル基を表わす
ことを特徴とする、塩基もしくは酸付加塩の形態、または水和物もしくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項5】
− Rは、1−メチル−1H−ピロール−2−イル;1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル;1,3−チアゾール−2−イル;2−フリル;3−フリル;5−メチル−2−フリル;4,5−ジメチル−2−フリル;5−クロロ−2−フリル;2−チエニル;3−チエニル;フェニル;ピリジン−2−イル;ピリジン−3−イル;ピリジン−4−イル;ピラジン−2−イル;6−メチルピリジン−2−イル;3−メチル−2−チエニル;5−メチル−2−チエニル;ピリミジン−5−イル;1H−イミダゾール−2−イル;1H−イミダゾール−5−イル;または4−メチル−1H−イミダゾール−5−イル基を表わす
ことを特徴とする、塩基もしくは酸付加塩の形態、または水和物もしくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
− nは1であり;
− Rは、フェニルの3位にあり、トリフルオロメチル基を表わし;
− Rは、水素原子またはメチル基を表わし;
− Rは、1−メチル−1H−ピロール−2−イル;1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル;1,3−チアゾール−2−イル;2−フリル;3−フリル;5−メチル−2−フリル;4,5−ジメチル−2−フリル;5−クロロ−2−フリル;2−チエニル;3−チエニル;フェニル;ピリジン−2−イル;ピリジン−3−イル;ピリジン−4−イル;ピラジン−2−イル;6−メチルピリジン−2−イル;3−メチル−2−チエニル;5−メチル−2−チエニル;ピリミジン−5−イル;1H−イミダゾール−2−イル;1H−イミダゾール−5−イル;または4−メチル−1H−イミダゾール−5−イル基を表わす
ことを特徴とする、塩基もしくは酸付加塩の形態、または水和物もしくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
請求項1に記載の式(I)の化合物の調製方法であって、
式:
【化3】

(式中、n、R、およびRは、請求項1における式(I)の化合物について規定されているものと同じである)の化合物と、式:
【化4】

(式中、Rは、請求項1における式(I)の化合物について規定されているものと同じである)の化合物とを、酸の存在下、溶媒中で反応させ、ついで中間的に形成されたイミニウム塩を、還元剤を用いて還元することを特徴とする、前記方法。
【請求項8】
請求項1から6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、または医薬として許容される酸でのこの化合物の付加塩、または式(I)の化合物の水和物もしくは溶媒和物を含むことを特徴とする、薬剤。
【請求項9】
請求項1から6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の医薬として許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの医薬として許容される賦形剤を含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項10】
中枢または末梢神経変性症;筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症;心臓血管疾患;末梢ニューロパシー;視神経および網膜への損傷;脊髄外傷および頭蓋外傷;アテローム性動脈硬化症;狭窄症;瘢痕形成;脱毛症;癌;腫瘍;転移;白血病;慢性神経障害性および炎症性疼痛;自己免疫疾患;骨折;骨の病気の予防または治療のために意図された薬剤の調製のための、請求項1から6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−512384(P2007−512384A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541974(P2006−541974)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【国際出願番号】PCT/FR2004/003066
【国際公開番号】WO2005/054229
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】