説明

4輪構造芝刈機の油圧駆動回路

【課題】
4輪構造の油圧駆動方式の芝刈機において、機体旋回時、及び傾斜地での芝刈時における芝生損傷の防止と、登坂限界能力の向上とを一挙に解決することである。
【解決手段】
2つの前輪W11,W12で構成される前輪組、及び2つの後輪W21,W22で構成される後輪組にそれぞれ独立して圧油を供給する第1及び第2の各管路L1 ,L2 に第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 がそれぞれ組み込まれて、各前輪W11,W12及び各後輪W21,W22がそれぞれ独立して油圧駆動される4輪構造芝刈機であって、前記第1及び第2の各管路L1 ,L2 における第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 の吐出側部分どうし、及び吸引側部分どうしは、それぞれバイパス管路L3 ,L4 で連結されて、各バイパス管路L3 ,L4 には、当該バイパス管路L3 ,L4 を開閉する開閉弁V1 ,V2 が組み込まれた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの前輪で構成される前輪組、及び2つの後輪で構成される後輪組にそれぞれ独立して圧油を供給する第1及び第2の各管路に第1及び第2の各油圧ポンプがそれぞれ組み込まれて、各前輪及び各後輪がそれぞれ独立して油圧駆動される4輪構造芝刈機における油圧駆動回路に関するものである。なお、本明細書で「車輪組」とは、前輪組又は後輪組の総称である。
【背景技術】
【0002】
一般的に、芝刈機に求められる最も重要な走行性能は、「機体走行時における芝生の損傷が少ないこと」と、「登坂限界能力が高いこと」である。
【0003】
前者の性能に関しては、機体自体の重量や車輪のタイヤパターンによる影響が大きいが、機体の方向転換(旋回)時における車輪跡(スリップ跡)の影響もあり、車輪跡の影響に関しては、油圧駆動回路の選択により緩和が可能である。また、後者の性能に関しては、傾斜地の芝刈作業において、可能な限り大きな角度の傾斜地を車輪がスリップすることなく、即ち芝生を損傷させることなく登坂可能であることが重要であって、ただ単に大きな角度の傾斜地を登坂できるのみでは十分ではない。例えば、4輪構造の芝刈機において、2つの前輪がスリップしている状態で、2つの後輪の駆動力を主体にして登坂できても、前輪により芝生が損傷されて美観が害されるので、芝刈機では、単なる登坂能力があるのみでは「登坂限界能力が高い」とは言えない。
【0004】
ここで、車輪のスリップ発生の主原因としては、機体の旋回時のように、十分な接地圧のある状態で、車輪の周速度が過不足のために発生する場合と、傾斜地の直進登坂時又は直進降坂時のように、車輪の周速度は満たしているが、接地圧が不足する場合が挙げられる。本明細書では、スリップ発生の原因の説明の必要性が高い場合にのみ、その原因を説明して、その必要性が乏しい場合には、その原因は説明しない。また、本明細書では、説明の都合上、「車輪の接地圧」と「車輪の負荷」の両用語を使用しているが、「車輪の接地圧」が大きいと、当該車輪を駆動させる動力は比例して大きくなって「車輪の負荷」も大きくなるので、2つの用語の技術的意義は実質的に同義である。
【0005】
4輪構造の芝刈機では、良好な運転操作性の観点から油圧駆動方式が採用される。油圧駆動の基本方式としては、各々2個の前後の各車輪がそれぞれ別々の油圧ポンプで駆動される「前後輪独立駆動方式」と、全車輪が一つの油圧ポンプで駆動される「オールパラレル方式」とがある。
【0006】
「前後輪独立駆動方式」では、前輪組、及び後輪組が独立した形態でそれぞれ並列に接続されているので、前輪組及び後輪組が対となって駆動力を発生する。図11は、「前後輪独立駆動方式」の油圧駆動回路C11であって、前輪組の第1管路L1 と後輪組の第2管路L2 とは独立していて、第1油圧ポンプP1 は、前輪側の油圧モータM11,M12が組み込まれた第1管路L1 に組み込まれると共に、第2油圧ポンプP2 は、後輪側の油圧モータM21,M22が組み込まれた第2管路L2 に組み込まれる。また、芝刈機の機体1の両側方、及び前方には、モアと称される芝刈ユニット2がそれぞれ昇降可能に支持されている。なお、図11において、W11,W12は、いずれも前輪を示し、W21,W22はいずれも後輪を示す。
【0007】
このため、図11に示されるように、傾斜地を登坂して芝刈作業を行う場合において、前輪組、或いは後輪組において、接地圧が小さくなった車輪にスリップが発生すると、スリップ発生の車輪を含む前輪組、又は後輪組の動力が急激に低下し、この低下した駆動力が最大駆動力となる。図11では、前輪組の一方の車輪W12がスリップしていることを示す。しかし、前輪組と後輪組とが独立して別々の油圧ポンプにより駆動されるので、スリップしている車輪を含む組の駆動力と、スリップしていない組(前輪がスリップした場合には後輪組であり、後輪がスリップした場合には前輪組である)の車輪の駆動力との和が、機体を登坂させるのに必要な駆動力を上回れば登坂可能であるため、芝生を損傷させないで芝刈作業を行えることを条件を含む「登坂限界能力」は高いという利点がある。
【0008】
また、図12に示されるように、機体1の前進旋回(方向転換)時には、前輪組の各車輪W11,W12及び後輪組の各車輪W21,W22の回転半径をそれぞれK1 ,K2 ,K3 ,K4 とすると、(K1 >K3 >K2 >K4 )の関係が成立して、前輪組の各車輪W11,W12を駆動回転させるための第1油圧ポンプP1 の圧油の吐出量は、後輪組の各車輪W21,W22の第2油圧ポンプP2 の圧油の吐出量よりも多くする必要があるが、第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 の吐出量は等しい。従って、前輪組及び後輪組に関しては、前輪組及び後輪組を構成する左右の各車輪に回転差に対応するように圧油が供給されて、当該回転差は吸収可能であるが、前後の車輪間における回転差を吸収することはできないので、方向転換時において前後の車輪間の回転差(周速度差)により、前輪組の各車輪W11,W12にスリップが発生して、芝生を損傷させる欠点がある。なお、図12において、(O)は、機体1の旋回中心を示す。
【0009】
また、一般的に4輪構造の芝刈機では、芝刈ユニット(モア)は機体における車輪の外側に配置するのが通常であるため、モアが作業位置と非作業位置との間で昇降すると、車輪の接地圧が変化し、傾斜地では、傾斜面への車輪の接地圧は傾斜角度により異なるので、各車輪の接地圧は、芝刈ユニット(モア)の位置、芝生面の傾斜角度等により異なる。図13には、「オールパラレル方式」の油圧駆動回路C12が示されており、前輪組と後輪組の各管路L1 ,L2 が、油圧ポンプP1 の吐出側及び排出側とそれぞれ接続された2本の接続管路L11で接続されて、1個の油圧ポンプP1 に対して4個の各油圧モータM11,M12,M21,M22が並列的に接続された構成である。図13に示されるように、傾斜地を登坂して芝刈作業を行う場合において、4輪のうち最も接地圧の小さい車輪がスリップした場合には、この時の傾斜角が登坂限界となり、4輪の全てに作用する油圧による駆動力は同じであるので、スリップ車輪以外の残りの全ての車輪には、スリップ回転している車輪に加わる油圧力が作用するため、登坂限界が「前後輪独立駆動方式」に比較して低くなる欠点がある。図13の例では、前輪組の車輪W11がスリップすることにより、残りの全ての車輪W12,W21,W22の回転が停止して、走行不能(登坂不能)の状態を示す。
【0010】
しかし、「オールパラレル方式」は、図14に示されるように、1つの油圧ポンプP1 に対して4つの各車輪の各油圧モータM11,M12,M21,M22が並列に接続されているために、機体の前進旋回時において、全車輪W11,W12,W21,W22がスリップすることなく回転可能な回転数に対応するように全車輪W11,W12,W21,W22の各油圧モータM11,M12,M21,M22に圧油が分配されて供給されるため、各車輪W11,W12,W21,W22の回転差が吸収される。このため、機体の旋回時において、車輪にスリップが発生せず、芝生を損傷させない利点がある。
【0011】
即ち、「前後輪独立駆動方式」は、登坂限界能力は高いが、機体旋回時における芝生損傷の問題があり、「オールパラレル方式」は、逆に登坂限界能力は低いが、機体旋回時における芝生損傷の問題はなく、各駆動方式にはそれぞれ一長一短があって、「機体走行時における芝生の損傷が少ないこと」と「登坂限界能力が高いこと」との両立は難しい。
【0012】
そこで、特許文献1に開示されているように、「前後輪独立駆動方式」において、機体旋回時に、かじ取りハンドルの回転量に応じて流量制御装置により、前輪側と後輪側の各駆動回路に供給する圧油量を調整して、スリップ回転による車輪跡が残らないようにした油圧回路が提案されているが、旋回半径差による分液割合を高い精度で全域で適合させるのは困難であり、結果として車輪のスリップを完全に防止することはできない。
【特許文献1】特開2000−198363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、4輪構造の油圧駆動方式の芝刈機において、機体旋回時、及び傾斜地での芝刈時における芝生損傷の防止と、登坂限界能力の向上とを一挙に解決した油圧駆動回路の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するための請求項1の発明は、2つの前輪で構成される前輪組、及び2つの後輪で構成される後輪組にそれぞれ独立して圧油を供給する第1及び第2の各管路に第1及び第2の各油圧ポンプがそれぞれ組み込まれて、各前輪及び各後輪がそれぞれ独立して油圧駆動される4輪構造芝刈機であって、前記第1及び第2の各管路における第1及び第2の各油圧ポンプの吐出側部分どうし、及び吸引側部分どうしは、それぞれバイパス管路で連結されて、各バイパス管路には、当該バイパス管路を開閉する開閉弁が組み込まれていることを特徴としている。
【0015】
平地で芝刈作業を行う場合には、各バイパス管路に組み込まれた開閉弁を開いておく。機体が前後に直進して芝刈作業を行う場合には、第1及び第2の各管路を流れる圧油の圧力が同一であることを前提にすると、前輪組、及び後輪組を構成する各車輪は、それぞれ第1及び第2の各油圧ポンプにより加圧されて、第1及び第2の各管路を流れる圧油によりそれぞれ駆動され、各バイパス管路は、第1及び第2の各管路を連通しているが、圧油は流れない。
【0016】
また、平地において機体が旋回して芝刈作業を行う場合には、前輪組、及び後輪組の各内外輪の回転数差の発生に加えて、前後輪の間で必要回転数の差が発生した場合(例えば前輪組の各車輪が後輪組の各車輪よりも旋回半径が大きいために、前輪組の各車輪を後輪組の各車輪よりも周速度を大きくする必要がある場合)には、前輪組、及び後輪組の左右輪の間で必要とする圧油量の差が発生するのに加えて、前輪組の第1管路に流れる圧油の量が不足するが、各バイパス管路を通して後輪組の第2管路から前輪組の第1管路に不足流量分だけ供給される。このように、第1及び第2の各管路間において、各バイパス管路を通して圧油の不足量を互いに補給し合うことにより、全車輪がスリップすることなく旋回可能となる。この結果、機体の旋回時における芝生の損傷を防止できる。
【0017】
また、傾斜地に沿って機体を前後進させて芝刈作業を行う場合には、特定の車輪の接地圧が小さくなることによってスリップを発生し易くなるため、各バイパス管路に組み込まれた開閉弁を閉じておく。これにより、前輪組、及び後輪組を駆動する圧油が流れる第1及び第2の各管路は分断されて、第1及び第2の各油圧ポンプからの圧油が独立して流れる。従って、芝刈作業の途中において、前輪組又は後輪組を構成する2つの車輪の少なくとも一方がスリップ回転して、駆動力が減少したり、或いはなくなっても、スリップ回転した組の減少した車輪の駆動力と、他方の組の車輪の駆動力との和により傾斜地に沿って走行して芝刈作業を継続して行える。
【0018】
このように、請求項1の発明によれば、平地で作業を行う場合には、各バイパス管路に組み込まれた開閉弁を開いて、第1及び第2の各管路を各バイパス管路で連通させることにより、旋回作業時における各車輪の回転数差(周速度差)によるスリップを防止できると共に、傾斜地に沿って作業を行う場合には、各バイパス管路に組み込まれた開閉弁を閉じて、第1及び第2の各管路を分断させることにより、前輪組又は後輪組を構成する2つの車輪の少なくとも一方が接地圧不足によりスリップ回転しようとしても、スリップ回転しようとする車輪を含む車輪組の減少した駆動力と、他の車輪組の維持された駆動力との和が、登坂に必要な駆動力を上回る限り、傾斜地に沿ってそのまま走行して作業を継続できる。
【0019】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1管路、第2管路、又は各バイパス管路のいずれかには、第1又は第2の各油圧ポンプの両側の油圧力を検出する圧力センサがそれぞれ組み込まれていて、当該2つの圧力センサのいずれか一方の検出圧力が設定圧力を超えた場合には、前記各開閉弁はいずれも閉じられると共に、前記2つの圧力センサのいずれも設定圧力を下回った場合には、前記各開閉弁はいずれも開かれるように構成されていることを特徴としている。
【0020】
機体が平地から傾斜地に向けて走行する場合、又は傾斜地を走行する場合において、特定の車輪の接地圧が大きくなって、その負荷が大きくなると、残りの車輪のうち最も接地圧の小さな車輪にスリップが発生し易い状態に至る。この場合には、第1及び第2の各管路が各バイパス管路を介して連通されているため、特定の車輪の負荷が大きくなることにより、回路全体の油圧力が上昇して圧力センサの設定圧力を超えた時点で、各バイパス管路の各開閉弁が自動的に閉じられる。これにより、第1及び第2の各管路は分断されて、最も接地圧の低い車輪を含む車輪組の低下した駆動力と、駆動力をそのまま維持している他の車輪組の駆動力との和により、各車輪がスリップすることなく傾斜地を継続走行して芝刈作業を行える。即ち、駆動力の低下により特定の車輪がスリップして、機体全体としての駆動力が低下して、最悪の場合には登坂不能となる前において、第1及び第2の各管路を分断して、特定車輪の接地圧が低下することによる駆動力の低下が全車輪に及ぶのを防止することにより、車輪のスリップ発生を防止して、芝生の損傷を防止している。
【0021】
逆に、傾斜地から平地に向けて機体を走行させて芝刈作業を行う場合には、圧力センサが組み込まれている側の車輪組のいずれかの車輪の負荷が減少して、前記圧力センサの設定圧力よりも小さくなると、各バイパス管路に組み込まれた各開閉弁が開かれて、平地対応の駆動方式の油圧回路となる。
【0022】
請求項2の発明によれば、前輪及び後輪の負荷の変化、即ち、第1及び第2の各油圧ポンプの吐出圧力の変化を、第1管路、第2管路、又は各バイパス管路のいずれかに組み込まれた各圧力センサにより検出して、各バイパス管路に組み込まれた各開閉弁を同時に開閉して、第1及び第2の各管路を連通したり、或いは分断したりするので、平地と傾斜地との間で機体を走行させて芝刈作業を行う場合において、「前後輪独立駆動方式」と「オールパラレル方式」との2種類の油圧回路が自動的に切り替えられる。この結果、運転者は、車輪の接地圧状態に注意を払うことなく、常に車輪のスリップの発生しない最適な状態で芝刈作業を行える。
【0023】
また、請求項3の発明は、請求項1の発明において、第1管路、第2管路又は各バイパス管路における開閉弁の前後には、第1及び第2の各油圧ポンプの吐出側及び吸引側の油圧力を検出する計4個の圧力センサがそれぞれ組み込まれていることを特徴としている。
【0024】
請求項3の発明によれば、機体の前進及び後進のいずれの場合にも、4つの車輪のいずれかのスリップ発生が予測される時期の最初の到来時において、上記した2種類の油圧回路の駆動方式を自動的に切り替えられるので、機体を旋回時、或いは傾斜地での芝刈時において、車輪のスリップを防止して、芝生の損傷を最も効果的に防止できる。
【0025】
また、請求項4の発明は、請求項1の発明において、芝刈機の機体には、前後方向の傾斜を検出するための前後方向傾斜センサが装着されて、前記前後方向傾斜センサの検出値が設定傾斜角度を超えた場合には、前記各開閉弁はいずれも閉じられると共に、前記前後方向傾斜センサの検出値が設定傾斜角度を下回った場合には、前記各開閉弁はいずれも開かれるように構成されていることを特徴としている。
【0026】
機体の車輪の負荷は、傾斜地の傾斜角度、即ち機体の前後方向の傾斜角度に対応して増減する。請求項4の発明によれば、機体の前後方向の傾斜を検出する前後方向傾斜センサを当該機体に装着して、機体の前後方向の傾斜角度を検出して、その検出値によって、各バイパス管路に組み込まれた各開閉弁を開閉する構成によっても、2種類の油圧回路の駆動方式を切り替えることにより、傾斜地における芝刈作業、或いは平地において旋回しながら芝刈作業を行う場合に、車輪のスリップ発生を抑制して、芝生の損傷を防止できる。
【0027】
また、請求項5の発明は、請求項4の発明において、芝刈機の機体には、当該機体の左右方向の傾斜を検出するための左右方向傾斜センサが装着されていることを特徴としている。
【0028】
請求項5の発明によれば、傾斜地を等高線に沿って芝刈作業を行う場合においては、傾斜方向に沿って高い側の車輪の接地圧が低くなることにより、傾斜方向に沿って低い側の車輪の負荷が大きくなって、スリップが発生し易くなるが、機体に装着した左右方向傾斜センサにより当該機体の左右方向(幅方向)の傾斜の検出により、結果的に傾斜地の傾斜角度を検出することになる。よって、左右方向傾斜センサの検出値によって、2種類の油圧回路の駆動方式を自動的に切り替えて、車輪のスリップの発生、即ち、芝生の損傷を極力抑制できる。
【発明の効果】
【0029】
請求項1の発明によれば、平地で芝刈作業を行う場合には、各バイパス管路に組み込まれた開閉弁を開いて、第1及び第2の各管路を各バイパス管路で連通させることにより、旋回作業時における各車輪の回転数差(周速度差)によるスリップを防止できると共に、傾斜地に沿って芝刈作業を行う場合には、各バイパス管路に組み込まれた開閉弁を閉じて、第1及び第2の各管路を分断させることにより、前輪組又は後輪組を構成する2つの車輪の少なくとも一方が接地圧不足によりスリップ回転しようとしても、スリップ回転しようとする車輪を含む車輪組の減少した駆動力と、他の車輪組の維持された駆動力との和が、登坂に必要な駆動力を上回る限り、傾斜地に沿ってそのまま走行して作業を継続できる。
【0030】
また、請求項2の発明によれば、前輪及び後輪の負荷の変化、即ち、第1及び第2の各油圧ポンプの吐出圧力の変化を、第1管路、第2管路、又は各バイパス管路のいずれかに組み込まれた各圧力センサにより検出して、各バイパス管路に組み込まれた各開閉弁を同時に開閉して、第1及び第2の各管路を連通したり、或いは分断したりするので、平地と傾斜地との間で機体を走行させて芝刈作業を行う場合において、「前後輪独立駆動方式」と「オールパラレル方式」との2種類の油圧回路が自動的に変更される。この結果、運転者は、現状の芝刈状態を認識することなく、常に車輪のスリップの発生しない最適な状態で芝刈作業を行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、最良の実施形態を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【実施例1】
【0032】
最初に、油圧力を検出する圧力センサを油圧駆動回路に組み込むことにより本発明の課題を解決する例について説明する。図1は、本発明に係る芝刈機の油圧駆動回路C1 を示す図であり、図2は、各圧力センサS1 〜S4 の作動を示す図である。本発明の油圧駆動回路C1 は、「背景技術」の項目で説明した「前後輪独立駆動方式」の油圧駆動回路C11を前提としているので、既述の部分と同一部分には同一符号を付し、重複説明を避けて異なる部分についてのみ説明する。「前後輪独立駆動方式」の油圧駆動回路において、第1及び第2の各管路L1 ,L2 における第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 の吐出側部分どうし、及び吸引側部分どうしは、それぞれバイパス管路L3 ,L4 で接続されて、各バイパス管路L3 ,L4 には、それぞれ電磁開閉弁V1 ,V2 が組み込まれている。各バイパス管路L3 ,L4 における電磁開閉弁V1 ,V2 の両側の第1及び第2の各管路L1 ,L2 に接続される部分には、第1及び第2の各管路L1 ,L2 における油圧ホンプP1 ,P2 の吐出側及び吸引側の部分の圧力を検出するための圧力センサS1 〜S4 がそれぞれ組み込まれている。圧力センサS1 ,S2 は、機体1の前進時において、各バイパス管路L3 ,L4 における第1油圧ポンプP1 の吐出側及び吸引側の各圧力が及ぶ部分にそれぞれ組み込まれ、圧力センサS3 ,S4 は、同様に、各バイパス管路L3 ,L4 における機体1の前進時における第2油圧ポンプP2 の吐出側及び吸引側にそれぞれ組み込まれている。
【0033】
また、図2に示されるように、油圧駆動回路C1 の圧力が高まる場合において、電磁開閉弁V1 ,V2 を基準にして、前輪組の側の各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた各圧力センサS1 ,S2 及び後輪組の側の各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた各圧力センサS3 ,S4 は、いずれもいずれか一方の作動により「ON」となる「OR回路」で構成され、更に、「OR回路」で構成された各圧力センサS1 ,S2 の出力信号と、同じく「OR回路」で構成された各圧力センサS3 ,S4 の出力信号とは、「OR回路」で接続されて出力される構成となっている。従って、計4個の各圧力センサS1 〜S4 のいずれか1つが作動すると、各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた2つの電磁開閉弁V1 ,V2 は、いずれも作動する回路となっている。
【0034】
また、各圧力センサS1 〜S4 は、第1及び第2の各管路L1 ,L2 を流れる圧油の圧力を検出するセンサであって、油圧駆動回路C1 の圧力が上昇して、4つの圧力センサS1 〜S4 のいずれか1つが、予め設定してある圧力を検出した場合には、2つのバイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた各電磁開閉弁V1 ,V2 が閉じられて、油圧駆動回路C1 を「オールパラレル方式」から「前後輪独立駆動方式」に変更する構成となっている。各圧力センサS1 〜S4 の設定圧力は、いずれも同一であって、各電磁開閉弁V1 ,V2 が開かれた「オールパラレル方式」の油圧駆動回路C1 で傾斜地を走行して芝刈作業を行う場合において、機体1に装着された4つの車輪W11,W12,W21,W22の少なくとも1つの車輪の接地圧の増加により、残りの車輪にスリップ回転が発生する直前の油圧力に設定してある。油圧駆動回路C1 の管路を流れる圧油の圧力が各圧力センサS1 〜S4 の設定圧力よりも小さい場合には、各電磁開閉弁V1 ,V2 は、いずれも開かれて「オールパラレル方式」となっていると共に、圧油の圧力が各圧力センサS1 〜S4 の設定圧力よりも大きい場合には、各電磁開閉弁V1 ,V2 は、いずれも閉じられて「前後輪独立駆動方式」となる。なお、傾斜地を下って平地に至る場合には、全ての圧力センサS1 〜S4 が設定圧力よりも小さな圧力を検出した時点において、油圧駆動回路C1 は、「前後輪独立駆動方式」から「オールパラレル方式」に変更される。
【0035】
そして、上記した油圧駆動回路を備えた芝刈機により、平地を前進して芝刈作業を行う場合には、特定の車輪が凹部に入り込んで空中回転する等の特殊な場合を除けば、各車輪W11,W12,W21,W22の接地圧は、ほぼ同一であって、特定の車輪の接地圧が他の車輪よりも大きくなることはない。従って、図3に示されるように、油圧駆動回路C1 の圧力は設定圧力よりも小さくなっていて、各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた各電磁開閉弁V1 ,V2 は、いずれも開かれて、「オールパラレル方式」となっている。このため、前輪組の各車輪W11,W12及び後輪組の各車輪W21,W22は、それぞれ第1及び第2の油圧ポンプP1 ,P2 により駆動されて、第1及び第2の各管路L1 ,L2 は、各バイパス管路L3 ,L4 で連通されているが、圧油は流れない。
【0036】
また、平地で前進して芝刈作業を行っている状態で、機体1を旋回(方向転換)させる場合には、図4に示されるように、前輪組及び後輪組の各内外輪の回転数差に加えて、前後輪の間で必要回転数差が発生するが、前輪組及び後輪組の各内外輪の回転数差は、第1及び第2の各管路L1 ,L2 を流れる圧油を左右の各油圧モータM11,M12(M21,M22)の間で、前記回転数差に対応した非等分に自動分配されることにより吸収されると共に、前後の各車輪の間の必要回転数差は、第2管路L2 の側から第1管路L1 の側に必要量の圧油が各バイパス管路L3 ,L4 を介して自動的に流れることにより吸収される。従って、前輪組及び後輪組の各内外輪の回転数差、及び前後輪の間で必要回転数差のいずれもが自動的に解消されて、全車輪にスリップ回転が発生することなく、機体1を旋回させられる。
【0037】
また、平地で前進して芝刈作業を行っている状態で傾斜地の登坂に移行して芝刈作業を連続して行う場合には、図5に示されるように、平地から傾斜地に移行する途中において、4輪のうちいずれかの車輪(多くの場合には、後輪組の車輪W21,W22)の接地圧の増大により、残りの車輪にスリップが発生しそうになると、「オールパラレル方式」にて油圧駆動された状態で、第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 の吐出側の圧力を検出する各圧力センサS1 ,S3 のいずれもが設定圧力を検出して、各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた各電磁開閉弁V1 ,V2 が自動的に閉じられて、油圧駆動回路は、「オールパラレル方式」から「前後輪独立駆動方式」に切り替えられる。この結果、スリップ回転を開始しそうになった車輪が含まれる車輪組と、他の車輪組とが個別に駆動されて、スリップ回転の発生を防止できて、芝生の損傷が防止される。なお、平地から傾斜地に移行する途中において、特定の車輪の接地圧の増加が大きいので、スリップ回転を発生し易いが、「オールパラレル方式」にて緩傾斜地を登坂して芝刈作業を行っている途中においても、勾配の増大によりスリップ回転が発生し易い状態となるが、この場合における「油圧駆動方式」の切り替えは、平地から傾斜地に移行する場合と同様である。
【0038】
また、「前後輪独立駆動方式」にて傾斜地を前進下りで芝刈作業を行っている状態で平地に移行する場合には、図6に示されるように、4輪の各接地圧の差が小さくなって、平地に達した時点で4輪の各接地圧はほぼ等しくなる。このため、傾斜地から平地に移行する途中で、全ての圧力センサS1 〜S4 が設定圧力よりも小さな圧力を検出した時点において、各電磁開閉弁V1 ,V2 が開かれて、「油圧駆動方式」は、「オールパラレル方式」に自動的に切り替えられて、平地に適した駆動方式となる。ここで、傾斜地を下って作業を行う場合には、重力作用により機体1に対して当該機体1を傾斜地に沿って下らせる力が作用し、当該作用によって前輪組の各車輪W11,W12を駆動する油圧モータM11,M12がポンプ作用を果して、第1油圧ポンプP1 の吸引側の圧力が高められて、当該吸引側の圧力が吐出側の圧力よりも高められることがある。このため、前進して急傾斜地から平地に移行する場合には、第1油圧ポンプP1 の吸引側の圧力を検出する圧力センサS2 が最後に設定圧力以下になった時点において、各電磁開閉弁V1 ,V2 が開かれて、「油圧駆動方式」が「オールパラレル方式」に切り替えられる。
【0039】
また、上記実施例では、各バイパス管路L3 ,L4 における各電磁開閉弁V1 ,V2 の両側に、それぞれ圧力センサS1 〜S4 を組み込んであるので、前進及び後進の双方を含めて、傾斜地から平地に移行して芝刈作業を行う場合、或いはその逆の場合において、油圧回路の圧力の上昇又は減少により、第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 の吐出側又は吸引側の圧力が圧力センサS1 〜S4 に設定した圧力に達したことを即座に検出できるので、検出精度が高い利点がある。しかし、本発明では、油圧回路の圧力の上昇又は減少により、第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 の吐出側又は吸引側の圧力が設定圧力に達したことを検出して、各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた各電磁開閉弁V1 ,V2 を開閉させて、「前後輪独立駆動方式」と「オールパラレル方式」との間で油圧駆動方式を切り替えることができれば、本発明の課題を達成できるので、例えば、図7−A(a),(b)及び図7−B(c),(d)で示される各油圧駆動回路C2 〜C5 の位置に圧力センサを組み込んでもよい。図7−A(a)は、前輪組の車輪W11,W12を駆動する第1油圧ポンプP1 の両側の圧力を検出する例であり、図7−A(b)は、後輪組の車輪W21,W22を駆動する第2油圧ポンプP2 の両側の圧力を検出する例であり、図7−B(c)は、機体の前進状態において、第1油圧ポンプP1 の吐出側と、第2油圧ポンプP2 の吸引側の圧力を検出する例であり、更に図7−B(d)は、機体の前進状態において、第1油圧ポンプP1 の吸引側と、第2油圧ポンプP2 の吐出側の圧力を検出する例である。2つの圧力センサを用いることを前提とした場合には、機体1を前進させて芝刈作業を行う頻度が高いことを考慮すると、上記説明から明白なように、図7−A(b)で示される油圧駆動回路C3 が望ましい。
【0040】
また、本発明においては、前進及び後進の双方を含めて、傾斜地から平地に移行して芝刈作業を行う場合、或いはその逆の場合において、油圧回路の圧力の上昇又は減少により、第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 の吐出側又は吸引側の圧力が設定圧力に達したことを検出して、各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた各電磁開閉弁V1 ,V2 を開閉させて、「前後輪独立駆動方式」と「オールパラレル方式」との間で油圧駆動方式を切り替えることができればよいので、油圧回路における各圧力センサを組み込む部分は、各バイパス管路L3 ,L4 に限られず、第1及び第2の各管路L1 ,L2 内に直接に組み込むことも可能である。
【0041】
なお、油圧駆動回路に圧力センサを組み込めば、車輪がスリップする限界直前の圧力を圧力センサが自動検出して、油圧駆動方式が自動的に切り替えられるために、運転者は、車輪の接地圧の状態に気を配ることなく、芝刈作業を行える利点がある。しかし、本発明(請求項1の発明)では、各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた開閉弁を手動操作により、或いは運転者の発する作動信号により開閉弁が開閉される構成にしても、本発明の課題は達成できる。
【実施例2】
【0042】
次に、機体1に前後傾斜センサS11と左右傾斜センサS12を装着して、本発明の課題を達成する例について説明する。図8は、機体1に前後傾斜センサS11と左右傾斜センサS12を装着する場合における油圧駆動回路C6 を示す図であり、図9は、前後傾斜センサS11及び左右傾斜センサS12により油圧駆動回路C6 の駆動方式を切り替える模式図である。機体1には、当該機体1の前後方向(進行方向)の傾斜を検出するための前後傾斜センサS11と、当該機体1の左右方向(幅方向)の傾斜を検出する左右傾斜センサS12とが装着されている。このように前後傾斜及び左右傾斜を検出するための各センサS11,S12が装着された機体1を有する芝刈機の油圧駆動回路C6 は、図8に示されるように、第1及び第2の各管路L1 ,L2 における第1及び第2の各油圧ポンプP1 ,P2 の吐出側部分、及び吸引側部分がそれぞれバイパス管路L3 ,L4 で接続された構成である。前後傾斜センサS11は、傾斜地に沿って芝刈作業を行う場合において、高い側の車輪の接地圧が小さくなることが原因で、当該高い側の車輪にスリップが発生する限界直前を検出するためのセンサであり、左右傾斜センサS12は、傾斜地を等高線に沿って芝刈作業を行う場合(「等高線刈り」と称されている)において、機体が幅方向に傾斜して高い側の車輪の接地圧が小さくなることが原因で、当該高い側の車輪にスリップが発生する限界直前を検出するセンサである。各センサS11,S12は、前記した「限界直前」を検出すると、検出信号が発せられて、制御回路11により当該検出信号が処理されて、油圧駆動回路C6 の各バイパス管路L3 ,L4 に組み込まれた各電磁開閉弁V1 ,V2 を開閉させて、油圧駆動回路C6 が「前後輪独立駆動方式」と「オールパラレル方式」との間で相互に切り替えられる構成、及びその作用効果は、上記した圧力センサを用いた場合と同一である。なお、図9において、2点鎖線で示される前後方向傾斜センサS11及び左右方向傾斜センサS12は、それぞれ機体1が前後方向及び左右方向に傾斜した状態を示す。
【0043】
また、実施例1に示した各圧力センサS1 〜S4 と、実施例2に示した前後傾斜センサS11及び左右傾斜センサS12とのいずれも備えた構成にすることも可能であり、図10には、この構成による各センサS1 〜S4 ,S11,S12の作動が示されており、圧力センサS1 ,S2 、同S3 ,S4 及び前後傾斜及び左右傾斜の各センサSS11,S12は、いずれも「OR回路」で連結された「センサ組」となっていて、更に各「センサ組」は「OR回路」で連結されているため、各センサS1 〜S4 ,S11,S12のいずれか1つが検出値を検出すると、油圧駆動回路の駆動方式が切り替えられる構成となっている。これにより、傾斜地に沿って芝刈作業を行う場合における車輪のスリップを更に高い精度で防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明に係る芝刈機の油圧駆動回路C1 を示す図である。
【図2】各圧力センサS1 〜S4 の作動を示す図である。
【図3】平地を前進して芝刈作業を行う状態の油圧駆動回路C1 を示す図である。
【図4】平地で機体1を旋回させる状態の油圧駆動回路C1 を示す図である。
【図5】平地から傾斜地に移行して芝刈作業を行う状態の油圧駆動回路C1 を示す図である。
【図6】傾斜地から平地に移行して芝刈作業を行う状態の油圧駆動回路C1 を示す図である。
【図7−A】(a),(b)は、いずれも異なる位置に圧力センサが組み込まれた油圧駆動回路C2 ,C3 を示す図である。
【図7−B】(c),(d)は、いずれも異なる位置に圧力センサが組み込まれた油圧駆動回路C4 ,C5 を示す図である。
【図8】機体1に前後傾斜センサS11と左右傾斜センサS12を装着する場合における油圧駆動回路C6 を示す図である。
【図9】前後傾斜センサS11及び左右傾斜センサS12により油圧駆動回路C6 の駆動方式を切り替える模式図である。
【図10】機体1に装着した前後傾斜センサS11及び左右傾斜センサS12と、油圧駆動回路C1 に組み込んだ各圧力センサS1 〜S4 との作動を示す図である。
【図11】傾斜地を前進により上って芝刈作業を行う場合の「前後輪独立駆動方式」の油圧駆動回路C11を示す図である。
【図12】平地で機体1を旋回させる場合の「前後輪独立駆動方式」の油圧駆動回路C11を示す図である。
【図13】傾斜地を前進により上って芝刈作業を行う場合の「オールパラレル方式」の油圧駆動回路C12を示す図である。
【図14】平地で機体1を旋回させる場合の「オールパラレル方式」の油圧駆動回路C12を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
1:機体
1 〜C6 :油圧駆動回路
1 :第1管路
2 :第2管路
3 ,L4 :バイパス管路
1 :第1油圧ポンプ
2 :第2油圧ポンプ
11,M12:前輪組の油圧モータ
21,M22:後輪組の油圧モータ
1 〜S4 :圧力センサ
11:前後傾斜センサ
12:左右傾斜センサ
11,W12:前輪組の車輪
21,W22:後輪組の車輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの前輪で構成される前輪組、及び2つの後輪で構成される後輪組にそれぞれ独立して圧油を供給する第1及び第2の各管路に第1及び第2の各油圧ポンプがそれぞれ組み込まれて、各前輪及び各後輪がそれぞれ独立して油圧駆動される4輪構造芝刈機であって、
前記第1及び第2の各管路における第1及び第2の各油圧ポンプの吐出側部分どうし、及び吸引側部分どうしは、それぞれバイパス管路で連結されて、各バイパス管路には、当該バイパス管路を開閉する開閉弁が組み込まれていることを特徴とする4輪構造芝刈機の油圧駆動回路。
【請求項2】
前記第1管路、第2管路、又は各バイパス管路のいずれかには、第1又は第2の各油圧ポンプの両側の油圧力を検出する圧力センサがそれぞれ組み込まれていて、当該2つの圧力センサのいずれか一方の検出圧力が設定圧力を超えた場合には、前記各開閉弁はいずれも閉じられると共に、前記2つの圧力センサのいずれも設定圧力を下回った場合には、前記各開閉弁はいずれも開かれるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の4輪構造芝刈機の油圧駆動回路。
【請求項3】
第1管路、第2管路又は各バイパス管路における開閉弁の前後には、第1及び第2の各油圧ポンプの吐出側及び吸引側の油圧力を検出する計4個の圧力センサがそれぞれ組み込まれていることを特徴とする請求項1に記載の4輪構造芝刈機の油圧駆動回路。
【請求項4】
芝刈機の機体には、前後方向の傾斜を検出するための前後方向傾斜センサが装着されて、前記前後方向傾斜センサの検出値が設定傾斜角度を超えた場合には、前記各開閉弁はいずれも閉じられると共に、前記前後方向傾斜センサの検出値が設定傾斜角度を下回った場合には、前記各開閉弁はいずれも開かれるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の4輪構造芝刈機の油圧駆動回路。
【請求項5】
芝刈機の機体には、当該機体の左右方向の傾斜を検出するための左右方向傾斜センサが装着されていることを特徴とする請求項4に記載の4輪構造芝刈機の油圧駆動回路。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7−A】
image rotate

【図7−B】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2009−137480(P2009−137480A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−316930(P2007−316930)
【出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(591187841)株式会社共栄社 (13)
【Fターム(参考)】