説明

5’修飾二環式核酸類似体

本発明は、5'修飾二環式ヌクレオシド類似体及びこれらのヌクレオシド類似体の少なくとも1つを含むオリゴマー化合物を提供する。好ましい実施態様では、ヌクレオシド類似体は、5'炭素に(R)又は(S)キラリティーを有する。これらの二環式ヌクレオシド類似体は、例えば強化されたヌクレアーゼ抵抗性を含む、オリゴマー化合物の特性の強化に役立つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(配列表)
本出願は、電子フォーマットで配列表とともに出願される。配列表は、2007年5月10日に作成されたサイズ8KbのCHEM0029WOSEQ.TXTという表題のファイルとして提供される。配列表の電子フォーマット情報は、その全体が本明細書で参照により組み込まれる。
(発明の分野)
本発明は、5'修飾二環式ヌクレオシド並びにそこから調製されるオリゴマー化合物及び組成物を提供する。より詳細には、本発明は、5'位に位置するさらなる基との2'-O-CH2-4'架橋を有するヌクレオシド並びにそこから調製されるオリゴマー及び組成物を提供する。好ましい実施態様では、5'基は、(R)又は(S)のいずれかの異性体を提供する特定の配置である。一部の実施態様において、本発明のオリゴマー化合物及び組成物は、一部の標的RNAにハイブリダイズして、標的RNAの正常な機能の喪失を生じさせる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
アンチセンス技術は、1つ以上の特異的な遺伝子産物の発現を減少させるための有効な手段であり、従って、多くの治療、診断及び研究適用においてすばらしく有用であることを実証することができる。化学修飾されたヌクレオシドは、アンチセンス配列に組み込むために日常的に使用され、例えばヌクレアーゼ耐性などの1つ以上の特性を増強する。化学修飾のこのようなグループの一つには、ヌクレオシドのフラノース部分が、フラノース環上の2つの原子に結合するブリッジを含み、これにより二環式環系を形成する二環式ヌクレオシドを含む。このような二環式ヌクレオシドは、それぞれ二環式核酸のためのBNA及びロック核酸のためのLNAを含む、種々の名称を有する。
種々のBNAが、製造され、かつ特許文献において、並びに科学文献において報告されており、例えば以下を参照されたい:Singhらの論文、Chem. Commun., 1998, 4, 455-456;Koshkinらの論文、Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630;Wahlestedtらの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2000, 97, 5633-5638;Kumarらの論文、Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222;Wengelらの論文、1998年9月14日に出願されたPCT国際出願番号PCT/DK/98/00303(1999年3月25日にWO99/14226として公開された);Singhらの論文、J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039。それぞれのテキストは、これらの全体が引用として本明細書に組み込まれる。発行された米国特許及び公開された出願の例は、例えば以下を含む:米国特許第6,770,748号、第6,268,490号及び第6,794,499号、及び公開された米国出願第20040219565号、第20040014959号、第20030207841号、第20040192918号、第20030224377号、第20040143114号、第20030087230号及び第20030082807号。それぞれのテキストは、これらの全体が引用として本明細書に組み込まれる。
様々な5'修飾ヌクレオシドが調製され、かつ特許文献並びに科学文献で報告されており、例えば、Mikhailovらの論文、Nucleosides and Nucleotides, 1991, 10, 393-343; Sahaらの論文、J. Org. Chem., 1995, 60, 788-789; Beiglemanらの論文、Nucleosides and Nucleotides, 1995, 14, 901-905; Wang,らの論文、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 1999, 9, 885-890;及び、1994年10月13日に公開のPCT国際出願WO94/22890を参照されたく、それぞれの本文はその全体が本明細書で参照により組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
結果的に、アンチセンスメカニズムを介して特異的に遺伝子発現を調節する薬剤に対する需要が依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示したのは、RNaseH、RNAi及びdsRNA酵素などの作用メカニズムに依存するもの、並びに標的分解又は標的占有に基づいたその他のアンチセンスメカニズムを含む遺伝子発現経路を調整するために有用な5'-置換されたBNA及びこれから製造されるアンチセンス化合物である。当業者であれば、一旦本開示で武装すると、過度の実験なしで、これらの使用のためのアンチセンス化合物を同定し、製造し、開発することができるであろう。
(発明の簡単な要約)
本発明は、式
【化1】

を有する二環式ヌクレオシドを提供する:
(式中、
Bxは、複素環塩基部分であり;
T1及びT2の一方はH又はヒドロキシル保護基であり、かつT1及びT2の他方はH、ヒドロキシル保護基又は反応性リン基であり;
Zは、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC1-C6アルキル、置換されたC2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルキニル又は置換されたアシル(-C(=O)-)であり;
上式で、それぞれの置換された基は、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC2-C6アルキニル、OJ1、SJ1、NJ1J2、N3、COOJ1、CN、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NR1R2又はN(H)C(=X)N(H)J2から独立して選択される置換基で一置換又は多置換されており、式中XはO又はSであり;及び、
それぞれのJ1及びJ2は、独立して、H、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC2-C6アルキニル、C1-C6アミノアルキル、置換されたC1-C6アミノアルキル、又は保護基である)。
【0005】
一実施態様では、Zは置換されたC1-C6アルキルである。別の実施態様では、Zは置換されたメチレンであり、好ましい置換基には、F、NJ1J2、N3、CN、OJ1、SJ1、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2又はN(H)C(=O)N(H)J2から独立して選択される1つ以上の基が含まれる。一実施態様では、それぞれのJ1及びJ2は、独立して、H又はC1-C6アルキルである。
一実施態様では、Zはメチル、エチル又はメトキシメチルである。別の実施態様では、Zはメチルである。さらなる実施態様では、Zはエチレニル(ethylenyl)である。別の実施態様では、Zは置換されたアシルである。さらなる実施態様では、ZはC(=O)NJ1J2である。
一実施態様では、T1及びT2の少なくとも1つは、ヒドロキシル保護基であり、好ましいヒドロキシル保護基のリストには、アセチル、t-ブチル、t-ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエチル、p-クロロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、ベンゾイル、p-フェニルベンゾイル、2,6-ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p-ニトロベンジル、トリフェニルメチル(トリチル)、4,4'-ジメトキシトリチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、ギ酸ベンゾイル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、9-フルオレニルメチルカーボネート、メシラート、トシラート、トリフラート、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、9-フェニルキサンチン-9-イル(ピキシル(Pixyl))及び9-(p-メトキシフェニル)キサンチン-9-イル(MOX)が含まれる。ヒドロキシル保護基のより好ましいリストには、アセチル、ベンジル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル及び4,4'-ジメトキシトリチルが含まれる。
【0006】
一実施態様では、T2は反応性リン基であり、好ましい反応性リン基の1リストには、ジイソプロピルシアノエトキシホスホラミダイト及びH-ホスホナートが含まれる。
一実施態様では、T2はジイソプロピルシアノエトキシホスホラミダイトであり、かつT1は4,4'-ジメトキシトリチルである。
一実施態様では、Z基は(R)配置
【化2】

である。
一実施態様では、Z基は(S)配置
【化3】

である。
【0007】
本発明は、式
【化4】

の少なくとも1つの単量体を含むオリゴマー化合物も提供する:
(式中、
Bxは、複素環塩基部分であり;
T3は、H、ヒドロキシル保護基、連結された共役基、又はヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、単量体サブユニット若しくはオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基であり;
T4は、H、ヒドロキシル保護基、連結された共役基、又はヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、単量体サブユニット若しくはオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基であり;
Zは、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC1-C6アルキル、置換されたC2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルキニル又は置換されたアシル(-C(=O)-)であり;
上式で、それぞれの置換された基は、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC2-C6アルキニル、OJ1、SJ1、NJ1J2、N3、COOJ1、CN、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NR1R2又はN(H)C(=X)N(H)J2から独立して選択される置換基で一置換又は多置換されており、上式でXはO又はSであり;
それぞれのJ1及びJ2は、独立して、H、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC2-C6アルキニル、C1-C6アミノアルキル、置換されたC1-C6アミノアルキル又は保護基であり;及び
上式で、T3及びT4の少なくとも1つは、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、単量体サブユニット又はオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基である)。
【0008】
一実施態様では、Zは置換されたC1-C6アルキルである。他の実施態様では、Zは置換されたメチレンであり、好ましい置換基には、F、NJ1J2、N3、CN、OJ1、SJ1、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2又はN(H)C(=O)N(H)J2から独立して選択される1つ以上の基が含まれる。一実施態様では、それぞれのJ1及びJ2は、独立して、H又はC1-C6アルキルである。
一実施態様では、Zはメチル、エチル又はメトキシメチルである。他の実施態様では、Zはメチルである。さらなる実施態様では、Zはエチレニルである。他の実施態様では、Zは置換されたアシルである。さらなる実施態様では、ZはC(=O)NJ1J2である。
一実施態様では、T3はH又はヒドロキシル保護基である。他の実施態様では、T3はヌクレオシド、ヌクレオチド又は単量体サブユニットに結合したヌクレオシド間連結基である。さらなる実施態様では、T3は、オリゴヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドに結合したヌクレオシド間連結基である。他の実施態様では、T3は、オリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基である。
一実施態様では、T4はH又はヒドロキシル保護基である。他の実施態様では、T4はヌクレオシド、ヌクレオチド又は単量体サブユニットに結合したヌクレオシド間連結基である。さらなる実施態様では、T4は、オリゴヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドに結合したヌクレオシド間連結基である。他の実施態様では、T4は、オリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基である。
【0009】
一実施態様では、Z基が(R)配置である少なくとも1つの単量体を有するオリゴマー化合物が提供される:
【化5】


一実施態様では、Z基が(S)配置である少なくとも1つの単量体を有するオリゴマー化合物が提供される:
【化6】


【0010】
一実施態様では、T3及びT4の少なくとも1つは、ホスホジエステル又はホスホロチオエートから選択されるヌクレオシド間連結基を含む。他の実施態様では、オリゴマー化合物中のそれぞれのヌクレオシド間連結基は、独立してホスホジエステル又はホスホロチオエートである。
一実施態様では、本発明の少なくとも2つの隣接する5'置換二環式ヌクレオシド単量体の少なくとも1つの領域を有するオリゴマー化合物が提供される。他の実施態様では、本発明の少なくとも2つの隣接する5'置換二環式ヌクレオシド単量体の少なくとも2つの領域を有するオリゴマー化合物が提供される。さらなる実施態様では、ギャップがあるオリゴマー化合物を含む本発明の少なくとも2つの隣接する5'修飾二環式ヌクレオシド単量体の少なくとも2つの別々の領域を有するオリゴマー化合物が提供される。
一実施態様では、長さが約8〜約40個のヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド若しくは模倣体を有するオリゴマー化合物が提供される。さらなる実施態様では、オリゴマー化合物は、長さが約8〜約20個のヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド若しくは模倣体を含む。さらなる実施態様では、オリゴマー化合物は、長さが約10〜約16個のヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド若しくは模倣体を含む。他の実施態様では、オリゴマー化合物は、長さが約10〜約14個のヌクレオシド及び/又は修飾ヌクレオシド若しくは模倣体を含む。
1つ以上の細胞、組織又は動物を本発明のオリゴマー化合物と接触させることを含む、遺伝子発現を抑制する方法も提供される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は、5'修飾二環式ヌクレオシド及びそこから調製されるオリゴマー化合物を提供する。より詳しくは、本発明は、5'修飾二環式リボフラノシル糖部分を有するヌクレオシド(本明細書では5'修飾二環式ヌクレオシド又は5'修飾BNAとも呼ばれる)並びにそこから調製されるオリゴマー及び組成物を提供する。好ましい一実施態様では、5'位を修飾する基は特定の配置を有し、それによって(R)又は(S)キラリティーを提供する。化合物はIUPAC命名法を使っても記述され、例えば、5'-CH3置換二環式核酸ウラシルDMTホスホラミダイトは、以下の名称: (1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)-ホスフィノキシ]-1-[1-(S、R又はラセミの場合はなし)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(ウラシル-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン術語(例えば、ウラシルDMTホスホラミダイト)を有するであろうし、該エチルの1位の炭素は(R)、(S)又はラセミであり、ウラシル-1-イルとして示される複素環塩基は、本明細書で記載の任意の複素環塩基で置換することができる。本発明の5'修飾BNAは、それらが組み込まれるオリゴマー化合物の所望の特性を増強させることに役立つ。本発明のオリゴマーは、診断用途でプライマー及びプローブとして有用であることもできる。
【0012】
好ましい一実施態様では、本発明の5'修飾二環式ヌクレオシドは、下で示す構造を有し、
【化7】

式中、アスタリスクは、ヒドロキシル、保護されたヒドロキシル、5'修飾二環式ヌクレオシドを単量体若しくはオリゴマーに連結するヌクレオシド間連結、反応性リン基、任意選択で連結される共役基、又は本明細書で議論されるか若しくはアンチセンステクノロジーで役に立つ他の基を独立して示す。
【0013】
様々な置換された(5'-Z)BNAの調製は、一態様では、実施例のセクションで例示される方法で市販の(或いは合成された)グリニャール試薬の置換によって可能になる。例えば、実施例1、ステップCを参照されたく、ここで、5'-CH3-BNA類似体を提供するグリニャール試薬としてメチル臭化マグネシウムが使用される。置換基は、当分野の技術者に公知である機能的に同等の炭素同族体化反応を使用して導入することもできる。ニトロメタンの付加及びエポキシドを経た同族体化は、Wang, G.; Middleton, P. J. Tetrahedron Lett. 1996, 37, 2739-2742に記載されている(Wangらの論文、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters, 1999, 9, 885-890;及び、Sahaらの論文、J. Org. Chem., 1995, 60, 788-789も参照)。さらに、適切に官能化されたグリニャール試薬又は他の試薬を添加後に操作して、さらに官能化された類似体を提供することができる。例えば、アリル又はビニル臭化マグネシウム試薬の使用は二重結合を導入し、それは、ハロメチル、メトキシメチル、適切に保護されたヒドロキシメチル、アミノメチル及び他の様々な官能基などの官能性を含む、多くの異なる基に官能化することができよう。
【0014】
本発明の一態様では、本発明の5'修飾二環式ヌクレオシドは、他の修飾されていないオリゴマー化合物を1つ以上の位置で修飾することに役立つ。このような修飾されたオリゴマー化合物は、特定のモチーフを有するものとして記述することができる。本発明に適用できるモチーフには、ギャップがあるモチーフ、ヘミマー(hemimer)モチーフ、ブロックマー(blockmer)モチーフ、完全に修飾されたモチーフ、位置的に修飾されたモチーフ、及び交互モチーフを含むが、限定されない。これらのモチーフと組み合わせて、一様に、又は組み合わせて使用されるリン酸ジエステル及びホスホロチオアート結合を含むがこれらに限定されない、多種多様な結合を使用することができる。6-修飾された二環式ヌクレオシドの位置及び結合ストラテジーの使用は、特定の標的の最高の活性のために、容易に最適化することができる。
代表的なモチーフの製造を教示する代表的な米国特許には、第5,013,830号;第5,149,797号;第5,220,007号;第5,256,775号;第5,366,878号;第5,403,711号;第5,491,133号;第5,565,350号;第5,623,065号;第5,652,355号;第5,652,356号;第及び号;第5,700,922号を含むが、限定されない。これらのいくつかは、本出願と共に共通して所有されており、またこれらのそれぞれは、その全体が引用として本明細書に組み込まれる。また、モチーフは、2005年6月2日に出願され、かつ2005年12月22日にWO2005/121371として公開された国際出願PCT/US2005/019219号、及び2005年6月2日に出願され、かつ2005年12月22日にWO2005/121372として公開されたPCT/US2005/019220号にも開示されており;そのそれぞれは、その全体が引用として本明細書に組み込まれる。
【0015】
「安定な化合物」及び「安定な構造」という用語は、反応混合物からの有用な純度での単離、及び効果的な治療薬への製剤を切り抜けるのに十分強い化合物を示すことを意味する。安定な化合物のみが、本明細書において意図される。
本明細書に記述した化合物内の選択される置換基は、繰り返して用いられる程度を示す。この文脈において、「繰り返して用いられる置換基」とは、置換基がそれ自体の別の例を再び定め得ることを意味する。このような置換基の繰り返して用いられる性質のため、理論的には、任意の所与の請求項に多数が存在し得る。医薬品化学及び有機化学の当業者であれば、このような置換基の総数が、意図した化合物の所望の特性によって当然限定されることを理解する。このような特性には、例えば、この例に限らないが、分子量、溶解度又は対数Pなどの物理的特性、意図する標的に対する活性などの適用性、及び合成の容易さなどの実用的特性を含む。
繰り返して用いられる置換基は、本発明の意図された態様である。医薬品化学及び有機化学の当業者であれば、このような置換基の多用性を理解する。繰り返して用いられる置換基が本発明の請求項に存在する程度で、総数は、前述のように決定されるであろう。
【0016】
本明細書に使用される「置換基(substituent)」及び「置換基(substituent group)」という用語は、典型的には、所望の特性を増強し、又は所望の効果を与えるために、その他の基又は親化合物に付加される基を含むことが意味される。また、置換基は、保護すること、又は保護されていないことができ、及び親化合物の1つの利用できる部位に、又は多くの利用できる部位に付加することができる。また、置換基は、その他の置換基で更に置換してもよく、親化合物に対して直接、又はアルキル又はヒドロカルビル基などの連結基を介して結合してもよい。このような基には、以下を含むが限定されない:ハロゲン、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル(-C(O)Raa)、カルボキシル(-C(O)O-Raa)、脂肪族基、脂環基、アルコキシ、置換されたオキシ(-O-Raa)、アリール、アラルキル、複素環、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、アミノ(-NRbbRcc)イミノ(=NRbb)、アミド(-C(O)N-RbbRcc又は-N(Rbb)C(O)Raa)、アジド(-N3)、ニトロ(-NO2)、シアノ(-CN)、カルバミド(-OC(O)NRbbRcc又は-N(Rbb)C(O)ORaa)、ウレイド(-N(Rbb)C(O)NRbbRcc)、チオウレイド(-N(Rbb)C(S)NRbbRcc)、グアニジニル(-N(Rbb)C(=NRbb)NRbbRcc)、アミジニル(-C(=NRbb)NRbbRcc又は-N(Rbb)C(NRbb)Raa)、チオール(-SRbb)、スルフィニル(-S(O)Rbb)、スルホニル(-S(O)2Rbb)、スルホンアミジル(- S(O)2NRbbRcc又は-N(Rbb)-S(O)2Rbb)及び共役基。式中、それぞれのRaa、Rbb及びRccは、H、任意に連結された化学官能基又は更なる置換基であり、好ましい一覧は、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、脂肪族、アルコキシ、アシル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、脂環式化合物、複素環及びヘテロアリールアルキルを含むが、限定されない。
【0017】
当該技術分野において公知のものなどの連結基又は二官能性連結部分は、本発明に適用できる。連結基は、親化合物における選択的部位に対する化学官能基、共役基、レポーター基及びその他の基の結合のために有用である。一般に、二官能性連結部分には、2つの官能基を有するヒドロカルビル部分を含む。官能基の一方は、親分子、又は関心対象の化合物を結合するように選択され、かつ他方は、化学官能基又は共役基などの本質的に任意の選択した基に結合するように選択される。一部の実施態様において、リンカーには、エチレングリコール又はアミノ酸単位などの反復単位の連鎖構造又はオリゴマーを含む。二官能性連結部分においてルーチン的に使用される官能基の例には、求電子性基と反応するための求核基及び求核試薬と反応するための求電子試薬を含むが、限定されない。一部の実施態様において、二官能性連結部分は、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、不飽和(例えば、二重又は三重結合)などを含む。二官能性連結部分のいくつかの非限定的な例には、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸(ADO)、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート(SMCC)及び6‐アミノヘキサン酸(AHEX又はAHA)を含む。その他の連結基には、置換されたC1-C10アルキル、置換若しくは非置換のC2-C10アルケニル、又は置換若しくは非置換のC2-C10アルキニルを含むが、限定されず、好ましい置換基の非限定的な一覧には、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルを含む。
【0018】
「ヒドロカルビル」という用語は、C、O及びHを含む基を含む。任意の飽和度を有する直鎖、分枝及び環状の基を含む。このようなヒドロカルビル基は、N、O及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を含むことができ、かつ更に1つ以上の置換基で一又は多置換することができる。
本明細書に使用される「アルキル」という用語は、24個までの炭素原子を含む飽和直鎖又は分枝の炭化水素ラジカルをいう。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、n-ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシルなどを含むが、限定されない。アルキル基は、典型的には1〜約24個の炭素原子、より典型的には1〜約12個の炭素原子(C1-C12アルキル)を含み、1〜約6個の炭素原子がより好ましい。本明細書に使用される「低級アルキル」という用語は、1〜約6個の炭素原子を含む。本明細書に使用されるアルキル基は、任意に1つ以上のさらなる置換基を含んでいてもよい。
本明細書に使用される「アルケニル」という用語は、24個までの炭素原子を含み、かつ少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する直鎖状又は分枝の炭化水素鎖ラジカルをいう。アルケニル基の例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、1-メチル-2-ブテン-1-イル、1,3-ブタジエンなどのジエンなどを含むが、限定されない。アルケニル基は、典型的には2〜約24個の炭素原子、より典型的には2〜約12個の炭素原子を含み、2〜約6個の炭素原子がより好ましい。本明細書に使用されるアルケニル基には、任意に1つ以上のさらなる置換基を含んでいてもよい。
【0019】
本明細書に使用される「アルキニル」という用語は、24個までの炭素原子を含み、かつ少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖状又は分枝の炭化水素ラジカルをいう。アルキニル基の例には、エチニル、1-プロピニル、1-ブチニルなどを含むが、限定されない。アルキニル基は、典型的には2〜約24個の炭素原子、より典型的には2〜約12個の炭素原子を含み、2〜約6個の炭素原子がより好ましい。本明細書に使用されるアルキニル基は、任意に1つ以上のさらなる置換基を含んでいてもよい。
本明細書に使用される「アミノアルキル」という用語は、アミノ置換されたアルキルラジカルをいう。本用語は、任意の位置にてアミノ置換基を有するC1-C12アルキル基を含み、アルキル基が親分子に対してアミノアルキル基を結合することを意味する。アミノアルキル基のアルキル又はアミノ部分は、置換基で更に置換することができる。
本明細書に使用される「脂肪族」という用語は、任意の2つの炭素原子間の飽和が一重、二重又は三重結合である24個までの炭素原子を含む直鎖状又は分枝の炭化水素ラジカルをいう。脂肪族基は、好ましくは1〜約24個の炭素原子、より典型的には1〜約12個の炭素原子を含み、1〜約6個の炭素原子がより好ましい。脂肪族基の直鎖状又は分枝の鎖は、窒素、酸素、硫黄及びリンを含む1つ以上のヘテロ原子が割り込んでもよい。ヘテロ原子によって割り込まれるこのような脂肪族基には、限定されないが、ポリアルキレングリコールなどのポリアルコキシ、ポリアミン及びポリイミンを含む。本明細書に使用される脂肪族基は、任意にさらなる置換基を含んでいてもよい。
【0020】
「脂環式化合物(alicyclic)」又は「脂環式化合物の(alicyclyl)」という用語は、環が脂肪族である環状の環系をいう。環系には、少なくとも1つの環が脂肪族である1つ以上の環を含むことができる。好ましい脂環式化合物は、環に約5〜約9個の炭素原子を有する環を含む。本明細書に使用される脂環式化合物は、任意にさらなる置換基を含んでいてもよい。
本明細書に使用される「アルコキシ」という用語は、アルキル基と酸素原子との間に形成されるラジカルであって、該酸素原子が親分子にアルコキシ基を結合するために使用されているラジカルをいう。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、n-ペントキシ、ネオペントキシ、n-ヘキソキシなどを含むが、限定されない。本明細書に使用されるアルコキシ基は、任意にさらなる置換基を含んでいてもよい。
本明細書に使用される「ハロ」及び「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子をいう。
本明細書に使用される「アリール」及び「芳香族」という用語は、1つ以上の芳香環を有する単環式又は多環式の炭素環式環系ラジカルをいう。アリール基の例には、フェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、インダニル、インデニルなどを含むが、限定されない。好ましいアリール環系は、1つ以上の環に約5〜約20個の炭素原子を有する。本明細書に使用されるアリール基は、任意にさらなる置換基を含んでいてもよい。
【0021】
本明細書に使用される「アラルキル」及び「アリールアルキル」という用語は、アルキル基とアリール基との間に形成されるラジカルであって、該アルキル基が親分子にアラルキル基を結合するために使用されているラジカルをいう。例には、ベンジル、フェネチルなどを含むが、限定されない。本明細書に使用されるアラルキル基は、任意にラジカル基を形成するアルキル、アリール又は両基に結合したさらなる置換基を含んでいてもよい。
本明細書に使用される「複素環ラジカル」という用語は、少なくとも1つのヘテロ原子を含み、かつ不飽和か、部分的に飽和したか、若しくは完全に飽和したラジカル単環式又は多環式環系をいい、これによりヘテロアリール基を含む。また、複素環は、融合環の1つ以上が少なくとも1つのヘテロ原子を含み、かつその他の環が1つ以上のヘテロ原子を含むことができるか、又は任意にヘテロ原子を含むことができない融合環系を含むことが意味される。複素環基は、典型的には、硫黄、窒素又は酸素から選択される少なくとも1つの原子を含む。複素環基の例には、[1,3]ジオキソラン、ピロリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、オキサゾリジニル、イソキサゾリジニル、モルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニル、キノキサリニル、ピリダジノニル、テトラヒドロフリルなどを含む。本明細書に使用される複素環基は、任意にさらなる置換基を含んでいてもよい。
【0022】
本明細書に使用される「ヘテロアリール」及び「複素環芳香族化合物」という用語は、少なくとも1つの環が芳香族であり、かつ1つ以上のヘテロ原子を含む、単環芳香環若しくは多環の芳香環、環系又は融合環系を含むラジカルをいう。また、ヘテロアリールは、融合環の1つ以上がヘテロ原子を含まない系を含む融合環系を含むことが意味される。ヘテロアリール基は、典型的には硫黄、窒素又は酸素から選択される1つの環原子を含む。ヘテロアリール基の例には、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、チオフェニル、フラニル、キノリニル、イソキノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノキサリニルなどを含むが、限定されない。ヘテロアリールラジカルは、直接、又は脂肪族基若しくはヘテロ原子などの連結部分を介して、親分子に結合させることができる。本明細書に使用されるヘテロアリール基は、任意にさらなる置換基を含んでいてもよい。
本明細書に使用される「ヘテロアリールアルキル」という用語は、ヘテロアリールアルキル基を親分子に結合することができるアルキルラジカルを有する、先に定義したようなヘテロアリール基をいう。例には、ピリジニルメチル、ピリミジニルエチル、ナフチリジニルプロピルなどを含むが、限定されない。本明細書に使用されるヘテロアリールアルキル基は、任意にさらなる置換基を含んでいてもよい。
【0023】
本発明に使用される「単環構造又は多環構造」という用語は、融合され、若しくは連結された環を有する単環又は多環である全ての環系を含み、かつ脂肪族、脂環、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、アリールアルキル、複素環、ヘテロアリール、複素環芳香族、ヘテロアリールアルキルから個々に選択される単環及び混合環系を含むことが意味される。このような単環構造及び多環構造には、完全飽和、部分的飽和、完全不飽和を含む、一様又は様々な飽和度を有する環を含むことができる。それぞれの環は、C環原子のみを含む環に加えて、C、N、O及びSから選択される環原子を含み複素環を生じることができ、これは例えば、1つの環が炭素環原子のみを有し、かつ融合環が2つの窒素原子を有するベンズイミダゾールなどの混合モチーフに存在することができる。単環構造又は多環構造は、例えば、1つの環に結合される2つの=O基を有するフタルイミドなどの置換基でさらに置換することができる。別の態様において、単環構造又は多環構造は、環原子を介して直接に、置換基又は二官能性連結部分を介して、親分子に結合することができる。
本明細書に使用される「アシル」という用語は、有機酸からのヒドロキシル基の除去によって形成され、かつ一般式-C(O)-X(式中、Xは、典型的には脂肪族、脂環式又は芳香族である)を有するラジカルをいう。例には、脂肪族カルボニル、芳香族カルボニル、脂肪族スルホニル、芳香族スルフィニル、脂肪族スルフィニル、芳香族ホスフェート、脂肪族ホスフェートなどを含む。本明細書に使用されるアシル基は、任意にさらなる置換基を含んでいてもよい。「オキソ」という用語は、基(=O)をいう。
【0024】
本明細書に記述される化合物(例えば、5'-修飾された二環式ヌクレオシド)は、例えば下記の実施例で例証したように、任意の有機合成の適用できる技術によって製造することができる。多くのこのような技術が当該技術分野において周知である。しかし、公知の技術の多くは、以下に詳しく述べられている:有機合成法の概論(Compendium of Organic Synthetic Methods) (John Wiley & Sons, New York)、第1巻、Ian T. Harrison and Shuyen Harrison (1971); 第2巻、Ian T. Harrison and Shuyen Harrison (1974); 第3巻、Louis S. Hegedus and Leroy Wade (1977); 第4巻、Leroy G. Wade Jr., (1980); 第5巻、Leroy G. Wade Jr. (1984);及び第6巻、Michael B. Smith;並びにMarch, J.の文献、高等有機化学(Advanced Organic Chemistry)、第3の版、John Wiley & Sons, New York (1985);総合有機合成。現代有機化学における選択性、ストラテジー及び効率(Comprehensive Organic Synthesis. Selectivity, Strategy & Efficiency in Modern Organic Chemistry)、9巻のもの、Barry M. Trost, Editor-in-Chief, Pergamon Press, New York (1993);高等有機化学、パートB:反応及び合成(Advanced Organic Chemistry, Part B: Reactions and Synthesis)、第4版; Carey and Sundberg; Kluwer Academic/Plenum Publishers: New York (2001); 高等有機化学、反応、メカニズム及び構造(Advanced Organic Chemistry, Reactions, Mechanisms , and Structure)、第2版、March, McGraw Hill (1977);Greeneの有機合成における保護基(Greene's Protective Groups in Organic Synthesis)、第4版、Greene, T.W.,及びWutz, P.G.M., John Wiley & Sons, New York (2007);並びに総合有機変換(Comprehensive Organic Transformations)、第2版、Larock, R.C., John Wiley & Sons, New York (1999)。
【0025】
本発明の一つの態様において、オリゴマー化合物は、1つ以上の共役基の共有結合によって修飾される。一般に、共役基は、薬力学、薬物動態、結合、吸収、細胞分布、細胞摂取、電荷及びクリアランス含むが、限定されない結合したオリゴマー化合物の1つ以上の特性を修飾する。共役基は、化学技術分野において日常的に使用されており、オリゴマー化合物などの親化合物に、直接、又は任意の連結部分若しくは連結基を介して連結される。共役基の好ましいリストには、それらに限定されないが、インターカレータ、リポーター分子、イブプロフェンなどの薬剤群、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、チオエーテル、ポリエーテル、コレステロール、チオコレステロール、コール酸部分、フォレート(folate)、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フェナントリジン、アントラキノン、アダマンタン、アクリジン、フルオレセイン、ローダミン、クマリン及び色素が含まれる。
本明細書に使用される「保護基」という用語は、合成手順の間の望まれない反応に対して、ヒドロキシル、アミノ及びチオール基を含むが、限定されない反応基を保護することが当該技術分野において公知である不安定な化学物質部分をいう。保護基は、典型的には、その他の反応部位における反応の間に、保護部位に選択的及び/又は直交性に使用され、次いで除去して、さらなる反応のために、又は利用可能であるように保護されていない基を残すことができる。当技術分野において公知の保護基は、Greeneの有機合成における保護基(Greene's Protective Groups in Organic Synthesis)、第4版、Greene, T. W.,及びWutz, P. G. M., John Wiley & Sons, New York (2007)において一般に記述されている。
【0026】
基は、前駆体として本発明のオリゴマー化合物に選択的に組み込むことができる。例えば、アミノ基は、合成において所望の位置にてアミノ基に化学的に変換することができるアジド基として、本発明の化合物内に配置することができる。一般に、基は、適切な時期にこれらの最終的な基に変換するために、親分子のその他の領域を修飾する反応に対して不活性であろう前駆体として保護され、又は存在する。さらなる代表的な保護基又は前駆体基は、Agrawalらの文献、オリゴヌクレオチド抱合体のためのプロトコル(Protocols for Oligonucleotide Conjugates)、編集、Humana Press;New Jersey、1994;Vol. 26 pp. 1-72において論議されている。
ヒドロキシル保護基の例には、それらに限定されないが、t-ブチル、t-ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエチル、p-クロロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、2,6-ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p-ニトロベンジル、ビス(2-アセトキシエトキシ)メチル(ACE)、2-トリメチルシリルエチル、トリイソプロピルシリル、[(トリイソプロピルシリル)オキシメチル(TOM)、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル(DMT)、トリメトキシトリチル、1(2-フルオロフェニル)-4-メトキシピペリジン-4-イル(FPMP)、9-フェニルキサンチン-9-イル(Pixyl)及び9-(p-メトキシフェニル)キサンチン-9-イル(MOX)、トリフェニルメチル(トリチル)、4,4'-ジメトキシトリチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、ベンゾイルホルメート、アセテート、クロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、ピバロエート(pivaloate)、ベンゾエート、p-フェニルベンゾエート、9-フルオレニルメチルカーボネート、メシレート及びトシレートが含まれる。より好ましいヒドロキシル保護基には、ベンジル、2,6-ジクロロベンジル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチル-ジフェニルシリル、ベンゾイル、メシラート、トシラート、ジメトキシトリチル(DMT)、9-フェニルキサンチン-9-イル(Pixyl)及び9-(p-メトキシフェニル)キサンチン-9-イル(MOX)を含むが、限定されない。
【0027】
アミノ保護基の例には、以下を含むが、限定されない:2-トリメチルシリルエトキシカルボニル(Teoc)、1-メチル-1-(4-ビフェニルイル)-エトキシカルボニル(Bpoc)、t-ブトキシカルボニル(BOC)、アリルオキシカルボニル(Alloc)、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)などのカルバメート-保護基;ホルミル、アセチル、トリハロアセチル、ベンゾイル及びニトロフェニルアセチルなどのアミド-保護基;2-ニトロベンゼンスルホニルなどのスルホンアミド-保護基;並びにフタルイミド及びジチアスクシノイルなどのイミン-及び環状イミド-保護基。
チオール保護基の例には、トリフェニルメチル(トリチル)、ベンジル(Bn)などを含むが、限定されない。
いくつかの好ましい実施態様において、オリゴマー化合物は、任意に保護されたリン含有ヌクレオシド間結合でヌクレオシドを結合することによって製造される。リン酸ジエステル及びホスホロチオアート結合などのリン含有ヌクレオシド間結合のための代表的な保護基は、β-シアノエチル、ジフェニルシリルエチル、δ-シアノブテニル、シアノp-キシリル(CPX)、N-メチル-N-トリフルオロアセチルエチル(META)、アセトキシフェノキシエチル(APE)及びブテン-4-イル基を含む。例えば、米国特許番号4,725,677及びRe. 34,069(β-シアノエチル);Beaucage, S.L.及びIyer, R.P. の論文、Tetrahedron、49 No.10、pp. 1925-1963(1993);Beaucage, S.L.及びIyer, R.P.の論文、Tetrahedron、49 No.46、pp. 10441-10488(1993);Beaucage, S.L.及びIyer, R.P. の論文、Tetrahedron、48 No.12、pp. 2223-2311(1992)を参照されたい。
【0028】
本明細書に使用される、「直交性に保護された(orthogonally protected)」という用語は、異なる種類の保護基で保護された官能基をいい、保護基のそれぞれのクラスは、任意の順序で、及びその他の全てのクラスの存在下において除去することができる。(Barany, G., 及びMerrifield、R.B.の論文、J. Am., Chem. Soc., 1977、99、7363;同上、1980、102、3084を参照されたい)。直交性保護は、例えば自動化されたオリゴヌクレオチド合成において広く使用されている。官能基は、脱ブロッキング手順による影響を受けない1つ以上のその他の保護された官能基の存在下において脱ブロック化される。この脱ブロック化された官能基は、いくつかの様式で、及びいくつかの時点で反応して、更に直交性保護基は、異なる反応条件のセット下で除去される。これにより、所望の化合物又はオリゴマー化合物に到するために選択的な化学が可能になる。
本発明は、例えばリン酸ジエステル及びホスホロチオアートヌクレオシド間結合を含むヌクレオシド間結合を形成するために有用な反応性リン基を有する化合物を提供する。このような反応性リン基は、当該技術分野において公知であり、ホスホルアミダイト、H-ホスホナート、リン酸トリエステル、及びリン含有キラル補助剤を含むが、限定されないPIII又はPv価の電子状態のリン原子を含む。好ましい合成的固相合成は、反応性ホスファイトとしてホスホルアミダイト(PIII化学)を利用する。中間体ホスファイト化合物は、その後に公知の方法を使用してPv状態に酸化させて、好ましい実施態様において、リン酸ジエステル又はホスホロチオアートヌクレオチド間結合を得る。さらなる反応性ホスフェート及びホスファイトは、Tetrahedron Report Number 309(Beaucage及びIyer、Tetrahedron 1992、48、2223-2311)に開示されている。
【0029】
本発明に有用なオリゴマー化合物の具体例には、修飾された、例えば天然に存在しないヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを含む。ヌクレオシド間結合の2つの主なクラスは、リン原子の有無によって定義される。リン原子を有する修飾されたヌクレオシド間結合には、以下を含むが限定されない:ホスホロチオアート、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、リン酸トリエステル、アミノアルキルリン酸トリエステル、3'-アルキレンホスホナート、5'-アルキレンホスホナート及びキラルホスホナートを含むメチルホスホナート及びその他のアルキルホスホナート、ホスフィナート、3'-アミノホスホロアミダート及びアミノアルキルホスホロアミダートを含むホスホロアミダート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、通常の3'-5'結合を有するセレノホスフェート及びボラノホスフェート、これらの2'-5'結合類似体、並びに反転した極性を有するものであって、1つ以上のヌクレオチド間の結合が、3'から3'、5'から5'、又は2'から2'の結合であるものを含む。また、反転した極性を有するオリゴヌクレオチドは、最も3'のヌクレオチド間結合において単一の3'から3'の結合を含むことができる:すなわち無塩基(核酸塩基がなくなっているか、又はこれらの代わりにヒドロキシル基を有するもの)であり得る単一の反転したヌクレオシド残基を含み得る。また、種々の塩、混合塩及び遊離酸の形態が含まれる。
上記のリン含有結合の製造を教示する代表的な米国特許には、US:3,687,808;4,469,863;4,476,301;5,023,243;5,177,196;5,188,897;5,264,423;5,276,019;5,278,302;5,286,717;5,321,131;5,399,676;5,405,939;5,453,496;5,455,233;5,466,677;5,476,925;5,519,126;5,536,821;5,541,306;5,550,111;5,563,253;5,571,799;5,587,361;5,194,599;5,565,555;5,527,899;5,721,218;5,672,697及び5,625,050を含むが、限定されない。これらのいくつかは、本出願と共に係属しており、それぞれが本明細書に引用として組み込まれる。
【0030】
リン原子を有していない修飾されたヌクレオシド間結合には、短鎖アルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合されたヘテロ原子及びアルキル若しくはシクロアルキルヌクレオシド間結合、又は1つ以上の短鎖ヘテロ原子若しくは複素環ヌクレオシド間結合によって形成されるものを含むが、限定されない。これらには、シロキサンバックボーン;スルフィド、スルホキシド及びスルホンバックボーン;ギ酸アセチル及びチオギ酸アセチルバックボーン;メチレンギ酸アセチル及びチオギ酸アセチルバックボーン;リボアセチルバックボーン;アルケン含有バックボーン;スルファマートバックボーン;メチレンイミノ及びメチレンヒドラジノバックボーン;スルホナート及びスルホンアミドバックボーン;アミドバックボーン;及び混合したN、O、S及びCH2構成要素を有するその他;を有するものを含む。
上記のオリゴヌクレオシドの製造を教示する代表的な米国特許は、US:5,034,506;5,166,315;5,185,444;5,214,134;5,216,141;5,235,033;5,264,562;5,264,564;5,405,938;5,434,257;5,466,677;5,470,967;5,489,677;5,541,307;5,561,225;5,596,086;5,602,240;5,610,289;5,602,240;5,608,046;5,610,289;5,618,704;5,623,070;5,663,312;5,633,360;5,677,437;5,792,608;5,646,269及び5,677,439を含むが、限定されない。これらのいくつかは、本出願と共に係属しており、それぞれが本明細書に引用として組み込まれる。
【0031】
本明細書に記述した化合物は、1つ以上の不斉中心を含み、従って、エナンチオマー、ジアステレオマー及び絶対立体化学に関して、アミノ酸などについて、(R)-若しくは(S)-として、α若しくはβ、又は、(D)-若しくは(L)-などとして定義され得るその他の立体異性の形態を生じる。本発明は、全てのこのような可能な異性体、並びにこれらのラセミ形態及び光学的に純粋な形態を含むことが意味される。光学異性体は、これらのそれぞれの光学活性前駆体から、上記の手順によって又はラセミ混合物を分割することによって製造してもよい。分割は、分割剤の存在下において、クロマトグラフィーによって、又は結晶化の繰り返しによって、又は当業者に公知であるこれらの技術のいくつかの組み合わせによって、実施することができる。分割に関するさらなる詳細は、Jacquesらの文献、「エナンチオマー、ラセミ体及び分割(John Wiley & Sons, 1981)」に見いだすことができる。本明細書に記述された化合物がオレフィン二重結合、その他の不飽和、又は幾何学的非対称のその他の中心を含むときは、特に明記しない限り、該化合物には、E及びZ幾何異性体又はシス-及びトランス異性体を含むことが意図される。同様に、全ての互変異性型が含まれることも意図される。本明細書に出現する任意の炭素-炭素二重結合の配置は、便宜のためのみに選択されており、本文がそのように述べない限り、特定の配置を命名することは意図されない;従って、任意に本明細書にトランスとして示された炭素-炭素二重結合又は炭素-ヘテロ原子二重結合は、シス、トランス又は任意の比率の2つの混合物であってもよい。
【0032】
本発明の文脈において、「オリゴマー化合物」という用語は、少なくとも、核酸分子にハイブリダイズすることができる領域を有する重合体をいう。「オリゴマー化合物」という用語には、オリゴヌクレオチド、オリゴヌクレオチド類似体及び/又はオリゴヌクレオシド、並びにヌクレオチド擬態及び/又は核酸と非核酸成分とを含む混合重合体を含む。オリゴマー化合物は、直線的にルーチン的に製造されるが、環状になるように連結又はさもなければ製造することができ、また分枝を含んでいてもよい。オリゴマー化合物は、例えばハイブリダイズして二重鎖組成物を形成する2つの鎖などの二本鎖構築物を形成することができる。二本鎖組成物は、連結又は分離することができ、末端にオーバーハングを含むことができる。一般に、オリゴマー化合物には、連結された単量体サブユニットのバックボーンを含み、そこで、それぞれの連結された単量体サブユニットが複素環塩基部分に直接又は間接的に結合されている。また、オリゴマー化合物は、複素環塩基部分に連結されない単量体サブユニットを含み、それによって無塩基部位を提供してもよい。単量体サブユニット、糖部分又は代用物及び複素環塩基部分を連結する結合は、独立して修飾することができる。複素環塩基を含んでいても、又は含まなくてもよい結合-糖単位は、ペプチド核酸の単量体などの擬態で置換してもよい。オリゴマー化合物のそれぞれの位置の部分又は全ての単量体を修飾、又は置換する能力により、多数の可能なモチーフが生じる。
【0033】
当技術分野において公知のとおり、ヌクレオシドは、塩基-糖の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、複素環塩基部分である。このような複素環塩基の2つの最も一般的クラスは、プリン及びピリミジンである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合で連結されたリン酸基を更に含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むこれらのヌクレオシドに関しては、リン酸基を糖の2'、3'又は5'ヒドロキシル部分のいずれにも連結することができる。オリゴヌクレオチドを形成する際に、リン酸基は、互いに隣接するヌクレオシドに共有結合で連結して、直鎖状重合体化合物を形成する。この直鎖状高分子構造のそれぞれの末端は、ハイブリダイゼーションによって、又は共有結合の形成によって環状構造を形成するように連結することができるが、しかし、開いた直線状構造が一般には望まれる。オリゴヌクレオチド構造内において、リン酸基は、一般にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間結合を形成するものといわれている。RNA及びDNAの正常なヌクレオシド間結合は、5'に対する3'ホスホジエステル結合である。
【0034】
本発明の文脈において「オリゴヌクレオチド」という用語は、リボ核酸(RNA)又はデオキシリボ核酸(DNA)のオリゴマー又は重合体をいう。本用語は、天然に存在する核酸塩基、糖及び共有結合性ヌクレオシド間結合で構成されるオリゴヌクレオチドを含む。「オリゴヌクレオチド類似体」という用語は、1つ以上の天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドをいう。このような天然に存在しないオリゴヌクレオチドは、例えば細胞の摂取の増強、核酸標的に対する親和性の増強、ヌクレアーゼの存在下における安定性の増加などの望ましい特性のため、天然に存在する形態よりも望ましいことが多い。
本発明の文脈において「オリゴヌクレオシド」という用語は、リン原子を有さないヌクレオシド間結合によって連結された一連のヌクレオシドをいう。このタイプのヌクレオシド間結合には、短鎖アルキル、シクロアルキル、混合ヘテロ原子アルキル、混合ヘテロ原子シクロアルキル、1つ以上の短鎖ヘテロ原子及び1つ以上の短鎖複素環を含む。これらのヌクレオシド間結合には、シロキサン、スルフィド、スルホキシド、スルホン、アセチル、ギ酸アセチル、チオギ酸アセチル、メチレンギ酸アセチル、チオギ酸アセチル、アルケニル、スルファマート、メチレンイミノ、メチレンヒドラジノ、スルホナート、スルホンアミド、アミド、並びに混合されたN、0、S及びCH2構成要素を有するその他を含むが、限定されない。
上記のオリゴヌクレオシドの製造を教示する代表的な米国特許は、US:5,034,506;5,166,315;5,185,444;5,214,134;5,216,141;5,235,033;5,264,562;5,264,564;5,405,938;5,434,257;5,466,677;5,470,967;5,489,677;5,541,307;5,561,225;5,596,086;5,602,240;5,610,289;5,602,240;5,608,046;5,610,289;5,618,704;5,623,070;5,663,312;5,633,360;5,677,437;5,792,608;5,646,269及び5,677,439を含むが、限定されない。これらのいくつかは、本出願と共に係属しており、それぞれが本明細書に引用として組み込まれる。
【0035】
本明細書に使用される「核酸塩基」又は「複素環塩基部分」という用語は、「核酸塩基又はその擬態」と同義であることが意図される。一般に、核酸塩基は、核酸の塩基との水素結合が可能な1つ以上の原子又は原子団を含む、任意の下位構造である。用語複素環式塩基部分には、プリン、ピリミジン、複素環塩基、修飾塩基、修飾核酸塩基、並びに天然の及び天然に存在しない核酸塩基が含まれる。
本明細書に使用される「修飾されていない」又は「天然の」核酸塩基には、プリン塩基であるアデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)及びウラシル(U)を含む。修飾核酸塩基には、それらに限定されないが、他の合成の及び天然の核酸塩基、例えば5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン、ヒポキサンチン及び2-アミノアデニンが含まれる。また、修飾された核酸塩基には、プリン又はピリミジン塩基がその他の複素環で置換されたもの、例えば7-デアザ-アデニン、7-デアザグアノシン、2-アミノピリジン及び2-ピリドンを含んでいてもよい。さらなる核酸塩基は、米国特許第3,687,808号に開示されたもの、『重合体化学及び操作の簡易百科事典(The Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering)』、858-859ページ、Kroschwitz、J.I.編John Wiley & Sons, 1990に開示されたもの、Englischらの論文、『Angewandte Chemie』International Edition、1991、30、613に開示されたもの及びSanghvi、Y.S.らの文献、第15章、『アンチセンス研究及び適用(Antisense Research and Applications)』289-302ページ、Crooke、S.T.及びLebleu、B.編、CRC Press、1993に開示されたものを含む。
【0036】
修飾された核酸塩基には、本明細書で定義したような、普遍的塩基、疎水性塩基、乱交雑塩基、サイズ拡大塩基及びフッ化塩基を含むが、限定されない。これらの核酸塩基のいくつかは、特に本発明のオリゴマー化合物の結合親和性を増加させるために有用である。これらには、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシンを含む、5-置換されたピリミジン、6-アザピリミジン並びにN-2、N-6及びO-6置換されたプリンを含む。5-メチルシトシン置換は、核酸二重鎖安定性を0.6〜1.2℃増大させることが示されており(Sanghvi, Y.S., Crooke, S.T.及びLebleu, B.の文献、編、「アンチセンス研究及び適用(Antisense Research and Applications)」CRC Press、Boca Raton、1993、pp. 276-278)、目下のところ、特に2'-O-メトキシエチル糖修飾と組み合わせたときに、更に好適な塩基置換である。
上記の修飾された核酸塩基、並びにその他の修飾された核酸塩基のいくつかの製造を教示する代表的な米国特許は、US:3,687,808並びにUS:4,845,205;5,130,302;5,134,066;5,175,273;5,367,066;5,432,272;5,457,187;5,459,255;5,484,908;5,502,177;5,525,711;5,552,540;5,587,469;5,594,121;5,596,091;5,614,617;5,645,985;5,830,653;5,763,588;6,005,096;及び5,681,941(これらのいくつかは、本出願と共に係属しており、それぞれが本明細書に引用として組み込まれる)及び米国特許5,750,692号(これは、本出願と共に係属しており、また本明細書に引用として組み込まれる)を含むが、限定されない。
【0037】
少なくとも1つの5'修飾BNA修飾ヌクレオシドを有することに加えて、本発明のオリゴマー化合物は、修飾された糖部分を有する1つ以上のさらなるヌクレオシドも含むことができる。フラノシル糖環は、置換基による置換、架橋によるBNAの形成、及びS又はN(R)などのヘテロ原子による4'-Oの置換を含む、いくつかの方法で修飾することができる。そのような修飾された糖の調製を教示するいくつかの代表的な米国特許には、それらに限定されないが、米国特許第4,981,957号;5,118,800号;5,319,080号;5,359,044号;5,393,878号;5,446,137号;5,466,786号;5,514,785号;5,519,134号;5,567,811号;5,576,427号;5,591,722号;5,597,909号;5,610,300号;5,627,053号;5,639,873号;5,646,265号;5,658,873号;5,670,633号;5,792,747号;5,700,920号、6,600,032号及び2005年6月2日に出願され、2005年12月22日に国際公開2005/121371として公開された国際出願PCT/US2005/019219が含まれ、そのあるものは本出願と共有され、そのそれぞれは完全に本明細書で参照により組み込まれる。好ましい修飾された糖の代表的なリストには、それらに限定されないが、2'-F、2'-OCH2又は2'-O(CH2)2-OCH3置換基を有する置換された糖; 4'-チオ修飾糖及び二環式修飾糖が含まれる。
また、本発明のオリゴマー化合物は、修飾された糖部分を有する1つ以上のヌクレオシドを含んでいてもよい。フラノシル糖環は、置換基での置換、BNAを形成するための架橋、及びS又はN(R)などのヘテロ原子での4'-Oの置換を含む多数の方法で修飾することができる。このような修飾された糖の製造を教示するいくつかの代表的な米国特許は、US:4,981,957;5,118,800;5,319,080;5,359,044;5,393,878;5,446,137;5,466,786;5,514,785;5,519,134;5,567,811;5,576,427;5,591,722;5,597,909;5,610,300;5,627,053;5,639,873;5,646,265;5,658,873;5,670,633;5,792,747;5,700,920;6,600,032及び2005年6月2日出願され、かつ2005年12月22日にWO2005/121371として公開された国際出願PCT/US2005/019219を含むが、限定されない。これらのいくつかは、本出願と共に係属しており、それぞれが本明細書に引用として組み込まれる。好ましい修飾された糖の代表的な一覧には、2'-F、2'-OCH2又は2'-O(CH2)2-OCH3置換基を有する置換された糖;4'チオ修飾された糖及び二環の修飾された糖を含むが、限定されない。
【0038】
本明細書に使用される「ヌクレオシド擬態」という用語は、オリゴマー化合物の1つ以上の位置で、結合ではなく、糖、又は糖及び塩基を置換するために使用される構造、例えばモルホリノを有するヌクレオシド擬態又はビシクロ[3.1.0]ヘキシル糖擬態、例えばホスホジエステル結合を伴う非フラノース糖単位などを含むことが意図される。「糖代用物」という用語は、わずかにより広い用語「ヌクレオシド擬態」と重なるが、糖単位(フラノース環)のみの置換を示すことが意図される。「ヌクレオチド擬態」という用語は、オリゴマー化合物の1つ以上の位置で、ヌクレオシド及び結合を置換するために使用される構造、例えばペプチド核酸又はモルホリノ(-N(H)-C(=O)-O-又はその他の非リン酸ジエステル結合によって連結されたモルホリノ)を含むことが意図される。
本発明に従ったオリゴマー化合物は、長さが約8〜約80ヌクレオシド及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態を含むことができる。当業者であれば、本発明が、長さが8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79又は80ヌクレオシドのオリゴマー化合物及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態、又はその中の任意の範囲を具現化することを認識するであろう。
【0039】
別の実施態様において、本発明のオリゴマー化合物は、長さが8〜40ヌクレオシド及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態である。当業者であれば、本発明は、長さが、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40ヌクレオシドのオリゴマー化合物及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態、又はその中の任意の範囲を具現化することを認識するであろう。
別の実施態様において、本発明のオリゴマー化合物は、長さが8〜20ヌクレオシド及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態である。当業者であれば、本発明は、長さが、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20ヌクレオシドのオリゴマー化合物及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態、又はその中の任意の範囲を具現化することを認識するであろう。
別の実施態様において、本発明のオリゴマー化合物は、長さが10〜16ヌクレオシド及び/又は長さが修飾されたヌクレオシド若しくは擬態である。当業者であれば、本発明は、長さが、10、11、12、13、14、15又は16ヌクレオシドのオリゴマー化合物及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態、又はその中の任意の範囲を具現化することを認識するであろう。
別の実施態様において、本発明のオリゴマー化合物は、長さが10〜14ヌクレオシド及び/又は長さが修飾されたヌクレオシド若しくは擬態である。当業者であれば、本発明は、長さが、10、11、12、13又は14ヌクレオシドのオリゴマー化合物及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態、又はその中の任意の範囲を具現化することを認識するであろう。
【0040】
修飾されたヌクレオシド及び修飾されていないヌクレオシド並びにこれらの擬態のオリゴマー形成は、本発明の一つの態様において、適切なように、DNA(「オリゴヌクレオチド及び類似体のためのプロトコル(Protocols for Oligonucleotides and Analogs)」)、Agrawal編、(1993), Humana Press)合成及び/又はRNA(Scaringeの論文、Methods(2001), 23, 206-217;Gaitらの文献、RNA:タンパク質相互作用におけるキメラ合成されたRNAの適用(Applications of Chemically synthesized RNA in RNA:Protein Interactions), Smith編, (1998)1-36;Galloらの論文、Tetrahedron(2001), 57, 5707-5713)合成のための文献手順に従って行われる。固相合成のためのさらなる方法は、Caruthers、米国特許第4,415,732号;第4,458,066号;第4,500,707号;第4,668,777号;第4,973,679号;及び第5,132,418号;及びKoster、米国特許第4,725,677号及びRe.34,069において見いだされるであろう。
オリゴマー化合物及び関連化合物の支持媒体に基づいた合成のためのルーチンで使用される市販の設備は、例えばApplied Biosystems(Foster City, CA(カリフォルニア)州)を含むいくつかの売主によって販売されている。当該技術分野において公知のこのような合成のための任意のその他の手段を更に、又は代わりに使用してもよい。自動合成技術を含む適切な固相技術は、F. Eckstein(編)、オリゴヌクレオチド及び類似体、実践的アプローチ(Oligonucleotides and Analogues, a Practical Approach), Oxford University Press, New York (1991)に記述されている。
【0041】
DNA及び関連した類似体の合成と関連するRNA並びに関連した類似体の合成は、RNAi増大の試みにつれて増大してきた。現在商業的に使用される主要なRNA合成ストラテジーは、5'-O-DMT-2'-O-t-ブチルジメチルシリル(TBDMS)、5'-O-DMT-2'-O-[1(2-フルオロフェニル)-4-メトキシピペリジン-4-イル](FPMP)、2'-O-[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル(2'-O-CH2-O-Si(iPr)3(TOM)、及び5'-O-シリルエーテル-2'-ACE(5'-O-ビス(トリメチルシロキシ)シクロドデシルオキシシリルエーテル(DOD)-2'-O-ビス(2-アセトキシエトキシ)メチル(ACE)を含む。現在RNA製品を提供する大手企業のいくつかの現行リストには、Pierce Nucleic Acid Technologies、Dharmacon Research社、Ameri Biotechnologies社及びIntegrated DNA Technologies社を含む。1つの会社Princeton Separationsは、特にTOM及びTBDMS化学との結合時間を減少させることが宣伝されているRNA合成活性化因子を市販している。また、このような活性化因子も、本発明に適用できるであろう。
市販のRNA合成のために使用される主要なグループには、以下がある:
TBDMS = 5'-O-DMT-2'-O-t-ブチルジメチルシリル;
TOM = 2'-O-[(トリイソプロピルシリル)オキシ]メチル;
DOD/ACE = 5'-O-ビス(トリメチルシロキシ)シクロドデシルオキシシリルエーテル-2'-O-ビス(2-アセトキシエトキシ)メチル、
FPMP = 5'-O-DMT-2'-O-[1(2-フルオロフェニル)-4-メトキシピペリジン-4-イル]
である。
【0042】
上述したRNA合成ストラテジーの全てを本発明に適用できる。例えば1つのストラテジーからの5'保護基を別のストラテジーからの2'-O-保護と共に使用する、上記のハイブリッドであろうストラテジーも、本発明に適用できる。
本発明の文脈において、「ハイブリダイゼーション」は、オリゴマー化合物の相補鎖の対形成を意味する。本発明において、対形成の1つのメカニズムには、水素結合を含み、これは、オリゴマー化合物の鎖の相補ヌクレオシド又はヌクレオチド塩基(核酸塩基)間のワトソン-クリック、Hoogsteen又は逆Hoogsteen水素結合であってもよい。例えば、アデニン及びチミンは、水素結合の形成を介して対となる相補核酸塩基である。ハイブリダイゼーションは、異なる環境下で生じ得る。
オリゴマー化合物は、特異的結合が望まれる条件下、すなわちインビボアッセイ法又は治療的処置の場合における生理学的条件下、及びインビトロアッセイ法の場合にアッセイが行われる条件下で、標的核酸に対する化合物の結合が、標的核酸の正常機能を妨げる活性の喪失を生じさせ、かつ、非標的核酸配列に対するオリゴマー化合物の非特異的結合を回避するほどの十分な相補性の程度であるときに、特異的にハイブリダイズ可能である。
【0043】
本明細書に使用される「相補的」とは、位置する場所に関係なく、2つの核酸塩基の正確に対形成する能力をいう。例えば、オリゴマー化合物の特定の位置の核酸塩基が、標的核酸の特定の位置の核酸塩基と水素結合でき、標的核酸がDNA、RNA又はオリゴヌクレオチド分子である場合、オリゴヌクレオチドと標的核酸との間の水素結合の位置は、相補的位置であるとみなされる。オリゴマー化合物及びさらなるDNA、RNA又はオリゴヌクレオチド分子は、それぞれの分子において十分な数の相補的位置が、互いに水素結合することができる核酸塩基によって占められるときに、互いに相補的である。従って、「特異的にハイブリダイズ可能」及び「相補的」とは、安定かつ特異的な結合がオリゴヌクレオチドと標的核酸との間で生じるような、核酸塩基の十分な数にわたって十分な程度の正確な対形成又は相補性を示すために使用される用語である。
【0044】
オリゴマー化合物の配列は、特異的にハイブリダイズするその標的核酸配列に対して100%相補的である必要はないことが当該技術分野において理解される。更に、オリゴヌクレオチドは、介在又は隣接するセグメントがハイブリダイゼーションイベントに含まれないように、1つ以上のセグメントにわたってハイブリダイズしてもよい(例えば、ループ構造又はヘアピン構造)。本発明のオリゴマー化合物は、これらが標的とする標的核酸配列内の標的領域に対して少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%又は少なくとも約99%の配列相補性を含むことができる。例えば、オリゴマー化合物の20核酸塩基のうちの18個が標的領域に対して相補的であり、及び従って、特異的にハイブリダイズし、90パーセントの相補性を示すであろう。この例では、残りの非相補的な核酸塩基は、相補核酸塩基とクラスター形成しても、又は点在していてもよく、かつ、互いに、又は相補核酸塩基に隣接する必要はない。従って、標的核酸と完全に相補的な2つの領域に隣接する四(4)個の非相補的核酸塩基を有する18核酸塩基の長さのオリゴマー化合物は、標的核酸と77.8%の全体的相補性を有するであろうし、従って、本発明の範囲内に入るであろう。オリゴマー化合物の標的核酸の領域とのパーセント相補性は、当該技術分野において公知のBLASTプログラム(塩基局所整列検索ツール)及びPowerBLASTプログラムを使用して、ルーチンで決定することができる(Altschulらの論文、J. Mol. Biol., 1990、215、403-410;Zhang及びMaddenの論文、Genome Res., 1997、7、649-656)。
【0045】
標的核酸の少なくとも一部にハイブリダイズするアンチセンスオリゴマー化合物、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、外部ガイド配列(EGS)オリゴヌクレオチド、オルタネートスプライサー、プライマー、プローブ、及びその他のオリゴマー化合物などのオリゴマー化合物も、本発明に更に含まれる。従って、これらのオリゴマー化合物は、一本鎖、二本鎖、環状又はヘアピンオリゴマー化合物の形態で導入してもよく、内部若しくは末端隆起又はループなどの構造エレメントを含んでいてもよい。一旦系に導入されれば、本発明のオリゴマー化合物は、1つ以上の酵素又は構造タンパク質の作用を誘発して、標的核酸の修飾を行うであろう。
本発明の一態様では、核酸標的にハイブリダイズして、エンドヌクレアーゼ酵素の動員によってその標的を分解する一本鎖オリゴマーが提供される。このような酵素の1つの非限定の例には、RNA:DNA二重らせんのRNA鎖を切断する細胞エンドヌクレアーゼであるRNAse Hがある。「DNA様」である一本鎖オリゴマー化合物は、RNAse Hを誘発することが当該技術分野において公知である。従って、RNAse Hの活性化により、RNA標的の切断を生じ、これによりオリゴヌクレオチドを媒介した遺伝子発現の阻害の効率を非常に増強する。同様の役割は、RNase III及び酵素のリボヌクレアーゼLファミリーにおけるものなど、その他のリボヌクレアーゼについても想定されてきた。
【0046】
オリゴマー化合物の一形態は、一本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチドであるが、多くの種において、二重鎖RNA(dsRNA)分子などの二本鎖構造の導入により、遺伝子又はその関連遺伝子産物の機能の強力かつ特異的なアンチセンス媒介型の減少を誘導することが示されている。この現象は、植物及び動物の両方で生じ、ウイルスの防御及びトランスポゾンサイレンシングと進化的関連を有すると考えられている。
一部の実施態様において、「適切な標的セグメント」を、選択されたタンパク質の発現を調整するさらなるオリゴマー化合物の選別に使用してもよい。「モジュレーター」は、タンパク質をコードする核酸分子の発現を減少又は増加させ、かつ適切な標的セグメントに対して相補的である少なくとも8個の核酸塩基部分を含むオリゴマー化合物である。スクリーニング法には、タンパク質をコードする核酸分子の適切な標的セグメントを1つ以上の候補モジュレーターと接触させる工程、及び、タンパク質をコードする核酸分子の発現を減少又は増大する1つ以上の候補モジュレーターを選択する工程を含む。一旦候補モジュレーター又はモジュレーターがペプチドをコードする核酸分子の発現を調整する(例えば、減少又は増加する)ことができることが示されたら、該モジュレーターを更にペプチドの機能の調査研究に、又は本発明に従った研究試薬、診断薬若しくは治療薬としての使用のために使用してもよい。
【0047】
また、本発明の適切な標的セグメントは、本発明のそれらのそれぞれの相補的アンチセンスオリゴマー化合物と組み合わせて、安定化された二本鎖(二重)オリゴヌクレオチドを形成してもよい。このような二本鎖オリゴヌクレオチド部分は、当該技術分野において、標的発現を調整し、並びに翻訳及びアンチセンスメカニズムを介したRNAプロセシングを調節することが示されている。更に、二本鎖部分は、化学修飾に供してもよい(Fireらの論文、Nature、1998、391、806-811;Timmons及びFireの論文、Nature 1998、395、854;Timmonsらの論文、Gene、2001、263、103-112;Tabaraらの論文、Science、1998、282、430-431;Montgomeryらの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、1998、95、15502-15507の;Tuschlらの論文、Genes Dev., 1999、13、3191-3197;Elbashirらの論文、Nature、2001、411、494-498;Elbashirらの論文、Genes Dev. 2001、15、188-200)。例えば、このような二本鎖部分は、標的に対する二重鎖のアンチセンス鎖の古典的なハイブリダイゼーションによって標的を阻害し、これにより標的の酵素的分解をトリガーすることが示されている(Tijstermanらの論文、Science、2002、295、694-697)。
【0048】
また、本発明のオリゴマー化合物は、創薬及び標的バリデーションの領域に適用することもできる。本発明は、タンパク質と疾病状態、表現型又は状態との間に存在する関係を解明する創薬努力において、本明細書において同定されたオリゴマー化合物及び標的の使用を包含する。これらの方法には、標的ペプチドを検出又は調整することを含み、試料、組織、細胞又は生物体を本発明のオリゴマー化合物と接触させること、処理後のいくつかの時点にて標的の核酸若しくはタンパク質レベル及び/又は関連した表現型若しくは化学物質指標を測定すること、並びに任意に計測値を無処理の試料又は本発明のさらなるオリゴマー化合物で処理した試料と比較することを含む。標的ペプチドを検出又は調整することを含む。また、これらの方法を、その他の実験と平行して又は組み合わせて実施し、標的バリデーションの過程の未知の遺伝子の機能を決定する、又は特定の疾患、状態又は表現型の治療又は予防のための標的としての特定の遺伝子産物の妥当性を決定することができる。
RNAi活性に対するヌクレオシド修飾の効果は、既存の文献に従って評価される(Elbashirらの論文、Nature(2001)411、494-498;Nishikuraらの論文、Cell(2001)107、415-416;及びBassらの論文、Cell(2000)101、235-238)。
【0049】
本発明のオリゴマー化合物は、診断、治療、予防のために、並びに研究試薬及びキットとして利用することができる。更にまた、卓抜した特異性で遺伝子発現を阻害することができるアンチセンスオリゴヌクレオチドは、特定の遺伝子の機能を解明するために、又は生物学的経路の種々のメンバーの機能間を区別するために、当業者によって使用されることが多い。本発明のオリゴマー化合物を単独で、又はその他のオリゴマー化合物若しくは治療薬と組み合わせて、細胞及び組織内に発現された部分的又は完全に相補的な遺伝子の発現パターンを解明するための差動的及び/又は組み合わせ解析におけるツールとして使用することができる。オリゴマー化合物は、遺伝子の増幅又は検出を有利にする条件下で、それぞれプライマー及びプローブとして効果的に用いることもできる。これらのプライマー及びプローブは、タンパク質をコードする核酸分子の特異的な検出を必要とする方法に、及びさらなる研究での検出又は使用のための核酸分子の増幅に有用である。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、特にプライマー及びプローブの核酸とのハイブリダイゼーションは、当該技術分野において公知の手段によって検出することができる。このような手段には、オリゴヌクレオチドに対する酵素の抱合、オリゴヌクレオチドの放射標識、又は任意のその他の適切な検出手段を含み得る。また、試料中の選択されたタンパク質のレベルを検出するためのこのような検出手段を使用するキットを製造してもよい。
1つの非限定的例として、1つ以上のオリゴマー化合物で処理した細胞又は組織内の発現パターンをオリゴマー化合物で処理されていない対照細胞又は組織と比較して、生じるパターンを、これらが関連する、例えば調べた遺伝子の疾患関連、シグナリング経路、細胞局在、発現レベル、サイズ、構造又は機能としての遺伝子発現の差動的レベルについて解析する。これらの解析は、刺激され、又は刺激されていない細胞で、並びにその他の化合物及び/又は発現パターンに影響を及ぼすオリゴマー化合物の有無において行うことができる。
【0050】
当該技術分野において公知の遺伝子発現解析の方法の例には、以下を含む:DNAアレイ又はマイクロアレイ(Brazma及びViloの論文、FEBS Lett., 2000、480、17-24;Celis、らの論文、FEBS Lett., 2000、480、2-16)、SAGE(遺伝子発現の経時的解析)(Madden、らの論文、Drug Discov. Today、2000、5,415-425)、READS(消化されたcDNAの制限酵素増幅)(Prashar及びWeissmanの論文、Methods Enzymol.、1999、303、258-72)、TOGA(総遺伝子発現解析)(Sutcliffeらの論文、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2000、97、1976-81)、タンパク質アレイ及びプロテオミクス(Celisらの論文、FEBS Lett.、2000、480、2-16;Jungblutらの論文、Electrophoresis、1999、20、2100-10)、発現配列タグ(EST)シーケンシング(Celisらの論文、FEBS Lett.、2000、480、2-16;Larssonらの論文、J. Biotechnol.、2000、80、143-57)、サブトラクティブRNAフィンガープリント法(SuRF)(Fuchsらの論文、Anal. Biochem.、2000、286、91-98;Larsonらの論文、Cytometry、2000、41、203-208)、サブトラクティブクローニング、ディファレンシャルディスプレイ(DD)(Jurecic及びBelmontの論文、Curr. Opin. Microbiol.、2000、3、316-21)、比較ゲノムハイブリダイゼーション(Carulliらの論文、J. Cell Biochem. Suppl.、1998、31,286-96)、FISH(蛍光インサイチューハイブリダイゼーション)技術(Going及びGustersonの論文、Eur. J. Cancer、1999、35、1895-904)及び質量分析法(Toの論文、Comb. Chem. High Throughput Screen、2000、3、235-41)。
本発明は、その実施態様のいくつかに従って具体的に記述したが、以下の実施例は、本発明を例証するためのみに役立ち、本発明を限定することは意図されない。
【実施例】
【0051】
(実施例1)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(ウラシル-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(19a)の調製
【化8】

【0052】
A)化合物4の調製
tert-ブチルジメチルシリルクロライド(6.24g、40.7mmol)のジクロロメタン(10mL)溶液を、化合物2(12g、38.8mmol、Moffattらの論文J. Org. Chem. 1979, 44, 1301の手順に従って調製した)、トリエチルアミン(11.44mL、81.5mmol)及び4-ジメチルアミノエチルピリジン(0.47g、3.9mmol)のCH2Cl2(184ml)冷却(0℃)溶液に、滴下漏斗を介して、10分にわたって添加した。添加完了後、反応物を段階的に室温に暖め、更に16時間撹拌した。反応物をCH2Cl2で希釈し、5%のHCl水溶液、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、10%のEtOAc/ヘキサン〜20%のEtOAc/ヘキサン〜30%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、白色固体として化合物3(11.53g、59%)及び化合物4(3.93g、22%)を得た。
B)化合物5の調製
ジメチルスルホキシド(1.84mL、26.0mmol)を、塩化オキサリル(1.14mL、13.0mmol)のCH2Cl2(70mL)冷却(-78℃)溶液に添加した。溶液を30分間-78℃で撹拌し、化合物4(3.93g、9.3mmol)のCH2Cl2(20mL)溶液を、カヌーレを介して添加した。撹拌を45分間続け、トリエチルアミン(5.48mL、39.0mmol)を反応物に添加した。反応物を更に40分間撹拌し、その後CH2Cl2に注ぎ、有機層を5%のHCl水溶液、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、化合物5を提供し、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0053】
C)化合物6a及び化合物6bの調製
塩化セリウムIII(4.57g、18.6mmol)のTHF(55mL)懸濁液を、室温にて90分間撹拌した。反応物を氷浴中で冷却し、メチル臭化マグネシウム(THF中1M溶液13.3mL)を5分にわたって添加し、撹拌を更に90分間続けた。粗化合物5(上記のものから)のTHF(15mL)溶液を、反応物に添加した。更に90分間撹拌した後、反応物を飽和NH4Cl溶液でクエンチし、EtOAcに注いだ。有機層を5%のHCl水溶液、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、連続してCHCl3;3%のアセトン/CHCl3;最終的に5%のアセトン/CHCl3で溶出する)により精製して、化合物6a(2.25g、化合物4から55%)及び化合物6b(1.84g、化合物4から45%)を得た。
6a 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.44-7.29 (m, 5H), 5.68 (d, 1H, J = 3.8), 4.76 (d, 1H, J = 12.0), 4.62 (d, 1H, J = 12.0), 4.58 (m, 1H), 4.44 (d, 1H, J = 10.3), 4.08 (d, 1H, J = 5.3), 3.95 (m, 1H), 3.81 (d, 1H, J = 10.3), 2.84 (d, 1H, J = 7.5), 1.60 (s, 3H), 1.30 (s, 3H), 1.20 (d, 3H, J = 6.4), 0.88 (s, 9H), 0.08 (s, 3H), 0.05 (s, 3H).
6b 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.39-2.29 (m, 5H), 5.73 (d, 1H, J = 3.9), 4.76 (d, 1H, J = 11.7), 4.58 (m, 1H, 部分重複), 4.56 (d, 1H, J = 11.7), 4.16 (d, 1H, J = 5.2), 4.14-4.04 (m, 3H), 2.43 (d, 1H, J = 3.8), 1.62 (s, 3H),1.32 (s, 3H), 1.17 (d, 3H, J = 6.52), 0.88 (s, 9H), 0.08 (s, 3H), 0.05 (s, 3H).
【0054】
D)化合物7aの調製
塩化イソブチリル(0.67mL、6.3mmol)を、化合物6a(2.29g、5.3mmol)、トリエチルアミン(1.06mL、7.6mmol)及び4-ジメチル-アミノピリジン(77mg、0.6mmol)のCH2Cl2(6mL)冷却(0℃)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機層を5%のHCl水溶液、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、化合物7aを提供し、これを精製することなく次の工程に使用した。
E)化合物8aの調製
70%のHF/ピリジン(1.25mL)を、ポリプロピレンチューブ中で粗化合物7aのTHF溶液(25mL)に添加した。室温にて16時間撹拌した後、トリエチルアミン(1.25mL)を反応物に添加した。10分後、反応物をEtOAcに注ぎ、水、鹹水で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。更にトリエチルアミン(1.25mL)をEtOAc溶液に添加し、反応物を真空下で濃縮して、化合物8aを提供し、これを更には精製することなく次の工程に使用した。
F)化合物9aの調製
メタンスルホニルクロライド(0.46mL、5.8mmol)を、粗化合物8a、トリエチルアミン(1.1mL、7.8mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(60mg、0.5mmol)のCH2Cl2(21mL)冷却(0℃)溶液に添加した。室温にて1時間撹拌した後、反応物をCHCl3に注ぎ、有機層を5%のHCl水溶液、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、化合物9aを得、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0055】
G)化合物10aの調製
濃H2SO4(1滴)を、粗化合物9aの氷酢酸(9mL)及び無水酢酸(1.3mL)溶液に添加した。室温にて1時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機層を水、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、40%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、無色油として化合物10a(2.71g、化合物6aから99%)を得た。
H)化合物11aの調製
N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(3.9mL、15.7mmol)を、化合物10a(2.7g、5.2mmol)及びウラシル(0.73g、6.5mmol)のMeCN(16mL)懸濁液に添加した。40℃にて15分間加熱して透明溶液を得た後、トリメチルシリルトリフラート(1.23mL、6.8mmol)を反応物に添加した。2時間還流した後、反応物を室温に冷却し、EtOAcに注いだ。有機層を飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、化合物11aを得、これを精製することなく次の工程に使用した。
I)化合物12aの調製
NaOHの溶液(2M、11mL)を粗化合物11aの1,4-ジオキサン:H2O(1:1、12mL)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を5%のHCl水溶液で(pH〜7)中和し、25%のピリジン/EtOAc混合物で抽出した。有機層を50%の鹹水、鹹水で更に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、5%のMeOH/CHCl3)により精製して、白色固体として化合物12a(1.56g、化合物10aから83%)を得た。1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 8.48 (s, br, 1H), 7.71 (d, 1H, J = 8.2), 7.40-7.29 (m, 5H), 5.71 (d, 1H, J = 8.3), 5.67 (s, 1H), 4.67 (d, 2H, J = 11.5), 4.54 (d, 1H, J = 11.5), 4.48 (s, 1H), 4.19 (m, 1H), 4.03 (s, 1H, J = 7.8), 3.91 (s, 1H), 3.76 (d, 1H, J = 7.8), 1.32 (d, 3H, J = 6.6).
【0056】
J)化合物13aの調製
イソ酪酸無水物(0.86mL、5.2mmol)を化合物12a(1.56g、4.3mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(10mg)のピリジン(8.6mL)冷却溶液(0℃)に添加した。反応物を16時間撹拌し、その間段階的に室温に暖めた。反応物をEtOAcに注ぎ、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、50%のEtOAc/ヘキサン)により精製して、白色固体として化合物13a(1.68g、90%)を得た。
K)化合物14aの調製
MeOH(20mL)を、Pd/C(10重量/重量%、190mg)と化合物13a(1.68g、3.9mmol)との混合物に注意深く添加した。上記混合物をH2バルーンを用いて16時間水素化した。セライトを通して濾過することにより触媒を除去し、濃縮して、化合物13aと14aとの粗製混合物を提供した。化合物13aが反応混合物中に検出(TLC)されなくなるまで、上記手順を繰り返した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、7%のMeOH/CHCl3)により精製して、白色固体として化合物14a(1.35g、92%)を得た。
L)化合物15aの調製
tert-ブチルジメチルシリルクロライド(1.95g、13.0mmol)を、化合物14a(1.35g、4mmol)及びイミダゾール(1.76g、25.9mmol)のDMF(8mL)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、鹹水で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(5%のMeOH/CHCl3)により精製して、白色固体として化合物15a(1.63g、90%)を得た。
【0057】
M)化合物16aの調製
K2CO3(0.99g、7.1mmol)を化合物16aのMeOH溶液(20mL)に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(SiO2、10%のMeOH/CHCl3)により精製して、白色固体として化合物16a(1.15g、75%)を得た。
N)化合物17aの調製
4,4'-ジメトキシトリチルクロライド(DMTCl)(2.53g、7.5mmol)を、化合物16a(1.15g、3.0mmol)及び2,6-ルチジン(0.87mL、7.5mmol)のピリジン(20mL)溶液に添加した。反応物を45℃にて24時間加熱し、その後更にDMTCl(0.43g、1.3mmol)及び2,6-ルチジン(0.15mL、1.27mmol)を添加した。45℃にて更に24時間加熱した後、反応物をEtOAcに注ぎ、鹹水で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、25%のEtOAc/ヘキサン〜50%のEtOAc/ヘキサン)により精製して、黄色がかった泡として化合物17a(2.0g、97%)を得た。17a 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 8.75 (s, br, 1H), 8.09 (d, 1H, J = 8.2), 7.49-7.19 (m, 9H), 6.82 (m, 4H), 5.68 (s, 1H), 5.66 (d, 1H, J = 8.2, 部分重複), 4.33 (s, 1H), 4.24 (s, 1H), 3.86 (d, 1H, J = 7.6), 3.80 (s, 6H), 3.72 (m, 2H), 0.96 (d, 3H, J = 6.5), 0.77 (s, 9H), 0.03 (s, 3H), -0.10 (s, 3H).
【0058】
N)化合物18aの調製
トリエチルアミントリヒドロフルオライド(1.29mL、8.0mmol)を、ポリプロピレンチューブ中で化合物17a(1.09g、1.6mmol)及びトリエチルアミン(0.45mL、3.2mmol)のTHF(8mL)溶液に添加した。室温にて48時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機相をH2O、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、25%のアセトン/CHCl3〜40%のアセトン/CHCl3で溶出する)により精製して、白色泡として化合物18a(0.79g、86%)を得た。
O)(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(ウラシル-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物19aの調製
2-シアノエチルN,N'-テトライソプロピルホスホロアミダイト(0.43mL、2.0mmol)を、化合物18a(0.78g、1.4mmol)、テトラゾール(76.0mg、1.1mmol)、N-メチル-イミダゾール(28μL、0.3mmol)のDMF(7mL)溶液に添加した。室温にて8時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機層を90%の鹹水、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、60%のEtOAc/ヘキサン〜75%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、白色固体として化合物19a(0.91g、87%)を得た。19a 31P NMR(300MHz、CDCl3)δ:149.1,148.5。
【0059】
(実施例2)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(R)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(ウラシル-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物19bの調製(スキーム1)
A)化合物7bの調製
塩化イソブチリル(0.55mL、5.2mmol)を、化合物6b(1.90g、4.4mmol)、トリエチルアミン(0.88mL、6.3mmol)及び4-ジメチル-アミノピリジン(53mg、0.4mmol)のCH2Cl2(5mL)冷却(0℃)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機層を5%のHCl水溶液、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、化合物7bを得、これを精製することなく次の工程に使用した。
B)化合物8bの調製
70%のHF/ピリジン(2.0mL)を、ポリプロピレンチューブ中で粗化合物7bのTHF溶液(30mL)に添加した。室温にて16時間撹拌した後、トリエチルアミン(2.0mL)を反応物に添加した。10分後、反応物をEtOAcに注ぎ、水、鹹水で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過した。更にトリエチルアミン(2.0mL)をEtOAc溶液に添加し、反応物を真空下で濃縮して、化合物8bを提供し、これを更には精製することなく次の工程に使用した。
【0060】
C)化合物9bの調製
メタンスルホニルクロライド(0.40mL、5.2mmol)を、粗化合物8b、トリエチルアミン(0.88mL、6.3mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(53mg、0.4mmol)のCH2Cl2(16mL)冷却(0℃)溶液に添加した。室温にて1時間撹拌した後、反応物をCHCl3に注ぎ、有機層を5%のHCl水溶液、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、化合物9bを得、これを精製することなく次の工程に使用した。
D)化合物10bの調製
濃H2SO4(1滴)を、粗化合物9bの氷酢酸(9mL)及び無水酢酸(1.3mL)溶液に添加した。室温にて1時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機層を水、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、40%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、無色油として化合物10b(2.0g、6bから90%)を得た。
E)化合物11bの調製
N,O-ビス(トリメチルシリル)アセトアミド(2.73mL、11.0mmol)を、化合物10b(2.0g、3.9mmol)及びウラシル(0.52g、4.6mmol)のCH3CN(11mL)懸濁液に添加した。40℃にて15分間加熱して透明溶液を得た後、トリメチルシリルトリフラート(0.87mL、4.8mmol)を反応物に添加した。2時間還流した後、反応物を室温に冷却し、EtOAcに注いだ。有機層を飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、粗化合物11bを得、これを精製することなく次の工程に使用した。
【0061】
F)化合物12bの調製
NaOHの溶液(2M、8.0mL)を、粗化合物11bの1,4-ジオキサン:H2O(1:1、8mL)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を5%のHCl水溶液で(pH〜7)中和し、25%のピリジン/EtOAc混合物で抽出した。有機層を50%の鹹水、鹹水で更に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、5%のMeOH/CHCl3)により精製して、白色固体として化合物12b(1.30g、化合物10bから98%)を提供した。12b 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 8.90 (s, br, 1H), 7.52 (d, 1H, J = 8.2), 7.43-7.29 (m, 5H), 5.72 (d, 1H, J = 8.2), 5.64 (s, 1H), 4.68 (d, 1H, J = 11.5), 4.59 (s, 1H), 4.51 (d, 1H, J = 11.5), 4.31 (m, 1H, 部分重複), 4.24 (d, 1H, J = 8.1), 3.96 (d, 1H, J = 8.1), 3.79 (s, 1H), 2.25 (d, 1H, J = 5.2), 1.34 (d, 3H, J = 6.6).
G)化合物13bの調製
イソ酪酸無水物(0.60mL、3.6mmol)を、化合物12b(1.08g、3.0mmol)及び4-ジメチルアミノピリジン(5mg)のピリジン(6mL)冷却溶液(0℃)に添加した。反応物を16時間撹拌し、その間段階的に室温に暖めた。反応物をEtOAcに注ぎ、鹹水で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、化合物13bを得、これを更には精製することなく次の工程に使用した。
【0062】
H)化合物14bの調製
MeOH(20mL)を、Pd/C(10重量/重量%、170mg)と化合物13bとの混合物に注意深く添加した。上記混合物をH2バルーンを用いて16時間水素化した。セライトを通して濾過することにより触媒を除去し、濃縮して、化合物13bと14bとの粗製混合物を提供した。化合物13bが反応混合物中に検出(TLC)されなくなるまで、上記手順を繰り返した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、7%のMeOH/CHCl3)により精製して、白色固体として化合物14b(0.84g、化合物12bから83%)を得た。
I)化合物15bの調製
tert-ブチルジメチルシリルクロライド(1.49g、9.9mmol)を、化合物14b(0.84g、2.5mmol)及びイミダゾール(1.35g、19.9mmol)のDMF(5mL)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、鹹水で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(5%のMeOH/CHCl3)により精製して、白色固体として化合物15b(0.92g、81%)を得た。
J)化合物16bの調製
K2CO3(0.70g、5.1mmol)を化合物15bのMeOH溶液(10mL)に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を濃縮し、90%の鹹水と25%のピリジン/EtOAcとの間で分配した。有機相を集め、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮して、粗化合物16bを得、これを更には精製することなく次の工程に使用した。
【0063】
K)化合物17bの調製
4,4'-ジメトキシトリチルクロライド(DMTCl)(1.87g、5.5mmol)を、化合物16b(0.71g、1.8mmol)及び2,6-ルチジン(0.64mL、5.5mmol)のピリジン(20mL)溶液に添加した。45℃にて48時間加熱した後、反応物をEtOAcに注ぎ、鹹水で抽出し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、25%のEtOAc/ヘキサン〜50%のEtOAc/ヘキサン)により精製して、黄色がかった泡として化合物17b(1.29g、化合物15bから93%)を得た。17b 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 8.70 (s, br, 1H), 7.61 (d, 1H, J = 8.2), 7.49-7.16 (m, 9H), 6.82 (d, 4H, J = 8.9), 5.63 (s, 1H), 5.56 (d, 1H, J = 8.2), 4.25 (s, 1H), 3.97 (d, 1H, J = 8.1), 3.85 (s, 1H), 3.79 (s, 6H), 3.70 (d, 1H, J = 8.1), 3.58 (m, 1H), 1.12 (d, 3H, J = 6.6), 0.79 (s, 9H), 0.01 (s, 3H), -0.01 (3H)
L)化合物18bの調製
トリエチルアミントリヒドロフルオライド(1.06mL、6.5mmol)を、ポリプロピレンチューブ中で化合物17b(0.89g、1.3mmol)及びトリエチルアミン(0.46mL、3.3mmol)のTHF(6.5mL)溶液に添加した。室温にて48時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機相をH2O、飽和NaHCO3、鹹水で連続して洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、30%のアセトン/CHCl3〜45%のアセトン/CHCl3で溶出する)により精製して、白色泡として化合物18b(0.73g、98%)を得た。
M)(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(R)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(ウラシル-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物19bの調製
2-シアノエチルN,N'-テトライソプロピルホスホロアミダイト(0.60mL、1.9mmol)を、化合物18b(0.73g、1.3mmol)、テトラゾール(71mg、1.0mmol)、N-メチルイミダゾール(26μL、0.3mmol)のDMF(6mL)溶液に添加した。室温にて8時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機相を90%の鹹水、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、10%のアセトン/CHCl3〜15%のアセトン/CHCl3で溶出する)により精製して、白色固体として化合物19b(0.89g、91%)を得た。19b 31P NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 149.4, 148.6.
【0064】
(実施例3)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(4-N-ベンゾイル-シトシン-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物24aの調製
【化9】

【0065】
A)化合物20aの調製
オキシ塩化リン(0.98mL、10.5mmol)を、1,2,4-トリアゾール(3.10g、44.9mmol)のCH3CN(17mL)冷却(0℃)懸濁液に滴下添加した。10分間撹拌した後、トリエチルアミン(7.4mL、51.8mmol)を反応物に添加し、撹拌を30分間続けた。化合物17a(0.91g、1.3mmol)のCH3CN(8mL)溶液を反応物に添加し、室温にて4時間撹拌を続けた。反応物をEtOAcに注ぎ、有機層をH2O、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、粗化合物20aを得、これを更には精製することなく次の工程に使用した。
B)化合物21aの調製
アンモニア水溶液(4mL)を、化合物20aの1,4-ジオキサン溶液(20mL)に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、5%のMeOH/CHCl3で溶出する)により精製して、白色固体として化合物21a(0.80g、化合物17aから89%)を得た。
C)化合物22aの調製
安息香酸無水物(0.41g、1.8mmol)を、化合物21a(0.80g、1.2mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を高真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、50%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、化合物22a(0.81g、88%)を得た。
【0066】
D)化合物23aの調製
トリエチルアミントリヒドロフルオライド(1.00mL、6.1mmol)を、化合物22a(0.81g、1.1mmol)及びトリエチルアミン(0.35mL、2.5mmol)のTHF(7mL)溶液に添加した。室温にて48時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機層をH2O、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、90%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、化合物23a(0.68g、99%)を得た。
E)(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(4-N-ベンゾイル-シトシン-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物24aの調製
2-シアノエチルN,N'-テトライソプロピルホスホロアミダイト(0.48mL、1.5mmol)を、化合物23a(0.68g、1.0mmol)、テトラゾール(56mg、0.81mmol)、N-メチルイミダゾール(20μL、0.3mmol)のDMF(5mL)溶液に添加した。室温にて8時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機相を90%の鹹水、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、60%のEtOAc/ヘキサン〜90%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、白色固体として化合物24a(0.73g、84%)を得た。24a 31P NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 149.4, 148.6.
【0067】
(実施例4)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(R)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(4-N-ベンゾイル-シトシン-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ-[2.2.1]ヘプタン、化合物24bの調製(スキーム2)
A)化合物20bの調製
オキシ塩化リン(1.3mL、14.0mmol)を、1,2,4-トリアゾール(4.10g、59.5mmol)のCH3CN(30mL)冷却(0℃)懸濁液に滴下添加した。10分間撹拌した後、トリエチルアミン(9.80mL、70.0mmol)を反応物に添加し、撹拌を30分間続けた。化合物17b(1.20g、1.8mmol)のCH3CN(10mL)溶液を反応物に添加し、室温にて4時間撹拌を続けた。反応物をEtOAcに注ぎ、有機層をH2O、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、粗化合物20bを得、これを更には精製することなく次の工程に使用した。
B)化合物21bの調製
アンモニア水溶液(5mL)を、トリアゾライド20b(上記のものから)の1,4-ジオキサン(25mL)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を濃縮して化合物21bを提供し、これを高真空下で24時間乾燥させ、更には精製することなく次の工程に使用した。
【0068】
C)化合物22bの調製
安息香酸無水物(0.59g、2.6mmol)を、化合物21b(0.80g、1.2mmol)のN,N-ジメチルホルムアミド(3mL)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を高真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、50%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、化合物22b(1.36g、化合物17bから87%)を得た。
D)化合物23bの調製
トリエチルアミントリヒドロフルオライド(1.66mL、10.2mmol)を、化合物23b(1.35g、1.7mmol)及びトリエチルアミン(0.57mL、4.1mmol)のTHF(12mL)溶液に添加した。室温にて48時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機層をH2O、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、クロロホルム中20%から40%のアセトンで溶出する)により精製して、化合物23b(1.03g、90%)を得た。
E)(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)-ホスフィノキシ]-1-[1-(R)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(4-N-ベンゾイル-シトシン-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物24bの調製
2-シアノエチルN,N'-テトライソプロピルホスホロアミダイト(0.73mL、2.3mmol)を、化合物23b(1.03g、1.53mmol)、テトラゾール(85mg、1.2mmol)、N-メチルイミダゾール(31μL、0.38mmol)のDMF(7.7mL)溶液に添加した。室温にて8時間撹拌した後、反応物をEtOAcに注ぎ、有機相を90%の鹹水、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、60%から90%のEtOAc/ヘキサンで溶出する)により精製して、白色固体として化合物24b(1.22g、91%)を得た。24b 31P NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 149.5, 148.8.
【0069】
(実施例5)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(6-N-ベンゾイルアデニン-9-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物33aの調製
【化10】

還流状態のジクロロメタン中の6-N-Bz-アデニン、BSA及びTMSOTfを用いて、化合物10aのVorbruggen反応により、化合物25aを調製する。引き続き25aをジオキサン/水中で水酸化ナトリウムと反応させ、続いて4-アミノ基を塩化ベンゾイルで再度保護化して、ヌクレオシド化合物26aを提供する。化合物11aからの化合物19aにて例証した工程と同様の工程に従い、ヌクレオシド化合物26aからホスホロアミダイトである化合物33aを調製する。
【0070】
(実施例6)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(R)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(6-N-ベンゾイルアデニン-9-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物33bの調製(スキーム3)
還流状態のジクロロメタン中の6-N-Bz-アデニン、BSA及びTMSOTfを用いて、化合物10bのVorbruggen反応により、化合物25bを調製する。引き続き25bをジオキサン/水中で水酸化ナトリウムと反応させ、続いて4-アミノ基を塩化ベンゾイルで再度保護化して、ヌクレオシド化合物26bを提供する。化合物11bからの化合物19bにて例証した工程と同様の工程に従い、ヌクレオシド化合物26bからホスホロアミダイトである化合物33bを調製する。
【0071】
(実施例7)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(2-N-イソブチリルグアニン-9-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物42aの調製
【化11】

還流状態のジクロロメタン中の2-アミノ-6-クロロプリン、BSA及びTMSOTfを用いて、化合物10aのVorbruggen反応により、化合物34aを調製する。ヌクレオシド34aを3-ヒドロキシプロピオニトリル及び水酸化ナトリウムと反応させて、環化したヌクレオシド35aを提供する。化合物11aからの化合物19aにて例証した工程と同様の工程に従い、ヌクレオシド化合物35aからホスホロアミダイトである化合物42aを調製する。
【0072】
(実施例8)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(R)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-エチル]-3-(2-N-イソブチリルグアニン-9-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、化合物42bの調製(スキーム4)
還流状態のジクロロメタン中の2-アミノ-6-クロロプリン、BSA及びTMSOTfを用いて、化合物10bのVorbruggen反応により、化合物34bを調製する。ヌクレオシド34bを3-ヒドロキシプロピオニトリル及び水酸化ナトリウムと反応させて、環化したヌクレオシド35bを提供する。化合物11bからの化合物19bにて例証した工程と同様の工程に従い、ヌクレオシド化合物35bからホスホロアミダイトである化合物42bを調製する。
【0073】
(実施例9)
化合物48の調製
【化12】

A)化合物44の調製
市販されている1,2;5,6-ジ-O-イソプロピリデン-α-D-アロフラノースである化合物43(135g、519.0mmol)及び2-(ブロモメチル)-ナフタレン(126g、570.0mmol)を、3つ口フラスコ(500mL)中でDMF(500mL)に溶解し、反応物を氷浴中で冷却した。水素化ナトリウム(60重量/重量%、29g、727.0mmol)を反応物に注意深く添加し(10分毎に6gずつ)、添加完了後更に60分間撹拌を続けた。この時点でTLC分析は出発物である糖43はもはや示さなかった。反応物を粉砕氷(約500g)に注意深く注ぎ、得られたスラリー液を全ての氷が溶けるまで激しく撹拌した。得られた灰白色固体を濾取し、水に懸濁させた。懸濁液を30分間機械撹拌機を用いて激しく撹拌し、その後固体を濾取し、ヘキサンに懸濁させた。懸濁液を30分間激しく撹拌し、その後固体を濾取し、4〜6時間空気乾燥させ、次いでP2O5上16時間高真空下で乾燥させて、灰白色固体として化合物44(206.0g、99%)を提供した。1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.85 (m, 4H), 7.48 (m, 3H), 5.74 (s, 1H), 4.92 (d, 1H, J = 11.7), 4.75 (d, 1H, J = 11.6), 4.58 (m, 1H), 4.36 (m, 1H), 4.15 (m, 1H), 4.03-3.86 (m, 3H), 1.61 (s, 3H), 1.36 (s, 9H).
【0074】
B)化合物45の調製
化合物44(200.0g、0.5mol)を、酢酸(2.2L)及び水(740mL)の溶液に少しずつ添加した。反応物を室温にて16時間撹拌し、その後TLC分析(30%のEtOAc/ヘキサン)は44が完全に消費されていることを示した。次いでほとんどの酢酸を除去するまで反応物を減圧下に濃縮した。残った溶液を、EtOAc(1L)と水(1L)との撹拌混合物に注いだ。次いで固体のKOHを、水層が強塩基(pH>12)になるまで上記混合物に添加した。次いで有機層を分離し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濾過し、減圧下で濃縮して、黄色泡として化合物45を提供し、これを更には如何なる精製もすることなく使用した。
C)化合物46の調製
NaIO4(107.0g)の水(3L)溶液を、化合物45(上記のものからの粗製物)のジオキサン(1.5L)撹拌(機械撹拌機)溶液に40分にわたって添加した。60分後、反応混合物をEtOAc(1.5L)に注ぎ、有機層を分離し、水(1L)、鹹水(1L)で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、黄色油として化合物46を提供し、これを更には如何なる精製もすることなく使用した。
D)化合物47の調製
化合物46(上記のものからの粗製物)を、THF(500)と水(500mL)との混合物に溶解し、反応物を氷浴中で冷却した。2NのNaOH(600mL)及びホルムアルデヒド(37%水溶液250mL)を反応物に添加し、室温にて3日間撹拌を続けた。次いで反応物をEtOAc(1L)に注ぎ、水(1L)、鹹水(1L)で洗浄し、およそ200mLのEtOAcが残るまで減圧下で蒸発させた(白色沈殿物が工程中に生成した)。ヘキサン(300mL)を沈殿物に添加し、混合物を16時間置き、その後白色固体を濾取し、ヘキサンで洗浄し、P2O5上高真空下で乾燥させて、白色固体として化合物47を提供した(124g、44から66%)。1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.85 (m, 4H), 7.48 (m, 3H), 5.75 (d, 1H, J = 3.9), 4.96 (d, 1H. J = 11.8), 4.75 (d, 1H, J = 11.8), 4.66 (m, 1H), 4.26 (d, 1H, J = 5.2), 3.95 (m, 2H), 3.79 (m, 1H), 3.63 (m, 1H), 2.39 (m, 1H, OH), 1.66 (s, 3H), 1.34 (s, 3H).
【0075】
E)化合物48及び49の調製
tert-ブチルジフェニルクロロシラン(305.0mmol、84.0mL)を、化合物47(278.0mmol、100.0g)及びトリエチルアミン(305mmol、43.0mL)のジクロロメタン(600mL)冷却(0℃)撹拌溶液に添加した。添加完了後、反応物を室温に暖め、16時間撹拌を続けた。MeOH(50mL)を(過剰のTBDPSClをクエンチするため)反応物に添加し、室温にて更に2時間撹拌を続けた。次いで反応物をクロロホルムで希釈し、有機層を10%のHCl、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、濃厚油を提供した。ヘキサン(150mL)を油に加え、溶液になるまで混合物を超音波処理した。溶液に少量の6(カラムクロマトグラフィーにより予め単離した)を加えて種結晶とした。16時間静置後、更にヘキサンを濃厚スラリー液に添加し、固体を濾取した。次いで固体をヘキサンに再度懸濁し、30分間激しく撹拌した。固体を濾取し、高真空下で16時間乾燥させた後、6(80.5、48%g)を提供した。濾液を合わせ、減圧下で濃縮した。得られた油を最少量のヘキサンに再度溶解し、シリカゲル(ヘキサン中20%のEtOAcで溶出する)のプラグを通した。生成物6を含むフラクションを合わせ、濃縮し、上記した通りに結晶化して、白色固体として第2の収穫物として6(20g、12%)を提供した。ヘキサン中50%のEtOAcを用いシリカゲルプラグで更に溶出させて、濃厚油として純粋な化合物48(40.0g、24%)を提供した。更に48と49との混合物(約15g、9%)も濃厚油として単離した。ジオール 48; 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.83 (m, 4H), 7.56 (m, 7H), 7.30 (m, 6H), 5.80 (s, 1H), 4.97 (d, 1H, J = 11.4), 4.70 (m, 2H), 4.46 (m, 1H), 3.92-3.66 (m, 4H), 2.39 (m, 1H, OH), 1.67 (s, 3H), 1.37 (s, 3H), 0.92 (s, 9H). ジオール 7; 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.9-7.3 (m, 17H), 5.71 (d, 1H, J = 3.9), 4.86 (d, 1H, J = 12.2), 4.74 (d, 1H, J = 12.2), 4.56 (m, 1H), 4.22 (d, 1H, J = 11.1), 4.18 (m, 1H), 4.07 (d, 1H, J = 11.1), 4.02 (dd, 1H, J = 4.2, 12.0), 3.64 (dd, 1H, J = 9.4, 11.9), 1.89 (m, 1H), 1.25 (s, 6H), 1.05 (s, 9H).
F)化合物49からの化合物47の回収
フッ化テトラブチルアンモニウム(THF中1M溶液70mL)を、ジオール49(62.7mmol、37.5g)のTHF(250mL)冷却(0℃)撹拌溶液に添加し、その後反応物を段階的に室温に温めた。更に72時間撹拌した後、反応物を真空下で濃縮し、残渣を粉砕氷に注いだ。フラスコを更にTHF(3回)で濯ぎ、上記懸濁液に添加した。上澄み液をデカンテーションにより除去し、底部の固体をヘキサン(200mL)と水(200mL)との撹拌混合物に添加した。2時間撹拌した後、綿状の固体を濾取し、更に水及びヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥させて、白色固体として化合物47(20g、89%)を提供した。
【0076】
(実施例10)
化合物60の調製
【化13】

A)化合物51の調製
塩化ピバロイル(25mmol、3.0mL)を、化合物48(16.7mmol、10.0g)、ジイソプロピルエチルアミン(25.0mmol、4.4mL)及びジメチルアミノメチルピリジン(2.5mmol、0.30g)のジクロロメタン(35mL)冷却(0℃)溶液に滴下添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物をクロロホルムで希釈し、有機層を5%のHCl、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、粗化合物51を提供し、これを更には如何なる精製もすることなく使用した。
【0077】
B)化合物52の調製
70%のHF/ピリジン(4.2mL)を、粗製物51(上記のものから)の冷却(0℃)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、更に70%のHF/ピリジン(2.5mL)を反応物に添加した。室温にて更に2日間撹拌した後、トリエチルアミン(7.5mL)を反応物に注意深く添加した。1時間撹拌した後、反応物をpH>10になるまで飽和NaHCO3で注意深くクエンチした。反応物をEtOAcで希釈し、有機層を鹹水で更に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中25から40%のEtOAcで溶出する)により精製して、油として化合物52(7.01g、化合物48から95%)を提供した。
C)化合物53の調製
DMSO(3.30mL、46.7mmol)を、塩化オキサリル(23.3mmol、2.0mL)のジクロロメタン(120mL)冷却(-78℃)溶液に添加した。30分間撹拌した後、ジクロロメタン(30mL)中の化合物52(15.6mmol、6.91g)を、カヌーレを介して反応物に添加した。-78℃にて45分間撹拌した後、トリエチルアミン(70.0mmol、9.60mL)を添加し、反応物を0℃に温めた。この時点でのTLC分析は出発物である化合物52が無いことを示したので、反応物をクロロホルムで希釈し、有機層を10%のHCl、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、化合物53を提供し、これを更には如何なる精製もすることなく使用した。
D)化合物54及び55の調製
ビニル臭化マグネシウム(THF中1M、31.1mL)を、化合物53のTHF冷却(-78℃)溶液(120mL)にゆっくり添加した。-78℃にて2時間撹拌した後、反応物を飽和NH4Clでクエンチし、該反応物をEtOAcで希釈した。有機層を10%のHCl、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、化合物54及び化合物55を混合物として提供し、これを更には如何なる精製もすることなく使用した。
【0078】
E)化合物56及び57の調製
NaOH溶液(4M、12.5mL)を、化合物54及び化合物55のジオキサン/メタノール(30mL/10mL)溶液に添加した。室温にて4時間撹拌した後、溶媒を減圧下に蒸発させ、残渣をEtOAcに溶解した。有機層を水、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中33から40%のEtOAcで溶出する)により精製して、油として化合物57(2.42g、53から40%)を提供した。溶出液の極性を増加させて(ヘキサン中60%のEtOAc)、化合物56(0.82g、化合物53から14%)を提供した。57 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.94-7.73 (m, 4H), 7.60-7.46 (m, 3H), 6.04-5.85 (m, 1H), 5.69 (d, 1H, J = 3.6), 5.36 (d, 1H, J = 17.3), 5.24 (d, 1H, J = 10.6), 4.97 (d, 1H, J = 11.7), 4.74 (d, 1H, J = 11.7), 4.59 (m, 1H), 4.33 (m, 2H), 4.19 (d, 1H, J = 11.9), 3.85 (d, 1H, J = 11.9), 1.65 (s, 3H), 1.34 (s, 3H).
F)化合物58の調製
塩化トシル(9.3mmol、1.77g)を、化合物57(2.43g、6.29mmol)のピリジン(12.6mL)冷却(0℃)溶液に添加した。0℃にて8時間撹拌した後、反応物を水でクエンチし、EtOAcで希釈した。有機層を5%のHCl、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中15から25%のEtOAcで溶出する)により精製して、白色固体として化合物58(2.58g、76%)を提供した。未反応の57(0.0.39g、16%)も単離した。
【0079】
G)化合物59の調製
塩化イソブチリル(6.9mmol、0.73mL)を、化合物58(4.6mmol、2.48g)、ジイソプロピルエチルアミン(6.9mmol、0.88mL)及びジメチルアミノメチルピリジン(0.68g、83mg)のジクロロメタン(9mL)冷却(0℃)溶液に添加した。0℃にて2時間後、更に塩化イソブチリル(6.9mmol、0.73mL)及びジイソプロピルエチルアミン(6.9mmol、0.88mL)を反応物に添加した。0℃にて更に2時間後、更に塩化イソブチリル(6.9mmol、0.73mL)及びジイソプロピルエチルアミン(6.9mmol、0.88mL)を反応物に添加し、反応物を0℃にて16時間撹拌した。水を反応物に注意深く添加して、如何なる未反応の酸塩化物をもクエンチし、室温にて1時間撹拌を続けた。次いで反応物をクロロホルムで希釈し、有機層を5%のHCl、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中25%のEtOAcで溶出する)により精製して、油として化合物59(2.2g、83%)を提供した。精製後、未反応の58(0.31g、13%)も単離した。
H)化合物60の調製
濃硫酸(3〜4滴)を、化合物59(3.6mmol、2.20g)の酢酸(11mL)及び無水酢酸(3mL)溶液に添加した。室温にて2時間撹拌した後、溶媒をロータリーエバポレーター上(加熱せずに)高真空下で除去し、残渣をEtOAcに溶解した。有機層を飽和NaHCO3、鹹水で注意深く洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、化合物60を提供し、これをP2O5上高真空下で乾燥させ、更には如何なる精製もすることなく使用した。60LCMS:M+23計算値677.2、実測値677.1;LC保持時間2.05分。
【0080】
(実施例11)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-(3-プロペニル)]-3-(ウラシル-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(69)の調製
【化14】

【0081】
A)化合物61の調製
N,O-ビス-トリメチルシリルアミド(18.0mmol、4.4mL)を、化合物60(3.6mmol、上記のものからの粗製物)及びウラシル(7.2mmol、0.81g)のアセトニトリル(18mL)懸濁液に添加し、溶液になるまで(ヒートガンを用いて)該懸濁液を穏やかに加熱した。反応物を氷浴中で冷却し、TMSOTf(7.2mmol、1.3mL)を該反応物に添加した。添加完了後、氷浴を除去し、反応物を2時間還流し、その後室温に冷却し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3溶液で注意深くクエンチした。有機層を鹹水で更に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、粗化合物61を提供し、これを更には如何なる精製もすることなく使用した。
B)化合物62の調製
NaOHの溶液(2M、7.2mL)を、粗化合物61(上記のものから)のジオキサン(10mL)冷却(0℃)溶液に添加した。0℃にて2時間後、更にNaOH(2M、10mL)を反応物に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物を5%のHClで酸性化(pH4〜5)し、EtOAcで希釈し、有機層を水、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。白色沈殿物が生成し、これをエーテルで注意深く洗浄し、高真空下で乾燥させて、ヌクレオシド化合物62(0.97g、64%)を提供した。エーテル洗浄し、カラムクロマトグラフィー(SiO2、クロロホルム中25%のアセトンで溶出する)により精製して、更に部分的に純粋な化合物62(0.10g、7%)を提供した。
【0082】
C)化合物63の調製
安息香酸無水物(2.8mmol、0.64g)を、化合物62(2.0mmol、0.85g)のピリジン(4mL)溶液に添加した。室温にて6時間撹拌した後、反応物を水でクエンチし、EtOAcで希釈した。有機層を飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中50%のEtOAcで溶出する)により精製して、白色固体として化合物63(1.069g、定量的)を提供した。
D)化合物64の調製
DDQ(3.8mmol、0.86g)を、化合物64(1.9mmol、1.0g)のジクロロメタン(19mL)及び水(1mL)溶液に添加した。室温にて24時間撹拌した後、反応物を減圧下で濃縮した。残渣をEtOAcに溶解し、有機層を水、10%亜硫酸水素ナトリウム、飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中75%のEtOAcで溶出する)により精製して、化合物64(0.74g、定量的)を提供した。
E)化合物65の調製
TBSCl(5.8mmol、0.87g)を、化合物64(1.9mmol、0.75g)及びイミダゾール(11.6mmol、0.79g)のDMF(5mL)溶液に添加した。室温にて16時間撹拌した後、反応物をEtOAcで希釈し、有機層を水、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中50%のEtOAc)により精製して、白色泡として化合物65(0.89g、94%)を提供した。
【0083】
F)化合物66の調製
化合物65(1.6mmol、0.8mmol)をアンモニアのメタノール溶液(7M、25mL)に溶解した。密閉容器中45℃にて4日間加熱した後、溶媒を減圧下で除去した。クロマトグラフィー(SiO2、クロロホルム中2から4%のメタノール)により精製して、白色固体として化合物66(0.65g、定量的)を提供した。66 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 8.57 (s, br, 1H), 7.84 (d, 1H, J = 8.2), 6.10-5.96 (m, 1H), 5.74 (d, 1H, J = 8.2), 5.64 (s, 1H), 5.41-5.44 (m, 2H), 4.35 (m, 1H), 4.26 (s, 1H), 4.13 (s, 1H), 3.95 (d, 1H, J = 7.8), 3.66 (d, 1H, J = 7.8), 2.04 (d, 1H, J = 4.3), 0.90 (s, 9H), 0.11 (s, 3H), 0.10 (s, 3H).
G)化合物67の調製
化合物66(0.25mmol、0.1g)、DMTCl(0.63mmol、0.21g)及び2,6-ルチジン(0.63mmol、73μL)のピリジン(1.25mL)溶液を45℃にて10日間加熱した。反応物を室温に冷却し、EtOAcで希釈した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中15から45%のEtOAcで溶出する)により精製して、白色固体として化合物67(0.16g、93%)を提供した。67 1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 8.92 (s, br, 1H), 8.26 (d, 1H, J = 8.2), 7.53-7.24 (m, 9H), 6.97-6.78 (m, 4H), 6.08-5.88 (m, 1H), 5.73 (s, 1H), 5.68 (d, 1H, J = 8.2), 4.83 (s, 1H, J = 11.0), 4.58 (d, 1H, J = 17.3), 4.37 (s, 1H), 4.04 (d, 1H, J = 9.5), 3.84 (s, 6H, 3.78, m, 1H, 部分重複), 3.55 (d, 1H, J = 7.9), 0.83 (s, 9H), 0.11 (s, 3H), 0.00 (s, 3H).
H)化合物68の調製
トリエチルアミントリヒドロフルオライド(1.3mmol、0.21mL)を、化合物67(0.22mmol、0.15g)及びトリエチルアミン(0.54mmol、75μL)のTHF(2mL)溶液に添加した。室温にて2日間撹拌した後、反応物をEtOAcで希釈し、有機層を飽和NaHCO3、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。LCMS:M+23計算値607.2、実測値607.2;LC保持時間3.51分。
I)化合物69の調製
実施例1において化合物18aからホスホロアミダイト19aを調製する際に記載した手順に従い、化合物68からホスホロアミダイト化合物69を調製する。
【0084】
(実施例12)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-(3-プロペニル)]-3-(4-N-ベンゾイル-シトシン-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(73)の調製
【化15】

実施例3において化合物17aからホスホロアミダイト24aを調製する際に記載した同様の一般的手順を用いて、化合物67からホスホロアミダイト73を調製する。
【0085】
(実施例13)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)-ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-(3-プロペニル)]-3-(4-N-ベンゾイル-シトシン-1-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(73)の調製のための代替経路
【化16】

実施例11において化合物60からホスホロアミダイト化合物69を調製する際に記載した同様の一般的手順を用いて、化合物73を調製する。還流状態のアセトニトリル中で化合物60をN-ベンゾイル-シトシン、BSA及びTMSOTfとVorbrugen反応させて、ヌクレオシド化合物74を提供する。74をNaOH水溶液と処理すると、化合物75への環化に効果がある。ピリジン中5'-ヒドロキシル基及び環外のアミンをBzClで保護して、化合物76を提供する。化合物76をホスホロアミダイト化合物71に更に変換するのは、化合物63からホスホロアミダイト化合物69を調製する際に記載した手順と同様である。
【0086】
(実施例14)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-(3-プロペニル)]-3-(6-N-ベンゾイルアデニン-9-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(88)の調製
【化17】

実施例11において化合物60からホスホロアミダイト化合物69を調製する際に記載した同様の一般的手順を用いて、化合物88を調製する。還流状態のジクロロメタン中で化合物60をN-ベンゾイル-アデニン、BSA及びTMSOTfとVorbrugen反応させて、ヌクレオシド化合物80を提供する。80をNaOH水溶液と処理すると、化合物81への環化に効果がある。ピリジン中5'-ヒドロキシル基及び環外のアミンをBzClで保護して、化合物82を提供する。化合物82をホスホロアミダイト化合物88に更に変換するのは、化合物63からホスホロアミダイト化合物69を調製する際に記載した手順と同様である。
【0087】
(実施例15)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-(3-プロペニル)]-3-(2-N-イソブチリルグアニン-9-イル)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(97)の調製
【化18】

実施例11において化合物60からホスホロアミダイト化合物69を調製する際に記載した同様の一般的手順を用いて、化合物97を調製する。還流状態のジクロロメタン中で化合物60を2-アミノ-6-クロロプリン、BSA及びTMSOTfとVorbrugen反応させて、ヌクレオシド化合物89を提供する。化合物89を3-ヒドロキシプロピオニトリル及び水素化ナトリウムと処理すると、化合物90への環化に効果がある。5'ヒドロキシル基をトリメチルシリルエーテルとして一時的に保護し、続いて環外のアミノ基を塩化イソブチリルで保護する。水性処理条件中トリメチルシリルエーテルは脱保護し、続いて5'ヒドロキシル基をベンゾエートエステル(塩化ベンゾイル、ピリジン)として保護して、化合物91を提供する。化合物91をホスホロアミダイト化合物97に更に変換するのは、化合物63からホスホロアミダイト化合物69を調製する際に記載した手順と同様である。
【0088】
(実施例16)
(1R,3R,4R,7S)-7-[2-シアノエトキシ(ジイソプロピルアミノ)ホスフィノキシ]-1-[1-(S)-(4,4'-ジメトキシトリチル)オキシ-(3-プロペニル)]-3-(選択された塩基、随意選択的に保護されている)-2,5-ジオキサ-ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(110〜113)の調製
【化19】

【0089】
A)化合物98の調製
活性炭担持パラジウム(5mg)及び化合物66(0.25mmol、0.10g)のMeOH(2mL)混合物を水素バルーンを用いて水素化した。1時間後、セライトを通して反応物を濾過し、濾床をEtOAcで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させて98を提供し、これを高真空下で更に乾燥させ、何ら精製することなく使用した。
B)化合物102の調製
化合物98(0.25mmol、0.1g)、DMTCl(0.63mmol、0.21g)及び2,6-ルチジン(0.63mmol、73μL)のピリジン(1.25mL)溶液を45℃にて7日間加熱した。反応物を室温に冷却し、EtOAcで希釈した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、減圧下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中15から45%のEtOAcで溶出する)により精製して、白色固体として化合物102(0.10g、58%)を提供した。102 (1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 9.1 (s, br, 1H), 8.26 (d, 1H, J = 8.2), 7.42-7.20 (m, 9H), 6.84-6.78 (m, 4H), 5.69 (s, 1H), 5.66 (d, 1H, 重複), 4.33 (s, 1H), 4.32 (s, 1H), 3.85 (d, 1H, J = 7.5), 3.8 (s, 6H), 3.75 (d, 1H, J = 7.5), 3.42 (d, 1H, J = 8.2), 1.65 (m, 1H), 1.47 (m, 1H), 0.79 (s, 9H), 0.25 (t, 3H, J = 7.5), 0.02 (s, 3H), -0.18 (s, 3H).
C)化合物110の調製
実施例1において化合物17aからホスホロアミダイト化合物19aを調製する際に記載した同様の一般的手順を用いて、化合物102からホスホロアミダイト化合物110を調製する。ヌクレオシド化合物79、85及び94からホスホロアミダイト化合物111〜113を調製する。触媒である炭素担持パラジウム及び水素を用いて二重結合を水素化して、それぞれ化合物98〜101を提供する。5'ヒドロキシル基をジメトキシトリチルエーテルとして保護化し、続いてシリル保護基を除去し、ホスフィチル化反応をさせて(実施例1に記載した通り)、ホスホロアミダイト化合物110〜113を提供する。
【0090】
(実施例17)
化合物116a、116b、116c及び116dの調製
【化20】

【0091】
A)化合物114aの調製
水素化ナトリウム(60%、1.0mmol、40mg)を、化合物66(0.25mmol、0.10g)及びベンジルオキシメチルクロライド(BomCl、0.75mmol、0.1mL)のDMF(1mL)冷却(0℃)溶液に添加した。1時間後、反応物を水でクエンチし、EtOAcで希釈した。次いで有機層を水、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中30%のEtOAc)により残渣を精製して、白色固体として化合物114a(0.15g、93%)を提供した。
B)化合物115aの調製
四酸化オスミウム溶液(イソプロパノール中2.5%、0.12mL)を、化合物114a(0.17g、0.11g)、過ヨウ素酸ナトリウム(0.70mmol、0.15g)及び2-6-ルチジン(0.12mL)のジオキサン(2mL)と水(0.5mL)との混合物に添加した。室温にて36時間撹拌した後、反応物をEtoACで希釈し、水、10%チオ硫酸ナトリウム、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮して、粗化合物115aを提供し、これを更には如何なる精製もすることなく使用した。
【0092】
C)化合物116aの調製
水素化ホウ素ナトリウム(25mg)を、粗化合物115a(上記のものから)のMeOH(1mL)溶液に添加した。室温にて1時間撹拌した後、反応物をEtOAcで希釈し、有機層を10%のHCl、飽和炭酸水素ナトリウム、鹹水で洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中50%のEtOAcで溶出する)により残渣を精製して、油として化合物116a(73mg、115aから65%)を提供した。116a (1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.69 (d, 1H, J = 8.2), 7.49-7.24 (m, 10H), 5.77 (d, 1H, J = 8.2), 5.61 (s, 1H), 5.47 (m, 2H), 4.98 (d, 1H, J = 6.9), 4.84 (d, 1H, J = 6.9), 4.80 (d, 1H, J = 11.8), 4.69 (s, 2H), 4.66 (d, 1H, J = 11.8), 4.29 (s, 1H), 4.03 (s, 1H), 3.96-3.79 (m, 3H), 3.67 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 0.87 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), 0.04 (s, 3H).
D)化合物116b〜dの調製
化合物79、85及び94とベンジルオキシメチルクロライド及び水素化ナトリウムとを反応させて、ヌクレオシド化合物114b〜dをそれぞれ提供する。四酸化オスミウムで二重結合を開裂して、アルデヒド化合物115b〜dを提供する。水素化ホウ素ナトリウムを用いてアルデヒド官能基を更に還元して、化合物116b〜dをそれぞれ提供する。
【0093】
(実施例18)
ヌクレオシド117a〜dから128a〜dの調製
【化21】

【0094】
A)化合物127a(R=Me)の調製
水素化ナトリウム(60%、0.23mmol、9mg)を、化合物116a(0.11mmol、73mg)、ヨードメタン(0.57mmol、40μL)のDMF(0.25mL)冷却(0℃)溶液に添加した。0℃にて1時間撹拌した後、反応物を水でクエンチし、EtoACで希釈した。有機層を鹹水で更に洗浄し、乾燥させ(Na2SO4)、濃縮した。クロマトグラフィー(SiO2、ヘキサン中20から40%のEtOAcで溶出する)により精製して、油として化合物127a(27mg、37%)を提供した。127a (1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.79 (d, 1H, J = 8.2), 7.45-7.28 (m, 10H), 5.74 (d, 1H, J = 8.2), 5.62 (s, 1H), 5.48 (m, 2H), 4.90 (m, 2H), 4.74 (d, 1H, J = 11.9), 4.69 (s, 1H), 4.60 (s, 1H, J = 11.9), 4.29 (s, 1H), 4.04 (s, 1H), 4.04 (m, 1H, 重複), 3.99 (d, 1H, J = 8.3), 3.84 (d, 1H, J = 8.2), 3.72-3.48 (m, 2H), 3.35 (s, 3H), 0.87 (s, 9H), 0.07 (s, 3H), 0.04 (s, 3H).
【0095】
B)化合物117a〜dから123a〜dの調製
溶媒としてジクロロメタンを用い、DASTなどのフッ素化剤で処理することにより、化合物116a〜dから化合物117a〜dを調製する。最初に1級ヒドロキシル基をデス-マーチンペルヨージナンで、又はスワーン条件下で酸化し、続いて得られたアルデヒドをDASTで処理することによって、化合物116a〜dから化合物118a〜dを調製する。最初に1級ヒドロキシル基をデス-マーチンペルヨージナンで、又はスワーン条件下で酸化し、続いて氷酢酸及びシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤の存在下での1級又は2級アミンと得られたアルデヒドとの還元アミノ化によって、化合物116a〜dから化合物119a〜dを調製する。ヒドロキシル基をチオカーボネート誘導体に変換し、続いてnBu3SnHを用いるラジカル脱酸素化手順によって、化合物116a〜dから化合物120a〜dを調製する。ヒドロキシル基を脱離基(メシラート、トシラート、ハライド)に変換し、続いて過剰のアジ化ナトリウムと共に加熱することによって、化合物116a〜dから化合物121a〜dを調製する。1級アルコールをカルボン酸へ酸化し、続いてHATU又は他の任意のペプチド結合試薬の存在下でのアミンとの反応によって、化合物116a〜dから化合物124a〜dを調製する。ヒドロキシル基をカルボニルジイミダゾールで活性化し、続いてアミンと反応させることによって、化合物116a〜dから化合物125a〜dを調製する。1級アルコールをスワーン又はデス-マーチン条件下で酸化し、続いて適切な有機金属試薬と反応させることによって、化合物116a〜dから化合物126a〜dを調製する。ヒドロキシル基を適切な塩基で脱プロトン化し、続いてアルキル化試薬で陰イオンをクエンチすることによって、化合物116b〜dから化合物127b〜d(127aは上記セクションA、R=CH3で調製)を調製する。ヒドロキシル基を脱離基に変換し、続いてチオール求核試薬で置換することによって、化合物116a〜dから化合物128a〜dを調製する。アジド基を還元し、続いてイソシアネート又はイソチオシアナートと反応させることによって、化合物121a〜dから化合物122a〜dを調製する。アジド基を還元し、FmocNCSと反応させて活性化されたチオ尿素を提供することによって、化合物121a〜dから化合物123a〜dを調製する。EDCの存在下でアミンとfmoc活性化されたチオ尿素とを更に反応させて、置換されたグアニジンを提供する。fmoc保護基の除去により、化合物123a〜dが遊離する。
【0096】
(実施例19)
ホスホロアミダイト141〜144の調製
【化22】

【0097】
A)化合物129(Z=CH2OMe)の調製
活性炭担持パラジウム(3mg)及び化合物127a(0.04mmol、27mg)のMeOH(1mL)混合物を水素バルーンを用いて水素化した。24時間後、セライトを通して反応物を濾過し、濾床をEtOAcで洗浄した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をMeOH(1mL)及びトリエチルアミン(2滴)に再度溶解した。室温にて2時間撹拌した後、溶媒を減圧下に除去して、129を提供した。129 (1H NMR (300 MHz, CDCl3)δ: 7.89 (d, 1H, J = 8.2), 5.75 (d, 1H, J = 8.2), 5.63 (s, 1H), 4.22 (s, 1H), 4.17 (s, 1H), 4.08 (m, 1H), 3.98 (d, 1H, J = 7.6), 3.71 (d, 1H, J = 7.6), 3.60 (t, 1H, J = 9.1), 3.44 (s, 3H), 3.42 (m, 1H, 重複), 0.88 (s, 9H), 0.10 (s, 3H), 0.09 (s, 3H).
B)化合物141の調製
実施例1において16aからホスホロアミダイト化合物19aを調製する際に記載した同様の一般的手順を用いて、化合物129をホスホロアミダイト化合物141に変換する。
C)化合物142〜144の調製
触媒の炭素担持パラジウム及び水素ガスを用い、ベンジルオキシメチル保護基を水素化することにより、化合物130〜132を調製する。5'ヒドロキシル基をジメトキシトリチルエーテルとして保護化し、続いてシリル保護基を除去し、ホスフィチル化反応をさせて(実施例1に記載した通り)、ホスホロアミダイト化合物142〜144を提供する。
(実施例20)
ヌクレオシドホスホルアミダイトの合成
ヌクレオシドホスホルアミダイトの調製は、本明細書に図示される以下の手順、及び米国特許6,426,220及び公開されたPCT国際公開第02/36743に限定するのではないが、そのような当該技術分野における手順に従って行われる。
【0098】
(実施例21)
オリゴヌクレオチド及びオリゴヌクレオシド合成
本発明によって使用されるオリゴマー化合物は、固相合成の周知の技術を介して、都合よく及び日常的になされてもよい。このような合成のための設備は、例えば、Applied Biosystems(Foster City, CA(カリフォルニア)州)を含むいくつかの売主によって販売される。当該技術分野において公知のこのような合成のための任意のその他の手段を、更に又は代わりに使用してよい。ホスホロチオアート及びアルキル化誘導体などのオリゴヌクレオチドを製造するために、同様の技術を使用することも周知である。
オリゴヌクレオチド:非置換及び置換されたリン酸ジエステル(P=O)オリゴヌクレオチドは、ヨウ素による酸化を伴う標準的なホスホロアミダイト化学を使用する自動化されたDNA合成装置(Applied Biosystemsモデル394)にて合成することができる。
ホスホロチオアート(P=S)は、以下の例外を除いてリン酸ジエステルオリゴヌクレオチドと同様に合成される:硫化は、亜リン酸結合の酸化のための3,H-1,2-ベンゾジチオール-3-オン 1,1-二酸化物のアセトニトリル中の10%w/v溶液を利用することによって遂行される。硫化反応ステップ時間を180秒まで増加し、正常なキャッピング工程の後に行われる。CPGカラムからの切断、及び55℃での濃水酸化アンモニウム中での脱保護(12-16時間)の後、オリゴヌクレオチドを3倍体積より多いエタノールで1M酢酸アンモニウム溶液から沈殿させることによって回収する。ホスフィナートオリゴヌクレオチドは、米国特許第5,508,270号に記載されているように製造することができる。
【0099】
アルキルホスホナートオリゴヌクレオチドは、米国特許第4,469,863号に記載されているように製造することができる。
3'-デオキシ-3'-メチレンホスホナートオリゴヌクレオチドは、米国特許第5,610,289号又は第5,625,050号に記載されているように製造することができる。
ホスホルアミダイトオリゴヌクレオチドは、米国特許第5,256,775号又は米国特許第5,366,878号に記載されているように製造することができる。
アルキルホスホンチオ酸エステルオリゴヌクレオチドは、公開されたPCT出願PCT/US94/00902及びPCT/US93/06976(それぞれ、WO94/17093及びWO94/02499として公開された)に記載されているように製造することができる。
3'-デオキシ-3'-アミノホスホロアミダートオリゴヌクレオチドは、米国特許第5,476,925号に記載されているように製造することができる。
リン酸トリエステルオリゴヌクレオチドは、米国特許第5,023,243号に記載されているように製造することができる。
ボランリン酸塩オリゴヌクレオチドは、米国特許第5,130,302号及び第5,177,198号に記載されているように製造することができる。
【0100】
オリゴヌクレオシド:メチレンメチルイミノが連結したオリゴヌクレオシドは、MMI連結したオリゴヌクレオシドとしても同定され、メチレンジメチルヒドラゾが連結したオリゴヌクレオシドはMDH連結したオリゴヌクレオシドとしても同定され、メチレンカルボニルアミノが連結したオリゴヌクレオシドはアミド3連結したオリゴヌクレオシドとしても同定され、メチレンアミノカルボニルが連結したオリゴヌクレオシドはアミド4連結したオリゴヌクレオシドとしても同定され、並びに例えば交互にMMI及びP=O又はP=S結合を有する混合主鎖オリゴマー化合物は、米国特許第5,378,825号;第5,386,023号;第5,489,677号;第5,602,240号及び第5,610,289号に記載されているように製造することができる。
ギ酸アセタール及びチオギ酸アセタールが連結したオリゴヌクレオシドは、米国特許第5,264,562号及び第5,264,564号に記載されているように製造することができる。
エチレンオキサイドが連結したオリゴヌクレオシドは、米国特許第5,223,618号に記載されているように製造することができる。
【0101】
(実施例22)
オリゴヌクレオチドの単離
制御された細孔ガラス固体支持体からの切断、及び濃水酸化アンモニウム中での55℃にて12〜16時間の脱保護の後、3倍体積より多いエタノールでの1M酢酸アンモニウムからの沈殿により回収する。合成したオリゴヌクレオチドをエレクトロスプレー質量分析(分子量決定)及びキャピラリーゲル電気泳動によって解析する。合成において得られたホスホロチオアート及びホスホジエステル結合の相対量を、-16amu生成物(+/-32+/-48)と比較した正確な分子量の比率によって決定する。いくつかの研究については、Chiangらの論文、J. Biol. Chem. 1991, 266, 18162-18171によって記述されたように、オリゴヌクレオチドを、HPLCによって精製する。HPLCで精製した材料で得られた結果は、一般にHPLC精製していない材料で得られたものと同様である。
【0102】
(実施例23)
オリゴヌクレオチド合成-96ウェルプレート形式
オリゴヌクレオチドは、96ウェル形式で同時に96個の配列を構築することができる自動シンセサイザーの固相P(III)ホスホロアミダイト化学を経て合成することができる。リン酸ジエステルヌクレオチド間結合は、ヨウ素水溶液による酸化によってもたらされる。ホスホロチオアートヌクレオチド間結合は、3,H-1,2ベンゾジチオール-3-オン 1,1二酸化物(Beaucage試薬)のアセトニトリル無水物溶液を利用する硫化によって生成される。標準的な塩基保護されたβ-シアノエチル-ジイソプロピルホスホルアミダイトは、市販の売主(例えばPE-Applied Biosystems, Foster City, CA(カリフォルニア)州)、又はPharmacia, Piscataway, NJ(ニュージャージー)州))から購入する。非標準ヌクレオシドは、標準的な、又は特許を受けた方法に従って合成する。これらは、塩基保護されたβ-シアノエチルジイソプロピルホスホルアミダイトとして利用される。
オリゴヌクレオチドを支持体から切断し、高温(55〜60℃)にて12〜16時間、濃アンモニアで脱保護し、次いで遊離した生成物を真空中で乾燥させた。次いで、乾燥生成物を滅菌水に再懸濁してマスタープレートを作り、次いでそこから、全ての解析及び試験プレート試料をロボットピペッターを利用して希釈する。
【0103】
(実施例24)
96ウェルプレート形式を使用するオリゴヌクレオチド解析
それぞれのウェルにおけるオリゴヌクレオチドの濃度は、試料の希釈及びUV吸収分光によって評価する。個々の生成物の全長の完全性は、96ウェル形式(Beckman P/ACE(商標)MDQ)か、又は個々に調製された試料については、市販のCE装置(例えば、Beckman P/ACE(商標)5000, ABI 270)でのキャピラリー電気泳動法(CE)によって評価する。塩基及びバックボーン組成は、エレクトロスプレー-質量分析法を利用するオリゴマー化合物の質量分析によって確認する。全てのアッセイの試験プレートを,単一及びマルチチャンネルロボットピペッターを使用してマスタープレートから希釈する。プレート上のオリゴマー化合物の少なくとも85%が、少なくとも全長の85%である場合、プレートは許容し得ると判断される。
【0104】
(実施例25)
細胞培養及びオリゴヌクレオチド処理
標的核酸の発現におけるオリゴマー化合物の効果は、種々の細胞型のいずれかにおいて試験することができるが、標的核酸が測定可能なレベルにて存在することを条件とする。これは、例えば、PCR又はノーザンブロット解析を使用してルーチンで決定することができる。複数の組織及び種に由来する株化細胞は、American Type Culture Collection(ATCC, Manassas, VA(ヴァージニア)州))から得ることができる。
以下の細胞型は、説明の便宜上提供してあるが、標的が選択される細胞型に発現されることを条件として、その他の細胞型をルーチンでに使用することができる。これは、当該技術分野におけるルーチンの方法、例えばノーザンブロット解析、リボヌクレアーゼ保護アッセイ法又はRT-PCRによって容易に決定することができる。
b.END細胞:マウス脳内皮細胞株b.ENDは、Max Plank研究所(Bad Nauheim, Germany)のDr. Werner Risauから得た。b.END細胞は、10%のウシ胎児血清(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA(カリフォルニア)州)を補った高グルコースDMEM(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA(カリフォルニア)州)においてルーチンで培養した。細胞は、およそ90%の集密に到達した時に、トリプシン処理及び希釈によりルーチンで継代した。オリゴマー化合物トランスフェクション実験含むが、限定されない使用のために、細胞は、およそ3000細胞/ウェルの密度にて、96ウェルプレート(ファルコン-Primaria #353872、BD Biosciences、Bedford、MA(マサチューセッツ)州))に播種した。
【0105】
オリゴマー化合物での細胞の処理を含む実験:
細胞が適切な集密度に達するとき、これらを以下に記述されるトランスフェクション方法を使用してオリゴマー化合物で処理する。
リポフェクチン(商標)
細胞が65〜75%の集密度に達したとき、これらをオリゴヌクレオチドで処理する。オリゴヌクレオチドは、Opti-MEM(商標)-1血清減少培地(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA(カリフォルニア)州)においてLIPOFECTIN(商標)(Invitrogen Life Technologies, Carlsbad, CA(カリフォルニア)州)と混合し、所望のオリゴヌクレオチド濃度及び100nMオリゴヌクレオチドあたり2.5又は3μg/mLのLIPOFECTIN(商標)の濃度を達成する。このトランスフェクション混合物を室温にておよそ0.5時間インキュベートした。96ウェルプレートにおいて培養した細胞については、ウェルを、100μLのOPTI-MEM(商標)-1で一度洗浄し、次いで130μLのトランスフェクション混合物で処理した。24ウェルプレート又はその他の標準的な組織培養プレートにて培養した細胞も、適切な体積の培地及びオリゴヌクレオチドを使用して同様に処理する。細胞を処理し、データを二連又は三連で得る。37℃でのおよそ4〜7時間の処理の後、トランスフェクション混合物を含む培地を新鮮な培養液と置換する。細胞をオリゴヌクレオチド処理の16〜24時間後に収集する。
当該技術分野において公知のその他の適切なトランスフェクション試薬は、CYTOFECTIN(商標)、LIPOFECTAMINE(商標)、OLIGOFECTAMINE(商標)及びFUGENE(商標)を含むが、限定されない。当該技術分野において公知のその他の適切なトランスフェクション方法には、電気穿孔法を含むが、限定されない。
【0106】
(実施例26)
標的発現のオリゴヌクレオチド阻害の解析
標的発現のアンチセンス調節は、当該技術分野において公知の種々の方法でアッセイすることができる。例えば、標的mRNAのレベルは、例えばノーザンブロット解析、競合的ポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)、又はリアルタイムPCRによって定量化できる。リアルタイム定量的PCRが、現在望ましい。RNA解析は、総細胞RNA又はポリ(A)+ mRNAで行うことができる。本発明のRNA解析の一つの方法は、本明細書のその他の実施例に記載されているように、総細胞RNAの使用である。RNA単離の方法は、当該技術分野において周知である。ノーザンブロット解析も、当該技術分野においてルーチンである。リアルタイム定量的PCRは、PE-Applied Biosystems, Foster City, CA(カリフォルニア)州から利用できる、市販のABI PRISM(商標)7600、7700又は7900 Sequence Detection Systemを使用して利便よく達成することができ、製造業者の説明書に従って使用される。
【0107】
標的のタンパク質レベルは、当該技術分野において周知の種々の方法、例えば免疫沈降法、ウエスタンブロット解析(イムノブロッティング)、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)又は蛍光標示式細胞分取(FACS)で定量化することができる。標的に対する抗体を、抗体のMSRSカタログ(Aerie Corporation, Birmingham, MI(ミシガン)州)などの種々の供与源から特定及び得ることができ、又は当該技術分野において周知の従来のモノクローナル或いはポリクローナル抗体の産生法を介して製造することができる。ポリクローナル抗血清の調製のための方法は、例えば、Ausubel, F.M.らの論文、分子生物学の現代のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), 第2巻, pp. 11.12.1-11.12.9, John Wiley & Sons, Inc., 1997において教示される。モノクローナル抗体の調製は、例えば、Ausubel, F.M.らの論文、分子生物学の現代のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), 第2巻, pp. 11.4.1-11.11.5, John Wiley & Sons, Inc., 1997において教示されている。
免疫沈降方法は、当該技術分野において標準的であり、例えば、Ausubel, F.M.らの論文、分子生物学の現代のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), 第2巻, pp. 10.16.1-10.16.11, John Wiley & Sons, Inc., 1998に見いだすことができる。ウエスタンブロット(イムノブロット)解析は、当該技術分野において標準的であり、例えば、Ausubel, F.M.らの論文、分子生物学の現代のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), 第2巻, pp. 10.8.1-10.8.21, John Wiley & Sons, Inc., 1997に見いだすことができる。酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、当該技術分野において標準的であり、例えば、Ausubel, F.M.らの論文、分子生物学の現代のプロトコル(Current Protocols in Molecular Biology), 第2巻, pp. 11.2.1-11.2.22, John Wiley & Sons, Inc., 1991に見いだすことができる。
【0108】
(実施例27)
標的阻害剤の使用のための表現型アッセイ法及びインビボ研究のデザイン
表現型アッセイ法
一旦、標的阻害剤が本明細書に開示した方法によって同定されたら、オリゴマー化合物を、それぞれ、特定の疾病状態又は状況の治療における有効性を予測する測定可能なエンドポイントを有している1つ以上の表現型アッセイ法で更に調査する。
これらの使用のための表現型アッセイ法、キット及び試薬は、当業者に周知であり、健康及び疾患における標的の役割及び/又は関連を調査するために、本明細書において使用される。代表的な表現型のアッセイ法は、いくつかの市販の売主のいずれか一つから購入することができ、これには、細胞生存率、細胞障害性、増殖又は細胞生存を決定するためのもの(Molecular Probes, Eugene, OR;PerkinElmer, Boston, MA(マサチューセッツ)州)、酵素アッセイ法を含むタンパク質に基づいたアッセイ法(Panvera, LLC, Madison, WI;BD Biosciences, Franklin Lakes, NJ;Oncogene Research Products, San Diego, CA(カリフォルニア)州)、細胞制御、シグナル伝達、炎症、酸化過程及びアポトーシス(Assay Designs Inc., Ann Arbor, MI(ミシガン)州)、トリグリセリド蓄積(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO(ミズーリ)州)、血管形成アッセイ法、チューブ形成アッセイ法、サイトカイン及びホルモンアッセイ法、並びに代謝性アッセイ法(Chemicon International Inc., Temecula, CA;Amersham Biosciences、Piscataway NJ(ニュージャージー)州)を含む。
【0109】
非限定的な例の一つにおいて、特定の表現型アッセイ法に適することが決定された細胞(すなわち、乳癌研究のために選択されるMCF-7細胞;肥満症研究のための脂肪細胞)を、インビトロ研究から同定された標的阻害剤で、並びに上記の方法によって決定された最適濃度の対照化合物で処理する。処理期間の終わりに、処理細胞及び未処理細胞を、表現型の結果及びエンドポイントを決定するためのアッセイ法に特異的な1つ以上の方法によって解析する。
表現型のエンドポイントには、時間又は処理用量に対する細胞形態の変化、並びにタンパク質、脂質、核酸、ホルモン、糖又は金属などの細胞の成分のレベルにおける変化を含む。pH、細胞周期の段階、細胞による生物学的指標の摂取又は排出を含む細胞状態の測定も、関心対象のエンドポイントである。
また、処理後の細胞の1つ以上の遺伝子の発現の測定も、標的阻害剤の効力又は能力の指標として使用される。特徴遺伝子、又は特異的な疾病状態、状況若しくは表現型と関連することが疑われる遺伝子を、処理細胞及び未処理細胞の両方において測定する。
インビボ研究
本明細書に記述されるインビボ研究の個々の対象は、ヒトを含む温血脊椎動物である。
【0110】
(実施例28)
RNA単離
ポリ(A)+ mRNAの単離
ポリ(A)+ mRNAは、Miuraらの文献に従って単離される(Clin. Chem., 1996, 42, 1758-1764)。ポリ(A)+ mRNA単離のためのその他の方法は、当該技術分野においてルーチンである。簡潔には、96ウェルプレートで培養した細胞については、増殖培地を細胞から除去し、それぞれのウェルを200μlの冷却PBSで洗浄する。60μlの溶解緩衝液(10mM Tris-HC1、pH7.6, 1mM EDTA, 0.5M NaCl, 0.5% NP-40, 20mMバナジル-リボヌクレオシド複合体)をそれぞれのウェルに添加し、プレートを穏やかに撹拌し、次いで室温で5分間インキュベートする。55μlの可溶化液を、Oligo d(T)コートした96ウェルプレート(AGCT社, Irvine CA)へ移す。プレートを室温で60分間インキュベートし、200μlの洗浄緩衝液(10mM Tris-HC1 pH7.6, 1mM EDTA, 0.3M NaCl)で3回洗浄する。最後の洗浄の後、プレートを紙タオルの上で拭いて過剰な洗浄緩衝液を除去し、次いで5分間空気乾燥する。予め70℃に熱した60μlの溶出緩衝液(5mM Tris-HC1 pH7.6)をそれぞれのウェルに添加し、プレートを5分間90℃のホットプレート上でインキュベートし、次いで溶出液を新鮮な96ウェルプレートに移す。
100mm又はその他の標準的なプレート上で培養した細胞も、適切な体積の全ての溶液を使用して同様に処理してもよい。
【0111】
総RNA単離
総RNAを、製造業者の推奨された手順に従って、Qiagen社(Valencia、CA(カリフォルニア)州)から購入したRNEASY 96(商標)キット及び緩衝液を使用して単離する。簡潔には、96ウェルプレート上で培養した細胞については、増殖培地を細胞から除去し、それぞれのウェルを200μlの冷却PBSで洗浄する。150μlの緩衝液RLTをそれぞれのウェルに添加し、プレートを20秒間勢いよく撹拌する。次いで、150μlの70%エタノールをそれぞれのウェルに添加し、内容物をピペット操作によって上下に3回混合する。次いで、試料をRNEASY 96(商標)ウェルプレートへ移し、廃棄物収集トレーを装備したQIAVAC(商標)マニホルドに接続し、真空源に接続する。真空を1分間適用する。500μlの緩衝液RW1をRNEASY 96(商標)プレートのそれぞれのウェルに添加し、15分間インキュベートし、真空を再び1分間適用する。更に500μlの緩衝液RW1をRNEASY 96(商標)プレートのそれぞれのウェルに添加し、真空を2分間適用する。次いで、1mlの緩衝液RPEをRNEASY 96(商標)プレートのそれぞれのウェルに添加し、真空を90秒の間適用する。次いで緩衝液RPE洗浄を繰り返し、真空を更に3分間適用する。次いで、プレートをQIAVAC(商標)マニホルドから除去し、紙タオルの上で拭い乾燥する。次いで、プレートを、1.2mlの収集管を含む収集管ラックを装備したQIAVAC(商標)マニホルドに再び付ける。次いで、それぞれのウェル内に140μlのRNAseを含まない水をピペッティングし、1分間インキュベートし、次いで3分間の真空を適用することにより、RNAを溶出する。
繰り返しのピペット操作及び溶出工程は、QIAGEN Bio-Robot 9604(Qiagen, Inc., Valencia CA(カリフォルニア)州)を使用して自動化してもよい。基本的に、培養プレート上で細胞を溶解した後は、ピペッティング操作を行うロボットデッキに移し、DNase処理及び溶出工程を実施する。
【0112】
(実施例29)
標的mRNAレベルのリアルタイム定量的PCR解析
標的mRNAレベルの定量化は、製造業者の説明書に従って、ABI PRISM(商標)7600、7700又は7900のSequence Detection System(PE-Applied Biosystems, Foster City, CA(カリフォルニア)州)を使用する、リアルタイム定量的PCRによって達成した。これは、閉管の非ゲルベースの蛍光検出システムであり、リアルタイムでポリメラーゼ連鎖反応法(PCR)産物のハイスループットの定量化を可能とする。PCRが完了した後に増幅産物が定量化される標準的なPCRとは対照的に、リアルタイム定量的PCRの産物は、これらが蓄積するにつれて定量化される。これは、PCR反応においてフォワードとリバースPCRプライマーとの間に特異的にアニールし、かつ2つの蛍光色素を含むオリゴヌクレオチドプローブ含むことによって達成される。レポーター色素(例えばPE-Applied Biosystems, Foster City, CA(カリフォルニア)州、Operon Technologies社, Alameda, CA(カリフォルニア)州又はIntegrated DNA Technologies社, Coralville, IA(アイオワ)州のいずれかから得られるFAM又はJOE)をプローブの5'末端に結合し、かつ、クエンチャー色素(例えば、PE-Applied Biosystems, Foster City, CA(カリフォルニア)州、Operon Technologies社, Alameda, CA(カリフォルニア)州又はIntegrated DNA Technologies社, Coralville, IA(アイオワ)州のいずれかから得られるTAMRA)をプローブの3'末端に結合する。プローブ及び色素が損なわれていないときは、3'クエンチャー色素が近接していることにより、レポーター色素の発光がクエンチされる。増幅の間、標的配列に対するプローブのアニーリングにより、Taqポリメラーゼの5'-エキソヌクレアーゼ活性によって切断することができる基質を生じる。PCR増幅サイクルの伸長段階の間に、Taqポリメラーゼによるプローブの切断により、残りのプローブから(及び、従ってクエンチャー部分から)レポーター色素を放出し、配列特異的な蛍光シグナルを生じる。それぞれのサイクルで、さらにレポーター色素分子がこれらのそれぞれのプローブから切断され、蛍光強度は、ABI PRISM(商標)Sequence Detection Systemに組み込まれるレーザー光学機によって定期的にモニターされる。それぞれのアッセイ法において、未処理の対照試料からのmRNAの段階希釈を含む一連の並列の反応により、試験試料のアンチセンスオリゴヌクレオチド処理の後の阻害率を定量化するために使用される標準曲線を作成する。
【0113】
定量的PCR解析の前に、測定される標的遺伝子に特異的なプライマー-プローブセットを、これらがGAPDH増幅反応と共に「多重増幅できる」かについて評価する。多重化において、標的遺伝子及び内部標準遺伝子GAPDHは、単一の試料において同時に増幅される。この解析では、未処理の細胞から単離されたmRNAを段階希釈する。それぞれの希釈を、GAPDHだけ、標的遺伝子だけ(「一重」)又は両方(多重化)に特異的なプライマー-プローブセットの存在下において増幅する。PCR増幅に続いて、GAPDHの標準曲線及び希釈の関数としての標的mRNAシグナルを、一重及び多重化試料から作成する。多重化試料から作成されるGAPDH及びターゲットシグナルの勾配及び相関係数が、一重の試料から作成されるこれらに対応する値の10%に入る場合、その標的に特異的なプライマー-プローブセットは、多重化可能であると考えられる。その他のPCRの方法も、当該技術分野において公知である。
RT及びPCR試薬は、Invitrogen Life Technologies(Carlsbad, CA(カリフォルニア)州)から得た。RT、リアルタイムPCRは、20μLのPCRカクテル(MgCl2を含まない2.5倍濃度PCR緩衝液、6.6mM MgCl2、375μMずつのdATP、dCTP、dCTP及びdGTP、375nMずつのフォワードプライマー及びリバースプライマー、125nMのプローブ、4単位RNAse阻害剤、1.25単位PLATINUM(登録商標)Taq、5 Units MuLV逆転写酵素、及び2.5×ROX色素)を、30μLの総RNA溶液(20〜200ng)を含む96ウェルプレートに添加することによって行った。RT反応は、48℃で30分間インキュベーションすることによって行った。PLATINUM(登録商標)Taqを活性化するための95℃での10分のインキュベーションに続いて、40サイクルの二段階PCRプロトコルを行った:95℃、15秒(変性)、続いて60℃、1.5分(アニーリング/伸長)。
【0114】
RT、リアルタイムPCRによって得られた遺伝子標的量を、発現が一定である遺伝子のGAPDH発現レベルを使用して、又はRIBOGREEN(商標)(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR(オレゴン)州)を使用して総RNAを定量化することによって規準化する。リアルタイムRT-PCRによって、標的と同時に実行されることにより(多重化)、又は別々に、GAPDH発現を定量化する。総RNAをRiboGreen(商標)RNA定量化試薬(Molecular Probes, Inc. Eugene, OR(オレゴン)州)を使用して定量化する。RIBOGREEN(商標)によるRNA定量化の方法は、Jones, L.J.らの論文(Analytical Biochemistry、1998、265、368-374)に教示されている。
このアッセイ法では、170μLのRIBOGREEN(商標)実施試薬(10mM Tris-HCl, 1mM EDTA, pH7.5において1:350に希釈されたRIBOGREEN(商標)試薬)を30μLの精製された細胞RNAを含む96ウェルプレート内にピペットで移す。プレートを、485nmの励起光及び530nmの発光にて、CytoFluor 4000(PE Applied Biosystems)で読み込む。
【0115】
(実施例30)
標的特異的プライマー及びプローブ
プローブ及びプライマーは、公開された配列情報を使用して、標的配列にハイブリダイズするようにデザインしてもよい。
例えば、ヒトPTENについては、以下のプライマー-プローブセットを、公開された配列情報を使用してデザインした(GENBANK(商標)アクセッション番号U92436.1、配列番号:1)。フォワードプライマー:AATGGCTAAGTGAAGATGACAATCAT(配列番号:2)。
リバースプライマー:TGCACATATCATTACACCAGTTCGT(配列番号:3)
及びPCRプローブ:FAM-TTGCAGCAATTCACTGTAAAGCTGGAAAGG-TAMRA(配列番号:4)、
配列中FAMは蛍光色素であり、TAMRAはクエンチャー色素である。
(実施例31)
標的タンパク質レベルのウエスタンブロット解析
ウエスタンブロット解析(イムノブロット解析)は、標準的方法を使用することによって実施される。オリゴヌクレオチド処理後16〜20時間で細胞を収集し、PBSで一度洗浄し、Laemmli緩衝液(100μl/ウェル)に懸濁し、5分間煮沸し、16%のSDS-PAGEゲルにロードする。ゲルを150Vにて1.5時間泳動し、ウエスタンブロッティングのために膜へ移す。一次抗体種に対する放射標識された、又は蛍光標識された二次抗体と共に、標的に対する適切な一次抗体を使用する。バンドを、PHOSPHORIMAGER(商標)(Molecular Dynamics, Sunnyvale CA(カリフォルニア)州)を使用して視覚化する。
【0116】
(実施例32)
SVPDで処理した5'-(S)及び(R)-CH3-BNA修飾オリゴマーのヌクレアーゼ安定性
5'-CH3-BNA修飾オリゴマーのヌクレアーゼ安定性を、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD)を用いて判定した。それぞれのオリゴマーは、以下を含む500μL混合物として調製した:5μLの100μMオリゴマー、SVPD緩衝液(50mMトリス-HcL、pH7.5、8mM MgCl2)中の0.5単位/mLのホスホジエステラーゼIを50μL、最終濃度0.05単位/mL、445μLのSVP緩衝液。試料を、水浴上の37℃でインキュベートした。一定分量(100μL)を0、1、2及び4日目に採取し、1日目及び2日目に新鮮な酵素を加えた。酵素活性をクエンチするために、取出しの直後にEDTAを一定分量に加えた。試料を、IP HPLC/MSで分析した。
【0117】
【表1】

全てのヌクレオシド間連結はホスホジエステルであり、下付きのS又はRは、4'-CH2-O-2'架橋基も有する5'-CH3-BNAヌクレオシドの5'炭素原子の配置を示す。下付きのeは2'-O-MOEヌクレオシドを示し、下付きのlは4'-CH2-O-2'修飾ヌクレオシドを示す。5-メチル置換BNA含有化合物(392746及び392747)は、非置換BNA含有化合物(392745)に比べて著しく改善されていた。
【表2】

【0118】
(実施例33)
SVPDで処理した5'-(S)-CH3及び2'-O-MOE修飾オリゴマーのヌクレアーゼ安定性
5'-CH3-BNA修飾オリゴマーのヌクレアーゼ安定性を、ヘビ毒ホスホジエステラーゼ(SVPD)を用いて判定した。それぞれのオリゴマーは、5μLオリゴマー(2μLの5μMオリゴマー及び3μLの5' 32P標識オリゴマー)、75μLのH2O、及び10μLの10X緩衝液(500mMトリス-HCl、700mM NaCl及び140mM MgCl2、pH8.6)を含む90μLの混合物として調製した。0分と同等な時間に、上で調製したオリゴマー試料から9μLを取り出し、10μL停止緩衝液(6.67Mの尿素、16.67%ホルムアミド及び83.3mM EDTA)に加え、続いて1μLのH2Oを加えて100℃で2.5〜3分間加温した。アッセイのカイネティクスは、9μLのSVPD(0.5単位/mL)の添加から始まった。最終酵素濃度は、0.05単位/mLであった。10μLのオリゴマーカイネティクス溶液のそれぞれの一定分量を、先に述べたように10μLの停止緩衝液に加えて熱不活性化した。カイネティクスの時間点を、1、3、9、27、80、240及び1290分にとった。試料は、45ワット/ゲルで2時間作動させた12%アクリルオミド(acrylomide)PAGEによって分析した。
【0119】
【表3】

全てのヌクレオシド間連結はホスホジエステルであり、下付きのSは、4'-CH2-O-2'架橋基も有する5'-CH3-BNAヌクレオシドの5'炭素原子の配置を示し、下付きのeは2'-O-MOEヌクレオシドを示し、下付きのlは4'-CH2-O-2'BNAを示す。全ての下付きではないTは、2'-Hである。5-メチル置換BNA含有化合物(395427)は、非置換BNA含有化合物(395423)及びMOE含有化合物(395421)と比較して著しく改善されていた。
【表4】

【0120】
(実施例34)
PTENを標的とする5'-(S)-CH3-BNA及び5'-(R)-CH3-BNA 2-10-2ギャップオリゴマー:インビトロ研究
本発明に従い、オリゴマー化合物を合成し、様々な用量でPTEN発現を減少させるそれらの能力を試験した。b.END細胞を、本明細書に記載の方法を用いて、0.3125、0.0625、1.25、2.5、5、10又は20nMの濃度の5'-CH3-BNA修飾オリゴマーで処理した。PTENの発現レベルは、本明細書の他の実施例に記載されている通りに、リアルタイムPCRを用いて決定し、RIBOGREEN(商標)に標準化した。無処理の対照細胞と比較した20nMの薬剤濃度でのPTENのmRNAの減少率(%UTC)を、下表に示す。得られた用量反応曲線を用いて、以下に示すように392747のIC50を決定した。4μMの5'-CH3-BNA修飾オリゴマー及び4μMの相補的RNAを用いて、260nmにおいて、100mMリン酸緩衝液、0.1mM EDTA、pH7中でTmを評価した。
【表5】

全てのヌクレオシド間連結はホスホロチオエートであり、下付きのR及びSは、4'-CH2-O-2'架橋基も有する5'-CH3-BNAヌクレオシドの5'炭素原子の配置を示す。
【0121】
(実施例35)
PTENを標的とする5'-(S)-CH3-BNA及び5'-(R)-CH3-BNA 2-10-2ギャップオリゴマー:インビボ研究
6週齢Balb/cマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME(メイン)州)に、0.5又は2μmol/kgの用量のPTENを標的にした5'-CH3-BNA修飾オリゴマー(5'-(S)又は5'-(R))を、3週にわたって週2回注射した。マウスは、最終投与から48時間後に屠殺した。肝臓組織をホモジナイズし、未処理の対照レベル(%UTC)との比較のために、本明細書に記載のようにリアルタイムPCRを用いて、mRNAレベルを定量化した。
【表6】

全てのヌクレオシド間連結はホスホロチオエートであり、下付きのR及びSは、4'-CH2-O-2'架橋基も有する5'-CH3-BNAヌクレオシドの5'炭素原子の配置を示す。
【0122】
(実施例36)
PTENを標的とする5'-(S)-CH3-BNA 2-10-2ギャップオリゴマー:インビボ研究
6週齢Balb/cマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME(メイン)州)に、1、2、4又は8μmol/kgの用量のPTENを標的にした5'-(S)-CH3-BNA修飾オリゴマーを、1回注射した。マウスは、投与から72時間後に屠殺した。肝臓組織をホモジナイズし、未処置の対照レベル(%UTC)との比較のために、本明細書に記載のようにリアルタイムPCRを用いて、mRNAレベルを定量化した。
【表7】

全てのヌクレオシド間連結はホスホロチオエートであり、下付きのSは、4'-CH2-O-2'架橋基も有する5'-CH3-BNAヌクレオシドの5'炭素原子の配置を示す。
【0123】
(実施例37)
3週複数回投与インビボ研究におけるPTENを標的とする5'-(S)-CH3-BNA及び2'-O-MOEギャップオリゴマー
6週齢Balb/cマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME(メイン)州)に、3.2、1.0、0.32及び0.1μmol/kgの用量(3.2及び1μmol/kgのデータだけを下で示す)のPTENを標的にした5'-(S)-CH3-BNA (2-10-2、14量体)、4'-CH2-O-2'-BNA (2-10-2、14量体)及び2'-O-MOE (5-10-5、20量体)修飾オリゴマーを、3週にわたって週2回注射した。マウスは、最終投与から48時間後に屠殺した。肝臓組織をホモジナイズし、未処理の対照レベル(%UTC)との比較のために、本明細書に記載のようにリアルタイムPCRを用いて、mRNAレベルを定量化した。屠殺後、血漿化学及び肝臓重量を測定した。
【0124】
【表8】

全てのヌクレオシド間連結はホスホロチオエートであり、下付きのSは、4'-CH2-O-2'架橋基も有する5'-CH3-BNAヌクレオシドの5'炭素原子の配置を示し、下付きのlは、4'-CH2-O-2'BNAを示し、下付きのeは2'-O-MOEを示し、MeCは5'-メチルシトシンヌクレオシドを示す。
試験の最終段階で、高用量群の動物は、4'-CH2-O-2'BNA(392063、3.2μmol/Kg用量群)含有オリゴマーに関して肝臓重量の有意な増加を示した(生理食塩水と比較して153%)。対照的に、5'-(S)-CH3 BNA(392747、3.2μmol/Kg用量群)含有オリゴマーについての肝臓重量は、生理食塩水との比較で121%であった。2'-O-MOE含有オリゴマー(116847、1.0μmol/Kg用量群)の肝臓重量は、生理食塩水と比較して116%であった。この実施例は、5'-(S)-CH3-BNA修飾が、4'-CH2-O-2' BNA修飾化合物と比較してALTレベルの劇的な改善を示すアンチセンスオリゴマーのデザインを可能にすることを証明する。
【0125】
(実施例38)
PTENを標的とする5'(S)-Me-BNA及び4'-CH2-O-2' BNA 2-10-2ギャップオリゴマー:インビボ研究
6週齢Balb/cマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME(メイン)州)に、2.5、5、10及び20μmol/kgの用量(5及び10μmol/Kgのデータだけを示す)のPTENを標的とした修飾された5'-(S)-CH3 (396569)、4'-CH2-O-2' BNA 2-10-2ギャップオリゴマーを1回注射した。マウスは、投与から66時間後に屠殺した。肝臓組織をホモジナイズした。
【表9】

全てのヌクレオシド間連結はホスホロチオエートであり、下付きのSは、4'-CH2-O-2'架橋基も有する5'-CH3-BNAヌクレオシドの5'炭素原子の配置を示し、下付きのlは4'-CH2-O-2'ヌクレオシドを示し、MeCは5'-メチルシトシンヌクレオシドを示す。
上記のオリゴヌクレオチドについては、1つ(Isis番号392056)は、5'炭素原子がキラルであるヌクレオシドを含まないが、396569は含む。396569は5'(S)-Me単量体を含み、5'位置に置換基を有しない392056と比較して、肝臓では明らかに毒性が低い。
【0126】
(実施例39)
PTENを標的とする5'(S)-Me-BNA、2'-O-MOE及び4'-CH2-O-2' BNA 2-14-2ギャップオリゴマー:インビボ研究
6週齢Balb/cマウス(Jackson Laboratory、Bar Harbor、ME(メイン)州)に、2又は10μmol/kgの用量のPTENを標的にした5'-CH3-BNA修飾オリゴマーを、1回注射した。マウスは、投与から72時間後に屠殺した。肝臓組織をホモジナイズし、未処理の対照レベル(%UTC)との比較のために、本明細書に記載のようにリアルタイムPCRを用いて、mRNAレベルを定量化した。
【表10】

【表11】

全てのヌクレオシド間連結はホスホロチオエートであり、下付きのR及びSは、4'-CH2-O-2'架橋基も有する5'-CH3-BNAヌクレオシドの5'炭素原子の配置を示し、下付きのeは2'-O-MOEヌクレオシドを示し、下付きのlは4'-CH2-O-2'ヌクレオシドを示し、MeCは5'-メチルシトシンヌクレオシドを示す。
高用量群(10マイクロモル/Kg)では、5'(S)-Me修飾を含むオリゴヌクレオチド400521は、394425と基本的に等しく有効である。しかし、394425 (2453.2)と比較して400521のALT上昇は穏やか(152)であり、5'置換は治療指数の大きな改善をもたらすことを明らかに示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

を有する二環式ヌクレオシド:
(式中:
Bxは、複素環塩基部分であり;
T1及びT2の一方は、H又はヒドロキシル保護基であり、かつT1及びT2の他方は、H、ヒドロキシル保護基又は反応性リン基であり;
Zは、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC1-C6アルキル、置換されたC2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルキニル又は置換されたアシル(-C(=O)-)であり;
上式でそれぞれの置換された基は、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC2-C6アルキニル、OJ1、SJ1、NJ1J2、N3、COOJ1、CN、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NR1R2又はN(H)C(=X)N(H)J2から独立して選択される置換基で一置換又は多置換されており、上式でXはO又はSであり;及び、
それぞれのJ1及びJ2は、独立して、H、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC2-C6アルキニル、C1-C6アミノアルキル、置換されたC1-C6アミノアルキル、又は保護基である)。
【請求項2】
Zが、置換されたC1-C6アルキルである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Zが、置換されたメチレンである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
置換基のそれぞれが、独立して、F、NJ1J2、N3、CN、OJ1、SJ1、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2又はN(H)C(=O)N(H)J2である、請求項1〜3のいずれか1項記載の化合物。
【請求項5】
それぞれのJ1及びJ2が、独立して、H又はC1-C6アルキルである、請求項1〜4のいずれか記載の化合物。
【請求項6】
Zが、メチル、エチル又はメトキシメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
Zがメチルである、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
Zがエチレニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Zが、置換されたアシルである、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
ZがC(=O)NJ1J2である、請求項9記載の化合物。
【請求項11】
T1及びT2の少なくとも1つがヒドロキシル保護基である、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項12】
前記ヒドロキシル保護基のそれぞれが、アセチル、t-ブチル、t-ブトキシメチル、メトキシメチル、テトラヒドロピラニル、1-エトキシエチル、1-(2-クロロエトキシ)エチル、2-トリメチルシリルエチル、p-クロロフェニル、2,4-ジニトロフェニル、ベンジル、ベンゾイル、p-フェニルベンゾイル、2,6-ジクロロベンジル、ジフェニルメチル、p-ニトロベンジル、トリフェニルメチル(トリチル)、4,4'-ジメトキシトリチル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル、トリフェニルシリル、トリイソプロピルシリル、ギ酸ベンゾイル、クロロアセチル、トリクロロアセチル、トリフルオロアセチル、ピバロイル、9-フルオレニルメチルカーボネート、メシラート、トシラート、トリフラート、トリチル、モノメトキシトリチル、ジメトキシトリチル、トリメトキシトリチル、9-フェニルキサンチン-9-イル(ピキシル(Pixyl))及び9-(p-メトキシフェニル)キサンチン-9-イル(MOX)から独立して選択される、請求項11記載の化合物。
【請求項13】
T1が、アセチル、ベンジル、t-ブチルジメチルシリル、t-ブチルジフェニルシリル又は4,4'-ジメトキシトリチルである、請求項11記載の化合物。
【請求項14】
T2が反応性リン基である、請求項1〜10のいずれか1項記載の化合物。
【請求項15】
反応性リン基がジイソプロピルシアノエトキシホスホラミダイト又はH-ホスホネートである、請求項14記載の化合物。
【請求項16】
T2がジイソプロピルシアノエトキシホスホラミダイトであり、かつT1が4,4'-ジメトキシトリチルである、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
Z基が(R)配置である、請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物:
【化2】


【請求項18】
Z基が(S)配置である、請求項1〜16のいずれか1項記載の化合物:
【化3】


【請求項19】

【化4】

の少なくとも1つの単量体を有するオリゴマー化合物:
(式中、
Bxは、複素環塩基部分であり;
T3は、H、ヒドロキシル保護基、連結された共役基、又はヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、単量体サブユニット若しくはオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基であり;
T4は、H、ヒドロキシル保護基、連結された共役基、又はヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、単量体サブユニット若しくはオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基であり;
Zは、C1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC1-C6アルキル、置換されたC2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルキニル又は置換されたアシル(-C(=O)-)であり;
上式で、それぞれの置換された基は、ハロゲン、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC2-C6アルキニル、OJ1、SJ1、NJ1J2、N3、COOJ1、CN、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NR1R2又はN(H)C(=X)N(H)J2から独立して選択される置換基で一置換又は多置換されており、上式でXはO又はSであり;
それぞれのJ1及びJ2は、独立して、H、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C2-C6アルケニル、置換されたC2-C6アルケニル、C2-C6アルキニル、置換されたC2-C6アルキニル、C1-C6アミノアルキル、置換されたC1-C6アミノアルキル、又は保護基であり;及び、
T3及びT4の少なくとも1つは、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオシド、オリゴヌクレオチド、単量体サブユニット又はオリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基である)。
【請求項20】
Zが、置換されたC1-C6アルキルである、請求項19記載のオリゴマー化合物。
【請求項21】
Zが、置換されたメチレンである、請求項20記載のオリゴマー化合物。
【請求項22】
前記置換基のそれぞれが、独立して、F、NJ1J2、N3、CN、OJ1、SJ1、O-C(=O)NJ1J2、N(H)C(=NH)NJ1J2又はN(H)C(=O)N(H)J2である、請求項19〜21のいずれか1項記載の化合物。
【請求項23】
それぞれのJ1及びJ2が、独立して、H又はC1-C6アルキルである、請求項22記載のオリゴマー化合物。
【請求項24】
Zが、メチル、エチル又はメトキシメチルである、請求項19記載のオリゴマー化合物。
【請求項25】
Zがメチルである、請求項24記載のオリゴマー化合物。
【請求項26】
Zがエチレニルである、請求項19記載のオリゴマー化合物。
【請求項27】
Zが、置換されたアシルである、請求項19記載のオリゴマー化合物。
【請求項28】
ZがC(=O)NJ1J2である、請求項27記載のオリゴマー化合物。
【請求項29】
T3がH又はヒドロキシル保護基である、請求項19〜28のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項30】
T4がH又はヒドロキシル保護基である、請求項19〜29のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項31】
T3が、ヌクレオシド、ヌクレオチド又は単量体サブユニットに結合したヌクレオシド間連結基である、請求項19〜28のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項32】
T4が、ヌクレオシド、ヌクレオチド又は単量体サブユニットに結合したヌクレオシド間連結基である、請求項19〜28又は31のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項33】
T3が、オリゴヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドに結合したヌクレオシド間連結基である、請求項19〜28、30又は32のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項34】
T4が、オリゴヌクレオシド又はオリゴヌクレオチドに結合したヌクレオシド間連結基である、請求項19〜28、31、又は33のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項35】
T3が、オリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基である、請求項19〜28、30、32又は34のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項36】
T4が。オリゴマー化合物に結合したヌクレオシド間連結基である、請求項19〜28、31、33、又は35のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項37】
前記式の少なくとも1つの単量体のZ基が(R)配置である、請求項19〜36のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【化5】


【請求項38】
前記式の少なくとも1つの単量体のZ基が(S)配置である、請求項19〜36のいずれか1項記載のオリゴマー化合物:
【化6】


【請求項39】
T3及びT4の少なくとも1つが、リン酸ジエステル又はホスホロチオアートから選択されるヌクレオシド間連結基を含む、請求項19〜38のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項40】
それぞれのヌクレオシド間連結基が、独立して、ホスホジエステル又はホスホロチオエートである、請求項19〜39のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項41】
前記式の少なくとも2つの隣接する単量体の少なくとも1つの領域を含む、請求項19〜40のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項42】
前記式の少なくとも2つの隣接する単量体の少なくとも2つの領域を含む、請求項19〜41のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項43】
ギャップがあるオリゴマー化合物を含む、請求項42記載のオリゴマー化合物。
【請求項44】
長さが約8〜約40個のヌクレオシド及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態を含む、請求項19〜42のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項45】
長さが約8〜約20個のヌクレオシド及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態を含む、請求項19〜42のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項46】
長さが約10〜約16個のヌクレオシド及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態を含む、請求項19〜42のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項47】
長さが約10〜約14個のヌクレオシド及び/又は修飾されたヌクレオシド若しくは擬態を含む、請求項19〜42のいずれか1項記載のオリゴマー化合物。
【請求項48】
1つ以上の細胞、組織又は動物を、請求項19〜47のいずれか1項記載のオリゴマー化合物と接触させることを含む、遺伝子発現の阻害方法。

【公表番号】特表2009−536955(P2009−536955A)
【公表日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−510176(P2009−510176)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/068690
【国際公開番号】WO2007/134181
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(595104323)アイシス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド (53)
【Fターム(参考)】