説明

50歳以上の個体のための、生命力、免疫、眼および骨の健康状態を改善するための栄養補給剤

50歳以上の成人のための、健康状態を最適化し、生命力および免疫を改善し、眼および骨の健康状態を改善、補助するのに最も有効であるように設計された栄養補給剤、およびその使用方法が提供される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 成人に起きる栄養欠乏は多数あり、地理的状況および個々の社会経済的状態に応じて異なる。50歳以上の成人は、身体、認知または機能の衰退による栄養不良(低栄養または栄養欠乏と定義される)の危険性がある。栄養士は、うつ病、記憶喪失および廃疾が場合により栄養不良から起きる可能性があると推測している。アルツハイマー病、関節炎または骨粗鬆症などの慢性疾患も、食事の用意や摂食の習慣を妨げる可能性がある。50歳以上の成人はしばしば、身体的に自分の食事を用意することができず、やがて食事を完全に抜くことを選択する。
【0002】
[0002] 健康状態が要因ではない場合ですら、独り暮らしの50歳以上の成人は自分のためにバランスのとれた栄養のある食事をわざわざ用意しない可能性がある。代わりに、多くは調理済みのすぐ食べられる食品で暮らす可能性がある。経済的な拘束も食物の選択および栄養素の摂取に影響を及ぼす。50歳以上の成人の多くは収入が限られており、したがって50歳以上の成人における経済的な理由ならびに栄養知識および健康教育の欠如が問題を複雑にしている。不活動または疾病は食欲をさらに低下させる可能性があり、味覚の喪失も同様である;独りで食事をするかまたはうつ病である高齢者も、食物に対する関心を失う可能性がある。食欲喪失は歯の問題(適合の悪い義歯、悪い歯列、および歯肉疾患を含む)、運動不足、または臭覚および味覚の低下により起きる可能性もある。
【0003】
[0003] 上記に示した疾患その他の複雑な要因をいずれも伴わない完全な健康状態である50歳以上の成人ですら、ビタミン、無機質、ならびに他の多量および微量栄養素の吸収に影響を及ぼす生理的変化のため栄養欠乏になる可能性がある。加齢に伴って確認されている、胃腸生理において栄養素の生物学的利用能に影響を及ぼす最大の変化は、萎縮性胃炎であり、これは50歳以上の成人のかなりの割合に起きる。
【0004】
[0004] 高齢化しつつある集団について必要な腸吸収を高めるために、食事の処理は有用である。50歳以上の成人のための栄養補給剤は市販されているが、それらの補給剤に含有される栄養素の量は一般に任意であり、科学的または実験的根拠に欠ける。ビタミンおよび無機質の製剤は一般に、各ビタミンおよび/または無機質のいずれかを供給する“完全性”に注目した全般的な栄養補給剤として投与され、特に50歳以上の集団における個々のライフスタイルに基づく食事および栄養上の特定の要求に対処するように特別に配合されてはいない。
【0005】
[0005] 微量栄養素は食物中に少量または痕跡量存在する元素または化合物であり、食物中にみられるビタミン、無機質、または他の元素および化合物を含み、それらの多くについては推奨1日許容量(RDA)がまだ定められていない。多量栄養素は、栄養素およびカロリーを供給する炭水化物、脂肪およびタンパク質からなり、大部分は食物および食事を摂ることにより摂取される。ある微量栄養素、たとえばカルシウム、ナトリウム、カリウム、塩化物およびリンは比較的多量に摂取されるが、他の多く、たとえば鉄、ヨウ素および亜鉛は少量摂取される。ビタミン、たとえばB12、および葉酸、ならびに無機質、たとえばセレンは、きわめて少量または痕跡量摂取される。人体は人体に必須である多くの化合物を合成しないので、これらの特定のビタミンおよび無機質は2つの供給源、すなわち食物および補給剤から得ることができるにすぎない。
【0006】
[0006] すべての栄養素の主な供給源は食物である。しかし、50歳以上の大部分の成人は食物摂取による必須微量栄養素のRDAを満たしていない。したがって、ビタミンおよび無機質の補給は医学的および健康上の許容基準を満たすための認められた方法となった。
【0007】
[0007] これらの最適以下のビタミンレベルに対処する試みにおいて、多様な栄養補給剤が一般に入手できようになった。ごく一般的に、これらのビタミンおよび無機質の補給用配合物は、人々の年齢のような生理的要因を特に考慮した特定の消費者の利益を実現するための重要成分または補給に何ら注目することなく、それぞれの食事成分がRDAの百パーセント(100%)であるように開発されている。
【0008】
[0008] 別法において、ある人々およびビタミン製剤は大量ビタミン療法によって極限まで栄養補給を行なう。大量ビタミン療法は、RDAよりかなり多量の、しばしば200%、300%など過剰レベルのビタミンの使用である。しかし、大量のビタミンおよび/または無機質は、特に50歳以上の集団において有害な作用をもつ可能性がある。きわめて大量の特定のビタミン、たとえばビタミンA、C、DおよびB6の投与がビタミン毒性および他の重篤な健康予後をもたらす可能性があることは当業者に認識されている。ビタミン毒性は、ある者が大量のビタミンを摂取することにより副作用としての症状を発現する状態である。ビタミン過剰症またはビタミン中毒とも呼ばれるビタミン毒性は、ビタミン補給剤の普及のため先進国でより一般的になりつつある。毒性を生じるのに要するビタミンの量および生じる具体的な症状は多様である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
[0009] したがって発明者らは、50歳以上の成人において、大量栄養補給剤の負の副作用なしに生命力(vitality)、免疫、眼および骨の健康状態を改善および/または増進し、一方でビタミンおよび栄養素の欠乏ならびに生理的変化に対処するための、特別に配合した配合物を提供することを目的とした。本発明の栄養補給剤は、大量ビタミン療法を用いずに特定の効能を得るためのバランスのとれた処方である。
【0010】
[0010] したがって、50歳以上の成人のための栄養補給剤であって、疾患を予防するために、ならびにライフスタイル、年齢、疾患および不適切な食事パターンによる栄養の損失および欠乏に対して防御するために必要な適切な摂取を確実にする適正量の適正な微量栄養素を供給するものが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[0011] 本発明の1観点において、50歳以上のヒト対象における生命力の改善、免疫、眼および骨の健康状態の改善のために栄養支持を提供するための栄養補給剤であって:有効量のビタミンA;有効量のビタミンB1;有効量のビタミンB2;有効量のナイアシン;有効量のビタミンB6;有効量のビタミンB12;有効量のビタミンC;有効量のビタミンD;有効量のビタミンE;有効量のビタミンK;有効量のビオチン;有効量の葉酸;有効量のパントテン酸;有効量のカルシウム;有効量の塩化物;有効量のクロム;有効量の銅;有効量のヨウ素;有効量の鉄;有効量のマグネシウム;有効量のマンガン;有効量のモリブデン;有効量のリン;有効量のカリウム;有効量のセレン;有効量の亜鉛を含み;その際、生命力、免疫、眼および骨の健康が支持される、前記栄養補給剤が提供される。
【0012】
[0012] 本発明のさらに他の観点において、50歳以上のヒト対象における生命力の改善、免疫、眼および骨の健康状態の改善のために栄養支持を提供するための栄養補給剤であって:ビタミンAを約800mcgの量;ビタミンB1を約1.4mgの量;ビタミンB2を約1.75mgの量;ナイアシンを約20mgの量;ビタミンB6を約2mgの量;ビタミンB12を約2.5mcgの量;ビタミンCを約100mgの量;ビタミンDを約5mcgの量;ビタミンEを約15mgの量;ビタミンKを約30mcgの量;ビオチンを約62.5mcgの量;葉酸を約200mcgの量;パントテン酸を約7.5mgの量;カルシウムを約162mgの量;塩化物を約36.3mgの量;クロムを約40mcgの量;銅を約0.5mgの量;ヨウ素を約100mcgの量;鉄を約5mgの量;マグネシウムを約100mgの量;マンガンを約2mgの量;モリブデンを約50mcgの量;リンを約125mgの量;カリウムを約40mgの量;セレンを約30mcgの量;および亜鉛を約5mgの量含み;その際、栄養補給剤が1個の錠剤中にある、前記栄養補給剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0013] 年齢に合わせた標的を定めた本発明の栄養補給剤は、食物による日常の摂取量を補うためだけでなく、特定の健康上の有益性を支援して日常の食事に栄養補給し、生理的変化および特定の栄養素の吸収不良を補償し、かつ消費者の生命力、健康状態および健全性を確実にするために、特に50歳以上の成人に有用である。本明細書に記載した栄養補給剤は、50歳以上の成人に投与するためのものである。50歳以上の成人において単一の栄養補給剤で生命力、免疫、眼および骨の健康状態を改善および/または増進するために特別に処方された、大量ビタミン療法を用いない、これらの高齢の消費者のための栄養補給剤は、現在市販されていない。
【0014】
[0014] 本発明の栄養補給剤は、身体が日常的に失なうビタミンおよび無機質を再貯留しかつ50歳以上の成人における生理的変化を補償するように、また疾患、倦怠、疲労に対抗しかつ人々の全般的な健全性に寄与する最適機能性のために身体が必要とする全範囲の栄養素を身体に供給するように、設計されている。さらに、人々の加齢に伴って彼らの代謝機能は変化および衰退し、これが次第に微量栄養素の摂取効率に影響を及ぼす可能性がある。50歳以上の成人の健康要求は著しく異なり、栄養補給を施すことを試みる際にはこれらを考慮に入れなければならない。たとえば、人の加齢に伴って血漿ビタミンB12の量が減少し、これは一部は胃の酸性度の低下、委縮性胃炎の存在、食物結合型ビタミンB12の吸収不良、および肝ビタミンB12の貯蔵の欠乏によるものである。高齢の成人にとって、栄養補給剤からの合成B12は、自然界にみられる食事中のタンパク質結合型B12のものより生物学的利用能の高い形態を提供する。加齢により結合型ビタミンB6の生物学的利用能も低下し、加齢性慢性疾患はビタミンB6の吸収および代謝に影響を及ぼす。本発明者らは、本明細書に開示する栄養配合物を開発する際にこれらの栄養上および食事上の相異を考慮に入れて、高齢化集団の食事要求および代謝要求の変化に適合させるために独自に年齢に合わせた栄養補給剤を発明した。
【0015】
[0015] 年齢に合わせた本発明のこれらの栄養補給剤は、50歳以上の成人の特殊な栄養要求に対処するために独自に配合された。より具体的には、調整した量の特定の栄養組成物を用いて生命力、免疫、眼および骨の健康状態を改善でき、かつ生理的変化も克服されるであろうと本発明者らは考える。本明細書に記載する方法および栄養補給剤を用いると、彼らは従来そのような効果を達成する好ましい方法であった大量ビタミン療法を用いずにこれらの目標/効果(生命力、免疫、眼および骨の健康状態の改善または増進)を達成できると本発明者らは考える。
【0016】
[0016] 大量ビタミン療法は、現在では特定の疾患または疾病状態を予防および/または治療するために用いられている方法である。伝統的に、大量ビタミン療法はそのような成分のRDAよりはるかに多量の微量栄養素を伴う。本明細書中で用いる大量とは、その微量栄養素のRDAの200%を超える用量の微量栄養素を意味するものとする。したがって本発明者らの意図は、大量療法を用いずに特定の効能(生命力、免疫、眼および骨の健康状態の改善または増進)に使用するための栄養補給剤を作り出すことであった。したがって本発明の栄養補給剤は、そのような大量療法にしばしば付随する潜在的なビタミン毒性その他の有害な副作用を避けられると考えられる。
【0017】
[0017] 多様な微量栄養素をRDAより多量または同量含有するそのような栄養補給剤の配合に際して本発明者らが考慮しなければならなかった他の要因は、多量すぎるため摂取や錠剤もしくはカプレットへの圧縮ができないかまたは多重投与が必要になる栄養補給剤を調製することなしに、食事によるそれらの成分の摂取を適切に補給するのに十分な量のビタミンおよび/または無機質の取込みが可能なことである。50歳以上の成人にとって嚥下性およびコンプライアンスは特別な関心事なので、単回投与で生命力、免疫、眼および骨の健康状態を改善または増進する栄養補給剤を提供することが本発明者らの意図であった。
【0018】
[0018] 微量栄養素をRDAより多量または同量含有する組成物を配合する際、これらの量および/または加工上の拘束のため、これらの成分を他の微量栄養素(RDAと同等または未満のレベルであってすら)と組み合わせるのが不可能な可能性がある。本発明の栄養補給剤は、RDAより多量または同量の成分を含有するにもかかわらず、複数回投与で投与する必要なしに容易に嚥下できる錠剤、カプセル剤および他の剤形として容易に配合できると本発明者らは考える。本発明の栄養補給剤は1日あたり1用量として投与することが好ましい。
【0019】
[0019] RDAは、食事によるそのような微量栄養素の適切な摂取を確実にするためにヒトがその日常の食事の一部として摂取するのに必要な微量栄養素の適量であると考えられる基準セットである。科学および栄養における考えの変更を反映するために、数年毎にRDAは見直し、訂正および更新される。本明細書中で用いるRDA値の表記はすべて、下記に基づいて引用された:Directives Commission Directive 2008/100/EC, 改定Council Directive 90/496/EECを含む。
【0020】
[0020] 大部分の人々は、食物摂取による必須微量栄養素のRDAを満たしていない。したがって、ビタミンおよび無機質の補給は医学的および健康上の許容された基準を満たす認められた方法となった。
【0021】
[0021] 50歳以上の成人のための前記の栄養補給剤を用いて、生命力、免疫、眼および骨の健康状態をすべて単回投与で改善または増強することができる。本明細書中で用いる“生命力の改善”および“生命力の増強”には、身体強度の改善、活動力の改善、疲労および眠気の軽減、エネルギー産生のための酸素輸送の改善、身体持久力およびスタミナの増強、ならびに/あるいは健全であるという感覚および感情の全般的な改善が含まれる。本発明の栄養補給剤は、人体のエネルギーを解放して消費者の健康状態および生命力を維持し、したがって消費者の生命力を改善および/または増強することができると考えられる。
【0022】
[0022] 葉酸、チアミン(ビタミンB1)、リボフラビン(ビタミンB2)、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、ビオチンおよびパントテン酸はすべて、50歳以上の成人の生命力を支持、増強および/または改善するために使用できると考えられる。
【0023】
[0023] 葉酸またはフォレート(陰イオン形)はビタミンB9としても知られ、新たな細胞の生成および維持に必要である。これは、幼児期および妊娠など細胞の急速な分裂および増殖の期間中に特に重要である。フォレートは、DNA複製に必要なDNA塩基(チミンが最も顕著であるが、プリン塩基も)の合成に必要である。したがって、フォレート欠乏はDNA合成および細胞分裂を妨げ、最も顕著には骨髄および癌に影響を及ぼす;これらは両方とも急速な細胞分裂に関与する。フォレート欠乏は細胞分裂、赤血球生成を制限するので、赤血球(RBC)の生成が妨げられ、貧血になる可能性がある。好ましい態様において、葉酸の量は約300mcg/日である。他の好ましい態様において、葉酸はRDAの約150%の量で存在する。
【0024】
[0024] ビタミンB1はチアミンとも呼ばれ、チアゾール環とピリマジン環がメチレン橋により連結した水溶性物質であり、体内で約15日の生物学的半減期をもつ。チアミンは神経機能および炭水化物代謝に必須であり、医薬的に許容できるビタミンB1化合物の形態で投与される。本明細書中で用いる“医薬的に許容できる”ものは、刺激、毒性およびアレルギー反応などの不都合な副作用なしにヒトに使用するのに適した成分である。医薬的に許容できる有用なビタミンB1化合物にはチアミン塩化物塩酸塩が含まれるが、これに限定されない。好ましい態様において、ビタミンB1の有効量は約1.6mg/日である。よりさらに好ましい態様において、B1の有効量は約1.65mg/日である。別態様において、B1の有効量はRDAの約150%である。
【0025】
[0025] ビタミンB2はリボフラビンとも呼ばれ、多数の代謝経路における酸化−還元反応および呼吸鎖によるエネルギー産生に関与する。1態様において、ビタミンB2の有効量は約2mg/日から;最も好ましくは約2.1mg/日である。別態様において、B2の有効量はRDAの約150%である。
【0026】
[0026] ナイアシンは細胞呼吸に必要であり、エネルギーの放出、ならびに炭水化物、脂肪およびタンパク質の代謝、適正な循環、および健康な皮膚、神経系の機能性、ならびに胆汁および胃液の正常な分泌を補助する。それは性ホルモンの合成、統合失調症その他の精神病の処置、ならびに記憶増強剤に用いられる。医薬用量で投与されるナイアシンは血中コレステロールプロフィールを改善し、身体から有機毒素、たとえばある種の殺虫剤を排除するために用いられている。好ましい形態のナイアシンはナイアシンアミドである。1態様において、ナイアシンの有効量は約24mg/日からである。別態様において、ナイアシンの有効量はRDAの約150%である。
【0027】
[0027] ビタミンB6またはピリドキシンは、人体においてRNAおよびDNAの産生ならびに他の多数の生物学的反応に関与する。ビタミンB6の代謝活性形態であるリン酸ピリドキサールは、多量栄養素の代謝、神経伝達物質の合成、ヒスタミンの合成、ヘモグロビンの合成および機能、ならびに遺伝子発現の多くの面に関与する。医薬的に許容できる有用なビタミンB6化合物には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:ピリドキシン、ピリドキサールおよびピリドキサミン、またはその塩類:これには塩酸ピリドキシンが含まれるが、これに限定されない。リン酸エステル誘導体であるリン酸ピリドキサールは、一般に多数の反応の補酵素として使われ、脱カルボキシル、アミノ基転移、ラセミ化、脱離、置換、およびベータ基相互変換反応の促進を補助することができる。ピリドキシンの過剰投与は、自己受容神経など特定の神経の一時的な死を引き起こす可能性があり;自己受容性の喪失について一般的である肉体離脱感覚を引き起こす。この状態は補給を停止すると元に戻る。したがって、好ましい態様において、ビタミンB6の有効量は約2mg/日、最も好ましくは約2.1mg/日である。別態様において、有効量のビタミンB6はRDAの約150%の量で存在する。
【0028】
[0028] ビタミンB12またはコバラミンは、代謝全般、神経系の機能、葉酸の代謝、ホモシステインの還元、および赤血球の生成に必要である。少なくとも3つの活性形態のコバラミンがある:シアノコバラミン、ヒドロキソコバラミンおよびニトロコバラミン。したがって、好ましい態様において、ビタミンB12の有効量は約3mcg/日である。別態様において、有効量のビタミンB12はRDAの約120%の量で存在する。
【0029】
[0029] ビオチンは炭水化物、タンパク質および脂肪の代謝に必要であり、健康な皮膚および毛髪に必要である。本発明の好ましい態様において、ビオチンの有効量は約75mcg/日である。別態様において、有効量のビオチンはRDAの約150%の量で存在する。
【0030】
[0030] パントテン酸はビタミンB5とも呼ばれ、生命の維持に必要な水溶性ビタミンである。パントテン酸は補酵素−A(CoA)の形成に必要であり、炭水化物、タンパク質および脂肪の代謝および合成に重要である。パントテン酸の誘導体であるパントテノールはこのビタミンのより安定な形態であり、綜合ビタミン補給剤中のビタミン源としてしばしば用いられる。このビタミンの他の一般的な補給形態はパントテン酸カルシウムである。パントテン酸カルシウムは塩として消化管内でパントテン酸より安定であってより良好に吸収されるので、しばしば食事補給剤中に用いられる。500〜1200mg/日の大量のパントテン酸は総血清コレステロール、LDLコレステロールおよびトリグリセリドを減少させることが示され、それはHDLコレステロールを増加させることができる。2g/日の量のパントテン酸カルシウムは、リウマチ性関節炎患者における早朝硬直の持続時間、能力障害の程度、および痛みの重症度を低減することができる。好ましい形態のパントテン酸はパントテン酸カルシウムである。好ましい態様において、有効量のパントテン酸は約9mg/日からの量で存在する。別態様において、有効量のパントテン酸はRDAの約150%の量で存在する。
【0031】
[0031] 本発明者らはさらに、特定の比率および/または量の、ある組合わせの重要な微量栄養素が、免疫系を調節および増強するために重要な抗酸化物質のレベルを高めることにより免疫を改善し、人体の防御システムを維持することができると考える。そのような重要な微量栄養素にはビタミンE、ビタミンC、ビタミンD、鉄、亜鉛、銅、セレンおよびビタミンAが含まれ、これらはすべて50歳以上の成人の免疫を支持、増強および/または改善するために使用できる栄養素である。
【0032】
[0032] 免疫系の重要な構成要素には、皮膚および粘膜、毛様体、リゾチーム、補体タンパク質、食細胞、ナチュラルキラー細胞、t−細胞およびサイトカイン、ならびに種々の抗体、より具体的には5つのIgアイソタイプが含まれる。これらの免疫系に作用を及ぼす可能性をもつ多数の要因があり、これには遺伝的特質、投薬、外科処置、食事および栄養状態、身体運動、環境温度および体温、環境ストレス、ならびに環境汚染が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に開示する量の重要な微量栄養素(ビタミンE、ビタミンC、ビタミンD、鉄、亜鉛、銅、セレンおよびビタミンA)の組合わせは、50歳以上の成人の免疫を改善または増強すると考えられるこれらの微量栄養素の最適量であると本発明者らは考える。本明細書中で用いる“増強した免疫”および/または“改善された免疫”には下記が含まれるが、これらに限定されない:年間または月間の細菌および/またはウイルス感染回数がより少ない;そのような細菌性および/またはウイルス性感染症からの回復時間が短縮または縮小し、および/または重症度が軽減し、および/またはそれらに関連するかあるいはそれから生じる副作用がより少ない;ならびに生活の質が全般的に向上および/または改善する。そのような細菌性および/またはウイルス性感染症には、当業者に既知の細菌性および/またはウイルス性病原体により起きる感冒、インフルエンザ、呼吸器感染症、アレルギー、および他の感染症が含まれるが、これらに限定されない。
【0033】
[0033] ビタミンEは脂溶性ビタミンであり、すべての細胞の代謝に関与する抗酸化性ビタミンである。それは体細胞内でビタミンAおよび必須脂肪酸を酸化から保護し、身体組織の破壊を阻止する。ビタミンEは、アルファ−トコフェロール、ベータ−トコフェロール、ガンマ−トコフェロールおよびデルタ−トコフェロールを含めた一群の関連物質の総称である。さらに、これら4種類の化合物はそれぞれ、天然形である“d”形、および合成形である“d1”形をもつ。好ましくは、本発明の栄養補給剤において、ビタミンEは天然形である。好ましい態様において、ビタミンEの療法有効量は約18mg/日である。別態様において、有効量のビタミンEはRDAの約150%の量で存在する。
【0034】
[0034] ビタミンCはアスコルビン酸としても知られ、水溶性の抗酸化性ビタミンである。それは、骨、軟骨、筋肉および血管に構造を与えるタンパク質であるコラーゲンの形成に重要である。ビタミンCは鉄の吸収をも助成し、毛細血管、骨および歯の維持を補助する。水溶性抗酸化物質として、ビタミンCは水性ペルオキシラジカルが脂質に損傷を与える可能性がある前にこれらの破壊物質を捕捉するユニークな立場にある。それは、脂溶性抗酸化物質であるビタミンE、および酵素グルタチオンペルオキシダーゼと一緒に作動して、フリーラジカル連鎖反応を停止させる。
【0035】
[0035] ビタミンCは、感染性障害および多くのタイプの癌を含めた多様な疾患に対する身体の抵抗力を増強することができる。それは、抗体ならびに免疫系細胞、たとえば食細胞および好中球の活性を刺激することにより、免疫系を増強および保護する。ビタミンCは多様な他の生化学的機能に寄与する。これらには、アミノ酸であるカルニチンおよび神経系を調節するカテコールアミンの生合成が含まれる。それは、身体が鉄を吸収し、ヒスタミンを分解するのも補助する。ビタミンCはあらゆる細胞にみられるが、それは身体の重要部分において特に有用である。これらには、血液、皮膚、神経系、歯および骨、ならびに腺、たとえば胸腺、副腎および甲状腺が含まれる。1態様において、ビタミンCの有効量は約120mg/日である。別態様において、有効量のビタミンCはRDAの約150%の量で存在する。
【0036】
[0036] ビタミンDは脂溶性プロホルモンのグループであり、その2つの主要な形態はビタミンD(またはエルゴカルシフェロール)およびビタミンD(またはコレカルシフェロール)である。本明細書中で用いる用語ビタミンDは、これらの物質の代謝産物および他の類似体をも表わす。ビタミンDは太陽光線、特に紫外線B波(ultraviolet B)に曝露された皮膚において産生される。
【0037】
[0037] ビタミンDは臓器系の維持において重要な役割を果たす。それは、腸における食物からのカルシウムおよびリンの吸収を促進することにより、また腎臓におけるカルシウムの再吸収を促進することにより、血中のカルシウムおよびリンのレベルを調節し、これにより骨の正常なミネラリゼーションを可能にすることが示された。それは骨の増殖および骨のリモデリングにも必要である。ビタミンDは、食作用、抗腫瘍活性および免疫調節機能を促進することにより免疫系にも作用することが示唆されている。
【0038】
[0038] ビタミンD欠乏は、不適切な摂取と不適切な太陽光線曝露の組合わせ、それの吸収を制限する障害、ビタミンDから活性代謝産物への変換に障害を与える状態、たとえば肝臓もしくは腎臓の障害、または稀に多数の遺伝的障害から生じる可能性がある。欠乏は骨ミネラリゼーション障害をもたらし、骨軟化性疾患、小児のくる病、および成人の骨軟化症を生じ、おそらく骨粗鬆症の一因となるであろう。しかし、欠乏を避けるための太陽光線曝露は皮膚癌を含めた他のリスクをもたらす;このリスクは、食事により、または食事補給剤として、食事から吸収することで避けられる。1態様において、有効量のビタミンDは約5mcg/日からの量で存在し、ビタミンD3として存在する。別態様において、有効量のビタミンD3はRDAの約100%の量で存在する。
【0039】
[0039] 鉄はヘモグロビンおよびミオグロビンの生成に用いられる。本明細書に記載する栄養補給剤において、鉄は医薬的に許容できる鉄化合物の形態で投与される;これは、本明細書中で用いるものとして、刺激、毒性およびアレルギー反応などの不都合な副作用なしにヒトに使用するのに適した化合物を意味する。例にはフマル酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、鉄カルボニル、グルコン酸鉄(II)、塩化鉄(II)、乳酸鉄(II)、酒石酸鉄(II)、コハク酸鉄(II)、グルタミン酸鉄(II)、クエン酸鉄(II)、フィロリン酸鉄(II)、コリンイソクエン酸鉄(II)、炭酸鉄(II)、鉄−糖−カルボキシレート錯体、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい形態の鉄はフマル酸鉄(II)である。1態様において、有効量の鉄は約2mg/日、より好ましくは2.1mg/日の量で存在する。別態様において、有効量の鉄はRDAの約15%の量で存在する。
【0040】
[0040] 亜鉛はある食物中に天然に存在する必須無機質であり、他に添加され、食事補給剤として用いられる。亜鉛は細胞代謝の多数の観点に関与する。それは約100種類の酵素の触媒活性に必要であり、免疫機能、タンパク質合成、創傷治癒、DNA合成および細胞分裂において役割を果たす。身体には特別な亜鉛貯蔵システムがないので、定常状態を維持するためには日常的な亜鉛の摂取が必要である。亜鉛欠乏症は成長遅延、食欲喪失、および免疫機能不全を特徴とする。より重篤な場合、亜鉛欠乏症は脱毛、下痢、性的成熟遅延、インポテンス、雄性の生殖腺機能低下、ならびに眼および皮膚の病変を引き起こす。体重減少、創傷治癒の遅延、味覚異常、および精神性嗜眠も起きる。
【0041】
[0041] 重篤な亜鉛欠乏症は免疫機能も低下させる可能性があり、軽度ないし中等度の亜鉛欠乏症ですらマクロファージおよび好中球の機能、ナチュラルキラー細胞活性、ならびに補体活性を損なう可能性もある。身体はTリンパ球を発生および活性化するために亜鉛を必要とする。亜鉛レベルの低い個体はマイトジェンに対するリンパ球増殖応答の低下および免疫における他の有害な変化を示し、これは亜鉛補給によって補正できる。免疫機能におけるこれらの変化は、低亜鉛状態が肺炎その他の感染症に対する感受性の増大と関連づけられた理由を説明できる。
【0042】
[0042] グルコン酸亜鉛、硫酸亜鉛、酸化亜鉛および酢酸亜鉛を含めた幾つかの形態の亜鉛を、本明細書に記載する栄養補給剤中に使用してもよい。亜鉛元素の割合は形態ごとに異なる。たとえば、硫酸亜鉛の約23%が亜鉛元素からなる;したがって、220mgの硫酸亜鉛は50mgの亜鉛元素を含有する。好ましい形態の亜鉛は酸化亜鉛である。1態様において、有効量の亜鉛は約5mg/日の量で存在する。別態様において、有効量の亜鉛はRDAの約50%の量で存在する。
【0043】
[0043] 必須微量無機質である銅は、我々の体内の2つのきわめて重要な酵素の機能にとって重要である。1つ目はスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)であり、これはヒトにある最も強力なフリーラジカル攻撃物質のひとつである。こうして銅は免疫系および我々が疾患と戦う能力を支持する。
【0044】
[0044] 銅は、エネルギーに要求される鉄利用にも必要である。銅レベルが低く、鉄が阻害されると、疲労および筋衰弱が起きる可能性がある。銅は、鉄を支持することにより、赤血球へ酸素を送達する健全な呼吸機能をも保証する。さらに我々の身体は、ヒトにおける重要なエネルギー産生物質であるアデノシン三リン酸(ATP)を生成するために銅を必要とする。本明細書に記載する栄養補給剤において銅は医薬的に許容できる形態で投与され、これには酸化銅(II)、クエン酸銅(II)、硫酸銅(II)、炭酸銅(II)、グルコン酸銅(II)、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、銅は約0.5mg/日の量で存在する。別態様において、銅はRDAの約50%の量で存在する。
【0045】
[0045] セレンは、抗酸化保護および甲状腺ホルモン代謝に関与する酵素の成分として機能する必須微量元素である。セレンは抗酸化特性をもち、心臓発作および心臓疾患のリスクを低下させることが示された。セレン欠乏症の特徴的な徴候はヒトにおいて記載されていないが、セレンがきわめて低い状態は中国のセレン欠乏地域で起きる若年性心筋障害(ケシャン病(Keshan Disease))および軟骨形成異常症(カシン−ベック病(Kashin−Beck Disease))の病因における要因である。1態様において、有効量のセレンは約30mcg/日の量で存在する。別態様において、有効量のセレンはRDAの約55%の量で存在する。
【0046】
[0046] 炭素と水素の双極性共有結合で形成された双極性分子であるビタミンAは、類似形状分子のファミリー、レチノイドと関連する。それの重要な部分はレチニル基であり、それは幾つかの形態で見出すことができる。ビタミンAはエステル、主にパルミチン酸レチニルとして見出すことができる(食物中に見出され、小腸でレチノールに変換される。ビタミンAはレチナールまたはレチノイン酸として存在する可能性もある。このビタミンへの前駆物質は、植物由来の食物中にカロテノイドファミリーの化合物のメンバーの幾つかとして存在する。植物由来の食物中に見出される一般的なプロビタミンAカロテノイドはベータカロテン、アルファカロテンおよびベータクリプトキサンチンである。これらのうち、ベータカロテンが最も効率的にレチノールになる。アルファカロテンおよびベータクリプトキサンチンもビタミンAに変換されるが、ベータカロテンの半分の効率にすぎない。
【0047】
[0047] ビタミンAは全身で多様な機能において役割を果たす:たとえば視覚、遺伝子転写、免疫機能、胚の発生および生殖、骨代謝、造血、皮膚の健康、心疾患のリスク低下、ならびに抗酸化活性。ビタミンA欠乏症は原発性または続発性のいずれかの欠乏症として起きる可能性がある。原発性ビタミンA欠乏症は、小児、ならびに緑黄色野菜、果実およびレバーの適切な摂取を行わない成人に起きる。続発性ビタミンA欠乏症は、慢性的な脂質吸収不良、胆汁の産生および放出の障害、低脂肪食、ならびに慢性的なオキシダント被曝、たとえばシガレット喫煙と関連する。ビタミンAは脂溶性ビタミンであり、小腸内への分散のためにミセルによる可溶化に依存し、そのため低脂肪食からのビタミンA利用は乏しい。亜鉛欠乏症もビタミンAの吸収、輸送および代謝を損なう可能性がある;亜鉛はビタミンA輸送タンパク質の合成およびレチノールからレチナールへの酸化のために必須だからである。
【0048】
[0048] 好ましい態様において、ビタミンAのレチノール(酢酸ビタミンAの形態のもの)とベータカロテンの比は50:50である。よりさらに好ましい態様において、ビタミンAの全量(レチノール+ベータカロテン)は約800mcg/日である。別態様において、栄養補給剤中に存在するビタミンAの全量はRDAの約100%である。
【0049】
[0049] 50歳以上の成人のための栄養補給剤は、重要な栄養素をより高いレベルでかつ本明細書に記載する量および比率で含む特別に調整された栄養素の組合わせでもあり、眼の健康を支持するのを補助することができる。本発明者らは、本明細書に記載する量のルテイン、ビタミンA、リボフラビン(ビタミンB2)およびビタミンEの栄養素の組合わせは50歳以上の成人の眼の健康を支持および/または改善するのを補助することができると考える。
【0050】
[0050] 天然カロテノイドであるルテインは、黄斑、すなわち網膜の中心視覚に関与する小領域に濃縮されていることが見出された。この自然濃縮に関する仮説は、ルテインが酸化的ストレスおよび高エネルギー光線からの保護を補助するというものである。種々の研究が、ルテイン摂取と眼の色素沈着との間に直接的な関係があることを示している。ルテインは黄斑の色素沈着を増大させる役割を果たすとも考えられており、したがって加齢性黄斑変性症(AMD)などの眼疾患のリスクを低下させる。好ましい態様において、ルテインの有効量は約1000mcg/日である。
【0051】
[0051] 50歳以上の成人のための栄養補給剤は、重要な栄養素をより高いレベルでかつ本明細書に記載する量および比率で含む特別に調整された栄養素の組合わせでもあり、骨の健康を支持するのを補助することができる。本発明者らは、本明細書に記載する量のカルシウム、ビタミンKおよびビタミンDの栄養素の組合わせは50歳以上の成人の骨の健康を支持および/または改善するのを補助することができると考える。
【0052】
[0052] カルシウムは、健全な食事の重要な成分であり、生命に必要な無機質である。National Osteoporosis Foundationは、“カルシウムは、若い時期にはより強靭でより緻密な骨を構築しかつ晩年には強靭で健康な骨を維持するのに重要な役割を果たす”と述べている。身体のカルシウムの約99%は骨および歯に蓄積される。長期のカルシウム欠乏はくる病および凝血不良を生じる可能性があり、閉経期の女性の場合にはそれは骨粗鬆症を生じる可能性がある。終生にわたる欠乏は骨および歯の形成に影響を及ぼす可能性があるが、過剰保持はカルシウム過剰血症(血中カルシウムレベルの上昇)、腎機能障害、および他の無機質の吸収低下を引き起こす可能性がある。医薬的に許容できるカルシウム化合物源には炭酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、三塩基性リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、乳酸カルシウム、クエン酸カルシウム、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、カルシウムは約162mg/日の量で存在する。別態様において、カルシウムはRDAの20%の量で供給される。
【0053】
[0053] ビタミンKは、特定のタンパク質の翻訳後修飾に必要な一群の脂溶性、疎水性ビタミンを表わす。化学的に、それらは2−メチル−1,4−ナフトキノン誘導体である。ビタミンK群のビタミンのすべてのメンバーがメチル化されたナフトキノン環構造を共有し、3−位に結合した脂肪族側鎖において異なる。フィロキノン(ビタミンKとしても知られる)は常にそれの側鎖中に4つのイソプレノイド残基を含み、それらのうち1つは不飽和である。
【0054】
[0054] ナフトキノンは官能基であり、したがって作用機序はすべてのK−ビタミン類について類似することは、一般に受け入れられている。しかし、腸吸収、輸送、組織分布および生物学的利用能に関して実質的な相異を予想できる。これらの相異は、種々の側鎖の親油性の相異により、およびそれらが由来する食物マトリックスの相異により起きる。ビタミンK欠乏症はきわめて稀である。それは身体がこのビタミンを腸管から適正に吸収できない場合に起きる。ビタミンK欠乏症は抗生物質による長期治療後にも起きる可能性がある。ビタミンK欠乏症を伴う個体は、通常は挫傷および出血をより生じやすい。ビタミンKは有効な血液凝固物質であり、かつ骨の形成を補助する。好ましくは、ビタミンKはビタミンK1の形態であり、約30mcg/日の量である。別態様において、ビタミンK1はRDAの約40%の量で存在する。
【0055】
[0055] 50歳以上の成人のための生命力、免疫、眼および骨の健康状態を改善および/または増強するためだけではない栄養補給剤を提供するために、追加の微量栄養素も含有させることができる。食事栄養補給のためにも、生命力、免疫、眼および骨の健康に有益な栄養素の適正な比率および量ですべてのビタミンおよび無機質を1用量とすることの有益性は、これによってより高いコンプライアンス率が保証されることである。50歳以上の成人が、補給剤、丸剤、錠剤その他の剤形を多重摂取しなければならないよりむしろ1用量を摂取して、1日の食事補給用のビタミンおよび無機質および微量栄養素を受容することができる。たとえば、追加の微量栄養素にはリン、塩化物、クロム、ヨウ素、マグネシウム、マンガン、モリブデンおよびカリウムが含まれるが、これらに限定されない。
【0056】
[0056] リンは、骨の発達に必要であり、すべての主要クラスの生化学的化合物の構成要素である。アデノシン三リン酸中のホスフェートの形態のリンは、大部分の代謝プロセスに要求される重要なエネルギー源である。医薬的に許容できるリン化合物には、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム、リン酸グリセロールの形態、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、リンの量は約125mgである。別態様において、リンはRDAの約18%である。
【0057】
[0057] 塩化物は、体内のイオンおよび流体のバランスの維持を補助するために必要であり、かつ胃および腸の分泌物の必須成分である。医薬的に許容できる有用な塩素化合物には、塩化ナトリウム、塩化クロム、塩化スズ(II)および塩化カリウムが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、塩化物の量は約36mgである;よりさらに好ましい態様において、塩化物は約36.3mgである。別態様において、塩化物はRDAの約5%である。
【0058】
[0058] クロムは、グルコース代謝の調節を補助し、脂肪酸およびコレステロールの合成に使われ、タンパク質の輸送を補助し、血中LDLレベルを低下させ、血中高密度リポタンパク質レベルを上昇させる。前記の栄養補給剤において、クロムは医薬的に許容できるクロム化合物で投与される。有用な医薬的に許容できるクロム化合物には、塩化クロム、酵母結合型クロム、ピコリネート(picolinate)、ナイアシン結合型クロム、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、クロムは約40mcgの量で存在する。別態様において、クロムはRDAの約100%である。
【0059】
[0059] ヨウ素は、脂肪の代謝を補助し、適正な甲状腺機能のために必要であり、線維嚢胞性乳腺状態の軽減を補助する。本発明の栄養補給剤において、ヨウ素は医薬的に許容できる形態のヨウ素で投与され、これにはヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、ヨウ素はヨウ化カリウムの形態である。さらに他の態様において、栄養補給剤中のヨウ素の量は約100mcgである。別態様において、ヨウ素はRDAの約67%である。
【0060】
[0060] マグネシウムは骨の形成および増殖に使われ、骨損失を阻止し、冠動脈を弛緩させ、子癇前症の管理、心不整脈の処置、および糖尿病の管理に用いられる。前記の栄養補給剤において、マグネシウムは医薬的に許容できるマグネシウム化合物の形態で投与される。有用な医薬的に許容できるマグネシウム化合物には、ステアリン酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、マグネシウムは約100mgの量で存在する。別態様において、マグネシウムはRDAの約27%である。
【0061】
[0061] モリブデンは、脂肪、炭水化物および鉄の適正な代謝を促進することができ、ある種の癌に対して防御することができる。医薬的に許容できるマグネシウム化合物には、モリブデン酸ナトリウム、モリブデン−アミノ酸キレート、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、モリブデンは約50mcgの量で存在する。別態様において、モリブデンはRDAの約100%である。
【0062】
[0062] カリウムは、水バランス、酸性レベル、血圧および神経筋機能を調節するために必要である。カリウムは、炭水化物およびタンパク質の代謝にも必要である。前記の栄養補給剤において、カリウムは医薬的に許容できるカリウム化合物の形態で投与される。有用な医薬的に許容できるカリウム化合物には、塩化カリウム、硫酸カリウム;グリセロリン酸カリウム、クエン酸カリウム、グルコン酸カリウム、リン酸カリウム、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、カリウムは約40mgの量で存在する。別態様において、カリウムはRDAの約2%である。
【0063】
[0063] 体内のマンガンの低レベルは糖尿病と関連する可能性がある。したがって、マンガンは血糖値の制御において役割をもつと思われる。マンガンはアミノ酸およびある種のビタミンの代謝においても役割をもつ可能性がある。医薬的に許容できるマンガン化合物には、塩化マンガン、硫酸マンガン、およびその組合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましい態様において、マンガンは約2mgの量で存在する。別態様において、マンガンはRDAの約100%である。
【0064】
[0064] 前記の栄養補給剤は、単一の単位剤形で投与するためのものである。本明細書中で用いる単一の単位剤形は、組成物のすべての微量栄養素が単一の丸剤、錠剤、カプレット、カプセル剤、咀嚼錠、即溶錠、発泡錠、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、散剤、懸濁液剤、および食品である剤形を意味するものとする。しかし、単一の単位剤形を単回投与(single dose)で、すなわち1日当たり1個の丸剤として摂取し;または複数回投与(multiple dose)で投与できると認識される。好ましくは剤形を1日当たり1用量として投与する。
【0065】
[0065] 本明細書に記載する栄養補給剤および組成物は、多様な形態で、たとえば下記の医薬組成物として調製できる:丸剤、錠剤、カプレット、カプセル剤、咀嚼錠、即溶錠、発泡錠、硬ゼラチンカプセル剤、軟ゼラチンカプセル剤、散剤、懸濁液剤、および食品。栄養補給剤を利用者に送達するための他の利用可能な方法があることも当業者には認識されるであろう。好ましい態様において、栄養補給剤は固体剤形である;よりさらに好ましい態様において、固体剤形は錠剤である。
【0066】
[0066] さらに、これらの栄養補給剤は当技術分野で知られている一般的な装置および技術を用いて調製できる。本発明の組成物を含む剤形を調製する際、栄養成分を普通は一般的な賦形剤とブレンドする:たとえば結合剤:ゼラチン、α化デンプンなどを含む;滑沢剤、たとえば水素化植物油、ステアリン酸など;希釈剤、たとえばラクトース、マンノースおよびスクロース;崩壊剤、たとえばカルボキシメチルセルロースおよびグリコール酸デンプンナトリウム;懸濁化剤、たとえばポビドン(povidone)、ポリビニルアルコールなど;吸収剤、たとえば二酸化ケイ素;保存剤、たとえばメチルパラベン、プロピルパラベンおよび安息香酸ナトリウム;界面活性剤、たとえばラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80(polysorbate 80)など;ならびに着色剤、たとえばF.D.& C色素など。錠剤はキャリヤー、たとえばラクトースおよびトウモロコシデンプン、ならびに/あるいは滑沢剤、たとえばステアリン酸マグネシウムを含有することができる。カプセル剤は、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンを含めた希釈剤を含有することができる。水性懸濁剤は、有効成分と組み合わせた乳化剤および懸濁化剤を含有することができる。経口剤形はさらに甘味剤および/または着香剤および/または着色剤を含有することができる。
【0067】
[0067] さらに、本明細書に記載する不活性成分のほかに、前記組成物は好ましくは追加の微量栄養素を含み、日常的な食事によるそれらの微量栄養素の摂取に補給することができる。
【0068】
[0068] 本発明をある特定の態様に関して記載したが、当業者が本発明から逸脱することなく多くの改変および変更をなしうることは認識されるであろう。したがって特許請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲に含まれるそのような改変および変更をすべて包含するものとする。
【実施例】
【0069】
実施例1
【0070】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
50歳以上のヒト対象における生命力の改善、免疫、眼および骨の健康状態の改善のために栄養支持を提供するための栄養補給剤であって:有効量のビタミンA;有効量のビタミンB1;有効量のビタミンB2;有効量のナイアシン;有効量のビタミンB6;有効量のビタミンB12;有効量のビタミンC;有効量のビタミンD;有効量のビタミンE;有効量のビタミンK;有効量のビオチン;有効量の葉酸;有効量のパントテン酸;有効量のカルシウム;有効量の塩化物;有効量のクロム;有効量の銅;有効量のヨウ素;有効量の鉄;有効量のマグネシウム;有効量のマンガン;有効量のモリブデン;有効量のリン;有効量のカリウム;有効量のセレン;有効量の亜鉛を含み;その際、生命力、免疫、眼および骨の健康が支持される、前記栄養補給剤。
【請求項2】
有効量のビタミンAが800mcgであり;有効量のビタミンB1が1.4mgであり;有効量のビタミンB2が1.75mgであり;有効量のナイアシンが20mgであり;有効量のビタミンB6が2mgであり;有効量のビタミンB12が2.5mcgであり;有効量のビタミンCが100mgであり;有効量のビタミンDが5mcgであり;有効量のビタミンEが15mgであり;有効量のビタミンKが30mcgであり;有効量のビオチンが62.5mcgであり;有効量の葉酸が200mcgであり;有効量のパントテン酸が7.5mgであり;有効量のカルシウムが162mgであり;有効量の塩化物が36.3mgであり;有効量のクロムが40mcgであり;有効量の銅が0.5mgであり;有効量のヨウ素が100mcgであり;有効量の鉄が5mgであり;有効量のマグネシウムが100mgであり;有効量のマンガンが2mgであり;有効量のモリブデンが50mcgであり;有効量のリンが125mgであり;有効量のカリウムが40であり;有効量のセレンが30mcgであり;有効量の亜鉛が5mgである、請求項1に記載の栄養補給剤。
【請求項3】
50歳以上のヒト対象における生命力の改善、免疫、眼および骨の健康状態の改善のために栄養支持を提供するための栄養補給剤であって:ビタミンAを約800mcgの量;ビタミンB1を約1.4mgの量;ビタミンB2を約1.75mgの量;ナイアシンを約20mgの量;ビタミンB6を約2mgの量;ビタミンB12を約2.5mcgの量;ビタミンCを約100mgの量;ビタミンDを約5mcgの量;ビタミンEを約15mgの量;ビタミンKを約30mcgの量;ビオチンを約62.5mcgの量;葉酸を約200mcgの量;パントテン酸を約7.5mgの量;カルシウムを約162mgの量;塩化物を約36.3mgの量;クロムを約40mcgの量;銅を約0.5mgの量;ヨウ素を約100mcgの量;鉄を約5mgの量;マグネシウムを約100mgの量;マンガンを約2mgの量;モリブデンを約50mcgの量;リンを約125mgの量;カリウムを約40mgの量;セレンを約30mcgの量;および亜鉛を約5mgの量含み;その際、栄養補給剤が1個の錠剤中にある、前記栄養補給剤。

【公表番号】特表2012−515784(P2012−515784A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548093(P2011−548093)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際出願番号】PCT/US2010/021601
【国際公開番号】WO2010/085535
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(309040701)ワイス・エルエルシー (181)
【Fターム(参考)】